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WO2026018747A1 - 非晶質シリカアルミナ - Google Patents

非晶質シリカアルミナ

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WO2026018747A1
WO2026018747A1 PCT/JP2025/024578 JP2025024578W WO2026018747A1 WO 2026018747 A1 WO2026018747 A1 WO 2026018747A1 JP 2025024578 W JP2025024578 W JP 2025024578W WO 2026018747 A1 WO2026018747 A1 WO 2026018747A1
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陳寧
城之尾裕樹
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Tosoh Corp
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Tosoh Corp
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Abstract

活性金属元素を含有された場合に、長鎖パラフィンの水素化分解反応を高い効率で一次分解に制御することができ、なおかつ高い触媒活性を発現することができる非晶質シリカアルミナ、及びその製造方法の少なくともいずれかを提供することを目的とする。

Description

非晶質シリカアルミナ
 本開示は、非晶質シリカアルミナに関する。
 二元機能触媒を用いた長鎖パラフィンの水素化分解において、触媒の水素化能が低く、酸性が高すぎると炭素結合の切断が繰り返し起こり、炭素数が1~4個の炭化水素の生成量が増え、液体燃料に使える炭素数が5個以上の炭化水素の生成量が減少されてしまう(以下、「過分解」ともいう。)。一方で、触媒の酸性が不十分な場合、反応が異性化に留まり、分解反応が進まない。過分解の程度を制御することは困難なため、ガソリンや中間留分(灯油+軽油)といった特定の炭素数を有する炭化水素の選択率を向上するには、分解反応の回数が1回のみ起きるように制御する、いわゆる一次分解で制御する必要がある。
 非晶質シリカアルミナを触媒担体として、これに第8~10族元素の活性金属元素を担持した水素化分解触媒が報告されている。非晶質シリカアルミナは一般的にゾル‐ゲル法や共沈法などで製造されている。例えば、特許文献1では、酸性のシリカゾルと酸性のアルミ源と混合し、シリカアルミナゾルを調製した後、塩基性のアンモニウム水で中和させ、シリカアルミナゲルを析出させる方法が開示されている。また、特許文献2では、塩基性のシリカアルミナゾルを調製後、硫酸と瞬間混合することで溶液を酸性にし、また塩基性のアンモニウム水で中和させる方法が開示されている。
特開2022-284520号公報 特開2018-083723号公報
Fuel,Volume 279, page 118487.
 特許文献1及び2で開示される非晶質シリカアルミナは平均細孔径が2nm以上の大きい細孔を有している。サイズの大きい細孔径に存在する金属粒子は空間的な制限が弱いため、金属シンタリングが発生しやすくなり、活性金属元素由来の触媒の水素化能が低下する。水素化能が低下すると、触媒の分解活性が低下し、また、分解反応が一次分解に留まらず、過分解を発生することになる。
 本開示は、活性金属元素を担持した場合に、長鎖パラフィンの水素化分解反応を高い効率で一次分解に制御することができ、なおかつ高い触媒活性を発現することができる非晶質シリカアルミナとその製造方法、及びこれを含むパラフィン改質触媒の少なくともいずれかを提供することを目的とする。
 本発明者は、長鎖パラフィンの水素化分解反応を制御するため、非晶質シリカアルミナの細孔構造について検討した。その結果、窒素吸着において特定の細孔構造および高い比表面積を有する非晶質シリカアルミナが、活性金属元素を含有された場合に、高い効率で一次分解に制御でき、なおかつ高い触媒活性を奏する優れた触媒担体であることを見出した。
 すなわち、本発明は特許請求の範囲の記載の通りであり、また、本開示の要旨は以下の通りである。
[1] 直径が0nm以上10nm以下の細孔の細孔容積に対する、直径が0nm以上2nm以下の細孔の細孔容積の割合が60%以上であり、なおかつ比表面積が280m/g以上である、非晶質シリカアルミナ。
[2] 全細孔容積が0.2cm/g以上である、前記[1]に記載の非晶質シリカアルミナ。
[3] アルミナに対するシリカのモル比が10以上100以下である、前記[1]又は[2]に記載の非晶質シリカアルミナ。
[4] 酸量が0.3mmol/g以上である、前記[1]乃至[3]のいずれかひとつに記載の非晶質シリカアルミナ。
[5]化学シフト40ppm以上60ppm以下にピークトップを有するピークの面積強度と化学シフト-10ppm以上10ppm以下にピークトップを有するピークの面積強度の和に対する、化学シフト40ppm以上60ppm以下にピークトップを有するピークの面積強度の比が、0.40以上0.80未満である前記[1]乃至[4]のいずれかひとつに記載の非晶質シリカアルミナ。
[6] 第8族、第9族及び第10族の群から選ばれる1以上の元素を含む、前記[1]乃至[5]のいずれかひとつに記載の非晶質シリカアルミナ。
[7] アルミナ源、酸源及び水を含む溶液と、塩基性シリカ源及び水を含む溶液とを、アルカリ金属を含む硫酸塩水溶液に混合して非晶質シリカアルミナゲルを得るゲル化工程、前記非晶質シリカアルミナゲルをイオン交換するイオン交換工程、並びに、前記イオン交換工程後の非晶質シリカアルミナゲルを焼成する焼成工程を含む、前記[1]乃至[6]のいずれかひとつに記載の非晶質シリカアルミナの製造方法。
[8] 前記アルカリ金属を含む硫酸塩水溶液が硫酸リチウム、硫酸ナトリウム及び硫酸カリウムの群から選ばれる1以上の水溶液である、前記[7]に記載の製造方法。
[9] 前記[1]乃至[6]のいずれかひとつに記載の非晶質シリカアルミナを含むパラフィン改質用触媒。
[10] 前記[9]に記載のパラフィン改質用触媒と、パラフィン含有炭化水素流体を接触させる工程を有する、パラフィンの改質方法。
 本開示により、活性金属元素を含有された場合に、長鎖パラフィンの水素化分解反応を高い効率で一次分解に制御することができ、なおかつ高い触媒活性を発現することができる非晶質シリカアルミナ、及びその製造方法の少なくともいずれかを提供することを目的とする。
 以下、本開示の非晶質シリカアルミナについて、実施形態の一例を示して説明する。本開示には、本明細書で開示した各構成及びパラメータは任意の組合せを含むものとし、また、本明細書で開示した値の上限及び下限は任意の組合せを含むものとする。本実施形態における用語は以下の通りである。
