詳細な説明
本明細書において開示されているのは、アノード室におけるアノードによる金属イオンの酸化に関するシステムおよび方法であり、上記金属イオンは、より低い酸化状態からより高い酸化状態へと酸化される。
当該分野の当業者が認識することができるように、本電気化学的システムおよび方法は、代わりの同等の塩の溶液、例えば、塩化カリウム溶液または塩化ナトリウム溶液または塩化マグネシウム溶液または硫酸ナトリウム溶液または塩化アンモニウム溶液を用いて、カソード電解質中で同等のアルカリ性溶液、例えば、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムまたは水酸化マグネシウムを生成するように構成され得る。したがって、このような同等物が本システムおよび方法に基づくか、または本システムおよび方法によって示唆されている限りにおいて、これらの同等物は出願の範囲内である。
本発明をより詳細に記載する前に、本発明は記載する特定の実施形態に限定されない(これらは当然ながら変化し得るため)ことを理解すべきである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書において使用される用語法は、特定の実施形態を記載する目的のみであり、限定することは意図されていないこともまた理解すべきである。
値の範囲が提供されている場合、その範囲の上限と下限との間のそれぞれのその間の値(文脈によって明らかにそれ以外のことの指示がない限り、下限の単位の10分の1まで)、およびその述べられた範囲内の任意の他の述べられた値またはその間の値は、本発明内に包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限および下限は、独立にそのより小さな範囲内に含まれてもよく、本発明内にまた包含される(述べられた範囲内の任意の具体的に除外された限度に支配される)。述べられた範囲が限度の一方または両方を含む場合、それらの含められた限度の一方または両方を除外した範囲もまた、本発明に含める。
本明細書において数値を用いて提示されるある特定の範囲は、「約」の数値と解釈し得る。「約」は、約が前に置かれる正確な数、およびこの用語が前に置かれる数に近いかまたはおおよそその数である数に対して文字通りの支持を提供する。ある数が具体的に記載した数に近い数かまたはおおよそその数であるかどうかを決定することにおいて、近いまたはおおよその一方的な(unrequited)数は、それが提示されている状況において、具体的に記載した数の実質的同等物を提供する数であり得る。
他に定義しない限り、本明細書において使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する技術の当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様または同等の任意の方法および材料はまた、本発明の実施または試験において使用することができるが、代表的な例示的方法および材料をここで記載する。
本明細書において引用した全ての公開資料および特許は、それぞれの個々の公開資料または特許が参考として援用されていることが具体的にかつ個々に示されているかのように、参考として本明細書中に援用されており、方法および/または材料(これらの方法および/または材料と関連して、公開資料が引用される)を開示および記載するために参考として本明細書中に援用されている。任意の公開資料の引用は、出願日より前のその開示についてであり、先行発明に基づいて、本発明がこのような公開資料に先行する資格がないことの承認と解釈するべきではない。さらに、提供する公開日は実際の公開日とは異なり得、個々に確認する必要があり得る。
本明細書および添付の特許請求において使用する場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によって明らかにそれ以外のことの指示がない限り、複数への言及を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、あらゆる任意選択の要素を除外するように作成され得ることもまた留意されたい。したがって、この記述は、クレーム要素の記載に関連して「単独で」、「のみ」などの排他的な用語の使用、または「消極的な」限定の使用に対する先行根拠として役立つことが意図される。
当業者であればこの開示を読むと明らかなように、本明細書において記載および例示する個々の実施形態のそれぞれは、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなしに、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離してもよく、またはこれらと合わせてもよい、個別の成分および特徴を有する。任意の記載した方法は、記載した事象の順番または論理的に可能な任意の他の順番で行うことができる。
組成物、方法、およびシステム
電気化学セルのアノード室におけるより低い酸化状態からより高い酸化状態への金属イオンの酸化;炭化水素からのハロ炭化水素またはスルホ炭化水素の発生のためのより高い酸化状態の金属イオンの使用;金属イオン溶液からのハロ炭化水素またはスルホ炭化水素の分離/精製;ならびに電気化学セルへ戻す金属イオン溶液のリサイクルに関する方法およびシステムを提供する。一態様において、本明細書に記載されている電気化学セルは、効率的かつ低電圧のシステムを提供し、アノードによって生成されるより高い酸化状態の金属化合物、例えば、金属ハロゲン化物、例えば、金属塩化物または金属硫酸塩を、限定されないが、高い収率および選択性での炭化水素からのハロ炭化水素またはスルホ炭化水素の発生などの目的のために使用することができる。
いくつかの実施形態において、アノード室においてアノードとアノード電解質中の金属イオンとを接触させるステップと;アノードにおいて金属イオンをより低い酸化状態からより高い酸化状態へと酸化させるステップと;カソード室においてカソードとカソード電解質とを接触させるステップと;カソードにおいてアルカリ、水、および/または水素ガスを形成するステップと;より高い酸化状態の金属イオンを含むアノード電解質と不飽和および/または飽和炭化水素とを接触させて、ハロゲン化またはスルホン化炭化水素を形成し、より低い酸化状態の金属イオンを含む金属イオン溶液を形成するステップと;金属イオン溶液からハロゲン化またはスルホン化炭化水素を分離および/または精製するステップとを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、より低い酸化状態の金属イオンを含み、かつより高い酸化状態の金属イオンを任意選択で含む分離した金属イオン溶液を再循環させて、アノード電解質に戻す。
いくつかの実施形態において、アノード電解質中の金属イオンと接触しているアノードを含むアノード室(アノードは、金属イオンをより低い酸化状態からより高い酸化状態へと変換するように構成されている)と;カソード電解質と接触しているカソードを含むカソード室(カソードは、カソード電解質中でアルカリ、水、および/または水素ガスを形成するように構成されている)と;アノード室に動作可能に接続されており、かつより高い酸化状態の金属イオンを含むアノード電解質と不飽和および/または飽和炭化水素とを接触させて、ハロゲン化またはスルホン化炭化水素を形成し、より低い酸化状態の金属イオンを含む金属イオン溶液を形成するように構成されている反応器と;ハロゲン化またはスルホン化炭化水素を金属イオン溶液から分離および/または精製するセパレーターとを含むシステムを提供する。いくつかの実施形態において、システムは、より低い酸化状態の金属イオンを含み、かつより高い酸化状態の金属イオンを任意選択で含む分離した金属イオン溶液を再循環させてアノード電解質に戻す再循環システムをさらに含む。
より高い酸化状態の金属イオンを有するアノード電解質を生成する電気化学的システムが、炭化水素およびより高い酸化状態の金属イオンからハロ炭化水素またはスルホ炭化水素を発生させるための反応器システムと統合され、この反応器システムがさらに、金属イオン溶液からハロ炭化水素またはスルホ炭化水素を分離するセパレーターシステムと統合したものの例示的な例は、図1Aにおいて例示する通りである。図1Aの電気化学的システム100Aは、第3の電解質であるNaClを含有する第3の室を生じさせるアニオン交換膜およびカチオン交換膜によって分離されている、アノードおよびカソードを含む。アノード室は、アノード、およびアノードと接触しているアノード電解質を含む。カソード室は、カソード、およびカソードと接触しているカソード電解質を含む。金属イオンは、アノード室においてより低い酸化状態ML+からより高い酸化状態MH+に酸化され、ここでより高い酸化状態の金属は、次いで、反応器における反応、例えば、炭化水素、例えば、不飽和または飽和炭化水素との反応のために使用されて、ハロ炭化水素またはスルホ炭化水素を生成する。その結果、より高い酸化状態の金属イオンは、より低い酸化状態の金属イオンに還元される。金属イオン溶液を再循環させて電気化学的システムのアノード電解質に戻す前に、金属イオン溶液は、セパレーターにおいてハロ炭化水素またはスルホ炭化水素(有機物)から分離される。アノード電解質から出てくる金属イオン溶液は、アノード電解質中に入る金属イオン溶液より多量のより高い酸化状態の金属イオンを有することを除いて、アノード電解質中に入る金属イオン溶液、およびアノード電解質から出てくる金属イオン溶液は、より低い酸化状態およびより高い酸化状態の金属イオンのミックスを含有し得ることを理解すべきである。
このような反応によって形成される生成物は、本明細書に記載されている。図1Aのシステム100Aは、単なる例示目的であり、異なる酸化状態の金属イオン(例えば、クロム、スズなど);本明細書に記載されている他の電気化学的システム;塩化ナトリウム以外の第3の電解質、例えば、硫酸ナトリウム;ならびに水および/または水素ガスを生成する他のカソードは、このシステムに等しく適用可能であるバリエーションであることを理解すべきである。反応器は、1つまたは複数の反応器の組合せでよく、セパレーターは、1つまたは複数のセパレーターまたは分離ユニットの組合せでよいことをまた理解すべきである。反応器およびセパレーターは、本明細書に詳細に記載してきた。いくつかの実施形態において、アノード室によって生成される金属化合物は、そのまま使用してもよく、またはハロ炭化水素もしくはスルホ炭化水素の発生のために不飽和炭化水素または飽和炭化水素と反応させる前に精製してもよい。例えば、いくつかの実施形態において、より高い酸化状態の金属化合物/溶液を、エチレンガスで処理し、ハロ炭化水素生成物、例えば、二塩化エチレン(EDC)を形成する。二塩化エチレンはまた、1,2−ジクロロエタン、ジクロロエタン、1,2−エチレンジクロリド、グリコールジクロリド、freon150などとして公知であり得る。いくつかの実施形態において、本発明の電気化学的システムは、本発明のシステムおよび方法によって形成されるEDCが、VCMおよび/またはPVCの生成において使用されるように、塩化ビニルモノマー(VCM)生産施設またはポリ塩化ビニル(PVC)生産施設と統合されている。
本明細書において提供するシステムおよび方法において、金属イオン溶液は、反応器における反応の前および後に分離および/または精製し得る。同様に、反応器において作製された生成物はまた、これらの商業的使用の前に有機物の分離および/または精製に供し得る。本明細書において提供する方法およびシステムにおいて、分離および/または精製は、有機生成物の全収率を改善し、有機生成物の選択性を改善し、有機生成物の純度を改善し、システムの効率を改善し、プロセス全体における溶液の使用の容易さを改善し、電気化学的プロセスおよび反応プロセスにおける金属溶液の再使用を改善し、かつプロセスの全体的な経済性を改善するための、金属イオン溶液からの有機化合物の分離および精製;互いからの有機化合物の分離および精製;ならびにより高い酸化状態の金属イオンからのより低い酸化状態の金属イオンの分離および精製の1つまたは複数を含み得る。
下記で詳細に提供するのは、限定されないが、金属イオンと;リガンドと;電気化学セル、アノード、カソード、および膜と;電気化学的システムと統合された反応器システムと;金属イオン溶液からの有機化合物の分離および任意選択の精製、副生成物からの有機化合物の分離および任意選択の精製、ならびにより高い酸化状態の金属化合物と混合したより低い酸化状態の金属化合物の分離および任意選択の精製のためのセパレーターシステムとを含めた方法およびシステムである。下記で提供したセクションの1つまたは複数を、本明細書において提供する方法およびシステムにおいて合わせることができることを理解すべきである。本明細書において提供する方法およびシステムにおいて、各セクション内の様々な実施形態は、他のセクションに記載されている実施形態の1つまたは複数と合わせることができることをまた理解すべきである。
電気化学的組成、方法、およびシステム
電気化学セル
本発明のシステムおよび方法は、限定されないが、アノードにおいて形成される金属塩、様々な他の化学物質を形成するために使用される金属塩、カソードにおいて形成されるアルカリ、様々な他の生成物を形成するために使用されるアルカリ、および/またはカソードにおいて形成される水素ガスなどの様々な生成物を生成する電気化学セルを提供する。このような生成物の全ては本明細書において定義してきており、このような化学物質は低い電圧またはエネルギーおよび高い効率で作動する電気化学セルを使用して形成されるため、環境に配慮した化学物質と称し得る。本明細書に記載されている低電圧またはよりエネルギー集約型でないプロセスは、同様の化学物質または生成物を作製する従来の方法と比較して二酸化炭素のより少ない排出をもたらす。いくつかの実施形態において、化学物質または生成物は、限定されないが、カーボネートおよびバイカーボネート生成物などの、カソードにおいて発生したアルカリ中の燃焼排ガスからの二酸化炭素の捕獲によって形成される。このようなカーボネートおよびバイカーボネート生成物は、汚染を低減させ、より汚染されていない環境を提供するため、環境に配慮した化学物質である。
本明細書において提供する電気化学セルは、より低い酸化状態の金属イオンが、アノード室においてより高い酸化状態の金属イオンに変換される、任意の電気化学セルでよい。このような電気化学セルにおいて、カソード反応は、カソード室においてアルカリを形成するか、または形成しない任意の反応でよい。このようなカソードは、電子を消費し、かつ限定されないが、水酸化物イオンおよび水素ガスを形成する水の反応、または水酸化物イオンを形成する酸素ガスおよび水の反応、または水素ガスを形成する酸、例えば、塩酸からのプロトンの還元、または水を形成する塩酸からのプロトンおよび酸素ガスの反応を含む任意の反応を行う。
いくつかの実施形態において、電気化学セルは、セルのカソード室におけるアルカリの生成を含み得る。カソード室において発生したアルカリは、商業目的でそのままで使用してもよく、または二価カチオンで処理して、二価カチオン含有カーボネート/バイカーボネートを形成してもよい。いくつかの実施形態において、カソード室において発生したアルカリを使用して、二酸化炭素を捕捉または捕獲し得る。二酸化炭素は、様々な産業プラントが排出する燃焼排ガス中に存在し得る。二酸化炭素は、カーボネートおよび/またはバイカーボネート生成物の形態で捕捉され得る。したがって、アノード電解質およびカソード電解質の両方は、商業目的で使用され得る生成物を発生させるために使用することができ、それによってより経済的、効率的で、エネルギー集約型でないプロセスを提供し得る。
本明細書に記載されている電気化学的システムおよび方法は、限定されないが、ガス拡散アノードを必要としないこと;より高いセル効率;より低い電圧;白金非含有アノード;二酸化炭素の捕捉;環境に配慮し環境にやさしい化学物質;ならびに/または様々な商業的に実現可能な生成物の形成を含む、当該分野において公知の従来の電気化学的システムを超えた1つまたは複数の利点を提供する。
本明細書において提供する方法およびシステムにおいて使用される電気化学セルのいくつかの実施形態を、図に例示し、本明細書に記載する。図は単なる例示目的であり、試薬およびセットアップにおける変動は十分に本発明の範囲内であることを理解すべきである。本明細書に記載されている全ての電気化学的方法およびシステムは、クロルアルカリシステムにおいて見出されるように、アノードにおいてガス、例えば、塩素ガスを生成しない。不飽和または飽和炭化水素のハロゲン化またはスルホン化に関連する全てのシステムおよび方法は、触媒作用反応器において酸素ガスを使用しない。
図1Bに例示するように、電気化学的システム100Bは、アノード電解質と接触しているアノードを有するアノード室を含み、アノード電解質は、アノードによってより高い酸化状態の金属イオン(MH+として表される)に変換されるより低い酸化状態の金属イオン(ML+として表される)を含有する。金属イオンは、スルフェート、クロリド、ブロミド、またはヨージドの形態であり得る。
本明細書において使用する場合、ML+においてL+として表される「より低い酸化状態」は、金属のより低い酸化状態を含む。例えば、金属イオンのより低い酸化状態は、1+、2+、3+、4+、または5+であり得る。本明細書において使用する場合、MH+においてH+として表される「より高い酸化状態」は、金属のより高い酸化状態を含む。例えば、金属イオンのより高い酸化状態は、2+、3+、4+、5+、または6+であり得る。
アノードにおいて発生した電子(複数可)を使用して、カソードにおける反応を推進する。カソード反応は、当該分野において公知の任意の反応でよい。アノード室およびカソード室は、アノード電解質が、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウムである場合、いくつかの実施形態において、カソード電解質への、限定されないがナトリウムイオンなどのイオンの通過、あるいはアノード電解質が、塩化アンモニウムなどまたは金属ハロゲン化物を含有する同等の溶液である場合、アンモニウムイオンの通過を可能とし得るイオン交換膜(IEM)によって分離し得る。カソードにおいて起こり得るいくつかの反応には、限定されないが、水酸化物イオンおよび水素ガスを形成する水の反応;水酸化物イオンを形成する酸素ガスおよび水の反応;水素ガスを形成するHClの還元;または水を形成するHClおよび酸素ガスの反応が含まれる。
いくつかの実施形態において、電気化学的システムは、カソード電解質中で水酸化物イオンを形成するカソード電解質と接触しているカソードを有するカソード室を含む。いくつかの実施形態において、カソード電解質が、例えば、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、または硫酸ナトリウムまたは同等の溶液である場合、イオン交換膜は、アノード電解質への、限定されないが、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、または硫酸イオンなどのアニオンの通過を可能とする。ナトリウムイオンはカソード電解質中の水酸化物イオンと化合し、水酸化ナトリウムを形成する。アニオンは金属イオンと化合し、金属ハロゲン化物または金属硫酸塩を形成する。他のカソード、例えば、HClを還元して水素ガスを形成するカソード、またはHClおよび酸素ガスの両方を反応させて水を形成するカソードは、上記システムに等しく適用可能であることを理解すべきである。このようなカソードを本明細書に記載してきた。
いくつかの実施形態において、本発明の電気化学的システムは、1つまたは複数のイオン交換膜を含む。いくつかの実施形態において、イオン交換膜は、カチオン交換膜(CEM)、アニオン交換膜(AEM);またはこれらの組合せである。
図2に例示するように(また図1Aに例示するように)、電気化学的システム200は、カソード電解質と接触しているカソードと、アノード電解質と接触しているアノードとを含む。カソードは、カソード電解質中で水酸化物イオンを形成し、アノードは、金属イオンをより低い酸化状態(ML+)からより高い酸化状態(MH+)へと変換する。アノードおよびカソードは、アニオン交換膜(AEM)およびカチオン交換膜(CEM)によって分離される。第3の電解質(例えば、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化アンモニウム、もしくはこれらの組合せまたは同等の溶液)が、AEMとCEMとの間に配置されている。第3の電解質からのナトリウムイオンは、CEMを通過し、カソード室において水酸化ナトリウムを形成し、第3の電解質からのハロゲン化物アニオン、例えば、塩化物イオン、臭化物イオンまたはヨウ化物イオン、または硫酸アニオンは、AEMを通過し、アノード室において金属ハロゲン化物または金属硫酸塩のための溶液を形成する。次いで、アノード電解質中で形成される金属ハロゲン化物または金属硫酸塩は、不飽和または飽和炭化水素との反応用の反応器に送達され、それぞれ、ハロ炭化水素またはスルホ炭化水素を発生する。第3の電解質は、イオンの移動後に、中央室から枯渇したイオンの溶液として取り出すことができる。例えば、いくつかの実施形態において、第3の電解質が塩化ナトリウム溶液であるとき、カソード電解質へのナトリウムイオンの移動、およびアノード電解質への塩化物イオンの移動の後、枯渇した塩化ナトリウム溶液を、中央室から取り出し得る。枯渇した塩溶液は、商業目的で使用してもよく、あるいは電解質としてアノードおよび/もしくはカソード室に移動させるか、または第3の電解質としての再使用のために濃縮され得る。いくつかの実施形態において、枯渇した塩溶液は、脱塩水を調製するのに有用であり得る。図2において例示するような水酸化物形成カソードは、単なる例示目的であり、他のカソード、例えば、HClを還元して水素ガスを形成するカソード、またはHClおよび酸素ガスの両方を反応させて水を形成するカソードは、上記システムに等しく適用可能であり、本明細書においてさらに記載してきたことを理解すべきである。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているイオン交換膜は、図3Aに例示するようなアニオン交換膜である。このような実施形態において、カソード電解質(または第3の室における第3の電解質)は、ハロゲン化ナトリウム、硫酸ナトリウムまたは同等の溶液でよく、AEMは、アノード電解質へのアニオンの通過を可能とするが、アノード電解質からカソード電解質への(または第3の室における第3の電解質への)金属イオンの通過を防止するようなものである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているイオン交換膜は、図3Bに例示するようなカチオン交換膜である。このような実施形態において、アノード電解質(または第3の室における第3の電解質)は、ハロゲン化ナトリウム、硫酸ナトリウム、または金属ハロゲン化物溶液もしくは同等の溶液を含有する同等の溶液でよく、CEMは、カソード電解質へのナトリウムカチオンの通過を可能にするが、アノード電解質からカソード電解質への金属イオンの通過を防止するようなものである。いくつかの実施形態において、AEMおよびCEMの両方は、電気化学的システムにおいて一緒に連結し得る。いくつかの実施形態において、2つのイオン交換膜の代わりに1つのイオン交換膜を使用することは、複数のIEMによって与えられる抵抗を低減し得、電気化学反応を行うためのより低い電圧を促進し得る。適切なアニオン交換膜のいくつかの例を、本明細書においてさらに提供する。
本明細書において提供する方法およびシステムにおける電気化学セルは、膜電解槽である。電気化学セルは、単一のセルでもよく、または直列もしくは並列で接続しているセルのスタックでよい。電気化学セルは、直列または並列で接続している5または6または50または100またはそれ超の電解槽のスタックでよい。図1A、1Bまたは図2に例示するように、各セルはアノード、カソード、およびイオン交換膜を含む。
いくつかの実施形態において、本明細書において提供する電解槽は、モノポーラ電解槽である。モノポーラ電解槽において、電極は、図4Aに例示するように並列で接続していてもよく、ここで全てのアノードおよび全てのカソードは、並列で接続している。このようなモノポーラ電解槽において、動作は、高アンペア数および低電圧で行われる。いくつかの実施形態において、本明細書において提供する電解槽は、バイポーラ電解槽である。バイポーラ電解槽において、電極は、図4Bに例示するように直列で接続してもよく、ここで全てのアノードおよび全てのカソードは直列で接続されている。このようなバイポーラ電解槽において、動作は、低アンペア数および高電圧で行われる。いくつかの実施形態において、電解槽は、モノポーラおよびバイポーラ電解槽の組合せであり、ハイブリッド電解槽と称し得る(図には示さず)。図4Aおよび4Bは、単なる例示目的の3つのセルのスタックを示しており、スタックは、2つまたはそれ超の電解槽の組合せであってもよいことを理解すべきである。
上記のようなバイポーラ電解槽のいくつかの実施形態において、セルは直列にスタックされ、電解槽全体を構成し、2つの方法で電気的に接続されている。バイポーラ電解槽において、バイポーラプレートと称される単一のプレートは、カソードおよびアノードの両方のためのベースプレートとしての役割を果たし得る。電解質溶液は、セルスタックの内部の共通のマニフォールドおよびコレクターによって水力学的に接続し得る。スタックは、外部から圧縮して、全てのフレームおよびプレートを互いに対してシールしてもよく、これは典型的にはフィルタープレス設計と称される。いくつかの実施形態において、バイポーラ電解槽はまた、単一要素設計として典型的には公知である、個々にシールされ、背面接触によって電気的に接続している一連のセルとして設計し得る。単一要素設計はまた、並列で接続してもよく、この場合、これはモノポーラ電解槽である。
いくつかの実施形態において、セルサイズは、活性領域の寸法によって示し得る。いくつかの実施形態において、本明細書において使用される電解槽の活性領域は、0.5〜1.5メートルの高さおよび0.4〜3メートルの幅の範囲であり得る。個々のコンパートメントの厚さは、0.5mm〜50mmの範囲であり得る。
本明細書において提供する方法およびシステムにおいて使用される電解槽は、腐食耐性材料からできている。腐食試験のために、様々な材料を、金属溶液、例えば、銅中で変動する温度にて試験した(実施例4に記載されているように)。材料には、限定されないが、ポリフッ化ビニリデン、viton、ポリエーテルエーテルケトン、フッ化エチレンプロピレン、繊維強化プラスチック、halar、ultem(PEI)、ペルフルオロアルコキシ、tefzel、tyvar、derakane441−400樹脂でコーティングされた繊維強化プラスチック、黒鉛、akot、タンタル、hastelloy C2000、チタンGr.7、チタンGr.2、またはこれらの組合せが含まれる。いくつかの実施形態において、これらの材料は、電気化学セルならびに/または限定されないが、タンク材料、パイピング、熱交換器、ポンプ、反応器、セルハウジング、セルフレーム、電極、計器類、バルブ、およびプラント材料の全ての他の残部を含めたその成分を作製するために使用することができる。いくつかの実施形態において、電気化学セルおよびその成分を作製するために使用される材料には、限定されないが、チタンGr.2が含まれる。
金属
「金属イオン」または「金属」は、本明細書において使用する場合、より低い酸化状態からより高い酸化状態へと変換され得る任意の金属イオンを含む。金属イオンの例には、限定されないが、鉄、クロム、銅、スズ、銀、コバルト、ウラン、鉛、水銀、バナジウム、ビスマス、チタン、ルテニウム、オスミウム、ユウロピウム、亜鉛、カドミウム、金、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、マンガン、テクネチウム、レニウム、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、およびこれらの組合せが含まれる。いくつかの実施形態において、金属イオンには、限定されないが、鉄、銅、スズ、クロム、またはこれらの組合せが含まれる。いくつかの実施形態において、金属イオンは、銅である。いくつかの実施形態において、金属イオンは、スズである。いくつかの実施形態において、金属イオンは、鉄である。いくつかの実施形態において、金属イオンは、クロムである。いくつかの実施形態において、金属イオンは、白金である。「酸化状態」は、本明細書において使用する場合、物質中の原子の酸化の程度を含む。例えば、いくつかの実施形態において、酸化状態は、イオン上の正味電荷である。アノードにおける金属イオンの反応のいくつかの例は、下記の表Iに示す通りである(SHEは、標準水素電極である)。アノード電位の理論値をまた示す。電解質の条件、pH、濃度などによってこれらの電圧からのいくらかの変動が起こってもよく、このような変動は十分に本発明の範囲内であることを理解すべきである。
金属イオンは、金属の化合物または金属の合金またはこれらの組合せとして存在し得る。いくつかの実施形態において、金属に結合しているアニオンは、電解質のアニオンと同じである。例えば、電解質として使用される塩化ナトリウムまたは塩化カリウムに対して、限定されないが、塩化鉄、塩化銅、塩化スズ、塩化クロムなどの金属塩化物を、金属化合物として使用する。例えば、電解質として使用される硫酸ナトリウムまたは硫酸カリウムに対して、限定されないが、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸スズ、硫酸クロムなどの金属硫酸塩を、金属化合物として使用する。例えば、電解質として使用される臭化ナトリウムまたは臭化カリウムに対して、限定されないが、臭化鉄、臭化銅、臭化スズなどの金属臭化物を、金属化合物として使用する。
いくつかの実施形態において、電解質のアニオンは、金属のアニオンと部分的にまたは完全に異なってもよい。例えば、いくつかの実施形態において、電解質のアニオンは、硫酸イオンでよく、一方、金属のアニオンは、塩化物イオンでよい。このような実施形態において、電気化学セルにおいてより低い濃度の塩化物イオンを有することが望ましくあり得る。例えば、いくつかの実施形態において、電解質の塩化物および金属の塩化物に起因するアノード電解質中のより高い濃度の塩化物イオンは、アノード電解質中の望ましくないイオン種をもたらし得る。これは、塩化物以外のイオンを含有する電解質を利用することによって回避し得る。いくつかの実施形態において、アノード電解質は、金属アニオンと同様のイオン、および金属イオンとは異なるアニオンの組合せでよい。例えば、金属アニオンが塩化物であるとき、アノード電解質は、硫酸イオンおよび塩化物イオンのミックスでよい。このような実施形態において、金属塩を溶解するために電解質中に十分な濃度の塩化物イオンを有するが、望ましくないイオン種をもたらすほど濃度が高くないことが望ましくあり得る。
いくつかの実施形態において、電解質および/または金属化合物は、所望の最終生成物に基づいて選択される。例えば、金属化合物と炭化水素との間の反応から臭素化炭化水素が所望である場合、金属臭化物が金属化合物として使用され、臭化ナトリウムまたは臭化カリウムが電解質として使用される。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている電気化学的システムにおいて使用される金属イオンは、アノード電解質中の金属の溶解度、および/またはより低い酸化状態からより高い酸化状態への金属酸化のために望ましいセル電圧に基づいて選択され得る。例えば、Cr2+をCr3+へと酸化させるのに必要とされる電圧は、Sn2+からSn4+に必要とされる電圧より低くてもよいが、不飽和または飽和炭化水素とCr3+との反応によって形成されるハロ炭化水素の量は、スズ分子毎に得られる2個の塩素原子に起因して、Sn4+を用いて形成されるハロ炭化水素より低くてもよい。したがって、いくつかの実施形態において、より低いセル電圧が望ましくあり得る場合、限定されないがCr2+などの、より低いセル電圧をもたらす金属イオン酸化を使用し得る。例えば、カソード電解質によって生成されるアルカリによって二酸化炭素が捕獲される反応について、より低い電圧が望ましくあり得る。いくつかの実施形態において、より高い量の生成物、例えば、ハロ炭化水素が望ましくあり得る場合、相対的により高い電圧にも関わらずより多い量の生成物をもたらす金属イオン(限定されないがSn2+など)を使用し得る。例えば、セルの電圧は、クロムシステムと比較して、スズシステムについてより高くてもよいが、Sn4+を伴って形成されるハロ炭化水素の濃度は、システムのより高い電圧を相殺し得る。本明細書に記載されているシステムおよび方法によって形成される生成物、例えば、ハロ炭化水素、スルホ炭化水素、カーボネート、ビカーボネートなどは、同じ生成物を作製する従前より公知の方法に必要とされるエネルギー入力と比較して、よりエネルギー集約型でないプロセスによって作製されるので、まだ環境に配慮した化学物質であることが理解される。
