詳細な説明
定義
別に定める場合を除き、本明細書で用いる技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書中に記載されたものと同様または同等な任意の方法および材料を本発明の試験のために実地に用いることができるが、本明細書では好ましい材料および方法について説明する。本発明の説明および特許請求を行う上では、以下の専門用語を用いる。
また、本明細書中で用いる専門用語は、特定の態様を説明することのみを目的とし、限定的であることは意図していないことも理解される必要がある。
「1つの(a)」および「1つの(an)」という冠詞は、本明細書において、その冠詞の文法的目的語の1つまたは複数(すなわち、少なくとも1つ)を指して用いられる。一例として、「1つの要素」は、1つの要素または複数の要素を意味する。
量、時間的長さなどの測定可能な値に言及する場合に本明細書で用いる「約」は、特定された値からの±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%、いっそうより好ましくは±0.1%のばらつきを範囲に含むものとするが、これはそのようなばらつきが、開示された方法を実施する上で妥当なためである。
「キメラ抗原受容体」または代替的には「CAR」という用語は、少なくとも細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および以下に定義するような刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞質シグナル伝達ドメイン(本明細書では「細胞内シグナル伝達ドメイン」とも称する)を含む組換えポリペプチド構築物のことを指す。いくつかの態様において、CARポリペプチド構築物における複数のドメインは同じポリペプチド鎖の中にあり、例えば、キメラ融合タンパク質を含む。いくつかの態様において、CARポリペプチド構築物における複数のドメインは互いに連続しておらず、例えば、本明細書に記載するRCARにおいて提示されているように、例えば、異なるポリペプチド鎖の中にある。
1つの局面において、刺激分子は、T細胞受容体複合体に付随するζ鎖である。1つの局面において、細胞質シグナル伝達ドメインは、以下に定義するような少なくとも1つの共刺激分子に由来する、1つまたは複数の機能的シグナル伝達ドメインをさらに含む。1つの局面において、共刺激分子は、4-1BB(すなわち、CD137)、CD27、ICOS、および/またはCD28から選択される。1つの局面において、CARは、細胞外抗原認識ドメイン、膜貫通ドメイン、および刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ融合タンパク質を含む。1つの局面において、CARは、細胞外抗原認識ドメイン、膜貫通ドメイン、ならびに共刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメインおよび刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ融合タンパク質を含む。1つの局面において、CARは、細胞外抗原認識ドメイン、膜貫通ドメイン、ならびに1つまたは複数の共刺激分子に由来する2つの機能的シグナル伝達ドメインおよび刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ融合タンパク質を含む。1つの局面において、CARは、細胞外抗原認識ドメイン、膜貫通ドメイン、ならびに少なくとも1つまたは複数の共刺激分子に由来する2つの機能的シグナル伝達ドメインおよび刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ融合タンパク質を含む。1つの局面において、CARは、CAR融合タンパク質のアミノ末端(N-ter)に任意的なリーダー配列を含む。1つの局面において、CARは、細胞外抗原認識ドメインのN末端にリーダー配列をさらに含み、ここでリーダー配列は任意で、細胞プロセシングおよび細胞膜へのCARの局在化中に抗原認識ドメイン(例えば、aa scFv)から切断されてもよい。
特定の腫瘍マーカーXと特異的に結合する抗原結合ドメイン(例えば、scFv、単一のドメイン抗体またはTCR(例えば、TCRα結合ドメインまたはTCRβ結合ドメイン))を含み、Xが本明細書に記載するような腫瘍マーカーでありうるCARは、XCARとも称される。例えば、GFRα受容体、例えばGFRα4と特異的に結合する抗原結合ドメインを含むCARは、GFRα CAR、例えばGFRα4 CARと称される。CARは、任意の細胞、例えば、本明細書に記載するような免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)において発現させることができる。
「シグナル伝達ドメイン」という用語は、二次メッセンジャーを生成することにより、またはそのようなメッセンジャーに応答することによってエフェクターとして機能することにより、定められたシグナル伝達経路を介して細胞活性を調節するように細胞内で情報を伝達することによって作用する、タンパク質の機能的部分のことを指す。
本明細書で用いる「抗体」という用語は、抗原と特異的に結合する免疫グロブリン分子のことを指す。抗体は、天然供給源または組換え供給源に由来するインタクトな免疫グロブリンであってもよく、インタクトな免疫グロブリンの免疫応答部分であってもよい。抗体は典型的には、免疫グロブリン分子の四量体である。四量体は天然に存在してもよく、または単鎖抗体もしくは抗体フラグメントから再構築してもよい。抗体にはまた、天然に存在してもよく、または単鎖抗体もしくは抗体フラグメントから構築してもよい二量体も含まれる。本発明における抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fv、FabおよびF(ab)2、ならびに単鎖抗体(scFv)、ヒト化抗体、およびヒト抗体を含む、種々の形態で存在しうる(Harlow et al., 1999, In: Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY;Harlow et al., 1989, In: Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York;Houston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883;Bird et al., 1988, Science 242:423-426)。
「抗体フラグメント」という用語は、インタクトな抗体の一部分のことを指し、インタクトな抗体の抗原決定可変領域のことも指す。抗体フラグメントの例には、Fab、Fab'、F(ab')2、およびFvフラグメント、直鎖状抗体、scFv抗体、単一ドメイン抗体、例えばラクダ科動物抗体(Riechmann, 1999, Journal of Immunological Methods 231:25-38)などのsdAb(VLまたはVHのいずれか)など、標的に対する十分な親和性を示すVLドメインまたはVHドメインのいずれかで構成されるラクダ科動物VHHドメイン、およびヒンジ領域でジスルフィド架橋(disulfide brudge)によって連結された2つのFabフラグメントを含む二価フラグメントなどの抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体、および単離されたCDRまたは抗体の他のエピトープ結合フラグメントが非限定的に含まれる。また、抗原結合フラグメントを、単一ドメイン抗体、マキシボディ、ミニボディ、ナノボディ、イントラボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v-NARおよびbis-scFvに組み入れることもできる(例えば、Hollinger and Hudson, Nature Biotechnology 23:1126-1136, 2005を参照)。また、抗原結合フラグメントを、フィブロネクチンIII型(Fn3)などのポリペプチドを基にしたスカフォールドの中に接ぎ合わせることもできる(フィブロネクチンポリペプチドミニボディを記載している米国特許第6,703,199号を参照)。抗体フラグメントには、ヒト抗体もしくはヒト化抗体、またはヒト抗体もしくはヒト化抗体の一部分も含まれる。
「scFv」という用語は、軽鎖の可変領域を含む少なくとも1つの抗体フラグメントおよび重鎖の可変領域を含む少なくとも1つの抗体フラグメントを含む融合タンパク質のことを指し、ここで軽鎖可変領域および重鎖可変領域は短い柔軟なポリペプチドリンカーを介して連続的に連結されていて、単鎖ポリペプチドとして発現されることが可能であり、scFvはそれが由来するインタクトな抗体の特異性を保っている。指示のない限り、本明細書で用いる場合、scFvは、VL可変領域およびVH可変領域を例えばポリペプチドのN末端およびC末端に対していずれの順序で有してもよく、scFvがVL-リンカー-VHを含んでもよく、またはVH-リンカー-VLを含んでもよい。
本明細書で用いる「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、抗原特異性および結合親和性を付与する、抗体可変領域内のアミノ酸の配列のことを指す。例えば、一般に、各重鎖可変領域には3つのCDRがあり(例えば、HCDR1、HCDR2およびHCDR3)、各軽鎖可変領域には3つのCDRがある(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)。所与のCDRの正確なアミノ酸配列境界は、Kabat et al. (1991), "Sequences of Proteins of Immunological Interest," 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD(「Kabat」番号付けスキーム)、Al-Lazikani et al., (1997) JMB 273,927-948(「Chothia」番号付けスキーム)に記載されたもの、またはそれらの組み合わせを含む、いくつかの周知のスキームのいずれかを用いて決定することができる。Kabat番号付けスキームの下では、いくつかの態様において、重鎖可変ドメイン(VH)内のCDRアミノ酸残基は、31〜35(HCDR1)、50〜65(HCDR2)および95〜102(HCDR3)と番号が付けられる;かつ、軽鎖可変ドメイン(VL)内のCDRアミノ酸残基は、24〜34(LCDR1)、50〜56(LCDR2)および89〜97(LCDR3)と番号が付けられる。Chothia番号付けスキームの下では、いくつかの態様において、VH内のCDRアミノ酸は、26〜32(HCDR1)、52〜56(HCDR2)および95〜102(HCDR3)と番号が付けられる;かつ、VL内のCDRアミノ酸残基は、26〜32(LCDR1)、50〜52(LCDR2)および91〜96(LCDR3)と番号が付けられる。KabatとChothiaを組み合わせた番号付けスキームでは、いくつかの態様において、CDRは、Kabat CDR、Chothia CDR、またはその両方の一部であるアミノ酸残基に対応する。例えば、いくつかの態様において、CDRは、VH、例えば哺乳動物VH、例えばヒトVH内のアミノ酸残基26〜35(HCDR1)、50〜65(HCDR2)および95〜102(HCDR3);ならびにVL、例えば哺乳動物VL、例えばヒトVL内のアミノ酸残基24〜34(LCDR1)、50〜56(LCDR2)および89〜97(LCDR3)に対応する。
抗体または抗体そのフラグメントを含む本発明のCAR組成物の部分が、例えば、単一ドメイン抗体フラグメント(sdAb)、単鎖抗体(scFv)およびヒト化抗体またはヒト抗体を含む、抗原結合ドメインが連続したポリペプチド鎖の一部として発現される種々の形態で存在してもよい(Harlow et al., 1999, In: Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY;Harlow et al., 1989, In: Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York;Houston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883;Bird et al., 1988, Science 242:423-426)。1つの局面において、本発明のCAR組成物の抗原結合ドメインは抗体フラグメントを含む。さらなる局面において、CARは、scFvを含む抗体フラグメントを含む。
本明細書で用いる場合、「結合ドメイン」または「抗体分子」という用語(本明細書では「抗標的(例えば、GFRα4)結合ドメイン」)とも称する)は、少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むタンパク質、例えば、免疫グロブリン鎖またはそのフラグメントのことを指す。「結合ドメイン」または「抗体分子」という用語は、抗体および抗体フラグメントを範囲に含む。1つの態様において、抗体分子は多重特異性抗体分子であり、例えば、それは複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含み、ここで複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列のうち第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列は第1のエピトープに対する結合特異性を有し、複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列のうち第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列は第2のエピトープに対する結合特異性を有する。1つの態様において、多重特異性抗体分子は二重特異性抗体分子である。二重特異性抗体は、2種類以下の抗原に対する特異性を有する。二重特異性抗体分子は、第1のエピトープに対する結合特異性を有する第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列および第2のエピトープに対する結合特異性を有する第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列によって特徴づけられる。
本明細書で用いる「抗体重鎖」とは、天然に存在するコンフォメーションにあるすべての抗体分子中に存在する2種類のポリペプチド鎖のうち、大きい方のことを指す。
本明細書で用いる「抗体軽鎖」とは、天然に存在するコンフォメーションにあるすべての抗体分子中に存在する2種類のポリペプチド鎖のうち、小さい方のことを指す。κ軽鎖およびλ軽鎖とは、2つの主要な抗体軽鎖アイソタイプのことを指す。
本明細書で用いる「合成抗体」または「組換え抗体」とは、組換えDNA技術を用いて作製される抗体、例えば、本明細書に記載のバクテリオファージによって発現させた抗体のことを意味する。この用語はまた、抗体をコードするDNA分子の合成によって作製される抗体であって、そのDNA分子が抗体タンパク質またはその抗体を指定するアミノ酸配列を発現し、そのDNA配列またはアミノ酸配列が、利用可能であって当技術分野において周知であるDNA配列またはアミノ酸配列の合成技術を用いて得られたような抗体も意味するとみなされるべきである。
本明細書で用いる「抗原」または「Ag」という用語は、免疫応答を誘発する分子と定義される。この免疫応答には、抗体産生、または特異的免疫適格細胞の活性化のいずれかまたは両方が含まれうる。当業者は、事実上すべてのタンパク質またはペプチドを含む任意の高分子が抗原としての役を果たしうることを理解するであろう。その上、抗原が組換えDNAまたはゲノムDNAに由来してもよい。当業者は、免疫応答を惹起するタンパク質をコードするヌクレオチド配列または部分ヌクレオチド配列を含む任意のDNAが、それ故に、本明細書中でその用語が用いられる通りの「抗原」をコードすることを理解するであろう。その上、当業者は、抗原が遺伝子の完全長ヌクレオチド配列のみによってコードされる必要はないことも理解するであろう。本発明が複数の遺伝子の部分ヌクレオチド配列の使用を非限定的に含むこと、およびこれらのヌクレオチド配列が所望の免疫応答を惹起するさまざまな組み合わせで並べられていることは直ちに明らかである。さらに、当業者は、抗原が「遺伝子」によってコードされる必要が全くないことも理解するであろう。抗原を合成して作製することもでき、または生物試料から得ることもできることは直ちに明らかである。そのような生物試料には、組織試料、腫瘍試料、細胞または他の生物学的要素が含まれる液体が非限定的に含まれうる。
本明細書で用いる「抗腫瘍効果」という用語は、腫瘍体積の減少、腫瘍細胞の数の減少、転移の数の減少、期待余命の延長、または癌性病状に付随するさまざまな生理的症状の改善によって明らかになる生物学的効果のことを指す。「抗腫瘍効果」はまた、腫瘍のそもそもの発生を予防する、本発明のペプチド、ポリヌクレオチド、細胞および抗体の能力によっても明らかになる。
本明細書で用いる場合、「自己」という用語は、後にその個体に再び導入される、同じ個体に由来する任意の材料を指すものとする。
「同種」とは、同じ種の異なる動物に由来する移植片のことを指す。
「異種」とは、異なる種の動物に由来する移植片のことを指す。
本明細書で用いる「アフェレーシス」という用語は、当技術分野で認知されている体外プロセスのことを指す。ドナーまたは患者の血液をドナーまたは患者から取り出し、選択した特定の成分を分離して取り除く装置に通した上で、その残りを、例えば返血によってドナーまたは患者の循環血に戻す。このため、「アフェレーシス試料」に関連して、これはアフェレーシスを用いて得られた試料のことを指す。
「組み合わせ」という用語は、1つの単位剤形(dosage unit form)中での固定された組み合わせ、または、本発明の化合物と組み合わせパートナー(例えば、「治療薬」もしくは「併用剤(co-agent)」)とも称される、以下に説明する別の薬物)が独立して同時に投与されるか、もしくは特に時間間隔によってその組み合わせパートナーが協同効果、例えば相乗効果を示すことが可能になる時間間隔内で別々に投与される併用投与のいずれかのことを指す。単一の構成成分を1つのキット中にパッケージ化することもでき、または別々にパッケージ化することもできる。構成成分(例えば、粉末または液体)の一方または両方を、投与の前に再構成すること、または所望の用量に希釈することができる。
「同時投与」または「組み合わせ投与」などの用語は、本明細書において利用される場合、選択された組み合わせパートナーを、それを必要とする単一の対象(例えば、患者)に投与することを範囲に含み、かつ、複数の作用物質が必ずしも同じ投与経路によってまたは同時に投与されない治療レジメンを含むことを意図している。本明細書で用いる「医薬の組み合わせ」という用語は、複数の活性成分を混合することまたは組み合わせることに起因する生成物を意味し、これは活性成分の固定された組み合わせおよび固定されていない組み合わせの両方を含む。「固定された組み合わせ」という用語は、活性成分、例えば本発明の化合物および組み合わせパートナーが両方とも、単一の実体または製剤の形態で患者に同時に投与されることを意味する。「固定されていない組み合わせ」という用語は、活性成分、例えば本発明の化合物および組み合わせパートナーが両方とも、別々の実体として、特定の時間的制約を設けずに同時に、並行して、または逐次的のいずれかで患者に投与されることを意味し、ここでそのような投与は患者の体内で2種類の化合物の治療的有効レベルをもたらす。後者は、カクテル療法、例えば、3種類またはそれを上回る活性成分の投与に対しても適用される。
本明細書で用いる「癌」という用語は、異常細胞の急速かつ制御不能な増殖を特徴とする疾患と定義される。癌細胞は局所的に広がることもあれば、または血流およびリンパ系を通じて身体の他の部分に広がることもある。さまざまな癌の例には、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、皮膚癌、膵癌、結腸直腸癌、腎癌、肝臓癌、脳悪性腫瘍、リンパ腫、白血病、肺癌などが非限定的に含まれる。「腫瘍」および「癌」という用語は、本明細書において互換的に用いられ、例えば、いずれの用語も固形腫瘍および液性腫瘍、例えばびまん性腫瘍または循環性腫瘍を範囲に含む。本明細書で用いる場合、「癌」または「腫瘍」という用語には、前悪性ならびに悪性の癌および腫瘍が含まれる。ある態様において、癌は甲状腺髄様癌である。
「〜に由来する」は、この用語が本明細書で用いられる場合、第1の分子と第2の分子との間の関係を指し示す。これは一般に、第1の分子と第2の分子との間の構造的類似性のことを指し、第2の分子に由来する第1の分子に関するプロセスまたは供給源に対する限定を言外に意味するものでも含むものでもない。例えば、CD3ζ分子に由来する細胞内シグナル伝達ドメインの場合、細胞内シグナル伝達ドメインは、必要とされる機能、すなわち適切な条件下でシグナルを生成する能力を有するように、十分なCD3ζ構造を保っている。これは細胞内シグナル伝達ドメインを作製するプロセスに対する限定を言外に意味するものでも含むものでもなく、例えばこれは、細胞内シグナル伝達ドメインを得るために、CD3ζ配列から開始し、望まれない配列を欠失させるかまたは突然変異を加えて、細胞内シグナル伝達ドメインに到達しなければならないことを意味しない。
本明細書で用いる「GFRαの発現と関連する疾患」という語句は、例えば、癌もしくは悪性腫瘍もしくは前癌状態などの増殖性疾患;またはGFRαを発現する細胞と関連する非癌性関連適応症を含む、GFRαの発現と関連する疾患、またはGFRαを発現する細胞と関連する病状を非限定的に含む。1つの局面において、GFRαの発現と関連する癌は甲状腺髄様癌(MTC)である。GFRα発現の発現と関連するそのほかの疾患には、例えば、増殖性GFRαの発現と関連する非定型的および/または非古典的な癌、悪性腫瘍、前癌状態または疾患が非限定的に含まれる。GFRαの発現と関連する非癌性関連適応症も含まれうる。
本明細書で用いる場合、「保存的配列改変」という用語は、アミノ酸配列を含む抗体の結合特性に有意に影響することもそれを有意に変化させることもないアミノ酸改変を指すことを意図している。そのような保存的改変には、アミノ酸の置換、付加および欠失が含まれる。改変は、当技術分野において公知の標準的な手法、例えば部位特異的突然変異誘発およびPCR媒介性突然変異誘発などによって、本発明の抗体に導入することができる。保存的アミノ酸置換とは、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基によって置き換えられるもののことである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野において明確に定められている。これらのファミリーには、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β分枝側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。このため、本発明の抗体のCDR領域内の1つまたは複数のアミノ酸残基を、同じ側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基によって置き換えることができ、改変された抗体を、本明細書に記載の機能アッセイを用いて、GFRα4と結合する能力に関して試験することができる。
「刺激」という用語は、刺激分子(例えば、TCR/CD3複合体)がそのコグネイトリガンドと結合して、それにより、TCR/CD3複合体を介するシグナル伝達などの、ただしこれには限定されないシグナル伝達イベントを媒介することによって誘導される、一次応答のことを指す。刺激は、TGF-βのダウンレギュレーション、および/または細胞骨格構造の再構築などのような、ある特定の分子の発現の改変を媒介することができる。
「刺激分子」という用語は、T細胞シグナル伝達経路の少なくともいくつかの局面に関してTCR複合体の一次活性化を刺激様式で調節する一次細胞質シグナル伝達配列をもたらすT細胞によって発現される分子のことを指す。1つの局面において、一次シグナルは、例えば、TCR/CD3複合体とペプチドが負荷されたMHC分子との結合によって開始され、それは増殖、活性化、分化などを非限定的に含むT細胞応答の媒介につながる。刺激様式で作用する一次細胞質シグナル伝達配列(「一次シグナル伝達ドメイン」とも称する)は、免疫受容体チロシン活性化モチーフまたはITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含みうる。本発明において特に有用である、ITAMを含む一次細胞質シグナル伝達配列の例には、TCRζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b、CD278(「ICOS」としても知られる)、FcεRI、CD66d、DAP10、およびDAP12に由来するものが非限定的に含まれる。本発明の1つの具体的なCARにおいて、本発明の任意の1つまたは複数のCARSにおける細胞内シグナル伝達ドメインは、細胞内シグナル伝達配列、例えば、CD3-ζの一次シグナル伝達配列を含む。本発明の1つの具体的なCARにおいて、CD3-ζの一次シグナル伝達配列は、SEQ ID NO:9として提供される配列、または非ヒト種、例えばマウス、齧歯動物、サル、類人猿などに由来する同等の残基である。本発明の1つの具体的なCARにおいて、CD3-ζの一次シグナル伝達配列は、SEQ ID NO:10として提供される配列、または非ヒト種、例えばマウス、齧歯動物、サル、類人猿などに由来する同等の残基である。
「抗原提示細胞」または「APC」という用語は、主要組織適合複合体(MHC)と複合体化した外来性抗原をその表面に提示する、アクセサリー細胞(例えば、B細胞、樹状細胞など)などの免疫系細胞のことを指す。T細胞は、そのT細胞受容体(TCR)を用いてこれらの複合体を認識することができる。APCは抗原を処理して、それをT細胞に対して提示する。
「細胞内シグナル伝達ドメイン」とは、この用語を本明細書で用いる場合、分子の細胞内部分のことを指す。細胞内シグナル伝達ドメインは、CAR含有細胞、例えばCART細胞の免疫エフェクター機能を高めるシグナルを生成する。例えばCART細胞における、免疫エフェクター機能の例には、細胞溶解活性、およびサイトカインの分泌を含むヘルパー活性が含まれる。複数の態様において、細胞内シグナルドメインは、エフェクター機能シグナルを伝達して、細胞が特化した機能を遂行するように導く。細胞内シグナル伝達ドメインの全体を使用することもできるが、多くの場合には、その鎖全体を用いることは必要でない。細胞内シグナル伝達ドメインの短縮部分を用いる範囲内において、そのような短縮部分は、それがエフェクター機能シグナルを伝達する限り、インタクトな鎖の代わりに用いることができる。細胞内シグナル伝達ドメインという用語は、それ故に、それ故に、エフェクター機能シグナルを伝達するのに十分な、細胞内シグナル伝達ドメインの任意の短縮部分を含む。
1つの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次細胞内シグナル伝達ドメインを含みうる。例示的な一次細胞内シグナル伝達ドメインには、一次刺激または抗原依存的刺激を担う分子に由来するものが含まれうる。1つの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、共刺激細胞内ドメインを含みうる。例示的な共刺激細胞内シグナル伝達ドメインには、共刺激シグナルまたは抗原非依存的刺激を担う分子に由来するものが含まれる。例えば、CARTの場合、一次細胞内シグナル伝達ドメインはT細胞受容体の細胞質配列を含むことができ、共刺激細胞内シグナル伝達ドメインは共受容体または共刺激分子由来の細胞質配列を含むことができる。
一次細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫受容体チロシン活性化モチーフまたはITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含みうる。ITAMを含む一次細胞質シグナル伝達配列の例には、CD3ζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b、CD278(「ICOS」としても知られる)、FcεRI、CD66d、DAP10、およびDAP12に由来するものが非限定的に含まれる。
「ζ」または代替的には「ζ鎖」、「CD3-ζ」もしくは「TCR-ζ」という用語は、GenBanアクセッション番号BAG36664.1として提供されるタンパク質、または非ヒト種、例えばマウス、齧歯動物、サル、類人猿などに由来する同等の残基として定義され、「ζ刺激ドメイン」または代替的には「CD3-ζ刺激ドメイン」もしくは「TCR-ζ刺激ドメイン」は、T細胞活性化のために必要な初期シグナルを機能的に伝達するのに十分な、ζ鎖の細胞質ドメイン由来のアミノ酸残基と定義される。1つの局面において、ζの細胞質ドメインは、GenBankアクセッション番号BAG36664.1の残基52から164まで、またはその機能的オルソログである、非ヒト種、例えばマウス、齧歯動物、サル、類人猿などに由来する同等の残基を含む。1つの局面において、「ζ刺激ドメイン」または「CD3-ζ刺激ドメイン」は、SEQ ID NO:9として提供される配列である。1つの局面において、「ζ刺激ドメイン」または「CD3-ζ刺激ドメイン」はSEQ ID NO:10として提供される配列である。
「共刺激分子」という用語は、共刺激リガンドに特異的に結合し、それによって、増殖などの、ただしこれに限定されないT細胞による共刺激応答を媒介する、T細胞上のコグネイト結合パートナーのことを指す。共刺激分子とは、効率的な免疫応答のために必要とされる、抗原受容体またはそのリガンド以外の細胞表面分子のことである。共刺激分子には、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達性リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、OX40、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、4-1BB(CD137)、B7-H3、CDS、ICAM-1、ICOS(CD278)、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、およびCD83と特異的に結合するリガンドが非限定的に含まれる。
共刺激細胞内シグナル伝達ドメインとは、共刺激分子の細胞内部分のことを指す。
細胞内シグナル伝達ドメインは、それが由来する分子の細胞内部分の全体、またはネイティブ性細胞内シグナル伝達ドメインの全体、またはそれらの機能的フラグメントを含みうる。
「4-1BB」という用語は、GenBankアクセッション番号AAA62478.2として提供されるアミノ酸配列、または非ヒト種、例えばマウス、齧歯動物、サル、類人猿などに由来する同等の残基を有する、TNFRスーパーファミリーのメンバーのことを指す;「4-1BB共刺激ドメイン」は、GenBankアクセッション番号AAA62478.2のアミノ酸残基214〜255、または非ヒト種、例えばマウス、齧歯動物、サル、類人猿などに由来する同等の残基として定義される。1つの局面において、「4-1BB共刺激ドメイン」は、SEQ ID NO:7として提供される配列、または非ヒト種、例えばマウス、齧歯動物、サル、類人猿などに由来する同等の残基である。
「共刺激リガンド」には、この用語が本明細書で用いられる場合、T細胞上のコグネイト共刺激分子と特異的に結合し、それにより、例えば、ペプチドが負荷されたMHC分子のTCR/CD3複合体への結合によって与えられる一次シグナルに加えて、増殖、活性化、分化などを非限定的に含むT細胞応答を媒介するシグナルも与えることのできる、抗原提示細胞(例えば、aAPC、樹状細胞、B細胞など)上の分子が含まれる。共刺激リガンドには、CD7、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、PD-L1、PD-L2、4-1BBL、OX40L、誘導性共刺激リガンド(ICOS-L)、細胞内接着分子(ICAM)、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA-G、MICA、MICB、HVEM、リンホトキシンβ受容体、3/TR6、ILT3、ILT4、HVEM、Tollリガンド受容体に結合するアゴニストまたは抗体、およびB7-H3に特異的に結合するリガンドが非限定的に含まれる。共刺激リガンドはまた、とりわけ、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3などの、ただしこれらに限定されない、T細胞上に存在する共刺激分子に特異的に結合する抗体、およびCD83に特異的に結合するリガンドも包含する。
「免疫エフェクター細胞」とは、この用語が本明細書で用いられる場合、免疫応答に、例えば、免疫エフェクター応答の促進に関与する細胞のことを指す。免疫エフェクター細胞の例には、T細胞、例えば、α/β T細胞およびγ/δ T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、マスト細胞、および骨髄球由来貪食細胞が含まれる。
「免疫エフェクター機能または免疫エフェクター応答」とは、この用語が本明細書で用いられる場合、標的細胞の免疫攻撃を強化または促進する、例えば、免疫エフェクター細胞の機能または応答のことを指す。例えば、免疫エフェクター機能または応答とは、標的細胞の死滅を促進するか、または標的細胞の成長もしくは増殖を阻害する、T細胞またはNK細胞の特性のことを指す。T細胞の場合には、一次刺激および共刺激が免疫エフェクター機能または応答の例である。
「調節不全の(dysregulated)」という用語は、GFRα4の発現または活性のレベルに関連して用いられる場合、他の点では同一な健常動物、生物、組織、細胞またはそれらの構成要素におけるGFRα4の発現レベルまたは活性とは異なる、発現または活性のレベルのことを指す。「調節不全の」という用語はまた、他の点では同一な健常動物、生物、組織、細胞またはそれらの構成要素における調節と比較して、GFRα4の発現および活性のレベルに対する調節が改変されていることも指す。
「エフェクター機能」という用語は、細胞の特化した機能のことを指す。例えば、T細胞のエフェクター機能は、細胞溶解活性、またはサイトカインの分泌を含むヘルパー活性であろう。
「コードする」とは、所定のヌクレオチド配列(すなわち、rRNA、tRNAおよびmRNA)または所定のアミノ酸配列のいずれか、およびそれに起因する生物学的特性を有する、生物過程において他のポリマーおよび高分子の合成のためのテンプレートとして働く、遺伝子、cDNAまたはmRNAなどのポリヌクレオチド中の特定のヌクレオチド配列の固有の特性のことを指す。すなわち、遺伝子は、その遺伝子に対応するmRNAの転写および翻訳によって細胞または他の生体系においてタンパク質が産生される場合、そのタンパク質をコードする。mRNA配列と同一であって通常は配列表として提示されるヌクレオチド配列を有するコード鎖と、遺伝子またはcDNAの転写のためのテンプレートとして用いられる非コード鎖の両方を、タンパク質、またはその遺伝子もしくはcDNAの他の産物をコードすると称することができる。
別に指定する場合を除き、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」には、相互に縮重型であって、かつ同じアミノ酸配列をコードする、すべてのヌクレオチド配列が含まれる。タンパク質およびRNAをコードするヌクレオチド配列は、イントロンを含んでもよい。
「有効量」または「治療的有効量」は、本明細書において互換的に用いられ、特定の生物学的結果を達成するために有効な、本明細書に記載するような化合物、製剤、材料または組成物の量のことを指す。そのような結果には、当技術分野における好適な任意の手段によって判定される、ウイルス感染の阻害が非限定的に含まれうる。
本明細書で用いる場合、「内因性」とは、生物体、細胞、組織もしくは系に由来するか、またはその内部で産生される任意の材料のことを指す。
本明細書で用いる場合、「外因性」という用語は、生物体、細胞、組織もしくは系に導入されるか、またはそれらの外部で産生される任意の材料のことを指す。
本明細書で用いる「発現」という用語は、そのプロモーターによって作動する特定のヌクレオチド配列の転写および/または翻訳と定義される。
「発現ベクター」とは、発現させようとするヌクレオチド配列と機能的に連結した発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターのことを指す。発現ベクターは、発現のために十分なシス作用エレメントを含む;発現のための他のエレメントは、宿主細胞によって、またはインビトロ発現系において供給されうる。発現ベクターには、組換えポリヌクレオチドを組み入れたコスミド、プラスミド(例えば、裸のもの、またはリポソーム中に含まれるもの)およびウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)といった、当技術分野において公知であるすべてのものが含まれる。
「移入ベクター」という用語は、単離された核酸を含みかつその単離された核酸を細胞の内部に送達するために用いることができる組成物のことを指す。直鎖状ポリヌクレオチド、イオン性または両親媒性化合物と結合したポリヌクレオチド、プラスミド、およびウイルスを非限定的に含む数多くのベクターが、当技術分野において公知である。したがって、「移入ベクター」という用語は、自律複製性プラスミドまたはウイルスを含む。この用語はまた、細胞内への核酸の移入を容易にする非プラスミド性および非ウイルス性の化合物、例えばポリリジン化合物、リポソームなども含むと解釈されるべきである。ウイルス移入ベクターの例には、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターなどが非限定的に含まれる。
「レンチウイルス」という用語は、レトロウイルス科(Retroviridae)の属の一つを指す。レンチウイルスは、非分裂細胞に感染しうるという点でレトロウイルスの中で独特である;それらはかなりの量の遺伝情報を宿主細胞のDNA中に送達することができ、それ故にそれらは遺伝子送達ベクターの最も効率的な方法の1つである。HIV、SIVおよびFIVはすべて、レンチウイルスの例である。
「レンチウイルスベクター」という用語は、Milone et al., Mol. Ther. 17(8): 1453-1464 (2009)に提示されているような自己不活性化レンチウイルスベクターを特に含む、レンチウイルスゲノムの少なくとも一部分に由来するベクターのことを指す。臨床の場で用いうるレンチウイルスベクターの他の例には、例えば、Oxford BioMedicaによるLENTIVECTOR(登録商標)遺伝子送達技術、LentigenによるLENTIMAX(商標)ベクターシステムなどが非限定的に含まれる。非臨床的な種類のレンチウイルスベクターも利用可能であり、当業者には公知であると考えられる。
「相同な」とは、本明細書で用いる場合、2つの重合体分子の間、例えば、2つのDNA分子もしくは2つのRNA分子などの2つの核酸分子の間、または2つのポリペプチド分子の間のサブユニット配列同一性のことを指す。2つの分子の両方において、あるサブユニット位置が同じ単量体サブユニットで占められているならば;例えば、2つのDNA分子のそれぞれにおいて、ある位置がアデニンによって占められているならば、それらはその位置で相同である。2つの配列間の相同性は、一致するかまたは相同な位置の数の直接的な関数である;例えば、2つの配列における位置の半分(例えば、長さが10サブユニットである重合体における5つの位置)が相同であるならば、2つの配列は50%相同である;位置の90%(例えば、10のうち9)が一致するかまたは相同であるならば、2つの配列は90%相同である。
「ヒト化」型の非ヒト(例えば、マウス)抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含む、キメラ性の免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはそれらのフラグメント(Fv、Fab、Fab'、F(ab')2または抗体の他の抗原結合性部分配列など)である。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性および能力を有する、マウス、ラットまたはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDR由来の残基によって置き換えられている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられる。その上、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも移入されたCDR配列またはフレームワーク配列のいずれにも認められない残基も含みうる。これらの改変は、抗体の性能をさらに精緻化し、最適化するために加えられる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含むと考えられ、ここでCDR領域のすべてまたは実質的にすべては非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FRのすべてまたは実質的にすべてはヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は最適には、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分、典型的にはヒト免疫グロブリンの少なくとも一部分も含むと考えられる。これ以上の詳細については、Jones et al., Nature, 321: 522-525, 1986;Reichmann et al., Nature, 332: 323-329, 1988;Presta, Curr. Op. Struct. Biol., 2: 593-596, 1992を参照されたい。
「完全ヒト」とは、分子全体がヒト由来であるか、またはヒト型の抗体と同一なアミノ酸配列からなる、抗体などの免疫グロブリンのことを指す。
本明細書で用いる場合、「説明材料(instructional material」には、本発明の組成物および方法の有用性を伝えるために用いうる、刊行物、記録、略図または他の任意の表現媒体が含まれる。本発明のキットの説明材料は、例えば、本発明の核酸、ペプチドおよび/もしくは組成物を含む容器に添付してもよく、または核酸、ペプチドおよび/もしくは組成物を含む容器と一緒に出荷してもよい。または、説明材料および化合物がレシピエントによって一体として用いられることを意図して、説明材料を容器と別に出荷してもよい。
本明細書で用いる「同一性」とは、2つの重合体分子の間、特に2つのアミノ酸分子の間、例えば2つのポリペプチド分子の間などのサブユニット配列同一性のことを指す。2つのアミノ酸配列が同じ位置に同じ残基を有するならば;例えば、2つのポリペプチド分子のそれぞれにおいて、ある位置がアルギニンによって占められているならば、それらはその位置で同一である。同一性、または2つのアミノ酸配列がアラインメントにおいて同じ位置に同じ残基を有する程度は、多くの場合、パーセンテージとして表される。2つのアミノ酸配列間の同一性は、一致するかまたは同一な位置の数の直接的な関数である;例えば、2つの配列における位置の半分(例えば、長さが10アミノ酸である重合体における5つの位置)が同一であるならば、2つの配列は50%同一である;位置の90%(例えば、10のうち9)が一致するかまたは同一であるならば、2つのアミノ酸配列は90%同一である。
「単離された」とは、天然の状態から変更されるかまたは取り出されたことを意味する。例えば、生きた動物に天然に存在する核酸またはペプチドは「単離されて」いないが、その天然の状態で共存する物質から部分的または完全に分離された同じ核酸またはペプチドは、「単離されて」いる。単離された核酸またはタンパク質は、実質的に精製された形態で存在することもでき、または例えば宿主細胞などの非ネイティブ性環境で存在することもできる。
本発明に関連して、一般的に存在する核酸塩基に関しては以下の略語を用いる。「A」はアデノシンのことを指し、「C」はシトシンのことを指し、「G」はグアノシンのことを指し、「T」はチミジンのことを指し、「U」はウリジンのことを指す。
別に指定する場合を除き、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」には、相互に縮重型であって、同じアミノ酸配列をコードする、すべてのヌクレオチド配列が含まれる。タンパク質またはRNAをコードするヌクレオチド配列という語句には、タンパク質をコードするヌクレオチド配列が一部の型においてイントロンを含みうる限り、イントロンも含まれうる。
本明細書で用いる場合、「GDNFファミリー受容体α4」および「GFRα4」という用語は互換的に用いられ、ヒトGFRα4の変異体、アイソフォームおよび種ホモログを含む。GFRα4のアイソフォームにはGFRα4aおよびGFRα4bが含まれる。したがって、本開示のヒト抗体は、ある場合には、ヒト以外の種由来のGFRα4と交差反応する。ある態様において、抗体は1つまたは複数のヒトGFRα4タンパク質に対して完全に特異的であってよく、種交差反応性も、他の種類の非ヒト交差反応性も、示さないと考えられる。例示的なヒトGFRα4の全アミノ酸配列は、Genbank/NCBIアクセッション番号:NM_022139を有する。
「機能的に連結した」という用語は、調節配列と異種核酸配列との間の、後者の発現を結果的にもたらす機能的連結のことを指す。例えば、第1の核酸配列が第2の核酸配列との機能的関係の下で配置されている場合、第1の核酸配列は第2の核酸配列と機能的に連結している。例えば、プロモーターがコード配列の転写または発現に影響を及ぼすならば、プロモーターはコード配列と機能的に連結している。一般に、機能的に連結したDNA配列は連続しており、2つのタンパク質コード領域を連結することが必要な場合には、同一のリーディングフレーム内にある。
免疫原性組成物の「非経口的」投与には、例えば、皮下(s.c.)、静脈内(i.v.)、筋肉内(i.m.)または胸骨内の注射法または輸注法が含まれる。
本明細書で用いる「核酸」または「ポリヌクレオチド」という用語は、一本鎖または二本鎖のいずれかの形態にある、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)およびそれらの重合体のことを指す。特に限定しない限り、この用語は、参照核酸と類似の結合特性を有し、かつ天然に存在するヌクレオチドと類似の様式で代謝される、天然ヌクレオチドの公知の類似体を含む核酸を範囲に含む。本明細書で用いる場合、ポリヌクレオチドには、組換え手段、すなわち通常のクローニング技術およびPCR(商標)などを用いた組換えライブラリーまたは細胞ゲノムからの核酸配列のクローニング、および合成手段を非限定的に含む、当技術分野において利用可能である任意の手段によって得られる、すべての核酸配列が非限定的に含まれる。特に指定がない限り、特定の核酸配列は、明示的に示された配列のほかに、保存的に改変されたその変異体(例えば、縮重コドン置換物)、アレル、オルソログ、SNP、および相補的配列も暗に範囲に含む。具体的には、縮重コドン置換物は、1つまたは複数の選択された(またはすべての)コドンの第3の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基によって置換された配列を作製することによって実現することができる(Batzer et al., Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991);Ohtsuka et al., J. Biol. Chem. 260:2605-2608 (1985);およびRossolini et al., Mol. Cell. Probes 8:91-98 (1994))。
本明細書で用いる場合、「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は互換的に用いられ、ペプチド結合によって共有結合したアミノ酸残基で構成される化合物のことを指す。タンパク質またはペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含まなくてはならず、タンパク質またはペプチドの配列を構成しうるアミノ酸の最大数に制限はない。ポリペプチドには、ペプチド結合によって相互に結合した2つまたはそれ以上のアミノ酸を含む任意のペプチドまたはタンパク質が含まれる。本明細書で用いる場合、この用語は、例えば、当技術分野において一般的にはペプチド、オリゴペプチドおよびオリゴマーとも称される短鎖、ならびに当技術分野において一般にタンパク質と称される長鎖の両方のことを指し、それらには多くの種類がある。「ポリペプチド」には、いくつか例を挙げると、例えば、生物学的活性断片、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモダイマー、ヘテロダイマー、ポリペプチドの変異体、修飾ポリペプチド、誘導体、類似体、融合タンパク質が含まれる。ポリペプチドには、天然ペプチド、組換えペプチド、合成ペプチド、またはこれらの組み合わせが含まれる。
本明細書で用いる「プロモーター」という用語は、ポリヌクレオチド配列の特異的転写を開始させるために必要な、細胞の合成機構または導入された合成機構によって認識されるDNA配列と定義される。
本明細書で用いる場合、「プロモーター/調節配列」という用語は、プロモーター/調節配列と機能的に連結した遺伝子産物の発現のために必要とされる核酸配列を意味する。ある場合には、この配列はコアプロモーター配列であってよく、また別の場合には、この配列が、遺伝子産物の発現に必要とされるエンハンサー配列および他の制御エレメントをも含んでもよい。プロモーター/制御配列は、例えば、組織特異的な様式で遺伝子産物を発現させるものであってもよい。
「構成性」プロモーターとは、遺伝子産物をコードするかまたは特定するポリヌクレオチドと機能的に連結された場合に、細胞のほとんどまたはすべての生理学的条件下で、その遺伝子産物が細胞内で産生されるようにするヌクレオチド配列のことである。
「誘導性」プロモーターとは、遺伝子産物をコードするかまたは特定するポリヌクレオチドと機能的に連結された場合に、実質的にはそのプロモーターに対応する誘導物質が細胞内に存在する場合にのみ、その遺伝子産物が細胞内で産生されるようにするヌクレオチド配列のことである。
「組織特異的」プロモーターとは、遺伝子産物をコードするかまたは特定するポリヌクレオチドと機能的に連結された場合に、実質的には細胞がそのプロモーターに対応する組織型の細胞である場合にのみ、その遺伝子産物が細胞内で産生されるようにするヌクレオチド配列のことである。
「柔軟なポリペプチドリンカー」または「リンカー」という用語は、scFvに関連して用いられる場合、可変重鎖領域と可変軽鎖領域を一つに連結するために単独でまたは組み合わせて用いられる、グリシンおよび/またはセリン残基などのアミノ酸からなるペプチドリンカーのことを指す。1つの態様において、柔軟なポリペプチドリンカーはGly/Serリンカーであり、アミノ酸配列(Gly-Gly-Gly-Ser)n(SEQ ID NO:38)を含み、ここでnは1に等しいかまたはそれよりも大きい正の整数である。例えば、n=1、n=2、n=3、n=4、n=5およびn=6、n=7、n=8、n=9およびn=10である。1つの態様において、柔軟なポリペプチドリンカーには、(Gly4 Ser)4(SEQ ID NO:27)または(Gly4 Ser)3(SEQ ID NO:28)が非限定的に含まれる。もう1つの態様において、リンカーには、(Gly2Ser)、(GlySer)または(Gly3Ser)(SEQ ID NO:29)の複数の繰り返しが含まれる。また、参照により本明細書に組み入れられるWO 2012/138475号に記載されたリンカーも、本発明の範囲に含まれる。
本明細書で用いる場合、5'キャップ(RNAキャップ、RNA 7-メチルグアノシンキャップまたはRNA m7Gキャップとも名付けられている)とは、転写開始直後に真核生物メッセンジャーRNAの「前方」または5'末端に付加される修飾グアニンヌクレオチドのことである。5'キャップは、第1の転写ヌクレオチドに連結された末端基からなる。その存在は、リボソームによる認識およびRNアーゼからの保護のために非常に重要である。キャップ付加は転写と連動しており、互いに影響し合うように転写と同時に起こる。転写開始直後に、合成されたmRNAの5'末端は、RNAポリメラーゼに付随するキャップ合成複合体による結合を受ける。この酵素複合体はmRNAキャッピングのために必要とされる化学反応を触媒する。合成は多段階生化学反応として進行する。キャッピングモイエティーを改変することにより、その安定性または翻訳の効率といったmRNAの機能をモジュレートすることができる。
本明細書で用いる場合、「インビトロ転写されたRNA」とは、インビトロで合成されたRNA、好ましくはmRNAのことを指す。一般に、インビトロ転写されたRNAはインビトロ転写ベクターから生成される。インビトロ転写ベクターは、インビトロ転写されたRNAを生成するために用いられるテンプレートを含む。
本明細書で用いる場合、「ポリ(A)」は、ポリアデニル化によってmRNAに結びつけられた一連のアデノシンのことである。一過性発現のための構築物の好ましい態様において、ポリAは50〜5000(SEQ ID NO:30)であり、好ましくは64を上回り、より好ましくは100を上回り、最も好ましくは300または400を上回る。ポリ(A)配列を化学的または酵素的に改変することにより、局在、安定性または翻訳の効率といったmRNAの機能をモジュレートすることができる。
本明細書で用いる場合、「ポリアデニル化」とは、ポリアデニリルモイエティーまたはその改変変異体のメッセンジャーRNA分子に対する共有結合のことを指す。真核生物において、ほとんどのメッセンジャーRNA(mRNA)分子は3'末端でポリアデニル化されている。3'ポリ(A)尾部は、ポリアデニル酸ポリメラーゼという酵素の作用によってプレ-mRNAに付加されたアデニンヌクレオチド(多くの場合は数百個)の長い配列である。高等真核生物では、ポリ(A)尾部は、特異的配列であるポリアデニル化シグナルを含む転写物に対して付加される。ポリ(A)尾部およびそれに結合したタンパク質は、エキソヌクレアーゼによる分解からmRNAを保護する一助となる。ポリアデニル化は、転写終結、核からのmRNAの輸出、および翻訳のためにも重要である。ポリアデニル化は、DNAのRNAへの転写直後に核で起こるが、さらに細胞質中でも後に生じることがある。転写が終結した後に、mRNA鎖は、RNAポリメラーゼが付随するエンドヌクレアーゼ複合体の作用によって切断される。切断部位は通常、切断部位付近に塩基配列AAUAAAが存在することを特徴とする。mRNAが切断された後に、アデノシン残基が切断部位の遊離3'末端に付加される。
本明細書で用いる場合、「一過性」とは、数時間、数日または数週間の期間にわたる非組込み導入遺伝子の発現のことを指し、ここで発現の期間は、ゲノム中に組み込まれるか、または宿主細胞内の安定なプラスミドレプリコン内に含められた場合の遺伝子の発現期間よりも短い。
本明細書で用いる場合、「治療する」、「治療」および「治療すること」という用語は、1つまたは複数の治療法(例えば、本発明のCARなどの1つまたは複数の治療薬)の施与によってもたらされる、増殖性障害の進行、重症度および/もしくは持続期間の軽減もしくは改善、または増殖性障害の1つもしくは複数の症状(好ましくは、1つまたは複数の識別可能な症状)の改善のことを指す。具体的な態様において、「治療する」、「治療」および「治療すること」という用語は、必ずしも患者によって識別可能ではない、増殖性障害の少なくとも1つの測定可能な物理的パラメーター、例えば腫瘍の増殖などの改善のことを指す。他の態様において、「治療する」、「治療」および「治療すること」という用語は、例えば識別可能な症状の安定化によって理学的に、例えば物理的パラメーターの安定化によって生理的に、またはその両方によって、増殖性障害の進行を阻害することを指す。他の態様において、「治療する」、「治療」および「治療すること」という用語は、腫瘍サイズまたは癌性細胞数の減少または安定化のことを指す。
「シグナル伝達経路」とは、細胞の1つの部分から細胞の別の部分へのシグナルの伝達に役割を果たす種々のシグナル伝達分子間の生化学的関係のことを指す。「細胞表面受容体」という語句は、シグナルを受け取って、細胞の原形質膜を越えてシグナルを伝達することができる分子および分子の複合体のことを指す。「細胞表面受容体」の一例はヒトGFRα4である。
「単鎖抗体」とは、抗体のFv領域を単一のポリペプチドとしてまとめ直すために、人工的に作製したある長さのアミノ酸を用いて、免疫グロブリンの重鎖フラグメントおよび軽鎖フラグメントが互いに連結される、組換えDNA手法によって形成される抗体のことを指す。単鎖抗体を作製するためのさまざまな方法が公知であり、それには米国特許第4,694,778号;Bird (1988) Science 242:423-442;Huston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883;Ward et al. (1989) Nature 334:54454;Skerra et al. (1988) Science 242:1038-1041に記載されたものが含まれる。
「対象」という用語は、免疫応答を誘発することができる生体(例えば、哺乳動物)を含むことを意図している。「対象」または「患者」は、その中で用いる場合、ヒトまたは非ヒト哺乳動物であってよい。非ヒト哺乳動物には、例えば、家畜および愛玩動物、例えばヒツジ、ウシ科動物、ブタ、イヌ科動物、ネコ科動物およびネズミ科の哺乳動物などが含まれる。好ましくは、対象はヒトである。
本明細書で用いる場合、「実質的に精製された」細胞とは、他の細胞型を本質的に含まない細胞のことである。また、実質的に精製された細胞とは、その天然の状態に本来付随する他の細胞型から分離された細胞のことも指す。場合によっては、実質的に精製された細胞の集団とは、均一な細胞集団のことを指す。また別の場合には、この用語は、単に、天然の状態において本来付随する細胞から分離された細胞のことを指す。いくつかの態様において、細胞はインビトロで培養される。他の態様において、細胞はインビトロでは培養されない。
本明細書で用いる「治療的」という用語は、治療および/または予防処置のことを意味する。治療効果は、疾病状態の抑制、寛解または根絶によって得られる。
本明細書で用いる「予防的」という用語は、疾患または疾患状態に対する予防または防御的処置を意味する。
本明細書で用いる「トランスフェクトされた」または「形質転換された」または「形質導入された」という用語は、外因性核酸が宿主細胞内に移入または導入される過程のことを指す。「トランスフェクトされた」または「形質転換された」または「形質導入された」細胞とは、外因性核酸をトランスフェクトされた、外因性核酸によって形質転換された、または外因性核酸を形質導入された細胞である。この細胞には初代対象細胞およびその子孫が含まれる。
本明細書で用いる「転写制御下」または「機能的に連結した」という語句は、プロモーターが、RNAポリメラーゼによる転写の開始およびポリヌクレオチドの発現を制御するために正しい位置および向きにあることを意味する。
「ベクター」とは、単離された核酸を含み、かつその単離された核酸を細胞の内部に送達するために用いうる組成物のことである。直鎖状ポリヌクレオチド、イオン性または両親媒性化合物と結合したポリヌクレオチド、プラスミドおよびウイルスを非限定的に含む数多くのベクターが、当技術分野において公知である。したがって、「ベクター」という用語は、自律複製性プラスミドまたはウイルスを含む。この用語は、例えばポリリジン化合物、リポソームなどのような、細胞内への核酸の移入を容易にする非プラスミド性および非ウイルス性の化合物も含むと解釈されるべきである。ウイルスベクターの例には、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターなどが非限定的に含まれる。
本明細書で用いる「特異的に結合する」という用語は、試料中に存在するコグネイト結合パートナー(例えば、T細胞上に存在する刺激分子および/または共刺激分子)タンパク質を認識してそれと結合する抗体またはリガンドが、試料中の他の分子を実質的に認識せず、それと結合することもないことを意味する。
「刺激」という用語は、刺激分子(例えば、TCR/CD3複合体)がそのコグネイトリガンドと結合して、それにより、TCR/CD3複合体を介するシグナル伝達などの、ただしこれには限定されないシグナル伝達イベントを媒介することによって誘導される、一次応答のことを意味する。刺激は、TGF-βのダウンレギュレーション、および/または細胞骨格構造の再構築などのような、ある特定の分子の発現の改変を媒介することができる。
「刺激分子」とは、この用語が本明細書で用いられる場合、抗原提示細胞上および/または腫瘍細胞上に存在するコグネイト刺激リガンドに特異的に結合する、T細胞上の分子のことを意味する。
本明細書で用いる「刺激リガンド」は、抗原提示細胞(例えば、aAPC、樹状細胞、B細胞など)上または腫瘍細胞上に存在する場合に、T細胞上のコグネイト結合パートナー(本明細書では「刺激分子」と称する)と特異的に結合して、それにより、活性化、免疫応答の開始、増殖などを非限定的に含むT細胞による一次応答を媒介することができるリガンドのことを意味する。刺激リガンドは当技術分野において周知であり、とりわけ、ペプチドが負荷されたMHCクラスI分子、抗CD3抗体、スーパーアゴニスト抗CD28抗体、およびスーパーアゴニスト抗CD2抗体を範囲に含む。
本明細書で用いる「調節可能キメラ抗原受容体(RCAR)」とは、最も単純な態様において典型的には2ポリペプチドのセットのことを指し、これは、免疫エフェクター細胞にある時に、該細胞に対して、標的細胞、典型的には癌細胞に対する特異性、および調節可能な細胞内シグナルの生成をもたらす。いくつかの態様において、RCARは、少なくとも細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、ならびにCAR分子に関連して本明細書に定義したような刺激分子および/または共刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞質シグナル伝達ドメイン(本明細書では「細胞内シグナル伝達ドメイン」とも称する)を含む。いくつかの態様において、RCARにおけるポリペプチドのセットは互いに連続しておらず、例えば、異なるポリペプチド鎖の中にある。いくつかの態様において、RCARは、二量体化分子が存在すると、それらのポリペプチドを互いに結び合わせることができる、例えば、抗原結合ドメインを細胞内シグナル伝達ドメインと結び合わせることができる、二量体化スイッチを含む。いくつかの態様において、RCARは、本明細書に記載するような細胞(例えば、免疫エフェクター細胞)、例えば、RCAR発現細胞(本明細書では「RCARX細胞」とも称する)において発現される。1つの態様において、RCARX細胞はT細胞であり、RCART細胞と称される。1つの態様において、RCARX細胞はNK細胞であり、RCARN細胞と称される。RCARは、RCAR発現細胞に対して、標的細胞、典型的には癌細胞に対する特異性、およびRCAR発現細胞の免疫エフェクター特性を最適化しうる調節可能細胞内シグナルの生成または増殖をもたらす。複数の態様において、RCAR細胞は、抗原結合ドメインによる結合を受けた抗原を含む標的細胞に対する特異性を与えることを、少なくとも部分的には抗原結合ドメインに依拠している。
「膜アンカー」または「膜係留ドメイン」は、この用語が本明細書で用いられる場合、細胞外または細胞内ドメインを原形質膜につなぎ止めるのに十分なポリペプチドまたはモイエティー、例えば、ミリストイル基のことを指す。
「スイッチドメイン」は、この用語が、例えばRCARに言及する際に本明細書で用いられる場合、二量体化分子の存在下で、別のスイッチドメインと結合する実体、典型的にはポリペプチドを基にした実体のことを指す。この結合は、第1のスイッチドメインと連結された、例えば融合した第1の実体と、第2のスイッチドメインと連結された、例えば融合した第2の実体との機能的カップリングを生じさせる。第1および第2のスイッチドメインは、二量体化スイッチと総称される。複数の態様において、第1および第2のスイッチドメインは互いに同一であり、例えば、それらは同じ一次アミノ酸配列を有するポリペプチドであり、まとめてホモ二量体化スイッチと称される。複数の態様において、第1および第2のスイッチドメインは互いに異なり、例えば、それらは異なる一次アミノ酸配列を有するポリペプチドであり、まとめてヘテロ二量体化スイッチと称される。複数の態様において、スイッチは細胞内にある。複数の態様において、スイッチは細胞外にある。複数の態様において、スイッチドメインは、ポリペプチドを基にした実体であり、例えば、FKBPまたはFRBを基にしており、二量体化分子は小分子、例えばラパログ(rapalogue)である。複数の態様において、スイッチドメインはポリペプチドを基にした実体、例えば、mycペプチドと結合するscFvであり、二量体化分子はポリペプチド、そのフラグメント、またはポリペプチドの多量体、例えば、1つまたは複数のmyc scFvと結合する、mycリガンドまたはmycリガンドの多量体である。複数の態様において、スイッチドメインはポリペプチドを基にした実体、例えば、myc受容体であり、二量体化分子は抗体またはそのフラグメント、例えば、myc抗体である。
「二量体化分子」は、この用語が、例えばRCARに言及する際に本明細書で用いられる場合、第1のスイッチドメインと第2のスイッチドメインとの結合を促進する分子のことを指す。複数の態様において、二量体化分子は対象に天然には存在しないか、または顕著な二量体化を生じることになる濃度では存在しない。複数の態様において、二量体化分子は小分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えばRAD001である。
「生物学的に同等な」とは、参照化合物(例えば、RAD001)の参照用量または参照によって生じる結果と同等の効果を生じるために必要な、参照化合物(例えば、RAD001)以外の作用物質の量のことを指す。1つの態様において、効果は、例えば、インビボまたはインビトロのアッセイにおいて評価される、例えば、本明細書に記載のアッセイ、例えば、Boulayアッセイ、またはウエスタンブロットによるリン酸化S6レベルの測定によって測定される、例えば、P70 S6キナーゼ阻害によって測定される、mTOR阻害のレベルである。1つの態様において、効果は、細胞選別によって測定される、PD-1陽性T細胞/PD-1陰性T細胞の比の変化である。1つの態様において、mTOR阻害薬の生物学的に同等な量または用量は、参照化合物の参照用量または参照量と同じレベルのP70 S6キナーゼ阻害を達成する量または用量である。1つの態様において、mTOR阻害薬の生物学的に同等な量または用量は、参照化合物の参照用量または参照量と同じレベルのPD-1陽性T細胞/PD-1陰性T細胞比の変化を達成する量または用量である。
「不十分な免疫強化性用量」という用語は、mTOR阻害薬、例えば、アロステリックmTOR阻害薬、例えば、RAD001またはラパマイシンまたは触媒性mTOR阻害薬と組み合わせて用いられる場合、例えば、P70 S6キナーゼ活性の阻害による測定で、mTOR活性を部分的に阻害するが完全には阻害しない、mTOR阻害薬の用量のことを指す。例えばP70 S6キナーゼの阻害によって、mTOR活性を評価するための方法については、本明細書中で考察している。この用量は、完全な免疫抑制を生じさせるのには不十分であるが、免疫応答を強化するのには十分である。1つの態様において、mTOR阻害薬の不十分な免疫強化性用量は、PD-1陽性T細胞の数の減少および/もしくはPD-1陰性T細胞の数の増加、またはPD-1陰性T細胞/PD-1陽性T細胞の比の増大を生じさせる。1つの態様において、mTOR阻害薬の不十分な免疫強化性用量は、ナイーブT細胞の数の増加を生じさせる。1つの態様において、mTOR阻害薬の不十分な免疫強化性用量は、以下:
例えば、メモリーT細胞上、例えば、メモリーT細胞前駆体上での、以下のうち1つまたは複数のマーカーの発現の増加:CD62Lhigh、CD127high、CD27+、およびBCL2;
例えば、メモリーT細胞上、例えば、メモリーT細胞前駆体上での、KLRG1の発現の減少;ならびに
メモリーT細胞前駆体、例えば、以下の特徴のいずれか1つまたは組み合わせを有する細胞の数の増加:CD62Lhighの増加、CD127highの増加、CD27+の増加、KLRG1の減少、およびBCL2の増加;
のうち1つまたは複数を生じさせ、ここで上記の変化の任意のものは、例えば、未治療対象と比較して、例えば、少なくとも一過性に、起こる。
本明細書で用いる「難治性」とは、治療に反応しない疾患、例えば癌のことを指す。複数の態様において、難治性癌は、治療の前または治療の開始時に、治療に対して抵抗性でありうる。他の態様において、難治性癌は、治療の間に抵抗性になることがありうる。難治性癌は抵抗性癌とも呼ばれる。
本明細書で用いる「再発した」または「再発」とは、改善または反応の期間の後に、例えば、治療法、例えば癌治療法による前の治療の後に、疾患(例えば、癌)または疾患の徴候および症状が再出現することを指す。例えば、反応の期間は、癌細胞のレベルが、ある特定の閾値未満に、例えば、20%未満、1%未満、10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満に低下することを伴いうる。再出現は、癌細胞のレベルが、ある特定の閾値を上回って、例えば、20%を上回って、1%を上回って、10%を上回って、5%を上回って、4%を上回って、3%を上回って、2%を上回って、または1%を上回って上昇することを伴いうる。
範囲:本開示の全体を通じて、本発明のさまざまな局面を、範囲形式で提示することができる。範囲形式による記載は、単に便宜上かつ簡潔さのためであって、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定とみなされるべきではないことが理解される必要がある。したがって、ある範囲の記載は、その範囲内におけるすべての可能な部分的範囲とともに、個々の数値も具体的に開示されていると考慮されるべきである。例えば、1〜6などの範囲の記載は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6などの部分的範囲とともに、その範囲内の個々の数、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3および6も、具体的に開示されていると考慮されるべきである。これは範囲の幅広さとは関係なく適用される。
説明
1つの局面において、本発明は、GFRα4と特異的に結合する単離された抗体を提供する。ある態様において、本発明の抗体は、特定のアミノ酸配列を含むCDR領域といった特定の構造的特徴を含む。本発明はまた、そのような抗体を作製する方法にも関する。
1つの態様においては、GFRα4に対する単鎖可変フラグメント(scFv)を単離する目的でファージディスプレイライブラリーをスクリーニングするために、ヒトGFRα4のアミノ酸を含むペプチドを用いた。1つの特定の態様において、単離されたscFvは、GFRα4アイソフォーム「a」(SEQ ID NO:212)を標的とする。もう1つの態様において、単離されたscFvは、GFRα4アイソフォーム「b」(SEQ ID NO:213)を標的とする。
1つの態様において、本発明のscFv抗体は、生体試料におけるGFRα4の存在を診断するために用いることができる。1つの態様において、本発明のscFv抗体は、腫瘍細胞におけるGFRα4の存在を診断するために用いることができる。
1つの態様において、本発明のscFv抗体は、GFRα4の正常な発現または調節不全の発現と関連する疾患、障害または病状に対する治療法のために用いることができる。髄様癌細胞の表面上のGFRα4の発現のレベルは、正常な甲状腺C細胞上と同じであると見なすことができる。とは言うものの、異なる細胞型(例えば、副腎細胞、神経細胞)は、GFRα4調節不全の結果である病態を示すはずであることから、本発明は、病態を和らげるためにこれらの細胞を標的とするのに有用である可能性がある。
1つの態様において、本発明のscFv抗体は、GFRα4の正常な発現または調節不全の発現と関連する癌に対する癌治療法のために用いることができる。もう1つの態様において、本発明のscFv抗体は、甲状腺癌に対する癌治療法のために用いることができる。さらにもう1つの態様において、本発明のscFv抗体は、甲状腺髄様癌(MTC)に対する癌治療法のために用いることができる。
本発明は概して、GFRα4の発現と関連する癌を有するか、またはGFRα4の発現と関連する癌を有するリスクのある患者の、細胞注入を用いる治療に関する。1つの態様では、リンパ球注入、好ましくは自己リンパ球注入が治療に用いられる。もう1つの態様では、GFRα4の発現と関連する癌は甲状腺癌である。さらにもう1つの態様では、GFRα4の発現と関連する癌はMTCである。
1つの態様では、治療を必要とする患者から末梢血単核細胞(PBMC)を収集し、そこからのT細胞を本明細書に記載の方法を用いて操作して増やし、続いて患者に注入して戻した。もう1つの態様において、自己性または異種性のNK細胞またはNK細胞株を本明細書に記載の方法を用いて操作して増やし、続いて患者に注入して戻した。本発明は、特定の細胞または細胞型に限定されるべきではない。そうではなくて、あらゆる細胞または細胞型を、本明細書に記載の方法を用いて操作して増やし、続いて患者に注入して戻すことができる。
1つの態様において、本発明のscFv抗体は、細胞サイトトキシンに対してシス性での発現を可能にするベクター中にクローニングすることができる。scFv抗体と細胞サイトトキシンとの組み合わせは、それを必要とする患者への経動脈的注入のために用いることができる。
本発明の抗体は、イムノコンジュゲート、キメラ抗原受容体(CAR)、薬学的組成物などの中に組み入れることができる。1つの態様において、本発明のイムノコンジュゲートは、治療薬、例えば、サイトトキシンまたは放射性同位体であってよい。したがって、本発明は、数ある疾患の中でもとりわけ、GFRα4の発現が細胞表面上に発現される、癌またはあらゆる悪性腫瘍もしくは自己免疫疾患を治療するための組成物および方法を提供する。
本発明はまた、概して、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作された免疫エフェクター細胞、例えばT細胞またはNK細胞の使用にも関する。CARは、特異的抗体の抗原結合ドメインを、細胞内シグナル伝達分子と組み合わせている。例えば、細胞内シグナル伝達分子は、CD3-ζ鎖、4-1BBおよびCD28シグナル伝達モジュール、ならびにそれらの組み合わせを非限定的に含みうる。好ましくは、抗原結合ドメインは、GFRα4、例えば、GFRα4aまたはGFRα4bと結合する。場合によっては、抗原結合ドメインは、本明細書に記載の抗GFRα4抗体、例えば、抗体フラグメントまたはscFvを含む。したがって、本発明は、免疫エフェクター細胞、例えば、細胞またはNK細胞の中に人工的に導入されるGFRα4-CAR、および養子療法のためのその使用方法を提供する。
1つの態様において、本発明は、GFRα4 CAR導入遺伝子を含むベクターがトランスフェクトされた自己細胞を含む。好ましくは、ベクターはレトロウイルスベクターである。より好ましくは、ベクターは、本明細書中の他所に記載するような自己不活性化レンチウイルスベクターである。
1つの態様において、本発明のGFRα4-CAR T細胞は、GFRα4結合ドメイン、グリシン-セリンリンカーおよび膜貫通ドメイン、ならびにCD3ζシグナル伝達ドメインを含むレンチウイルスベクターを細胞に導入することによって作製することができる。もう1つの態様において、本発明のGFRα4-CAR T細胞は、GFRα4結合ドメイン、CD8αヒンジおよび膜貫通ドメイン、ならびにCD3ζシグナル伝達ドメインを細胞に導入することによって作製することができる。場合によっては、ベクターは、4-1BB、CD28のシグナル伝達ドメイン、またはその両方の組み合わせをさらに含む。これは、本発明が一部には、CARにより媒介されるT細胞応答を、共刺激ドメインの追加によってさらに強化することができるという発見に基づくためである。例えば、CD28シグナル伝達ドメインを含めることにより、CD28を発現するように操作されていない、他の点では同一なCAR T細胞と比較して、CAR T細胞の抗腫瘍活性およびインビボ存続性が有意に高まった。
1つの態様において、本発明のCAR改変T細胞はインビボで複製することが期待され、このことは、持続的な腫瘍制御につながりうる長期存続性をもたらす。
抗体
抗GFRα4抗体
本発明の抗体は、抗体の特定の機能的特徴または特性によって特徴づけられる。例えば、本抗体はヒトGFRα4と特異的に結合する。好ましくは、本発明の抗体は、GFRα4と高い親和性で結合する。好ましくは、本発明の抗体は、細胞上の天然に発現されるhGFRα4タンパク質を特異的に認識し、他の表面分子とは交差反応しない。