 「非晶質シリカアルミナ」は、少なくともアルミニウム(Al)とケイ素(Si)と酸素(O)を含む、非晶質化合物である。本実施形態の非晶質シリカアルミナが非晶質化合物であることは、粉末X線回折(以下、「XRD」ともいう。)パターンから判断することができる。XRDパターンにおいて、結晶性のXRDピークを有するものが「結晶性アルミノシリケート」であり、結晶性のXRDピークを有さないものが「非晶質シリカアルミナ」である。具体的には、本実施形態の非晶質シリカアルミナの、下記の条件で得られるXRDパターンにおいて、2θ=10°以上50°以下の範囲で、半値全幅(FWHM)が1.0未満である回折ピークを有さない場合、本実施形態の非晶質シリカアルミナは非晶質であると判断すればよい。
 XRDパターンは一般的な粉末X線回折装置(例えば、Ultima IV Protectus、リガク社製)を使用して測定することができる。また、XRDパターンは以下の条件のXRD測定より得られるものが挙げられる。
      加速電流・電圧  : 10mA・30kV
      線源       : CuKα線(λ=1.54178Å)
      測定モード    : 連続スキャン
      スキャン条件   : 2°/分
      測定範囲     : 2θ=10~70°
      散乱スリット   : 1/3°
      発散スリット   : 1/3°
      受光スリット   : 0.3mm
      フィルター    : Niフィルター
 「比表面積」は、JIS Z 8830:2013に準じた測定により求めることができる。すなわち、前述の窒素吸着法を使用し、一点法により非晶質シリカアルミナの比表面積を測定すればよい。
 「デカン」は、直鎖状のデカン(n-デカン)及び分岐状のデカン(iso-デカン)の少なくともいずれかをさす。
 「クラッキング」とは、デカンが分解されて炭素数が1~9個を持つ炭化水素(以下、「Cn」(ただし、nは炭化水素の炭素数)ともいう)になることをさす。
 「n-デカン転化率」とは、水素化分解反応に反応されたn-デカンの総量の割合であり、下記式で求めることができる。
   n-デカン転化率[%]=([n-デカン]in)-([n-デカン]out)/([n-デカン]in)×100                    (1)
 [n-デカン]inは常圧固定床流通式反応管の入口のn-デカンの濃度であり、[n-デカン]outは常圧固定床流通式反応管の出口のn-デカンの物濃度である。
 「iso-デカン」とは、異性化されたn-デカンを表す。
 「iso-デカン選択率」とは、生成物中のiso-デカンの割合であり、下記式で求めることができる。
   iso-デカン選択率[C%]=
      (iso-デカン生成量)/(生成物の総量)×100    (2)
 「クラッキング選択率」とは、生成物の総量に対する炭素の数が1乃至9個の炭化水素の生成量の合計値の割合であり、下記式で求めることができる。
   クラッキング選択率[C%]=
       (C1+C2+…+C9)/(生成物の総量)×100    (3)
 「クラッキング収率」とは、水素化分解反応に反応されたn-デカンの総量に対する炭素の数が1乃至9個の炭化水素の生成量の合計値の割合であり、下記式で求めることができる。
   クラッキング収率[C%]=
       n-デカン転化率×クラッキング選択率/100       (4)
 「C3/C7比」とは、炭素数が7個の炭化水素(以下、「C7」ともいう。)の物質量(mol)に対する、炭素数が3個の炭化水素(以下、「C3」ともいう。)の物質量(mol)の比率をさす。デカンの水素化分解反応において、例えば反応が一次分解で完全に制御された場合、C3とC7が同モル数で生成し、C3/C7比は1になる。一方、過分解が発生した場合、一次分解で生成したC7が切断され、C3と炭素数が4個の炭化水素(以下、「C4」ともいう。)になり、C3/C7比が1より大きくなる。「C3/C7比」は分解反応の発生回数の評価指標として使用することができる。すなわち、C3/C7比が1の場合はデカンの水素化分解反応が1回、C3/C7比が1より大きい場合はデカンの水素化分解反応が1回超起こったと判断できる。
 以下、本実施形態の非晶質シリカアルミナについて説明する。
 本実施形態の非晶質シリカアルミナは、直径が0nm以上10nm以下の細孔の細孔容積(以下、「0-10nm細孔容積」ともいう。)に対する、直径が0nm以上2nm以下の細孔の細孔容積(以下、「0-2nm細孔容積」ともいう。)の割合(以下、「ミクロ孔容積割合」)が60%以上であり、なおかつ比表面積が280m/g以上である。
 ミクロ孔容積割合は、窒素吸着法を用いて測定することができる。具体的には、窒素吸着法で本実施形態の非晶質シリカアルミナを測定し、吸着等温線を得る。当該吸着等温線における、相対圧が0以上0.8以下の範囲の窒素吸着量[cm(STP)/g](以下、「PV(0-0.8)」ともいう)に対する、相対圧が0以上0.2以下の範囲の窒素吸着量[cm(STP)/g](以下、「PV(0-0.2)」ともいう)の割合をミクロ孔容積割合とすればよい。
 PV(0-0.8)及びPV(0-0.2)は、一般的な窒素吸着装置(例えば、BELSORP-miniII、マイクロトラック・ベル社製)を使用して、定容量法によって得ることがでる。
  測定温度:-196℃
  前処理 :350℃、2時間の真空乾燥
 本実施形態の非晶質シリカアルミナのミクロ孔容積割合は、60%以上である。ミクロ孔容積割合は、60%未満の場合、C3/C7比が大きくなりやすく水素化分解反応が一次分解で制御することが困難になる。ミクロ孔容積割合は65%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。また、ミクロ孔容積割合の上限値は、100%以下であり、n-デカン転化率の観点から、100%未満、95%以下、更には85%以下が例示できる。ミクロ孔容積割合の具体的な上限値と下限値の組み合わせとして、60%以上100%以下、60%以上100%未満、65%以上95%以下、又は75%以上85%以下が例示できる。
 PV(0-0.2)は、直径が2nm以下の細孔による窒素の吸着量に相当し、また、PV(0-0.8)は、直径が10nm以下の細孔による吸着量に相当すると考えられる(例えば、JIS Z 8831-2:2010)。本実施形態の非晶質シリカアルミナのミクロ孔容積割合が60%以上であることは、直径が2nm以下の範囲の細孔を多く有していることを示唆するものと考えられる。ミクロ孔容積割が60%以上であることにより、本実施形態の非晶質シリカアルミナが、活性金属元素が分散担持されやすくなり、高い触媒活性を発現することができる。
 本実施形態の非晶質シリカアルミナは、比表面積が280m/g以上である。比表面積が280m/g未満の場合、クラッキング収率が低下しやすい。比表面積の下限値は、クラッキング収率をより高める観点からは、290m/gであることが好ましく、300m/gであることがより好ましく、350m/g以上であることがさらに好ましい。本実施形態において、比表面積の上限値は、800m/g以下であることが好ましく700m/gであることがより好ましく、600m/gであることがさらに好ましい。比表面積の具体的な上限値と下限値の組み合わせとして、280m/g以上800m/g以下、290m/g以上700m/g以下、300m/g以上700m/g以下、又は350m/g以上650m/g以下であることが例示できる。