いくつかの実施形態において、より低い酸化状態の金属イオンおよびより高い酸化状態の金属イオンは、両方ともアノード電解質中に存在する。いくつかの実施形態において、アノード電解質中により低い酸化状態およびより高い酸化状態の両方の金属イオンを有することが望ましくあり得る。アノード電解質中のより低い酸化状態およびより高い酸化状態の金属イオンの適切な比を、本明細書において記載してきた。より高い酸化状態の金属イオンと混合したより低い酸化状態の金属イオンは、電気化学的システムにおけるより低い電圧、ならびに炭化水素との対応する触媒反応における高収率および高選択性を支援し得る。
いくつかの実施形態において、アノード電解質中の金属イオンは、混合金属イオンである。例えば、より低い酸化状態の銅イオンおよびより高い酸化状態の銅イオンを含有するアノード電解質はまた、限定されないが鉄などの別の金属イオンを含有し得る。いくつかの実施形態において、アノード電解質中に第2の金属イオンが存在することは、触媒反応と組み合わせて、電気化学反応の総エネルギーを低下させることにおいて有益であり得る。
本発明のシステムおよび方法において使用し得る金属化合物のいくつかの例には、限定されないが、硫酸銅(II)、硝酸銅(II)、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、塩化鉄(II)、臭化鉄(II)、ヨウ化鉄(II)、硫酸スズ(II)、硝酸スズ(II)、塩化スズ(II)、臭化スズ(II)、ヨウ化スズ(II)、硫酸クロム(III)、硝酸クロム(III)、塩化クロム(II)、臭化クロム(II)、ヨウ化クロム(II)、塩化亜鉛(II)、臭化亜鉛(II)などが含まれる。
リガンド
いくつかの実施形態において、添加物、例えば、リガンドを金属イオンと併せて使用し、アノード室の内側の金属イオン酸化の効率を改善し、かつ/あるいはアノード室の内側/外側の金属イオンの触媒反応(限定されないが不飽和炭化水素とのおよび/または飽和炭化水素との反応など)を改善する。いくつかの実施形態において、リガンドを、アノード電解質に金属と一緒に加える。いくつかの実施形態において、リガンドは、金属イオンに結合している。いくつかの実施形態において、リガンドは、共有結合、イオン結合および/または配位結合によって金属イオンに結合している。いくつかの実施形態において、リガンドは、ファンデルワールス引力によって金属イオンに結合している。
いくつかの実施形態において、リガンドは、下記の1つまたは複数をもたらす。不飽和炭化水素または飽和炭化水素に対する金属イオンの反応性の増強、不飽和または飽和炭化水素のハロゲン化に対する金属イオンの選択性の増強、金属イオンから不飽和炭化水素または飽和炭化水素へのハロゲンの移動の増強、電気化学セルの酸化還元電位の低減、水性媒体中の金属イオンの溶解度の増強、電気化学セルにおけるカソード電解質への金属イオンの膜横断の低減、電気化学セルおよび/または反応器の腐食の低減、炭化水素との反応の後の有機溶液からの金属イオンの分離の増強、ハロゲン化炭化水素溶液(例えば、吸着剤)からの金属イオンの分離の増強、ならびにこれらの組合せ。
いくつかの実施形態において、金属イオンへのリガンドの結合によって、セルにおけるイオン交換膜を通る金属イオンの泳動を防止するのに十分により大きく金属イオンのサイズを増加させる。いくつかの実施形態において、電気化学セルにおけるアニオン交換膜は、アノード電解質からカソード電解質へのリガンドに結合している金属イオンの泳動が防止されるようなものである。このような膜は、本明細書の下記に記載されている。いくつかの実施形態において、リガンドに結合している金属イオンの、アノード電解質からカソード電解質への泳動が防止されるように、電気化学セルにおけるアニオン交換膜を、サイズ排除膜と併せて使用し得る。いくつかの実施形態において、金属イオンへのリガンドの結合は、水性媒体中の金属イオンの溶解度を増加させる。いくつかの実施形態において、金属イオンへのリガンドの結合は、電気化学セルおよび反応器における金属の腐食を低減する。いくつかの実施形態において、金属イオンへのリガンドの結合は、反応後にハロゲン化炭化水素からの金属イオンの分離を促進するのに十分により大きく金属イオンのサイズを増加させる。いくつかの実施形態において、リガンドの存在および/または金属イオンへのリガンドの結合は、溶液中の金属イオンの様々なハロゲン化種の形成を防止し、所望の種のみの形成を有利にし得る。例えば、銅イオン溶液中のリガンドの存在は、銅イオンの様々なハロゲン化種、例えば、限定されないが、[CuCl3]2−またはCuCl2 0などの形成を制限し得るが、Cu2+/Cu+イオンの形成を有利にし得る。いくつかの実施形態において、金属イオン溶液中のリガンドの存在および/または結合は、上記の利点の1つまたは複数を提供することによってセルの全体的な電圧を低減する。
「リガンド」は、本明細書において使用する場合、金属イオンの特性を増強することができる任意のリガンドを含む。いくつかの実施形態において、リガンドには、限定されないが、置換または非置換脂肪族ホスフィン、置換または非置換芳香族ホスフィン、置換または非置換アミノホスフィン、置換または非置換クラウンエーテル、置換または非置換脂肪族窒素、置換または非置換環状窒素、置換または非置換脂肪族硫黄、置換または非置換環状硫黄、置換または非置換複素環、および置換または非置換複素環式芳香族化合物が含まれる。
リガンドは、参照により本明細書中にその全体が組み込まれている2013年3月13日に出願された米国特許出願第13/799,131号に詳細に記載されている。
いくつかの実施形態において、電気化学セルにおけるリガンドの濃度は、より低い酸化状態および/またはより高い酸化状態の金属イオンの濃度に依存する。いくつかの実施形態において、リガンドの濃度は、0.25M〜5Mの間;または0.25M〜4Mの間;または0.25M〜3Mの間;または0.5M〜5Mの間;または0.5M〜4Mの間;または0.5M〜3Mの間;または0.5M〜2.5Mの間;または0.5M〜2Mの間;または0.5M〜1.5Mの間;または0.5M〜1Mの間;または1M〜2Mの間;または1.5M〜2.5Mの間;または1.5M〜2Mの間である。
いくつかの実施形態において、リガンドの濃度とCu(I)イオンの濃度の比は、1:1〜4:1の間;または1:1〜3:1の間;または1:1〜2:1の間であるか、あるいは1:1、または2:1、または3:1、または4:1である。
いくつかの実施形態において、触媒反応、すなわち、より高い酸化状態の金属イオンと不飽和または飽和炭化水素との反応において使用される溶液、および電気化学反応において使用される溶液は、4.5M〜7Mの間のより高い酸化状態の金属イオン、例えば、Cu(II)の濃度、0.25M〜1.5Mの間のより低い酸化状態の金属イオン、例えば、Cu(I)の濃度、および0.25M〜6Mの間のリガンドの濃度を含有する。いくつかの実施形態において、溶液中の塩化ナトリウムの濃度は、リガンドおよび/または金属イオンの溶解度;触媒反応の収率および選択性;ならびに/あるいは電気化学セルの効率に影響を与え得る。したがって、いくつかの実施形態において、溶液中の塩化ナトリウムの濃度は、1M〜3Mである。いくつかの実施形態において、触媒反応、すなわち、より高い酸化状態の金属イオンと不飽和または飽和炭化水素との反応において使用される溶液、および電気化学反応において使用される溶液は、4.5M〜7Mの間のより高い酸化状態の金属イオン、例えば、Cu(II)の濃度、0.25M〜1.5Mの間のより低い酸化状態の金属イオン、例えば、Cu(I)の濃度、0.25M〜6Mの間のリガンドの濃度、および1M〜3Mの間の塩化ナトリウムの濃度を含有する。
アノード
いくつかの実施形態において、アノードは、腐食安定性のある導電性のベース支持体を含有し得る。例えば、限定されないが、非晶質炭素、例えば、カーボンブラック、米国特許第4,908,198号に記載されており、SFCTM炭素という商標名で市販されている特異的にフッ素化された炭素のようなフッ素化炭素。導電性のベース材料の他の例には、限定されないが、準化学量論的酸化チタン、例えば、式TiOx(xは、約1.67〜約1.9の範囲である)を有するマグネリ相準化学量論的酸化チタンが含まれる。亜酸化チタンのいくつかの例には、限定されないが、酸化チタンTi4O7が含まれる。導電性のベース材料にはまた、限定されないが、金属チタン酸塩、例えば、MxTiyOz、例えば、MxTi4O7などが含まれる。いくつかの実施形態において、炭素系材料は機械的支持体を提供するか、またはブレンド材料として導電性を増強するが、腐食を防止するための触媒支持体として使用することはできないかもしれない。
いくつかの実施形態において、アノードは、電気触媒でコーティングされていない。いくつかの実施形態において、ガス拡散電極または本明細書に記載されている一般的な電極(アノードおよび/またはカソードを含めた)は、電気化学的解離、例えば、カソードでの酸素の還元またはアノードでの金属イオンの酸化を助けるための電気触媒を含有する。電気触媒の例には、限定されないが、白金族金属の高度に分散した金属または合金、例えば、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、またはこれらの組合せ、例えば、白金−ロジウム、白金−ルテニウム、PtIr混合金属酸化物でコーティングされたチタンメッシュ、または亜鉛めっき白金でコーティングされたチタン;限定されないが、IrO2などの電気触媒金属酸化物;金、タンタル、炭素、黒鉛、有機金属大環状化合物、および酸素の電気化学的還元または金属の酸化のための当該分野で周知の他の電気触媒が含まれる。
いくつかの実施形態において、本明細書で説明する電極は、多孔質の均一な複合構造物ならびに各層がはっきりと区別できる物理的および組成的な構成、例えば空隙率およびフラッディングを防止するための導電性のベースならびに三相界面の喪失および結果としての電極性能を有することができる不均一な層状タイプの複合構造物に関する。
いくつかの実施形態において、本明細書で提供する電極は、浸透および電極の汚れを減少させるのを助けることができる、電極のアノード溶液またはカソード溶液側のまたはそれに隣接した多孔質ポリマー層を有するアノードおよびカソードを含むことができる。安定なポリマー性の樹脂またはフィルムは、アノード液と隣接した複合電極層中に含まれてもよく、これは、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン等の非イオン性ポリマー、あるいは、ポリスチレンスルホン酸、スチレンとビニルベンゼンのスルホン化コポリマー、カルボキシル化ポリマー誘導体、部分または完全フッ素化炭化水素鎖を有するスルホン化またはカルボキシル化ポリマーおよびポリビニルピリジンなどのアミノ化ポリマーから形成されるもののようなイオン型荷電ポリマーから形成される樹脂を含む。安定なミクロ多孔質ポリマーフィルムは、電解質浸透を阻止するためにドライ側にも含まれ得る。いくつかの実施形態において、ガス拡散カソードは金および/または銀などの貴金属、貴金属合金、ならびにニッケルなどの高い表面積コーティングでコーティングされている当該分野で公知のカソードを含む。
いくつかの実施形態において、本明細書において提供する方法およびシステムは、アノードの内側および周りの電解質の拡散の増加を可能とするアノードを含む。アノードの形状および/または幾可学的形状は、アノード室におけるアノードの周りのアノード電解質の流れまたは速度に対して効果を有し得、これは物質移動を改善させ得、セルの電圧を低減させ得ることを出願人らは見出した。いくつかの実施形態において、本明細書において提供する方法およびシステムは、「拡散増強」アノードであるアノードを含む。「拡散増強」アノードは、本明細書において使用する場合、アノード内および/または周りの電解質の拡散を増強させ、それによってアノードにおける反応を増強させるアノードを含む。いくつかの実施形態において、拡散増強アノードは、多孔質アノードである。「多孔質アノード」は、本明細書において使用する場合、その中に細孔を有するアノードを含む。限定されないが、本明細書において提供する方法およびシステムにおいて使用される多孔質アノードなどの拡散増強アノードは、電気化学的システムにおける非拡散または非多孔質アノードより優れた、限定されないが、より高い表面積;活性部位の増加;電圧の減少;アノード電解質による抵抗の減少もしくは除去;電流密度の増加;アノード電解質における乱流の増加;および/または改善された物質移動を含めたいくつかの利点を有し得る。
限定されないが多孔質アノードなどの拡散増強アノードは、平坦、非平坦、またはこれらの組合せであり得る。例えば、いくつかの実施形態において、限定されないが多孔質アノードなどの拡散増強アノードは、限定されないが、拡張平坦化形態、多孔板、網状構造などを含めた平坦状である。いくつかの実施形態において、限定されないが多孔質アノードなどの拡散増強アノードは、拡張メッシュを含み、または平坦拡張メッシュアノードである。
いくつかの実施形態において、限定されないが多孔質アノードなどの拡散増強アノードは、非平坦であり、または波形幾可学的形状を有する。いくつかの実施形態において、アノードの波形幾可学的形状は、アノード電解質に対して乱流のさらなる利点を提供し、アノードにおける物質移動を改善させ得る。「波形」または「波形幾可学的形状」または「波形アノード」は、本明細書において使用する場合、平坦ではない、すなわち非平坦であるアノードを含む。アノードの波形幾可学的形状は、限定されないが、非平坦化、拡張非平坦化、階段状、アンジュレーション、波様、3−D、クリンプ、溝、プリーツ、ひだ、リッジ、ルーシュ、ラッフル、しわ、織ったメッシュ、せん孔タブスタイルなどを含む。
限定されないが多孔質アノードなどの拡散増強アノードの平坦および波形幾可学的形状の数例を、図5に例示する。これらの例は、単なる例示目的であり、これらの幾可学的形状からの任意の他の変動は十分に本発明の範囲内である。図5における図Aは、平坦拡張アノードの一例であり、図5における図Bは、波形アノードの一例である。
上記の方法および実施形態のいくつかの実施形態において、限定されないが多孔質アノードなどの拡散増強アノードの使用は、非拡散または非多孔質アノードと比較して、10〜500mVの間、または50〜250mVの間、または100〜200mVの間、または200〜400mVの間、または25〜450mVの間、または250〜350mVの間、または100〜500mVの間の電圧削減をもたらす。
上記の方法および実施形態のいくつかの実施形態において、波形アノードの使用は、平坦多孔質アノードと比較して、10〜500mVの間、または50〜250mVの間、または100〜200mVの間、または200〜400mVの間、または25〜450mVの間、または250〜350mVの間、または100〜500mVの間の電圧削減をもたらす。
限定されないが多孔質アノードなどの拡散増強アノードは、限定されないが、インチ当たりのメッシュのラインの数であるメッシュ数;孔径;ワイヤーの厚さまたはワイヤー直径;開口面積百分率;波状の振幅;波状の反復周期などを含めた様々なパラメーターによって特徴付けられ得る。限定されないが多孔質アノードなどの拡散増強アノードのこれらの特徴は、限定されないが、アノード反応のための表面積の増加;液抵抗の低減;アノードとカソードの間に印加される電圧の低減;アノードに亘る電解質の乱流の増強;および/またはアノードにおける改善された物質移動などの多孔質アノードの特性に影響し得る。
上記の方法および実施形態のいくつかの実施形態において、限定されないが多孔質アノードなどの拡散増強アノードは、2×1mm〜20×10mmの間;または2×1mm〜10×5mmの間;または2×1mm〜5×5mmの間;または1×1mm〜20×10mmの間;または1×1mm〜10×5mmの間;または1×1mm〜5×5mmの間;または5×1mm〜10×5mmの間;または5×1mm〜20×10mmの間;10×5mm〜20×10mmの間などの範囲の細孔開口サイズを有し得る(図5に例示するように)。多孔質アノードの孔径はまた、細孔の幾可学的形状によって決まり得ることを理解すべきである。例えば、細孔の幾可学的形状は、菱形の形状または正方形の形状であり得る。菱形の形状の幾可学的形状について、孔径は、例えば、3×10mmでもよく、3mmは菱形の幅方向であり、10mmは菱形の長さ方向であり、またはその逆である。正方形の形状の幾可学的形状について、孔径は、例えば、各辺が3mmである。織ったメッシュは、正方形の形状の細孔を有するメッシュであり得、拡張メッシュは、菱形形状の細孔を有するメッシュであり得る。
上記の方法および実施形態のいくつかの実施形態において、限定されないが多孔質アノードなどの拡散増強アノードは、0.5mm〜5mmの間;または0.5mm〜4mmの間;または0.5mm〜3mmの間;または0.5mm〜2mmの間;または0.5mm〜1mmの間;または1mm〜5mmの間;または1mm〜4mmの間;または1mm〜3mmの間;または1mm〜2mmの間;または2mm〜5mmの間;または2mm〜4mmの間;または2mm〜3mmの間;または0.5mm〜2.5mmの間;または0.5mm〜1.5mmの間;または1mm〜1.5mmの間;または1mm〜2.5mmの間;または2.5mm〜3mmの間の範囲;または0.5mm;または1mm;または2mm;または3mmの細孔ワイヤー厚さまたはメッシュ厚さを有し得る(図5に例示するように)。
上記の方法および実施形態のいくつかの実施形態において、限定されないが多孔質アノードなどの拡散増強アノードが波形アノードであるとき、波形アノードは、1mm〜8mmの間;または1mm〜7mmの間;または1mm〜6mmの間;または1mm〜5mmの間;または1mm〜4mmの間;または1mm〜4.5mmの間;または1mm〜3mmの間;または1mm〜2mmの間;または2mm〜8mmの間;または2mm〜6mmの間;または2mm〜4mmの間;または2mm〜3mmの間;または3mm〜8mmの間;または3mm〜7mmの間;または3mm〜5mmの間;または3mm〜4mmの間;または4mm〜8mmの間;または4mm〜5mmの間;または5mm〜7mmの間;または5mm〜8mmの間の範囲の波状振幅を有し得る(図5に例示するように)。
上記の方法および実施形態のいくつかの実施形態において、限定されないが多孔質アノードなどの拡散増強アノードが波形アノードであるとき、波形アノードは、2mm〜35mmの間;または2mm〜32mmの間;または2mm〜30mmの間;または2mm〜25mmの間;または2mm〜20mmの間;または2mm〜16mmの間;または2mm〜10mmの間;または5mm〜35mmの間;または5mm〜30mmの間;または5mm〜25mmの間;または5mm〜20mmの間;または5mm〜16mmの間;または5mm〜10mmの間;または15mm〜35mmの間;または15mm〜30mmの間;または15mm〜25mmの間;または15mm〜20mmの間;または20mm〜35mmの間;または25mm〜30mmの間;または25mm〜35mmの間;または25mm〜30mmの間の範囲の波状周期を有し得る(図には例示せず)。
いくつかの実施形態において、限定されないが多孔質アノードなどの拡散増強アノードは、電気触媒でコーティングされたかまたはされていない導電性ベース金属、例えば、チタンでできている。導電性のベース材料のいくつかの例には、限定されないが、準化学量論的酸化チタン、例えば、式TiOx(xは、約1.67〜約1.9の範囲である)を有するマグネリ相準化学量論的酸化チタンが含まれる。亜酸化チタンのいくつかの例には、限定されないが、酸化チタンTi4O7が含まれる。導電性のベース材料にはまた、限定されないが、金属チタン酸塩、例えば、MxTiyOz、例えば、MxTi4O7などが含まれる。電気触媒の例は本明細書に記載されてきており、限定されないが、白金族金属の高度に分散した金属または合金、例えば、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、またはこれらの組合せ、例えば、白金−ロジウム、白金−ルテニウム、PtIr混合金属酸化物でコーティングされたチタンメッシュ、または亜鉛めっき白金でコーティングされたチタン;限定されないが、IrO2などの電気触媒金属酸化物;金、タンタル、炭素、黒鉛、有機金属大環状化合物、および当該分野で周知の他の電気触媒が含まれる。限定されないが多孔質アノードなどの拡散増強アノードは市販でよく、または適切な金属を用いて製作し得る。電極は、当該分野で周知のプロセスを使用して電気触媒でコーティングし得る。例えば、金属は、コーティングのために触媒溶液に浸漬してもよく、加熱、サンドブラストなどのプロセスに供してもよい。アノードを製作し、触媒でコーティングするこのような方法は、当該分野で周知である。
本明細書に記載されている方法およびシステムのいくつかの実施形態において、乱流促進剤をアノードコンパートメントにおいて使用して、アノードにおける物質移動を改善させる。例えば、電流密度が電気化学セルにおいて増加すると、アノードにおける物質移動によって制御される反応速度が達成される。アノード液の層流は、抵抗および拡散の問題をもたらし得る。アノードにおける物質移動を改善させ、それによってセルの電圧を低減させるために、乱流促進剤を、アノードコンパートメントにおいて使用し得る。「乱流促進剤」は、本明細書において使用する場合、乱流をもたらす、電気化学セルのアノードコンパートメントにおける成分を含む。いくつかの実施形態において、乱流促進剤は、アノードの背面において、すなわちアノードと電気化学セルの壁との間に提供してもよく、かつ/またはいくつかの実施形態において、乱流促進剤は、アノードとアニオン交換膜との間に提供してもよい。単に例として、図1A、1B、2、4Aまたは4Bにおいて示す電気化学的システムは、アノードとイオン交換膜、例えば、アニオン交換膜との間に乱流促進剤を有してもよく、かつ/またはアノードとセルの外壁との間に乱流促進剤を有してもよい。
乱流促進剤の一例は、アノードコンパートメントにおけるガスの泡立ちである。ガスは、アノード液の構成物と反応しない任意の不活性ガスでよい。例えば、ガスは、限定されないが、空気、窒素、アルゴンなどを含む。アノードにおけるガスの泡立ちは、アノード電解質をかき混ぜ、アノードにおける物質移動を改善させることができる。改善された物質移動は、低減された電圧のセルをもたらし得る。乱流促進剤の他の例には、限定されないが、アノードの隣に炭素布を組み込むこと、アノードの隣に炭素/黒鉛フェルトを組み込むこと、アノードの隣の発泡プラスチック、アノードの隣の漁網、上記の組合せなどが含まれる。
カソード
本明細書において提供するカソードのいずれかは、上記のアノードのいずれかと組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態において、本発明の電気化学的システムにおいて使用されるカソードは、水素ガス生成カソードである。
下記は、カソードおよびアノードにおいて起こる反応である。
H2O+e−→1/2H2+OH−(カソード)
ML+→MH++xe−(アノード、x=1〜3)
例えば、Fe2+→Fe3++e−(アノード)
Cr2+→Cr3++e−(アノード)
Sn2+→Sn4++2e−(アノード)
Cu+→Cu2++e−(アノード)
カソードにおいて形成される水素ガスは、外へ出してもよく、または商業目的で捕獲および保管してもよい。アノードにおいて形成されるMH+は、ハロゲン化物イオンまたは硫酸イオン、例えば、塩化物イオンと化合し、限定されないが、FeCl3、CrCl3、SnCl4、またはCuCl2などのより高い酸化状態の金属塩化物を形成する。カソードにおいて形成される水酸化物イオンは、ナトリウムイオンと化合し、水酸化ナトリウムを形成する。本出願における塩化物イオンは、単なる例示目的であり、限定されないが、硫酸イオン、臭化物イオンまたはヨウ化物イオンなどの他の同等のイオンはまた十分に本発明の範囲内であり、アノード電解質中で対応する金属ハロゲン化物または金属硫酸塩をもたらすことを理解すべきである。
いくつかの実施形態において、本発明の電気化学的システムにおいて使用されるカソードは、アルカリを形成しない水素ガス生成カソードである。下記は、カソードおよびアノードにおいて起こる反応である。
2H++2e−→H2(カソード)
ML+→MH++xe−(アノード、x=1〜3)
例えば、Fe2+→Fe3++e−(アノード)
Cr2+→Cr3++e−(アノード)
Sn2+→Sn4++2e−(アノード)
Cu+→Cu2++e−(アノード)
水素ガスは、外へ出してもよく、または商業目的で捕獲および保管してもよい。アノードにおいて形成されるMH+は、ハロゲン化物イオンまたは硫酸イオン、例えば、塩化物イオンと化合し、限定されないが、FeCl3、CrCl3、SnCl4、またはCuCl2などのより高い酸化状態の金属塩化物を形成する。
いくつかの実施形態において、本発明の電気化学的システムにおけるカソードは、ガス拡散カソードであり得る。いくつかの実施形態において、本発明の電気化学的システムにおけるカソードは、カソードにおいてアルカリを形成するガス拡散カソードであり得る。本明細書において使用する場合、「ガス拡散カソード」または「ガス拡散電極」または他のその同等物は、ガスを反応させて、イオン種を形成することができる任意の電極を含む。いくつかの実施形態において、ガス拡散カソードは、本明細書において使用する場合、酸素脱分極化カソード(ODC)である。このようなガス拡散カソードは、ガス拡散電極、酸素消費カソード、酸素還元カソード、酸素吸入カソード、酸素脱分極化カソードなどと称し得る。
下記は、アノードおよびカソードにおいて起こり得る反応である。
H2O+1/2O2+2e−→2OH−(カソード)
ML+→MH++xe−(アノード、x=1〜3)
例えば、2Fe2+→2Fe3++2e−(アノード)
2Cr2+→2Cr3++2e−(アノード)
Sn2+→Sn4++2e−(アノード)
2Cu+→2Cu2++2e−(アノード)
アノードにおいて形成されるMH+はハロゲン化物イオンまたは硫酸イオン、例えば、塩化物イオンと化合し、限定されないが、FeCl3、CrCl3、SnCl4、またはCuCl2などの金属塩化物MClnを形成する。カソードにおいて形成される水酸化物イオンはナトリウムイオンと反応して、水酸化ナトリウムを形成する。カソードにおける酸素は、大気または任意の市販の酸素の源でよい。
本明細書に記載のようなガス拡散カソードまたはODCを含有する方法およびシステムは、水素ガス生成カソードを含む方法およびシステムと比較して、電圧削減をもたらし得る。電圧削減は、電気の発生のためにより少ない電気消費およびより少ない二酸化炭素の排出をもたらし得る。これは、本発明の効率的でエネルギーを削減する方法およびシステムによって形成される、環境により配慮した化学物質、例えば、水酸化ナトリウム、ハロゲン化炭化水素および/または酸の発生をもたらし得る。
ガス拡散カソードまたはODCを含む方法およびシステムは、水素ガス生成カソードを含む方法およびシステムと比較して、電圧削減をもたらす一方、両方のシステム、すなわち、本発明のODCを含有するシステムおよび水素ガス生成カソードを含有するシステムは、当該分野において従前より公知のクロルアルカリシステムと比較して、有意な電圧削減を示す。電圧削減は、電気の発生のためにより少ない電気消費およびより少ない二酸化炭素の排出をもたらし得る。これは、本発明の効率的でエネルギーを削減する方法およびシステムによって形成される、環境により配慮した化学物質、例えば、水酸化ナトリウムおよび/またはハロゲン化炭化水素の発生をもたらし得る。例えば、電圧削減は、ハロゲン化炭化水素、例えば、エチレンと高電圧を消費するクロルアルカリプロセスによって発生する塩素ガスとを反応させることによって典型的には形成されるEDCの生成において有益である。いくつかの実施形態において、本発明の電気化学的システム(水素ガス生成カソードまたはODCを有する2つまたは3つのコンパートメントのセル)は、クロルアルカリプロセスと比較して、0.5V超、または1V超、または1.5V超、または0.5〜3Vの間の理論的電圧削減を有する。いくつかの実施形態において、この電圧削減は、7〜15の間、または7〜14の間、または6〜12の間、または7〜12の間、または7〜10の間のカソード電解質pHによって達成される。
例えば、クロルアルカリプロセスにおける理論的Eアノードは、下記のような反応を受けて、約1.36Vである。
2Cl−→Cl2+2e−
クロルアルカリプロセスにおける理論的Eカソードは、下記のような反応を受けて、(pH>14で)約−0.83Vである。
2H2O+2e−=H2+2OH−
次いで、クロルアルカリプロセスについての理論的E全体は、2.19Vである。本発明のシステムにおける水素ガス生成カソードについての理論的E全体は、0.989〜1.53Vの間であり、次いで、本発明のシステムにおけるODCについてのE全体は、アノード電解質中の銅イオンの濃度に応じて−0.241〜0.3Vの間である。したがって、本発明の電気化学的システムは、クロルアルカリシステムと比較して、3V超または2V超または0.5〜2.5Vの間または0.5〜2.0Vの間または0.5〜1.5Vの間または0.5〜1.0Vの間または1〜1.5Vの間または1〜2Vの間または1〜2.5Vの間または1.5〜2.5Vの間の、カソード室における理論的電圧削減またはセルにおける理論的電圧削減をもたらす。
いくつかの実施形態において、本発明の電気化学的システムにおけるカソードは、HClおよび酸素ガスを反応させて、水を形成するガス拡散カソードであり得る。
下記は、アノードおよびカソードにおいて起こり得る反応である。
2H++1/2O2+2e−→H2O(カソード)
ML+→MH++xe−(アノード、x=1〜3)
例えば、2Fe2+→2Fe3++2e−(アノード)
2Cr2+→2Cr3++2e−(アノード)
Sn2+→Sn4++2e−(アノード)
2Cu+→2Cu2++2e−(アノード)
アノードにおいて形成されるMH+は塩化物イオンと化合し、限定されないが、FeCl3、CrCl3、SnCl4、またはCuCl2などの金属塩化物MClnを形成する。カソードにおける酸素は、大気または任意の市販の酸素の源でよい。
カソード室中のアルカリ
アルカリを含有するカソード電解質は、カソード室から抜き出すことができる。いくつかの実施形態において、本明細書において提供する方法およびシステムにおいて生成されるアルカリは、そのままで商業的に使用されるか、または当該分野で公知の商業的プロセスにおいて使用される。この方法およびシステムにおいて形成されるアルカリの純度は、最終使用要件に応じて変化し得る。例えば、膜を備えた電気化学セルを使用する本明細書で提供する方法およびシステムは、実質的に不純物を含まない場合がある膜品質アルカリを形成することができる。いくつかの実施形態において、膜の使用を回避することによって、またはカソード電解質に炭素を加えることによって、より純度の低いアルカリをまた形成し得る。いくつかの実施形態において、アルカリは、限定されないが、拡散透析を含めた当該分野で公知の技術を使用して、カソード電解質から分離し得る。いくつかの実施形態において、カソード電解質中で形成されるアルカリは、2重量/重量%超または5重量/重量%超または5〜50重量/重量%の間である。
いくつかの実施形態において、システムは、カソード室からアルカリを集め、これを、適切なプロセス(限定されないが、様々な商業的プロセスにおいて使用するために、カソード室において生成されるアルカリを集め、処理し、かつ/または移動させることができるタンク、コレクター、パイプなどを含めた、アルカリを集め、処理する任意の手段であり得る)へと連結するように構成されたコレクターを含む。
いくつかの実施形態において、カソード電解質中で形成されるアルカリは、限定されないが、二酸化炭素とアルカリとを接触させることによるカーボネートおよび/またはバイカーボネートなどの生成物の作製において使用される。二酸化炭素のこのような接触、二酸化炭素の源、ならびにカーボネートおよび/またはバイカーボネート生成物の形成は、参照により本明細書中にその全体が組み込まれている2013年3月13日に出願された米国特許出願第13/799,131号に完全に記載されている。
イオン交換膜
