JP4224581B2 - 糖ヌクレオチド合成活性を有する耐熱性酵素および該酵素をコードするdna - Google Patents
糖ヌクレオチド合成活性を有する耐熱性酵素および該酵素をコードするdna Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、糖ヌクレオチド合成活性を有する耐熱性蛋白質、該蛋白質をコードするDNA、該DNAを含有する組換え体DNA、該組換え体DNAを保有する形質転換体、該形質転換体を用いた糖ヌクレオチド合成活性を有する蛋白質の製造法、および該蛋白質あるいは該形質転換体を用いた糖ヌクレオチドの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
糖ヌクレオチド(TDP-Glucose)合成活性を有する酵素としては結核菌(Mycobacterium tuberculosis)(非特許文献1参照)やシュードモナス菌(Pseudomonas aeruginosa) (非特許文献2参照)、サルモネラ菌(Salmonella enterica) (非特許文献3参照)由来のRmlA (Glucose-1-phosphate thymidylyltransferase)の詳しい性質がすでに報告されている。RmlAはラムノース合成に必須な代謝経路の初発酵素であり、グルコース-1-リン酸とヌクレオシド三リン酸を基質として、ヌクレオシド三リン酸グルコースを生産する。その他にも、ヒトや酵母から糖ヌクレオチドを合成する酵素が見出されているが、その多くが常温生物由来のため室温以上では極めて不安定で、活性は80℃程度の加熱処理により速やかに失活する。このため、使用時の滅菌等の処理が必要であったり、低温での注意深い保存が必要であった。
【0003】
【非特許文献1】
Yufang Ma, Jonathan A. Mills, John T. Belisle, Vara Vissa, Mark Howell, Kelly Bowlin, Michael S. Scherman and Michael McNeil "Determination of the pathway for rhamnose biosynthesis in mycobacteria: cloning, sequencing and expression of the Mycobacterium tuberculosis gene encoding α-D-glucose-1-phosphate thymidylyltransferase“ (1997) Microbiology, 143, 937-945.
【非特許文献2】
Wulf Blankenfeldt, Miryam Asuncion, Joseph S. Lam and James H. Naismith “The structural basis of the catalytic mechanism and regulation of glucose-1-phosphate thymidylyltransferase (RmlA)" (2000) EMBO J., 19, 6652-6663.
【非特許文献3】
Lennart Lindquist, Rudorf Kaiser, Peter R. Reeves and Alf A. Lindberg "Purification, characterization and HPLC assay of Salmonella glucose-1-phosphate thymidylyltransferase from the cloned rfbA gene" (1993) Eur. J. Biochem., 211, 763-770.
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
糖ヌクレオチドを合成する活性を有する耐熱性酵素が発見されれば、糖鎖合成の基質となる糖ヌクレオチドを安定に合成することが可能となる。また、糖鎖合成の際の基質として必要な様々な種類の糖を基質とし、さらにUTP・GTP等の様々な種類のヌクレオシド三リン酸を基質として、結合反応を触媒出来る酵素が見出されると高価で不安定な多種類の糖ヌクレオチドの合成を可能とする。更にそれらの反応を行う安定な酵素は渇望されていた。
【0005】
