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JP2004298185A - ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーぜ活性を有する新規耐熱性タンパク質 - Google Patents

ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーぜ活性を有する新規耐熱性タンパク質 Download PDF

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JP2004298185A JP2004081623A JP2004081623A JP2004298185A JP 2004298185 A JP2004298185 A JP 2004298185A JP 2004081623 A JP2004081623 A JP 2004081623A JP 2004081623 A JP2004081623 A JP 2004081623A JP 2004298185 A JP2004298185 A JP 2004298185A
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Shigenori Kuramitsu
成紀 倉光
Ryoji Masui
良治 増井
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Osaka University NUC
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Abstract

【課題】 ホスホグリセリン酸デヒデドロゲナーゼ活性を有する新規耐熱性タンパク質を提供する。
【解決手段】 特定のアミノ酸配列からなるタンパク質は、ホスホグリセリン酸デヒデドロゲナーゼ活性を有する。このタンパク質は、超好熱性古細菌であって、好気性thermoacidophilic crenarchaeonの1種であるスルホロブス・トコダイイ(Sulfolobus tokodaii)種7(JCM10545)の遺伝子配列から耐熱性シスタチオニン−γ−シンターゼ活性を示すと推定される遺伝子をクローニングし、これを大腸菌を用いて発現させることにより得たものである。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する新規耐熱性タンパク質に関する。本出願は、国の委託に係る成果の出願である。
ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.95)は、別名D−3−ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼと呼ばれ、NAD(+)の存在下に3−ホスホグリセリン酸に作用して、3−ホスホヒドロキシピルビン酸を生成する脱水素酵素である。一方、セリンは、コリン、グリシン、システインおよびトリプトファンなどの経済的に重要な化合物を含む広範囲の細胞性代謝物の生合成における主要な中間体である。セリン生合成経路は、広範囲な組織および微生物に一般的に見られ、3−ホスホ−D−グリセリン酸(PGA)から3−ホスホヒドロキシピルビン酸(PHA)を経て、3−ホスホ−L−セリンからL−セリンが生成される。ここで、3−ホスホ−D−グリセリン酸(PGA)から3−ホスホヒドロキシピルビン酸(PHA)への変換は、ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ(PGD)により行われる。また、3−ホスホヒドロキシピルビン酸(PHA)から3−ホスホ−L−セリンへの変換は、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼにより行われ、さらに、3−ホスホ−L−セリンからL−セリンへの変換は、ホスホセリンホスファターゼにより行われる。PGDをコードする遺伝子は、大腸菌から既にクローン化され、配列決定され、PGDサブユニットのアミノ酸配列は推定されている(非特許文献1参照)。また、原核生物(特に、細菌)および酵母などの微生物のみならず、真核生物においてもホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼが生成することは公知である。このようなホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼは、セリンおよびセリン関連産物の生合成において有用であり工業的にも重要である。したがって、耐熱性のホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼは、その活用範囲は広いといえる。
