JP5262110B2 - 反射防止膜付き基体 - Google Patents
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Description
しかしながら、窒化チタン層と酸化ケイ素層との積層膜は、膜抵抗率が低いため、電磁波を遮蔽してしまう。
これに対して、可視光の透過率が高く、反射率が低く、膜抵抗率が高い反射防止膜として、酸化チタン層と酸化ケイ素層との積層膜が知られている。
しかしながら、反射防止膜として酸化チタン層と酸化ケイ素層との積層膜を有するガラス板は、曲げ加工や強化加工をする際、熱処理によって該積層膜にクラックが発生するという問題を有していた。
本発明者は、更に、鋭意研究を続けた結果、酸化チタン層に窒素を含有させる手法、もしくは酸化チタン層に隣接して酸化ジルコニウム層を設ける手法、またはこれらを併用する手法により、熱処理を受けてもクラックが発生しないようにすることができることを見出し、本発明を完成させた。
[1]透明基体と、屈折率が1.90以上の高屈折率材料からなる被膜と屈折率が1.56以下の低屈折率材料からなる被膜とを前記透明基体側からこの順に偶数層積層してなる反射防止膜とを有する反射防止膜付き基体であって、前記高屈折率材料からなる被膜の少なくとも1層が、酸窒化チタン層の単層膜(a)、酸化チタン層と酸化ジルコニウム層とを含む積層膜(b)または酸窒化チタン層と酸化ジルコニウム層とを含む積層膜(c)である、ことを特徴とする反射防止膜付き基体。
[2]透明基体と、屈折率が1.90以上の高屈折率材料からなる被膜と屈折率が1.56以下の低屈折率材料からなる被膜とを前記透明基体側からこの順に偶数層積層してなる反射防止膜とを有する反射防止膜付き基体であって、前記高屈折率材料からなる被膜の少なくとも1層が、酸窒化チタン層の単層膜(a)、酸化チタン層と酸化ジルコニウム層との積層膜(b1)または酸窒化チタン層と酸化ジルコニウム層との積層膜(c1)である、ことを特徴とする反射防止膜付き基体。
[3]前記高屈折率材料からなる被膜の少なくとも1層が、酸窒化チタン層と酸化ジルコニウム層との積層膜(c1)である、前記[2]に記載の反射防止膜付き基体。
[4]透明基体と、屈折率が1.90以上の高屈折率材料からなる被膜と屈折率が1.56以下の低屈折率材料からなる被膜とを前記透明基体側からこの順に4層積層してなる反射防止膜とを有する反射防止膜付き基体であって、前記反射防止膜が、透明基体側から、屈折率が1.90以上の高屈折率材料からなる被膜、酸化ケイ素の単層膜、酸窒化チタン層と酸化ジルコニウム層との積層膜(c1)、酸化ケイ素の単層膜がこの順に積層された反射防止膜であることを特徴とする反射防止膜付き基体。
[5]前記屈折率が1.90以上の高屈折率材料からなる被膜が酸化チタン層の単層膜である前記[4]に記載の反射防止膜付き基体。
[6]入射角60°で前記反射防止膜側から入射した光の前記反射防止膜面での反射が、可視光反射率として6%以下である前記[1]〜[5]のいずれかに記載の反射防止膜付き基体。
[7]前記酸窒化チタン層におけるチタンに対する窒素の量が、0.1〜80at%である前記[1]〜[6]のいずれかに記載の反射防止膜付き基体。
[8]熱処理前における前記酸窒化チタン層におけるチタンに対する窒素の量が、2〜40at%である前記[1]〜[7]のいずれかに記載の反射防止膜付き基体。
[9]熱処理後における前記酸窒化チタン層におけるチタンに対する窒素の量が、0.1〜20at%である前記[1]〜[8]のいずれかに記載の反射防止膜付き基体。
[10]前記[1]〜[9]のいずれかに記載の反射防止膜付き基体を加熱炉内に搬入し曲げ成形温度まで加熱する加熱工程と、所望の形状に曲げ成形する工程とを有する反射防止膜付き基体の加工方法。