1つの態様において、本発明の抗体は、P4-6またはP4-10と名付けられたヒト抗体である。P4-6またはP4-10のVHアミノ酸配列は、それぞれSEQ ID NO:41および61に示されている(表2)。P4-6またはP4-10のVLアミノ酸配列は、それぞれSEQ ID NO:49および69に示されている(表2)。
1つの態様において、抗体は、以下の(a)から(b)までのいずれかにおけるSEQ ID NO:に示されたアミノ酸配列からなるCDR 1、2および3を有する重鎖可変領域(表2)を含む:
(a)SEQ ID NO:43、45および47(P4-6)、
(b)SEQ ID NO:63、65および67(P4-10)。
1つの態様において、抗体は、以下の(c)から(d)までのいずれかにおけるSEQ ID NO:に示されたアミノ酸配列からなるCDR 1、2および3を有する軽鎖可変領域(表2)を含む:
(c)SEQ ID NO:51、53および55(P4-6)、
(d)SEQ ID NO:71、73および75(P4-10)。
これらの抗体のそれぞれがGFRα4と結合することを考慮すると、VH配列およびVL配列を「混合およびマッチさせて」、本発明の他の抗GFRα4結合分子を作り出すことができる。そのような「混合およびマッチさせた」抗体のGFRα4結合は、当技術分野における、本明細書において例えば実施例の項に記載される結合アッセイ(例えば、ELISA)を用いて試験することができる。好ましくは、VH鎖およびVL鎖を混合およびマッチさせる場合には、特定のVH/VL対からのVH配列を、構造的に類似のVH配列によって置き換える。同様に、好ましくは、特定のVH/VL対からのVL配列を、構造的に類似のVL配列によって置き換える。1つまたは複数のVHおよび/またはVL CDR領域配列を、本明細書に開示されるCDR配列由来の構造的に類似の配列で置換することによって、新規なVH配列およびVL配列を作り出せることは当業者には直ちに明らかであろう。
1つの態様において、本発明は、P4-6およびP4-10の重鎖および軽鎖(CDR1、CDR2およびCDR3)、またはそれらの組み合わせを含む抗体を含む。1つの態様において、抗体は、P4-6およびP4-10の重鎖および/または軽鎖(CDR1、CDR2およびCDR3)またはそれらに対して実質的に同一な配列(例えば、5個、4個、3個、2個または1個の改変、例えば、保存的改変を有するCDR配列)を含む。
1つの態様において、本発明の抗体は、本明細書に記載の好ましい抗体のアミノ酸配列に対して実質的に同一なアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここで該抗体は、本発明の抗GFRα4抗体の所望の機能的特性を保っている。
例えば、本発明は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む単離された抗体、またはその抗原結合部分を含み、ここで:(a)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:41および61からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%または99%同一なアミノ酸配列を含み、(b)軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:49および69からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%または99%同一なアミノ酸配列を含む。
ある態様において、本発明の抗体は、CDR1配列およびCDR2配列を含む重鎖可変領域ならびにCDR1配列およびCDR2配列を含む軽鎖可変領域を含み、ここでこれらのCDR配列の1つまたは複数は、本明細書に記載の好ましい抗体(例えば、P4-6およびP4-10)に基づく特定のアミノ酸配列またはその保存的改変物を含み、これらの抗体は本発明の抗GFRα4抗体の所望の機能的特性を保っている。したがって、本発明は、CDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含む重鎖可変領域ならびにCDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域を含む単離された抗体(例えば、scFv)、またはその抗原結合部分を含み、ここで:(a)重鎖可変領域CDR3配列が、SEQ ID NO:43、45、47、63、65および67のアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列、ならびに1つまたは複数のその保存的改変物(例えば、30個、20個、10個またはそれ未満の保存的改変)を含み;(b)軽鎖可変領域CDR3配列が、SEQ ID NO:51、53、55、71、73および75のアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列、ならびに1つまたは複数のその保存的改変物、例えば、30個、20個、10個またはそれ未満の保存的改変)を含む。
もう1つの態様において、本発明は、本発明のGFRα4抗体のいずれかと同じヒトGFRα4上のエピトープと結合する抗体(すなわち、GFRα4に対する結合をめぐって、本発明の抗体のいずれかと交差競合する能力を有する抗体)を含む。1つの好ましい態様において、交差競合試験のための参照抗体は、本明細書に記載の抗体の1つ(例えば、P4-6およびP4-10)であってよい。例えば、Biacore分析、ELISAアッセイまたはフローサイトメトリーを用いて、本発明の抗体との交差競合を実証することができる。被験抗体が、ヒトGFRα4に対する、例えばP4-6およびP4-10の結合を阻害しうることにより、その被験抗体がヒトGFRα4に対する結合をめぐってP4-6およびP4-10と競合することができ、それ故にP4-6およびP4-10と同じヒトGFRα4上のエピトープと結合すると考えられることが実証される。
本発明の抗体は、本明細書において開示されるVH配列および/またはVL配列の1つまたは複数を有する抗体を、改変抗体を人工的に作製するための出発材料として用いて調製され、この改変抗体は、出発抗体と比較して改変された特性を有しうる。一方または両方の可変領域(すなわち、VHおよび/またはVL)内の、例えば、1つもしくは複数のCDR領域内および/または1つもしくは複数のフレームワーク領域内の1つまたは複数のアミノ酸を改変することによって、抗体を人工的に作製することができる。追加的または代替的に、例えば、抗体のエフェクター機能を変化させるために、定常領域内の残基を改変することによって、抗体を人工的に作製することもできる。
以下の表1は、GFRα4 scFVのアミノ酸配列およびヌクレオチド配列について、対応するSEQ ID NOを提示している。
(表1):抗GFRα4 scFVに関する配列識別子のまとめ
CDR、重鎖可変領域(VH)、軽鎖可変領域(VL)およびscFv配列に関するアミノ酸配列およびヌクレオチド配列を、以下の表に提示している。「NT」はヌクレオチド配列を示し、「AA」はアミノ酸配列を示す。
組換えヒト/ウサギFabのVH配列およびVL配列に由来するP4-6およびP4-10の単鎖抗体(scFv)構築物のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列。このscFv構築物では、重鎖可変領域および軽鎖可変領域がVH-リンカー-VLの位置にあり、リンカーは15アミノ酸のグリシン/セリンリッチペプチドをコードするヌクレオチドを含む。各ヌクレオチド配列は、CARプラスミド中への後のクローニングのために、制限部位(それぞれBamH1およびNhe1)で始まって終わる。ここに描写されたヌクレオチド配列はヒトコドン最適化の前のものである。それらは以下を含む:P4-6 scFv構築物のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:56および57);P4-6 scFv構築物のアミノ酸配列(SEQ ID NO:58および59);P4-10 scFv構築物のヌクレオチド配列(SEQ ID NO:76および77);および制限部位を有するおよび有しないP4-10 scFv構築物のアミノ酸配列(それぞれ、SEQ ID NO:78および79)。
ヒト化抗体
ヒトにおける抗体のインビボ使用のためには、ヒト抗体を用いることが好ましいと考えられる。ヒト対象の治療的処置のためには、完全ヒト抗体が特に望ましい。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを用いるファージディスプレイ法を、これらの手法の改良法と併せて含む、当技術分野において公知の種々の方法によって作製することができる。また、米国特許第4,444,887号および第4,716,111号;ならびにPCT公開WO 98/46645、WO 98/50433、WO 98/24893、WO 98/16654、WO 96/34096、WO 96/33735およびWO 91/10741も参照されたい;これらはそれぞれその全体が参照により本明細書に組み入れられる。また、ヒト抗体が、重鎖および軽鎖がヒトDNAの1つまたは複数の供給源に由来するヌクレオチド配列によってコードされている抗体であってもよい。
また、ヒト抗体を、機能的内因性免疫グロブリンを発現する能力はないがヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することはできるトランスジェニックマウスを用いて産生させることもできる。例えば、ヒトの重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体を、無作為に、または相同組換えによって、マウス胚性幹細胞に導入することができる。または、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子に加えて、ヒト可変領域、定常領域、および多様性領域をマウス胚性幹細胞に導入することもできる。マウス重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子は、相同組換えによるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入と別々または同時に、非機能性にすることができる。例えば、キメラマウスおよび生殖系列突然変異型マウスにおける抗体重鎖連結領域(JH)遺伝子のホモ接合性欠失は、内因性抗体産生の完全な阻害をもたらすことが記載されている。この改変された胚性幹細胞を増やし、胚盤胞に微量注入してキメラマウスを生じさせる。続いて、キメラマウスを交配させて、ヒト抗体を発現するホモ接合性子孫を生じさせる。トランスジェニックマウスに対して、通常の様式で、選択された抗原、例えば、本発明のポリペプチドの全体または一部分による免疫処置を行う。免疫処置を行ったトランスジェニックマウスから、ヒトGFRα4抗原を対象とする抗GFRα4抗体を、従来のハイブリドーマ技術を用いて入手することができる。トランスジェニックマウスによって保有されるヒト免疫グロブリン導入遺伝子はB細胞分化の際に再編成され、その後にクラススイッチおよび体細胞突然変異を起こす。したがって、そのような手法を用いて、IgG1(γ1)およびIgG3を非限定的に含む、治療的に有用なIgG、IgA、IgMおよびIgE抗体を産生させることが可能である。ヒト抗体を産生させるためのこの技術の概略については、Lonberg and Huszar(Int. Rev. Immunol, 13:65-93 (1995))を参照されたい。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を産生させるためのこの技術の詳細な考察、ならびにそのような抗体を産生させるためのプロトコールについては、例えば、PCT公開WO 98/24893、WO 96/34096およびWO 96/33735;ならびに米国特許第5,413,923号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,569,825号;第5,661,016号;第5,545,806号;第5,814,318号;および第5,939,598号も参照されたく、これらはそれぞれその全体が参照により本明細書に組み入れられる。加えて、Abgenix, Inc.(Freemont, Calif.)およびGenpharm(San Jose, Calif.)などの会社と、選択した抗原を対象とするヒト抗体を、上記のものに類似した技術を用いて得るための契約を結ぶこともできる。抗原負荷刺激によってヒト抗体の産生がもたらされると考えられる、生殖系列突然変異型マウスへのヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイの移入に関する具体的な考察については、例えば、Jakobovits et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:2551 (1993);Jakobovits et al., Nature, 362:255-258 (1993);Bruggermann et al., Year in Immunol, 7:33 (1993);およびDuchosal et al., Nature, 355:258 (1992)を参照されたい。
また、ヒト抗体を、ファージディスプレイライブラリーから導き出すこともできる(Hoogenboom et al., J. Mol. Biol, 227:381 (1991);Marks et al., J. Mol. Biol, 222:581-597 (1991);Vaughan et al., Nature Biotech., 14:309 (1996))。ファージディスプレイ技術(McCafferty et al., Nature, 348:552-553 (1990))は、免疫処置を受けていないドナーの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、インビトロでヒト抗体および抗体フラグメントを産生させるために用いることができる。この手法によれば、抗体Vドメイン遺伝子を、糸状バクテリオファージ、例えばM13またはfdの主要コートタンパク質またはマイナーコートタンパク質の遺伝子中にインフレームでクローニングして、ファージ粒子の表面上に機能的抗体フラグメントとして提示させる。糸状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含むので、抗体の機能特性に基づく選択により、それらの特性を呈する抗体をコードする遺伝子の選択ももたらされる。このため、ファージはB細胞のいくつかの特性を模倣する。ファージディスプレイは種々のフォーマットで行うことができる;それらの概説については、Johnson, Kevin S, and Chiswell, David J., Current Opinion in Structural Biology 3:564-571 (1993)を参照されたい。V遺伝子セグメントのいくつかの供給源をファージディスプレイに用いることができる。Clackson et al., Nature, 352:624-628 (1991)は、免疫処置を受けたマウスの脾臓に由来するV遺伝子の小規模なランダムコンビナトリアルライブラリーから、抗オキサゾロン抗体の多様なアレイを単離している。免疫処置を受けていないヒトドナーからV遺伝子のレパートリーを構築して、抗原(自己抗原を含む)の多様なアレイに対する抗体を、本質的にはMarks et al., J. Mol. Biol, 222:581-597 (1991)、またはGriffith et al., EMBO J., 12:725-734 (1993)に記載された手法に従って単離することができる。米国特許第5,565,332号および第5,573,905号も参照されたく、これらはそれぞれその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
また、ヒト抗体をインビトロ活性化B細胞によって作製することもできる(米国特許第5,567,610号および第5,229,275号を参照。これらはそれぞれその全体が参照により本明細書に組み入れられる)。また、ヒト抗体を、限定はされないが、Roder et al.(Methods Enzymol, 121:140-167 (1986))によって記載されたものなどのハイブリドーマ手法を用いてインビトロで作製することもできる。
または、いくつかの態様においては、非ヒト抗体をヒト化し、この場合、抗体の特定の配列または領域を、ヒトにおいて天然に産生される抗体との類似性を高めるために改変する。例えば、本発明においては、GFRα4抗体はウサギscFvを含む。1つの態様において、抗原結合ドメイン部分はヒト化される。
ヒト化抗体は、以下のものを非限定的に含む、当技術分野において公知の種々の手法を用いて生成させることができる:CDRグラフティング(例えば、欧州特許EP 239,400;国際公開WO 91/09967;ならびに米国特許第5,225,539号、第5,530,101号および第5,585,089号を参照。これらはそれぞれその全体が参照により本明細書に組み入れられる)、ベニヤリング(veneering)またはリサーフェイシング(resurfacing)(例えば、欧州特許EP 592,106およびEP 519,596;Padlan, 1991, Molecular Immunology 28(4/5):489-498;Studnicka et al., 1994, Protein Engineering 7(6):805-814;およびRoguska et al., 1994, Proc Natl Acad Sci USA 91:969-973を参照。これらはそれぞれその全体が参照により本明細書に組み入れられる)、チェーンシャッフリング(chain shuffling)(例えば、米国特許第5,565,332号を参照。これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる)、ならびに例えば、米国特許出願公開US2005/0042664、米国特許出願公開US2005/0048617、米国特許第6,407,213号、米国特許第5,766,886号、国際公開WO 9317105、Tan et al., J. Immunol, 169: 1119-25 (2002), Caldas et al., Protein Eng., 13(5):353-60 (2000), Morea et al., Methods, 20(3):267-79 (2000), Baca et al., J. Biol. Chem., 272(16):10678-84 (1997), Roguska et al., Protein Eng., 9(10):895-904 (1996), Couto et al., Cancer Res., 55 (23 Supp):5973s-5977s (1995), Couto et al., Cancer Res., 55(8): 1717-22 (1995), Sandhu J S, Gene, 150(2):409-10(1994)、およびPedersen et al., J. Mol. Biol, 235(3):959-73 (1994)に開示された手法、これらはそれぞれその全体が参照により本明細書に組み入れられる。多くの場合、フレームワーク領域におけるフレームワーク残基は、抗原結合を変更するため、好ましくは改善するために、CDRドナー抗体由来の対応する残基によって置換されると考えられる。これらのフレームワーク置換は、当技術分野において周知の方法によって、例えば抗原結合にとって重要なフレームワーク残基を同定するためにCDRとフレームワーク残基との相互作用をモデリングすることによって、および特定の位置にある異常なフレームワーク残基を同定するために配列比較によって同定される(例えば、Queen et al., 米国特許第5,585,089号;およびRiechmann et al., 1988, Nature, 332:323を参照。これらはそれぞれその全体が参照により本明細書に組み入れられる)。
ヒト化抗体は、非ヒトである供給源から該抗体中に導入された、1つまたは複数のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば「インポート」残基と称され、典型的には「インポート」可変ドメインから採られる。したがって、ヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリン分子由来の1つまたは複数のCDR、およびヒト由来のフレームワーク領域を含む。抗体のヒト化は当技術分野において周知であり、本質的にはWinterらの方法(Jones et al., Nature, 321:522-525 (1986);Riechmann et al., Nature, 332:323-327 (1988);Verhoeyen et al., Science, 239:1534-1536 (1988))に従って、ヒト抗体の対応する配列を齧歯動物のCDRまたはCDR配列へと置換すること、すなわち、CDRグラフティング(EP 239,400;PCT公開WO 91/09967;および米国特許第4,816,567号;第6,331,415号;第5,225,539号;第5,530,101号;第5,585,089号;第6,548,640号。これらの内容はその全体が参照により本明細書に組み入れられる)によって行うことができる。そのようなヒト化キメラ抗体では、実質的にインタクトではないヒト可変ドメインが、非ヒト種由来の対応する配列によって置換されている。実際上は、ヒト化抗体は、典型的には、いくつかのCDR残基およびおそらくはいくつかのフレームワーク(FR)残基が、齧歯動物抗体における類似部位由来の残基によって置換されたヒト抗体である。また、抗体のヒト化を、ベニヤリングもしくはリサーフェイシング(EP 592,106;EP 519,596;Padlan, 1991, Molecular Immunology, 28(4/5):489-498;Studnicka et al., Protein Engineering, 7(6):805-814 (1994);およびRoguska et al., PNAS, 91:969-973 (1994))またはチェーンシャッフリング(米国特許第5,565,332号)によって達成することもでき、これらの内容はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの例において、ヒトscFvはまた、酵母ディスプレイライブラリーにも由来し得る。
ヒト化抗体を作製する上で用いられる、軽鎖および重鎖の両方のヒト可変ドメインの選択は、抗原性を低下させることを目的とする。いわゆる「ベストフィット」法に従って、齧歯動物抗体の可変ドメインの配列を、既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリー全体に対してスクリーニングする。続いて、齧歯動物のものに最も近いヒト配列を、ヒト化抗体のヒトフレームワーク(FR)として受け入れる(Sims et al., J. Immunol, 151:2296 (1993);Chothia et al., J. Mol. Biol, 196:901 (1987)、これらの内容はその全体が参照により本明細書に組み入れられる)。もう1つの方法では、軽鎖または重鎖の特定のサブグループのすべてのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のフレームワークを用いる。同じフレームワークをいくつかの異なるヒト化抗体に用いることができる((Carter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992);Presta et al., J. Immunol., 151:2623 (1993)、これらの内容はその全体が参照により本明細書に組み入れられる)。
抗体は、標的抗原に対する高い親和性および他の有利な生物学的特性を保ったままでヒト化することができる。本発明の1つの局面によれば、親配列およびヒト化配列の三次元モデルを用いた親配列およびさまざまな概念上のヒト化産物の分析の過程によって、ヒト化抗体が調製される。免疫グロブリンの三次元モデルは一般的に入手可能であり、当業者にはよく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列に関して可能性のある三次元立体構造を図示および表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示の検討により、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の考えられる役割の分析、すなわち、候補免疫グロブリンがその抗原と結合する能力に影響を及ぼす残基の分析が可能となる。このようにして、標的抗原に対する親和性の増大といった所望の抗体特性が達成されるように、FR残基をレシピエント配列およびインポート配列から選択し、組み合わせることができる。一般に、CDR残基は、抗原結合に影響を及ぼすことに直接かつ最も実質的に関与している。
ヒト化抗体は、元の抗体と類似の抗原特異性、すなわち、本発明のウサギscFvにおいては、ヒトGFRα4と結合する能力を保っている。しかし、特定のヒト化方法を用いると、ヒトGFRα4に対する抗体の結合の親和性および/または特異性を、その内容の全体が参照により本明細書に組み入れられる、Wu et al., J. Mol. Biol, 294:151 (1999)によって記載されたような「定方向進化」の方法を用いて高めることができる。
ウサギ抗体
上記にかかわらず、本明細書において開示されるウサギ抗体は、ヒト化を伴わずに、本発明の方法における治療用抗体として等しく有用な可能性があると想定している。
キメラ抗原受容体(CAR)
本発明は、ヒトGFRα4と特異的に結合する本発明の抗体の配列を含む組換えDNA構築物であって、抗体またはそのフラグメントの配列が細胞内ドメインの核酸配列と機能的に連結されている組換えDNA構築物を範囲に含む。細胞内ドメイン、または別の言い方では細胞質ドメインは、共刺激シグナル伝達領域および/またはζ鎖部分を含む。共刺激シグナル伝達領域とは、共刺激分子の細胞内ドメインを含むCARの一部分のことを指す。共刺激分子とは、抗原に対するリンパ球の効率的な応答のために必要な、抗原受容体またはそのリガンド以外の細胞表面分子のことである。
本発明はしたがって、完全ヒトCARの配列を含む組換えDNA構築物であって、その配列が、細胞内ドメインの核酸配列と機能的に連結されたGFRα4結合ドメインの核酸配列を含む、組換えDNA構築物を範囲に含む。CARにおいて用いうる例示的な細胞内ドメインには、CD3-ζ、CD28、4-1BB、CD27の細胞内ドメインなどが非限定的に含まれる。場合によっては、CARは、CD3-ζ、CD28、4-1BB、CD27などの任意の組み合わせを含みうる。
CARの細胞外ドメインと膜貫通ドメインとの間、またはCARの細胞質ドメインと膜貫通ドメインとの間に、スペーサードメインを組み入れてもよい。本明細書で用いる場合、「スペーサードメイン」という用語は、一般に、ポリペプチド鎖中の膜貫通ドメインを、細胞外ドメインまたは細胞質ドメインのいずれかと連結させる働きをする、あらゆるオリゴペプチドまたはポリペプチドのことを意味する。スペーサードメインは、最大で300アミノ酸、好ましくは10〜100アミノ酸、最も好ましくは25〜50アミノ酸で構成されうる。
所望の分子をコードする核酸配列は、当技術分野において公知の組換え方法、例えば、標準的な手法を用いて、その遺伝子を発現する細胞からのライブラリーをスクリーニングすることによるか、それを含むことが公知であるベクターから遺伝子を導き出すことによるか、またはそれを含有する細胞および組織から直接的に単離することなどによって、入手することができる。または、関心対象の遺伝子を、クローニングされた分子としてではなく、合成によって作製することもできる。1つの態様において、本発明のCARは、本明細書中の他所に記載するように抗原結合モイエティーとも別に称される、標的特異的結合エレメントを含む。本発明のCARにおける抗原モイエティードメインに対するリガンドとして作用しうる細胞表面マーカーの例には、ウイルス感染症、細菌感染症および寄生虫感染症、自己免疫疾患ならびに癌細胞と関連するものが含まれる。
1つの態様においては、所望の抗原がCARに導入されるよう操作することによって、CARにより媒介されるT細胞応答を、関心対象の抗原に向かわせることができる。
場合によっては、抗原結合ドメインは、CARが最終的に用いられることになる種と同じ種に由来することが有益である。例えば、ヒトに用いる目的には、CARの抗原結合ドメインがヒト抗体またはそのフラグメントを含むことが有益であると考えられる。
1つの態様において、CARの抗原結合ドメインは、本明細書中の他所に記載するような抗体をコードする核酸配列を含む。
1つの態様において、CARの抗原結合ドメイン部分は、GFRα4、好ましくはヒトGFRα4を標的とする。
抗原結合ドメイン
本発明のCARは、標的特異的結合ドメインを含む。モイエティーの選択は、標的細胞の表面を規定するリガンドの種類および数によって決まる。例えば、抗原結合ドメインを、特定の疾患状態と関連する標的細胞上の細胞表面マーカーとして作用するリガンドを認識するように選択することができる。このように、本発明のCARにおける抗原結合ドメインに対するリガンドとして作用しうる細胞表面マーカーの例には、ウイルス感染症、細菌感染症および寄生虫感染症、自己免疫疾患ならびに癌細胞と関連するものが含まれる。
1つの局面においては、所望の抗原と特異的に結合する抗原結合ドメインがCARに導入されるよう操作することによって、CARにより媒介されるT細胞応答を、関心対象の抗原に向かわせることができる。
1つの局面において、本発明のCARは、GFRα4と特異的に結合する結合ドメインを含む。1つの局面において、抗原結合ドメインはヒトGFRα4と特異的に結合する。
抗原結合ドメインは、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ならびに、ラクダ科動物由来ナノボディの重鎖可変ドメイン(VH)、軽鎖可変ドメイン(VL)および可変ドメイン(VHH)などの単一ドメイン抗体、ならびに抗原結合ドメインとして機能することが当技術分野において公知である代替的なスカフォールド、例えば組換えフィブロネクチンドメインなどを非限定的に含むそれらの機能的フラグメントを非限定的に含む、抗原と結合する任意のドメインでありうる。場合によっては、抗原結合ドメインは、CARが最終的に用いられることになるものと同じ種に由来することが有益である。例えば、ヒトにおける使用のためには、CARの抗原結合ドメインが、抗体または抗体フラグメントの抗原結合ドメインに関してヒト残基またはヒト化残基を含むことが有益であると考えられる。
場合によっては、抗原結合ドメインは、CARが最終的に用いられることになるものと同じ種に由来することが有益である。例えば、ヒトにおける使用のためには、CARの抗原結合ドメインが、抗体または抗体フラグメントの抗原結合ドメインに関してヒト残基またはヒト化残基を含むことが有益であると考えられる。したがって、1つの局面において、抗原結合ドメインはヒト抗体または抗体フラグメントを含む。
1つの態様において、GFRα4結合ドメインは、本明細書に記載のGFRα4結合ドメインの軽鎖相補性決定領域1(LC CDR1)、軽鎖相補性決定領域2(LC CDR2)および軽鎖相補性決定領域3(LC CDR3)の1つもしくは複数(例えば、3つすべて)、ならびに/または本明細書に記載のGFRα4結合ドメインの重鎖相補性決定領域1(HC CDR1)、重鎖相補性決定領域2(HC CDR2)および重鎖相補性決定領域3(HC CDR3)の1つもしくは複数(例えば、3つすべて)を含み、例えば、GFRα4結合ドメインは、1つまたは複数、例えば3つすべてのLC CDR、および1つまたは複数、例えば3つすべてのHC CDRを含む。1つの態様において、GFRα4結合ドメインは、本明細書に記載のGFRα4結合ドメインの重鎖相補性決定領域1(HC CDR1)、重鎖相補性決定領域2(HC CDR2)および重鎖相補性決定領域3(HC CDR3)の1つまたは複数(例えば、3つすべて)を含み、例えば、GFRα4結合ドメインは、それぞれが本明細書に記載のHC CDR1、HC CDR2およびHC CDR3を含む、2つの可変重鎖領域を含む。1つの態様において、GFRα4結合ドメインは、各CDRまたはCDRの組み合わせに対して少なくとも1個、2個または3個の改変(例えば、置換、例えば保存的置換)であるが5個を上回らない改変(例えば、置換、例えば保存的置換)を有する、1つまたは複数の(例えば、3つすべての)軽鎖相補性決定領域(LC CDR)を含む。もう1つの態様において、GFRα4結合ドメインは、各CDRまたはCDRの組み合わせに対して少なくとも1個、2個または3個の改変(例えば、置換、例えば保存的置換)であるが5個を上回らない改変(例えば、置換、例えば保存的置換)を有する、1つまたは複数の(例えば、3つすべて)重鎖相補性決定領域(HC CDR)を含む。
1つの態様において、GFRα4結合ドメインは、本明細書に(例えば、表2に)記載の軽鎖可変領域および/または本明細書に(例えば、表2に)記載の重鎖可変領域を含む。1つの態様において、GFRα4結合ドメインは、本明細書に(例えば、表2に)記載のヒト重鎖可変領域、例えば、本明細書に(例えば、表2に)記載の少なくとも2つの重鎖可変領域を含む。1つの態様において、GFRα4結合ドメインは、表2のアミノ酸配列の軽鎖および重鎖を含むscFvである。1つの態様において、GFRα4結合ドメイン(例えば、scFv)は、以下を含む:表2に提示された軽鎖可変領域のアミノ酸配列の少なくとも1個、2個もしくは3個の改変(例えば、置換、例えば保存的置換)であるが30個、20個もしくは10個を上回らない改変(例えば、置換、例えば保存的置換)を有するアミノ酸配列、または表2のアミノ酸配列に対して95〜99%の同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域;および/または表2に提示された重鎖可変領域のアミノ酸配列の少なくとも1個、2個もしくは3個の改変(例えば、置換、例えば保存的置換)であるが30個、20個もしくは10個を上回らない改変(例えば、置換、例えば保存的置換)を有するアミノ酸配列、または表2のアミノ酸配列に対して95〜99%の同一性を有する配列を含む重鎖可変領域。1つの態様において、GFRα4結合ドメインは、SEQ ID NO:59または79から選択される配列、またはそれらに対して95〜99%の同一性を有する配列を含む。1つの態様において、ヒトGFRα4結合ドメインをコードする核酸配列は、SEQ ID NO:56、57、76および77からなる群より選択される配列、またはそれらに対して95〜99%の同一性を有する配列を含む。1つの態様において、GFRα4結合ドメインはscFvであり、本明細書、例えば表2に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域が、本明細書、例えば表2に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、リンカーを介して、例えば本明細書に記載のリンカーを介して結びつけられている。1つの態様において、GFRα4結合ドメインは(Gly4-Ser)nリンカーを含み、ここでnは1、2、3、4、5または6、好ましくは3または4である(SEQ ID NO:26)。scFvの軽鎖可変領域および重鎖可変領域は、例えば、以下の配置のいずれかにあってよい:軽鎖可変領域-リンカー-重鎖可変領域または重鎖可変領域-リンカー-軽鎖可変領域。
1つの局面において、抗原結合ドメイン部分は、SEQ ID NO:59または79を含む。1つの局面において、CARは、SEQ ID NO:85、86、90、92、94、96、98、100、102または104から選択される1つまたは複数の配列から選択される。
1つの局面において、GFRα4結合ドメインは、抗体または抗体フラグメントの特定の機能的特徴または特性によって特徴づけられる。例えば、1つの局面において、抗原結合ドメインを含む本発明のCAR組成物の部分は、ヒトGFRα4、例えば、GFRα4aおよび/またはGFRα4bと特異的に結合する。
1つの局面において、本発明は、抗体または抗体フラグメントを含む抗原結合ドメインであって、GFRα4タンパク質またはそのフラグメントと特異的に結合し、該抗体または抗体フラグメントが、SEQ ID NO:59または79のアミノ酸配列を含む可変軽鎖および/または可変重鎖を含む、抗原結合ドメインに関する。1つの局面において、抗原結合ドメインは、SEQ ID NO:59または79から選択されるscFvのアミノ酸配列を含む。ある局面において、scFvはリーダー配列と連続しており、かつ同じリーディングフレーム内にある。1つの局面において、リーダー配列は、SEQ ID NO:1として提供されるポリペプチド配列である。
1つの局面において、GFRα4結合ドメインはフラグメント、例えば単鎖可変フラグメント(scFv)である。1つの局面において、ヒトGFRα4結合ドメインは、Fv、Fab、(Fab')2、または二官能性(例えば、二重特異性)ハイブリッド抗体である(例えば、Lanzavecchia et al., Eur. J. Immunol. 17, 105 (1987))。1つの局面において、本発明の抗体およびそのフラグメントは、野生型の親和性もしくは強化された親和性を有するGFRα4タンパク質またはそのフラグメントと結合する。
場合によっては、ヒトscFvはディスプレイライブラリーに由来する。ディスプレイライブラリーは複数の実体の集成物である;各実体は、利用可能なポリペプチド構成要素、およびポリペプチド構成要素をコードするかまたは特定する回収可能な構成要素を含む。ポリペプチド構成要素は多様であるため、種々のアミノ酸配列が提示される。ポリペプチド構成要素は任意の長さ、例えば、3アミノ酸〜300アミノ酸超であってよい。ディスプレイライブラリーの実体は、複数のポリペプチド構成要素、例えば、Fabの2つのポリペプチド鎖を含みうる。1つの例示的な態様において、ディスプレイライブラリーは、GFRα4結合ドメインを同定するために用いることができる。選択に際しては、ライブラリーの各メンバーのポリペプチド構成要素をGFRα4またはそのフラグメントをプローブとして探索し、ポリペプチド構成要素がGFRα4と結合するならば、ディスプレイライブラリーメンバーは、典型的には支持体上に保持されることによって同定される。
保持されたディスプレイライブラリーのメンバーを、支持体から回収して分析する。分析には、増幅、および類似の条件または異なる条件下でのその後の選択が含まれうる。例えば、陽性選択および陰性選択を交互に行うことができる。また、分析には、ポリペプチド構成要素、すなわちGFRα4結合ドメインのアミノ酸配列を決定すること、および詳細な特性決定のためのポリペプチド構成要素の精製も含まれうる。
ディスプレイライブラリーには、種々の形式を用いることができる。その例にはファージディスプレイが含まれる。ファージディスプレイでは、典型的には、タンパク質構成要素をバクテリオファージコートタンパク質と共有結合性に連結させる。この連結は、コートタンパク質と融合されたタンパク質構成要素をコードする核酸の翻訳の結果として生じる。この連結には、柔軟なペプチドリンカー、プロテアーゼ部位、または終止コドンの抑制の結果として組み入れられるアミノ酸が含まれうる。ファージディスプレイは、例えば、米国特許5,223,409号;Smith (1985) Science 228:1315-1317;WO 92/18619号;WO 91/17271号;WO 92/20791号;WO 92/15679号;WO 93/01288号;WO 92/01047号;WO 92/09690号;WO 90/02809号;de Haard et al. (1999) J. Biol. Chem 274:18218-30;Hoogenboom et al. (1998) Immunotechnology 4:1-20;Hoogenboom et al. (2000) Immunol Today 2:371-8およびHoet et al. (2005) Nat Biotechnol. 23(3)344-8に記載されている。タンパク質構成要素を提示しているバクテリオファージを増殖させて、標準的なファージ調製方法、例えば、増殖培地からのPEG沈降を用いて採取する。個々のディスプレイファージの選択後に、選択されたタンパク質構成要素をコードする核酸を、選択されたファージに感染させた細胞から、またはファージ自体から、増幅後に単離することができる。個々のコロニーまたはプラークをピックアップし、核酸を単離して、配列を決定することができる。
他のディスプレイ形式には、細胞ベースのディスプレイ(例えば、WO 03/029456号を参照)、タンパク質-核酸融合物(例えば、US 6,207,446号を参照)、リボソームディスプレイ(例えば、Mattheakis et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:9022 and Hanes et al. (2000) Nat Biotechnol. 18:1287-92;Hanes et al. (2000) Methods Enzymol. 328:404-30;およびSchaffitzel et al. (1999) J Immunol Methods. 231(1-2):119-35を参照)、および大腸菌(E. coli)ペリプラズムディスプレイ(2005 Nov 22;PMID:16337958)が含まれる。
場合によっては、scFvを、当技術分野において公知の方法に従って調製することができる(例えば、Bird et al., (1988) Science 242:423-426 and Huston et al., (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883を参照)。ScFv分子は、柔軟なポリペプチドリンカーを用いてVH領域とVL領域を一つに連結することによって作製することができる。scFv分子は、最適化された長さおよび/またはアミノ酸組成を有するリンカー(例えば、Ser-Glyリンカー)を含む。リンカーの長さは、scFvの可変領域がどのようにフォールディングするかおよび相互作用するかに大きく影響を及ぼしうる。事実、短いポリペプチドリンカー(例えば、5〜10アミノ酸)を使用すると、鎖内フォールディングが妨げられる。鎖間フォールディングも、2つの可変領域を一つに結び合わせて機能的エピトープ結合部位を形成するために必要である。リンカーの配置およびサイズの例については、例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Hollinger et al. 1993 Proc Natl Acad. Sci. U.S.A. 90:6444-6448、米国特許出願公開第2005/0100543号、第2005/0175606号、第2007/0014794号、およびPCT公報第WO 2006/020258号および第WO 2007/024715号を参照されたい。
scFvは、そのVL領域とVH領域の間に、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個またはそれを上回るアミノ酸残基のリンカーを含みうる。リンカー配列は、天然に存在する任意のアミノ酸を含みうる。いくつかの態様において、リンカー配列はアミノ酸グリシンおよびセリンを含む。もう1つの態様において、リンカー配列は、グリシンおよびセリンの反復配列のセット、例えば(Gly4Ser)nなどを含み、ここでnは1に等しいかまたはそれよりも大きい正の整数である(SEQ ID NO:25)。1つの態様において、リンカーは、(Gly4Ser)4(SEQ ID NO:27)または(Gly4Ser)3(SEQ ID NO:28)であってよい。リンカーの長さの変化は、活性を保つこともあれば、活性を強化して、活性試験においてより優れた有効性を生じさせることもある。
例示的なGFRα4 CAR構築物および抗原結合ドメイン
本明細書において開示される例示的なGFRα4 CAR構築物は、scFv(例えば、任意で任意的なリーダー配列が前にある、本明細書において表2に開示されたようなヒトscFv)を含む(例えば、例示的なリーダーアミノ酸配列およびヌクレオチド配列については、それぞれSEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:12を参照されたい)。ヒトscFvフラグメントの配列(SEQ ID NO:58、59、78または79のアミノ酸配列、およびSEQ ID NO:56、57、76または77のヌクレオチド配列)は、本明細書において表2に提示されている。GFRα4 CAR構築物は、任意的なヒンジドメイン、例えば、CD8ヒンジドメイン(例えば、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:13の核酸配列によってコードされる);膜貫通ドメイン、例えば、CD8膜貫通ドメイン(例えば、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:17のヌクレオチド配列によってコードされる);細胞内ドメイン、例えば、4-1BB細胞内ドメイン(例えば、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:18のヌクレオチド配列によってコードされる;および機能的シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ζドメイン(例えば、SEQ ID NO:9または10のアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:20または21のヌクレオチド配列によってコードされる)を、さらに含みうる。ある態様において、ドメインは連続しており、同じリーディングフレームにあって、単一の融合タンパク質を形成する。他の態様において、ドメインは、例えば、本明細書に記載するようなRCAR分子の場合のように別々のポリペプチドにある。
ある態様において、完全長GFRα4 CAR分子は、表2に提示されたアミノ酸配列を含むか、または表2に提示されたヌクレオチド配列によってコードされるか、またはそれに対して実質的に(例えば、95〜99%)同一な配列を含む。
ある態様において、GFRα4 CAR分子、またはGFRα4抗原結合ドメインは、表2に提示されたscFvアミノ酸配列を含むか;または表2に提示されたヌクレオチド配列によってコードされるか、または前述の配列のいずれかに対して実質的に同一な(例えば、95〜99%同一な、または最大で20個、15個、10個、8個、6個、5個、4個、3個、2個もしくは1個のアミノ酸変化、例えば、置換(例えば、保存的置換)がある)配列を含む。
ある態様において、GFRα4 CAR分子、またはGFRα4抗原結合ドメインは、表2に提示された重鎖可変領域および/もしくは軽鎖可変領域を含むか、または前述の配列のいずれかに対して実質的に同一な(例えば、95〜99%同一な、または最大で20個、15個、10個、8個、6個、5個、4個、3個、2個もしくは1個のアミノ酸変化、例えば、置換(例えば、保存的置換)がある)配列を含む。
ある態様において、GFRα4分子、またはGFRα4抗原結合ドメインは、表2に提示された重鎖可変領域(例えば、HCDR1、HCDR2および/またはHCDR3)からの1つ、2つもしくは3つのCDR;および/または表2に提示された軽鎖可変領域(例えば、LCDR1、LCDR2および/またはLCDR3)からの1つ、2つもしくは3つのCDR;または前述の配列のいずれかに対して実質的に同一な(例えば、95〜99%同一な、または最大で5個、4個、3個、2個もしくは1個のアミノ酸変化、例えば、置換(例えば、保存的置換)がある)配列を含む。
GFRα4 scFvドメインのアミノ酸および核酸配列は、表2に提示されている。各scFvに関する可変重鎖および可変軽鎖のアミノ酸配列も、表2に提示されている。scFvフラグメント(SEQ ID NO:59または79)またはリーダー配列を有するCAR分子(例えば、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:12のヌクレオチド配列)も、本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例示的なGFRα4 CAR分子のアミノ酸配列(SEQ ID NO:85、86、90、92、94、96、98、100、102および104)ならびに例示的なGFRα4 CAR分子の核酸配列(SEQ ID NO:89、91、93、95、97、99、101および103)も、本明細書において提供される。
以下の配列を、本発明のGFRα4抗原結合ドメインを含むCAR分子を構築するために用いることができる。
リーダー(アミノ酸配列)(SEQ ID NO:1)
CD8ヒンジ(アミノ酸配列)(SEQ ID NO:2)
CD8ヒンジ(核酸配列)(SEQ ID NO:13)
CD8膜貫通(アミノ酸配列)(SEQ ID NO:6)
CD8膜貫通(核酸配列)(SEQ ID NO:17)
4-1BB細胞内ドメイン(アミノ酸配列)(SEQ ID NO:7)
4-1BB細胞内ドメイン(核酸配列)(SEQ ID NO:18)
CD28細胞内ドメイン(アミノ酸配列)(SEQ ID NO:80)
CD28細胞内ドメイン(ヌクレオチド配列)(SEQ ID NO:81)
ICOS細胞内ドメイン(アミノ酸配列)(SEQ ID NO:82)
ICOS細胞内ドメイン(ヌクレオチド配列)(SEQ ID NO:83)
CD3ζドメイン(アミノ酸配列)(SEQ ID NO:9)
CD3ζドメイン(アミノ酸配列;NCBI参照配列NM_000734.3)(SEQ ID NO:10)
CD3ζ(核酸配列;NCBI参照配列NM_000734.3);(SEQ ID NO:21)
IgG4ヒンジ(アミノ酸配列)(SEQ ID NO:36)
IgG4ヒンジ(ヌクレオチド配列)(SEQ ID NO:37)
複数の態様において、CAR scFvフラグメントをレンチウイルスベクター中にクローニングして、単一のコーディングフレームにある完全長CAR構築物を作り出し、EF1αプロモーター(SEQ ID NO:11)を発現のために用いることができる。
Gly/Ser(SEQ ID NO:26):この配列は、1〜6個の「Gly Gly Gly Gly Ser」反復単位を含みうる
ポリA:(A)5000(SEQ ID NO:30)
この配列は50〜5000個のアデニンを含みうる。
ポリA:(T)100(SEQ ID NO:31)
ポリA:(T)5000(SEQ ID NO:32)
この配列は50〜5000個のチミンを含みうる。
ポリA:(A)5000(SEQ ID NO:33)
この配列は100〜5000個のアデニンを含みうる。
ポリA:(A)400(SEQ ID NO:34)
ポリA:(A)2000(SEQ ID NO:35)
Gly/Ser(SEQ ID NO:38):この配列は1〜10個の「Gly Gly Gly Ser」反復単位を含みうる
CAR構築物は、以下の配列のうち1つまたは複数を有するGly/Serリンカーを含みうる:GGGGS(SEQ ID NO:25);1〜6個の「Gly Gly Gly Gly Ser」反復単位、例えば
を含む;または、1〜10個の「Gly Gly Gly Gly Ser」反復単位、例えば
を含む。
複数の態様において、CAR構築物は、ポリA配列、例えば、50〜5000個もしくは100〜5000個のアデニンを含む配列(例えば、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34またはSEQ ID NO:35)、または50〜5000個のチミンを含む配列(例えば、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32)を含む。または、CAR構築物は、例えば、配列
を含むリンカーを含むことができる。
複数の態様において、以下に提示するCAR構築物は、CD3ζ鎖に由来する共刺激ドメインのシグナルドメインにおけるQ/K残基変化を含んでいた。
NVS-P4-6-CAR‐アミノ酸配列(SEQ ID NO:85)
NVS-P4-10-CAR‐アミノ酸配列(SEQ ID NO:86)
そのほかのCAR構築物を以下に提示する。いくつかの態様において、CAR構築物は、抗原結合ドメイン、例えばscFvのN末端側にシグナル認識ペプチド(SRP)を含みうる。1つの態様において、SRPはアミノ酸配列
によってコードされるか、またはヌクレオチド配列
によってコードされる。
P4-6-gs-bbz CAR‐ヌクレオチド配列(下線部はp4-6 scFvであり、二重下線部はGGGGS×2ヒンジであり、太下線部はヒトCD8α膜貫通ドメインである)(SEQ ID NO:89)
P4-6-gs-bbz CAR‐アミノ酸配列(下線部はp4-6 scFvであり、二重下線部はGGGGS×2ヒンジであり、太下線部はヒトCD8α膜貫通ドメインである)(SEQ ID NO:90)
P4-10-gs-bbz‐ヌクレオチド配列(下線部はp4-10 scFvであり、二重下線部はGGGGS×2ヒンジであり、太下線部はヒトCD8α膜貫通ドメインである)(SEQ ID NO:91)
P4-10-gs-bbz‐アミノ酸配列(下線部はp4-10 scFvであり、二重下線部はGGGGS×2ヒンジであり、太下線部はヒトCD8α膜貫通ドメインである)(SEQ ID NO:92)
P4-6-cd8-bbz‐ヌクレオチド配列(下線部はp4-6scFvであり、二重下線部はヒトCD8αヒンジであり、太下線部はヒトCD8α膜貫通ドメインである)(SEQ ID NO:93)
P4-6-cd8-bbz‐アミノ酸配列(下線部はp4-6scFvであり、二重下線部はヒトCD8αヒンジであり、太下線部はヒトCD8α膜貫通ドメインである)(SEQ ID NO:94)
P4-10-cd8-bbz‐ヌクレオチド配列(下線部はp4-10scFvであり、二重下線部はヒトCD8αヒンジであり、太下線部はヒトCD8α膜貫通ドメインである)(SEQ ID NO:95)
P4-10-cd8-bbz‐アミノ酸配列(下線部はp4-10scFvであり、二重下線部はヒトCD8αヒンジであり、太下線部はヒトCD8α膜貫通ドメインである)(SEQ ID NO:96)
P4-6-gs-28z‐ヌクレオチド配列(下線部はp4-6 scFvである)(SEQ ID NO:97)
P4-6-gs-28z‐アミノ酸配列(下線部はp4-6 scFvである)(SEQ ID NO:98)
P4-10-gs-28z‐ヌクレオチド配列(下線部はp4-10 scFvである)(SEQ ID NO:99)
P4-10-gs-28z‐アミノ酸配列(下線部はp4-10 scFvである)(SEQ ID NO:100)
Dap12-T2A-P4-6-gs-KIRS2‐ヌクレオチド配列(太下線部はDap12およびT2A配列である;斜体部はCD8 SRPである;下線部はP4-6 scFvであり、二重下線部はKIR2DS2フラグメントである)(SEQ ID NO:101)
Dap12-T2A-P4-6-gs-KIRS2‐アミノ酸配列(太下線部はDap12およびT2A配列である;斜体部はCD8 SRPである;下線部はP4-6 scFvであり、二重下線部はKIR2DS2フラグメントである)(SEQ ID NO:102)
Dap12-T2A-P4-10-gs-KIRS2‐ヌクレオチド配列(太下線部はDap12およびT2A配列である;斜体部はCD8 SRPである;下線部はP4-10 scFvであり、二重下線部はKIR2DS2フラグメントである)(SEQ ID NO:103)
Dap12-T2A-P4-10-gs-KIRS2‐アミノ酸配列(太下線部はDap12およびT2A配列である;斜体部はCD8 SRPである;下線部はP4-10 scFvであり、二重下線部はKIR2DS2フラグメントである)(SEQ ID NO:104)
CAR構築物をコードするベクターを以下に提示する:
CARをコードするベクターP4-6gs(SEQ ID NO:105)
CARをコードするベクターP4-10gs(SEQ ID NO:106)
CARをコードするベクターP4-6cd8(SEQ ID NO:107)
CARをコードするベクターP4-10cd8(SEQ ID NO:108):
二重特異性CAR
1つの態様において、多重特異性抗体分子は二重特異性抗体分子である。二重特異性抗体は、2種類を上回らない抗原に対する特異性を有する。二重特異性抗体分子は、第1のエピトープに対する結合特異性を有する第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列および第2のエピトープに対する結合特異性を有する第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列によって特徴づけられる。1つの態様において、第1および第2のエピトープは、同一の抗原上、例えば、同一のタンパク質(または多量体タンパク質のサブユニット)上にある。1つの態様において、第1および第2のエピトープは部分的に重なり合う。1つの態様において、第1および第2のエピトープは重なり合わない。1つの態様において、第1および第2のエピトープは、異なる抗原上、例えば、異なるタンパク質(または多量体タンパク質の異なるサブユニット)上にある。1つの態様において、二重特異性抗体分子は、第1のエピトープに対する結合特異性を有する重鎖可変ドメイン配列および軽鎖可変ドメイン配列、ならびに第2のエピトープに対する結合特異性を有する重鎖可変ドメイン配列および軽鎖可変ドメイン配列を含む。1つの態様において、二重特異性抗体分子は、第1のエピトープに対する結合特異性を有する半抗体(half antibody)および第2のエピトープに対する結合特異性を有する半抗体を含む。1つの態様において、二重特異性抗体分子は、第1のエピトープに対する結合特異性を有する半抗体、またはそのフラグメント、および第2のエピトープに対する結合特異性を有する半抗体、またはそのフラグメントを含む。1つの態様において、二重特異性抗体分子は、第1のエピトープに対する結合特異性を有するscFv、またはそのフラグメント、および第2のエピトープに対する結合特異性を有するscFv、またはそのフラグメントを含む。
ある態様において、抗体分子は、多重特異性(例えば、二重特異性または三重特異性)抗体分子である。二重特異性抗体分子またはヘテロ二量体抗体分子を作製するためのプロトコールは、当技術分野において公知である;これには例えば、以下が非限定的に含まれる:例えばUS 5731168号に記載された「ノブ・イン・ホール(knob in a hole)」アプローチ;例えば、WO 09/089004号、WO 06/106905号およびWO 2010/129304号に記載された静電ステアリングFc対合;例えば、WO 07/110205号に記載された鎖交換操作ドメイン(Strand Exchange Engineered Domains)(SEED)ヘテロ二量体形成;例えば、WO 08/119353号、WO 2011/131746号およびWO 2013/060867号に記載されたFabアーム交換;例えば、US 4433059号に記載されたような、アミン反応基およびスルフヒドリル反応基を有するヘテロ二官能性試薬を用いて二重特異性構造を生成させるための抗体架橋による二抗体コンジュゲート;例えば、US 4444878号に記載されたような、2つの重鎖間のジスルフィド結合の還元および酸化のサイクルを通じて異なる抗体由来の半抗体(重鎖-軽鎖対またはFab)を組み換えることによって作製される二重特異性抗体決定基;例えば、US5273743号に記載されたような、スルフヒドリル反応基を介して架橋された3つのFab'フラグメントである三官能性抗体;例えば、US5534254号に記載されたような、生合成結合タンパク質、例えば、好ましくはジスルフィド架橋またはアミン反応性化学的架橋によってC末端尾部を介して架橋されたscFvの対;例えば、US5582996号に記載されたような、二官能性抗体、例えば、定常ドメインを置き換えるロイシンジッパー(例えば、c-fosおよびc-jun)を介して二量体化した、異なる結合特異性を有するFabフラグメント;例えば、US5591828号に記載されたような、二重特異性でオリゴ特異的な一価およびオリゴ価受容体、例えば、一方の抗体のCH1領域と、典型的には軽鎖を伴うもう一方の抗体のVH領域との間のポリペプチドスペーサーを介して連結された2つの抗体(2つのFabフラグメント)のVH-CH1領域;例えば、US5635602号に記載されたような、二重特異性DNA-抗体コンジュゲート、例えば、DNAの二本鎖小片を介した抗体またはFabフラグメントの架橋;例えば、US5637481号に記載されたような、二重特異性融合タンパク質、例えば、間にある親水性らせん状ペプチドリンカーおよび完全な定常領域を有する2つのscFvを含む発現構築物;例えば、US5837242号に記載されたような、多価の多重特異性結合タンパク質、例えば、一般にダイアボディと呼ばれる、Ig重鎖可変領域の結合領域を有する第1のドメインおよびIg軽鎖可変領域の結合領域を有する第2のドメインを有するポリペプチドの二量体(二重特異性、三重特異性または四重特異性分子を作り出すための高次構造も範囲に含まれる;例えば、US5837821号に記載されたような、連結されたVL鎖およびVH鎖を有し、抗体ヒンジ領域およびCH3領域にペプチドスペーサーがさらに接続されていて、二量体化して二重特異性/多価分子を形成することができる、ミニボディ構築物;いずれかの向きに短いペプチドリンカー(例えば、5アミノ酸または10アミノ酸)が連結されているか、またはリンカーが全く連結されておらず、二量体を形成して二重特異性ダイアボディを形成することができるVHドメインおよびVLドメイン;例えば、US5844094号に記載されたような、三量体および四量体;例えば、US5864019号に記載されたような、C末端の架橋性基によるペプチド結合によって接続され、VLドメインをさらに伴い、一連のFV(またはscFv)を形成する、VHドメイン(またはファミリーメンバーにおけるVLドメイン)の連鎖;ならびに、例えば、US5869620号に記載されたような、ペプチドリンカーを介して連結されたVHドメインおよびVLドメインの両方を有し、組み合わされて非共有結合性架橋または化学的架橋を介して多価構造となり、例えば、scFV型またはダイアボディ型の形式を用いるホモ二価、ヘテロ二価、三価および四価構造を形成する単鎖結合ポリペプチド。そのほかの例示的な多重特異性分子および二重特異性分子、ならびにそれらの作製方法は、例えば、US5910573号、US5932448号、US5959083号、US5989830号、US6005079号、US6239259号、US6294353号、US6333396号、US6476198号、US6511663号、US6670453号、US6743896号、US6809185号、US6833441号、US7129330号、US7183076号、US7521056号、US7527787号、US7534866号、US7612181号、US2002004587A1号、US2002076406A1号、US2002103345A1号、US2003207346A1号、US2003211078A1号、US2004219643A1号、US2004220388A1号、US2004242847A1号、US2005003403A1号、US2005004352A1号、US2005069552A1号、US2005079170A1号、US2005100543A1号、US2005136049A1号、US2005136051A1号、US2005163782A1号、US2005266425A1号、US2006083747A1号、US2006120960A1号、US2006204493A1号、US2006263367A1号、US2007004909A1号、US2007087381A1号、US2007128150A1号、US2007141049A1号、US2007154901A1号、US2007274985A1号、US2008050370A1号、US2008069820A1号、US2008152645A1号、US2008171855A1号、US2008241884A1号、US2008254512A1号、US2008260738A1号、US2009130106A1号、US2009148905A1号、US2009155275A1号、US2009162359A1号、US2009162360A1号、US2009175851A1号、US2009175867A1号、US2009232811A1号、US2009234105A1号、US2009263392A1号、US2009274649A1号、EP346087A2号、WO 0006605A2号、WO 02072635A2号、WO 04081051A1号、WO 06020258A2号、WO 2007044887A2号、WO 2007095338A2号、WO 2007137760A2号、WO 2008119353A1号、WO 2009021754A2号、WO 2009068630A1号、WO 9103493A1号、WO 9323537A1号、WO 9409131A1号、WO 9412625A2号、WO 9509917A1号、WO 9637621A2号、WO 9964460A1号に見いだされる。以上に参照した出願の内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
二重特異性抗体分子の各抗体または抗体フラグメント(例えば、scFv)において、VHはVLの上流にあっても下流にあってもよい。いくつかの態様において、上流抗体または抗体フラグメント(例えば、scFv)は、そのVH(VH1)がそのVL(VL1)の上流に並べられ、下流抗体または抗体フラグメント(例えば、scFv)は、そのVL(VL2)がそのVH(VH2)の上流に並べられ、その結果、全体的な二重特異性抗体分子はVH1-VL1-VL2-VH2という並び方になる。他の態様において、上流抗体または抗体フラグメント(例えば、scFv)はそのVL(VL1)がそのVH(VH1)の上流に並べられ、下流抗体または抗体フラグメント(例えば、scFv)はそのVH(VH2)がそのVL(VL2)の上流に並べられ、その結果、全体的な二重特異性抗体分子はVL1-VH1-VH2-VL2という並び方になる。任意で、リンカーが2つの抗体または抗体フラグメント(例えば、scFv)の間に配され、例えば、構築物がVH1-VL1-VL2-VH2として並んでいる場合はVL1とVL2との間に、またはVL1-VH1-VH2-VL2として並んでいる場合はVH1とVH2との間に配される。リンカーは、本明細書に記載するようなリンカー、例えば、(Gly4-Ser)nリンカーであってよく、ここでnは1、2、3、4、5または6、好ましくは4(SEQ ID NO:39)である。一般に、2つのscFv間のリンカーは、2つのscFvのドメイン間の誤対合を避けるのに十分に長くあるべきである。任意で、リンカーは第1のscFvのVLとVHとの間に配される。任意で、リンカーは第2のscFvのVLとVHとの間に配される。複数のリンカーを有する構築物において、リンカーのいずれか2つまたはそれ以上が同じであってもよく、または異なってもよい。したがって、いくつかの態様において、二重特異性CARは、VL、VH、および任意で1つまたは複数のリンカーを、本明細書に記載するような並び方で含む。
1つの局面において、二重特異性抗体分子は、GFRα4に対する結合特異性を有し、例えば、本明細書に記載するような、例えば、表2に記載するようなscFvを含むか、または本明細書に記載のGFRα4 scFv由来の軽鎖CDRおよび/もしくは重鎖CDRを含む第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列、例えばscFv、ならびに異なる抗原上の第2のエピトープに対する結合特異性を有する第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むことによって特徴づけられる。いくつかの局面において、第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、甲状腺髄様癌細胞上に発現される抗原、例えば、GFRα4以外の抗原に対する結合特異性を有する。
キメラTCR
1つの局面において、本発明のGFRα4抗体および抗体フラグメント(例えば、表2に開示されたもの)を、T細胞受容体(「TCR」)鎖、例えば、TCRα鎖またはTCRβ鎖の1つまたは複数の定常ドメインと接ぎ合わせて、GFRα4と特異的に結合するキメラTCRを作り出すことができる。理論に拘束されることはないが、キメラTCRは抗原結合に際してTCR複合体を経由してシグナルを伝達すると考えられている。例えば、本明細書において開示されるようなGFRα4 scFvを、TCR鎖、例えば、TCRα鎖および/またはTCRβ鎖の、定常ドメイン、例えば、細胞外定常ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインの少なくとも一部分と接ぎ合わせることができる。もう1つの例として、GFRα4抗体フラグメント、例えば本明細書に記載するようなVLドメインを、TCRα鎖の定常ドメインと接ぎ合わせ、GFRα4抗体フラグメント、例えば本明細書に記載するようなVHドメインを、TCRβ鎖の定常ドメインと接ぎ合わせることができる(または代替的には、VLドメインをTCRβ鎖の定常ドメインと接ぎ合わせ、VHドメインをTCRα鎖と接ぎ合わせてもよい)。もう1つの例として、GFRα4抗体または抗体フラグメントのCDR、例えば、表2に記載するようなGFRα4抗体または抗体フラグメントのCDRを、TCRα鎖および/またはβ鎖の中に接ぎ合わせて、GFRα4と特異的に結合するキメラTCRを作り出すことができる。例えば、本明細書において開示されるLCDRをTCRα鎖の可変ドメインの中に接ぎ合わせることができ、本明細書において開示されるHCDRをTCRβ鎖の可変ドメインと接ぎ合わせることができ、またはその逆を行うこともできる。そのようなキメラTCRは、当技術分野において公知の方法によって作製することができる(例えば、Willemsen RA et al, Gene Therapy 2000;7: 1369-1377;Zhang T et al, Cancer Gene Ther 2004;11: 487-496;Aggen et al, Gene Ther. 2012 Apr;19(4):365-74)。
膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインに関しては、さまざまな態様において、CARの細胞外ドメインと融合した膜貫通ドメインを含むようにCARを設計することができる。膜貫通ドメインは、膜貫通領域に隣接する1つまたは複数の追加のアミノ酸、例えば、膜貫通の由来となったタンパク質の細胞外領域に付随する1つもしくは複数のアミノ酸(例えば、細胞外領域の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、最大で15個のアミノ酸)、および/または膜貫通タンパク質の由来である1つもしくは複数の追加のアミノ酸(例えば、細胞内領域の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、最大で15個のアミノ酸)を含むことができる。1つの局面において、膜貫通ドメインは、用いられるCARの他のドメインの1つに付随するものである。場合によっては、膜貫通ドメインを、そのようなドメインの同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインとの結合を避けるように、例えば、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限に抑えるように、選択すること、またはアミノ酸置換によって改変することができる。1つの局面において、膜貫通ドメインは、CART細胞表面上の別のCARとホモ二量体化することができる。1つの異なる局面において、膜貫通ドメインのアミノ酸配列を、同じCARTに存在するネイティブ性結合パートナーの結合ドメインとの相互作用を最小限に抑えるように改変すること、または置換することができる。
1つの態様においては、CARにおけるドメインの1つに天然に付随する膜貫通ドメインを用いる。場合によっては、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限に抑えるために、膜貫通ドメインを、そのようなドメインが同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインと結合することを避けるように、選択すること、またはアミノ酸置換によって改変することができる。
膜貫通ドメインは、天然の供給源または合成性の供給源のいずれに由来してもよい。供給源が天然である場合、ドメインは任意の膜結合タンパク質または膜貫通タンパク質に由来しうる。1つの局面において、膜貫通ドメインは、CARが標的と結合している時には常に、細胞内ドメインにシグナル伝達を行うことができる。本発明において特に有用な膜貫通領域は、T細胞受容体のα鎖、β鎖またはζ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154に由来しうる(すなわち、それらの少なくとも膜貫通領域を含む)。場合によっては、ヒトIg(免疫グロブリン)ヒンジを含む、種々のヒトヒンジも用いることができる。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、共刺激分子、例えば、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達性リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、OX40、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、4-1BB(CD137)、B7-H3、CDS、ICAM-1、ICOS(CD278)、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、およびCD83と特異的に結合するリガンドの、少なくとも膜貫通領域を含みうる。
場合によっては、膜貫通ドメインを、ヒンジ、例えば、ヒトタンパク質由来のヒンジを介して、CARの細胞外領域、例えば、CARの抗原結合ドメインと結びつけることができる。例えば、1つの態様において、ヒンジは、ヒトIg(免疫グロブリン)ヒンジ、例えば、IgG4ヒンジまたはCD8aヒンジであってよい。1つの態様において、ヒンジまたはスペーサーは、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を含む(例えば、それからなる)。1つの局面において、膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:6の膜貫通ドメインを含む(例えば、それからなる)。
1つの局面において、ヒンジまたはスペーサーは、IgG4ヒンジを含む。例えば、1つの態様において、ヒンジまたはスペーサーは、アミノ酸配列
のヒンジを含む。いくつかの態様において、ヒンジまたはスペーサーは、
のヌクレオチド配列によってコードされるヒンジを含む。
1つの局面において、ヒンジまたはスペーサーは、IgDヒンジを含む。例えば、1つの態様において、ヒンジまたはスペーサーは、アミノ酸配列
のヒンジを含む。いくつかの態様において、ヒンジまたはスペーサーは、
のヌクレオチド配列によってコードされるヒンジを含む。
1つの態様において、膜貫通ドメインは合成性であってもよく、この場合には、それは主としてロイシンおよびバリンなどの疎水性残基を含むと考えられる。好ましくは、フェニルアラニン、トリプトファンおよびバリンのトリプレットが合成性膜貫通ドメインの各末端に認められるであろう。
任意で、好ましくは長さが2〜10アミノ酸である短いオリゴペプチドリンカーまたはポリペプチドリンカーが、CARの膜貫通ドメインと細胞質シグナル伝達ドメインとの間の連結部を形成してもよい。グリシン-セリンのダブレットが、特に適したリンカーをもたらす。例えば、1つの局面において、リンカーは
のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、リンカーは
のヌクレオチド配列によってコードされる。
1つの局面において、ヒンジまたはスペーサーは、KIR2DS2ヒンジを含む。
細胞質ドメイン
本発明のCARの細胞質ドメインは、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。本発明のCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、一般に、CARが導入された免疫細胞の正常エフェクター機能のうち少なくとも1つの活性化を担う。
本発明のCARに用いるための細胞内シグナル伝達ドメインの例には、抗原受容体の係合後にシグナル伝達を開始するために協調して作用するT細胞受容体(TCR)および共受容体の細胞質配列、ならびに同じ機能的能力を有する、これらの配列のあらゆる誘導体または変異体およびあらゆる合成配列が含まれる。
