この記事は Chrome メディア プロダクト ディレクター、Matt Frost、WebRTC シニア プロダクト マネージャー、Niklas Blum による Chromium Blog の記事 "Celebrating 10 years of WebM and WebRTC" を元に翻訳・加筆したものです。詳しくは元記事をご覧ください。

10 年前、Google はインターネットをさらに活性化させる根を育てるため、ウェブメディア テクノロジーの 2 つの礎の種をまきました。On2 TechnologiesGlobal IP Solutions の 2 社の買収は、WebM ProjectWebRTC Project の 2 つのオープンソース プロジェクトにつながりました。WebM Project は、Google がロイヤリティ フリーで提供する一連の最新動画圧縮技術(コーデック)です。WebRTC Project は、ウェブでリアルタイムの音声や動画によるコミュニケーション機能を構築するための API です。

この 2 つの取り組みは大きな技術的進展であり、ビデオ会議やストリーミングをサポートする期待の HTML5 を実現するインフラストラクチャに欠かせないものでした。しかしこれは、プロダクト マネージャーの Mike Jazayeri が WebM Project の立ち上げを祝うブログ投稿に記したように、メディアの哲学的な進化でもありました。


「ウェブの成功の重要な要因の 1 つは、HTML、HTTP、TCP/IP などのコア テクノロジーがオープンで自由に実装できることです」
ウェブ エクスペリエンスにおける一流の新参者として、メディアやコミュニケーションのコンポーネントもまた、自由でオープンでなければなりませんでした。

それから 10 年が経ち、この原則は、メディアの利用、端末、需要の指数関数的拡大に象徴されるウェブ エコシステムと歩調を合わせながら、圧縮技術や通信技術として確立されました。WebM Project は、2010 年の VP8 に始まり、2013 年には VP9 で動画ビットレートを最大 50%、2018 年には AV1 でさらに 30% を節約しました。これらは、YouTubeFacebookNetflixTwitch などに採用されています。それと同じくらい重要なのは、WebM チームが Alliance for Open Media を共同設立したことです。この組織は 40 以上の主要テック企業に IP を無償でライセンス提供し、無償のオープンなコーデックをサポートしています。WebRTC は、Chrome、Edge、Firefox、Safari がサポートしているため、世界中でインストールされている全ブラウザの 85% 以上がインターネットでのリアルタイム コミュニケーションのクライアントになることができます。WebRTC は安定した標準になり、今ではウェブのビデオ通話のデフォルト ソリューションとなっています。この 2 つのテクノロジーはともに成功を収め、現在では Chrome でエンコードされた WebRTC 動画の 90% 以上が VP8 か VP9 を使っています。

COVID-19 によって、こういったテクノロジーへのニーズが高まりました。世界中の人々は、ビデオチャットで仕事や教育、そして愛する人たちとつながるという新しい方法を見つけています。VP9 や AV1 のコンテンツは毎日 10 億時間以上視聴されており、限られた帯域幅でサービスを実行し続けるために、オープン コーデックによる圧縮は欠かせないものになっています。WebRTC によって相互運用可能なコミュニケーション アプリが活躍するエコシステムが実現し、Chrome では、2020 年 3 月以降、WebRTC で受信される動画ストリームは 13 倍増加しています。

オープンソース コミュニティを構成するすべてのサポーターの皆さんなくして、このような成功は実現できなかったでしょう。このエコシステムを実現してくださったコード貢献者、テスター、バグ修正者、企業パートナーのすべての皆さんに感謝の言葉を贈ります。今後も、Google はウェブのオープン メディアに貢献し続けます。これから 10 年、さらにその先も、皆さんと一緒にこの仕事に取り組めることを楽しみにしています。

Reviewed by Eiji Kitamura - Developer Relations Team