本発明の一態様に係る不揮発性記憶素子の駆動方法は、前記不揮発性記憶素子は、第1の端子と、第2の端子と、前記第1の端子と前記第2の端子との間に設けられ前記第1の端子と前記第2の端子との間に印加される電圧パルスに応じて可逆的に抵抗値が変化する抵抗変化層と、を具備する抵抗変化素子と、前記第2の端子に接続された第1の入出力端子と、第2の入出力端子と、前記第1の入出力端子と前記第2の入出力端子間の導通を制御するゲート端子と、を具備する電界効果トランジスタと、を備え、前記不揮発性記憶素子の駆動方法は、前記第1の端子と前記第2の入出力端子間に第1の極性の書き込み電圧パルスを印加することにより、前記抵抗変化層を高抵抗状態から低抵抗状態へ変化させる書き込みステップと、前記第1の端子と前記第2の入出力端子間に前記第1の極性とは異なる第2の極性の消去電圧パルスを印加することにより、前記抵抗変化層を低抵抗状態から高抵抗状態へ変化させる消去ステップと、を含み、前記書き込みステップにおいて、前記第1の入出力端子はソース端子であり、前記書き込み電圧パルスのパルス幅をPWLRとし、前記消去電圧パルスのパルス幅をPWHRとした場合に、PWLR及びPWHRはPWLR<PWHRの関係を満たす。
この態様によれば、消去時における抵抗変化層の高抵抗状態を、よりリーク電流の少ない緻密な高抵抗状態にすることができる。したがって、書き込み時に、基板バイアス効果によって書き込み電流値が制限されたとしても、抵抗変化層には低抵抗化のための実効電圧を十分印加することができる。その結果、良好なエンデュランス特性を実現できる。言い換えると、基板バイアス効果によって低抵抗変化状態の抵抗値を一定値に留め、かつ、抵抗変化のために十分な実効電圧を印加することができる。
また、前記書き込み電圧パルスの電圧値をVLRとし、前記消去電圧パルスの電圧値をVHRとした場合に、VLR及びVHRの絶対値は|VLR|=|VHR|の関係を満たしてもよい。
この態様によれば、より良好なエンデュランス特性を得ることができる。
また、前記書き込み電圧パルスの電圧値をVLRとし、前記消去電圧パルスの電圧値をVHRとした場合に、VLR及びVHRの絶対値は|VLR|>|VHR|の関係を満たしてもよい。
この態様によれば、電界効果トランジスタにおいて基板バイアス効果が発生したとしても、抵抗変化層を高抵抗状態から低抵抗状態へ変化させる際の電流値を大きくできる。その結果、良好なエンデュランス特性を実現できる。言い換えると、基板バイアス効果によって低抵抗変化状態の抵抗値を一定値に留め、かつ、基板バイアス効果によって制限される電流値を低抵抗化に十分な程度に大きくできる。
また、前記抵抗変化層がタンタル酸化物を含んで構成され、VLR及びVHRの絶対値は、さらに|VLR|>|VHR|+0.3Vの関係を満たしてもよい。
この態様によれば、より良好なエンデュランス特性を得ることができる。
また、前記電界効果トランジスタはN型MISFETであり、前記第1の極性は、前記第2の入出力端子の電位が前記第1の端子の電位よりも高くなる極性であってもよい。
一般的に、電子の移動度は正孔の移動度よりも大きいため、同じゲート絶縁膜の構造(材料および膜厚)で、同じサイズのMISFETを作成した場合、N型MISFETの方がP型MISFETより電流駆動能力が大きい。したがってこの態様によれば、そのため、同じ電流駆動能力を有するMISFETを作製する場合、N型MISFETの方が素子サイズを小さくできる。
また、前記電界効果トランジスタはP型MISFETであり、前記第1の極性は、前記第2の入出力端子の電位が前記第1の端子の電位よりも低くなる極性であってもよい。
また、前記抵抗変化層がタンタル酸化物を含んで構成されてもよい。
この態様によれば、安定した抵抗変化が実現できる。
また、前記抵抗変化層は、TaOxで表される組成を有する酸素不足型のタンタル酸化物を含む第1の領域と、TaOy(但し、x<y)で表される組成を有する第2のタンタル酸化物を含む第2の領域とを備えてもよい。
この態様によれば、抵抗変化層に印加された電圧は、相対的に抵抗値の高い第2の領域により多く分配されるため、第2の領域内において抵抗変化現象を安定に発生させることができる。
また、本発明の一態様に係る不揮発性記憶装置は、第1の端子と、第2の端子と、前記第1の端子と前記第2の端子との間に設けられ前記第1の端子と前記第2の端子との間に印加される電圧パルスに応じて可逆的に抵抗値が変化する抵抗変化層とを具備する抵抗変化素子と、前記第2の端子に接続された第1の入出力端子と、第2の入出力端子と、前記第1の入出力端子と前記第2の入出力端子間の導通を制御するゲート端子とを具備する電界効果トランジスタと、を備える不揮発性記憶素子と、前記第1の端子と前記第2の入出力端子間に第1の極性の書き込み電圧パルスを印加することにより、前記抵抗変化層を高抵抗状態から低抵抗状態へ変化させる書き込みステップと、前記第1の端子と前記第2の入出力端子間に前記第1の極性とは異なる第2の極性の消去電圧パルスを印加することにより、前記抵抗変化層を低抵抗状態から高抵抗状態へ変化させる消去ステップとを実行する電圧印加ユニットと、を備え、前記第1の入出力端子は、前記書き込みステップにおいてソース端子であり、前記電圧印加ユニットは、前記書き込み電圧パルスのパルス幅をPWLRとし、前記消去電圧パルスのパルス幅をPWHRとした場合に、PWLR及びPWHRがPWLR<PWHRの関係を満たすように、前記不揮発性記憶素子に前記書き込み電圧及び前記消去電圧を印加する。
この態様によれば、消去時における抵抗変化層の高抵抗状態を、よりリーク電流の少ない緻密な高抵抗状態にすることができる。したがって、書き込み時に、基板バイアス効果によって書き込み電流値が制限されたとしても、抵抗変化層には低抵抗化のための実効電圧を十分印加することができる。その結果、良好なエンデュランス特性を実現できる。言い換えると、基板バイアス効果によって低抵抗変化状態の抵抗値を一定値に留め、かつ、抵抗変化のために十分な実効電圧を印加することができる。
また、前記書き込み電圧パルスの電圧値をVLRとし、前記消去電圧パルスの電圧値をVHRとした場合に、前記電圧印加ユニットは、VLR及びVHRの絶対値が|VLR|=|VHR|の関係を満たすように、前記不揮発性記憶素子に前記書き込み電圧及び前記消去電圧を印加してもよい。
この態様によれば、より良好なエンデュランス特性を得ることができる。
また、前記電圧印加ユニットは、前記書き込み電圧パルスの電圧値をVLRとし、前記消去電圧パルスの電圧値をVHRとした場合に、VLR及びVHRの絶対値が|VLR|>|VHR|の関係を満たすように、前記不揮発性記憶素子に前記書き込み電圧及び前記消去電圧を印加してもよい。
この態様によれば、電界効果トランジスタにおいて基板バイアス効果が発生したとしても、抵抗変化層を高抵抗状態から低抵抗状態へ変化させる際の電流値を大きくできる。その結果、良好なエンデュランス特性を実現できる。言い換えると、基板バイアス効果によって低抵抗変化状態の抵抗値を一定値に留め、かつ、基板バイアス効果によって制限される電流値を低抵抗化に十分な程度に大きくできる。
また、前記抵抗変化層は、タンタル酸化物を含んで構成され、前記電圧印加ユニットは、VLR及びVHRの絶対値が|VLR|>|VHR|+0.3Vの関係を満たすように、前記不揮発性記憶素子に前記書き込み電圧及び前記消去電圧を印加してもよい。
この態様によれば、より良好なエンデュランス特性を得ることができる。
また、前記電界効果トランジスタはN型MISFETであり、前記電圧印加ユニットは、書き込みステップにおいて、前記第2の入出力端子の電位が前記第1の端子の電位よりも高くなる極性の電圧を印加してもよい。
一般的に、電子の移動度は正孔の移動度よりも大きいため、同じゲート絶縁膜の構造(材料および膜厚)で、同じサイズのMISFETを作成した場合、N型MISFETの方がP型MISFETより電流駆動能力が大きい。したがってこの態様によれば、そのため、同じ電流駆動能力を有するMISFETを作製する場合、N型MISFETの方が素子サイズを小さくできる。
また、前記電界効果トランジスタはP型MISFETであり、前記電圧印加ユニットは、消去ステップにおいて、前記第2の入出力端子の電位が前記第1の端子の電位よりも低くなる極性の電圧を印加してもよい。
また、前記抵抗変化層は、遷移金属酸化物を含んで構成されていてもよい。
この態様によれば、安定した抵抗変化が実現できる。
また、前記遷移金属酸化物は、タンタル酸化物、ジルコニウム酸化物およびハフニウム酸化物からなる群より選択されてもよい。
また、前記遷移金属酸化物は、MOxで表される組成を有する酸素不足型の遷移金属酸化物を含む第1の領域と、MOy(但し、x<y)で表される組成を有する遷移金属酸化物を含む第2の領域とを有していてもよい。
この態様によれば、抵抗変化層に印加された電圧は、相対的に抵抗値の高い第2の領域により多く分配されるため、第2の領域内において抵抗変化現象を安定に発生させることができる。
また、前記第1の領域及び前記第2の領域において、前記遷移金属酸化物の遷移金属元素Mが、タンタル、ジルコニウムおよびハフニウムからなる群より選択されてもよい。
また、前記遷移金属酸化物は、第1の遷移金属をMと表した場合に、MOxで表される組成を有する酸素不足型の遷移金属酸化物を含む第1の領域と、前記第1の遷移金属と異なる第2の遷移金属をNと表した場合に、NOyで表される組成を有する遷移金属酸化物を含む第2の領域とを有し、前記NOyの酸素不足度は、前記MOxの酸素不足度より小さくてもよい。
また、前記第2の遷移金属Nの標準電極電位は、前記第1の遷移金属Mの標準電極電位より低くてもよい。
この態様によれば、第2の領域内における酸化還元反応がより起こりやすくなるため、抵抗変化現象をより安定に起こすことができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
(実施の形態1)
[抵抗変化素子の構成]
まず、実施の形態1に係る不揮発性記憶素子が具備する抵抗変化素子の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る不揮発性記憶素子が具備する抵抗変化素子10の構成を示す断面図である。図1に示すように、本実施の形態に係る抵抗変化素子10は、基板1と、基板1の上に形成された下部電極2と、下部電極2の上に形成された抵抗変化層3と、抵抗変化層3の上に形成された上部電極4とを備えている。下部電極2及び上部電極4は、抵抗変化層3と電気的に接続されている。