いくつかの実施形態において、カソード電解質およびアノード電解質は、イオン交換膜で部分的にまたは完全に分離されている。いくつかの実施形態において、イオン交換膜はアニオン交換膜またはカチオン交換膜である。いくつかの実施形態において、本明細書で開示するような電気化学セルにおけるカチオン交換膜は慣用的なものであり、例えば、日本(東京)の旭化成;または米国のMembrane International(Glen Rock、NJ)もしくはDuPontから入手可能である。CEMの例には、限定されないが、N2030WX(Dupont)、F8020/F8080(Flemion)、およびF6801(Aciplex)が含まれる。本発明の方法およびシステムにおいて望ましいCEMは、最小の抵抗損失、90%超の選択性、および濃厚なカセイ中での高い安定性を有する。本発明の方法およびシステムにおいて、AEMを濃厚な金属塩アノード液および飽和ブラインストリームに曝露する。AEMが、アノード液への塩イオン、例えば、塩化物イオンの通過は許容するが、アノード液からの金属イオン種を拒絶することが望ましい(図3A)。いくつかの実施形態において、金属塩は、限定されないが、MCl+、MCl2 −、MCl2 0、M2+などを含む様々なイオン種(カチオン性、アニオン性、および/または中性)を形成することができるが、そうした錯体がAEMを通過せず、または膜を汚さないことが望ましい。
いくつかの実施形態において、本明細書において提供する方法およびシステムにおいて使用されるAEMはまた、AEMが有機物と相互作用せず、かつ/またはAEMが金属イオンと反応せず吸収もしないように、有機化合物(例えば、リサイクルされた金属溶液中のリガンドまたは炭化水素)に対して実質的に耐性である。いくつかの実施形態において、これは、単に例として、有機物または金属イオンとの反応に利用可能であるフリーラジカルもアニオンも含有しないポリマーを使用することによって達成することができる。単に例として、完全に四級化されたアミン含有ポリマーを、AEMとして使用し得る。
いくつかの実施形態において、本明細書において提供する方法およびシステムにおいて使用される膜は、補強のための材料で補強されたアイオノマー膜であり、ある特定の厚さのものである。例えば、いくつかの実施形態において、膜の厚さは、20〜130umの間;または20〜110umの間;または20〜110umの間;または20〜80umの間;または20〜75umの間;または20〜60umの間;または20〜50umの間;または20〜40umの間;または20〜35umの間である。いくつかの実施形態において、膜は、限定されないが、ポリマー、例えば、ポリエチレン(PET)、ポリプロピレン(PP)、およびポリエーテルエーテルケトン(PK)、ならびにガラス繊維(GF)などの材料で補強し得る。AEMの補強のために使用し得る他のポリマーは、十分に本発明の範囲内であることが理解される。いくつかの実施形態において、本明細書において提供する方法およびシステムにおいて使用される膜は、限定されないが、70℃超、例えば、70〜200℃の間;または70〜175℃の間;または70〜150℃の間;または70〜100℃の間の温度などの高温を耐えることができる。FumaTechによってFumasepシリーズで販売されている膜のいくつかは、本明細書において提供する方法およびシステムにおいて使用し得る。例には、限定されないが、FAS−PK−130、FAS−PK−75、FAS−PK−50、FAS−PP−20、FAS−PP−130、FAS−PP−75、FAS−PP−50、FAS−PP−20、FAS−PET−130、FAS−PET−75、FAS−PET−50、FAS−PET−20、FAS−GF−75、FAS−GF−50、FAS−GF−20、FAA−PK−130、FAA−PK−75、FAA−PK−50、FAA−PP−20、FAS−PP−130、FAA−PP−75、FAA−PP−50、FAA−PP−20、FAA−PET−130、FAA−PET−75、FAA−PET−50、FAA−PET−20、FAA−GF−75、FAA−GF−50、FAA−GF−20が含まれる。いくつかの実施形態において、本発明の方法およびシステムにおいて使用される膜は、20〜75umの間の厚さを有し、例えば、FAA−PP−75である。上記の膜の命名は、FAAまたはFAS−補強材料−厚さを含む。本明細書において実施例5において提供するのは、本発明の方法およびシステムのために試験してきた膜のいくつかである。
したがって、本明細書において提供するのは、アノード室においてアノードとアノード電解質中の金属イオンとを接触させるステップと;アノードにおいて金属イオンをより低い酸化状態からより高い酸化状態へと変換するステップと;カソード室においてカソードとカソード電解質とを接触させるステップと;カソードにおいてアルカリ、水、または水素ガスを形成するステップと;補強された材料および20〜130umの間の厚さを含むアニオン交換膜を使用するステップとを含む方法である。いくつかの実施形態において、上記の方法は、より高い酸化状態の金属イオンと飽和または不飽和炭化水素とを反応させて、ハロまたはスルホ炭化水素を形成するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記の方法は、本明細書に記載されている反応器構造を使用するステップをさらに含む。分離および/または精製の後、本明細書に記載のように、金属イオン溶液は、再循環されてアノード電解質に戻り得る。このような実施形態において、上記のようなAEMは、金属溶液中の残留する有機物による膜の汚れを防止する。また本明細書において提供するのは、アノード室においてアノードとアノード電解質中の金属イオンとを接触させるステップと;アノードにおいて金属イオンをより低い酸化状態からより高い酸化状態へと変換するステップと;カソード室においてカソードとカソード電解質とを接触させるステップと;カソードにおいてアルカリを形成するステップと;アニオン交換膜によってアノード電解質をブラインコンパートメント(または本明細書の上に記載する第3の電解質)から分離するステップと;カチオン交換膜によってカソード電解質をブラインコンパートメントから分離するステップと;補強された材料および20〜130umの間の厚さを含むアニオン交換膜を使用することによって、アノード電解質からブラインコンパートメントへの金属イオンの泳動を防止するステップとを含む方法である。
上記の方法のいくつかの実施形態において、補強された材料は、限定されないが、ポリマー、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリエーテルエーテルケトン、ならびにガラス繊維から選択される。上記の方法および実施形態のいくつかの実施形態において、AEMの厚さは、20〜75umの間または50〜100umの間である。上記の方法および実施形態のいくつかの実施形態において、アニオン交換膜は、1〜3Ωcm2の間のオーム抵抗を有する。上記の方法および実施形態のいくつかの実施形態において、アニオン交換膜は、第3の電解質またはブラインコンパートメントまたはカソード電解質中へと通過するアノード電解質からの全ての金属イオンのうちの80%超、または90%超、または99%超、または約99.9%を拒絶する。上記の方法および実施形態のいくつかの実施形態において、アニオン交換膜は、70℃超の温度にて動作する。
アノード室においてアノード電解質中の金属イオンと接触しており、アノード室において金属イオンをより低い酸化状態からより高い酸化状態へと変換するように構成されているアノードと;カソード室においてカソード電解質と接触しており、カソード室においてアルカリ、水、または水素ガスを形成するように構成されているカソードと;補強された材料および20〜130umの間または20〜75umの間または50〜100umの間の厚さを含むアニオン交換膜とを含むシステムをまた提供する。アノード室においてアノード電解質中の金属イオンと接触しており、アノード室において金属イオンをより低い酸化状態からより高い酸化状態へと変換するように構成されているアノードと;カソード室においてカソード電解質と接触しており、カソード室においてアルカリを形成するように構成されているカソードと;アノード電解質をブラインコンパートメント(または第3の室)から分離するアニオン交換膜と;カソード電解質をブラインコンパートメントから分離するカチオン交換膜であって、補強された材料および20〜130umの間または20〜75umの間または50〜100umの間の厚さを含むアニオン交換膜とを含むシステムをさらに提供する。
上記のシステムのいくつかの実施形態において、補強された材料は、限定されないが、ポリマー、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリエーテルエーテルケトン、ならびにガラス繊維から選択される。上記のシステムおよび実施形態のいくつかの実施形態において、AEMの厚さは、50〜100umの間である。上記のシステムおよび実施形態のいくつかの実施形態において、アニオン交換膜は、AEMが1〜3Ωcm2の間のオーム抵抗を有するように構成されている。上記のシステムおよび実施形態のいくつかの実施形態において、アニオン交換膜は、AEMがアノード電解質からの全ての金属イオンのうちの80%超、または90%超、または99%超、または約99.9%が第3の電解質またはブラインコンパートメントまたはカソード電解質中に通過することを拒絶するように構成されている。上記のシステムおよび実施形態のいくつかの実施形態において、アニオン交換膜は、70℃超の温度にて動作する。
カチオン交換膜の例には、これに限定されないが、アニオン基、例えばスルホン酸基および/またはカルボン酸基を含むペルフルオロ化ポリマーからなるカチオン膜が含まれる。しかし、いくつかの実施形態において、電解質間での特定のカチオン種またはアニオン種の泳動を制限するかまたは許容する必要性に応じて、より制限的であり、したがって1つの種のカチオンの泳動は許容するが別の種のカチオンの泳動を制限するカチオン交換膜を使用することができること、例えば、アノード電解質からカソード電解質中へのナトリウムイオンの泳動は許容するが、アノード電解質からカソード電解質中への他のイオンの泳動を制限するカチオン交換膜が使用され得ること(図3B)を理解されよう。同様に、いくつかの実施形態において、電解質間での特定のアニオン種の泳動を制限するかまたは許容する必要性に応じて、より制限的であり、したがってアニオンの1つの種の泳動は許容するが別の種のアニオンの泳動を制限するアニオン交換膜を使用することができ、例えば、カソード電解質からアノード電解質中への塩化物イオンの泳動は許容するが、カソード電解質からアノード電解質中への水酸化物イオンの泳動を制限するアニオン交換膜が使用され得る。そうした制限的なカチオン交換膜は市販されており、当業者はそれを選択することができる。
いくつかの実施形態において、膜は、必要に応じて酸性および/または塩基性の電解溶液中で機能できるように選択し得る。膜の他の望ましい特徴は、高いイオン選択性、低いイオン抵抗性、大きい破裂強度、および室温から150℃もしくはそれより高い温度範囲の酸性電解溶液中での高い安定性を含み、または同様の温度範囲のアルカリ性溶液を使用し得る。いくつかの実施形態において、イオン交換膜は、アノード液からカソード液への金属イオンの輸送を防止することが望ましい。いくつかの実施形態において、0℃〜150℃;0℃〜90℃;または0℃〜80℃;または0℃〜70℃;または0℃〜60℃;または0℃〜50℃;または0℃〜40℃、または0℃〜30℃、または0℃〜20℃、または0℃〜10℃、またはより高い範囲で安定な膜を使用することができる。いくつかの実施形態において、0℃〜90℃;または0℃〜80℃;または0℃〜70℃;または0℃〜60℃;または0℃〜50℃;または0℃〜40℃の範囲で安定な膜を使用することができる。他の実施形態については、1つのタイプのカチオンの泳動は許容するが別の泳動は許容しないか、または1つのタイプのアニオンの泳動は許容するが別の泳動は許容しないイオン特異的なイオン交換膜を利用して電解質における1つもしくは複数の所望生成物を達成するのが有用であり得る。いくつかの実施形態において、膜は、0℃〜90℃;または0℃〜80℃;または0℃〜70℃;または0℃〜60℃;または0℃〜50℃;または0℃〜40℃;または0℃〜30℃;または0℃〜20℃;または0℃〜10℃の範囲ならびにより高いおよび/もしくはより低い範囲の温度で、システムにおいて望ましい長さの時間、例えば数日間、数週間もしくは数カ月間または数年間安定であり機能的であってよい。いくつかの実施形態において、例えば、膜は、100℃、90℃、80℃、70℃、60℃、50℃、40℃、30℃、20℃、10℃、5℃の電解質温度およびより高いまたはより低い電解質温度で、少なくとも1日間、少なくとも5日間、10日間、15日間、20日間、100日間、1000日間、5〜10年間またはそれより長く安定であり機能的であってよい。
膜のオーム抵抗は、アノードとカソードの間の電圧低下に影響を及ぼすことができる。例えば、膜のオーム抵抗が増大するにつれて、アノードとカソードの間の電圧は増大し得、逆もまた然りである。使用できる膜には、限定されないが、比較的低いオーム抵抗および比較的高いイオン移動度を有する膜;温度とともに増大する、したがってオーム抵抗を低下させる比較的高い水和特性を有する膜が含まれる。当該分野で公知のより低いオーム抵抗を有する膜を選択することによって、特定の温度でのアノードとカソードの間の電圧低下を減少させることができる。
膜を通して散乱されるものは、酸性基を含むイオンチャンネルであってよい。これらのイオンチャンネルはマトリックスの内部表面から外部表面へ延びていてよく、酸性基は、水和水として可逆反応で水を容易に結合させることができる。水和水としてのこの水の結合は、一次反応速度論に従うことができ、その結果反応速度は温度に比例する。したがって、膜は比較的低いオームおよびイオン抵抗性を提供し、同時にシステムにおいて、動作温度範囲について、改善された強度と抵抗性を提供するように選択することができる。
電解質
本明細書に記載されている方法およびシステムのいくつかの実施形態において、金属イオンを含有するアノード電解質は、より低い酸化状態の金属イオンおよびより高い酸化状態の金属イオンの混合物を含有し得る。いくつかの実施形態において、アノード電解質中により低い酸化状態の金属イオンおよびより高い酸化状態の金属イオンのミックスを有することは望ましくあり得る。いくつかの実施形態において、不飽和または飽和炭化水素と接触するアノード電解質は、より低い酸化状態の金属イオンおよびより高い酸化状態の金属イオンを含有する。いくつかの実施形態において、より低い酸化状態の金属イオンおよびより高い酸化状態の金属イオンは、ハロまたはスルホ炭化水素を形成する金属イオンと不飽和または飽和炭化水素との反応が起こるような比で存在する。いくつかの実施形態において、より高い酸化状態の金属イオンとより低い酸化状態の金属イオンの比は、20:1〜1:20の間、または14:1〜1:2の間;または14:1〜8:1の間;または14:1〜7:1の間:または2:1〜1:2の間;または1:1〜1:2の間;または4:1〜1:2の間;または7:1〜1:2の間である。
本明細書に記載されている方法およびシステムのいくつかの実施形態において、本明細書において提供する電気化学的システムおよび方法におけるアノード電解質は、4〜7Mの範囲のより高い酸化状態の金属イオン、0.1〜2Mの範囲のより低い酸化状態の金属イオン、および1〜3Mの範囲の塩化ナトリウムを含有する。アノード電解質は、0.01〜0.1Mの塩酸を任意選択で含有し得る。本明細書に記載されている方法およびシステムのいくつかの実施形態において、不飽和または飽和炭化水素と反応するアノード電解質は、4〜7Mの範囲のより高い酸化状態の金属イオン、0.1〜2Mの範囲のより低い酸化状態の金属イオンおよび1〜3Mの範囲の塩化ナトリウムを含有する。アノード電解質は、0.01〜0.1Mの塩酸を任意選択で含有し得る。
いくつかの実施形態において、アノード電解質は、より高い電圧効率のために、より低い酸化状態の金属イオンおよび無視できる量または低量のより高い酸化状態の金属イオンを含有し得る。より高い酸化状態の金属イオンは、炭化水素との反応のために反応器中に供給される前に、電気化学セルからの排出金属溶液に補充し得る。金属イオン溶液を反応器から循環させて電気化学セルに戻す前に、より高い酸化状態の金属イオンを除去または分離してもよく、より低い酸化状態の金属イオンを主に含有する溶液は、電気化学セルに供給され得る。電気化学セルの前および後の金属溶液のこのような分離および/または精製を、下記で詳細に記載する。
本明細書に記載されている方法およびシステムのいくつかの実施形態において、アノード電解質は、金属イオンに加えて別のカチオンを含有し得る。他のカチオンには、限定されないが、リチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが限定されないが含まれる。アノード電解質に加える他のカチオンの量は、0.01〜5Mの間;または0.01〜1Mの間;または0.05〜1Mの間;または0.5〜2Mの間;または1〜5Mの間であり得る。
本明細書に記載されている方法およびシステムのいくつかの実施形態において、アノード電解質は、酸を含有し得る。酸をアノード電解質に加えて、アノード液のpHを1または2またはそれ未満にし得る。酸は、塩酸または硫酸であり得る。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている電気化学的システムおよび方法における電解質は、5重量%超の水を含有する水性媒体を含む。いくつかの実施形態において、水性媒体は、5重量%超の水;または5.5重量%超の水;または6重量%超;または20重量%超の水;または50重量%超の水;または80重量%超の水;または90重量%超の水;または約99重量%の水;または5〜100重量%の間の水;または5〜99重量%の間の水;または5〜90重量%の間の水;または5〜70重量%の間の水;または5〜50重量%の間の水;または5〜20重量%の間の水;または5〜10重量%の間の水;または6〜100重量%の間の水;または6〜99重量%の間の水;または6〜90重量%の間の水;または6〜50重量%の間の水;または6〜10重量%の間の水;または10〜100重量%の間の水;または10〜75重量%の間の水;または10〜50重量%の間の水;または20〜100重量%の間の水;または20〜50重量%の間の水;または50〜100重量%の間の水;または50〜75重量%の間の水;または50〜60重量%の間の水;または70〜100重量%の間の水;または70〜90重量%の間の水;または80〜100重量%の間の水を含む。いくつかの実施形態において、水性媒体は、水溶性有機溶媒を含み得る。
本明細書に記載されている方法およびシステムのいくつかの実施形態において、不飽和または飽和炭化水素と接触する、アノード電解質中の総金属イオンの量、またはアノード電解質中の銅の量、またはアノード電解質中の鉄の量、またはアノード電解質中のクロムの量、またはアノード電解質中のスズの量、または白金の量、または金属イオンの量は、1〜12Mの間;または1〜11Mの間;または1〜10Mの間;または1〜9Mの間;または1〜8Mの間;または1〜7Mの間;または1〜6Mの間;または1〜5Mの間;または1〜4Mの間;または1〜3Mの間;または1〜2Mの間;または2〜12Mの間;または2〜11Mの間;または2〜10Mの間;または2〜9Mの間;または2〜8Mの間;または2〜7Mの間;または2〜6Mの間;または2〜5Mの間;または2〜4Mの間;または2〜3Mの間;または3〜12Mの間;または3〜11Mの間;または3〜10Mの間;または3〜9Mの間;または3〜8Mの間;または3〜7Mの間;または3〜6Mの間;または3〜5Mの間;または3〜4Mの間;または4〜12Mの間;または4〜11Mの間;または4〜10Mの間;または4〜9Mの間;または4〜8Mの間;または4〜7Mの間;または4〜6Mの間;または4〜5Mの間;または5〜12Mの間;または5〜11Mの間;または5〜10Mの間;または5〜9Mの間;または5〜8Mの間;または5〜7Mの間;または5〜6Mの間;または6〜12Mの間;または6〜11Mの間;または6〜10Mの間;または6〜9Mの間;または6〜8Mの間;または6〜7Mの間;または7〜12Mの間;または7〜11Mの間;または7〜10Mの間;または7〜9Mの間;または7〜8Mの間;または8〜12Mの間;または8〜11Mの間;または8〜10Mの間;または8〜9Mの間;または9〜12Mの間;または9〜11Mの間;または9〜10Mの間;または10〜12Mの間;または10〜11Mの間;または11〜12Mの間である。いくつかの実施形態において、上記のようなアノード電解質中の総イオンの量は、より低い酸化状態の金属イオンの量プラスより高い酸化状態の金属イオンの量;またはより高い酸化状態の金属イオンの総量;またはより低い酸化状態の金属イオンの総量である。
いくつかの実施形態において、電気化学セルにおいて、より低い酸化状態の金属イオンの濃度は、0.5M〜2Mの間または0.5M〜1Mの間であり、より高い酸化状態の金属イオンの濃度は、4M〜5Mの間である。いくつかの実施形態において、反応器において、より低い酸化状態の金属イオンの濃度は、0.5M〜2Mの間または1M〜2Mの間であり、より高い酸化状態の金属イオンの濃度は、4M〜5Mの間である。いくつかの実施形態において、電気化学セルおよび反応器において、より低い酸化状態の金属イオンの濃度は、0.5M〜2Mの間であり、より高い酸化状態の金属イオンの濃度は、4M〜5Mの間である。
いくつかの実施形態において、本明細書で提供するシステムおよび方法において、カソード液もしくはカソード電解質および/またはアノード液もしくはアノード電解質、あるいはAEMとCEMの間に配置された第3の電解質を含めた水性電解質には、限定されないが、塩水または淡水が含まれる。塩水には、限定されないが、海水、ブラインおよび/または半塩水(brackish water)が含まれる。いくつかの実施形態において、本明細書で提供するシステムおよび方法におけるカソード電解質には、限定されないが、海水、淡水、ブライン、半塩水、水酸化物、例えば水酸化ナトリウムまたはこれらの組合せが含まれる。塩水は、淡水以外のいくつかの異なる種類の水性流体を指すその従来の意味で用いられ、塩水には、限定されないが、半塩水、海水およびブライン(天然由来の地下ブラインまたは人為的地下ブラインおよび人工ブライン、例えば地熱プラント廃水、脱塩廃水等を含む)ならびに淡水の塩分より多い塩分を有する他の塩類溶液(saline)が含まれる。ブラインは塩が飽和またはほぼ飽和している水であり、50ppt(パーツ・パー・サウザンド)またはそれ超の塩分を有する。半塩水は、淡水より塩分を含むが海水ほどは塩分を含まない、0.5〜35pptの範囲の塩分を有する水である。海水は、海または大洋からの水であり、35〜50pptの範囲の塩分を有する。塩水供給源は、海、大洋、湖、沼地、河口、潟等の天然由来の供給源であっても人工の供給源であってもよい。いくつかの実施形態において、本明細書で提供するシステムは、地球上のブラインからの塩水を含む。いくつかの実施形態において、電気化学セルから抜き出された枯渇した塩水に塩を補充し、再循環させて電気化学セルへ戻す。
いくつかの実施形態において、カソード電解質および/またはアノード電解質および/または第3の電解質を含めた電解質、例えば、塩水は、1%超のクロリド含量、例えば、NaCl;または10%超のNaCl;または50%超のNaCl;または70%超のNaCl;または1〜99%の間のNaCl;または1〜70%の間のNaCl;または1〜50%の間のNaCl;または1〜10%の間のNaCl;または10〜99%の間のNaCl;または10〜50%の間のNaCl;または20〜99%の間のNaCl;または20〜50%の間のNaCl;または30〜99%の間のNaCl;または30〜50%の間のNaCl;または40〜99%の間のNaCl;または40〜50%の間のNaCl;または50〜90%の間のNaCl;または60〜99%の間のNaCl;または70〜99%の間のNaCl;または80〜99%の間のNaCl;または90〜99%の間のNaCl;または90〜95%の間のNaClを含有する水を含む。いくつかの実施形態において、上記で記載した百分率は、電解質として塩化アンモニウム、塩化第二鉄、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、または硫酸ナトリウムに適用される。本明細書において記載した百分率は、重量%または重量/重量%または重量/容量%を含む。塩化ナトリウムを含有する本明細書に記載されている全ての電気化学的システムは、限定されないが、塩化アンモニウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウム、またはこれらの組合せなどの他の適切な電解質で置き換えることができることを理解すべきである。
いくつかの実施形態において、カソード電解質、例えば、塩水、淡水、および/または水酸化ナトリウムは、アルカリ土類金属イオンも二価カチオンも含まない。本明細書において使用する場合、二価カチオンは、限定されないが、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウム、ラジウムなどのアルカリ土類金属イオンを含む。いくつかの実施形態において、カソード電解質、例えば、塩水、淡水、および/または水酸化ナトリウムは、1重量/重量%未満の二価カチオンを含む。いくつかの実施形態において、カソード電解質、例えば、海水、淡水、ブライン、半塩水、および/または水酸化ナトリウムは、限定されないが、カルシウム、マグネシウム、およびこれらの組合せを含めた1重量/重量%未満の二価カチオンを含む。
いくつかの実施形態において、アノード電解質は、限定されないが、淡水および金属イオンを含む。いくつかの実施形態において、アノード電解質は、限定されないが、塩水および金属イオンを含む。いくつかの実施形態において、アノード電解質は、金属イオン溶液を含む。
いくつかの実施形態において、セルからの枯渇した塩水は、再循環されてセルに戻され得る。いくつかの実施形態において、カソード電解質は、1〜90%;1〜50%;または1〜40%;または1〜30%;または1〜15%;または1〜20%;または1〜10%;または5〜90%;または5〜50%;または5〜40%;または5〜30%;または5〜20%;または5〜10%;または10〜90%;または10〜50%;または10〜40%;または10〜30%;または10〜20%;または15〜20%;または15〜30%;または20〜30%の水酸化ナトリウム溶液を含む。いくつかの実施形態において、アノード電解質は、0〜6M;または0〜4.5M;または0〜4M;または0〜3.5M;または0〜3M;または0〜2.5M;または0〜2M;または0〜1.5M;または0〜1M;または1〜5M;または1〜4.5M;または1〜4M;または1〜3.5M;または1〜3M;または1〜2.5M;または1〜2M;または1〜1.5M;または2〜5M;または2〜4.5M;または2〜4M;または2〜3.5M;または2〜3M;または2〜2.5M;または3〜5M;または3〜4.5M;または3〜4M;または3〜3.5M;または4〜5M;または4.5〜6Mの金属イオン溶液を含む。いくつかの実施形態において、アノードは、酸素ガスを形成しない。いくつかの実施形態において、アノードは、塩素ガスを形成しない。
いくつかの実施形態において、本明細書において提供する方法において、電気化学セルは、第1の電解質によってコンディショニングしてもよく、第2の電解質によって動作して、低い電流密度での金属塩による膜の汚れを防止し得る。例えば、いくつかの実施形態において、電気化学セルおよびAEM、CEMまたはこれらの組合せは、電解質として、限定されないが、硫酸ナトリウムなどのナトリウム塩、および限定されないが、硫酸第一鉄などの第一鉄塩のミックスでコンディショニングし、混合した電解質による電圧の安定化の後、セルは、電解質として塩化ナトリウム/金属塩化物によって動作し得る。限定されないが、硫酸ナトリウム単独などのナトリウム塩単独によるセルのコンディショニングは、酸素ガスの発生をもたらし得、これは、アノード材料に対して有害であり得ることを出願人らは驚いたことに予想外に見出した。しかし、硫酸ナトリウムに加えて、限定されないが、硫酸第一鉄などの第一鉄塩の使用は、酸素への水分解を防止し、代わりに第一鉄イオンから第二鉄イオンへの酸化還元反応を提供することによって、酸素ガスの発生を回避する。硫酸ナトリウムおよび硫酸第一鉄のミックスを使用するさらなる利点は、酸素がアノードにおいて発生するときのセル電圧と比較して、セル電圧が低いことである。したがって、酸素ガスが発生しているときに必要とされる高電圧整流器とは対照的に、低電圧整流器を使用することができる。金属塩を有するアノードの電位が動作セルの電位より低い限り、他の金属塩を硫酸第一鉄の代わりに使用することができることを理解すべきである。金属塩がAEMを汚さないことがまた望ましい。このような金属塩の例には、限定されないが、第一スズ塩、任意の亜硝酸塩、任意の亜セレン酸塩、任意の亜硫酸塩、任意の亜クロム酸塩、任意の亜リン酸塩、フェロシアン化物、またはこれらの組合せが含まれる。支持電解質、例えば、硫酸ナトリウムは、水性媒体中で可溶性であるが、陽極反応に関与しない任意の塩であり得る。このような塩の例には、限定されないが、任意のアルカリ金属またはアルカリ土類金属イオンの塩化物塩または硫酸塩が含まれる。
したがって、いくつかの実施形態において、アノード室においてアノードと第1のアノード電解質とを接触させるステップであって、第1の電解質は、2種の金属塩の組合せであるステップと;アノード室において第1のアノード電解質によってイオン交換膜をコンディショニングするステップと;アノードと第3の金属イオンを含む第2のアノード電解質とを接触させるステップと;アノードにおいてより低い酸化状態からより高い酸化状態へと第3の金属イオンを酸化させるステップとを含む方法であって、第1の電解質によりイオン交換膜をコンディショニングするステップは、低い電流密度での第2の電解質の金属による膜の汚れを防止する、方法を提供する。いくつかの実施形態において、上記の方法は、カソード室においてカソードとカソード電解質とを接触させるステップと、少なくとも1つのイオン交換膜によってカソードおよびアノードを分離するステップとを含む。いくつかの実施形態において、上記の方法および実施形態は、カソードにおいてアルカリ、水、および/または水素ガスを形成するステップを含む。いくつかの実施形態において、上記の方法および実施形態は、第一鉄塩と混合したナトリウム塩である2種の金属塩の組合せを含む第1のアノード電解質と;塩化ナトリウムである第2のアノード電解質とを含み、第2の電解質中の第3の金属イオンは、銅である。いくつかの実施形態において、方法は、より高い酸化状態の金属イオンを含む第2のアノード電解質を不飽和および/または飽和炭化水素と接触させて、ハロゲン化炭化水素を形成するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、イオン交換膜は、カチオン交換膜(CEM)、アニオン交換膜(AEM)、またはこれらの組合せである。
カソード電解質に望ましいアルカリ性の度合いに応じて、カソード電解質のpHは調整することができ、いくつかの実施形態において、6〜12の間;または7〜14の間もしくはそれ超;または7〜13の間;または7〜12の間;または7〜11の間;または10〜14の間もしくはそれ超;または10〜13の間;または10〜12の間;または10〜11の間に維持される。いくつかの実施形態において、カソード電解質のpHは、7〜14の間またはそれ超、pH12未満、pH7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、および/またはそれ超の任意の値に調整することができる。
同様に、システムのいくつかの実施形態において、アノード電解質のpHを調整し、0〜7の間;または0〜6の間;または0〜5の間;または0〜4の間;または0〜3の間;または0〜2の間;または0〜1の間に維持する。アノードとカソードの間の電圧は、アノード電解質とカソード電解質の間のpH差(当該分野で周知のネルンストの式によって決定することができる)を含むいくつかの因子に依存する可能性があるので、いくつかの実施形態において、アノード電解質のpHを、アノードとカソードの間の所望の動作電圧に応じて、0、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5および7を含む0〜7の間の値に調整することができる。したがって、例えばクロルアルカリプロセスの場合のような、使用エネルギーを削減し、かつ/またはアノードとカソードの間の電圧を低下させることが望ましい同等なシステムでは、二酸化炭素または溶存二酸化炭素を含有する溶液をカソード電解質に加えて、アノード電解質とカソード電解質の間の所望pH差を達成することができる。
