JP2005535748A - 可塑性ポリオレフィン組成物 - Google Patents

Abstract

本願発明は、ポリオレフィン及び非機能性可塑剤から成る、可塑性ポリオレフィンに関係する。非機能性可塑剤としては流動化温度 が−5℃未満のC₆からC_２００までのパラフィンから成る。(分岐、直鎖パラフィンを含む)。ある実施態様においては、非機能性可塑剤はC_６からC₂₅のイソパラフィンをから成る。他の実施態様においては、非機能性可塑剤はC₁₀からC₁₀₀までの直鎖パラフィンを含むα-イソパラフィンである。ポリオレフィンはプロピレンホモポリマー、コポリマー, インパクトコポリマー, またはそれらの混合物で、プラストマーを含んでいる。本発明の組成物から作られる好ましい工業製品にはフィルム、チューブ、パイプ、シート、繊維、織布および不織布、自動車の部品、家具、スポーツ用品、食用の所蔵コンテナー、透明及び半透明製品、玩具、管類及びパイプ類、および医療用具が含まれるが、これらに限定されるものではない。

Description

本発明はポリオレフィン及びC6からC12パラフィンのような非機能性可塑剤(non-functionalized plasticizer)から成る可塑性ポリオレフィン（plasticized polyolefins）に関するものである。より具体的には、本発明はプロピレンポリマー(propylene polymers)の耐衝撃性及び柔軟性のような加工性や特性の改良に係り、プロピレンポリマー(propylen polymers)のような可塑性ポリオレフィンに関するものである。

ポリオレフィン(polyolefin)は多くの日用品にとって有用である。しかしながら、多くのポリオレフィン、とりわけポリプロピレンホモポリマー及びコポリマーにおける一つの欠点は、比較的に高いガラス転移温度を有することにある。この性質はポリオレフィンの脆性とりわけ低温度における脆性を引き起こす。広範囲の温度に耐える商品に対するニーズが強く、高温性能等を維持することも必要である。その一方で耐衝撃性と靭性の改善も必要である。特に、プロピレンポリマーの靭性を改善すると共に、その他の望ましい特性を犠牲にしないプロピレン重合体を提供することが求められている。

可塑剤(plasticizer)又はその他の物質をポリオレフィンに添加することは衝撃強度又は靭性のような特性を改善するための一つの方法である。US4,960,820；US4,132,698；US3,201,364；WO 02/31044；WO 01/18109 A1、及び EP 0 300 689 A2には、係る特性を改善するが開示されている。これらの刊行物は機能的可塑剤(functionalized plasticizer)をブレンドしたポリオレフィン及びエラストマーを開示している。機能的可塑剤は芳香族を含むミネラルオイルのような物質で、高い流動化温度(-20℃より高い)を有する化合物である。これらの化合物を用いると、一般的にはポリオレフィンの透明性を保つことができず、衝撃強度を改善することができない。

この他の背景技術に関する文献としては、EP 0 448 259 A、EP 1 028 145 A、US patent Nos.4,073,782 及び3,415,925がある。

可塑性ポリオレフィンにとって必要なことは、柔らかさ、柔軟性(低弾性率)、低く抑えたガラス転移温度、及び低温(0℃未満)における改善された衝撃強度(改善されたガードナーインパクト)であり、一方ポリオレフィンの溶解温度、ポリオレフィンの晶析速度、透明性、に影響を与えず、そのポリオレフィンから作られている商品の表面に可塑剤が移動するのを最小限にすることである。更には、食品包装材及び玩具としても使用することが可能な可塑性ポリプロピレンであることが必要とされる。

可塑性ポリオレフィンはパラフィンのような単純で反応性の無い化合物を用いることが望ましい。しかしながら、脂肪族化合物又はパラフィン系化合物はポリオレフィンの性質を損なうことが知られており、従ってこれを使用することは推奨されていない。(例えば、CHEMICAL ADDITIVES FOR PLASTICS INDUSTRY 107-116 (Radian Corp., Noyes Data Corporation, NJ 1987); WO 01/18109 A1参照のこと) 本願出願の発明者は驚くべきことにパラフィン系化合物がポリオレフィンに対する有用な可塑剤となり得ることを発見した。本発明は係る可塑性ポリオレフィン関するものである。

発明の概要

本発明はポリオレフィン及び非機能性可塑剤から成る可塑性ポリオレフィン組成物に関するものである。ここでいう非機能性可塑剤は流動化温度が-5 ℃未満のC₆からC₂₀₀のパラフィン(分岐パラフィン及び直鎖パラフィンを含む)から成る。ある一つの実施態様においては、非機能性可塑剤はC₆からC₂₅のイソパラフィンから成る。また別の実施態様においては、非機能性可塑剤はC₁₀からC₁₀₀のn-パラフィンから成るポリアルファオレフィンである。このポリオレフィンはポリプロピレンホモポリマー、コポリマー、インパクトコポリマー又はそれらの混合物で、プラストマーを含んでいる。本発明に係る組成物から作られる有用な工業製品の例としては、フィルム、シート、ファイバー、織物、及び不織布、チューブ(管)、パイプ、自動車部品、家具、運動用具、食品貯蔵コンテナ、透明及び半透明製品、玩具、チューブ類及びパイプ類、及び医療用具を含むが、これらに限定されるものではない。本発明に係る組成物は、出発物質であるポリオレフィンに対して改良された(低温化した)Tgを有し、その一方でその他の性質を維持していることに特徴付けられる。

発明の詳細な説明

本発明はポリオレフィン及び非機能性可塑剤（NFP）から成る可塑性ポリオレフィン組成物に係る。NFPは芳香族炭化水素、典型的にはC₆からC₂₀₀のパラフィンから成るパラフィンである。ここで用いる「パラフィン」という語は、分岐構造及び直鎖構造を持ったC₆からC₂₀₀パラフィンの全ての異性体と、それらの混合を含む。個々のパラフィンには飽和環状炭化水素が含まれる。NPFの流動化温度は0℃未満であり、100℃における粘度(ASTM D445-97)は0.1から3000 cStであることが望ましい。有用なNFPにはいわゆるポリアルファオレフィン（PAOs）及びイソパラフィンと呼ばれるものを含むことができる。

本発明に係るある種の組成物は、ガラス転移温度（Tg）が低いことが特徴であり、一つの実施態様においては、組成物中のNFPが4wt%増える毎にTgは少なくとも2℃低下し、また別の実施態様においては、組成物中のNFPが4wt%増える毎にTgは少なくとも3℃低下する。更に別の実施態様においては、組成物中のNFPが4wt%増える毎にTgは少なくとも4℃から10℃においては低下する。その一方でポリオレフィンの融解温度及び結晶化温度は一定に留まったままである(1℃から2℃以内で一定である)。

さらに、本発明に係る組成物NTPはプロピレンポリマーと相性がよく、混合が可能であること、及び混合したときに分離層を作らないことが特徴である。このことは、本組成物におけるDMTA(動的な機械-熱系解析)によって測定されるTｇのプロファイルからも明らかである。

ポリオレフィン及びNFPは適切な手段によって混合することが可能である。例えば、これらはタンブラー内、押出成形機内、あるいはこれらの組み合わせで混合することができる。ここで述べる可塑性ポリオレフィンの改善された特性から、調理用及び貯蔵用製品、及び家具、自動車用部品、玩具、スポーツ用衣料、医療用具、消毒用医療用具、消毒済の容器、不織布の繊維及び布製品及びカーテン、ガウン,フィルター、衛生用品、おむつなどの関連商品、及びフィルム、光沢フィルム、シート、チューブ、パイプ及び氷点下における柔らかさ、高い衝撃強度、及び氷点下での衝撃強度が重要となるその他の商品に適用するのに好都合である。注入成形、押出成形、加熱成形、ブロー成形、回転成形、スパンボンド法、メルトブローイング法、紡糸法、ブローフィルム、延伸フィルムの引き伸ばし、及び他の一般的な方法を含む数多くの製造技術を可塑性ポリオレフィンを使用した上述の商品を形成するために使用することができる。

以下に、本発明に係るポリオレフィン、NFP、及び実施態様について詳細に説明する。

ポリオレフィン
ポリオレフィンは、より柔軟性を高め、耐衝撃性のある組成物とするために、可塑化し、あるいは本発明に係るNFPと混合することができる。本発明の一つの実施態様においては、ポリオレフィンはポリプロピレンのホモポリマー、ポリプロピレンのコポリマー又はその混合物の中から選択される。このホモポリマーはアタクチックポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、及びそれらの混合物とすることができる。コポリマーはランダムコポリマー、ブロックコポリマー、及びそれらの混合物でもよい。特に、ポリマー混合物には、ポリプロピレン及びポリプロピレンコポリマーを物理的に混合したもの、あるいは現場で混合したものであって、インパクトコポリマー、エラストマー及びプラストマーと呼ばれるものが含まれる。ポリプロピレンの製造方法は一義的ではなく、懸濁液、溶液、又は気相により作ることができる。そして、チグラー-ナッター系触媒,メタロセン系触媒、又はそれらの組み合わせが用いられる。そのような触媒は技術的に良く知られており、例えば ZIEGLER CATALYSTS (Gerhard Fink、Rolf Mulhaupt 及び Hans H. Brintzinger, 編 , Springer-Verlag 1995)； Resconi ら, Selectivity in Propene Polymerization with Metallocene Catalysts, 100 CHEM. REV. 1253-1345(2000)；及びI,II METALLOCENE-BASED POLYOLEFINS (Wiley & Sons 2000)に述べられている。