基板1は、例えばシリコン基板により構成される。また、下部電極2及び上部電極4は、例えば、Au(金)、Pt(白金)、Ir(イリジウム)、Cu(銅)、TiN(窒化チタン)及びTaN(窒化タンタル)のうちの1つまたは複数の材料を用いて構成される。
抵抗変化層3は、金属酸化物を含んで構成される。抵抗変化層3は、望ましくは、酸素不足型の遷移金属酸化物を含んで構成される。これにより、安定した抵抗変化が実現できる。抵抗変化層3は、より望ましくは、第1の遷移金属酸化物層3aと、当該第1の遷移金属酸化物層3aよりも酸素含有率が大きい第2の遷移金属酸化物層3bとが積層されて構成される。このとき、第2の遷移金属酸化物層3bは、第1の遷移金属酸化物層3aよりも酸素含有率が高い。つまり、第2の遷移金属酸化物層3bは、第1の遷移金属酸化物層3aよりも酸素不足度が小さい。また、第1の遷移金属酸化物層3aの含有する遷移金属と、第2の遷移金属酸化物層3bの含有する遷移金属とが同じであっても、異なっていてもよい。なお、抵抗変化層3を単層として形成した後に、フォーミング処理(例えば、高抵抗化電圧パルスと低抵抗化パルスを交互に印加する処理)によって、第1の遷移金属酸化物層3aに対応する第1の領域と、第2の遷移金属酸化物層3bに対応する第2の領域とを電気的に形成してもよい。
抵抗変化現象は、複数の酸化状態を有する金属酸化物が、酸化還元反応によって状態変化することにより発生すると考えられる。酸化還元反応は、抵抗変化層3に印加される電圧(または電流)により発生する。抵抗変化層3に所定の閾値電圧以上の電圧(または所定の閾値電流以上の電流)が印加された場合、抵抗変化層3に酸化還元反応が発生し、抵抗が変化すると考えられる。抵抗変化層3が、第1の遷移金属酸化物層3aと第2の遷移金属酸化物層3bの積層構造である場合、抵抗変化層3に印加された電圧は、相対的に抵抗値の高い第2の遷移金属酸化物層3bにより多く分配され、第2の遷移金属酸化物層3b内において抵抗変化現象を安定に発生させると考えられる。この場合、第2の遷移金属酸化物層3b全体が抵抗変化するのではなく、第2の遷移金属酸化物層3bの一部が抵抗変化すると考えられる。
以下では、第1の遷移金属酸化物層3aが第1タンタル酸化物層3aであり、第2の遷移金属酸化物層3bが第2タンタル酸化物層3bである場合であって、抵抗変化層3が、第1タンタル酸化物層3aと第2タンタル酸化物層3bとが積層されて構成されている場合について説明する。すなわち、第1タンタル酸化物層3aは酸素不足型のタンタル酸化物で構成されている。このとき、第2タンタル酸化物層3bの酸素含有率は、第1タンタル酸化物層3aの酸素含有率よりも高くなっている。言い換えれば、第2タンタル酸化物層3bの酸素不足度は、第1タンタル酸化物層3aの酸素不足度より小さい。ここで、「酸素不足度」とは、それぞれの遷移金属において、その化学量論的組成の酸化物を構成する酸素の量に対して、不足している酸素の割合をいう。例えば、遷移金属がタンタル(Ta)の場合、化学量論的な酸化物の組成はTa2O5であるので、TaO2.5と表現できる。TaO2.5の酸素不足度は0%である。例えばTaO1.5の組成の酸素不足型のタンタル酸化物の酸素不足度は、酸素不足度=(2.5−1.5)/2.5=40%となる。酸素不足度の小さい酸化物は、化学量論的組成の酸化物により近いため、抵抗値が高い。他方、酸素不足度の大きい酸化物は、酸化物を構成する金属により近いため、抵抗値が低い。また、Ta2O5の酸素含有率は、総原子数に占める酸素の比率(O/(Ta+O))であり、71.4atm%となる。したがって、酸素不足型のタンタル酸化物は、酸素含有率は0より大きく、71.4atm%より小さいことになる。
第1タンタル酸化物層3aの組成をTaOxとした場合にxが0.8以上、1.9以下であり、且つ、第2タンタル酸化物層3bの組成をTaOyとした場合にyが2.1以上、2.5以下であることが望ましい。x及びyが上記範囲内にあるとき、抵抗変化層3の抵抗値を安定して高速に変化させることができる。したがって、x及びyは上記の範囲内にあることが好ましい。
抵抗変化層3の厚みは、抵抗値の変化を得るためには1μm以下が好ましい。さらに、抵抗変化層3の厚みを200nm以下とすると、パターニングプロセスによる抵抗変化層3の形成を簡便化できる。また、抵抗変化層3の厚みを200nm以下とすると、抵抗変化層3の抵抗値を変化させるために必要となる電圧パルスの電圧値を低くできる。他方、電圧パルス印加時のブレークダウン(絶縁破壊)をより確実に回避するという観点からは、抵抗変化層3の厚みは少なくとも5nm以上であることが好ましい。
また、第2タンタル酸化物層3bの厚みについては、大きすぎると初期抵抗値が高くなりすぎる等の不都合があり、また小さすぎると安定した抵抗変化が得られないという不都合があるため、1nm以上、8nm以下程度が好ましい。
なお、上述のように、抵抗変化層3は、酸素不足型の遷移金属酸化物を含んで構成されればよく、例えば、ハフニウム酸化物、またはジルコニウム酸化物などを用いることができる。酸素不足型の遷移金属酸化物としてハフニウム酸化物を用いた場合、高濃度酸素含有層である第2の遷移金属酸化物層3b(HfOy)の酸素含有率は64.3atm%以上66.7atm%以下(1.8<y≦2.0)であるのが好ましく、低濃度酸素含有層である第1の遷移金属酸化物層3a(HfOx)の酸素含有率は47.4atm%以上61.5atm%以下(0.9≦x≦1.6)であることが好ましい。酸素不足型の遷移金属酸化物としてジルコニウム酸化物を用いた場合、高濃度酸素含有層である第2の遷移金属酸化物層3b(ZrOy)の酸素含有率は65.5atm%以上66.7atm%以下(1.9<y≦2.0)であるのが好ましく、低濃度酸素含有層である第1の遷移金属酸化物層3a(ZrOx)の酸素含有率は47.4atm%以上58.3atm%以下(0.9≦x≦1.4)であることが好ましい。
また、第1の遷移金属酸化物層3aを構成する遷移金属と、第2の遷移金属酸化物層3bを構成する遷移金属とは、異なっていてもよい。言い換えると、抵抗変化層3を構成する遷移金属酸化物は、MOxで表される組成を有する酸素不足型の遷移金属酸化物を含む第1の領域と、NOyで表される組成を有する遷移金属酸化物を含む第2の領域とを有していてもよい。ここで、第1の遷移金属はMと表され、第1の遷移金属と異なる第2の遷移金属はNと表されている。遷移金属としては、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)等を用いることができる。その場合、第2の遷移金属酸化物層3bを構成する第2の遷移金属の標準電極電位は、第1の遷移金属酸化物層3aを構成する第1の遷移金属の標準電極電位より小さい方が好ましい。標準電極電位は、その値が大きいほど酸化されにくい特性を示す。すなわち、第2の遷移金属酸化物層3bを構成する第2の遷移金属の標準電極電位を、第1の遷移金属酸化物層3aを構成する第1の遷移金属の標準電極電位より小さくすることで、第2の遷移金属酸化物層3b内における酸化還元反応がより起こりやすくなる。例えば、第2の遷移金属酸化物層3bにTiO2を用い、第1の遷移金属酸化物層3aに酸素不足型のタンタル酸化物(TaOx、0.8≦x≦1.9)を用いるとよい。Tiの標準電極電位は−1.63eVであり、Taの標準電極電位は−0.6eVであるので、TiO2層内での抵抗変化現象がより安定に起きる。
[抵抗変化素子の製造方法]
次に、抵抗変化素子10の製造方法の一例について説明する。
まず、基板1上に、スパッタリング法により、下部電極2(TaN)を形成する。その後、Taターゲットをアルゴンガス及び酸素ガス中でスパッタリングする所謂反応性スパッタリング法によって、下部電極2の上に第1タンタル酸化物層3aを形成する。ここで、第1タンタル酸化物層3aにおける酸素含有率は、アルゴンガスに対する酸素ガスの流量比を変えることにより容易に調整できる。なお、基板温度は特に加熱することなく室温とすることができる。
次に、第1タンタル酸化物層3aの最表面を酸化する。当該酸化工程によって、タンタル酸化物層の表面に酸素含有率の高い領域(第2タンタル酸化物層3b)が形成される。一方、当該酸化工程によって酸化が進まなかった領域、すなわち、タンタル酸化物層のうち第2タンタル酸化物層3b以外の領域は、酸素含有率の低い領域(第1タンタル酸化物層3a)となる。第1タンタル酸化物層3a及び第2タンタル酸化物層3bによって抵抗変化層3が構成される。
このとき、第1タンタル酸化物層3a(TaOx)の組成、及び第2タンタル酸化物層3b(TaOy)の組成を、xの値が0.8以上、1.9以下の範囲内(0.8≦x≦1.9)であり、yの値が2.1以上の範囲内(2.1≦y)に調整すると、安定した抵抗変化を実現できる。
次に、抵抗変化層3の上に、スパッタリング法により、上部電極4(Ir)を形成する。
なお、下部電極2及び上部電極4並びに抵抗変化層3の大きさ及び形状は、パターニングプロセス条件によって調整できる。
以上の工程により、抵抗変化素子10が得られる。
後述の駆動方法の実施例では、以下の抵抗変化素子10を用いた。抵抗変化素子10において、上部電極4及び抵抗変化層3の大きさを0.5μm×0.5μm(面積0.25μm2)とし、下部電極2と抵抗変化層3とが接する部分の大きさも0.5μm×0.5μm(面積0.25μm2)とした。上部電極4及び下部電極2の厚みは、いずれも50nmとした。第1タンタル酸化物層3a(TaOx)の組成をx=1.57とし、第2タンタル酸化物層3b(TaOy)の組成をy=2.47とした。抵抗変化層3の厚みを50nmとし、第1タンタル酸化物層3aの厚みを44nm、第2タンタル酸化物層3bの厚みを6nmとした。
なお、第2タンタル酸化物層3bは、タンタル酸化物ターゲットを用いてアルゴンガス及び酸素ガス中でスパッタして形成してもよく、CVD法やALD法を用いて形成してもよい。
[抵抗変化素子の特性]
次に、上述したように構成された本実施の形態に係る抵抗変化素子10の特性について説明する。
図2は、本実施の形態に係る不揮発性記憶素子30が具備する抵抗変化素子10の電流−電圧特性を示す図である。横軸は、下部電極2に対する上部電極4の電圧値を示しており、縦軸は上部電極4から下部電極2に流れる電流値を示している。図2を参照すると、下部電極2に対して上部電極4がマイナス極性となる電圧パルスを抵抗変化層3に印加したときに、抵抗変化層3が低抵抗化するために電流値が高くなることが確認できる。反対にプラス極性の電圧パルスを抵抗変化層3に印加したときに、抵抗変化層3が高抵抗化するために電流値が低くなることが確認できる。