他方、超好熱性古細菌(非特許文献2参照)についての研究があり、スルホロブス属細菌の1種であるスルホロブス・トコダイイ(Sulfolobus tokodaii)(JCM10545)(非特許文献3参照)は、その遺伝子が既に解析されている(非特許文献4参照)。したがって、この超好熱古細菌が、ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼを産生するとすれば、それは優れた耐熱性を有すると予想される。
Tobey and Grant, J. Biol. Chem., 261:12179-12183 (1986) Advances in Protetin Chemistry, Volume 48, Enzymes and Proteins from Hyperthermophilic Microorganisms (M.Adams ed.), Academic Press (1996) Suzuki, T. et al., Extremophiles, 2002 Feb;6(1):39-44 Kawarabayashi,Y. et al., "Complete genome sequence of an aerobic thermoacidophilic crenarchaeon, Sulfolobus tokodaii strain7", DNA Res. 8 (4), 123-140 (2001)
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性を持つ新規耐熱性タンパク質の提供を、その目的とする。
前記目的を達成するために、超好熱性古細菌であるスルホロブス・トコダイイ(Sulfolobus tokodaii)(JCM10545)のゲノム情報について調べたところ、この細菌が、ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼを産生する可能性があることを突き止めた。この知見に基づき、さらに研究を重ねたところ、この細菌の遺伝子から、ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性を持つ新規タンパク質を発現させることに成功し、本発明に到達した。なお、スルホロブス・トコダイイ(Sulfolobus tokodaii)(JCM10545)は、理化学研究所生物基盤研究部微生物系統保存施設に保存されており、第三者の要求により分譲可能である。スルホロブス・トコダイイ(Sulfolobus tokodaii)(JCM10545)の生育温度は80℃であり、生育限界温度が87℃であるから、本発明のタンパク質は、80〜87℃の高温であっても活性がある。
すなわち、本発明のタンパク質は、下記の(a)または(b)のタンパク質である。
(a) 配列番号1のアミノ酸配列からなる耐熱性タンパク質。
(b) 配列番号1のアミノ酸配列において、1つ以上のアミノ酸残基が、欠失、置換、付加若しくは挿入されたアミノ酸配列からなり、ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する耐熱性タンパク質。
以上のように、本発明により、ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する新規耐熱性タンパク質が提供できる。
前記タンパク質のホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性は、NAD(+)の存在下に3−ホスホグリセリン酸に作用して、3−ホスホヒドロキシピルビン酸を生成する機能である。前記NAD(+)は、NADHとなる。なお、本発明のタンパク質は、前記反応の逆反応を触媒してもよい。
前述のように、本発明の新規耐熱性タンパク質は、超好熱性古細菌由来であり、具体的には、スルホロブス・トコダイイ(Sulfolobus tokodaii) (JCM10545)由来である。但し、本発明のタンパク質は、この菌が産生するものに限定されず、遺伝子工学的手法により、他の生物が産生するものであってもよい。
つぎに、本発明の発現ベクターは、前記本発明のタンパク質をコードするDNAまたは配列番号2に記載のDNAを含むベクターである。