したがって、本発明の課題は、耐熱性を有し、かつ様々な糖、ヌクレオシド三リン酸を基質として、糖ヌクレオチドを合成することが可能な、新規酵素を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、以上のような課題を解決すべく、75 - 80℃で生育する超好熱古細菌 Sulfolobus tokodaii strain7に着目し、その全ゲノム遺伝子情報から本酵素活性を有すると推測される遺伝子を検索した。さらに、大腸菌を使ってその遺伝子から酵素を生産し、この酵素が高温(80℃)で安定に存在し、かつ糖ヌクレオチド合成活性を示すことを確認し、さらに、本酵素を用いることにより様々な種類の糖ヌクレオチドを生産することもできることを見いだし、本発明を完成するに至ったものである。
【0007】
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
(1) 以下の、(a)からなる糖一リン酸および(b)からなるヌクレオシド三リン酸を基質(ただしグルコース-1-フォスフェートおよびTTP(チミジントリフォスフェート)を基質とする場合を除く)として、
(a) グルコース-1-フォスフェート、マンノース-1-フォスフェート、又はフルクトース-1-フォスフェート
(b) TTP(チミジントリフォスフェート)、dATP(デオキシアデノシントリフォスフェート)、dGTP(デオキシグアノシントリフォスフェート)、dCTP(デオキシシチジントリフォスフェート)、又はUTP(ウリジントリフォスフェート)。
配列番号4に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質あるいは配列番号4に記載のアミノ酸配列において1以上のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつ糖ヌクレオチド合成活性を有する蛋白質を作用させることを特徴とする、糖ヌクレオチドの製造方法。」
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本願発明を具体的に説明する。
本発明で使用した超好熱古細菌は、好酸性好気性超好熱古細菌スルフォロバス、トーコーダイイ(JCM登録番号JCM10545)である。本超好熱古細菌の全ゲノム情報から本酵素活性を示すと推定した3つの遺伝子領域を、PCR反応で増幅・抽出し、蛋白質発現プラスミドpET21bに挿入後、そのプラスミドにより形質転換した大腸菌を用いて本酵素の生産をおこなった。生産された酵素は加熱処理およびカラムクロマトグラムで単離精製した。精製された酵素のうちSTRmlA1は、分子量が約44,000のタンパク質で、様々な糖ヌクレオチドを合成する活性を有する酵素であることが判明した。
【0009】
この酵素の半減期は、50mトリス塩酸緩衝液(pH7.5)中で、80℃、40分以上であり、高い耐熱性を示した。
このSTRmlA1のアミノ酸配列およびその遺伝子DNA(ST0452)の塩基配列を、それぞれ配列表の配列番号4及び7に示す。
また、上記残り2つの遺伝子領域(によりコードされる酵素(STRmlA2、 STRmlA3)のアミノ酸配列をそれぞれ同配列番号5、6に示し、これらの遺伝子DNA(ST1971、ST2352)の塩基配列をそれぞれ同配列番号8、9に示す。
【0010】
本発明における酵素は、上記配列番号4〜6に示されるアミノ酸配列を有するもののみに限定されず、該アミノ酸配列において、1以上のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列であっても、このアミノ酸配列を有する蛋白質が、糖ヌクレオチド合成活性を示すものも含む。また、本発明のこれら酵素遺伝子DNAについても、上記同配列番号7〜9に示す塩基配列を有するもののみに限定されず、上記アミノ酸配列をコードするものを包含する。さらに上記配列番号7〜9のいずれかに示されるDNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ糖ヌクレオチド合成活性を有する蛋白質をコードするDNA も包含する。このストリンジェントな条件とは、ハイブリダイゼーション溶液1リットル中に52.59 g NaCl、26.46 g クエン酸ナトリウム、1 g フィコール(Type 400)、1 g ポリビニルピロリドン、1 g ウシ血清アルブミン、5 g SDS、1 g 断片化鮭精子DNA、500 ml ホルムアミドを含み、温度42℃で行う。その後の洗浄は、洗浄用溶液1リットル中に17.53 g NaCl、8.82 g クエン酸ナトリウム、5
g SDSを含み、温度68℃で行う条件である。
【0011】
