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JPWO1998006670A1 - リチウムニッケルコバルト複合酸化物、その製法及び二次電池用正極活物質 - Google Patents

リチウムニッケルコバルト複合酸化物、その製法及び二次電池用正極活物質

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JPWO1998006670A1
JPWO1998006670A1 JP10-509595A JP50959598A JPWO1998006670A1 JP WO1998006670 A1 JPWO1998006670 A1 JP WO1998006670A1 JP 50959598 A JP50959598 A JP 50959598A JP WO1998006670 A1 JPWO1998006670 A1 JP WO1998006670A1
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Abstract

(57)【要約】 一般式(I) (式中、MはAl、Fe、Mn及びBからなる群より選択された少なくとも1種であり、yは0.9≦y≦1.3、xは0<x≦0.5、x1は0<x1<0.5、x1+x2=x、MがAl、Fe及びMnの中の少なくとも1種の場合は、x2は0<x2≦0.3、MがBの場合は、x2は0<x2<0.1、MがBとAl、Fe及びMnの中の少なとも1種の場合は、x2は0<x2<0.3を示すが、Bの占める割合は0から0.1の範囲である)でされる複合酸化物であって、充放電サイクル特性に優れ、サイクル数の増加によっても従来のLiNiO2に匹敵し得る高い電池容量を維持し、高温時でのサイクル性(安定性)の改善された二次電池用正極活物質を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】 リチウムニッケルコバルト複合酸化物、 その製法及び二次電池用正極活物質 技術分野 本発明は、高純度で結晶化度が高く、しかも電池容量が高く、充放電サイクル 数の増加によっても容量の低下が少ない、構造が安定なリチウムニッケルコバル ト複合酸化物、その製法及び二次電池用正極活物質に関する。
従来技術 近年、電子機器の小型化、携帯化に伴い、ニッケル/カドミ電池、ニッケル水 素電池に代わり、軽量で高エネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池の需 要が高まっている。このリチウムイオン二次電池の正極活物質としては、リチウ ムイオンをインターカレート、デインターカレートすることができる層状化合物 であるLiNiO2、LiCoO2が知られている。その中でもLiNiO2は、 LiCoO2より高電気容量であるため期待されている。
しかしながら、LiNiO2は充放電におけるサイクル特性、貯蔵安定性、高温 時の安定性等に問題があり、実用化に至っていない。実際に正極活物質として使 用されているのは、LiCoO2だけである。
上記LiNiO2の欠点を改善して、リチウム二次電池の正極活物質として利用 しようという試みは、種々行われているが、未だ上記欠点を全て解決したものは 実現していない。
即ち、LiNiO2では、多くのリチウムイオンが脱離すると(充電時)、二次元 構造であるため構造が不安定となり、このためリチウムイオン二次電池のサイク ル性、貯蔵安定性、高温時の安定性が悪いことが知られている[例えば、J.E lectro chem.Soc.,140〔7〕p.1862−1870(1993)、Solid State Ionic s 69 p.265−270(1994)参照]。この欠点を解消して、構造安定性を確立す るために、例えばNiの一部を他の成分(Co、Mn、Fe、Ti、V等)で置 き換え構造を安定化する試みが多数行われているが、実際的には乾式で混合・焼 成する製造法であるため、完全に固溶した高純度の結晶が工業的規模では得られ にくい。
又、LiNiO2或いはこれに他の成分を固溶したものの粒子の形状や大きさ等 の諸物性を制御しようとする試みもなされているが、満足な成果が得られていな い。例えば特開平5−151998号公報では粒子径分布について、10%累積径が3〜15 μm、50%累積径が8〜35μm、90%累積径が30〜80μmであるように特定すること で改善を試みているが、正極活物質を粉砕してこのような粒子分布径に調整する ことは非常にむずかしく実際的な方法ではない。
通常、LiNiO2はLi成分(LiOH、Li2CO3、LiNO3等)と、Ni成 分(水酸化物、炭酸化物等)とを乾式で混合した後反応させるために、長時間高 温焼成する必要があり、その結果結晶成長は進むが、その反面リチウムの揮散が あったり、NiOの副生が生じて純度の低下を来す。従って、この乾式法ではど うしても一次粒子径が小さいものでは高純度のものができにくく、他方一次粒子 径が大きいものでは構造的に格子欠陥が多く、純度も低下してしまう。よって、 結晶化度が高く且つ純度が高いという物性を保持しながら粒度を適宜設定するこ とは不可 能であった。
発明の開示 本発明の目的は、上記従来のLiNiO2やその複合酸化物の欠点を改善した、 つまり高純度で結晶化度が高く、しかも電池容量が高く、充放電サイクル数の増 加によっても容量の低下が少ない、構造が安定な新規なリチウムニッケルコバル ト複合酸化物を提供することにある。
本発明の他の目的は、従来の乾式法とは異なる湿式法を経由する方法によって 球状で二次粒子および一次粒子径の大きさを自在に設定できる該リチウムニッケ ルコバルト複合酸化物の製法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、該リチウムニッケルコバルト複合酸化物を有効成 分として含有するリチウムイオン二次電池用正極活物質を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、後述する湿式法を 経由する方法によって創製される下記一般式(I) LiyNi1-xCox1x22 (I) (式中、MはAl、Fe、MnおよびBからなる群から選択された少なくとも1 種であり、yは0.9≦y≦1.3、x1+x2=x、xは0<x≦0.5、x1は0<x1<0 .5、MがAl、FeおよびMnの中の少なくとも1種の場合はx2は0<x2≦0.3 、MがBの場合は、x2は0<x2<0.1、MがBとAl、FeおよびMnの中の少 なくとも1種の場合は、x2は0<x2≦0.3を示すが、Bの占める割合は0から0.1 の範囲である)で示される複合酸化物が、上記課題に合致することを見出した。
本発明の新規な複合酸化物は以下の特徴を有する。
第一の特徴は、上記一般式(I)表示の組成である。
LiNiO2の高い電池容量を維持しながら、その欠点であるサイクル性(サイ クル数増加に伴う放電容量の劣化)、高温時での安定性を改善したことであり、 しかも高価なCoの使用を最小限に抑え、経済性も実現した。
第二の特徴は、X線回折で、結晶化度が大きく且つ純度が高いことである。即 ちX線回折のミラー指数hklにおける(003)面及び(104)面での回折ピーク 比(003)/(104)が1.2以上であり、(006)面及び(101)面での回折ピーク 比(006)/(101)が0.13以下、全(Ni+Co)に対する(Ni3++Co3+)が99% 以上、BET比表面積が0.1〜2m2/g、平均二次粒径Dが5〜100μm、粒度分布 の10%が0.5D以上、90%が2D以下、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して表 面に凸凹のある球状二次粒子であって、この球状二次粒子を構成する一次粒子径 が、SEMで観察して長径の粒径が0.2〜30μmの範囲の内にあり、且つその長径 の平均粒径が0.3〜30μmである、高純度な複合酸化物である。