つぎに、本発明の形質転換体は、前記本発明のベクターにより形質転換された形質転換体である。なお、宿主は特に制限されず、例えば、大腸菌等がある。
つぎに、本発明のタンパク質の製造方法は、前記本発明の形質転換体を培養する工程と、前記培養工程において発現した前記タンパク質を回収する工程とを含む製造方法である。
つぎに、本発明の製造方法は、酵素反応により、NAD(+)の存在下、3−ホスホグリセリン酸から、3−ホスホヒドロキシピルビン酸を製造する方法であって、前記酵素として前記本発明のタンパク質を用い、温度75〜95℃の条件で前記酵素反応を行う製造方法である。前記NAD(+)は、NADHとなる。このように、前記本発明のタンパク質を用いれば、温度75〜95℃の高温領域で酵素反応を実施でき、この結果、ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼの工業的な用途が広がる。また、本発明の製造方法は、セリンは、コリン、グリシン、システインおよびトリプトファンなどの経済的に重要な化合物の工業的製造に有用である。
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。
本発明者らは、海洋底から採取された超好熱性古細菌であって、好気性thermoacidophilic crenarchaeonの1種であるスルホロブス・トコダイイ(Sulfolobus tokodaii)種7(JCM10545)の遺伝子配列からシスタチオニン−γ−シンターゼ活性を示すと推定される遺伝子(配列番号2)をクローニングし、これを大腸菌を用いて発現させることにより、本発明の新規耐熱性タンパク質を得るに至った。遺伝子のクローニング方法は、後記した実施例1に記載した通り実施した。クローニングされた遺伝子の塩基配列は配列番号2に示す通りであり、また、その推定アミノ酸配列は配列番号1に示す通りである。なお、本発明の耐熱性タンパク質は、ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有していれば、配列番号1のアミノ酸配列において、一つ以上若しくは数個のアミノ酸残基が、欠質、置換、付加若しくは挿入されていてもよい。このアミノ酸配列における「アミノ酸の欠失、置換、付加若しくは挿入」は、当業者に公知の方法(例えば、突然変異誘発法)に従って実施することができる。
本発明のタンパク質は、前述の本発明のタンパク質の製造方法により製造可能であるが、これに限定されず、他の製造方法で製造されてもよい。例えば配列番号1に示すように、そのアミノ酸配列が決定されているタンパク質については、その配列を元に当業者に公知の手法、例えば、個々のアミノ酸を化学的に重合してタンパク質を合成する方法に従って調製することができる。
本発明のタンパク質をコードする遺伝子の一例としては、配列番号2に示す遺伝子がある。前記遺伝子は、例えば、後記する実施例2に示すように超好熱性古細菌スルホロブス・トコダイイ(Sulfolobus tokodaii)(JCM10545)のゲノムから、例えば配列番号2で示される塩基配列の一部をプライマーとして用いるPCR法あるいは該DNA断片をプローブとして用いるハイブリダイゼーション法により調製することができる。また、その塩基配列をもとに、当業者に公知である核酸化学合成法等に従って前記遺伝子を得ることもできるが、これらに限定されない。
本発明の発現ベクターは、前記遺伝子もしくは配列番号2のDNAを適当なベクターに挿入することによって得ることができる。本発明の遺伝子を挿入するためのベクターは、宿主中で複製可能なものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、プラスミドDNA、ファージDNA、AcMNPVなどのバキュロウイルスなどが挙げられる。プラスミドDNAは、大腸菌やアグロバクテリウムからアルカリ抽出法またはその変法などにより調製することができる。また、市販プラスミドとして、例えばpET-11a(Novagen社製)あるいはバチルス属の宿主を用いて分泌型のプラスミドなどを用いてもよい。これらのプラスミドは、アンピシリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子などが含まれていてもよい。