TCRのみによって生成されるシグナルは、T細胞の完全な活性化のためには不十分であり、二次刺激シグナルまたは共刺激シグナルも必要なことが知られている。それ故に、T細胞活性化は、TCRを介して抗原依存性一次活性化を開始するもの(一次細胞内シグナル伝達ドメイン)および抗原非依存的様式で作用して二次刺激シグナルまたは共刺激シグナルを与えるもの(二次細胞質ドメイン、例えば、共刺激シグナル伝達ドメイン)という、2つの別個のクラスの細胞質シグナル伝達配列によって媒介されると言うことができる。
一次細胞内シグナル伝達ドメインは、TCR複合体の一次活性化を、刺激様式または阻害様式のいずれかで調節する。刺激様式で作用する一次細胞質シグナル伝達配列は、免疫受容体チロシン活性化モチーフまたはITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含みうる。
本発明において特に有用な、ITAM含有一次細胞質シグナル伝達配列の例には、TCRζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b、FcεRI、DAP10、DAP12、およびCD66dに由来するものが含まれる。1つの態様において、本発明のCARは、細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3-ζの一次シグナル伝達ドメインを含む。
1つの態様において、一次シグナル伝達ドメインは、ネイティブ性ITAMドメインと比較して活性が改変された(例えば、上昇または低下した)ITAMドメイン、例えば、突然変異したITAMドメインを含む。1つの態様において、一次シグナル伝達ドメインは、改変されたITAM含有一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、最適化および/または短縮されたITAM含有一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む。1つの態様において、一次シグナル伝達ドメインは、1つ、2つ、3つ、4つまたはそれを上回るITAMモチーフを含む。
本発明において特に有用な、一次細胞内シグナル伝達ドメインを含む分子のさらなる例には、DAP10、DAP12、およびCD32のものが含まれる。
1つの態様において、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3-ζシグナル伝達ドメインを単独で含んでもよく、またはそれを、本発明のCARに関連して有用な、他の任意の所望の細胞内シグナル伝達ドメインと組み合わせることもできる。例えば、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ζ鎖部分、および共刺激シグナル伝達ドメインを含みうる。共刺激シグナル伝達ドメインとは、共刺激分子の細胞内ドメインを含む、CARの一部分のことを指す。共刺激分子とは、抗原に対するリンパ球の効率的な応答のために必要な、抗原受容体またはそのリガンド以外の細胞表面分子のことである。そのような分子の例には、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達性リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、OX40、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、4-1BB(CD137)、B7-H3、CDS、ICAM-1、ICOS(CD278)、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、およびCD83と特異的に結合するリガンドなどが含まれる。
例えば、CD27共刺激は、インビトロでヒトCART細胞の増殖、エフェクター機能および生存を強化し、かつインビボでヒトT細胞存続性を増強することが実証されている(Song et al. Blood. 2012;119(3):696-706)。本発明のCARの細胞質部分における細胞内シグナル伝達配列を、ランダムな順序または特定の順序で互いに連結してもよい。任意で、長さが2〜10アミノ酸(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9または10アミノ酸)である短いオリゴペプチドリンカーまたはポリペプチドリンカーが、細胞内シグナル伝達ドメインの間の連結部を形成してもよい。1つの態様において、グリシン-セリンのダブレットを、適したリンカーとして用いることができる。1つの態様において、単一のアミノ酸、例えば、アラニン、グリシンを、適したリンカーとして用いることができる。
1つの局面において、細胞内シグナル伝達ドメインは、2つまたはそれを上回る、例えば、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれを上回る共刺激シグナル伝達ドメインを含むように設計される。1つの態様において、2つまたはそれを上回る、例えば、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれを上回る共刺激シグナル伝達ドメインは、リンカー分子、例えば、本明細書に記載のリンカー分子によって隔てられている。1つの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、2つの共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、リンカー分子はグリシン残基である。いくつかの態様において、リンカーはアラニン残基である。
1つの局面において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3-ζのシグナル伝達ドメインおよびCD28のシグナル伝達ドメインを含むように設計される。1つの局面において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3-ζのシグナル伝達ドメインおよび4-1BBのシグナル伝達ドメインを含むように設計される。1つの局面において、4-1BBのシグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:7のシグナル伝達ドメインである。1つの局面において、CD3-ζのシグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:9(突然変異型CD3ζ)またはSEQ ID NO:10(野生型ヒトCD3ζ)のシグナル伝達ドメインである。
1つの局面において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3-ζのシグナル伝達ドメインおよびCD27のシグナル伝達ドメインを含むように設計される。1つの局面において、CD27のシグナル伝達ドメインは、
のアミノ酸配列を含む。1つの局面において、CD27のシグナル伝達ドメインは、
の核酸配列によってコードされる。
1つの局面において、細胞内は、CD3-ζのシグナル伝達ドメインおよびCD28のシグナル伝達ドメインを含むように設計される。1つの局面において、CD28のシグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:80のアミノ酸配列を含む。1つの局面において、CD28のシグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:81の核酸配列によってコードされる。
1つの局面において、細胞内は、CD3-ζのシグナル伝達ドメインおよびICOSのシグナル伝達ドメインを含むように設計される。1つの局面において、CD28のシグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:82のアミノ酸配列を含む。1つの局面において、ICOSのシグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:83の核酸配列によってコードされる。
1つの局面において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、第2のCARをさらに含むことができ、例えば、異なる抗原結合ドメインを含む、例えば同じ標的(GFRα4)または異なる標的に対する第2のCARをさらに含むことができる。1つの態様において、第2のCARは、甲状腺髄様癌細胞上に発現される標的に対する抗原結合ドメインを含む。1つの態様において、CAR発現細胞は、第1の抗原と特異的に結合し、かつ共刺激シグナル伝達ドメインを有するが一次シグナル伝達ドメインは有しない細胞内シグナル伝達ドメインを含む第1のCAR、および、第2の異なる抗原と特異的に結合し、かつ一次シグナル伝達ドメインを有するが共刺激シグナル伝達ドメインは有しない細胞内シグナル伝達ドメインを含む第2のCARを含む。理論に拘束されることは望まないが、第1のCAR上の共刺激シグナル伝達ドメイン、例えば、4-1BB、CD28、CD27、ICOSまたはOX-40の配置、および第2のCAR上の一次シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ζの配置は、両方の標的が発現される細胞に対するCAR活性を制限する恐れがある。1つの態様において、CARを発現する細胞は、GFRα4結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび共刺激ドメインを含む第1のGFRα4 CAR、ならびにGFRα4以外の抗原と特異的に結合する第2のCARを含む。
1つの態様において、CAR発現細胞は、本明細書に記載のGFRα4CARおよび阻害性CARを含む。1つの態様において、阻害性CARは、正常細胞上、例えば、GFRα4も発現する正常細胞上には認められるが癌細胞上には認められない抗原と結合する抗原結合ドメインを含む。1つの態様において、阻害性CARは、阻害分子の抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含む。例えば、阻害性CARの細胞内ドメインは、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3および/またはCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシン、およびTGFRβの細胞内ドメインであってよい。
1つの態様において、CAR発現細胞が2種類以上の異なるCARを含む場合、異なるCARの抗原結合ドメインは、抗原結合ドメインが互いに相互作用しないようなものでありうる。例えば、第1および第2のCARを発現する細胞は、第1のCARの抗原結合ドメインを、第2のCARの抗原結合ドメイン、例えば、VHHである第2のCARの抗原結合ドメインとの結合を形成しない、例えば、フラグメント、例えばscFvとして有しうる。
いくつかの態様において、抗原結合ドメインは、相補性決定領域が単一ドメインポリペプチドの一部である分子を含む、単一ドメイン抗原結合(SDAB)分子を含む。その例には、重鎖可変ドメイン、軽鎖を天然に欠く結合分子、従来の4鎖抗体に由来する単一ドメイン、操作されたドメイン(engineered domain)および、抗体に由来するもの以外の単一ドメインスカフォールドが非限定的に含まれる。SDAB分子は、当技術分野の任意のもの、または任意の将来的な単一ドメイン分子であってよい。SDAB分子は、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、ヤツメウナギ、魚類、サメ、ヤギ、ウサギ、およびウシ科動物を非限定的に含む、あらゆる種に由来しうる。この用語はまた、ラクダ科動物(Camelidae)およびサメ類以外の種に由来する、天然に存在する単一ドメイン抗体分子も含む。
1つの局面において、SDAB分子は、例えば、サメの血清中に見られる新規抗原受容体(NAR)として知られる免疫グロブリンアイソタイプの可変領域に由来するもののように、魚類に見られる免疫グロブリンの可変領域に由来しうる。NARの可変領域に由来する単一ドメイン分子(「IgNAR」)を作製する方法は、WO 03/014161号およびStreltsov (2005) Protein Sci. 14:2901-2909に記載されている。
もう1つの局面によれば、SDAB分子は、軽鎖を欠く重鎖として知られる、天然に存在する単一ドメイン抗原結合分子に由来しうる。そのような単一ドメイン分子は、例えば、WO 9404678号およびHamers-Casterman, C. et al. (1993) Nature 363:446-448に開示されている。明確にするために、軽鎖を天然に欠く重鎖分子に由来するこの可変ドメインは、それを4鎖免疫グロブリンの従来のVHと区別するために、本明細書ではVHHまたはナノボディとして認識される。そのようなVHH分子は、ラクダ科動物種、例えばラクダ、ラマ、ヒトコブラクダ、アルパカおよびグアナコに由来しうる。ラクダ科動物以外の他の種も、軽鎖を天然に欠く重鎖分子を産生する可能性がある;そのようなVHHは本発明の範囲に含まれる。
SDAB分子は、組換え、CDRグラフティング、ヒト化、ラクダ化、脱免疫(de-immunized)および/またはインビトロ作製(例えば、ファージディスプレイによる選択)が行われたものであってよい。
受容体の抗原結合ドメインと相互作用する抗原結合ドメインを含む複数の膜埋め込みキメラ受容体を有する細胞は、例えば、抗原結合ドメインの1つまたは複数がそのコグネイト抗原と結合する能力をそれが阻害することから、望ましくないことも発見されている。このため、そのような相互作用を最小限に抑える抗原結合ドメインを含む、第1および第2の天然には存在しないキメラ性膜埋め込み受容体を有する細胞が、本明細書において開示される。また、そのような相互作用を最小限に抑える抗原結合ドメインを含む第1および第2の天然には存在しないキメラ性膜埋め込み受容体をコードする核酸、ならびにそのような細胞および核酸の作製および使用の方法も、本明細書において開示される。1つの態様において、前記第1、前記第2の天然には存在しないキメラ性膜埋め込み受容体の一方の抗原結合ドメインはscFvを含み、もう一方は、単一のVHドメイン、例えば、ラクダ科動物、サメもしくはヤツメウナギの単一のVHドメイン、またはヒト配列もしくはマウス配列に由来する単一のVHドメインを含む。
いくつかの態様において、特許請求される発明は第1および第2のCARを含み、ここで前記第1のCAR前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、可変軽鎖ドメインおよび可変重鎖ドメインを含まない。いくつかの態様において、前記第1のCAR前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインはscFvであり、もう一方はscFvではない。いくつかの態様において、前記第1のCAR前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインは単一のVHドメイン、例えば、ラクダ科動物、サメもしくはヤツメウナギの単一のVHドメイン、またはヒト配列もしくはマウス配列に由来する単一のVHドメインを含む。いくつかの態様において、前記第1のCAR前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、ナノボディを含む。いくつかの態様において、前記第1のCAR前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインは、ラクダ科動物VHHドメインを含む。
いくつかの態様において、前記第1のCAR前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインはscFvを含み、もう一方は、単一のVHドメイン、例えば、ラクダ科動物、サメもしくはヤツメウナギの単一のVHドメイン、またはヒト配列もしくはマウス配列に由来する単一のVHドメインを含む。いくつかの態様において、前記第1のCAR前記第2のCARの一方の抗原結合ドメインはscFvを含み、もう一方はナノボディを含む。いくつかの態様において、第1のCARまたは第2のCARの一方の抗原結合ドメインはscFvを含み、もう一方はラクダ科動物VHHドメインを含む。
いくつかの態様において、細胞の表面に存在する場合、前記第1のCARの抗原結合ドメインのそのコグネイト抗原に対する結合は、前記第2のCARの存在によって実質的に減少しない。いくつかの態様において、前記第2のCARの存在下における前記第1のCARの抗原結合ドメインのそのコグネイト抗原に対する結合は、前記第2のCARの非存在下における前記第1のCARの抗原結合ドメインのそのコグネイト抗原に対する結合の85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%である。
いくつかの態様において、細胞の表面に存在する場合に、前記第1のCAR前記第2のCARの抗原結合ドメインが互いに結合するのは、両方がscFv抗原結合ドメインである場合よりも少ない。いくつかの態様において、前記第1のCAR前記第2のCARの抗原結合ドメインが互いに結合するのは、両方がscFv抗原結合ドメインである場合よりも85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%少ない。
もう1つの局面において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、別の作用物質、例えば、CAR発現細胞の活性を強化する作用物質をさらに発現することができる。例えば、1つの態様において、作用物質は、阻害分子を阻害する作用物質であってよい。阻害分子、例えば、PD1は、いくつかの態様において、CAR発現細胞が免疫エフェクター応答を開始させる能力を低下させる。阻害分子の例には、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3および/またはCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシン、およびTGFRβが含まれる。1つの態様において、阻害分子を阻害する作用物質は、細胞に正のシグナルを与える第2のポリペプチド、例えば、本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメインに結合した、第1のポリペプチド、例えば阻害分子を含む。1つの態様において、作用物質は、例えば、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3および/またはCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシン、およびTGFRβなどの阻害分子またはこれらのいずれかのフラグメント(例えば、これらのいずれかの細胞外ドメインの少なくとも一部分)である第1のポリペプチド、ならびに本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメインである第2のポリペプチド(例えば、共刺激ドメイン(例えば、例えば本明細書に記載するような4-1BB、CD27、ICOSまたはCD28)および/または一次シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載のCD3ζシグナル伝達ドメインを含む)を含む。1つの態様において、作用物質は、PD1またはそのフラグメント(例えば、PD1の細胞外ドメインの少なくとも一部分)である第1のポリペプチド、および本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載のCD28シグナル伝達ドメインおよび/または本明細書に記載のCD3ζシグナル伝達ドメイン)である第2のポリペプチドを含む。複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられるWO 2013/019615号に記載されたような、スイッチ共刺激受容体を含む。PD1は、CD28ファミリーの受容体の阻害性メンバーの1つであり、このファミリーにはCD28、CTLA-4、ICOS、およびBTLAも含まれる。PD-1は、活性化されたB細胞、T細胞および骨髄性細胞上に発現される(Agata et al. 1996 Int. Immunol 8:765-75)。PD1に対する2種類のリガンドであるPD-L1およびPD-L2は、PD1と結合するとT細胞活性化をダウンレギュレートすることが示されている(Freeman et a. 2000 J Exp Med 192:1027-34;Latchman et al. 2001 Nat Immunol 2:261-8;Carter et al. 2002 Eur J Immunol 32:634-43)。PD-L1は、ヒトの癌に大量に存在する(Dong et al. 2003 J Mol Med 81:281-7;Blank et al. 2005 Cancer Immunol. Immunother 54:307-314;Konishi et al. 2004 Clin Cancer Res 10:5094)。PD1とPD-L1の局所相互作用を阻害することによって、免疫抑制を好転させられる可能性がある。
1つの態様において、作用物質は、阻害分子、例えば、Programmed Death 1(PD1)の細胞外ドメイン(ECD)を含み、膜貫通ドメインならびに41BBおよびCD3ζなどの細胞内シグナル伝達ドメインと融合させることができる(本明細書ではPD1 CARとも称する)。1つの態様において、PD1 CARは、本明細書に記載のGFRα4 CARと組み合わせて用いると、CAR発現細胞、例えば、T細胞またはNK細胞の存続性を向上させる。1つの態様において、CARは、SEQ ID NO:24に下線を付して指し示しているPD1の細胞外ドメインを含むPD1 CARである。1つの態様において、PD1 CARは、SEQ ID NO:24のアミノ酸配列を含む。
1つの態様において、PD1 CARは、以下に提示するアミノ酸配列を含む(SEQ ID NO:22)。
1つの態様において、作用物質は、PD1 CAR、例えば、本明細書に記載のPD1 CARをコードする核酸配列を含む。1つの態様において、PD1 CARの核酸配列は以下に示されており、以下のSEQ ID NO:23においてPD1 ECDには下線を付している。
もう1つの局面において、本発明は、CAR発現細胞、例えば、CART細胞またはCAR発現NK細胞の集団を提供する。いくつかの態様において、CAR発現細胞の集団は、複数の異なるCARを発現する細胞の混合物を含む。例えば、1つの態様において、CAR発現細胞(例えば、CART細胞またはCAR発現NK細胞)の集団は、本明細書に記載のGFRα4結合ドメインを有するCARを発現する第1の細胞、および異なるGFRα4結合ドメイン、例えば、第1の細胞によって発現されるCARにおけるGFRα4結合ドメインとは異なる本明細書に記載のGFRα4結合ドメインを有するCARを発現する第2の細胞を含みうる。もう1つの例として、CAR発現細胞の集団は、例えば本明細書に記載されるGFRα4結合ドメインを含むCARを発現する第1の細胞、およびGFRα4以外の標的に対する抗原結合ドメインを含むCARを発現する第2の細胞を含みうる。1つの態様において、CAR発現細胞の集団は、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインを含むCARを発現する第1の細胞、および二次シグナル伝達ドメイン、例えば、共刺激シグナル伝達ドメインを含むCARを発現する第2の細胞を含む。
もう1つの局面において、本発明は、集団内の少なくとも1つの細胞が、本明細書に記載のGFRα4ドメインを有するCARを発現し、第2の細胞が別の作用物質、例えば、CAR発現細胞の活性を強化する作用物質を発現する、細胞の集団を提供する。例えば、1つの態様において、作用物質は、阻害分子を阻害する作用物質であってよい。阻害分子は、例えば、いくつかの態様において、CAR発現細胞が免疫エフェクター応答を開始させる能力を低下させることができる。阻害分子の例には、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3および/またはCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシン、およびTGFRβが含まれる。1つの態様において、阻害分子を阻害する作用物質は、細胞に正のシグナルを与える第2のポリペプチド、例えば、本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメインに結合した、第1のポリペプチド、例えば阻害分子を含む。1つの態様において、作用物質は、例えば、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3および/またはCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシン、およびTGFRβなどの阻害分子またはこれらのいずれかのフラグメント(例えば、これらのいずれかの細胞外ドメインの少なくとも一部分)である第1のポリペプチド、ならびに本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメインである第2のポリペプチド(例えば、共刺激ドメイン(例えば、例えば本明細書に記載するような4-1BB、CD27 ICOSまたはCD28)および/または一次シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載のCD3ζシグナル伝達ドメインを含む)を含む。1つの態様において、作用物質は、PD1またはそのフラグメント(例えば、PD1の細胞外ドメインの少なくとも一部分)である第1のポリペプチド、および本明細書に記載の細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、本明細書に記載のCD28シグナル伝達ドメインおよび/または本明細書に記載のCD3ζシグナル伝達ドメイン)である第2のポリペプチドを含む。
1つの局面において、本発明は、CAR発現細胞(例えば、CART細胞またはCAR発現NK細胞)の集団、例えば、複数の異なるCARを発現する細胞の混合物を、別の作用物質、例えば、本明細書に記載のキナーゼ阻害薬などのキナーゼ阻害薬と組み合わせて投与する段階を含む方法を提供する。もう1つの局面において、本発明は、細胞の集団を投与する段階を含む方法であって、集団内の少なくとも1つの細胞が、本明細書に記載するような抗癌関連抗原結合ドメインを有するCARを発現し、第2の細胞が、別の作用物質、例えば、CAR発現細胞の活性を強化する作用物質を、別の作用物質、例えば、本明細書に記載のキナーゼ阻害薬などのキナーゼ阻害薬と組み合わせて発現する方法を提供する。
ナチュラルキラー細胞受容体(NKR)CAR
1つの態様において、本明細書に記載のCAR分子は、ナチュラルキラー細胞受容体(NKR)の1つまたは複数の構成要素を含み、それによってNKR-CARを形成する。NKR構成要素は、以下のナチュラルキラー細胞受容体のいずれかに由来する膜貫通ドメイン、ヒンジドメイン、または細胞質ドメインであってよい:キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)、例えば、KIR2DL1、KIR2DL2/L3、KIR2DL4、KIR2DL5A、KIR2DL5B、KIR2DS1、KIR2DS2、KIR2DS3、KIR2DS4、DIR2DS5、KIR3DL1/S1、KIR3DL2、KIR3DL3、KIR2DP1、およびKIR3DP1;ナチュラル細胞傷害作用(natural cyotoxicity)受容体(NCR)、例えば、NKp30、NKp44、NKp46;シグナル伝達性リンパ球活性化分子(SLAM)ファミリーの免疫細胞受容体、例えば、CD48、CD229、2B4、CD84、NTB-A、CRACC、BLAMEおよびCD2F-10;Fc受容体(FcR)、例えば、CD16およびCD64;ならびにLy49受容体、例えば、LY49A、LY49C。本明細書に記載のNKR-CAR分子は、アダプター分子または細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、DAP12と相互作用することができる。NKR構成要素を含むCAR分子の例示的な構成および配列は、国際公開第WO 2014/145252号に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み入れられる。
キメラ抗原受容体を調節するための戦略
CAR活性を調節することのできる手法は数多くある。いくつかの態様においては、CAR活性を制御することのできる調節可能CAR(RCAR)が、CAR療法の安全性および有効性を最適化するために望ましい。例えば、例えばカスパーゼと融合させた二量体化ドメインを用いてアポトーシスを誘導すること(例えば、Di et al., N Engl. J. Med. 2011 Nov. 3;365(18):1673-1683を参照)を、CAR療法における本発明の安全性スイッチとして用いることができる。もう1つの例において、CAR発現細胞は、二量体化薬(例えば、リミデュシド(rimiducid)(AP1903(Bellicum Pharmaceuticals)またはAP20187(Ariad)とも呼ばれる)が投与されると、カスパーゼ-9の活性化および細胞のアポトーシスを導く誘導性カスパーゼ-9(iCaspase-9)分子も発現することができる。iCaspase-9分子は、CIDの存在下において二量体化を媒介する二量体化(CID)結合ドメインの化学誘導物質を含む。これはCAR発現細胞の誘導性かつ選択的な枯渇を生じさせる。場合によっては、iCaspase-9分子は、CARをコードするベクターとは別の核酸分子によってコードされる。場合によっては、iCaspase-9分子は、CARをコードするベクターと同一の核酸分子によってコードされる。iCaspase-9は、CAR発現細胞のあらゆる毒性を避けるための安全性スイッチをもたらしうる。例えば、Song et al. Cancer Gene Ther. 2008;15(10):667-75;Clinical Trial Id. No. NCT02107963;およびDi Stasi et al. N. Engl. J. Med. 2011;365:1673-83を参照されたい。
本発明のCAR療法を調節するための代替的な戦略には、例えば、例えば抗体依存性細胞媒介性細胞傷害作用(ADCC)を誘導することによってCAR発現細胞を除去することによりCAR活性を非活性化するかまたは遮断する、小分子または抗体を利用することが含まれる。例えば、本明細書に記載のCAR発現細胞は、細胞死、例えば、ADCCまたは補体誘導性(compliment-induced)細胞死を誘導することのできる分子によって認識される抗原も発現しうる。例えば、本明細書に記載のCAR発現細胞は、抗体または抗体フラグメントによる標的となりうる受容体も発現しうる。そのような受容体の例には、EpCAM、VEGFR、インテグリン(例えば、インテグリンανβ3、α4、αI3/4β3、α4β7、α5β1、ανβ3、αν)、TNF受容体スーパーファミリーのメンバー(例えば、TRAIL-R1、TRAIL-R2)、PDGF受容体、インターフェロン受容体、葉酸受容体、GPNMB、ICAM-1、HLA-DR、CEA、CA-125、MUC1、TAG-72、IL-6受容体、5T4、GD2、GD3、CD2、CD3、CD4、CD5、CD11、CD11/LFA-1、CD15、CD18/ITGB2、CD19、CD20、CD22、CD23/lgE受容体、CD25、CD28、CD30、CD33、CD38、CD40、CD41、CD44、CD51、CD52、CD62L、CD74、CD80、CD125、CD147/ベイシジン、CD152/CTLA-4、CD154/CD40L、CD195/CCR5、CD319/SLAMF7、およびEGFR、ならびにそれらの短縮バージョン(例えば、1つまたは複数の細胞外エピトープは保持しているが、細胞質ドメイン内の1つまたは複数の領域を欠いているバージョン)が含まれる。例えば、本明細書に記載のCAR発現細胞が、シグナル伝達能力を欠くが、ADCCを誘導することのできる分子、例えば、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))によって認識されるエピトープは保っている短縮型上皮増殖因子受容体(EGFR)も発現してもよく、その結果、セツキシマブの投与により、CAR発現細胞のADCCおよびその後の枯渇が誘導される(例えば、WO 2011/056894およびJonnalagadda et al., Gene Ther. 2013;20(8)853-860号)。もう1つの戦略は、リツキシマブと結合して、例えばADCCによるCAR発現細胞の選択的枯渇を生じさせる、本明細書に記載のCAR発現細胞におけるCD32抗原およびCD20抗原の両方に由来する標的エピトープを組み合わせた超小型マーカー/自殺遺伝子を発現させることである(例えば、Philip et al., Blood. 2014;124(8)1277-1287を参照)。本明細書に記載のCAR発現細胞を枯渇させるための他の方法には、例えばADCCを誘導することによる破壊のための、成熟リンパ球、例えばCAR発現細胞と選択的に結合しかつそれを標的とするモノクローナル抗CD52抗体の1つであるキャンパス(CAMPATH)の投与が含まれる。他の態様においては、CAR発現細胞を、CARリガンド、例えば、抗イディオタイプ抗体を用いて選択的に標的化することができる。いくつかの態様において、抗イディオタイプ抗体は、エフェクター細胞活性、例えば、ADCC活性またはADC活性を引き起こして、それによってCAR発現細胞の数を減少させることができる。他の態様において、CARリガンド、例えば抗イディオタイプ抗体を、細胞死滅を誘導する作用物質、例えば毒素と結び合わせて、それによってCAR発現細胞の数を減少させることができる。または、CAR分子自体を、以下に記載するように、活性を調節しうるように、例えば、オンおよびオフにできるように、構成することもできる。
いくつかの態様において、RCARは、最も単純な態様において典型的には2ポリペプチドのセットを含み、そこでは本明細書に記載の標準的なCARの構成要素、例えば、抗原結合ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインが、別々のポリペプチドまたはメンバー上に分配されている。いくつかの態様において、ポリペプチドのセットは、二量体化分子が存在すると、それらのポリペプチドを互いに結び合わせることができる、例えば、抗原結合ドメインを細胞内シグナル伝達ドメインと結び合わせることができる、二量体化スイッチを含む。そのような調節可能CARのそのほかの説明および例示的な構成は、本明細書および国際公開第WO 2015/090229において提供されており、それらはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
1つの局面において、RCARは、次の2つのポリペプチドまたはメンバーを含む:(1)細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、本明細書に記載の一次細胞内シグナル伝達ドメイン、および第1のスイッチドメインを含む、細胞内シグナル伝達メンバー;(2)例えば、本明細書に記載するような、本明細書に記載の腫瘍抗原と特異的に結合する抗原結合ドメイン、および第2のスイッチドメインを含む、抗原結合メンバー。任意で、RCARは本明細書に記載の膜貫通ドメインを含む。1つの態様において、膜貫通ドメインは、細胞内シグナル伝達メンバー上、抗原結合メンバー上、またはその両方の上に配することができる(特に指定がない限り、RCARのメンバーまたは構成要素が本明細書に記載される場合、その順序は提示された通りであってもよいが、他の順序も同様に含まれる。換言すれば、1つの態様において、順序は本文中に述べられている通りであるが、他の態様において、順序は異なってよい。例えば、膜貫通領域の一方の側の構成要素の順序が例と異なってもよく、例えば、細胞内シグナル伝達ドメインに対するスイッチドメインの配置が異なってもよく、例えば、逆であってもよい)。
1つの態様において、第1および第2のスイッチドメインは、細胞内または細胞外の二量体化スイッチを形成することができる。1つの態様において、二量体化スイッチは、例えば第1および第2のスイッチドメインが同じである、ホモ二量体化スイッチ、または、例えば第1および第2のスイッチドメインが互いに異なる、ヘテロ二量体化スイッチであってよい。
複数の態様において、RCARは、「マルチスイッチ(multi switch)」を含みうる。マルチスイッチは、複数のヘテロ二量体化スイッチドメインまたはホモ二量体化スイッチドメインを含むことができる。マルチスイッチは、第1のメンバー、例えば、抗原結合メンバー上にある、独立した、複数の、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたは10のスイッチドメイン、および第2のメンバー、例えば、細胞内シグナル伝達メンバーを含む。1つの態様において、第1のメンバーは、複数の第1のスイッチドメイン、例えば、FKBPベースのスイッチドメインを含むことができ、第2のメンバーは、複数の第2のスイッチドメイン、例えば、FRBベースのスイッチドメインを含むことができる。1つの態様において、第1のメンバーは、第1および第2のスイッチドメイン、例えば、FKBPベースのスイッチドメインおよびFRBベースのスイッチドメインを含むことができ、第2のメンバーは、第1および第2のスイッチドメイン、例えば、FKBPベースのスイッチドメインおよびFRBベースのスイッチドメインを含むことができる。
1つの態様において、細胞内シグナル伝達メンバーは、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、および1つまたは複数の共刺激シグナル伝達ドメインを含む。
1つの態様において、抗原結合メンバーは、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、1つまたは複数の共刺激シグナル伝達ドメインを含みうる。1つの態様において、抗原結合メンバーは、例えば、4-1BB、CD28、CD27、ICOSおよびOX40から選択される、複数の、例えば2つまたは3つの、本明細書に記載の共刺激シグナル伝達ドメインを含み、複数の態様においては、一次細胞内シグナル伝達ドメインを全く含まない。1つの態様において、抗原結合メンバーは、細胞外から細胞内の向きに、以下の共刺激シグナル伝達ドメインを含む:4-1BB-CD27;4-1BB-CD27;CD27-4-1BB;4-1BB-CD28;CD28-4-1BB;OX40-CD28;CD28-OX40;CD28-4-1BB;または4-1BB-CD28。そのような態様において、細胞内結合メンバーはCD3ζドメインを含む。1つのそのような態様において、RCARは、(1)抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および2つの共刺激ドメイン、および第1のスイッチドメインを含む抗原結合メンバー;ならびに(2)膜貫通ドメインまたは膜係留ドメイン、および少なくとも1つの一次細胞内シグナル伝達ドメイン、および第2のスイッチドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメイン、を含む。
1つの態様は、抗原結合メンバーがCAR細胞の表面に係留されていないRCARを提供する。これにより、細胞内シグナル伝達メンバーを有する細胞を、抗原結合メンバーをコードする配列によって細胞の形質転換を行うことなしに、1つまたは複数の抗原結合ドメインと好都合に対にすることが可能になる。そのような態様において、RCARは、以下を含む:(1)第1のスイッチドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、および第1のスイッチドメインを含む、細胞内シグナル伝達メンバー;ならびに(2)抗原結合ドメイン、および第2のスイッチドメインを含み、抗原結合メンバーが膜貫通ドメインも膜係留ドメインも含まず、任意で細胞内シグナル伝達ドメインも含まない、抗原結合メンバー。いくつかの態様において、RCARは、(3)第2の抗原結合ドメイン、例えば、抗原結合ドメインによる結合を受けるものとは異なる抗原と結合する第2の抗原結合ドメイン;および第2のスイッチドメインを含む、第2の抗原結合メンバーを、さらに含んでもよい。
抗原結合メンバーが二重特異性活性化および標的化の能力を含むRCARも、本明細書において提供される。この態様において、抗原結合メンバーは、複数の、例えば、2つ、3つ、4つまたは5つの抗原結合ドメイン、例えばscFvを含み、ここで各抗原結合ドメインは、標的抗原、例えば、異なる抗原または同じ抗原、例えば、同じ抗原上の同じまたは異なるエピトープと結合する。1つの態様において、複数の抗原結合ドメインは縦列をなしており、任意で、リンカーまたはヒンジ領域が、抗原結合ドメインのそれぞれの間に配される。適したリンカーおよびヒンジ領域は、本明細書において記載されている。
1つの態様は、増殖の切り換えを可能にする構成を有するRCARを提供する。この態様において、RCARは、(1)任意的な膜貫通ドメインまたは膜係留ドメイン;例えば、4-1BB、CD28、CD27、ICOSおよびOX40から選択される、1つまたは複数の共刺激シグナル伝達ドメイン、およびスイッチドメインを含む、細胞内シグナル伝達メンバー;ならびに2)抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および一次細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、CD3ζドメインを含む抗原結合メンバーであって、スイッチドメインを含まないか、または細胞内シグナル伝達メンバー上のスイッチドメインと二量体化するスイッチドメインを含まない、抗原結合メンバー、を含む。1つの態様において、抗原結合メンバーは共刺激シグナル伝達ドメインを含まない。1つの態様において、細胞内シグナル伝達メンバーは、ホモ二量体化スイッチ由来のスイッチドメインを含む。1つの態様において、細胞内シグナル伝達メンバーは、ヘテロ二量体化スイッチの第1のスイッチドメインを含み、RCARは、ヘテロ二量体化スイッチの第2のスイッチドメインを含む第2の細胞内シグナル伝達メンバーを含む。そのような態様において、第2の細胞内シグナル伝達メンバーは、細胞内シグナル伝達メンバーと同じ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。1つの態様において、二量体化スイッチは細胞内にある。1つの態様において、二量体化スイッチは細胞外にある。
本明細書に記載のRCAR構成の任意のものにおいて、第1および第2のスイッチドメインは、本明細書に記載するようなFKBP-FRBベースのスイッチを含む。
本明細書に記載のRCARを含む細胞も、本明細書において提供される。RCARを発現するように操作されたあらゆる細胞を、RCARX細胞として用いることができる。1つの態様において、RCARX細胞はT細胞であり、RCART細胞と称される。1つの態様において、RCARX細胞はNK細胞であり、RCARN細胞と称される。
RCARをコードする配列を含む核酸およびベクターも、本明細書において提供される。RCARのさまざまな構成要素をコードする配列を、同一の核酸分子上、例えば、同一のプラスミドまたはベクター、例えばウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクター上に配することができる。1つの態様において、(i)抗原結合メンバーをコードする配列、および(ii)細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列は、同一の核酸、例えばベクター上に存在することができる。対応するタンパク質の産生は、例えば、別々のプロモーターの使用によって、または2シストロン性転写産物(これは、単一の翻訳産物の切断によって、または2つの別々のタンパク質産物の翻訳によって、2つのタンパク質の産生をもたらしうる)の使用によって達成することができる。1つの態様においては、切断可能ペプチドをコードする配列、例えば、P2A配列またはF2A配列を、(i)と(ii)の間に配する。1つの態様においては、IRES、例えば、EMCVまたはEV71 IRESをコードする配列を、(i)と(ii)の間に配する。これらの態様において、(i)および(ii)は単一のRNAとして転写される。1つの態様において、第1のプロモーターは(i)と機能的に連結されており、第2のプロモーターは(ii)と機能的に連結されており、その結果、(i)および(ii)は別々のmRNAとして転写される。
または、RCARのさまざまな構成要素をコードする配列を、異なる核酸分子上、例えば、異なるプラスミドまたはベクター、例えばウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクター上に配することもできる。例えば、(i)抗原結合メンバーをコードする配列は第1の核酸、例えば第1のベクター上に存在することができ、(ii)細胞内シグナル伝達メンバーをコードする配列は、第2の核酸、例えば第2のベクター上に存在することができる。
二量体化スイッチ
二量体化スイッチは、非共有結合性であっても共有結合性であってもよい。非共有結合性二量体化スイッチにおいて、二量体化分子は、スイッチドメイン間の非共有結合性相互作用を促進する。共有結合性二量体化スイッチにおいて、二量体化分子は、スイッチドメイン間の共有結合性相互作用を促進する。
1つの態様において、RCARは、FKBP/FRAPまたはFKBP/FRBベースの二量体化スイッチを含む。FKBP12(FKBPまたはFK506結合タンパク質)は、天然物である免疫抑制薬ラパマイシンの初期細胞内標的としての役を果たす、豊富に存在する細胞質タンパク質である。ラパマイシンは、FKBPおよび大型のPI3KホモログFRAP(RAFT、mTOR)と結合する。FRBは、FKBP-ラパマイシン複合体の結合のために十分な、FRAPの93アミノ酸部分である(Chen, J., Zheng, X. F., Brown, E. J. & Schreiber, S. L. (1995) Identification of an 11-kDa FKBP12-rapamycin-binding domain within the 289-kDa FKBP12-rapamycin-associated protein and characterization of a critical serine residue. Proc Natl Acad Sci U S A 92: 4947-51)。
複数の態様において、FKBP/FRAPベース、例えば、FKBP/FRBベースのスイッチは、二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパマイシン類似体を利用することができる。
複数の態様において、FKBPスイッチドメインは、ラパマイシンまたはラパログの存在下で、FRB、またはそのフラグメントもしくは類似体と結合する能力を有するFKBPのフラグメントを含むことができ、例えば、SEQ ID NO:
214の下線部分であり、それは以下である:
「FKBP/FRAPベース、例えば、FKBP/FRBベースのスイッチ」とは、この用語が本明細書で用いられる場合、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001の存在下で、FRB、またはそのフラグメントもしくは類似体と結合する能力を有するFKBPフラグメントまたはその類似体を含み、かつSEQ ID NO:214または215のFKBP配列に対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するか、またはそれとの違いが30個、25個、20個、15個、10個、5個、4個、3個、2個または1個のアミノ酸残基を上回らない、第1のスイッチドメイン;およびラパマイシンまたはラパログの存在下で、FRB、またはそのフラグメントもしくは類似体と結合する能力を有するFRBフラグメントまたはその類似体を含み、かつSEQ ID NO:216のFRB配列に対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するか、またはそれとの違いが30個、25個、20個、15個、10個、5個、4個、3個、2個または1個のアミノ酸残基を上回らない、第2のスイッチドメインを含む、二量体化スイッチのことを指す。1つの態様において、本明細書に記載のRCARは、SEQ ID NO:214(またはSEQ ID NO:215)に開示されたアミノ酸残基を含む1つのスイッチドメイン、およびSEQ ID NO:216に開示されたアミノ酸残基を含む1つのスイッチドメインを含む。
複数の態様において、FKBP/FRB二量体化スイッチは、FRBベースのスイッチドメイン、例えば、改変されたFRBスイッチドメイン、FKBPベースのスイッチドメインと、二量体化分子、例えば、ラパマイシンまたはラパログ、例えば、RAD001との間の複合体形成の改変、例えば強化を示す、改変されたFRBスイッチドメインを含む。1つの態様において、改変されたFRBスイッチドメインは、アミノ酸位置L2031、E2032、S2035、R2036、F2039、G2040、T2098、W2101、D2102、Y2105、およびF2108での突然変異から選択される、1個または複数の、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれを上回る突然変異を含み、ここで野生型アミノ酸は他の任意の天然のアミノ酸に突然変異している。1つの態様において、突然変異型FRBはE2032に突然変異を含み、ここでE2032は、フェニルアラニン(E2032F)、メチオニン(E2032M)、アルギニン(E2032R)、バリン(E2032V)、チロシン(E2032Y)、イソロイシン(E2032I)、例えば、SEQ ID NO:217、またはロイシン(E2032L)、例えば、SEQ ID NO:109に突然変異している。1つの態様において、突然変異型FRBはT2098に突然変異を含み、ここでT2098は、フェニルアラニン(T2098F)またはロイシン(T2098L)、例えば、SEQ ID NO:110に突然変異している。1つの態様において、突然変異型FRBはE2032およびT2098に突然変異を含み、ここでE2032は任意のアミノ酸に突然変異しており、T2098は任意のアミノ酸、例えば、SEQ ID NO:111に突然変異している。1つの態様において、突然変異型FRBは、E2032IおよびT2098Lの突然変異、例えば、SEQ ID NO:112を含む。1つの態様において、突然変異型FRBは、E2032LおよびT2098Lの突然変異、例えば、SEQ ID NO:113を含む。
(表3)二量体化分子に対する親和性が増大している例示的な突然変異型FRB
他の適した二量体化スイッチには、GyrB-GyrBベースの二量体化スイッチ、ジベレリンベースの二量体化スイッチ、タグ/バインダー二量体化スイッチおよびハロタグ(halo-tag)/スナップタグ(snap-tag)二量体化スイッチが含まれる。本明細書において提供される手引きに従えば、そのようなスイッチおよび適切な二量体化分子は当業者には明らかであろう。
二量体化分子
スイッチドメイン間の結合は、二量体化分子によって促進される。二量体化分子の存在下におけるスイッチドメイン間の相互作用または結合により、第1のスイッチドメインと結合した、例えば融合したポリペプチドと、第2のスイッチドメインと結合した、例えば融合したポリペプチドとの間のシグナル伝達が可能になる。非限定的なレベルの二量体化分子の存在下で、シグナル伝達は、例えば、本明細書に記載のシステムによる測定で、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、5倍、10倍、50倍、100倍に増加する。
ラパマイシンおよびラパマイシン類似体(時にはラパログとも称される)、例えば、RAD001は、本明細書に記載のFKBP/FRBベースの二量体化スイッチにおける二量体化分子として用いることができる。1つの態様において、二量体化分子は、ラパマイシン(シロリムス)、RAD001(エベロリムス)、ゾタロリムス、テムシロリムス、AP-23573(リダフォロリムス)、バイオリムスおよびAP21967から選択することができる。FKBP/FRBベースの二量体化スイッチに用いるのに適したそのほかのラパマイシン類似体は、「併用療法」と題する項目、または「低用量mTOR阻害薬との組み合わせ」と題する小項目において、さらに記載されている。
スプリットCAR
いくつかの態様において、CAR発現細胞はスプリットCARを用いる。スプリットCARアプローチは、公報WO 2014/055442号およびWO 2014/055657号にさらに詳細に記載されており、これらは参照により本明細書に組み入れられる。手短に述べると、スプリットCARシステムは、第1の抗原結合ドメインおよび共刺激ドメイン(例えば、41BB)を有する第1のCARを発現する細胞を含み、この細胞はまた、第2の抗原結合ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ζ)を有する第2のCARも発現する。この細胞が第1の抗原に遭遇すると、共刺激ドメインが活性化されて、細胞は増殖する。この細胞が第2の抗原に遭遇すると、細胞内シグナル伝達ドメインが活性化されて、細胞死滅活性が開始される。このため、このCAR発現細胞は、両方の抗原の存在下で初めて完全に活性化される。1つの態様において、第1の抗原結合ドメインはGFRα4を認識し、例えば、本明細書に記載の抗原結合ドメインを含み、第2の抗原結合ドメインは、癌細胞上、例えば、甲状腺髄様癌上に発現される抗原を認識する。
安定性および突然変異
GFRα4結合ドメイン、例えばscFv分子(例えば、可溶性scFv)の安定性は、従来の対照scFv分子または完全長抗体の生物物理学的特性(例えば、熱安定性)を基準として評価することができる。1つの態様において、ヒトscFvは、記載されるアッセイにおいて、対照結合分子(例えば、従来のscFv分子)よりも約0.1℃、約0.25℃、約0.5℃、約0.75℃、約1℃、約1.25℃、約1.5℃、約1.75℃、約2℃、約2.5℃、約3℃、約3.5℃、約4℃、約4.5℃、約5℃、約5.5℃、約6℃、約6.5℃、約7℃、約7.5℃、約8℃、約8.5℃、約9℃、約9.5℃、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、または約15℃上回る熱安定性を有する。
GFRα4結合ドメイン、例えばscFvの熱安定性の向上は、ひいてはGFRα4 CAR構築物全体にも受け継がれ、GFRα4 CAR構築物の治療特性の向上につながる。GFRα4結合ドメイン、例えばscFvの熱安定性は、従来の抗体と比較して少なくとも約2℃または3℃向上させることができる。1つの態様において、GFRα4結合ドメイン、例えばscFvは、従来の抗体と比較して1℃向上した熱安定性を有する。もう1つの態様において、GFRα4結合ドメイン、例えばscFvは、従来の抗体と比較して2℃向上した熱安定性を有する。もう1つの態様において、scFvは、従来の抗体と比較して4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃向上した熱安定性を有する。比較は、例えば、本明細書において開示されるscFv分子と完全長抗体との間で行うことができる。熱安定性は、当技術分野において公知の方法を用いて測定することができる。例えば、1つの態様において、Tmを測定することができる。Tmを測定するための方法、およびタンパク質安定性を決定する他の方法については、以下にさらに詳細に述べる。
scFvにおける突然変異は、scFvの安定性を変化させ、scFvおよびGFRα4 CART構築物の全体的安定性を向上させる。ヒトscFvの安定性は、Tm、変性温度および凝集温度などの測定を用いて決定される。
突然変異型scFvの結合能力は、実施例に記載されたアッセイを用いて決定することができる。
1つの態様において、GFRα4結合ドメイン、例えばscFvは、突然変異したscFvがGFRα4 CAR構築物に対して安定性の向上を付与するような、少なくとも1つの突然変異を含む。もう1つの態様において、GFRα4結合ドメイン、例えばscFvは、突然変異したscFvがGFRα4 CAR構築物に対して安定性の向上を付与するような、ヒト化過程から生じた少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個の突然変異を含む。
タンパク質の安定性を評価する方法
抗原結合ドメインの安定性は、例えば、以下に記載する方法を用いて評価することができる。そのような方法は、最も安定性の低いドメインが最初にアンフォールディングするか、または協調してアンフォールディングする多ドメイン単位(例えば、単一のアンフォールディング転移を示す多ドメインタンパク質)の全体的安定性の閾値を限定するかのいずれかである、複数の熱アンフォールディング転移の測定を可能にする。最も安定性の低いドメインは、いくつかの追加的な手法において同定することができる。どのドメインが全体的安定性を限定しているかを探索するために、突然変異誘発を行うことができる。さらに、最も安定性の低いドメインが本来アンフォールディングしていることがDSCまたは他の分光法を通じて知られている条件下で、多ドメインタンパク質のプロテアーゼ耐性を調べることもできる(Fontana, et al., (1997) Fold. Des., 2: R17-26;Dimasi et al. (2009) J. Mol. Biol. 393: 672-692)。最も安定性の低いドメインが同定されたところで、このドメイン(またはその一部分)をコードする配列を、諸方法における被験配列として使用することができる。
a)熱安定性
組成物の熱安定性は、当技術分野において公知である、いくつかの非限定的な生物物理学的または生化学的な手法を用いて分析することができる。ある態様において、熱安定性は分光分析法によって評価される。
例示的な分光分析法の1つは、示差走査熱量測定法(DSC)である。DSCでは、ほとんどのタンパク質またはタンパク質ドメインのアンフォールディングに付随する熱吸収に対する感度の高い熱量計を使用する(例えば、Sanchez-Ruiz, et al., Biochemistry, 27: 1648-52, 1988を参照)。タンパク質の熱安定性を決定するためには、タンパク質の試料を熱量計に挿入して、FabまたはscFvがアンフォールディングするまで温度を上昇させる。タンパク質がアンフォールディングする温度により、全体的なタンパク質安定性が指し示される。
もう1つの例示的な分光分析法は、円二色性(CD)分光法である。CD分光測定法では、組成物の光学活性を、温度上昇の関数として測定する。円二色性(CD)分光法では、構造的非対称性に起因する左回り偏光と右回り偏光の吸収の差を測定する。無秩序構造またはアンフォールディングした構造では、秩序構造またはフォールディングした構造とは非常に異なるCDスペクトルが生じる。CDスペクトルは、温度上昇の変性効果に対するタンパク質の感受性を反映しており、それ故にタンパク質の熱安定性を指し示す(van Mierlo and Steemsma, J. Biotechnol., 79(3):281-98, 2000を参照)。
熱安定性を測定するためのもう1つの例示的な分光分析法は、蛍光分光法である(van Mierlo and Steemsma、前記を参照)。熱安定性を測定するためのさらにもう1つの例示的な分光分析法は、核磁気共鳴(NMR)分光法である(例えば、van Mierlo and Steemsma、前記を参照)。
組成物の熱安定性は、生化学的に測定することができる。熱安定性を評価するための例示的な生化学的方法は、熱負荷(thermal challenge)アッセイである。「熱負荷アッセイ」では、組成物を、ある設定期間にわたって、ある範囲の高温の下におく。例えば、1つの態様において、被験scFv分子またはscFv分子を含む被験分子を、例えば、1〜1.5時間にわたって、ある範囲の温度上昇下におく。続いて、タンパク質の活性を妥当な生化学的なアッセイによってアッセイする。例えば、タンパク質が結合性タンパク質(例えば、scFvまたはscFv含有ポリペプチド)である場合は、結合性タンパク質の結合活性を機能的または定量的なELISAによって決定することができる。
そのようなアッセイは、ハイスループット形式において、ならびに大腸菌およびハイスループットスクリーニングを用いる、実施例において開示されるものにおいて行うことができる。GFRα4結合ドメイン、例えばscFv変異体のライブラリーを、当技術分野において公知の方法を用いて作製する。GFRα4結合ドメイン、例えばscFvの発現を誘導して、GFRα4結合ドメイン、例えばscFvを熱負荷に供する。負荷を受けた被験試料を結合に関してアッセイし、安定なGFRα4結合ドメイン、例えばscFvを増加させて、特性決定をさらに行うことができる。
熱安定性は、上記の手法のいずれか(例えば、分光分析手法)を用いて、組成物の融解温度(Tm)を測定することによって評価される。融解温度とは、組成物の分子の50%がフォールディングした状態にある、熱転移曲線の中点における温度のことである(例えば、Dimasi et al. (2009) J. Mol Biol. 393: 672-692を参照)。1つの態様において、GFRα4結合ドメイン、例えばscFvに関するTm値は、約40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、80℃、81℃、82℃、83℃、84℃、85℃、86℃、87℃、88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃、94℃、95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、100℃である。1つの態様において、IgGに関するTm値は、約40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、80℃、81℃、82℃、83℃、84℃、85℃、86℃、87℃、88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃、94℃、95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、100℃である。1つの態様において、多価抗体に関するTm値は、約40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、80℃、81℃、82℃、83℃、84℃、85℃、86℃、87℃、88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃、94℃、95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、100℃である。
また、熱安定性は、熱量分析手法(例えば、DSC)を用いて、組成物の比熱または熱容量(Cp)を測定することによっても評価される。組成物の比熱は、1モルの水の温度を1℃上昇させるために必要なエネルギー(例えば、kcal/mol単位)である。Cpが大きいことは、変性したかまたは不活性なタンパク質組成物の顕著な特徴である。組成物の熱容量の変化(ΔCp)は、その熱転移の前および後に組成物の比熱を決定することによって測定される。また、熱安定性を、アンフォールディングのギブス自由エネルギー(ΔG)、アンフォールディングのエンタルピー(ΔH)、またはアンフォールディングのエントロピー(ΔS)を含む、熱力学的安定性の他のパラメーターを測定または決定することによって評価することもできる。上記の生化学的アッセイの1つまたは複数(例えば、熱負荷アッセイ)を用いて、組成物の50%がその活性(例えば、結合活性)を保つ温度(すなわち、TC値)を決定することができる。
加えて、GFRα4結合ドメイン、例えばscFvに対する突然変異は、GFRα4結合ドメイン、例えばscFvの熱安定性を、突然変異していないGFRα4結合ドメイン、例えばscFvと比較して変化させる。1つの態様において、GFRα4結合ドメイン、例えばscFvは、GFRα4結合ドメイン、例えばscFvに対して熱安定性を付与する単一の突然変異を含む。もう1つの態様において、GFRα4結合ドメイン、例えばscFvは、GFRα4結合ドメイン、例えばscFvに対して熱安定性を付与する複数の突然変異を含む。1つの態様において、GFRα4結合ドメイン、例えばscFvにおける複数の突然変異は、GFRα4結合ドメイン、例えばscFvの熱安定性に対して相加効果がある。
b)凝集率
組成物の安定性は、その凝集傾向を測定することによって決定することができる。凝集は、いくつかの限定されない生化学的または生物物理学的な手法によって測定することができる。例えば、組成物の凝集は、クロマトグラフィー、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて評価することができる。SECは分子をサイズに基づいて分離する。カラムには、イオンおよび小分子をその内部に受け入れるが大きなものは受け入れないポリマーゲルの半固体ビーズが充填される。タンパク質組成物がカラムの最上部に適用されると、密にフォールディングしたタンパク質(すなわち、非凝集性タンパク質)が、大きなタンパク質凝集物が利用しうるよりも大きな容積の溶媒を通って分布する。その結果、大きな凝集物はカラムを通ってより速く移動し、このようにして混合物をその構成成分に分離すること、または分画することができる。各画分を、それがゲルから溶出するのに伴って、別々に定量することができる(例えば、光散乱によって)。このため、組成物の凝集率は、画分の濃度を、ゲルに適用されたタンパク質の総濃度と比較することによって決定することができる。安定した組成物は本質的に単一の画分としてカラムから溶出し、溶出プロフィールまたはクロマトグラムにおいて本質的に単一のピークとして出現する。
c)結合親和性
組成物の安定性は、その標的結合親和性を決定することによって評価することができる。結合親和性を決定するための多種多様な方法が、当技術分野において公知である。結合親和性を決定するための例示的な方法の1つでは、表面プラズモン共鳴を使用する。表面プラズモン共鳴は、例えば、BIAcoreシステム(Pharmacia Biosensor AB, Uppsala, Sweden and Piscataway, N.J.)を用いるバイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化の検出によって、リアルタイムの生体特異的相互作用の分析を可能にする、光学現象の1つである。このほかの説明については、Jonsson, U., et al. (1993) Ann. Biol. Clin. 51:19-26;Jonsson, U., i (1991) Biotechniques 11:620-627;Johnsson, B., et al. (1995) J. Mol. Recognit. 8:125-131;およびJohnnson, B., et al. (1991) Anal. Biochem. 198:268-277を参照されたい。
1つの局面において、CARの抗原結合ドメインは、本明細書に記載の抗原結合ドメインアミノ酸配列と相同なアミノ酸配列を含み、該抗原結合ドメインは、本明細書に記載のGFRα4抗体フラグメントの所望の機能的特性を保っている。1つの具体的な局面において、本発明のCAR組成物は抗体フラグメントを含む。さらなる局面において、その抗体フラグメントはscFvを含む。
さまざまな局面において、CARの抗原結合ドメインは、一方または両方の可変領域(例えば、VHおよび/またはVL)内、例えば1つもしくは複数のCDR領域内および/または1つもしくは複数のフレームワーク領域内の、1つまたは複数のアミノ酸を改変することによって操作される。1つの具体的な局面において、本発明のCAR組成物は抗体フラグメントを含む。さらなる局面において、その抗体フラグメントはscFvを含む。
本発明の抗体または抗体フラグメントを、それらがアミノ酸配列の点では変わっているが(例えば、野生型から)、所望の活性の点では変わっていないようにさらに改変しうることは、当業者には理解されるであろう。例えば、「非必須」アミノ酸残基でのアミノ酸置換を招く追加的なヌクレオチド置換を、タンパク質に加えることができる。例えば、分子内の非必須アミノ酸残基を、同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸残基によって置き換えることができる。もう1つの態様において、アミノ酸の連鎖を、例えば、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基によって置き換えられる保存的置換が起こるように、側鎖ファミリーメンバーの順序および/または組成が異なる、構造的に類似した連鎖によって置き換えることもできる。
類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当技術分野において明確に定められており、これには、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β-分枝側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。
2つまたはそれを上回る核酸またはポリペプチド配列の文脈において、一致度(percent identity)とは、同じである2つまたはそれを上回る配列のことを指す。2つの配列は、以下の配列比較アルゴリズムの1つを用いるか、または手作業によるアラインメントおよび目視評価による測定で、比較ウィンドウまたは指示された領域にわたって最大の対応関係が得られるように比較およびアラインメントを行った場合に、2つの配列が、同じであるアミノ酸残基またはヌクレオチドを指定されたパーセンテージ(例えば、指定された領域にわたって、または指定されていない場合には配列全体にわたって、60%の同一性、任意で70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性)で有するならば、「実質的に同一」である。任意で、同一性は、長さが少なくとも約50ヌクレオチド(または10アミノ酸)であるかまたはそれを上回る領域にわたって、好ましくは長さが100〜500ヌクレオチドまたは1000ヌクレオチドまたはそれを上回る(または20アミノ酸、50アミノ酸、200アミノ酸もしくはそれを上回る)領域にわたって存在する。
配列比較のためには、典型的には、1つの配列を、被験配列と比較するための参照配列として利用する。配列比較アルゴリズムを用いる場合には、被験配列および参照配列をコンピュータに入力し、必要に応じて部分配列の座標を指定して、配列アルゴリズムプログラムのパラメーターを指定する。デフォールトのプログラムパラメーターを用いることができ、または代替的なパラメーターを指定することもできる。続いて、配列比較アルゴリズムが、プログラムのパラメーターに基づいて、参照配列を基準として被験配列の配列一致度を計算する。比較のための配列のアラインメントの方法は、当該技術分野において周知である。比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith and Waterman, (1970) Adv. Appl. Math. 2:482cの局所的相同性アルゴリズムにより、Needleman and Wunsch, (1970) J. Mol. Biol. 48:443の相同性アラインメントアルゴリズムにより、Pearson and Lipman, (1988) Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 85:2444の類似性検索法により、これらのアルゴリズムのコンピュータ・インプリメンテーション(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WI中のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)により、または手動アラインメントおよび目視検査(例えば、Brent et al., (2003) Current Protocols in Molecular Biologyを参照)により、行うことができる。
配列一致度および配列類似性を決定するのに適したアルゴリズムの2つの例は、それぞれAltschul et al., (1977) Nuc. Acids Res. 25:3389-3402;およびAltschul et al., (1990) J. Mol. Biol. 215:403-410に記載されている、BLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズムである。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、米国国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)を通じて公的に入手可能である。
また、2つのアミノ酸配列間の一致度を、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているE. Meyers and W. Miller, (1988) Comput. Appl. Biosci. 4:11-17)のアルゴリズムを用い、PAM120加重残基表(weight residue table)、ギャップ長ペナルティー12およびギャップペナルティー4を用いて決定することもできる。加えて、2つのアミノ酸配列間の一致度を、GCGソフトウェアパッケージ(www.gcg.comで入手可能)中のGAPプログラムに組み込まれている、Needleman and Wunsch (1970) J. Mol. Biol. 48:444-453)のアルゴリズムを用いて、Blossum 62マトリックスまたはPAM25Oマトリックスのいずれか、ならびにギャップ加重(gap weight)16、14、12、10、8、6または4、および長さ加重(length weight)1、2、3、4、5または6を用いることで決定することもできる。
1つの局面において、本発明は、機能的に同等な分子を生じる、出発抗体またはフラグメント(例えば、scFv)アミノ酸配列の改変も想定している。例えば、CARに含まれるGFRα4結合ドメイン、例えばscFvのVHまたはVLを、GFRα4結合ドメイン、例えばscFvの出発VHまたはVLフレームワーク領域に対して少なくとも約70%、71%. 72%. 73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%,81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を保つように改変することができる。本発明は、機能的に同等な分子を生じさせるための、CAR構築物全体の改変、例えば、CAR構築物のさまざまなドメインの1つまたは複数のアミノ酸配列における改変を想定している。CAR構築物を、出発CAR構築物に対して少なくとも約70%、71%. 72%. 73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を保つように改変することができる。
RNAトランスフェクション
インビトロ転写されたRNA CARを作製するための方法が、本明細書において開示される。本発明はまた、細胞内に直接的にトランスフェクトしうるRNA構築物をコードするCARも含む。トランスフェクションに用いるためのmRNAを作製するための方法は、特別に設計されたプライマーを用いるテンプレートのインビトロ転写(IVT)、およびその後のポリA付加によって、3'および5'非翻訳配列(「UTR」)、5'キャップおよび/または配列内リボソーム進入部位(IRES)、発現させようとする遺伝子、ならびに典型的には長さが50〜2000塩基であるポリA尾部(SEQ ID NO:35)を含有する構築物を生成させることを伴いうる。そのようにして生成されたRNAを、さまざまな種類の細胞に効率的にトランスフェクトさせることができる。1つの態様において、テンプレートはCAR用の配列を含む。
1つの局面において、GFRα4 CARは、メッセンジャーRNA(mRNA)によってコードされる。1つの局面において、GFRα4 CARをコードするmRNAは、CART細胞の作製のためにT細胞に導入される。
1つの態様において、インビトロ転写されたRNA CARは、一過性トランスフェクションの形態で細胞に導入することができる。RNAは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって生じたテンプレートを用いるインビトロ転写によって生成される。任意の供給源に由来する関心対象のDNAを、PCRによって、適切なプライマーおよびRNAポリメラーゼを用いるインビトロmRNA合成のためのテンプレートに直接変換することができる。DNAの供給源は、例えば、ゲノムDNA、プラスミドDNA、ファージDNA、cDNA、合成DNA配列、または他の任意の適切なDNAの供給源であってよい。インビトロ転写のための所望のテンプレート(temple)は、本発明のCARである。例えば、RNA CARのためのテンプレートは、抗腫瘍抗体の単鎖可変ドメインを含む細胞外領域;ヒンジ領域、膜貫通ドメイン(例えば、CD8aの膜貫通ドメイン);ならびに細胞内シグナル伝達ドメインを含む、例えば、CD3-ζのシグナル伝達ドメインおよび4-1BBのシグナル伝達ドメインを含む細胞質領域、を含む。