本発明の反射防止膜付き基体は、透明基体と、屈折率が1.90以上の高屈折率材料からなる被膜と屈折率が1.56以下の低屈折率材料からなる被膜とを前記透明基体側からこの順に偶数層積層してなる反射防止膜とを有する反射防止膜付き基体であって、前記高屈折率材料からなる被膜の少なくとも1層が、酸窒化チタン層の単層膜(a)、酸化チタン層と酸化ジルコニウム層とを含む積層膜(b)または酸窒化チタン層と酸化ジルコニウム層とを含む積層膜(c)である、反射防止膜付き基体である。好ましくは、本発明の反射防止膜付き基体は、透明基体と、屈折率が1.90以上の高屈折率材料からなる被膜と屈折率が1.56以下の低屈折率材料からなる被膜とを前記透明基体側からこの順に偶数層積層してなる反射防止膜とを有する反射防止膜付き基体であって、前記高屈折率材料からなる被膜の少なくとも1層が、酸窒化チタン層の単層膜(a)、酸化チタン層と酸化ジルコニウム層との積層膜(b1)または酸窒化チタン層と酸化ジルコニウム層との積層膜(c1)である、反射防止膜付き基体である。
積層される高屈折率材料からなる被膜および低屈折率材料からなる被膜は、合計で、2層、4層、6層または8層であるのが好ましく、2層、4層または6層であるのがより好ましく、4層であるのがとりわけ好ましい。
酸窒化チタン層の単層膜(a)は、酸窒化チタン(TiOxNy)層のみからなる膜である。酸窒化チタン層は、酸化チタン層に比べて、熱処理時に結晶化が進行しにくい。このため、クラックの発生を抑制することができる。
酸窒化チタン(TiOxNy)層は、チタンに対する窒素の量が0.1〜80at%であるのが好ましい。チタンに対する窒素の量が上記範囲であると、クラックの発生を抑制する効果がより大きくなる。クラックの発生を抑制する効果をさらに大きくするためには、熱処理前におけるチタンに対する窒素の量が2〜40at%であることが好ましく、3〜40at%であることが特に好ましい。
なお、本発明においては、酸窒化チタン層の組成(チタンに対する窒素の量)は、X線光電子分光法(XPS)、ESCA等により分析することができる。
酸窒化チタン層の製造方法については、後述する。
酸化チタン層と酸化ジルコニウム層とを含む積層膜(b)は、1層以上の酸化チタン層と1層以上の酸化ジルコニウム層とを含む積層膜である。積層膜(b)に含まれる酸化チタン層は1層または2層であることが好ましく、積層膜(b)に含まれる酸化ジルコニウム層は1層また2層であることが好ましい。また、積層膜(b)に含まれる酸化チタン層と酸化ジルコニウム層とは隣接して積層されていることが好ましい。
酸化チタン層と酸化ジルコニウム層との積層膜(b1)、
酸化チタン層と酸化ジルコニウム層と酸化チタン層との積層膜、
酸化ジルコニウム層と酸化チタン層と酸化ジルコニウム層との積層膜、
酸化チタン層と酸化ジルコニウム層と酸化チタン層と酸化ジルコニウム層との積層膜。
透明基体側からZrO2/TiO2からなる2層構造、
透明基体側からTiO2/ZrO2/TiO2からなる3層構造、
透明基体側からZrO2/TiO2/ZrO2からなる3層構造、
透明基体側からZrO2/TiO2/ZrO2/TiO2からなる4層構造。
酸化ジルコニウム層の屈折率は、酸化チタン層の屈折率に比べて小さい。そのため、積層膜(b)の屈折率は、酸化チタン層の単層膜に比べて小さくなる。酸化ジルコニウム層の幾何学的厚さが50nm以下であると、積層膜(b)の屈折率が十分に高くなる。
酸窒化チタン層と酸化ジルコニウム層とを含む積層膜(c)は、1層以上の酸窒化チタン層と1層以上の酸化ジルコニウム層とを含む積層膜である。積層膜(c)に含まれる酸窒化チタン層は1層または2層であることが好ましく、層膜(c)に含まれる酸化ジルコニウム層は1層または2層であることが好ましい。また、積層膜(c)に含まれる酸窒化チタン層と酸化ジルコニウム層とは隣接して積層されていることが好ましい。
積層膜(c)の酸窒化チタン(TiOxNy)層におけるチタンに対する窒素の量は、前記(a)の酸窒化チタン(TiOxNy)層の単層膜におけるチタンに対する窒素の量と同様である。xおよびyの値についても同様である。