ベクターへの遺伝子等の挿入は、例えば、精製された遺伝子の塩基配列を適当な制限酵素で切断し、適当なベクターDNAの制限酵素部位またはマルチクローニングサイトに挿入してベクターに連結する方法などを用いることができるが、これらに限定されない。また、本発明の遺伝子の機能が発揮されるように、本発明の発現ベクターには本発明の遺伝子のほか、プロモーター、ターミネーター、リボソーム結合配列などを組み込んでいてもよい。さらに、本発明の遺伝子も他のタンパク質のコードする配列を融合したものを挿入してもよい。
前記発現ベクターで宿主生物を形質転換すれば、本発明の形質転換体が得られる。宿主生物としては、本発明の遺伝子を発現できるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、大腸菌などの原核生物細胞などが挙げられるが、これらに限定されない。形質転換法としては、既に公知である塩化カルシウム法などを使用することができるが、これらの方法に限定されない。
本発明のタンパク質の製造方法は、前記形質転換体を培養する工程と、前記培養工程において発現した前記タンパク質を回収する工程とを含む製造方法である。前記培養する方法は、宿主細胞の培養に用いられる通常の方法に従って行われる。大腸菌等の微生物を宿主とした形質転換体を培養する培地としては、微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類などを含有し、形質転換体の培養を効率的に行えるものであれば、天然培地、合成培地などのいずれを用いてもよい。本発明のタンパク質の回収は、特に制限されない。前記タンパク質が菌体内または細胞内に生産される場合には、菌体または細胞を破砕することによって前記タンパク質を回収する。また、本発明の前記タンパク質が菌体外または細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離などにより菌体または細胞を除去した後、タンパク質の単離精製に用いられる一般的な生化学的方法、例えば、硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどを単独でまたは適宜組み合わせて用いることにより、培養物中から本発明のタンパク質を単離精製することができる。なお、培養液をそのまま使用する場合、熱処理をすることにより、本発明のタンパク質以外のタンパク質が失活するので、実質上、本発明のタンパク質のみの酵素液として使用できる。
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されない。
染色体DNAの調製
スルフォロブス・トコダイイ(Sulfolobus tokodaii(JCM10545))をL培地中で37℃にて一晩培養して集菌したものに、SSC溶液 (0.15M NaCl, 0.015M クエン酸ナトリウム)10mL、0.5M EDTA、100mg/ml ニワトリ卵白リゾチーム 0.1mLおよび10%非イオン性界面活性剤Brij-58を0.5mL加え、0℃で30分間放置した後、プロテイナーゼK(Merck社製)5mgを10%SDS 0.2mLに溶かした溶液を加え、37℃で2、3日間放置した。この溶液に水飽和フェノール、クロロホルム、イソアミルアルコールの混合溶液を加えて、37℃で1時間放置した後、水層を分取し、そこへエタノールを加えてDNAを沈殿濃縮した。このDNAの沈殿をTE溶液(10mM Tris-HCl(pH7.5)、1mM EDTA(pH8.0))10mLに溶解し、リボヌクレアーゼ0.25mL(最終濃度0.25mg/mL)を加えて、37℃で一晩放置した後、エタノールで沈殿させた。次いで、DNAをTE溶液5mLに溶解した後、260nmの吸光度より、DNA濃度を決定した(Clarke,L.& Carbon,J.(1979) Methods Enzymol.68,396-408参照)。
発現プラスミドの構築と遺伝子発現
1.発現プラスミドの構築
耐熱性ホスホグリセリン酸デヒデドロゲナーゼ遺伝子の翻訳領域の前後に制限酵素NdeIおよびBamHI、NotIサイトを含むDNAを構築する目的で下記のDNAプライマーを合成し、このプライマーを用いたPCRで耐熱性ホスホグリセリン酸デヒデドロゲナーゼ遺伝子の翻訳領域の前後に制限酵素サイトを導入した。用いたDNAポリメラーゼはKOD Dash(東洋紡社製)であった。
Forward primer(配列番号3):5'-ATATCATATGGCTATCTATACCGTAAAGGCCTTAATAACA-3'
Reverse primer(配列番号4):5'-ATATGGATCCGCGGCCGCTTATTATATCATCCCTAACTCTTT-3'