1つの態様において、PCRのために用いられるDNAは、オープンリーディングフレームを含む。DNAは、生物のゲノム由来の天然のDNA配列に由来しうる。1つの態様において、核酸は、5'および/または3'非翻訳領域(UTR)の一部または全体を含みうる。核酸は、エクソンおよびイントロンを含みうる。1つの態様において、PCRのために用いられるDNAはヒト核酸配列である。もう1つの態様において、PCRのために用いられるDNAは、5'および3' UTRを含むヒト核酸配列である。あるいはDNAは、天然の生物において通常は発現されない人工DNA配列であってもよい。例示的な人工DNA配列は、融合タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを形成するように一緒に連結される、複数の遺伝子の部分を含むものである。一緒に連結されるDNAの複数の部分は、単一の生物に由来しても、または複数の生物に由来してもよい。
PCRは、トランスフェクションに用いられるmRNAのインビトロ転写のためのテンプレートを作製するために用いられる。PCRを行うための方法は、当技術分野において周知である。PCRに用いるためのプライマーは、PCRのためのテンプレートとして用いられるDNAの領域に対して実質的に相補的な領域を有するように設計される。本明細書で用いる「実質的に相補的な」とは、プライマー配列中の塩基の大半もしくはすべてが相補的であるか、または1つもしくは複数の塩基が非相補的もしくはミスマッチ性である、ヌクレオチドの配列のことを指す。実質的に相補的な配列は、PCRのために用いられるアニーリング条件下で、意図したDNA標的とアニールまたはハイブリダイズすることができる。プライマーは、DNAテンプレートの任意の部分に対して実質的に相補的であるように設計することができる。例えば、プライマーを、5'および3' UTRを含めて、細胞において通常転写される核酸の部分(オープンリーディングフレーム)を増幅するように設計することができる。また、プライマーを、関心対象の特定のドメインをコードする核酸の一部分を増幅するように設計することもできる。1つの態様において、プライマーは、5'および3'UTRの全体または部分を含めて、ヒトcDNAのコード領域を増幅するように設計される。PCRのために有用なプライマーは、当技術分野において周知である合成法によって作製することができる。「順方向プライマー」とは、増幅させようとするDNA配列の上流にある、DNAテンプレート上のヌクレオチドに対して実質的に相補的なヌクレオチドの領域を含むプライマーのことである。「上流」とは、本明細書において、コード鎖を基準として、増幅させようとするDNA配列の5の位置(location 5)を指して用いられる。「逆方向プライマー」とは、増幅させようとするDNA配列の下流にある、二本鎖DNAテンプレートに対して実質的に相補的なヌクレオチドの領域を含むプライマーのことである。「下流」とは、本明細書において、コード鎖を基準として、増幅させようとするDNA配列の3'の位置のことを指す。
PCRのために有用な任意のDNAポリメラーゼを、本明細書に開示された方法に用いることができる。試薬およびポリメラーゼは、いくつかの供給元から販売されている。
安定性および/または翻訳効率を高める能力を有する化学構造を用いることもできる。RNAは5'および3' UTRを有することが好ましい。1つの態様において、5' UTRは長さが1〜3000ヌクレオチドである。コード領域に付加される5'および3' UTR配列の長さは、UTRの異なる領域とアニールするPCR用のプライマーを設計することを非限定的に含む、異なる方法によって変化させることができる。このアプローチを用いて、当業者は、転写されたRNAのトランスフェクション後に最適な翻訳効率を達成するために必要な5'および3' UTRの長さを改変することができる。
5'および3' UTRは、関心対象の核酸の天然の内因性5'および3' UTRであってよい。または、UTR配列を順方向および逆方向プライマーに組み入れることによって、またはテンプレートの他の任意の改変によって、関心対象の核酸にとって内因性でないUTR配列を付加することもできる。関心対象の核酸にとって内因性でないUTR配列の使用は、RNAの安定性および/または翻訳効率を改変するために有用な可能性がある。例えば、3' UTR配列中のAUリッチエレメントはmRNAの安定性を低下させうることが知られている。このため、当技術分野において周知であるUTRの特性に基づき、転写されたRNAの安定性が高まるように3' UTRを選択または設計することができる。
1つの態様において、5' UTRは内因性核酸のKozak配列を含みうる。または、関心対象の核酸にとって内因性でない5' UTRを上記のようにPCRによって付加する場合には、5' UTR配列を付加することによってコンセンサスKozak配列を設計し直すこともできる。Kozak配列は一部のRNA転写物の翻訳の効率を高めることができるが、すべてのRNAで効率的な翻訳を可能にするために必須というわけではないように思われる。多くのmRNAに対するKozak配列の必要性は、当技術分野において公知である。他の態様においては、5' UTRは、細胞内で安定しているRNAゲノムを有するRNAウイルスの5' UTRであり得る。他の態様においては、mRNAのエキソヌクレアーゼ分解を妨げるために、さまざまなヌクレオチド類似体を3'または5' UTRに用いることができる。
遺伝子クローニングを必要とせずにDNAテンプレートからのRNAの合成を可能にするためには、転写のプロモーターを、転写させようとする配列の上流でDNAテンプレートと結びつける必要がある。RNAポリメラーゼに対するプロモーターとして機能する配列を順方向プライマーの5'末端に付加すると、RNAポリメラーゼプロモーターが、転写させようとするオープンリーディングフレームの上流でPCR産物に組み入れられるようになる。1つの好ましい態様において、本明細書の他所に記載したように、プロモーターはT7ポリメラーゼプロモーターである。他の有用なプロモーターには、T3 RNAポリメラーゼプロモーターおよびSP6 RNAポリメラーゼプロモーターが非限定的に含まれる。T7プロモーター、T3プロモーターおよびSP6プロモーターのコンセンサスヌクレオチド配列は当技術分野において公知である。
1つの好ましい態様において、mRNAは5'末端のキャップおよび3'ポリ(A)尾部の両方を有し、それらがリボソーム結合、翻訳の開始および細胞におけるmRNA安定性を決定づける。環状DNAテンプレート、例えばプラスミドDNA上では、RNAポリメラーゼは真核細胞における発現には適さない長いコンカテマー産物を生成させる。3' UTRの末端で線状化されたプラスミドDNAの転写では、転写後にポリアデニル化されたとしても真核生物トランスフェクションには有効でない、正常サイズのmRNAがもたらされる。
線状DNAテンプレート上で、ファージT7 RNAポリメラーゼは、テンプレートの最終塩基を越えて転写物の3'末端を伸長させることができる(Schenborn and Mierendorf, Nuc Acids Res., 13:6223-36 (1985);Nacheva and Berzal-Herranz, Eur. J. Biochem., 270:1485-65 (2003)。
DNAテンプレートへのポリA/T連鎖の従来の組み込み方法は分子クローニングである。しかし、プラスミドDNAに組み込まれたポリA/T配列はプラスミド不安定性を引き起こす恐れがあり、このことは、細菌細胞から得られたプラスミドDNAテンプレートに欠失および他の異常が非常に混入することが多い理由となっている。このためにクローニング手順は面倒で時間がかかるだけでなく、往々にして信頼性も損なわれる。これが、クローニングを伴わずにポリA/T 3'連鎖を有するDNAテンプレートの構築を可能にする方法が非常に望まれる理由である。
転写DNAテンプレートのポリA/Tセグメントは、ポリT尾部、例えば100T尾部(SEQ ID NO:31)など(サイズは50〜5000 T(SEQ ID NO:32)でありうる)を含む逆方向プライマーを用いることによってPCR中に、またはDNA連結もしくはインビトロ組換えを非限定的に含む他の任意の方法によってPCRの後に、生成させることができる。ポリ(A)尾部はまた、RNAに安定性を与え、それらの分解も低下させる。一般に、ポリ(A)尾部の長さは、転写されたRNAの安定性と正の相関関係にある。1つの態様において、ポリ(A)尾部は100〜5000個のアデノシン(SEQ ID NO:33)である。
RNAのポリ(A)尾部は、インビトロ転写後に、ポリ(A)ポリメラーゼ、例えば大腸菌ポリAポリメラーゼ(E-PAP)などを用いることによって、さらに伸長させることができる。1つの態様においては、ポリ(A)尾部の長さを100ヌクレオチドから300〜400ヌクレオチド(SEQ ID NO:34)に増やすことにより、RNAの翻訳効率が約2倍に高くなる。さらに、異なる化学基を3'末端に結びつけることもmRNA安定性を高める可能性がある。そのような付属物(attachment)は、改変/人工ヌクレオチド、アプタマーおよび他の化合物を含みうる。例えば、ポリ(A)ポリメラーゼを用いて、ATP類似体をポリ(A)尾部に組み入れることができる。ATP類似体は、RNAの安定性をさらに高めることができる。
5'キャップもまた、RNA分子に安定性を与える。1つの好ましい態様において、本明細書に開示された方法によって生成されたRNAは5'キャップを含む。5'キャップは、当技術分野において公知であって本明細書に記載された手法を用いて付与される(Cougot, et al., Trends in Biochem. Sci., 29:436-444 (2001);Stepinski, et al., RNA, 7:1468-95 (2001); Elango, et al., Biochim. Biophys. Res. Commun., 330:958-966 (2005))。
本明細書で開示された方法によって生成されたRNAはまた、配列内リボソーム進入部位(IRES)配列も含みうる。IRES配列は、mRNAに対するキャップ非依存的なリボソーム結合を開始させて翻訳開始を助長する、任意のウイルス配列、染色体配列または人工的に設計された配列であってよい。細胞の透過性および生存能力を高める因子、例えば糖、ペプチド、脂質、タンパク質、抗酸化物質および界面活性剤などを含みうる、細胞エレクトロポレーションのために適した任意の溶質を含めることができる。
RNAは、いくつかのさまざまな方法の任意のもの、例えば、エレクトロポレーション(Amaxa Nucleofector-II(Amaxa Biosystems, Cologne, Germany))、(ECM 830(BTX)(Harvard Instruments, Boston, Mass.)またはGene Pulser II(BioRad, Denver, Colo.)、Multiporator(Eppendort, Hamburg Germany)、リポフェクションを用いるカチオン性リポソーム媒介性トランスフェクション、ポリマーカプセル封入、ペプチド媒介性トランスフェクション、または「遺伝子銃」などのバイオリスティック(biolistic)粒子送達システムを非限定的に含む市販の方法(例えば、Nishikawa, et al. Hum Gene Ther., 12(8):861-70 (2001)を参照)を用いて、標的細胞に導入することができる。
非ウイルス性送達方法
いくつかの局面においては、非ウイルス性の方法を、本明細書に記載のCARをコードする核酸を細胞もしくは組織または対象に送達するために用いることができる。
いくつかの態様において、非ウイルス性の方法には、トランスポゾン(転位因子とも呼ばれる)の使用が含まれる。いくつかの態様において、トランスポゾンは、自らをゲノム中のある部位に挿入することができるDNAの小片、例えば、自己複製してそのコピーをゲノム中に挿入することができるDNAの小片、またはより長い核酸からスプライシングによって切り出されて、ゲノム中の別の場所に挿入されることができるDNAの小片である。例えば、トランスポゾンは、転位用の遺伝子を挟む逆方向反復配列で構成されるDNA配列を含む。
トランスポゾンを用いる核酸送達の例示的な方法には、Sleeping Beautyトランスポゾン系(SBTS)およびpiggyBac(PB)トランスポゾン系が含まれる。例えば、Aronovich et al. Hum. Mol. Genet. 20.R1(2011):R14-20;Singh et al. Cancer Res. 15(2008):2961-2971;Huang et al. Mol. Ther. 16(2008):580-589;Grabundzija et al. Mol. Ther. 18(2010):1200-1209;Kebriaei et al. Blood. 122.21(2013):166;Williams. Molecular Therapy 16.9(2008):1515-16;Bell et al. Nat. Protoc. 2.12(2007):3153-65;およびDing et al. Cell. 122.3(2005):473-83を参照されたく、これらはすべて参照により本明細書に組み入れられる。
SBTSは次の2つの構成要素を含む:(1)導入遺伝子を含むトランスポゾン、および(2)トランスポザーゼ酵素の供給源。トランスポザーゼは、担体プラスミド(または他のドナーDNA)由来のトランスポゾンを、標的DNA、例えば宿主細胞染色体/ゲノムなどに転位させることができる。例えば、トランスポザーゼは担体プラスミド/ドナーDNAと結合し、トランスポゾン(導入遺伝子を含む)をプラスミドから切り出して、それを宿主細胞のゲノム中に挿入する。例えば、Aronovich et al. 前記を参照。
例示的なトランスポゾンには、pT2ベースのトランスポゾンが含まれる。例えば、Grabundzija et al. Nucleic Acids Res. 41.3(2013):1829-47;およびSingh et al. Cancer Res. 68.8(2008): 2961-2971を参照されたく、これらはすべて参照により本明細書に組み入れられる。例示的なトランスポザーゼには、Tc1/mariner型トランスポザーゼ、例えば、SB10トランスポザーゼまたはSB11トランスポザーゼ(例えば、サイトメガロウイルスプロモーターから発現されうる高活性トランスポザーゼ)が含まれる。例えば、Aronovich et al.;Kebriaei et al.;およびGrabundzija et al.を参照されたく、これらはすべて参照により本明細書に組み入れられる。
SBTSの使用により、導入遺伝子、例えば、本明細書に記載のCARをコードする核酸の、効率的な組込みおよび発現が可能になる。本明細書に記載のCARを安定して発現する細胞、例えば、T細胞またはNK細胞を、例えば、SBTSなどのトランスポゾン系を用いて作製する方法が、本明細書において提供される。
本明細書に記載の方法によれば、いくつかの態様において、SBTS構成要素を含む1つまたは複数の核酸、例えば、プラスミドを、細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)に送達する。例えば、核酸は、核酸(例えば、プラスミドDNA)送達の標準的な方法、例えば、本明細書に記載の方法、例えば、エレクトロポレーション、トランスフェクション、またはリポフェクションによって、送達される。いくつかの態様において、核酸は、導入遺伝子、例えば、本明細書に記載のCARをコードする核酸を含むトランスポゾンを含む。いくつかの態様において、核酸は、導入遺伝子(例えば、本明細書に記載のCARをコードする核酸)のほかに、トランスポザーゼ酵素をコードする核酸配列も含むトランスポゾンも含む。他の態様においては、2つの核酸を有する系、例えば二重プラスミド系が提供され、例えば二重プラスミド系では、第1のプラスミドが、導入遺伝子を含むトランスポゾンを含み、第2のプラスミドが、トランスポザーゼ酵素をコードする核酸配列を含む。例えば、第1および第2の核酸は、宿主細胞に共に送達される。
いくつかの態様においては、SBTSを用いる遺伝子挿入と、ヌクレアーゼ(例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、CRISPR/Cas系、または操作されたメガヌクレアーゼにより再操作されたホーミングエンドヌクレアーゼ)を用いる遺伝子編集との組み合わせを用いて、本明細書に記載のCARを発現する細胞、例えば、T細胞またはNK細胞が作製される。
いくつかの態様においては、非ウイルス性の送達方法の使用により、細胞、例えば、T細胞またはNK細胞のリプログラミング、および対象への細胞の直接注入が可能になる。非ウイルス性ベクターの利点には、患者集団に対処するために必要とされる十分な量を生産することが容易で比較的低コストであること、貯蔵時の安定性、および免疫原性がないことが非限定的に含まれる。
CARをコードする核酸構築物
本発明はまた、本明細書に記載の1つまたは複数のCAR構築物をコードする核酸分子も提供する。1つの局面において、核酸分子はメッセンジャーRNA転写物として提供される。1つの局面において、核酸分子はDNA構築物として提供される。
したがって、1つの局面において、本発明は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする単離された核酸分子であって、該CARがGFRα4結合ドメイン(例えば、ヒトGFRα4結合ドメイン)、膜貫通ドメイン、ならびに刺激ドメイン、例えば、共刺激シグナル伝達ドメインおよび/または一次シグナル伝達ドメイン、例えば、ζ鎖を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む、単離された核酸分子に関する。1つの態様において、GFRα4結合ドメインは、本明細書に記載のGFRα4結合ドメイン、例えば、SEQ ID NO:59もしくは79から選択される配列、またはそれらに対して95〜99%の同一性を有する配列を含むGFRα4結合ドメインである。1つの態様において、膜貫通ドメインは、例えば、T細胞受容体のα鎖、β鎖またはζ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137およびCD154からなる群より選択される、本明細書に記載のタンパク質の膜貫通ドメインである。1つの態様において、膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:6の配列、またはそれに対して95〜99%の同一性を有する配列を含む。1つの態様において、GFRα4結合ドメインは、ヒンジ領域、例えば、本明細書に記載のヒンジによって、膜貫通ドメインと接続されている。1つの態様において、ヒンジ領域は、SEQ ID NO:2もしくはSEQ ID NO:3もしくはSEQ ID NO:4もしくはSEQ ID NO:5、またはそれらに対して95〜99%の同一性を有する配列を含む。1つの態様において、単離された核酸分子は、共刺激ドメインをコードする配列をさらに含む。1つの態様において、共刺激ドメインは、例えば、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達性リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、OX40、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、4-1BB(CD137)、B7-H3、CDS、ICAM-1、ICOS(CD278)、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、およびCD83と特異的に結合するリガンドからなる群より選択される本明細書に記載のタンパク質の機能的シグナル伝達ドメインである。
1つの態様において、共刺激ドメインは、SEQ ID NO:7の配列、またはそれに対して95〜99%の同一性を有する配列を含む。1つの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、4-1BBの機能的シグナル伝達ドメインおよびCD3ζの機能的シグナル伝達ドメインを含む。1つの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:7もしくはSEQ ID NO:8の配列、またはそれらに対して95〜99%の同一性を有する配列、およびSEQ ID NO:9もしくはSEQ ID NO:10の配列、またはそれらに対して95〜99%の同一性を有する配列を含み、ここで細胞内シグナル伝達ドメインを含む配列は、同じフレーム内にあって単一のポリペプチド鎖として発現される。
もう1つの局面において、本発明は、SEQ ID NO:1のリーダー配列、SEQ ID NO:59または79から選択される配列(またはそれらに対して95〜99%の同一性を有する配列)を有するscFvドメイン、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:3またはSEQ ID NO:4またはSEQ ID NO:5(またはそれらに対して95〜99%の同一性を有する配列)のヒンジ領域、SEQ ID NO:6の配列(またはそれに対して95〜99%の同一性を有する配列)を有する膜貫通ドメイン、SEQ ID NO:7の配列を有する4-1BB共刺激ドメインまたはSEQ ID NO:8の配列(またはそれに対して95〜99%の同一性を有する配列)を有するCD27共刺激ドメインまたはSEQ ID NO:80の配列(またはそれに対して95〜99%の同一性を有する配列)を有するCD28共刺激ドメインまたはSEQ ID NO:82の配列(またはそれに対して95〜99%の同一性を有する配列)を有するICOS共刺激ドメイン、およびSEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:10の配列(またはそれらに対して95〜99%の同一性を有する配列)を有するCD3ζ刺激ドメインを含むCAR構築物をコードする、単離された核酸分子に関する。
もう1つの局面において、本発明は、核酸分子によってコードされる、単離されたポリペプチド分子に関する。1つの態様において、単離されたポリペプチド分子は、SEQ ID NO:85、86、90、92、94、96、98、100、102および104からなる群より選択される配列、またはそれらに対して95〜99%の同一性を有する配列を含む。
もう1つの局面において、本発明は、GFRα4結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および刺激ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)分子をコードする核酸分子であって、前記GFRα4結合ドメインが、SEQ ID NO:59もしくは79から選択される配列、またはそれらに対して95〜99%の同一性を有する配列を含む核酸分子に関する。
1つの態様において、コードされるCAR分子は、共刺激ドメインをコードする配列をさらに含む。1つの態様において、共刺激ドメインは、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達性リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、OX40、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、4-1BB(CD137)、B7-H3、CDS、ICAM-1、ICOS(CD278)、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、およびCD83と特異的に結合するリガンドからなる群より選択されるタンパク質の機能的シグナル伝達ドメインである。1つの態様において、4-1BB共刺激ドメインは、SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を含む。1つの態様において、CD27共刺激ドメインは、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む。1つの態様において、CD28共刺激ドメインは、SEQ ID NO:80のアミノ酸配列を含む。1つの態様において、ICOS共刺激ドメインは、SEQ ID NO:82のアミノ酸配列を含む。
1つの態様において、膜貫通ドメインは、T細胞受容体のα鎖、β鎖またはζ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達性リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、OX40、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、4-1BB(CD137)、B7-H3、CDS、ICAM-1、ICOS(CD278)、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、およびCD83と特異的に結合するリガンドからなる群より選択されるタンパク質の膜貫通ドメインである。1つの態様において、膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:6の配列を含む。1つの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、4-1BBの機能的シグナル伝達ドメインおよびζの機能的シグナル伝達ドメインを含む。1つの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインはSEQ ID NO:7の配列およびSEQ ID NO:9の配列を含み、ここで細胞内シグナル伝達ドメインを含む配列は、同じフレーム内にあって単一のポリペプチド鎖として発現される。1つの態様において、GFRα4結合ドメインは、ヒンジ領域によって膜貫通ドメインと接続されている。1つの態様において、ヒンジ領域はSEQ ID NO:2を含む。1つの態様において、ヒンジ領域は、SEQ ID NO:3またはSEQ ID NO:4またはSEQ ID NO:5を含む。
もう1つの局面において、本発明は、SEQ ID NO:1のリーダー配列、SEQ ID NO:59もしくは79から選択される配列、またはそれらに対して95〜99%の同一性を有する配列を有するscFvドメイン、SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:3またはSEQ ID NO:4またはSEQ ID NO:5のヒンジ領域、SEQ ID NO:6の配列を有する膜貫通ドメイン、SEQ ID NO:7の配列を有する4-1BB共刺激ドメインまたはSEQ ID NO:8の配列を有するCD27共刺激ドメイン、およびSEQ ID NO:9またはSEQ ID NO:10の配列を有するCD3ζ刺激ドメインを含む、コードされるCAR分子に関する。1つの態様において、コードされるCAR分子は、SEQ ID NO:85、86、90、92、94、96、98、100、103および104からなる群より選択される配列、またはそれらに対して95〜99%の同一性を有する配列を含む。
所望の分子をコードする核酸配列は、当技術分野において公知の組換え方法、例えば、標準的な手法を用いて、その遺伝子を発現する細胞からのライブラリーをスクリーニングすることによって、それを含むことが知られているベクターから遺伝子を導き出すことによって、またはそれを含有する細胞および組織から直接的に単離することなどによって、入手することができる。または、関心対象の遺伝子を、クローニングするのではなくて、合成によって作製することもできる。
ベクター
本発明はまた、本発明のDNAが挿入されたベクターも提供する。レンチウイルスなどのレトロウイルスに由来するベクターは、長期的遺伝子移入を達成するための適したツールであるが、これはそれらが、導入遺伝子の長期的で安定的な組込み、および娘細胞におけるその伝播を可能にするためである。レンチウイルスベクターは、それらが肝細胞などの非増殖性細胞の形質導入も行うことができるという点で、マウス白血病ウイルスなどのオンコレトロウイルスに由来するベクターを上回る利点を有する。また、それらには免疫原性が低いという利点も加わっている。また、レトロウイルスベクターが、例えば、ガンマレトロウイルスベクターであってもよい。ガンマレトロウイルスベクターは、例えば、プロモーター、パッケージングシグナル(ψ)、プライマー結合部位(PBS)、1つまたは複数の(例えば、2つの)長末端反復配列(LTR)、および関心対象の導入遺伝子、例えば、CARをコードする遺伝子を含みうる。ガンマレトロウイルスベクターは、gag、polおよびenvなどのウイルス構造遺伝子(structural gens)を欠いていることもある。例示的なガンマレトロウイルスベクターには、マウス白血病ウイルス(MLV)、脾臓フォーカス形成ウイルス(SFFV)、および骨髄増殖性肉腫ウイルス(MPSV)、ならびにそれらに由来するベクターが含まれる。他のガンマレトロウイルスベクターは、例えば、Tobias Maetzig et al., "Gammaretroviral Vectors: Biology, Technology and Application" Viruses. 2011 Jun;3(6): 677-713に記載されている。
もう1つの態様において、本発明の所望のCARをコードする核酸を含むベクターは、アデノウイルスベクター(A5/35)である。もう1つの態様において、CARをコードする核酸の発現は、sleeping beauty、crisper、CAS9、およびジンクフィンガーヌクレアーゼなどのトランスポゾンを用いて実現することができる。参照により本明細書に組み入れられる、以下のJune et al. 2009 Nature Reviews Immunology 9.10: 704-716を参照されたい。
概要を述べると、CARをコードする天然核酸または合成核酸の発現は、典型的には、CARポリペプチドまたはその複数の部分をコードする核酸をプロモーターと機能的に連結させて、その構築物を発現ベクター中に組み入れることによって達成される。ベクターは、真核生物での複製および組込みに適したものであり得る。典型的なクローニングベクターは、所望の核酸配列の発現の調節のために有用な転写終結因子および翻訳終結因子、開始配列、ならびにプロモーターを含む。
また、本発明の発現構築物を、標準的な遺伝子送達プロトコールを用いる、核酸免疫処置および遺伝子治療のために用いることもできる。遺伝子送達のための方法は、当技術分野において公知である。例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,399,346号、第5,580,859号、第5,589,466号を参照されたい。もう1つの態様において、本発明は遺伝子治療用ベクターを提供する。
核酸は、さまざまな種類のベクター中にクローニングすることができる。例えば、核酸を、プラスミド、ファージミド、ファージ誘導体、動物ウイルス、およびコスミドを非限定的に含むベクター中にクローニングすることができる。特に注目されるベクターには、発現ベクター、複製ベクター、プローブ生成ベクター、およびシークエンシングベクターが含まれる。
さらに、発現ベクターを、ウイルスベクターの形態で細胞に与えることもできる。ウイルスベクター技術は当技術分野において周知であり、例えば、例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, volumes 1-3 (3rd ed., Cold Spring Harbor Press, NY 2001)、ならびにウイルス学および分子生物学の他のマニュアルに記載されている。ベクターとして有用なウイルスには、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、およびレンチウイルスが非限定的に含まれる。一般に、適したベクターは、少なくとも1つの生物において機能する複製起点、プロモーター配列、好都合な制限エンドヌクレアーゼ部位、および1つまたは複数の選択マーカーを含有する(例えば、WO 01/96584号;WO 01/29058号;および米国特許第6,326,193号を参照されたい)。
数多くのウイルスベースの系が、哺乳動物細胞への遺伝子移入のために開発されている。例えば、レトロウイルスは、遺伝子送達系のための好都合なプラットフォームとなる。当技術分野において公知の手法を用いて、選択された遺伝子をベクターに挿入し、レトロウイルス粒子の中にパッケージングすることができる。続いて、組換えウイルスを単離して、対象の細胞にインビボまたはエクスビボで送達することができる。数多くのレトロウイルス系が当技術分野において公知である。いくつかの態様においては、アデノウイルスベクターが用いられる。数多くのアデノウイルスベクターが当技術分野において公知である。1つの態様においては、レンチウイルスベクターが用いられる。
さらなるプロモーターエレメント、例えば、エンハンサーは、転写開始の頻度を調節する。典型的には、これらは開始部位の30〜110bp上流の領域に位置するが、いくつかのプロモーターは、開始部位の下流にも機能的エレメントを含むことが最近示されている。多くの場合、プロモーターエレメント間の間隔には柔軟性があり、そのため、エレメントが互いに対して逆位になったり移動したりしてもプロモーター機能は保持される。チミジンキナーゼ(tk)プロモーターでは、反応性の低下を起こすことなく、プロモーターエレメント間の間隔を50bpまで隔てることができる。プロモーターによっては、個々のエレメントが協調的に、または独立して、転写を活性化しうるように思われる。
免疫エフェクター細胞においてCAR導入遺伝子を発現させることができるプロモーターの一例は、EF1αプロモーターである。ネイティブ性EF1aプロモーターは、リボソームに対するアミノアシルtRNAの酵素性送達を担う伸長因子-1複合体のαサブユニットの発現を作動させる。EF1aプロモーターは、哺乳動物発現プラスミドにおいて幅広く用いられており、レンチウイルスベクター中にクローニングされた導入遺伝子からのCAR発現を作動させる上で有効であることが示されている。例えば、Milone et al., Mol. Ther. 17(8): 1453-1464 (2009)を参照されたい。1つの局面において、EF1aプロモーターは、SEQ ID NO:11として提供される配列を含む。
そのほかの例には、サイトメガロウイルス(CMV)最初期プロモーター配列が含まれる。このプロモーター配列は、それと機能的に連結した任意のポリヌクレオチド配列の高レベルの発現を作動させることのできる、強力な構成性プロモーター配列である。しかし、シミアンウイルス40(SV40)初期プロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)長末端反復配列(LTR)プロモーター、MoMuLVプロモーター、トリ白血病ウイルスプロモーター、エプスタイン・バーウイルス最初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ならびに、アクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、ヘモグロビンプロモーターおよびクレアチンキナーゼプロモーターなどの、ただしこれらには限定されないヒト遺伝子プロモーターを非限定的に含む、他の構成性プロモーター配列を用いることもできる。さらに、本発明は、構成性プロモーターの使用に限定されるべきではない。誘導性プロモーターも本発明の一部として想定している。誘導性プロモーターの使用により、それと機能的に連結しているポリヌクレオチド配列の発現を、そのような発現が所望である場合には有効にし、発現が望まれない場合には発現を無効にすることができる、分子スイッチがもたらされる。誘導性プロモーターの例には、メタロチオネイン(metallothionine)プロモーター、グルココルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーター、およびテトラサイクリンプロモーターが非限定的に含まれる。
プロモーターのもう1つの例は、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーターである。複数の態様においては、短縮型PGKプロモーター(例えば、野生型PGKプロモーター配列と比較して、1つまたは複数の、例えば、1個、2個、5個、10個、100個、200個、300個、または400個のヌクレオチド欠失を有するPGKプロモーター)が望まれることがある。例示的なPGKプロモーターのヌクレオチド配列を、以下に提示する。
また、ベクターが、例えば、分泌を助長するためのシグナル配列、ポリアデニル化シグナルおよび転写終結因子(例えば、ウシ成長ホルモン(BGH)遺伝子由来)、原核生物におけるエピソーム性複製および複製を可能にするエレメント(例えば、SV40起点およびColE1、または当技術分野において公知である他のもの)および/または選択を可能にするエレメント(例えば、アンピシリン耐性遺伝子および/またはゼオシンマーカー)を含んでもよい。
CARポリペプチドまたはその複数の部分の発現を評価する目的で、ウイルスベクターをトランスフェクトまたは感染させようとする細胞の集団からの発現細胞の同定および選択を容易にするために、細胞に導入される発現ベクターに選択マーカー遺伝子もしくはレポーター遺伝子またはその両方を含めることもできる。他の局面において、選択マーカーを別のDNA小片上に保有させて、コトランスフェクション手順に用いることもできる。宿主細胞における発現を可能にするために、選択マーカー遺伝子およびレポーター遺伝子の両方を、適切な調節配列に隣接させることができる。有用な選択マーカーには、例えば、neoなどの抗生物質耐性遺伝子が含まれる。
レポーター遺伝子は、トランスフェクトされた可能性のある細胞を同定するため、および調節配列の機能性を評価するために用いられる。一般に、レポーター遺伝子とは、レシピエント生物または組織に存在しないかまたはそれらによって発現せず、かつ、その発現が何らかの容易に検出可能な特性、例えば、酵素活性によって顕在化するポリペプチドをコードする、遺伝子のことである。レポーター遺伝子の発現は、DNAがレシピエント細胞に導入された後の適した時点でアッセイされる。適したレポーター遺伝子には、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌性アルカリホスファターゼをコードする遺伝子、または緑色蛍光性タンパク質の遺伝子が含まれうる(例えば、Ui-Tei et al., 2000 FEBS Letters 479: 79-82)。適した発現系は周知であり、公知の手法を用いて調製すること、または販売されているものを入手することができる。一般に、レポーター遺伝子の最も高レベルでの発現を示す最小限の5'フランキング領域を有する構築物が、プロモーターとして同定される。そのようなプロモーター領域をレポーター遺伝子と連結させて、プロモーターにより作動する転写を作用物質がモジュレートする能力を評価するために用いることができる。
1つの態様において、ベクターは、第2のCARをコードする核酸をさらに含みうる。1つの態様において、ベクターは、第1の抗原と特異的に結合し、かつ共刺激シグナル伝達ドメインを有するが一次シグナル伝達ドメインは有しない細胞内シグナル伝達ドメインを含む第1のCARをコードする核酸配列、および、第2の異なる抗原と特異的に結合し、かつ一次シグナル伝達ドメインを有するが共刺激シグナル伝達ドメインは有しない細胞内シグナル伝達ドメインを含む第2のCARをコードする核酸を含む。1つの態様において、ベクターは、GFRα4結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび共刺激ドメインを含む第1のGFRα4 CARをコードする核酸、ならびにGFRα4以外の抗原(例えば、甲状腺髄様癌細胞上に発現される抗原)と特異的に結合し、かつ抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび一次シグナル伝達ドメインを含む第2のCARをコードする核酸を含む。
1つの態様において、ベクターは、本明細書に記載のGFRα4 CARをコードする核酸および阻害性CARをコードする核酸を含む。1つの態様において、阻害性CARは、正常細胞上、例えば、GFRα4も発現する正常細胞上には認められるが癌細胞上には認められない抗原と結合する抗原結合ドメインを含む。1つの態様において、阻害性CARは、阻害分子の抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含む。例えば、阻害性CARの細胞内ドメインは、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3および/またはCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシン、およびTGFRβの細胞内ドメインであってよい。
複数の態様において、ベクターは、CAR、例えば本明細書に記載のGFRα4 CAR、および第2のCAR、例えば阻害性CARまたはGFRα4以外の抗原(例えば、甲状腺髄様癌細胞上に発現される抗原)と特異的に結合するCARをコードする、2つまたはそれを上回る核酸配列を含む。そのような態様において、CARをコードする2つまたはそれを上回る核酸配列は、単一のポリペプチド鎖として、同じフレーム内にある単一の核酸分子によってコードされる。この局面において、2つまたはそれを上回るCARは、例えば、1つまたは複数のペプチド切断部位(例えば、自己切断部位、または細胞内プロテアーゼの基質)によって隔てられていてよい。ペプチド切断部位の例には以下が含まれ、ここでGSG残基は任意的である:
細胞に遺伝子を導入して発現させる方法は、当技術分野において公知である。発現ベクターに関連して、ベクターは、宿主細胞、例えば、哺乳動物細胞、細菌細胞、酵母細胞、または昆虫細胞に、当技術分野における任意の方法によって容易に導入することができる。例えば、発現ベクターを、物理的、化学的または生物学的手段によって宿主細胞に導入することができる。
宿主細胞にポリヌクレオチドを導入するための物理的方法には、リン酸カルシウム沈殿法、リポフェクション、微粒子銃法、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどが含まれる。ベクターおよび/または外因性核酸を含む細胞を作製するための方法は、当技術分野において周知である。例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, volumes 1-3 (3rd ed., Cold Spring Harbor Press, NY 2001)を参照されたい。
関心対象のポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための生物学的方法には、DNAベクターおよびRNAベクターの使用が含まれる。ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターは、哺乳動物細胞、例えばヒト細胞に遺伝子を挿入するために最も広く使用される方法となっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI型、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスなどに由来しうる。例えば、米国特許第5,350,674号および第5,585,362号を参照されたい。
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための化学的手段には、コロイド分散系、例えば高分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフェア、ビーズなど、ならびに、水中油型エマルション、ミセル、混合ミセルおよびリポソームを含む脂質ベースの系が含まれる。インビトロおよびインビボで送達媒体として用いるための例示的なコロイド系の1つは、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。
非ウイルス性送達系を利用する場合には、例示的な送達媒体の1つはリポソームである。脂質製剤の使用を、宿主細胞への核酸の導入のために想定している(インビトロ、エクスビボまたはインビボ)。もう1つの局面において、核酸を脂質と付随させてもよい。脂質と付随した核酸をリポソームの水性内部の中に封入し、リポソームの脂質二重層の内部に配置させ、リポソームおよびオリゴヌクレオチドの両方と付随する連結分子を介してリポソームと連結させ、リポソーム内に封じ込め、リポソームと複合体化させ、脂質を含有する溶液中に分散させ、脂質と混合し、脂質と配合し、脂質中に懸濁物として含有させ、ミセル中に含有させるかもしくは複合体化させ、または他の様式で脂質と付随させることができる。脂質、脂質/DNAまたは脂質/発現ベクターが付随する組成物は、溶液中のいかなる特定の構造にも限定されない。例えば、それらは二重層構造の中に、ミセルとして、または「崩壊した」構造として存在しうる。それらはまた、溶液中に単に点在していて、大きさも形状も均一でない凝集物を形成する可能性があってもよい。脂質とは、天然脂質または合成脂質であってよい脂肪性物質のことである。例えば、脂質には、細胞質中に天然に存在する脂肪小滴、ならびに長鎖脂肪族炭化水素およびそれらの誘導体を含む化合物のクラス、例えば脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコールおよびアルデヒドなどが含まれる。
使用に適した脂質は、販売元から入手することができる。例えば、ジミリスチルホスファチジルコリン(「DMPC」)はSigma, St. Louis, MOから入手することができ;ジアセチルホスファート(「DCP」)はK & K Laboratories(Plainview, NY)から入手することができ;コレステロール(「Choi」)はCalbiochem-Behringから入手することができ;ジミリスチルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)および他の脂質は、Avanti Polar Lipids, Inc.(Birmingham, AL)から入手することができる。クロロホルムまたはクロロホルム/メタノール中にある脂質の貯蔵溶液は、約-20℃で保存することができる。クロロホルムはメタノールよりも容易に蒸発するので、それを唯一の溶媒として用いることが好ましい。「リポソーム」とは、閉じた脂質二重層または凝集物の生成によって形成される、種々の単層および多重層の脂質媒体を包含する総称である。リポソームは、リン脂質二重層膜による小胞構造および内部の水性媒質を有するものとして特徴づけることができる。多重層リポソームは、水性媒質によって隔てられた複数の脂質層を有する。それらはリン脂質を過剰量の水性溶液中に懸濁させると自発的に形成される。脂質成分は自己再配列を起こし、その後に閉鎖構造の形成が起こり、水および溶解溶質を脂質二重層の間に封じ込める(Ghosh et al., 1991 Glycobiology 5:505-10)。しかし、溶液中で通常の小胞構造とは異なる構造を有する組成物も想定している。例えば、脂質がミセル構造をとってもよく、または単に脂質分子の不均一な凝集物として存在してもよい。また、リポフェクタミン-核酸複合体も想定している。
細胞の供給源
本発明の細胞の増大および遺伝子改変の前に、細胞(例えば、免疫エフェクター細胞、例えばT細胞またはNK細胞)の供給源を、対象から入手する。「対象」という用語は、免疫応答を誘発することができる生体(例えば、哺乳動物)を含むことを意図している。対象の例には、ヒト、イヌ、ネコ、マウス、ラット、およびそれらのトランスジェニック種が含まれる。T細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位由来の組織、腹水、胸水、脾臓組織、および腫瘍を含む、数多くの供給源から入手することができる。
本発明のある態様において、当技術分野において入手可能な任意のさまざまな免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)株を用いることができる。本発明のある態様において、T細胞は、フィコール(商標)分離などの、当業者に公知の任意のさまざまな手法を用いて対象から収集された血液ユニットから得られる。1つの好ましい態様において、個体の流血由来の細胞はアフェレーシスによって入手される。アフェレーシス産物は、典型的には、T細胞、単球、顆粒球、B細胞を含むリンパ球、他の有核白血球、赤血球、および血小板を含む。1つの態様においては、アフェレーシスによって収集された細胞を、血漿画分を除去するために洗浄した上で、その後の処理段階のために細胞を適切な緩衝液または培地中に配置することができる。本発明の1つの態様においては、これらの細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄する。1つの代替的な態様において、洗浄溶液はカルシウムを含まず、かつ、マグネシウムを含まないか、またはすべてではないものの多くの二価カチオンを含まない。この場合にも、驚くべきことに、カルシウム非存在下での最初の活性化段階により、活性化の増強がもたらされる。当業者は容易に理解するであろうが、洗浄段階は、半自動化された「フロースルー」遠心分離機(例えば、Cobe 2991細胞プロセッサー、Baxter CytoMate、またはHaemonetics Cell Saver 5など)を製造元の指示に従って用いることなどによって、当技術分野において公知の方法によって実現することができる。洗浄の後に、細胞を、例えば、Ca非含有、Mg非含有PBS、PlasmaLyte A、または緩衝剤を含むかもしくは含まない他の食塩液といった、種々の生体適合性緩衝液中に再懸濁させることができる。または、アフェレーシス試料の望ましくない成分を除去して、細胞を培養培地中に直接再懸濁させてもよい。
本適用の方法は5%以下、例えば2%のヒトAB血清を含む培養培地条件を用い得、かつ公知の培養培地条件および組成物、例えばSmith et al., “Ex vivo expansion of human T cells for adoptive immunotherapy using the novel Xeno-free CTS Immune Cell Serum Replacement” Clinical & Translational Immunology (2015) 4, e31; doi:10.1038/cti.2014.31に記載されるものを採用し得ることが認識される。
もう1つの態様においては、赤血球を溶解させた上で、例えばPERCOLL(商標)勾配での遠心分離によるか、または向流遠心分離溶出法によって単球を枯渇させることによって、T細胞を末梢血リンパ球から単離する。CD3+、CD28+、CD4+、CD8+、CD45RA+、およびCD45RO+T細胞といったT細胞の特定の部分集団を、陽性選択法または陰性選択法によってさらに単離することができる。例えば、1つの態様において、T細胞は、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 Tなどの抗CD3/抗CD28(すなわち、3x28)結合ビーズとの、所望のT細胞の陽性選択に十分な期間にわたるインキュベーションによって単離される。1つの態様において、この期間は約30分間である。1つのさらなる態様において、この期間は、30分間〜36時間またはそれ以上、およびそれらの間の全ての整数値の範囲にわたる。1つのさらなる態様において、この期間は、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間または6時間である。さらにもう1つの好ましい態様において、この期間は10〜24時間である。1つの好ましい態様において、インキュベーション期間は24時間である。白血病の患者からのT細胞の単離のためには、24時間といった比較的長いインキュベーション時間を用いることにより、細胞収量を増やすことができる。腫瘍組織または免疫機能低下個体から腫瘍内浸潤リンパ球(TIL)を単離する際のように、他の細胞型と比較してT細胞がわずかしか存在しないあらゆる状況で、T細胞を単離するために比較的長いインキュベーション時間を用いることができる。さらに、比較的長いインキュベーション時間の使用により、CD8+ T細胞の捕捉効率を高めることもできる。したがって、単にこの時間を短縮または延長することによって、T細胞はCD3/CD28ビーズへの結合が可能になるか、および/またはビーズのT細胞に対する比を増加もしくは減少することにより(本明細書でさらに説明するように)、T細胞の部分集団は、培養開始時もしくはこの過程の他の時点で、これについてもしくはこれに対して優先的に選択されうる。加えて、ビーズまたは他の表面上の抗CD3および/または抗CD28抗体の比を増加または減少することにより、T細胞部分集団は、培養開始時もしくは他の望ましい時点で、これについてまたはこれに対して優先的に選択される。当業者は、本発明の状況において複数回の選択を使用することができることを認めると思われる。ある態様においては、この選択手順を実行し、活性化および増大の過程において「選択されない」細胞を使用することが望ましいことがある。「選択されない」細胞に、さらに選択を施すこともできる。
陰性選択によるT細胞集団の濃縮は、陰性選択された細胞への独自の表面マーカーに対する抗体の組み合わせにより実行することができる。1つの方法は、陰性選択された細胞上に存在する細胞表面マーカーに対するモノクローナル抗体カクテルを使用する、負磁気免疫接着またはフローサイトメトリーによる細胞ソーティングおよび/または選択である。例えば、陰性選択によってCD4+細胞を濃縮するためのモノクローナル抗体カクテルは、典型的には、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、およびCD8に対する抗体を含む。ある態様において、典型的にはCD4+、CD25+、CD62Lhi、GITR+、およびFoxP3+を発現する調節性T細胞を濃縮するかまたは陽性選択することが望ましいことがある。または、ある態様においては、抗C25結合ビーズまたは他の類似の選択方法によって、調節性T細胞を枯渇させる。
本明細書に記載の方法には、例えば、調節性T細胞が枯渇した集団(CD25+枯渇細胞)である、免疫エフェクター細胞、例えばT細胞の特定の部分集団の、例えば本明細書に記載される陰性選択手法を用いる選択が含まれうる。好ましくは、調節性T細胞枯渇細胞の集団は、CD25+細胞を30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満しか含まない。
1つの態様において、調節性T細胞、例えばCD25+ T細胞は、抗CD25抗体、もしくはそのフラグメント、またはCD25結合性リガンドであるIL-2を用いて、集団から除去される。1つの態様において、抗CD25抗体、もしくはそのフラグメント、またはCD25結合性リガンドは、基体、例えばビーズに対してコンジュゲートされるか、または別の様式で基体、例えばビーズに対してコーティングされる。1つの態様において、抗CD25抗体またはそのフラグメントは、本明細書に記載するような基体に対してコンジュゲートされる。
1つの態様において、調節性T細胞、例えばCD25+ T細胞は、Miltenyi(商標)によるCD25枯渇試薬を用いて、集団から除去される。1つの態様において、細胞とCD25枯渇試薬との比は、細胞1e7個対20uL、または細胞1e7個対15uL、または細胞1e7個対10uL、または細胞1e7個対5uL、または細胞1e7個対2.5uL、または細胞1e7個対1.25uLである。1つの態様において、例えば、調節性T細胞、例えばCD25+の枯渇のためには、細胞5億個/mlを用いる。さらなる局面においては、6億個、7億個、8億個、または9億個/mlという細胞の濃度を用いる。
1つの態様において、枯渇させようとする免疫エフェクター細胞の集団は、約6×109個のCD25+ T細胞を含む。他の局面において、枯渇させようとする免疫エフェクター細胞の集団は、約1×109個〜1×1010個、およびその間の任意の整数値のCD25+ T細胞を含む。1つの態様において、結果として得られる調節性T細胞枯渇細胞の集団は、2×109個、またはそれ未満の調節性T細胞、例えばCD25+細胞(例えば、1×109個、5×108個、1×108個、5×107個、1×107個またはそれ未満のCD25+細胞)を含む。
1つの態様において、調節性T細胞、例えばCD25+細胞は、CliniMACシステムを、枯渇用チューブのセット、例えば、チューブ162-01などとともに用いて、集団から除去される。1つの態様においては、CliniMACシステムを、例えば、DEPLETION2.1などの枯渇用設定で動作させる。
特定の理論に拘束されることは望まないが、アフェレーシスの前に、またはCAR発現細胞製品の製造の間に、対象における免疫細胞の負の調節因子のレベルを低下させること(例えば、望まれない免疫細胞、例えば、TREG細胞の数を減少させること)により、対象の再発のリスクを低下させることができる。例えば、TREG細胞を枯渇させる方法は、当技術分野において公知である。TREG細胞を減少させる方法には、シクロホスファミド、抗GITR抗体(本明細書に記載の抗GITR抗体の1つ)、CD25枯渇、およびそれらの組み合わせが非限定的に含まれる。
いくつかの態様において、製造方法は、CAR発現細胞の製造の前にTREG細胞の数を減少させる(例えば、枯渇させる)段階を含む。例えば、製造方法は、例えば、CAR発現細胞(例えば、T細胞、NK細胞)製品の製造の前にTREG細胞を枯渇させるために、試料、例えば、アフェレーシス試料を、抗GITR抗体および/または抗CD25抗体(またはそれらのフラグメントもしくはCD25結合性リガンド)と接触させる段階を含む。
1つの態様において、対象は、CAR発現細胞製品製造のための細胞の収集の前に、TREG細胞を減少させる1つまたは複数の治療法による前治療を受け、それによって、CAR発現細胞治療に対する対象の再発のリスクを減少させる。1つの態様において、TREG細胞を減少させる方法には、対象に対する、シクロホスファミド、抗GITR抗体、CD25枯渇またはそれらの組み合わせのうち1つまたは複数の投与が非限定的に含まれる。シクロホスファミド、抗GITR抗体、CD25枯渇またはそれらの組み合わせのうち1つまたは複数の投与は、CAR発現細胞製品の注入の前、最中または後に行われてよい。
1つの態様において、対象は、CAR発現細胞製品の製造のための細胞の収集の前に、シクロホスファミドによる前治療を受け、それによって、CAR発現細胞治療に対する対象の再発のリスクを減少させる。1つの態様において、対象は、CAR発現細胞製品製造のための細胞の収集の前に、抗GITR抗体による前治療を受け、それによって、CAR発現細胞治療に対する対象の再発のリスクを減少させる。
1つの態様において、除去しようとする細胞の集団は、調節T細胞でも腫瘍細胞でもなく、CD14、CD11b、CD33、CD15、または免疫抑制細胞の可能性のある細胞によって発現される他のマーカーを発現するCART細胞、例えば、細胞の増大および/または機能に他の様式で負の影響を及ぼす細胞である。1つの態様において、そのような細胞は、調節T細胞および/もしくは腫瘍細胞と並行して、または前記枯渇の後に、または別の順序で除去されると想定される。
本明細書に記載の方法は、複数の選択段階、例えば、複数の枯渇段階を含みうる。陰性選択によるT細胞集団の濃縮は、例えば、陰性選択される細胞に特有の表面マーカーを対象とする抗体の組み合わせによって実現することができる。方法の1つは、陰性選択される細胞上に存在する細胞表面マーカーを対象とするモノクローナル抗体の混合液を用いる負磁気免疫付着またはフローサイトメトリーを介した、細胞選別および/または選択である。例えば、CD4+細胞を陰性選択によって濃縮するためには、モノクローナル抗体カクテルは、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、およびCD8に対する抗体を含みうる。
本明細書に記載の方法は、腫瘍抗原、例えば、CD25を含まない腫瘍抗原、例えば、CD19、CD30、CD38、CD123、CD20、CD14またはCD11bを発現する細胞を集団から除去し、それによってCAR、例えば本明細書に記載のCARの発現のために適した、調節性T細胞が枯渇した、例えば、CD25+が枯渇した、および腫瘍抗原が枯渇した細胞の集団を提供する段階をさらに含みうる。1つの態様において、腫瘍抗原発現細胞は、調節性T細胞、例えばCD25+細胞と同時に除去される。例えば、抗CD25抗体またはそのフラグメント、および抗腫瘍抗原抗体またはそのフラグメントを、同じ基体、例えばビーズに結びつけて、それを細胞を除去するために用いることができ、または抗CD25抗体もしくはそのフラグメント、または抗腫瘍抗原抗体もしくはそのフラグメントを別々のビーズに結びつけて、それらの混合物を細胞を除去するために用いることもできる。他の態様において、調節性T細胞、例えばCD25+細胞の除去と、腫瘍抗原発現細胞の除去は逐次的であり、例えば、いずれの順序で行ってもよい。
また、チェックポイント阻害因子、例えば、本明細書に記載のチェックポイント阻害因子を発現する細胞、例えば、PD1+細胞、LAG3+細胞およびTIM3+細胞のうち1つまたは複数を集団から除去し、それによって、調節性T細胞が枯渇した、例えば、CD25+枯渇細胞、およびチェックポイント阻害因子枯渇細胞、例えば、PD1+、LAG3+および/またはTIM3+枯渇細胞の集団を提供する段階を含む方法も提供される。例示的なチェックポイント阻害因子には、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3および/またはCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシン、およびTGFRβが含まれる。1つの態様において、チェックポイント阻害因子発現細胞は、調節性T細胞、例えばCD25+細胞と同時に除去される。例えば、抗CD25抗体もしくはそのフラグメント、および抗チェックポイント阻害因子抗体もしくはそのフラグメントを、同じビーズに結びつけて、それを細胞を除去するために用いることができ、または抗CD25抗体もしくはそのフラグメント、および抗チェックポイント阻害因子抗体もしくはそのフラグメントを別々のビーズに結びつけて、それらの混合物を細胞を除去するために用いることもできる。他の態様において、調節性T細胞、例えばCD25+細胞の除去と、チェックポイント阻害因子発現細胞の除去は逐次的であり、例えば、いずれの順序で行ってもよい。
1つの態様において、IFN-γ、TNFα、IL-17A、IL-2、IL-3、IL-4、GM-CSF、IL-10、IL-13、グランザイムB、およびパーフォリン、または他の適切な分子、例えば、他のサイトカインのうち1つまたは複数を発現するT細胞集団を選択することができる。細胞発現に関するスクリーニングのための方法は、例えば、PCT公報第WO 2013/126712号に記載された方法によって決定することができる。
陽性または陰性選択によって望ましい細胞集団を単離するために、細胞および表面(例えば、ビーズなどの粒子)の濃度を変化させることができる。ある態様においては、細胞とビーズの最大接触を確実にするために、ビーズおよび細胞が一緒に混合される容積の著しい減少(すなわち、細胞の濃度の増加)が望ましいことがある。例えば、1つの態様においては、細胞20億個/mlの濃度を用いる。1つの態様において、細胞10億個/mlの濃度を用いる。さらなる態様においては、細胞1億個/mlよりも高いものを用いる。さらなる態様においては、1000万個/ml、1500万個/ml、2000万個/ml、2500万個/ml、3000万個/ml、3500万個/ml、4000万個/ml、4500万個/mlまたは5000万個/mlの細胞濃度を用いる。さらにもう1つの態様においては、7500万個/ml、8000万個/ml、8500万個/ml、9000万個/ml、9500万個/ml、または1億個/mlからの細胞濃度を用いる。さらなる態様においては、1億2500万個/mlまたは1億5000万個/mlの濃度を用いることができる。高濃度を用いることにより、増加した細胞収量、細胞活性化および細胞増大を生じることができる。さらに、高い細胞濃度の使用は、CD28陰性T細胞のような、または多くの腫瘍細胞が存在する試料(すなわち、白血病血、腫瘍組織など)からの、関心のある標的抗原を弱く発現する細胞の捕捉効率を高めることができる。そのような細胞集団は、治療的価値があり、かつ得ることが望ましい。例えば、高い濃度の細胞の使用は、通常弱くCD28を発現するCD8+ T細胞をより効率的に選択することを可能にする。
1つの関連した態様においては、より低い濃度の細胞を用いることが望ましいことがある。T細胞および表面(例えばビーズなどの粒子)の混合物の高度の希釈により、粒子と細胞間の相互作用は最小化される。これにより、これらの粒子と結合する所望の抗原を大量発現する細胞が選択される。例えば、CD4+ T細胞は、より高いレベルのCD28を発現し、希釈した濃度でCD8+ T細胞よりもより効率的に捕捉される。1つの態様において、用いられる細胞濃度は、5×106個/mlである。もう1つの態様において、用いられる濃度は、約1×105個/ml〜1×106個/ml、およびその間の任意の整数であることができる。
他の態様において、細胞を、回転器にて、さまざまな時間にわたって、さまざまな速度で、2〜10℃または室温のいずれかで、インキュベートすることもできる。
また、刺激のためのT細胞を、洗浄段階の後に凍結することもできる。理論に拘束されることは望まないが、凍結段階およびそれに続く解凍段階は、細胞集団における顆粒球およびある程度の単球を除去することによって、より均一な製品を提供する。血漿および血小板を除去する洗浄段階の後に、これらの細胞を凍結液中に懸濁させてもよい。多くの凍結液およびパラメーターが当技術分野において公知であり、かつこの状況において有用であるが、1つの方法は、20% DMSOおよび8%ヒト血清アルブミンを含有するPBS、または、10%デキストラン40および5%デキストロース、20%ヒト血清アルブミンおよび7.5% DMSO、または31.25% Plasmalyte-A、31.25%デキストロース5%、0.45% NaCl、10%デキストラン40および5%デキストロース、20%ヒト血清アルブミンおよび7.5% DMSO、または例えばHespanおよびPlasmaLyte Aを含有する他の適した細胞凍結培地の使用を伴い、続いてこれらの細胞は、1分間に1℃の速度で-80℃に凍結され、液体窒素貯蔵タンク内で気相中に貯蔵される。その他の制御された凍結法に加え、即時-20℃または液体窒素中の制御されない凍結を使用してもよい。
ある態様においては、凍結保存細胞を本明細書に記載の通りに解凍および洗浄して、室温で1時間静置した後に、本発明の方法を用いる活性化を行う。
また、本発明に関連して、本明細書に記載されたような増大された細胞が必要となる前の期間での、対象からの血液試料またはアフェレーシス産物の収集も想定している。そのために、増大させようとする細胞の供給源を、必要な任意の時点で収集し、T細胞などの所望の細胞を、本明細書に記載された説明されたもののような、T細胞療法による恩恵を受けると考えられる任意のさまざまな疾患または病状に対するT細胞療法に後に用いるために単離して凍結することができる。1つの態様においては、血液試料またはアフェレーシス物を、全般的に健常な対象から採取する。ある態様においては、血液試料またはアフェレーシス物を、疾患を発症するリスクがあるが、まだ疾患を発症していない全般的に健常な対象から採取し、関心対象の細胞を、後に用いるために単離して凍結する。ある態様においては、T細胞を増大させ、凍結して、後の時点で用いる。ある態様においては、本明細書に記載されたような特定の疾患の診断後間もなく、しかしいかなる治療も行わないうちに、患者から試料を収集する。1つのさらなる態様においては、細胞を、ナタリズマブ、エファリズマブ、抗ウイルス薬、化学療法、放射線療法、例えばシクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノレートおよびFK506などの免疫抑制剤、抗体、または他の免疫除去薬、例えばCAMPATH、抗CD3抗体、サイトキサン、フルダラビン、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228、および照射などの作用因子による治療を非限定的に含む、任意のさまざまな妥当な治療様式の前の対象由来の血液試料またはアフェレーシス物から単離する。これらの薬物は、カルシウム依存性ホスファターゼカルシニューリンを阻害するか(シクロスポリンおよびFK506)、または増殖因子で誘導されるシグナル伝達にとって重要なp70S6キナーゼを阻害する(ラパマイシン)(Liu et al., Cell, 66:807-815,1991;Henderson et al., Immun., 73:316-321,1991;Bierer et al., Curr. Opin. Immun., 5:763-773,1993)。1つのさらなる態様においては、細胞を患者のために単離して、骨髄移植もしくは幹細胞移植、フルダラビンなどの化学療法薬、外部ビーム照射療法(XRT)、シクロホスファミド、またはOKT3もしくはCAMPATHなどの抗体のいずれかを用いるT細胞除去療法とともに(例えば、その前、同時またはその後に)、後に用いるために凍結する。もう1つの態様においては、細胞を事前に単離した上で、CD20と反応する薬剤、例えばリツキサンなどによるB細胞除去療法後の治療のために後で用いるために凍結する。
本発明の1つのさらなる態様においては、T細胞を、治療後に患者から直接入手する。これに関して、ある特定の癌治療、特に免疫系に障害を及ぼす薬物による治療の後には、患者が通常であれば治療から回復中であると考えられる治療後間もない時点で、得られるT細胞の品質が、それらがエクスビボで増大する能力の点で最適であるか改善されていることが観察されている。同様に、本明細書に記載された方法を用いるエクスビボ操作の後にも、これらの細胞は生着およびインビボ増大の増強のために好ましい状態にある可能性がある。したがって、本発明に関連して、この回復相の間に、T細胞、樹状細胞、または造血系統の他の細胞を含む血液細胞を収集することを想定している。さらに、ある態様においては、動員(例えば、GM-CSFによる動員)レジメンおよび条件付けレジメンを用いて、特定の細胞型の再増殖、再循環、再生および/または増大にとって有利に働く状態を、特に治療法の後のある規定された時間枠の間に、対象において作り出すことができる。例示的な細胞型には、T細胞、B細胞、樹状細胞および免疫系の他の細胞が含まれる。
1つの態様において、CAR分子、例えば本明細書に記載のCAR分子を発現する免疫エフェクター細胞は、mTOR阻害薬の不十分な免疫強化性用量を投与された対象から得られる。1つの態様において、CARを発現するように操作しようとする免疫エフェクター細胞、例えばT細胞の集団は、対象における、または対象から採取された、PD1陰性免疫エフェクター細胞、例えばT細胞のレベル、またはPD1陰性免疫エフェクター細胞、例えばT細胞/PD1陽性免疫エフェクター細胞、例えばT細胞の比が、少なくとも一過性に増大するように、mTOR阻害薬の不十分な免疫強化性用量の投薬から十分な時間の後、またはその十分な投薬後に採取される。
他の態様においては、CARを発現するように操作されたか、または操作されようとする免疫エフェクター細胞、例えばT細胞の集団を、PD1陰性免疫エフェクター細胞、例えばT細胞の数を増加させる量のmTOR阻害薬と接触させるか、またはPD1陰性免疫エフェクター細胞(例えばT細胞)/PD1陽性免疫エフェクター細胞(例えばT細胞)の比を増大させる量のmTOR阻害薬と接触させることによって、エクスビボで処置することができる。
1つの態様において、T細胞集団は、ジアグリセロールキナーゼ(DGK)欠損性である。DGK欠損細胞には、DGK RNAもタンパク質も発現しないか、またはDGK活性が低下しているかもしくは阻害されている細胞が含まれる。DGK欠損細胞は、遺伝学的アプローチによって、例えば、DGK発現を低下させるかまたは妨げるために、例えば、RNA干渉物質、例えば、siRNA、shRNA、miRNAを投与することによって作製することができる。または、本明細書に記載のDGK阻害薬による処置によって、DGK欠損細胞を作製することもできる。
1つの態様において、T細胞集団はIkaros欠損性である。Ikaros欠損細胞には、Ikaros RNAもタンパク質も発現しないか、またはIkaros活性が低下しているかもしくは阻害されている細胞が含まれる。Ikaros欠損細胞は、遺伝学的アプローチによって、例えば、Ikaros発現を低下させるかまたは妨げるために、例えば、RNA干渉物質、例えば、siRNA、shRNA、miRNAを投与することによって作製することができる。または、本明細書に記載のIkaros阻害薬、例えば、レナリドマイドによる処置によって、Ikaros欠損細胞を作製することもできる。
複数の態様において、T細胞集団は、DGK欠損性かつIkaros欠損性であり、例えば、DGKおよびIkarosを発現しないか、またはDGK活性およびIkaros活性が低下しているかまたは阻害されている。そのようなDGKおよびIkarosの欠損細胞は、本明細書に記載の方法のいずれかによって作製することができる。
1つの態様において、NK細胞は、対象から得られる。もう1つの態様において、NK細胞は、NK細胞株、例えば、NK-92細胞株(Conkwest)である。
同種CAR
本明細書に記載の態様において、免疫エフェクター細胞は、同種免疫エフェクター細胞、例えばT細胞またはNK細胞であってよい。例えば、細胞は、同種T細胞、例えば、機能的T細胞受容体(TCR)ならびに/またはヒト白血球抗原(HLA)、例えば、HLAクラスIおよび/もしくはHLAクラスIIの発現を欠く同種T細胞である。
機能的TCRを欠くT細胞は、例えば、それがその表面上に機能的TCRを全く発現しないように操作されるか、それが機能的TCRを含む1つまたは複数のサブユニットを発現しないように操作されるか(例えば、それがTCRα、TCRβ、TCRγ、TCRδ、TCRε、またはTCRζを発現しないように(または発現の減少を示すように)操作される)、またはそれがその表面上に機能的TCRをごくわずかしか産生しないように操作される。または、T細胞は、例えば、TCRのサブユニットのうち1つまたは複数の突然変異型または短縮型の発現によって、実質的に障害を生じさせたTCRを発現することができる。「実質的に障害を生じさせたTCR」という用語は、このTCRが宿主における有害な免疫反応を誘発しないと考えられることを意味する。
本明細書に記載のT細胞は、例えば、それがその表面上に機能的HLAを発現しないように操作することができる。例えば、本明細書に記載のT細胞は、細胞表面発現HLA、例えば、HLAクラス1および/またはHLAクラスIIがダウンレギュレートされるように操作することができる。いくつかの局面において、HLAのダウンレギュレーションは、β-2ミクログロブリン(B2M)の発現を低下または消失させることによって実現することができる。
いくつかの態様において、T細胞は、機能的TCRならびに機能的HLA、例えば、HLAクラスIおよび/またはHLAクラスIIを欠きうる。
機能的TCRおよび/またはHLAの発現を欠く改変T細胞は、TCRまたはHLAの1つまたは複数のサブユニットのノックアウトまたはノックダウンを含む、任意の適した手段によって得ることができる。例えば、T細胞は、siRNA、shRNA、クラスター化し規則的に間隔を空けた短い回文配列の繰り返し(clustered regularly interspaced short palindromic repeats)(CRISPR) 転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、またはジンクフィンガーエンドヌクレアーゼ(ZFN)を用いた、TCRおよび/またはHLAのノックダウンを含みうる。
いくつかの態様において、同種細胞は、阻害分子を発現しないかまたは低レベルで発現する細胞、例えば、本明細書に記載のいずれかの方法によって操作された細胞であってよい。例えば、細胞は、例えば、CAR発現細胞が免疫エフェクター応答を開始する能力を低下させる恐れのある阻害分子を発現しないかまたは低レベルで発現する細胞であってよい。阻害分子の例には、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3および/またはCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシン、およびTGFRβが含まれる。例えば、DNA、RNAまたはタンパク質のレベルでの阻害による阻害分子の阻害により、CAR発現細胞の性能を最適化することができる。複数の態様において、阻害性核酸、例えば、例えば本明細書に記載される阻害性核酸、例えば、dsRNA、例えば、siRNAまたはshRNA、クラスター化し規則的に間隔を空けた短い回文配列の繰り返し(CRISPR)、転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、またはジンクフィンガーエンドヌクレアーゼ(ZFN)を用いることができる。
