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JP7782745B1 - 重合性液晶性化合物の製造方法、重合性液晶性化合物の使用 - Google Patents

重合性液晶性化合物の製造方法、重合性液晶性化合物の使用

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JP7782745B1
JP7782745B1 JP2025069100A JP2025069100A JP7782745B1 JP 7782745 B1 JP7782745 B1 JP 7782745B1 JP 2025069100 A JP2025069100 A JP 2025069100A JP 2025069100 A JP2025069100 A JP 2025069100A JP 7782745 B1 JP7782745 B1 JP 7782745B1
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liquid crystal
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弘毅 佐郷
章博 高田
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JNC Corp
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Abstract

【課題】重合性液晶性化合物を安全かつ安定的に製造する方法を提供すること。
【解決手段】製造方法は、下記重合性液晶性化合物(1)を製造する方法であって、

下記化合物(1A)から下記化合物(1B)を得る第1段のステップと、

下記化合物(1C)と前記化合物(1B)から前記重合性液晶性化合物(1)を得る第2段のステップと、を備える。

【選択図】なし

Description

本開示は、5Gや6Gにむけた高周波を扱う電子部品や電子基板に用いられる低誘電樹脂を形成する重合性液晶性化合物を安全かつ安定的に製造する方法に関する。
近年、通信機器の5G化さらにはbeyond5Gや6G化に伴い、電子基板上での電気信号の高周波化や、アンテナが送受信する電波も高周波化しており、信号処理回路基板やアンテナ基板による信号の損失が問題になっている。また、半導体チップ内部のシリコンチップや配線材に接する絶縁部材においても、信号の伝達速度の高速化を阻害しない材料が望まれている。そのため、基板や絶縁材料に用いられる樹脂材料の低誘電率化、低誘電正接が求められており、従来のポリイミドやエポキシ樹脂に代わり、液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、シクロオレフィンポリマー(COP)、フッ素樹脂(PTFE)などの樹脂が使用され始めている。
低誘電基板は比誘電率が3.0以下、高熱伝導フィラーを含むものでは比誘電率3.5以下の材料がラインアップされており、これらよりも比誘電率が低い材料の開発が求められている。(非特許文献1)
ただし、現在の高周波基板用材料は、熱可塑性樹脂が主流であり、高温で成形や接着をおこなう必要があったり、樹脂同士や電極となる銅箔との接着性が良好でなかったりなど、使いにくい面も多い。特許文献1には、液晶ポリマーの分子構造を検討することにより、液晶ポリマーをより低誘電率化させるための検討がなされている。ただし、液晶ポリマーは融点が高く350℃以上の加工温度が必要で熱ラミネートや銅箔との接着などが難しい。
特許文献2では、有機溶媒への溶解性を高くすることによりワニス化するための検討がなされている。PPE樹脂の分子構造を検討することにより、PPE樹脂を塗布法で製膜できるようになり、絶縁ワニスに使用できるようになった。しかしながら、溶解力の高い有機溶媒を使用する必要があり、誘電特性以外の特性を調整しようとしてもポリマー設計の自由度が低いなど問題点も多い。そのため、絶縁被覆用ワニスのように塗布し、簡便に硬化できる低誘電率樹脂の開発が望まれている。
半導体用絶縁材料に関して、特許文献3には、架橋を増やした低誘電率のエポキシ樹脂が示されている。このように、現在主流の低誘電エポキシ化合物は、多官能で架橋点を多く有し、その架橋により誘電損失の原因となる分子振動を抑制する設計が多いが、それでも低誘電率化は十分ではなく、エポキシ樹脂の使用自体が他の樹脂に置き換わる事例も多い。
また、通信量の増加に伴い、データ処理用半導体チップの発熱量も増大していたり、発熱量の大きいパワー半導体チップをアンテナ基板上に実装したりするために、電子基板の放熱性も求められつつあることから、高熱伝導率を有する樹脂の開発も要求されている。特許文献4には、直線性の高い重合性液晶性化合物を配向させ硬化すると、通常の熱硬化樹脂よりも配向方向に高熱伝導になることが記され、特許文献5には、重合性液晶性化合物を放熱フィラーと複合化することにより、さらに高熱伝導な熱硬化性樹脂材料が形成可能であることが記されている。
特許文献6には、低誘電率で、さらに高熱伝導性も併せ持つ重合性液晶を用いた樹脂形成用の組成物が記載されている。高熱伝導化を重視しており、熱伝導フィラー等の無機材料との親和性や接着性を重視しているため、分子内にエーテル結合を複数個含む構造になっている。
非特許文献2および3には、チタンシリカライト-1(TS-1)の特徴、酸化反応のメカニズム、および有機合成での一般的な使用例が記載されている。しかしながら、ハロゲン化アルケニルに適用された例は無い。
非特許文献4を含め、多数の文献にメタクロロ過安息香酸(mCPBA)を用いてハロゲン化アルケニルからハロゲン化アルキルエポキサイドを合成した例が記載されている。しかし、メタクロロ過安息香酸は高価で、かつ環境負荷の高いクロル系の溶媒を使用しているため、製造には適さない。
特開2019-189734号公報 特開2009-67894号公報 特許第7499994号公報 特開2006-265527号公報 国際公開第2015/170744号 国際公開第2022/092063号
福永浩之/浜戸喜之、「高速/高周波基板の基礎と選び方」、RFワールド、CQ出版社、2017、No.40、p.97-111 iScience 27、109064、March 15、2024 Eupopean Journal of Organic Chemistry、"Chemoselective Epoxidation of Allyloxybenzene by Hydrogen Peroxide Over MFI-Type Titanosilicate"、2020、p.2260-2263 Macromolecues、"Photoinduced Alignment of Ferroelectric Liquid Crystals Using Azobenzene Polymer Networks of Polyethers and Polyepoxides"、2003、vol.36、No.24
本開示が解決しようとする課題は、重合性液晶性化合物を安全かつ安定的に製造する方法を実現することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本開示に係る製造方法を用いることによって、低誘電率樹脂形成用組成物などに用いられる後述の重合性液晶性化合物(1)を安全かつ安定的に、高収率かつ高純度で、環境負荷が少なく、また低コストで製造することができることを見出した。
本開示に係る製造方法で得られる重合性液晶性化合物(1)を含有する組成物は、硬化後に高い耐熱性、および高周波数領域における低誘電率・低誘電正接、ならびに高い放熱性を示す。これにより、硬化性樹脂組成物である低誘電率樹脂形成用組成物を実現できた。本開示に係る低誘電率樹脂形成用組成物を用いることで、高周波数領域における次世代通信機器およびレーダーなどの用途に好適な材料を提供することができる。
本開示には、以下の態様が含まれる。
[1]
下記重合性液晶性化合物(1)を製造する方法であって、



下記化合物(1A)から下記化合物(1B)を得る第1段のステップと、



下記化合物(1C)と前記化合物(1B)から前記重合性液晶性化合物(1)を得る第2段のステップと、を備え、



化合物(1A)および化合物(1B)中、
nは、2~12の整数であり、
Xは、ハロゲンであり、
化合物(1C)および重合性液晶性化合物(1)中、
は、独立して、炭素数1~4のアルキルまたはアルコキシであり、
sは、独立して、0~4の整数であり、sが2以上の場合は、Rが同一でも異なっていてもよく、
nは、2~12の整数であり、
pは、0または1である、
重合性液晶性化合物の製造方法。
[2]
前記第1段は、過酸化物と触媒を使用して、前記化合物(1A)から、前記化合物(1B)を得る、
前記[1]に記載の製造方法。
[3]
前記過酸化物は、過酸化水素または過酢酸を含み、
前記触媒は、チタンシリカライト-1(TS-1)を含む、
前記[2]に記載の製造方法。
[4]
前記第1段において、使用される溶媒は、酢酸エチルを含む、
前記[2]または前記[3]に記載の製造方法。
[5]
前記第1段において、反応温度を0~40℃とする、
前記[2]~[4]のいずれか1つに記載の製造方法。
[6]
前記第2段は、前記化合物(1B)と塩基を使用して、前記化合物(1C)から、前記重合性液晶性化合物(1)を得る、
前記[1]~[5]のいずれか1つに記載の製造方法。
[7]
前記塩基は、炭酸カリウム、炭酸セシウム、またはリン酸三カリウムを含む、
前記[6]に記載の製造方法。
[8]
前記塩基は、リン酸三カリウムを含む、
前記[7]に記載の製造方法。
[9]
前記第2段において、反応温度を0~40℃とする、
前記[6]~[8]のいずれか1つに記載の製造方法。
[10]
前記重合性液晶性化合物(1)が、以下の化合物(1-1-1)~(1-1-6)から選ばれる化合物であり、



化合物(1-1-1)~(1-1-6)中、
は、独立して、メチルまたはメトキシであり、
nは、2~12の整数である、
前記[1]~[9]のいずれか1つに記載の製造方法。
[11]
前記重合性液晶性化合物(1)が、以下の化合物(1-2-1)~(1-2-6)から選ばれる化合物であり、