積層膜(c)の構造は、酸窒化チタン層と酸化ジルコニウム層とが隣接して積層されていれば特に限定されず、例えば下記の構造が挙げられる。
酸窒化チタン層と酸化ジルコニウム層と酸窒化チタン層との積層膜、
酸化ジルコニウム層と酸窒化チタン層と酸化ジルコニウム層との積層膜、
酸窒化チタン層と酸化ジルコニウム層と酸窒化チタン層と酸化ジルコニウム層の積層膜。
これらのうち、積層膜(c1)が好ましい。酸窒化チタン層と酸化ジルコニウム層との積層膜(c1)は、酸窒化チタン(TiOxNy)層と酸化ジルコニウム(ZrO2)層とが隣接して積層されている膜である。
透明基体側からZrO2/TiOxNyからなる2層構造(c1−1)、
透明基体側からTiOxNy/ZrO2/TiOxNyからなる3層構造、
透明基体側からZrO2/TiOxNy/ZrO2からなる3層構造、
透明基体側からZrO2/TiOxNy/ZrO2/TiOxNyからなる4層構造。
酸化ジルコニウム層の幾何学的厚さが5nm以上であると、成膜時に結晶化する部分がより多くなり、酸窒化チタン層のクラックの発生をより効果的に抑制することができる。
なお、各層の製造方法については後述する。
低屈折率材料からなる被膜は、特に限定されず、従来公知の層を用いることができる。
例えば、酸化ケイ素(SiO2)層が好ましい。
低屈折率材料からなる被膜の屈折率は、1.56以下であればよいが、1.45以上であるのが好ましい。
酸窒化チタン層、酸化チタン層、酸化ジルコニウム層および必要により積層される他の高屈折率材料からなる層、ならびに、低屈折率材料からなる被膜を構成する層の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができるが、いずれもスパッタリング法で成膜するのが好ましい。
酸化チタン層の製造においては、例えば、ターゲットとしてTiOx(1<x<2)を用い、スパッタガスとして酸素原子を含むガスを含有するガスを用いて、反応性スパッタリング法を行う方法が好適に挙げられる。
不活性ガスとしては、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスが挙げられる。中でも、経済性および放電のしやすさの点から、アルゴンが好ましい。
酸素原子を含むガスを含有するガスは、酸素原子を含むガスを含有するものであれば特に限定されず、例えば、酸素原子を含むガス、酸素原子を含むガスと不活性ガスとの混合ガスが挙げられる。
不活性ガスについては、上記と同様である。
これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
スパッタリングの条件は、成膜する膜の種類、厚さ等により適宜決定されうる。また、スパッタガスの全圧は、グロー放電が安定に行われる圧力であればよい。
(2)G/H1/L1/H2/L2で表され、H2が上述した(a)、(b)または(c)である、4層からなる反射防止膜を有する透明基体。
(3)G/H1/L1/H2/L2/H3/L3で表され、H3が上述した(a)、(b)または(c)である、6層からなる反射防止膜を有する透明基体。
(4)G/H1/L1/H2/L2/H3/L3/H4/L4で表され、H4が上述した(a)、(b)または(c)である、8層からなる反射防止膜を有する透明基体。
(2−1)G/TiO2/SiO2/ZrO2/TiO2/ZrO2/TiO2/SiO2
(2−2)G/TiO2/SiO2/TiO2/ZrO2/TiO2/SiO2
(2−3)G/TiO2/SiO2/ZrO2/TiO2/SiO2
(2−4)G/TiO2/SiO2/ZrO2/TiOxNy/SiO2
(2−5)G/TiO2/SiO2/TiOxNy/SiO2
本発明の反射防止膜付き基体は、用途を特に限定されず、広範な用途に用いることができる。例えば、自動車のウインドシールドガラスやルーフガラス、各種ディスプレイ用ガラス、建築用ガラス、太陽電池用カバーガラス等に好適に用いられ、自動車のウインドシールドに特に好適である。