この抵抗変化のメカニズムは、以下のように推定される。まず、第2タンタル酸化物層3b中に、抵抗変化を起こす微小領域であるフィラメントパスが形成される。下部電極2に対して上部電極4がプラス極性となる電圧パルスが印加されたとき、第2タンタル酸化物層3b中のフィラメントパスは第1タンタル酸化物層3aから酸素イオンを受容し、第2タンタル酸化物層3bは高抵抗化すると考えられる。反対に、下部電極2に対して上部電極4がマイナス極性となる電圧パルスが印加されたとき、第2タンタル酸化物層3b中のフィラメントパスは、受容した酸素イオンを第1タンタル酸化物層3aへ拡散し、第2タンタル酸化物層3bは低抵抗化すると考えられる。
[不揮発性記憶素子の構成]
図3(a)は、本実施の形態に係る1トランジスタ/1抵抗変化素子(1T1R)で構成される不揮発性記憶素子30の構成を示す回路図である。不揮発性記憶素子30は、抵抗変化素子10とスイッチング素子(電界効果トランジスタ)20を備える。なお、WLがワード線を、SLがソース線を、BLがビット線をそれぞれ示している。
図3(b)は、不揮発性記憶素子30を構成する抵抗変化素子10の構成を示す回路図である。図3(c)は、不揮発性記憶素子30を構成する電界効果トランジスタ20の構成を示す回路図である。言い換えると、図3(b)に示した抵抗変化素子10と、図3(c)に示した電界効果トランジスタ20とを接続すると、図3(a)に示した不揮発性記憶素子30が得られる。
図3(b)に示すように、抵抗変化素子10は、上部電極4及び下部電極2にそれぞれ端子を有する2端子構造の素子である。抵抗変化素子10の一方の端子12は、電界効果トランジスタ20の1つの端子21と接続されている。本明細書においては、抵抗変化素子10の具備する2端子のうち、電界効果トランジスタ20に接続されている一方の端子12を第2の端子12と呼び、電界効果トランジスタ20に接続されていない他方の端子11を第1の端子11と呼ぶ。図3(b)に示す抵抗変化素子10の回路図記号は、第2の端子12に対して第1の端子11がマイナス極性となる電圧パルスを抵抗変化素子10に印加したときに低抵抗化し、反対にプラス極性の電圧パルスを印加したときに抵抗変化層3が高抵抗化することを表している。
図3(c)に示すように、電界効果トランジスタ20は、少なくともソース端子、ドレイン端子、ゲート端子の3端子を有する素子である。本明細書においては、これらの端子のうち、抵抗変化素子10に接続されている一方の端子21を第1の入出力端子21と呼び、トランジスタ動作によって第1の入出力端子21と導通可能な他方の端子22を第2の入出力端子22と呼ぶ。また、トランジスタ動作において、第1の入出力端子21と第2の入出力端子22間の導通を制御する端子23をゲート端子23と呼ぶ。電界効果トランジスタ20は、オン状態において、第1の入出力端子21及び第2の入出力端子22のうち、一方がソース端子として働き、他方はドレイン端子として働く。ただし、後で詳しく説明するように、どちらがソース端子(あるいはドレイン端子)であるかは、電流の流れる向き、及びキャリアの極性によって決まる。
電界効果トランジスタ20は、例えば、MISFET(金属−絶縁体−半導体 電界効果トランジスタ:Metal−Insulator−Semiconductor Field−Effect Transistor)、あるいはMISFETの一種であるMOSFET(金属−酸化物−半導体 電界効果トランジスタ:Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)である。以下、簡便のため、電界効果トランジスタ20を、単にトランジスタ20として呼ぶことがある。また、電界効果トランジスタ20を、実施の形態に合わせて具体的にMISFET20、N型MISFET20、P型MISFET20と呼ぶこともある。
図3(b)及び図3(c)では、抵抗変化素子10及び電界効果トランジスタ20について、それぞれ別個独立に説明したが、これは簡便に説明するための回路図上の表現である。したがって、例えば、抵抗変化素子10及び電界効果トランジスタ20がデバイスとして一体となっていてもよい。例えば、電界効果トランジスタ20の第1の入出力端子21が、抵抗変化素子10の下部電極2を兼ねていてもよい。また、抵抗変化素子10の第2の端子12と、電界効果トランジスタ20の第1の入出力端子21とは、電気的に接続されていればよい。例えば、抵抗変化素子10及び電界効果トランジスタ20間にその他の導電性を有する部材が介在していてもよい。
図4は、本実施の形態に係る不揮発性記憶素子30の構成の一例を示す断面図である。不揮発性記憶素子30は、抵抗変化素子10と電界効果トランジスタ20とを備える。なお、図4では、一例として、電界効果トランジスタ20がMISFET20である場合について示している。
抵抗変化素子10は、図1に示した抵抗変化素子10と同様に、下部電極2と、抵抗変化層3と、上部電極4とを備え、抵抗変化層3は、第1タンタル酸化物層3aと第2タンタル酸化物層3bを有している。したがって、下部電極2に対して上部電極4がマイナス極性となる電圧パルスを抵抗変化層3に印加したときに、抵抗変化層3が低抵抗化する。反対にプラス極性の電圧パルスを印加したときに抵抗変化層3が高抵抗化する。
MISFET20は、半導体基板24と、半導体基板24上に配置された第1の拡散層25a及び第2の拡散層25bと、半導体基板24上に第1の拡散層25a及び第2の拡散層25bを跨ぐように配置されたゲート絶縁膜26と、ゲート絶縁膜26上に配置されたゲート電極27とを備える。なお、ゲート絶縁膜26が酸化膜である場合、MISFET20は、MOSFETとも呼ばれる。MISFET20は、種々の公知の方法によって形成できる。MISFET20上には、層間絶縁膜28が形成されており、層間絶縁膜28内を貫通して、抵抗変化素子10の下部電極2とMISFET20の第1拡散層25aとを接続する導電ビア29が形成されている。
なお、図4に示す抵抗変化素子10は、第2タンタル酸化物層3bが上側に、第1タンタル酸化物層3aが下側に設けられているが、これとは上下逆に配置してもよい。その場合、下部電極2に対して上部電極4がマイナス極性となる電圧パルスを抵抗変化層3に印加したときに、抵抗変化層3が高抵抗化する。反対にプラス極性の電圧パルスを印加したときに抵抗変化層3が低抵抗化する。
MISFET20において、半導体基板24と、第1の拡散層25a及び第2の拡散層25bとは反対導電型である。半導体基板24がP型である場合、第1の拡散層25a及び第2の拡散層25bはN型である。この場合、MISFET20はN型MISFETである。反対に、半導体基板24がN型である場合、第1の拡散層25a及び第2の拡散層25bがP型である。この場合、MISFET20はP型MISFETである。図3(a)及び図4には、MISFET20がN型MISFET20である場合の接続関係が示されている。なお、後述するように、MISFET20がP型MISFET20である場合には、抵抗変化層3の上下配置が、MISFET20がN型MISFET20である場合の抵抗変化層3の上下配置と反対向きになるように接続される。
なお、MISFET20がN型であるとき、多数キャリアは電子である。他方、MISFET20がP型であるとき、多数キャリアは正孔である。一般的に、電子の移動度は正孔の移動度よりも大きいため、同じゲート絶縁膜26の構造(材料および膜厚)で、同じサイズのMISFET20を作成した場合、N型MISFETの方がP型MISFETより電流駆動能力が大きい。そのため、同じ電流駆動能力を有するMISFET20を作製する場合、N型MISFETの方が素子サイズを小さくできる。
図4で示した不揮発性記憶素子30の断面構造は一例であり、本実施の形態に係る不揮発性記憶素子30は、抵抗変化素子10の構造、及び電界効果トランジスタ20の構造、並びに抵抗変化素子10と電界効果トランジスタの接続部の構造はこれに限定されない。以下では、説明の簡便のため、特に断らない限り、図3及び図4に示す電界効果トランジスタ20はN型MISFET20であるものとして説明する。
[不揮発性記憶素子の駆動方法]
次に、上述したように構成された不揮発性記憶素子30の駆動方法について説明する。なお、以下では、抵抗変化素子10の抵抗値が所定の高い値(例えば、20000Ω)にある場合を高抵抗状態といい、同じく所定の低い値(例えば、700Ω)にある場合を低抵抗状態という。また、本明細書中では、抵抗変化素子10(または抵抗変化層3)が高抵抗状態から低抵抗状態へ変化することを低抵抗化と呼び、低抵抗状態から高抵抗状態へ変化することを高抵抗化と呼ぶことがある。
本実施の形態では、不揮発性記憶素子30に対して、電源等を用いて電圧を印加することにより、抵抗変化層3の抵抗状態を以下のように変化させることができる。
まず、第1の極性で電圧値がVLR、パルス幅がPWLRの電圧パルスを、抵抗変化素子10の第1の端子11とトランジスタ20の第2の入出力端子22間に印加することにより、抵抗変化層3を高抵抗状態から低抵抗状態へ変化させる。以下では、これを書き込みステップと呼び、このときに印加される電圧パルスを書き込み電圧パルスと呼び、このときに流れる電流を書き込み電流と呼ぶ。本明細書中において、第1の極性とは、抵抗変化層3を高抵抗状態から低抵抗状態へ変化させるのに要する電圧パルスの極性を意味する。例えば、図3(a)及び図4に示した接続関係にある場合、抵抗変化素子10内の上部電極4の電位が、N型MISFET20の第2の拡散層25bの電位に対して相対的に低くなるような電圧の極性が、第1の極性である。このとき、抵抗変化素子10に印加される電圧は、下部電極2に対して上部電極4がマイナス極性の電圧であるため、抵抗変化層3は高抵抗状態から低抵抗状態へ変化する。
次に、第1の極性とは異なる第2の極性で電圧値がVHR、パルス幅がPWHRの電圧パルスを、抵抗変化素子10の第1の端子11とトランジスタ20の第2の入出力端子22間に印加する。これにより、抵抗変化層3を低抵抗状態から高抵抗状態へ変化させる。以下では、これを消去ステップと呼び、このときに印加される電圧パルスを消去電圧パルスと呼び、このときに流れる電流を消去電流と呼ぶ。本明細書中において、第2の極性とは、抵抗変化層3を低抵抗状態から高抵抗状態へ変化させるのに要する電圧パルスの極性を意味する。例えば、図3(a)及び図4に示した接続関係にある場合、抵抗変化素子10内の上部電極4の電位が、N型MISFET20の第2の拡散層25bの電位に対して相対的に高くなるような電圧の極性が第2の極性である。このとき、抵抗変化素子10に印加される電圧は、下部電極2に対して上部電極4がプラス極性の電圧であるため、抵抗変化層3は低抵抗状態から高抵抗状態へ変化する。