TCRまたはHLAを阻害するためのsiRNAおよびshRNA
いくつかの態様において、TCR発現および/またはHLA発現は、細胞において、TCRおよび/またはHLA、および/または本明細書に記載の阻害分子(例えば、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3および/またはCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシン、およびTGFRβ)をコードする核酸を標的とするsiRNAまたはshRNAを用いて阻害することができる。
T細胞におけるsiRNAおよびshRNAの発現は、例えばレンチウイルス発現系などの、従来の任意の発現系を用いて達成することができる。
TCRの構成要素の発現をダウンレギュレートする例示的なshRNAは、例えば、米国特許出願公開第2012/0321667号に記載されている。HLAクラスIおよび/またはHLAクラスII遺伝子の発現をダウンレギュレートする例示的なsiRNAおよびshRNAは、例えば、米国特許出願公開第US 2007/0036773号に記載されている。
TCRまたはHLAを阻害するためのCRISPR
本明細書で用いる「CRISPR」または「TCRおよび/またはHLAに対するCRISPR」または「TCRおよび/またはHLAを阻害するためのCRISPR」とは、クラスター化し規則的に間隔を空けた短い回文配列の繰り返しのセット、または反復配列のそのようなセットを含む系のことを指す。本明細書で用いる「Cas」とは、CRISPR関連タンパク質の1つのことを指す。「CRISPR/Cas」系とは、TCR遺伝子および/もしくはHLA遺伝子、ならびに/または本明細書に記載の阻害分子(例えば、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3および/またはCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシン、およびTGFRβ)を発現停止させるかまたは突然変異させるために用いうる、CRISPRおよびCasに由来する系のことを指す。
天然のCRISPR/Cas系は、配列が決定された真正細菌ゲノムのおよそ40%、および配列決定された古細菌の90%に見られる。Grissa et al. (2007) BMC Bioinformatics 8: 172。この系は、プラスミドおよびファージなどの外来性遺伝因子に対する耐性を付与し、かつ獲得免疫の一形態をもたらす、原核生物免疫系の一種である。Barrangou et al. (2007) Science 315: 1709-1712;Marragini et al. (2008) Science 322: 1843-1845。
CRISPR/Cas系は、マウスまたは霊長動物などの真核生物における遺伝子編集(特定遺伝子の発現停止、強化または変更)に用いるために改変されている。Wiedenheft et al. (2012) Nature 482: 331-8。これは、真核細胞に、特別に設計されたCRISPRおよび1つまたは複数の適切なCasを含むプラスミドを導入することによって実現される。
CRISPR配列は、時にはCRISPR遺伝子座とも呼ばれ、反復配列およびスペーサーを交互に含む。天然のCRISPRにおいて、スペーサーは通常、プラスミド配列またはファージ配列などの、細菌にとって外来性である配列を含む;TCRおよび/またはHLA CRISPR/Cas系において、スペーサーはTCRまたはHLAの遺伝子配列に由来する。
CRISPR遺伝子座からのRNAは構成的に発現されており、Casタンパク質によるプロセシングによって小型RNAとなる。これらは、反復配列が隣接したスペーサーを含む。RNAは、他のCasタンパク質が、外因性遺伝因子をRNAまたはDNAのレベルで発現停止させるように導く。Horvath et al. (2010) Science 327: 167-170;Makarova et al. (2006) Biology Direct 1: 7。スペーサーはこのため、siRNAsと同じように、RNA分子のテンプレートとしての役を果たす。Pennisi (2013) Science 341: 833-836。
これらは多くのさまざまな種類の細菌に存在するため、CRISPRの正確な並び方、ならびにCas遺伝子およびその産物の構造、機能および数は、種によって幾分異なる。Haft et al. (2005) PLoS Comput. Biol. 1: e60;Kunin et al. (2007) Genome Biol. 8: R61;Mojica et al. (2005) J. Mol. Evol. 60: 174-182;Bolotin et al. (2005) Microbiol. 151: 2551-2561;Pourcel et al. (2005) Microbiol. 151: 653-663;およびStern et al. (2010) Trends. Genet. 28: 335-340。例えば、Cse(Casサブタイプ、大腸菌)タンパク質(例えば、CasA)は、機能的複合体の1つであるCascadeを形成し、これは、CRISPR RNA転写物をプロセシングしてCascadeに保持されるスペーサー-反復配列単位にする。Brouns et al. (2008) Science 321: 960-964。他の原核生物においては、Cas6がCRISPR転写物をプロセシングする。大腸菌におけるCRISPRベースのファージの不活性化は、CascadeおよびCas3を必要とするが、Cas1およびCas2は必要としない。パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)および他の原核生物におけるCmr(Cas RAMPモジュール)タンパク質は、小型CRISPR RNAと機能的複合体を形成し、それは相補的標的RNAを認識して切断する。より単純なCRISPR系は、二重らせんの各鎖に対する2つの活性切断部位を有するヌクレアーゼであるタンパク質Cas9に依拠している。Cas9と改変CRISPR遺伝子座RNAの組み合わせを、遺伝子編集のために系に用いることができる。Pennisi (2013) Science 341: 833-836。
CRISPR/Cas系は、それ故に、TCR遺伝子および/またはHLA遺伝子の編集(塩基対の付加または除去)のため、または中途終止を導入するために用いることができ、そのようにしてTCRおよび/またはHLAの発現を低下させる。CRISPR/Cas系を、代替的に、RNA干渉のように用いて、TCR遺伝子および/またはHLA遺伝子を可逆的な様式で無効にすることもできる。哺乳動物細胞において、例えば、RNAは、Casタンパク質をTCRおよび/またはHLAのプロモーターに導いて、RNAポリメラーゼを立体的に遮断することができる。
例えば、米国特許出願公開第20140068797号およびCong (2013) Science 339: 819-823に記載された、当技術分野において公知の技術を用いて、TCRおよび/またはHLAを阻害する人工的CRISPR/Cas系を作製することができる。また、例えば、Tsai (2014) Nature Biotechnol., 32:6 569-576、米国特許第8,871,445号;第8,865,406号;第8,795,965号;第8,771,945号;および第8,697,359号に記載されたような、TCRおよび/またはHLAを阻害する、当技術分野において公知である他の人工的CRISPR/Cas系を作製することもできる。
TCRおよび/またはHLAを阻害するためのTALEN
「TALEN」または「HLAおよび/またはTCRに対するTALEN」または「HLAおよび/またはTCRを阻害するためのTALEN」とは、HLA遺伝子および/もしくはTCR遺伝子、ならびに/または本明細書に記載の阻害分子(例えば、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3および/またはCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシン、およびTGFRβ)を編集するために用いうる人工的ヌクレアーゼである、転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼのことを指す。
TALENは、TALエフェクターDNA結合ドメインをDNA切断ドメインと融合させることによって、人工的に作製される。転写アクチベーター様効果(TALE)を、HLA遺伝子またはTCR遺伝子の一部分を含む、任意の所望のDNA配列と結合するように操作することができる。操作されたTALEをDNA切断ドメインと組み合わせることにより、HLA配列またはTCR配列を含む、任意の所望のDNA配列に対して特異的な制限酵素を作製することができる。続いて、これらを細胞に導入して、それらをゲノム編集のために用いることができる。Boch (2011) Nature Biotech. 29: 135-6;およびBoch et al. (2009) Science 326: 1509-12;Moscou et al. (2009) Science 326: 3501。
TALEは、キサントモナス(Xanthomonas)細菌によって分泌されるタンパク質である。そのDNA結合ドメインは、反復性で高度に保存されている33〜34アミノ酸の配列を含むが、12番目および13番目のアミノ酸は例外である。これらの2つの位置は高度に可変性であり、特異的ヌクレオチド認識と強い相関を示す。このため、所望のDNA配列と結合するように、それらを操作することができる。
TALENを作製するためには、TALEタンパク質を、野生型または突然変異型のFokIエンドヌクレアーゼであるヌクレアーゼ(N)と融合させる。FokIに対するいくつかの突然変異が、それをTALENに用いるために作製されている;これらは、例えば、切断特異性または活性を向上させる。Cermak et al. (2011) Nucl. Acids Res. 39: e82;Miller et al. (2011) Nature Biotech. 29: 143-8;Hockemeyer et al. (2011) Nature Biotech. 29: 731-734;Wood et al. (2011) Science 333: 307;Doyon et al. (2010) Nature Methods 8: 74-79;Szczepek et al. (2007) Nature Biotech. 25: 786-793;およびGuo et al. (2010) J. Mol. Biol. 200: 96。
FokIドメインは二量体として機能し、適正な向きおよび間隔を有する標的ゲノム内の部位に対する特有のDNA結合ドメインを有する2つの構築物を必要とする。TALE DNA結合ドメインとFokI切断ドメインとの間のアミノ酸残基の数、および2つの個々のTALEN結合部位の間の塩基の数の両方が、高レベルの活性を達成するための重要なパラメーターであるように思われる。Miller et al. (2011) Nature Biotech. 29: 143-8。
HLA TALENまたはTCR TALENは、二本鎖切断(DSB)を生じさせるために、細胞の内部で用いることができる。修復機構が非相同末端結合を介して切断部を不適切に修復する場合には、突然変異を導入することができる。例えば、不適切な修復は、フレームシフト突然変異を導入することがある。または、外来性DNAを、TALENとともに細胞に導入することもできる;外来性DNAの配列および染色体配列によっては、この過程を、HLA遺伝子またはTCR遺伝子における欠陥を是正するため、またはそのような欠陥をHLA遺伝子またはTCR遺伝子に導入し、そのようにしてHLAまたはTCRの発現を低下させるために用いることができる。
HLAまたはTCRにおける配列に対して特異的なTALENは、モジュール構成要素を用いるさまざまなスキームを含む、当技術分野において公知の任意の方法を用いて構築することができる。Zhang et al. (2011) Nature Biotech. 29: 149-53;Geibler et al. (2011) PLoS ONE 6: e19509。
HLAおよび/またはTCRを阻害するためのジンクフィンガーヌクレアーゼ
「ZFN」または「ジンクフィンガーヌクレアーゼ」または「HLAおよび/またはTCRに対するZFN」または「HLAおよび/またはTCRを阻害するためのZFN」という用語は、HLA遺伝子および/もしくはTCR遺伝子、ならびに/または本明細書に記載の阻害分子(例えば、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3および/またはCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシン、およびTGFRβ)を編集するために用いうる人工的ヌクレアーゼである、ジンクフィンガーヌクレアーゼのことを指す。
TALENと同様に、ZFNは、DNA結合ドメインと融合したFokIヌクレアーゼドメイン(またはその誘導体)を含む。ZFNの場合には、DNA結合ドメインは1つまたは複数のジンクフィンガーを含む。Carroll et al. (2011) Genetics Society of America 188: 773-782;およびKim et al. (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 1156-1160。
ジンクフィンガーは、1個または複数の亜鉛イオンによって安定化される小型のタンパク質構造モチーフである。ジンクフィンガーは、例えば、Cys2His2を含むことができ、およそ3bpの配列を認識することができる。特異性が公知であるさまざまなジンクフィンガーを組み合わせて、約6bp、9bp、12bp、15bpまたは18bpの配列を認識するマルチフィンガーポリペプチドを作製することができる。ファージディスプレイ、酵母ワンハイブリッド系、細菌ワンハイブリッド系およびツーハイブリッド系、ならびに哺乳動物細胞を含む、さまざまな選択手法およびモジュール集成手法を、特異的配列を認識するジンクフィンガー(およびそれらの組み合わせ)を作製するために利用することができる。
TALENと同様に、ZFNは、DNAを切断するために二量体化しなければならない。したがって、非パリンドローム性DNA部位を標的とするためにはZFNの対が必要である。2つの個々のZFNが、それらのヌクレアーゼが適正な間隔を隔てて、DNAの対向鎖と結合しなければならない。Bitinaite et al. (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 10570-5。
同じくTALENと同様に、ZFNはDNA内に二本鎖切断を作り出すことができ、それは不適切に修復 されればフレームシフト突然変異を生み出すことがあり、細胞におけるHLAおよび/またはTCRの発現および量の減少を招く。また、ZFNを、HLA遺伝子またはTCR遺伝子に突然変異を生じさせるために、相同組換えとともに用いることもできる。
HLAおよび/またはTCRにおける配列に対して特異的なZFNを、当技術分野において公知の任意の方法を用いて構築することができる。例えば、Provasi (2011) Nature Med. 18: 807-815;Torikai (2013) Blood 122: 1341-1349;Cathomen et al. (2008) Mol. Ther. 16: 1200-7;Guo et al. (2010) J. Mol. Biol. 400: 96;米国特許出願公開第2011/0158957号;および米国特許出願公開第2012/0060230号を参照されたい。
テロメラーゼ発現
いかなる特定の理論にも拘束されることは望まないが、いくつかの態様において、治療用T細胞は、T細胞における短縮したテロメアが原因で、患者における存続性が短期的である;このため、テロメラーゼ遺伝子によるトランスフェクションにより、T細胞のテロメアを延長して、患者におけるT細胞の存続性を向上させることができる。Carl June, "Adoptive T cell therapy for cancer in the clinic", Journal of Clinical Investigation, 117:1466-1476 (2007)を参照されたい。このため、1つの態様において、免疫エフェクター細胞、例えばT細胞は、テロメラーゼサブユニット、例えば、テロメラーゼの触媒性サブユニット、例えば、TERT、例えば、hTERTを異所性に発現する。いくつかの局面において、本開示は、CAR発現細胞を作製する方法であって、細胞を、テロメラーゼサブユニット、例えば、テロメラーゼの触媒性サブユニット、例えば、TERT、例えば、hTERTをコードする核酸と接触させる段階を含む方法を提供する。細胞は、CARをコードする構築物と接触させる前に、それと同時に、または後に、核酸と接触させることができる。
1つの局面において、本開示は、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)の集団を作製する方法を特徴とする。1つの態様において、本方法は、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)の集団を用意する段階、免疫エフェクター細胞の集団を、CARをコードする核酸と接触させる段階;および、免疫エフェクター細胞の集団を、テロメラーゼサブユニット、例えば、hTERTをコードする核酸と、CARおよびテロメラーゼの発現を可能にする条件下で接触させる段階を含む。
1つの態様において、テロメラーゼサブユニットをコードする核酸はDNAである。1つの態様において、テロメラーゼサブユニットをコードする核酸は、テロメラーゼサブユニットの発現を作動させることができるプロモーターを含む。
1つの態様において、hTERTは、以下の通りの、GenBankタンパク質ID AAC51724.1のアミノ酸配列(Meyerson et al., "hEST2, the Putative Human Telomerase Catalytic Subunit Gene, Is Up-Regulated in Tumor Cells and during Immortalization" Cell Volume 90, Issue 4, 22 August 1997, Pages 785-795)を有する:
1つの態様において、hTERTは、SEQ ID NO:114の配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一な配列を有する。1つの態様において、hTERTはSEQ ID NO:114の配列を有する。1つの態様において、hTERTは、N末端、C末端、またはその両方に、(例えば、5、10、15、20または30アミノ酸を上回らない)欠失を含む。1つの態様において、hTERTは、N末端、C末端、またはその両方に、(例えば、5、10、15、20または30アミノ酸を上回らない)トランスジェニックアミノ酸配列を含む。
1つの態様において、hTERTは、GenBankアクセッション番号AF018167の核酸配列によってコードされる(Meyerson et al., "hEST2, the Putative Human Telomerase Catalytic Subunit Gene, Is Up-Regulated in Tumor Cells and during Immortalization" Cell Volume 90, Issue 4, 22 August 1997, Pages 785-795):
1つの態様において、hTERTは、SEQ ID NO:115の配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96、97%、98%または99%同一な配列を有する核酸によってコードされる。1つの態様において、hTERTはSEQ ID NO:115の核酸によってコードされる。
T細胞の活性化および増大
一般に、例えば、米国特許第6,352,694号;第6,534,055号;第6,905,680号;第6,692,964号;第5,858,358号;第6,887,466号;第6,905,681 号;第7,144,575号;第7,067,318号;第7,172,869号;第7,232,566号;第7,175,843号;第5,883,223号;第6,905,874号;第6,797,514号;第6,867,041号;ならびに米国特許出願公開第20060121005号に記載された方法を用いて、T細胞は活性化および増大ささせられ得る。
一般に、本発明のT細胞は、CD3/TCR複合体関連シグナルを刺激する作用物質、およびT細胞の表面上の共刺激分子を刺激するリガンドが結びつけられた表面との接触によって増大させられ得る。特に、T細胞集団は、本明細書に記載されたように、例えば、表面上に固定化された抗CD3抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは抗CD2抗体との接触によって、またはカルシウムイオノフォアを伴うプロテインキナーゼCアクチベーター(例えば、ブリオスタチン)との接触などによって、刺激することができる。T細胞の表面上のアクセサリー分子の同時刺激のためには、アクセサリー分子と結合するリガンドが用いられる。例えば、T細胞の集団を、T細胞の増殖を刺激するのに適した条件下で、抗CD3抗体および抗CD28抗体と接触させることができる。CD4+ T細胞またはCD8+ T細胞のいずれかの増殖を刺激するためには、抗CD3抗体および抗CD28抗体。抗CD28抗体の例には、9.3、B-T3、XR-CD28(Diaclone, Besancon, France)が含まれ、当技術分野において一般に公知である他の方法と同様に用いることができる(Berg et al., Transplant Proc. 30(8):3975-3977, 1998;Haanen et al., J. Exp. Med. 190(9):13191328, 1999;Garland et al., J. Immunol Meth. 227(1-2):53-63, 1999)。
ある態様において、T細胞に対する一次刺激シグナルおよび共刺激シグナルは、さまざまなプロトコールによって与えることができる。例えば、各シグナルを与える作用物質は、溶液中にあってもよく、または表面と結びつけてもよい。表面と結びつける場合、これらの作用物質を同じ表面に結びつけてもよく(すなわち、「シス」フォーメーション)、または別々の表面に結びつけてもよい(すなわち、「トランス」フォーメーション)。または、一方の作用物質を溶液中の表面に結びつけ、もう一方の作用物質が溶液中にあってもよい。1つの態様においては、共刺激シグナルを与える作用物質を細胞表面と結合させ、一次活性化シグナルを与える作用物質は溶液中にあるか、または表面と結びつける。ある態様においては、両方の作用物質が溶液中にあってもよい。もう1つの態様において、これらの物質は可溶形態にあり、続いて、Fc受容体を発現する細胞または抗体またはこれらの物質と結合する他の結合物質などの表面と架橋結合することができる。これに関しては、例えば、本発明においてT細胞を活性化および増大させるために用いることを想定している人工抗原提示細胞(aAPC)についての、米国特許出願公開第20040101519号および第20060034810号を参照されたい。
1つの態様においては、2種類の作用物質を、同じビーズ上に、すなわち「シス」か、または別々のビーズ上に、すなわち「トランス」かのいずれかとして、ビーズ上に固定化する。一例として、一次活性化シグナルを与える作用物質は抗CD3抗体またはその抗原結合フラグメントであり、共刺激シグナルを与える作用物質は抗CD28抗体またはその抗原結合フラグメントである;そして、両方の作用物質を等モル量で同じビーズに同時固定化する。1つの態様においては、CD4+ T細胞の増大およびT細胞増殖のためにビーズと結合させる各抗体を1:1の比で用いる。本発明のある局面においては、ビーズと結合させる抗CD3:CD28抗体の比として、1:1の比を用いて観察される増大と比較してT細胞増大の増加が観察されるようなものを用いる。1つの特定の態様においては、1:1の比を用いて観察される増大と比較して約1〜約3倍の増加が観察される。1つの態様においては、ビーズと結合させるCD3:CD28抗体の比は、100:1〜1:100、およびそれらの間のすべての整数の範囲にある。本発明の1つの局面においては、抗CD3抗体よりも多くの抗CD28抗体が粒子と結合され、すなわちCD3:CD28の比は1未満である。本発明のある態様において、ビーズと結合させる抗CD28抗体と抗CD3抗体との比は、2:1よりも大きい。1つの特定の態様においては、ビーズと結合させる抗体に1:100のCD3:CD28比を用いる。もう1つの態様においては、ビーズと結合させる抗体に1:75のCD3:CD28比を用いる。さらなる態様においては、ビーズと結合させる抗体に1:50のCD3:CD28比を用いる。もう1つの態様においては、ビーズと結合させる抗体に1:30のCD3:CD28比を用いる。1つの好ましい態様においては、ビーズと結合させる抗体に1:10のCD3:CD28比を用いる。もう1つの態様においては、ビーズと結合させる抗体に1:3のCD3:CD28比を用いる。さらにもう1つの態様においては、ビーズと結合させる抗体に3:1のCD3:CD28比を用いる。
T細胞または他の細胞標的を刺激するには、粒子と細胞との比として1:500〜500:1およびその間の任意の整数値を用いることができる。当業者が容易に理解するように、粒子と細胞との比は、標的細胞に対する粒子サイズに依存しうる。例えば、小さいサイズのビーズは2、3個の細胞と結合しうるに過ぎないが、一方、より大きいビーズは多くと結合しうると考えられる。ある態様において、細胞と粒子との比は1:100〜100:1およびその間の任意の整数値の範囲にあり、さらなる態様において、この比は1:9〜9:1およびその間の任意の整数値を含み、これを同じくT細胞を刺激するために用いることができる。T細胞の刺激をもたらす、抗CD3および抗CD28が結びついた粒子とT細胞との比は、上述したようにさまざまでありうるが、いくつかの好ましい値には、1:100、1:50、1:40、1:30、1:20、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1および15:1が含まれ、1つの好ましい比は、T細胞1個につき粒子が少なくとも1:1である。1つの態様においては、1:1またはそれ未満である粒子と細胞との比を用いる。1つの特定の態様において、好ましい粒子:細胞比は1:5である。さらなる態様において、粒子と細胞との比は、刺激の日に応じて変化しうる。例えば、1つの態様において、粒子と細胞との比は第1日に1:1〜10:1であり、その後最長10日間にわたって毎日または1日おきに追加の粒子を細胞に添加して、最終的な比が1:1〜1:10となる(添加の日の細胞数に基づく)。1つの特定の態様において、粒子と細胞との比は刺激の1日目に1:1であり、刺激の3日目および5日目に1:5に調節される。もう1つの態様において、粒子は毎日または1日おきに添加され、最終的な比は1日目に1:1であり、刺激の3日目および5日目には1:5である。もう1つの態様において、粒子と細胞との比は刺激の1日目に2:1であり、刺激の3日目および5日目に1:10に調節される。もう1つの態様において、粒子は毎日または1日おきに添加され、最終的な比は1日目に1:1であり、刺激の3日目および5日目には1:10である。当業者は、さまざまな他の比が、本発明における使用に適することを理解するであろう。特に、比は粒子サイズならびに細胞のサイズおよび型に応じて多様であると考えられる。1つの局面において、使用のための最も典型的な比は、1日目に1:1、2:1、および3:1の近傍である。
本発明のさらなる態様においては、T細胞などの細胞を、作用物質でコーティングされたビーズと一緒にし、その後にビーズと細胞を分離した上で、続いて細胞を培養する。1つの代替的な態様においては、培養の前に、作用物質でコーティングされたビーズと細胞を分離せずに、一緒に培養する。1つのさらなる態様においては、ビーズおよび細胞を磁力などの力の印加によってまず濃縮して、細胞表面マーカーの連結を増加させて、それにより、細胞刺激を誘導する。
例として、抗CD3および抗CD28が結びつけられた常磁性ビーズ(3x28ビーズ)をT細胞と接触させることによって、細胞表面タンパク質を連結させることができる。1つの態様においては、細胞(例えば、104〜109個のT細胞)およびビーズ(例えば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T常磁性ビーズ、1:1の比)を、緩衝液中、好ましくはPBS(カルシウムおよびマグネシウムなどの二価カチオンを含まない)中で一緒にする。この場合も、当業者は、あらゆる細胞濃度を用いうることを容易に理解するであろう。例えば、標的細胞が試料中に非常に稀であって、試料のわずかに0.01%を構成してもよく、または試料の全体(すなわち、100%)が関心対象の標的細胞で構成されてもよい。したがって、あらゆる細胞数が本発明の状況に包含される。ある態様においては、粒子と細胞を一緒にして混合する容積を著しく減らして(すなわち、細胞の濃度を高めて)、細胞と粒子の最大の接触を確実にすることが望ましいと考えられる。例えば、1つの態様においては、細胞約100億個/ml、90億個/ml、80億個/ml、70億個/ml、60億個/ml、50億個/ml、または20億個/mlの濃度を用いる。もう1つの態様においては、細胞1億個/ml超を用いる。1つのさらなる態様においては、1000万個、1500万個、2000万個、2500万個、3000万個、3500万個、4000万個、4500万個、または5000万個/mlの細胞濃度を用いる。さらにもう1つの態様においては、7500万個、8000万個、8500万個、9000万個、9500万個または1億個/mlの細胞濃度を用いる。さらなる態様において、細胞1億2500万または1億5000万個/mlの濃度を用いることができる。高濃度を用いることにより、細胞収量、細胞活性化、および細胞増大の増加がもたらされうる。さらに、高い細胞濃度を用いることにより、CD28陰性T細胞のように関心対象の標的抗原を弱く発現する細胞のより効率的な捕捉が可能になる。ある態様においては、そのような細胞集団は治療的価値を有する可能性があり、入手することが望ましいと考えられる。例えば、高濃度の細胞を用いることにより、通常は比較的弱いCD28発現を有するCD8+ T細胞のより効率的な選択が可能にある。
1つの態様において、CAR、例えば本明細書に記載されるCARをコードする核酸を用いて形質導入した細胞が、本明細書に記載される方法を用いて増大させられる。1つの態様において、細胞は培養下で、数時間(例えば、約2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、15時間、18時間、21時間)から約14日間(例えば、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、または14日間)の期間増大する。1つの態様において、細胞は4〜9日間の期間増大する。1つの態様において、細胞は8日間以内、例えば7日間、6日間、または5日間の期間増大する。1つの態様において、細胞、例えば本明細書に記載されるGFRα4 CAR細胞は、培養下で5日間増大し、結果として得られる細胞は、同じ培養条件下で培養下で9日間増大した同じ細胞よりも強力である。有効性は、例えば様々なT細胞機能、例えば増殖、標的細胞死滅、サイトカイン産生、活性化、遊走、またはこれらの組み合わせによって定義することができる。1つの態様において、細胞、例えば5日間増大した本明細書に記載されるGFRα4 CAR細胞は、同じ培養条件下で培養下で9日間増大した同じ細胞と比較して、抗原刺激時の細胞の倍加において、少なくとも1倍、2倍、3倍、または4倍の増加を示す。1つの態様において、細胞、例えば本明細書に記載されるGFRα4 CARを発現する細胞は、培養下で5日間増大し、結果として得られる細胞は、同じ培養条件下で培養下で9日間増大した同じ細胞と比較して、より高い炎症性サイトカインの産生、例えばIFN-γおよび/またはGM-CSFレベルを示す。1つの態様において、細胞、例えば5日間増大した本明細書に記載されるGFRα4 CAR細胞は、同じ培養条件下で培養下で9日間増大した同じ細胞と比較して、炎症性サイトカイン産生、例えばIFN-γおよび/またはGM-CSFレベルにおいて、pg/mlで少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍またはそれを上回る増加を示す。
本発明の1つの態様においては、混合物を、数時間(約3時間)〜約14日間、またはその間の任意の整数値単位の時間にわたって培養しうる。もう1つの態様において、混合物を21日間培養しうる。本発明の1つの態様においては、ビーズとT細胞を約8日間一緒に培養する。もう1つの態様においては、ビーズとT細胞は2〜3日間一緒に培養する。数回の刺激サイクルも望ましく、その結果、T細胞の培養時間は60日間またはそれより長くなる。T細胞の培養に適した条件には、血清(例えばウシ胎仔血清またはヒト血清)、インターロイキン-2(IL-2)、インスリン、IFN-γ、IL-4、IL-7、GM-CSF、IL-10、IL-12、IL-15、TGFβおよびTNF-α、または当業者に公知である細胞増殖のための他の添加物を含む、増殖および生存のために必要な因子を含みうる適切な培地(例えば、最小必須培地またはRPMI Media 1640または、X-vivo 15(Lonza))が含まれる。細胞の増殖のための他の添加剤には、界面活性剤、プラスマネート、および還元剤、例えばN-アセチル-システインおよび2-メルカプトエタノールなどが非限定的に含まれる。培地には、アミノ酸、ピルビン酸ナトリウムおよびビタミンが添加された、血清非含有であるか、またはT細胞の増殖および増大のために十分な、適量の血清(または血漿)もしくは規定されたホルモンのセットおよび/もしくは一定量のサイトカインが加えられた、RPMI 1640、AIM-V、DMEM、MEM、α-MEM、F-12、X-Vivo 15、およびX-Vivo 20が含まれうる。ペニシリンおよびストレプトマイシンなどの抗生物質は実験培養物のみに含められ、対象に輸注される細胞の培養物には含められない。標的細胞は、増殖を支えるために必要な条件下、例えば適切な温度(例えば、37℃)および雰囲気(例えば、空気+5% CO2)の下で維持される。
1つの態様においては、細胞を、例えば、フローサイトメトリーなどの本明細書に記載の方法による測定で、14日の増大期間を経て、細胞の少なくとも200倍(例えば、200倍、250倍、300倍、350倍)の増加をもたらす1つまたは複数のインターロイキンを含む、適切な培地(例えば、本明細書に記載の培地)中で増大させる。1つの態様においては、細胞を、IL-15および/またはIL-7(例えば、IL-15およびIL-7)の存在下で増大させる。
複数の態様において、本明細書に記載の方法、例えば、CAR発現細胞の製造方法は、例えば、抗CD25抗体もしくはそのフラグメント、またはCD25結合性リガンドであるIL-2を用いて、調節性T細胞、例えばCD25+ T細胞を、細胞集団から除去する段階を含む。調節性T細胞、例えばCD25+ T細胞を細胞集団から除去する方法は、本明細書に記載されている。複数の態様において、本方法、例えば、本製造方法は、細胞集団(例えば、CD25+ T細胞などの調節性T細胞を枯渇させた細胞集団;または抗CD25抗体、そのフラグメント、またはCD25結合性リガンドと以前に接触させた細胞集団)を、IL-15および/またはIL-7と接触させる段階をさらに含む。例えば、細胞集団(例えば、抗CD25抗体、そのフラグメント、またはCD25結合性リガンドと以前に接触させたもの)を、IL-15および/またはIL-7の存在下で増大させる。
いくつかの態様においては、本明細書に記載のCAR発現細胞を、CAR発現細胞の製造中に、例えば、エクスビボで、インターロイキン-15(IL-15)ポリペプチド、インターロイキン-15受容体α(IL-15Ra)ポリペプチド、またはIL-15ポリペプチドとIL-15Raポリペプチド、例えば、hetIL-15の両方の組み合わせと接触させる。複数の態様においては、本明細書に記載のCAR発現細胞を、CAR発現細胞の製造中に、例えば、エクスビボで、IL-15ポリペプチドを含む組成物と接触させる。複数の態様においては、本明細書に記載のCAR発現細胞を、CAR発現細胞の製造中に、例えば、エクスビボで、IL-15ポリペプチドとIL-15 Raポリペプチドの両方の組み合わせを含む組成物と接触させる。複数の態様においては、本明細書に記載のCAR発現細胞を、CAR発現細胞の製造中に、例えば、エクスビボで、hetIL-15を含む組成物と接触させる。
1つの態様においては、本明細書に記載のCAR発現細胞を、エクスビボ増大中に、hetIL-15を含む組成物と接触させる。1つの態様においては、本明細書に記載のCAR発現細胞を、エクスビボ増大中に、IL-15ポリペプチドを含む組成物と接触させる。1つの態様においては、本明細書に記載のCAR発現細胞を、エクスビボ増大中に、IL-15ポリペプチドとIL-15Raポリペプチドの両方を含む組成物と接触させる。1つの態様において、接触は、リンパ球部分集団、例えば、CD8+ T細胞の生存および増殖を生じさせる。
多様な刺激時間にわたって曝露されたT細胞は、異なる特性を示しうる。例えば、典型的な血液またはアフェレーシスを受けた末梢血単核細胞産物は、ヘルパーT細胞集団(TH、CD4+)を、細胞傷害性またはサプレッサーT細胞集団(TC、CD8+)よりも多く有する。CD3受容体およびCD28受容体を刺激することによるT細胞のエクスビボ増大では、約8〜9日目より前には主としてTH細胞からなるT細胞集団が生じるが、約8〜9日目以後、T細胞の集団はTC細胞の集団を次第に多く含むようになる。したがって、治療の目的によっては、主としてTH細胞で構成されるT細胞集団を対象に輸注することが有利な場合がある。同様に、TC細胞の抗原特異的サブセットが単離されている場合には、このサブセットをより高度に増大させることが有益な場合がある。
さらに、CD4およびCD8マーカーのほかに、他の表現型マーカーも、細胞増大の過程で顕著に、しかし大部分は再現性を伴って変動する。このため、そのような再現性により、活性化T細胞製品を特定の目的に合わせて作ることが可能になる。
ひとたびGFRα4 CARが構築されれば、適切なインビトロおよび動物モデルにおいて、抗原刺激後にT細胞を増大させる能力、再刺激の非存在下でT細胞増大を持続する能力、および抗癌活性などの、ただしこれらに限定されない分子の活性を評価するために、さまざまなアッセイを用いることができる。GFRα4 CARの効果を評価するためのアッセイについて、以下にさらに詳細に述べる。
初代T細胞におけるCAR発現のウエスタンブロット分析を、単量体および二量体の存在を検出するために用いることができる。例えば、Milone et al., Molecular Therapy 17(8): 1453-1464 (2009)を参照されたい。ごく手短に述べると、CARを発現するT細胞(CD4+ T細胞とCD8+ T細胞の1:1混合物)を、10日を超えてインビトロで増大させ、その後に溶解させて、SDS-PAGEを還元条件下で行う。完全長TCR-ζ細胞質ドメインおよび内因性TCR-ζ鎖を含むCARを、TCR-ζ鎖に対する抗体を用いるウエスタンブロット法によって検出する。同じT細胞サブセットを、共有結合性二量体形成の評価が可能になるように、非還元条件下でのSDS-PAGE分析のために用いる。
抗原刺激後のCAR+ T細胞のインビトロ増大は、フローサイトメトリーによって測定することができる。例えば、CD4+ T細胞とCD8+ T細胞の混合物をαCD3/αCD28 aAPCによって刺激し、その後に、分析しようとするプロモーターの制御下でGFPを発現するレンチウイルスベクターによる形質導入を行う。例示的なプロモーターには、CMV IE遺伝子、EF-1α、ユビキチンC、またはホスホグリセロキナーゼ(PGK)プロモーターが含まれる。GFP蛍光を、CD4+および/またはCD8+ T細胞サブセットにおいて培養第6日に、フローサイトメトリーによって評価する。例えば、Milone et al., Molecular Therapy 17(8): 1453-1464 (2009)を参照されたい。または、CD4+ T細胞とCD8+ T細胞の混合物をαCD3/αCD28でコーティングされた磁気ビーズによって第0日に刺激して、第1日に、2Aリボソームスキップ配列を用いてCARをeGFPとともに発現する2シストロン性レンチウイルスベクターにより、CARの形質導入を行う。培養物を、GFRα4発現細胞によって再刺激することができる。
また、再刺激の非存在下における持続的なCAR+ T細胞増大を測定することもできる。例えば、Milone et al., Molecular Therapy 17(8): 1453-1464 (2009)を参照されたい。手短に述べると、αCD3/αCD28でコーティングされた磁気ビーズによる刺激を第0日に行い、指定のCARによる形質導入を第1日に行った後、培養第8日に平均T細胞体積(fl)を、Coulter Multisizer III粒子計数器、Nexcelom Cellometer Vision、またはMillipore Scepterを用いて測定する。
また、CART活性を測定するために、動物モデルを用いることもできる。例えば、免疫不全マウスにおいて、癌、例えば、甲状腺髄様癌を治療するためのヒトGFRα4特異的CAR+ T細胞を用いる異種移植モデルを用いることができる。ごく手短に述べると、腫瘍の成立後に、マウスを治療群に関して無作為割り付けする。GFRα4 CART細胞を、免疫不全マウスに、例えば、静脈内に注射する。動物個体を、週1回の間隔で癌細胞に関して評価する。GFRα4 CART細胞またはモック形質導入T細胞を注射したマウスにおいて、GFRα4を発現する腫瘍細胞を測定することができる。複数の群に関する生存曲線を、ログランク検定を用いて評価する。
細胞傷害作用は、標準的な51Cr放出アッセイによって評価することができる。例えば、Milone et al., Molecular Therapy 17(8): 1453-1464 (2009)を参照されたい。手短に述べると、標的細胞に51Cr(NaCrO4として、New England Nuclear, Boston, MA)を、37℃で2時間にわたり頻回に撹拌しながらローディングし、完全RPMIで2回洗浄した上で、マイクロタイタープレートにプレーティングする。エフェクターT細胞を標的細胞と、ウェル内で完全RPMI中にて、さまざまなエフェクター細胞:標的細胞(E:T)比で混合する。さらに、培地のみ(自然放出、SR)またはtriton-X 100界面活性剤の1%溶液(全放出、TR)を含むウェルも調製する。37℃での4時間のインキュベーション後に、各ウェルからの上清を採取する。続いて、放出された51Crを、γ粒子計数器(Packard Instrument Co., Waltham, MA)を用いて測定する。各条件を少なくとも3回反復して実施し、溶解率を、式:溶解率=(ER-SR)/(TR-SR)を用いて算出するが、ここでERは各実験条件で放出された平均51Crを表す。
画像化技術を用いて、腫瘍担持動物モデルにおけるCARの特異的輸送および増殖を評価することができる。そのようなアッセイは、例えば、Barrett et al., Human Gene Therapy 22:1575-1586 (2011)に記載されている。手短に述べると、NOD/SCID/γc -/-(NSG)マウスにNalm-6細胞を静脈内注射して、7日後に、CAR構築物のエレクトロポレーションから4時間後にT細胞を注射する。T細胞にはホタルルシフェラーゼを発現するレンチウイルス構築物が安定的にトランスフェクトされており、マウスを生物発光に関して画像化する。または、Nalm-6異種移植モデルにおけるCAR+ T細胞の単回注射の治療有効性および特異性を、以下のように測定することもできる:NSGマウスに、ホタルルシフェラーゼを安定して発現するように形質導入されたNalm-6を注射し、その7日後に、GFRα4 CARのエレクトロポレーションを行ったT細胞の単回尾静脈注射を行う。動物個体を注射後のさまざまな時点で画像化する。例えば、第5日(治療の2日前)および第8日(CAR+ PBLの24時間後)に、代表的なマウスにおけるホタルルシフェラーゼ陽性白血病の光子密度ヒートマップを作成することができる。
本明細書における実施例の項に記載されたもの、さらには当技術分野において公知であるものを含む、他のアッセイを、本発明のGFRα4 CAR構築物を評価するために用いることもできる。
代替的に、または本明細書において開示される方法と組み合わせて、以下の1つまたは複数に関する方法および組成物も開示される:CAR発現細胞の検出および/もしくは定量(例えば、インビトロまたはインビボ(例えば、臨床モニタリング));免疫細胞の増大および/もしくは活性化;ならびに/またはCARリガンドの使用を伴うCAR特異的選択。1つの例示的な態様において、CARリガンドは、CAR分子と結合する、例えば、CARの細胞外抗原結合ドメインと結合する抗体(例えば、抗原結合ドメイン、例えば、抗イディオタイプ抗体と結合する抗体;または細胞外結合ドメインの定常領域と結合する抗体)である。他の態様において、CARリガンドは、CAR抗原分子(例えば、本明細書に記載するようなCAR抗原分子)である。
1つの局面においては、CAR発現細胞を検出および/または定量するための方法が開示される。例えば、CARリガンドを、インビトロまたはインビボでCAR発現細胞を検出および/または定量するために用いることができる(例えば、患者におけるCAR発現細胞の臨床モニタリング、または患者への用量決定)。本方法は以下を含む:
CARリガンド(任意で、標識されたCARリガンド、例えば、タグ、ビーズ、放射性標識または蛍光性標識を含むCARリガンド)を用意する段階;
CAR発現細胞を取得する(例えば、CAR発現細胞を含有する試料、例えば製造用試料または臨床試料などを取得する)段階;
CAR発現細胞を、CARリガンドと、結合が起こる条件下で接触させ、それによって、存在するCAR発現細胞のレベル(例えば、量)を検出する段階。CAR発現細胞のCARリガンドとの結合は、FACS、ELISAなどの標準的な手法を用いて検出することができる。
もう1つの局面においては、細胞(例えば、免疫エフェクター細胞)を増大させる、および/または活性化する方法が開示される。本方法は以下を含む:
CAR発現細胞(例えば、第1のCAR発現細胞または一過性に発現するCAR細胞)を用意する段階;
前記CAR発現細胞を、CARリガンド、例えば、本明細書に記載するようなCARリガンド)と、免疫細胞の増大および/または増殖が起こる条件下で接触させ、それによって、活性化された、および/または増大した細胞集団を生成させる段階。
ある態様において、CARリガンドは、(例えば、基体、例えば、天然に存在しない基体に対して固定化されるか、または結びつけられて)存在する。いくつかの態様において、基体は非細胞性基体である。非細胞性基体は、例えば、プレート(例えば、マイクロタイタープレート)、膜(例えば、ニトロセルロース膜)、マトリックス、チップまたはビーズから選択される固体支持体である。複数の態様において、CARリガンドは、基体に(例えば、基体表面上に)存在する。CARリガンドは、基体に対して共有結合性または非共有結合性に固定化すること、結びつけること、または結合させること(例えば、架橋させること)ができる。1つの態様において、CARリガンドは、ビーズに対して結びつけられる(例えば、共有結合性に結びつけられる)。前述の態様において、免疫細胞集団はインビトロまたはエクスビボで増大させることができる。本方法は、例えば、本明細書に記載の方法のいずれかを用いて、免疫細胞の集団をCAR分子のリガンドの存在下で培養する段階をさらに含みうる。
他の態様において、細胞を増大させる、および/または活性化する方法は、第2の刺激分子、例えばCD28の添加をさらに含む。例えば、CARリガンドおよび第2の刺激分子を、基体、例えば、1つまたは複数のビーズに対して固定化し、それによって、細胞の増大および/または活性化の増大を得ることができる。
さらにもう1つの局面において、CAR発現細胞を選択するかまたは濃縮するための方法が提供される。本方法は、CAR発現細胞を、本明細書に記載するようなCARリガンドと接触させる段階;および細胞をCARリガンドの結合に基づいて選択する段階を含む。
さらに他の態様において、CAR発現細胞を枯渇させる、減少させる、および/または死滅させるため方法が提供される。本方法は、CAR発現細胞を、本明細書に記載するようなCARリガンドと接触させる段階;および細胞をCARリガンドの結合に基づいて標的化し、それによって、CAR発現細胞の数を減少させる、および/またはCAR発現細胞を死滅させる段階を含む。1つの態様において、CARリガンドは、毒性物質(例えば、毒素または細胞除去薬(cell ablative drug))と結び合わされている。もう1つの態様において、抗イディオタイプ抗体は、エフェクター細胞活性、例えば、ADCC活性またはADC活性を引き起こすことができる。
本明細書において開示される方法に用いうる例示的な抗CAR抗体は、例えば、WO 2014/190273号に、およびJena et al., "Chimeric Antigen Receptor (CAR)-Specific Monoclonal Antibody to Detect CD19-Specific T cells in Clinical Trials", PLOS March 2013 8:3 e57838によって記載されており、その内容は参照により組み入れられる。1つの態様において、抗イディオタイプ抗体分子は、抗CD19抗体分子、例えば、抗CD19 scFvを認識する。例えば、抗イディオタイプ抗体分子は、結合をめぐって、Jena et al., PLOS March 2013 8:3 e57838に記載されたCD19特異的CAR mAbクローン番号136.20.1と競合することができ;CD19特異的CAR mAbクローン番号136.20.1と同じCDR(例えば、Kabatの定義、Chothiaの定義、またはKabatおよびChothiaの定義の組み合わせを用いる、VH CDR1、VH CDR2、CH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3のうち1つまたは複数、例えば、すべて)を有することができ;CD19特異的CAR mAbクローン番号136.20.1の1つもしくは複数の(例えば、2つの)可変領域を有することができ、またはCD19特異的CAR mAbクローン番号136.20.1を含むことができる。いくつかの態様において、抗イディオタイプ抗体は、Jena et al.に記載された方法に従って作製された。もう1つの態様において、抗イディオタイプ抗体分子は、WO 2014/190273号に記載された抗イディオタイプ抗体分子である。いくつかの態様において、抗イディオタイプ抗体分子は、WO 2014/190273号の抗体分子、例えば136.20.1などと同じCDR(例えば、VH CDR1、VH CDR2、CH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3のうち1つまたは複数、例えば、すべて)を有し;WO 2014/190273号の抗体分子の1つもしくは複数の(例えば、2つの)可変領域を有することができ;またはWO 2014/190273号の抗体分子、例えば136.20.1などを含むことができる。他の態様において、抗CAR抗体は、例えば、WO 2014/190273号に記載されたような、CAR分子の細胞外結合ドメインの定常領域と結合する。いくつかの態様において、抗CAR抗体は、CAR分子の細胞外結合ドメインの定常領域、例えば、重鎖定常領域(例えば、CH2-CH3ヒンジ領域)または軽鎖定常領域と結合する。例えば、いくつかの態様において、抗CAR抗体は、結合をめぐって、WO 2014/190273号に記載された2D3モノクローナル抗体と競合するか、2D3と同じCDR(例えば、VH CDR1、VH CDR2、CH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3のうち1つまたは複数、例えば、すべて)を有するか、または2D3の1つもしくは複数の(例えば、2つの)可変領域を有するか、またはWO 2014/190273号に記載されたような2D3を含む。
いくつかの局面および態様において、本明細書における組成物および方法は、2014年7月31日に提出された米国特許出願第62/031,699号に記載されたように、T細胞の特定のサブセットに対して最適化され、その内容はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。いくつかの態様において、T細胞の最適化されたサブセットは、同じ構築物を発現する対照T細胞、例えば、異なる種類のT細胞(例えば、CD8+またはCD4+)と比較して、存続性の強化を示す。
いくつかの態様において、CD4+ T細胞は本明細書に記載のCARを含み、そのCARは、CD4+ T細胞に適する(例えば、例えば存続性の強化をもたらすように最適化された)細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、ICOSドメインを含む。いくつかの態様において、CD8+ T細胞は本明細書に記載のCARを含み、そのCARは、CD8+ T細胞に適する(例えば、例えば存続性の強化をもたらすように最適化された)細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、4-1BBドメイン、CD28ドメイン、またはICOSドメイン以外の別の共刺激ドメインを含む。いくつかの態様において、本明細書に記載のCARは、本明細書に記載の抗原結合ドメインを含み、例えば、CARは抗原GFRα4と特異的に結合する結合ドメインを含む。
1つの局面において、本明細書には、対象、例えば、癌を有する対象を治療する方法が記載される。本方法は、前記対象に対して、以下のものの有効量を投与する段階を含む:
(1)以下のものを含む、CARを含むCD4+ T細胞(CARCD4+):
抗原結合ドメイン、例えば本明細書に記載の抗原結合ドメイン、例えば、抗原GFRα4と特異的に結合する結合ドメイン、例えば、表2の抗原結合ドメイン;
膜貫通ドメイン;および
細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、第1の共刺激ドメイン、例えばICOSドメイン;ならびに
(2)以下のものを含む、CARを含むCD8+ T細胞(CARCD8+):
抗原結合ドメイン、例えば本明細書に記載の抗原結合ドメイン、例えば、抗原GFRα4と特異的に結合する結合ドメイン、例えば、表2の抗原結合ドメイン;
膜貫通ドメイン;および
細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、第2の共刺激ドメイン、例えば、4-1BBドメイン、CD28ドメイン、またはICOSドメイン以外の別の共刺激ドメイン;
ここで、CARCD4+およびCARCD8+は互いに異なる。
任意で、本方法は、
(3)以下のものを含む、CARを含む第2のCD8+ T細胞(第2のCARCD8+):
抗原結合ドメイン、例えば本明細書に記載の抗原結合ドメイン、例えば、抗原GFRα4と特異的に結合する結合ドメイン、例えば、表2の抗原結合ドメイン;
膜貫通ドメイン;および
細胞内シグナル伝達ドメイン
を投与する段階をさらに含み、ここで第2のCARCD8+は、CARCD8+上に存在しない細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば共刺激シグナル伝達ドメインを含み、かつ任意で、ICOSシグナル伝達ドメインを含まない。
治療への適用
GFRα4と関連する疾患および/または障害
1つの局面において、本発明は、GFRα4発現と関連する疾患を治療するための方法を提供する。本方法は、哺乳動物に対して、少なくとも1つの本発明の抗体もしくはそのフラグメント、または本発明のGFRα4 CAR発現細胞(例えば、GFRα4 CART細胞またはGFRα4 CAR発現NK細胞)を投与する段階を含む。
1つの局面において、本発明は、腫瘍の一部がGFRα4に関して陰性であって腫瘍の一部がGFRα4に関して陽性である疾患を治療するための方法を提供する。例えば、本発明の抗体またはCARは、GFRα4の発現亢進と関連する疾患に対する治療を受けた対象を治療するために有用であり、ここでGFRα4レベルの上昇に対する治療を受けた対象は、GFRα4レベルの上昇と関連する疾患を呈する。
1つの態様において、GFRα4の発現と関連する疾患は内分泌癌である。内分泌癌は、ホルモンを分泌する細胞から生じうる。内分泌癌の例には、副腎腫瘍、副甲状腺腫瘍、下垂体腫瘍、および甲状腺癌が含まれる。1つの態様において、GFRα4の発現と関連する疾患は、甲状腺髄様癌、または甲状腺髄様腫瘍から生じた転移である。もう1つの態様において、GFRα4の発現と関連する疾患は、褐色細胞腫である。もう1つの態様において、GFRα4の発現と関連する疾患は、T細胞急性リンパ芽球性白血病(T細胞ALL)またはウィルムス腎臓腫瘍である。
1つの態様において、本発明は、哺乳動物免疫エフェクター細胞、例えばT細胞またはNK細胞における発現のためのプロモーターと機能的に連結されたGFRα4 CARを含む核酸、例えばベクターに関する。
1つの態様において、本発明は、GFRα4を発現する腫瘍を治療するのに用いるための、GFRα4 CARを発現する組換え免疫エフェクター細胞、例えばT細胞またはNK細胞を提供し、ここでGFRα4 CARを発現する組換え免疫エフェクター細胞、例えばT細胞またはNK細胞は、GFRα4 CAR発現細胞(例えば、GFRα4 CART細胞またはGFRα4 CAR発現NK細胞)と名付けられる。1つの態様において、GFRα4 CAR発現細胞(例えば、GFRα4 CART細胞またはGFRαA4 CAR発現NK細胞)は、GFRα4 CAR発現細胞(例えば、GFRα4 CART細胞またはGFRα4 CAR発現NK細胞)が腫瘍細胞を標的として腫瘍の増殖が阻害されるように、その表面上に発現された少なくとも1つの本発明のGFRα4 CARで、腫瘍細胞と接触させることができる。
1つの態様において、本発明は、GFRα4を発現する腫瘍細胞の増殖を阻害する方法であって、腫瘍細胞の増殖が阻害されるように、腫瘍細胞を、少なくとも1つの本発明の抗体もしくはそのフラグメント、または本発明のGFRα4 CAR発現細胞(例えば、GFRα4 CART細胞またはGFRα4 CAR発現NK細胞)と接触させる段階を含む方法に関する。
1つの局面において、本発明は、対象における癌を治療する方法に関する。本方法は、癌が対象において治療されるように、対象に対して、GFRα4 CAR発現細胞(例えば、GFRα4 CART細胞またはGFRα4 CAR発現NK細胞)を投与する段階を含む。GFRα4 CAR発現細胞(例えば、GFRα4 CART細胞またはGFRα4 CAR発現NK細胞)によって治療しうる癌の一例は、GFRα4の発現と関連する癌である。1つの局面において、GFRα4の発現と関連する癌は甲状腺髄様癌である。
本発明は、免疫エフェクター細胞、例えばT細胞またはNK細胞が、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝的に改変されて、GFRα4 CAR発現細胞(例えば、GFRα4 CART細胞またはGFRα4 CAR発現NK細胞)が、それを必要とするレシピエントに注入される、ある種類の細胞療法を含む。注入された細胞は、レシピエントにおける腫瘍細胞を死滅させることができる。抗体療法とは異なり、CAR改変細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)はインビボで複製して、持続的腫瘍制御につながりうる長期存続性をもたらすことができる。さまざまな局面において、患者に投与された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)、またはそれらの子孫は、患者に対する免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)の投与後に、少なくとも4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、12カ月、13カ月、14カ月、15カ月、16カ月、17カ月、18カ月、19カ月、20カ月、21カ月、22カ月、23カ月、2年、3年、4年、または5年にわたって患者に存続する。
本発明はまた、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)が、キメラ抗原受容体(CAR)を一過性に発現するように、例えば、インビトロ転写されたRNAによって改変されて、GFRα4 CAR発現細胞(例えば、GFRα4 CAR T細胞またはGFRα4 CAR発現NK細胞)が、それを必要とするレシピエントに注入される、ある種類の細胞療法も含む。注入された細胞は、レシピエントにおける腫瘍細胞を死滅させることができる。すなわち、さまざまな局面において、患者に対して投与された免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)は、患者に対する免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)の投与後に、1カ月未満、例えば、3週間、2週間、1週間にわたって存在する。
いかなる特定の理論にも拘束されることは望まないが、本発明のGFRα4抗体によって誘発される抗腫瘍免疫応答は、能動免疫応答または受動免疫応答であってよい。本発明のGFRα4抗体は、哺乳動物におけるエクスビボ免疫処置および/またはインビボ治療法のためのある特定のワクチンに用いることができる。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
1つの局面において、本発明の完全ヒトCAR改変免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)は、哺乳動物におけるエクスビボ免疫処置および/またはインビボ治療法のためのワクチンの一種であってよい。1つの態様において、哺乳動物はヒトである。
エクスビボ免疫処置に関しては、細胞を哺乳動物に投与する前に、以下の少なくとも1つが行われる:(i)細胞の増大、(ii)CARをコードする核酸を細胞に導入すること、または(iii)細胞の凍結保存。
エクスビボ手順は当技術分野において周知であり、以下にさらに詳細に考察する。手短に述べると、細胞を哺乳動物(例えば、ヒト)から単離した上で、本明細書において開示されるCARを発現するベクターによって遺伝的に改変する(すなわち、インビトロで形質導入またはトランスフェクションを行う)。CAR改変細胞を哺乳動物レシピエントに投与することにより、治療上の利益を得ることができる。哺乳動物レシピエントはヒトであってよく、CAR改変細胞はレシピエントに対して自己であることができる。または、細胞がレシピエントに対して同種、同系または異種であってもよい。
造血幹細胞および始原細胞のエクスビボ増大のための手順は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,199,942号に記載されており、これを本発明の細胞に適用することができる。他の適した方法は当技術分野において公知であり、このため、本発明は、細胞のエクスビボ増大のいかなる特定の方法にも限定されない。手短に述べると、T細胞のエクスビボ培養および増大は以下を含む:(1)CD34+造血幹細胞および始原細胞を哺乳動物から、末梢血採取物または骨髄エクスプラントから収集すること;ならびに(2)そのような細胞をエクスビボで増大させること。米国特許第5,199,942号に記載された細胞増殖因子のほかに、flt3-L、IL-1、IL-3およびc-kitリガンドなどの他の因子を、細胞の培養および増大のために用いることができる。
エクスビボ免疫処置に関して細胞ベースのワクチンを用いることに加えて、本発明はまた、患者における抗原を対象とする免疫応答を誘発するためのインビボ免疫処置のための組成物および方法も提供する。
一般に、本明細書に記載する通りに活性化および増大された細胞は、免疫機能が低下した個体において生じる疾患の治療および予防に利用することができる。特に、本発明のCAR改変免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)は、GFRα4の発現と関連する疾患、障害および病状の治療に用いられる。ある局面において、本発明の細胞は、FRα4の発現と関連する疾患、障害および病状を発症するリスクのある患者の治療に用いられる。したがって、本発明は、GFRα4の発現と関連する疾患、障害および病状の治療または予防のための方法であって、それを必要とする対象に対して、CAR改変免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。1つの局面において、CAR発現細胞、例えば、CART細胞またはCAR発現NK細胞)は、甲状腺髄様癌などの癌または悪性腫瘍または前癌状態などの増殖性疾患を治療するために用いうる。
本発明はまた、GFRα4発現細胞集団の増殖を阻害するか、またはそれを減少させるための方法であって、GFRα4発現細胞を含む細胞の集団を、GFRα4発現細胞と結合する本発明のGFRα4 CAR発現細胞(例えば、GFRα4 CART細胞またはGFRα4 CAR発現NK細胞)と接触させる段階を含む方法を提供する。1つの具体的な局面において、本発明は、GFRα4を発現する癌細胞の集団の増殖を阻害するか、またはそれを減少させるための方法であって、GFRα4を発現する癌細胞集団を、GFRα4発現細胞と結合する本発明のGFRα4 CAR発現細胞(例えば、GFRα4 CART細胞またはGFRα4 CAR発現NK細胞)と接触させる段階を含む方法を提供する。1つの局面において、本発明は、GFRα4を発現する癌細胞の集団の増殖を阻害するか、またはそれを減少させるための方法であって、GFRα4を発現する癌細胞集団を、GFRα4発現細胞と結合する本発明のGFRα4 CAR発現細胞(例えば、GFRα4 CART細胞またはGFRα4 CAR発現NK細胞)と接触させる段階を含む方法を提供する。ある局面において、本発明のGFRα4 CAR発現細胞(例えば、GFRα4 CART細胞またはGFRα4 CAR発現NK細胞)細胞は、細胞および/または癌細胞の数量、数、量またはパーセンテージを、骨髄性白血病またはGFRα4発現細胞と関連する別の癌を有する対象またはそれらの動物モデルにおいて、陰性対照と対比して少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%または少なくとも99%減少させる。1つの局面において、対象はヒトである。
本発明はまた、GFRα4発現と関連する疾患細胞(例えば、GFRα4を発現する血液癌または非定型的な癌)を予防、治療および/または管理するための方法であって、必要とする対象に対して、GFRα4発現細胞と結合する本発明のGFRα4 CAR発現細胞(例えば、GFRα4 CART細胞またはGFRα4 CAR発現NK細胞)を投与する段階を含む方法を提供する。1つの局面において、対象はヒトである。GFRα4発現細胞と関連する障害の非限定的な例には、自己免疫障害(ループスなど)、炎症性障害(アレルギーおよび喘息など)および癌(GFRα4を発現する血液癌または非定型的な癌)が含まれる。
本発明はまた、GFRα4発現細胞と関連する疾患を予防、治療および/または管理するための方法であって、必要とする対象に対して、GFRα4発現細胞と結合する本発明のGFRα4 CAR発現細胞(例えば、GFRα4 CART細胞またはGFRα4 CAR発現NK細胞)を投与する段階を含む方法を提供する。1つの局面において、対象はヒトである。
本発明は、GFRα4発現細胞と関連する癌の再発を防ぐための方法であって、それを必要とする対象に対して、GFRα4発現細胞と結合する本発明のGFRα4 CAR発現細胞(例えば、GFRα4 CART細胞またはGFRα4 CAR発現NK細胞)を投与する段階を含む方法を提供する。1つの局面において、本方法は、それを必要とする対象に対して、GFRα4発現細胞と結合する、本明細書に記載のGFRα4 CAR発現細胞(例えば、GFRα4 CART細胞またはGFRα4 CAR発現NK細胞)の有効量を、別の治療法の有効量と組み合わせて投与する段階を含む。
併用療法
本明細書に記載のCAR発現細胞を、他の公知の作用物質および治療法と組み合わせて用いることができる。本明細書で用いる「組み合わせて」投与されるとは、対象が障害に罹患している過程の間に、2種類の(またはそれを上回る)異なる治療が対象に対して到達されることを意味し、例えば、対象が障害を有すると診断された後で、かつ障害が治癒もしくは排除されるか、または治療が他の理由で中止される前に、2種類またはそれを上回る治療がなされる。いくつかの態様において、一方の治療の提供は、第2の治療の提供開始の時点では依然として行われており、このため投与の期間の一部は重なり合う。これは時に、本明細書において「同時」または「並行送達」と称される。他の態様において、一方の治療の提供は、もう一方の治療の提供が始まる前に終了する。いずれかの場合のいくつかの態様において、治療は組み合わせ投与を理由として、より有効である。例えば、第2の治療はより有効であり、例えば、第2の治療がより少なくても同等の効果が認められる、または第2の治療は、第1の治療の非存在下で第2の治療が投与された場合に認められるよりも高い程度で症状を軽減する、または第1の治療を伴うと類似の状況が認められる。いくつかの態様において、提供は、症状、または障害に関係する他のパラメーターの軽減が、他方の非存在下で送達された一方の治療によって観察されると考えられるものよりも大きくなるようなものである。2種類の治療の効果は、部分的に相加的であるか、完全に相加的であるか、または相加的を上回る。提供は、提供された第1の治療の効果が、第2の治療が提供された時点で依然として検出可能なものであってよい。
本明細書に記載のCAR発現細胞および少なくとも1つの追加的な治療薬を、同じまたは別々の組成物中にある状態で同時に投与すること、または逐次的に投与することができる。逐次的投与に関しては、本明細書に記載のCAR発現細胞を最初に投与して、追加的な作用物質を2番目に投与することもでき、または投与の順序を逆にすることもできる。
CAR療法および/または他の治療薬、手順もしくは様式は、活動性障害の期間中に、または寛解期もしくは疾患の活動性がより低い期間中に施与することができる。CAR療法は、他の治療の前に、治療と並行して、治療後に、または障害の寛解中に施与することができる。
組み合わせて投与する場合には、CAR療法および追加的な作用物質(例えば、第2または第3の物質)またはそのすべてを、例えば、単剤療法として個別に用いられる各作用物質の量または投与量よりも高いか、低いか、またはそれと同じ量または用量で投与することができる。ある態様において、CAR療法、追加的な作用物質(例えば、第2または第3の物質)またはそのすべての、投与される量または投与量は、例えば、単剤療法として個別に用いられる各作用物質の量または投与量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%)。他の態様において、所望の効果(例えば、癌の治療)をもたらす、CAR療法、追加的な作用物質(例えば、第2または第3の物質)またはそのすべての量または投与量は、同じ治療効果を達成するために必要な、例えば、単剤療法として個別に用いられる各作用物質の量または投与量よりも低い(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%低い)。
さらなる局面において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、外科手術、化学療法、放射線、免疫抑制剤、例えばシクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノール酸、およびFK506など、抗体、または他の免疫除去薬、例えばキャンパス(CAMPATH)など、抗CD3抗体または他の抗体療法、サイトトキシン(cytoxin)、フルダラビン、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228、サイトカイン、および放射線照射、Izumoto et al. 2008 J Neurosurg 108:963-971.に記載されたものなどのペプチドワクチンなどと組み合わせた治療レジメンに用いることができる。
場合によっては、本発明の化合物は、他の治療薬、例えば他の抗癌薬、抗アレルギー薬、抗悪心薬(または制吐薬)、鎮痛薬、細胞保護剤、およびそれらの組み合わせなどと組み合わされる。
1つの態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、外科手術および/または放射線療法と組み合わせて用いることができる。1つの態様において、外科手術または放射線療法は、CAR分子、例えば、本明細書に記載のCAR分子を発現する細胞の投与の前に、後に、またはそれと並行して行われるかまたは施与される。
1つの態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、チロシンキナーゼ阻害薬と組み合わせて用いることができる。チロシンキナーゼ阻害薬の例には、バンデタニブ(CAPRELSA(登録商標))およびカボザンチニブ(COMETRIQ(登録商標))が含まれる。1つの態様において、チロシンキナーゼ阻害薬は、CAR分子、例えば、本明細書に記載のCAR分子を発現する細胞の投与の前に、後に、または並行して投与される。チロシンキナーゼ阻害薬が複数回投与される治療レジメンにおいて、本明細書に記載のCAR分子を発現する細胞は、チロシンキナーゼ阻害薬レジメンの開始前に、チロシンキナーゼ阻害薬レジメンの間に、チロシンキナーゼ阻害薬レジメンと一部が重なり合って、またはチロシンキナーゼ阻害薬レジメンの完了後に投与される。
1つの態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、化学療法薬と組み合わせて用いることができる。例示的な化学療法薬には、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン(例えば、リポソームドキソルビシン))、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、ダカルバジン(decarbazine)、メルファラン、イホスファミド、テモゾロミド)、免疫細胞抗体(例えば、アレムツズマブ(alemtuzamab)、ゲムツズマブ、リツキシマブ、オファツムマブ、トシツモマブ、ブレンツキシマブ)、代謝拮抗剤(例えば、葉酸アンタゴニスト、ピリミジン類似体、プリン類似体およびアデノシンデアミナーゼ阻害薬(例えば、フルダラビン)を含む)、mTOR阻害薬、TNFRグルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質(GITR)アゴニスト、プロテアソーム阻害薬(例えば、アクラシノマイシンA、グリオトキシンまたはボルテゾミブ)、免疫調節薬、例えばサリドマイドまたはサリドマイド誘導体(例えば、レナリドマイド)などが含まれる。