本発明に係るポリオレフィンはプロピレンホモポリマーである。好適なプロピレンホモポリマーの分子量分布(Mw/Mn)の幅は1.5から10であり、別の実施態様では2.0から7、そして更に別の実施態様では2.0から5である。23℃の温度において、0.125インチのディスクによって測定されたプロピレンホモポリマーのグランダー(Grander)衝撃強度は、一つの実施態様では20in-lbから1000in-lbであり、別の実施態様では30in-lbから500in-lbであり、更に別の実施態様では40in-lbから400in-lbとなっている。一つの実施態様においては、プロピレンホモポリマーの1%割線曲げ弾性率（secant flexural modules）は100Mpaから2300Mpaであり、別の実施態様では200Mpaから2100Mpaであり、更に別の実施態様では300Mpaから2000Mpaの範囲にある。これらの中で望ましいポリオレフィンは任意の曲げ弾性率の下限と上限の組み合わせをとることができる。ポリオレフィンホモポリマーのメルトフロー率（MFR）（ASTM D1238、 230℃、2.16kg）は、一つの実施態様においては、0.1dg/minから2500dg/minであり、別の実施態様では0.3から500dg/minの幅をもっている。

本発明において有用であるポリオレフィンホモポリマー又はコポリマーは、あるレベルのアイソタチシティーを有する。したがって、一つの実施態様においては、アイソタチックポリプロピレンは有用なポリオレフィンであり、別の実施態様においては高アイソタクチックポリプロピレンが有用なポリオレフィンとなっている。ここで使用される「アイソタクチック」とは、¹³C−NMRによる分析によれば、すくなくとも10%のアイソタクチックペンタッズを有するものであると定義される。ここで「高アイソタクチック」とは¹³C−NMRによる分析によれば、すくなくとも60%のアイソタクチックペンタッズを有するものであると定義される。一つの好適な実施態様においては、少なくとも85%のアイソタチシティーを有するポリプロピレンホモポリマーはポリオレフィンであり、別の実施態様においては、少なくとも90%のアイソタクチシティーを有するポリプロピレンホモポリマーがポリオレフィンである。

本発明の別の実施態様においては、ポリオレフィンは、プロピレン由来ユニットおよびエチレン及びC₄からC₂₀α-オレフィン由来ユニットから選択されるユニットであって、ランダム又はブロックのいずれかのプロピレンコポリマーである。更に別の実施態様では、エチレンとC₄ からC₁₀オレフィン由来ユニットから選択されたプロピレンコポリマーである。エチレン又はC₄からC₂₀のα-オレフィン由来ユニットは、一つの実施態様においてはコポリマーが0.1wt%から50wt%存在するものであり、別の実施態様においてはね0.5から30wt%存在するものであり、更に別の実施態様においては、1から15wt%存在するものであり、また別の実施態様においては、0.1〜5wt%存在する場合もある。望ましいコポリマーは、ここで説明した任意の上限のwt%と下限のwt%を組み合わせた、エチレン及びC₄〜C₂₀α-オレイン由来ユニットから成る。プロピレンコポリマーの重量平均分子量は、一つの実施態様においては、8,000g/molより大きく、他の実施態様においては、10,000g/molより大きく、さらなる実施態様においては、12,000g/molより大きく、また別の実施態様においては、20,000g/molより大きい。更なる実施態様においては、プロピレンコポリマーの重量平均分子量は、1,000,000g/mol未満、及び更なる他の実施態様においては、800,000g/mol未満である。ここで、望ましいコポリマーは、ここで述べた、任意の上限の分子量と任意の下限の分子量の中に含まれるものである。

更に他の実施態様においては、0.125インチディスクを使用し、温度23℃で測定されたプロピレンコポリマーのグランダー衝撃強度は、20in-lbから1000in-lb、及び他の実施態様においては、30in-lbから500in-lb、及びさらに他の実施態様においては40in-lbから400in-lbであった。更に、プロピレンコポリマーは、100Mpaから2300Mpa、及び他の実施態様では200Mpaから2100Mpa及び更なる実施態様においては300Mpaから2000Mpaの範囲の１%割線曲げ弾性率を有する。ここで、好ましいポリオレフィンとしては、任意の曲げ弾性率の上限と任意の曲げ弾性率の下限とを組み合わせたものを含むものである。好ましい、コポリマーのメルトフロー率（melt flow rate）(ASTM D 1238, 230℃)は、１の実施態様において、0.1dg／minから2500dg/min、及び他の実施態様においては0.1から500dg/minの分布を持つ。

他の実施態様においては、ポリオレフィンは、「インパクトコポリマー」又は「ブロックコポリマー」と呼ばれている。このインパクトコポリマーは反応混合物（a reactor blend）（現場混合物（in situ blend））又は、物理混合物である。１の実施態様においては、適切なインパクトコポリマーはその総重量に対して、40wt%から95wt%の成分A及び5wt%から60wt%の成分Bを含む。ここで、成分Aはプロピレンホモポリマー又は、コポリマーから成り、このコポリマーは10wt%未満のエチレン、ブテン、ヘキセン、及び／又はオクテンコモノマー及び、約95%から約30%重量のプロピレンから成る。成分Bは、プロピレンコポリマーから成り、このコポリマーは5wt%から70wt%のエチレン、ブテン、ヘキセン、及び/あるいはオクテンコモノマーと、約95wt%から約30wt%のプロピレンから成るインパクトコポリマーの他の実施態様においては、成分Bは基本的にプロピレン及び30wt%から65wt%のエチレンから成る。他の実施態様においては、成分Bは、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、エチレン−アクリレイト−コポリマー、エチレン−ビニルアセテート、スチレン−ブタジエンコポリマー、エチレン−アクリルエステルコポリマー、ポリブタジエン、天然ゴム、イソブチレン、炭化水素樹脂（5000未満の分子量、約50から100℃のTg、及び約140℃未満の軟化点により特徴づけられる）、ロジン、及びそれらの混合物である。他の実施態様においては、成分Bは少なくとも3.5未満の平均分子量分布を有する。更に他の実施態様においては、成分Bは少なくとも20,000の重量平均分子量を有する。有用なインパクトコポリマーは例えば、US 6,342,566及びUS 6,348,142に開示されている。

さらなる他の実施態様において、プロピレンインパクトコポリマーの0.125インチディスクを使用した、−29℃におけるグランダー衝撃強度は、20in−lbから1000in−lbであり、他の実施態様においては、30in−lbから500in−lbであり、更なる実施態様においては、40in−lbから400in−lbである。さらに、プロピレンインパクトコポリマーの1%割線曲げ弾性率の範囲は、100Mpaから2300Mpaであり、他の実施態様では200Mpaから2100Mpaであり、そして他の実施態様では300Mpaから2000Mpaである。これらの中で望ましいポリオレフィンは任意の曲げ弾性率の下限と上限を組み合わせたものを含む。好ましいホモポリマーのメルトフロー率（MFR）（ASTM D1238、230℃、2.16kg）は、ある実施態様では0.1dg/min〜2500dg/minで他の実施態様では0.3〜500dg/minの範囲にある。

他の適切なポリオレフィンはプロピレンホモポリマー又はコポリマーと「プラストマー」と呼ばれるものとの混合物から成る。本発明において有用なプラストマーは0.85から0.915g/cm³の密度を有し、及び0.10から30dg/minのメルトインデックス（melt index）（ASTM D 1238；190℃、2.1kg）を有する。一つの実施態様においては、有用なプラストマーはエチレン由来のユニットおよび少なくともC₃〜C₁₀のα-オレフィン由来のユニットの一つのコポリマーであって、このコポリマーは0.195g/cm³の密度を有する。プラストマー中にあるコモノマー(C₃からC₁₀のα−オレフィン由来のユニット)の総量は、一つの実施態様においては、2wt%から35wt%であり、他の実施態様においては5wt%から30wt%、さらに他の実施態様においては15wt%から25wt%、さらに他の実施態様においては20wt%から30wt%である。

本発明において有用であるプラストマ−は、1の実施態様においては0.10から20dg/min、さらに他の実施態様においては0.2から10dg/min、及び0.3から8dg/minのメルトインデックス（MT）を有する。この有用なプラストマーの平均分子重量は、他の実施態様においては10,000から800,000、他の実施態様においては20,000から700,000である。有用なプラストマーの1%割線曲げ弾性率(ASTM D 790)は、１の実施態様においては、10Mpaから150Mpa、他の実施態様においては20Mpaから100Mpaの範囲にある。さらに、本発明の組成物に役立つこのプラストマーは、1の実施態様において、30から80℃(第1メルトピーク（first melt peak）)及び50から125℃（第2メルトピーク(secand melt peark)）、及び他の実施態様においては40から70℃(第1メルトピーク（first melt peak）)及び50から100℃（第2メルトピーク(secand melt peark)）の溶解温度(Tm)を有する。

本発明において有用なプラストマーは、プロピレン、１−ブテン、１−ヘキセン及び１−オクテンのような、メタロセン触媒によるエチレン由来のユニット、及びより高いα-オレフィン由来のユニットであるコポリマーであって、それらは、１の実施態様において0.860から0.900g/cm³の密度となる1以上のこれらのコモノマーユニットを含んでいる。好ましいプラストマーの分子量分布（Mw/Mn）は、１の実施態様においては、1.5から5、他の実施態様においては、2.0から4の範囲にある。市販されているプラストマーの例としては、EXACT4150という商品であって、これはエチレン及び1-ヘキセン、のコポリマーである。この1-ヘキセン由来のユニットはプラストマーを18から22wt%含んでおり、0.895g/cm³の密度と3.5dg/minのMIを有する。(エクソンモービル ケミカル カンパニー、ヒューストン、テキサス)；及びEXACT8201という商品であって、エチレン及び1−オクテンのコポリマーであって、この1−オクテン由来のユニットがプラストマーを26から30wt%含み、0.882g/cm³の密度と1.0dg/minのMIを有する（エクソンモービル ケミカル カンパニー、ヒューストン、テキサス）。