以上の書き込みステップ及び消去ステップを繰り返すことにより、不揮発性記憶素子30が動作する。
抵抗変化層3が低抵抗状態及び高抵抗状態の何れの状態にあるかは、所定値の読み出し用の電圧パルス(以下、読み出し電圧パルスと呼ぶ)を印加して判定される。具体的には、読み出し電圧パルスを抵抗変化素子10の第1の端子11とトランジスタ20の第2の入出力端子22間に印加することにより、このときに抵抗変化層3を流れる電流(以下、読み出し電流と呼ぶ)の電流値に応じて抵抗変化素子10が高抵抗状態か低抵抗状態かが判定される。
読み出し電圧パルスによって抵抗変化素子10に印加される電圧値の大きさ(絶対値)は、抵抗変化層3に抵抗変化をもたらす閾値電圧よりも小さい。したがって、読み出し電圧パルスは、抵抗変化素子10の抵抗状態に影響を及ぼさない。例えば、抵抗変化層3が低抵抗状態にある場合に、第1の極性の読み出し電圧パルスが抵抗変化素子10及びトランジスタ20間に印加されたとしても、抵抗変化層3の抵抗状態は変化せず、低抵抗状態のままで維持される。同様にして、抵抗変化層3が高抵抗状態にある場合に、第2の極性の読み出し電圧パルスが抵抗変化素子10及びトランジスタ20間に印加されたとしても、抵抗変化層3の抵抗状態は変化せず、高抵抗状態のままで維持される。
本実施の形態に係る不揮発性記憶素子30に対して上記の駆動方法を実行すると、不揮発性記憶素子30を1つのメモリセルとして使用できる。例えば、抵抗変化層3が低抵抗状態にある場合を「1」に対応させ、高抵抗状態にある場合を「0」に対応させることにより、1ビットのメモリセルとなる。
[不揮発性記憶素子の接続関係と基板バイアス効果]
本実施の形態に係る不揮発性記憶素子30は、書き込みステップにおいて、第1の入出力端子21がソース端子となるように接続されている。言い換えると、書き込みステップにおいて、電界効果トランジスタ20の端子のうち、抵抗変化素子10と接続されている側の端子が、ソース端子となっている。
本明細書中において、「ソース」とは、電界効果トランジスタ20における多数キャリアの供給源を意味する。一方、「ドレイン」とは、電界効果トランジスタ20における多数キャリアの吸入口を意味する。第1の入出力端子21及び第2の入出力端子22のうち、一方がソース端子であるとき、他方がドレイン端子である。同様にして、第1の拡散層25a及び第2の拡散層25bのうち、一方がソース領域であるとき、他方がドレイン領域である。なお、電界効果トランジスタ20がN型であるとき、多数キャリアは電子である。他方、電界効果トランジスタ20がP型であるとき、多数キャリアは正孔である。
本実施の形態に係る電界効果トランジスタ20のように電流が双方向に流れる場合、電流の流れる方向によってソース及びドレインが切り替わる。本実施の形態では、不揮発性記憶素子30に印加される電圧の極性が、書き込みステップと消去ステップとで反対極性であるため、これに伴ってソースとドレインとが逆転する。すなわち、書き込みステップにおけるソース又はドレインは、消去ステップにおけるドレイン又はソースとなる。
電界効果トランジスタ20がN型MISFET20である場合、オン電流が第1の入出力端子21から第2の入出力端子22へ流れるとき、第1の入出力端子21はドレイン端子であり、第2の入出力端子22はソース端子である。一方、オン電流が第2の入出力端子22から第1の入出力端子21へ流れるとき、第1の入出力端子21はソース端子であり、第2の入出力端子22はドレイン端子である。
電界効果トランジスタ20がP型MISFET20である場合、オン電流が第1の入出力端子21から第2の入出力端子22へ流れるとき、第1の入出力端子21はソース端子であり、第2の入出力端子22はドレイン端子である。一方、オン電流が第2の入出力端子22から第1の入出力端子21へ流れるとき、第1の入出力端子21はドレイン端子であり、第2の入出力端子22はソース端子である。
電界効果トランジスタ20がN型MISFET20である場合、書き込みステップにおいて、図3(a)及び図4の不揮発性記憶素子30に印加される書き込み電圧パルスは、上述の通り、抵抗変化素子10内の上部電極4の電位(第1の端子11の電位)が、N型MISFET20の第2の拡散層25bの電位(第2の入出力端子22の電位)に対して相対的に低い電圧パルスである。このとき、電流は、第2の入出力端子22から、第1の入出力端子21、第2の端子12、第1の端子11の順で流れる。すなわち、書き込みステップにおいて、N型MISFET20の第1の入出力端子21がソース端子となる。
同様に考えると、消去ステップにおいて、図3(a)及び図4の不揮発性記憶素子30に印加される消去電圧パルスは、書き込みステップの場合と比べて電圧の極性が反対になるため、N型MISFET20の第2の入出力端子22がソース端子となる。
電界効果トランジスタ20がP型MISFET20である場合、後述するように、抵抗変化層3の上下配置が、電界効果トランジスタ20がP型MISFET20である場合の反対になる。したがって、書き込みステップにおいて、不揮発性記憶素子30に印加される書き込み電圧パルスは、抵抗変化素子10内の上部電極4の電位(第1の端子11の電位)が、P型MISFET20の第2の拡散層25bの電位(第2の入出力端子22の電位)に対して相対的に高い電圧パルスである。このとき、電流は、第1の端子11から第2の端子12、第1の入出力端子21、第2の入出力端子22の順で流れる。このとき、P型MISFET20を流れる多数キャリアは正孔である。したがって、書き込みステップにおいて、P型MISFET20の第1の入出力端子21がソース端子となる。
同様に考えると、消去ステップにおいて、不揮発性記憶素子30に印加される消去電圧パルスは、書き込みステップの場合と比べて電圧の極性が反対になるため、P型MISFET20の第2の入出力端子22がソース端子となる。
以下に、本実施形態の不揮発性記憶素子30の接続関係と、基板バイアス効果(body effect)の関連について、図3(a)及び図4の不揮発性記憶素子30を用いて説明する。以下で説明する基板バイアス効果の影響は、電界効果トランジスタ20がN型MISFET20である場合を例として説明するが、後述するように、電界効果トランジスタ20がN型MISFET20である場合に限らない。
書き込みステップにおいて、書き込み電圧は、抵抗変化素子10の第1の端子11に相対的に低い電位を、N型MISFET20の第2の入出力端子22に相対的に高い電位を与える。このとき、N型MISFET20のソース電位(第1の入出力端子21の電位)は、N型MISFET20のオン抵抗値と抵抗変化素子10の抵抗値との分圧関係で決まる。具体的には、抵抗変化素子10による電圧上昇の分、抵抗変化素子10の第1の端子11に比べて、ソース電位が高くなる。これにより、N型MISFET20において、基板バイアス効果の影響が大きくなり、N型MISFET20のオン電流値が制限される。その結果、N型MISFET20に接続されている抵抗変化素子10に流れる電流値も制限される。
一方、消去ステップにおいて、N型MISFET20のソース電位(第2の入出力端子22の電位)は、抵抗変化素子10による電圧降下の影響を受けず、第2の入出力端子22に印加される電位によって決まる。これは、N型MISFET20のソース端子(第2の入出力端子22)が、不揮発性記憶素子30の一端であることに起因する。例えば、N型MISFET20のソース電位(第2の入出力端子22の電位)は、半導体基板24の電位とほぼ同じに維持される。そのため、MISFET20に生じる基板バイアス効果の影響は小さく、N型MISFET20のオン電流値を比較的大きく採ることができる。その結果、これに接続されている抵抗変化素子10に流れる電流値も比較的大きく採ることができる。
本実施の形態によれば、書き込みステップで書き込み電流を制限し、消去ステップでより大きな消去電流を流すような接続関係および駆動方法としている。これにより、抵抗変化素子10の抵抗変化を安定的に得ることができる。以下に、その理由について説明する。
書き込みステップにおいて、抵抗変化層3に印加される電圧値の大きさが低抵抗化に要する閾値以上の大きさの電圧値であれば、抵抗変化層3の抵抗値の減少が急激に発生し、抵抗変化素子10を流れる書き込み電流の電流値の増大が急激に進行する。このとき、基板バイアス効果を用いて、この電流値を制限すると、これらの進行を適切な状態に留めることができる。その結果、低抵抗状態の抵抗値を、一定の低抵抗値に留めることができる。
他方、消去ステップにおいて、抵抗変化層3を安定に高抵抗化させるためには、消去電流を、書き込み電流(低抵抗化時に制限を受けた電流)に比べて電流値の絶対値が大きく、書き込み電流とは逆極性の電流とする必要がある。したがって、トランジスタの基板バイアス効果を小さくし、トランジスタを流れる電流値を大きくすることにより、高抵抗状態を安定して発現させることができる。
図5に、本実施の形態に係る不揮発性記憶素子30の電流−電圧特性を示す。このように、本実施の形態に係る不揮発性記憶素子30は、抵抗変化素子10を低抵抗化する際に、ある値以上の大きさの電圧値を有する電圧パルス(図5において、−1.8Vより絶対値が大きい電圧)を印加しても、抵抗変化素子10を流れる電流値が制限されるため、抵抗変化素子10はほぼ一定の低抵抗状態に留まっている(電流値が約−170μAの辺り)。不揮発性記憶素子30に印加される電圧が増加しても不揮発性記憶素子30に流れる電流がほぼ一定なのは、トランジスタが定電流源として機能しているためである。また、抵抗変化素子10を高抵抗化する際に、低抵抗化の際に抵抗変化素子10を流れた電流値以上の電流(約210μA)を、抵抗変化素子10に流すと、より安定した高抵抗状態を示すようになる。
[不揮発性記憶素子のその他の構成]
上述の基板バイアス効果を利用して安定的な抵抗変化を発現させたい場合、不揮発性記憶素子30は、書き込みステップにおいて、第1の入出力端子21がソース端子となるように接続(いわゆるソースフォロワ接続)されていればよく、図3及び図4の構成に限らない。以下に、その他の接続例について説明する。