通常LiNiO2やその複合酸化物において、Niの一部を他の成分で固溶させよ うとすると、従来の乾式法では均一固溶が難しく、添加量に比例して均一固溶が 低下するため、電気容量が低下するのは勿論のこと、サイクル性の改善、耐熱性 、耐電解液性等も不充分であった。
本発明のリチウムニッケルコバルト複合酸化物は、Al、Fe、Mn及びBか らなる群より選択された少なくとも1種を固溶させているにも拘わらず、高純度 の複合酸化物とすることができる。特に後記実施例に示すようにCoとAl及び /又はBは併用で効率良く層間の距離を短縮させることが実現できるため、リチ ウムイオンの出入りによるNiの構造不安定性を解消することができる。本発明 の最大の特徴は、リチウムニッケル酸化物にCoおよびAl、Fe、Mn及びB からなる群より選 択された少なくとも1種を少量且つ均一に固溶させることである。
このような本発明のリチウムニッケルコバルト複合酸化物は、後述する湿式法 により高純度且つ結晶性の高い組成物として得ることができる。
第三の特徴は、均一な一次粒子を得ることができることと、二次粒子の粒子形 状、粒子の大きさを自在に調整できる点である。
一次粒子の大きさに着目した場合、一般的にLiMO2で表される層状化合物に おいては、リチウムイオンの出入りを考えれば一次粒子の大きさが重要である。
即ち、一次粒子が細かい程固体内部のイオン伝導度が良く、且つ外部とのリチウ ムイオンの出入りがし易い。
一方、結晶化度という点からは小さな一次粒子では結晶が充分に発達せず、必 然的に純度の低いものになる。又、一次粒子が小さいと、貯蔵安定性が貧弱であ り、そのため吸湿して良好な電池特性を安定して出せない。更には、高温下での 耐熱性、電解液との反応性等という観点からは、一次粒子が大きいことが望まし い。本発明者らは鋭意検討した結果、後述する湿式法ー噴霧(または凍結)乾燥 法−プレス成形焼成法等を組み合わせることにより、一次粒子の長径の粒径が0. 2〜30μm、好ましくは1〜20μmまでの所望の範囲の粒径を有する均一な一次粒子 の複合酸化物を製造することに成功した。
特に、噴霧乾燥−焼成法を用いることにより、一次粒子、二次粒子共に均一な ものが調製できる。一次粒子は、SEMで観察して長径の粒径が0.2〜30μm、好 ましくは1〜20μmの範囲内にあり、且つその長径の平均粒径が0.3〜30μmである 。噴霧乾燥ー焼成法により球状とされた球状二次粒子の平均粒径Dが5〜300μm 、好ましくは5〜100μm、より好ましくは5〜20μm、粒度分布の10%が0.5D以上 、90%が2D以下と粒度の揃った粒子で且つSEM観察で分かるように表面が凸 凹のある球状二次 粒子である。
又、この球状二次粒子のSEMで観察した粒子径比(長径/短径)は、焼成後 解砕した際に僅かに粒子径比の大きなものが含まれることがあっても、通常は最 大で1.5以下、平均で1.2以下の範囲におさまり、その90%以上が1.3以下に分布 している球形の揃った粒子である。
この様な物性から本発明の球状品、好ましくは噴霧乾燥ー焼成工程により得ら れる球状品は最密充填に適しているばかりでなく、例えば電池に使用した場合は 、電解液、導電剤等との接触面積が大きくなり、外部とのリチウムイオンの出入 りということからも有利であることが分かる。
この球状二次粒子の粒度は、5〜100μmまで所望により設定できるが、電池材 料として使用する場合は、加工性から平均粒径が5〜30μm程度のものが望ましい 。
又、BET比表面積が0.1〜2m2/g以下であり、電池材料として使用した場合 、電解液の粘度を上げることがないので、誘電率の低下を引き起こさない。
又、一次粒子の長径の平均粒径を1μm以上30μm程度にまでしたい場合は、上 記噴霧(または凍結)乾燥品をプレス成形すればより簡便に得ることができる。
この一次粒子の大きなものは、高純度且つ結晶性が高いという物性を保持してお り、高温安定性等が優れており、特に過酷な条件下での使用が想定されるリチウ ムイオン二次電池の正極活物質として好適に使用される。又、プレス成形をする ため嵩密度が高くなり、この嵩密度が高いことは電池容量の向上にとってプラス である。
本発明の上記一般式(I)で示される複合酸化物の製造方法を以下詳細に述べる 。
前記一般式(I)で示される複合酸化物を製造するに際して、 Mが Al、FeおよびMnの中の少なくとも1種である場合、 MがBである場合 、 MがBとAl、FeおよびMnの中の少なくとも1種との組み合わせであ る場合にわけて、それぞれ、次の方法が適用される。
即ち、 前記一般式(I) LiyNi1-xCox1x22 (I) (MがAl、FeおよびMnからなる群から選択された少なくとも1種を示す) で表される複合酸化物の製法においては、 一般式(II) Ni1-xCox1x2(OH)2(1-x+x1)+3x2-nz(An-)z・mH2O (II) 〔但し、MはAl、Fe及びMnらなる群より選択された少なくとも1種であり 、xは0<x≦0.5、x1は0<x1<0.5、x2は0<x2≦0.3、x1+x2=x、An- はn価(n=1〜3)のアニオン、z及びmはそれぞれ、0.03≦z≦0.3、0≦m< 2の範囲を満足する正の数を示す〕で表される塩基性金属塩にyで示すLi原子 モル数に相当する量のリチウム化合物を水媒体中で添加し、得られたスラリーを 噴霧又は凍結乾燥後、酸化雰囲気下で約600℃〜900℃、約4時間以上で焼成する ことにより製造することができる。
前記一般式(I) LiyNi1-xCox1x22 (I) (但し、MがBを示す)で表される複合酸化物の製法においては、 一般式(III) Ni1-xCox1(OH)2(1-x+x1)-nz(An-)2・mH2O (III) 〔式中、xは0<x≦0.5、x1は0<x1<0.5、An-はn価(n=1〜3)のアニオ ン、z及びmはそれぞれ、0.03≦z≦0.3、0≦m<2 の範囲を満足する正の数を示す〕で示される塩基性金属塩にx2モル%の硼素を 含有する硼素化合物〔x2は0<x2<0.1、上記x、x1、とx2は、x2=x−x1 の関係が成立する〕を水媒体中で添加し、次にyで示すLi原子モル数に相当す る量のリチウム化合物を添加し、得られたスラリーを噴霧又は凍結乾燥後、酸化 雰囲気下で約600℃〜900℃、約4時間以上で焼成することにより製造できる。
前記一般式(I) LiyNi1-xCox1x22 (I) (但し、MがBとAl、FeおよびMnの中の少なくとも1種との組み合わせを 示す)で表される複合酸化物の製法においては、 一般式(IV) Ni1-xCOx1x3(OH)2(1-x+x1)+3x3-nz(An-)z・mH2O (IV) 〔式中、NはAl、Fe及びMnの中の少なくとも1種であり、この場合の一般 式(I)のMはBとNを含みBの含量をx4とすると、xは0<x≦0.5、x1は0< x1<0.5、x3は0<x3≦0.3−x4、x1+x3+x4=x、An-はn価(n=1〜3 )のアニオン、z及びmはそれぞれ、0.03≦z≦0.3、0≦m<2の範囲を満足す る正の数を示す〕で示される塩基性金属塩にx4モル%の硼素を含有する硼素化 合物〔x4は0<x4<0.1、x4、x3、x2とはx4+x3=x2の関係が成立する〕 とyで示すLi原子モル数に相当する量のリチウム化合物を水媒体中で添加し、 得られたスラリーを噴霧又は凍結乾燥後、酸化雰囲気下で約600℃〜900℃、約4 時間以上で焼成することにより製造することができる。
水溶性リチウム化合物及び上記一般式(II)、(III)又は(IV)で表される塩基性 金属塩(以下、これらの塩基性金属塩を一括して単に「塩基性金属塩」という) としては、焼成時に揮散する陰イオンを含むものが使用 される。