システムは、アノード電解質のpH、カソード電解質のpH、カソード電解質中の水酸化物の濃度、アノード電解質の抜き出しおよび補充、ならびに/またはカソード電解質の抜き出しおよび補充を調節することによって、アノード電解質とカソード電解質の間に任意の所望のpH差を生じさせるように構成することができる。アノード電解質とカソード電解質の間のpH差を調節することによって、アノードとカソードの間の電圧を調節することができる。いくつかの実施形態において、システムは、アノード電解質とカソード電解質の間に、少なくとも4pH単位;少なくとも5pH単位;少なくとも6pH単位;少なくとも7pH単位;少なくとも8pH単位;少なくとも9pH単位;または4〜12pH単位の間;または4〜9pH単位の間;または3〜12pH単位の間;または3〜9pH単位の間;または5〜12pH単位の間;または5〜9pH単位の間;または6〜12pH単位の間;または6〜9pH単位の間;または7〜12pH単位の間;または7〜9pH単位の間;または8〜12pH単位の間;または8〜9pH単位の間のpH差を生じさせるように構成されている。いくつかの実施形態において、システムは、アノード電解質とカソード電解質の間に、少なくとも4pH単位のpH差を生じさせるように構成されている。
いくつかの実施形態において、本明細書において提供する方法およびシステムにおいて、電気化学セルにおけるアノード電解質およびカソード電解質は、室温にて、あるいは高温、例えば、40℃超、もしくは50℃超、もしくは60℃超、もしくは70℃超、もしくは80℃超、もしくはそれ超、または30〜70℃の間、もしくは70〜150℃の間にて動作させる。
いくつかの実施形態において、本明細書において提供するシステムは、クロルアルカリプロセス、またはODCを有するクロルアルカリプロセス、またはアノード室において金属イオンをより低い酸化状態からより高い酸化状態へと酸化させる任意の他のプロセスと比較して、アルカリを生じさせる低電圧からゼロ電圧のシステムをもたらす。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているシステムは、2.5V未満;または2V未満;または1.2V未満;または1.1V未満;または1V未満;または0.9V未満;または0.8V未満;または0.7V未満;または0.6V未満;または0.5V未満;または0.4V未満;または0.3V未満;または0.2V未満;または0.1V未満;または0ボルト;または0〜1.2Vの間;または0〜1Vの間;または0〜0.5Vの間;または0.5〜1Vの間;または0.5〜2Vの間;または0〜0.1Vの間;または0.1〜1Vの間;または0.1〜2Vの間;または0.01〜0.5Vの間;または0.01〜1.2Vの間;または1〜1.2Vの間;または0.2〜1Vの間;または0V;または0.5V;または0.6V;または0.7V;または0.8V;または0.9V;または1Vの電圧で作動する。
本明細書において使用する場合、「電圧」は、電気化学セルにおけるアノードとカソードとの間の所望の反応を推進する、電気化学セルに印加するか、または電気化学セルから取り出される電圧もしくはバイアスを含む。いくつかの実施形態において、カソード電解質中でアルカリ性溶液、水、または水素ガスが形成され、アノードにおいて金属イオンが酸化されるように、所望の反応は、アノードとカソードの間の電子移動であり得る。いくつかの実施形態において、アノード電解質中でより低い酸化状態の金属イオンからより高い酸化状態の金属イオンが形成されるように、所望の反応は、アノードとカソードの間の電子移動であり得る。電気化学セルのアノードおよびカソードの間に電流を印加するために、任意の手段によって電圧を電気化学セルに印加し得る。このような手段は当該分野で周知であり、限定されないが、装置、例えば、電力源、燃料電池、太陽光によって動力を供給される装置、風によって動力を供給される装置、およびこれらの組合せが含まれる。電流を提供する電力源のタイプは、当業者には公知の任意の電源でよい。例えば、いくつかの実施形態において、セルのアノードおよびカソードを外部の直流(DC)電源に接続することによって、電圧を印加し得る。電源は、DCに整流される交流(AC)でよい。DC電源は、必要な量の電圧を電気化学セルに印加する、調整可能な電圧および電流を有し得る。
いくつかの実施形態において、電気化学セルに印加される電流は、少なくとも50mA/cm2;または少なくとも100mA/cm2;または少なくとも150mA/cm2;または少なくとも200mA/cm2;または少なくとも500mA/cm2;または少なくとも1000mA/cm2;または少なくとも1500mA/cm2;または少なくとも2000mA/cm2;または少なくとも2500mA/cm2;または100〜2500mA/cm2の間;または100〜2000mA/cm2の間;または100〜1500mA/cm2の間;または100〜1000mA/cm2の間;または100〜500mA/cm2の間;または200〜2500mA/cm2の間;または200〜2000mA/cm2の間;または200〜1500mA/cm2の間;または200〜1000mA/cm2の間;または200〜500mA/cm2の間;または500〜2500mA/cm2の間;または500〜2000mA/cm2の間;または500〜1500mA/cm2の間;または500〜1000mA/cm2の間;または1000〜2500mA/cm2の間;または1000〜2000mA/cm2の間;または1000〜1500mA/cm2の間;または1500〜2500mA/cm2の間;または1500〜2000mA/cm2の間;または2000〜2500mA/cm2の間である。
いくつかの実施形態において、印加する電流が100〜250mA/cm2または100〜150mA/cm2または100〜200mA/cm2または100〜300mA/cm2または100〜400mA/cm2または100〜500mA/cm2または150〜200mA/cm2または200〜150mA/cm2または200〜300mA/cm2または200〜400mA/cm2または200〜500mA/cm2または150mA/cm2または200mA/cm2または300mA/cm2または400mA/cm2または500mA/cm2または600mA/cm2である場合、セルは0〜3Vの間の電圧で作動する。いくつかの実施形態において、セルは、0〜1Vの間で作動する。いくつかの実施形態において、印加する電流が100〜250mA/cm2または100〜150mA/cm2または150〜200mA/cm2または150mA/cm2または200mA/cm2である場合、セルは、0〜1.5Vの間で作動する。いくつかの実施形態において、セルは、100〜250mA/cm2または100〜150mA/cm2または150〜200mA/cm2または150mA/cm2または200mA/cm2のアンペア負荷にて0〜1Vの間で作動する。いくつかの実施形態において、セルは、100〜250mA/cm2または100〜150mA/cm2または150〜200mA/cm2または150mA/cm2または200mA/cm2の電流またはアンペア負荷にて0.5Vで作動する。
いくつかの実施形態において、本明細書において提供するシステムおよび方法は、アノードとイオン交換膜との間に、および/またはカソードとイオン交換膜との間にパーコレーターおよび/またはスペーサーをさらに含む。パーコレーターおよび/またはスペーサーを含有する電気化学的システムは、2011年2月14日に出願された米国特許仮出願第61/442,573号(これは、本開示において、その全体が参考として本明細書中に援用される)に記載されている。
本明細書において提供するシステムは、本明細書に記載されている1つまたは複数の方法のいずれかに適用可能であるか、あるいはそれらのために使用することができる。いくつかの実施形態において、本明細書において提供するシステムは、カソード室に動作可能に接続されている酸素ガス供給または送達システムをさらに含む。酸素ガス送達システムは、酸素ガスをガス拡散カソードに提供するように構成されている。いくつかの実施形態において、酸素ガス送達システムは、ガスをガス拡散カソードに送達するように構成されており、ここでガスの還元は触媒されて水酸化物イオンを与える。いくつかの実施形態において、酸素ガスおよび水は、水酸化物イオンに還元され、システム中の未反応の酸素ガスは回収され、カソードに再循環される。酸素ガスは、外部の源からカソードへと酸素ガスを方向付けるための任意の手段を使用してカソードに供給され得る。外部の源からカソードへと酸素ガスを方向付けるためのこのような手段、または酸素ガス送達システムは当該分野で周知であり、限定されないが、パイプ、ダクト、およびコンジットなどが含まれる。いくつかの実施形態において、このシステムまたは酸素ガス送達システムは、外部の源からの酸素ガスをカソードへと方向付けるダクトを含む。酸素ガスを、セルの底面、セルの上部または横からカソードへと方向付けてもよいことを理解すべきである。いくつかの実施形態において、酸素ガスを、カソードの裏面に方向付け、ここで、酸素ガスは、カソード液と直接接触していない。いくつかの実施形態において、酸素ガスは、複数の入口を通してカソードに方向付けてもよい。本明細書において提供する方法およびシステムにおいてガス拡散カソードに酸素ガスを提供する酸素の源は、当該分野において公知の酸素の任意の源を含む。このような源には、限定されないが、周囲空気、シリンダーからの商用グレード酸素ガス、液化空気の分留によって得られる酸素ガス、空気をゼオライトの床を通過させることによって得られる酸素ガス、水の電気分解から得られる酸素ガス、高圧力または電流のいずれかによって二酸化ジルコニウムをベースとしたセラミック膜を通して空気を押し進めることによって得られる酸素、化学的酸素発生器、断熱タンカー中の液体としての酸素ガス、あるいはこれらの組合せが含まれる。いくつかの実施形態において、酸素の源はまた、二酸化炭素ガスを提供し得る。いくつかの実施形態において、酸素ガスの源からの酸素は、カソード室に与えられる前に精製され得る。いくつかの実施形態において、酸素ガスの源からの酸素は、カソード室においてそのままで使用される。
不飽和炭化水素または飽和炭化水素との反応
いくつかの実施形態において、図1A、1B、2、4A、または4Bの電気化学的システムのアノード電解質中のより高い酸化状態を伴って形成される金属は、飽和または不飽和炭化水素と反応し、金属に結合しているアニオンに基づいて、対応するハロ炭化水素またはスルホ炭化水素を形成し得る。例えば、金属塩化物、金属臭化物、金属ヨウ化物、または金属硫酸塩などは、不飽和炭化水素と金属ハロゲン化物または金属硫酸塩との反応の後に、対応するクロロ炭化水素、ブロモ炭化水素、ヨード炭化水素、またはスルホ炭化水素をもたらし得る。いくつかの実施形態において、金属ハロゲン化物または金属硫酸塩と不飽和炭化水素との反応は、上記の生成物、およびより低い酸化状態の金属ハロゲン化物または金属硫酸塩の発生をもたらす。次いで、より高い酸化状態の金属イオンを発生させるために、より低い酸化状態の金属イオンを再循環させて電気化学的システムに戻してもよい。再循環させて電気化学セルに戻される前の金属イオンの分離および精製を、本明細書に下記で記載する。
「ハロ炭化水素」または「ハロゲン化炭化水素」は、本明細書において使用する場合、ハロ置換炭化水素を含み、ハロは、許容される価数に基づいて炭化水素に結合することができる任意の数のハロゲンであり得る。ハロゲンには、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードが含まれる。ハロ炭化水素の例には、クロロ炭化水素、ブロモ炭化水素、およびヨード炭化水素が含まれる。クロロ炭化水素には、限定されないが、モノクロロ炭化水素、ジクロロ炭化水素、トリクロロ炭化水素などが含まれる。限定されないが、金属塩化物、金属臭化物および金属ヨウ化物などの金属ハロゲン化物について、アノード室によって生成されるより高い酸化状態を有する金属塩化物、金属臭化物または金属ヨウ化物は、限定されないが、モノクロロ炭化水素、ジクロロ炭化水素、トリクロロ炭化水素、モノブロモ炭化水素、ジブロモ炭化水素、トリブロモ炭化水素、モノヨード炭化水素、ジヨード炭化水素、トリヨード炭化水素などのクロロ、ブロモまたはヨード炭化水素の発生などの限定されないが他の目的のために使用することができる。ハロまたはスルホ炭化水素中の炭化水素は、そこからハロまたはスルホ炭化水素が発生する任意の炭化水素である。例えば、EDCは、二重結合に塩素原子を付加することによってエチレンから発生したハロゲン化炭化水素であるか、またはEDCは、塩素原子による水素の置換えによってエタンから発生したハロゲン化炭化水素である。
「スルホ炭化水素」は、本明細書において使用する場合、許容される価数に基づいて、1つまたは複数の−SO3Hまたは−OSO2OHで置換されている炭化水素を含む。
「不飽和炭化水素」は、本明細書において使用する場合、不飽和炭素を有する炭化水素、または隣接する炭素原子の間に少なくとも1つの二重結合および/もしくは少なくとも1つの三重結合を有する炭化水素を含む。不飽和炭化水素は、直鎖、分枝鎖状、または環状(芳香族もしくは非芳香族)でよい。例えば、炭化水素は、オレフィン族、アセチレン族、非芳香族、例えば、シクロヘキセン、芳香族基または置換不飽和炭化水素(限定されないが、ハロゲン化不飽和炭化水素など)でよい。少なくとも1つの二重結合を有する炭化水素は、オレフィンまたはアルケンと称してもよく、CnH2nとしての非置換アルケンの一般式を有してもよく、nは、2〜20、または2〜10、または2〜8、または2〜5である。いくつかの実施形態において、アルケン上の1つまたは複数の水素は、限定されないが、ハロゲン(クロロ、ブロモ、ヨード、およびフルオロを含む)、カルボン酸(−COOH)、ヒドロキシル(−OH)、アミンなどの他の官能基でさらに置換されていてもよい。不飽和炭化水素は、限定されないが、シスおよびトランス異性体、EおよびZ異性体、位置異性体などの、不飽和部分の全ての異性体形態を含む。
置換または非置換アルケンの例には、限定されないが、エチレン、クロロエチレン、ブロモエチレン、ヨードエチレン、プロピレン、クロロプロピレン、ヒドロキシルプロピレン、1−ブチレン、2−ブチレン(シスまたはトランス)、イソブチレン、1,3−ブタジエン、ペンチレン、ヘキセン、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロヘキセンなどが含まれる。
少なくとも1つの三重結合を有する炭化水素は、アルキンと称してもよく、CnH2n−2として非置換アルキンの一般式を有してもよく、ここで、nは、2〜10、または2〜8、または2〜5である。いくつかの実施形態において、アルキン上の1つまたは複数の水素は、限定されないが、ハロゲン、カルボン酸、ヒドロキシルなどの他の官能基でさらに置換されていてもよい。置換または非置換アルキンの例には、限定されないが、アセチレン、プロピン、クロロプロピン、ブロモプロピン、ブチン、ペンチン、ヘキシンなどが含まれる。
いくつかの実施形態において、不飽和炭化水素は、上記の方法およびシステムの実施形態において、および本明細書に記載のように、C2〜C10アルケンまたはC2〜C8アルケンまたはC2〜C6アルケンまたはC2〜C5アルケンまたはC2〜C4アルケンまたはC2〜C3アルケンである。いくつかの実施形態において、不飽和炭化水素は、上記の方法およびシステムの実施形態において、および本明細書に記載のように、C2〜C10アルキンまたはC2〜C8アルキンまたはC2〜C6アルキンまたはC2〜C5アルキンまたはC2〜C4アルキンまたはC2〜C3アルキンである。本明細書に記載されている方法およびシステムのいくつかの実施形態において、本明細書に記載されている不飽和炭化水素は、エチレンである。このような不飽和炭化水素から形成されるハロ炭化水素は、例えば、二塩化エチレン(EDC)、クロロエタノール、塩化ブチル、ジクロロブタン、クロロブタノールなどである。
いくつかの方法およびシステムの実施形態において、アノードは、塩素ガスを生成しない。いくつかの方法およびシステムの実施形態において、より高い酸化状態の金属イオンによる不飽和炭化水素の処理は、酸素ガスおよび/または塩素ガスを必要としない。いくつかの方法およびシステムの実施形態において、アノードは、塩素ガスを生成せず、より高い酸化状態の金属イオンによる不飽和炭化水素の処理は、酸素ガスおよび/または塩素ガスを必要としない。
図2の電気化学的システムの例は、図6において例示する通りである。図6のシステム600は、単なる例示目的であり、異なる酸化状態を有する他の金属イオンと、他の不飽和炭化水素と、カソード室においてアルカリ以外の生成物、例えば、水または水素ガスを形成する他の電気化学的システムは、上記システムに等しく適用可能であることを理解すべきである。いくつかの実施形態において、図6に例示するように、電気化学的システム600は、水および酸素から水酸化物イオンを生成する酸素脱分極化カソードを含む。システム600はまた、金属イオンを1+の酸化状態から2+の酸化状態へと変換するアノードを含む。Cu2+イオンは塩化物イオンと化合し、CuCl2を形成する。次いで、金属塩化物CuCl2は、限定されないがエチレンなどの不飽和炭化水素と反応して、金属イオンのより低い酸化状態への還元を受け、CuCl、および限定されないが二塩化エチレンなどのジクロロ炭化水素を形成することができる。次いで、CuClは、CuCl2への変換のために再循環されてアノード室に戻される。本明細書に記載のように、反応器に進入するCuCl2を含むアノード電解質はまた、CuClを含有し得、エチレンとの反応の後で反応器から排出されるCuClを含む金属溶液はまた、CuCl2を含有し得ることを理解すべきである。
本発明の方法およびシステムによって形成される二塩化エチレンは、任意の商業目的で使用することができる。いくつかの実施形態において、二塩化エチレンは、クラッキング/精製などのプロセスによって、塩化ビニルモノマー(VCM)形成に供される。塩化ビニルモノマーは、ポリ塩化ビニルの生成において使用され得る。いくつかの実施形態において、VCMへのEDCの変換の間に形成される塩酸は分離され、アセチレンと反応して、VCMをさらに形成し得る。いくつかの実施形態において、VCM形成のプロセスにおいて発生するHClは、本明細書に記載されている電気化学的システムの1つまたは複数に循環させてもよく、ここでHClは、カソードまたはアノード電解質中で使用され、カソードにおいて水素ガスまたは水を形成する。
いくつかの実施形態において、より高い酸化状態の金属塩化物を有する水性媒体中のエチレンの塩素化は、二塩化エチレン、クロロエタノール、またはこれらの組合せをもたらす。本明細書に記載されている方法およびシステムのいくつかの実施形態において、エチレンからの10重量%超;または20重量%超、または30重量%超、または40重量%超、または50重量%超、または60重量%超、または70重量%超、または80重量%超、または90重量%超、または95重量%超、または約99重量%、または約10〜99重量%の間、または約10〜95重量%の間、または約15〜95重量%の間、または約25〜95重量%の間、または約50〜95重量%の間、または約50〜99重量%の間、または約50〜99.9重量%の間、または約50〜99.99重量%の間の二塩化エチレンの形成が存在する。いくつかの実施形態において、残りの重量パーセントは、他の微量な副生成物を任意選択でまた含有するクロロエタノールのものであり得る。いくつかの実施形態において、反応においてクロロエタノールは形成されない。いくつかの実施形態において、0.001重量%未満または0.01重量%未満または0.1重量%未満または0.5重量%未満または1重量%未満または5重量%未満または10重量%未満または20重量%未満のクロロエタノールは、反応において形成され、残りはEDCである(他の微量な副生成物をまた含有し得る)。いくつかの実施形態において、0.001重量%未満または0.01重量%未満または0.1重量%未満または0.5重量%未満または1重量%未満または5重量%未満の金属イオンが、EDC生成物中に存在する。いくつかの実施形態において、0.001重量%未満または0.01重量%未満または0.1重量%未満のクロロエタノールおよび/または金属イオンが、EDC生成物中に存在する。他の副生成物がまた、本明細書に記載のように形成し得る。
いくつかの実施形態において、金属イオンを含有するEDC生成物を、有機溶媒によってすすぐステップ、またはEDC生成物をカラムに通して金属イオンを除去するステップを含み得る洗浄ステップに供し得る。いくつかの実施形態において、EDC生成物は、蒸留によって精製してもよく、ここで副生成物、例えば、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、1,1−ジクロロエテン、トリクロロエチレン、テトラクロロエテン、クロラール(CCl3CHO)および/または抱水クロラール(2,2,2−トリクロロエタン−1,1−ジオール)のいずれかが形成される場合、これらを分離し得る。有機生成物の分離および精製は、下記のような図9A、9B、および9Cにおいて記載し、例示する。
いくつかの実施形態において、不飽和炭化水素は、C3アルケン、例えば、プロペンである。いくつかの実施形態において、より高い酸化状態の金属イオン、例えば、CuCl2をプロペンで処理し、二塩化プロパン(C3H6Cl2)またはジクロロプロパン(DCP)がもたらされ、これは塩化アリル(C3H5Cl)を作製するために使用することができる。いくつかの実施形態において、不飽和炭化水素は、C4アルケン、例えば、ブテンまたはブチレンである。いくつかの実施形態において、より高い酸化状態の金属イオン、例えば、CuCl2をブテンで処理し、二塩化ブタン(C4H8Cl2)またはジクロロブテン(C4H6Cl2)がもたらされ、これはクロロプレン(C4H5Cl)を作製するために使用することができる。いくつかの実施形態において、不飽和炭化水素は、C5アルケン、例えば、ペンテンまたはC6アルケン、例えば、ヘキセンであり、対応するハロ生成物がもたらされる。いくつかの実施形態において、不飽和炭化水素は、芳香族、例えば、ベンゼンである。いくつかの実施形態において、より高い酸化状態の金属イオン、例えば、CuCl2をベンゼンで処理し、クロロベンゼンがもたらされる。いくつかの実施形態において、より高い酸化状態の金属イオン、例えば、CuCl2をC2アルキン、例えば、アセチレンで処理し、クロロアセチレン、ジクロロアセチレン、塩化ビニル、ジクロロエテン、テトラクロロエテン、またはこれらの組合せがもたらされる。いくつかの実施形態において、適切な不飽和炭化水素をより高い酸化状態の金属塩化物で処理し、限定されないが、二塩化エチレン、クロロエタノール、クロロプロペン、(さらにデヒドロ塩素化された)プロピレンオキシド、塩化アリル、塩化メチル、トリクロロエチレン、テトラクロロエテン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、1,1−ジクロロエテン、クロロフェノール、塩素化トルエンなどを含む生成物を形成する。
いくつかの実施形態において、金属イオンを使用した、(例えば、本明細書に記載されている反応器を使用した)不飽和炭化水素からのハロゲン化炭化水素の収率、例えば、エチレンからのEDCの収率またはプロピレンからのDCPの収率、またはブテンからのジクロロブテンは、90重量%超または95重量%超または90〜95重量%の間または90〜99重量%の間または90〜99.9重量%の間である。いくつかの実施形態において、金属イオンを使用した、不飽和炭化水素からのハロゲン化炭化水素の選択性、例えば、エチレンからのEDCの選択性またはプロピレンからのDCPの選択性、またはブテンからのジクロロブテンは、80重量%超または90重量%超または80〜99重量%の間である。いくつかの実施形態において、金属イオンを使用した、不飽和炭化水素からのハロゲン化炭化水素のSTY(空時収率)、例えば、エチレンからのEDCのSTY、またはプロピレンからのDCPのSTY、またはブテンからのジクロロブテンは、0.1超、または0.5超であり、あるいは1、または1超、または2超、または3超、または4超、または5超、または0.1〜3の間、または0.5〜3の間、または0.5〜2の間、または0.5〜1の間、または3〜5の間、または3〜6の間、または3〜8の間である。本明細書において使用する場合、STYは、反応器容量当たりの時間単位当たりの収率である。例えば、生成物の収率はモルで、時間単位は時間で、容量はリットルで表し得る(例えば、実施例9を参照されたい)。容量は反応器の名目容量でよく、例えば、充填床反応器において、充填床を保持する容器の容量は、反応器の容量である。STYはまた、生成物を形成するために消費される不飽和または飽和炭化水素の消費に基づいてSTYとして表し得る。単に例として、いくつかの実施形態において、二塩化エチレン生成物のSTYは、反応の間に消費されるエチレンの量から推定し得る(例えば、実施例10を参照されたい)。選択性は、生成物のモル数/消費された不飽和または飽和炭化水素のモル数(例えば、単に、作製されたEDCのモル数/消費されたエチレンのモル数)であり得る。収率は、単離した生成物の量であり得る。純度は、生成物の量/全ての生成物の総量(例えば、単に、EDCの量/形成した全ての有機生成物)であり得る。
いくつかの実施形態において、電気化学的システムのアノード電解質中のより高い酸化状態を伴って形成される金属は、飽和炭化水素と反応し、金属に結合しているアニオンに基づいて、対応するハロ炭化水素またはスルホ炭化水素を形成し得る。例えば、金属塩化物、金属臭化物、金属ヨウ化物、または金属硫酸塩などは、飽和炭化水素と金属ハロゲン化物または金属硫酸塩との反応の後に、対応するクロロ炭化水素、ブロモ炭化水素、ヨード炭化水素、またはスルホ炭化水素をもたらし得る。いくつかの実施形態において、金属ハロゲン化物または金属硫酸塩と飽和炭化水素との反応は、生成物、およびより低い酸化状態の金属ハロゲン化物または金属硫酸塩の発生をもたらす。次いで、より高い酸化状態の金属イオンを発生させるために、より低い酸化状態の金属イオンを再循環させて電気化学的システムに戻してもよい。
「飽和炭化水素」は、本明細書において使用する場合、不飽和炭素も不飽和炭化水素も有さない炭化水素を含む。炭化水素は、直鎖、分枝鎖状、または環状でよい。例えば、炭化水素は、置換または非置換アルカンおよび/あるいは置換または非置換シクロアルカンでよい。炭化水素は、CnH2n+2として非置換アルカンの一般式を有してもよく、nは、2〜20または2〜10または2〜8、または2〜5である。いくつかの実施形態において、アルカンまたはシクロアルカン上の1つまたは複数の水素は、限定されないが、ハロゲン(クロロ、ブロモ、ヨード、およびフルオロを含む)、カルボン酸(−COOH)、ヒドロキシル(−OH)、アミンなどの他の官能基でさらに置換されていてもよい。
置換または非置換アルカンCnH2n+2(式中、nは、2〜20または2〜10または2〜8、または2〜6または2〜5である)の例には、限定されないが、メタン、エタン、クロロエタン、ブロモエタン、ヨードエタン、プロパン、クロロプロパン、ヒドロキシプロパン、ブタン、クロロブタン、ヒドロキシブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロペンタン、クロロシクロペンタン、オクタン、デカンなどが含まれる。
図6において例示する電気化学的システムの例は、不飽和炭化水素を飽和炭化水素で置き換えることによって、飽和炭化水素用に構成することができることを理解すべきである。したがって、適切な金属イオン、例えば、塩化白金、塩化パラジウム、塩化銅などを使用し得る。
いくつかの実施形態において、より高い酸化状態の金属塩化物を用いる水性媒体中のエタンの塩素化は、塩化エタン、二塩化エタン、またはこれらの組合せをもたらす。本明細書に記載されている方法およびシステムのいくつかの実施形態において、エタンからの10重量%超;または20重量%超、または30重量%超、または40重量%超、または50重量%超、または60重量%超、または70重量%超、または80重量%超、または90重量%超、または95重量%超、または約99重量%、または約10〜99重量%の間、または約10〜95重量%の間、または約15〜95重量%の間、または約25〜95重量%の間、または約50〜95重量%の間、または約50〜99重量%の間、または約50〜99.9重量%の間、または約50〜99.99重量%の間のクロロエタン(塩化エタン)の形成が存在する。いくつかの実施形態において、残りの重量パーセントは、他の微量な副生成物を任意選択で含むクロロエタノールおよび/または二塩化エチレンである。いくつかの実施形態において、反応においてクロロエタノールは形成されない。いくつかの実施形態において、0.001重量%未満または0.01重量%未満または0.1重量%未満または0.5重量%未満または1重量%未満または5重量%未満または10重量%未満または20重量%未満のクロロエタノールは、反応において残りの生成物と共に形成される。いくつかの実施形態において、0.001重量%未満または0.01重量%未満または0.1重量%未満または0.5重量%未満または1重量%未満または5重量%未満の金属イオンが、生成物中に存在する。いくつかの実施形態において、0.001重量%未満または0.01重量%未満または0.1重量%未満のクロロエタノールおよび/または金属イオンが、生成物中に存在する。
いくつかの実施形態において、金属イオンを使用した、飽和炭化水素からのハロゲン化炭化水素の収率、例えば、エタンからのクロロエタンまたはEDCの収率は、90重量%超または95重量%超または90〜95重量%の間または90〜99重量%の間または90〜99.9重量%の間である。いくつかの実施形態において、金属イオンを使用した、飽和炭化水素からのハロゲン化炭化水素の選択性、例えば、エタンからのクロロエタンまたはEDCの収率は、80重量%超または90%重量超または80〜99重量%の間である。いくつかの実施形態において、飽和炭化水素からのハロゲン化炭化水素のSTY(空時収率)は、0.1超、または1、または0.5超、または1超、または2超、または3超、または4超、または5超、または0.1〜3の間、または0.5〜3の間、または0.5〜2の間、または0.5〜1の間、または3〜5の間または3〜6の間または3〜8の間である。
本明細書において提供するシステムは、ハロゲン化またはスルホン化反応が行われる、アノード室に動作可能に接続されている反応器を含む。「反応器」は、本明細書において使用する場合、本明細書において提供されるハロゲン化またはスルホン化反応が内部で行われる任意の容器またはユニットである。反応器は、アノード電解質中の金属塩化物または金属硫酸塩と不飽和または飽和炭化水素とを接触させるように構成されている。反応器は、アノード電解質中の金属塩化物または金属硫酸塩と不飽和または飽和炭化水素とを接触させるための任意の手段でよい。このような手段またはこのような反応器は当該分野で周知であり、限定されないが、パイプ、カラム、ダクト、タンク、一連のタンク、コンテナ、塔、コンジットなどが含まれる。このような反応器のいくつかの例を、明細書において図7および8に記載する。反応器の構造をまた本明細書の下記に記載する。反応器は、反応をモニターし、制御し、かつ/または促進するための温度センサー、圧力センサー、制御機構、不活性ガス注入器などを制御する1つまたは複数のコントローラーを備えていてもよい。
電気化学的システムに接続されている反応器の例示的な例を、図7において例示する。図7に例示するように、電気化学的システムのアノード室(電気化学的システムは、本明細書に記載されている任意の電気化学的システムでよい)は、反応器に接続されており、この反応器は不飽和または飽和炭化水素の源(例が図7においてエチレン(C2H4)として例示されている)にまた接続されている。いくつかの実施形態において、電気化学的システムおよび反応器は、同じユニットの内側であり、ユニットの内側において接続されている。エチレンと共に、より低い酸化状態の金属イオンを任意選択で伴うより高い酸化状態の金属イオンを含有するアノード電解質を、プレストレスト(例えば、れんがを内張りした)反応器に供給する。エチレンの塩素化は、反応器の内側で起こり、二塩化エチレン(EDCまたはジクロロエタン(DCE))およびより低い酸化状態の金属イオンを形成する。