本発明に係る有用なポリオレフィンは、本発明に係るNFPと混合して用いることにより、任意の物理的形状にすることができる。１の実施態様においては、任意の処理過程に先立って、重合反応器から取り出されたポリマーの顆粒である反応顆粒が、本発明に係るNFPと混合される。この反応顆粒は、１の実施態様においては、50μmから10mm、他の実施態様においては、10μmから5mmの平均直径を有する。１の実施態様においては、このポリオレフィンは、例えば、平均直径が1mmから10mmであるようなペレットに形成され、このペレットは反応顆粒の溶融押出成形により成形される。

本発明のその他の態様においては、組成物に適しているポリオレフィンには、他のポリオレフィンとの物理的混合物を含まない。とりわけ低分子量(500から10,000g/mol)のポリエチレン又はポリエチレンコポリマーとの物理的混合物を含まない。このことは、低分子量ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーは、少量であっても、本発明に係るポリオレフィン(例えばポリプロピレンホモポリマー又はコポリマー)組成物へ意図的に添加しないことを意味する。このようなケースの例としては、WO 01/1819 A1がある。

本発明の組成物の中に、ポリオレフィンは、１の実施態様においては40wt%から99.9wt%、他の実施態様においては50wt%から99wt%、さらに他の実施態様においては60wt%から98wt%、また更なる実施態様においては70wt%から97wt%、さらに他の実施態様においては80wt%から97wt%、さらに他の実施態様においては90wt%から98wt%、存在する。ここで、好ましい範囲としては、ここで述べられた任意の上限のwt%と任意の下限wt%との組み合わせたものも含まれる。

本発明で用いられる好ましいポリオレフィンは、ここで説明した、任意の実施態様、又は、実施態様の任意の組み合わせによっても説明される。

非機能性可塑剤
本発明のポリオレフィン組成物は非機能性可塑剤(“NFP”)を含む。本発明のNFPは炭素と水素を含む化合物であり、水酸化物、アリール、置換アリール、ハロゲン、アルコキシ、カルボン酸、エステル、炭素不飽和、アクリル酸、酸素、窒素、及びカルボキシルから選択される官能基は感受される程度には含んでいない。「感受される程度」とは、これらの基及びからこれらの基を含む化合物は、存在したとしても意図的にNFPに添加されないことを意味し、ある実施態様では、NFPの5wt%未満、他の実施態様においては1wt%未満、さらに他の実施態様においては0.5wt%未満であることを意味する。

１の実施態様においては、NFPはC₆からC₂₀₀のパラフィンを含み、他の実施態様においては、C₈からC₁₀₀のパラフィンを含む。他の実施態様においてはNFPは必須的にC₆からC₂₀₀のパラフィンを含み、他の実施態様においてはNFPは必須的にC₈からC₁₀₀のパラフィンを含む。本発明の記載の目的のために、ここに、「パラフィン」はn-パラフィン、分岐パラフィン、イソパラフィン及び多くの環状脂肪族化合物及びそれらの混合物を含む。そしてこのパラフィンは、当該技術分野で知られている手段によって合成されるか、あるいはここで述べられている好ましいNFPsの要求を満たすような方法で、原油から精製される。ここで説明されたNFPsとして有益な物質類は、単独で利用されるか、好ましい特性を得るために、ここに説明されたものとは別のNFPsと混合されて用いられる。

本発明に係るポリオレフィン組成物中のNFP含有量は、１の実施態様においては0.1wt%から60wt%、他の実施態様においては、0.5wt%から40wt%、更なる実施態様においては1wt%から20wt%、他の実施態様においては2wt%から10wt%存在する。ここで、NFP含有量の好ましい範囲はここで説明された任意の上限wt%と下限wt%との組み合わせたものを含む。

NFPは、ここで説明される指標の任意の数又はここで説明された指標の任意の組み合わせによって説明される。１の実施態様においては、本発明のNFPは0℃未満の流動化温度（ASTM D97）を有し、他の実施態様においては、-5℃未満、他の実施態様においては-10℃未満、更に他の実施態様においては-20℃以未満、更に他の実施態様においては-40℃未満、更に他の実施態様においては-50度未満、更に他の実施態様においては-60℃未満であって、更に他の実施態様においては、-120℃より高く、更に他の実施態様においては-200℃より高い。ここで、流動化温度の好ましい範囲は任意の上限流動化温度と任意の下限流動化温度を含むものである。１の実施態様においては、NFPはパラフィン又は、流動化温度-30℃未満のその他の化合物であり、他の実施態様においては、流動化温度-30℃から-90℃の間である他の化合物であり、粘度の範囲が40℃において0.5から200cSt（ASTM D445-97）である。ほとんどのミネラルオイルは、典型的に一部の芳香族又は他の官能基を含み、同じ粘度範囲において、10℃から-20℃までの流動化温度を有する。

NFPは、１の実施態様の場合、20℃において3.0未満の誘電率を有し、他の実施態様においては2.8未満、他の実施態様においては2.5未満、及び更に他の実施態様においては2.3未満、及び他の実施態様において2.1未満である。ポリエチレン及びポリプロピレンはそれぞれ少なくとも2.3の誘電率（1 kHz、23℃）を有する。（CRC Handbook of Chemistry and Physics(David R. Lide, ed. 82^d ed. CRC Press 2001)）
NFPは、100℃で0.1から3000cStの粘度（ASTM D445-97）を有し、他の実施態様においては100℃で0.5から1000cSt及び、他の実施態様においては100℃で1から250cSt、 及び他の実施態様においては100℃で10から500cStを有する。ここで、好ましい範囲としては、任意の上限粘度と任意の下限粘度を含むものである。

NFPは、１の実施態様においては0.920 g/cm³未満、他の実施態様においては、0.910g/cm³、及び他の実施態様においては0.650g/cm³から0.900g/cm³、及び他の実施態様においては0.700から0.860g/cm³、及び他の実施態様においては0.750から0.855 g/cm³及び他の実施態様においては、0.790から0.850g/cm³、及びさらに他の実施態様においては、0.800から0.840g/cm³の比重を有する。ここで、比重の好ましい範囲は、任意の上限比重及び任意の下限比重を含むものである。NFPは、１の実施態様においては、100℃から800℃、及び他の実施態様においては200から600℃、他の実施態様においては250から500℃の沸点を有する。さらに、NFPは、１の実施態様においては、20,000 g/mol未満、他の実施態様においては10,000g/mol未満、さらに他の実施態様においては5,000g/mol未満、さらに他の実施態様においては4,000g/mol未満、及び他の実施態様においては2,000g/mol未満、及び他の実施態様においては500g/mol未満、及び他の実施態様においては100g/mol以上の重量平均分子量（GPC又はGCによる測定）を有する。ここで、好ましい重量平均分子量の範囲は、ここでのべる任意の上限分子量と任意の下限分子量との任意の組み合わせを含むものである。

本発明のポリオレフィンに対し、NFPとして適切な化合物としては、「イソパラフィン」、「ポリアルファオレフィン（PAOs）」及び「ポリブテン（PAOsの下位群）」と呼ばれる市販の化合物から選択される。これら3クラスの化合物は、分岐、環状及び直鎖、及びこれらを混合したものを含むパラフィンである。これらのNFPは、１の実施態様においては、C₆からC₂₀₀を含むパラフィンであり、他の実施態様においてはC₈からC₁₀₀を含むパラフィンである。

「イソパラフィン」について以下に説明する。パラフィンとしては好ましくはイソパラフィンであり、このパラフィンはパラフィン鎖が各パラフィン鎖の少なくとも一部にC₁からC₁₀アルキル分岐を有している。このC₆からC₂₀₀のパラフィンは、１の実施態様において、C₆からC₂₅のイソパラフィンから成り、他の実施態様においてはC₈からC₂₀のイソパラフィンから成る。

特に、イソパラフィンは少なくとも１の炭素原子が、少なくとの3の炭素原子、又は、１の側鎖と結合した（すなわち、1の分子が1以上の第3炭素原子及び第4炭素原子を有する）飽和脂肪族炭化水素であり、分子量あたりの炭素原子の総量は、1の実施態様においては6から50、他の実施態様においては10から24、さらに他の実施態様においては10から15である。各炭素数の様々な異性体が存在することは一般的に知られている。このイソパラフィンはイソパラフィンの微量成分である分岐側鎖を有するシクロパラフィンも含む。これらのイソパラフィンの密度（ASTM 4052,15.6/15.6℃）の範囲は、0.70から0.83g/cm3である。；流動化温度、は１の実施態様においては、-40℃未満、他の実施態様においては-50℃未満である。；粘度（ASTM 445，25℃）は25℃で0.5から20cStである。；及び平均分子量は100から300g/molである。このイソパラフィンは、ＩＳＯＰＡＲ（エクソンモービル ケミカル カンパニー、ヒューストン、テキサス）の商品名で市販され、US6,197,285、3,3181,105及び3,439,088に開示されている。また、イソパラフィンのＩＳＯＰＡＲシリーズも市販されておりそれは、以下の表１にまとめられている。

他の実施態様においては、イソパラフィンは分子中に6から50の炭素原子を有し、他の実施態様では、10から24の炭素原子を有する分岐及び直鎖パラフィンの混合物である。このイソパラフィン組成物の分岐パラフィン対直鎖パラフィンの割合の範囲は、１の実施態様では、0.5：1から9：1、他の実施態様では1：1から4：1である。この実施態様における混合物のイソパラフィンは、混合物中のイソパラフィンの総重量に基づいて、例えばエチル、プロピル、ブチル、又は同様なものであって、1より大きい炭素数の置換基群と枝の最小群（minimum formation）と共に、50wt%より多くの(イソパラフィン組成の全重量による)モノメチル種(例えば2-メチル、3-メチル、4-メチル、5-メチル、又は類似のもの)を含んでいる。他の実施態様においては、混合物のイソパラフィンは、混合物中のイソパラフィンの総重量に基づき70wt%より多くのモノメチル種を含む。イソパラフィン混合物の沸点は１の実施態様においては100℃から350℃、他の実施態様では110℃から320℃である。異なったグレードのものを調製するために、パラフィン混合物は一般に狭い沸点範囲(例えば35℃の沸点範囲)を有する区分に分画される。これらの分岐パラフィン/直鎖パラフィン混合物は例えばUS5,906,727に開示されている。