リチウム化合物としては、例えば、LiOH、LiNO3、Li2CO3又はこ れらの水和物等の中から1種又は2種以上を選択することができる。
硼素化合物としては、硼酸、四硼酸リチウム等が好適に使用できる。
塩基性金属塩におけるAn-しては、例えば、NO3 2-、Cl-、Br-、CH3C OO-、CO3 2-、SO4 2-等で示されるアニオンから選択することができる。
これらの化合物において収率、反応性、資源の有効利用及び酸化促進効果等の 観点からリチウム化合物としてはLiOHを、硼素化合物としては硼酸、又塩基 性金属塩としては、アニオンが硝酸イオンである組み合わせが電池特性の観点か ら特に好ましい。
本発明において用いる塩基性金属塩としては、一次粒子の粒度がシェーラー( Scherrer)法で測定して0.1μm以下の細かな粒子である特定組成の塩基 性塩が好ましい。
又、この細かな粒子は、BET比表面積が10m2/g以上、好ましくは40m2/g 以上、より望ましくは100m2/g以上のものが良い。なお、BET比表面積に関 しては、水液中の塩基性金属塩を乾燥して測定する際、乾燥時に微粒子である一 次粒子が凝集し、この凝集体のBET比表面積を測定していることになり、凝集 が強固な場合は窒素ガスが入り込まず小さな値となる。従って、実際に水液中で リチウム化合物と反応する塩基性金属塩の比表面積は、より大きな値を示し、反 応性の高い表面となっているが、上記実状より10m2以上とした。
この特定組成の塩基性金属塩は層状構造をしており、化学組成及び結晶構造が MがAl、Fe及びMnの中の少なくとも1種の場合は Ni1-xCox1x2の水酸化物、MがBである場合はNi1-xCox1の水酸化物、 MがBとAl、Fe及びMnの中の少なくとも1種の場合はNi1-xCox1x3の 水酸化物に近いものであり、しかも微結晶で表面が活性に富んでいる。LiOH 等のリチウム化合物を加えると、極めて良好なLiyNi1-xCox1x22の前 駆物質を形成する。
この様な特定組成の塩基性金属塩を用いた場合のみ、本発明の高純度で結晶の 完全度の高いLiyNi1-xCox1x22が得られる。上記水酸化物はリチウム 化合物との反応性が塩基性金属塩に劣り、逆に、塩基性金属塩において、アニオ ン量が多くなると、層状構造から外れるてくるとともに、焼成時にアニオンがL iyNi1-xCox1x22の生成に対して阻害的に作用し、高純度で結晶の完全 度の高い目的化合物を得ることができない。
ここで用いる塩基性金属塩は、Ni1-xCox1x2塩、Ni1-xCox1塩あるい はNi1-xCox1x3塩に対して、約0.7〜0.95当量、好ましくは約0.8〜0.95当 量のアルカリを約80℃以下の反応条件下で加えて反応させることにより、製造す ることができる。ここで用いるアルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム等の アルカリ金属類の水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属類の水酸化 物、アミン類等である。なお、この塩基性金属塩は合成後20〜70℃で0.1〜10時 間熟成すると更に好ましい。次いで、水洗により副生成物を取り除き、リチウム 化合物そしてBを含む複合酸化物を製造する場合にはさらに硼素化合物を加える 。
この様な反応によって得られたスラリーの乾燥は、好ましくは噴霧または凍結 乾燥法が望ましい。瞬時に乾燥でき且つ球状物を得ることができる噴霧乾燥法は 、球状造粒性、組成物の均一性(乾燥時間のかかる乾燥法では、表面にリチウム が移行し、不均一な組成物となる)の観点か ら好適である。
焼成は、600〜800℃、好ましくは700〜750℃の温度範囲で行い、酸化雰囲気下 (酸素流通下)、約4時間以上で行う。好ましくは4〜72時間、より望ましくは、 約4〜20時間程度が良い。焼成時間が72時間以上であればコストアップとなるば かりでなく、リチウムの揮散に伴い、(Ni+Co)の3価の割合が却って低く なり、純度の悪いものとなる。
この焼成に関する技術では、乾式法等の既知の技術では、2価から3価になりが たいNiに対して、少なくとも20時間の焼成が要求されていたことからみると、 これより短い焼成時間でも実施し得る本発明の製法は極めて経済的であり優位で ある。
第二の製法は、一次粒子を大きくし、更に嵩密度を高くする場合に有利なプレ ス成形法である。
上記噴霧乾燥法又は凍結乾燥法で得た乾燥品をプレス成形後焼成することによ り、一次粒子が1μm〜30μmの範囲で自在に設定でき、嵩密度が高く、且つ結晶 化度と純度が高い複合酸化物を得ることができる。
噴霧乾燥品である球状物は、流動性、成形性、充填性に優れた粉体であり、そ のまま常法に従いプレス成形するのに良好な材料である。
成形圧は、プレス機、仕込み量等により異なり、特に限定されるものではない が、通常500〜3000kg/cm2程度が好適である。
プレス成形機は、打錠機、ブリケットマシン、ローラコンパクター等好適に使 用できるがプレスできるものであれば良く、特に制限はない。
プレス品の密度は、1〜4g/cc、好ましくは2〜3g/cc程度が好適である。
プレス成形は、分子間移動距離が短くなり、焼成時の結晶成長を促進するとい う点では極めて有用である。従って、プレス成形に供する材料 は必ずしも噴霧乾燥品の球状物である必要はなく、凍結乾燥品でも同様に使用す ることができる。
このプレス成形品は、そのまま焼成される。焼成温度は、通常600〜900℃、好 ましくは700〜800℃で、酸素気流下、4時間以上、好ましくは10〜72時間で行う 。焼成時間が長い程一次粒子は大きくなるので、焼成時間は所望の一次粒子の大 きさによって決まる。
短時間で得るためには、予備焼成と後焼成の2回焼成を施す方法を用いれば良 い。先ず、前述の製造方法で得られたスラリーを噴霧又は凍結乾燥し、そのまま 酸化雰囲気下で約600〜900℃で、0.5時間以上(好ましくは0.5〜4時間)予備焼 成し、次いで得られた予備焼成品を、必要ならば粉砕した後、プレス成形後、更 に酸化雰囲気下で約600〜900℃で約1時間以上(好ましくは4〜48時間)で後焼成 する製造方法である。この方法を使用すれば、焼成に要する総時間を短くするこ とができる。
このようにして得られた本発明の上記一般式(I)表示の複合酸化物は、後記実 施例から明らかなよう100回目の充放電サイクル経過後も160〜180mAh/の高 容量化が図られると共に高温度のサイクル性(安定性)が改善された二次電池の正 極活物質として有効に利用できる。
図面の簡単な説明 図1は実施例1〜4、比較例1〜2で得た複合酸化物の粉末X線回折図である。
図2は実施例1で得た複合酸化物の一次粒子を示すSEM写真(×1500倍)であ る。
図3は実施例4で得た複合酸化物の一次粒子を示すSEM写真(×1500倍)であ る。
図4は実施例5で得た複合酸化物の粉末X線回折図である。
図5は実施例6で得た複合酸化物の粉末X線回折図である。
図6は実施例7で得た複合酸化物の粉末X線回折図である。
図7は実施例5で得た複合酸化物の一次粒子を示すSEM写真(×30000倍)で ある。
図8は実施例6で得た複合酸化物の一次粒子を示すSEM写真(×3000倍)であ る。
図9は実施例7で得た複合酸化物の一次粒子を示すSEM写真(×10000倍)で ある。
図10は実施例8で得た複合酸化物の粉末X線回折図である。
図11は実施例9で得た複合酸化物の粉末X線回折図である。
図12は実施例10で得た複合酸化物の粉末X線回折図である。
図13は実施例11で得た複合酸化物の粉末X線回折図である。
図14は実施例8で得た複合酸化物の一次粒子を示すSEM写真(×1500倍)で ある。
図15は実施例10で得た複合酸化物の一次粒子を示すSEM写真(×1500倍)で ある。
図16は実施例11で得た複合酸化物の一次粒子を示すSEM写真(×1500倍)で ある。