反応器流出ガスは、プレストレスト(例えば、れんがを内張りした)充填塔において水でクエンチし得る(図7において「クエンチ」反応器として示す)。塔から出る液体をさらに冷却し、水相およびEDC相に分離し得る。水相は分割してもよく、一部はクエンチ水として塔へとリサイクルし、残りは、反応器または電気化学的システムへとリサイクルしてもよい。EDC生成物をさらに冷却し、フラッシュし、さらなる水および溶解したエチレンを分離し得る。この溶解したエチレンは、図7に示されているようにリサイクルし得る。クエンチ塔からの凝縮されていないガスは、不活性物を除去するパージ流を除いて反応器にリサイクルし得る。パージ流は、エチレン回収システムを通り抜け、エチレンの全体的な利用を高く、例えば、95%ほどに高く維持し得る。実験的決定は、実際のプロセス温度、圧力および組成物でのエチレンガスについての燃焼限界で行い得る。プラントの建設材料は、プレストレストれんが内張り、Hastealloys BおよびC、inconel、ドーパント用グレードのチタン(例えば、AKOT、グレードII)、タンタル、Kynar、Teflon(登録商標)、PEEK、ガラス、または他のポリマーもしくはプラスチックを含み得る。反応器はまた、反応器の内外にアノード電解質が連続的に流れるように設計され得る。
電気化学的システムに接続されている反応器の別の例示的な例は、図8において例示する通りである。図8に例示するように、反応器システム800は、フランジのヘッドに溶接した金属ボールソケットによって出口ラインCと接続された金属フランジBの上部部分から吊されたガラス製容器Aである。ガラス製反応器は、電気的に加熱された金属シェルDに入れられている。熱入力および温度は、自動温度レギュレーターによって制御し得る。炭化水素は、開口部Eを通して、およびガラスチューブFを通して、フリットガラスの足を取り付けてもよい金属シェル中に導入してもよい。この配置は、ガラス製反応器の両側での均圧をもたらし得る。炭化水素は、反応器の底面において金属溶液(より高い酸化状態の金属)と接触させてもよく、媒体に吹き込まれてもよい。揮発性生成物、水蒸気、および/または未反応炭化水素は、圧力を大気圧に低減し得るバルブHを任意選択で備えたラインCを介して出してもよい。排出ガスを適当なトラップシステムに通過させて、生成物を取り出し得る。水性金属媒体を通過させることなく、圧力ゾーンにおけるガスの通過を可能にするバイパス配置Gを、器具にまた取り付け得る。いくつかの実施形態において、容器中に残されたより低い酸化状態の還元された金属イオンは、本明細書に記載のような電気分解に供され、より高い酸化状態の金属イオンが再生される。
限定されないがEDCなどのハロゲン化炭化水素が、高選択性、高収率、および/または高STYを伴って生成されるように反応器中の条件を選択し得ることを出願人らは見出した。
いくつかの実施形態において、より高い酸化状態の金属イオンを有する金属塩化物と不飽和または飽和炭化水素との間の反応は、本明細書において提供する反応器において、限定されないが、100〜200℃の間または100〜175℃の間または150〜185℃の間または150〜175℃の間の温度;100〜500psigの間または100〜400psigの間または100〜300psigの間または150〜350psigの間または200〜300psigの間の圧力、あるいはこれらの組合せを含めた反応条件下で行われる。本明細書において提供する反応器は、100〜200℃の間または100〜185℃の間または150〜200℃の間または150〜175℃の間の温度;100〜500psigの間または100〜400psigの間または100〜300psigの間または150〜350psigの間または200〜300psigの間の圧力、あるいはこれらの組合せで動作するように構成されている。いくつかの実施形態において、反応器の成分は、Teflon(登録商標)で内張りされて、成分の腐食を防止する。いくつかの実施形態において、本明細書において提供する反応器は、限定されないが、135〜180℃の間、または135〜175℃の間、または140〜180℃の間、または140〜170℃の間、または140〜160℃の間、または150〜180℃の間、または150〜170℃の間、または150〜160℃の間、または155〜165℃の間、または140℃、または150℃、または160℃、または170℃および200〜300psigの範囲の温度および圧力を含めた反応条件下で動作し得る。いくつかの実施形態において、本明細書において提供する反応器は、限定されないが、135〜180℃の間、または135〜175℃の間、または140〜180℃の間、または140〜170℃の間、または140〜160℃の間、または150〜180℃の間および200〜300psigの間の範囲の温度および圧力を含めた反応条件下で動作し得る。いくつかの実施形態において、上記の温度および圧力条件は、限定されないが、高選択性、高収率、および/または高STYでのEDCなどのハロゲン化炭化水素の生成をもたらす。例えば、いくつかの実施形態において、上記の温度および圧力は、約0.1超のSTYまたは約0.5超のSTYまたは0.1〜5の間のSTY、または0.5〜3の間のSTY、または0.5〜2の間、または0.5〜1の間、あるいは約80%超の選択性または80〜99%の間の選択性でのハロゲン化炭化水素の生成をもたらす。
他の反応条件の1つまたは複数は、限定されないが、金属イオン濃度、アノード電解質中のより低い酸化状態の金属イオンとより高い酸化状態の金属イオンの比、不飽和もしくは飽和炭化水素(例えば、エチレン)および水蒸気の分圧、アノード電解質の流量、不飽和もしくは飽和炭化水素の流量、密度(金属塩濃度の関数)、粘度、および/または反応時間などを含み、これらを設定して、高選択性、高収率、および/または高STYの動作を保証することができる。様々な反応条件は、実施例セクションにおいて例示してきた。例えば、金属イオン濃度およびアノード電解質中のより低い酸化状態の金属イオンとより高い酸化状態の金属イオンの比を、本明細書の記載および実施例に記載してきた。アノード液の流量はまた実施例9および10において記載してきており、150〜300kg/hの間;または150〜500kg/hの間;または150〜1000kg/hの間;または150〜250kg/hの間であり得る。
反応熱は、水を気化させることによって、または熱交換ユニットを使用することによって除去し得る。いくつかの実施形態において、冷却面は、反応器において必要とされなくてもよく、このように温度勾配または精密な温度制御は必要とされなくてもよい。
いくつかの実施形態において、アノードとアノード電解質とを接触させるステップであって、アノード電解質が、金属イオンを含むステップと;アノードにおいて金属イオンをより低い酸化状態からより高い酸化状態へと酸化させるステップと;水性媒体中で、不飽和または飽和炭化水素をより高い酸化状態の金属イオンを含むアノード電解質と反応させ、ハロゲン化またはスルホン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物およびより低い酸化状態の金属イオンを形成するステップであって、約0.1超のSTYもしくは約0.5超のSTYもしくは0.1〜5の間のSTY、もしくは0.5〜3の間のSTY、または約80%超の選択性もしくは80〜99%の間の選択性でハロゲン化またはスルホン化炭化水素を生成するのに都合がよい反応条件の1つまたは複数の下で行われるステップとを含む方法を提供する。上記の実施形態のいくつかの実施形態において、反応条件の1つまたは複数は、100〜200℃の間、または150〜250℃の間の温度、100〜300psigの間、または200〜300psigの間の圧力、例えば、1〜8Mの間または3〜8Mの間の金属イオン濃度、アノード電解質中のより低い酸化状態の金属イオンとより高い酸化状態の金属イオンの比、不飽和もしくは飽和炭化水素の分圧、水蒸気の分圧、例えば、150〜300kg/hの間のアノード電解質の流量、不飽和もしくは飽和炭化水素の流量、アノード電解質もしくは水性媒体の密度、アノード電解質の粘度、反応時間、またはこれらの組合せを含む。上記の実施形態のいくつかの実施形態において、方法は、カソードとカソード電解質とを接触させて、カソード電解質中でアルカリ、水、および/または水素ガスを形成するステップをさらに含む。上記の実施形態のいくつかの実施形態において、反応条件は、0.3〜1の間;または0.5〜2の間;または0.5〜1の間;または0.5〜3の間のSTYでハロゲン化炭化水素生成物を生じさせる。上記の実施形態のいくつかの実施形態において、反応条件は、80%超;または約80〜99%の間;または約80〜99.9%の間;または約90〜99.9%の間;または約95〜99.9%の間の選択性でハロゲン化またはスルホン化炭化水素生成物を生じさせる。上記の実施形態のいくつかの実施形態において、反応条件は、80%超;または約80〜99%の間;または約80〜99.9%の間;または約90〜99.9%の間;または約95〜99.9%の間の収率を有するハロゲン化またはスルホン化炭化水素生成物を生じさせる。上記の実施形態のいくつかの実施形態において、反応条件は、90%超の純度(ハロゲン化炭化水素生成物の量/全ての生成物の量)または95%超の純度または99%超の純度または99.9%超の純度でハロゲン化またはスルホン化炭化水素生成物を生じさせる。上記の実施形態のいくつかの実施形態は、金属イオン溶液からハロゲン化またはスルホン化炭化水素を分離および/または精製するステップをさらに含む。上記の実施形態のいくつかの実施形態は、より低い酸化状態の金属イオンを含み、かつより高い酸化状態の金属イオンを任意選択で含む分離した金属イオン溶液を再循環させてアノード電解質に戻すステップをさらに含む。上記の実施形態のいくつかの実施形態において、金属イオン、不飽和および/もしくは飽和炭化水素、ならびに/またはハロゲン化もしくはスルホン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物は、全て本明細書に記載してきた。上記の実施形態のいくつかの実施形態において、金属イオンは、銅である。上記の実施形態のいくつかの実施形態において、不飽和炭化水素は、エチレンである。上記の実施形態のいくつかの実施形態において、飽和炭化水素は、エタンである。上記の実施形態のいくつかの実施形態において、ハロゲン化炭化水素は、EDCである。
さらに、限定されないが、EDCなどのハロゲン化またはスルホン化炭化水素が、高選択性、高収率、高純度、および/または高STYで生成されるように、反応器の設計および構造を選択し得ることを出願人らは見出した。反応器が、充填カラムまたはトリクル床反応器、またはこれらの組合せである場合、反応器構造は、限定されないが、反応器の設計、例えば、長さ/直径比、液体およびガスの流量、建設の材料、充填材料およびタイプを含む。いくつかの実施形態において、システムは、1つの反応器、または互いに接続されており、もしくは別々に動作する一連の複数の反応器を含み得る。反応器は、限定されないが、充填材料を満たした中空チューブ、パイプ、カラム、または他の容器などの充填床であり得る。反応器は、トリクル床反応器であり得る。いくつかの実施形態において、充填床反応器は、金属イオンを含有する水性媒体および不飽和または飽和炭化水素(例えば、エチレンガス)が反応器において向流的に流れるように構成されている反応器を含むか、または金属イオンを含有する水性媒体が反応器の上部から流入し、エチレンガスが底面から、例えば、限定されないが、250psiにて圧入される反応器を含む。いくつかの実施形態において、後者の場合、エチレンガスが消費され、圧力が低下するときのみ、さらなるエチレンガスが反応器中に流れるように、エチレンガスに圧力をかけ得る。トリクル床反応器は、金属イオンを含有する水性媒体および不飽和または飽和炭化水素(例えば、エチレンガス)が反応器において同時に流れる反応器を含む。
いくつかの実施形態において、不飽和または飽和炭化水素供給原料は、連続的または断続的にハロゲン化またはスルホン化容器または反応器に供給し得る。効率的なハロゲン化またはスルホン化は、溶液中の供給原料と金属イオンとの間の密接な接触の達成によって決まってもよく、ハロゲン化またはスルホン化反応は、このような接触を改善または最大化するように設計された技術によって行い得る。金属イオン溶液は、撹拌または振とうまたは任意の所望の技術によってかき混ぜてもよい。例えば、反応はカラム、例えば、充填カラム、またはトリクル床反応器または本明細書に記載されている反応器において行われてもよい。例えば、不飽和または飽和炭化水素がガス状である場合、向流技術を用いてもよく、ここで不飽和または飽和炭化水素は、カラムまたは反応器を通過して上方向に行き、金属イオン溶液はカラムまたは反応器を通過して下方向に行く。溶液中の不飽和または飽和炭化水素と金属イオンとの接触を増強することに加えて、本明細書に記載されている技術はまた、溶液が水性であり、かつ不飽和または飽和炭化水素の水溶性が低い場合に望ましい場合があるので、溶液中の不飽和または飽和炭化水素の溶解速度を増強し得る。供給原料の溶解はまた、より高い圧力によって補助され得る。
いくつかの実施形態において、反応器(トリクル床または充填床反応器であり得る)は、反応器の長さ(または高さ)/直径比が2〜40の間(例えば、2:1〜40:1);または2〜35の間;または2〜30の間;または2〜20の間;または2〜15の間;または2〜10の間;または2〜5の間;または3〜40の間;または3〜35の間;または3〜30の間;または3〜20の間;または3〜10の間;または3〜5の間;または4〜40の間;または4〜35の間;または4〜30の間;または4〜20の間;または4〜10の間;または4〜5の間;または6〜40の間;または6〜35の間;または6〜30の間;または6〜20の間;または6〜10の間;または10〜40の間;または10〜35の間;または10〜30の間;または10〜25の間;または10〜20の間;または10〜15の間;または15〜40の間;または15〜35の間;または15〜30の間;または15〜25の間;または20〜40の間;または20〜35の間;または20〜30の間;または20〜25の間;または25〜40の間;または25〜35の間;または25〜30の間;または30〜40の間であるように構成されている。いくつかの実施形態において、上記の直径は、反応器の外径である。いくつかの実施形態において、上記の直径は、反応器の内径である。例えば、いくつかの実施形態において、反応器の長さ/直径比は、約2〜15の間;または2〜20の間;または2〜25の間;または10〜15の間;または10〜25の間;または20〜25の間;または20〜30の間;または30〜40の間;または35〜40の間;または4〜25の間;または6〜15の間;または2:1〜40:1の間;または2:1〜10:1の間または約3:1または約4:1である。
様々な形状、サイズ、構造、濡れ性、形態などの種々の充填材料を、本明細書に記載されている充填床またはトリクル床反応器において使用し得る。充填材料には、限定されないが、ポリマー(例えば、Teflon(登録商標)のみのPTFE)、セラミック、ガラス、金属、天然物(木材または樹皮)、またはこれらの組合せが含まれる。いくつかの実施形態において、充填は、構造的充填、または荒充填もしくは非構造的充填もしくはランダム充填、またはこれらの組合せでよい。「構造的充填」は、本明細書において使用する場合、流動性のない波形金属板または金網を含む。いくつかの実施形態において、個々にまたはスタックでの構造的充填材料は、反応器の直径に完全にフィットする。「非構造的充填」または「荒充填」または「ランダム充填」は、本明細書において使用する場合、流動性のある空隙を満たす充填材料を含む。
荒充填または非構造的充填またはランダム充填の材料の例には、限定されないが、ラシヒリング(例えば、セラミック材料の)、ポールリング(例えば、金属およびプラスチックの)、レッシングリング、michael bialeckiリング(例えば、金属の)、ベルルサドル、インタロックスサドル(例えば、セラミックの)、スーパーインタロックスサドル、tellerette(登録商標)リング(例えば、ポリマー材料のらせん形状)などが含まれる。
いくつかの実施形態において、非構造的充填材料のサイズは様々であり得、約2mmから約5インチの間または1インチの約1/4から約5インチの間であり得る。いくつかの実施形態において、充填材料のサイズは、約2mmから約5インチの間;または約2mmから約4インチの間;または約2mmから約3インチの間;または約2mmから約2インチの間;または約2mmから約1インチの間;または約2mmから約1/2インチの間;または約2mmから約1/4インチの間;または1インチの約1/4から約5インチの間;または1インチの約1/4から約4インチの間;または1インチの約1/4から約3インチの間;または1インチの約1/4から約2インチの間;または1インチの約1/4から約1インチの間;または1インチの約1/4から約1/2インチの間;または1インチの約1/3から約5インチの間;または1インチの約1/3から約2インチの間;または1インチの約1/2から約5インチの間;または1インチの約1/2から約4インチの間;または1インチの約1/2から約3インチの間;または1インチの約1/2から約2インチの間;または1インチの約1/2から約1インチの間;または約1インチから約5インチの間;または約1インチから約4インチの間;または約1インチから約3インチの間;または約1インチから約2インチの間;または約1インチから約1/2インチの間;または約1インチから約1/4インチの間;または約2インチから約5インチの間;または約3インチから約5インチの間;または約4インチから約5インチの間である。いくつかの実施形態において、充填材料のサイズは、1インチの約1/4から約4インチの間;または1インチの約1/2から約3インチの間;または約1インチから約2インチの間である。
構造的充填材料の例には、限定されないが、比表面積を有する異なる形状の薄い波形金属板または金網(ハニカム構造物)が含まれる。構造的充填材料は、反応器の直径にフィットし得る直径を有するリングもしくは層、またはリングもしくは層のスタックとして使用し得る。リングは、反応器を完全に満たす個々のリングまたはリングのスタックであり得る。いくつかの実施形態において、反応器における構造的充填によって取り残された空隙は、非構造的充填材料で満たされる。
構造的充填材料の例には、限定されないが、Flexipac(登録商標)、Intalox(登録商標)、Flexipac(登録商標)HC(登録商標)などが含まれる。構造的充填材料において、波形シートは、交差したパターンでアレンジされ、蒸気相のための流れチャネルを生じさせ得る。波形シートの交差点は、液相および蒸気相のための混合ポイントを生じさせ得る。構造的充填材料は、カラム(反応器)の軸を中心に回転し、全ての方向への蒸気および液体ストリームのクロスミキシングおよび拡散を提供し得る。構造的充填材料は、様々な波状サイズで使用されてもよく、充填物構造は、反応器の最も高い効率、能力、および圧力低下の必要条件を達成するように最適化し得る。構造的充填材料は、限定されないが、チタン、ステンレス鋼合金、炭素鋼、アルミニウム、ニッケル合金、銅合金、ジルコニウム、熱可塑性物質など含めた建設の材料でできていてもよい。構造的充填材料における波状クリンプは、限定されないが、水平面から45°の傾斜角を有するYと称される充填物または水平面から60°の傾斜角を有するXと称される充填物を含めた任意のサイズのものでよい。X充填物は、同じ表面積についての理論段階毎により低い圧力低下を提供し得る。構造的充填物の比表面積は、50〜800m2/m3の間;または75〜350m2/m3の間;または200〜800m2/m3の間;または150〜800m2/m3の間;または500〜800m2/m3の間であり得る。
いくつかの実施形態において、上記のような構造的または非構造的充填材料は、生成物の分離および精製のための、本明細書に記載されている蒸留またはフラッシュカラムにおいて使用される。
したがって、いくつかの実施形態において、金属イオンを含むアノード電解質と接触しており、金属イオンをより低い酸化状態からより高い酸化状態へと酸化させるように構成されているアノードを含むアノード室を含む電気化学的システムと;アノード室に動作可能に接続されており、かつより高い酸化状態の金属イオンを含むアノード電解質と不飽和および/または飽和炭化水素とを接触させて、ハロゲン化またはスルホン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物およびより低い酸化状態の金属イオンを形成するように構成されている反応器であって、2〜40の間、または2〜30の間、または4〜25の間、または2〜10の間、または15〜40の間、または30〜40の間(例えば、30:1〜40:1の間)の長さ:直径比を有する反応器を有するシステムを提供する。上記の実施形態のいくつかの実施形態において、電気化学的システムは、カソード電解質と接触しているカソードを含むカソード室をさらに含み、カソードは、カソード電解質中でアルカリ、水、および/または水素ガスを形成するように構成されている。上記の実施形態のいくつかの実施形態において、反応器は、充填床反応器またはトリクル床反応器である。上記の実施形態のいくつかの実施形態において、反応器は、限定されないが、構造的充填物、非構造的充填物、またはこれらの組合せを含めた充填材料で充填されている。荒充填または非構造的充填またはランダム充填の材料の例には、限定されないが、ラシヒリング(例えば、セラミック材料の)、ポールリング(例えば、金属およびプラスチックの)、レッシングリング、michael bialeckiリング(例えば、金属の)、ベルルサドル、インタロックスサドル(例えば、セラミックの)、スーパーインタロックスサドル、tellerette(登録商標)リング(例えば、ポリマー材料のらせん形状)などが含まれる。構造的充填材料の例には、限定されないが、異なる形状の薄い波形金属板または金網(ハニカム構造物)が含まれる。上記の実施形態のいくつかの実施形態において、非構造的充填材料のサイズは変化してもよく、約2mm〜約5インチの間;または1インチの約1/4〜約5インチの間;または3mm〜1インチの約1/4の間;または1インチの1/4〜1インチの約1/2の間であり得る。上記の実施形態のいくつかの実施形態において、反応器は、0.5超;または0.3〜1の間;または0.5〜2の間;または0.5〜1の間;または0.5〜3の間のSTYでハロゲン化またはスルホン化炭化水素生成物を生成するように構成されている。上記の実施形態のいくつかの実施形態において、反応器は、80%超;または約80〜99%の間;または約80〜99.9%の間;または約90〜99.9%の間;または約95〜99.9%の間の選択性でハロゲン化またはスルホン化炭化水素生成物を生成するように構成されている。上記の実施形態のいくつかの実施形態は、金属イオン溶液からハロゲン化またはスルホン化炭化水素を分離および/または精製するセパレーターをさらに含む。上記の実施形態のいくつかの実施形態は、より低い酸化状態の金属イオンを含み、かつより高い酸化状態の金属イオンを任意選択で含む分離した金属イオン溶液を再循環させてアノード電解質に戻す再循環システムをさらに含む。上記の実施形態のいくつかの実施形態において、金属イオン、不飽和および/もしくは飽和炭化水素、および/またはハロゲン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物は、全て本明細書に記載してきた。上記の実施形態のいくつかの実施形態において、金属イオンは、銅である。上記の実施形態のいくつかの実施形態において、不飽和炭化水素は、エチレンである。上記の実施形態のいくつかの実施形態において、飽和炭化水素は、エタンである。上記の実施形態のいくつかの実施形態において、ハロゲン化炭化水素は、EDCである。
反応器構造および充填材料の様々な例を、本明細書において提供してきた。
いくつかの実施形態において、反応器は、生成物の反応および分離の両方のために構成し得る。このような反応器の詳細な記載を、本明細書の下において分離および精製セクションにおいて提供する。
本明細書に記載されているプロセスおよびシステムは、バッチプロセスもしくはシステム、または連続流プロセスもしくはシステムであり得る。
本明細書に記載されている全ての電気化学的システムおよび反応器システムならびに方法は、5重量%超の水または6重量%超の水または水性媒体中で行う。一態様において、方法およびシステムは、全て水性媒体中である、電気化学セルにおいて金属酸化反応およびセルの外側で還元反応を行う利点を提供する。不飽和または飽和炭化水素のハロゲン化またはスルホン化における水性媒体の使用は、生成物の高収率および高選択性をもたらすだけでなく(本明細書において実施例に示す)、水性媒体中でのより低い酸化状態の還元された金属イオンの発生をもたらしたが、これは再循環されて電気化学的システムに戻されることができる。いくつかの実施形態において、電気化学セルは水性媒体中で効率的に作動するため、水性媒体中で不飽和または飽和炭化水素と反応する、より高い酸化状態の金属イオンを含有するアノード電解質から、(例えば、共沸蒸留によって)水を除去することは必要とされず、または最小の除去が必要とされる。したがって、電気化学セルおよび触媒作用システムの両方における水性媒体の使用は、本発明の効率的でよりエネルギー集約型でない統合システムおよび方法を提供する。
本明細書における態様および実施形態において記載されているような不飽和または飽和炭化水素と、より高い酸化状態の金属イオンとの反応は、水性媒体中で行われる。いくつかの実施形態において、このような反応は、炭化水素供給原料のための溶媒であり得る非水性液体媒体においてでよい。液体媒体または溶媒は、水性であっても非水性であってもよい。適切な非水性溶媒は、極性および非極性の非プロトン性溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ハロゲン化炭化水素、単に例として、ジクロロメタン、四塩化炭素、および1,2−ジクロロエタン、ならびに有機ニトリル、例えば、アセトニトリルである。有機溶媒は、より低い酸化状態の金属と化学結合を形成することができる窒素原子を含有し、それによってより低い酸化状態の金属イオンに増強された安定性を与え得る。いくつかの実施形態において、アセトニトリルは、上記有機溶媒である。
いくつかの実施形態において、有機溶媒が、より高い酸化状態の金属イオンと炭化水素との間の反応のために使用されるとき、水を金属含有媒体から除去する必要があり得る。このように、本明細書に記載されている電気化学的システムから得られる金属イオンは、水を含有し得る。いくつかの実施形態において、混合物の共沸蒸留によって、金属イオン含有媒体から水を除去し得る。いくつかの実施形態において、より高い酸化状態の金属イオンおよび不飽和または飽和炭化水素を含有する溶媒は、反応媒体中に5〜90%;または5〜80%;または5〜70%;または5〜60%;または5〜50%;または5〜40%;または5〜30%;または5〜20%;または5〜10重量%の間の水を含有し得る。反応媒体において許容し得る水の量は、媒体中の特定のハロゲン化物担体次第でよく、許容できる水の量は、例えば、塩化第二鉄に対してよりも塩化銅に対しての方がより多い。水性媒体が反応において使用されるとき、このような共沸蒸留を回避し得る。
いくつかの実施形態において、より高い酸化状態の金属イオンと、不飽和または飽和炭化水素との反応は、反応温度が50℃より高く350℃までであるときに起こり得る。水性媒体中で、反応は50℃〜200℃、典型的には約120℃〜約180℃の温度で、1000psiまでまたはそれ未満の超大気圧下で行われ、反応媒体を液相に維持し得る。
いくつかの実施形態において、より高い酸化状態の金属イオンと、不飽和または飽和炭化水素との反応は、ハロゲン化物担体を含み得る。いくつかの実施形態において、ハロゲン化物イオン:より高い酸化状態の総金属イオンの比は、1:1;または1:1を超える比;または1.5:1;または2:1を超える比、および/または少なくとも3:1である。このように、例えば、濃塩酸中のハロゲン化第二銅溶液における比は、約2:1または3:1であり得る。いくつかの実施形態において、ハロゲン化物担体の高い使用率に起因して、高濃度の金属ハロゲン化物を使用し、金属ハロゲン化物の飽和またはほぼ飽和した溶液を用いることが望ましくあり得る。必要に応じて、溶液は緩衝され、ハロゲン化反応の間、pHを所望のレベルに維持し得る。
いくつかの実施形態において、金属の非ハロゲン化塩を、より高い酸化状態の金属イオンを含有する溶液に加えてもよい。加えた金属塩は、金属ハロゲン化物溶液に可溶性であり得る。塩化第二銅溶液中に組み込むのに適した適切な塩の例には、限定されないが、硫酸銅、硝酸銅およびテトラフルオロホウ酸銅が含まれる。いくつかの実施形態において、方法およびシステムにおいて用いられる金属ハロゲン化物と異なる金属ハロゲン化物を加えてもよい。例えば、塩化第二鉄を、不飽和炭化水素のハロゲン化の時点で塩化第二銅システムに加えてもよい。
飽和、不飽和炭化水素および/または部分的ハロゲン化炭化水素の混合物を用いてもよい。いくつかの実施形態において、さらなるハロゲン化が可能な本発明のプロセスの部分的ハロゲン化生成物は、生成物回収段階、および適当な場合、より低い酸化状態の金属イオン再生段階を通して再循環されて反応容器に戻され得る。いくつかの実施形態において、ハロゲン化反応は、ハロゲン化反応容器の外側で、例えば、別の再生容器中で継続してもよく、不飽和または飽和炭化水素の過剰なハロゲン化を回避するための反応の制御において、注意が払われる必要があり得る。
生成物および金属の分離および精製
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている方法およびシステムは、金属イオンからのハロゲン化炭化水素および/または他の有機生成物(本明細書に記載のような飽和または不飽和炭化水素とより高い酸化状態の金属イオンとの反応の間および/または後に形成される)の分離および精製、ならびに金属イオン溶液を循環させて電気化学セルに戻す前の金属イオンの分離および精製(例えば、図1A)を含む。いくつかの実施形態において、金属イオン溶液を循環させて電気化学セルに戻す前に、金属イオンを含有する水性媒体から有機物を除去して、電気化学セルにおける膜の汚れを防止することが望ましくあり得る。本明細書に前述したように、金属イオンを含有する水性媒体は、不飽和または飽和炭化水素との反応の後に、限定されないが、ハロゲン化炭化水素および他の副生成物(微量で存在し得る)などの有機生成物を含有する。例えば、より高い酸化状態の金属イオンを含有する金属イオン溶液は、エチレンと反応して、より低い酸化状態の金属イオンおよび二塩化エチレンを形成する。限定されないが、クロロエタノール、ジクロロアセトアルデヒド、トリクロロアセトアルデヒド(クロラール)などを含めた他の副生成物が形成し得る。水性媒体中の金属イオンから有機生成物を分離および精製し、かつ金属イオンを含有する水性媒体を循環させて電気化学セルに戻す前に、金属イオン溶液(より高い酸化状態の金属イオンおよびより低い酸化状態の金属イオンの両方を含有)を分離および精製する方法およびシステムを提供する。水性媒体は、より低い酸化状態の金属イオンおよびより高い酸化状態の金属イオンの両方の混合物でよく、より低い酸化状態とより高い酸化状態の比は、電気化学セルからの水性媒体(より低い酸化状態は、より高い酸化状態に変換される)および炭化水素との反応後の水性媒体(より高い酸化状態はより低い酸化状態に変換される)によって変化する。
図9Aにおいて例示するのは、本明細書において提供する方法およびシステムのいくつかの実施形態である。図9Aにおいて例示した流れ図からの1つもしくは複数のステップを省略してもよく、または1つもしくは複数のステップを合わせて、本発明の方法およびシステムを行い得ることを理解すべきである。ステップの順序をまた変更または修正して、使用しやすさ、より低いコスト、生成物のより高い純度および選択性を達成し得る。同様のステップをまた、スルホ炭化水素を形成する炭化水素のスルホン化反応のために使用し得る。ステップAにおいて、炭化水素(エチレンとして例示)を、本明細書および図6〜8に記載のような反応器においてハロゲン化に供する。ハロゲン化炭化水素(二塩化エチレンとして例示)を金属塩MClnと共に、ステップBにおいて分離および精製に供し得る。本明細書において例示する図に示すMClnは、より低い酸化状態の金属イオンおよびより高い酸化状態の金属イオンの混合物であることを理解すべきである。MClnにおける整数nは、より低い酸化状態およびより高い酸化状態の金属イオンを単に表し、金属イオンによって1〜5またはそれ超であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、銅が金属イオンである場合、MClnは、CuClおよびCuCl2の混合物であり得る。次いで、アノード電解質中の銅イオンのこの混合物は、不飽和炭化水素および/または飽和炭化水素と接触して、それぞれの生成物を形成し得る。