図6(a)〜図6(f)は、図3で説明した不揮発性記憶素子30を含め、第1の入出力端子21がソース端子となるように接続されている、不揮発性記憶素子30を示す回路図である。
図6(a)〜図6(c)は、電界効果トランジスタ20としてN型MISFET20を備える不揮発性記憶素子30である。このとき、不揮発性記憶素子30に印加される書き込み電圧パルスの極性は、N型MISFET20の第2の入出力端子22の電位が、抵抗変化素子10の第1の端子11の電位よりも高くなる極性である。また、図6(a)〜図6(c)の抵抗変化素子10は、第2の端子12に対して第1の端子11がマイナス極性となる電圧パルスを抵抗変化素子10に印加したときに低抵抗化し、反対にプラス極性の電圧パルスを印加したときに抵抗変化層3が高抵抗化する条件を満たす素子であればよい。なお、抵抗変化素子10は、書き込みステップ(抵抗変化素子10の低抵抗化)において、抵抗変化素子10に流れる電流値に依存して低抵抗状態の抵抗値が決まる素子であることが望ましい。基板バイアス効果による電流制限の効果を活かすためである。
図6(a)に、図3の構成において電界効果トランジスタ20をN型MISFETとした場合における、抵抗変化素子10の構成、及び抵抗変化素子10とN型MISFETの接続例を示す。図6(b)に、抵抗変化素子10が図6(a)と同一の構成であり、ビット線とソース線の接続関係が図6(a)と反対である場合における、抵抗変化素子10とN型MISFETの接続例を示す。図6(c)に、抵抗変化素子10が図6(a)と同一の構成であり、固定された基準電圧を供給する基準電源にソース線を接続した場合における、抵抗変化素子10とN型MISFETの接続例を示す。この場合、基準電圧に対するビット線電圧を高くするか、低くするかで書き込み状態を制御する。
図6(d)〜図6(f)は、電界効果トランジスタ20としてP型MISFET20を備える不揮発性記憶素子30である。P型MISFET20を用いる場合、抵抗変化素子10は、図6(a)〜図6(c)に示す抵抗変化素子10とは逆向きに接続される。これは、P型MISFET20における、電流の流れる方向に対するソースとドレインの規定が、N型MISFET20をおける、電流の流れる方向に対するソースとドレインの規定と反対になるためである。このような接続関係を選ぶことにより、一方で書き込みステップにおいて基板バイアス効果の影響を大きくし、他方で消去ステップにおいて基板バイアス効果を小さくすることができる。
電界効果トランジスタ20としてP型MISFET20を備える場合、不揮発性記憶素子30に印加される書き込み電圧パルスの極性は、P型MISFET20の第2の入出力端子22の電位が、抵抗変化素子10の第1の端子11の電位よりも低くなる極性である。また、図6(d)〜図6(f)に示す抵抗変化素子10は、第2の端子12に対して第1の端子11がプラス極性となる電圧パルスを抵抗変化素子10に印加したときに低抵抗化し、反対にマイナス極性の電圧パルスを印加したときに抵抗変化層3が高抵抗化する条件を満たす素子であればよい。なお、抵抗変化素子10は、書き込みステップ(抵抗変化素子10の低抵抗化)において、抵抗変化素子10に流れる電流値に依存して低抵抗状態の抵抗値が決まる素子であることが望ましい。基板バイアス効果による電流制限の効果を活かすためである。
図6(d)に示す抵抗変化素子10は、書き込みステップ及び消去ステップにおける電圧の極性、電流の流れる方向が、図6(a)に示す抵抗変化素子10と逆になっている。この場合、P型MISFETの基板電圧は、例えば、電源電圧VDDなどの高電位が供給される。また、図6(d)の不揮発性記憶素子30をメモリセルとして用いる場合、図6(a)の不揮発性記憶素子30をメモリセルとして用いる場合に対して、メモリセル選択の際にワード線に印加する電圧の極性が逆になっている。その他の制御方法は図6(a)のN型MISFETで構成した場合と同じである。図6(e)に、抵抗変化素子10が図6(d)と同一の構成であり、ビット線とソース線の接続関係が図6(d)と反対である場合における、抵抗変化素子10とP型MISFET20の接続例を示す。図6(f)に、抵抗変化素子10が図6(e)と同一の構成であり、固定された基準電圧を供給する基準電源にソース線を接続した場合における、抵抗変化素子10とP型MISFET20の接続例を示す。この場合、基準電圧に対するビット線電圧を高くするか、低くするかで書き込み状態を制御する。
なお、図6(a)〜図6(f)に示す不揮発性記憶素子30はあくまでも一例であり、本実施の形態はその他の接続例にも適用できる。例えば、図6(c)および図6(f)において、ビット線と基準電位とを逆にして、電界効果トランジスタ20の第2の入出力端子22に基準電源を接続することもできる。
図7(a)〜図7(f)は、それぞれ図6(a)〜図6(f)の回路を実現するための、抵抗変化素子10の構成の例を示す断面図である。図7(a)〜図7(c)は、例えば、図2に示した構成と同様に、抵抗変化層3のうち、上部電極4側に酸素含有率の高い第2タンタル酸化物層3bを、下部電極2側に酸素含有率の低い第1タンタル酸化物層3aを備えている。図7(d)〜図7(f)は、例えば、図2に示した構成と反対に、抵抗変化層3のうち、上部電極4側に酸素含有率の低い第1タンタル酸化物層3aを、下部電極2側に酸素含有率の高い第2タンタル酸化物層3bを備えている。
なお、本実施の形態に係る抵抗変化素子10の構成はこれに限定されない。上述のとおり、第1の入出力端子21がソース端子となるように接続されていればよい。この接続関係は、抵抗変化素子10に印加される電圧パルスの極性(電流の方向)と、抵抗変化素子10の抵抗変化の方向(低抵抗化または高抵抗化)とによって決まる。すなわち、抵抗変化素子10はどのような構成であっても良く、バイポーラ駆動の抵抗変化素子10であれば、接続関係を適宜選んで適用できる。したがって、抵抗変化層3は、単層であっても、2層以上の積層構造であってもよい。また、抵抗変化層3の材料としては、タンタル酸化物の他にも、PCMO等のペロブスカイト系金属酸化物を用いることができる。抵抗変化層3が単層の場合は、フォーミング処理(例えば、高抵抗化電圧パルスと低抵抗化パルスを交互に印加する処理)により、電気的に高抵抗層を形成してもよい。
抵抗変化層3の低抵抗状態の抵抗値が、抵抗変化層3を流れる電流値に依存するような材料としては、タンタル酸化物の他にも、ジルコニウム(Zr)酸化物、ハフニウム(Hf)酸化物等の、酸素不足型の遷移金属酸化物を用いることができる。酸素不足型の遷移金属酸化物とは、化学量論的組成を有する遷移金属酸化物(通常は絶縁体)の組成より酸素含有量が少ない遷移金属酸化物を指す。これらの材料についても、積層構造で構成することができる。積層構造において、適切に酸素含有率を設定することによって、良好な抵抗変化を実現できる。また、抵抗変化層3の抵抗変化の方向(低抵抗化または高抵抗化)を予め規定することもできる。
ジルコニウム酸化物の積層構造を採用する場合は、第1ジルコニウム酸化物の組成をZrOxとし、第2ジルコニウム酸化物の組成をZrOyとすると、xが0.9以上、1.4以下程度であって、yが1.8以上、2.0以下程度であることが好ましい。
また、ハフニウム酸化物の積層構造を採用する場合は、第1ハフニウム酸化物の組成をHfOxとし、第2ハフニウム酸化物の組成をHfOyとすると、xが0.9以上、1.6以下程度であって、yが1.89以上、1.97以下程度であることが好ましい。
[不揮発性記憶素子の駆動電圧]
本実施の形態では、書き込み電圧パルスのパルス幅をPWLRとし、消去電圧パルスのパルス幅をPWHRとした場合に、それらパルス幅がPWLR<PWHRを満たすようにする。これにより、消去時における抵抗変化層3の高抵抗状態を、よりリーク電流の少ない緻密な高抵抗状態にすることができるため、書き込み時に、基板バイアス効果によって書き込み電流値が制限されたとしても、抵抗変化層3には低抵抗化のための実効電圧を十分印加することができる。その結果、良好なエンデュランス特性を実現できる。言い換えると、基板バイアス効果によって低抵抗変化状態の抵抗値を一定値に留め、かつ、抵抗変化のために十分な実効電圧を印加することができる。
これに対し、パルス幅をPWLR>PWHRとした場合、抵抗変化層3の高抵抗状態は、リーク電流が比較的大きな、あまり緻密でない高抵抗状態になるため、書き込み時には、抵抗変化層3を低抵抗化させるために必要な実効電圧を十分印加できず、その結果、抵抗変化層3が高抵抗化したままで低抵抗化しないという現象(以下、「HR張り付きエラー」という)が引き起こされる問題がある。
また、抵抗変化層3がタンタル酸化物から構成される場合、書き込み電圧パルスおよび消去電圧パルスの電圧値の絶対値が|VLR|=|VHR|を満たすことが望ましい。これにより、より良好なエンデュランス特性が得られる。
以下、不揮発性記憶素子30に印加される書き込み電圧パルスおよび消去電圧パルスと、エンデュランス特性との関係について、以下の実施例を用いて説明する。
図8から図10に、書き込み電圧パルスの電圧値VLRおよびパルス幅PWLR、ならびに消去電圧パルスの電圧値VHRおよびパルス幅PWHRを変化させた場合の抵抗変化層3のエンデュランス特性結果を示す。図8は、書き込み電圧パルスの電圧値VLRを−2.4V、パルス幅PWLRを50nsとし、消去電圧パルスの電圧値VHRを+2.0V、パルス幅PWHRを300nsとした場合の抵抗変化層3のエンデュランス特性を示すグラフである。図9は、書き込み電圧パルスの電圧値VLRを−2.4V、パルス幅PWLRを300nsとし、消去電圧パルスの電圧値VHRを+2.0V、パルス幅PWHRを50nsとした場合の抵抗変化層3のエンデュランス特性を示すグラフである。図10は、書き込み電圧パルスの電圧値VLRを−2.4V、パルス幅PWLRを100nsとし、消去電圧パルスの電圧値VHRを+1.8V、パルス幅PWHRを100nsとした場合の抵抗変化層3のエンデュランス特性を示すグラフである。また、横軸の繰り返し回数は対数表示されており、1.E+02とは、100、1.E+03とは、1000、1.E+04とは、10000を意味する。
なお、本実施例においては、図6(a)及び図7(a)に示す不揮発性記憶素子30を用いた。すなわち、電界効果トランジスタ20は、N型MISFET20である。また、本実施例では、N型MISFET20のゲート電圧Vgはいずれも2.4Vとした。