発明を実施するための最良の形態 以下の実施例により本発明について詳しく説明する。
実施例1 Ni:Coモル比=80:19となるように2.0Mの硝酸ニッケルと硝酸コバルト の混合水溶液を調製した。攪拌下、反応槽にこの混合水溶液と 1.0Mの水酸化ナトリウム水溶液を定量ポンプを用いて添加を行い、反応温度25 ℃でpH8.0を維持するように水酸化ナトリウム水溶液の液量を調整しながら連 続反応を行った。滞留時間は平均10分で行った。反応生成物は連続反応で反応槽 からオーバフローしてくるものを受け容器に溜め、必要量溜まったところで反応 を終了した。得られた反応生成物を濾過、水洗し(なお、一部を乾燥したものの 組成は、Ni0.8Co0.19(OH)1.833(NO3)0.147・0.16H2Oであった)、水 に懸濁させた後、前記Ni、Coに対してモル比でNi:Co:B=80:19:1 に相当する量の硼酸を添加し、スラリーとした。このスラリーにLi/(Ni+ Co+B)=1.05のモル比に相当する量の3.0Mの水酸化リチウム水溶液を滴下 した後、噴霧乾燥を行った。得られた乾燥ゲルをアルミナ製ボートに入れ、管状 炉(山田電気製 TF−630型)にて酸素流通下で750℃、10時間焼成した。
焼成物の化学組成はLiNi0.80Co0.190.012であった。
実施例2 Ni:Coモル比=80:19.5となるように2.0Mの硝酸ニッケルと硝酸コバル トの混合水溶液を調製した。この混合水溶液と1.0Mの水酸化ナトリウム水溶液 を実施例1に準じて反応pH8.0となるように同時添加を行い、反応温度25℃、滞 留時間10分で連続反応を行った。得られた反応生成物を濾過、水洗し(なお、一 部を乾燥したものの組成は、Ni0.8Co0.195(OH)1.86(NO3)0.130・0.22H2 Oであった)、水に懸濁させた後、前記Ni、Coに対してモル比でNi:C o:B=80:19.5:0.5に相当する量の硼酸を添加し、スラリーとした。このス ラリーにLi/(Ni+Co+B)=1.05のモル比に相当する量の3.0Mの水酸 化リチウム水溶液を滴下した後、噴霧乾燥を行った。得られた乾燥 ゲルをアルミナ製ボートに入れ、管状炉(山田電気製 TF−630型)にて酸素流 通下で750℃、10時間焼成した。
焼成物の化学組成はLiNi0.80Co0.1950.0052であった。
実施例3 Ni:Coモル比=80:18となるように2.0Mの硝酸ニッケルと硝酸コバルト の混合水溶液を調製した。この混合水溶液と1.0Mの水酸化ナトリウム水溶液を 実施例1に準じて反応pH8.0となるように同時添加を行い、反応温度25℃、滞留 時間10分で連続反応を行った。得られた反応生成物を濾過、水洗し(なお、一部 を乾燥したものの組成は、Ni0.8Co0.18(OH)1.79(NO3)0.17・0.3H2Oで あった)、水に懸濁させた後、前記Ni、Coに対してモル比でNi:Co:B =80:18:2に相当する量の硼酸を添加し、スラリーとした。このスラリーにL i/(Ni+Co+B)=1.05のモル比に相当する量の3.0Mの水酸化リチウム 水溶液を滴下した後、噴霧乾燥を行った。得られた乾燥ゲルをアルミナ製ボート に入れ、管状炉(山田電気製 TF−630型)にて酸素流通下で750℃、10時間焼 成した。
焼成物の化学組成はLiNi0.80Co0.180.022であった。
実施例4 Ni:Coモル比=80:15となるように2.0Mの硝酸ニッケルと硝酸コバルト の混合水溶液を調製した。この混合水溶液と1.0Mの水酸化ナトリウム水溶液を 実施例1に準じて反応pH8.0となるように同時添加を行い、反応温度25℃、滞留 時間10分で連続反応を行った。得られた反応生成物を濾過、水洗し(なお、一部 を乾燥したものの組成は、Ni0.8Co0.15(OH)1.76(NO3)0.14・0.25H2O であった)、水に懸濁させた後、前記Ni、Coに対してモル比でNi:Co: Bモル比=80:15 :5に相当する量の硼酸を添加し、スラリーとした。このスラリーにLi/(N i+Co+B)=1.05のモル比に相当する量の3.0M水酸化リチウム水溶液を滴 下した後、噴霧乾燥を行った。得られた乾燥ゲルをアルミナ製ボートに入れ、管 状炉(山田電気製 TF−630型)にて酸素流通下で750℃、10時間焼成した。
焼成物の化学組成はLiNi0.80Co0.150.052であった。
比較例1 Ni:Coモル比=80:10となるように2.0Mの硝酸ニッケルと硝酸コバルト の混合水溶液を調製した。この混合水溶液と1.0Mの水酸化ナトリウム水溶液を 実施例1に準じて反応pH8.0となるように同時添加を行い、反応温度25℃、滞留 時間10分で連続反応を行った。得られた反応生成物を濾過、水洗し(なお、一部 を乾燥したものの組成は、Ni0.8Co0.01(OH)1.68(NO3)0.12・0.19H2O であった)、水に懸濁させた後、前記Ni、Coに対してモル比でNi:Co: B=80:10:10に相当する量の硼酸を添加し、スラリーとした。このスラリーに Li/(Ni+Co+B)=1.05のモル比に相当する量の3.0Mの水酸化リチウ ム水溶液を滴下した後、噴霧乾燥を行った。得られた乾燥ゲルをアルミナ製ボー トに入れ、管状炉(山田電気製 TF−630型)にて酸素流通下で750℃、10時間 焼成した。
焼成物の化学組成はLiNi0.80Co0.100.102であった。
比較例2 Ni:Coモル比=80:20となるように2.0Mの硝酸ニッケルと硝酸コバルト の混合水溶液を調製した。この混合水溶液と1.0Mの水酸化ナトリウム水溶液を 実施例1に準じて反応pH8.0となるように同時添加を行い、反応温度25℃、滞留 時間10分で連続反応を行った。得られた反 応生成物を濾過、水洗し(なお、一部を乾燥したものの組成は、Ni0.8Co0.2( OH)1.87(NO3)0.13・0.14H2Oであった)、水に懸濁させて、スラリーとした 。このスラリーにLi/(Ni+Co)=1.05のモル比に相当する量の3.0Mの 水酸化リチウム水溶液を滴下した後、噴霧乾燥を行った。得られた乾燥ゲルをア ルミナ製ボートに入れ、管状炉(山田電気製 TF−630型)にて酸素流通下で75 0℃、10時間焼成した。
焼成物の化学組成はLiNi0.80Co0.202であった。
比較例3(実施例1に対応する乾式法) 水酸化リチウム1.00モル、水酸化ニッケル0.80モル、水酸化コバルト0.19モル 及び硼酸0.01モルを乳鉢で充分乾式混合粉砕した後、直径14×厚さ2mmの大きさ にペレット化し、これを酸素雰囲気中で750℃、48時間焼成した。焼成物の化学 組成はLiNi0.80Co0.190.012であった。
上記実施例1〜4、比較例1〜2で得た複合酸化物の粉末X線回折図を図1に示す 。同図より明らかなように、いずれの製法においても副生物のピークは認められ ず、均一に固溶した層状構造を有していることが分かる。
図2および図3にそれぞれ実施例1、実施例4で得た複合酸化物の一次粒子を示す SEM写真(×1500倍)を示す。写真の下方に示した―線の単位はいずれも10μ mである。
又、上記実施例1〜4および後述する実施例5〜12の連続反応で得られた塩基性 金属塩のX線回折で求めた結晶粒子径を表1に示す。いずれも0.1μ以下であり、 細かな一次粒子径をもつ塩基性金属塩が生成されていることが分かる。
更にこれら複合酸化物の(Ni+Co)の3価の割合、BET比表面積、粉末 X線回折より得られるピーク強度比(003)/(104)、(006)/(101)、レー ザ式マイクロトラックで測定した二次粒子の平均径、及びSEM写真観察より得 た一次粒子径の長径等の物性を表2に示す。(Ni+Co)の3価の割合は試験例 2、BET比表面積は試験例3に従って測定を行った。