 本実施形態の非晶質シリカアルミナは、全細孔容積が0.2cm/g以上であることが好ましい。全細孔容積とは、非晶質シリカアルミナの単位質量あたりにおける細孔の容積である。本実施形態の非晶質シリカアルミナの細孔容積は、非晶質シリカアルミナについての窒素吸脱着等温線から相対圧が0以上0.99以下の範囲の窒素吸着量V[cm]を求め、下記式を用いて求めることができる。
  全細孔容積[cm/g]=V×1.547×10-3         (5)
 また、上記式(5)における窒素吸着量Vを求めるための窒素吸脱着等温線は、前述の定容量法によって得ることができる。
 本実施形態の非晶質シリカアルミナにおいて、細孔容積の上限は、1cm/g以下であればよいが、クラッキング収率をより高める観点からは、0.7cm/g以下であることが好ましく、0.5cm/g以下であることがより好ましい。本実施形態の非晶質シリカアルミナの細孔容積は、クラッキング収率をより高める観点から、0.2cm/g以上0.7cm/g以下であることが好ましく、0.2cm/g以上0.5cm/g以下であることがより好ましい。
 本実施形態の非晶質シリカアルミナは、構成元素としてSi及びAlを含む。また、本実施形態の非晶質シリカアルミナは、アルミナに対するシリカのモル比(Al換算したアルミニウムに対するSiO換算したケイ素のモル比;以下、「SiO/Al比」ともいう。)が10以上100以下であることが好ましい。クラッキング触媒として適した酸性を有しやすくなるため、実施形態の非晶質シリカアルミナは、SiO/Al比が50以下又は25以下であることが好ましい。長鎖パラフィンの水素化分解において過分解を抑制しやすくなるため、実施形態の非晶質シリカアルミナは、SiO/Al比が10以上又は13以上であることが好ましい。すなわち、本実施形態の非晶質シリカアルミナのSiO/Al比は、10以上30以下又は13以上25以下であることが例示できる。
 本実施形態の非晶質シリカアルミナがSi及びAlを含んでいることは、一般的な高周波誘導結合プラズマ装置(例えば、OPTIMA5300DV、PerkinElmer社製)を使用した誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES)により、元素分析を行うことにより判断することができる。具体的には、Si及びAlが、前述の元素分析の定量下限を上回る値で検出されれば、本実施形態のシリカアルミナがSi及びAlを含むと判断できる。本実施形態において、SiO/Al比は、前述のICP-AES測定により、本実施形態の非晶質シリカアルミナにおけるアルミニウム(Al)及びケイ素(Si)の含有量から、Al換算したアルミニウムに対するSiO換算したケイ素のモル比として求めればよい。
 本実施形態の非晶質シリカアルミナは、酸量が0.3mmol/g以上又は0.4mmol/g以上であることが好ましく、また、0.8mmol/g以下、0.6mmol/g以下又は0.5mmol/g以下であることが好ましい。酸量が上記の値であることで、クラッキング収率を向上させやすくなる。酸量の具体的な上限と下限の組み合わせとして、0.3mmol/g以上0.8mmol/g以下、0.4mmol/g以上0.6mmol/g以下、又は0.4mmol/g以上0.5mmol/g以下であることが例示できる。
 本実施形態の非晶質シリカアルミナの酸量は、アンモニア-TPD法(例えば、アンモニア昇温脱離法による固体酸性質測定,触媒,vol.42,p.218(2000))に準じた方法により測定すればよい。アンモニア-TPD法による測定には、一般的な触媒分析装置(例えば、BELCATII、マイクロトラック社製)を用いることができる。具体的には、0.05gの非晶質シリカアルミナを装置の試料管に設置した後、500℃まで加熱して2時間保持により前処理を行いこれを100℃まで温度を下げた後、当該非晶質シリカアルミナにアンモニアを飽和吸着させる。続いて、100℃で測定雰囲気中に残存するアンモニアの除去を行った後、昇温速度10℃/分で800℃までの昇温過程で測定されるアンモニア脱離ピークから全酸量を求めればよい。なお、測定の雰囲気ガスにはヘリウムを用いればよく。ヘリウムガスの流量は50ml/minとすればよい。
 本実施形態の非晶質シリカアルミナは、水素化分解反応の触媒として使用する場合、第8族、第9族及び第10族の群から選ばれる1以上の元素(以下、「活性金属元素」ともいう)を含むことが好ましい。
 本実施形態の非晶質シリカアルミナは、化学シフト40ppm以上60ppm以下にピークトップを有するピークの面積強度(以下、「Aliv」ともいう)と化学シフト-10ppm以上10ppm以下にピークトップを有するピークの面積強度(以下、「Alvi」ともいう)の和に対する、化学シフト40ppm以上60ppm以下にピークトップを有するピークの面積強度(Aliv)の比(以下、「Aliv/(Aliv+Alvi)」ともいう)が、0.40以上0.80未満であることが好ましい。長鎖パラフィンの水素化分解反応をより高い効率で一次分解に制御しやすくなる観点から、本実施形態の非晶質シリカアルミナのAliv/(Aliv+Alvi)は、0.45以上0.75以下であることが好ましく、0.50以上0.73以下であることがこのましい。
 ここで、27Al-MAS-NMRは、ゼオライト骨格構造中のアルミニウム原子のまわりの局所構造を解析する手段として知られている。27Al-MAS-NMRにより測定されるNMRスペクトルにおいて、ゼオライトに含まれるアルミニウム(Al)のうち、4配位のアルミニウム(以下、「4配位Al」とする。)は、化学シフト40ppm以上60ppm以下にピークトップを有するピークに帰属し、6配位のアルミニウム(以下、「6配位Al」とする。)は、化学シフト-10ppm以上10ppm以下にピークトップを有するピークに帰属することが知られている(例えば、国際公開第2017/090751号)。このため、Aliv/(Aliv+Alvi)は、ゼオライトに含まれる4配位Alと6配位Alの和に対する4配位Alの比率を示す指標として機能する。
 本実施形態の非晶質シリカアルミナの27Al-MAS-NMR測定は、一般的な核磁気共鳴分光装置(例えば、AVANCE NEO 700、Bruker製)を使用して行うことができる。測定試料には、空気中で500℃1時間焼成した後、真空雰囲気、飽和塩化アンモニウム水溶液の存在下、相対湿度60%の状態で24時間保持した非晶質シリカアルミナを用いることができる。27Al-MAS-NMRによる測定条件には、以下の条件を用いることができる。
      観測核    :27Al(182.4MHz)
      回転周波数  :24kHz
      パルス幅   :2.1μ秒
      待ち時間   :2秒
      積算回数   :2600回