化合物(1-2-1)~(1-2-6)中、
は、独立して、メチルまたはメトキシであり、
sは、0~4の整数であり、sが2以上の場合はRが同一でも異なっていてもよく、
nは、2~12の整数である、
前記[1]~[9]のいずれか1つに記載の製造方法。
[12]
前記[1]~[11]のいずれか1つに記載の製造方法により製造された重合性液晶性化合物の使用。
本開示により、重合性液晶性化合物を安全かつ安定的に製造する方法を提供することができる。
図1は、[実施例]にて合成した化合物を含む組成物において、誘電特性測定時に、融解した組成物の厚みを制御し、融液が外部に流出するのを防ぐために使用する目的で作製したポリイミドフィルム製簡易金型を示す図である。
以下、一実施の形態として、本開示に係る重合性液晶性化合物(1)を製造する方法について説明する。さらに本開示に係る製造方法で得られる重合性液晶性化合物(1)(化合物(1)ともいう。)、重合性液晶性化合物(1)から選ばれる少なくとも1種を含有する低誘電率樹脂形成用組成物、該組成物を熱または紫外線で硬化させた低誘電率樹脂の高分子成形体である低誘電率樹脂絶縁膜、低誘電率樹脂フィルム、低誘電率樹脂シート、低誘電率樹脂部品、および該高分子成形体を用いた電子機器について詳細に説明する。
本明細書における用語の使い方は以下のとおりである。
「液晶性化合物」は、ネマチック相やスメクチック相などの液晶相を有する化合物、および、液晶相を有しないが誘電率異方性、屈折率異方性、磁化率異方性などのような液晶に特有の物性を有し、液晶組成物の成分として有用な化合物の総称である。液晶温度範囲では配向処理が容易になり、熱可塑性樹脂における延伸処理のように分子の配向を制御することができる。
「化合物(1)」は、前述の式(1)で表される重合性液晶性化合物を意味し、また、式(1)で表される化合物の少なくとも1種を意味することもある。なお、「化合物(1-1)」などについても同様であり、化合物(1-1)、化合物(1-2)、および化合物(1-3)などを総称して「化合物(1)」と表すこともある。1つの化合物(1)において、2つ以上のRは同一でも異なっていてもよい。複数の化合物(1)がRを有するとき、任意の2つのRは同一でも異なっていてもよい。この規則は、他の記号、基などにも適用される。
「重合体(1)」は、該化合物(1)を重合させることによって得られる重合体の少なくとも1種を意味する。なお、「化合物(1)」と同様に、化合物(1-1)、化合物(1-2)、および化合物(1-3)などのそれぞれの重合体を総称して「重合体(1)」と表すこともある。
「組成物(1)」は、該化合物(1)から選ばれる少なくとも1種を含有する組成物、すなわち本開示に係る低誘電率樹脂形成用組成物を意味する。
1)化合物(1)
1-1)化合物(1)の製造方法
化合物(1)は、下記の第1段および第2段を備える製造方法を用いることにより、安全かつ安定的に低コストで合成できる。出発物質は、市販されている、もしくは一般的な有機合成化学における公知の手法を組み合わせることにより合成できる。有機合成化学に関しては、たとえば、ホーベン-ワイル(Houben-Weyl, Methods of Organic Chemistry, Georg Thieme Verlag, Stuttgart)、オーガニック・シンセシーズ(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc.)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons Inc.)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)の成書に記載されている。
第1段の反応式は以下のとおりである。



化合物(1A)および化合物(1B)中、nは2~12の整数であり、Xはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタチン)である。化合物(1A)、溶媒、過酸化物、および触媒としてチタンシリカライト-1(TS-1)の混合物を0~60℃の温度範囲で数時間から数日攪拌することにより、化合物(1B)を高い収率で得ることができる。
出発原料の化合物(1A)は市販されている、もしくは一般的な有機合成化学の手法で準備できる。
溶媒は、メタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、アセトニトリル、もしくはこれらの混合溶媒を使用してもよい。メタノールと酢酸エチルの混合溶媒が好ましい。
過酸化物は、過酸化水素もしくは過酢酸であってもよい。コストの面から過酸化水素がより好ましい。
触媒量は、化合物(1A)に対して1~100wt%であってもよく、触媒量が多いほど反応速度が速くなる。コストの面から触媒量は、3~50wt%が好ましい。
過酸化物量は、化合物(1A)と過酸化物のモル比が1:1.0~5.0であってもよく、反応物の反応速度、後処理の簡便性およびコストの面からモル比が1:1.1~2.0であることが好ましい。
反応温度は、好ましくは0~40℃である。この温度範囲では特に反応速度が速く、化合物(1B)への反応選択率が向上する。
第2段の反応式は以下のとおりである。



化合物(1C)および化合物(1)中、Rは炭素数1~4のアルキルまたはアルコキシであり、sは0~4の整数であり、pは0または1であり、nは2~12の整数である。またsが2以上の場合は、Rが同一でも異なっていてもよい。
化合物(1C)、化合物(1B)、塩基(base)、および溶媒(solv.)の混合物を0~100℃の温度範囲で数時間から数日攪拌することにより、化合物(1)を高い反応選択率で得ることができる。
出発原料の化合物(1C)は市販されている、もしくは一般的な有機合成化学の手法により準備できる。
塩基は、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム(特にリン酸三カリウム)、もしくはリン酸ナトリウムであってもよい。反応選択率の点から塩基は、リン酸カリウムが好ましい。
溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン(THF)、N,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメトキシメチルエーテル、もしくはこれらの混合溶媒を使用してもよい。メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン(THF)、およびN,N’-ジメチルホルムアミドが溶解性の点からより好ましい。
必要に応じて、たとえばテトラブチルアンモニウムブロマイドのような四級アンモニウムのハロゲン塩、またはクラウンエーテルなどの環状エーテル等を触媒として添加してもよい。
塩基量は、化合物(1C)と塩基のモル比が1:2.1~5.0であってもよく、反応物の反応速度、後処理の簡便性およびコストの面からモル比が1:2.1~3.0であることが好ましい。
反応温度は、0~40℃であってもよい。好ましくは20~40℃である。この温度範囲では反応系の相溶性が高く、反応速度が速く、反応選択率が向上する。
1-2)化合物(1)の特徴
本開示に係る製造方法で得られる重合性液晶性化合物(1)(化合物(1)ともいう。)は、液晶骨格(棒状のメソゲン骨格)と重合性基を有し、好ましくは共役や極性基が少なく、分子の直線性や対称性が高く、高い重合反応性、広い液晶相温度範囲、良好な混和性などを有する。この化合物(1)は他の液晶性化合物や重合性化合物などと混合するとき、均一になりやすい。
加えて、化合物(1)は、分子全体の極性が低く、低誘電・低誘電損失を示すことから、化合物(1)を使用した低誘電率樹脂形成用組成物を熱または紫外線で硬化させた高分子成形体は、低誘電率樹脂絶縁膜、低誘電率樹脂フィルム、低誘電率樹脂シートなどの低誘電損失性が要求される用途に好適な材料として用いることができる。
化合物(1)の融点は、成形・硬化温度の観点から好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、さらに好ましくは160℃以下、または化合物(1)のネマチック相から液体への転移温度は、成形・硬化温度の観点から好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、さらに好ましくは160℃以下である。
化合物(1)は、環構造、側方基、結合基、および末端の重合性基などから構成されている。化合物(1)の環構造、側方基(R)、結合基(-(CH)-)を適宜選択することによって、液晶相発現領域などの物性を任意に調整することができる。nは0~12の整数である。
末端基、環構造、側方基、および結合基の種類が、化合物(1)の物性に与える効果、ならびにこれらの好ましい例を以下に説明する。なお、環構造、結合基、および末端基を、それぞれ「環構造A」、「結合基Z」、および「末端基R」と総称して表すこともある。
<環構造A>
化合物(1)の環構造は独立して1,4-フェニレンであり、この1,4-フェニレンの環において、少なくとも1つの水素は炭素数1~4のアルキルまたはアルコキシで置き換えられてもよい。
化合物(1)の「1,4-フェニレン環上の少なくとも1つの水素が炭素数1~4のアルキルで置き換えられていてもよい」における炭素数1~4のアルキルの好ましい例としてはメチルまたはエチルである。化合物(1)は、融点が低下し、溶解性が高く、分子分極率が小さくなるため比誘電率が低く、分子運動が抑制されるため誘電損失が低く、配向秩序パラメーター(orientational order parameter)および磁化異方性が大きい。
少なくとも2つの環が1,4-フェニレンまたは上述の置換1,4-フェニレンの場合、化合物(1)は、液晶相の温度範囲が広く、透明点が高い。
化合物(1)の環構造が1,4-フェニレン、または3,5-ジメチル-フェニレンである場合、化合物(1)の製造においてコスト面から好ましい。
化合物(1)の環構造の好ましい例は、1,4-フェニレン、2-メチル-1,4-フェニレン、2,3-ジメチル-1,4-フェニレン、2,5-ジメチル-1,4-フェニレン、および、2,6-ジメチル-1,4-フェニレンである。さらに好ましい例は、1,4-フェニレン、2-メチル-1,4-フェニレン、および、3,5-ジメチル-1,4-フェニレンである。2-メチル-1,4-フェニレンおよび3-メチル-1,4-フェニレンは構造的に同一であるので、後者は例示していない。この規則は、2,5-ジメチル-1,4-フェニレンと3,6-ジメチル-1,4-フェニレンとの関係などにも適用される。
<結合基Z:-(CH)->
メチレンにおいて、nが小さい場合は分子の剛直性が大きくなるため、化合物(1)は、液晶性が高く、粘度が小さくなり、誘電正接が小さい。nが大きい場合は分子長が長くなるため、化合物(1)は、融点が低下し、かつ有機溶媒への溶解性が高くなる。nは2~12の整数である。
<p>
pは、0または1であり、pが0のとき、すなわち化合物(1)が2つの環を有するときは、化合物(1)は粘度が低く、pが1以上のとき、すなわち3つ以上の環を有するときは、化合物(1)は透明点が高い。
以上のように、環構造A、および結合基Zの種類を適宜選択することにより、目的の物性を有する化合物を得ることができる。好ましい化合物(1)の具体例としては、式(1-1-1)~(1-1-6)、および、式(1-2-1)~(1-2-6)で表される化合物が挙げられる。