本発明の酵素を得るには、通常の遺伝子工学的手法が適用でき、上記各種酵素遺伝子DNAを、例えば、pET21b、pHY481等の蛋白質発現プラスミドベクター等に挿入して組み換えベクターを作製し、該組み換えベクターを用いて宿主細胞を形質転換し、該形質転換体を培地で培養し、培養物、培養処理物あるいはこれら培養物から分離回収された形質転換体から、酵素を常法の蛋白質精製手段により精製し単離する。上記宿主細胞としては、大腸菌・枯草菌等が利用可能である。
【0012】
本発明においては、さらにこの酵素を用いて、糖ヌクレオチドを合成するが、この合成においては、糖一リン酸とヌクレオシド三リン酸を含有する溶液に、該酵素を添加し、反応温度60℃〜95℃で反応させ、糖ヌクレオチドを得る。
糖一リン酸としては、例えば、グルコース-1-フォスフェート、マンノース-1-フォスフェート、フルクトース-1-フォスフェート等の糖―1―リン酸等が挙げられ、ヌクレオシド三リン酸としては、例えばTTP(チミジントリフォスフェート)、dATP(デオキシアデノシントリフォスフェート)、dGTP(デオキシグアノシントリフォスフェート)、dCTP(デオキシシチジントリフォスフェート)、GTP(グアノシントリフォスフェート)、UTP(ウリジントリフォスフェート)等が挙げられる。
【0013】
この反応式として、グルコース-1-フォスフェートとTTPからグルコースヌクレオチドを合成する場合について以下に示す。
【化1】
【0014】
また、この反応においては。上記精製した酵素のみならず、粗酵素であってもよい。例えば、宿主として枯草菌等分泌型の系を用いる場合には、培養液中に本酵素が生成蓄積され、大腸菌等の非分泌型の系を用いる場合には、菌体内に生成されるので、本酵素を含有する培養液あるいはその処理物、もしくは菌体破砕物等の培養処理物を用いて、糖ヌクレオチドを合成してもよい。
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明実施例により限定されるものではない。
【0015】
【実施例1】
糖ヌクレオチド合成酵素の製造
(1)菌の培養
好酸性好気性超好熱古細菌スルフォロバス、トーコーダイイJCM10545は次の方法で培養した。
1.3gの(NH4)2SO4、0.28gのKH2PO4、0.25gのMgSO4・7H2O、0.07gのCaCl2・2H2O、0.02gのFeCl3・6H2O、1.8mg のMnCl2・4H2O、4.5mgのNa2B4O7・10H2O、0.22mgのZnSO4・7H2O、0.05mgのCuCl2・2H2O、0.03mgのNa2MoO4・2H2O、0.03mgのVOSO4・xH2O、0.01mgのCoSO4・7H2O、1.0gの酵母エキスを1Lの蒸留水に溶かし、この溶液のpHを3.5に10規定H2SO4溶液で調製した。加圧殺菌した後、JCM10545を植菌した。この培養液を80℃で1〜2日培養し、その後遠心分離し集菌した。
【0016】
(2)染色体DNAの調製
JCM10545の染色体DNAは以下の方法により調製した。
培養終了後5000rpm、10分間の遠心分離により菌体を集菌する。菌体を10 mM EDTA(pH 6.0)溶液で洗浄後、50 mM Tris/HCl-50 mM EDTA (pH8.5)溶液を加えて細胞を溶解させる。さらに、0.5% Na-lauroylsarcosinate、1 mg/ml プロテアーゼKとなるように各々を加えた後、50℃で3時間保温する。フェノール処理を3回行った後、溶液を10 mM Tris-10 mM EDTA (pH 8.0)溶液に対して透析する。37℃で30分間のRNaseによるRNAの分解後、フェノールクロロフォルム溶液で処理した後、10 mM Tris-1 mM EDTA(pH 8.0)で透析を行う。
【0017】
(3)染色体DNAを含むショットガンライブラリークローンの作製
実施例2で得られた染色体DNAを超音波処理することにより断片化した後、アガロースゲル電気泳動により1kb及び2kb長のDNA断片を回収した。この断片をプラスミドベクターpUC118のHincII制限酵素部位に挿入したショットガンライブラリーを作製した。各ショットガンクローンの末端塩基配列を、ABI社製自動塩基配列読み取り装置377を用いて解読していった。各ショットガンクローンから得られた塩基配列を塩基配列自動連結ソフトSequencherを用いて連結編集し、本菌の全塩基配列を決定していった。
【0018】
(4)STRmlA1-3遺伝子の同定
上記手法で決定された好酸性好気性超好熱古細菌スルフォロバス、トーコーダイイのゲノム塩基配列の大型計算機による解析を行い、グルコース1リン酸チミジル酸結合酵素の機能を含むであろうタンパク質をコードする遺伝子(ST0452, ST1971, ST2352)を3個同定した。この3個の内、超好熱性古細菌スルフォロバストーコーダイイのST0452遺伝子の開始コドンはATGで、401アミノ酸残基のタンパク質をコードする遺伝子として同定された。