以下で説明する図8〜図10において、縦軸は、不揮発性記憶素子30に読み出し電圧(0.4V)を印加したときに流れる読み出し電流の電流値を、横軸は、書き込みステップ及び消去ステップを交互に繰り返し行ったときの繰り返し回数をそれぞれ示している。なお、繰り返し回数は、書き込みステップと消去ステップの1サイクルを1回とカウントしている。
図8〜図10において、グラフの各ポイントは、便宜上、1ポイント毎に複数回数分の読み出し電流値の分布を示している。具体的には、繰り返し回数が100回から1000回までは、書き込みステップ及び消去ステップを34回繰り返したときの読み出し電流の電流値の分布をポイント毎に示しており、また、繰り返し回数が1000回から10000回までは、書き込みステップ及び消去ステップを490回繰り返したときの読み出し電流の電流値の分布をポイント毎に示している。以下では、本実施例において繰り返し回数の基準とした10000回を、「基準エンデュランス回数」と呼ぶ。
図8〜図10において、各ポイントにおけるバーは、読み出し電流の電流値の分布を示しており、各ポイントにおける丸印は該電流値の中央値を示している。黒色で塗りつぶされた丸印は書き込みステップを行った後における読み出し電流の電流値の中央値を、白色の丸印は消去ステップを行った後における読み出し電流の電流値の中央値をそれぞれ示している。
図8は、PWLRを50nsとし、PWHRを300nsとした場合(PWLR<PWHR)の抵抗変化層3のエンデュランス特性を示すグラフである。図8に示すとおり、基準エンデュランス回数である10000回まで、HR張り付きエラーが発生せず、しかも、ウインドウがある状態が維持された。これは、PWLR<PWHRとした場合に、良好なエンデュランス特性を実現できることを示している。
図9は、PWLRを300nsとし、PWHRを50nsとした場合(PWLR>PWHR)の抵抗変化層3のエンデュランス特性を示すグラフである。
図9に示すとおり、繰り返し回数が基準エンデュランス回数である10000回に到達する前において、書き込みステップを行った後であっても高抵抗状態から低抵抗状態へ変化せず、高抵抗状態のままの現象が見られた(図9において「HR張り付きエラー」と付記した箇所を参照)。これは、上述したとおり、PWLR>PWHRとした場合に、このようなHR張り付きエラーが発生し、エンデュランス特性の低下を招くことを示している。
図10は、PWLRを100nsとし、PWHRを100nsとした場合(PWLR=PWHR)の抵抗変化層3のエンデュランス特性を示すグラフである。図10に示すとおり、繰り返し回数が基準エンデュランス回数である10000回まで、HR張り付きエラーが発生しなかった。しかしながら、図10に示されるように、基準エンデュランス回数である10000回に到達する前に、黒色の丸印から下に伸びるバーと白色の丸印から上に伸びるバーとが近接または重なった状態が見られた(図10において「ウインドウがない」と付記した箇所を参照)。以下では、双方のバーが近接または重なっていることを「ウインドウがない」と呼び、双方のバーが十分に離れていることを「ウインドウがある」と呼ぶ。ウインドウがない状態が発生すると、低抵抗状態と高抵抗状態との区別が困難になるため、読み出しエラー等が発生するおそれがある。したがって、図10に示される例では、読み出しエラー等により、記憶動作の安定性の低下を招くことを示している。
図11〜図14は、PWLRおよびPWHRの組み合わせを変えて得られた結果を、縦軸をPWHR、横軸をPWLRとしてまとめた、エンデュランス特性の良否を示すグラフである。ここで、基準エンデュランス回数である10000回に達するまでHR張り付きエラーが発生せず、ウインドウありの状態で駆動する場合を、白い丸印の記号で示し、基準エンデュランス回数である10000回に達するまでHR張り付きエラーが発生しないものの、ウインドウなしの状態が発生する場合を、黒い三角印の記号で示し、基準エンデュランス回数である10000回未満でHR張り付きエラーが発生する場合を、バツ印の記号で示している。
図11〜図14は、書き込み電圧パルスの電圧値VLRをいずれも−2.4Vとし、消去電圧パルスの電圧値をそれぞれ+2.4V、+2.2V、+2.0V、+1.8Vとした場合の抵抗変化層3のエンデュランス特性を示すグラフである。また、電界効果トランジスタ20のゲート電圧Vgは、いずれの場合も2.4Vとした。
図11は、書き込み電圧パルスの電圧値VLRを−2.4Vとし、消去電圧パルスの電圧値VHRを+2.4Vとした場合(│VLR│=│VHR│)の抵抗変化層3のエンデュランス特性を示すグラフである。図11に示すように、PWHR=PWLR及びPWLR>PWHRの場合において、基準エンデュランス回数未満でHR張り付きエラーが発生した(図11中のバツ印の記号)。PWLR<PWHRの場合において、基準エンデュランス回数に達するまでHR張り付きエラーも発生せず、ウインドウありで駆動した(白い丸印の記号)。
図12は、書き込み電圧パルスの電圧値VLRを−2.4Vとし、消去電圧パルスの電圧値VHRを+2.2Vとした場合(│VLR│>│VHR│)の抵抗変化層3のエンデュランス特性を示すグラフである。図12に示すように、PWLR>PWHRの場合において、基準エンデュランス回数未満でHR張り付きエラーが発生したもの(図12中のバツ印の記号)と、基準エンデュランス回数に達するまでHR張り付きエラーが発生しなかったが、ウインドウなしの状態が発生したもの(黒い三角印の記号)とが混在した結果が得られた。PWHR=PWLRの場合において、基準エンデュランス回数に達するまでHR張り付きエラーも発生せず、ウインドウありで駆動したもの(白い丸印の記号)と、基準エンデュランス回数未満でHR張り付きエラーが発生したもの(バツ印の記号)とが混在した結果が得られた。PWLR<PWHRの場合において、基準エンデュランス回数に達するまでHR張り付きエラーも発生せず、ウインドウありで駆動した(白い丸印の記号)。
図13は、書き込み電圧パルスの電圧値VLRを−2.4Vとし、消去電圧パルスの電圧値VHRを+2.0Vとした場合(│VLR│>│VHR│)の抵抗変化層3のエンデュランス特性を示すグラフである。図13に示すように、PWLR>PWHRの場合において、基準エンデュランス回数未満でHR張り付きエラーが発生したもの(図13中のバツ印の記号)と、基準エンデュランス回数に達するまでHR張り付きエラーが発生しなかったが、ウインドウなしの状態が発生したもの(黒い三角印の記号)とが混在した結果が得られた。PWHR=PWLRの場合において、基準エンデュランス回数に達するまでHR張り付きエラーも発生せず、ウインドウありで駆動したもの(白い丸印の記号)と、基準エンデュランス回数未満でHR張り付きエラーが発生したもの(バツ印の記号)とが混在した結果が得られた。PWLR<PWHRの場合において、基準エンデュランス回数に達するまでHR張り付きエラーも発生せず、ウインドウありで駆動した(白い丸印の記号)。
図14は、書き込み電圧パルスの電圧値VLRを−2.4Vとし、消去電圧パルスの電圧値VHRを+1.8Vとした場合(│VLR│>│VHR│)の抵抗変化層3のエンデュランス特性を示すグラフである。図14に示すように、PWLR>PWHRの場合において、基準エンデュランス回数に達するまでHR張り付きエラーが発生しなかったが、ウインドウなしの状態が発生した(図14中の黒い三角印の記号)。PWHR=PWLRの場合において、基準エンデュランス回数に達するまでHR張り付きエラーも発生せず、ウインドウありで駆動したもの(白い丸印の記号)と、基準エンデュランス回数未満でHR張り付きエラーが発生したもの(バツ印の記号)とが混在した結果が得られた。PWLR<PWHRの場合において、基準エンデュランス回数に達するまでHR張り付きエラーも発生せず、ウインドウありで駆動した(白い丸印の記号)。
以上の図11〜図14に示される何れの結果においても、PWLR<PWHRの場合に、基準エンデュランス回数に達するまでHR張り付きエラーも発生せず、ウインドウありで駆動している(白い丸印の記号)。したがって、書き込み電圧パルスのパルス幅PWLRおよび消去電圧パルスのパルス幅PWHRがPWLR<PWHRとの条件を満たす場合に、良好なエンデュランス特性を実現することが可能であることが分かる。また、PWHR=PWLRの場合は、PWLR及びPWHRの値並びにVLR及びVHRの値によってエンデュランス特性の良否が異なり、PWLR及びPWHRの値が比較的大きいときには良好なエンデュランス特性を得られることが確認できる。他方、PWLR>PWHRの場合はエンデュランス特性が低下しており、好ましくないことが確認できる。
なお、上記した実施例によって確認された、PWLR<PWHRとすることによる効果は、抵抗変化層3に低抵抗化のために十分な実効電圧を印加することにより、良好なエンデュランス特性を実現するものである。そのため、本実施例の抵抗変化材料に限らず、他の抵抗変化材料を用いた場合にも、同様の効果が得られると推定される。
また、図12〜14は、書き込み電圧パルスの電圧値VLRと消去電圧パルスの電圧値VHRとが、│VLR│>│VHR│を満たす場合の結果である。このとき、上述の図12〜図14に示される結果において、PWLR>PWHRまたはPWLR=PWHRの場合であっても、基準エンデュランス回数に達するまでHR張り付きエラーが発生しないもの(白い丸印の記号または黒い三角印の記号)が確認された。他方、図11は、書き込み電圧パルスの電圧値VLRと消去電圧パルスの電圧値VHRとが、│VLR│=│VHR│を満たす場合の結果である。このとき、図11に示される結果において、PWLR>PWHRおよびPWLR=PWHRの場合には、基準エンデュランス回数未満でHR張り付きエラーが発生した(バツ印の記号)。以上の結果から、PWLR<PWHRの場合に良好なエンデュランス特性を得られるという技術思想は、|VLR|=|VHR|の場合により顕著であり、|VLR|=|VHR|という条件と強い関連性があると考えられる。つまり、|VLR|=|VHR|を境界とした│VLR│≧│VHR│であることが、よりエンデュランス特性の向上に効果的であると考えられる。
ここで、エンデュランス特性の向上のための不揮発性記憶素子30に印加される書き込み電圧パルスおよび消去電圧パルスのパルス幅と電圧値との関係についての補強的データとして、PWLR=PWHRの場合に│VLR│>│VHR│としたときのエンデュランス特性について説明する。