併用療法における使用が考慮される一般的な化学療法薬には、アナストロゾール(アリミデックス(Arimidex)(登録商標))、ビカルタミド(カソデックス(Casodex)(登録商標))、硫酸ブレオマイシン(Blenoxane(登録商標))、ブスルファン(ミレラン(Myleran)(登録商標))、ブスルファン注射剤((Busulfex)(登録商標))、カペシタビン(ゼローダ(Xeloda)(登録商標))、N4-ペントキシカルボニル-5-デオキシ-5-フルオロシチジン、カルボプラチン(パラプラチン(Paraplatin)(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、クロラムブシル(ロイケラン(Leukeran)(登録商標))、シスプラチン(Platinol(登録商標))、クラドリビン(ロイスタチン(Leustatin)(登録商標))、シクロホスファミド(シトキサン(Cytoxan)(登録商標)またはNeosar(登録商標))、シタラビン、シトシンアラビノシド(Cytosar-U(登録商標))、シタラビンリポソーム注射剤(DepoCyt(登録商標))、ダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標))、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD(Actinomycin D)、Cosmegan)、塩酸ダウノルビシン(Cerubidine(登録商標))、クエン酸ダウノルビシンリポソーム注射剤(DaunoXome(登録商標))、デキサメサゾン、ドセタキセル(タキソテール(Taxotere)(登録商標))、塩酸ドキソルビシン(アドリアマイシン(Adriamycin)(登録商標)、ルベックス(Rubex)(登録商標))、エトポシド(ベプシド(Vepesid)(登録商標))、リン酸フルダラビン(フルダラ(Fludara)(登録商標))、5-フルオロウラシル(Adrucil(登録商標)、Efudex(登録商標))、フルタミド(Eulexin(登録商標))、テザシタビン(tezacitibine)、ゲムシタビン(Gemcitabine)(ジフルオロデオキシシチジン)、ヒドロキシ尿素(ハイドレア(Hydrea)(登録商標))、イダルビシン(イダマイシン(Idamycin)(登録商標))、イホスファミド(IFEX(登録商標))、イリノテカン(Camptosar(登録商標))、L-アスパラギナーゼ(ELSPAR(登録商標))、ロイコボリンカルシウム、メルファラン(アルケラン(Alkeran)(登録商標))、6-メルカプトプリン(ピュリネソール(Purinethol)(登録商標))、メトトレキサート(Folex(登録商標))、ミトキサントロン(ノバントロン(Novantrone)(登録商標))、マイロターグ、パクリタキセル(タキソール(Taxol)(登録商標))、フェニックス(phoenix)(イットリウム90/MX-DTPA)、ペントスタチン、ポリフェプロザン20カルムスチンインプラント(グリアデル(Gliadel)(登録商標))、クエン酸タモキシフェン(ノルバデックス(Nolvadex)(登録商標))、テニポシド(Vumon(登録商標))、6-チオグアニン、チオテパ、チラパザミン(Tirazone(登録商標))、注射用塩酸トポテカン(ハイカムチン(Hycamptin)(登録商標))、ビンブラスチン(Velban(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、およびビノレルビン(ナベルビン(Navelbine)(登録商標))が含まれる。
1つの態様において、化学療法薬は、CAR分子、例えば本明細書に記載のCAR分子を発現する細胞の投与の前に投与される。化学療法薬の複数回の投与が望まれる化学療法レジメンでは、CAR分子、例えば本明細書に記載のCAR分子を発現する細胞の投与の前に、化学療法レジメンを開始するかまたは完了する。複数の態様において、化学療法薬は、CAR分子を発現する細胞の投与の、少なくとも1日前、2日前、3日前、4日前、5日前、6日前、7日前、8日前、9日前、10日前、11日前、12日前、13日前、14日前、15日前、20日前、25日前、または30日前に投与される。複数の態様においては、化学療法レジメンを、CAR分子を発現する細胞の投与の、少なくとも1日前、2日前、3日前、4日前、5日前、6日前、7日前、8日前、9日前、10日前、11日前、12日前、13日前、14日前、15日前、20日前、25日前、または30日前に、開始するかまたは完了する。複数の態様において、化学療法薬は、例えば、正常細胞または非癌性細胞上のGFRα4発現と比較して、癌細胞上、例えば、腫瘍細胞上のGFRα4発現を増加させる化学療法薬である。GFRα4発現は、例えば、免疫組織化学染色またはフローサイトメトリー分析によって決定することができる。例えば、化学療法薬はシタラビン(Ara-C)である。
本発明の化合物との組み合わせが特に注目される抗癌薬には、以下が含まれる:代謝拮抗剤;カルシウム依存性ホスファターゼであるカルシニューリンまたはp70S6キナーゼFK506のいずれか)を阻害するか、もしくはp70S6キナーゼを阻害する薬物;アルキル化剤;mTOR阻害薬;免疫調節薬;アントラサイクリン系薬剤;ビンカアルカロイド;プロテアソーム阻害薬;GITRアゴニスト;タンパク質チロシンホスファターゼ阻害薬;CDK4キナーゼ阻害薬;BTKキナーゼ阻害薬;MKNキナーゼ阻害薬;DGKキナーゼ阻害薬;または腫瘍崩壊ウイルス。
例示的な代謝拮抗剤には、葉酸アンタゴニスト(本明細書では抗葉酸薬とも称する)、ピリミジン類似体、プリン類似体およびアデノシンデアミナーゼ阻害薬):メトトレキサート(リウマトレックス(Rheumatrex)(登録商標)、Trexall(登録商標))、5-フルオロウラシル(Adrucil(登録商標)、Efudex(登録商標)、Fluoroplex(登録商標))、フロクスウリジン(FUDF(登録商標))、シタラビン(Cytosar-U(登録商標)、Tarabine PFS)、6-メルカプトプリン(Puri-Nethol(登録商標)))、6-チオグアニン(チオグアニン錠(Thioguanine Tabloid)(登録商標))、リン酸フルダラビン(フルダラ(Fludara)(登録商標))、ペントスタチン(Nipent(登録商標))、ペメトレキセド(アリムタ(Alimta)(登録商標))、ラルチトレキセド(トムデックス(Tomudex)(登録商標))、クラドリビン(ロイスタチン(Leustatin)(登録商標))、クロファラビン(Clofarex(登録商標)、Clolar(登録商標))、メルカプトプリン(プリネトール(Puri-Nethol)(登録商標))、カペシタビン(ゼローダ(Xeloda)(登録商標))、ネララビン(アラノン(Arranon)(登録商標))、アザシチジン(ビダーザ(Vidaza)(登録商標))およびゲムシタビン(ジェムザール(Gemzar)(登録商標))が非限定的に含まれる。好ましい代謝拮抗剤には、例えば、5-フルオロウラシル(Adrucil(登録商標)、Efudex(登録商標)、Fluoroplex(登録商標))、フロクスウリジン(FUDF(登録商標))、カペシタビン(ゼローダ(Xeloda)(登録商標))、ペメトレキセド(アリムタ(Alimta)(登録商標))、ラルチトレキセド(トムデックス(Tomudex)(登録商標))およびゲムシタビン(ジェムザール(Gemzar)(登録商標))が含まれる。
例示的なアルキル化剤には、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホネート、ニトロソ尿素およびトリアゼン):ウラシルマスタード(Aminouracil Mustard(登録商標)、Chlorethaminacil(登録商標)、Demethyldopan(登録商標)、Desmethyldopan(登録商標)、Haemanthamine(登録商標)、Nordopan(登録商標)、ウラシルナイトロジェンマスタード(Uracil nitrogen mustard)(登録商標)、Uracillost(登録商標)、Uracilmostaza(登録商標)、Uramustin(登録商標)、Uramustine(登録商標))、クロルメチン(Mustargen(登録商標))、シクロホスファミド(シトキサン(Cytoxan)(登録商標)、Neosar(登録商標)、Clafen(登録商標)、エンドキサン(Endoxan)(登録商標)、Procytox(登録商標)、Revimmune(商標))、イホスファミド(Mitoxana(登録商標))、メルファラン(アルケラン(Alkeran)(登録商標))、クロラムブシル(ロイケラン(Leukeran)(登録商標))、ピポブロマン(Amedel(登録商標)、Vercyte(登録商標))、トリエチレンメラミン(Hemel(登録商標)、Hexalen(登録商標)、Hexastat(登録商標))、トリエチレンチオホスホラミン、テモゾロミド(Temodar(登録商標))、チオテパ(Thioplex(登録商標))、ブスルファン(Busilvex(登録商標)、ミレラン(Myleran)(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、ロムスチン(CeeNU(登録商標))、ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標))、およびダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標))が非限定的に含まれる。そのほかの例示的なアルキル化剤には、オキサリプラチン(エロキサチン(Eloxatin)(登録商標));テモゾロミド(Temodar(登録商標)およびテモダール(Temodal)(登録商標));ダクチノマイシン(アクチノマイシン-Dとしても知られる、コスメゲン(Cosmegen)(登録商標));メルファラン(L-PAM、L-サルコリシン、およびフェニルアラニンマスタードとしても知られる、アルケラン(Alkeran)(登録商標));アルトレタミン(ヘキサメチルメラミン(HMM)としても知られる、Hexalen(登録商標));カルムスチン(BiCNU(登録商標));ベンダムスチン(トレアンダ(Treanda)(登録商標));ブスルファン(ブスルフェクス(Busulfex)(登録商標)およびミレラン(Myleran)(登録商標));カルボプラチン(パラプラチン(Paraplatin)(登録商標));ロムスチン(CCNUとしても知られる、CeeNU(登録商標));シスプラチン(CDDPとしても知られる、Platinol(登録商標)およびPlatinol(登録商標)-AQ);クロラムブシル(ロイケラン(Leukeran))(登録商標));シクロホスファミド(シトキサン(Cytoxan)(登録商標)およびNeosar(登録商標));ダカルバジン(DTIC、DICおよびイミダゾールカルボキサミドとしても知られる、DTIC-Dome(登録商標));アルトレタミン(ヘキサメチルメラミン(HMM)としても知られる、Hexalen(登録商標));イホスファミド(Ifex(登録商標));プレムドムスチン(Prednumustine);プロカルバジン(Matulane(登録商標));メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード、ムスチン(mustine)および塩酸メクロロエタミンとしても知られる、Mustargen(登録商標));ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標));チオテパ(チオホスホアミド、TESPAおよびTSPAとしても知られる、Thioplex(登録商標));シクロホスファミド(エンドキサン(Endoxan)(登録商標)、シトキサン(Cytoxan)(登録商標)、Neosar(登録商標)、Procytox(登録商標)、Revimmune(登録商標));および塩酸ベンダムスチン(トレアンダ(Treanda)(登録商標))が非限定的に含まれる。
複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、フルダラビン、シクロホスファミド、および/またはリツキシマブと組み合わせて対象に投与される。複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、フルダラビン、シクロホスファミドおよびリツキシマブ(FCR)と組み合わせて対象に投与される。複数の態様において、対象は癌を有する。複数の態様において、フルダラビンは、約10〜50mg/m2(例えば、約10〜15、15〜20、20〜25、25〜30、30〜35、35〜40、40〜45または45〜50mg/m2)の投与量で、例えば、静脈内に投与される。複数の態様において、シクロホスファミドは、約200〜300mg/m2(例えば、約200〜225、225〜250、250〜275または275〜300mg/m2)の投与量で、例えば、静脈内に投与される。複数の態様において、リツキシマブは、約400〜600mg/m2(例えば、400〜450、450〜500、500〜550または550〜600mg/m2)の投与量で、例えば、静脈内に投与される。
複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、ベンダムスチンおよびリツキシマブと組み合わせて対象に投与される。複数の態様において、対象は癌を有する。複数の態様において、ベンダムスチンは、約70〜110mg/m2(例えば、70〜80、80〜90、90〜100または100〜110mg/m2)の投与量で、例えば、静脈内に投与される。複数の態様において、リツキシマブは、約400〜600mg/m2(例えば、400〜450、450〜500、500〜550または550〜600mg/m2)の投与量で、例えば、静脈内に投与される。
複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、および/またはコルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)と組み合わせて対象に投与される。複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾン(R-CHOP)と組み合わせて対象に投与される。複数の態様において、対象はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を有する。複数の態様において、対象は、巨大腫瘤のない(nonbulky)限局期DLBCL(例えば、サイズ/直径が7cm未満である腫瘍を含む)を有する。複数の態様において、対象は、放射線照射とR-CHOPを組み合わせて治療される。例えば、対象はR-CHOP(例えば、1〜6サイクル、例えば、1、2、3、4、5、または6サイクルのR-CHOP)の投与を受け、その後に放射線照射を受ける。場合によっては、対象は放射線照射の後にR-CHOP(例えば、1〜6サイクル、例えば、1、2、3、4、5、または6サイクルのR-CHOP)の投与を受ける。
複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、エトポシド、プレドニゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、および/またはリツキシマブと組み合わせて対象に投与される。複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、エトポシド、プレドニゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、およびリツキシマブ(EPOCH-R)と組み合わせて対象に投与される。複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、用量が調節されたEPOCH-R(DA-EPOCH-R)と組み合わせて対象に投与される。複数の態様において、対象は、B細胞リンパ腫、例えば、Myc再配列が起こった悪性度の高いB細胞リンパ腫を有する。
複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、リツキシマブおよび/またはレナリドマイドと組み合わせて対象に投与される。レナリドマイド((RS)-3-(4-アミノ-1-オキソ1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)ピペリジン-2,6ジオン)は、免疫調節薬である。複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、リツキシマブおよびレナリドマイドと組み合わせて対象に投与される。複数の態様において、対象は、濾胞性リンパ腫(FL)またはマントル細胞リンパ腫(MCL)を有する。複数の態様において、対象はFLを有し、かつ癌治療法による治療を以前に受けていない。複数の態様において、レナリドマイドは、約10〜20mg(例えば、10〜15または15〜20mg)の投与量で、例えば毎日投与される。複数の態様において、リツキシマブは、約350〜550mg/m2(例えば、350〜375、375〜400、400〜425、425〜450、450〜475または475〜500mg/m2)の投与量で、例えば、静脈内に投与される。
例示的なmTOR阻害薬には、例えば、テムシロリムスロリムス;リダフォロリムス(以前はデフェロリムスとして知られていた、(1R,2R,4S)-4-[(2R)-2[(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R,23S,24E,26E,28Z,30S,32S,35R)-1,18-ジヒドロキシ-19,30-ジメトキシ-15,17,21,23,29,35-ヘキサメチル-2,3,10,14,20-ペンタオキソ-11,36-ジオキサ-4-アザトリシクロ[30.3.1.04,9]ヘキサトリアコンタ-16,24,26,28-テトラエン-12-イル]プロピル]-2-メトキシシクロヘキシルジメチルホスフィネート(AP23573およびMK8669としても知られ、PCT公報第WO 03/064383号に記載されている));エベロリムス(アフィニトール(Afinitor)(登録商標)またはRAD001);ラパマイシン(AY22989、シロリムス(Sirolimus)(登録商標));シマピモド(simapimod)(CAS 164301-51-3);エム(emsirolimus)、(5-{2,4-ビス[(3S)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-イル}-2-メトキシフェニル)メタノール(AZD8055);2-アミノ-8-[トランス-4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]-6-(6-メトキシ-3-ピリジニル)-4-メチル-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン(PF04691502、CAS 1013101-36-4);およびN2-[1,4-ジオキソ-4-[[4-(4-オキソ-8-フェニル-4H-1-ベンゾピラン-2-イル)モルホリニウム-4-イル]メトキシ]ブチル]-L-アルギニルグリシル-L-α-アルパルチルL-セリン、内部塩(SF1126、CAS 936487-67-1)、およびXL765が含まれる。
例示的な免疫調節薬には、例えば、アフツズマブ(Roche(登録商標)から入手可能);ペグフィルグラスチム(Neulasta(登録商標));レナリドマイド(CC-5013、レブリミド(Revlimid)(登録商標));サリドマイド(サロミド(Thalomid)(登録商標))、アクチミド(actimid)(CC4047);およびIRX-2(インターロイキン1、インターロイキン2およびインターフェロンγを含むヒトサイトカインの混合物、CAS 951209-71-5、IRX Therapeuticsから入手可能)が含まれる。
例示的なアントラサイクリン系薬剤には、例えば、ドキソルビシン(アドリアマイシン(Adriamycin)(登録商標)およびルベックス(Rubex)(登録商標));ブレオマイシン(lenoxane(登録商標));ダウノルビシン(塩酸ダウノルビシン、ダウノマイシンおよび塩酸ルビドマイシン、Cerubidine(登録商標));ダウノルビシンリポソーム(クエン酸ダウノルビシンリポソーム、DaunoXome(登録商標));ミトキサントロン(DHAD、Novantrone(登録商標));エピルビシン(Ellence(商標));イダルビシン(イダマイシン(Idamycin)(登録商標)、イダマイシン(Idamycin)PFS(登録商標));マイトマイシンC(Mutamycin(登録商標));ゲルダナマイシン;ハービマイシン;ラビドマイシン;およびデスアセチルラビドマイシンが含まれる。
例示的なビンカアルカロイドには、例えば、酒石酸ビノレルビン(ナベルビン(Navelbine)(登録商標))、ビンクリスチン(オンコビン(Oncovin)(登録商標))およびビンデシン(Eldisine(登録商標)));ビンブラスチン(硫酸ビンブラスチン、ビンカロイコブラスチンおよびVLBとしても知られる、Alkaban-AQ(登録商標)およびVelban(登録商標));およびビノレルビン(ナベルビン(Navelbine)(登録商標))が含まれる。
例示的なプロテアソーム阻害薬には、ボルテゾミブ(ベルケイド(Velcade)(登録商標));カーフィルゾミブ(PX-171-007、(S)-4-メチル-N-((S)-1-(((S)-4-メチル-1-((R)-2-メチルオキシラン-2-イル)-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)-2-((S)-2-(2-モルホリノアセトアミド)-4-フェニルブタンアミド)-ペンタンアミド);マリゾミブ(NPI-0052);クエン酸イキサゾミブ(MLN-9708);デランゾミブ(CEP-18770);およびO-メチル-N-[(2-メチル-5-チアゾリル)カルボニル]-L-セリル-O-メチル-N-[(1S)-2-[(2R)-2-メチル-2-オキシラニル]-2-オキソ-1-(フェニルメチル)エチル]-L-セリナミド(ONX-0912)が含まれる。
複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、ブレンツキシマブと組み合わせて対象に投与される。ブレンツキシマブは、抗CD30抗体とモノメチルオーリスタチンEとの抗体-薬物コンジュゲートである。複数の態様において、対象は、ホジキンリンパ腫(HL)、例えば、再発性または難治性HLを有する。複数の態様において、対象はCD30+ HLを含む。複数の態様において、対象は自己幹細胞移植(ASCT)を受けている。複数の態様において、対象はASCTを受けていない。複数の態様において、ブレンツキシマブは、約1〜3mg/kg(例えば、約1〜1.5、1.5〜2、2〜2.5または2.5〜3mg/kg)の投与量で、例えば、静脈内に、例えば、3週間毎に投与される。
複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、ブレンツキシマブおよびダカルバジンと組み合わせて、またはブレンツキシマブおよびベンダムスチンと組み合わせて対象に投与される。ダカルバジンは、化学名が5-(3,3-ジメチル-1-トリアゼニル)イミダゾール-4-カルボキサミドであるアルキル化剤である。ベンダムスチンは、化学名が4-[5-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]-1-メチルベンズイミダゾール-2-イル]ブタン酸であるアルキル化剤である。複数の態様において、対象はホジキンリンパ腫(HL)を有する。複数の態様において、対象は癌治療法による治療を以前に受けていない。複数の態様において、対象は少なくとも60歳、例えば、60歳、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳であるか、またはより高齢である。複数の態様において、ダカルバジンは、約300〜450mg/m2(例えば、約300〜325、325〜350、350〜375、375〜400、400〜425または425〜450mg/m2)の投与量で、例えば、静脈内に投与される。複数の態様において、ベンダムスチンは、約75〜125mg/m2(例えば、75〜100または100〜125mg/m2、例えば、約90mg/m2)の投与量で、例えば、静脈内に投与される。複数の態様において、ブレンツキシマブは、約1〜3mg/kg(例えば、約1〜1.5、1.5〜2、2〜2.5または2.5〜3mg/kg)の投与量で、例えば、静脈内に、例えば、3週間毎に投与される。
いくつかの態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、CD20阻害薬、例えば、抗CD20抗体(例えば、抗CD20単一特異性抗体または二重特異性抗体)またはそのフラグメントと組み合わせて対象に投与される。例示的な抗CD20抗体には、リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、オビヌツズマブ、TRU-015(Trubion Pharmaceuticals)、オカラツズマブ、およびPro131921(Genentech)が非限定的に含まれる。例えば、Lim et al. Haematologica. 95.1(2010):135-43を参照されたい。
いくつかの態様において、抗CD20抗体はリツキシマブを含む。リツキシマブは、例えば、www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2010/103705s5311lbl.pdfに記載されているように、CD20と結合して、CD20発現細胞の細胞溶解を引き起こすキメラ性マウス/ヒトモノクローナル抗体IgG1κである。複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、リツキシマブと組み合わせて対象に投与される。複数の態様において、対象はCLLまたはSLLを有する。
いくつかの態様において、リツキシマブは、静脈内に、例えば、静脈内注入として投与される。例えば、各注入は、約500〜2000mg(例えば、約500〜550、550〜600、600〜650、650〜700、700〜750、750〜800、800〜850、850〜900、900〜950、950〜1000、1000〜1100、1100〜1200、1200〜1300、1300〜1400、1400〜1500、1500〜1600、1600〜1700、1700〜1800、1800〜1900または1900〜2000mg)のリツキシマブを与える。いくつかの態様において、リツキシマブは、150mg/m2〜750mg/m2の用量、例えば、約150〜175mg/m2、175〜200mg/m2、200〜225mg/m2、225〜250mg/m2、250〜300mg/m2、300〜325mg/m2、325〜350mg/m2、350〜375mg/m2、375〜400mg/m2、400〜425mg/m2、425〜450mg/m2、450〜475mg/m2、475〜500mg/m2、500〜525mg/m2、525〜550mg/m2、550〜575mg/m2、575〜600mg/m2、600〜625mg/m2、625〜650mg/m2、650〜675mg/m2、または675〜700mg/m2の用量で投与され、ここでm2は対象の体表面積を示す。いくつかの態様において、リツキシマブは、少なくとも4日間、例えば、4日間、7日間、14日間、21日間、28日間、35日間またはそれを上回る投薬間隔で投与される。例えば、リツキシマブは、少なくとも0.5週間、例えば、0.5週間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間またはそれを上回る投薬間隔で投与される。いくつかの態様において、リツキシマブは、ある期間、例えば、少なくとも2週間、例えば、少なくとも2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間にわたって、またはそれを上回って、本明細書に記載の用量および投薬間隔で投与される。例えば、リツキシマブは、治療サイクル当たり合計で少なくとも4回の投薬(例えば、治療サイクル当たり少なくとも4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、15回、16回、またはそれを上回る投薬)について、本明細書に記載の用量および投薬間隔で投与される。
いくつかの態様において、抗CD20抗体はオファツムマブを含む。オファツムマブは、分子量がおよそ149kDaである抗CD20 IgG1κヒトモノクローナル抗体である。例えば、オファツムマブはトランスジェニックマウスおよびハイブリドーマ技術を用いて作製され、組換えマウス細胞株(NS0)から発現されて、精製される。例えば、www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2009/125326lbl.pdf;ならびに臨床試験識別番号NCT01363128、NCT01515176、NCT01626352、およびNCT01397591を参照されたい。複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、オファツムマブと組み合わせて対象に投与される。複数の態様において、対象はCLLまたはSLLを有する。
いくつかの態様において、オファツムマブは静脈内注入として投与される。例えば、各注入は、約150〜3000mg(例えば、約150〜200、200〜250、250〜300、300〜350、350〜400、400〜450、450〜500、500〜550、550〜600、600〜650、650〜700、700〜750、750〜800、800〜850、850〜900、900〜950、950〜1000、1000〜1200、1200〜1400、1400〜1600、1600〜1800、1800〜2000、2000〜2200、2200〜2400、2400〜2600、2600〜2800または2800〜3000mg)のオファツムマブを与える。複数の態様において、オファツムマブは約300mgの出発投与量として投与され、その後に2000mgとして、例えば、約11回の投与が、例えば、24週間にわたって行われる。いくつかの態様において、オファツムマブは、少なくとも4日間、例えば、4日間、7日間、14日間、21日間、28日間、35日間またはそれを上回る投薬間隔で投与される。例えば、オファツムマブは、少なくとも1週間、例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、24週間、26週間、28週間、20週間、22週間、24週間、26週間、28週間、30週間またはそれを上回る投薬間隔で投与される。いくつかの態様において、オファツムマブは、ある期間、例えば、少なくとも1週間、例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、22週間、24週間、26週間、28週間、30週間、40週間、50週間、60週間もしくはそれを上回る期間にわたって、または1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、12カ月もしくはそれを上回る期間にわたって、または1年、2年、3年、4年、5年もしくはそれを上回る期間にわたって、本明細書に記載の用量および投薬間隔で投与される。例えば、オファツムマブは、治療サイクル当たり合計で少なくとも2回の投薬(例えば、治療サイクル当たり少なくとも2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、15回、16回、18回、20またはそれを上回る投薬)について、本明細書に記載の用量および投薬間隔で投与される。
場合によっては、抗CD20抗体はオクレリズマブを含む。オクレリズマブは、ヒト化抗CD20モノクローナル抗体であり、例えば、臨床試験識別番号NCT00077870、NCT01412333、NCT00779220、NCT00673920、NCT01194570、およびKappos et al. Lancet. 19.378(2011):1779-87に記載されている。
場合によっては、抗CD20抗体はベルツズマブを含む。ベルツズマブは、CD20に対するヒト化モノクローナル抗体である。例えば、臨床試験識別番号NCT00547066、NCT00546793、NCT01101581、およびGoldenberg et al. Leuk Lymphoma. 51(5)(2010):747-55を参照されたい。
場合によっては、抗CD20抗体はGA101を含む。GA101(オビヌツズマブまたはRO5072759とも呼ばれる)は、ヒト化および糖鎖操作が行われた抗CD20モノクローナル抗体である。例えば、Robak. Curr. Opin. Investig. Drugs. 10.6(2009):588-96;臨床試験識別番号NCT01995669, NCT01889797, NCT02229422、およびNCT01414205;ならびにwww.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2013/125486s000lbl.pdfを参照されたい。
場合によっては、抗CD20抗体はAME-133vを含む。AME-133v(LY2469298またはオカラツズマブとも呼ばれる)は、CD20に対するヒト化IgG1モノクローナル抗体であり、リツキシマブと比較してFcγRIIIa受容体に対する親和性が高く、抗体依存性細胞性細胞傷害作用(ADCC)活性が強化されている。例えば、Robak et al. BioDrugs 25.1(2011):13-25;およびForero-Torres et al. Clin Cancer Res. 18.5(2012):1395-403を参照されたい。
場合によっては、抗CD20抗体はPRO131921を含む。PRO131921は、リツキシマブと比較してFcγRIIIaに対してより優れた結合性を有し、かつADCCが強化するように操作されたヒト化抗CD20モノクローナル抗体である。例えば、Robak et al. BioDrugs 25.1(2011):13-25;およびCasulo et al. Clin Immunol. 154.1(2014):37-46;および臨床試験識別番号NCT00452127を参照されたい。
場合によっては、抗CD20抗体はTRU-015を含む。TRU-015は、CD20に対する抗体のドメインに由来する抗CD20融合タンパク質である。TRU-015はモノクローナル抗体よりも小型であるが、Fc媒介性エフェクター機能を保っている。例えば、Robak et al. BioDrugs 25.1(2011):13-25を参照されたい。TRU-015は、ヒトIgG1ヒンジドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメインと連結されているがCH1ドメインおよびCLドメインを欠く抗CD20単鎖可変フラグメント(scFv)を含む。
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗CD20抗体は、治療薬、例えば、本明細書に記載の化学療法薬(例えば、シトキサン、フルダラビン、ヒストンデアセチラーゼ阻害薬、脱メチル化剤、ペプチドワクチン、抗腫瘍性抗生物質、チロシンキナーゼ阻害薬、アルキル化剤、抗微小管薬または有糸分裂阻害薬)、抗アレルギー薬、抗悪心薬(または制吐薬)、鎮痛薬、または細胞保護剤とコンジュゲートされているか、または別の様式で結合している。
複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、B細胞リンパ腫2(BCL-2)阻害薬(例えば、ABT-199またはGDC-0199とも呼ばれる、ベネトクラックス)および/またはリツキシマブと組み合わせて対象に投与される。複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、ベネトクラックスおよびリツキシマブと組み合わせて対象に投与される。ベネトクラックスは、抗アポトーシスタンパク質であるBCL-2を阻害する小分子である。ベネトクラックス(4-(4-{[2-(4-クロロフェニル)-4,4-ジメチルシクロへクス-1-en-1-イル]メチル}ピペラジン-1-イル)-N-({3-ニトロ-4-[(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメチル)アミノ]フェニル}スルホニル)-2-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イルオキシ)ベンズアミド)の構造は、以下に示されている。
複数の態様において、対象はCLLを有する。複数の態様において、対象は再発性CLLを有し、例えば、対象は癌治療法を以前に施与されている。複数の態様において、ベネトクラックスは、約15〜600mg(例えば、15〜20、20〜50、50〜75、75〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500または500〜600mg)の投与量で、例えば、毎日投与される。複数の態様において、リツキシマブは、約350〜550mg/m2(例えば、350〜375、375〜400、400〜425、425〜450、450〜475または475〜500mg/m2)の投与量で、例えば、静脈内に、例えば、毎月投与される。
いくつかの態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、腫瘍崩壊ウイルスと組み合わせて投与される。複数の態様において、腫瘍崩壊ウイルスは、癌細胞において選択的に複製して、その死滅を誘発するか、またはその増殖を緩徐化することができる。場合によっては、腫瘍崩壊ウイルスは非癌性細胞に対する影響がないか、わずかな影響しか及ぼさない。腫瘍崩壊ウイルスには、腫瘍崩壊性アデノウイルス、腫瘍崩壊性単純ヘルペスウイルス、腫瘍崩壊性レトロウイルス、腫瘍崩壊性パルボウイルス、腫瘍崩壊性ワクシニアウイルス、腫瘍崩壊性シンドビス(Sinbis)ウイルス、腫瘍崩壊性インフルエンザウイルス、または腫瘍崩壊性RNAウイルス(例えば、腫瘍崩壊性レオウイルス、腫瘍崩壊性ニューカッスル病ウイルス(NDV)、腫瘍崩壊性麻疹ウイルス、または腫瘍崩壊性水疱性口内炎ウイルス(VSV))が非限定的に含まれる。
いくつかの態様において、腫瘍崩壊ウイルスは、ウイルス、例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2010/0178684 A1号に記載された、組換え腫瘍崩壊ウイルスである。いくつかの態様において、組換え腫瘍崩壊ウイルスは、その全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2010/0178684 A1号に記載されたような、免疫応答または炎症反応の阻害薬をコードする核酸配列(例えば、異種核酸配列)を含む。複数の態様において、組換え腫瘍崩壊ウイルス、例えば、腫瘍崩壊性NDVは、アポトーシス促進タンパク質(例えば、アポプチン)、サイトカイン(例えば、GM-CSF、インターフェロン-γ、インターロイキン-2(IL-2)、腫瘍壊死因子-α)、免疫グロブリン(例えば、ED-Bフィブロネクチンに対する抗体)、腫瘍関連抗原、二重特異性アダプタータンパク質(例えば、NDV HNタンパク質およびT細胞共刺激受容体、例えばCD3もしくはCD28などを対象とする二重特異性抗体もしくは抗体フラグメント;またはヒトIL-2とNDV HNタンパク質を対象とする単鎖抗体との融合タンパク質)を含む。例えば、Zamarin et al. Future Microbiol. 7.3(2012):347-67を参照されたく、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。いくつかの態様において、腫瘍崩壊ウイルスは、US 8591881 B2号、US 2012/0122185 A1号、またはUS 2014/0271677 A1号に記載されたキメラ性腫瘍崩壊性NDVであり、これらはそれぞれその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、腫瘍崩壊ウイルスは、癌細胞においてのみ複製するように設計されている条件複製性アデノウイルス(CRAd)である。例えば、Alemany et al. Nature Biotechnol. 18(2000):723-27を参照されたい。いくつかの態様において、腫瘍崩壊性アデノウイルスは、その全体が参照により本明細書に組み入れられるAlemany et al.の725ページの表1に記載されたものを含む。
例示的な腫瘍崩壊ウイルスには、以下が非限定的に含まれる:
B群腫瘍崩壊性アデノウイルス(ColoAd1)(PsiOxus Therapeutics Ltd.)(例えば、臨床試験識別番号:NCT02053220を参照されたい);
ONCOS-102(以前はCGTG-102と呼ばれていた)、これは顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を含むアデノウイルスである(Oncos Therapeutics)(例えば、臨床試験識別番号:NCT01598129を参照されたい);
VCN-01、これはヒトPH20ヒアルロニダーゼをコードする遺伝的に改変された腫瘍崩壊性ヒトアデノウイルスである(VCN Biosciences, S.L.)(例えば、臨床試験識別番号:NCT02045602およびNCT02045589を参照されたい);
条件複製性アデノウイルスICOVIR-5、これは、調節不全の網膜芽腫/E2F経路を有する癌細胞において選択的に複製するように改変された、野生型ヒトアデノウイルス血清型5(Had5)由来のウイルスである(Institut Catala d'Oncologia)(例えば、臨床試験識別番号:NCT01864759を参照されたい);
Celyvir、これは腫瘍崩壊性アデノウイルスの1つであるICOVIR5に感染させた骨髄由来自己間葉系幹細胞(MSC)を含む(Hospital Infantil Universitario Nino Jesus、Madrid, Spain/Ramon Alemany)(例えば、臨床試験識別番号:NCT01844661を参照されたい);
CG0070、これは、ヒトE2F-1プロモーターが必須E1aウイルス遺伝子の発現を作動させ、それによってウイルス複製およびRb経路欠損腫瘍細胞に対する細胞傷害作用を制限した、条件複製性腫瘍崩壊性血清型5アデノウイルス(Ad5)である(Cold Genesys, Inc.)(例えば、臨床試験識別番号:NCT02143804を参照されたい);または
DNX-2401(以前はDelta-24-RGDと命名されていた)、これは、網膜芽腫(Rb)経路欠損細胞において選択的に複製するように操作され、かつ、ある特定のRGD結合インテグリンを発現する細胞をより効率的に感染させるアデノウイルスである(Clinica Universidad de Navarra, Universidad de Navarra/ DNAtrix, Inc.)(例えば、臨床試験識別番号:NCT01956734を参照されたい)。
いくつかの態様において、本明細書に記載の腫瘍崩壊ウイルスは、注射、例えば、皮下注射、動脈内注射、静脈内注射、筋肉内注射、髄腔内注射、または腹腔内注射によって投与される。複数の態様において、本明細書に記載の腫瘍崩壊ウイルスは、腫瘍内に、経皮的に、経粘膜的に、経口的に、鼻腔内に投与されるか、または肺内投与を介して投与される。
1つの態様において、本明細書に記載のCARを発現する細胞は、Treg細胞集団を減少させる分子と組み合わせて対象に投与される。Treg細胞の数を減少させる(例えば、枯渇させる)方法は、当技術分野において公知であり、例えば、CD25枯渇、シクロホスファミド投与、GITR機能のモジュレーションが含まれる。理論に拘束されることは望まないが、アフェレーシスの前に、または本明細書に記載のCAR発現細胞の投与の前に、対象におけるTreg細胞の数を減少させることにより、腫瘍微小環境における望まれない免疫細胞(例えば、Treg)の数が減少し、対象の再発リスクが減少すると考えられている。
1つの態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、GITRを標的とするおよび/またはGITR機能をモジュレートする分子、例えばGITRアゴニストおよび/または調節性T細胞(Treg)を枯渇させるGITR抗体などと組み合わせて、対象に投与される。複数の態様において、本明細書に記載のCARを発現する細胞は、シクロホスファミドと組み合わせて対象に投与される。1つの態様において、GITR結合分子および/またはGITR機能をモジュレートする分子(例えば、GITRアゴニストおよび/またはTregを枯渇させるGITR抗体)は、CAR発現細胞の投与の前に投与される。例えば、1つの態様において、GITRアゴニストは、細胞のアフェレーシスの前に投与することができる。複数の態様において、シクロホスファミドは、CAR発現細胞の投与(例えば、注入または再注入)の前に、または細胞のアフェレーシス(aphersis)の前に、対象に投与される。複数の態様において、シクロホスファミドおよび抗GITR抗体は、CAR発現細胞の投与(例えば、注入または再注入)の前に、または細胞のアフェレーシスの前に、対象に投与される。1つの態様において、対象は、癌(例えば、固形癌、またはALLまたはCLLなどの血液癌)を有する。1つの態様において、対象はCLLを有する。複数の態様において、対象はALLを有する。複数の態様において、対象は、固形癌、例えば、本明細書に記載の固形癌を有する。例示的なGITRアゴニストには、例えば、GITR融合タンパク質および抗GITR抗体(例えば、二価抗GITR抗体)、例えば、米国特許第6,111,090号、欧州特許第090505B1号、米国特許第8,586,023号、PCT公報第WO 2010/003118号および第2011/090754号に記載されたGITR融合タンパク質、または例えば、米国特許第7,025,962号、欧州特許第1947183B1号、米国特許第7,812,135号、米国特許第8,388,967号、米国特許第8,591,886号、欧州特許第EP 1866339号、PCT公報第WO 2011/028683号、PCT公報第WO 2013/039954号、PCT公報第WO 2005/007190号、PCT公報第WO 2007/133822号、PCT公報第WO 2005/055808号、PCT公報第WO 99/40196号、PCT公報第WO 2001/03720号、PCT公報第WO 99/20758号、PCT公報第WO 2006/083289号、PCT公報第WO 2005/115451号、米国特許第7,618,632号、およびPCT公報第WO 2011/051726号に記載された抗GITR抗体などが含まれる。
1つの態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、mTOR阻害薬、例えば、本明細書に記載のmTOR阻害薬、例えば、エベロリムスなどのラパログと組み合わせて対象に投与される。1つの態様において、mTOR阻害薬は、CAR発現細胞の前に投与される。例えば、1つの態様において、mTOR阻害薬は、細胞のアフェレーシスの前に投与することができる。
1つの態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、GITRアゴニスト、例えば、本明細書に記載のGITRアゴニストと組み合わせて対象に投与される。1つの態様において、GITRアゴニストは、CAR発現細胞の前に投与される。例えば、1つの態様において、GITRアゴニストは、細胞のアフェレーシスの前に投与することができる。
1つの態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、タンパク質チロシンホスファターゼ阻害薬、例えば、本明細書に記載のタンパク質チロシンホスファターゼ阻害薬と組み合わせて対象に投与される。1つの態様において、タンパク質チロシンホスファターゼ阻害薬は、SHP-1阻害薬、例えば、本明細書に記載のSHP-1阻害薬、例えば、スチボグルコン酸ナトリウムなどである。1つの態様において、タンパク質チロシンホスファターゼ阻害薬は、SHP-2阻害薬、例えば、本明細書に記載のSHP-2阻害薬である。
1つの態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、キナーゼ阻害薬と組み合わせて用いることができる。1つの態様において、キナーゼ阻害薬は、CDK4阻害薬、例えば、本明細書に記載のCDK4阻害薬、例えば、CDK4/6阻害薬、例えば、6-アセチル-8-シクロペンチル-5-メチル-2-(5-ピペラジン-1-イル-ピリジン-2-イルアミノ)-8H-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-オン塩酸塩(パルボシクリブまたはPD0332991とも称される)などである。1つの態様において、キナーゼ阻害薬は、BTK阻害薬、例えば、本明細書に記載のBTK阻害薬、例えば、イブルチニブなどである。1つの態様において、キナーゼ阻害薬は、mTOR阻害薬、例えば、本明細書に記載のmTOR阻害薬、例えば、ラパマイシン、ラパマイシン類似体の1つであるOSI-027などである。mTOR阻害薬は、例えば、mTORC1阻害薬および/またはmTORC2阻害薬、例えば、本明細書に記載のmTORC1阻害薬および/またはmTORC2阻害薬であってよい。1つの態様において、キナーゼ阻害薬は、MNK阻害薬、例えば、本明細書に記載のMNK阻害薬、例えば、4-アミノ-5-(4-フルオロアニリノ)-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジンである。MNK阻害薬は、例えば、MNK1a阻害薬、MNK1b阻害薬、MNK2a阻害薬および/またはMNK2b阻害薬であってよい。1つの態様において、キナーゼ阻害薬は、本明細書に記載の二重PI3K/mTOR阻害薬、例えば、PF-04695102などである。1つの態様において、キナーゼ阻害薬は、DGK阻害薬、例えば、本明細書に記載のDGK阻害薬、例えば、DGKinh1(D5919)またはDGKinh2(D5794)である。1つの態様において、キナーゼ阻害薬は、アロイシンA;フラボピリドールまたはHMR-1275、2-(2-クロロフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-8-[(3S,4R)-3-ヒドロキシ-1-メチル-4-ピペリジニル]-4-クロメノン;クリゾチニブ(PF-02341066;2-(2-クロロフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-8-[(2R,3S)-2-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-3-ピロリジニル]-4H-1-ベンゾピラン-4-オン塩酸塩(P276-00);1-メチル-5-[[2-[5-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール-2-イル]-4-ピリジニル]オキシ]-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ベンズイミダゾール-2-アミン(RAF265);インジスラム(E7070);ロスコビチン(CYC202);パルボシクリブ(PD0332991);ディナシクリブ(SCH727965);N-[5-[[(5-tert-ブチルオキサゾール-2-イル)メチル]チオ]チアゾール-2-イル]ピペリジン-4-カルボキサミド(BMS 387032);4-[[9-クロロ-7-(2,6-ジフルオロフェニル)-5H-ピリミド[5,4-d][2]ベンザゼピン-2-イル]アミノ]-安息香酸(MLN8054);5-[3-(4,6-ジフルオロ-1H-ベンズイミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-5-イル]-N-エチル-4-メチル-3-ピリジンメタンアミン(AG-024322);4-(2,6-ジクロロベンゾイルアミノ)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸N-(ピペリジン-4-イル)アミド(AT7519);4-[2-メチル-1-(1-メチルエチル)-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-2-ピリミジンアミン(AZD5438);およびXL281(BMS908662)から選択されるCDK4阻害薬である。
1つの態様において、キナーゼ阻害薬は、CDK4阻害薬、例えば、パルボシクリブ(PD0332991)であり、パルボシクリブは、約50mg、60mg、70mg、75mg、80mg、90mg、100mg、105mg、110mg、115mg、120mg、125mg、130mg、135mg(例えば、75mg、100mgまたは125mg)の用量で、ある期間にわたって毎日、例えば、28日サイクルの14〜21日にわたって毎日、または21日サイクルの7〜12日にわたって毎日、投与される。1つの態様においては、1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクル、またはそれを上回るサイクルのパルボシクリブが投与される。
複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4または6の阻害薬、例えば、本明細書に記載のCDK4阻害薬またはCDK6阻害薬と組み合わせて対象に投与される。複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、CDK4/6阻害薬(例えば、CDK4およびCDK6の両方を標的とする阻害薬)、例えば、本明細書に記載のCDK4/6阻害薬と組み合わせて対象に投与される。1つの態様において、対象はMCLを有する。MCLは、現在利用しうる治療法に対してほとんど反応しない、すなわち、本質的には治癒不能な、悪性度の高い癌である。MCLの多くの症例では、サイクリンD1(CDK4/6の調節因子の1つ)が、MCL細胞において発現されている(例えば、免疫グロブリン遺伝子およびサイクリンD1遺伝子がかかわる染色体転座に起因する)。このため、理論に拘束されることはないが、MCL細胞は、特異性の高い(すなわち、正常免疫細胞に対する影響が最小限である)CDK4/6阻害に対する感受性が高いと考えられる。CDK4/6阻害薬単独でもMCLの治療においてある程度の有効性はあるが、達成されているのは再発率の高い部分寛解に過ぎない。例示的なCDK4/6阻害薬の1つには、LEE011(リボシクリブとも呼ばれる)があり、その構造は以下に示されている。
理論に拘束されることはないが、本明細書に記載のCAR発現細胞とCDK4/6阻害薬(例えば、LEE011、または本明細書に記載の他のCDK4/6阻害薬)との投与により、例えば、CDK4/6阻害薬のみと比較して、より高い反応性、例えば、より高い寛解率および/またはより低い再発率を達成しうると考えられる。
1つの態様において、キナーゼ阻害薬は、イブルチニブ(PCI-32765);GDC-0834;RN-486;CGI-560;CGI-1764;HM-71224;CC-292;ONO-4059;CNX-774;およびLFM-A13から選択されるBTK阻害薬である。1つの好ましい態様において、BTK阻害薬は、インターロイキン-2誘導性キナーゼ(ITK)のキナーゼ活性を低下することも阻害することもなく、GDC-0834;RN-486;CGI-560;CGI-1764;HM-71224;CC-292;ONO-4059;CNX-774;およびLFM-A13から選択される。
1つの態様において、キナーゼ阻害薬は、BTK阻害薬、例えば、イブルチニブ(PCI-32765)である。複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、BTK阻害薬(例えば、イブルチニブ)と組み合わせて対象に投与される。複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、イブルチニブ(PCI-32765とも呼ばれる)と組み合わせて対象に投与される。イブルチニブ(1-[(3R)-3-[4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]ピペリジン-1-イル]プロプ-2-エン-1-オン)の構造は、以下に示されている。
複数の態様において、対象は、CLL、マントル細胞リンパ腫(MCL)、または小リンパ球性リンパ腫(SLL)を有する。例えば、対象は、染色体17の短腕に欠失を有する(例えば、白血病細胞におけるdel(17p))。他の例において、対象はdel(17p)を有しない。複数の態様において、対象は再発性のCLLまたはSLLを有し、例えば、対象は癌治療法を以前に施与されている(例えば、1種類、2種類、3種類、または4種類の事前の癌治療法を以前に施与されている)。複数の態様において、対象は難治性のCLLまたはSLLを有する。他の態様において、対象は、濾胞性リンパ腫、例えば、再発性または難治性の濾胞性リンパ腫を有する。いくつかの態様において、イブルチニブは、約300〜600mg/日(例えば、約300〜350、350〜400、400〜450、450〜500、500〜550、または550〜600mg/日、例えば、約420mg/日または約560mg/日)の投与量で、例えば、経口的に投与される。複数の態様において、イブルチニブは、約250mg、300mg、350mg、400mg、420mg、440mg、460mg、480mg、500mg、520mg、540mg、560mg、580mg、600mg(例えば、250mg、420mgまたは560mg)の用量で、ある期間にわたって毎日、例えば、21日サイクル(cycle cycle)にわたって毎日、または28日サイクルにわたって毎日、投与される。1つの態様においては、1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクルまたはそれを上回るサイクルのイブルチニブが投与される。いくつかの態様において、イブルチニブは、リツキシマブと組み合わせて投与される。例えば、Burger et al. (2013) Ibrutinib In Combination With Rituximab (iR) Is Well Tolerated and Induces a High Rate Of Durable Remissions In Patients With High-Risk Chronic Lymphocytic Leukemia (CLL): New, Updated Results Of a Phase II Trial In 40 Patients, Abstract 675 presented at 55th ASH Annual Meeting and Exposition, New Orleans, LA 7-10 Decを参照されたい。理論に拘束されることはないが、イブルチニブの追加により、T細胞の増殖応答が強化され、T細胞がT-ヘルパー-2(Th2)表現型からT-ヘルパー-1(Th1)表現型に移行する可能性があると考えられる。Th1およびTh2はヘルパーT細胞の表現型であり、Th1とTh2との対比によって異なる免疫応答経路が導かれる。Th1表現型は、例えば、細胞、細胞内病原体/ウイルスもしくは癌性細胞などの死滅を死滅させるため、または自己免疫応答を永続化するための炎症誘発性応答と関連がある。Th2表現型は、好酸球の蓄積および抗炎症応答と関連がある。
本明細書における方法、使用および組成物のいくつかの態様において、BTK阻害薬は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、国際出願WO 2015/079417号に記載されているBTK阻害薬である。例えば、いくつかの態様において、BTK阻害薬は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩である;
式中、R1は、水素、水素によって置換されてもよいC1〜C6アルキルであり;
R2は水素またはハロゲンであり;
R3は水素またはハロゲンであり;
R4は水素であり;
R5は水素もしくはハロゲンであるか;
またはR4およびR5は互いに結びついて、結合、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH=CH-、-CH=CH-CH2-;-CH2-CH=CH-;もしくは-CH2-CH2-CH2-を表し;
R6およびR7は、H、ヒドロキシルによって置換されてよいC1〜C6アルキル、ハロゲンもしくはヒドロキシによって置換されてもよいC3〜C6シクロアルキル、またはハロゲンを互いに独立に表し;
R8、R9、R、R'、R10およびR11は、H、もしくはC1〜C6アルコキシによって置換されてもよいC1〜C6アルキルを互いに独立に表すか;またはR8、R9、R、R'、R10およびR11のいずれか2つが、それらに結合した炭素原子と一緒になって3〜6員の飽和炭素環を形成してもよく;
R12は、水素、またはハロゲンもしくはC1〜C6アルコキシによって置換されてもよいC1〜C6アルキルであるか;
またはR12と、R8、R9、R、R'、R10またはR11のいずれか1つが、それらに結合した原子と一緒になって4員、5員、6員または7員のアザ環式環(azacyclic ring)を形成してもよく、その環がハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルコキシによって置換されていてもよく;
nは0または1であり;かつ
R13は、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシもしくはN,N-ジ-C1〜C6アルキルアミノによって置換されてもよいC2〜C6アルケニル;C1〜C6アルキルもしくはC1〜C6アルコキシによって置換されてもよいC2〜C6アルキニル;またはC1〜C6アルキルによって置換されてもよいC2〜C6アルキレニルオキシドである。
いくつかの態様において、式IのBTK阻害薬は、以下から選択される:N-(3-(5-((1-アクリロイルアゼチジン-3-イル)オキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(E)-N-(3-(6-アミノ-5-((1-(ブタ-2-エノイル)アゼチジン-3-イル)オキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(6-アミノ-5-((1-プロピオロイルアゼチジン-3-イル)オキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(6-アミノ-5-((1-(ブタ-2-イノイル)アゼチジン-3-イル)オキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(5-((1-アクリロイルピペリジン-4-イル)オキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(6-アミノ-5-(2-(N-メチルアクリルアミド)エトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(E)-N-(3-(6-アミノ-5-(2-(N-メチルブタ-2-エンアミド)エトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(6-アミノ-5-(2-(N-メチルプロピオルアミド)エトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(E)-N-(3-(6-アミノ-5-(2-(4-メトキシ-N-メチルブタ-2-エンアミド)エトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(6-アミノ-5-(2-(N-メチルブタ-2-イナミド)エトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(2-((4-アミノ-6-(3-(4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)ピリミジン-5-イル)オキシ)エチル)-N-メチルオキシラン-2-カルボキサミド;N-(2-((4-アミノ-6-(3-(6-シクロプロピル-8-フルオロ-1-オキソイソキノリン-2(1H)-イル)フェニル)ピリミジン-5-イル)オキシ)エチル)-N-メチルアクリルアミド;N-(3-(5-(2-アクリルアミドエトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(6-アミノ-5-(2-(N-エチルアクリルアミド)エトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(6-アミノ-5-(2-(N-(2-フルオロエチル)アクリルアミド)エトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(5-((1-アクリルアミドシクロプロピル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(S)-N-(3-(5-(2-アクリルアミドプロポキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(S)-N-(3-(6-アミノ-5-(2-(ブタ-2-イナミド)プロポキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(S)-N-(3-(6-アミノ-5-(2-(N-メチルアクリルアミド)プロポキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(S)-N-(3-(6-アミノ-5-(2-(N-メチルブタ-2-イナミド)プロポキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(6-アミノ-5-(3-(N-メチルアクリルアミド)プロポキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(S)-N-(3-(5-((1-アクリロイルピロリジン-2-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(S)-N-(3-(6-アミノ-5-((1-(ブタ-2-イノイル)ピロリジン-2-イル)メトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(S)-2-(3-(5-((1-アクリロイルピロリジン-2-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-(ヒドロキシメチル)フェニル)-6-シクロプロピル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン;N-(2-((4-アミノ-6-(3-(6-シクロプロピル-1-オキソ-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)-5-フルオロ-2-(ヒドロキシメチル)フェニル)ピリミジン-5-イル)オキシ)エチル)-N-メチルアクリルアミド;N-(3-(5-(((2S,4R)-1-アクリロイル-4-メトキシピロリジン-2-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(6-アミノ-5-(((2S,4R)-1-(ブタ-2-イノイル)-4-メトキシピロリジン-2-イル)メトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;2-(3-(5-(((2S,4R)-1-アクリロイル-4-メトキシピロリジン-2-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-(ヒドロキシメチル)フェニル)-6-シクロプロピル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン;N-(3-(5-(((2S,4S)-1-アクリロイル-4-メトキシピロリジン-2-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(6-アミノ-5-(((2S,4S)-1-(ブタ-2-イノイル)-4-メトキシピロリジン-2-イル)メトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(5-(((2S,4R)-1-アクリロイル-4-フルオロピロリジン-2-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(6-アミノ-5-(((2S,4R)-1-(ブタ-2-イノイル)-4-フルオロピロリジン-2-イル)メトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(S)-N-(3-(5-((1-アクリロイルアゼチジン-2-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(S)-N-(3-(6-アミノ-5-((1-プロピオロイルアゼチジン-2-イル)メトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(S)-2-(3-(5-((1-アクリロイルアゼチジン-2-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-(ヒドロキシメチル)フェニル)-6-シクロプロピル-3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン;(R)-N-(3-(5-((1-アクリロイルアゼチジン-2-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;(R)-N-(3-(5-((1-アクリロイルピペリジン-3-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(5-(((2R,3S)-1-アクリロイル-3-メトキシピロリジン-2-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;N-(3-(5-(((2S,4R)-1-アクリロイル-4-cyanoピロリジン-2-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド;またはN-(3-(5-(((2S,4S)-1-アクリロイル-4-cyanoピロリジン-2-イル)メトキシ)-6-アミノピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド。
別に提示する場合を除き、式IのBTK阻害薬の説明において上記に用いた化学用語は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、国際出願WO 2015/079417号に述べられた、それらの意味に従って用いられる。
1つの態様において、キナーゼ阻害薬は、テムシロリムスロリムス;AP23573およびMK8669としても知られる、リダフォロリムス(1R,2R,4S)-4-[(2R)-2[(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R、23S,24E,26E,28Z,30S,32S,35R)-1,18-ジヒドロキシ-19,30-ジメトキシ-15,17,21,23,29,35-ヘキサメチル-2,3,10,14,20-ペンタオキソ-11,36-ジオキサ-4-アザトリシクロ[30.3.1.04,9]ヘキサトリアコンタ-16,24,26,28-テトラエン-12-イル]プロピル]-2-メトキシシクロヘキシルジメチルホスフィネート;エベロリムス(RAD001);ラパマイシン(AY22989);シマピモド(simapimod);(5-{2,4-bis[(3S)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-イル}-2-メトキシフェニル)メタノール(AZD8055);2-mmino-8-[トランス-4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]-6-(6-メトキシ-3-ピリジニル)-4-メチル-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン(PF04691502);およびN2-[1,4-ジオキソ-4-[[4-(4-オキソ-8-フェニル-4H-1-ベンゾピラン-2-イル)モルホリニウム-4-イル]メトキシ]ブチル]-L-アルギニルグリシル-L-α-アルパルチルL-セリン、内部塩(SF1126);およびXL765、から選択されるmTOR阻害薬である。
1つの態様において、キナーゼ阻害薬は、mTOR阻害薬、例えば、ラパマイシンであり、ラパマイシンは、約3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg(例えば、6mg)の用量で、ある期間にわたって毎日、例えば、21日サイクル(cycle cycle)にわたって毎日、または28日サイクルにわたって毎日、投与される。1つの態様において、1つの態様においては、1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクルまたはそれを上回るサイクルのラパマイシンが投与される。1つの態様において、キナーゼ阻害薬は、mTOR阻害薬、例えば、エベロリムスであり、エベロリムスは、約2mg、2.5mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg(例えば、10mg)の用量で、ある期間にわたって毎日、例えば、28日サイクルにわたって毎日投与される。1つの態様において、1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクル、10サイクル、11サイクル、12サイクルまたはそれを上回るサイクルのエベロリムスが投与される。
1つの態様において、キナーゼ阻害薬は、CGP052088;4-アミノ-3-(p-フルオロフェニルアミノ)-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン(CGP57380);セルコスポラミド;ETC-1780445-2;および4-アミノ-5-(4-フルオロアニリノ)-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジンから選択されるMNK阻害薬である。
複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害薬(例えば、本明細書に記載のPI3K阻害薬、例えば、イデラリシブまたはドゥベリシブ)および/またはリツキシマブと組み合わせて対象に投与される。複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、イデラリシブおよびリツキシマブと組み合わせて対象に投与される。複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、ドゥベリシブおよびリツキシマブと組み合わせて対象に投与される。イデラリシブ(GS-1101またはCAL-101とも呼ばれる;Gilead)は、PI3Kのδアイソフォームを遮断する小分子である。イデラリシブ(5-フルオロ-3-フェニル-2-[(1S)-1-(7H-プリン-6-イルアミノ)プロピル]-4(3H)-キナゾリノン)の構造は、以下に示されている。
ドゥベリシブ(IPI-145とも呼ばれる;Infinity PharmaceuticalsおよびAbbvie)は、PI3K-δ、γを遮断する小分子である。ドゥベリシブ(8-クロロ-2-フェニル-3-[(1S)-1-(9H-プリン-6-イルアミノ)エチル]-1(2H)-イソキノリノン)の構造は、以下に示されている。
複数の態様において、対象はCLLを有する。複数の態様において、対象は再発性CLLを有し、例えば、対象は癌治療法を以前に施与されている(例えば、抗CD20抗体を以前に投与されているか、またはイブルチニブを以前に投与されている)。例えば、対象は、染色体17の短腕に欠失を有する(例えば、白血病細胞におけるdel(17p))。他の例において、対象はdel(17p)を有しない。複数の態様において、対象は、免疫グロブリン重鎖可変領域(IgVH)遺伝子に突然変異を含む白血病細胞を含む。他の態様において、対象は、免疫グロブリン重鎖可変領域(IgVH)遺伝子に突然変異を含む白血病細胞を含まない。複数の態様において、対象は、染色体11の長腕に欠失を有する(del(11q))。他の態様において、対象は、del(11q)を有しない。複数の態様において、イデラリシブは、約100〜400mg(例えば、100〜125、125〜150、150〜175、175〜200、200〜225、225〜250、250〜275、275〜300、325〜350、350〜375または375〜400mg)の投与量で、例えば、1日2回(BID)投与される。複数の態様において、ドゥベリシブは、約15〜100mg(例えば、約15〜25、25〜50、50〜75または75〜100mg)の投与量で、例えば、1日2回投与される。複数の態様において、リツキシマブは、約350〜550mg/m2(例えば、350〜375、375〜400、400〜425、425〜450、450〜475または475〜500mg/m2)の投与量で、例えば、静脈内に投与される。