式(1-1-1)~(1-1-6)、および、式(1-2-1)~(1-2-6)中、Rは独立して炭素数1~4のアルキルまたはアルコキシであり、sは0~4の整数であり、sが2以上の場合はRが同一でも異なっていてもよく、nは2~12の整数である。
2)重合体(1)
本開示に係る製造方法で得られる化合物(1)は重合性基を有するので、容易に重合させることが可能である。重合体(1)は、該化合物(1)を重合させることによって得られる重合体の少なくとも1種である。次項の組成物(1)において、その他の少なくとも1種の成分との組み合わせで構成される重合体(1)としては、化合物(1)のオリゴマーであってもよい。このオリゴマーは、重合体(1)を構成する化合物(1)の構成単位(constitutional unit)の数(重合度)が少ない低重合体を意味する。オリゴマーの内、構成単位の数に応じて、ダイマー(dimer:二量体)、トライマー(trimer:三量体)、テトラマー(tetramer:四量体)などと呼ぶこともある。
3)組成物(1)
本開示に係る組成物(1)は、化合物(1)を少なくとも1種含む組成物である。すなわち、組成物(1)は、2種以上の化合物(1)で構成されていてもよく、また、少なくとも1種の化合物(1)と、重合体(1)を含む化合物(1)以外のその他の少なくとも1種の成分との組み合わせで構成されていてもよい。このようなその他の少なくとも1種の成分である構成要素としては、特に限定されないが、たとえば、重合体(1)、化合物(1)以外の重合性化合物(以下「その他の重合性化合物」ともいう。)、重合開始剤、有機溶媒、非重合性の液晶性化合物、無機充填剤および繊維状補強剤などが挙げられる。好ましい組成物(1)としては、少なくとも1種の化合物(1)および重合体(1)で構成される組成物、少なくとも1種の化合物(1)およびその他の重合性化合物で構成される組成物、ならびに少なくとも1種の化合物(1)、重合体(1)およびその他の重合性化合物で構成される組成物などが挙げられる。
4)その他の重合性化合物
本開示に係る組成物(1)は、化合物(1)以外の重合性化合物(その他の重合性化合物)を含んでいてもよい。化合物(1)以外の重合性化合物は、以下の化合物(1)以外の重合性液晶性化合物(以下「その他の重合性液晶性化合物」ともいう。)の少なくとも1種および重合性非液晶性化合物の少なくとも1種から構成される。
4-1)その他の重合性液晶性化合物
本開示に係る組成物(1)は、化合物(1)以外の重合性液晶性化合物の少なくとも1種を含んでいてもよい。重合性液晶組成物である組成物(1)の液晶相の発現ならびに化合物(1)および有機溶媒などとの相溶性の観点から、式(M1)、(M2)または(M3)で表される化合物(ただし、化合物(1)を除く。)が、該重合性液晶性化合物として好ましい。


式(M1)、(M2)および(M3)中、
は独立して、1,4-フェニレン、1,4-シクロへキシレン、1,4-シクロへキセニレン、ピリジン-2,5-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、またはフルオレン-2,7-ジイルから選ばれるいずれかの二価基であり、該二価基において、少なくとも一つの水素はフッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、ホルミル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、炭素数1~5のアルキル、炭素数1~5のアルコキシ、炭素数2~5のアルコキシカルボニル、または炭素数2~5のアルカノイルで置き換えられてもよく;
は独立して、単結合、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-COS-、-SCO-、-OCOO-、-CONH-、-NHCO-、-CFO-、-OCF-、-CHCH-、-CFCF-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CHCHCOO-、-OCOCHCH-、-COOCHCH-、-CHCHOCO-、-CH=CH-、-N=CH-、-CH=N-、-N=C(CH)-、-C(CH)=N-、-N=N-、-C≡C-、-CH=N-N=CH-、または-C(CH)=N-N=C(CH)-であり;
は、水素、フッ素、塩素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、炭素数1~20のアルキル、炭素数2~20のアルケニル、炭素数1~20のアルコキシ、または炭素数2~20のアルコキシカルボニルであり;
は独立して、単結合、-O-、-COO-、-OCO-、または-OCOO-であり;
は、単結合、-O-、-COO-、または-OCO-であり;
qは、1~6の整数であり;
cおよびdは独立して、0~3の整数であり、かつ、1≦c+d≦6の関係であり;
aは、0~20の整数であり;
~Pは独立して、式(PG-1)~(PG-13)で表される重合性基から選択される基である。