図15から図19に、同じ書き込み電圧パルスの電圧値VLRに対し、異なる消去電圧パルスの電圧値VHRで消去した場合のエンデュランス特性結果を示す。
なお、図15〜図19に係る実施例においては、図6(a)及び図7(a)に示す不揮発性記憶素子30を用いた。すなわち、電界効果トランジスタ20は、N型MISFET20である。
本実施例では、N型MISFET20のゲート電圧Vgは2.4Vとし、書き込み電圧パルスのパルス幅PWLR及び消去電圧パルスのパルス幅PWHRを何れも100nsとした。書き込み電圧パルス及び消去電圧パルスのパルス幅を同じパルス幅とすることにより、書き込みステップと消去ステップのスピードを同じにすることができる。そのため、スピードの速い一方のステップが、スピードの遅い他方のステップ影響を受けて遅延することなく、書き込み及び消去全体のスピードを早くすることができる。これにより、例えば、多ビット同時書き込み等の制御が容易になる。
以下で説明する図15〜図19において、縦軸は、不揮発性記憶素子30に読み出し電圧(0.4V)を印加したときに流れる読み出し電流の電流値を、横軸は、書き込みステップ及び消去ステップを交互に繰り返し行ったときの繰り返し回数をそれぞれ示している。なお、繰り返し回数は、書き込みステップと消去ステップの1サイクルを1回とカウントしている。
図15〜図19において、グラフの各ポイントは、便宜上、1ポイント毎に複数回数分の読み出し電流値の分布を示している。具体的には、繰り返し回数が100から1000までは、書き込みステップ及び消去ステップを34回繰り返したときの読み出し電流の電流値の分布をポイント毎に示しており、また、繰り返し回数が1000から10000までは、書き込みステップ及び消去ステップを490回繰り返したときの読み出し電流の電流値の分布をポイント毎に示している。以下では、本実施例において繰り返し回数の基準とした1000回および10000回を、それぞれ「第1基準エンデュランス回数」、「第2基準エンデュランス回数」と呼ぶ。
図15〜図19において、各ポイントにおけるバーは、読み出し電流の電流値の分布を示しており、各ポイントにおける丸印は該電流値の中央値を示している。黒色で塗りつぶされた丸印は書き込みステップを行った後における読み出し電流の電流値の中央値を、白色の丸印は消去ステップを行った後における読み出し電流の電流値の中央値をそれぞれ示している。
図15は、VLRを−2.2Vとし、VHRを+2.2Vとした場合(|VLR|=|VHR|)の抵抗変化層3のエンデュランス特性を示すグラフである。
図15に示すとおり、繰り返し回数が第1の基準エンデュランス回数である1000回に到達する前において、書き込みステップを行った後であっても高抵抗状態から低抵抗状態へ変化せず、高抵抗状態のままの現象が見られた(図15において「HR張り付きエラー」と付記した箇所を参照)。これは、上述したとおり、|VLR|=|VHR|とした場合に、このようなHR張り付きエラーが発生し、エンデュランス特性の低下を招くことを示している。
図16は、VLRを−2.2Vとし、VHRを+1.7Vとした場合(|VLR|>|VHR|)の抵抗変化層3のエンデュランス特性を示すグラフである。図16に示すとおり、繰り返し回数が第2の基準エンデュランス回数である10000回まで、HR張り付きエラーが発生しなかった。
図17は、VLRを−2.2Vとし、VHRを+2.0Vとした場合(|VLR|>|VHR|)の抵抗変化層3のエンデュランス特性を示すグラフである。図17に示すとおり、繰り返し回数が第1の基準エンデュランス回数である1000回までは「HR張り付きエラー」は発生しなかったが、第2の基準エンデュランス回数である10000回に到達する前の約3000回からHR張り付きエラーが発生した。
図18は、VLRを−2.2Vとし、VHRを+2.3V(|VLR|<|VHR|)とした場合の抵抗変化層3のエンデュランス特性を示すグラフである。図18に示すとおり、繰り返し回数が第1の基準エンデュランス回数である1000回に到達する前の約300回からHR張り付きエラーが発生した。
図19は、VLRを0.2Vステップで、またVHRの値を0.1Vステップで変化させてエンデュランス特性を評価し、得られた結果を、縦軸をVLRの絶対値、横軸をVHRの絶対値としてまとめたグラフである。ここで、第2の基準エンデュランス回数である10000回に達するまでHR張り付きエラーが発生しない場合を、白い丸印の記号で示し、第1の基準エンデュランス回数である1000回から第2の基準エンデュランス回数である10000回の間でHR張り付きエラーが発生する場合を、記号白い三角印の記号で示し、第1の基準エンデュランス回数である1000回未満でHR張り付きエラーが発生する場合を、バツ印の記号で示している。なお、ここではVLRのステップを0.2V、VHRのステップを0.1Vとしたが、抵抗変化素子10の特性により他のステップの電圧値を用いてもよい。
図19に示すように、|VLR|=|VHR|及び|VLR|<|VHR|の場合は、1000回未満でHR張り付きエラーが発生している。|VLR|>|VHR|から|VLR|=|VHR|+0.3Vまでの場合は、1000回未満でHR張り付きエラーが発生せず、1000回〜10000回でHR張り付きエラーが発生している。|VLR|>|VHR|+0.3Vの場合は、10000回に達するまでHR張り付きエラーが発生していない。すなわち、本実施の形態におけるVLR及びVHRの関係は、|VLR|>|VHR|が望ましく、さらに|VLR|>|VHR|+0.3Vであることがより望ましいといえる。
このVLR及びVHRを|VLR|>|VHR|とすることによる効果は、基板バイアス効果によって制限される電流値を大きくすることによって張り付きエラーを抑制するものである。そのため、本実施例の抵抗変化材料に限らず、他の抵抗変化材料を用いた場合にも、同様の効果が得られると推認される。
ただし、VLR及びVHRを|VLR|>|VHR|+0.3Vとすることによる、より望ましい効果の度合いは、抵抗変化材料によって異なると推定される。具体的には、上記の0.3Vという値は、抵抗変化層3がタンタル酸化物を含んで構成される場合の値であり、他の抵抗変化材料においては、異なる値をとる場合があり得る。
上記図15〜図19は、PWLR=PWHRの場合のエンデュランス特性を示す図であり、図8〜図14におけるPWLR=PWHRの直線上のエンデュランス特性を詳細に示した図に相当する。上記のように、図15〜図19においては、PWLR=PWHRのときに|VLR|>|VHR|+0.3Vがより望ましいことが確認されている。
また、図11〜図14におけるPWLR=PWHRの直線上のエンデュランス特性を比較すると、図11に示す|VLR|=|VHR|、図12に示す|VLR|>|VHR|+0.2V、図13に示す|VLR|>|VHR|+0.4Vにかけては、第2の基準エンデュランス回数である10000回に達するまでHR張り付きエラーが発生しない場合(白い丸印の記号)が増加している。また、図14に示す|VLR|>|VHR|+0.6Vにおける白い丸印の記号の数は、図13に示す|VLR|>|VHR|+0.4Vの場合から変化がない。したがって、図11〜図14においても、PWLR=PWHRの場合については、エンデュランス特性を安定させるための電圧値は、|VLR|>|VHR|+0.3Vであることがより望ましいということができる。また、図11〜図14において、PWLR=PWHRの場合よりもPWLR<PWHRの場合のほうが全体的にエンデュランス特性が向上していることから、PWLR<PWHRの場合についても|VLR|>|VHR|+0.3Vであることがより望ましいということができる。
以上のように、抵抗変化層3を高抵抗状態から低抵抗状態へ変化させるための電圧パルスをトランジスタ20及び抵抗変化素子10に印加した場合にトランジスタ20において基板バイアス効果が発生するような不揮発性記憶素子30の構成において、書き込み電圧パルスのパルス幅PWLR及び消去電圧パルスのパルス幅PWHRがPWLR<PWHRを満たすよう駆動することによって、良好なエンデュランス特性を有する不揮発性記憶素子30を実現できる。
(実施の形態2)
実施の形態2は、実施の形態1において説明した不揮発性記憶素子30を備える、1トランジスタ/1抵抗変化素子(1T1R)で構成される不揮発性記憶装置である。以下、この不揮発性記憶装置の構成及び動作について説明する。
[不揮発性記憶装置の構成]
図20は、本実施の形態に係る不揮発性記憶装置100の構成の一例を示すブロック図である。図20に破線で示すように、不揮発性記憶装置100は、メモリアレイ101と、電圧印加ユニット102とを備える。メモリアレイ101は、実施の形態1で示した不揮発性記憶素子がアレイ状に複数配置されており、各不揮発性記憶素子がそれぞれメモリセルを構成する。電圧印加ユニット102は、アドレス入力回路103と、制御回路104と、書き込み用電源部105と、メモリ駆動回路106とを備える。
別の見方として、図20に一点鎖線で示すように、メモリアレイ101及びメモリ駆動回路106を含む領域をメモリ本体部107と定義すれば、不揮発性記憶装置100は、メモリ本体部107と、アドレス入力回路103と、制御回路104と、書き込み用電源部105とを備える。
メモリ駆動回路106は、外部回路からアドレス入力回路103及びデータ入出力回路110に入力されたアドレス信号及びデータ信号に基づき、メモリアレイ101の所定のメモリセルを選択し、書き込み用電源部105等から入力された書き込み電圧、消去電圧を用いて選択メモリセルに所定のデータをプログラム(つまり、書き込み)し、または、読み出し電圧を選択メモリに印加してメモリセルの情報をデータ入出力回路110から読み出し、データを外部に出力する。メモリ駆動回路106は、例えば、行選択回路108と、行ドライバ109と、データ入出力回路110と、書き込み回路111と、列選択回路112と、列ドライバ113と、読み出し回路114とを備える。書き込み用電源部105は、書き込み電圧パルス及び消去電圧パルスを設定する。書き込み用電源部105は、例えば、パルス幅設定回路115と、LR化用電源116と、HR化用電源117とを備える。以下では、パルス幅設定回路115が、LR化用電源116およびHR化用電源117とは別の1つのブロックとして機能する例について説明するが、これに限定されない。例えば、LR化用電源116およびHR化用電源117から各々出力される電源電圧に対してパルス幅が設定される構成としてもよい。