1つの態様において、キナーゼ阻害薬は、2-アミノ-8-[トランス-4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]-6-(6-メトキシ-3-ピリジニル)-4-メチル-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン(PF-04691502);N-[4-[[4-(ジメチルアミノ)-1-ピペリジニル]カルボニル]フェニル]-N'-[4-(4,6-ジ-4-モルホリニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]尿素(PF-05212384、PKI-587);2-メチル-2-{4-[3-メチル-2-オキソ-8-(キノリン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]フェニル}プロパンニトリル(BEZ-235);アピトリシブ(GDC-0980、RG7422);2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリンyl]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド(GSK2126458);8-(6-メトキシピリジン-3-イル)-3-メチル-1-(4-(ピペラジン-1-イル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-2(3H)-オンマレイン酸(NVP-BGT226);3-[4-(4-モルホリニルピリド[3',2':4,5]フロ[3,2-d]ピリミジン-2-イル]フェノール(PI-103);5-(9-イソプロピル-8-メチル-2-モルホリノ-9H-プリン-6-イル)ピリミジン-2-アミン(VS-5584、SB2343);およびN-[2-[(3,5-ジメトキシフェニル)アミノ]キノキサリン-3-イル]-4-[(4-メチル-3-メトキシフェニル)カルボニル]アミノフェニルスルホンアミド(XL765)から選択される、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)およびmTOR二重阻害薬である。
複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、組織非形成性リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害薬と組み合わせて対象に投与される。例示的なALKキナーゼには、クリゾチニブ(Pfizer)、セリチニブ(Novartis)、アレクチニブ(Chugai)、ブリガチニブ(AP26113とも呼ばれる;Ariad)、エントレクチニブ(Ignyta)、PF-06463922(Pfizer)、TSR-011(Tesaro)(例えば、臨床試験識別番号NCT02048488を参照)、CEP-37440(Teva)、およびX-396(Xcovery)が非限定的に含まれる。いくつかの態様において、対象は、固形癌、例えば、本明細書に記載の固形癌、例えば、肺癌を有する。
クリゾチニブの化学名は、3-[(1R)-1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ]-5-(1-ピペリジン-4-イルピラゾール-4-イル)ピリジン-2-アミンである。セリチニブの化学名は、5-クロロ-N2-[2-イソプロポキシ-5-メチル-4-(4-ピペリジニル)フェニル]-N4-[2-(イソプロピルスルホニル)フェニル]-2,4-ピリミジンジアミンである。アレクチニブの化学名は、9-エチル-6,6-ジメチル-8-(4-モルホリノピペリジン-1-イル)-11-オキソ-6,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[b]カルバゾール-3-カルボニトリルである。ブリガチニブの化学名は、5-クロロ-N2-{4-[4-(ジメチルアミノ)-1-ピペリジニル]-2-メトキシフェニル}-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-2,4-ピリミジンジアミンである。エントレクチニブの化学名は、N-(5-(3,5-ジフルオロベンジル)-1H-インダゾール-3-イル)-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ベンズアミドである。PF-06463922の化学名は、(10R)-7-アミノ-12-フルオロ-2,10,16-トリメチル-15-オキソ-10,15,16,17-テトラヒドロ-2H-8,4-(メテノ)ピラゾロ[4,3-h][2,5,11]-ベンゾキサジアザシクロテトラデシン-3-カルボニトリルである。CEP-37440の化学構造は、(S)-2-((5-クロロ-2-((6-(4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル)-1-メトキシ-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾ[7]アヌレン-2-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)アミノ)-N-メチルベンズアミドである。X-396の化学名は、(R)-6-アミノ-5-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)-N-(4-(4-メチルピペラジンe-1-カルボニル)フェニル)ピリダジン-3-カルボキサミドである。
カルシウム依存性ホスファターゼカルシニューリン(シクロスポリンおよびFK506)を阻害するか、または増殖因子により誘導されるシグナル伝達のために重要なp70S6キナーゼを阻害する薬物(ラパマイシン)(Liu et al., Cell 66:807-815, 1991;Henderson et al., Immun. 73:316-321, 1991;Bierer et al., Curr. Opin. Immun. 5:763-773, 1993)を用いることもできる。さらなる局面において、本発明の細胞組成物を、骨髄移植、フルダラビンなどの化学療法薬を用いるT細胞除去療法、外部ビーム放射線療法(XRT)、シクロホスファミド、および/またはOKT3もしくはCAMPATHなどの抗体と併せて(例えば、その前、同時に、または後に)投与することもできる。1つの局面において、本発明の細胞組成物は、CD20と反応する作用物質、例えば、リツキサンなどのB細胞除去療法の後に投与される。例えば、1つの態様において、対象は、高用量化学療法の後に末梢血幹細胞移植を行う標準的な治療を受けることができる。ある態様において、対象は、移植後に、本発明の増大された免疫細胞の注入を受ける。1つの追加的な態様において、増大された細胞は、外科手術の前または後に投与される。
複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)阻害薬と組み合わせて対象に投与される。IDOは、アミノ酸L-トリプトファンのキヌレニンへの分解を触媒する酵素である。多くの癌、例えば、前立腺癌、結腸直腸癌、膵癌、子宮頸癌、胃癌、卵巣癌、頭部癌、および肺癌は、IDOを過剰発現する。pDC、マクロファージおよび樹状細胞(DC)は、IDOを過剰発現することができる。理論に拘束されることはないが、L-トリプトファン(例えば、IDOによって触媒される)の減少は、T細胞アネルギーおよびアポトーシスを誘導することによって、免疫抑制環境をしょうじさせると考えられる。このため、理論に拘束されることはないが、IDO阻害薬は、例えば、CARを発現する免疫細胞の抑制または死滅を減少させることによって、本明細書に記載のCAR発現細胞の有効性を強化しうると考えられる。複数の態様において、対象は、固形腫瘍、例えば、本明細書に記載の固形腫瘍、例えば、前立腺癌、結腸直腸癌、膵癌、子宮頸癌、胃癌、卵巣癌、頭部癌、または肺癌を有する。例示的なIDO阻害薬には、1-メチル-トリプトファン、インドキシモド(NewLink Genetics)(例えば、臨床試験識別番号NCT01191216;NCT01792050を参照)およびINCB024360(Incyte Corp.)(例えば、臨床試験識別番号NCT01604889;NCT01685255を参照)が非限定的に含まれる。
複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、骨髄系由来サプレッサー細胞(MDSC)の修飾薬と組み合わせて対象に投与される。MDSCは、多くの固形腫瘍の周辺および腫瘍部位に蓄積している。これらの細胞はT細胞応答を抑制し、それによって、CAR発現細胞療法の有効性を妨げる。理論に拘束されることはないが、MDSC修飾薬の投与は、本明細書に記載のCAR発現細胞の有効性を強化すると考えられる。1つの態様において、対象は、固形腫瘍、例えば、本明細書に記載の固形腫瘍、例えば、神経膠芽細胞腫を有する。例示的なMDSC修飾薬には、MCS110およびBLZ945が非限定的に含まれる。MCS110は、マクロファージコロニー-刺激因子(M-CSF)に対するモノクローナル抗体(mAb)である。例えば、臨床試験識別番号NCT00757757を参照されたい。BLZ945は、コロニー刺激因子1受容体(CSF1R)の小分子阻害薬である。例えば、Pyonteck et al. Nat. Med. 19(2013):1264-72を参照されたい。BLZ945の構造は、以下に示されている。
複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、CD19 CART細胞(例えば、例えば参照により本明細書に組み入れられるWO 2012/079000号に記載されたようなCTL019)と組み合わせて対象に投与される。複数の態様において、対象は、急性骨髄性白血病(AML)、例えば、CD19陽性AMLまたはCD19陰性AMLを有する。複数の態様において、対象は、CD19+リンパ腫、例えば、CD19+非ホジキンリンパ腫(NHL)、CD19+ FL、またはCD19+ DLBCLを有する。複数の態様において、対象は再発性または難治性のCD19+リンパ腫を有する。複数の態様においては、リンパ球枯渇(lymphodepleting)化学療法が、CD19 CART細胞の投与(例えば、注入)の前に、それと並行して、またはその後に、対象に施与される。1つの例において、リンパ球枯渇化学療法は、CD19 CART細胞の投与の前に、対象に施与される。例えば、リンパ球枯渇化学療法は、CD19 CART細胞注入の1〜4日(例えば、1、2、3または4日)前に終わる。複数の態様において、例えば、本明細書に記載するように、CD19 CART細胞が複数回にわたって投与される。例えば、単回用量は、約5×108個のCD19 CART細胞を含む。複数の態様において、リンパ球枯渇化学療法は、本明細書に記載のCAR発現細胞、例えば、非CD19 CAR発現細胞の投与(例えば、注入)の前に、それと並行して、またはその後に、対象に施与される。複数の態様において、CD19 CARTは、非CD19 CAR発現細胞、例えば、本明細書に記載の非CD19 CAR発現細胞の投与(例えば、注入)の前に、それと並行して、またはその後に、対象に投与される。
いくつかの態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、GFRα4の発現と関連する疾患、例えば、本明細書に記載の癌の治療のために、CD19 CAR発現細胞、例えば、例えば参照により本明細書に組み入れられるWO 2012/079000に記載されたようなCTL019と組み合わせて対象に投与される。理論に拘束されることはないが、CD19 CAR発現細胞をCAR発現細胞と組み合わせて投与することは、初期系列癌細胞、例えば、癌幹細胞を標的化すること、免疫応答をモジュレートすること、調節性B細胞枯渇させること、および/または腫瘍微小環境を改善することによって、本明細書に記載のCAR発現細胞の有効性を向上させると考えられている。例えば、CD19 CAR発現細胞は、初期系列マーカーを発現する癌細胞、例えば、癌幹細胞およびCD19発現細胞を標的とし、一方、本明細書に記載のCAR発現細胞は、より後期の系列マーカー、例えば、GFRα4を発現する癌細胞を標的とする。このプレコンディショニングアプローチにより、本明細書に記載のCAR発現細胞の有効性を向上させることができる。そのような態様において、CD19 CAR発現細胞は、本明細書に記載のCAR発現細胞の投与(例えば、注入)の前に、それと並行して、またはその後に投与される。
複数の態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、CD19を標的とするCAR、例えば、CD19 CARも発現することができる。1つの態様において、本明細書に記載のCARを発現する細胞およびCD19 CARが、本明細書に記載の癌の治療のために対象に投与される。1つの態様において、CAR分子の一方または両方の構成は、一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび共刺激シグナル伝達ドメインを含む。もう1つの態様において、CAR分子の一方または両方の構成は、一次細胞内シグナル伝達ドメイン、および2個またはそれを上回る、例えば、2個、3個、4個または5個のまたはそれを上回る共刺激シグナル伝達ドメインを含む。そのような態様において、本明細書に記載のCAR分子およびCD19 CARは、同じもしくは異なる一次細胞内シグナル伝達ドメイン、同じもしくは異なる共刺激シグナル伝達ドメイン、または同じ数もしくは異なる数の共刺激シグナル伝達ドメインを有しうる。または、本明細書に記載のCARおよびCD19 CARは、CAR分子の一方が抗原結合ドメインおよび共刺激ドメイン(例えば、4-1BB)を含み、他のCAR分子が抗原結合ドメインおよび一次細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ζ)を含む、スプリットCARとして構成される。
いくつかの態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、インターロイキン-15(IL-15)ポリペプチド、インターロイキン-15受容体α(IL-15Ra)ポリペプチド、またはIL-15ポリペプチドとIL-15Raポリペプチド、例えば、hetIL-15(Admune Therapeutics、LLC)の両方の組み合わせと組み合わせて対象に投与される。hetIL-15は、IL-15とのIL-15Raのヘテロ二量体非共有結合性複合体である。hetIL-15は、例えば、U.S. 8,124,084号、U.S. 2012/0177598号、U.S. 2009/0082299号、U.S. 2012/0141413号、およびU.S. 2011/0081311号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み入れられる。複数の態様において、het-IL-15は皮下投与される。複数の態様において、対象は、癌、例えば、固形癌、例えば、黒色腫または結腸癌を有する。複数の態様において、対象は転移性癌を有する。
複数の態様においては、本明細書に記載の疾患、例えば、血液学的障害、例えば、AMLまたはMDSを有する対象に、本明細書に記載のCAR発現細胞が、作用物質、例えば、細胞傷害性薬物または化学療法薬、生物製剤療法(例えば、抗体、例えば、モノクローナル抗体または細胞療法)、または阻害薬(例えば、キナーゼ阻害薬)と組み合わせて投与される。複数の態様において、対象には、本明細書に記載のCAR発現細胞が、細胞傷害性薬物、例えば、CPX-351(Celator Pharmaceuticals)、シタラビン、ダウノルビシン、バソロキシン(Sunesis Pharmaceuticals)、サパシタビン(Cyclacel Pharmaceuticals)、イダルビシン、またはミトキサントロンと組み合わせて投与される。CPX-351は、シタラビンおよびダウノルビシンを5:1のモル比で含むリポソーム製剤である。複数の態様において、対象には、本明細書に記載のCAR発現細胞が、低メチル化剤、例えば、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害薬、例えば、アザシチジンまたはデシタビンと組み合わせて投与される。複数の態様において、対象には、本明細書に記載のCAR発現細胞が、生物製剤療法、例えば、抗体または細胞療法、例えば、225Ac-リンツズマブ(Actimab-A;Actinium Pharmaceuticals)、IPH2102(Innate Pharma/Bristol Myers Squibb)、SGN-CD33A(Seattle Genetics)、またはゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ(Mylotarg);Pfizer)と組み合わせて投与される。SGN-CD33Aは、抗CD33抗体と結びつけられたピロロベンゾジアゼピン二量体を含む抗体-薬物コンジュゲート(ADC)である。Actimab-Aは、アクチニウムによって標識された抗CD33抗体(リンツズマブ)である。IPH2102は、キラー免疫グロブリン様受容体(KIR)を標的とするモノクローナル抗体である。複数の態様において、対象には、本明細書に記載のCAR発現細胞が、FLT3阻害薬、例えば、ソラフェニブ(Bayer)、ミドスタウリン(Novartis)、キザルチニブ(Daiichi Sankyo)、クレノラニブ(Arog Pharmaceuticals)、PLX3397(Daiichi Sankyo)、AKN-028(Akinion Pharmaceuticals)、またはASP2215(Astellas)と組み合わせて投与される。複数の態様において、対象には、本明細書に記載のCAR発現細胞が、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)阻害薬、例えば、AG-221(Celgene/Agios)またはAG-120(Agios/Celgene)と組み合わせて投与される。複数の態様において、対象には、本明細書に記載のCAR発現細胞が、細胞周期調節薬、例えば、polo様キナーゼ1(Plk1)の阻害薬、例えば、ボラセルチブ(Boehringer Ingelheim);またはサイクリン依存性キナーゼ9(Cdk9)の阻害薬、例えば、アルボシジブ(Tolero Pharmaceuticals/Sanofi Aventis)と組み合わせて投与される。複数の態様において、対象には、本明細書に記載のCAR発現細胞が、B細胞受容体シグナル伝達ネットワーク阻害薬、例えば、B細胞リンパ腫2(Bcl-2)の阻害薬、例えば、ベネトクラックス(Abbvie/Roche);またはブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)の阻害薬、例えば、イブルチニブ(Pharmacyclics/Johnson & Johnson Janssen薬学的)と組み合わせて投与される。複数の態様において、対象には、本明細書に記載のCAR発現細胞が、M1アミノペプチダーゼの阻害薬、例えば、トセドスタット(CTI BioPharma/Vernalis);ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の阻害薬、例えば、プラシノスタット(MEI Pharma);マルチキナーゼ阻害薬、例えば、リゴセルチブ(Onconova Therapeutics/Baxter/SymBio);またはペプチド性CXCR4逆アゴニスト、例えば、BL-8040(BioLineRx)と組み合わせて投与される。複数の態様において、対象には、GFRα4 CAR発現細胞が、GFRα4以外の抗原と特異的に結合するCAR発現細胞と組み合わせて投与される。
もう1つの態様において、対象は、細胞の移植、例えば、同種幹細胞移植の前に、本発明のGFRα4発現細胞組成物の投与を受ける。1つの好ましい態様において、GFRα4発現細胞は、例えば、mRNA GFRα4 CARのエレクトロポレーションによってGFRα4 CARを一過性に発現し、その際にGFRα4の発現は、生着不全を避けるためにドナー幹細胞の注入の前に終結する。
一部の患者は、投与中またはその後に、本発明の化合物および/または他の抗癌薬に対するアレルギー反応をきたすことがある;このため、アレルギー反応のリスクを最小限に抑えるために、抗アレルギー薬がしばしば投与される。適した抗アレルギー薬には、コルチコステロイド、例えばデキサメサゾン(例えば、デカドロン(Decadron)(登録商標))、ベクロメタゾン(例えば、Beclovent(登録商標))、ヒドロコルチゾン(コルチゾン、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウムとしても知られ、Ala-Cort(登録商標)、リン酸ヒドロコルチゾン、ソルコーテフ(Solu-Cortef)(登録商標)、Hydrocort Acetate(登録商標)およびLanacort(登録商標)という商標名で販売されている)、プレドニゾロン(Delta-Cortel(登録商標)、Orapred(登録商標)、Pediapred(登録商標)およびPrelone(登録商標)という商標名で販売されている)、プレドニゾン(Deltasone(登録商標)、LiquidRed(登録商標)、メチコルカン(Meticorten)(登録商標)およびOrasone(登録商標)という商標名で販売されている)、メチルプレドニゾロン(6-メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンコハク酸ナトリウムとしても知られ、Duralone(登録商標)、Medralone(登録商標)、Medrol(登録商標)、M-Prednisol(登録商標)およびソルメドロール(Solu-Medrol)(登録商標)という商標名で販売されている);抗ヒスタミン薬、例えばジフェンヒドラミン(例えば、Benadryl(登録商標))、ヒドロキシジンおよびシプロヘプタジンなど;ならびに気管支拡張薬、例えば、βアドレナリン作動性受容体アゴニスト、アルブテロール(例えば、Proventil(登録商標))およびテルブタリン(Brethine(登録商標)など)が含まれる。
一部の患者は、本発明の化合物および/または他の抗癌薬の投与の最中およびその後に悪心をきたすことがある;このため、制吐薬が、悪心(胃の上部)および嘔吐を予防するために用いられる。適した制吐薬には、アプレピタント(Emend(登録商標))、オンダンセトロン(ゾフラン(Zofran)(登録商標))、グラニセトロンHCl(カイトリル(Kytril)(登録商標))、ロラゼパム(アティバン(Ativan)(登録商標)、デキサメサゾン(Decadron(登録商標))、ロラペルジン(コンパジン(Compazine)(登録商標))、カソピタント(Rezonic(登録商標)およびZunrisa(登録商標))、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
治療期間中に経験される疼痛を軽減するための薬物療法が、患者をより快適にするためにしばしば処方される。一般的な一般用医薬品である鎮痛薬、例えばタイルノール(Tylenol)(登録商標)がしばしば用いられる。しかし、オピオイド鎮痛薬、例えばヒドロコドン/パラセタモールまたはヒドロコドン/アセトアミノフェン(例えば、バイコジン(Vicodin)(登録商標))、モルヒネ(例えば、Astramorph(登録商標)またはAvinza(登録商標)など)、オキシコドン(例えば、オキシコンチン(OxyContin)(登録商標)またはパーコセット(Percocet)(登録商標))、塩酸オキシモルホン(Opana(登録商標))、およびフェンタニル(例えば、デュラゲシク(Duragesic)(登録商標))は、中程度または重度の疼痛に対しても有用である。
正常細胞を治療毒性から保護するため、および臓器毒性を制限するための取り組みにおいて、細胞保護剤(神経保護薬、フリーラジカルスカベンジャー、心保護薬、アントラサイクリン血管外漏出中和剤、および栄養素など)を、補助療法として用いることができる。適した細胞保護剤には、アミホスチン(Ethyol(登録商標))、グルタミン、ジメスナ(Tavocept(登録商標))、メスナ(Mesnex(登録商標))、デスクラゾキサン(Zinecard(登録商標)またはTotect(登録商標))、キサリプロデン(Xaprila(登録商標))、およびロイコボリン(カルシウムロイコボリン、シトロボラム因子およびフォリン酸としても知られる)が含まれる。
コード番号、一般名または商標名によって識別される活性化合物の構造は、標準的な概説書「The Merck Index」の現行版、またはデータベース、例えば、Patents International(例えば、IMS World Publications)から入手することができる。
本発明の化合物と組み合わせて用いうる上述の化合物は、例えば上記に引用した文書などにおけるように、当技術分野において記載されているように、調製して投与することができる。
1つの態様において、本発明は、少なくとも1つの本発明の化合物(例えば、本発明の化合物)またはその薬学的に許容される塩を、ヒト対象または動物対象への投与に適する薬学的に許容される担体とともに、単独で、または他の抗癌薬とともに含む、薬学的組成物を提供する。
1つの態様において、本発明は、癌などの細胞増殖性疾患に罹患したヒト対象または動物対象を治療する方法を提供する。本発明は、そのような治療を必要とするヒト対象または動物対象を治療する方法であって、対象に対して、本発明の化合物(例えば、本発明の化合物)またはその薬学的に許容される塩の治療的有効量を、単独で、または他の抗癌薬と組み合わせて投与する段階を含む方法を提供する。
特に、組成物は、組み合わせ治療薬として一緒に製剤化されるか、または別々に投与されると考えられる。
併用療法では、本発明の化合物および他の抗癌薬を、特定の時間的制約を設けずに同時に、並行して、または逐次的に投与することができ、ここでそのような投与は患者の体内で2種類の化合物の治療的有効レベルをもたらす。
1つの好ましい態様において、本発明の化合物およびもう一方の抗癌薬は一般に、注入によって、または経口的に、任意の順序で投与される。投薬レジメンは、疾患の病期、患者の体力、個々の薬物の安全性プロフィール、および個々の薬物の認容性、ならびにその組み合わせを投与する主治医および医療従事者に周知の他の基準に応じて異なりうる。本発明の化合物および他の抗癌薬は、治療のために用いられる特定のサイクルに応じて、互いに数分以内に、数時間、数日、またはさらには数週間を隔てて投与することができる。加えて、サイクルは、治療サイクルの間に一方の薬物を他の薬物よりも高い頻度で、および薬物の投与当たりに異なる用量で投与することを含みうると考えられる。
本発明のもう1つの局面において、1つまたは複数の本発明の化合物、および本明細書において開示されるような組み合わせパートナーを含むキットが提供される。代表的なキットは、(a)本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩、(b)例えば、以上に示すような、少なくとも1つの組み合わせパートナーを含み、ここでそのようなキットは、投与のための指示を含みうる、添付文書または他のラベル表示を含む。
また、本発明の化合物を、既知の治療プロセス、例えば、ホルモンまたは特に放射線照射の投与と組み合わせて有益となるように用いることもできる。本発明の化合物は特に、特に放射線療法に対する感受性が乏しい腫瘍の治療のための放射線増感剤として用いることができる。
1つの態様において、対象は、CAR発現細胞の投与に関連する副作用を軽減するかまたは改善する作用物質の投与を受けることができる。CAR発現細胞の投与に関連する副作用には、CRS、およびマクロファージ活性化症候群(MAS)とも名付けられている血球貪食性リンパ組織球症(HLH)が非限定的に含まれる。CRSの症状には、高熱、悪心、一過性低血圧、低酸素症などが含まれる。CRSは、発熱、疲労、摂食障害、筋肉痛、関節痛(arthalgias)、悪心、嘔吐、および頭痛などの臨床構成上の徴候および症状を含みうる。CRSは、発疹などの臨床的皮膚徴候および症状を含みうる。CRSは、悪心、嘔吐および下痢などの臨床的消化器徴候および症状を含みうる。CRSは、頻呼吸および低酸素血症などの臨床的呼吸器徴候および症状を含みうる。CRSは、頻脈、脈圧拡大、低血圧、心拍出量増加(早期)および潜在的心拍出量低下(後期)などの臨床的心血管徴候および症状を含みうる。CRSは、dダイマー高値、出血を伴うかまたは伴わない低フィブリノーゲン血症などの、臨床的凝固徴候および症状を含みうる。CRSは、高窒素血症などの臨床的腎臓徴候および症状を含みうる。CRSは、高トランスアミナーゼ血症および高ビリルビン血症などの臨床的肝臓徴候および症状を含みうる。CRSは、頭痛、精神状態変化、混乱、譫妄、換語困難または明らかな失語症、幻覚、振戦、測定障害、歩調変化および発作などの臨床的神経徴候および症状を含みうる。したがって、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載のCAR発現細胞を対象に投与する段階、およびCAR発現細胞による治療に起因する可溶性因子のレベル上昇を管理するための1つまたは複数の作用物質をさらに投与する段階を含む。1つの態様において、対象において上昇する可溶性因子は、IFN-γ、TNF-α、IL-2およびIL-6のうち1つまたは複数である。1つの態様において、対象において上昇する因子は、IL-1、GM-CSF、IL-10、IL-8、IL-5およびフラクタルカインのうち1つまたは複数である。それ故に、この副作用を治療するために投与される薬剤は、これらの可溶性因子の1つまたは複数を中和する作用物質でありうる。1つの態様において、これらの可溶性形態の1つまたは複数を中和する作用物質は、抗体またはその抗体である。そのような作用物質の例には、ステロイド(例えば、コルチコステロイド)、TNFαの阻害薬、およびIL-6の阻害薬が非限定的に含まれる。TNFα阻害薬の例には、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴール、およびゴリムマブなどの抗TNFα抗体分子がある。TNFα阻害薬のもう1つの例は、エタネルセプトなどの融合タンパク質である。TNFαの小分子阻害薬には、キサンチン誘導体(例えば、ペントキシフィリン)およびブプロピオンが非限定的に含まれる。IL-6阻害薬の例は、トシリズマブ(toc)、サリルマブ、エルシリモマブ、CNTO 328、ALD518/BMS-945429、CNTO 136、CPSI-2364、CDP6038、VX30、ARGX-109、FE301およびFM101などの抗IL-6抗体である。1つの態様において、抗IL-6抗体分子はトシリズマブである。IL-1Rベースの阻害薬の一例はアナキンラである。
1つの態様において、対象に、CAR発現細胞の活性を強化する作用物質を投与することができる。例えば、1つの態様において、作用物質は、阻害分子を阻害する作用物質であってよく、例えば、作用物質はチェックポイント阻害因子である。阻害分子、例えば、Programmed Death 1(PD1)は、いくつかの態様において、CAR発現細胞が免疫エフェクター応答を開始させる能力を低下させることができる。阻害分子の例には、PD1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、TIM3、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3および/またはCEACAM-5)、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシン、およびTGFRβが含まれる。例えば、DNA、RNAまたはタンパク質のレベルでの阻害による、阻害分子の阻害により、CAR発現細胞の性能を最適化することができる。複数の態様において、阻害性核酸、例えば、dsRNA、例えば、siRNAまたはshRNAを、CAR発現細胞における阻害分子の発現を阻害するために用いることができる。1つの態様において、阻害薬はshRNAである。1つの態様において、阻害分子はCAR発現細胞内で阻害される。これらの態様において、阻害分子の発現を阻害するdsRNA分子は、CARの構成要素、例えば、構成要素のすべてをコードする核酸と連結される。
1つの態様において、T細胞機能をモジュレートするかまたは調節する、例えば、阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、T細胞機能をモジュレートするかまたは調節する、例えば、阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子が発現されるように、例えばCAR発現細胞内で発現されるように、プロモーター、例えば、H1またはU6に由来するプロモーターと機能的に連結される。例えば、Tiscornia G., "Development of Lentiviral Vectors Expressing siRNA," Chapter 3, in Gene Transfer: Delivery and Expression of DNA and RNA (eds. Friedmann and Rossi). Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, USA, 2007;Brummelkamp TR, et al. (2002) Science 296: 550-553;Miyagishi M, et al. (2002) Nat. Biotechnol. 19: 497-500を参照されたい。1つの態様において、T細胞機能をモジュレートするかまたは調節する、例えば、阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、CARの構成要素、例えば、構成要素のすべてをコードする核酸分子を含む同じベクター、例えば、レンチウイルスベクター上に存在する。そのような態様において、T細胞機能をモジュレートするかまたは調節する、例えば、阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、ベクター、例えば、レンチウイルスベクター上で、CARの構成要素、例えば、構成要素のすべてをコードする核酸に対して5'側または3'側に位置する。T細胞機能をモジュレートするかまたは調節する、例えば、阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、CARの構成要素、例えば、構成要素のすべてをコードする核酸と同じまたは異なる方向で転写されうる。1つの態様において、T細胞機能をモジュレートするかまたは調節する、例えば、阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、CARの構成要素、例えば、構成要素のすべてをコードする核酸を含むベクター以外のベクター上に存在する。1つの態様において、T細胞機能をモジュレートするかまたは調節する、例えば、阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、CAR発現細胞において一過性に発現される。1つの態様において、T細胞機能をモジュレートするかまたは調節する、例えば、阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子をコードする核酸分子は、CAR発現細胞のゲノム中に安定的に組み込まれる。図29A〜29Eは、T細胞機能をモジュレートするかまたは調節する、例えば、阻害する分子の発現を阻害するdsRNA分子を有する、CARの構成要素、例えば、構成要素のすべてを発現させるためのベクターの例を描写している。
T細胞機能をモジュレートするかまたは調節する、例えば、阻害する分子の発現を阻害するために有用なdsRNA分子の例を、以下に提示し、この例において、T細胞機能をモジュレートするかまたは調節する、例えば、阻害する分子は、PD-1である。
以下の表4には、PDCD1(PD1)RNAi作用物質の名称(マウスPDCD1遺伝子配列NM_008798.2におけるそれらの位置に由来する)が、DNA配列を表すSEQ ID NO:116〜163とともに提供されている。この表には、センス(S)配列およびアンチセンス(AS)配列の両方が、19mer配列および21mer配列として提示されている。また、位置(PoS、例えば、176)が、マウスPDCD1遺伝子配列NM_008798.2における位置番号に由来することにも留意されたい。SEQ ID NOは、「センス19」SEQ ID NO:116〜127;「センス21」SEQ ID NO:128〜139;「アンチセンス(Asense)21」SEQ ID NO:140〜151;「アンチセンス(Asense)19」SEQ ID NO:152〜163に対応する12のグループで指し示されている。
以下の表5には、PDCD1(PD1)RNAi作用物質の名称(ヒトPDCD1遺伝子配列におけるそれらの位置に由来する)が、DNA配列を表すSEQ ID NO:164〜211とともに提供されている。この表には、センス(S)配列およびアンチセンス(AS)配列の両方が、19mer配列および21mer配列として提示されている。SEQ ID NOは、「センス19」SEQ ID NO:164〜175;「センス21」SEQ ID NO:176〜187;「アンチセンス(Asense)21」SEQ ID NO:188〜199;「アンチセンス(Asense)19」SEQ ID NO:200〜211に対応する12のグループで指し示されている。
1つの態様において、阻害シグナルの阻害薬は、例えば、阻害分子と結合する抗体または抗体フラグメントであってよい。例えば、作用物質は、PD1、PD-L1、PD-L2またはCTLA4と結合する抗体または抗体フラグメント(例えば、イピリムマブ(MDX-010およびMDX-101とも称され、Yervoy(登録商標)として販売されている;Bristol-Myers Squibb;トレメリムマブ(Pfizerから入手可能なIgG2モノクローナル抗体、以前はチシリムマブ、CP-675,206として知られていた))であってよい。1つの態様において、作用物質は、TIM3と結合する抗体または抗体フラグメントである。1つの態様において、作用物質は、LAG3と結合する抗体または抗体フラグメントである。複数の態様において、CAR発現細胞の活性を強化する作用物質、例えば、阻害分子の阻害薬が、同種CAR、例えば、本明細書に記載の同種CAR(例えば、本明細書における同種CARの項に記載)と組み合わせて投与される。
PD-1は、CD28ファミリーの受容体の阻害性メンバーであり、このファミリーにはCD28、CTLA-4、ICOS、およびBTLAも含まれる。PD-1は、活性化されたB細胞、T細胞および骨髄性細胞上に発現される(Agata et al. 1996 Int. Immunol 8:765-75)。PD1に対する2種類のリガンドであるPD-L1およびPD-L2は、PD1と結合するとT細胞活性化をダウンレギュレートすることが示されている(Freeman et a. 2000 J Exp Med 192:1027-34;Latchman et al. 2001 Nat Immunol 2:261-8;Carter et al. 2002 Eur J Immunol 32:634-43)。PD-L1は、ヒトの癌に大量に存在する(Dong et al. 2003 J Mol Med 81:281-7;Blank et al. 2005 Cancer Immunol. Immunother 54:307-314;Konishi et al. 2004 Clin Cancer Res 10:5094)。PD1とPD-L1の局所相互作用を阻害することによって、免疫抑制を好転させられる可能性がある。抗体、抗体フラグメント、およびPD-1の他の阻害薬であるPD-L1およびPD-L2は、当技術分野において入手可能であり、本明細書に記載の本発明のcarと組み合わせて用いることができる。例えば、ニボルマブ(BMS-936558またはMDX1106とも称される;Bristol-Myers Squibb)は、PD-1を特異的に遮断する完全ヒトIgG4モノクローナル抗体である。ニボルマブ(クローン5C4)およびPD-1と特異的に結合する他のヒトモノクローナル抗体は、US 8,008,449号およびWO 2006/121168号に記載されている。ピジリズマブ(CT-011;Cure Tech)は、PD-1と結合するヒト化IgG1kモノクローナル抗体である。ピジリズマブおよび他のヒト化抗PD-1モノクローナル抗体は、WO 2009/101611号に記載されている。ペンブロリズマブ(以前はランブロリズマブとして知られており、MK03475とも称される;Merck)は、PD-1と結合するヒト化IgG4モノクローナル抗体である。ペンブロリズマブおよび他のヒト化抗PD-1抗体は、US 8,354,509号およびWO 2009/114335号に開示されている。MEDI4736(Medimmune)は、PDL1と結合して、リガンドのPD1との相互作用を阻害するヒトモノクローナル抗体である。MDPL3280A(Genentech/Roche)は、PD-L1と結合するヒトFc最適化IgG1モノクローナル抗体である。MDPL3280AおよびPD-L1に対する他のヒトモノクローナル抗体は、米国特許第7,943,743号および米国特許出願公開第20120039906号に開示されている。他の抗PD-L1結合物質には、YW243.55.S70(重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、WO 2010/077634号のSEQ ID NO 20および21に示されている)およびMDX-1 105(BMS-936559とも称され、例えば、WO 2007/005874号に開示されている抗PD-L1結合物質である)が含まれる。AMP-224(B7-DCIg;Amplimmune;例えば、WO 2010/027827号およびWO 2011/066342号に開示されている)は、PD-1とB7-H1との間の相互作用を遮断するPD-L2 Fc融合可溶性受容体である。他の抗PD-1抗体には、特に、例えば、US 8,609,089号、US 2010028330号、および/またはUS 20120114649号に開示されている抗PD-1抗体であるAMP 514(Amplimmune)が含まれる。
1つの態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、その全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2015/0210769号に開示されたような、PD-1抗体分子と組み合わせて投与することができる。
TIM3(T細胞免疫グロブリン-3)も、特にIFN-g分泌性CD4+ Tヘルパー1およびCD8+ T細胞傷害性1細胞においてT細胞機能を負に調節し、T細胞消耗において決定的な役割を果たす。TIM3とそのリガンド、例えば、ガレクチン-9(Gal9)、ホスファチジルセリン(PS)およびHMGB1との間の相互作用の阻害は、免疫応答を増大させることができる。抗体、抗体フラグメント、ならびにTIM3およびそのリガンドの他の阻害薬は当技術分野において入手可能であり、CD19本明細書に記載のCARと組み合わせて用いることができる。例えば、TIM3を標的とする抗体、抗体フラグメント、小分子またはペプチド阻害薬は、TIM3のIgVドメインと結合して、そのリガンドとの相互作用を阻害する。TIM3を阻害する抗体およびペプチドは、WO 2013/006490号およびUS20100247521号に開示されている。他の抗TIM3抗体には、ヒト化バージョンのRMT3-23(Ngiow et al., 2011, Cancer Res, 71:3540-3551に開示されている)、およびクローン8B.2C12(Monney et al., 2002, Nature, 415:536-541に開示されている)が含まれる。TIM3およびPD-1を阻害する二重特異性抗体は、US20130156774号に開示されている。
1つの態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞は、その全体が参照により本明細書に組み入れられるUS2015/0218274号に記載されたTIM3抗体分子と組み合わせて投与される。
他の態様において、CAR発現細胞の活性を強化する作用物質は、CEACAM阻害薬(例えば、CEACAM-1阻害薬、CEACAM-3阻害薬、および/またはCEACAM-5阻害薬)である。1つの態様において、CEACAMの阻害薬は抗CEACAM抗体分子である。例示的な抗CEACAM-1抗体は、WO 2010/125571号、WO 2013/082366号 WO 2014/059251号およびWO 2014/022332号に記載されており、例えば、モノクローナル抗体34B1、26H7および5F4;または、例えば、US 2004/0047858号、US 7,132,255号およびWO 99/052552号に記載されているようなそれらの組換え形態である。他の態様において、抗CEACAM抗体は、例えば、Zheng et al. PLoS One. 2010 Sep 2;5(9). pii: e12529 (DOI:10:1371/journal.pone.0021146)に記載されているように、CEACAM-5と結合するか、または、例えば、WO 2013/054331号およびUS 2014/0271618号に記載されているように、CEACAM-1およびCEACAM-5と交差反応する。
理論に拘束されることは望まないが、CEACAM-1およびCEACAM-5などの癌胎児性抗原細胞接着分子(CEACAM)は、少なくとも一部には、抗腫瘍免疫応答の阻害を媒介すると考えられている(例えば、Markel et al. J Immunol. 2002 Mar 15;168(6):2803-10;Markel et al. J Immunol. 2006 Nov 1;177(9):6062-71;Markel et al. Immunology. 2009 Feb;126(2):186-200;Markel et al. Cancer Immunol Immunother. 2010 Feb;59(2):215-30;Ortenberg et al. Mol Cancer Ther. 2012 Jun;11(6):1300-10;Stern et al. J Immunol. 2005 Jun 1;174(11):6692-701;Zheng et al. PLoS One. 2010 Sep 2;5(9). pii: e12529を参照されたい)。例えば、CEACAM-1は、TIM-3のヘテロ親和性リガンドとして、かつTIM-3媒介性T細胞寛容および消耗に役割を果たすとして記載されている(WO 2014/022332号;Huang, et al. (2014) Nature doi:10.1038/nature13848を参照されたい)。複数の態様において、CEACAM-1およびTIM-3の共遮断は、異種移植結腸直腸癌モデルにおける抗腫瘍免疫応答を強化することが示されている(例えば、WO 2014/022332号;Huang, et al. (2014)、前記を参照)。他の態様において、CEACAM-1およびPD-1の共遮断は、例えば、WO 2014/059251号に記載されているように、T細胞寛容を低下させる。したがって、癌、例えば、黒色腫、肺癌(例えば、NSCLC)、膀胱癌、結腸癌および卵巣癌、ならびに本明細書に記載するような他の癌に対する免疫応答を強化するために、CEACAM阻害薬を、本明細書に記載の他の免疫調節薬(例えば、抗PD-1阻害薬および/または抗TIM-3阻害薬)とともに用いることができる。
LAG3(リンパ球活性化遺伝子-3またはCD223)は、CD8+ T細胞消耗に役割を果たすことが示されている、活性化T細胞およびB細胞上に発現される細胞表面分子である。抗体、抗体フラグメント、ならびにLAG3およびそのリガンドの他の阻害薬は当技術分野において入手可能であり、本明細書に記載のCD19 CARと組み合わせて用いることができる。例えば、BMS-986016(Bristol-Myers Squib)は、LAG3を標的とするモノクローナル抗体である。IMP701(Immutep)はアンタゴニストLAG3抗体であり、IMP731(ImmutepおよびGlaxoSmithKline)はLAG3抗体を枯渇させる。他のLAG3阻害薬には、LAG3の可溶性部分とMHCクラスII分子に結合するIgとの組換え融合タンパク質でありかつ抗原提示細胞(APC)を活性化するIMP321(Immutep)が含まれる。他の抗体は、例えば、WO 2010/019570号に開示されている。
いくつかの態様において、CAR発現細胞の活性を強化する作用物質は、例えば、第1のドメインおよび第2のドメインを含む融合タンパク質であってよく、ここで第1のドメインは阻害分子またはそのフラグメントであり、第2のドメインは、正のシグナルと関連するポリペプチド、例えば、本明細書に記載するような細胞内シグナル伝達ドメインを含むポリペプチドである。いくつかの態様において、正のシグナルと関連するポリペプチドは、CD28、CD27、ICOSの共刺激ドメイン、例えば、CD28、CD27および/もしくはICOSの細胞内シグナル伝達ドメイン、ならびに/または、例えば、本明細書に記載の、例えばCD3ζの一次シグナル伝達ドメインを含みうる。1つの態様において、融合タンパク質は、CARを発現するのと同じ細胞によって発現される。もう1つの態様において、融合タンパク質は、GFRα4 CARを発現しない細胞、例えば、T細胞によって発現される。
1つの態様において、本明細書に記載のCAR発現細胞の活性を強化する作用物質は、miR-17-92である。
1つの態様において、本明細書に記載のCARの活性を強化する作用物質はサイトカインである。サイトカインは、T細胞の増大、分化、生存、および恒常性に関係する重要な機能を有する。本明細書に記載のCAR発現細胞の投与を受ける対象に投与されうるサイトカインには、以下が含まれる:IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15、IL-18、およびIL-21、またはそれらの組み合わせ。好ましい態様において、投与されるサイトカインは、IL-7、IL-15、もしくはIL-21、またはそれらの組み合わせである。サイトカインは、1日1回、または1日1回を上回って、例えば、1日2回、1日3回、もしくは1日4回、投与することができる。サイトカインは複数の日にわたって投与することができ、例えば、サイトカインは、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間または4週間にわたって投与される。例えば、サイトカインは、1日1回ずつ7日間にわたって投与される。
複数の態様において、サイトカインは、CAR発現T細胞と組み合わせて投与される。サイトカインは、CAR発現T細胞と同時に、または並行して投与することができ、例えば、同じ日に投与することができる。サイトカインは、CAR発現T細胞と同じ薬学的組成物中に調製することもでき、または別々の薬学的組成物中に調製することもできる。または、サイトカインを、CAR発現T細胞の投与のすぐ後に、例えば、CAR発現T細胞の投与の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後または7日後に投与することもできる。複数の日にわたって行われる投薬レジメンにおいてサイトカインが投与される1つの態様において、サイトカイン投薬レジメンの第1日は、CAR発現T細胞の投与と同じであってもよく、またはサイトカイン投薬レジメンの第1日が、CAR発現T細胞の投与の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後または7日後であってもよい。1つの態様においては、第1日にCAR発現T細胞が対象に投与され、第2日にサイトカインが1日1回ずつ以後の7日間にわたって投与される。1つの好ましい態様において、CAR発現T細胞と組み合わせて投与されるサイトカインは、IL-7、IL-15またはIL-21である。
他の態様において、サイトカインは、CAR発現細胞の投与からある期間の後に、例えば、CAR発現細胞の投与から少なくとも2週後、3週後、4週後、6週後、8週後、10週後、12週後、4カ月後、5カ月後、6カ月後、7カ月後、8カ月後、9カ月後、10カ月後、11カ月後、または1年後、またはそれを上回る後に投与される。1つの態様において、サイトカインは、CAR発現細胞に対する対象の反応の評価後に投与される。例えば、対象には、CAR発現細胞が、本明細書に記載の投与量およびレジメンに従って投与される。CAR発現細胞療法に対する対象の反応は、腫瘍増殖の阻害、流血中腫瘍細胞の減少、または腫瘍退縮を含む、本明細書に記載の方法のいずれかを用いて、CAR発現細胞の投与から少なくとも2週後、3週後、4週後、6週後、8週後、10週後、12週後、4カ月後、5カ月後、6カ月後、7カ月後、8カ月後、9カ月後、10カ月後、11カ月後、または1年後、またはそれを上回る後に評価される。CAR発現細胞療法に対して十分な反応を示さない対象に対して、サイトカインを投与することができる。CAR発現細胞療法に対する反応が最適未満である対象に対するサイトカンの投与は、CAR発現細胞の有効性または抗癌活性を向上させる。1つの好ましい態様において、CAR発現細胞の投与後に投与されるサイトカインは、IL-7である。
mTOR阻害薬の不十分な免疫強化性用量との組み合わせ
本明細書に記載の方法には、RAD001などのラパログを含む、mTOR阻害薬、例えば、アロステリックmTOR阻害薬の不十分な免疫強化性用量を用いる。mTOR阻害薬の不十分な免疫強化性用量(例えば、免疫系を完全に抑制するには不十分であるが、免疫機能を向上させるには十分な用量)の投与により、対象における、免疫エフェクター細胞、例えばT細胞またはCAR発現細胞の性能を最適化することができる。mTOR阻害を測定するための方法、投与量、治療レジメンおよび適した薬学的組成物は、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許出願第2015/01240036号に記載されている。
1つの態様において、mTOR阻害薬の不十分な免疫強化性用量の投与は、以下のうち1つまたは複数をもたらしうる:
(i)PD-1陽性免疫エフェクター細胞の数の減少;
(ii)PD-1陰性免疫エフェクター細胞の数の増加;
(iii)PD-1陰性免疫エフェクター細胞/PD-1陽性免疫エフェクター細胞の比の増大;
(iv)ナイーブT細胞の数の増加;
(v)例えば、メモリーT細胞、例えば、メモリーT細胞前駆体上での、以下のうち1つまたは複数のマーカーの発現の増加:CD62Lhigh、CD127high、CD27+、およびBCL2;
(vi)例えば、メモリーT細胞上、例えば、メモリーT細胞前駆体上でのKLRG1の発現の減少;または
(vii)メモリーT細胞前駆体、例えば、以下の特徴のいずれか1つまたは組み合わせを有する細胞の数の増加:CD62Lhighの増加、CD127highの増加、CD27+の増加+、KLRG1の減少、およびBCL2の増加;
ここで前記のいずれか、例えば、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)または(vii)は、例えば、未治療対象と比較して、例えば、少なくとも一過性に起こる。
もう1つの態様において、mTOR阻害薬の不十分な免疫強化性用量の投与は、例えば、非処置CAR発現細胞または未治療対象と比較して、例えば、培養物または対象における、CAR発現細胞の増殖または存続性の増大または延長をもたらす。複数の態様において、増殖の増大は、CAR発現細胞の数の増加を伴う。増殖の増大または延長を測定するための方法は、実施例8および9に記載されている。もう1つの態様において、mTOR阻害薬の不十分な免疫強化性用量の投与は、例えば、非処置CAR発現細胞または未治療対象と比較して、例えば、培養物または対象における、CAR発現細胞による癌細胞の死滅の増加をもたらす。複数の態様において、癌細胞の死滅の増加は、腫瘍体積の減少を伴う。
1つの態様において、CAR分子、例えば本明細書に記載のCAR分子を発現する細胞は、mTOR阻害薬、例えば、アロステリックmTOR阻害薬、例えば、RAD001、または触媒性mTOR阻害薬の不十分な免疫強化性用量と組み合わせて投与される。例えば、mTOR阻害薬の不十分な免疫強化性用量の投与は、本明細書に記載のCAR発現細胞の投与の前に開始すること;本明細書に記載のCAR発現細胞の投与の前に完了すること;本明細書に記載のCAR発現細胞の投与と同時に開始すること;本明細書に記載のCAR発現細胞の投与と一部が重なり合うこと;または本明細書に記載のCAR発現細胞の投与後に継続することができる。
代替的または追加的に、mTOR阻害薬の不十分な免疫強化性用量の投与により、本明細書に記載のCAR分子を発現するように操作しようとする免疫エフェクター細胞を最適化することができる。そのような態様において、mTOR阻害薬、例えば、アロステリック阻害薬、例えば、RAD001、または触媒性阻害薬の不十分な免疫強化性用量の投与は、本明細書に記載のCAR分子を発現するように操作しようとする免疫エフェクター細胞、例えばT細胞またはNK細胞を対象から採取する前に開始されるか、または完了する。
もう1つの態様において、例えば、対象からの採取後の、本明細書に記載のCAR分子を発現するように操作しようとする免疫エフェクター細胞、例えばT細胞もしくはNK細胞、または例えば、対象に対する投与の前の、CARを発現する免疫エフェクター細胞、例えばT細胞またはNK細胞を、mTOR阻害薬の不十分な免疫強化性用量の存在下で培養することができる。
1つの態様において、対象に対するmTOR阻害薬の不十分な免疫強化性用量の投与は、例えば、週に1回、例えば、即時放出剤形で、0.1〜20mg、0.5〜10mg、2.5〜7.5mg、3〜6mg、または約5mgのRAD001、またはその生物学的に同等な用量を投与することを含む。1つの態様において、対象に対するmTOR阻害薬の不十分な免疫強化性用量の投与は、例えば、週に1回、例えば、持続放出剤形で、0.3〜60mg、1.5〜30mg、7.5〜22.5mg、9〜18mg、または約15mgのRAD001、またはその生物学的に同等な用量を投与することを含む。
1つの態様において、mTOR阻害薬の用量は、少なくとも5%であるが90%を上回らない、少なくとも10%であるが90%を上回らない、少なくとも15%であるが90%を上回らない、少なくとも20%であるが90%を上回らない、少なくとも30%であるが90%を上回らない、少なくとも40%であるが90%を上回らない、少なくとも50%であるが90%を上回らない、少なくとも60%であるが90%を上回らない、少なくとも70%であるが90%を上回らない、少なくとも5%であるが80%を上回らない、少なくとも10%であるが80%を上回らない、少なくとも15%であるが80%を上回らない、少なくとも20%であるが80%を上回らない、少なくとも30%であるが80%を上回らない、少なくとも40%であるが80%を上回らない、少なくとも50%であるが80%を上回らない、少なくとも60%であるが80%を上回らない、少なくとも5%であるが70%を上回らない、少なくとも10%であるが70%を上回らない、少なくとも15%であるが70%を上回らない、少なくとも20%であるが70%を上回らない、少なくとも30%であるが70%を上回らない、少なくとも40%であるが70%を上回らない、少なくとも50%であるが70%を上回らない、少なくとも5%であるが60%を上回らない、少なくとも10%であるが60%を上回らない、少なくとも15%であるが60%を上回らない、少なくとも20%であるが60%を上回らない、少なくとも30%であるが60%を上回らない、少なくとも40%であるが60%を上回らない、少なくとも5%であるが50%を上回らない、少なくとも10%であるが50%を上回らない、少なくとも15%であるが50%を上回らない、少なくとも20%であるが50%を上回らない、少なくとも30%であるが50%を上回らない、少なくとも40%であるが50%を上回らない、少なくとも5%であるが40%を上回らない、少なくとも10%であるが40%を上回らない、少なくとも15%であるが40%を上回らない、少なくとも20%であるが40%を上回らない、少なくとも30%であるが40%を上回らない、少なくとも35%であるが40%を上回らない、少なくとも5%であるが30%を上回らない、少なくとも10%であるが30%を上回らない、少なくとも15%であるが30%を上回らない、少なくとも20%であるが30%を上回らない、または少なくとも25%であるが30%を上回らない、mTOR阻害に関連するか、またはそれをもたらす。
mTOR阻害の程度は、P70 S6キナーゼ阻害の程度として表すことができ、またはそれに対応しており、例えば、mTOR阻害の程度は、P70 S6キナーゼ活性の低下のレベルによって、例えば、P70 S6キナーゼ基質のリン酸化の減少によって決定することができる。mTOR阻害のレベルは、参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願第2015/01240036号に記載されたような、もしくは参照により本明細書に組み入れられる米国特許第7,727,950号に記載されたような、BoulayアッセイによってP70 S6キナーゼ活性を測定すること;リン酸化S6のレベルをウエスタンブロット法によって測定すること;またはPD1陰性免疫エフェクター細胞とPD1陽性免疫エフェクター細胞との比の変化を評価することといった、さまざまな方法によって評価することができる。
本明細書で用いる場合、「mTOR阻害薬」という用語は、細胞内のmTORキナーゼを阻害する化合物もしくはリガンド、またはそれらの薬学的に許容される塩のことを指す。1つの態様において、mTOR阻害薬はアロステリック阻害薬である。アロステリックmTOR阻害薬には、中性三環式化合物ラパマイシン(シロリムス)、例えば、ラパマイシン誘導体、ラパマイシン類似体(ラパログとも称される)を含む、ラパマイシンに対する構造的および機能的な類似性を有する化合物であるラパマイシン関連化合物、ならびにmTOR活性を阻害する他のマクロライド化合物が含まれる。1つの態様において、mTOR阻害薬は触媒性阻害薬である。
ラパマイシンは、式Aに示された構造を有する、ストレプトマイセス・ハイグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)によって産生される公知のマクロライド系抗生物質である。
例えば、McAlpine, J.B., et al., J. Antibiotics (1991) 44: 688;Schreiber, S.L., et al., J. Am. Chem. Soc. (1991) 113: 7433;米国特許第3,929,992号を参照されたい。ラパマイシンに対してはさまざまな番号付けスキームが提唱されている。混乱を避けるために、特定のラパマイシン類似体を本明細書において名付ける場合には、式Aの番号付けスキームを用いるラパマイシンを参照して名称を与える。
本発明において有用なラパマイシン類似体には、例えば、ラパマイシンのシクロヘキシル環上のヒドロキシル基がOR1によって置き換えられているO-置換類似体;例えば、その内容が参照により組み入れられるUS 5,665,772号およびWO 94/09010号に記載されたような、エベロリムスとしても知られるRAD001があり、ここでR1はヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシアルキル、アシルアミノアルキル、またはアミノアルキルである。他の適したラパマイシン類似体には、26位または28位が置換されたものが含まれる。ラパマイシン類似体は、上述した類似体のエピマー、特に、例えば、その内容が参照により組み入れられるUS 6,015,815号、WO 95/14023号およびWO 99/15530号に記載されたような40位、28位または26位が置換され、任意でさらに水素付加された類似体のエピマー、例えば、その内容が参照により組み入れられるUS 7,091,213号、WO 98/02441号およびWO 01/14387号に記載されたような、ゾタロリムスまたはラパマイシン類似体としても知られるABT578、例えば、リダフォロリムスとしても知られるAP23573であってよい。
US 5,665,772号による、本発明における使用に適するラパマイシン類似体の例には、40-O-ベンジル-ラパマイシン、40-O-(4'-ヒドロキシメチル)ベンジル-ラパマイシン、40-O-[4'-(1,2-ジヒドロキシエチル)]ベンジル-ラパマイシン、40-O-アリル-ラパマイシン、40-O-[3'-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4(S)-イル)-プロプ-2'-エン-1'-イル]-ラパマイシン、(2'E,4'S)-40-O-(4',5'-ジヒドロキシペント-2'-エン-1'-イル)-ラパマイシン、40-O-(2-ヒドロキシ)エトキシカルボニルメチル-ラパマイシン、40-O-(2-ヒドロキシ)エチル-ラパマイシン、40-O-(3-ヒドロキシ)プロピル-ラパマイシン、40-O-(6-ヒドロキシ)ヘキシル-ラパマイシン、40-O-[2-(2-ヒドロキシ)エトキシ]エチル-ラパマイシン、40-O-[(3S)-2,2-ジメチルジオキソラン-3-イル]メチル-ラパマイシン、40-O-[(2S)-2,3-ジヒドロキシプロプ-1-イル]-ラパマイシン、40-O-(2-アセトキシ)エチル-ラパマイシン、40-O-(2-ニコチノイルオキシ)エチル-ラパマイシン、40-O-[2-(N-モルホリノ)アセトキシ]エチル-ラパマイシン、40-O-(2-N-イミダゾリルアセトキシ)エチル-ラパマイシン、40-O-[2-(N-メチル-N'-ピペラジニル)アセトキシ]エチル-ラパマイシン、39-O-デスメチル-39,40-O,O-エチレン-ラパマイシン、(26R)-26-ジヒドロ-40-O-(2-ヒドロキシ)エチル-ラパマイシン、40-O-(2-アミノエチル)-ラパマイシン、40-O-(2-アセトアミノエチル)-ラパマイシン、40-O-(2-ニコチンアミドエチル)-ラパマイシン、40-O-(2-(N-メチル-イミダゾ-2'-イルカルベトキサミド)エチル)-ラパマイシン、40-O-(2-エトキシカルボニルアミノエチル)-ラパマイシン、40-O-(2-トシルスルホンアミドエチル)-ラパマイシンおよび40-O-[2-(4',5'-ジカルボエトキシ-1',2',3'-トリアゾール-1'-イル)-エチル]-ラパマイシンが非限定的に含まれる。
本発明において有用な他のラパマイシン類似体には、ラパマイシンのシクロヘキシル環上のヒドロキシル基および/または28位のヒドロキシ基がヒドロキシエステル基によって置き換えられた類似体があり、例えば、US RE44,768号に見られるラパマイシン類似体、例えば、テムシロリムスロリムスが知られている。
本発明において有用な他のラパマイシン類似体には、16位のメトキシ基が別の置換基、好ましくは(ヒドロキシで置換されてもよい)アルキニルオキシ、ベンジル、オルトメトキシベンジルもしくはクロロベンジルによって置き換えられたもの、および/または、例えば、その内容が参照により組み入れられるWO 95/16691号およびWO 96/41807号に記載されたように、39位のメトキシ基が39番炭素とともに欠失しており、そのためにラパマイシンのシクロヘキシル環が、39位のメチオキシ基を欠くシクロペンチル環になっているものが含まれる。ラパマイシンの40位のヒドロキシがアルキル化され、かつ/または32-カルボニルが還元されるように、類似体をさらに改変することができる。
WO 95/16691号によるラパマイシン類似体には、16-デメトキシ-16-(ペント-2-イニル)オキシ-ラパマイシン、16-デメトキシ-16-(ブタ-2-イニル)オキシ-ラパマイシン、16-デメトキシ-16-(プロパルギル)オキシ-ラパマイシン、16-デメトキシ-16-(4-ヒドロキシ-ブタ-2-イニル)オキシ-ラパマイシン、16-デメトキシ-16-ベンジルオキシ-40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン、16-デメトキシ-16-ベンジルオキシ-ラパマイシン、16-デメトキシ-16-オルト-メトキシベンジル-ラパマイシン、16-デメトキシ-40-O-(2-メトキシエチル)-16-ペント-2-イニル)オキシ-ラパマイシン、39-デメトキシ-40-デスオキシ-39-ホルミル-42-ノル-ラパマイシン、39-デメトキシ-40-デスオキシ-39-ヒドロキシメチル-42-ノル-ラパマイシン、39-デメトキシ-40-デスオキシ-39-カルボキシ-42-ノル-ラパマイシン、39-デメトキシ-40-デスオキシ-39-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)カルボニル-42-ノル-ラパマイシン、39-デメトキシ-40-デスオキシ-39-(モルホリン-4-イル)カルボニル-42-ノル-ラパマイシン、39-デメトキシ-40-デスオキシ-39-[N-メチル,N-(2-ピリジン-2-イル-エチル)]カルバモイル-42-ノル-ラパマイシン、および39-デメトキシ-40-デスオキシ-39-(p-トルエンスルホニルヒドラゾノメチル)-42-ノル-ラパマイシンが非限定的に含まれる。
WO 96/41807号によるラパマイシン類似体には、32-デオキソ-ラパマイシン、16-O-ペント-2-イニル-32-デオキソ-ラパマイシン、16-O-ペント-2-イニル-32-デオキソ-40-O-(2-ヒドロキシ-エチル)-ラパマイシン、16-O-ペント-2-イニル-32-(S)-ジヒドロ-40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン、32(S)-ジヒドロ-40-O-(2-メトキシ)エチル-ラパマイシン、および32(S)-ジヒドロ-40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシンが非限定的に含まれる。
もう1つの適したラパマイシン類似体は、その内容が参照により組み入れられるUS2005/0101624号に記載されたようなウミロリムスである。
別名エベロリムス(アフィニトール(Afinitor)(登録商標))としても知られるRAD001は、それぞれの内容が参照により組み入れられるUS 5,665,772およびWO 94/09010号に記載されたように、化学名(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R,23S,24E,26E,28E,30S,32S,35R)-1,18-ジヒドロキシ-12-{(1R)-2-[(1S,3R,4R)-4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メトキシシクロヘキシル]-1-メチルエチル}-19,30-ジメトキシ-15,17,21,23,29,35-ヘキサメチル-11,36-ジオキサ-4-アザ-トリシクロ[30.3.1.04,9]ヘキサトリアコンタ-16,24,26,28-テトラエン-2,3,10,14,20-ペンタオンを有する。
アロステリックmTOR阻害薬のさらなる例には、シロリムス(ラパマイシン、AY-22989)、40-[3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロパノエート]-ラパマイシン(テムシロリムスロリムスまたはCCI-779とも呼ばれる)およびリダフォロリムス(AP-23573/MK-8669)が含まれる。アロステリックmTor阻害薬の他の例には、ゾタロリムス(ABT578)およびウミロリムスが含まれる。
代替的または追加的に、触媒性でATP競合性のmTOR阻害薬は、mTORキナーゼドメインを直接的に標的とし、mTORC1およびmTORC2の両方を標的とすることが見いだされている。これらはまた、ラパマイシンのようなアロステリックmTOR阻害薬よりも有効なmTORC1の阻害薬であるが、これはそれらが、4EBP1-T37/46リン酸化およびキャップ依存性翻訳といった、ラパマイシン耐性mTORC1による結果をモジュレートするためである。
触媒性阻害薬には、以下が含まれる:BEZ235または2-メチル-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-8-キノリン-3-イル-2,3-ジヒドロ-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)-フェニル]-プロピオニトリル、またはモノトシル酸塩形態。BEZ235の合成は、WO 2006/122806号に記載されている;化学名{5-[2,4-bis-((S)-3-メチル-モルホリン-4-イル)-ピリド[2,3d]ピリミジン-7-イル]-2-メトキシ-フェニル}-メタノール;3-[2,4-bis[(3S)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-イル]-N-メチルベンズアミド(WO 09104019)を有する、CCG168(別名AZD-8055としても知られる、Chresta, C.M., et al., Cancer Res, 2010, 70(1), 288-298);3-(2-アミノベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)-1-イソプロピル-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(WO 10051043号およびWO 2013023184号);N-(3-(N-(3-((3,5-ジメトキシフェニル)アミノ)キノキサリン-2-イル)スルファモイル)フェニル)-3-メトキシ-4-メチルベンズアミド(WO 07044729号およびWO 12006552号);化学名1-[4-[4-(ジメチルアミノ)ピペリジン-1-カルボニル]フェニル]-3-[4-(4,6-diモルホリノ-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]尿素を有する、PKI-587(Venkatesan, A.M., J. Med.Chem., 2010, 53, 2636-2645);化学名2,4-ジフルオロ-N-{2-メトキシ-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミドを有する、GSK-2126458(ACS Med. Chem. Lett., 2010, 1, 39-43);5-(9-イソプロピル-8-メチル-2-モルホリノ-9H-プリン-6-イル)ピリミジン-2-アミン(WO 10114484号);(E)-N-(8-(6-アミノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-1-(6-(2-シアノプロパン-2-イル)ピリジン-3-イル)-3-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-2(3H)-イリデン)シアナミド(WO 12007926号)。
触媒性mTOR阻害薬のさらなる例には、8-(6-メトキシ-ピリジン-3-イル)-3-メチル-1-(4-ピペラジン-1-イル-3-トリフルオロメチル-フェニル)-1,3-ジヒドロ-イミダゾ[4,5-c]キノリン-2-オン(WO 2006/122806号)およびKu-0063794(Garcia-Martinez JM, et al.,Biochem J., 2009, 421(1), 29-42.が含まれる。Ku-0063794は、ラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)の特異的阻害薬である。WYE-354は、触媒性mTor阻害薬のもう1つの例である(Yu K, et al. (2009). Biochemical, Cellular, and In vivo Activity of Novel ATP-Competitive and Selective Inhibitors of the Mammalian Target of Rapamycin. Cancer Res. 69(15): 6232-6240)。
また、本発明による有用なmTOR阻害薬には、前記のいずれかのプロドラッグ、誘導体、薬学的に許容される塩、または類似体も含まれる。
RAD001などのmTOR阻害薬は、本明細書に記載の特定の投与量に基づき、当技術分野において十分に確立された方法に基づいて、送達用に製剤化することができる。特に、米国特許第6,004,973号(参照により本明細書に組み入れられる)は、本明細書に記載のmTOR阻害薬とともに用いうる製剤の例を提供している。
CAR有効性または試料適合性を評価するための方法およびバイオマーカー
もう1つの局面において、本発明は、対象(例えば、癌、例えば血液癌を有する対象)におけるCAR発現細胞療法(例えば、GFRα4 CAR療法)の有効性、または、CAR療法(例えば、GFRα4 CAR療法)のための試料(例えば、アフェレーシス試料)の適合性を評価またはモニターする方法を特徴とする。本方法は、CAR療法に対する有効性または試料適合性の値を取得する段階を含み、ここで前記値は、CAR発現細胞療法の有効性または適合性を指し示す。
複数の態様において、CAR療法に対する有効性または試料適合性の値は、以下のうち1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つの、またはそれを上回る(すべての)尺度を含む:
(i)試料(例えば、アフェレーシス試料、または製造されたCAR発現細胞製品の試料)における、休止TEFF細胞、休止TREG細胞、より若齢のT細胞(例えば、若齢CD4細胞またはCD8細胞、またはγ/δ T細胞)もしくは初期メモリーT細胞、またはそれらの組み合わせのうち1つ、2つ、3つの、またはそれを上回る(例えば、すべての)レベルまたは活性;