4-2)重合性非液晶性化合物
本開示に係る組成物(1)は、重合性非液晶性化合物の少なくとも1種を構成要素としてもよい。このような重合性非液晶性化合物としては、膜形成性および機械的強度を低下させない化合物が好ましい。この重合性非液晶性化合物は、液晶性を有しない化合物に分類される。液晶性を有しない重合性化合物である重合性非液晶性化合物としては、ビニル誘導体、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸誘導体、ソルビン酸誘導体、フマル酸誘導体、イタコン酸誘導体などの誘導体、変性ポリイミドオリゴマー、変性マレイミドオリゴマー、変性ポリフェニレンエーテルオリゴマー、変性ポリフェニレンサルファイドオリゴマー、変性ポリブタジエンエラストマーなどの変性されたエンジニアリングプラスチックのオリゴマー、すなわち重合性官能基を有する高分子量化合物を意味するマクロマーが挙げられる。これらの誘導体の好ましい例を以下に示す。
文中、「(メタ)アクリロイルオキシ」は、アクリロイルオキシまたはメタクリロイルオキシを意味し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。
好ましいビニル誘導体としては、塩化ビニル、フッ化ビニル、酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2,2-ジメチルブタン酸ビニル、2,2-ジメチルペンタン酸ビニル、2-メチル-2-ブタン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、2-エチル-2-メチルブタン酸ビニル、N-ビニルアセトアミド、p-t-ブチル安息香酸ビニル、N,N-ジメチルアミノ安息香酸ビニル、安息香酸ビニル、エチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルモノビニルエーテル、t-アミルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールメチルビニルエーテル、α,β-ビニルナフタレン、メチルビニルケトン、イソブチルビニルケトンなどが挙げられる。
好ましいスチレン誘導体としては、スチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン、o-クロロメチルスチレン、m-クロロメチルスチレン、p-クロロメチルスチレン、α-メチルスチレンなどが挙げられる。
好ましい(メタ)アクリル酸誘導体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールEO付加トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ビスフェノールA EO付加ジアクリレート、ビスフェノールA グリシジルジアクリレート(商品名:大阪有機化学工業(株)製「ビスコート700」)、ポリエチレングリコールジアクリレートジメチルイタコネートなどが挙げられる。
好ましいソルビン酸誘導体としては、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸リチウム、ソルビン酸1-ナフチルメチルアンモニウム、ソルビン酸ベンジルアンモニウム、ソルビン酸ドデシルアンモニウム、ソルビン酸オクタデシルアンモニウム、ソルビン酸メチル、ソルビン酸エチル、ソルビン酸プロピル、ソルビン酸イソプロピル、ソルビン酸ブチル、ソルビン酸t-ブチル、ソルビン酸ヘキシル、ソルビン酸オクチル、ソルビン酸オクタデシル、ソルビン酸シクロペンチル、ソルビン酸シクロヘキシル、ソルビン酸ビニル、ソルビン酸アリル、ソルビン酸プロパギルなどが挙げられる。
好ましいフマル酸誘導体としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジシクロペンチル、フマル酸ジシクロヘキシルなどが挙げられる。
好ましいイタコン酸誘導体としては、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジイソプロピルイタコネートなどが挙げられる。
これらの他にも、ブタジエン、イソプレン、マレイミドなど、多くの重合性非液晶性化合物を用いることができる。
5)重合開始剤
本開示に係る組成物(1)は重合開始剤を構成要素としてもよい。重合開始剤は、組成物(1)の硬化方法(重合方法)に応じて、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤などを用いればよい。本開示に用いられる重合性化合物を、無機フィラーと複合化し高熱伝導化させる場合には、無機フィラーが光を吸収してしまうので、熱ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。無機フィラーとの複合材料を数μmの厚みの薄膜で使用する場合には、重合開始剤を増量したり、強力な重合開始剤を使用することにより、光重合で硬化させることも可能である。
好ましい熱ラジカル重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、ジ-t-ブチルパーオキシド(DTBPO)、t-ブチルパーオキシジイソブチレート、過酸化ラウロイル、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル(MAIB)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル(ACN)、2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチルなどが挙げられる。
市販品の過酸化物系の開始剤としては、各社から市販されている過酸化ベンゾイルの他、東京化成工業(株)製商品名「ジクミルペルオキシド」、日油(株)製商品名「パークミルD、ナイパーBMT、パーヘキサ25Z」などが挙げられる。アゾ重合開始剤としては、各社から市販されているAIBNの他、富士フイルム和光純薬(株)製商品名「V-40、V-50、V-59、V-65、V-70、V-501、V-601」などが挙げられる。一般に、アゾ重合開始剤は熱ラジカル重合と光ラジカル重合の両方に好適に使用できる。
光ラジカル重合開始剤としては、特に限定されず、公知のものを使用することができ、4-メトキシフェニル-2,4-ビス(トリクロロメチル)トリアジン、2-(4-ブトキシスチリル)-5-トリクロロメチル-1,3,4-オキサジアゾール、9-フェニルアクリジン、9,10-ベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン混合物、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール混合物、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2,4-ジエチルキサントン/p-ジメチルアミノ安息香酸メチル混合物、ベンゾフェノン/メチルトリエタノールアミン混合物などが挙げられる。市販品としては、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社(現BASFジャパン(株))製商品名「ダロキュアーシリーズ1173、4265」、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社(現BASFジャパン(株))製商品名「イルガキュアーシリーズ184、369、500、651、784、819、907、1300、1700、1800、1850、2959」などが挙げられる。
光カチオン重合開始剤としては、特に限定されず、公知のものを使用することができ、UCC社製商品名「サイラキュアーUVI-6990、6974」、(株)ADEKA製商品名「アデカオプトマーSP-150、152、170、172」、ローディア社製商品名「Photoinitiator 2074」、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社(現BASFジャパン(株))製商品名「イルガキュアー250」、みどり化学(株)製商品名「DTS-102」などの市販品が挙げられる。
アニオン重合、配位重合およびリビング重合用の好ましい開始剤としては、n-C49Li、t-C49Li-R3Alなどのアルカリ金属アルキル化合物、アルミニウム化合物、遷移金属化合物などが挙げられる。
6)硬化剤
本開示に係る組成物(1)が、エーテル結合を有する環状化合物である環状エーテルを構成要素とする場合、硬化剤を構成要素として含有してもよい。好ましい硬化剤の例を以下に示す。
アミン系硬化剤として、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、o-キシレンジアミン、m-キシレンジアミン、p-キシレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、イソホロンジアミン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、3,9-ジプロパンアミン-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-1,2-ジフェニルエタン、o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、ポリシクロヘキシルポリアミン、N-アミノエチルピペラジンなどが挙げられる。
酸無水物系硬化剤として、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメチレート、グリセリンビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート、デデセニル無水コハク酸、クロレンド酸無水物などが挙げられる。
フェノール系硬化剤として、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、2,3-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール、2,3,5-トリメチルフェノール、2,3,6-トリメチルフェノール、o-イソプロピルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、o-sec-ブチルフェノール、p-オクチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、レゾルシノール、1-ナフトール、2-ナフトール、ビスフェノールA、フェノールノボラック、キシリレンノボラック、ビスフェノールAノボラックなどが挙げられる。
上記以外にも特開2004-256687号公報、特開2002-226550号公報などに記載されている硬化剤も使用することができる。
活性エステル系硬化剤としては、特に限定されず、公知のものを使用することができ、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物としてDIC(株)製商品名「EPICLON(登録商標) HPC-8000-65T」、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物としてDIC(株)製商品名「EXB-8150-65T」、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として三菱ケミカル(株)製商品名「DC808」、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として三菱ケミカル(株)製商品名「YLH1026」、フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤として三菱ケミカル(株)製商品名「DC808」、フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系硬化剤として三菱ケミカル(株)製商品名「YLH1026」などの市販品が挙げられる。
また、硬化促進剤として、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン、5,6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン等のシクロアミジン化合物;該シクロアミジン化合物に無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂などのπ結合を有する化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン化合物;該3級アミン化合物の誘導体;2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;該イミダゾール化合物の誘導体;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4-メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン化合物;該有機ホスフィン化合物に無水マレイン酸、上記キノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合を有する化合物を付加してなる分子内分極を有するリン化合物;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、2-エチル-4-メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、N-メチルモルホリンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩;該テトラフェニルボロン塩の誘導体;トリフェニルホスホニウム-トリフェニルボラン、N-メチルモルホリンテトラフェニルホスホニウム-テトラフェニルボレート等のホスフィン化合物と該テトラフェニルボロン塩との付加物などが挙げられる。