PCR反応後、Ex Taq(宝酒造社製)を用いて増幅断片の3’末端側にデオキシアデノシンを付加した後、pGEM-T Easy Vector(Promega社製)と、T4リガーゼで15℃、30分間反応させ連結した。連結したDNAを大腸菌DH5αのコンピテントセルに導入し,形質転換体のコロニーを得た。得られた形質転換体をアンピシリンを含むLB培地(18mL)で24時間培養し、その培養液からプラスミドを改変アルカリSDS法で精製した。プラスミド中に期待される大きさのインサートが存在することを、図1に示すように、アガロース電気泳動で確認した。精製プラスミドのインサートの塩基配列は,BigDye Terminator kit(登録商標:Applied Biosystems社製)と、ABI PRISM 3700 DNA Analyzer(登録商標:Applied Biosystems社製)を用いて決定し、インサートの塩基配列が、耐熱性ホスホグリセリン酸デヒデドロゲナーゼ遺伝子の正しい配列であることを確認した。正しい配列を有するプラスミドの一部を制限酵素NdeIとBamHIで完全分解(37℃で2時間)した後、アガロース電気泳動により、耐熱性ホスホグリセリン酸デヒデドロゲナーゼの構造遺伝子を精製した。pET-11a(Novagen社製)を制限酵素NdeIとBamHIで切断・精製した後、上記の構造遺伝子とT4リガーゼで反応させ連結した。連結したDNAの一部を大腸菌DH5αのコンピテントセルに導入し、アンピシリンを含むLB寒天プレートに適量まき、37℃で一晩培養し、形質転換体のコロニーを得た。得られた形質転換体をアンピシリンを含むLB培地(18mL)で24時間培養し、その培養液から発現プラスミドを改変アルカリSDS法で精製した。
2.組換え遺伝子の発現
大腸菌 Rosetta-gami(DE3)(Novagen社製)のコンピテントセルを融解して、ファルコンチューブに0.1mL移した。その中に上記1.の精製発現プラスミドの溶液0.002mLを加え氷中に20分間放置した後、42℃でヒートショックを90秒間行い、氷中に1分間放置した後、クロラムフェニコールとアンピシリンを含むLB寒天プレートに適量まき、37℃で一晩培養し、形質転換体を得た。得られた形質転換体をアンピシリンを含むLB培地(5mL)で18時間培養し、耐熱性ホスホグリセリン酸デヒデドロゲナーゼ遺伝子を発現した。培養後、遠心分離(13,000G、10分)で集菌した。集菌した菌体に,破砕液(20mM Tris-HCl、100mM KCl、pH7.5)を0.2mL加え,超音波発生器で細胞を破砕し,その懸濁液を0.1mLずつ2本のサンプルチューブに分けた。一方のサンプルチューブは遠心分離(13,000G、10分)して上清と沈殿に分け,沈殿は破砕液 0.1mLで懸濁した。もう一方のサンプルチューブは,熱処理(70℃,10分)を施した後,遠心分離(13,000G、10分)して上清と沈殿に分け,沈殿は破砕液0.1mLで懸濁した。これらの試料の一部をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)で分析し,発現を確認できた。この結果を図2のSDS−PAGE写真に示す。
耐熱性ホスホグリセリン酸デヒデドロゲナーゼの発現が見られた試料についてSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った後,エレクトロブロッティングによってPVDF膜に転写し,染色によって可視化された目的組換えタンパク質である耐熱性ホスホグリセリン酸デヒデドロゲナーゼのバンドを切り出し,プロテインシーケンサーModel492Procise(Applied Biosystems社製)を用いて、アミノ末端配列を解析した結果、配列番号5に示すように 6残基のアミノ末端配列が決定できた。配列番号5により、発現タンパク質が翻訳後プロセッシング受けて1番目のMetが脱落したことを確認し、配列番号5の2番目以降のアミノ末端配列がゲノム配列から予想されるアミノ末端配列と一致したことにより、発現タンパク質が耐熱性ホスホグリセリン酸デヒデドロゲナーゼであることが確認できた。この発現タンパク質は、313アミノ酸残基より構成されており、その推定分子量は34.7kDであり、図2の結果とほぼ一致した。
組換え大腸菌の大量培養