 Aliv/(Aliv+Alvi)は、27Al-MAS-NMRで測定されるNMRスペクトルから、化学シフト-10ppm以上10ppm以下にピークトップを有するピーク(以下、「P-10~10ppm」ともいう)と、化学シフト40ppm以上60ppm以下にピークトップを有するピーク(以下、「P40~60ppm」ともいう)を分離し、P40~60ppmの面積強度(Aliv)をP40~60ppmの面積強度(Aliv)とP0ppmの面積強度(Alvi)の和で除すことにより求めることができる。
 27Al-MAS-NMRで測定されるNMRスペクトルからP-10~10ppm及びP40~60ppmを分離するには、従来公知の波形分離方法(ピークフィッティング)を用いることができる。具体的には、27Al-MAS-NMRで測定されるNMRスペクトル(以下、「実測NMRスペクトル」ともいう)からP-10~10ppm及びP40~60ppmを分離するには、ピークを表す関数としてガウス関数を用いた最小二乗法を用いることができる。P-10~10ppm及びP40~60ppmの分離は、1つのP-10~10ppmと2つのP40~60ppmが分離されるように、実測NMRスペクトルに1つのPと2つのP55が含まれていると仮定して行うことが好ましい。また、P-10~10ppm及びP40~60ppmの分離は、分離した各ピークを再結合して得られるNMRスペクトル(以下、「計算NMRスペクトル」ともいう。)が、任意の点(ppm)において、実測NMRスペクトルに対して5%未満の相対誤差となるように行うことが好ましい。分離したP-10~10ppm及びP40~60ppmの面積強度には、それぞれ、P-10~10ppm及びP40~60ppmの積分強度を用いればよい。なお、P-10~10ppmとして2つ以上のピークが分離されたり、P40~60ppmとして2つ以上のピークが分離されたりする場合には、それらの面積強度には、分離された2つ以上のピークの積分強度の合計値を用いればよい。また、ベースライン補正については、実測NMRスペクトルにおける-50ppm及び150ppmの点を直線で結び、0となるように補正すればよい。
 活性金属元素は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、及びコバルト(Co)の群から選ばれる1種以上であることが好ましく、また更には白金及びパラジウムの少なくともいずれかから選ばれる1種以上であることさらに好ましく、また更には白金であることが特に好ましい。
 本実施形態の非晶質シリカアルミナにおける活性金属元素の状態は、特に限定されるものではないが、例えば、化合物(例えば、酸化物)、金属、イオン、合金、又はそれらの2種以上の状態であることを例示することができる。
 本実施形態の非晶質シリカアルミナに含まれる活性金属元素の含有量は、本実施形態の効果を奏する範囲であれば特に限定されるものではない。より高いクラッキング収率を得る観点から、非晶質シリカアルミナの固形分質量100質量%に対し、0.05質量%以上であることが好ましく、0.20質量%以上であることがより好ましく、0.30質量%以上であることが特に好ましい。また、活性金属元素の含有量の上限値は、より高いクラッキング収率を得る観点から、10.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以下であることが特に好ましい。活性金属元素の含有量の上限及び下限は、前述の上限及び下限のいずれの組合せであってもよいが、具体的な活性金属元素の含有量の範囲としては、0.05質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.20質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましく、0.30質量%以上1.0質量%以下であることが特に好ましい。
 なお、「活性金属元素の含有」とは、非晶質シリカアルミナが活性金属元素を含むことをいい、非晶質シリカアルミナに活性金属元素が含まれていれば、活性金属元素がどのような状態でどのような部位に含まれていてもよい。一方、「活性金属元素の担持」とは、非晶質シリカアルミナが活性金属元素を非晶質シリカアルミナを構成する原子以外として含むことをいう。すなわち、「活性金属元素の担持」は、活性金属元素が非晶質シリカアルミナを構成する原子として存在していない状態で、活性金属元素が非晶質シリカアルミナに含まれていることを意味する。「活性金属元素の担持」の好ましい形態としては、活性金属元素が非晶質シリカアルミナを構成する原子として存在せず、なおかつ、非晶質シリカアルミナの表面及び細孔内の少なくともいずれかに含まれている状態を挙げることができる。
 水素化分解反応の触媒として使用する場合、第8族、第9族及び第10族の群から選ばれる1以上の元素(以下、「活性金属元素」ともいう)を含む非晶質シリカアルミナは、これを含むパラフィン改質触媒(以下、「本実施形態の触媒」ともいう。)として使用することができる。
 本実施形態の触媒は、C10以上の直鎖パラフィンを高効率な一次分解で改質する水素化分解反応に使用することができ、優れたクラッキング収率とC3/C7比を示す。改質するC10以上の直鎖パラフィンは、炭素数が10以上の直鎖パラフィンであればよいが、炭素数が10以上100以下の直鎖パラフィンであることが好ましく、炭素数が10以上30以下の直鎖パラフィンであることが更に好ましく、n-デカンであることが特に好ましい。
 本実施形態の触媒によるC10以上の直鎖パラフィンの改質方法は、本実施形態の触媒と、C10以上の直鎖パラフィンと水素を含有する流体(以下、「パラフィン含有流体」ともいう)とを接触させる工程(以下、「接触工程」ともいう。)、を含む方法によって改質することができる。本実施形態の触媒とパラフィン含有流体を接触させる具体的な方法としては、例えば、本実施形態の非晶質シリカアルミナを固定相流通式反応管に充填して触媒充填層を形成し、この触媒充填層にパラフィン含有流体を流通させる方法を例示することができる。
 本実施形態の触媒によるC10以上の直鎖パラフィンの改質は、本実施形態の触媒とパラフィン含有流体を接触させれば進行するため、その接触条件については特に限定されない。好ましい接触条件としては、例えば、以下の条件を例示することができる。
 本実施形態の触媒とパラフィン含有流体の接触温度は、より高いクラッキング収率を得る観点からは、200℃以上350℃以下であることが好ましく、230℃以上320℃以下であることがより好ましい。
 本実施形態の触媒とパラフィン含有流体を接触させる圧力(ゲージ圧)は、より高いクラッキング収率を得る観点からは、0.05Mpa以上10Mpa以下であることが好ましく、0.1Mpa以上5Mpa以下であることがより好ましい。なお、ゲージ圧とは、大気圧を0MPaとした圧力である。
 本実施形態の触媒に接触させるパラフィン含有流体中の水素の流量は、より高いクラッキング収率を得る観点からは、直鎖パラフィンの体積流量に対する水素の体積流量の比が、300以上1500以下であることが好ましく、500以上1000以下であることがより好ましい。