7)有機溶媒
組成物(1)は有機溶媒を含有してもよい。組成物(1)の硬化は有機溶媒中で行っても、無溶媒で行ってもよい。たとえば、有機溶媒を含有する組成物(1)を基板上に、スピンコート法などにより塗布した後、有機溶媒を除去してから光硬化させてもよい。また、光硬化後適当な温度に加温して熱硬化により後処理を行ってもよい。
好ましい有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、テトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)、γ-ブチロラクトン、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸2-メトキシ-1-メチルエチル(プロピレングリコールメチルエーテルアセタート:PGMEA)などが挙げられる。上記有機溶媒は1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、硬化時の有機溶媒の使用割合を限定することにはあまり意味がなく、硬化効率、溶媒コスト、エネルギーコストなどを考慮して、個々のケースごとに決定すればよい。
本開示に係る組成物(1)は、有機溶媒の含有量が総重量の70wt%以下であることが好ましく、無溶媒の組成物であることが特に好ましい。なお、無溶媒の組成物とは、有機溶媒を使用することなく常温で流動性を保持し、または溶融時に高い流動性を示すワニス状に調製することが可能な組成物である。総重量の70wt%以下の有機溶媒を含有する組成物、または無溶媒の組成物を用いることで硬化物濃度が高くなるため硬化物の機能を有効に発現することができる。
硬化前の組成物(1)は、常温付近で液体状態であって流動性を保持しており、そのまま無溶媒または総重量に対して70wt%以下の有機溶媒を含有するワニスとして使用できる。すなわち、そのままコーティングまたは接着などの用途に使用でき、高温で溶媒を揮発させる工程などが必要ない。
なお、ここで使用し得る有機溶媒としては、環境負荷の観点から比較的毒性の低いアセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノールなどが挙げられる。本開示の組成物(1)は非有機溶媒系での高い耐熱性と高い低誘電率樹脂形成が可能であることから、プリント配線基板用積層板、基板用層間絶縁材料、接着フィルム、半導体封止剤、導電性接着剤など各種電子部品用の絶縁材料を提供できる。
8)非重合性の液晶性化合物
本開示に係る組成物(1)は、重合性基を有しない液晶性化合物を構成要素としてもよい。このような非重合性の液晶性化合物の例は、液晶性化合物のデータベースであるリクリスト(LiqCryst, LCI Publisher GmbH, Hamburg, Germany)などに記載されている。非重合性の液晶性化合物を含有する組成物(1)を硬化させることによって、化合物(1)の重合体と液晶性化合物との複合材料(composite materials)を得ることができる。このような複合材料では、たとえば、高分子分散型液晶のような高分子網目中に非重合性の液晶性化合物が存在している。
9)無機充填剤および繊維状補強剤
熱伝導率向上、機械強度向上、粘度調整などのために、無機充填剤を組成物(1)に加えることができる。なお、本明細書では無機充填剤を無機フィラーということがある。
誘電損失を抑えるためには、球状シリカ、粉砕シリカ、中空シリカ、ヒュームドシリカなどの珪素化合物、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタンなどの金属酸化物、チタン酸カリウムなどの金属塩であってもよい。好ましくは、球状シリカ、中空シリカ、酸化マグネシウム、チタン酸カリウムであり、より好ましくは中空シリカである。
基板や樹脂部品としての強度を高くするための、繊維状またはウイスカー状の充填剤として、繊維状補強剤が使用できる。ガラスクロス、低誘電ガラスクロス、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどの無機繊維、珪酸塩ウイスカー、アルミナウイスカー、酸化マグネシウムウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー、窒化アルミニウムウイスカーなどの無機ウイスカーが好ましく、より好ましくは低誘電ガラスクロス、酸化アルミニウムウイスカー、窒化アルミニウムウイスカー、カーボンナノチューブである。
機械的強度を高くするためには、充填剤が多い方が好ましいが、多すぎると樹脂が充填剤の隙間を埋めることができない場合がある。また樹脂が多すぎても機械強度を高くする効果が表れない場合がある。また、充填剤を増やすと誘電率が高く、誘電正接が下がる傾向があるので、両者のバランスを取りながら組成を決めることが好ましい。また、繊維状放熱充填剤として、無機物の繊維の他に、有機物の繊維を使用することもできる。機械強度の高い有機繊維として、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、液晶性ポリエステル繊維、セルロースナノファイバーなどが挙げられる。無機繊維に比べると軽量であり、携帯型機器の基板などに好ましい。
熱伝導率の高い充填剤としては、粉末状の窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素などの金属窒化物、ダイアモンド、黒鉛、炭化珪素などの炭化物、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化珪素、酸化チタン、酸化錫、酸化ホルミニウム、酸化カルシウムなどの金属酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物、およびコーディエライト、またはムライトなどの珪酸塩化合物、金、銀、銅、白金、鉄、錫、鉛、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、タングステン、モリブデン、ステンレスなどの金属充填剤であってもよい。好ましくは、誘電率が低い、窒化ホウ素、酸化珪素であり、特に六方晶系の窒化ホウ素(h-BN)は誘電率が低く熱伝導率が高いので好ましい。熱伝導率などは無機フィラーが多いほど高くなるが、一般に無機フィラーは樹脂成分とくらべ、比誘電率が大きく誘電正接が小さいので、充填量を増やすと誘電率が大きくなる。したがって、充填量は目的とする誘電率を超えない範囲で必要量を充填することが好ましい。耐熱性が求められない場合には、セルロースナノファイバーの使用も誘電率は少し高くなるが、高熱伝導率かつ軽量という点で好ましい。
組成物(1)は透明性が高く、低誘電だけでなく、低屈折光学材料に使用する場合は、中空シリカ、球状シリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの粉末を加え、屈折率を調整することができる。
充填剤の形状としては、球状、無定形、繊維状、ウイスカー状、筒状、板状などが挙げられる。充填剤の種類、形状、大きさ、添加量などは、目的に応じて適宜選択できる。得られる高分子成形体が絶縁性を必要とする場合、所望の絶縁性および機械強度、比誘電率、誘電正接、誘電損失が保たれれば導電性を有する充填剤であっても構わない。
球状または不定形状の充填剤の平均粒径は、0.1~200μmであることが好ましい。より好ましくは、1~100μmである。0.1μm以上であると熱伝導率が良好であり、200μm以下であると充填率を上げることができる。また、繊維状の充填剤に関しては、繊維長が長いほど引張強度は向上するが、混練や分散はできなくなる場合があるので、用途によって選択することが好ましい。分散させる場合は、繊維状充填剤の平均粒径は、0.01~200μmであることが好ましい。より好ましくは、0.1~100μmである。0.01μm以上であると熱伝導率が良好であり、200μm以下であると機械強度を上げることができる。
充填剤の量は、硬化後の高分子成形体中20~95wt%の充填剤を含有するようにすることが好ましい。より好ましくは、50~95wt%である。20wt%以上であると熱伝導率が高くなり好ましい。95wt%以下であると高分子成形体が脆くならず好ましい。
充填剤としては、親和処理、易接着処理、分散処理、防水処理などの表面処理された市販品をそのまま用いてもよく、該市販品から表面処理剤を除去したものを用いてもよい。また、処理されていない充填剤を、シランカップリング剤、親和剤、表面張力調整剤、沈降防止剤、凝集防止剤などにより処理して用いてもよい。
10)その他の添加剤
本開示に係る製造方法で得られる化合物(1)および組成物(1)は高い重合性を有するので、取扱いを容易にするために、安定剤を組成物(1)に添加してもよい。このような安定剤としては、公知のものを制限なく使用でき、ハイドロキノン、4-エトキシフェノールおよび3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(BHT)などが挙げられる。
低誘電正接(低tanδ)、高ガラス転移温度が求められる用途では、架橋剤を添加することが好ましい。架橋剤は本開示に用いられる両末端に重合性基を有する化合物(1)の重合性基と化学結合し、3次元架橋を形成するものが好ましい。
組成物(1)は、硬化物の特性を調整するために、化合物(1)と反応しない他の樹脂を添加してもよい。ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE樹脂)、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリブタジエン共重合体、ポリビニルアセタール樹脂、天然ゴム、合成ゴム、合成エラストマー、本開示に用いられる化合物(1)の液晶骨格とは異なるエポキシ樹脂、オキセタン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、マレイミド樹脂、オキサジン樹脂、オキサゾリン樹脂などが挙げられる。特に誘電特性を重視する場合には、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE樹脂)、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂が好ましい。これらの樹脂中に未反応の部位があり、本開示に用いられる化合物(1)と反応する場合もあるが、その場合は架橋のような構造になるため、完全に反応しない場合と比べ特性が向上する効果が期待できる。
11)低誘電率樹脂
別の実施形態である低誘電率樹脂は、上記組成物(1)の硬化物であるために低い誘電率を有するとともに、熱伝導率、耐熱性、剛性、弾性、成形流動性、耐薬品性、および寸法安定性等にも優れる。
11-1)重合性基
本開示に係る製造方法で得られる化合物(1)を含有する低誘電率樹脂形成用組成物に、無機充填剤を添加しないで硬化した場合の硬化物の比誘電率および誘電正接について、化合物(1)はエポキシ化合物であって、環構造と周囲の原子間で共役や電子の偏りが起こりやすく、特に高周波領域での誘電特性は、1GHz~50GHzの範囲では、比誘電率が2.8~2.0、誘電正接が0.02~0.001の範囲にある。好ましくは比誘電率が2.8~2.0および誘電正接が0.01~0.001の範囲、より好ましくは比誘電率が2.6~2.0および誘電正接が0.008~0.001の範囲、さらに好ましくは比誘電率が2.5~2.0および誘電正接が0.006~0.001の範囲になるように液晶骨格およびリンカー部分を分子設計することが好ましい。また、マレイミド残基を有する化合物を用いて、マレイミド・スチリル樹脂のように単体を重合させるよりも、誘電特性に優れる樹脂を形成することも可能である。
また光硬化を利用した短時間硬化や、パターニングが必要な場合は光重合開始剤や硬化触媒を適切に併用することにより化合物(1)を使用することもできる。
11-2)主骨格の選択
本開示に係る製造方法で得られる化合物(1)のように環構造がフェニレンである場合は、化合物(1)は、分子鎖の剛直性や結晶性が高く、高熱伝導に優れ、耐熱性、難燃性が高い。さらに、フェニレン環にメチルなどの側鎖を導入することにより、化合物(1)の溶媒との親和性、他の樹脂との親和性をコントロールできる。放熱性を重視する場合は、化合物(1)は、式(1-1-1)で表される化合物のように側鎖を有しないか、有しても式(1-1-4)または式(1-1-6)で表される化合物のように炭素数1~4のアルキルまたはアルコキシの側鎖を分子振動の軸に対して対称に配置することが好ましい。
11-3)分子配向
低誘電率樹脂が液晶性を示す場合、硬化前の配向処理により分子配向を制御できる。比誘電率と熱伝導率は分子の配向方向により異方性が発現する。電子基板の誘電率設計や熱設計の際に、発熱するICの真下は厚み方向に熱伝導率が高く、ICの真下以外は横方向に配向させて熱を広範囲に広げるようにデザインするなど、より進んだ材料設計が可能になる。配向方法は下記方法により制御できる。