表2に示す結果から、一般式(I)においてMが硼素の場合、硼素の添加量(含有 量)が10mol%である比較例1の複合酸化物は3価の割合が低く、粉末X線回折 で得られるピーク強度比も(003)/(104)は1.2以下、(006)/(101)は0.1 3以上を示し結晶化度の低いものであることから、一般式(I)においてMが硼素 の場合、x2の数値が0<x2≦0.05のものがより好ましい。
その他の物性については、いずれの実施例、比較例1〜2とも湿式ー噴霧乾燥法 を用いて製造しているため同じような物性を示している。
更に、上記実施例1〜4及び比較例1〜3の各複合酸化物を用いて電池テスト(充 放電テスト)を試験例4に従って行い、初期放電容量(mAh/g)、100回目の 放電容量(mAh/g)及び100回目の減衰率(%)の結果を表3に示す。乾式法 で得られた比較例3と比較するといずれもサイクル特性の改善と初期放電容量の 改善が認められた。
表3より、硼素を含む実施例1〜4の複合酸化物は硼素を含まない比較例2と比較 していずれもサイクル特性の改善が認められ、更に硼素が0.05〜2mol%含有 している実施例1〜3の複合酸化物では初期放電容量の改善も認められる。
実施例5 Ni:Co:Alモル比=8:1:1となるように2.0mol/lの硝酸ニッケル と硝酸コバルト、硝酸アルミニウムの混合水溶液を調製した。この混合水溶液と 1.0mol/lの水酸化ナトリウム溶液とを反応pH8.0、反応温度25℃、強攪拌 の条件下で連続的に添加し、得られた反応液を濾過、水洗後、水に懸濁させるこ とにより、Ni0.80Co0.10Al0.10(OH)1.7(NO3)0.40スラリーを得た。こ の懸濁液のNi+Co+Alに対し原子比がLi/(Ni+Co+Al)=1.05 に相当する量の3.0mol/l水酸化リチウム水溶液を滴下し反応させた後、噴 霧乾燥を行った。得られた乾燥ゲルをアルミナ製ボートに入れ、管状炉 にて酸素雰囲気中で750℃で10時間焼成し、乳鉢で解砕し、LiNi0.797Co0.10 1 Al0.1022粉体を得た。
実施例6 Ni:Co:Alモル比=16:3:1となるように2.0mol/lの硝酸ニッケ ルと硝酸コバルト、硝酸アルミニウムの混合水溶液を調製した。この混合水溶液 と1.0mol/lの水酸化ナトリウム溶液とを反応pH8.0、反応温度25℃、強攪 拌の条件下で連続的に添加し、得られた反応液を濾過、水洗後、水に懸濁させる ことにより、Ni0.80Co0.15Al0.05(OH)1.7(NO3)0.35スラリーを得た。
この懸濁液の(Ni+Co+Al)に対し原子比がLi/(Ni+Co+Al) =1.05に相当する量の3.0mol/l水酸化リチウム水溶液を滴下し反応させた 後、噴霧乾燥を行った。得られた乾燥ゲルを静的圧縮機を用い2t/cm2の圧で成 形しφ14、厚み2mmのペレット状とした。これをアルミナ製ボートに入れ、管状 炉にて酸素雰囲気中で750℃で48時間焼成し、乳鉢で解砕し、LiNi0.785Co0.161 Al0.0542粉体を得た。
実施例7 Ni:Co:Alモル比=16:3:1となるように2.0mol/lの硝酸ニッケ ルと硝酸コバルト、硝酸アルミニウムの混合水溶液を調製した。この混合水溶液 と1.0mol/lの水酸化ナトリウム溶液とを反応pH8.0、反応温度25℃、強攪 拌の条件下で連続的に添加し、得られた反応液を濾過、水洗後、水に懸濁させる ことにより、Ni0.80Co0.15Al0.05(OH)1.7(NO3)0.35スラリーを得た。
この懸濁液の(Ni+Co+Al)に対し原子比がLi/(Ni+Co+Al) =1.05に相当する量の3.0mol/l水酸化リチウム水溶液を滴下し反応させた 後、凍結乾燥により乾燥を行った。得られた乾燥ゲルを静的圧縮機を用い2 t/cm2の圧で成形しφ14、厚み2mmのペレット状とした。
これをアルミナ製ボートに入れ、管状炉にて酸素雰囲気中で750℃で48時間焼 成し、乳鉢で解砕し、LiNi0.798Co0.151Al0.0512粉体を得た。
上記実施例5,6,7で得た複合酸化物の粉末X線回折図をそれぞれ図4,5,6に 示す。これより明らかなように、いずれの製法においても副生物のピークは認め られず、均一に固溶した層状構造を有していることが分かる。
更にこれら複合酸化物の(Ni+Co)の3価の割合、BET比表面積、粉末 X線回折より得られるピーク強度比(003)/(104)、(006)/(101)及び嵩 密度等の物性を表4、更に複合酸化物の一次粒子を示すSEM写真を実施例5につ いては図7(×30000倍)に、実施例6については図8(×30000倍)に、実施例7に ついては図9(×10000倍)に示す。なお、写真の下方に示した一線の単位はいず れも1μmである。(Ni+Co)の3価の割合は試験例2、BET比表面積は試験 例3に従って測定を行った。
表4から明らかなように(Ni+Co)の3価の割合はほぼ100%であ り、粉末X線回折で得られるピーク強度比も(003)/(104)は1.2以上、(006 )/(101)は0.13以下であり、充分に結晶化度の高いものである。更に、SE M写真よりプレス成形を施した実施例6及び7は一次粒子が充分に成長しており、 嵩密度も充分に高くなっていることが分かる。
実施例8 Ni:Co:Alモル比=790:165:25となるように2.0mol/lの硝酸ニ ッケルと硝酸コバルト、硝酸アルミニウムの混合水溶液を調製した。この混合水 溶液と1.0mol/lの水酸化ナトリウム溶液を反応pH10.0となるように、反 応温度25℃、強攪拌下で同時添加を行い連続反応を行った。得られた反応生成物 を濾過、水洗し(なお、一部を乾燥したものの組成は、Ni0.79Co0.165Al0 .025 (OH)1.845(NO3)014・0.2H2Oであった)、水に懸濁させた後、前記N i、Co、Alに対しモル比でNi:Co:Al:B=790:165:25:20に相当 する量の硼酸を添加し、スラリーとした。このスラリーにLi/(Ni+Co+ Al+B)=1.05のモル比に相当する量の3.0M水酸化リチウム水溶液を滴下し た後、噴霧乾燥を行った。得られた乾燥ゲルをアルミナ製ボートに入れ、管状炉 (山田電気製 TF−630型)にて酸素流通下で750℃、10時間焼成し、乳鉢で解 砕し、LiNi0.790Co0.165Al0.0250.0202粉体を得た。
実施例9 Ni:Co:Alモル比=790:140:50となるように2.0mol/lの硝酸ニ ッケルと硝酸コバルト、硝酸アルミニウムの混合水溶液を調製した。この混合水 溶液と1.0mol/lの水酸化ナトリウム溶液を反応pH9.75となるように、反 応温度25℃、強攪拌下で同時添加を行い連続 反応を行った。得られた反応生成物を濾過、水洗し(なお、一部を乾燥したもの の組成は、Ni0.79Co0.14Al0.05(OH)1.86(NO3)015・0.24H2Oであっ た)、水に懸濁させた後、前記Ni、Co、Alに対しモル比でNi:Co:A l:B=790:140:50:20に相当する量の硼酸を添加し、スラリーとした。この スラリーにLi/(Ni+Co+Al+B)=1.05のモル比に相当する量の3.0 M水酸化リチウム水溶液を滴下した後、噴霧乾燥を行った。得られた乾燥ゲルを アルミナ製ボートに入れ、管状炉(山田電気製 TF−630型)にて酸素流通下で77 5℃、10時間焼成し、乳鉢で解砕し、LiNi0.790Co0.140Al0.0500.0202 粉体を得た。
実施例10 Ni:Co:Alモル比=790:90:100となるように2.0mol/lの硝酸ニ ッケルと硝酸コバルト、硝酸アルミニウムの混合水溶液を調製した。この混合水 溶液と1.0mol/lの水酸化ナトリウム溶液を反応pH9.5となるように、反応 温度25℃、強攪拌下で同時添加を行い連続反応を行った。得られた反応生成物を 濾過、水洗し(なお、一部を乾燥したものの組成は、Ni0.79Co0.09Al0.10 (OH)1.92(NO3)014・0.18H2Oであった)、水に懸濁させた後、前記Ni、C o、Alに対しモル比でNi:Co:Al:B=790:90:100:20に相当する量 の硼酸を添加し、スラリーとした。このスラリーにLi/(Ni+Co+Al+ B)=1.05のモル比に相当する量の3.0M水酸化リチウム水溶液を滴下した後、 噴霧乾燥を行った。得られた乾燥ゲルをアルミナ製ボートに入れ、管状炉(山田 電気製 TF−630型)にて酸素流通下で775℃、10時間焼成し、乳鉢で解砕し、L iNi0.790Co0.090Al0.1000.0202粉体を得た。