 本実施形態の触媒に接触させるパラフィン含有流体中のC10以上の直鎖パラフィンの重量空間速度(WHSV)は、より高いクラッキング収率を得る観点からは、0.5h-1以上10h-1以下であることが好ましく、1h-1以上3h-1以下であることが好ましい。なお、WHSVは、非晶質シリカアルミナの単位質量当たりの、1時間のC10以上の直鎖パラフィンの供給量を表すパラメータである([g(非晶質シリカアルミナ)]/[g(C10以上の直鎖パラフィン)/h](=[h-1]))。
 本実施形態の触媒とパラフィン含有流体の接触時間については、取得したいCn炭化水素の量に応じて適宜設定できる。
 本実施形態の触媒に接触させるパラフィン含有流体は、液体、気体、又は、液体と気体の混合流体のいずれであってもよい。より高いクラッキング収率を得る観点から、パラフィン含有流体は気体であることが好ましい。また、パラフィン含有流体は、C10以上の直鎖パラフィンと水素のみで構成されていてもよいが、これら以外の流体を含むものであってもよい。
 前述した接触工程を含む改質方法によれば、本実施形態の触媒はC10以上の直鎖パラフィンを高効率な一次分解で改質することができる。改質により主として得られる炭化水素の一例としては、本実施形態の触媒に接触させる炭化水素の半分の炭素数である炭化水素を例示することができる。より具体的な一例としては、炭素数が20の直鎖パラフィン(以下、「C20直鎖パラフィン」ともいう)、及び炭素数が20の分岐パラフィン(以下、「C20分岐パラフィン」ともいう)の少なくともいずれかを本実施形態の触媒に接触させた場合、C10を例示することができる。
 本実施形態の触媒の形状は任意であるが、反応管に充填することなどを考慮すると、成形体であることが好ましい。
 本実施形態の触媒が成形体である場合、例えば、転動造粒成形、プレス成形、押し出し成形、射出成形、鋳込み成形及びシート成形の群から選ばれる少なくとも1種、などの任意の成形方法で任意の形状に成形することができる。成形体の形状としては、球状、略球状、楕円状、円板状、円柱状、多面体状、不定形状及び花弁状の群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
 本実施形態の触媒が成形体である場合、該成形体はバインダーが含有されていてもよい。バインダーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、カオリン、アタパルジャイト、モンモリロナイト、ベントナイト、及びセピオライトの群から選ばれる少なくとも1種を挙げられ、好ましくはアルミナである。
 以下、本実施形態の非晶質シリカアルミナの製造方法について説明する。
 本実施形態の非晶質シリカアルミナの製造方法は、アルミナ源、酸源及び水を含む溶液(以下、「溶液A」ともいう。)と、塩基性シリカ源及び水を含む溶液(以下、「溶液B」ともいう。)とを、アルカリ金属を含む硫酸塩水溶液(以下、「溶液C」ともいう。)に混合して非晶質シリカアルミナゲルを得るゲル化工程、前記非晶質シリカアルミナゲルをイオン交換するイオン交換工程、並びに、前記イオン交換工程後の非晶質シリカアルミナゲルを焼成する焼成工程を含む製造方法(以下、単に「本実施形態の製造方法」ともいう。)である。
 溶液Aは、酸源、アルミナ源及び水を含む溶液である。
 アルミナ源は、アルミニウム(Al)を含む化合物であり、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム及び塩化アルミニウムの群から選ばれる1以上が例示でき、硫酸アルミニウムが好ましい。
 酸源は、硫酸、塩酸及び硝酸の群から選ばれる1以上の無機酸であればよい。本実施形態において、酸源は硫酸であることが製造上の観点から好ましい。また、酸源は該無機酸に加え、有機酸を含んでいてもよい。有機酸として酢酸、リンゴ酸、酒石酸及びクエン酸の群から選ばれる1以上が例示できる。
 酸源は、ゲル化工程においてpHの制御がしやすくなり、また得られる非晶質シリカアルミナのSiO/Alモル比が制御しやすくなる点で、酸源に含まれるアニオンのモル数及びアルミナ源に含まれるアニオンのモル数の総モル数に対する、後述の溶液Bのシリカ源に含まれるアルカリ金属を酸化物換算したモル数の比(以下、「MO/アニオンモル比」ともいう。)が0.5以上2.0以下であることが好ましく、0.8以上1.3以下であることがより好ましい。アルカリ金属がナトリウム(Na)及びアニオンが硫酸イオンである場合、MO/アニオンモル比はNaO/硫酸モル比とすればよい。また、アルカリ金属がナトリウム及びカリウム(K)である場合、MO/アニオンモル比は(NaO+KO)/硫酸イオンモル比とすればよい。
 水は、蒸留水、脱イオン水及び純水の群から選ばれる1以上であればよい。なお、アルミナ源及び酸源が水和物、構造水、溶媒などの水を含むものである場合、溶液Aに含有される水と見なすことができる。
 溶液Aにおける水の含有量は、得られる非晶質シリカアルミナの比表面積及び酸量を向上しやすい点で、溶液Aに含まれるAlをAl換算したモル量に対する、水のモル量(以下、「HO/Alモル比」ともいう。)が50以上500以下であることが好ましい。
 溶液Aは、以下のモル組成を有していることが好ましい。
   MO/アニオンモル比  :0.5以上、又は0.8以上、かつ
               2.0以下、または1.3以下
   HO/Alモル比:50以上、60以上又は70以上、かつ
               500以下、300以下、200以下
 ただし、Mは溶液Bに含まれるアルカリ金属をさす。
 溶液Aの液温は、45℃以下が好ましく、35℃以下がより好ましい。
 溶液Bは、塩基性シリカ源及び水を含む溶液である。
 塩基性シリカ源は、ケイ素(Si)を含む塩基性化合物であり、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム及びケイ酸リチウムの群から選ばれる1以上が例示でき、ケイ酸ナトリウム及びケイ酸カリウムの少なくともいずれかが好ましく、ケイ酸ナトリウムがより好ましい。
 水は、溶液Aにおける水と同様であるため、説明を省略する。
 溶液Bは、溶液Bに含まれるSiをSiO換算したモル量に対する、水のモル量(以下、「HO/SiOモル比」ともいう。)が8以上100以下であることが好ましい。
 溶液Bは、以下のモル組成を有していることが好ましい。
   HO/SiOモル比 :8以上、10以上又は15以上、かつ
               100以下、50以下、30以下
 溶液Bの液温は、40℃以下が好ましく、35℃以下がより好ましい。
 また、溶液Aに含まれるAlをAl換算したモル量に対する、溶液Bに含まれるSiをSiO換算したモル量の比(以下、「SiO/Al原料モル比」ともいう)は、非晶質シリカアルミナのSiO/Alモル比を制御しやすい点で、10以上100以下であることが好ましく、10以上30以下がより好ましく、13以上30以下であることが更に好ましい。
 溶液Cは、アルカリ金属を含む硫酸塩水溶液である。
 アルカリ金属は、カリウム、ナトリウム及びリチウムの群から選ばれる1以上であることが挙げられ、カリウム及びナトリウムの少なくともいずれかであることが好ましく、ナトリウムであることがより好ましい。
 溶液Cにおけるアルカリ金属の含有量は、高い比表面積の非晶質シリカアルミナが得られやすい点という点で、1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