【0019】
(5)発現プラスミドの構築
構造遺伝子領域の前後に制限酵素(NdeIとXhoI)サイトを構築する目的でDNAプライマーを合成し、PCRでその遺伝子の前後に制限酵素サイトを導入した。その際に合成されるタンパク質のC末端にヒスチジン残基をタグとして結合するように合成されるようにする場合とST0452遺伝子がコードするタンパク質のみを合成させるようにする場合とでプライマーの配列が異なる。
【0020】
Upper primer,
5'- ATAGCATATGAAGGCATTTATTCTTGCTGC -3'(配列番号1)(下線部はNdeIサイトを示す)
Lower prime 1, ヒスチジン残基を結合させる場合
5'- TCAACTCGAGGACCTTGAAAAACTCACC-3'(配列番号2)(下線部はXhoIサイトを示す)
Lower prime 2, ヒスチジン残基を結合させ無い場合
5'- TCAACTCGAGCTAGACCTTGAAAAACTCACC -3'(配列番号3)(下線部はXhoIサイトを示す)
【0021】
Upper primerとLower primer1或いはLower primer2を組み合わせたPCR反応後、制限酵素(NdeIとXhoI)で完全分解(37℃で2時間)した後、その構造遺伝子領域断片を精製した。
制限酵素NdeIとXhoIで切断後精製したpET21b(Novagen社製)と上記の構造遺伝子(ST0452)領域断片とをT4リガーゼを用いて16℃、2時間反応させることによって連結した。連結したDNAの一部を大腸菌DH5αのコンピテントセルに導入し形質転換体のコロニーを得た。得られたコロニーからプラスミドをQIAprep Spin Miniprep Kit(QIAGEN社製)で精製し、塩基配列を確認して発現プラスミド、pET21b/ST0452-1及びpET21b/ST0452-2を得た。発現プラスミドpET21b/ST0452-1を用いるとSTRmlA1はC末端にヒスチジンタグが付加された融合タンパク質として生産され、発現プラスミドpET21b/ST0452-2を用いるとSTRmlA1はC末端にヒスチジンタグが付加されないタンパク質として生産される。
【0022】
(6)組換え遺伝子の発現
大腸菌(E. coli BL21(DE3) CodonPlus RIL,、Novagen社製)のコンピテントセルを融解して、二本のファルコンチューブに各々0.1mlづつ移す。その中に上記の2種の発現プラスミド10ng分に相当する溶液を別々に加え氷中に30分間放置した後42℃でヒートショックを30秒間行い、そこにSOC培地0.9mlを加え、37℃で1時間振とう培養する。その後、アンピシリンを含むLB寒天プレート上に適量まき、37℃で一晩培養し、形質転換体大腸菌 BL21(DE3) CodonPlus RIL/pET21b/ST0452-1及び形質転換体大腸菌 BL21(DE3) CodonPlus RIL/pET21b/ST0452-2を得た。
【0023】
当該形質転換体をアンピシリンを含むLB培地(2リットル)中で一晩37℃において培養した後、IPTG(Isopropyl-b-D-thiogalactopyranoside)を1mMになるように加え、さらに30℃で5時間培養した。培養後遠心分離(6,000rpm,20min)により集菌を行った。
【0024】
(7)STRmlA1酵素の精製
8リットル培養液から集菌した菌体に2倍量の40mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)、1錠のプロテアーゼ阻害剤(Complete EDTA-free, Roche社製)、0.5mgのDnase RQ1(プロメガ社製)を加え懸濁液を得た。得られた懸濁液を超音波破砕し、75℃で10分保温した後、遠心分離(11,000 rpm、20分)により上清液を得た。この上清液を用いNi-カラム(Novagen, His・Bind metal chelation resin & His・Bind buffer kitを使用)による親和性クロマトグラムを行った。ここで得られた0.5 Mイミダゾール溶出画分(20ml)を、再度75℃で10分加熱処理し、遠心分離(11,000 rpm、20分)により上清液を得た。次にこの上清液を20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)、2.5M NaClで平衡化したHiTrap phenyl sepharose(ファルマシア社製)カラムに吸着させ、同緩衝液中のNaCl濃度を2.5Mから1Mに低下させることにより、目的タンパク質の溶出を行った。さらに、セントリプレップYM-50 (アミコン社)で2mlまで濃縮し、これを20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)、100mM NaClで透析し、精製サンプルとした。