反応器における反応および反応器の構造のいくつかの例は、本明細書の上に記載してきた。
したがって、いくつかの実施形態において、アノードとアノード電解質とを接触させるステップであって、アノード電解質が、金属イオンを含むステップと;アノードにおいて金属イオンをより低い酸化状態からより高い酸化状態へと酸化させるステップと;水性媒体中で、より高い酸化状態の金属イオンを含むアノード電解質と不飽和または飽和炭化水素とを反応させて、ハロゲン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物およびより低い酸化状態の金属イオンを形成するステップと;水性媒体からハロゲン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物を分離および精製するステップとを含む、方法を提供する。したがって、金属イオンを含むアノード電解質と接触しており、金属イオンをより低い酸化状態からより高い酸化状態へと酸化させるように構成されているアノードを含むアノード室を含む電気化学的システムと;アノード室に動作可能に接続されており、かつ水性媒体中の不飽和炭化水素または飽和炭化水素とより高い酸化状態の金属イオンを含むアノード電解質とを反応させて、ハロゲン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物およびより低い酸化状態の金属イオンを形成するように構成されている反応器と;水性媒体からのハロゲン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物を分離および精製するように構成されているセパレーターとを含むシステムを提供する。「セパレーター」は、本明細書において使用する場合、金属イオン水溶液から有機化合物(複数可)(例えば、ハロまたはスルホ炭化水素)を分離するように構成されている1つまたは複数の容器またはユニットを含む。セパレーターは、有機化合物および金属イオン水溶液をさらに精製し得る。分離および精製プロセス、ならびに分離および精製プロセスを行うように構成されているシステム(セパレーター)の様々な例は、下記の通りである。
いくつかの実施形態において、図9Aに例示するように、反応器におけるハロゲン化反応のステップAは、生成物の分離のステップBと組み合わせてもよく、本明細書において「反応性分離」または「反応分離」と称される。本明細書において使用する場合、「反応性分離」または「反応分離」は、炭化水素の反応、およびハロゲン化またはスルホン化生成物(複数可)の部分的または完全な分離を含む。本明細書において使用する場合、「反応性分離反応器」または「反応分離反応器」は、炭化水素の反応、およびハロゲン化またはスルホン化生成物(複数可)の部分的または完全な分離を行うように構成されている反応器を含む。反応分離および反応分離反応器の例は、本明細書に記載されている。いくつかの実施形態において、生成物の分離は部分的であっても完全でってもよいが、生成物の分離のいくつかの要素を、反応と合わせる。反応性分離は、反応器における操作および分離の容易さ、より低いコスト、ならびにより高選択性をもたらし得る。いくつかの実施形態において、反応性分離は、直列で行われる反応において有益であり得、ここで形成された生成物はさらなる反応を受け、副次的生成物を形成する。例えば、エチレンから形成されたEDCは、さらなる反応を受け、クロロエタノールおよび本明細書に記載されている他の副生成物を形成し得る。このような反応において、反応性分離は、分離コストを低減させ、高選択性のEDCを達成することにおいて有益であり得る。
したがって、いくつかの実施形態において、アノードとアノード電解質とを接触させるステップであって、アノード電解質が、金属イオンを含むステップと;アノードにおいて金属イオンをより低い酸化状態からより高い酸化状態へと酸化させるステップと、水性媒体中で不飽和または飽和炭化水素とより高い酸化状態の金属イオンを含むアノード電解質との反応分離を引き起こして、ハロゲン化またはスルホン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物を形成し、より低い酸化状態の金属イオンおよびより高い酸化状態の金属イオンを含む水性媒体から分離するステップとを含む方法を提供する。上記の方法のいくつかの実施形態において、方法は、より低い酸化状態の金属イオンおよびより高い酸化状態の金属イオンを含む水性媒体を再循環させてアノード電解質に戻すステップをさらに含む。上記の方法のいくつかの実施形態において、不飽和炭化水素、飽和炭化水素、ハロゲン化炭化水素、金属イオンなどは全て、本明細書において詳細に記載してきた。上記の方法のいくつかの実施形態において、金属イオンは、銅であり、不飽和炭化水素は、エチレンであり、有機化合物は、EDCを含む。上記の方法のいくつかの実施形態において、反応性分離には、限定されないが、反応蒸留(気液分離)、反応抽出(液液分離)、またはこれらの組合せが含まれてもよい。
上記の方法のいくつかの実施形態において、ハロゲン化またはスルホン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物を形成し、より低い酸化状態の金属イオンおよびより高い酸化状態の金属イオンを含む水性媒体から分離する、不飽和または飽和炭化水素と水性媒体中のより高い酸化状態の金属イオンを含むアノード電解質との反応性分離は、反応蒸留である。反応蒸留において、反応器において一旦形成された低沸点生成物は、反応器から蒸気相中で除去し得る。単に例として、EDCは、水(100℃)より低い沸点(83.6℃)を有するので、金属塩化物含有液相から蒸気として除去し得る。EDCと共に主要な副生成物であるクロロエタノールは、水より高い沸点を有するので、液相中に留まる。したがって、反応蒸留を使用して、副次的生成物から所望の生成物を分離することができる。反応蒸留方法は、他の要因によって援助され得る。単に例として、液相中に溶存塩が存在することは、沸点上昇効果によって水の沸点を上昇させ得る。さらに、EDCは、水と低沸点の共沸混合物を形成し得、これはEDCの有効な揮発性を増加し得る。これらの要因は、所望の生成物、例えば、例えば、EDCの反応蒸留をさらに助け得る。いくつかの実施形態において、限定されないがEDCなどの有機生成物を含有する反応器からの蒸気相はまた、未反応の反応ガス、例えば、エチレンを含有し得る。このような実施形態において、EDCは、図9Bに関して本明細書の下記において詳細に記載されている圧縮冷却プロセスを使用してエチレンから除去される。
いくつかの実施形態において、金属イオンを含むアノード電解質と接触しており、金属イオンをより低い酸化状態からより高い酸化状態へと酸化させるように構成されているアノードと;アノード室に動作可能に接続されており、かつ水性媒体中の不飽和炭化水素または飽和炭化水素とより高い酸化状態の金属イオンを含むアノード電解質との反応分離を引き起こして、ハロゲン化またはスルホン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物を形成し、より低い酸化状態の金属イオンおよびより高い酸化状態の金属イオンを含む水性媒体から分離するように構成されている反応分離反応器とを含むシステムを提供する。上記のシステムのいくつかの実施形態において、不飽和炭化水素、飽和炭化水素、ハロゲン化炭化水素、金属イオンなどは全て、本明細書において詳細に記載してきた。上記のシステムのいくつかの実施形態において、金属イオンは、銅であり、不飽和炭化水素は、エチレンであり、有機化合物は、EDCを含む。
上記のシステムのいくつかの実施形態において、アノード室に動作可能に接続されており、かつ水性媒体中の不飽和炭化水素または飽和炭化水素とより高い酸化状態の金属イオンを含むアノード電解質との反応分離を引き起こして、ハロゲン化またはスルホン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物を形成し、より低い酸化状態の金属イオンおよびより高い酸化状態の金属イオンを含む水性媒体から分離するように構成されている反応分離反応器は、反応蒸留反応器である。いくつかの実施形態において、反応蒸留反応器は、反応蒸留プロセスにおいて援助する様々な成分で構成し得る。例えば、反応蒸留反応器は、撹拌タンクであってもよく、蒸気相が上部から除去されるエチレンスパージャーを含み得る。反応器は、140〜175℃の間の温度および10〜20atmの間または12〜18atmの間の圧力にて動作し得る。いくつかの実施形態において、反応蒸留反応器は、気液の接触を増加させるガスエントレインメント撹拌機をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、反応蒸留反応器は、エチレンスパージャーを有さないガスエントレインメント撹拌機を含み得る。いくつかの実施形態において、反応蒸留反応器は、反応器の上部から流入し、反応器の底面から流出する金属溶液、および反応器の底面から入るエチレン、および反応器の上部から流出する生成物を有する充填床であり得る。いくつかの実施形態において、反応蒸留反応器は、金属溶液が反応器の上部から流入して反応器の底面から流出し、そしてエチレンが反応器の底面から入り、そして生成物が反応器の上部から流出する、トレーまたはプレートカラムであり得る。したがって、いくつかの実施形態において、反応蒸留反応器は、限定されないが、撹拌タンク、エチレンスパージャー、ガスエントレインメント撹拌機、充填床、トレーもしくはプレートカラム、またはこれらの組合せなどの成分を含み得る。
上記の方法のいくつかの実施形態において、ハロゲン化またはスルホン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物を形成し、より低い酸化状態の金属イオンおよびより高い酸化状態の金属イオンを含む水性媒体から分離する、不飽和または飽和炭化水素と水性媒体中のより高い酸化状態の金属イオンを含むアノード電解質との反応性分離は、反応抽出である。反応抽出において、水相に対する有機生成物の溶解度が低いことにより、水相から有機生成物が抽出され得る。単に例として、EDCは、水に対して相対的に低い溶解度を有し、別々の有機相を形成する傾向があり、これは典型的には塩含有水相より密でなく、別々の相として除去し得る。いくつかの実施形態において、EDCの除去は、水相からEDCを取り出す(抽出する)役割を果たし得る有機抽出剤の使用によって促進し得る。
上記のシステムのいくつかの実施形態において、アノード室に動作可能に接続されており、かつ水性媒体中の不飽和炭化水素または飽和炭化水素とより高い酸化状態の金属イオンを含むアノード電解質との反応分離を引き起こして、ハロゲン化またはスルホン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物を形成し、より低い酸化状態の金属イオンおよびより高い酸化状態の金属イオンを含む水性媒体から分離するように構成されている反応分離反応器は、反応抽出反応器である。いくつかの実施形態において、反応抽出反応器は、反応抽出プロセスを援助する様々な成分を伴って構成し得る。例えば、反応抽出反応器は、撹拌タンクであり得、蒸気相が上部から除去されるエチレンスパージャーを含み得る。反応器は、140〜175℃の間の温度および10〜20atmの間または12〜18atmの間の圧力にて動作し得る。いくつかの実施形態において、反応抽出反応器は、気液の接触を増加させるガスエントレインメント撹拌機をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、反応抽出反応器は、エチレンスパージャーを有さないガスエントレインメント撹拌機を含み得る。いくつかの実施形態において、反応抽出反応器は、金属溶液および有機抽出剤が上部から流入して反応器の底面から流出し、ならびにエチレンが反応器の底面から入り、そしてエチレンと一緒に蒸気相である生成物が反応器の上部から流出する、充填床でよい。
EDCおよび他の副次的生成物を含有する有機液相は、下層として水相をまた含み得る反応器の底面から除去し得る。この反応器中の供給物は、エチレン、水性MCln、および抽出剤を含んでもよく、有機生成物、例えば、EDCは、抽出剤中で抽出される(下記の液液分離)。例えば、反応抽出反応器は、反応器に結合した別の容器であり得るデカンターと統合し得る。次いで、液相および蒸気相は、デカンターに進入し得、ここで相の最終分離が起こり得、その結果、流出液は、液体MCln含有水相、液体有機相、ならびに任意選択でエチレン、EDC、水、および他の有機化合物を含有する蒸気相を含み得る。デカンターは、反応器に結合してもよいか、または反応器と接続している別の容器でよい。次いで、この有機液相は、有機層からの水層の分離のためのデカンターに供する。いくつかの実施形態において、反応抽出反応器は、金属溶液および有機抽出剤が上部から流入して反応器の底面から流出し、そしてエチレンが反応器の底面から入り、そしてエチレンと一緒に蒸気相である生成物が反応器の上部から流出する、トレーまたはプレートカラムでよい。EDCおよび他の副次的生成物を含有する有機液相は、下層として水相をまた含む反応器の底面から除去される。次いで、この有機液相を、有機層からの水層の分離のためのデカンターに供する。したがって、いくつかの実施形態において、反応抽出反応器は、任意選択で反応器に結合したデカンターまたは反応器とは別の容器と共に、成分、限定されないが、撹拌タンク、エチレンスパージャー、ガスエントレインメント撹拌機、充填床、トレーもしくはプレートカラム、またはこれらの組合せを含み得る。上記から理解されるように、反応分離反応器は、蒸留反応器および抽出反応器の組合せであり得る。いくつかの実施形態において、反応分離反応器は、下記の圧縮冷却システムに動作可能に接続し得る。
ストリームを有機不純物分離ステップCに送る前に、図9Aに例示したステップBにおいて、最大量の有機生成物を除去し得る(質量基準で>50%、または>90%または>95%)。ステップBにおいて、分離した有機生成物を精製に供し、商業的使用のために有機生成物の純度を改善し得る。いくつかの実施形態において、ステップBはスキップしてもよく、有機生成物をステップCにおいて分離し得る。いくつかの実施形態において、ステップAは、合わせたハロゲン化および分離B(上記の反応性分離)でよく、さらなる分離および精製のためのステップBを導いてもよく、または導かなくてもよい。
ステップBを、図9Bにおいて詳細に例示する。ステップBにおいて、有機生成物を水相から除去し、限定されないが、圧縮冷却プロセス、液液分離プロセス、気液分離プロセス、スクラビングプロセス、精製サブプロセス、およびこれらの組合せなどの様々なプロセスを使用してさらに精製し得る。したがって、いくつかの実施形態において、アノードとアノード電解質とを接触させるステップであって、アノード電解質が、金属イオンを含むステップと;アノードにおいて金属イオンをより低い酸化状態からより高い酸化状態へと酸化させるステップと;水性媒体中で、不飽和または飽和炭化水素をより高い酸化状態の金属イオンを含むアノード電解質と反応させ、ハロゲン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物およびより低い酸化状態の金属イオンを形成するステップと;限定されないが、反応分離プロセス、圧縮冷却プロセス、液液分離プロセス、気液分離プロセス、スクラビングプロセス、精製サブプロセス、またはこれらの組合せを含めたプロセスを使用して、ハロゲン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物を分離および精製するステップとを含む、方法を提供する。上記の方法のいくつかの実施形態において、方法は、より低い酸化状態の金属イオンおよびより高い酸化状態の金属イオンを含む水性媒体を再循環させてアノード電解質に戻すステップをさらに含む。上記の方法のいくつかの実施形態において、不飽和炭化水素、飽和炭化水素、ハロゲン化炭化水素、金属イオンなどは全て、本明細書において詳細に記載してきた。上記の方法のいくつかの実施形態において、金属イオンは、銅であり、不飽和炭化水素は、エチレンであり、ハロゲン化炭化水素は、EDCを含む。上記の方法のいくつかの実施形態において、方法は、上記のような反応分離、および/または本明細書において下記でさらに記載するような残留有機物分離(ステップCにおける吸着剤)を含む。
いくつかの実施形態において、分離および精製プロセスの順序は、最小の熱必要量および最大の経済的利点を伴って最大量の生成物を単離するように選択し得る。例えば、いくつかの実施形態において、反応器から排出される水性ストリームは、最初に気液分離プロセスに供され、ここで、蒸気は分離および凝縮され、それに続いて、高純度ならびに高い経済性および効率を伴う高収率の生成物を達成するために液液分離プロセスに供されてもよい。いくつかの実施形態において、アノードとアノード電解質とを接触させるステップであって、アノード電解質が、金属イオンを含むステップと;アノードにおいて金属イオンをより低い酸化状態からより高い酸化状態へと酸化させるステップと;水性媒体中で、不飽和または飽和炭化水素をより高い酸化状態の金属イオンを含むアノード電解質と反応させ、ハロゲン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物およびより低い酸化状態の金属イオンを形成するステップと;気液分離プロセス、それに続く液液分離プロセスを使用して、ハロゲン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物を分離および精製するステップとを含む、方法を提供する。
いくつかの実施形態において、金属イオンを含むアノード電解質と接触しており、金属イオンをより低い酸化状態からより高い酸化状態へと酸化させるように構成されているアノードを含むアノード室を含む電気化学的システムと;アノード室に動作可能に接続されており、かつ水性媒体中の不飽和炭化水素または飽和炭化水素とより高い酸化状態の金属イオンを含むアノード電解質とを反応させて、ハロゲン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物およびより低い酸化状態の金属イオンを形成するように構成されている反応器と;水性媒体からハロゲン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物を分離および精製するように構成されているセパレーターであって、限定されないが、反応分離反応器システム、圧縮冷却システム、液液セパレーターシステム、気液セパレーターシステム、スクラビングシステム、精製サブプロセスシステム、またはこれらの組合せを含むセパレーターとを含むシステムを提供する。いくつかの実施形態において、金属イオンを含むアノード電解質と接触しており、金属イオンをより低い酸化状態からより高い酸化状態へと酸化させるように構成されているアノードを含むアノード室を含む電気化学的システムと;アノード室に動作可能に接続されており、かつ水性媒体中の不飽和炭化水素または飽和炭化水素とより高い酸化状態の金属イオンを含むアノード電解質とを反応させて、ハロゲン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物およびより低い酸化状態の金属イオンを形成するように構成されている反応器と;水性媒体からハロゲン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物を分離および精製するように構成されているセパレーターであって、反応器に動作可能に接続されている気液セパレーターシステム、それに続く気液セパレーターシステムに動作可能に接続されている液液セパレーターシステムを含むセパレーターとを含むシステムを提供する。
上記のシステムのいくつかの実施形態において、不飽和炭化水素、飽和炭化水素、ハロゲン化炭化水素、金属イオンなどは全て、本明細書において詳細に記載してきた。上記のシステムのいくつかの実施形態において、金属イオンは、銅であり、不飽和炭化水素は、エチレンであり、有機化合物は、EDCを含む。上記のシステムのいくつかの実施形態において、システムは、上記のような反応分離反応器(例えば、蒸留反応器または抽出反応器)、および/または本明細書において下記でさらに記載するような残留有機物セパレーター(ステップCにおける吸着剤)をさらに含む。
ステップBにおいて、蒸気相中の有機生成物はまた、回収されて反応器に戻され、リサイクルし得る炭化水素反応体、例えば、エチレンを含有し得る。反応器は、分離および精製に別々に供し得る、蒸気ストリームおよび液体ストリームを含有する排出ストリームを含有し得る。例えば、エチレン、水、EDC、および揮発性副次的生成物を含有する蒸気ストリームは、反応器から除去され、圧縮冷却プロセスをもたらすように構成されている圧縮冷却システムIに供給されてもよく、ここで蒸気ストリームは、EDC、水、および副次的生成物を液相として凝縮するために、反応器の圧力より高い圧力に圧縮され、それに続いて冷却(または逆の順序で、すなわち、冷却、それに続く圧縮)される。本明細書において使用する「圧縮冷却プロセス」または「圧縮冷却システム」は、蒸気相を圧縮および冷却し、これを凝縮し、液相を形成する任意のプロセスまたはシステムを含む。圧縮圧力は、150〜900psigの間、または250〜800psigの間、または400〜600psigの間であり得る。冷却は、75〜225℃の間、または100〜200℃の間、または125〜175℃の間であり得る。相分離は、液相の分離を可能とし得、これを精製サブプロセスシステムIVにさらに供給し得る。いくつかの実施形態において、Iからの液相は、液液分離プロセスIIに供給し得る。次いで、低減した量のEDC、水、および副次的生成物を含有するエチレンを、蒸気ストリームとしてリサイクルされて反応器に戻り得る。圧縮冷却システムは、蒸気ストリームの圧力を増加し、温度を低減させる(または逆の順序)ように構成されている任意のシステムであり得る。単に例として、蒸気相は、反応器圧力にて25〜35℃まで冷却されてもよく、凝縮相は分離されてもよく、次いで、相を圧縮して、失われた圧力を補い得る。
いくつかの実施形態において、反応器または気液セパレーターおよび/または圧縮冷却セパレーターを離れる液体ストリームは、液液分離をもたらすように構成されている液液セパレーターシステムIIに供給し得、ここで有機物が豊富な液体ストリームは、金属塩含有水性ストリームから分離し得る。本明細書において使用する「液液セパレータープロセス」または「液液セパレーターシステム」は、水性液体から有機液体を部分的または完全に分離する任意のプロセスまたはシステムを含む。このようなプロセスにおいて、相当な量の有機物を除去し得る。いくつかの実施形態において、液液分離は、低揮発性を有し、かつ典型的には気液分離によって容易に除去することができない化合物を除去するために有用なツールであり得る。例えば、水の沸点より高い標準沸点を有するクロロエタノール(CE)。限定されないが、液液セパレーターについての2つのオプションには、限定されないが、反応器において形成された有機物が別の相に分離することを可能とするデカンター;ならびにさらなる有機物(抽出剤)が液液分離に供給され、水への高親和性を有する有機物の除去を助ける抽出ユニットが含まれる。デカンターにおいて、温度は、反応器および電気化学セルの温度の間、すなわち、70〜175℃の間または90〜150℃の間または120〜140℃の間であり得る。抽出ユニット中に供給されるさらなる有機物は、限定されないが、水相と分かれた相を形成すること、有機成分への高親和性、恐らく揮発性(沸点)の差異による低コストでの他の有機成分および水相からの分離可能性、ならびに金属塩化物水溶液系との反応と比較して相対的に不活性であることを含めた必要条件を有し得る。CEは、水への高親和性を有する抽出剤の一例であり得る(水相中に残存する傾向がある)。抽出剤の他の例には、限定されないが、酢酸エチル、任意のケトンまたはアルコール、EDC、モノクロロ酢酸(MCA)、ジクロロ酢酸(DCA)、トリクロロ酢酸(TCA)、4〜10個の炭素原子を有するアルカン、例えば、ヘプタンもしくはヘキサン、4〜10個の炭素原子を有するシクロアルカン、例えば、シクロヘキサン、またはこれらの組合せが含まれる。当該分野において公知の任意の抽出剤は、本明細書において提供される抽出ユニットにおいて使用し得る。デカンターまたは抽出のいずれかの場合において、有機相を除去して、精製サブプロセスIVに供給し、例えば、EDCおよび副次的生成物に分離してもよく、水相は気液分離ユニットIIIに任意選択で進み得る。いくつかの実施形態において、金属イオンを含有する水相を電気化学的システムに直接供給してもよく、またはスクラバーIVAに供給してもよい。
本明細書において使用する「気液セパレータープロセス」または「気液セパレーターシステム」は、蒸気ストリームとして揮発性成分を液体ストリームから分離する任意のプロセスまたはシステムを含む。いくつかの実施形態において、反応器からの液相を、気液セパレーターシステムに直接供給する。気液分離システムIIIは、蒸留カラムまたはフラッシュドラム(単一段階蒸留)のいずれかであり得る。フラッシュドラムにおいて、揮発性成分、例えば、EDCは、蒸気ストリームとして容器を離れ得る。残りの液相は、液体ストリームとして有機不純物分離に進み得る。水および溶存塩に加えて、この液体ストリームは、残留する有機物を含有し得る。フラッシュユニットは、0.5〜20atmの間または1〜5atmの間の圧力および70〜175℃の間の温度にて動作する。蒸留カラムはフラッシュドラムと同様であり得るが、複数の段階ならびにカラムの上部において冷却器およびカラムの底面においてリボイラーを提供して、水相におけるより大きな有機物除去効率およびおそらくより高い水の保持をもたらし得る。カラムのための構造には、限定されないが、精留カラム(上部における冷却器および底面におけるリボイラーなし)、冷却器およびリボイラーの両方を有するカラム、ならびにリボイラーのみを有するストリッピングカラムが含まれる。カラムは、0.5〜20atmの間の圧力で動作し得る。いくつかの実施形態において、蒸留カラムは、供給物の上のみに充填物/トレーを有する精留カラム;供給物の下のみに充填物/トレーを有するストリッピングカラム;供給物の上および下に充填物/トレーを有するカラムであり得る。
上記のようなプロセス分離および精製ステップならびに対応するシステムの様々な組合せは、合わせてもよい。例えば、液液分離ステップにおける抽出は、気液分離ステップにおける蒸留と合わせてもよく、液液分離ステップにおける抽出は、気液分離ステップにおけるフラッシュと合わせてもよく、液液分離ステップにおけるデカンターは、気液分離ステップにおける蒸留と合わせてもよく、または液液分離ステップにおけるデカンターは、気液分離ステップにおけるフラッシュと合わせてもよい。いくつかの実施形態において、液液分離ステップは省略され、反応器からの液体ストリームは、気液分離、例えば、フラッシュまたは蒸留に直接供される。いくつかの実施形態において、液液分離ステップは、液液分離ステップおよび気液分離ステップをフォローした後反復される。いくつかの実施形態において、ステップは、気液分離ステップが液液分離ステップに先行するように逆転し得る。所与のプロセスにおいて、図9Bの各ステップは、分離する必要がある有機生成物および不純物によって、プロセスにおいて2回以上反復し得る。上記の組合せのいずれかは、圧縮冷却ユニットと組み合わせてもよく、または組み合わせなくてもよい。さらに、上記の組合せのいずれかは、上記の反応分離反応器と組み合わせてもよく、または組み合わせなくてもよい。高純度の有機生成物および高効率の全体的プロセスを達成するために、本明細書に記載されている分離および精製システムの様々な組合せは、合わせることができ、このような実施形態の全ては十分に本発明の範囲内であることを理解すべきである。
分離および精製システムまたはプロセスのいくつかの組合せを、下の表IIに列挙する。
表IIにおいて例示した反応器から排出されるストリームの分離および精製のための方法およびシステムは、いずれの特定の順序でもなく、気液分離、それに続く液液分離、それに続く圧縮冷却、または液液分離、それに続く気液分離、それに続く圧縮冷却、または圧縮冷却、それに続く気液分離、それに続く液液分離、または気液分離、それに続く圧縮冷却、それに続く液液分離などを含むことを理解すべきである。上記の方法およびシステムのいずれかは、精製サブプロセスと任意選択で合わせてもよい。
上記のように、圧縮冷却プロセスI、液液分離プロセスIIおよび/または気液分離プロセスIIIから得た有機液相は、精製サブプロセスシステムにおける精製サブプロセスIVに供し得る。本明細書において使用される「精製サブプロセス」または「精製サブプロセスシステム」は、有機生成物中の水分含有量をさらに低減させる任意のプロセスまたはシステムを含む。例えば、精製サブプロセスにおいて、液相は、デカンター、脱水、蒸留、またはこれらの組合せに供し得る。任意選択で、脱水および蒸留を繰り返して、最適な結果を得てもよい。脱水および蒸留の順序はまた変化し得る。例えば、液相は、最初に蒸留し、それに続いて脱水および第2の蒸留を行い得るか、または脱水−蒸留−蒸留−脱水、または脱水−蒸留−蒸留、または蒸留−蒸留−脱水などを行い得る。脱水プロセスによって液相から水を実質的に除去してもよく、蒸留によって他の副次的生成物から有機物、例えば、EDCを除去し得る。脱水は、限定されないが、分子篩などのソーベントを使用して行い得る。蒸留は、例えば、蒸留カラムにおいて行い得る。デカンターは、上記で説明してきた。
いくつかの実施形態において、圧縮冷却プロセスI、液液分離プロセスIIおよび/または気液分離プロセスIIIから得た有機液相を、精製サブプロセスIVに任意選択で供する前に、スクラビングプロセスIVAに供し得る。本明細書において使用される「スクラビングプロセス」または「スクラビングシステム」は、アルカリといくらかの有機副次的生成物との反応、および生成物の分離をもたらす、またはもたらすように構成されている任意のプロセスまたはシステムを含む。単に例として、スクラバーは、限定されないが、いくつかの有機副次的生成物と反応して、容易に分離可能であり得る他の生成物を形成するように構成されている水酸化物、例えば、単に例として、カセイ(NaOH)などのアルカリを含有する、カラムまたはタンク、または1つもしくは複数のカラムを有するカラムの集まりであり得る。いくつかの実施形態において、水酸化ナトリウムは、システムの電気化学セルのカソード室から得る。例えば、エチレンからのEDCの形成の間に形成されるクロロアセトアルデヒドは、カセイで処理して、ギ酸ナトリウムおよび/または限定されないが、塩化メチル、ジクロロメタン、クロロホルムなどのクロロメタンを形成し得る。スクラバーからのストリームは、副次的生成物除去カラムに供給し得、ここで限定されないが、クロロエタノール、ギ酸ナトリウムなどのより重い不純物は、底面生成物として離れ得る。カラムにおけるオーバーヘッドは、カラムにおいてさらに分画され、不純物、例えば、クロロメタンを除去し得る。分画カラムの液相は、液液セパレーターユニットII、例えば、デカンターに再び供給し、例えば、EDCが豊富な相を除去してもよく、これは精製サブプロセスユニットIVに送ってもよい。
ハロゲン化炭化水素が、80%超、または90%超、または95%超、または80〜99%の間、または80〜99.9%の間の収率で分離される限り、圧縮冷却プロセス/システムI、液液分離プロセス/システムII、気液分離プロセス/システムIII、スクラビングプロセス/システムIVAおよび/または精製サブプロセス/システムIVの任意の数の組合せを、生成物の分離および精製において用い得る。いくつかの実施形態において、様々なシステムの組合せは、80%超、または90%超、または95%超、または80〜99%の間、または80〜99.9%の間の生成物の純度をもたらす。いくつかの実施形態において、様々なシステムの組合せは、0.1%未満または1%未満の有機化合物、または0.001%〜1%の間の有機化合物を有する水相または金属イオン溶液をもたらす。いくつかの実施形態において、金属イオン溶液は、再循環されて電気化学的システムに戻る。
図9Aに例示するように、ステップBの後はステップCであり、ここでいくつかの実施形態において、水性媒体中の金属イオンからの残留有機生成物の分離は、吸着剤を使用して行われる。いくつかの実施形態において、ステップCは省略してもよく、ステップBからの水性媒体は電気化学セルに直接進み得る。