 溶液Cにおける、硫酸の含有量は、高い比表面積の非晶質シリカアルミナが得られやすい点という点で、2質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
 溶液Cは、工業的に取り扱いが容易である点で、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム及び硫酸カリウムの群から選ばれる1以上の水溶液であることが好ましく、硫酸ナトリウムであることがより好ましい。
 溶液Cの液温は、35℃以上60℃以下が好ましい。
 ゲル化工程は、溶液Cに溶液A及び溶液Bを同時に混合することで非晶質シリカアルミナゲルを得る。
 ゲル化工程では、溶液A及び溶液Bを混合される溶液CのpHを6.0以上8.0以下に保持することが好ましい。これにより溶液Aのアルミナ源と溶液Bの塩基性シリカ源とを脱水縮合させ、本実施形態のミクロ孔容積割合と比表面積を有する非晶質シリカアルミナゲルが形成しやすくなる。より短時間で該非晶質シリカアルミナゲルが形成しやすくなる点で、溶液CのpHは、6.5以上7.0以下に保持することがより好ましい。
 溶液CのpHをより短い時間で上記の値に制御しやすくなる点で、溶液Aの流量[ml/分]と溶液Bの流量[ml/分]の比率(以下、「A:B流量比」ともいう。)は下記式を満たす値であることが好ましい。
   A:B流量比=279×(HO/Alモル比)(-0.85)       
(6)
 ゲル化工程は、溶液Cを攪拌しながら、溶液A及び溶液Bを溶液Cに混合することが好ましい。これにより溶液Aと溶液Bとが均一に分散することで、非晶質シリカアルミナゲルのネットワークが形成しやすくなり、得られる非晶質シリカアルミナのミクロ孔容積割合が制御しやすくなる。攪拌は、単位容積あたりの攪拌所要動力(以下、「P/V」ともいう。)は、250W/m以上450W/m以下であることが好ましく、300W/m以上350W/m以下であることがより好ましい。
 ゲル化工程における溶液Cは、液温が35℃以上60℃以下であることが好ましい。液温が上記値であることで、得られる非晶質シリカアルミナの大きい細孔の形成を抑制し上記の値のミクロ孔容積割合を有する非晶質シリカアルミナが得られやすくなる。ゲル化工程における溶液Cの液温は、40℃以上50℃以下がより好ましい。
 イオン交換工程は、前記ゲル化工程で得られた非晶質シリカアルミナゲルに含有されるアルカリ金属をイオン交換により除去する。
 イオン交換する方法は、非晶質シリカアルミナゲルに含有されるアルミニウムの脱離を抑制しながらアルカリ金属を除去できる方法であればよく、公知の方法を用いればよい。当該方法として、非晶質シリカアルミナゲルとアンモニウムイオンを含有する水溶液(以下、「アンモニウム水溶液」)とを接触させる方法(以下、「アンモニウムイオン交換法」)を挙げることができる。
 アンモニウムイオン交換法はバッチ式及び流通式の少なくともいずれで行ってもよいが、非晶質シリカアルミナゲルに含有されるアルカリ金属を効率よく除去できる点で、バッチ式が好ましい。
 アンモニウムイオン交換法をバッチ式で行う場合、アンモニウム水溶液のアンモニウムイオン濃度は、アルカリ金属を十分除去できる濃度となるよう非晶質シリカアルミナゲルの量により適宜調整すればよく、アンモニウムイオン濃度が3質量%以上10%以下であることが例示できる。また、アンモニウム水溶液の液量は、非晶質シリカアルミナゲルに含まれる固形分に対するアンモニウム水溶液の質量比が、2以上50以下であることが例示できる。
 アンモニウムイオン交換法をバッチ式で行う場合、非晶質シリカアルミナゲルとアンモニウム水溶液とを接触させる時間は、15分間以上10時間以下であることが好ましい。また、非晶質シリカアルミナゲルとアンモニウム水溶液とを接触させる温度は、30℃以上100℃以下であれば良く、50℃以上80℃以下であることが好ましい。
 アンモニウムイオン交換法を流通式で行う場合、イオン交換工程の条件としてアンモニウムイオン濃度が3質量%以上10%以下のアンモニウムイオン溶液を非晶質シリカアルミナゲルに対し1分以上30分以下流通させる条件が例示できる。また、アンモニウム水溶液の液量は、非晶質シリカアルミナゲルに含まれる固形分に対するアンモニウム水溶液の質量比が、2以上50以下であることが例示できる。
 本実施形態の製造方法は、当該イオン交換工程に先立ち、ゲル化工程で得られた非晶質シリカアルミナゲルに含有される他の成分を除去する洗浄工程を含んでいてもよい。
 洗浄工程における、非晶質シリカアルミナゲルに含有される他の成分を除去する方法として、当該非晶質シリカアルミナゲルと水とを接触させる方法が挙げられる。水は、蒸留水、脱イオン水及び純水の群から選ばれる1以上であればよい。
 洗浄工程は、非晶質シリカアルミナゲルの質量に対して5質量倍以上100質量倍以下の水を、非晶質シリカアルミナゲルと30℃以上100℃以下で接触させることが好ましい。
 焼成工程は、前記イオン交換工程後の非晶質シリカアルミナゲルを焼成する。これにより、非晶質シリカアルミナゲルに含有されるアンモニウムイオンを除去し、非晶質シリカアルミナを得ることができる。
 焼成工程における焼成温度は、300℃以上600℃以下であることが好ましく、400℃以上550℃以下がより好ましい。
 焼成工程における焼成時間は、10分間以上20時間以内であることが好ましく、1時間以上3時間以下がより好ましい。
 焼成工程は、大気雰囲気が挙げられる。
 以下に実施例を挙げて本開示をより具体的に説明するが、本開示は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(組成分析)
 フッ酸と硝酸の混合水溶液に測定試料を溶解して試料溶液を調製した。一般的なICP装置(装置名:OPTIMA5300DV、PerkinElmer社製)を使用して、当該試料溶液を誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES)で測定した。得られたアルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、所定元素、他の元素の測定値から、測定試料のSiO/Al比、測定試料に対する所定元素の質量割合(含有量)、及び測定試料に対する他の元素の質量割合(含有量)を求めた。
(細孔特性分析)
 一般的な窒素吸着装置(装置名:BELSORP-miniII、マイクロトラック・ベル社製)を用いて、測定試料についての窒素吸脱着等温線を得た。窒素ガス吸着は、定容量法を用いた。測定条件は、以下に示す通りである。
           サンプル量       :約0.02g
           前処理         :350℃、2時間の真空乾燥
           測定温度        :-196℃
           相対圧(P/P)範囲 :0~0.995