実施例2と同様にして調製したプラスミドDNA(pET−11aベクター) を用いて、大腸菌DH5α株を常法に従い形質転換した。形質転換された大腸菌DH5αからアルカリSDS法を用いてプラスミドDNAを抽出した。このプラスミドDNAを用いて、大腸菌ロゼッタ・ガミ(Rosetta-Gami)(DE3)株を形質転換した。プレート上に生えてきたコロニーを3白金耳量とり、5mLのLBL培地(1%ペプトン、0.5%酵母抽出液、0.5%NaCl、0.1%ラクトース、50μg/mLアンピシリン、40μg/mLクロラムフェニコール)に植菌して、培養開始直前まで約6時間、37℃で前培養した。この前培養液を全量、3Lの4×LBL培地(4%ペプトン、2%酵母抽出液、 2%NaCl、50μg/mLアンピシリン)に加え、高密度培養槽(ABLE社製)にて37℃、pH7.2、圧力0.02Paでコンピュータプログラム制御し、培養した。pHは、オートクレーブ済みの2M HCl(和光純薬社製)および2M NaOH(和光純薬社製)で調整した。集菌約21時間前にオートクレーブ済みの300mL発現誘導液(10%ラクトース、20%グリセロール)を加えた。大腸菌の生育度が定常期に入ったところ(培養開始44時間後)で大型遠心分離機(Beckman社製 AvantiHP-30I)を用い集菌した。回収した菌体は、−30℃で保存した。この時、菌体を少量、別に取り、150mM NaCl、20mM Tris−HCl(pH8)、5mM β-メルカプトエタノール(和光純薬社製)に溶解・懸濁し、超音波破砕装置(TOMY社製 UD-201)で破砕した。この溶液を2等分し、一方を9100G 、4℃で10分間、遠心分離し、上清と沈殿に分け、他方を75℃に設定した恒温槽(TAITEC社製DryThermounit DTU-1C)で10分間、加熱した後、9100G 、4℃で10分間、遠心分離し、上清と沈殿に分けた。これら4種の上清および沈殿(沈殿は、菌体破砕液にて再縣濁)に変性剤(62.5mM Tris−HCl(pH6.8)、10%グリセロール、2%SDS、2.4%β−メルカプトエタノール、0.005% ブロムフェノールブルー(和光純薬社製))を加え、95℃で5分間加熱し、変性させた。これらの変性させたタンパク質溶液を12.5%または15%(発現させるタンパク質の分子量により異なる)ポリアクリルアミドゲルに加え、SDS−PAGEにて電気泳動を行った。染色液(Quick-CBB、和光純薬社製)を用い、電気泳動後のゲルを染色・脱色し、目的タンパク質の発現を確認した。
組換えタンパク質の精製
実施例3において、−30℃で保存してあった菌体を、150mM NaCl、20mM Tris−HCl(pH8)、5mM β−メルカプトエタノールに溶解・懸濁し、超音波破砕装置(TOMY社製 UD-201)で破砕し、75℃に設定した恒温槽(TAITEC社製、DryThermoUnit DTU-1C)で、10分間、加熱した後、すばやく冷却した。次に、この破砕菌体液を大型遠心分離機(Beckman社製 Avanti HP-30I)を用いて、100,000Gで1時間、遠心分離し、上清を回収した。
次に、この上清をタンパク質精製装置(Amersham Biosciences社製、AKTA explorer)を用いて、0.6M 硫安、20mM Tris−HCl(pH8.0)、5mM β−メルカプトエタノールの緩衝溶液に置換した後、疎水交換カラム(Amersham Biosciences 社製, RESOURCETMPhe 6ml)に通した。0.6M→0の硫安濃度勾配で溶出させ、各画分をSDS-PAGEにて確認し、目的タンパク質の画分を回収した。
次に、この回収した画分をタンパク質精製装置(Amersham Biosciences社製、AKTA explorer)を用いて、20mM MES(2-Morpholinoethanesulfonic acid)pH6.0、5mM β−メルカプトエタノールの緩衝溶液に置換した後、陽イオン交換カラム(東ソー社製 TSK-GEL Bioassist S)に通した。塩化ナトリウムで溶出を行い、溶出してきた各画分をSDS−PAGE電気泳動にて確認し、目的タンパク質の画分を回収した。
次に、回収した画分を10mM リン酸緩衝溶液(pH7.0)、0.5mM β−メルカプトエタノールの緩衝溶液に置換した後、遠心濃縮チューブ(ミリポア社製VIVASPIN10000)を用いて遠心分離して濃縮し、活性測定に供した。
活性測定
1.測定方法
10μMの実施例4において精製したタンパク質、15%のグリセロールを含む100mMのリン酸緩衝溶液(25℃におけるpH7.0)を用意し、下記の種々条件下、前記タンパク質溶液のCD(円偏光二色性)の測定を行った。測定には、日本分光社製J−720Wを用いた。なお、測定結果は、残基あたりの強度に補正してある。
2.スペクトル測定