低誘電率樹脂形成用組成物中の液晶分子のメソゲン部位を配向制御する方法としては、無機フィラー表面に配向能を有するシランカップリング剤や配向剤などで処理する方法、該組成物自体が有する自己配向規制力により配向させる方法などが挙げられる。これらの方法は、1種単独で行っても、2種以上を組み合わせて行ってもよい。このような配向制御方法により制御する配向状態としては、ホモジニアス、ツイスト、ホメオトロピック、ハイブリッド、ベンドおよびスプレー配向などが挙げられ、配向状態は用途や配向制御方法に応じて適宜決定することができる。また、製膜時や成形時において、硬化前に液晶状態で、ずり応力を加え物理的に配向させることもできる。
配向温度は、好ましくは室温~250℃、より好ましくは室温~200℃、さらに好ましくは室温~180℃の範囲である。上記熱処理時間は、好ましくは5秒~2時間、より好ましくは10秒~60分、さらに好ましくは20秒~30分の範囲である。熱処理時間が上記範囲の下限よりも長いと、組成物(1)からなる層の温度を所定の温度まで上昇でき、上記範囲の上限よりも短いと、生産性が向上する。なお、上記熱処理条件は、組成物(1)に用いられる成分の種類および組成比、重合開始剤の有無および含有量などによって変化するため、あくまでおおよその範囲を示したものである。特に、組成物(1)に用いられる重合性成分の重合開始温度より高くなってしまうと、配向する前に硬化してしまうので、分子鎖が一定方向に配向した低誘電率樹脂は得られない。
組成物(1)の硬化方法(重合方法)としては、重合性基(重合性成分)のラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、配位重合法などが挙げられるが、分子配列を固定化したり、らせん構造を固定化したりするには、電子線、紫外線、可視光線または赤外線(熱線)などの光線や熱を利用した熱重合法や光重合法が適している。熱重合法はラジカル重合開始剤の存在下で行うことが好ましく、光重合法は光ラジカル重合開始剤の存在下で行うのが好ましい。たとえば、光ラジカル重合開始剤の存在下、紫外線または電子線などを照射する重合法によって、液晶分子の配列が固定化された重合体が得られる。得られる重合体は、単独重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよく、用途などに応じて適宜選択すればよい。
組成物(1)の配向を光重合法により固定する際には、通常、紫外線または可視光線が用いられる。光照射に用いられる光の波長は、好ましくは150~500nm、より好ましくは250~450nm、さらに好ましくは300~400nmの範囲である。光照射の光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)およびショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)、紫外線発光ダイオードなどが挙げられる。これらの中では、メタルハライドランプ、キセノンランプ、紫外線発光ダイオードおよび高圧水銀ランプが好ましい。
上記光源と組成物(1)との間にフィルターなどを設置して特定の波長領域のみを通すことにより、照射光源の波長領域を選択してもよい。光源から照射する光量は、好ましくは2~5000mJ/cm2、より好ましくは10~3000mJ/cm2、さらに好ましくは100~2000mJ/cm2の範囲である。光照射時の温度条件は、上述した熱処理温度と同様に設定されることが好ましい。
熱重合法により組成物(1)の配向を固定化する条件としては、熱硬化温度が、好ましくは室温~350℃、より好ましくは室温~250℃、さらに好ましくは50℃~200℃の範囲であり、硬化時間は、好ましくは5秒~10時間、より好ましくは1分~5時間、さらに好ましくは5分~1時間の範囲である。硬化後は、応力ひずみなどを抑制するために徐冷することが好ましい。また、再加熱処理を行い、ひずみなどを緩和させてもよい。
上記のようにして配向制御した硬化物または硬化過程の組成物を延伸などの機械的操作により、さらに任意の方向に配向制御してもよい。
単離した重合体(1)は、有機溶媒に溶かしてその他の成分とともに組成物を調製して、配向処理基板上で配向・硬化させフィルムなどに加工してもよく、この場合2つの重合体を混合して加工してもよく、複数の重合体を積層させてもよい。該有機溶媒としては、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドジメチルアセタール、テトラヒドロフラン、クロロホルム、1,4-ジオキサン、ビス(メトキシエチル)エーテル、γ-ブチロラクトン、テトラメチル尿素、トリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸エチル、ヘキサフルオロ-2-プロパノール、2-メトキシエチルアセテート、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどが好ましい。これらは、アセトン、ベンゼン、トルエン、ヘプタン、塩化メチレンなど一般的な少量の有機溶媒と混合して用いてもよい。
直線性の高い低誘電率樹脂形成用組成物が、非常に狭い範囲で液晶相を示す場合であって、結晶性が高い場合には一定方向に軸が揃ったドメインを形成するので、ビスフェノールA構造などの重合性化合物と比べ熱伝導率が高くなる。また、配向方向が揃った高分子シートの表面や結晶性の樹脂フィラーなどを結晶成長のコアとして存在させた状態で、等方相液体の状態からゆっくり硬化させることによっても、配向や結晶性が制御できる。ただし、結晶性を高くし過ぎるとフレキシブル性が低くなる傾向があるので、適切な結晶性の組成物を使用する必要がある。
12)低誘電率樹脂絶縁膜、低誘電率樹脂フィルム、および低誘電率樹脂シート
本開示に係る高分子成形体は、上記組成物(1)からなる低誘電率樹脂形成用組成物の硬化物である低誘電率樹脂の成形体であり、薄膜状の低誘電率樹脂絶縁膜として用いられるほか、フィルム状、シート状、板状、繊維状、三次元形状の部品(コネクターの絶縁部分)、またはそのままコート剤、接着剤や充填剤として使用することもできる。
薄膜状、フィルム状、シート状、板状、繊維状、三次元形状の成形体などで使用する場合、好ましい形状はフィルムおよび薄膜である。フィルムおよび薄膜は、組成物(1)を基板や離型フィルムに塗布した状態、または基板や金型などの平板で挟んだ状態で硬化させることによって得られる。また、有機溶媒を含有する組成物(1)を、配向処理した基板に塗布し、有機溶媒を除去することによっても得られる。さらに、フィルムについては、硬化物をプレス成形することによっても得られる。なお、本明細書におけるシートの膜厚は1mm以上であり、フィルムの膜厚は5μm以上1mm未満、好ましくは10~500μm、より好ましくは20~300μmであり、薄膜の膜厚は5μm未満である。
以下、有機溶媒を含有する組成物(1)を用いて、高分子成形体としてのフィルムを製造する方法について具体的に説明する。
まず、離型処理した基板上に組成物(1)を塗布し、有機溶媒を乾燥除去して膜厚の均一な塗膜層を形成する。塗布方法としては、スピンコート法、ロールコート法、カーテンコート法、フローコート法、プリント法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、ワイヤーバーコート法、デップコート法、スプレーコート法、メニスカスコート法などが挙げられる。
有機溶媒の乾燥除去は、室温での風乾、ホットプレートでの乾燥、乾燥炉での乾燥、温風や熱風の吹き付けなどにより行うことができる。有機溶媒除去の条件は特に限定されず、有機溶媒がおおむね除去され、塗膜層の流動性がなくなるまで乾燥すればよい。なお、組成物(1)に用いる化合物の種類と組成比によっては、塗膜層を乾燥する過程で、塗膜層中の液晶分子の分子配向が完了していることがある。このような場合、乾燥工程を経た塗膜層は、前述した熱処理工程を経由することなく、重合工程(硬化工程)に供することができる。しかしながら、塗膜層中の液晶分子の配向をより均一化させるためには、乾燥工程を経た塗膜層を液晶相発現温度まで加熱し液晶状態で配向させ、その後に光重合または熱重合処理して配向を固定化することが好ましい。
また、組成物(1)を低誘電率樹脂絶縁膜として使用する場合には、塗布前に基板表面を配向処理することも好ましい。配向処理方法としては、基板上に配向膜を形成するだけでもよいし、基板上に配向膜を形成させた後、レーヨン布などでラビング処理する方法、基板を直接レーヨン布などでラビング処理する方法、さらには酸化珪素を斜方蒸着する方法、延伸フィルム、光配向膜またはイオンビームなどを用いるラビングフリー配向などの方法が挙げられる。また、基板表面の処理を行わなくても、所望の配向状態を形成することができる場合もある。ホメオトロピック配向を形成する場合はラビング処理などの表面処理を行わない場合が多いが、より高い配向性を実現する点でラビング処理を行ってもよい。
上記配向膜としては、組成物(1)の配向を制御できるものであれば特に限定されず、公知の配向膜を用いることができ、たとえば、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、アルキルシラン、アルキルアミンまたはレシチン系配向膜が好適である。垂直配向させる場合にはシランカップリング剤も好適である。
上記ラビング処理には任意の方法を採用することができ、通常は、レーヨン、綿およびポリアミドなどの素材からなるラビング布を金属ロールなどに捲き付け、基板または配向膜に接した状態でロールを回転させながら移動させる方法や、ロールを固定したまま基板側を移動させる方法などが採用される。
また、より均一な配向を得るために配向制御添加剤を組成物(1)中に含有させてもよい。このような配向制御添加剤としては、イミダゾリン、4級アンモニウム塩、アルキルアミンオキサイド、ポリアミン誘導体、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン縮合物、ポリエチレングリコールおよびそのエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸アミン類、アルキル置換芳香族スルホン酸塩、アルキルリン酸塩、脂肪族または芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物、ラウリルアミドプロピルベタイン、ラウリルアミノ酢酸ベタイン、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルと親水性基とを有するオリゴマー、パーフルオロアルキルと親油性基とを有するオリゴマー、パーフルオロアルキルを有するウレタン、および、1級アミノ基を有する有機ケイ素化合物(アルコキシシラン型、直鎖状のシロキサン型、および、3次元縮合型のシルセスキオキサン型の有機ケイ素化合物)などが挙げられる。
上記基板としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロース、トリアセチルセルロースまたはその部分鹸化物、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノルボルネン樹脂などのプラスティックフィルム基板およびガラス強化樹脂基板のほか、アルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、フリントガラスなどのガラス基板;アルミニウム、鉄、銅などの金属基板;シリコンなどの無機基板;などが挙げられる。
上記フィルム基板は、一軸延伸フィルムでも、二軸延伸フィルムであってもよい。上記フィルム基板は、事前に鹸化処理、コロナ処理、プラズマ処理などの表面処理を施してもよい。なお、これらのフィルム基板上には、上記組成物(1)に含まれる有機溶媒に侵されないような保護層を形成してもよい。保護層として用いられる材料としては、たとえばポリビニルアルコールが挙げられる。さらに、保護層と基板の密着性を高めるためにアンカーコート層を形成させてもよい。このようなアンカーコート層は保護層と基板の密着性を高めるものであれば、無機系および有機系のいずれの材料であってもよい。
13)低誘電率樹脂部品および電子機器
本開示に係る低誘電率樹脂形成用組成物は、低誘電率樹脂絶縁膜、低誘電率樹脂フィルム、低誘電率樹脂シートなどの低誘電率樹脂部品として用いることができる。さらには、低誘電率樹脂基板、低誘電率樹脂コーティング、低誘電率樹脂接着剤、低誘電率樹脂成形品などの各種電子機器としての用途に有用である。
[製造方法]
以下、本開示に係る低誘電率樹脂形成用組成物を製造する方法、および該組成物から低誘電率樹脂部品を製造する方法について具体的に説明する。
本開示に係る低誘電率樹脂形成用組成物は、そのまま液晶相や等方相を発現する温度領域で液状の樹脂原料として用いるほかに、有機溶媒に溶解させて溶液として使用することもできる。低誘電率樹脂形成用組成物の調製は、重合性液晶性化合物(1)である化合物(1)、必要に応じて有機溶媒、無機フィラー、上述した各種の添加剤などを加え、撹拌機を用いて組成ムラが無くなる程度まで撹拌・脱泡する。たとえば、自転・公転ミキサーを用い、回転数2000rpmで10分間撹拌後、回転数2200rpmで10分間脱泡する。自転・公転ミキサーの他には、攪拌モーター、らいかい機、三本ロール、ボールミル、自転・公転ミル、遊星ミル、ビーズミル、ジェットミルなどを用いて低誘電率樹脂形成用組成物の成分を分散させることができる。