【0025】
【実施例2】
糖ヌクレオチドの合成
(1)糖ヌクレオチド合成反応(糖とヌクレオチド結合反応)
50mM Tris緩衝液(pH7.5)、12 mM MgCl2、24 mM Glucose-1-phosphate、1 mM TTP、1 Uのinorganic pyrophosphataseからなる酵素反応液300μl中に実施例1で得られた精製酵素0.0135 mgを加えた。この酵素反応液を80℃で保温することにより、反応させた。5分10分15分20分25分後に30μl を分取し、300 μl の500 mM KH2PO4溶液に加える事により反応停止させた。
【0026】
(2) 糖ヌクレオチド合成反応(糖とヌクレオチドの結合反応)の測定
HPLCを用いて、反応生成物であるTDP-Glucoseの量を、ヌクレオチド部分の紫外線の吸収を目安に測定した。図1に示すように標準物質であるTTP及びTDP-Glucoseは、HPLCにおいて溶出位置が全く異なる。さらに、図2に示すように標準サンプル添加量を変化させたときの、ピークの面積と標準物質量は正確な比例関係にあり、この検量線を用いることにより反応生成物を定量出来る事が示された。
そこで、上記(1)で反応させたサンプルに関しても、HPLCで同様の解析を行った。
【0027】
【実施例3】
酵素の性質
(1)タンパク質化学的性質
当該酵素は上記の精製プロセスで完全に精製され、SDS-PAGEで分子量約44KDaの単一バンドを示した(図3)。当該酵素は401アミノ酸残基より構成され(配列番号4)、そのアミノ酸配列から予測される分子量は44,000 Daであった。また、結核菌RmlAとの相同性は低いが、ヌクレオチド認識に関与するモチーフが保存されていた(図4)。
【0028】
(2) 糖ヌクレオチド合成活性(糖とヌクレオチドの結合活性)
当該酵素は37℃においては、図5に有るように糖ヌクレオチド合成活性をほとんど示さないが、80℃においては高い酵素活性を示した。活性の発現には一度、80℃20分間の加熱処理が必須であるが、加熱後であっても37℃での活性は非常に低い(図6)。
【0029】
(3) 熱安定性
50mM Tris緩衝液(pH7.5)、12 mM MgCl2、24 mM Glucose-1-phosphate、1 mM TTP、1 Uのinorganic pyrophosphataseからなる酵素反応液300μl中に、あらかじめ80℃で5分10分20分30分40分60分90分120分間加熱した実施例1で得られた精製酵素0.0135 mgを加えた。この酵素反応液を80℃で5分間保温することにより、反応させた後に30μl を分取し、300 μl の500 mM KH2PO4溶液に加える事により反応停止させた。反応の進行は、実施例2の(2)に有るようにHPLCで測定した。その結果、図7に示すように、本酵素は80℃による90分間の加熱処理後でも、50%以上の活性を残すことから非常に安定で耐熱性が高いことが示された。
【0030】
(4)pH依存性
12 mM MgCl2、24 mM Glucose-1-phosphate、1 mM TTP、1 Uのinorganic pyrophosphataseからなる酵素反応液300μl中の50mM Tris緩衝液のpHを(pH 2)、(pH 4)、(pH 6)、(pH 6.5)、(pH 7)、(pH 7.5)、(pH 8)、(pH 10)に変化させた酵素反応液中に、実施例1で得られた精製酵素0.0135 mgを加えた。この酵素反応液を80℃で5分間保温することにより、反応させた後に30μl を分取し、300 μl の500 mM KH2PO4溶液に加える事により反応停止させた。反応の進行は、実施例2の(2)に有るようにHPLCで測定した。
図8に示すように、本酵素の活性はpH7.5において最も高い活性を示した。
【0031】
(5)ヌクレオシド3リン酸基質の多様性