「吸着剤」は、本明細書において使用する場合、有機化合物に対して高親和性、および金属イオンに対して親和性を有さないまたは非常に低い親和性を有する化合物を含む。いくつかの実施形態において、吸着剤は、金属イオンに対する非親和性または低親和性に加えて、水に対して親和性を有さないか、または非常に低い親和性を有する。したがって、吸着剤は、有機物を吸着するが、金属イオンおよび水をはじく疎水性化合物であり得る。「有機物」または「有機化合物」または「有機生成物」は、本明細書において使用する場合、その中に炭素を有する任意の化合物を含む。
いくつかの実施形態において、上記の方法は、限定されないが、活性炭、アルミナ、活性シリカ、ポリマーなどの吸着剤を使用し、金属イオン溶液から有機生成物を除去するステップを含む。これらの吸着剤は市販されている。方法において使用することができる活性炭の例には、限定されないが、粉末状活性炭、顆粒状活性炭、押出し活性炭、ビーズ状活性炭素、含浸炭、ポリマーコーティング炭素、炭素布などが含まれる。本明細書において吸着剤との関連において使用される「吸着剤ポリマー」または「ポリマー」は、有機化合物に対して高親和性を有するが、金属イオンおよび水に対して親和性を有さないか、または低親和性を有するポリマーを含む。吸着剤として使用することができるポリマーの例には、限定されないが、ポリオレフィンが含まれる。本明細書において使用する「ポリオレフィン」または「ポリアルケン」は、モノマーとしてオレフィン(またはアルケン)から生成されるポリマーを含む。オレフィンまたはアルケンは、脂肪族化合物または芳香族化合物であり得る。例には、限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン−1、ポリオレフィンエラストマー、ポリイソブチレン、エチレンプロピレンゴム、ポリメチルアクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)などが含まれる。
いくつかの実施形態において、本明細書において使用される吸着剤は、金属イオン、有機化合物、および水を含有する水性媒体から90重量/重量%超の有機化合物;95重量/重量%超の有機化合物;または99重量/重量%超;または99.99重量/重量%超の有機化合物;または99.999重量/重量%超の有機化合物を吸着する。いくつかの実施形態において、本明細書において使用される吸着剤は、金属イオン、有機化合物、および水を含有する水性媒体から2重量/重量%未満の金属イオン;または1重量/重量%未満の金属イオン;または0.1重量/重量%未満の金属イオン;または0.01重量/重量%未満の金属イオン;または0.001重量/重量%未満の金属イオンを吸着する。いくつかの実施形態において、本明細書において使用される吸着剤は、水性媒体から金属イオンを吸着しない。
いくつかの実施形態において、吸着剤を通過させた後に得られる水性媒体、および/または本明細書において提供する分離/精製システムを使用した(かつ再循環されて電気化学セルに戻された)後に得られる水性媒体は、1000ppm未満または800ppm未満または500ppm未満または250ppm未満または100ppm未満、または50ppm未満、または10ppm未満、または1ppm未満の有機化合物を含有する。
吸着剤は、商業的に利用可能な任意の形状および形態で使用し得る。例えば、いくつかの方法およびシステムの実施形態において、吸着剤は、粉末、プレート、メッシュ、ビーズ、布、繊維、ピル、フレーク、ブロックなどである。いくつかの方法およびシステムの実施形態において、吸着剤は、床、充填カラムなどの形態である。いくつかの方法およびシステムの実施形態において、吸着剤は、充填吸着剤材料の一連の床またはカラムの形態であり得る。例えば、いくつかの方法およびシステムの実施形態において、吸着剤は、活性炭粉末、ポリスチレンビーズまたはポリスチレン粉末を含有する充填カラム(並列または直列にアレンジ)の1つまたは複数である。
いくつかの方法およびシステムの実施形態において、吸着剤は、限定されないが、不活性液(例えば、水)によるパージ、化学的条件、例えば、pHの変化、温度の上昇、分圧の低減、濃度の低減、限定されないが、>100℃での蒸気、窒素ガス、アルゴンガス、または空気によるパージなどの高温での不活性ガスによるパージなどを含めた様々な脱着技術を使用することによって、有機生成物の吸着後に再生される(図9AのステップE)。いくつかの実施形態において、アノード電解質を不飽和または飽和炭化水素との反応のために反応器に送る前に、電気化学セルシステムから排出されるアノード電解質(アノード電解質に進入する金属イオン溶液より高い濃度のより高い酸化状態の金属イオンを有する)を使用して、吸着剤または吸着カラムを再生し得る。吸着剤の再生のためのアノード電解質の使用は、プロセスのために必要とされる外部液の量を低減し得、それによってプロセスの全体的な経済性に有利に影響を与える。再生プロセスにおけるアノード電解質の使用はまた、下記のような全プロセスの熱の統合において援助し得る。
いくつかの方法およびシステムの実施形態において、吸着剤は、脱着プロセスの後に処分、燃焼、または廃棄し得る。いくつかの方法およびシステムの実施形態において、吸着剤は、脱着後に吸着プロセスにおいて再使用される。いくつかの方法およびシステムの実施形態において、吸着剤は、廃棄される前に複数の吸着および再生サイクルにおいて再使用される。いくつかの方法およびシステムの実施形態において、吸着剤は、廃棄される前に1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ超の吸着および再生サイクルにおいて再使用される。
いくつかの実施形態において、図9Bの液液分離プロセス/システムIIの間のデカンターにおける有機生成物および不純物の除去は、吸着物逆洗/再生が反応器に再び供給されることを可能とし、水/塩のバランスを維持し、いずれかの喪失を回避する。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている電気化学セルシステム、反応器、および分離/精製システムはまた、システムの熱効率および経済性を増加させるために熱交換システムと統合し得る。本明細書において使用される「熱交換プロセス」または「熱交換システム」は、プロセスのストリームの加熱または冷却をもたらす、またはもたらすように構成されているプロセスまたはシステムを含む。システムの間に使用されるより少ない量の外部熱は、プロセスのエネルギー負荷または電気消費を低下させるため有益である。熱効率はまた、プロセスを環境にやさしいものとし得、プロセスの間に発生した環境により配慮した化学物質がもたらされる。
本明細書に記載されている方法およびシステムのいくつかの実施形態において、電気化学的システムの平均温度(したがって、金属イオンを有する進入および排出アノード電解質の温度)は、55〜105℃の間、または65〜100℃の間、または70〜95℃の間、または80〜95℃の間、または70〜85℃の間、または70℃、または80℃、または85℃、または90℃である。いくつかの実施形態において、反応器の平均温度(したがって、反応器への進入アノード電解質およびエチレンガス、ならびにハロゲン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物および金属イオンを含有する反応器からの排出水溶液)は、135〜180℃の間、または135〜175℃の間、または140〜180℃の間、または140〜170℃の間、または140〜160℃の間、または150〜180℃の間、または150〜170℃の間、または150〜160℃の間、または155〜165℃の間、または140℃、または150℃、または160℃、または170℃である。電気化学的システムおよび反応器の間の熱勾配は、プロセスの間の電気化学的システムおよび反応器システムに進入およびこれから排出するストリームの間の1つまたは複数の熱交換を可能とし、それによってプロセスまたはシステムの全体的な熱必要量を低減させる。電気化学的プロセスおよび反応器プロセスの間の温度勾配に加えて、プロセスの熱力学的必要量によって、プロセスの様々なステップの間に熱が放出されるか、または吸収され得る。これはプロセスの間により熱いまたはより冷たいストリームをもたらし得、この熱は、プロセスの間に交換されて、プロセスの間に必要とされる全体的な外部熱を低減し得る。
いくつかの実施形態において、全体的プロセスが自己持続可能であり、さらなる熱源を必要としなくてもよいように、本明細書に記載されている電気化学セルシステム、反応器、および分離/精製システムは、熱交換システムを介して接続されている。いくつかの実施形態において、プロセスの全体的な熱交換は、生成された有機生成物1トン当たり、1トン以下の蒸気または0.7トン以下の蒸気または0.5トン以下の蒸気が必要とされるようなものである。例えば、いくつかの実施形態において、プロセスの全体的な熱の統合は、生成される1トンのEDC当たり、1トン以下の蒸気または0.7トン以下の蒸気または0.5トン以下の蒸気が必要とされるようなものである。プロセス全体におけるストリームは、1つのシステムからのストリームが、温度の必要条件によって他のシステムのストリームを加熱または冷却し得るように統合し得る。
したがって、いくつかの実施形態において、アノードとアノード電解質とを接触させるステップであって、アノード電解質が、金属イオンを含むステップと、アノードにおいて金属イオンをより低い酸化状態からより高い酸化状態へと酸化させるステップと、水性媒体中で、より高い酸化状態の金属イオンを含むアノード電解質と不飽和または飽和炭化水素とを反応させて、ハロゲン化またはスルホン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物およびより低い酸化状態の金属イオンを形成するステップと、ハロゲン化またはスルホン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物を分離および精製するステップと、プロセスの進入および排出ストリームの間の1つまたは複数の熱交換を統合するステップとを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、アノードとアノード電解質とを接触させるステップであって、アノード電解質が、金属イオンを含むステップと、アノードにおいて金属イオンをより低い酸化状態からより高い酸化状態へと酸化させるステップと、水性媒体中で、より高い酸化状態の金属イオンを含むアノード電解質と不飽和または飽和炭化水素とを反応させて、ハロゲン化またはスルホン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物およびより低い酸化状態の金属イオンを形成するステップと、限定されないが、圧縮冷却プロセス、液液分離プロセス、気液分離プロセス、スクラビングプロセス、精製サブプロセス、およびこれらの組合せを含めたプロセスを使用して、ハロゲン化またはスルホン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物を分離および精製するステップと、プロセスの進入および排出ストリームの間の1つまたは複数の熱交換を統合するステップとを含む方法を提供する。
いくつかの実施形態において、上記のプロセスの進入および排出ストリームには、限定されないが、アノード電解質、不飽和もしくは飽和炭化水素、より低いおよびより高い酸化状態の金属イオンを含む水性媒体、蒸気、水、またはこれらの組合せが含まれる。いくつかの実施形態において、プロセスの進入および排出ストリームの間の1つまたは複数の熱交換は、電気化学的プロセスからの排出アノード電解質とハロゲン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物および金属イオンを含む反応器からの排出水性媒体との間の熱交換を含む。上記の実施形態のいくつかの実施形態において、プロセスの進入および排出ストリームの間の1つまたは複数の熱交換の統合は、外部熱の必要量を、生成される1トンの有機化合物/生成物当たり1トン未満の蒸気に低減させる。例えば、上記の実施形態のいくつかの実施形態において、プロセスの進入および排出ストリームの間の1つまたは複数の熱交換の統合は、外部熱の必要量を、生成される1トンのEDC当たり1トン未満の蒸気に低減させる。プロセスの進入および排出ストリームの間の1つまたは複数の熱交換の様々な例は、本明細書の下記に記載されている。
上記の方法のいくつかの実施形態において、方法は、より低い酸化状態の金属イオンおよびより高い酸化状態の金属イオンを含む水性媒体を再循環させてアノード電解質に戻すステップをさらに含む。上記の方法のいくつかの実施形態において、不飽和炭化水素、飽和炭化水素、ハロゲン化炭化水素、金属イオンなどは全て、本明細書において詳細に記載してきた。上記の方法のいくつかの実施形態において、金属イオンは、銅であり、不飽和炭化水素は、エチレンであり、有機化合物は、EDCを含む。上記の方法のいくつかの実施形態において、方法は、上記のような反応分離、および/または本明細書において下記でさらに記載するような残留有機物分離(ステップCにおける吸着剤)をさらに含む。
いくつかの実施形態において、金属イオンを含むアノード電解質と接触しており、金属イオンをより低い酸化状態からより高い酸化状態へと酸化させるように構成されているアノードと;アノード室に動作可能に接続されており、かつ水性媒体中の不飽和炭化水素または飽和炭化水素とより高い酸化状態の金属イオンを含むアノード電解質との反応を引き起こして、ハロゲン化またはスルホン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物およびより低い酸化状態の金属イオンを形成するように構成されている反応器と;ハロゲン化またはスルホン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物を分離および精製するように構成されているセパレーターと;システムの進入および排出ストリームの間の熱交換(複数可)をもたらすように構成されている1つまたは複数の熱交換ユニットとを含むシステムを提供する。いくつかの実施形態において、金属イオンを含むアノード電解質と接触しており、金属イオンをより低い酸化状態からより高い酸化状態へと酸化させるように構成されているアノードと;アノード室に動作可能に接続されており、かつ水性媒体中の不飽和炭化水素または飽和炭化水素とより高い酸化状態の金属イオンを含むアノード電解質との反応を引き起こして、ハロゲン化またはスルホン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物およびより低い酸化状態の金属イオンを形成するように構成されている反応器と;限定されないが、圧縮冷却システム、液液セパレーターシステム、気液セパレーターシステム、スクラビングシステム、精製サブプロセスシステム、およびこれらの組合せを含めたシステムを使用して、ハロゲン化またはスルホン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物を分離および精製するように構成されているセパレーターと;システムの進入および排出ストリームの間の熱交換(複数可)をもたらすように構成されている1つまたは複数の熱交換ユニットとを含むシステムを提供する。上記の実施形態のいくつかの実施形態において、1つまたは複数の熱交換ユニットは、アノード電解質、不飽和もしくは飽和炭化水素、より低い酸化状態およびより高い酸化状態の金属イオンを含む水性媒体、蒸気、水、またはこれらの組合せの間で熱を交換するように構成されている。
いくつかの実施形態において、システムの進入および排出ストリームの間の1つまたは複数の熱交換ユニットは、電気化学的システムからの排出アノード電解質と、ハロゲン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物および金属イオンを含む反応器からの排出水性媒体との間の熱交換ユニットを含む。上記の実施形態のいくつかの実施形態において、システムの進入および排出ストリームの間の1つまたは複数の熱交換ユニットは、外部熱の必要量を、生成される1トンの有機化合物/生成物当たり1トン未満の蒸気に低減させる。例えば、上記の実施形態のいくつかの実施形態において、システムの進入および排出ストリームの間の1つまたは複数の熱交換ユニットは、外部熱の必要量を、生成される1トンのEDC当たり1トン未満の蒸気に低減させる。システムの進入および排出ストリームの間の1つまたは複数の熱交換ユニットの様々な例は、本明細書の下記に記載されている。
上記のシステムのいくつかの実施形態において、不飽和炭化水素、飽和炭化水素、ハロゲン化炭化水素、金属イオンなどは全て、本明細書において詳細に記載してきた。上記のシステムのいくつかの実施形態において、金属イオンは、銅であり、不飽和炭化水素は、エチレンであり、有機化合物は、EDCを含む。上記のシステムのいくつかの実施形態において、システムは、上記のような反応分離反応器(例えば、蒸留反応器または抽出反応器)、および/または本明細書において下記でさらに記載するような残留有機物セパレーター(ステップCにおける吸着剤)をさらに含む。
熱交換システムは、ストリームの間で熱を交換するように構成されている任意のユニットでよい。熱交換ユニットは、熱交換が起こり得るように、2つのストリームを壁によって分離されたチューブ内で互いに向流的に通過させる二重壁の中空チューブ、パイプまたはタンクであり得る。いくつかの実施形態において、チューブは、ストリームが、1つの主要なチューブ内のいくつかの中空チューブを通って向流的に流れるように、1つまたは複数のより小さなチューブを含み得る。チューブまたはパイプの材料は、チタンから作製されたものなど腐食耐性であり得る。いくつかの実施形態において、チューブを通過するストリームに依存して、内側のチューブはチタンでできており、外側のチューブはそうではなく、またはその逆である。単に例として、金属イオンを含有する電気化学的システムからのストリームは、腐食耐性材料を必要とし得るが、熱水を運ぶチューブは腐食耐性である必要がないかもしれない。
限定されないが、システムの進入および排出ストリームの間の1つまたは複数の熱交換ユニットのいくつかの例は、本明細書に記載の通りである。触媒作用反応器の排出されるより熱いストリームを使用して、電気化学的システムから排出される相対的により冷たいストリームを加熱し(かつそれ自体を冷却し)得る一方、電気化学的システムおよび反応器システムからの両方の排出される熱いストリームを使用して、本発明の分離/精製システムにおけるエチレンガスおよび/または蒸留カラムまたは他のカラムを加熱することができる。同様に、エチレンガスを使用して、システムにおける蒸留カラムの冷却器部分を冷却し得る。別の熱いストリームの例は、電気化学的システムのカソード室において発生した水酸化ナトリウム溶液であり、これを、反応器に進入するエチレンガスを加熱するため、気液分離システムの蒸留装置に進入する溶液を加熱するため、スクラバーシステムの分別蒸留カラムを加熱するため、またはこれらの組合せのために使用し得る。いくつかの実施形態において、冷水は、蒸留カラムの冷却器部分を冷却するなどストリームを冷却するために必要であり得る。いくつかの実施形態において、蒸気はストリームを加熱するために必要であり得るが、上で述べたように、システムまたはプロセスにおいて生成された有機生成物1トン当たり1トン以下の蒸気が必要であり得る。
限定されないが、電気化学セル、反応器、限定されないが、液液分離II(図9Bにおけるような)、気液分離III、スクラビングIVA、精製サブプロセスIV、吸着剤、および熱交換ユニットを含めた分離および精製システムを含めた本発明のシステムおよび方法の例示的な例は、図9Cにおいて例示する通りである。図9Cは、単なる例示目的であり、不飽和炭化水素の一例としてエチレンを示すことを理解すべきである。このプロセスは、本明細書に記載のような任意の不飽和または飽和炭化水素に適用し得る。さらに、図に示す成分はまた例示の目的のみのためである。システムの順序および/またはいくつかのシステムの追加もしくは除去における変化を含めたこのような分離/精製システムおよび熱交換ユニットの多くの変動は、プロセスに適用可能であり、全ては十分に本発明の範囲内である。
図9Cに示されているように、塩化ナトリウム1および水2は、CuClの豊富な水溶液31のリサイクルされたストリームと共に、電気化学的プロセスに供給され、水酸化ナトリウム水溶液3および水素ガス5を55〜105℃の間、または65〜100℃の間、または70〜95℃の間、または80〜95℃の間、または70〜85℃の間、または70℃、または80℃、または85℃、または90℃のセル温度にて生成し得る。熱い水酸化ナトリウム溶液は、限定されないが、エチレンなどの他のストリーム、または蒸留カラムを加熱するための熱交換器において利用し得る熱を有する。
電気化学セルのアノード室において、ストリーム31中のCuClを、CuCl2に変換する。CuCl2ストリームを、熱交換器HX03において温め、反応器流出液15と熱を交換し得る。CuCl2ストリームは、反応器に進入するための最適な温度を達成するために一連の熱交換ユニットによって温め得る。いくつかの実施形態において、CuCl2ストリームを使用して、CuCl2ストリームを床に通過させることによって用済みの吸着床を再生し得るが、これによって床から有機物(例えば、他の副次的生成物と共に二塩化エチレンおよびクロロエタノール)をストリップし得る。CuCl2ストリームは次いで熱交換器を通って反応器(図には示さず)にポンピングし得る。この熱いストリーム10は、蒸気により任意選択で加熱され(さらなる加熱が必要とされる場合)、EDC生成反応器に供給し得る。エチレンは、ストリーム12として、プロセスに供給される。この冷たいストリーム12は、反応器温度に到達するために熱を必要とし、プロセスにおける他の場所で冷却を提供するために使用することができる。ストリーム12の加熱は、NaOH3またはEDC生成物29を冷却するためにこれを使用することによって達成することができる。いくつかの実施形態において、エチレンは、蒸気を使用してさらに加熱し得る。
HX03における熱交換に続いて、1種または複数の有機化合物および金属イオンを含有するより冷たい反応器流出液15を、デカンターを使用して液液分離プロセスに供し得、ここで有機相が18として除去される。水相19を気液分離プロセスに供してもよく、蒸留カラムを通過させてもよく、ここで有機物は、オーバーヘッドストリームにおいてストリップされ、塩含有水性ストリーム30を吸着カラムに通し、ここで有機物含量は、ストリーム31として電気化学セルに戻る前にさらに還元し得る。
デカンターからの有機相18および有機物ストリッパーオーバーヘッドからの有機相20は、スクラバー、例えば、カセイスクラバー21に供給してもよく、ここでは、NaOHは、副次的生成物、限定されないが、クロロアセトアルデヒドなどと反応して、生成物、例えば、ギ酸ナトリウム水溶液およびクロロメタン(例えば、塩化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム)を生成し得る。水酸化ナトリウム以外の任意の化学物質を、所望の反応に依存して、およびまた有機生成物に依存して使用し得ることを理解すべきである。カセイスクラバーの生成物は、副次的生成物除去カラムに供給してもよく、ここでは、限定されないが、クロロエタノールおよびギ酸ナトリウムなどのより重い不純物は、底面生成物23として離れ得る。次いで、このスクラビングシステム(スクラバーおよび副次的生成物除去カラム)からのオーバーヘッド24は、蒸留カラム、デカンターおよび脱水カラムを含む精製サブプロセスシステムに送り得る。
いくつかの実施形態において、スクラバーは、フラッシュ蒸留(気液分離)で置き換えてもよく、ここでは有機物は焼却によって除去され、水相は副次的生成物除去カラムに送られる。
オーバーヘッド24は、蒸留カラム中で分画されてもよく、クロロメタンを含有するオーバーヘッド25がもたらされ、これは焼却されるか、または製品として販売し得る。カラムの底面であるストリーム26は、デカンターに供給し得るが、ここで2重量%未満の水を含有するEDCの豊富な相28を取り出し得る。このEDC相は、乾燥床上で脱水に供され、実質的に純粋なEDC29を形成し得る。乾燥床は、例えば、分子篩であり得る。水27は、いくらかのEDCを含有するかもしれないので、副次的生成物除去カラムに再び供給してもよく、水は処理のためにストリーム23と共に最終的に離れ、EDCはオーバーヘッド24において大部分が回収される。いくつかの実施形態において、水27は、さらに焼却される残りの副次的生成物から水を除去する膜または活性炭素床に送ってもよい。
この図は、EDCを形成するエチレン反応のストリームおよび成分を例示する一方、他の分離および精製システム、さらなる熱交換ユニット、ならびにストリームの他の流入および流出を含めたこの図からの変動は全て十分に本発明の範囲内である。
図9Aを再び参照すると、ステップCの後はステップDであり、ここでいくつかの実施形態において、より低い酸化状態の金属イオンを有する金属塩を、より高い酸化状態の金属イオンを有する金属塩から分離する。いくつかの実施形態において、ステップBからの水性媒体が、電気化学セルに入る前にステップCを進んでもよいか、またはしなくてもよいように、ステップDは省略し得る。本明細書に記載のように、有機生成物の分離の後の金属塩溶液を、より低い酸化状態からより高い酸化状態への金属イオンの酸化のために電気化学セルに戻す。より低い酸化状態の金属イオンおよびより高い酸化状態の金属イオンの所望の濃度および/または比は、電気化学的システムにおいて反応器システムにおけるものと異なることを出願人らは予想外におよび驚いたことに見出した。単に例として、より低い電圧が、より高い濃度のより低い酸化状態の金属イオン、例えば、高いCu(I)濃度を伴う電気化学的システム作動について観察され、そしてより高選択性が、より高い濃度のより高い酸化状態の金属イオン、例えば、より高いCu(II)濃度を伴う反応器システム作動について観察される。したがって、いくつかの実施形態において、より高い酸化状態の金属イオンは、より低い酸化状態の金属を主に含有する金属イオン溶液を電気化学的システムに供給する前に、より低い酸化状態の金属イオンから部分的または完全に分離し得る。図9Aに例示するように、金属溶液が反応器システムに供給される前に、電気化学的システムからの金属溶液に、より高い酸化状態のさらなる金属イオンを補充し得る。
したがって、いくつかの実施形態において、アノードとアノード電解質とを接触させるステップであって、アノード電解質が、金属イオンを含むステップと、アノードにおいて金属イオンをより低い酸化状態からより高い酸化状態へと酸化させるステップと、水性媒体中で、不飽和または飽和炭化水素をより高い酸化状態の金属イオンを含むアノード電解質と反応させ、ハロゲン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物およびより低い酸化状態の金属イオンを形成するステップと、より低い酸化状態の金属イオンを含む水性媒体を循環させてアノード電解質に戻す前に、より高い酸化状態の金属イオンからより低い酸化状態の金属イオンを分離するステップとを含む方法を提供する。上記の方法のいくつかの実施形態において、循環されてアノード電解質に戻る水性媒体は、実質的により低い酸化状態の金属イオンのみを含み、より高い酸化状態の金属イオンは存在しないか、または非常に低濃度(3M未満、または2M未満、または1M未満または0.5M未満)のより高い酸化状態の金属イオンを含む。上記の方法のいくつかの実施形態において、不飽和炭化水素、飽和炭化水素、ハロゲン化炭化水素、金属イオンなどは全て、本明細書において詳細に記載してきた。上記の方法のいくつかの実施形態において、金属イオンは、銅であり、不飽和炭化水素は、エチレンであり、有機化合物は、EDCを含む。上記の方法のいくつかの実施形態において、方法は、上記のような反応分離、および/または上記のような残留有機物分離(ステップC)をさらに含む。上記の方法のいくつかの実施形態において、方法は、限定されないが、圧縮冷却プロセス、液液分離、気液分離、およびこれらの組合せを含めたプロセスを使用して、ハロゲン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物を分離および精製するステップ(ステップB)をさらに含む。
いくつかの実施形態において、金属イオンを含むアノード電解質と接触しており、金属イオンをより低い酸化状態からより高い酸化状態へと酸化させるように構成されているアノードと;アノード室に動作可能に接続されており、かつ水性媒体中の不飽和炭化水素または飽和炭化水素とより高い酸化状態の金属イオンを含むアノード電解質との反応を引き起こして、ハロゲン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物およびより低い酸化状態の金属イオンを形成するように構成されている反応器と;より低い酸化状態の金属イオンを含む水性媒体を循環させてアノード電解質に戻す前に、より高い酸化状態の金属イオンからより低い酸化状態の金属イオンを分離するように構成されている金属セパレーターとを含むシステムを提供する。上記のシステムのいくつかの実施形態において、循環されてアノード電解質に戻る水性媒体が、実質的により低い酸化状態の金属イオンのみを含み、より高い酸化状態の金属イオンは存在しないか、または非常に低い濃度(3M未満、または2M未満、または1M未満または0.5M未満)のより高い酸化状態の金属イオンを含むように、金属セパレーターは金属イオンを分離するように構成されている。上記のシステムのいくつかの実施形態において、不飽和炭化水素、飽和炭化水素、ハロゲン化炭化水素、金属イオンなどは全て、本明細書において詳細に記載してきた。上記のシステムのいくつかの実施形態において、金属イオンは、銅であり、不飽和炭化水素は、エチレンであり、有機化合物は、EDCを含む。上記のシステムのいくつかの実施形態において、システムは、上記のような反応分離反応器、および/または本明細書において下記でさらに記載するような残留有機物セパレーター(吸着剤)をさらに含む。上記のシステムのいくつかの実施形態において、システムは、限定されないが、圧縮冷却システム、液液セパレーター、気液セパレーター、およびこれらの組合せを含めたシステムを使用して、ハロゲン化炭化水素を含む1種または複数の有機化合物を分離および精製するように構成されているセパレーターをさらに含む。
金属分離または金属セパレーターシステムには、限定されないが、沈殿、ナノ濾過、速度論的溶解、またはこれらの組合せが含まれ得る。いくつかの実施形態において、金属イオンは、沈殿技術によって分離される。本明細書において提供する方法およびシステムにおいて、電気化学セルは反応器より低い温度にて作動する。したがって、反応器から排出する金属溶液は、電気化学的システム中に供給される前に、冷却する必要があり得る。いくつかの実施形態において、金属溶液の冷却は、金属イオンの沈殿をもたらし得る。より低い酸化状態の金属イオンおよびより高い酸化状態の金属イオンの間の溶解度の差異によって、2つの異なる酸化状態の金属イオンは分離し得る。単に例として、Cu(I)/Cu(II)溶液系において、反応器は、約150℃にて動作し得、一方、電気化学的システムは、非常により低い温度、例えば、約70℃にて動作し得る。したがって、銅溶液は、電気化学セル中に供給する前に冷却する必要がある。銅溶液の冷却は、Cu(I)塩と比較して、Cu(II)塩の沈殿をもたらしたことが観察された(下記の実施例6に記載した実験)。このように得られたCu(I)塩溶液は、電気化学セル中に供給し得る。Cu(II)を含有する固体を使用して、電気化学セルから排出し、反応器に進入する金属溶液を補充し得る。
いくつかの実施形態において、金属イオンは、ナノ濾過によって分離される。ナノ濾過(NF)は、逆浸透についての圧力差よりかなりより小さくあり得る圧力差下での膜を通した拡散を使用する膜濾過プロセスである。NF膜は、中性pHにて負の電荷で僅かに帯電している表面を有し得る。この表面電荷は、膜の輸送機序および分離特性において役割を果たし得る。単に例として、Sterlitech CF042膜セルは、実験室規模のクロスフロー濾過ユニットである。このユニットにおいて、四角形のNF膜の単一のピースはセルのベースに設置され、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)支持膜は、透過液担体として使用される。典型的な動作において、供給物ストリームは、供給物容器からセル底面上に位置している供給物入口にポンピングされる。流れはマニフォールドを進み、膜空洞中に入る。空洞中に入ると、溶液は、膜表面に亘り接線方向に流れる。溶液の一部分は膜を透過し、セルの上部上に位置している透過液担体を通って流れる。透過液は、セル本体上部の中央に流れ、マニフォールドにおいて集められ、次いで、透過液出口接続部から収集容器中に流れる。膜によって拒絶された材料を含有する濃縮物ストリームは、膜上を移動し続け、次いで、濃縮物チューブから流れて供給物容器中に戻る。他のNF膜の例は、限定されないが、Dow NF(中性)、Dow NF90(中性)、Dow NF270(中性)、TriSep XN45(中性)、Koch HFM−183(正に帯電している)、Koch HFP−707(負に帯電している)、CEM2030、FAA130、およびFAS130を含む。
