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震災被災者のトラウマ治療続け20年 「お守りのような存在」に―兵庫県こころのケアセンター

配信
兵庫県こころのケアセンターの外観=13日、神戸市

兵庫県こころのケアセンターの外観=13日、神戸市

  • 取材に応じる兵庫県こころのケアセンターの加藤寛センター長=6日、神戸市

 発生から31年を迎える阪神大震災では、家族を失うなどして強烈なトラウマを植え付けられた被災者の心のケアに関心が集まった。兵庫県は2004年、心のケアに関する研究や、心的外傷後ストレス障害(PTSD)診療に特化した全国初の施設「兵庫県こころのケアセンター」を神戸市に開設。治療を受けた遺族からは「つらくなったら来ればいいと思える、お守りのような存在だ」との声が上がる。

ろうそくともし犠牲者追悼 6434本、17日で阪神大震災31年

 同県西宮市の実家で被災し、家が崩れて生き埋めとなった高井千珠さん(64)は、すぐ横で寝ていた1歳半の息子将ちゃんを救えず、自分だけが助かってしまった後悔や罪悪感を抱え続けてきた。震災から16年がたち、ようやく日常を送れると思った矢先の11年3月、東日本大震災が発生。あの日の記憶がフラッシュバックし、センターを受診した。

 治療では、目をつむって当時の状況を詳細に思い出して言葉にすることや、息子が着ていた服を触るなどの課題に取り組んだ。主治医を務めた加藤寛センター長(67)は「トラウマとなっている記憶を避けず、挑戦していく治療法だ」と話す。治療を通じ、「(亡くなった人の)死を受け入れ、悲しみを自分でコントロールできるようになっていく」という。

 数カ月に及んだ治療で最も難しかった課題が息子の生前のビデオを見ることだ。治療が始まった当初は「亡くなった現実を突き付けられる気がして、絶対に見られない」と感じた。しかし、終盤に差し掛かったころに押し入れを掃除した際、ビデオが入った段ボールが目に留まった。「見ようよ」と娘から言われ、戸惑いながらも2人で見ることができた。

 「治療のおかげで、こんなにかわいい姿をもう一度見ることができた」と喜ぶ。息子を亡くした苦しみは残り続けるが「息子が天国で自分を責めないよう、笑顔で生きようと思えるようになった」と語った。

 震災から30年以上がたち、被災者が同センターで治療を受けるケースは年々減少。センターでは、県の災害派遣精神医療チームの研修など、被災地の精神医療を担う人材育成にも力を入れる。震災当時、避難所などで心のケアにも当たった加藤センター長は「僕らが経験したことを余すことなく伝えていく」と話している。

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