他の適切なイソパラフィンは、SHELLSOL（シェル）、SOLTROL（シェブロンフィリップス）、及びSASOL（シーソルリミテェッド）の商品名で市販されている。SHELLSOLは、ロイヤルダッチ/シェルグループ オブ カンパニーの製品で、例えばShellsol TM（沸点215から260℃）である。SOLTROLはシェブロンフィリップス ケミカル 社の製品で、例えばSOLTROL 220（沸点233℃から280℃）である。SASOLはシーソルリミティエッド（ヨハネスブルグ、南アフリカ）の製品で、例えばSASOL LPA-210、SASOL-47（沸点238-347℃）である。

本発明のNFPに適したパラフィンには、以下に説明するPAOsと呼ばれるものが含まれる。本発明で有用なPAOsはC₆からC₂₀₀のパラフィンを含み、他の実施態様ではC₁₀からC₁₀₀の直鎖パラフィンを含む。PAOsは１の実施態様ではC₄からC₁₂α-オレフィンの、他の実施態様ではC₅からC₁₂のαオレフィンの、二量体、三量体、四量体、五量体等である。適切なオレフィンは、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン及び1-ドデセンを含む。１の実施態様では、オレフィンは1-デセンであり、NFPは1-デセンの二量体、三量体、四量体及び五量体（及びより高い会合体）である。PAOsについて、より詳しくは、US5,5171,908及びUS5,783,531、SYNTHETIC LUBRICANTS AND HIGH-PERFORMANCE FUNCTIONAL FLUIDS 1-52 (Leslie R. Rudnick & Ronald L. Shubkin, ed. Marcel Dekker, Inc. 1999)に記載されている。

本発明に係るPAOsは、１の実施態様においては、100から20,000、他の実施態様では200から10,000、さらに他の実施態様では200から7000、さらに他の実施態様では200から2000、さらに他の実施態様では200から500の重量平均分子量を有する。一般的にPAOsは100℃において0.1から150cSt、他の実施態様では100℃で0.1から3000cStの粘度（ASTM 445）を示す。本発明に有用なPAOsは、1の実施態様では、0℃未満の流動化温度、他の実施態様では-10℃未満、さらに他の実施態様では-20℃未満、さらに他の実施態様では-40℃未満の流動化温度を有する。好ましいPAOsとして、SHF及びSuperSyn PAOs（エクソンモービル ケミカル カンパニー、ヒューストン、テキサス）が市販されている。それらのいくつかを表2に示す。

本発明の有用なNFPの一つである、PAOsとしてのポリブテンについて以下に説明する。１の実施態様である、オイルを処理して得られるポリブテンは低い分子量を有し（15,000未満の数平均分子量；60,000未満の重量平均分子量）、3から8の炭素原子、好ましくは4から6の炭素原子オレフィン由来のユニットのホモポリマー又はコポリマーである。さらに他の実施態様ではポリブテンはC4ラフィネートのホモポリマー又はコポリマーである。そのような低分子量ポリマーの例が「ポリブテン」であって、例えば、SYNTHETIC LUBRICANTS AND HIGH-PERFORMANCE FUNCTIONAL FLUIDS 357-392 (Leslie R. Rudnick & Ronald L. Shubkin,ed., Marcel Dekker 1999)に記載されている（以下、「ポリブテン処理オイル」又は「ポリブテン」という。）。

他の方法によると、このポリブテンは少なくともイソブチレン由来のユニット、1-ブテン由来のユニット、及び2-ブテン由来のユニットである。他の実施態様では、このポリブテンはこれら3つのユニットのホモポリマー、コポリマー、又は、ターポリマーであって、イソブチレン由来のユニットは、40から100wt%のコポリマー、1-ブテン由来のユニットは0から40wt%のコポリマー、及び2-ブテン由来のユニットは0から40wt%のコポリマーである。他の実施態様では、このポリブテンはこれら3つのユニットのコポリマー又はターポリマーであって、イソブチレン由来のユニットは、40から99wt%のコポリマー、1-ブテン由来のユニットは2から40wt%のコポリマー、及び2-ブテン由来のユニットは0から30wt%のコポリマーである。更に他の実施態様では、ポリブテンはこれら3つのユニットのターポリマーであり、イソブチレン由来のユニットは、40から96wt%のコポリマー、1-ブテン由来のユニットは2から40wt%のコポリマー、及び2-ブテン由来のユニットは2から20wt%のコポリマーである。更なる実施態様では、ポリブテンはイソブチレンのホモポリマー又はコポリマーであり、イソブチレン由来のユニットは、65から100wt%のホモポリマー又はコポリマー、1-ブテン由来のユニットは0から35wt%のコポリマーである。

本発明において有用なポリブテン処理オイルは（polybutene processing oils）は、１の実施態様では、10,000g/mol未満、他の実施態様では8000g/mol未満、さらに他の実施態様では6000g/mol未満の数平均分子量(Mn)を有する。１の実施態様では、ポリブテンオイルは、400g/mol以上の、他の実施態様では700g/mol以上の、及びさらに他の実施態様では900g/mol以上の数平均分子量を有する。好ましい実施態様として、ここで述べた任意の数平均分子量の下限と上限の組み合わせることが可能である。例えば、ある実施態様における本発明のポリブテンは、400g/molから10,000g/molの数平均分子量を有し、他の実施態様では700g/molから8000g/mol、さらに他の実施態様では900g/molから3000g/molの数平均分子量を有する。ポリブテン処理オイルの粘度範囲は、100℃において、10から6000cSt、他の実施態様では35から5000cSt、さらに他の実施態様では100℃で、35cSt以上の、及びさらに他の実施態様では100cSt以上の粘度を有する。

市販されているポリブテンの例としては、PALAPOL^TM 450、700、950、1300、2400、2500のような処理オイルPALAPOL^TMシリーズ（インフィネウム、リンデン、ニュージャージ）がある。市販されているポリブテン処理オイルのPALAPOL^TMシリーズは合成液体ポリブテンであって、個々の製品は特有の分子量を有し、すべての製品は本発明の組成物に用いることができる。PALAPOL^TMオイルの分子量はゲル透過クロマトグラフィーによる測定によると、420Mn（PALAPOL^TM 450）から2700Mn（PALAPOL^TM 2500）である。PALAPOL^TM オイルのMWDの範囲は、１の実施態様では、1.8から3、他の実施態様では2から2.8である。；これらのポリブテンの流動化温度は、１の実施態様では25℃未満、他の実施態様では0℃未満、さらに他の実施態様では10℃未満、さらに他の実施態様では-80℃から25℃の間である。；密度の範囲は（IP 190/86 20℃）0.79g/cm³から0.92g/cm³、及び他の実施態様では、0.81から0.90g/cm3である。

以下の表3は、本発明の実施態様として有用なPALAPOL^TM の性質を示したものである。ここで、粘度はASTM D445-97を用い、数平均分子量（Mｎ）はゲル透過クロマトグラフィーを用いて測定した。

本発明において好ましいNFPsは、以下に述べる任意の実施態様において、又はこれらの実施態様の組み合わせにより説明する。例えば、１の実施態様においては、NFPsは25℃未満の流動化温度を有するC₆からC₂₀₀のパラフィンである。他言すれば、NFPsは100℃において粘度0.1から1000 cStを有する脂肪族炭化水素である。 さらに他言すれば、NFPsは直鎖パラフィン、分岐パラフィン、それらの混合物から選択され、8から25の炭素原子を有する。１の実施態様では、NFPは、可塑化した組成物を成形するためにポリオレフィンと混合する時に、NFPがプロピレン重合体と相性よく混和され、分離相を形成しない特徴を有する。

本発明の１の実施態様における組成物は、従来、可塑剤として使用されていたポリ（塩化ビニル）を実質的に含んでいない。特にフタル酸塩、アジピン酸塩、トリメリット酸エステル、ポリエステル、及び、例えばUS3,318、835、US 4,409, 345; WO02/31044 A1及びPLASTICS ADDITIVES 499-504 (Geoffrey Pritchard, ed., Chapman & Hall 1998)で開示されるようなその他の機能的可塑剤はポリ（塩化ビニル）を実質的に含んでいない。「実質的に含んでいない」ということは、これらの化合物が意図的に組成に追加されていないことを意味する。

オイルを含むナフテン酸及び他の芳香族のようなオイルは、本発明の実施態様における組成物中0.5wt%未満存在する。さらに他の実施態様では、本発明で用いられるNFPsには芳香族の構成成分及び炭素―炭素不飽和結合も実質的に含んでいない。芳香族構成成分はベンゼン、ナフタリン、フェナントレン、アントラセン等の環状構造を持つ分子を含んでいる。「実質的に含んでいない」ということは、芳香族化合物及び芳香族構成成分を意図的に添加しないことを意味し、もし、あらかじめ存在するならば、NFPsの組成物の0.5wt%以下であることを意味する。従って、ほとんどの「鉱物油」は本発明の組成物には実質的に含まれていない。