メモリアレイ101は、図20に示すように、横方向に延びる2本のワード線W1,W2と、当該ワード線W1,W2と交差して縦方向に延びる2本のビット線B1,B2と、当該ビット線B1,B2に一対一で対応して設けられる縦方向に延びる2本のソース線S1,S2と、ワード線W1,W2及びビット線B1,B2との各交差点に対応してマトリクス状に設けられた4個のメモリセルMC111,MC112,MC121,MC122を具備している。
なお、これらの各構成要素の個数または本数は上記のものに限定されるわけではない。例えば、図20のメモリアレイ101には上記のように4個のメモリセルが記載されているが、これは一例であり、5個以上のメモリセルを具備する構成であってもよい。なお、以下では、簡便のためにメモリセルが4個である場合について説明する。
上述したメモリセルMC111,MC112,MC121,MC122は、実施の形態1における不揮発性記憶素子30を含む。図3を併せて参照しながらメモリアレイ101の構成についてさらに説明する。ビット線B1とソース線S1との間にメモリセルMC111が設けられており、メモリセルMC111はトランジスタT111と抵抗変化素子R111とが直列に接続された不揮発性記憶素子で構成されている。より詳しく説明すると、トランジスタT111は、ビット線B1と抵抗変化素子R111との間で、ビット線B1及び抵抗変化素子R111と接続されており、抵抗変化素子R111は、トランジスタT111とソース線S1との間で、トランジスタT111及びソース線S1と接続されている。また、トランジスタT111のゲート端子はワード線W1に接続されている。
なお、他の3個のメモリセルMC112,MC121,MC122を構成する、トランジスタT112,T121,T122及び抵抗変化素子R112,R121,R122の接続状態は、メモリセルMC111を構成するトランジスタT111及び抵抗変化素子R111の場合と同様であるので、説明を省略する。
以上の構成により、トランジスタT111,T112,T121,T122のそれぞれのゲートに、ワード線W1,W2を介して所定の電圧(ゲート電圧)が供給されると、トランジスタT111,T112,T121,T122のドレイン及びソース間が導通する。
アドレス入力回路103は、外部装置(図示せず)からアドレス信号を受け取り、このアドレス信号に基づいて行アドレス信号を行選択回路108に出力するとともに、列アドレス信号を列選択回路112に出力する。ここで、アドレス信号は、メモリセルMC111,MC112,MC121,MC122のうちの選択されるメモリセルのアドレスを示す信号である。また、行アドレス信号は、アドレス信号に示されたアドレスのうちの行のアドレスを示す信号であり、列アドレス信号は、同じく列のアドレスを示す信号である。
行選択回路108は、アドレス入力回路103から供給された行アドレス信号を受け取り、当該行アドレス信号に基づき、選択する行のワード線(例えばワード線W1)を決定する。具体的には、トランジスタ(トランジスタT111,T112)をオン状態にするための所定の電圧(ゲート電圧)を印加するように行ドライバ109を制御する。一方、非選択の行のワード線(例えばワード線W2)には、メモリセルを構成するトランジスタをオフ状態にするための所定の電圧を印加するように、あるいは電圧を印加しないように行ドライバ109を制御する。行ドライバ109は、各ワード線に接続されたワード線ドライバWLDを備え、該ワード線ドライバWLDによってワード線に電圧が印加される。
列選択回路112は、アドレス入力回路103から供給された列アドレス信号を受け取り、当該列アドレス信号に基づき、選択する列のソース線(例えばソース線S1)、ビット線(例えばビット線B1)を決定する。具体的には、書き込み用電圧、消去用電圧、又は読み出し用電圧をソース線及びビット線間に印加するように列ドライバ113を制御し、当該ソース線及びビット線間に接続されているトランジスタ(例えばトランジスタT111,T121)のに所定の電圧(例えばソース電圧/ドレイン電圧)を印加する。一方、非選択の列のソース線(例えばソース線S2)及び非選択のビット線(例えばビット線B2)に対しては、非選択電圧を印加するように列ドライバ113を制御する。列ドライバ113は、各ソース線に接続されたソース線ドライバSLDを備え、該ソース線ドライバSLDによってソース線に電圧が印加される。
以上により、選択された行及び列の交差する位置に接続されたメモリセル(例えばメモリセルMC111)が選択される。
読み出し回路114は、選択したメモリセルが低抵抗状態であるか、高抵抗状態であるかの判定を行い、これを論理結果として出力し、当該メモリセルに記憶されているデータの状態を判定する。ここで得られた出力データは、データ入出力回路110を介して、外部装置へ出力される。また、読み出し回路114には、高抵抗状態のレベル(高抵抗値)を判定させることもできる。この場合、不揮発性記憶素子の高抵抗値が、低抵抗張り付きを起こす所定の閾値を越えているか否かを判定し、この判定結果の情報を、制御回路104へと供給する。
書き込み回路111は、データ入出力回路110を介して、外部装置から入力された入力データに応じた書き込み用電圧を、列選択回路112にて選択されたソース線及びビット線に印加する。
制御回路104は、外部装置または読み出し回路114から受け取ったコントロール信号に応じて、書き込みモード(上記の「書き込みステップ」及び「消去ステップ」に相当する)及び読み出しモードのうちのいずれか1つのモードを選択する。具体的には、制御回路104は、選択されたメモリセルにデータが書き込まれるように書き込み用電源部105と書き込み回路111とを制御する。ここでは、制御回路104は、書き込み時の電圧パルスの電圧レベルを指示する電圧・パルス幅設定信号を書き込み用電源部105へ供給する。
書き込みモードの場合、制御回路104は、外部回路から受け取った入力データに応じて、「書き込み電圧パルス印加」を指示する制御信号を書き込み回路111及び列ドライバ113に出力する。
読み出しモードの場合、制御回路104は、「読み出し電圧パルス印加」を指示する制御信号を列ドライバ113に出力する。この読み出しモードでは、制御回路104は、さらに、列ドライバ113から、ソース線S1,S2を流れる電流値を示す信号を受け取る。この電流値は、センスアンプ等(図示せず)により測定される。制御回路104では、受け取った信号を、ビット値を示す出力データに変換し、外部装置へ出力する。この出力データは、選択/非選択ソース線に印加された書き込み電圧パルスの値に対応している。
[不揮発性記憶装置の動作]
上記のとおり、本実施の形態に係る不揮発性記憶装置の場合、書き込みモードにおいて、実施の形態1において説明した「書き込みステップ」及び「消去ステップ」を実行する。そして、「書き込みステップ」において各メモリセルに対して印加する書き込み電圧パルスのパルス幅PWLRと、「消去ステップ」において同じく印加する消去電圧パルスのパルス幅PWHRとが、PWLR<PWHRを満たすように制御される。これにより、不揮発性記憶装置100は、良好なエンデュランス特性を実現できる。
[不揮発性記憶装置のその他の構成]
図21は、本実施の形態に係る不揮発性記憶装置の構成の変形例を示すブロック図である。図21の不揮発性記憶装置200は、上述の不揮発性記憶装置100とメモリ本体部207の構造が一部異なる。具体的には、メモリアレイ201の構成が異なり、それに伴って、メモリ駆動回路206を含む電圧印加ユニット202が異なる。なお、不揮発性記憶装置100と構成が同じ部分については、同じ参照番号を付して、説明を省略する。
なお、図20のメモリアレイ201には12個のメモリセルが記載されているが、これは一例であり、それ以外の個数のメモリセルを具備する構成であってもよい。なお、以下では、簡便のためにメモリセルが12個である場合について説明する。
不揮発性記憶装置200のメモリアレイ201は、隣接する2行のメモリセルが、横方向に延びる共通のソース線に接続されている。例えば、メモリセルMC211と、それに隣接するメモリセルMC221とが、共通のソース線S1に接続されている。また、ソース線ドライバSLDは、行ドライバ209側に配置されている。
行選択回路108は、アドレス入力回路103から供給された行アドレス信号を受け取り、当該行アドレス信号に基づき、選択する行のワード線(例えばワード線W1)及びソース線(例えばソース線S1)を決定する。具体的には、ワード線(例えばワード線W1)に対して、トランジスタ(トランジスタT211,T212,T213)をオン状態にするための所定の電圧(ゲート電圧)を印加し、書き込み用電圧、消去用電圧、又は読み出し用電圧をソース線(例えばソース線S1)に印加するように行ドライバ209を制御する。一方、非選択の行のワード線(例えばワード線W2,W3,W4)には、メモリセルを構成するトランジスタをオフ状態にするための所定の電圧を印加するように、あるいは電圧を印加しないように行ドライバ209を制御する。また、非選択の行のソース線(例えばソース線S1,S2)には、非選択電圧を印加するように行ドライバ209を制御する。
列選択回路112は、アドレス入力回路103から供給された列アドレス信号を受け取り、当該列アドレス信号に基づき、選択する列のビット線を選択する。具体的には、選択する列のビット線(例えばビット線B1)には書き込み用電圧、消去用電圧、又は読み出し用電圧を印加し、非選択のビット線(例えばビット線B2,B3)には、非選択電圧を印加する。
以上により、選択された行及び列の交差する位置に接続されたメモリセル(例えばメモリセルMC211)が選択される。
不揮発性記憶装置200においても、不揮発性記憶装置100と同様に、書き込み電圧パルスのパルス幅PWLRと、消去電圧パルスのパルス幅PWHRとが、PWLR<PWHRを満たすように制御することができる。これにより、不揮発性記憶装置200においても、良好なエンデュランス特性を実現できる。
なお、本実施の形態2におけるメモリアレイの構成および回路構成は一例であり、上記に限定されない。各ブロック図における回路には、公知の回路を用いることができる。また、上記で示した実施の形態および公知の構成を適宜組み合わせることによって新たな実施の形態を実現できる。
以上、本発明に係る不揮発性記憶素子の駆動方法及び不揮発性記憶装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。