実施例11 Ni:Co:Al:Feモル比=800:100:50:50となるように2.0mol/ lの硝酸ニッケルと硝酸コバルト、硝酸アルミニウム及び硝酸鉄の混合水溶液を 調製した。この混合水溶液と1.0mol/lの水酸化ナトリウム溶液を反応pH9 .5となるように、反応温度25℃、強攪拌下で同時添加を行い連続反応を行った。
得られた反応生成物を濾過、水洗し(なお、一部を乾燥したものの組成は、Ni0 .8 Co0.01Al0.05Fe0.05(OH)1.96(NO3)014・0.18H2Oであった)、水 に懸濁させスラリーとした。このスラリーにLi/(Ni+Co+Al+Fe) =1.05のモル比に相当する量の3.0M水酸化リチウム水溶液を滴下した後、噴霧 乾燥を行った。得られた乾燥ゲルをアルミナ製ボートに入れ、管状炉(山田電気 製 TF−630型)にて酸素流通下で725℃、15時間焼成し、乳鉢で解砕し、LiNi0.800 Co0.100Al0.050Fe0.0502粉体を得た。
実施例12 Ni:Co:Mnモル比=800:150:50なるように2.0mol/lの硝酸ニッ ケルと硝酸コバルト、硝酸マンガンの混合水溶液を調製した。この混合水溶液と 1.0mol/lの水酸化ナトリウム溶液を反応pH9.0となるように、反応温度25 ℃、強攪拌下で同時添加を行い連続反応を行った。得られた反応生成物を濾過、 水洗し、水に懸濁させスラリーとした。このスラリーにLi/(Ni+Co+M n)=1.05のモル比に相当する量の3.0M水酸化リチウム水溶液を滴下した後、 噴霧乾燥を行った。得られた乾燥ゲルをアルミナ製ボートに入れ、管状炉(山田 電気製 TF−630型)にて酸素流通下で750℃、10時間焼成し、乳鉢で解砕し、L iNi0.800Co0.150Mn0.0502粉体を得た。
比較例4(実施例5に対応する乾式法) 水酸化リチウム1.00モル、水酸化ニッケル0.80モル、水酸化コバルト0.10モル 及び水酸化アルミニウム0.01モルを乳鉢で充分乾式混合粉砕した後、直径14×厚 さ2mmの大きさにペレット化し、これを酸素雰囲気中で750℃、48時間焼成した。
焼成物の化学組成はLiNi0.80Co0.10Al0.102であった。
比較例5(実施例8に対応する乾式法) 水酸化リチウム1.00モル、水酸化ニッケル0.79モル、水酸化コバルト0.165モ ル、水酸化アルミニウム0.025モル及び硼酸0.02モルを乳鉢で充分乾式混合粉砕 した後、直径14×厚さ2mmの大きさにペレット化し、これを酸素雰囲気中で750℃ 、48時間焼成した。焼成物の化学組成はLiNi0.79Co0.165Al0.0250.02 2であった。
上記実施例8〜11で得た複合酸化物の粉末X線回折図を図10〜13に示す。これ より明らかなように、いずれの製法においても副生物のピークは認められず、均 一に固溶した層状構造を有していることが分かる。
更にこれら複合酸化物の(Ni+Co)の3価の割合、BET比表面積、粉末 X線回折より得られるピーク強度比(003)/(104)、(006)/(101)等の物 性を表5に示す。更に複合酸化物の一次粒子を示すSEM写真を実施例8について は図14(×1500倍)に、実施例10については図15(×1500倍)に、実施例11につ いては図16(×1500倍)に示す。なお、写真の下方に示した一線の単位はいずれ も10μmである。(Ni+Co)の3価の割合は試験例2、BET比表面積は試験 例3(Ni+Co)の3価の割合は試験例2、BET比表面積は試験例3に従って測 定を行った。
表5より明らかなように、いずれの実施例も請求項で示す範囲に充分に対応し た物性値を示しており、結晶化度の高いものが得られている。
更に、上記実施例5〜11及び比較例4〜5の各複合酸化物を用いて電池テスト( 充放電テスト)を試験例4に従って行い、初期放電容量(mAh/g)、100回目 の放電容量(mAh/g)及び100回目の減衰率(%)の結果を表6に示す。
表6より、リチウムニッケルコバルト複合酸化物のAl含量が増加し、Co含 量が低下すると表3の比較例2と比較し初期放電容量が低下する傾向が認められる 。硼素添加によりサイクル特性の改善が認められる。更に、Fe添加はAl添加 より初期放電容量を低下させる傾向が大きいことが分かる。しかし、本発明のも のは乾式法に係る比較例4,5と比較して初期放電容量、サイクル特性ともに優れ ている。
上記結果より、Al添加は高価なCoの使用量を減少させるという点で意味が あるが、電池性能の面からマイナスという結果となった。
しかし、リチウムイオン二次電池材料では、従来用いられた正極材料の熱安定 性に問題があったが、本発明で得られた複合酸化物では良好な熱安定性改善効果 を奏する。
正極材料の熱安定性の指標としては、充電状態の正極材料の示差熱測 定を行い、酸素脱離に伴う発熱温度を調べる方法がある。そこで、試験例5に従 って本発明で得られた複合酸化物の熱安定性について行った試験結果を表7に示 す。
表7より、比較例2と比較してリチウムニッケルコバルト複合酸化物にAlが置 換することにより酸素脱離に伴う発熱温度が上昇し、更に実施例6及び7のように 一次粒子が大きいものも発熱温度が上昇し、正極材料の熱安定性が改善されてい ることが分かる。
以上により、本発明のリチウムニッケルコバルト複合酸化物、特にAl及び/ 又はBを完全に固溶したものは電池性能として満足する二次電池用正極活物質で ある。
試験例1 シェーラー法: 結晶に歪みがなくて結晶子の大きさが均一で、回折線の幅の拡がりが結晶子の 大きさだけに基づくと仮定し、下記式(1)より結晶子の大きさを求める方法であ る。
hkl=(kλ)/(βcosθ) …… (式1) 式中、Dhkl(オングストローム)は、(hkl)面に垂直方向の結晶子の大 きさ、λ(オングストローム)はX線の波長、β(rad)は回折線幅、θ(° )は回折角、kは定数を示す。
試験例2 (Ni+Co)の3価の測定法: (Ni+Co)の3価の割合とは、全(Ni+Co)に対する3価の(Ni+C o)の割合を百分率で示した値であり、酸化還元滴定により測定する。試料0.2 gを0.25MのFeSO4−3.6N硫酸溶液に溶解し、濃燐酸2mlを加えた後、0.1N の過マンガン酸カリウムで滴定する。同様に空試験を行い、下記式より試料中の 3価の(Ni+Co)の%を求める。式においてfは0.1Nの過マンガン酸カリウ ム溶液のファクター、X0は空試験滴定量(ml)、Xは滴定量(ml)、mは試料 量(g)、AはNiの含量(%)、BはCoの含量(%)である。
試料中の(Ni+Co)の3価の割合(%)= 10f(X0−X)/m(A/5.871+B/5.893) 試験例3 BET比表面積測定法: 試料を窒素30%、ヘリウム70%の混合ガスの流動下において加熱脱気し、MO NOSORB〔ユアサアイオニクス(株)製〕を用いてBET1点連 続流動法により測定する。
試験例4 電池テスト法: リチウムニッケル複合酸化物を88重量%、導電剤としてアセチレンブラック6. 0重量%、結合剤としてテトラフルオロエチレン6.0重量%の混合比で混合し、次 いでステンレスメッシュ上に圧縮成形を行い直径18mmのペレットを得、200℃で2 時間以上乾燥し正極材料とする。負極材料には圧延リチウム金属シートをステン レス基盤上に圧着したものを用い、隔膜にはポリプロピレン製多孔質膜(セルガ ード2502)とグラスフィルターろ紙を用いる。電解液には1M LiClO4を溶 解させたエチレンカーボネート/ジメチルメトキシエタン(1:1)を用い、試験 用セル(半解放型セル)の組立から仕上げまでをアルゴン置換したドライボック ス中で行う。このリチウム電池を0.4mA/cm2の定電流密度にて、3.0〜4.3Vの 間で充放電を行う。