本発明の他の実施態様では、従来用いられてきた可塑剤、エラストマー及び「親和剤」のような低分子量ポリマーは実質的に含まれていない。特に、重量平均分子量500から10,000のポリエチレンホモポリマー又はコポリマーは、実質的に含まれていない。そのようなポリエチレン親和剤は、例えば、WO 01/18109 A1にて開示されている。「実質的含まれていない」とは、これらの化合物が本発明の組成物に意図的に添加されていないことを意味する。

混合物及び工業製品
本発明のポリオレフィン組成物は更に他の添加物を含む。これらの添加物は、抗酸化剤、核化剤（uncleating agent）、酸性除去剤、安定剤、耐食剤、発泡剤、チェーンブレーキング抗酸化剤（chain-breaking antioxidants）のようなUV吸収剤等、消火剤、静電気防止剤、スリップ剤、色素、染料及び充填剤、過酸化物のような硬化剤である。従来から工業的に用いられている染料及びその他の着色剤は、1の実施態様では0.01%から10wt%、他の実施態様では0.1から6wt%存在する。好ましい核化剤は、H. N. Beck in Heterogeneous Nucleating Agents for Polypropylene Crystallization, 11 J. APPLIED POLY.SCI. 673-685 (1967) 及び in Heterogeneous Nucleation Studies on Polypropylene, 21 J. POLY. Sci. : POLY. LETTERS 347-351 (1983)に開示されている。適切な核化剤は安息香酸ナトリウム、ナトリウム2,2’−メチレンビス(4、6-ジ- tert -ブチルフェニル)リン酸エステル、アルミニウム2,2’−メチレンビス(4、6-ジ- tert -ブチルフェニル)リン酸エステル、ジベンジルジン（dibenzylidene）ソルビトール、ジ(p-トリリデン)ソルビトール、ジ(p-エチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(3、4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール、及びN’, N’-ジシクロヘキシル2、6- ナフタレンジカルボキシアミド、及びロジンエステルの塩である。 上記のリストはポリオレフィン組成物に添加される適切な核化剤を示すことを意図したものである。

有機リン酸塩、ヒンダードアミン、及びフェノール系抗酸化剤のような抗酸化剤及び安定剤は、本発明のポリオレフィン組成物の中に、１の実施態様では0.001wt%から2wt%、他の実施態様では0.01wt%から0.8wt%、さらに他の実施態様では0.02から0.5wt%存在する。有機リン酸塩の好ましい非限定的な例としては、トリス (2,4-ジ-tert-ブチルフェニル) フォスフェート (IRGAFOS 168) 及び ジ (2,4-ジ- tert-ブチルフェニル) ペンタエリスリトール フォスフェート(ULTRANOX 626)がある。ヒンダードアミンの非限定的な例としては、ポリ [2-N, N'-ジ (2,2, 6,6-タートラメチルl-4- ピペリジニル)-へキサンジアミン-4- (1-アミノ-1, 1,3, 3-タートラメチルブテン) sym-トリアジン] (CHIMASORB 944); ビス(1, 2,2, 6,6-ペンタメチルl-4-ピペリジル) セバケイト (TINUVIN 770)がある。フェノール系抗酸化剤の非限定的な例としては、ペンタエリスリチル テトラキス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフエニール) プロピオン酸塩(IRGANOX 1010); 及び1, 3,5-トリ (3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾール − イソシアヌレート) (IRGANOX 3114)がある。

充填剤としては、本発明の１の実施態様では、1.0wt%から50wt%存在し、他の実施態様では0.1wt%から25wt%存在する。さらに他の実施態様では0.2から10wt%存在する。望ましい充填剤としては以下のものがあるが、これらに限定されるものではない。酸化チタン、炭化ケイ素、シリカ(そしてシリカの他の酸化物で、沈澱物又はそうでないもの)、酸化アンチモン、炭酸鉛、亜鉛華、リトポン、ジルコン、コランダム、スピネル、リン灰石、バライト粉末、硫酸バリウム、マグネシター（magnesiter）、カーボンブラック、ドロマイト、炭酸カルシウム、タルク、及びヒドロタルシト化合物であって、イオンがAl、Cr 又はFeとMg、Ca、又はZn、及びCO₃及び／又はHP0₄であって水和物又はそうでないもの；石英粉末、塩化水素の炭酸マグネシウム、ガラス繊維、クレー、アルミナ、及びそれの他の金属オキサイドと炭酸エステル、金属水酸化物、クロム、リン及び臭素化難燃剤、3酸化アンチモン、シリカ、シリコーン、及びこれらの混合物がある。これらの充填剤は当該技術分野で知られている任意の他の充填剤、多孔性充填剤及び支持体をも含み、本発明のNFPsにあらかじめ含まれているか、又はポリオレフィンの添加に先立ちNFPは充填剤に吸着させる。

更に具体的には、１の実施態様では、NFP又はNFPsの一部は充填剤、好ましくは多孔性充填剤と混合される。NFPと充填剤は,例えばタンブラー又は他の湿式混合機を用いて混合される。本発明のNFPと充填剤は、これらが均質になるまで混合され、好ましくは1分から5時間の間混合される。このNFP/充填剤混合物はその後、ポリオレフィンを使用する際に必要となる柔軟性、可塑性に応じて、ポリオレフィンと混合される。他の実施態様では、多孔性充填剤は充填剤をポリオレフィンと混合する前に、NFP又はその一部と混合させる。他の実施態様では多孔性充填剤、ポリオレフィン及びNFPは同時に混合させる（又は、同時に混合機に入れられる）。NFPはこの組成物の0.1から60wt%存在し、0.2から40wt%、及び0.3から20wt%の場合もある。

脂肪酸塩も本発明の組成物の中に存在する。係る塩は、１の実施態様では0.001から1wt%、他の実施態様では0.01から0.8wt%存在する。脂肪酸金属塩としてはラウリン酸、ステアリン酸、スクシニル酸、ステアリン酪酸、酪酸、フタル酸、安息香酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、ナフタリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、エルカ酸、また好ましい金属としては、Li、Na、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Al、Sn、Pb及びこれらと同類のものがある。望ましい脂肪酸塩としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、カルシウムオレイン酸剤、オレイン酸亜鉛、及びオレイン酸マグネシウムから選ばれる。

本発明の可塑性ポリオレフィンは、カレンダ加工、キャスティング、コーティング、混合物化、押出成形、発砲、ラミネート加工、ブロー成形、圧縮成形、インジェクション・モールディング、加熱成形、トランスファー成形、型成形、回転成形、フィルム成形、繊維のような紡糸あるいは融解成形、又は、例えばPLASTICS EXTRUSION TECHNOLOGY 26-37 (Friedhelm Hensen, ed. Hanser Publishers 1988) 及び POLYPROPYLENE HANDBOOK 304-348 (Edward P. Moore, Jr. ed. , Hanser Publishers 1996)に記載されているようなその他の方法で混合される。特に、混合物を生産する物理的な工程に関連し、均一な混合物によって最終製品を完成させるために、前もって十分な混合が行われる。

特に、本発明のポリオレフィン組成物の各成分は、後で有用な製品を作るために使用される可塑性ポリオレフィンを形成するため、任意の適切な手段によって混合される。本発明の別の側面において、ポリオレフィンとNFPは、押出成形機又はブラベンダーミキサー（Brabender mixer）のような装置を使用して、混合又は溶融混合される。このポリオレフィンはNFPとタンブラー、ダブルコーンブレンダー、リボンブレンダー、あるいは他の適切なブレンダーを用いて混合される。さらに他の実施態様では、ポリオレフィンとNFPは例えば、押出形成機内において溶融混合し、その後にタンブラーを使用するというような組み合わせによっても混合することができる。ポリオレフィンの押し出し成形技術についての詳細は、PLASTICS EXTRUSION TECHNOLOGY 26-37 (Friedhelm Hensen, ed. Hanser Publishers 1988) 及び POLYPROPYLENE HANDBOOK 304-348 (Edward P. Moore, Jr. ed., Hanser Publishers 1996)に記載されている。

本発明に適したポリオレフィンは、NFPと混合することにより任意の物理的な形状に形成することができる。１の実施態様では、重合反応によって形成されたポリマーの粒である反応顆粒をNFPとの混合に用いることができる。反応顆粒の平均直径は、１の実施態様では、10μmから5ｍｍ、他の実施態様では50μｍから10ｍｍである。

NFPとポリオレフィンの混合方法の一つとして、タンブラーの中で組成物を混合させる方法がある。このとき、ポリオレフィンは反応顆粒の形になっている。この方法は、ポリオレフィンホモポリマーを使用する場合には有効である。これらはその後、必要に応じて押出形成機内で溶融混合される。ポリオレフィン反応顆粒とNFPとを溶融混合する他の方法としは、直接押出形成機又はブラベンダーミキサー（Brabender mixer）で溶融混合する方法がある。

従って、様々な製品をインジェクション・モールディングする場合、成形過程において原料の再溶融と混合が行われるので、原料ポリマー顆粒、ペレット状顆粒、あるいは二つの成分のペレットを溶融状態で混合し、ペレット化する方法と同様、単純固体状態にあるペレットを混合する方法も同様に利用することができる。しかし、医療用具の圧縮成形の場合には、溶融によりほとんど成分の混合は起こらない。このような場合には、溶融混合したものをペレット化し、これを使用する方法が、単純固体状態にあるペレットを使用する、混合ペレット及び／又は顆粒よりも好まれる。当業者は、ポリマーの混合のための適切な手順を、好適であって無駄のない手順により各成分をよく混合しなければいけないことを認識したうえで決定することができる。