 窒素吸着測定で得られた吸着等温線から、相対圧が0以上0.8以下の範囲(直径が10nm以下に相当する細孔の窒素吸着範囲)の吸着量PV(0-0.8)[cm(STP)/g]を求めた。また、相対圧が0以上0.2以下の範囲(直径が2nm以下に相当する細孔に相当する窒素吸着範囲)の吸着量PV(0-0.2)[cm(STP)/g]を求めた。そして、吸着量PV(0-0.8)に対する吸着量PV(0-0.2)の割合を算出し、測定試料のミクロ孔容積割合とした。
 測定試料の比表面積は、JIS Z 8830:2013に準じた測定により求めた。すなわち、前述の窒素吸着法を使用し、窒素吸着測定で得られた吸着等温線から一点法により非晶質シリカアルミナの比表面積を測定した。
 窒素吸脱着等温線から相対圧が0以上0.99以下の範囲の窒素吸着量V[cm]を求め、得られた吸着量Vと上記式(5)式を用いて、測定試料の全細孔容積を算出した。
(酸量分析)
 酸量の測定は、アンモニア-TPD法(アンモニア昇温脱離法による固体酸性質測定,触媒,vol.42,p.218(2000)参照。)に準じた方法により測定した。具体的には、室温で測定試料にアンモニアを飽和吸着させ、100℃に加熱して測定雰囲気中に残存するアンモニアの除去を行った後、昇温速度10℃/分で700℃までの昇温過程で測定されるアンモニア脱離ピークから全酸量を求めた。
(27Al-MAS-NMR測定)
 27Al-MAS-NMR測定を行い、Aliv/(Aliv+Alvi)を求めた。測定には、一般的な核磁気共鳴分光装置(商品名:AVANCE NEO 700、Bruker製)を用いた。前処理として、空気中で500℃1時間焼成した後、真空雰囲気、飽和塩化アンモニウム水溶液の存在下、相対湿度60%の状態で24時間保持し、これを測定試料とした。27Al-MAS-NMR測定は、以下の条件で行った。
      観測核    :27Al(182.4MHz)
      回転周波数  :24kHz
      パルス幅   :2.1μ秒
      待ち時間   :2秒
      積算回数   :2600回
 27Al-MAS-NMR測定により得られたNMRスペクトル(実測NMRスペクトル)から、P40~60ppmとP-10~10ppmを波形分離し、P40~60ppmの面積強度Alivと、P-10~10ppmの面積強度Alviを求めた。求めたAlivとAlviから、測定試料のAliv/(Aliv+Alvi)を求めた。
 なお、Aliv及びAlvi検出及び面積強度の算出は、解析ソフト(ソフト名:GRAMS/AI ver8.0、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を使用した。P40~60ppmとP-10~10ppmの波形分離は、ピークを表す関数としてガウス関数を用いた最小二乗法を用いて行った。また、ベースライン補正については、実測NMRスペクトルにおける-50ppm及び150ppmの点を直線で結び、0となるように補正した。(Pt粒子径)
 Pt含有非晶質シリカアルミナを500KPaで直径4cmのディスク状に加圧成形した後、得られた成形体を粉砕して、目開き500μmの篩を通過し、目開き850μmの篩に堆積した顆粒を回収した。得られた顆粒を下表に示すステップ1乃至6の順で処理し、測定試料とした。
 Pt含有非晶質シリカアルミナのPt粒子径の測定は、一酸化炭素パルス法(日本化学会誌、No.12、p.218(1989))に準じた方法により測定した。具体的に、一般的な測定装置(製品名:BEL-METAL-3SP、マイクロトラック・ベル社製)を使用して、50℃でヘリウムガス気流下で、一酸化炭素の排出量が一定になるまで一酸化炭素を繰り返し注入した。一酸化炭素の導入量の合計量と排出量の合計量の差分から、一酸化炭素の吸着量を測定した。
 一酸化炭素吸着量からPt表面積を、下記式を用いて算出した。
   Pt表面積[m/g]=
    K×6.02×1023×(0.08×10-18)         (7)
   (ただし、Kは測定試料1gあたりのCO吸着量のモル数[mol/g]をさす。)
 Kは下記式を用いて算出することができる。
   K[mol/g]=
    CO吸着量[cm(STP)/g]/(22.4×10-3×10)  (8)
 またPt粒子径を、下記式を用いて算出した。
   Pt粒子径[nm]=
60×金属含有率[質量%]/(Pt表面積[m/g]×21.45   (9)
 実施例1
 硫酸アルミニウム水溶液(Al換算したAlとして8.05質量%含む)0.366kg、純水0.14kg、及び97質量%硫酸(キシダ化学製)0.015kgを混合し、本実施例の溶液Aを0.52kg得た。本実施例の溶液AにおけるHO/Alモル比は21であった。
 ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO換算したSiとして14.5質量%、NaO換算したNaとして4.5質量%含む)0.88kg、及び純水1.07kgを混合し、本実施例の溶液Bを1.94kg得た。本実施例の溶液BにおけるHO/SiOモル比は75であった。
 また、溶液A及びBにおけるモル組成の関係は以下の通りであった。
   NaO/硫酸イオンモル比  :1.3
   SiO/Al原料モル比 :14.5
 4L加熱攪拌槽に純水1Lを張り込み、45℃、346rpm回転で加熱攪拌しながら、硫酸ナトリウム(キシダ化学製、無水)250gを加え、溶液Aを26mL/分、及び攪拌槽内の溶液のpHを6.5~7.0となるよう溶液Bを103±10mL/分の流速で滴下し、本実施例の溶液Cを得た。
 本実施例の溶液Cを固液分離し、非晶質シリカアルミナゲルを約0.3kg得た。続いて該非晶質シリカアルミナゲルを純水3kgで洗浄し、次に20質量%塩化アンモニウム水溶液でイオン交換処理を行い、純水3kgで洗浄を行った。
 洗浄後の非晶質シリカアルミナゲルを150℃、12時間、空気雰囲気で乾燥し、続いて550℃、1時間、空気雰囲気で焼成し、本実施例の非晶質シリカアルミナを得た。得られた非晶質シリカアルミナの評価結果を下表に示す。
 実施例2
 3Lビーカーに硫酸アルミニウム水溶液(Alとして8.05質量%含む)0.240kg、純水0.23kg、及び97質量%硫酸(キシダ化学製)0.064kgを添加し、本実施例の溶液Aを0.54kg得た。本実施例の溶液AにおけるHO/Alモル比は21であった。
 ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO換算したSiとして14.5質量%、NaO換算したNaとして4.5質量%含む)0.93kg、及び純水1.14kgを混合し、本実施例の溶液Bを2.07kg得た。本実施例の溶液BにおけるHO/SiOモル比は117であった。
 また、溶液A及びBにおけるモル組成の関係は以下の通りであった。
   NaO/硫酸イオンモル比  :1.1
   SiO/Al原料モル比 :23.5 本実施例の溶液A及び溶液Bを使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で本実施例の溶液Cを得た。
 本実施例の溶液Cを固液分離し、非晶質シリカアルミナゲルを約0.3kg(絶乾質量)得た。続いて実施例1と同様の方法でこの非晶質シリカアルミナゲルを洗浄、イオン交換処理、洗浄、乾燥、及び焼成を行い、本実施例の非晶質シリカアルミナとした。得られた非晶質シリカアルミナの評価結果を下表に示す。