50mM Tris緩衝液(pH7.5)、12 mM MgCl2、24 mM Glucose-1-phosphate、1 Uのinorganic pyrophosphatase及び1 mM dTTPまたは1 mM dATP、1 mM dGTP、1 mM dCTP、1 mM UTP、1 mM ATP、1 mM GTP、1 mM CTPからなる酵素反応液300μl中に実施例1で得られた精製酵素0.0135 mgを加えた。この酵素反応液を80℃で5分間保温することにより、反応させた後に30μl を分取し、300 μl の500 mM KH2PO4溶液に加える事により反応停止させた。反応の進行は、実施例2の(2)に有るようにHPLCで測定した。結果を表1に示す。表1から明らかなように、本酵素はdTTP以外にdATP、dGTP、dCTP、UTPを基質として利用出来ることが示された。
【0032】
【表1】
各種ヌクレオシド3リン酸の基質としての利用性
【0033】
(6)糖1リン酸基質の多様性
50mM Tris緩衝液(pH7.5)、12 mM MgCl2、1 mM TTP、1 Uのinorganic pyrophosphatase及び24 mM α-D-Glucose-1-phosphateまたは24 mM D-fructose-1-phosphate、24 mM α-D-mannose-1-phosphate、24 mM α-D-Galactose-1-phosphateからなる酵素反応液300μl中に実施例1で得られた精製酵素0.0135 mgを加えた。この酵素反応液を80℃で5分間保温することにより、反応させた後に30μl を分取し、300 μl の500 mM KH2PO4溶液に加える事により反応停止させた。反応の進行は、実施例2の(2)に有るようにHPLCで測定した。表2に示すように、本酵素はα-D-Glucose-1-phosphate以外にD-fructose-1-phosphate及びα-D-mannose-1-phosphateを基質として利用出来ることが示された。
【0034】
【表2】
各糖一リン酸の基質としての利用性
【0035】
【発明の効果】
本発明により、試験管内での様々な種類の糖ヌクレオチドを合成することが可能で、かつ熱等に安定な新規な糖ヌクレオチド合成酵素が提供できた。その結果、新規な糖ヌクレオチド合成が可能になった。
一方、糖ヌクレオチドは、糖タンパク質、糖脂質、多糖類の糖鎖合成に糖供与体として機能するものであり、これらの糖鎖合成は、癌転移、器官発生あるいは細胞性免疫等に密接に関連するものとして近年注目されており、本発明は、これら研究の発展において、その貢献度は極めて大きい。
【0036】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 HPLCによる、TTP、及びTTPとTDP-Glucose混合物の分離パターンを測定したグラフである。
【図2】 HPLCを用いたTDP-Glucoseの検量線を示す図である。
【図3】 精製されたSTRmlA1蛋白質のSDS-PAGEパターンを示す写真である。
【図4】 結核菌(M.tuberculosis)の.RmlA蛋白質と本発明の酵素遺伝子(ST0452,ST1971,ST2352)によりコードされる各蛋白質のアミノ酸配列、及びこれらのタンパク質間で保存された配列モチーフを示す図である。
(なお、数字は、蛋白質アミノ基末端側からの残基数を示す。)
【図5】 STRmlA1蛋白質の37℃における糖ヌクレオチド合成活性を示すグラフである。
【図6】 STRmlA1蛋白質の80℃における糖ヌクレオチド合成活性を示すグラフである。
【図7】 STRmlA1蛋白質の80℃処理における残存活性量を示す図である。
【図8】 STRmlA1蛋白質のpHの違いによる活性変化を示す図である。
Claims (1)
- 以下の、(a)からなる糖一リン酸および(b)からなるヌクレオシド三リン酸を基質(ただしグルコース-1-フォスフェートおよびTTP(チミジントリフォスフェート)を基質とする場合を除く)として、
(a) グルコース-1-フォスフェート、マンノース-1-フォスフェート、又はフルクトース-1-フォスフェート
(b) TTP(チミジントリフォスフェート)、dATP(デオキシアデノシントリフォスフェート)、dGTP(デオキシグアノシントリフォスフェート)、dCTP(デオキシシチジントリフォスフェート)、又はUTP(ウリジントリフォスフェート)。
配列番号4に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質あるいは配列番号4に記載のアミノ酸配列において1以上のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつ糖ヌクレオチド合成活性を有する蛋白質を作用させることを特徴とする、糖ヌクレオチドの製造方法。」
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