本発明のポリオレフィン組成物は以下のような製品に適している。自動車部品、針金とケーブルの被覆、パイプ、農業のフィルム、ジオメンブレン、玩具、スポーツ用具、医療用具、型成形及びインジェクション・モールドされたパッケージングフィルム、管、パイプ及び型材の押出成形品、スポーツ用具、アウトドア家具(例えば、ガーデン・ファーニチャ)や運動場の設備、ボート、及び水上船の部品及びその他の類似する部品である。特に本組成物は、バンパー、グリル、トリムパーツ、ダシュボード及び計器盤などの自動車の部品に適しており、自動車、トラック、ボート、及びその他の乗り物の外部ドアとボンネットの成分、スポイラー、風よけ、ハブキャップ、鏡枠、ボディーパネル、保護用のサイドモールディング、及びその他の内部、あるいは外部の部品にも適している。

本発明を実施することにより、経済的に成形できるその他の有用な製品または用品としては、枠箱、コンテナー、包装用品、培養に用いるローラーボトル及び培地ボトルのような実験器具、オフィスフロアマット、試料保持器及びサンプルウインド；血液又は溶液の貯蔵用及び静脈注射用のバッグ、ポーチ及びボトルのような液体貯蔵用コンテナ；医療用具又は薬品に対する個別包装用の包装材、さらには食品の保存状態を保つための包装又は容器などがある。その他の有用な製品としては、投薬キット、カセット及び呼吸療法に用いる多くの医療用具を含む医療用の管及びバルブであり、医療用具の包装材も含まれる。又、食品用の包材で、トレイ及び水、ミルク又はジュースのような液体貯蔵用に使用するものであって、これらを貯蔵するもの、又はチューブ、パイプのような運搬に関するものなどがある。

これらのデバイスは、ポリオレフィンを使用して、任意の有用な成形手段を用いて作られあるいは形成される。この成形手段には、少なくとも、圧縮成形、インジェクション・モールディング、ブロー成形、トランスファー成形、フィルム・ブロー成形、型成形、押出成形、加熱成形、ラミネーション、引き抜き成形、プロトルージョン成形、ドローリダクッション成形（draw reduction）、回転形成、回転結合形成、融解紡糸、融解ブロー成形、又はこれらの組み合わせが含まれる。少なくとも、加熱成形又はフィルムアプリケーションを使用することによって、放射線耐性物質を1軸又は2軸に方向性を与えることができるようになる。

本発明の１の実施態様では、可塑性ポリオレフィン組成物は、99.9wt%から60wt%のポリオレフィン、及び0.1wt%から40wt%のNFPから成り、このNFPの流動化温度が、-5℃未満のC6からC200のパラフィンである。他の実施態様では、NFPはC8からC100のパラフィンである。さらに他の実施態様ではNFPはC6からC50のイソパラフィンであり、他の実施態様ではC10からC100のn-パラフィンである。

言い換えれば、本発明の可塑性ポリオレフィンは、ポリオレフィン及びNFPの混合物であり、このNFPは１の実施態様では、流動化温度が-30℃未満、粘度の範囲は40℃において0.5から200cSt（ASTM D445-97）である。また他の実施態様では流動化温度が-30℃から-90℃、粘度の範囲は40℃において0.5から200cSt（ASTM D445-97）である。

この組成物は、いくつかの物理的又は化学的性質によって説明することができる。例えば、１の実施態様では、本発明の該組成物におけるポリオレフィンのTgは、NFPが4wt%添加される毎に4から10℃低くなるが、Tmは1から2℃程度の変化しか起きない。

本発明のNFP更にいくつかの物理的又は化学的性質のよって説明することができる。例えば、１の実施態様では、非機能性可塑剤（NFP）は、流動化温度が-30℃未満であり、他の実施態様では100℃における粘度は0.1から3000cStであり、また他の実施態様では、20℃における誘電定数は2.1以下である。更に他の実施態様では比重が0.91未満である。更なる実施態様では、このNFPは芳香族の一部（aromatic moieties）を実質的に含んでない。

さらに、NFPは100から25,000g/molの重量平均分子量を有し、他の実施態様では200から10,000g/molの重量平均分子量を示す。

本発明の組成物に適したポリオレフィンは、数多くの実施態様により説明することができる。1の実施態様では、該ポリオレフィンはアイソタクチックな構成部分を有する。他の実施態様では、ポリオレフィンはプロピレンホモポリマー、プロピレンコポリマー及びプロピレンインパクトコポリマー及びそれらの混合物より選択される。さらに他の実施態様では本ポリオレフィンはアイソタクチックポリプロピレンである。そして、さらに他の実施態様では、ポリオレフィンはプロピレン由来のユニット及びエチレン由来のユニット及びC₄からC₂₀α-オレフィン由来のユニットから選択されるユニットが含まれる。

他の実施態様では、ポリオレフィンはコポリマーの総重量に対して成分Aを40wt%から95wt%含み、成分Bを5wt%から60wt%含むプロピレンインパクトコポリマーである。ここで、成分Aはプロピレンホモポリマー又はコポリマーを含み、このコポリマーは10 wt %又は10 wt %未満のエチレン、ブテン、ヘキセン又はオクテンコモノマーであり、成分Bは、5 wt %から70 wt %のエチレン、ブテン、ヘキセン及び/又はオクテンコモノマーを含むプロピレンコポリマー及び95 wt %から30 wt %のプロピレンを含む。

本プロピレンはさらにプラストマーを含む。

本発明の組成物は重量平均分子量500から10,000を有するポリエチレンを実質的に含まないものであるという、別の実施態様で説明することもできる。

本発明はNFP（non-fractionalized plasticizer）と混合されたポリオレフィンから成る、ポリオレフィンを可塑化する方法でもある。ここで、このNFPは、流動化温度が-5℃未満のC₆からC₂₀₀のパラフィンから成る。他の実施態様では、ここで行われる混合は溶融混合から成るものである。この溶融混合は、１の実施態様では、押出形成機内で行われる。

１の実施態様では、該混合は固形ポリオレフィンの湿式混合から成る。このポリオレフィンは、１の実施態様では反応顆粒の形態であり、他の実施態様では押し出し成形されたペレットであり、またそれらの混合物である場合もある。反応顆粒が使われる場合には、反応顆粒は、１の実施態様では、平均直径が10μｍから5ｍｍのものである。

本発明の組成物から工業的に生産される製品は以下のものを含むがこれらに限定されるものではない。フィルム、シート、繊維、織布及び不織布、チューブ、パイプ、自動車用部品、家具、スポーツ用品、食品貯蔵用コンテナー、透明又は半透明製品、玩具、チューブ類又はパイプ類及び医療器具等である。

実施態様
以下に示す実施態様及び表を参照ことによって本発明はよりよく理解するることができるが、これらに限定することを意図するものではない。

ガラス転移温度(Tg)及び貯蔵弾性率（storage module）（E’）は、動的な機械-熱分析（“DMTA”）により以下の方法で測定されたものである。動的な機械-熱分析による測定は、端部が固定されている固体の矩形梁を任意の角度だけ撓ませるようにして振動させることによって実施された。力と撓み角から応力及びひずみが計算される。応力のひずみに対する割合から弾性率が求められる。テストの間に温度を変えることは、温度の関数として材料の挙動に関するデータを得ることになる。試験条件としては、単純片持ち梁であり、１Hzの周波数の振動付加を開始温度-130℃から最大温度60℃まで行った。温度は2℃/分で上昇するようにした。TanδはE”/E’の比で表される。ここで、E”は、損失弾性率であり、E’は貯蔵弾性率又は弾性率である。ガラス転移温度とは、Tanδが最大値に達する温度を言う。

結晶化温度(Tc)及び融解温度（Tm）は示差走査熱量計（DSC、加熱割合は10℃/分）を使用して、以下の方法で測定された。例えば、型抜き機により裁断された約6から10mgのポリマー又は可塑性ポリマーのシートを約150℃から200℃で圧縮成形した。このサンプルは示差走査熱量計（パーキンエルマー7シリーズ熱解析システム）内に置かれ、200℃まで加熱され、10分間放置された。このサンプルを最終温度が25℃になるまで10℃/分で冷却した。熱出力と、熱出力を電気的に変換して熱容量の変化を示すことにより、熱出力データの変曲点を記録した。熱出力データの差異の最大値はサンプルの結晶化温度に対応する。サンプルは、25℃において10分間保持され、その後200℃まで10℃/分の速度で加熱された。熱入力と、熱入力を電気的に変換して熱容量の変化を示すことにより、熱出力データの変曲点を記録した。熱入力データの差異の最大値はサンプルの融解温度と対応する。

分子量分布はゲル透過クロマトグラフィーを用いて測定された。

剪断速度関数として表された剪断粘度は、デュアルバレル（２対容器）キャピラリーレオメータを用いて測定された。このキャピラリーレオメータ（Rosand Model RAH7/2 Bohun Instruments）は30：1の長さ対直径のキャピラリーを装備している。 総重量25-30gのペレットはキャピラリー容器の中に詰められ、テストに先立ち、内部の空気を取り除くために230℃で10分間予熱をかけた。個々のテストは230℃以上で30から300S^-1の範囲の剪断速度で実施された。入口圧損失に対するデータの補正（すなわち、バグリー訂正）は、レオメータの2番目のバレルの中に取り付けられたオリフィスを通って材料の流れに対する圧損失を測定をした後に行われた。

スパンボンド式不織布の柔らかさ又は「手触り」は、テゥイングアルバートハンドルオーメーター(Thwing-Albert Handle-O-Meter)（モデル211-10-B/アメルカ）を用いて測定されることは当該技術分野においてよく知られている。 「手触り」の品質は面摩擦による抵抗性及び布地素材の柔軟性との組み合わせであると考えられている。このハンドオーメータは、上記の２の要因を評価するものであり、試験を行う布地を並列に配置されたエッジのスロットに押し込むときに発生する抵抗力を検出する線形の差動トランス（LVDT）（Linder Variable Differential Transformer）を用いて測定するものである。3 1/2 のデジタルボルトメータ（DVM）の数字は直接グラムを示ようになっている。任意に与えられた素材シートの「トータルハンド」（“total hand”）は、テストサンプルの両側及び両方向の測定値の平均であり、サンプル素材の標準幅あたりのグラム数によって記録される。「トータルハンド」（“total hand”）が減少するということは、布地の柔らかさが改善されたことを示す。