ガラス基体として、熱線吸収ガラス(サングリーン、旭硝子社製、厚さ2mm、2.3mm。以下「VFL」という。)および無色透明ガラス(旭硝子社製、厚さ2.3mm。以下「FL」という。)を使用し、その上に後述するようにして各層を形成させ、以下に示される構成を有する例1〜15の反射防止膜付きガラス基体を得た。
なお、以下に示される構成中、各層の形成は、左から順に行った。また、各層の幾何学的厚さをかっこ内に示した。
例2:VFL(2mm)/TiO2(12nm)/SiO2(41nm)/ZrO2(15nm)/TiO2(45nm)/ZrO2(15nm)/TiO2(40nm)/SiO2(119nm)
例3:VFL(2mm)/TiO2(12nm)/SiO2(39nm)/TiO2(45nm)/ZrO2(20nm)/TiO2(40nm)/SiO2(94nm)
例4:VFL(2mm)/TiO2(13nm)/SiO2(44nm)/TiOxNy(120nm)/SiO2(112nm)
例5:VFL(2mm)/TiO2(10nm)/SiO2(32nm)/ZrO2(20nm)/TiOxNy(100nm)/SiO2(107nm)
例6:VFL(2mm)/TiO2(12nm)/SiO2(39nm)/TiOxNy(113nm)/SiO2(106nm)
例7:VFL(2mm)/TiO2(11nm)/SiO2(35nm)/ZrO2(20nm)/TiOxNy(106nm)/SiO2(108nm)
例8:VFL(2.3mm)/TiO2(7.5nm)/SiO2(30nm)/ZrO2(10nm)/TiOxNy(97nm)/SiO2(97nm)
例9:FL(2.3mm)/TiO2(7nm)/SiO2(29nm)/ZrO2(19nm)/TiOxNy(103nm)/SiO2(99nm)
例10:FL(2.3mm)/TiO2(8nm)/SiO2(32nm)/ZrO2(16nm)/TiOxNy(98nm)/SiO2(100nm)
例11:FL(2.3mm)/TiO2(8nm)/SiO2(32nm)/ZrO2(30nm)/TiOxNy(98nm)/SiO2(100nm)
例12:FL(2.3mm)/TiO2(8nm)/SiO2(32nm)/ZrO2(8nm)/TiOxNy(98nm)/SiO2(100nm)
例13:FL(2.3mm)/TiO2(8nm)/SiO2(32nm)/TiOxNy(98nm)/SiO2(100nm)
例14:VFL(2.3mm)/TiO2(8nm)/SiO2(27nm)/ZrO2(20nm)/TiOxNy(97nm)/SiO2(91nm)
例15:VFL(2mm)/TiO2(13nm)/SiO2(43nm)/TiO2(120nm)/SiO2(112nm)
例16:VFL(2mm)
例1〜7および例15に関して、各層の形成は、以下のようにして行った。
真空槽内にTiOx(1<x<2)ターゲットをスパッタターゲットとしてカソード上に設置し、真空槽を1.3×10-3Pa以下となるまで排気した。ついで、スパッタガスとしてアルゴンガス96sccmと酸素ガス4sccmとの混合ガスを導入した。このとき、圧力は5.7×10-1Paとなった。この状態で、DCパルス電源を用いて反応性スパッタリング法を行い、真空槽内に設置した被処理体の上に、TiO2層を形成させた。
<SiO2層>
真空槽内にSiCターゲットをスパッタターゲットとしてカソード上に設置し、真空槽を1.3×10-3Pa以下となるまで排気した。ついで、スパッタガスとして酸素ガス100sccmを導入した。このとき、圧力は5.1×10-1Paとなった。この状態で、DCパルス電源を用いて反応性スパッタリング法を行い、真空槽内に設置した被処理体の上に、SiO2層を形成させた。
<ZrO2層>
真空槽内にZrターゲットをスパッタターゲットとしてカソード上に設置し、真空槽を1.3×10-3Pa以下となるまで排気した。ついで、スパッタガスとして酸素ガス60sccmを導入した。このとき、圧力は3.3×10-1Paとなった。この状態で、DCパルス電源を用いて反応性スパッタリング法を行い、真空槽内に設置した被処理体の上に、ZrO2層を形成させた。