いくつかの実施形態において、金属イオンは、速度論的または一過性溶解技術によって分離される。この技術において、溶解の異なる反応速度を有する金属イオンを分離することができる。例えば、Cu(II)は、Cu(I)より速く溶解する。本明細書に記載されている実施例7は、これらの溶解の反応速度を使用したCu(II)からのCu(I)の分離を例示する。
いくつかの実施形態において、本発明のシステムにおける反応器および/またはセパレーター成分は、反応器中に導入される炭化水素の量、反応器中に導入されるアノード電解質の量、セパレーター中への有機物および金属イオンを含有する水性媒体の量、吸着剤上の吸着時間、反応器およびセパレーターにおける温度および圧力条件、反応器およびセパレーターへのならびにこれらからの流量、セパレーターにおける吸着剤のための再生時間、水性媒体が電気化学セルに戻る時間および流量などを制御するように構成されている制御ステーションを含み得る。
制御ステーションは、手動で、機械的にまたはデジタル処理で制御される一組のバルブまたはマルチバルブシステムを含み得、あるいは任意の他の好都合な流れレギュレータープロトコルを用い得る。場合によって、制御ステーションは、上記のような量および条件を制御するインプットおよびアウトプットパラメーターを使用者に提供するように構成されているコンピュータインターフェース(レギュレーションはコンピュータ支援であるか、またはコンピュータによって完全に制御されている)を含み得る。
本発明の方法およびシステムはまた、エチレンガスの流れまたは水性媒体中の金属イオンの濃度または水性媒体中の有機物の濃度などをモニタリングするために構成されている1つまたは複数の検出器を含み得る。モニタリングには、限定されないが、水性媒体およびガスの圧力、温度および組成についてのデータを集めることが含まれてもよい。検出器は、モニターするように構成されている任意の好都合な装置、例えば、圧力センサー(例えば、電磁圧力センサー、電位差圧力センサーなど)、温度サンサー(抵抗温度検出器、熱電対、気体温度計、サーミスター、高温計、赤外線センサーなど)、容量センサー(例えば、地球物理学的回折断層撮影法、X線断層撮影法、水中音響サベーヤーなど)、ならびに水性媒体またはガスの化学的構成を決定するための装置(例えば、IR分光計、NMR分光計、紫外可視分光光度計、高速液体クロマトグラフ、誘導結合プラズマ発光分光計、誘導結合プラズマ質量分析計、イオンクロマトグラフ、X線回折計、ガスクロマトグラフ、ガスクロマトグラフィー質量分析計、フローインジェクション分析、シンチレーションカウンター、酸滴定、およびフレーム放射分光計など)であり得る。
いくつかの実施形態において、検出器はまた、使用者に水性媒体、金属イオンおよび/または有機物についての集めたデータを提供するように構成されているコンピュータインターフェースを含み得る。例えば、検出器は、水性媒体、金属イオンおよび/または有機物の濃度を決定してもよく、コンピュータインターフェースは、長期に亘る水性媒体、金属イオンおよび/または有機物内の組成の変化のサマリーを提供し得る。いくつかの実施形態において、サマリーは、コンピュータ可読データファイルとして保管してもよく、または使用者可読書類としてプリントアウトしてもよい。
いくつかの実施形態において、検出器は、水性媒体、金属イオンおよび/または有機物についてのリアルタイムデータ(例えば、内部圧力、温度など)を集めることができるようなモニタリング装置であり得る。他の実施形態において、検出器は、規則的な間隔で、水性媒体、金属イオンおよび/または有機物のパラメーターを決定し、例えば、1分毎、5分毎、10分毎、30分毎、60分毎、100分毎、200分毎、500分毎、または他の何らかの間隔で組成を決定するように構成されている1つまたは複数の検出器であり得る。
以下の実施例を、本発明をいかに作製し使用するかの完全な開示と説明を当業者に提供するために示すが、これらは、本発明者らが本発明者らの発明とみなすものの範囲を限定するものではなく、また、以下の実験が全てであるか、または実施した唯一の実験であることを表そうとするものでもない。本明細書で説明したものに加えて、本発明の種々の改変形態が、上記説明および添付の図面から当業者に明らかになろう。そうした改変形態は添付の特許請求の範囲に包含される。用いた数字(例えば、量、温度等)に関して正確さを確実にしようと努力をしてきたが、いくらかの実験誤差および偏差があるものと斟酌されるべきである。別段の指定のない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏温度であり、圧力は大気圧またはその近傍である。
(実施例1)
不飽和炭化水素からのハロ炭化水素の形成
塩化銅を用いたエチレンからのEDCの形成
この実験は、塩化第二銅を用いたエチレンからの二塩化エチレン(EDC)の生成を対象とする。実験は耐圧容器中で実施した。耐圧容器は、触媒、すなわち塩化第二銅溶液を含む外側ジャケット、および塩化第二銅溶液中にエチレンガスをバブリングするための入口を備えた。反応物の濃度は以下の表1に示す通りであった。耐圧容器を160℃に加熱し、実験中、エチレンガスを300psiで30分〜1時間、200mLの溶液を含む容器中に通した。容器を4℃に冷却し、次いで排気し開放した。溶液中で形成された生成物を酢酸エチルで抽出し、次いで分液漏斗で分離した。EDCを含む酢酸エチル抽出物をガスクロマトグラフィー(GC)に供した。
塩化銅を用いたプロピレンからのジクロロプロパンの形成
この実験は、塩化第二銅を用いたプロピレンからの1,2−ジクロロプロパン(DCP)の生成を対象とする。実験は耐圧容器中で実施した。耐圧容器は、触媒、すなわち塩化第二銅溶液を含む外側ジャケット、および塩化第二銅溶液中にプロピレンガスをバブリングするための入口を備えた。5M CuCl2、0.5M CuCl、1M NaClおよび0.03M HClの150mL溶液を、450mLの撹拌式グラスライニング耐圧容器に入れた。閉じた容器をN2でパージした後、160℃に加熱した。この温度に達した後、プロピレンを容器に加えて、圧力を、大部分が水蒸気による自圧から130psigの圧力まで上昇させた。15分間後、さらなるプロピレンを加えて、圧力を120psigから140psigへ上昇させた。さらに15分後、圧力は135psigであった。この時点で、反応器を14℃に冷却し、減圧して開放した。酢酸エチルを用いて反応器部品を濯ぎ、次いで抽出溶媒として使用した。生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。これは、酢酸エチル相中に回収された0.203gの1,2−ジクロロプロパンを示した。
(実施例2)
電気化学反応の低電圧
この実施例は、波形アノードおよびPK膜が電気化学セルにおいて使用されたときの、電気化学反応の低電圧を例示する。40cm2の活性領域の研究室セル上のセル構造は、コーティングされたTiメッシュアノード、白金族金属触媒コーティングを有するNiフライネットメッシュカソード、FAA−3−PK−30アニオン交換膜(FuMA−Tech)、およびN2030カチオン交換膜(Dupont)と架橋されたTiをベースとする波状のものであった。セル条件は、4.5MのCuCl2、1.5MのCuCl、2.5MのNaClからなるアノード液、pH2での300g/NaClのブライン供給物、および30重量%の水酸化ナトリウムのカソード液であった。セルの動作温度は、90℃であった。電気化学反応についての作動時間は30分であった。これらの条件によって、3kA/m2にて2.35Vのセル電圧が達成された。
(実施例3)
吸着剤上への有機物の吸着
この実験において、異なる吸着剤を使用した金属水溶液からの有機物の吸着を試験した。試験した吸着剤は、活性炭(Aldrich、20〜60メッシュ)、ペレット化PMMA((ポリ(メタクリル酸メチル)、GPCによって平均Mw約120,000、Aldrich)およびペレット化PBMA((ポリ(メタクリル酸イソブチル)、平均Mw約130,000、Aldrich)(PMMAとPBMAとの両方が、図10においてPXMAとして示される)および架橋PS(Dowex Optipore(登録商標)L−493、Aldrich)であった。PS(Dowex Optipore(登録商標)L−493、Aldrich)は、1100m2/gの表面積、4.6nmの平均細孔直径、および500g/ビーズの平均粉砕強度を有する20〜50メッシュビーズであった。
20mLのねじ蓋バイアルにおいて静的吸着実験を行った。4MのCuCl2(H2O)2、1MのCuCl、および2MのNaClを含有する水性ストック溶液を、少量の二塩化エチレン(EDC)、クロロエタノール(CE)、ジクロロアセトアルデヒド(DCA)およびトリクロロアセトアルデヒド(TCA)でドープした。水溶液を1mLのEtOAcで抽出し、EtOAc抽出液の有機物濃度を分析することによって、溶液の有機物含量を分析した。6mLのストック溶液を、図10において例示するグラフにおいて示すように特定の時間、異なる量の吸着剤材料と共に90℃にて撹拌した。濾過後、処理した水溶液の有機物含量を、抽出および有機相のGCMS分析によって分析した。吸着剤材料の量が増加すると共に、有機物含量の低減の増加が達成されたことが観察された。最も高い低減は架橋PSで観察された。
この実験において、吸着剤の再生能力を、所与の吸着材料(Dowex Optipore(登録商標)495−L)上にCu含有溶液からの有機物を繰り返し吸着させ、材料を冷水および熱水で洗浄し、材料を乾燥させ、次いで、再び吸着のために洗浄した材料を使用することによって試験した。実験の結果を、図11に例示する。2回目の再生の後でさえ吸着性能は、未使用材料と非常に類似であったことが観察された。Dowex材料による有機物吸着の後のCu濃度の紫外線(UV)測定は、有意な変化を示さなかったことがまた観察された。未使用材料では、全体的なCu濃度の概ね10%の低減が観察され、再生された材料では、Cu濃度の1〜2%のみの低減が観察された。これらの知見は、ポリマーの吸着材料の反復使用の利点の方角を指す。なぜなら、ポリマー材料は、複数の使用サイクルの後でさえ、Cuイオンの大部分を保持することなく銅イオン含有溶液から有機物を吸着するからである。そのため吸着剤材料は、その吸着能力が消耗した後に再生することができ、再生後、吸着剤材料は、吸着のために再使用することができる。
吸着および脱着のプロファイルおよび時間はパラメーター、例えば、流量、温度、カラム寸法などによって影響を受け得ることが観察された。これらのパラメーターを使用して、電気化学セルに進入する前に排出ストリームからの有機物の除去のための技術を最適化することができる。
(実施例4)
電気化学セルの腐食試験
高度に濃厚な塩化銅溶液中で90℃および160℃にて広範囲の金属およびポリマーについて腐食試験を行った(表2を参照されたい)。選択した材料を、5mg/mLの二塩化エチレン(EDC)でまた試験した。10日および1000時間後に重量の変化を測定した。これらの材料は全て、タンク材料、パイピング、熱交換器、ポンプ、反応器、セルハウジング、セルフレーム、電極、計器類、バルブ、およびプラント材料の全ての他の残部における用途のための候補であった。
Ti Gr.2は、上記の用途の多くのための主要な候補材料であることが見出された。アノード分極試験を行い、試験環境における腐食度を推定した。チタンGr.2作用極、白金金網対電極、および飽和カロメル電極参照電極を有する標準的な3電極セルにおいて動電位スイープを行った。腐食電位(Ecorr)は、4.5MのCuCl2/2.5MのNaClの溶液中で90℃にてSHEに対して0.94Vであると決定した。電位を0.5mV/sの速度で0.55Vから1.2Vまでスキャンした。タフェル傾斜(β)および抵抗(R)を、動電位スイープから生じさせたlog(i)に対するVのプロットから測定した。等式(1)を使用して、腐食度(icorr)を<0.5mpy(1年あたりのミル数)であると計算したが、これは典型的には所与の動作条件において高安定性であると考えられる。
R=βaβc/[2.3×icorr×(βa+βc)] 等式(1)
(実施例5)
電気化学セルにおけるAEMの試験
この研究において、FuMA−TechのFumasepシリーズからのアニオン交換膜(AEM)を試験した。選択したAEMは、20um〜130umの範囲の厚さならびにポリエチレン(PET)、ポリプロピレン(PP)、ガラス繊維、およびポリエーテルエーテルケトン(PK)を含めた異なる補強材を有するFASおよびFAA形態のものであった。厚み方向面積抵抗は、ACインピーダンスを使用して測定した。試験セットアップは、Pt箔電極および4.91cm2の活性面積を有する2電極フロースルーセルであった。印加したDC電流は、1mAのAC振幅を伴う5mAであった。周波数掃引は、35kHz〜10−3Hzの間であった。試験溶液は、25℃にて40g/LのNaClであった。結果を図12に要約する。最小抵抗はFAA−PP−75について見られた。抵抗は、アイオノマー、補強材、厚さ、およびこれらの組合せの関数であることが観察された。
(実施例6)
沈殿による金属塩の分離
この研究において、異なる酸化状態の金属塩を、沈殿技術を使用して分離した。溶液の最初の組成は、0.9MのCu(I)/4.55MのCu(II)/XM(X=1Mである)、2.5Mおよび4Mの[NaCl]であった。固体を秤量し、ビーカー中に入れた。脱イオン水を加えて100ml容量の溶液とし、次いでこれを90℃に加熱した。30分の撹拌後、試料を滴定測定のために抜き出した([Cu(II)]および[総Cu]について)。次いで、熱い混合物を室温にて約4時間冷却させた。沈殿物が形成された後、これらを残留する液体から濾過によって分離した。両方の材料(透過液体および濾過した固体)を、Cu(I)/Cu(II)/総Cuの滴定測定を使用して分析し、沈殿/溶解を使用したCu(II)からのCu(I)の可能性な分離を評価した。
冷たい液体中のCu(I)の濃度は、当初の熱い溶液におけるものと概ね同じであることが見出された。冷たい液体の絶対[Cu(II)]濃度は、開始[Cu(II)]より約25〜30%低かった。したがって、CuI:CuIIの比は、冷たい液体中で0.9M/4.5Mから0.9M/3Mに増加した。固体濾液のCu(I):Cu(II)比は、冷たい液体より約2分の1に低く、熱いミックスより約1.5分の1に低いことが見出され、すなわち、固体沈殿物中に非常により少ないCu(I)が存在した。これらの結果に基づいて、低温での固相からの液体分離、遠心分離または複数の濾過によって、Cu(I)/Cu(II)分離効率は改善することができることが観察された。
次のシリーズの実験において、3つの異なるCu(I)/Cu(II)/NaClの100mlの混合物を調製した(1M/3.5M/2.5M、1M/4.5M/2.5M、および1M/5.5M/2.5M)。完全な溶解のために、混合物を徹底的に撹拌し、90℃にて加熱した。その後、4mlの試料を各混合物から取り出し、滴定し、Cu(I)およびCu(II)の濃度を決定した。約4時間冷却した後、3つの混合物全てを、部分的に凝固させた。液相を単純な濾過によって固体から分離し、透過した液体および残留する固体の滴定を行った。
熱い溶液混合物および冷たい上清の両方中のCu(I)の濃度は、概ね同じであったことが観察されたが、これは全てのCu(I)が液相中に留まったことを意味した。冷たい上清中のCu(II)の濃度は、熱いミックス濃度から減少した(3.5Mから2.4M、4.5Mから2.7M、および5.5Mから2.8Mにおいて最も大きな低下)。滴定および外観(青色の結晶)の両方の結果によると、固体沈殿物は、可能ないくらかの低レベルのNaClを有する純粋なCu(II)であった。無視できるCu(I)が、低レベルの不純物として存在し得る。この結果をXRDによって確認した。
沈殿技術(加えた水に再溶解させた)によって得た金属の触媒性能(炭化水素と反応させて、ハロゲン化炭化水素を形成する)の結果を試験した。触媒活性は、沈殿によって得た結果ではなく、金属イオンによって得た触媒作用の結果と一致していることが見出された。溶液中に1.46gの金属を有する試料を、反応器において窒素下で160℃にて60分間作動させ、230PSIの圧力にてエチレンで200PSIまでt=60分で加圧した。有機相を2mLのEtOAcで抽出した。結果は副次的生成物と共にEDC形成を示した。
別の実験において、室温への冷却と比較して、金属溶液を、90℃に冷却した。1M/6.5M/2.5Mの混合物を、150℃に30分間加熱して、平衡化し、次いで、温度を90℃に低下させ、ここで事前加熱した濾過シリンジを使用して、液体および固体を分離した。次いで、このように得られた溶液を滴定した。固体試料中にCu(I)は存在しないことが観察された。濾過後の液相の濃度は、約3Mの概ねのCu(II)濃度を伴ってCu(I)が豊富であった。
(実施例7)
速度論的溶解による金属塩の分離
この実験において、0.9M/4.5M/2.5MのCu(I)/Cu(II)/NaClの混合物を、ビーカーに入れた。水を20℃にて100mlまで導入した。1分、3分、5分および30分後に10mlの試料を取り出した。Cu(I)の濃度は1分において0に近く、30分後に約0.3Mに上昇し、一方、Cu(II)の濃度は1分において1.2Mに近く、30分後に約1.8Mに上昇したことが観察された。溶液の色の変化もまた、時間の関数として観察された。このように、Cu(I):Cu(II)の比は、時間と共に増加したことが見出された。
(実施例8)
電気化学セルの始動
電気化学セルの始動の間に、電流密度は、0から設計電流密度、例えば、300mA/cm
2に増加する。より高い動作電流密度に達すると、アノード液を金属ハロゲン化物、例えば、塩化銅を含むプロセス溶液に切り換える。通常、電気化学セルの始動溶液は、低電流密度での金属、例えば、銅含有実体によるAEMの汚れを回避することができる硫酸ナトリウムであり得る。しかし、硫酸ナトリウム単独の使用は、アノードにおいて酸素の発生をもたらすことが見出された。酸素は、アノード材料に対して有害であることが見出された。この実験は、硫酸ナトリウムと一緒に硫酸第一鉄を使用することが、酸素の発生を抑制し、低電圧をもたらしたことを示す。Fe(++)=0.1から飽和までの任意の濃度を使用することができる。溶液を酸性化して、鉄が空気中の酸素によって酸化されることを防止し、Na
2SO
4を加えて、溶液の伝導率を改善させた。下記の表3は、硫酸第一鉄を伴う実験、および硫酸第一鉄を伴わない実験のためのセル電圧および溶液組成を提供する。
(実施例9)
反応器の構造および反応条件
反応器をセットアップして、EDCへのエチレンのハロゲン化を行った。約4.4〜4.6MのCu(II)Cl2、0.4〜0.6MのCu(I)Cl、2.2〜2.3MのNaClに対応する、約38〜40重量%のCuCl2、4.9〜5.1重量%のCuClおよび8.5重量%のNaClを含有する金属水溶液(アノード液)を、反応器における反応のために使用した。金属溶液の密度を、コリオリメーターによって90℃にて測定した。金属溶液を非金属性タンクにおいて90℃まで事前加熱し、180〜195℃に設定したオイルヒーターを通してエチレンで加圧した反応器中にポンピングした。触媒作用反応器は、チタントリクル床反応器であった。反応器の寸法および充填材料を、下記の表4において記載する。反応器における金属溶液(アノード液)の流量、ならびにこのように得られた時間平均温度および圧力パラメーターをまた、表4において例示する。エチレンを反応器中に供給し、定圧を保持した。金属溶液および生成物を含有する液相は、反応器の底面における液体レベル制御バルブを通って反応器を離れ、これによって反応器の底面における2〜5リットルの液体レベルを確実にした。
金属溶液および生成物を含有する液相を、気液セパレーター(V−Lセパレーター)において10〜20psigに除圧させた。蒸気を取り出し、5℃に冷却することによって別々に凝縮し、蒸気の凝縮物を液液セパレーター(デカンター)において集めた。手順はまた、最初にV−Lセパレーターにおける蒸気の冷却、それに続く減圧を代わりに含み得ることを理解すべきである。EDC生成物を、デカンターにおいて水相から分離した。デカンターからの水相は少量の生成物を含有しており、これを測定した。
V−Lセパレーター中の液相(蒸気を取り出した後)は、セパレーターの底面においてレベル制御バルブを通ってV−Lセパレーターを離れ、非金属性タンク中に集められた。金属溶液は少量の生成物を含有しており、これを測定した。金属溶液は、反応器に進入する前に再循環されて最初の非金属性タンクに戻されることができる。
空時収率(STY)は、EDC相中の集めた生成物の総量、ならびに水凝縮物相および金属溶液中で測定した生成物によって決定した。生成物の総量を、標的条件での反応時間ならびに充填床の直径および高さによって決定した充填反応器の名目容量で割った。
表4および図13に例示するように、反応器の長さが増加し、または反応器の長さ/直径の比が増加するにつれ、STYは進行的に増加した。これは、反応器の長さまたは反応器の長さ/直径の比と、ハロゲン化生成物のSTYとの間の相関関係を示す。充填材料のタイプ、および充填材料のサイズはまた、生成物のSTYに影響を与えたことがまた観察された(実験1および2または5および6)。したがって、限定されないが、反応器の長さ、反応器の長さ/直径の比、充填材料のタイプ、充填材料のサイズ、またはこれらの組合せを含めた反応器構造は、形成された生成物のSTYに影響を与える。
(実施例10)
反応器構造および反応条件
反応器をセットアップして、EDCへのエチレンのハロゲン化を行った。約4〜5.3MのCuCl2、0.5〜1.2MのCuClおよび2.2〜2.5MのNaClに対応する、約39〜47重量%のCuCl2、4.9〜6.5重量%のCuClおよび8〜9重量%のNaClを含有する金属水溶液(アノード液)を、反応器における反応のために使用した。金属溶液の密度を、コリオリメーターによって90℃にて測定した。各実験のために、金属溶液を非金属性タンクにおいて90℃へと事前加熱し、175〜195℃に設定したオイルヒーターを通して、エチレンで加圧した反応器中にポンピングした。触媒作用反応器は、反応器の入口および出口における温度プローブ、ならびに圧力プローブを有するチタントリクル床反応器であった。反応器の寸法および使用した充填材料を、下記の表5および6に記載する。金属溶液(アノード液)の流量、ならびに反応器におけるこのように得られた時間平均温度および圧力パラメーターをまた、表5および6に例示する。エチレンを反応器に供給し、定圧を保持した。金属溶液および生成物を含有する液相は、反応器の底面において液体レベル制御バルブを通って反応器を離れ、これによって反応器の底面における2〜5リットルの液体レベルを確実にした。
金属溶液および生成物を含有する反応器から排出される液相を、気液セパレーター(V−Lセパレーター)において10〜20psigまで除圧した。5℃まで冷却することによって蒸気を除去し、別々に凝縮し、蒸気の凝縮物を液液セパレーター(デカンター)中に集めた。EDC生成物を、デカンターにおいて水相から分離した。水相は少量の生成物を含有しており、これを測定した。
残りの金属溶液(蒸気を除去した後)は、セパレーターの底面におけるレベル制御バルブを通ってV−Lセパレーターを離れ、非金属性タンク中に集められた。金属溶液は少量の生成物を含有しており、これを測定した。
実験番号7および実験番号8は、2つの単一のパラメーター変化実験について記載する。これらの実験において、反応器中へのエチレン流およびベントを通って出るエチレン流を、定常条件下で20〜40分の期間に亘り流量計で測定した。消費された総エチレンは、定常条件下でのある期間に亘る、反応器中への総エチレン流からベントを通って出る総エチレン流を減算することによって決定した。STYは、モルでの消費されたエチレンの総量を定常条件での期間および充填反応器の名目容量で除算することによって決定した。
表5に例示するように、実験番号7において、反応器の温度が上昇すると(全ての他のパラメーターを一定に保持する)、エチレンの反応性またはエチレン消費は増加した。消費されるエチレンの量が高いほど、形成されるEDCの量は高いため、エチレンの消費はEDC生成物のSTYと直接相関し得る。したがって、反応器の温度は、生成物のSTYと直接相関している。全ての温度条件に亘り平均化した実験番号7における全作動の選択性は、86.6モル%であった(EDCモル/エチレンモル)。
表6においてまた例示するのは、エチレンの反応性またはエチレン消費に対する反応器への金属溶液(アノード液)の流れの増加の効果である。反応器へのアノード液の流れが増加するにつれ、エチレンの消費がまた増加したことが観察された。上で説明したように、消費されるエチレンの量が高いほど、形成されるEDCの量は高いため、エチレンの消費はEDC生成物のSTYと直接相関し得る。したがって、反応器へのアノード液の流れは、生成物のSTYに直接相関する。全ての流れ条件に亘り平均化した実験番号8における全作動の選択性は、85.6モル%であった(EDCモル/エチレンモル)。
(実施例11)
有機生成物の分離および精製
図14は、反応器生成物ストリームから二塩化エチレンを回収する多段階蒸留カラムを使用した反応器および分離スキームを例示する。Cu(I)ClおよびCu(II)Cl2の混合物を含有する銅水溶液(1)を、トリクル床反応器の上部に供給した。エチレン(2)を、反応器の底面および/または上部に供給した。反応器は、1/4’’セラミックラシヒリングを充填した3’’スケジュール40パイプ(遮蔽したセクション内、8.5’高)で構成された。温度は銅供給物(1)を事前加熱することによって制御し、加圧したエチレン(2)を供給することによって圧力を制御し、圧力セットポイントを維持した。銅溶液、反応器において生成されたEDC、および他の塩素化有機副次的生成物を含有する反応器生成物(3)を、蒸留カラムの上部への供給によって開始する気液分離プロセスに供した。カラムの底面において銅溶液と接触しているコイル(リボイラー)を通して熱い油を循環させることによって、蒸気を蒸留カラムの底面において発生させた。カラム(7)を離れる銅溶液の流量を制御して、溶液液体レベルをコイルより上に保持した。カラムを上昇する蒸気と、カラムを下降する液体銅溶液との間の接触によって、銅溶液から軽い成分(有機物)を蒸留液ストリーム(4)中に取り出した。蒸留液ストリームを冷却器において凝縮および冷却し、分離容器中に流したが、ここで凝縮できない蒸気/ガスを分離した。分離容器からの液体ストリームは、液液分離容器に流した。液液分離容器において、蒸留液を、2つの相である、生成物(6)として取り出される主にEDCを含有する重い有機相、およびカラムの上部にリサイクルするか、またはさらなるプロセシングのために送ることができる軽い水相に分離した。
蒸留カラムは、3’’スケジュール40パイプで構築され、3/8’’Intaloxセラミック充填物を含有する5’充填セクションを有した。蒸留カラムリボイラーへの熱インプットの量は、加熱用油の流量ならびに入口および出口温度を測定することから計算した。蒸留カラム中の圧力は、ベント(8)流量を制御することによって制御した。
実験1:図14に記載した分離システムを、分離実験のために使用した。Cu(I)ClおよびCu(II)Cl2の混合物を含有した280kg/時間の銅水溶液(1)を、反応器の上部に供給した。供給温度は2.5時間の作動の間に165〜174℃の間で変化し、出口温度は対応して152〜164℃であった。エチレンを圧力制御によって反応器の底面に供給し、反応器圧力を270psigに制御した。蒸留カラム圧力は15psigに維持し、リボイラー温度は127℃であった。蒸留液水相(5)は、カラムにリサイクルせず、代わりに、ストリーム1におけるのと同じストリーム7中の銅濃度を維持するために、同じ質量割合での脱イオン水をカラムの上部に供給した。
ストリーム5および7の定期的試料を取り出し、そしてEDC、2−クロロエタノール(chloroethnol)(CE)、モノクロロアセトアルデヒド(MCA)、ジクロロアセトアルデヒド(dichloroacetalydehyde)(DCA)、およびトリクロロアセトアルデヒド(TCA)についてガスクロマトグラフィーによって分析した。生成したEDC(6)の量を測定した。
図15は、作動に亘る底面ストリーム(7)および水性蒸留液ストリーム(5)中の上記の成分の時間に対するリットル当たりのグラムでの濃度を例示する。上のグラフは、底面ストリーム(7)における濃度を示し、下のグラフは、水性蒸留液ストリーム(5)における濃度を示す。
表7は、蒸留液ストリーム(4)および底面ストリーム(7)を併用した実験の期間中の各成分の総質量を示す。回収%の計算は、(蒸留液ストリームへの)蒸留カラムによる各成分の回収/除去パーセントを示す。各成分の除去パーセントは、底面および蒸留液中の合わせた質量に対する蒸留液中の成分質量として計算される。
EDC、MCA、DCA、およびTCAは、蒸留液中に完全に回収されたことが見出された。CEについて、除去はより低かった。蒸留カラムのAspen Plusモデルは、非常により高い除去パーセントがCEよりMCAおよびDCAについて予想されることを示す。したがって、底面ストリーム中のDCAおよびMCAは、蒸留カラムリボイラーにおいて反応するCEから生じ、カラムへの反応器供給物(3)から生じなかったことが予測される。
実験2:図14に記載した分離システムを、分離実験のために使用した。この実験において、供給物温度は3.5時間の作動の間に167〜171℃の間で変化し、出口温度は対応して155〜161℃であったこと以外は同様の条件を実験1として使用した。さらなる例外は、蒸留液水相(5)をリサイクルしてカラムへ戻し、作動の終わりに液液分離容器中の全ての水相を試料採取したことであった。EDC、DCAおよびTCAは、蒸留液中に完全に回収されたことが観察された(表8)。CEについて、除去は、水相がリサイクルされなかった前出の実施例より低かった。
実験3:図14に記載した分離システムを、僅かな修正を伴って分離実験のために使用した。蒸留カラムを、単一段階フラッシュ蒸留容器と置き換えた。フラッシュのための熱は、15psigに維持されたフラッシュ容器中にフラッシュした熱い加圧反応器ストリーム(159℃、270psig)によって供給した。フラッシュ容器温度は、119℃であった。使用された反応器は、同じ充填物を有する4’’スケジュール40パイプで構築された。
Cu(I)ClおよびCu(II)Cl2の混合物を含有する180kg/時間の銅水溶液(1)を、30分の作動において反応器の上部に供給した。作動の最後の時間について、流れは260Kg/時間に増加させた。2時間の作動の間の供給温度は159℃であり、出口温度は対応して161℃であった。エチレンを圧力制御によって反応器の底面に供給し、反応器圧力を270psigに制御した。フラッシュ容器圧力を、15psigに維持した。蒸留液水相(5)はリサイクルせず、カラムに戻さなかった。
ストリーム5および7の定期的試料を取り出し、EDC、2−クロロエタノール(CE)、モノクロロアセトアルデヒド(MCA)、ジクロロアセトアルデヒド(DCA)、およびトリクロロアセトアルデヒド(TCA)についてガスクロマトグラフィーによって分析した。生成されたEDCの量(6)を測定した。
図16は、作動に亘る底面ストリーム(7)および水性蒸留液ストリーム(5)中の上記の成分の時間に対するリットル当たりのグラムでの濃度を例示する。上のグラフは、底面ストリーム(7)における濃度を示し、下のグラフは、水性蒸留液ストリーム(5)における濃度を示す。
表9は、蒸留液ストリーム(4)および底面ストリーム(7)を併用した実験の期間についての各成分の総質量を示す。各成分の除去パーセントは、底面および蒸留液中の合わせた質量に対する蒸留液中の成分質量として計算する。
EDCおよびCEの除去は、蒸留カラムが使用された前出の実施例より低かったことが観察された。底面ストリーム(7)中のEDC濃度は前出の実施例より高く、蒸留液(5)中のCE濃度はより低かったことを、また図16において見ることができる。