他のテスト方法は、以下に示す表に開示されている。

本発明の組成物は任意の適切な方法によって混合することができる。以下に示す例は、組成物を混合する一つの方法を示すものである。サンプル1-5の場合、メタロセンにより製造されたプロピレンホモポリマーの反応顆粒に、第一にタンブラー混合器の中で抗酸化剤、すなわち600ppmのIrganox 1076、及び260ppmのカルシウムステアレート、及びサンプルを可塑化させるための4wt%のNFPを添加すると共に混合し、当該混合コポリマーが均質になるまで混合した。この混合ポリマーは、75mmの２双スクリュー式の押出形成器を用いて押し出し成形温度230℃で、混合ペレットに成形された。サンプル10-14の場合、回転混合器の中で、プロピレンランダムコポリマーの反応顆粒に、抗酸化剤、すなわち825ppmのカルシウムステアレート、800ppmのUltranox 626、500ppmのTINUVIN 622及び2500ppmのMillad 3940を加え、更にサンプルを可塑化するための５wt%のNFPを一緒に添加して、混合組成物が均質になるまで混合した。この混合ポリマーは30mmの２双のスクリュー押し出し形成器を用いて成形温度216℃で、押出成形しペレット状に成形した。サンプル15-19の場合、回転混合器の中へプロピレンインパクトコポリマーの反応顆粒を入れ、抗酸化剤、すなわち800ppmのカルシウムステアレート、1500ppmのIRGANOX 1010、500ppmのUltranox 626、及び675ppmの安息香酸ナトリウムを加え、更にサンプルを可塑化するための５wt%のNFPか添加し、混合組成物が均質になるまで混合した。この混合ポリマーは30mmの1双のスクリュー押出成形機を用いて成形温度205℃で、押出成形しペレット状に成形した。サンプル6-9の場合、10wt%の可塑化されたメタロセンプロピレンホモポリマーを上記サンプル1-5と同様の方法で調整した。サンプル21-24の場合、10wt%のメタロセンにより生産された可塑化されたプロピレンホモポリマーを上記サンプル6-9と同様の方法で調整し、ニート（neat）プロピレンポリマー（Achieve^TM 3854）と乾燥混合し、ペレット成形を行うことにより4wt%の活性可塑化されたサンプルを得た。

標準ASTM引張試験片、HDT用バー及びグランダーインパクトディスクは、120トンのインジェクション・モールディング装置を用いて準備した。サンプルの物理的性質を以下の表中に記載する。本発明の可塑性ポリプロピレンホモポリマーを用いた成形品では、４wt%のPAOあるいはイソパラフィンが存在しているときに曲げ弾性率及び引張弾性率は有意に低下した。一方、それらの引張強度、室温でのアイゾット衝撃強度、及び熱たわみ温度は変化しなかった。比較のために、エルクアミドを用いた成形サンプルについても準備した。（表11）ここで、成形品の面摩擦を減らすために用いられる潤滑油の濃度は4wt%であった。エルクアミドは、曲げ弾性率に顕著な影響を及ぼすことはない。

典型的なスパンボンドプロセスは長繊維の押出成形からなり、その後にある種の押し出し装置を用いて、引き抜き、織布形成が行われる。ペレットは、はじめに押出成形機内に供給される。押出成形機内では、ペレットは、加熱溶解スクリューにより装置内において溶解されると同時に圧力がかけられる。スクリューの末端部において、一つの紡糸口当たり0.4g/分の速度で毛細管を通る溶融高分子が圧力によってフィルターを通って紡糸口金から押し出され、スピンニングポンプはこの溶融高分子を測定する。紡糸口金は直径0.4mmであり、数百の毛細管を備えている。このポリマーは溶融点の約30-50℃上の温度で溶解される。その溶解温度は、押し出し成形のために、十分に低い粘度となる温度である。紡糸口金から出た繊維は、冷却され直径約16ミクロンの細い繊維に引き伸ばされる。固化した繊維は、当該技術分野で知られているランダムなネットのような構造を形成するため無作為に移動ベルト上に置かれる。25基準重量（1m四方あたりのグラム数）をもつ織布は、ベルトの移動速度を制御することにより得られる。織布が形成された後、この織布はサーモボンド・カレンダとして本技術分野で知られている加熱した織物のカレンダを用いて最終的な強度を持たせるように張り合わせられる。このカレンダは二つの加熱したスチール製のロールを備えている。一方のロールは平らで、他方のロールは隆起点模様を有している。織布はカレンダへと運ばれ約138℃の結合温度で、ロールの間で織布に圧力をかけることにより、布地が形成される。

キャストフィルムは以下の製造プロセスにより調製される。キャスト単層フィルムはキリオンキャストフィルムライン（a Killion cast film line）によって製造される。このラインは、3つのL/Dが24：1であって、2.54cmの直径の押出成形機を備え、ポリマーをフィードブロック（feed block）に供給する。このフィードブロックは融解されたポリマーを押出成形機から20.32cm幅のクロエレン（Cloeren）型に迂回させるものである。融解されたポリマーは230℃の温度でこの型の位置に行き、21℃の冷たいロール（直径20.3cm、ロール直径は25.4cm）上に投入される。このキャスティング装置は、目標とされる厚さのフィルムを得るために回転スピードを調整することができるようになっている。

可塑性プロピレンホモポリマー、プロピレンコポリマー、及びプロピレンインパクトコポリマーのレジンの性質をそれぞれ表5-7に示す。プロピレンポリマーへのNFPの添加により、融解流動性が改善された。このことは、メルトフローレイトの顕著な増加により分かる。この融解流動性の改善は、図11-13で示すように、剪断速度の指標である剪断粘度が低下していることに特徴付けられる。これとは対照的に、過酸化による劣化あるいは、「ビスブレーキング」と言われるプロセスと比べると、本発明に係る融解流動性の増加はNFPの可塑化効果に起因しており、ポリマー分子量は変わらない。この証拠は表14に示すように組成物の分子量分布に現れている。融解流動性の改善は通常、組み立て工程、すなわち紡績、フィルムの成形、押出成形、インジェクション・モールドにおいて、良好な引き抜き性、より低い押出成形トルク、薄壁によるインジェクション及び早いサイクルタイム等、有益な効果を発揮する。

本発明のNFPはプロピレンポリマーの貯蔵弾性率を顕著に低くする。図1に示すように、可塑化したプロピレンポリマーの温度の関数としての貯蔵弾性率は、可塑化しなかったポリオレフィンと比べて大幅に減少している。すべての温度範囲において、低減された貯蔵弾性率（又は「弾性係数」）を有するプロピレンポリマーは、その特定の温度領域において最終製品として望ましい柔軟性を維持することができることを示している。

図5-10に示すように、本発明のNFPは低いTgを示すが、プロピレンポリマーの融解温度及び結晶化温度は変化しない。プロピレンコポリマーの場合に、Tgを低くする方法として、従来コモノマーを混合していた。このようにすることによってポリマーの融解温度及び結晶化温度を低くすることができた。融解特性を維持したまま、低いTgを有するポリマーを提供することは大変好ましく、耐衝撃性を向上させ、特に、氷点下以下の温度での耐衝撃性が改善され、高温での使用にも耐えうるものとなる。本発明において可塑化されたポリオレフィンはまさにこの利便性を提供するものである。

本発明のNFPは、例えば、可塑化されたプロピレンホモポリマー及びプロピレンコポリマーの単独のTg特性線図からも判断できるように、プロピレンポリマーと相性がよく混和が可能である。このことは、図2-3に示唆されている。本発明のNFPはまた、例えば、可塑化されたプロピレンインパクトコポリマーの２のTg特性線図と、エチレン-プロピレンゴムの相のより低いTg特性線図及びプロピレンポリマー相の高いTg特性線図とから判断できるように、プロピレンインパクトコポリマーとも相性がよく混和が可能である。このことは図４に示されている。

プロピレンホモポリマー、プロピレンコポリマー及びプロピレンインパクトコポリマーのインジェクション・モールド特性はそれぞれ表8-10にまとめられている。熱たわみ温度が顕著に低下することなしに、NFPを添加することによって実質的に成形品の耐衝撃性が改善することができた。例えば、4-5wt%のNFPを添加することにより、室温及び氷点温度におけるプロピレンホモポリマーのグランダー耐衝撃性は350%から400%改善され、プロピレンコポリマーでは140%から165%、プロピレンインパクトコポリマーでは20から40%改善された。プロピレンポリマーへのNFP濃度を増やすことにより耐衝撃性を更に向上させることが可能であることが予想される。室温及び氷点温度におけるアイゾット衝撃特性のような他の特性値においてもまた顕著な改善が見られた。

本発明のその他の利点としては、可塑化ポリオレフィンの熱たわみ温度が劣化しないこと（維持されているか、わずかな減少しか示さない）が挙げられる。このことは、高温下での成形品の寸法を維持するためには、重要な要素である。靭性が向上するということは、降伏および破壊点における伸びが顕著に増加したということからも理解することができる。多くの応用製品は最終用途においての適合性を必要としている。この高い伸びは、成形プロセスまたは最終用途において、成形品を変形しやすくしている。

また、NFPは、表12に示されたより低い「総手触り」に示唆されるように、スパンボンド不織布の柔らかさを実質的に改善することができる。多くのアプリケーションにおいて、特に人の衛生用品及び医療用品においては、肌触りの快適さの面から柔らかな不織布は大変好ましいものである。本発明に係るものは柔らかさを改善しただけでなく、必要とされる引張り強度、引き裂き強度、及び布地の均一性をも維持している。