(ii)試料(例えば、アフェレーシス試料または製造されたCAR発現細胞製品試料)における、活性化TEFF細胞、活性化TREG細胞、より齢数の長いT細胞(例えば、より齢数の長いCD4細胞またはCD8細胞)もしくは後期メモリーT細胞、またはそれらの組み合わせのうち1つ、2つ、3つの、またはそれを上回る(例えば、すべての)レベルまたは活性;
(iii)試料(例えば、アフェレーシス試料または製造されたCAR発現細胞製品試料)における、免疫細胞消耗マーカー、例えば、1つ、2つまたはそれを上回る免疫チェックポイント阻害因子(例えば、PD-1、PD-L1、TIM-3および/またはLAG-3)のレベルまたは活性。1つの態様において、免疫細胞は、消耗した表現型を有し、例えば、少なくとも2つの消耗マーカーを共発現し、例えば、PD-1およびTIM-3を共発現する。他の態様において、免疫細胞は消耗した表現型を有し、例えば、少なくとも2つの消耗マーカーを共発現し、例えば、PD-1およびLAG-3を共発現する;
(iv)試料(例えば、アフェレーシス試料または製造されたCAR発現細胞製品試料)における、例えば、CD4+またはCD8+ T細胞集団における、CD27および/またはCD45RO-(例えば、CD27+ CD45RO-)免疫エフェクター細胞のレベルまたは活性;
(v)CCL20、IL-17aおよび/またはIL-6、PD-1、PD-L1、LAG-3、TIM-3、CD57、CD27、CD122、CD62L、KLRG1から選択されるバイオマーカーのうち1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、10、20またはそれ以上のレベルまたは活性;
(vi)CAR発現細胞製品試料、例えば、GFRα4発現細胞製品試料における、サイトカインのレベルまたは活性(例えば、サイトカインレパートリーの質);または
(vii)製造されたCAR発現細胞製品試料におけるCAR発現細胞の形質導入効率。
本明細書において開示される方法のいずれかのいくつかの態様において、CAR発現細胞療法は、複数(例えば、集団)のCARを発現する免疫エフェクター細胞、例えば、複数(例えば、集団)のT細胞またはNK細胞、またはそれらの組み合わせを含む。1つの態様において、CAR発現細胞療法はGFRα4 CAR療法である。
本明細書において開示される方法のいずれかのいくつかの態様において、(i)〜(vii)のうち1つまたは複数の尺度は、対象から取得したアフェレーシス試料から得られる。アフェレーシス試料を、注入または再注入の前に評価することができる。
本明細書において開示される方法のいずれかのいくつかの態様において、(i)〜(vii)のうち1つまたは複数の尺度は、製造されたCAR発現細胞製品の試料、例えば、GFRα4 CAR発現細胞製品の試料から得られる。製造されたCAR発現細胞製品を、注入または再注入の前に評価することができる。
本明細書において開示される方法のいずれかのいくつかの態様において、対象は、CAR発現細胞療法を受ける前、その最中、またはその後に評価される。
本明細書において開示される方法のいずれかのいくつかの態様において、(i)〜(vii)のうち1つまたは複数の尺度は、遺伝子発現、フローサイトメトリーまたはタンパク質発現のうちの1つまたは複数に関するプロフィールを評価する。
本明細書において開示される方法のいずれかのいくつかの態様において、本方法は、(i)〜(vii)のうち1つまたは複数の尺度に基づいて、対象を奏効例、非奏効例、再発例または非再発例として同定する段階をさらに含む。
本明細書において開示される方法のいずれかのいくつかの態様において、奏効例(例えば、完全奏効例)は、GZMK、PPF1BP2、またはナイーブT細胞のうち1つ、2つまたはそれ以上(すべて)が、非奏効例と比較して、上回るレベルまたは活性を有するか、またはそれを有すると同定される。
本明細書において開示される方法のいずれかのいくつかの態様において、非奏効例は、IL22、IL-2RA、IL-21、IRF8、IL8、CCL17、CCL22、エフェクターT細胞または調節性T細胞のうち1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたはそれ以上(例えば、すべて)が、奏効例と比較して、上回るレベルまたは活性を有するか、またはそれを有すると同定される。
1つの態様において、再発例は、非再発例と比較して、以下の遺伝子:MIR199A1、MIR1203、uc021ovp、ITM2CおよびHLA-DQB1のうち1つまたは複数(例えば、2つ、3つ、4つまたはすべて)の発現のレベルが増大しているか、または増大していると同定された患者、および/または、非再発例と比較して、以下の遺伝子:PPIAL4D、TTTY10、TXLNG2P、MIR4650-1、KDM5D、USP9Y、PRKY、RPS4Y2、RPS4Y1、NCRNA00185、SULT1E1、およびEIF1AYのうち1つまたは複数(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11またはすべて)の発現のレベルが低下している、または低下していると同定された患者である。
本明細書において開示される方法のいずれかのいくつかの態様において、完全奏効例は、参照値、例えば、CD8+ T細胞の非奏効例でのパーセンテージと比較して、CD8+ T細胞のパーセンテージが上回る、例えば、統計学的に有意に上回るか、または上回ると同定される。
本明細書において開示される方法のいずれかのいくつかの態様において、完全奏効例は、参照値、例えば、CD27+ CD45RO-免疫エフェクター細胞の非奏効例での数と比較して、例えば、CD8+集団における、CD27+ CD45RO-免疫エフェクター細胞のパーセンテージが上回るか、または上回ると同定される。
本明細書において開示される方法のいずれかのいくつかの態様において、完全奏効例または部分的奏効例は、参照値、例えば、CD4+ T細胞の非奏効例でのパーセンテージと比較して、CD4+ T細胞のパーセンテージが上回る、例えば、統計学的に有意に上回るか、または上回ると同定される。
本明細書において開示される方法のいずれかのいくつかの態様において、完全奏効例は、参照値、例えば、休止TEFF細胞、休止TREG細胞、若齢T細胞(例えば、若齢CD4細胞またはCD8細胞)、または初期メモリーT細胞の非奏効例での数と比較して、休止TEFF細胞、休止TREG細胞、若齢T細胞(例えば、若齢CD4細胞またはCD8細胞またはγ/δ T細胞)、もしくは初期メモリーT細胞、またはそれらの組み合わせのうち1つ、2つ、3つまたはそれ以上(例えば、すべて)のパーセンテージが上回るか、または上回ると同定される。
本明細書において開示される方法のいずれかのいくつかの態様において、非奏効例は、参照値、例えば、活性化TEFF細胞、活性化TREG細胞、より齢数の長いT細胞(例えば、より齢数の長いCD4細胞またはCD8細胞)、または後期メモリーT細胞の奏効例での数と比較して、活性化TEFF細胞、活性化TREG細胞、より齢数の長いT細胞(例えば、より齢数の長いCD4細胞またはCD8細胞)、もしくは後期メモリーT細胞、またはそれらの組み合わせのうち1つ、2つ、3つまたは、それ以上(例えば、すべて)のパーセンテージが上回るか、または上回ると同定される。
本明細書において開示される方法のいずれかのいくつかの態様において、非奏効例は、免疫細胞消耗マーカー、例えば、1つ、2つまたはそれを上回る免疫チェックポイント阻害因子(例えば、PD-1、PD-L1、TIM-3および/またはLAG-3)のパーセンテージがより高いか、またはより高いと同定される。1つの態様において、非奏効例は、奏効例由来のPD-1またはLAG-3を発現する免疫エフェクター細胞のパーセンテージと比較して、PD-1、PD-L1またはLAG-3を発現する免疫エフェクター細胞(例えば、CD4+ T細胞および/またはCD8+ T細胞)(例えば、CARを発現するCD4+細胞および/またはCD8+ T細胞)のパーセンテージが上回るか、または上回ると同定される。
1つの態様において、非奏効例は、消耗した表現型を有する免疫細胞、例えば、少なくとも2つの消耗マーカーを共発現する、例えば、PD-1、PD-L1および/またはTIM-3を共発現する免疫細胞のパーセンテージがより高いか、またはより高いと同定される。他の態様において、非奏効例は、消耗した表現型を有する免疫細胞、例えば、少なくとも2つの消耗マーカーを共発現する、例えば、PD-1およびLAG-3を共発現する免疫細胞のパーセンテージがより高いか、またはより高いと同定される。
本明細書において開示される方法のいずれかのいくつかの態様において、非奏効例は、CAR発現細胞療法に対する奏効例(例えば、完全奏効例)と比較して、CAR発現細胞集団(例えば、GFRα4 CAR+細胞集団)におけるPD-1/PD-L1+/LAG-3+細胞のパーセンテージが上回るか、または上回ると同定される。
本明細書において開示される方法のいずれかのいくつかの態様において、部分的奏効例は、CAR発現細胞集団(例えば、GFRα4 CAR+細胞集団)におけるPD-1/PD-L1+/LAG-3+細胞のパーセンテージが、奏効例よりも高いか、またはより高いと同定される。
本明細書において開示される方法のいずれかのいくつかの態様において、非奏効例は、CAR発現細胞集団(例えば、GFRα4 CAR+細胞集団)において、PD1/PD-L1+ CAR+の消耗した表現型およびLAG3の共発現を有するか、またはそれを有すると同定される。
本明細書において開示される方法のいずれかのいくつかの態様において、非奏効例は、奏効例(例えば、完全奏効例)と比較して、CAR発現細胞集団(例えば、GFRα4 CAR+細胞集団)におけるPD-1/PD-L1+/TIM-3+細胞のパーセンテージが上回るか、または上回ると同定される。
本明細書において開示される方法のいずれかのいくつかの態様において、部分的奏効例は、CAR発現細胞集団(例えば、GFRα4 CAR+細胞集団)におけるPD-1/PD-L1+/TIM-3+細胞のパーセンテージが、奏効例よりも高いか、またはより高いと同定される。
本明細書において開示される方法のいずれかのいくつかの態様において、アフェレーシス試料におけるCD8+ CD27+ CD45RO-T細胞の存在は、CAR発現細胞療法(例えば、GFRα4 CAR療法)に対する対象の反応の正の予測因子である。
本明細書において開示される方法のいずれかのいくつかの態様において、アフェレーシス試料におけるPD1+ CAR+およびLAG3+またはTIM3+ T細胞のパーセンテージが高いことは、CAR発現細胞療法(例えば、GFRα4 CAR療法)に対する対象の反応の予後不良予測因子である。
本明細書において開示される方法のいずれかのいくつかの態様において、奏効例(例えば、完全奏効例または部分的奏効例)は、以下のプロフィールのうち1つ、2つ、3つまたはそれ以上(またはすべて)を有する:
(i)参照値、例えば、CD27+免疫エフェクター細胞の非奏効例での数と比較して、CD27+免疫エフェクター細胞の数が多い;
(ii)(i)参照値、例えば、CD8+ T細胞の非奏効例での数と比較して、CD8+ T細胞の数が多い;
(iii)参照値、例えば、1つまたは複数のチェックポイント阻害因子を発現する細胞の非奏効例での数と比較して、1つまたは複数のチェックポイント阻害因子、例えば、PD-1、PD-L1、LAG-3、TIM-3もしくはKLRG-1、または組み合わせから選択されるチェックポイント阻害因子を発現する免疫細胞の数が少ない;または
(iv)参照値、例えば、休止TEFF細胞、休止TREG細胞、ナイーブCD4細胞、非刺激メモリー細胞または初期メモリーT細胞の非奏効例での数と比較して、休止TEFF細胞、休止TREG細胞、ナイーブCD4細胞、非刺激メモリー細胞もしくは初期メモリーT細胞、またはそれらの組み合わせのうち1つ、2つ、3つ、4つまたはそれ以上(すべて)の数が多い。
本明細書において開示される方法のいずれかのいくつかの態様において、(vi)のサイトカインレベルまたは活性は、サイトカインCCL20/MIP3a、IL17A、IL6、GM-CSF、IFNγ、IL10、IL13、IL2、IL21、IL4、IL5、IL9もしくはTNFα、またはそれらの組み合わせのうち1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つまたはそれ以上(またはすべて)から選択される。サイトカインは、IL-17a、CCL20、IL2、IL6またはTNFaのうち1つ、2つ、3つ、4つまたはそれ以上(すべて)から選択することができる。1つの態様において、IL-17aおよびCCL20の一方または両方から選択されるサイトカインのレベルまたは活性の増大は、反応性の増大または再発の減少を指し示す。
本明細書において開示される方法のいずれかのいくつかの態様において、(vii)における15%またはそれを上回る形質導入効率は、反応性の増大または再発の減少を指し示す。
本明細書において開示される方法のいずれかのいくつかの態様において、(vii)における15%未満の形質導入効率は、反応性の低下または再発の増加を指し示す。
複数の態様において、本明細書における方法によって同定された奏効例、非奏効例、再発例または非再発例を、臨床基準に従ってさらに評価することができる。例えば、完全奏効例は、疾患、例えば、癌を有していて、治療に対して完全奏効、例えば、完全寛解を示す対象であるか、または示すと同定された対象である。完全奏効は、本明細書に記載するように、例えば、NCCN Guidelines(登録商標)またはCheson et al, J Clin Oncol 17:1244 (1999) and Cheson et al., "Revised Response Criteria for Malignant Lymphoma", J Clin Oncol 25:579-586 (2007)(これらは両方とも、その全体が参照により本明細書に組み入れられる)を用いて同定することができる。部分的奏効例は、疾患、例えば、癌を有していて、治療に対して部分奏効、例えば、部分寛解を示す対象であるか、または示すと同定された対象である。部分奏効は、例えば、NCCN Guidelines(登録商標)、または本明細書に記載するようなCheson基準を用いて同定することができる。非奏効例は、疾患、例えば、癌を有し、治療に対して反応を示さない対象であるか、示さないと同定された対象であり、例えば、患者では疾患が安定しているかまたは進行している。非奏効例は、例えば、NCCN Guidelines(登録商標)、または本明細書に記載するようなCheson基準を用いて同定することができる。
代替的に、または本明細書において開示される方法と組み合わせて、前記の値に応じて、以下のうち1つ、2つ、3つ、4つまたはそれ以上を行う:
例えば、奏効例または非再発例に対して、CAR発現細胞療法を施与する;
CAR発現細胞療法を投薬を変更して施与する;
CAR発現細胞療法のスケジュールまたは時間経過を変更する;
例えば、非奏効例または部分的奏効例に対して、CAR発現細胞療法と組み合わせて、追加的な作用物質、例えば、チェックポイント阻害因子、例えば、本明細書に記載のチェックポイント阻害因子を投与する;
非奏効例または部分的奏効例に対して、CAR発現細胞療法による治療の前に、対象における若齢T細胞の数を増加させる治療法を施与する;
例えば、非奏効例または部分的奏効例として同定された対象用に、CAR発現細胞療法の作製過程を改変する、例えば、CARをコードする核酸を導入する前に若齢T細胞を濃縮するか、または形質導入効率を高める;
例えば、非奏効例または部分的奏効例または再発例に対して、代替的な治療法を施与する;または
対象が非奏効例もしくは再発例であるか、またはそうであると同定された場合には、例えば、CD25枯渇、シクロホスファミドの投与、抗GITR抗体、またはそれらの組み合わせのうち1つまたは複数によって、TREG細胞集団および/またはTREG遺伝子のシグネチャーを減少させる。
ある態様において、対象は、抗GITR抗体による前治療を受ける。ある態様において、対象は注入または再注入の前に抗GITR抗体による治療を受ける。
生体高分子送達方法
いくつかの態様において、本明細書において開示されるような1つまたは複数のCAR発現細胞を、生体高分子スカフォールド、例えば、生体高分子インプラントを介して対象に投与すること、または送達することができる。生体高分子スカフォールドは、本明細書に記載のCAR発現細胞の送達、増大、および/または分散を支援するかまたは強化する。生体高分子スカフォールドは、天然性または合成性であってよい、生体適合性(例えば、炎症も免疫応答も実質的に誘導しない)かつ/または生分解性の重合体である。
適した生体高分子の例には、単独での、または他の任意の高分子組成物と組み合わせての、任意の濃度および任意の比での、寒天、アガロース、アルジネート、アルジネート/リン酸カルシウムセメント(CPC)、β-ガラクトシダーゼ(β-GAL)、(1,2,3,4,6-ペンタアセチルa-D-ガラクトース)、セルロース、キチン、キトサン、コラーゲン、エラスチン、ゼラチン、ヒアルロン酸コラーゲン、ヒドロキシアパタイト、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシ-ヘキサノエート)(PHBHHx)、ポリ(ラクチド)、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリビニルアルコール)(PVA)、絹糸、ダイズタンパク質およびダイズタンパク質分離物が非限定的に含まれる。生体高分子は、接着促進性もしくは移行促進性の分子、例えば、リンパ球のコラーゲン受容体と結合するコラーゲン模倣ペプチド、および/または送達しようとする細胞の送達、増大もしくは機能、例えば、抗癌活性を強化するための刺激分子によって増強すること、または改変することができる。生体高分子スカフォールドは、注射可能な、例えば、ゲルまたは半固体または固体の組成物であってよい。
いくつかの態様においては、本明細書に記載のCAR発現細胞を、対象に対する送達の前に、生体高分子スカフォールド上に播種する。複数の態様において、生体高分子スカフォールドは、例えば、スカフォールドの生体高分子に組み入れられるかまたはコンジュケートされた、本明細書に記載の1つもしくは複数の追加的な治療薬(例えば、別のCAR発現細胞、抗体または小分子)またはCAR発現細胞の活性を強化する作用物質をさらに含む。複数の態様において、生体高分子スカフォールドは、例えば、腫瘍内に注射されるか、または腫瘍の箇所に、もしくは抗腫瘍効果を媒介するのに十分な腫瘍の近傍に外科的に植え込まれる。生体高分子組成物のそのほかの例、およびそれらの送達のための方法は、Stephan et al., Nature Biotechnology, 2015, 33:97-101;およびWO 2014/110591号に記載されている。
薬学的組成物
本発明の薬学的組成物は、CAR発現細胞、例えば、本明細書に記載するような複数のCAR発現細胞を、1つまたは複数の薬学的または生理的に許容される担体、希釈剤または添加剤と組み合わせて含むことができる。そのような組成物は、中性緩衝食塩水、リン酸緩衝食塩水などの緩衝液;グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン、マンニトールなどの炭水化物;タンパク質;ポリペプチドまたはグリシンなどのアミノ酸;酸化防止剤;EDTAまたはグルタチオンなどのキレート剤;アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);ならびに保存剤を含みうる。本発明の組成物は、静脈内投与用に製剤化されることが好ましい。
本発明の薬学的組成物は、治療(または予防)しようとする疾患に適した様式で投与することができる。投与の数量および頻度は、患者の状態、ならびに患者の疾患の種類および重症度などの因子によって決定されるが、適切な投与量は臨床試験によって決定されうる。
1つの態様において、薬学的組成物は、例えば、エンドトキシン、マイコプラズマ、複製能のあるレンチウイルス(RCL)、p24、VSV-G核酸、HIV gag、抗CD3/抗CD28をコーティングしたビーズの残留物、マウス抗体、貯蔵ヒト血清、ウシ血清アルブミン、ウシ血清、培養培地成分、ベクターパッケージング細胞またはプラスミド成分、細菌および真菌からなる群から選択される混入物を実質的に含まず、例えば、それらが検出可能なレベルで存在しない。1つの態様において、細菌は、アルガリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、大腸菌(Escherichia coli)、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenza)、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、肺炎球菌(Streptococcus pneumonia)、およびA群レンサ球菌(Streptococcus pyogenes group A)からなる群より選択される、少なくとも1つの細菌である。
「免疫学的有効量」、「抗腫瘍的有効量」、「腫瘍阻害的有効量」または「治療量」が指示される場合、投与される本発明の組成物の正確な量は、年齢、体重、腫瘍サイズ、感染症または転移の程度、および患者(対象)の状態の個体差を考慮して、医師が決定することができる。一般に、本明細書に記載のT細胞を含む薬学的組成物は、細胞104〜109個/kg体重、好ましくは細胞105〜106個/kg体重であって、これらの範囲内のすべての整数値を含む投与量で投与することができる。また、T細胞組成物をこれらの用量で多回投与することもできる。細胞は、免疫療法において一般的に公知である輸注手法を用いることによって投与することができる(例えば、Rosenberg et al., New Eng. J. of Med. 319:1676, 1988を参照)。特定の患者に関する最適な投与量および治療レジメンは、疾患の徴候に関して患者をモニタリングして、それに応じて治療を調節することによって、医療の当業者によって容易に決定されうる。
ある態様においては、活性化されたT細胞を対象に投与し、続いてその後に血液を再び採取して(またはアフェレーシスを行って)、それ由来のT細胞を本発明に従って活性化した上で、これらの活性化および増大されたT細胞を患者に再び輸注することが望まれると考えられる。この過程を数週毎に複数回行うことができる。ある態様において、T細胞は10cc〜400ccの採取血から活性化させることができる。ある態様において、T細胞は20cc、30cc、40cc、50cc、60cc、70cc、80cc、90ccまたは100ccの採取血から再活性化される。理論に拘束されるわけではないが、この複数回の採血/複数回の再輸注プロトコールを用いることは、T細胞のある特定の集団を選別する可能性がある。
本組成物の投与は、エアゾール吸引、注射、経口摂取、輸液、植え付けまたは移植を含む、任意の好都合な様式で実施することができる。本明細書に記載された組成物は、患者に対して、経動脈、皮下、皮内、腫瘍内、結節内、髄内、筋肉内、静脈内(i.v.)注射により、または腹腔内に投与することができる。1つの態様において、本発明のT細胞組成物は、患者に対して、皮内注射または皮下注射によって投与される。もう1つの態様において、本発明のT細胞組成物は、好ましくは静脈内注射によって投与される。T細胞の組成物を腫瘍内、リンパ節内または感染部位に直接注射してもよい。
本発明のある態様においては、本明細書に記載の方法、またはT細胞を治療的レベルまで増大させることが当技術分野において公知である他の方法を用いて活性化および増大された細胞を、MS患者に対する抗ウイルス療法、シドホビルおよびインターロイキン-2、シタラビン(ARA-Cとしても公知)もしくはナタリズマブ治療、乾癬患者に対するエファリズマブ治療、またはPML患者に対する他の治療などの薬剤による治療を非限定的に含む、任意のさまざまな妥当な治療様式とともに(例えば、前に、同時に、または後に)患者に投与する。さらなる態様において、本発明のT細胞を、化学療法、放射線照射、免疫抑制剤、例えばシクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノレートおよびFK506など、抗体、またはCAMPATHなどの他の免疫除去薬、抗CD3抗体または他の抗体療法、サイトキシン、フルダリビン、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228、サイトカイン、および照射と組み合わせて用いてもよい。これらの薬物は、カルシウム依存型ホスファターゼのカルシニューリンを阻害するか(シクロスポリンおよびFK506)、または増殖因子が誘導したシグナル伝達に重要であるp70S6キナーゼを阻害する(ラパマイシン)かのいずれかである(Liu et al., Cell, 66:807-815, 1991;Henderson et al., Immun., 73:316-321, 1991;Bierer et al., Curr. Opin. Immun. 5:763-773, 1993)。1つのさらなる態様において、本発明の細胞組成物は、骨髄移植、フルダラビンなどの化学療法薬、外部ビーム照射(XRT)、シクロホスファミド、またはOKT3もしくはCAMPATHなどの抗体のいずれかを用いるT細胞除去療法と組み合わせて(例えば、その前、同時またはその後に)、患者に投与される。もう1つの態様において、本発明の細胞組成物は、CD20と反応する薬剤、例えばリツキサンなどによるB細胞除去療法の後に投与される。例えば、1つの態様において、対象は、高用量の化学療法薬に続いて末梢血幹細胞移植を行う標準治療を受けることができる。ある態様においては、移植後に、対象は本発明の増大された免疫細胞の輸注を受ける。1つの追加的な態様において、増大された細胞は、手術の前または後に投与される。
患者に投与される上記の治療の投与量は、治療される病状および治療のレシピエントの正確な性質に応じて異なると考えられる。ヒトへの投与のための投与量の増減は、当技術分野において確立している習慣に従って行うことができる。例えば、CAMPATHの用量は、一般に成人患者については1〜約100mgの範囲であり、通常は1〜30日の期間にわたって毎日投与される。好ましい1日量は1日当たり1〜10mgであるが、場合によっては、1日当たり最大40mgまでのより多くの用量を用いることもできる(米国特許第6,120,766号に記載)。
1つの特定の例示的な局面において、対象はロイコフェレーシスを受けてもよく、ここで関心対象の細胞、例えば、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)を選択および/または単離するために、白血球をエクスビボで収集するか、濃縮するか、または枯渇させる。これらの免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)分離物を、当技術分野において公知の方法によって増大させ、本発明の1つまたは複数のCAR構築物が導入され、それによって本発明のCAR発現細胞(例えば、CAR T細胞またはCAR発現NK細胞)が作り出されるように処理する。それを必要とする対象は、その後、高用量化学療法の後に末梢血幹細胞移植を行う標準的な治療を受けることができる。ある局面において、対象は、移植の後または移植と並行して、本発明の増大されたCAR発現細胞(例えば、CAR T細胞またはCAR発現NK細胞)の注入を受ける。1つの追加的な態様において、増大された細胞は、外科手術の前または後に投与される。
患者に投与される上記の治療の投与量は、治療される病状および治療のレシピエントの正確な性質に応じて異なると考えられる。ヒトへの投与のための投与量の増減は、当技術分野において確立している習慣に従って行うことができる。例えば、CAMPATHの用量は、一般に成人患者については1〜約100mgの範囲であり、通常は1〜30日の期間にわたって毎日投与される。好ましい1日量は1日当たり1〜10mgであるが、場合によっては、1日当たり最大40mgまでのより多くの用量を用いることもできる(米国特許第6,120,766号に記載)。
1つの態様において、CARは、例えば、インビトロ転写を用いて、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)に導入され、対象(例えば、ヒト)は、本発明のCAR発現免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)細胞の初回投与、および本発明のCAR発現免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)細胞の1回または複数回のその後の投与を受け、ここで1回または複数回のその後の投与は、前回の投与から15日未満に、例えば、14日後、13日後、12日後、11日後、10日後、9日後、8日後、7日後、6日後、5日後、4日後、3日後、または2日後に行われる。1つの態様においては、本発明のCAR発現免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)の1週間当たり複数回の投与が、対象(例えば、ヒト)に対して行われ、例えば、本発明のCAR発現免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)の1週間当たり2回、3回または4回の投与が行われる。1つの態様において、対象(例えば、ヒト対象)は、CAR発現免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)細胞の1週間当たり複数回の投与(例えば、1週間当たり2回、3回または4回の投与)(本明細書ではサイクルとも称する)を受け、その後の1週間はCAR発現免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)が投与されず、続いてCAR発現免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)の1回または複数回の追加投与(例えば、CAR発現免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)の1週間当たり複数回の投与)が対象に行われる。もう1つの態様において、対象(例えば、ヒト対象)は、CAR発現免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)の複数回のサイクルを受け、各サイクル間の期間は10日未満、9日未満、8日未満、7日未満、6日未満、5日未満、4日未満または3日未満である。1つの態様において、CAR発現免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)は、1週間当たり3回の投与として隔日に投与される。1つの態様において、本発明のCAR発現免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞)は、少なくとも2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、またはそれを上回って投与される。
1つの局面において、GFRα4 CAR発現細胞、例えば、GFRα4 CARTまたはGFRα4 CAR発現NK細胞は、レンチウイルスなどのレンチウイルスウイルスベクターを用いて作製される。そのようにして作製されたCAR発現細胞、例えば、GFRα4 CARTまたはCAR発現NK細胞は、安定したCAR発現を有すると考えられる。
1つの局面において、CAR発現細胞、例えば、CARTまたはCAR発現NK細胞は、ガンマレトロウイルスベクター、例えば、本明細書に記載のガンマレトロウイルスベクターなどのウイルスベクターを用いて作製される。これらのベクターを用いて作製されたCAR発現細胞、例えば、CARTまたはCAR発現NK細胞は、安定したCAR発現を有しうる。
1つの局面において、CAR発現細胞、例えば、CARTまたはCAR発現NK細胞は、形質導入から4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間にわたって、CARベクターを一過性に発現する。CARの一過性発現は、RNA CARベクター送達によって生じさせることができる。1つの局面において、CAR RNAはエレクトロポレーションによってT細胞に形質導入される。
一過性に発現するCAR発現細胞、例えば、CARTまたはCAR発現NK細胞(特にマウスscFvを保有するCART)を用いて治療された患者に起こる可能性のある問題は、複数回の治療後のアナフィラキシーである。
この理論には拘束されないが、そのようなアナフィラキシー反応は、体液性抗CAR応答、すなわち、抗IgEアイソタイプを有する抗CAR抗体を生じた患者によって引き起こされた可能性があると考えられている。抗原への曝露に10〜14日間中断がある場合に、患者の抗体産生細胞がIgGアイソタイプ(アナフィラキシーを引き起こさない)からIgEアイソタイプへのクラススイッチを起こすと考えられる。
患者が、一過性CAR療法の経過中に抗CAR抗体応答(RNA形質導入によって生じるものなど)を生じるリスクが高い場合には、CART注入の中断が10〜14日間を上回って継続すべきではない。
診断方法
もう1つの局面において、本発明は、本発明の抗体を用いて被験試料中のGFRα4タンパク質を検出することによって、癌などの疾患を診断する方法を提供する。GFRα4は正常甲状腺組織に存在することから、この方法は、患者が非甲状腺組織においてGFRα4を発現するか、または甲状腺摘除術を既に受けている場合に有用である。
本明細書において用いられる検出は、定量的検出および非定量的検出を含む。非定量的検出は、例えば、単にGFRα4タンパク質が存在するか否かの判定、特定の量またはそれを上回る量のGFRα4タンパク質が存在するか否かの判定、GFRα4タンパク質の量と別の試料(例えば、対照試料)との比較のための判定を含む。定量的検出は、GFRα4タンパク質の濃度の測定、GFRα4タンパク質の量の測定を含む。
被験試料は、それがGFRα4タンパク質を含有する可能性のある試料である限り、特に限定されない。被験試料の具体的な例には、甲状腺からの生検試料、髄様甲状腺、血液、血清および/または血漿からの生検試料が含まれる。加えて、生体の身体から収集した細胞の培養溶液などの被験試料から得られた試料も、本発明の被験試料に含まれる。
診断しようとする癌は、好ましくは、甲状腺髄様癌(MTC)に限定される。甲状腺乳頭癌、濾胞性甲状腺癌、および組織非形成性甲状腺癌などの他の甲状腺癌も、診断しうる可能性がある。
検出しようとするGFRα4は特に限定されず、完全長GFRα4(すなわち、GFRa4アイソフォーム「a」および/またはGFRa4アイソフォーム「b」)またはそれらのフラグメントのいずれであってもよい。GFRα4のフラグメントを検出する場合には、それはN末端フラグメントまたはC末端フラグメントであってよい。
被験試料中に含まれるGFRα4タンパク質を検出する方法は特に限定されないが、検出は、好ましくは抗GFRα4抗体の使用を伴う免疫学的方法によって行われる。免疫学的方法の例には、例えば、ラジオイムノアッセイ、酵素イムノアッセイ、蛍光イムノアッセイ、発光イムノアッセイ、免疫沈降、比濁イムノアッセイが含まれる。好ましいのは酵素イムノアッセイであり、特に好ましいのは酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)(例えば、サンドイッチELISA)である。ELISAなどの上述の免疫学的方法は、当業者に公知の方法によって実施することができる。
抗GFRα4抗体の使用を伴う一般的な検出方法は、抗GFRα4抗体を支持体上に固定化する段階、被験試料をそれに添加する段階、抗GFRα4抗体とGFRα4タンパク質が互いに結合しうるように支持体をインキュベートする段階、支持体を洗浄する段階、および被験試料中のGFRα4タンパク質を検出するために、抗GFRα4抗体を介して支持体に対するGFRα4タンパク質の結合を検出する段階を含む。
抗GFRα4抗体とGFRα4タンパク質との結合は一般に、緩衝液中で実施される。本発明に用いられる緩衝液には、例えば、リン酸緩衝液、Tris緩衝液が含まれる。インキュベーションは、当技術分野において一般に使用される条件下で、例えば、4℃〜室温で1時間〜24時間にわたって実施される。インキュベーション後の洗浄は、それがGFRα4タンパク質と抗GFRα4抗体との結合を阻害しない限り、例えば、Tween 20などの界面活性剤を含む緩衝液を用いる、任意の方法によって実施することができる。
本発明のGFRα4タンパク質を検出する方法においては、GFRα4タンパク質に関して検査しようとする被験試料に加えて、対照試料も用意する。対照試料には、GFRα4タンパク質を含有しない陰性対照試料、およびGFRα4タンパク質を含有する陽性対照試料が含まれる。この場合には、GFRα4タンパク質を含有しない陰性対照試料で得られた結果を、GFRα4タンパク質を含有する陽性対照試料で得られた結果と比較することによって、被験試料中のGFRα4タンパク質を検出することが可能である。また、対照試料および被験試料の検出結果を数値として入手し、これらの数値を比較することによって、被験試料中に含まれるGFRα4タンパク質を定量的に検出することも可能である。
支持体に対するGFRα4タンパク質結合を抗GFRα4抗体を介して検出するための方法の1つは、検出可能な標識によって標識された抗GFRα4抗体を使用する方法である。例えば、被験試料を支持体上に固定化された抗GFRα4抗体と接触させて、支持体を洗浄し、続いてGFRα4タンパク質と特異的に結合する標識抗体の使用によってGFRα4を検出することによって、GFRα4タンパク質を検出することができる。
抗GFRα4抗体の標識は、当技術分野において公知の任意の方法によって実施することができる。当業者に公知の検出可能な標識の例には、蛍光性色素、酵素、補酵素、発光性物質または放射性物質が含まれる。具体的な例には、放射性同位体(32P、14C、125I、3H、131Iなど)、フルオレセイン、ローダミン、ダンシルクロリド、ウンベリフェロン、ルシフェラーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルコシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖オキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼ、ビオチンなどが含まれる。ビオチンを検出可能な標識として用いる場合には、ビオチン標識抗体を添加し、続いて、アルカリホスファターゼなどの酵素とコンジュゲートさせたアビジンをさらに添加することが好ましい。
具体的には、抗GFRα4抗体を含有する溶液をプレートなどの支持体に対して添加して、抗GFRα4抗体が固定化されるようにする。洗浄後に、タンパク質の非特異的結合を防ぐ目的で、プレートを、例えばBSAによってブロックする。プレートを再び洗浄し、続いて被験試料をプレートに添加する。インキュベートした後に、プレートを洗浄し、続いて標識抗GFRα4抗体を添加する。適宜インキュベートした後に、プレートを洗浄し、続いて、プレート上に残る標識抗GFRα4抗体を検出する(例えば、GFRα4 ELISAキット、mybiosource.com Product_id=939378)。タンパク質の検出は、当業者に公知の方法によって実施することができる。例えば、抗体が放射性物質によって標識されている場合には、液体シンチレーションまたはRIA法によってタンパク質を検出することができる。抗体が酵素によって標識されている場合には、基質を添加し、基質の酵素性変化を呈色として吸光度リーダーを用いて検出することによって、タンパク質を検出することができる。抗体が蛍光性物質によって標識されている場合には、蛍光光度計の使用によってタンパク質を検出することができる。
本発明のGFRα4タンパク質を検出する方法の特に好ましい態様は、ビオチンおよびアビジンによって標識された抗GFRα4抗体を用いる方法である。具体的には、抗GFRα4抗体を含有する溶液をプレートなどの支持体に対して添加して、抗GFRα4抗体がプレート上に固定化されるようにする。洗浄後に、タンパク質の非特異的結合を防ぐ目的で、プレートを、例えばBSAによってブロックする。プレートを再び洗浄し、続いて被験試料をプレートに添加する。インキュベートした後に、プレートを洗浄し、続いてビオチンで標識した抗GFRα4抗体を添加する。適宜インキュベートした後に、プレートを洗浄し、続いてアビジンとコンジュケートさせた酵素基質を添加する。続いて、基質の酵素性変化を指標とすることによって、GFRα4タンパク質を検出する。
本発明のGFRα4タンパク質を検出する方法のもう1つの態様は、GFRα4タンパク質と特異的に結合する一次抗体、および一次抗体と特異的に結合する二次抗体を用いる方法である。例えば、被験試料を、支持体上に固定化された抗GFRα4抗体と接触させ、支持体をインキュベートして、洗浄した上で、洗浄後に結合しているGFRα4タンパク質を、一次抗GFRα4抗体、および一次抗体と特異的に結合する二次抗体を用いて検出する。この場合には、二次抗体は検出可能な標識によって標識されていることが好ましい。
具体的には、抗GFRα4抗体を含有する溶液をプレートなどの支持体に対して添加して、抗GFRα4抗体がプレート上に固定化されるようにする。洗浄後に、タンパク質の非特異的結合を防ぐ目的で、プレートを、例えばBSAによってブロックする。プレートを再び洗浄し、続いて被験試料をプレートに添加する。インキュベートした後に、プレートを洗浄し、続いて一次抗GFRα4抗体を添加する。適宜インキュベートした後に、プレートを洗浄し、続いて一次抗体と特異的に結合する二次抗体を添加する。適宜インキュベートした後に、プレートを洗浄し、続いてプレート上に残る二次抗体を検出する。二次抗体の検出は、上述の方法によって実施することができる。
ここで本発明を、以下の実験例を参照しながら説明する。これらの例は例示のみを目的として提供されるものであり、本発明はこれらの例に限定されるとは全くみなされるべきではなく、本明細書で提供される教示の結果として明らかになる任意かつすべての変更も包含するとみなされるべきである。
それ以上の説明がなくても、当業者は、前記の説明および以下の例示的な例を用いて、本発明の化合物を作成して利用し、請求される方法を実施することができる。以下の実施例は、このため、本発明の好ましい態様を具体的に指摘しており、本開示の残りを限定するものとは全くみなされるべきでない。
GFRα4特異的抗体、GFRα4 CAR分子、およびGFRα4 CART療法を開発して、検証するために、以下の実験をデザインした。実験の結果を以下に述べる。
実施例1:GFRα4に対する2種類の特有のヒト/ウサギキメラFab抗体の単離
ナイーブキメラ性ヒト/ウサギFabライブラリーおよび固定化されたヒトGFRα4に対する固相抗体選択を利用して、抗体ファージディスプレイを行った。ライブラリーの構築のために、B細胞RNAの調製用のウサギの脾臓および骨髄を、Pocono Rabbit Farm & Laboratory(PRF&L, Canadensis, PA)およびR & R Research(Stanwood, WA)から得た。計9匹のウサギ(3〜4カ月齢)を用いた。これらのウサギのうち5匹はNew Zealand White(NZW)系統であり、3匹はPRF&Lから入手し、2匹はR & R Researchから入手した。4匹のb9野生型ウサギも用い、これは別のR & R Researchコロニーから入手した(Popkov et al., J. Mol. Biol. 325, 325-335, 2003)。各ウサギの脾臓および骨髄から全RNAを調製し、ウサギVκ、VλおよびVHをコードする配列のRT-PCR増幅を、確立されたプロトコールを用いて行った(Rader, et al., Methods Mol. Biol. 525, 101-128, 2009)。ウサギ(rb)Vκ/ヒト(hu)Cκ/rbVHセグメントおよびrbVλ/huCλ/rbVHセグメントのそれぞれを、記載された通りに3フラグメントのオーバーラップ伸長PCRに基づく単一融合段階にて組み立てた。b9ウサギに由来するVLと、NZWウサギ由来のVHとの組み立ても行った。Fabをコードするフラグメント(短めの重鎖CH1定常ドメイン)をSfiIで消化し、CH1ドメインをFab構築物として完成させているSfiI消化ファージディスプレイベクターpC3C中に、16℃で24時間かけてライゲートさせた(Hofer et al., J. Immunol. Methods 318, 75-87, 2007)。その後に、15μgの精製pC3C-rbVκ/hCκ/rbVH/hCH1ライゲート産物を、30回の別々のエレクトロポレーション(それぞれ、50μlのエレクトロコンピテント細胞に0.5μgのDNAを用いる)によって大腸菌株SR320に形質転換導入したところ、γ/κ-軽鎖サブライブラリーのための7.5×109個の独立した形質転換体が得られた。γ/λ-軽鎖サブライブラリーのためには、同じ手順を用いて4.8×109個の独立した形質転換体を得た。VCSM13ヘルパーファージ(Stratagene, La Jolla, CA)を用いて、ファージミドライブラリーをファージ粒子ライブラリーに変換して、-80℃で保存した。κライブラリーおよびλライブラリーから抗GFRα4抗体を選択する前日に、大腸菌のXL1-Blue株(Stratagene)におけるファージミドの再増幅を実施し、等容積の各ライブラリーを合わせて一つにした。
固定化されたGFRα4アイソフォームa(GFRα4a)およびb(GFRα4b)のヒトFc融合構築物に対するライブラリー選択を、別々の実験で、Raderら(Rader et al., Selection from antibody libraries in Phage Display: A Laboratory Manual (Chapter 10), eds. Barbas, C.F., Burton, D.R., Scott, J.K., and Silverman, G.J., 10.1-10.20;2001)に記載された内容に、以下の変更を加えた上で実施した。各回のパニングについては、ELISAプレートの8個のウェル(1/2-area wells, Costar#3690, Corning Life Sciences, Tewksbury, MA)をそれぞれ、GFRα4a(R&D Systems, Inc.)またはGFRα4b(LakePharma, Inc.)のいずれかの10μg/ml PBS溶液50μlによって4℃で一晩かけてコーティングして、2%脱脂粉乳を含むPBS(MPBS)によって37℃で1時間かけてブロックした。GFRα4特異的抗体の捕捉物を標的とするために、ファージをまず、MPBS中にある可溶性ヒトGFRα1、GFRα2およびGFRα3の混合物(R&D Systems, Inc., 最終濃度6μg/ml)とともにインキュベートして、室温で1時間かけてブロックした。抗原でコーティングしたウェルへのファージ(GFRα1、2および3を伴う)の添加、インキュベーション、洗浄、結合したファージの低pH緩衝液溶出、および一晩かけてのファージ増幅は、記載された通りに行った(Steinberger et al., Analysis of Selected Antibodies in Phage Display: A Laboratory Manual (Chapter 11), eds Barbas, C.F., Burton, D.R., Scott, J.K., and Silverman, G.J., 11.1-11.24;2001)。
GFRα4アイソフォーム「a」(GFRα4a)は、R&D Systems(Minneapolis, MN)から購入したが、これは、GFRα4aの一部分(Asn24〜Ser245、UniProtアクセッションQ9GZZ7-2)の後に、第Xa因子切断部位/リンカー、最適化されたヒトIgG1 Fcドメインの一部分(Pro100〜Lys330)、および精製用の6個のHis残基を含む(SEQ ID NO:212)(図1)。
GFRα4a構築物のアミノ酸配列(SEQ ID NO:212)
GFRα4アイソフォーム「b」(GFRα4b)は、LakePharma, Inc.(Belmont, CA)から購入したが、これは、GFRα4bの一部分(Asn24〜Val274、UniProt#Q9GZZ7-1)の後に、TEV切断部位リンカー、およびヒトIgG1 Fcドメインの一部分(Asp104〜Lys330)を含む(図2)。
GFRα4b構築物のアミノ酸配列(SEQ ID NO:213)
GFRα4aまたはGFRα4bのいずれかに関するファージディスプレイライブラリーの4回の選択の後に、抗GFRα4-結合ファージの捕捉物の濃縮を評価するためにファージELISAを行った(Steinberger et al., Analysis of Selected Antibodies in Phage Display: A Laboratory Manual (Chapter 11), eds Barbas, C.F., Burton, D.R., Scott, J.K., and Silverman, G.J. 11.1-11.24;2001)。3回目のパニングから有意な濃縮が観察されたが、GFRα1、GFRα2またはGFRα3でコーティングしたウェルではバックグラウンド反応性のみであった。GFRα4aおよびGFRα4bライブラリーに関する3回目および4回目の選択物から個々のモノクローナルファージ調製物を調製し、陽性クローンを同定するためにファージELISAを行った。GFRα4aライブラリーに関しては、無作為に選択したファージクローン19個のうち18個が、GFRα4aでコーティングしたウェルに対して陽性であった。陽性クローンの抗体重鎖および軽鎖のヌクレオチド配列決定により、P4-6およびP4-10と名付けられた2種類の特有の抗体が明らかになった。その後に、これらの2種類のファージ抗体は、それらがGFRα4aに対する選択のためのパニング実験の結果であるにもかかわらず、GFRα4bと結合することも見いだされた。GFRα4bパニングライブラリーに関しては、無作為に選択したファージクローン8個のうち8個がGFRα4bに対して陽性であり、これらのクローンのすべてがGFRα4aと交差反応した。これらのクローンのヌクレオチド配列決定により、それらはすべて同じ抗体であって、GFRα4a選択実験において最初に同定された抗体P4-10と同一であることが示された。
同定されたP4-6抗体およびP4-10抗体のアミノ酸配列およびヌクレオチド配列は、表2に提示されている(詳細な説明の項)。
可溶性Fab(すなわち、ファージ粒子と連結されていない)として発現させた時に、ヒト/ウサギFabであるP4-6およびP4-10が、GFRα4の両方のアイソフォームに対するその結合性を保っているが、GFRα1、GFRα2およびGFRα3とは交差反応しないことを確かめるために、Fabをヘルパーファージレスキューを有しない大腸菌において発現させて、記載された通りに細胞周辺腔から採取した(Elia et al., Production and purification of Fab and scFv in Phage Display: A Laboratory Manual (Chapter 12), eds Barbas, C.F., Burton, D.R., Scott, J.K., and Silverman, G.J.12.1-12.26;2001)(図3)。
要約すると、本実施例は、甲状腺髄様癌の治療のための体液性療法または細胞療法の開発に用いられることになる、2種類の新規かつ特有のヒト/ウサギキメラモノクローナルFab抗体(P4-6およびP4-10)の単離を実証している。
実施例2‐P4-6およびP4-10 scFvのCARとしての発現
ウサギFab VH/VLヌクレオチド配列に基づいて、15アミノ酸のグリシン/セリンリッチペプチドをコードするヌクレオチドを含むリンカー、ならびに5'および3' BamH1制限部位およびNhe1制限部位をそれぞれ有する、P4-6およびP4-10に関するScFv構築物を、VH-リンカー-VLの向きで設計した(SEQ ID NO:56、58、76および79)。図4は、scFv P4-6構築物の個々のVHセグメントおよびVLセグメントのヌクレオチド(図4A)およびアミノ酸(図4B)のアラインメントを示している。図5は、scFv P4-10構築物の個々のVHセグメントおよびVLセグメントのヌクレオチド(図5A)およびアミノ酸のアラインメント(図5B)を示している。ヒトコドン使用頻度に対する最適化(制限部位を除く)は、Genewiz, Inc.(South Plainfield, NJ)が行った。図6および7は、最適化されたP4-6(SEQ ID NO:57)およびP4-10(SEQ ID NO:77)scFv構築物のヌクレオチド配列を示している。図6および7は、P4-6およびP4-10の元のヌクレオチド配列と最適化されたヌクレオチド配列を比較している。
P4-6およびP4-10に関するScFv構築物をBamH1およびNheIによって制限消化し、scFvのカルボキシ末端に10アミノ酸のグリシン/セリン(GS)リッチリンカー
を与えるプラスミドベクターの対応する制限部位にライゲートさせ、その後にヒトCD8の膜貫通ドメイン、4-1BBドメインおよびCD3ζドメインを逐次的にライゲートさせた(プラスミドpTRPE p4-6(GSリンカー)BBzおよびpTRPE p4-10(GSリンカー)BBz、それぞれ図10および11)。その結果得られたベクターは、P4-6gsまたはP4-6(gs)bbz(SEQ ID NO:105)およびP4-10gsまたはP4-10(gs)bbz(SEQ ID NO:106)と名付けられたCARをコードする。さらに、P4-6およびP4-10に関するscFv構築物を、10アミノ酸のGSリッチリンカーが、ヒトCD8αヒンジ領域に由来する47アミノ酸ペプチドによって置き換えられている点を除いて同一のベクター中に同様にライゲートさせた(プラスミドpTRPE p4-6(CD8ヒンジ)BBzおよびpTRPE p4-10(CD8ヒンジ)BBz、それぞれ図14および15)。その結果得られたベクターは、P4-6(cd8)bbz(SEQ ID NO:107)およびP4-10(cd8)bbz(SEQ ID NO:108)と名付けられたCARをコードする。
レンチウイルス上清を作製するために、記載された通りに(Milone et al.、Molec. Ther.、17、1453-1464、2009)、LentiX-293T細胞(Clontech, Inc., Mountain View, CA)を第0日に播種し、第1日にLipofectamine 2000(Life Technologies, Grand Island, NY)を用いてトランスフェクトさせた。各構築物に関して、用いたプラスミドは、pVSV-G(VSV糖タンパク質発現プラスミド)、pRSV.REV(Rev発現プラスミド)、pMDLg/p-1.RRE(Gag/Pol発現プラスミド)およびCAR移入ベクター(pTRPE)であった。レンチウイルス上清を孔径0.45umのフィルターに通して濾過し、4℃での12,000×g、12〜18時間の遠心処理によって濃縮した。
NFATプロモーターにより作動されるEGFP構築物が安定的に組み込まれたレポーターJurkat T細胞(Lin et al., J. Cell Biol., 162, 673-682., 2003;Hooijberg et al., Blood, 96, 459-466, 2003)に対して、P4-6およびP4-10を含むCARまたはメソテリン特異的CAR対照(SS1-KIRS2、Dr. V. Bhoj、未発表)を発現させるために、レンチウイルス上清による形質導入をおよそ5のMOIで行った。以前に記載された通りに(Milone et al.、Molec. Ther.、17、1453-1464、2009)、初代T細胞を単離し、増大させて、形質導入を行った。
ビオチン標識F(ab')2フラグメントロバ抗ウサギIgG(H+L)によって染色し、続いてストレプトアビジン結合フィコエリトリン(Jackson ImmunoResearch, West Grove, PA)によって染色した細胞のフローサイトメトリー(FACSCalibur(BD Biosciences、Franklin Lakes, NJ)による、CARの細胞外部分でのP4-6およびP4-10 scFvの発現を、scFvのGSリンカーセットに関して、非形質導入細胞(「NTD」)とともに図12に図示している。
P4-6およびP4-10 scFv構築物のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、表2に提示されている。(詳細な説明の項)。
実施例3‐CART-P4-6およびCART-P4-10を発現するレポーターT細胞はGFRα4によって特異的に活性化される
P4-6gsおよびP4-10gs CARによる形質導入を行った、NFAT応答性プロモーターの制御下でGFPを発現するレポーターJurkat細胞(Lin et al., J. Cell Biol., 162, 673-682., 2003;Hooijberg et al., Blood, 96, 459-466, 2003)を、GFRα4がレポーター細胞を特異的に活性化してGFP発現を誘発する能力を評価する目的で、GFRα4発現細胞および対照細胞とともに、ならびに固定化されたFc融合タンパク質とともにインキュベートした。ウェルをまずマウス抗ヒト-Fc(10ug/ml)によって一晩かけてコーティングし、続いてPBSで3回洗浄し、5% BSA/PBSによって1時間かけてブロックし、PBSで3回洗浄し、続いて1% BSA/PBS中のGFRα-Fc融合タンパク質(5ug/ml)のそれぞれとともに再び一晩インキュベートすることによって、Fc融合タンパク質GFRα1、GFRα2、GFRα3およびGFRα4aが組織培養ウェル内に捕捉された。OKT3抗体は、一晩のインキュベーション(10ug/ml)によってウェル上に直接コーティングした。続いてウェルをPBSで3回洗浄し、その後に、CARを含まないか、メソテリン特異的CAR(SS1-KIRS2)またはP4-6およびP4-10 GSリンカーCARを含むJurkatレポーター細胞を加えた。レポーターJurkat細胞を、GFRα-Fc融合タンパク質およびOKT3でコーティングしたウェル内で一晩インキュベートした。レポーターJurkat細胞はまた、メソテリンを発現するK562細胞(Carpenito et al., Proc. Natl. Acad. Sci (USA), 106, 3360-3365;2009)、ならびに甲状腺髄様癌細胞株であるTT細胞(ATCC CRL-1803, Manassas, VA)およびMZ-CRC-1細胞(Plaza-Menacho et al., Cancer Res., 65, 1729-1737, 2005)とも、1:1比で一晩コインキュベートした。一晩のインキュベーション後に、細胞をフローサイトメトリーによって分析した。Jurkat細胞を前方散乱および側方散乱の特性に基づいてゲーティングして、GFP発現を測定した。図13に示されているように、Jurkat細胞は、固定化されたGFRα4aタンパク質によって活性化されるが、そのホモログであるGFRα1、GFRα2およびGFRα3によっては活性化されない。TT細胞ならびにMZ-CRC-1細胞もJurkat細胞を活性化した(TT>MZ-CRC-1)が、メソテリンを発現するK562細胞はJurkat細胞を活性化しなかった。メソテリン特異的CARを発現するJurkat細胞(SS1KIRS2)は、K562メソテリン発現細胞によって活性化されたが、TT細胞およびMZ-CRC-1細胞によっては活性化されず、GFRα4aを含む固定化されたGFRαタンパク質によっても活性化されなかった。抗CD3抗体OKT3でコーティングしたウェルを陽性対照として利用した。図中のGFP陽性細胞ゲートの上の数値は、陽性ゲートにおけるJurkatレポーター細胞全体のパーセンテージを表している。
CARの特異性をさらに示すために、さらなるアッセイを行った。IL-2プロモーター由来の4つのNFAT/AP1結合部位を含むプロモーターの制御下で緑色蛍光タンパク質(GFP)のコード配列を安定して発現するJurkat細胞(NFAT-GFP Jurkat)に対して、CD19特異的キメラ抗原受容体(ヒトCD8ヒンジ、4-1BBおよびCD3ζを含むFMC63bbz)またはGFRα4特異的CARであるP4-6bbz(gs-リンカー、4-1BBおよびCD3ζを含む)を発現させるためのレンチウイルスベクターによる形質導入を行うか、または形質導入を行わないままとした(NTD)。続いてJurkat細胞を、野生型Nalm6細胞(CD19を発現する急性リンパ芽球性白血病細胞株)、GFRα4アイソフォームbを発現するように操作したNalm6細胞、または野生型TT細胞と、1:1比で混合した。レポーター活性化に関する陽性対照として、NFAT-GFP Jurkat細胞も、内因性TCR/CD3複合体を経由してGFP発現を刺激する抗CD3アゴニスト抗体であるクローンOKT3(10ug/ml)によって一晩かけてプレコーティングしたポリスチレン製マイクロタイタープレートのウェル内にプレーティングした。一晩のインキュベーション後に、細胞におけるGFP発現をフローサイトメトリーによって分析した。各プロットの数字は、GFP陽性Jurkat細胞のパーセンテージを指し示している。これらの結果は、GFRα4を対象とするP4-6bbz CARの特異性を示している:野生型Nalm6細胞は、FMC63bbz細胞においてのみGFP発現を刺激した;GFRα4を共発現するNalm6細胞は、FMC63bbz細胞およびGFRα4を対象とするP4-6bbz細胞の両方を活性化した;GFRα4を発現するがCD19の発現を欠く野生型TT細胞は、GFRα4を対象とするP4-6bbz細胞においてのみdGFPを誘導した(図16)。
実施例4‐複数の健常ドナー由来のCD4陽性T細胞およびCD4陰性T細胞におけるGFRα4特異的CAR-Tタンパク質の発現
2人の健常ドナー由来のヒトT細胞を、抗CD3および抗CD28でコーティングした常磁性ビーズ(DYNABEADS(登録商標)Human T-Activator CD3/CD28、Life Technologies)によって活性化させた。活性化の1日後に、細胞に対して、CD19特異的FMC63(cd8)bbz CARまたはGFRα4特異的P4-6(gs)bbz CARのいずれかをコードするレンチウイルスベクターによる形質導入を行うか、または形質導入を行わないままとした(NTD)。細胞を増大させて、第7日に、抗CD4-PerCPと、ビオチン化ロバ抗ウサギ抗体(DaR、各ドナーに関する上の2つのパネル)またはビオチン化ヤギ抗マウス抗体(GaM、各ドナーに関する下の2つのパネル)のいずれかによって染色し、その後、十分に洗浄した後に、ストレプトアビジン-APCによる二次染色を行った。細胞を2%パラホルムアルデヒド中で固定した後に、フローサイトメトリーによる分析を行った。これらの結果は、CD4陽性T細胞およびCD4陰性T細胞の表面上のCARの発現が同程度であることを示しており、このことは、CD4陽性およびCD4陰性で、おそらくCD8+のT細胞サブセットにおいて、CARをコードするレンチウイルスベクターに関する形質導入効率に差がないことを指し示している(図17)。
実施例5‐CART-P4-6およびCART-P4-10を発現する初代T細胞は、インビトロで甲状腺髄様癌細胞株を死滅させる
P4-6gsおよびP4-10gs CARによる標的細胞の細胞傷害作用を、51Cr放出アッセイを用いて評価した。標的TT細胞を51Cr(二クロム酸ナトリウム塩)で標識し、洗浄した上で、エフェクターCAR T細胞と、30:1、10:1および3:1のエフェクター:標的比で共培養した。各ウェル内で、1万個の標的細胞を適切な数のエフェクターT細胞と共培養した。一晩の共培養後に上清を収集し、96ウェルのLumaplate(Perkin Elmer, Inc., Walthan MA)に入れた。標識した標的細胞から放出された51Crの量を、液体シンチレーションカウンター(MicroBeta Trilux, Perkin Elmer)で測定した。培地のみの中でインキュベートするか、または1% SDSとともにインキュベートした標的細胞を、51Crの自然放出(S)または最大放出(M)を決定するために用いた。特異的溶解のパーセンテージを、以下の通りに算出した:[(実験的放出のcpm-S放出のcpm)/(M放出のcpm-S放出のcpm)]×100。図14に示されているように、P4-6およびP4-10 GSリンカーCARを発現するように形質導入を受けたT細胞はTT細胞を溶解したが、非形質導入T細胞(NTD)およびCD19/メソテリン特異的CAR-T細胞(FMCbbz)はTT細胞を溶解しなかった。対照である図15に示されているように、FMCbbz細胞はCD19/メソテリン発現K562細胞(K562-CD19meso)を溶解したが、P4-6およびP4-10 CAR-T細胞は溶解しなかった。
実施例6‐抗GFRα4特異的CAR形質導入T細胞によるGFRα4発現細胞の特異的溶解
FMC63(cd8)bbz抗CD19 CARまたはP4-6(gs)bbz GFRα4特異的CAR(実施例4による)のいずれかがトランスフェクトされた、2人の健常ドナー由来のヒトT細胞を、51Crによる前負荷を行った、GFRα4アイソフォームb(図18A)またはヒトCD19(図18B)のいずれかを発現するK562細胞(ATCC)と、指定のエフェクター-標的比となるように混合した。GFRα4bまたはCD19を発現するK562細胞株は、レンチウイルスベクター媒介性形質導入によって作製した。これらのタンパク質を発現するレンチウイルスベクターは、PCRおよび標準的な分子生物学手法による、PMBCまたは合成DNA(Genewiz, South Plainfield, NJ)からのcDNAのクローニングによって作製した。すべてのプラスミドを配列決定によって確かめた。形質導入K562細胞の表面での抗原の発現はフローサイトメトリーによって確かめた。高力価レンチウイルスベクターの作製のための手順は、以前に記載されている(Parry, R.V JI 2003)。手短に述べると、10% FBSを含むRPMI中で増殖させた293T細胞に対して、Lipofectamine 2000(Life Technologies, Carlsbad, CA)トランスフェクション試薬を用いて、レンチウイルスベクタープラスミドと、pMDL.g/p、pRSV.revおよびpVSVgパッケージングプラスミドとをコトランスフェクトさせた。ベクターを含有する上清を、トランスフェクションから24時間後および48時間後に採取して、12,000rpm、2時間の遠心処理によって濃縮した。濃縮されたベクターは、使用時まで-70℃で保存した。標的細胞の溶解は、実施例5に記載した通りに測定した。CAR発現パーセンテージは以下の通りであった:ドナー1 P4-6bbzは77%がCAR+であった;ドナー1 FMC63bbzは69%がCAR+でであった;ドナー2 P4-6bbzは53%がCAR+であった;ドナー2 FMC63bbzは57%がCAR+であった。これらの結果は、GFRα4特異的P4-6bbz CARを発現するT細胞による細胞傷害作用のためには細胞上のGFRα4発現が必要であることを実証している。
実施例7‐異なる細胞質シグナル伝達ドメインを有する抗GFRα4-CARを発現するT細胞による、GFRα4を発現する腫瘍細胞の特異的溶解
ヒトT細胞を、抗CD3および抗CD28でコーティングした常磁性ビーズ(DYNABEADS(登録商標)Human T-Activator CD3/CD28、Life Technologies)によって活性化させた。活性化の1日後に、細胞に対して、CD19特異的scFv FMC63またはGFRα4特異的scFvであるP4-6またはP4-10のいずれかとともに構築したCARをコードするレンチウイルスベクターによる形質導入を行った。非形質導入T細胞を陰性対照(NTD)として用いた。各scFvに関して、GSリンカー(GFRα4 CARに対して)またはヒトCD8ヒンジ(CD19 CARに対して)のいずれかと、以下の通りのシグナル伝達ドメインを含むCARをさらに構築した:4-1bbおよびCD3-ζ細胞質ドメイン(FMC63bbz、P4-6bbzまたはP4-10bbz)、CD28およびCD3-ζ細胞質ドメイン(FMC6328z、P4-6-28z(SEQ ID NO:98)またはP4-10-28z(SEQ ID NO:100))、またはトセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス由来のT2Aリボソームスキップ配列を用いて共送達されたヒトDAP12を有するKIR2DS2膜貫通ドメインおよび細胞質ドメイン(19KIRS2、P4-6-KIRS2(SEQ ID NO:102)またはP4-10-KIRS2(SEQ ID NO:104))。形質導入されたT細胞を、内因性GFRα4を発現し、ヒトCD19も発現するように操作された甲状腺髄様癌細胞株である51Cr標識TT-CD19細胞と、指定のエフェクター-標的比(E:T)で混合した。CD19を発現させるためのTT細胞の操作は、K562細胞について上述した通りに実施した。4時間のコインキュベーション後に、培養上清を採取して、標的細胞の溶解のパーセンテージ(溶解率)を、前の実施例における通りに算出した。CARを担持するT細胞のそれぞれに関するCAR発現は、およそ9%がCAR+であったFMC63-28zを除いて、61%〜79%の範囲にあった。これらの結果は、FMC63 CD19特異的CAR発現T細胞が、いくつかの異なるシグナル伝達構成を利用して、TT標的細胞を溶解しうることを示している(図19A)。これらの結果は、P4-6gsおよびP4-10gs GFRα4特異的CAR発現T細胞の両方が、いくつかの異なるシグナル伝達構成を利用して、TT標的細胞を溶解しうることを示している(図19Bおよび19C)。エラーバーは標準偏差を示す。
実施例8‐GFRα4特異的P4-6bbzおよびP4-10bbz CARを発現するT細胞は、サイトカインIFN-γおよびIL-2のGFRα4依存性分泌を示す
ヒトT細胞を、抗CD3および抗CD28でコーティングした常磁性ビーズ(DYNABEADS(登録商標)Human T-Activator CD3/CD28、Life Technologies)によって活性化させた。活性化の1日後に、細胞に対して、CD19特異的FMC63(cd8)bbz CAR、GFRα4特異的P4-6(gs)bbzまたはP4-10(gs)bbz CARのいずれかをコードするレンチウイルスベクターによる形質導入を行うか、または形質導入を行わないままとした(NTD)。増大させたT細胞を、TT-CD19細胞またはレンチウイルス形質導入によってGFRα4アイソフォームbを発現するように操作したK562細胞と、T細胞-標的細胞比1:1で共培養した。一晩のインキュベーション後に、培養上清を採取して、インターフェロン-γ(IFN-γ)(図20A)およびインターロイキン-2(IL-2)(図20B)に関するELISAによって分析した。これらの結果は、GFRα4を発現する標的細胞とともにインキュベートした場合には、GFRα4特異的P4-6(gs)bbzおよびP4-10(gs)bbz CARを発現するT細胞によってサイトカインが分泌されるが、GFRα4発現を欠く標的細胞とインキュベートした場合には分泌されないことを実証している。エラーバーは標準偏差を示す。
実施例9‐GFRα4特異的p4-10-28z CARを発現するT細胞は、サイトカインIFN-γおよびIL-2のGFRα4依存性分泌を示す
ヒトT細胞を、抗CD3および抗CD28でコーティングした常磁性ビーズ(DYNABEADS(登録商標)Human T-Activator CD3/CD28、Life Technologies)によって活性化させた。活性化の1日後に、細胞に対して、CD19特異的FMC63(cd8)-28z CAR、GFRα4特異的p4-10(gs)-28z CARのいずれかをコードするレンチウイルスベクターによる形質導入を行うか、または形質導入を行わないままとした(NTD)。増大させたT細胞を、野生型TT細胞またはレンチウイルス形質導入によってCD19を発現するように操作したK562細胞と、T細胞-標的細胞比1:1でコインキュベートした。一晩の共培養後に、培養上清を採取して、インターフェロン-γ(IFN-γ)(図21A)およびインターロイキン-2(IL-2)(図21B)に関するELISAによって分析した。これらの結果は、GFRα4を発現する標的細胞の存在下において、P4-10(gs)-28z CARを発現するT細胞のみによってサイトカインが分泌されたことを示している。
実施例10‐GFRα4 CARTはマウスモデルにおいてMTC細胞を死滅させる
マウスモデルに対するインビボ実験により、CART-P4-10がMTC細胞を死滅させて、癌を治療する能力を有することが実証された。第0日に、NOD-SCID-γc -/-(NSG)マウスの側腹部の皮下に5×106個のTT細胞を植え込んだ。第24日に、1×107個の非形質導入ヒトT細胞(NTD、n=6)またはP4-10(gs)bbz形質導入ヒトT細胞(n=9)を腫瘍内に注射した。第31日に、同じドナー由来の6×106個の非形質導入T細胞またはP4-10bbz-形質導入T細胞を再び腫瘍内に注射した。腫瘍体積をキャリパー測定によって経時的に測定した。図22Aは、経時的な腫瘍体積の平均値を、平均値の標準誤差とともに示している。矢印は、T細胞注射の時点を示している。図22Bは、各群について、第38日時点での個々のマウスの腫瘍サイズを示している(Mann-Whitney検定によりP=0.0008)。平均値および平均値の標準誤差を各群について示している。これらの結果は、非形質導入T細胞が腫瘍内に投与されたマウスにおける腫瘍の継続的増殖に対して、GFRα4特異的P4-10(gs)bbz CARによる形質導入を受けたT細胞が腫瘍内に投与されたマウスでは腫瘍体積が減少したことを示している。
第0日に、コメツキムシ緑色ルシフェラーゼ(luceriferase)を発現するように操作された5×106個のTT細胞を、NSGマウスの側腹部の皮下に植え込んだ。コメツキムシ緑色ルシフェラーゼによるTT細胞のレンチウイルス形質導入は、GFPをコードするベクターを用い、その後にトセア・アシグナウイルス由来のT2Aリボソームスキップ配列を用い、その後にコメツキムシ緑色ルシフェラーゼを用い、すべてをEF-1αプロモーターの調節下に置くことによって行った。ルシフェラーゼを発現するTT細胞の使用により、生物発光による画像化が可能になった。
第9日に、1×107個の非形質導入ヒトT細胞(NTD、n=7)またはP4-10bbz-形質導入ヒトT細胞(n=8)を静脈内に注射した。腫瘍体積をキャリパー測定によって経時的に測定した。図23Aは、経時的な腫瘍体積の平均値を、平均値の標準誤差とともに示している。矢印は、T細胞注射の時点を示している。図23Bは、各群について、第27日時点での個々のマウスの腫瘍サイズを示している(Mann-Whitney検定によりP=0.0093)。平均値および平均値の標準誤差を各群について示している。統計分析は第27日について行ったが、これはすべてのマウスが含まれる最後の時点であり、以後は一部を移植片宿主効果を理由として安楽死させたためである。これらの結果は、非形質導入T細胞が静脈内に投与されたマウスにおける腫瘍の継続的増殖、およびP4-10bbz CAR-T構築物による形質導入を受けたT細胞が静脈内に投与されたマウスにおける腫瘍体積の減少を示している。
ルシフェラーゼを発現するように操作されたTT細胞が注射された上記に示したマウスを、各マウスにおける皮下腫瘍の生物発光強度(BLI)を決定するためのルシフェリンの静脈内注射後に、IVIS Spectrum生物発光画像化システム(Perkin Elmer)を用いて画像化した。図24Aおよび24Bにおける各線は、個々のマウスの経時的なBLIを示している。図24Cは、経時的なBLIの平均値を標準偏差とともに示している。これらの結果は、GFRα4特異的P4-10(gs)bbz CAR T細胞が静脈内に投与されたマウスでは腫瘍量が減少するが、NTD陰性対照T細胞では減少しないことを示している。
実施例11‐GFRα4 RNAは甲状腺髄様癌によって発現される
外科的に切除した甲状腺髄様癌(MTC)由来、正常甲状腺組織由来、またはTT細胞株(ATCCから入手)の細胞ペレット由来の、ホルマリン固定してパラフィン包埋した(FFPE)切片を、独占権下にあるRNAscope技術(Advanced Cell Diagnostics, Hayward, CA)を用いるRNAインサイチューハイブリダイゼーションによって分析した。切片を、細菌遺伝子であるDapBに対する細菌RNAを標的とする陰性対照プローブ、ヒトPPIB遺伝子に由来するRNAに関する陽性対照プローブ、またはヒトGFRα4のアイソフォームsおよびbが両方とも有するRNA配列と結合するGFRα4遺伝子を標的とするプローブによって探索した。これらの結果は、GFRα4プローブが、切除されたMTC組織中の悪性細胞およびTT細胞とは特異的にハイブリダイズするが、正常甲状腺濾胞性上皮細胞とはハイブリダイズしないことを示している(図25)。正常傍濾胞C細胞に対するハイブリダイゼーションは観察されたが、示していない。
本明細書に引用された特許、特許出願および刊行物のそれぞれおよびすべての開示内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。具体的な態様を参照しながら本発明を開示してきたが、本発明の真の趣旨および範囲を逸脱することなく、本発明の他の態様および変形物も当業者によって考案されうることは明らかである。添付された特許請求の範囲は、そのようなすべての態様および等価な変形物を含むことを意図している。