前記反応溶液の25℃における200〜250nmのスペクトルと、前記反応溶液を95℃で10分間保持した後の200〜250nmのスペクトルの比較を行った。測定結果を、図3のグラフに示す。図示のとおり、スペクトルに差は見られず、25℃と95℃で10分間保持した後の実施例4の精製タンパク質の二次構造は、ほぼ同じであることが分かった。
3.温度変化測定
前記反応溶液を、25℃から95℃まで1℃/分で温度変化させたときの222nmのスペクトルの変化を測定した。なお、ここで用いた222nmは、α−へリックス由来の吸収極値波長である。測定結果を、図4のグラフに示す。図示のとおり、25℃から95℃までの連続温度変化を見ても、実施例4の精製タンパク質の二次構造がほぼ保たれているのが分かった。
4.95℃における時間変化
前記反応溶液を、95℃で10分間保持した際の222nmのスペクトルの時間変化を測定した。測定結果を、図5のグラフに示す。図示のとおり、実施例4の精製タンパク質の二次構造が、95℃で10分間保たれていることが分かった。
以上の結果より、実施例4の精製タンパク質が、95℃において安定であることが分かった。
以上のように、本発明により、ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する新規耐熱性タンパク質が提供できる。本発明のタンパク質は、高温下で使用することが可能であり、工業的用途が広がると共に、基質濃度の増加、反応効率の向上、混入微生物の除去、保存期間および耐用期間の延長などの多くの利点がもたらされる。
図1は、本発明の一実施例における精製プラスミドのインサートDNAのPAGE写真である。 図2は、本発明の一実施例における組換えタンパク質のSDS-PAGE写真である。 図3は、本発明の一実施例における精製タンパク質の25℃と95℃で10分間保持した後のスペクトル比較を示すグラフである。 図4は、本発明の一実施例における精製タンパク質を25℃から95℃まで温度変化させたときのスペクトルの変化を示すグラフである。 図5は、本発明の一実施例における精製タンパク質を95℃で10分間保持した際のスペクトルの時間変化を示すグラフである。
配列番号1:耐熱性ホスホグリセリン酸デヒデドロゲナーゼのアミノ酸配列
配列番号2:耐熱性ホスホグリセリン酸デヒデドロゲナーゼの塩基配列
配列番号3:耐熱性ホスホグリセリン酸デヒデドロゲナーゼの構造遺伝子の末端に制限酵素部位NdeIおよびBamHI、NotIを導入するための順方向プライマーを示す。
配列番号4:耐熱性ホスホグリセリン酸デヒデドロゲナーゼの構造遺伝子の末端に制限酵素部位NdeIおよびBamHI、NotIを導入するための逆方向プライマーを示す。
配列番号5:N末端アミノ酸配列

Claims (8)

  1. 下記の(a)または(b)の耐熱性タンパク質。
    (a) 配列番号1のアミノ酸配列からなる耐熱性タンパク質。
    (b) 配列番号1のアミノ酸配列において、1つ以上のアミノ酸残基が、欠失、置換、付加若しくは挿入されたアミノ酸配列からなり、ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する耐熱性タンパク質。
  2. 前記ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ活性が、NAD(+)の存在下に3−ホスホグリセリン酸に作用して、3−ホスホヒドロキシピルビン酸を生成する機能である請求項1記載のタンパク質。
  3. 超好熱性古細菌由来である請求項1または2記載のタンパク質。
  4. 超好熱性古細菌が、スルホロブス・トコダイイ(Sulfolobus tokodaii) (JCM10545)である請求項3記載のタンパク質。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のタンパク質をコードするDNAまたは配列番号2に記載のDNAを含むベクター。
  6. 請求項5記載のベクターにより形質転換された形質転換体。
  7. 請求項1から4のいずれかに記載のタンパク質の製造方法であって、請求項6記載の形質転換体を培養する工程と、前記培養工程において発現した前記タンパク質を回収する工程とを含む製造方法。
  8. 酵素反応により、NAD(+)の存在下、3−ホスホグリセリン酸から、3−ホスホヒドロキシピルビン酸を製造する方法であって、前記酵素として請求項1から4のいずれかに記載のタンパク質を用い、温度75〜95℃の条件で前記酵素反応を行う製造方法。
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