塗布方法には、上記低誘電率樹脂形成用組成物を均一にコーティングするために、ウェットコーティング法を用いることが好ましい。ウェットコーティング法のうち、低誘電率樹脂部品を少量作製する場合には簡便で均質な製膜が可能であるスピンコート法が好ましい。生産性を重視する場合には、グラビアコート法、ダイコート法、バーコート法、リバースコート法、ロールコート法、スリットコート法、ディッピング法、スプレーコート法、キスコート法、リバースキスコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、インクジェット法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ロッドコート法などが好ましい。ウェットコーティング法は、これらの方法から必要とする膜厚、粘度や硬化条件などに応じて適宜選択することができる。
シートを製造する場合には、離型処理した基材上に組成物を上記方法などでコーティングし剥離するキャスト成形法、構造物を製造する場合には必要に応じて金型を用い、プレス成形法、インジェクション成形法(射出成形法)、各種3Dプリンター成形法(吐出積層法)などの樹脂成形法を用いることができる。成形後、金型を外して本硬化することも、金型に入れたまま本硬化することも、または金型を用いない成形法の場合には成形体をそのまま本硬化することも可能である。
重合性液晶性化合物(1)を含有する組成物(1)は、硬化後には高い耐熱性、および高周波数領域において低誘電率・低誘電正接の誘電特性を示す低誘電率樹脂形成用組成物であり、無溶媒または少量の有機溶媒の使用でワニス状に調製することが可能な組成物である。さらに、上記の特性に加えて高い透明性、または高い放熱性を示す低誘電率樹脂形成用組成物である。
組成物を硬化して得られる硬化物は、低誘電性に加え、放熱性、透明性が高く、化学的安定性、耐熱性、硬度および機械的強度などの特性の少なくとも1つに優れた特性を有することから、低誘電回路基板、低誘電アンテナ用基板、低誘電塗膜、低誘電接着剤、高周波数領域における次世代通信機器およびレーダーなどの各種用途に適している。
以上のとおり、本開示に係る製造方法を用いることにより、化合物(1)を安全かつ安定的に、高収率かつ高純度で、環境負荷が少なく、また低コストで得ることができる。
本開示に係る製造方法で得られる重合性液晶性化合物(1)を含有する組成物は、硬化後には高い耐熱性、および高周波数領域において低誘電率・低誘電正接の誘電特性を示す低誘電率樹脂形成用組成物であり、さらに、上記の特性に加えて高い透明性、または高い放熱性を示す低誘電率樹脂形成用組成物である。
本開示に係る製造方法で得られる硬化物は、低誘電性に加え、放熱性、透明性が高く、化学的安定性、耐熱性、硬度および機械的強度などの特性の少なくとも1つに優れた特性を有することから、たとえば、低誘電回路基板、低誘電アンテナ用基板、低誘電塗膜、低誘電接着剤、高周波数領域における次世代通信機器およびレーダーなどの各種用途に適している。
実施例(化合物、組成物、重合体、低誘電率樹脂などの作製例を含む)により、本開示をさらに詳しく説明する。しかし、本発明はこれらの実施例によって制限されない。
本開示に係る化合物(1)を製造する方法を使用して、実施例に示す手順により化合物を合成した。特に記載のないかぎり、反応は窒素雰囲気下で行った。合成した化合物は、NMR分析などの方法により同定した。化合物(1)の特性は下記の方法により測定した。
<NMR分析>
測定には、日本電子(株)製のJNM-ECZRを用いた。H-NMRの測定では、試料をCDClなどの重水素化溶媒に溶解させ、測定は、室温で、500MHz、積算回数16回の条件で行った。テトラメチルシランを内部標準として用いた。核磁気共鳴スペクトルの説明において、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、qはカルテット、quinはクインテット、sexはセクステット、mはマルチプレット、brはブロードであることを意味する。
<ガスクロマト分析>
測定には、(株)島津製作所製のGC-2014型ガスクロマトグラフを用いた。カラムは、アジレント・テクノロジーズ(株)(Agilent Technologies Inc.、現:キーサイト・テクノロジー(株))製のキャピラリカラムDB-1(長さ30mまたは15m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)を用いた。キャリアーガスとしては窒素(1ml/分)を用いた。試料気化室の温度を300℃、検出器(FID)部分の温度を300℃に設定した。試料はアセトンなどの適切な溶媒に溶解して、1wt%の溶液となるように調整し、得られた溶液1μlを試料気化室に注入した。記録計には(株)島津製作所製のGCSolutionシステムなどを用いた。
<HPLC分析>
測定には、(株)島津製作所製のProminence(LC-20AD;SPD-20A)を用いた。カラムは(株)ワイエムシー製のYMC-Pack ODS-A(長さ150mm、内径4.6mm、粒子径5μm)を用いた。溶出液は、メタノール/純水、またはアセトニトリル/純水を適宜混合して用いた。検出器としてはUV検出器、RI検出器、CORONA検出器などを適宜用いた。UV検出器を用いた場合、検出波長は210~254nmとした。試料はメタノールまたはアセトニトリルに溶解して、0.1wt%の溶液となるように調製し、この溶液1μLを試料室に導入した。記録計としては(株)島津製作所製のC-R7Aplusを用いた。
<紫外可視分光分析>
測定には、(株)島津製作所製のPharmaSpec UV-1700を用いた。検出波長は190nmから700nmとした。試料はアセトニトリルに溶解して、0.01mmol/Lの溶液となるように調製し、石英セル(光路長1cm)に入れて測定した。
<測定試料>
転移温度(透明点、融点、重合開始温度など)、および化合物が液晶相を有する場合、相構造および転移温度を測定するときには、化合物そのものを試料として用いた。
(1)転移温度(℃)
測定には、(株)日立ハイテクサイエンス(旧エスアイアイ・ナノテクノロジー(株))製の高感度示差走査熱量計、X-DSC7000を用いた。試料は、3~5℃/分の速度で昇降温し、試料の相変化に伴う吸熱ピークまたは発熱ピークの開始点を外挿により求め、転移温度を決定した。化合物の融点、重合開始温度もこの装置を使って測定した。化合物が液晶相を有する場合は、固体からスメクチック相、ネマチック相などの液晶相に転移する温度を「液晶相の下限温度」と略すことがある。化合物が結晶から液体に転移する温度を「透明点」と略すことがある。
結晶はCと表した。結晶の種類の区別がつく場合は、それぞれをC1、C2のように表した。液晶相の発現がある場合は、スメクチック相はS、ネマチック相はNと表した。スメクチック相の中で、スメクチックA相、スメクチックB相、スメクチックC相、またはスメクチックF相の区別がつく場合は、それぞれSA、SB、SC、またはSFと表した。液体(等方相:アイソトロピック)はIと表した。転移温度は、たとえば、「C 50.0 N 100.0 I」のように表記した。これは、結晶からネマチック相への転移温度が50.0℃であり、ネマチック相から液体への転移温度が100.0℃であることを示す。
(2)相構造
化合物が液晶相を有する場合は、偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレート(メトラー・トレド(株)FP-52型ホットステージ)に試料を置いた。この試料を、3℃/分の速度で加熱しながら相状態とその変化を偏光顕微鏡で観察し、相の種類を特定した。
[実施例1]
化合物(1-1-1s、n=4)の合成例1
・第1段
窒素雰囲気下、室温の反応容器にTS-1(5wt%、2.50g)、6-ブロモ-1-ヘキセン(50.0g,306.6mmol)、酢酸エチル(9倍量、450ml)、メタノール(1倍量、50ml)を加え攪拌した。氷冷後、過酸化水素水(34wt%,36.80g,368.0mmol)を滴下し、0℃で6時間攪拌した。反応終了後、10wt%チオ硫酸ナトリウム水溶液を滴下してクエンチした。クエンチ後の混合物のセライトろ過を行い、有機層を水で1回、飽和食塩水で2回洗浄後、40℃で減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:トルエン)で生成物を単離することで、2-(4-ブロモブチル)オキシラン(47.3g,264.4mmol)を得た。この反応選択率は98%、収率は86%であった。
・第2段
窒素雰囲気下、反応容器に4,4’-ジヒドロキシビフェニル(18.0g,96.7mmol)、リン酸三カリウム(51.3g,241.7mmol)、N,N’-ジメチルホルムアミド(130ml)を加え40℃で30分攪拌した。第1段で合成した2-(4-ブロモブチル)オキシラン(42.0g,203.0mmol)を滴下し、40℃で8時間攪拌した。反応終了後、水に流し込みトルエンに溶解させ、得られた有機層を飽和食塩水で2回洗浄し、50℃で減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒比:トルエン/酢酸エチル=9/1)で生成物を単離し、再結晶(溶媒比:トルエン/酢酸エチル/テトラヒドロフラン=6/6/1)を行うことで化合物(32.6g,74.3mmol)を得た。精製後のHPLCでの純度は99.9%で、これに含まれる不純物は確認できなかった。また第1段と第2段の総合単離収率は66.1%であった。この化合物(1-1-1s、n=4)の転移点はC 109.9 I(℃)であった。
化合物(1-1-1s、n=4)のH-NMRシグナルは以下の通りであった。
δ(ppm;CDCl):7.47-7.44(m,4H)、6.95-6.92(m,4H)、4.02-3.99(t,4H)、2.97-2.93(m,2H)、2.78-2.76(dd,2H)、2.51-2.49(dd,2H)、1.90-1.83(m,4H)、1.73-1.56(m,8H)
[実施例2]
化合物(1-1-6s、n=4)の合成例1
実施例1の第1段と同様の方法により、2-(4-ブロモブチル)オキシランを得た。
次いで、実施例1の第2段において、4,4’-ジヒドロキシビフェニルの代わりに3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジヒドロキシビフェニルを使用し、また塩基をリン酸三カリウムの代わりに炭酸カリウムを使用し、反応温度を30℃にすることによって、化合物(1-1-6s、n=4)を得た。HPLCの純度は96.9%で、これに含有する不純物は3.0%であった。
この化合物(1-1-6s、n=4)の転移点はC 99.2 I(℃)であった。
化合物(1-1-6s、n=4)のH-NMRシグナルは以下の通りであった。
δ(ppm;CDCl):7.18(s,4H)、3.81-3.79(t,4H)、2.99-2.96(m,2H)、2.80-2.78(dd,2H)、2.5より2-2.51(dd,2H)、2.32(s,12H)、1.92-1.86(m,4H)、1.76-1.60(m,8H)。
[実施例3]
化合物(1-1-1s、n=4)の合成例2
実施例1の第2段において、塩基をリン酸三カリウムの代わりに炭酸カリウムを使用し、かつ反応温度を30℃として、化合物(1B)から化合物(1-1-1s、n=4)を得た。精製後のHPLCの純度は99.3%で、これに含有する不純物は0.70%であった。
[実施例4]
化合物(1-1-1s、n=4)の合成例3
実施例1の第2段において、塩基をリン酸三カリウムの代わりに炭酸カリウムを使用し、かつ反応温度を50℃として、化合物(1B)から化合物(1-1-1s、n=4)を得た。精製後のHPLCの純度は92.7%で、これに含有する不純物は7.3%であった。
[実施例5]
化合物(1-1-6s、n=4)の合成例2
実施例2の第2段において、反応温度を50℃として、化合物(1B)から化合物(1-1-6s、n=4)を得た。精製後のHPLCの純度は85.0%で、これに含有する不純物は15.0%であった。
[実施例6~16]
実施例1の第1段において、各反応条件での化合物(1A)から化合物(1B)の反応選択率は以下の表のとおりであった。
以上の実施例より、本開示に係る製造方法を用いることにより、安全で安定的に、すなわち、mCPBAのような高価な有機過酢酸を使用することなく、クロル系の溶媒を使用することなく、不純物の生成および最終目的物に含有する不純物量が少なく、高い収率でかつ高純度で化合物(1)を製造することが可能になった。
本開示に係る製造方法を用いて化合物(1)を製造することにより、安全かつ安定的に、環境負荷が少なく、また低コストで化合物(1)を得ることができるため、化合物(1)、および化合物(1)を含有する低誘電率樹脂形成用組成物を安定的に供給することができる。
本開示に係る低誘電率樹脂形成用組成物は、低誘電損失が求められる高周波デバイス用電子基板、半導体パッケージ用部材、高周波アンテナ用部材など、各種電子部品として用いることができる。特に、発熱が大きく放熱が必要な半導体部品の周辺に好適に使用できる。また、低誘電損失が必要ない低周波のデバイスにも、放熱部材として使用することができる。さらには、低誘電率樹脂形成用組成物を用いて得られる各種電子部品は各種電子機器としての用途に有用である。
11 離型剤付きポリイミドフィルム(150mm×150mm×0.05mm)
12 耐熱ポリイミド粘着テープ(80mm×12mm×0.05mm)