試験例5 熱安定性試験法: 試験例3で示される方法で電池を作製し、0.4mA/cm2の定電流密度にて4.4 Vまで充電を行う。充電終了後、電池を分解し正極を取り出し、正極を電解液で 洗浄後、真空乾燥を行う。乾燥した正極材料を示差熱測定装置にて窒素流通下、 昇温速度2℃/分で測定を行い酸素脱離に伴う発熱ピーク温度を測定する。
産業上の利用可能性 以上説明したように本発明によれば、一般式(I) LiyNi1-xCox1x22 (I) で示される新規な複合酸化物であって、充放電サイクル特性に優れ、サイクル数 の増加によっても従来のLiNiO2に匹敵し得る高い電池容量を維持し、高温時 でのサイクル性(安定性)の改善された二次電池用正極活物質を提供することが できる。また、Mで示される金属の導入により高価なCoの使用量を最小限に抑 えることができるので、コスト的に有利である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 深美 忠司 富山県中新川郡上市町横法音寺55番地 富 士化学工業株式会社内 (注)この公表は、国際事務局(WIPO)により国際公開された公報を基に作 成したものである。 なおこの公表に係る日本語特許出願(日本語実用新案登録出願)の国際公開の 効果は、特許法第184条の10第1項(実用新案法第48条の13第2項)に より生ずるものであり、本掲載とは関係ありません。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.一般式(I) LiyNi1-xCox1x22 (I) (式中、MはAl、Fe、Mn及びBからなる群より選択された少なくとも1種 であり、yは0.9≦y≦1.3、xは0<x≦0.5、x1は0<x1<0.5、x1+x2=x 、MがAl、Fe及びMnの中の少なくとも1種の場合は、x2は0<x2≦0.3、 MがBの場合は、x2は0<x2<0.1、MがBとAl、Fe及びMnの中の少なと も1種の場合は、x2は0<x2<0.3を示すが、Bの占める割合は0から0.1の範囲 である)で示される複合酸化物。 2.一般式(I) LiyNi1-xCox1x22 (I) (式中、MはAl、Fe、Mn及びBからなる群より選択された少なくとも1種 であり、yは0.9≦y≦1.3、xは0<x≦0.5、x1は0<x1<0.5、x1+x2=x 、MがAl、Fe及びMnの中の少なくとも1種の場合は、x2は0<x2≦0.3、 MがBの場合は、x2は0<x2<0.1、MがBとAl、Fe及びMnの中の少なと も1種の場合は、x2は0<x2<0.3を示すが、Bの占める割合は0から0.1の範囲 である)で示され、X線回折のミラー指数hklにおける(003)面及び(104) 面での回折ピーク比(003)/(104)が1.2以上、(006)面及び(101)面での 回折ピーク比(006)/(101)が0.13以下、全(Ni+Co)に対する3価の( Ni+Co)の割合が99%以上、BET比表面積が0.1〜2m2/g、平均二次粒径 Dが5〜100μm、粒度分布の10%が0.5D以上、90 %が2D以下、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して表面に凸凹のある球状二 次粒子であって、この球状二次粒子を構成する一次粒子径が、SEMで観察して 長径の粒径が0.2〜30μmの範囲内にあり、且つその長径の平均粒径が0.3〜30μm であることを特徴とする複合酸化物。 3.一般式(I) LiyNi1-xCox1x22 (I) (式中、MはAl、Fe、Mn及びBからなる群より選択された少なくとも1種 であり、yは0.9≦y≦1.3、xは0<x≦0.5、x1は0<x1<0.5、x1+x2=x 、MがAl、Fe及びMnの中の少なくとも1種の場合は、x2は0<x2≦0.3、 MがBの場合は、x2は0<x2<0.1、MがBとAl、Fe及びMnの中の少なと も1種の場合は、x2は0<x2<0.3を示すが、Bの占める割合は0から0.1の範囲 である)で示され、X線回折のミラー指数hklにおける(003)面及び(104) 面での回折ピーク比(003)/(104)が1.2以上、(006)面及び(101)面での 回折ピーク比(006)/(101)が0.13以下、全(Ni+Co)に対する3価の( Ni+Co)の割合が99%以上、BET比表面積が0.1〜2m2/g、走査型電子顕 微鏡(SEM)で観察した一次粒子の平均長径が1.0〜30μmであることを特徴と する複合酸化物。 4.前記MがAl及びBからなる群から選択された少なくとも1種である請求 項1〜3記載の複合酸化物。 5.一般式(I) LiyNi1-xCox1x22 (I) (式中、MはAl、Fe及びMnからなる群より選択された少なくとも1種を示 し、xは0<x≦0.5、x1は0<x1<0.5、x1+x2=x、x2は0<x2<0.5、y は0.9≦y≦1.3を示す)で示される複合酸化物の製造において、一般式(II) Ni1-xCOx1x2(OH)2(1-x+x1)+3x2-nz(An-)z・mH2O (II) 〔式中、MはAl、Fe及びMnからなる群より選択された少なくとも1種であ り、xは0<x≦0.5、x1は0<x1<0.5、x2は0<x2≦0.3、x1+x2=x、An- はn価(n=1〜3)のアニオン、z及びmはそれぞれ、0.03≦z≦0.3、0≦m <2の範囲を満足する正の数を示す〕で示される塩基性金属塩にyで示すLi原 子モル数に相当する量のリチウム化合物を水媒体中で添加し、得られたスラリー を噴霧又は凍結乾燥後、酸化雰囲気下で約600℃〜900℃、約4時間以上焼成する ことを特徴とする複合酸化物の製造方法。 6.一般式(I) LiyNi1-xCox1x22 (I) (式中、MはBを示し、xは0<x≦0.5、x1は0<x1<0.5、x1+x2=x、x2 は0<x2<0.1、yは0.9≦y≦1.3を示す)で示される複合酸化物の製造におい て、一般式(III) Ni1-xCox1(OH)2(1-x+x1)-nz(An-)z・mH2O (III) 〔式中、xは0<x≦0.5、x1は0<x1<0.5、An-はn価(n=1〜3)のアニオ ン、z及びmはそれぞれ、0.03≦z≦0.3、0≦m<2の範囲を満足する正の数を 示す〕で示される塩基性金属塩にx2モル%の硼素を含有する硼素化合物〔x2は 0<x2<0.1、上記x、x1とx2は、x2=x−x1の関係が成立する〕を水媒体 中で添加し、yで示す Li原子モル数に相当する量のリチウム化合物を水媒体中で添加し、得られたス ラリーを噴霧又は凍結乾燥後、酸化雰囲気下で約600℃〜900℃、約4時間以上で 焼成することを特徴とする複合酸化物の製造方法。 7.一般式(I) LiyNi1-xCox1x22 (I) (式中、MはBとAl、Fe及びMnの中の少なくとも1種との組み合わせを示 し、xは0<x≦0.5、x1は0<x1<0.5、x1+x2=x、x2は0<x2<0.5、y は0.9≦y≦1.3を示す)で示される複合酸化物の製造において、一般式(IV) Ni1-xCox1x3(OH)2(1-x+x1)+3x3-nz(An-)z・mH2O (IV) 〔式中、NはAl、Fe及びMnの中の少なくとも1種であり、この場合の一般 式(I)のMはBとNを含みBの含量をx4とすると、xは0<x≦0.5、x1は0< x1<0.5、x3は0<x3≦0.3−x4、x1+x3+x4=x、An-はn価(n=1〜3 )のアニオン、z及びmはそれぞれ、0.03≦z≦0.3、0≦m<2の範囲を満足す る正の数を示す〕で示される塩基性金属塩にx4モル%の硼素を含有する硼素化 合物〔x4は0<x4<0.1、x4、x3、x2とはx4+x3=x2の関係が成立する〕 とyで示すLi原子モル数に相当する量のリチウム化合物を水媒体中で添加し、 得られたスラリーを噴霧又は凍結乾燥後、酸化雰囲気下で約600℃〜900℃、約4 時間以上で焼成することを特徴とする複合酸化物の製造方法。 