フィルムの特性を比較したものを表3に示してある。NFP、特にIsopar-V可塑化プロピレンホモポリマー（サンプル2）は、相対的に高い（非可塑化ポリオレフィンと比較して）縦方向（MD）及び横断方向（TD）におけるエルメンドルフ引き裂き強度と室温及び氷点温度における投下衝撃試験を有していることから分かるように、引き裂き強度及び耐衝撃性が改善されている。加えて、光学的な特性、すなわち材料のくもり及び光沢もまた改善されている。この改善された特性は多くのフィルムの用途において利益を提供するものである。例えば食品包装、事務用品カバー、テープ、医療用品及び電気製品の包装などの場合である。

本発明は具体的な実施態様を引用して説明を行ってきたが、これらの説明に対して、当業者であれば、ここで説明されなかった多くの異なる実施態様にも本発明が役立つことを理解することができる。従って、かかる理由から本発明の範囲を決定するにあたっては、請求項に記載された事項を参照すべきである。さらに、本発明の技術的特徴は数値の上限と下限の組み合わせにおいても説明されている。特に示されていない限り、これらの上下限の任意の組み合わせによって形成される範囲のものが、本発明の範囲の中にあると認識すべきである。

それが司法によって認められている場合には、すべての優先権書類は参照によって、ここに完全に含まれるものである。さらに、それが司法によって認められている場合には、テスト手順を含めて、引用されたすべての文書は参照によって、ここに完全に含まれるものである。

図１は、ここで引用される各種可塑性プロピレンホモポリマーの例に関する温度の関数として貯蔵弾性係数（E’）を表したグラフである。 図2は、ここで引用される各種可塑性プロピレンホモポリマーの例に関する温度の関数としてTanδを表したグラフである。 図3は、ここで引用される各種可塑性プロピレンコポリマーの例に関する温度の関数としてTanδを表したグラフである。 図4は、ここで引用される各種可塑性プロピレンインパクトコポリマーの例に関する温度の関数としてTanδを表したグラフである。 図5は、ここで引用される各種可塑性プロピレンホモポリマーの例に関して温度の関数としてDSCによる融解熱流量を表したグラフである。 図6は、本発明の各種可塑性プロピレンホモポリマーの例に関して温度の関数としてDSCによる結晶化熱流量を表したグラフである。 図7は、本発明の各種可塑性プロピレンコポリマーの例に関する温度の関数としてDSCによる融解熱流量を表したグラフである。 図8は、本発明の各種可塑性プロピレンコポリマーの例に関する温度の関数としてDSCによる結晶化熱流量を表したグラフである。 図9は、本発明の各種可塑性プロピレンインパクトコポリマーの例に関する温度の関数としてDSCによる融解熱流量を表したグラフである。 図10は、本発明の各種可塑性プロピレンインパクトコポリマーの例に関する温度の関数としてDSCによる結晶化熱流量を表したグラフである。 図11は、本発明の各種可塑性プロピレンホモポリマーの例に関する剪断速度の関数として表した剪断粘度を表すグラフである。 図12は、本発明の各種可塑性プロピレンコポリマーの例に関する剪断速度の関数として表した剪断粘度を表すグラフである。 図13は、本発明の各種可塑性プロピレンインパクトコポリマーの例に関する剪断速度の関数として表した剪断粘度を表すグラフである。 図14は、本発明の各種可塑性プロピレンホモポリマーの例に関する分子量分布を表すグラフである。

Claims (31)

1. 可塑性ポリオレフィン組成物であって、
   99.9wt%から60wt%のプロピレンホモポリマー又はコポリマー；
   及び0.1wt%から40wt%の非機能性可塑剤から成り、
   当該非機能性可塑剤が‐5℃未満の流動化温度を有するC₆からC₂₀₀のパラフィンから成ることを特徴とする可塑性ポリオレフィン組成物。
2. 請求項1に記載の組成物であって、前記非機能性可塑剤がC_８からC₁₀₀までのパラフィンから成ることを特徴とする組成物。
3. 請求項1に記載の組成物であって、前記非機能性可塑剤がC₆からC₅₀までのイソパラフィンから成ることを特徴とする組成物。
4. 請求項1に記載の組成物であって、前記非機能性可塑剤がC₁₀からC₁₀₀までのn-パラフィンから成ることを特徴とする組成物。
5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の組成物であって、当該組成物へ添加される非機能性可塑剤が4wt%増える毎に、ポリオレフィンのTgが少なくとも2℃減少するが、Tmは一定に留まることを特徴とする組成物。
6. 請求項4に記載の組成物であって、当該組成物へ添加される非機能性可塑剤が4wt%増える毎に、ポリオレフィンのTgが4℃から10℃減少するが、Tmは一定に留まることを特徴とする組成物。
7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の組成物であって、前記非機能性可塑剤が‐30℃未満の流動化温度を有することを特徴とする組成物。
8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の組成物であって、前記非機能性可塑剤が100℃において0.1から3000 cStの粘度を有することを特徴とする組成物。
9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の組成物であって、前記非機能性可塑剤が100℃において1から3000 cStの粘度を有することを特徴とする組成物。
10. 請求項1乃至9のいずれかに記載の組成物であって、前記非機能性可塑剤が100℃において2から300 cStの粘度を有することを特徴とする組成物。
11. 請求項1乃至10のいずれかに記載の組成物であって、前記非機能性可塑剤が20℃において2.1未満の誘電定数を有することを特徴とする組成物。
12. 請求項1乃至11のいずれかに記載の組成物であって、前記非機能性可塑剤が0.91 g/cm³未満の比重を有することを特徴とする組成物。
13. 請求項1乃至12のいずれかに記載の組成物であって、芳香族部分が非機能性可塑剤中に実質的に含まれないことを特徴とする組成物。
14. 請求項1乃至13のいずれかに記載の組成物であって、フタル酸類、アジピン酸塩、トリメリット酸エステル及びポリエステルのような可塑剤を実質的に含まないことを特徴とする組成物。
15. 請求項1乃至14のいずれかに記載の組成物であって、前記非機能性可塑剤の重量平均分子量が100 から 25,000g/molであることを特徴とする組成物。
16. 請求項15に記載の組成物であって、前記非機能性可塑剤の重量平均分子量が200 から 25,000g/molであることを特徴とする組成物。
17. 請求項16に記載の組成物であって、前記非機能性可塑剤の重量平均分子量が200 から 10,000g/molであることを特徴とする組成物。
18. 請求項1乃至17のいずれかに記載の組成物であって、前記ポリオレフィンがアイソタクチックであるセグメントから成ることを特徴とする組成物。
19. 請求項1乃至18のいずれかに記載の組成物であって、前記ポリオレフィンがプロピレンホモポリマー、プロピレンコポリマー、プロピレンランダムコポリマー、プロピレンブロックコポリマー、 プロピレンインパクトコポリマー及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする組成物。
20. 請求項19に記載の組成物であって、前記プロピレンホモポリマーがアイソタクチックポリプロピレンであることを特徴とする組成物。
21. 請求項1乃至17のいずれかに記載の組成物であって、前記ポリオレフィンが、プロピレン由来ユニットと、エチレン由来ユニット及びC4からC20までのα―オレフィン由来ユニットの中から選択されたユニットから成るコポリマーであることを特徴とする組成物。
22. 請求項1乃至17のいずれかに記載の組成物であって、前記ポリオレフィンがコポリマーの総重量に対して40wt%から95wt%までの成分Aと、5wt%から60wt%までの成分Bから成るプロピレンインパクトコポリマーであり、当該成分Aはプロピレンホモポリマー又はコポリマーから成り、当該コポリマーは10wt%あるいはそれ未満のエチレン、ブテン、ヘキセン又はオクテンコモノマーから成り、
    当該成分Bはプロピレンコポリマーから成り、当該コポリマーは5wt%から70wt%のエチレン、ブテン、ヘキセン及び/又はオクテンコモノマー、および95wt%から30wt%のプロピレンから成ることを特徴とする組成物。
23. 請求項1乃至22のいずれかに記載の組成物であって、更にプラストマーを含むことを特徴とする組成物。
24. 請求項1乃至23のいずれかに記載の組成物であって、重量平均分子量が500から10,000であるポリエチレンを実質的に含まないことを特徴とする組成物。
25. ポリオレフィンを可塑化する方法であって、ポリオレフィンと非機能性可塑剤とを混合する工程から成り、当該ポリオレフィンと非機能性可塑剤は請求項1から24のいずれかににおいて定義されたものであることを特徴とする方法。
26. 請求項25に記載された方法であって、前記混合する工程が溶融混合する工程から成ることを特徴とする方法。
27. 請求項26に記載された方法であって、前記溶融混合する工程が押出成形機内で行われることを特徴とする方法。
28. 請求項25に記載された方法であって、前記溶融混合する工程が固形ポリオレフィンの湿式混合から成ることを特徴とする方法。
29. 請求項25乃至28のいずれかに記載の方法であって、前記ポリオレフィンが反応顆粒又は押出形成されたペレット状であることを特徴とする方法。
30. 請求項29に記載された方法であって、前記反応顆粒の平均直径が10μmから５mmであることを特徴とする方法。
31. 請求項1乃至24のいずれかに記載の組成物から成る、又は、請求項25乃至30のいずれかに記載の方法で製造されたフィルム、シート、繊維、織布及び不織布、布製品、チューブ、パイプ、自動車部品、家具、スポーツ用品、食料貯蔵コンテナ、透明及び半透明製品、玩具、チューブ類及びパイプ類、及び医療用具の中から選択される工業製品。

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