Claims (9)

  1. 下記重合性液晶性化合物(1)を製造する方法であって、



    下記化合物(1A)から下記化合物(1B)を得る第1段のステップと、



    下記化合物(1C)と前記化合物(1B)から前記重合性液晶性化合物(1)を得る第2段のステップと、を備え、



    化合物(1A)および化合物(1B)中、
    nは、2~12の整数であり、
    Xは、ハロゲンであり、
    化合物(1C)および重合性液晶性化合物(1)中、
    は、独立して、炭素数1~4のアルキルまたはアルコキシであり、
    sは、独立して、0~4の整数であり、sが2以上の場合は、Rが同一でも異なっていてもよく、
    nは、2~12の整数であり、
    pは、0または1であ
    前記第2段は、前記化合物(1B)、塩基、および溶媒を使用して、前記化合物(1C)から、前記重合性液晶性化合物(1)を得、
    前記塩基は、炭酸カリウム、炭酸セシウム、またはリン酸三カリウムを含み、
    前記第2段において、反応温度を0~40℃とする、
    重合性液晶性化合物の製造方法。
  2. 前記第1段は、過酸化物と触媒を使用して、前記化合物(1A)から、前記化合物(1B)を得る、
    請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記過酸化物は、過酸化水素または過酢酸を含み、
    前記触媒は、チタンシリカライト-1(TS-1)を含む、
    請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記第1段において、使用される溶媒は、酢酸エチル、メタノール、または、アセトニトリルを含む、
    請求項2に記載の製造方法。
  5. 前記第1段において、反応温度を0~40℃とする、
    請求項に記載の製造方法。
  6. 前記第1段において、Xは、臭素である、
    請求項1に記載の製造方法。
  7. 前記塩基は、リン酸三カリウムを含む、
    請求項に記載の製造方法。
  8. 前記重合性液晶性化合物(1)が、以下の化合物(1-1-1)~(1-1-6)から選ばれる化合物であり、



    化合物(1-1-1)~(1-1-6)中、
    は、独立して、メチルまたはメトキシであり、
    nは、2~12の整数である、
    請求項1に記載の製造方法。
  9. 前記重合性液晶性化合物(1)が、以下の化合物(1-2-1)~(1-2-6)から選ばれる化合物であり、


    化合物(1-2-1)~(1-2-6)中、
    は、独立して、メチルまたはメトキシであり、
    sは、0~4の整数であり、sが2以上の場合はRが同一でも異なっていてもよく、
    nは、2~12の整数である、
    請求項1に記載の製造方法。
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