8.一般式(I) LiyNi1-xCox1Mx22 (I) (式中、MはAl、Fe及びMnからなる群より選択された少なくとも 1種を示し、xは0<x≦0.5、x1は0<x1<0.5、x1+x2=x、x2は0<x2< 0.5、yは0.9≦y≦1.3を示す)で示される複合酸化物の製造において、一般式( II) Ni1-xCox1x2(OH)2(1-x+x1)+3x2-nz(An-)z・mH2O (II) 〔式中、MはAl、Fe及びMnからなる群より選択された少なくとも1種であ り、xは0<x≦0.5、x1は0<x1<0.5、x2は0<x2≦0.3、x1+x2=x、An- はn価(n=1〜3)のアニオン、z及びmはそれぞれ、0.03≦z≦0.3、0≦m <2の範囲を満足する正の数を示す〕で示される塩基性金属塩にyで示すLi原 子モル数に相当する量のリチウム化合物を水媒体中で添加し、得られたスラリー を噴霧又は凍結乾燥後、乾燥物をプレス成形後、酸化雰囲気下で約600℃〜900℃ 、約4時間以上焼成することを特徴とする複合酸化物の製造方法。 9.一般式(I) LiyNi1-xCox1x22 (I) (式中、MはBを示し、xは0<x≦0.5、x1は0<x1<0.5、x1+x2=x、x2 は0<x2<0.1、yは0.9≦y≦1.3を示す)で示される複合酸化物の製造におい て、一般式(III) Ni1-xCox1(OH)2(1-x+x1)-nz(An-)z・mH2O (III) 〔式中、xは0<x≦0.5、x1は0<x1<0.5、An-はn価(n=1〜3)のアニオ ン、z及びmはそれぞれ、0.03≦z≦0.3、0≦m<2の範囲を満足する正の数を 示す〕で示される塩基性金属塩にx2モル%の硼素を含有する硼素化合物〔x2は 0<x2<0.1上記x、x1、とx2は、x2=x−x1の関係が成立する〕を水媒体 中で添加し、yで示すLi原子モル数に相当する量のリチウム化合物を水媒体中 で添加し、得 られたスラリーを噴霧又は凍結乾燥後、乾燥物をプレス成形後、酸化雰囲気下で 約600℃〜900℃、約4時間以上焼成することを特徴とする複合酸化物の製造方法 。 10.一般式(I) LiyNi1-xCox1x22 (I) (式中、MはBとAl、Fe及びMnの中の少なくとも1種との組み合わせを示 し、xは0<x≦0.5、x1は0<x1<0.5、x1+x2=x、x2は0<x2<0.5、y は0.9≦y≦1.3を示す)で示される複合酸化物の製造において、一般式(IV) Ni1-xCox1x3(OH)2(1-x+x1)+3x3-nz(An-)z・mH2O (IV) 〔式中、NはAl、Fe及びMnの中の少なくとも1種であり、この場合の一般 式(I)のMはBとNを含みBの含量をx4とすると、xは0<x≦0.5、x1は0< x1<0.5、x3は0<x3≦0.3−x4、x1+x3+x4=x、An-はn価(n=1〜3 )のアニオン、z及びmはそれぞれ、0.03≦z≦0.3、0≦m<2の範囲を満足す る正の数を示す〕で示される塩基性金属塩にx4モル%の硼素を含有する硼素化 合物〔x4は0<x4<0.1、x4、x3、x2とはx4+x3=x2の関係が成立する〕 とyで示すLi原子モル数に相当する量のリチウム化合物を水媒体中で添加し、 得られたスラリーを噴霧又は凍結乾燥後、乾燥物をプレス成形後、酸化雰囲気下 で約600℃〜900℃、約4時間以上焼成することを特徴とする複合酸化物の製造方 法。 11.一般式(I) LiyNi1-xCox1x22 (I) (式中、MはAl、Fe及びMnからなる群より選択された少なくとも1種を示 し、xは0<x≦0.5、x1は0<x1<0.5、x1+x2=x、x2は0<x2<0.5、y は0.9≦y≦1.3を示す)で示される複合酸化物の製造において、一般式(II) Ni1-xCOx1x2(OH)2(1-x+x1)+3x2-nz(An-)z・mH2O (II) 〔式中、MはAl、Fe及びMnからなる群より選択された少なくとも1種であ り、xは0<x≦0.5、x1は0<x1<0.5、x2は0<x2≦0.3、x1+x2=x、An- はn価(n=1〜3)のアニオン、z及びmはそれぞれ、0.03≦z≦0.3、0≦m <2の範囲を満足する正の数を示す〕で示される塩基性金属塩にyで示すLi原 子モル数に相当する量のリチウム化合物を水媒体中で添加し、得られたスラリー を噴霧又は凍結乾燥後、乾燥物をそのまま酸化雰囲気下で約600℃〜900℃、約0. 5時間以上で予備焼成し、次いで得られた予備焼成品をプレス成形し、更に酸化 雰囲気下で約600℃〜900℃、約1時間以上焼成することを特徴とする複合酸化物 の製造方法。 12.一般式(I) LiyNi1-xCox1x22 (I) (式中、MはBを示し、xは0<x≦0.5、x1は0<x1<0.5、x1+x2=x、x2 は0<x2<0.1、yは0.9≦y≦1.3を示す)で示される複合酸化物の製造におい て、一般式(III) Ni1-xCOx1(OH)2(1-x+x1)-nz(An-)z・mH2O (III) 〔式中、xは0<x≦0.5、x1は0<x1<0.5、An-はn価(n=1〜3)のアニオ ン、z及びmはそれぞれ、0.03≦z≦0.3、0≦m<2の範囲を満足する正の数を 示す〕で示される塩基性金属塩にx2モル% の硼素を含有する硼素化合物〔x2は0<x2<0.1上記x、x1、とx2は、x2= x−x1の関係が成立する〕を水媒体中で添加し、yで示すLi原子モル数に相 当する量のリチウム化合物を水媒体中で添加し、得られたスラリーを噴霧又は凍 結乾燥後、乾燥物をそのまま酸化雰囲気下で約600℃〜900℃、約0.5時間以上で 予備焼成し、次いで得られた予備焼成品をプレス成形し、更に酸化雰囲気下で約 600℃〜900℃、約1時間以上焼成することを特徴とする複合酸化物の製造方法。 13.一般式(I) LiyNi1-xCox1x22 (I) (式中、MはBとAl、Fe及びMnの中の少なくとも1種との組み合わせを示 し、xは0<x≦0.5、x1は0<x1<0.5、x1+x2=x、x2は0<x2<0.5、y は0.9≦y≦1.3を示す)で示される複合酸化物の製造において、一般式(IV) Ni1-xCOx1x3(OH)2(1-x+x1)+3x3-nz(An-)z・mH2O (IV) 〔式中、NはAl、Fe及びMnの中の少なくとも1種であり、この場合の一般 式(I)のMはBとNを含みBの含量をx4とすると、xは0<x≦0.5、x1は0< x1<0.5、x3は0<x3≦0.3−x4、x1+x3+x4=x、An-はn価(n=1〜3 )のアニオン、z及びmはそれぞれ、0.03≦z≦0.3、0≦m<2の範囲を満足す る正の数を示す〕で示される塩基性金属塩にx4モル%の硼素を含有する硼素化 合物〔x4は0<x4<0.1、x4、x3、x2とはx4+x3=x2の関係が成立する〕 とyで示すLi原子モル数に相当する量のリチウム化合物を水媒体中で添加し、 得られたスラリーを噴霧又は凍結乾後、乾燥物をそのまま酸化雰囲気下で約600 ℃〜900℃、約0.5時間以上で予備焼成し、次いで得られた予備 焼成品をプレス成形し、更に酸化雰囲気下で約600℃〜900℃、約1時間以上焼成 することを特徴とする複合酸化物の製造方法。 14.請求項1、2、3又は4記載の複合酸化物を有効成分として含有することを特 徴とする二次電池用正極活物質。
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