 比較例1
 硫酸ナトリウムを添加しないで溶液Cを得たこと以外は実施例1と同様な方法で本比較例の非晶質シリカアルミナを得た。得られた非晶質シリカアルミナの評価結果を下表に示す。
 比較例2
 市販のシリカ-アルミナ触媒担体(sigma-aldrich製、グレード135)を550℃、1時間、空気雰囲気で焼成し、本比較例の非晶質シリカアルミナを得た。得られた非晶質シリカアルミナの評価結果を下表に示す。
 表2に示す実施例1と比較例2の比表面積と全細孔容積から理解できる通り、本実施形態の製造方法によると、より高い比表面積及び酸量の非晶質シリカアルミナを得ることができた。
 また、表3に示す通り、得られた非晶質シリカアルミナは特定の4配位Al及び6配位Alを含んでいることがわかった。
 また、実施例1、実施例2および比較例3のミクロ孔容積割合は60%以上であり、比較例1の市販シリカアルミナと比べ、低い相対圧下での窒素吸着量が多いことがわかった。
 測定例
<Pt担持>
 実施例及び比較例の非晶質シリカアルミナに、それぞれPt含有量が0.5質量%となるように、HPtCl水溶液を含浸させ、110℃、5時間、空気雰囲気で乾燥した後、450℃、4時間、空気雰囲気で焼成して、Pt含有非晶質シリカアルミナ粉末を得た。得られたPt含有非晶質シリカアルミナのPt含有量、Pt表面積及びPt粒子径を下表に示す。
 表2に示す実施例1、2及び比較例1のPt粒子径から理解できる通り、直径が2nm以下の細孔が多くなることにより、担体上のPt粒子の粒子径が小さく、より高い分散状態で存在するものと推察された。一方、比較例1の非晶質シリカアルミナは直径が2nmを超える細孔が多数存在する。このような大きな細孔に存在するPt粒子は空間的な制限が弱く、比較的に大きなPt粒子に成長したものと推察された。
<n-デカンの水素化分解>
 実施例及び比較例のPt含有非晶質シリカアルミナ1.1gを、ステンレス製反応管(内径8mm、長さ650mm)を用いた固定床流通式反応装置に充填し、該反応管に、水素(気体)を流量50mL/分、温度350℃、0.2MPa(ゲージ圧)で3時間流通させ、これを前処理とした。前処理後、n-デカンの体積流量に対する水素の体積流量の比が800となるよう、水素(気体)を体積流量20mL/分、及びn-デカン(液体)を体積流量0.025mL/分で、反応管に供給し、280℃、0.2MPa(ゲージ圧)、n-デカンの空間速度1.0Hr-1となるようn-デカンの水素化分解反応を行った。なお、n-デカンの密度は730kg/cmとした。
 n-デカンの流通開始10時間後に、オートサンプラー(製品名:商品名GHS-343A、ジェイ・サイエンス社製)を用いて固定床流通式反応装置の出口ガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィー(製品名:GC -7100、ジェイ・サイエンス社製)を用いて出口ガス中の成分分析を行った。その間、固定床流通式反応装置の出口からオートサンプラーの間を220℃で保温した。ガスクロマトグラフィー分離カラムは、キャピラリーカラム(製品名:Supelco(登録商標) SPB-Octy、Sigma-Aldrich製l)を用いた。
 n-デカン転化率、iso-デカン選択率、クラッキング選択率(炭素数が1~9個の分解生成物の選択率)、クラッキング収率、及びC3/C7比(炭素数が3個と7個の炭化水素のモル比)を下表に示す。
 n-デカンの水素化分解反応は逐次反応であり、直鎖炭化水素が分岐炭化水素を経由し、炭素鎖の短い炭化水素に改質される。担体の酸性が弱い場合、異性化生成物(iso-デカン)が比較的多く生成し、デカン転化率が低くなる。逆に、担体の酸性が強すぎると、分解反応が進行するが、過分解が発生し、C3とC4が多く生成しC3/C7比が大きくなる。一方、長鎖パラフィンの水素化分解反応を完全な一次分解に制御できた場合、過分解が抑制され、C3とC7のモル比が理論的に1になる。
 表5の結果から、実施例の非晶質シリカアルミナを担体とした触媒は、比較例と比較して、n-デカンの水素化分反応において、クラッキング収率が高いことが理解できた。また、実施例の非晶質シリカアルミナを担体とした触媒ではC3/C7比が約1であり、高い効率で一次分解に制御できたことが理解できた。
 以上の結果から、本実施形態の触媒は、高い触媒活性を有し、なおかつ10以上の直鎖パラフィンを高い効率で一次分解できるパラフィン改質触媒として、好適であることが理解できた。
 令和6年7月19日に出願された日本国特許出願2024-115357号の明細書、特許請求の範囲及び要約書の全内容をここに引用し、本開示の明細書の開示として、取り入れる。

Claims (10)

  1.  直径が0nm以上10nm以下の細孔の細孔容積に対する、直径が0nm以上2nm以下の細孔の細孔容積の割合が60%以上であり、なおかつ比表面積が280m/g以上である、非晶質シリカアルミナ。
  2.  全細孔容積が0.2cm/g以上である、請求項1に記載の非晶質シリカアルミナ。
  3.  アルミナに対するシリカのモル比が10以上100以下である、請求項1又は2に記載の非晶質シリカアルミナ。
  4.  酸量が0.3mmol/g以上である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の非晶質シリカアルミナ。
  5.  化学シフト40ppm以上60ppm以下にピークトップを有するピークの面積強度と化学シフト-10ppm以上10ppm以下にピークトップを有するピークの面積強度の和に対する、化学シフト40ppm以上60ppm以下にピークトップを有するピークの面積強度の比が、0.40以上0.80未満である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の非晶質シリカアルミナ。
  6.  第8族、第9族及び第10族の群から選ばれる1以上の元素を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の非晶質シリカアルミナ。
  7.  アルミナ源、酸源及び水を含む溶液と、塩基性シリカ源及び水を含む溶液とを、アルカリ金属を含む硫酸塩水溶液に混合して非晶質シリカアルミナゲルを得るゲル化工程、前記非晶質シリカアルミナゲルをイオン交換するイオン交換工程、並びに、前記イオン交換工程後の非晶質シリカアルミナゲルを焼成する焼成工程を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の非晶質シリカアルミナの製造方法。
  8.  前記アルカリ金属を含む硫酸塩水溶液が硫酸リチウム、硫酸ナトリウム及び硫酸カリウムの群から選ばれる1以上の水溶液である、請求項7に記載の製造方法。
  9.  請求項1乃至6のいずれか一項に記載の非晶質シリカアルミナを含むパラフィン改質用触媒。
  10.  請求項9に記載のパラフィン改質用触媒と、パラフィン含有炭化水素流体を接触させる工程を有する、パラフィンの改質方法。
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