<TiOxNy層>
真空槽内にTiOx(1<x<2)ターゲットをスパッタターゲットとしてカソード上に設置し、真空槽を1.3×10-3Pa以下となるまで排気した。ついで、スパッタガスとしてアルゴンガスと窒素ガスとの混合ガスを導入した。このとき、圧力は5.7×10-1Paとなった。この状態で、DCパルス電源を用いて反応性スパッタリング法を行い、真空槽内に設置した被処理体の上に、TiOxNy層を形成させた。なお、例4および例5におけるスパッタガスとしては、アルゴンガス90sccmと窒素ガス10sccmとの混合ガスを用い、例6および例7におけるスパッタガスとしては、アルゴンガス80sccmと窒素ガス20sccmとの混合ガスを用いた。
<TiO2層>
真空槽内にTiターゲットをスパッタターゲットとしてカソード上に設置し、真空槽を2.7×10-3Pa以下となるまで排気した。ついで、スパッタガスとしてアルゴンガスと酸素ガスを50:50(モル比)の割合で、圧力が4.0×10-1Paとなるまで導入した。この状態で、DCパルス電源を用いて反応性スパッタリング法を行い、真空槽内に設置した被処理体の上に、TiO2層を形成させた。
<SiO2層>
真空槽内に多結晶Siターゲットをスパッタターゲットとしてカソード上に設置し、真空槽を2.7×10-3Pa以下となるまで排気した。ついで、スパッタガスとしてアルゴンガスと酸素ガスとの混合ガス[混合比=60:40(モル比)]を、圧力が4.0×10-1Paとなるまで導入した。この状態で、AC電源を用いて反応性スパッタリング法を行い、真空槽内に設置した被処理体の上に、SiO2層を形成させた。
<ZrO2層>
真空槽内にZrターゲットをスパッタターゲットとしてカソード上に設置し、真空槽を2.7×10-3Pa以下となるまで排気した。ついで、スパッタガスとしてアルゴンガスと酸素ガスとの混合ガス[混合比=70:30(モル比)]を、6.7×10-1Paとなるまで導入した。この状態で、DCパルス電源を用いて反応性スパッタリング法を行い、真空槽内に設置した被処理体の上に、ZrO2層を形成させた。
<TiOxNy層>
真空槽内にTiOx(1<x<2)ターゲットをスパッタターゲットとしてカソード上に設置し、真空槽を2.7×10-3Pa以下となるまで排気した。ついで、スパッタガスとしてアルゴンガスと酸素ガスと窒素ガスとの混合ガス[混合比=75:10:15(モル比)]の割合で導入した。このとき、圧力は6.7×10-1Paとなった。この状態で、DCパルス電源を用いて反応性スパッタリング法を行い、真空槽内に設置した被処理体の上に、TiOxNy層を形成させた。
<TiO2層>
真空槽内にTiOx(1<x<2)ターゲットをスパッタターゲットとしてカソード上に設置し、真空槽を2.0×10-3Pa以下となるまで排気した。ついで、スパッタガスとしてアルゴンガスと酸素ガスを93:7(モル比)の割合で、圧力が4.3×10-1Paとなるまで導入した。この状態で、AC電源を用いて反応性スパッタリング法を行い、真空槽内に設置した被処理体の上に、TiO2層を形成させた。
<SiO2層>
真空槽内に多結晶SiAl(Si:Al=90:10(wt%))ターゲットをスパッタターゲットとしてカソード上に設置し、真空槽を2.0×10-3Pa以下となるまで排気した。ついで、スパッタガスとしてアルゴンガスと酸素ガスとの混合ガス[混合比=52:48(モル比)]を、圧力が4.3×10-1Paとなるまで導入した。この状態で、AC電源を用いて反応性スパッタリング法を行い、真空槽内に設置した被処理体の上に、SiO2層を形成させた。
<ZrO2層>
真空槽内にZrターゲットをスパッタターゲットとしてカソード上に設置し、真空槽を2.0×10-3Pa以下となるまで排気した。ついで、スパッタガスとしてアルゴンガスと酸素ガスとの混合ガス[混合比=70:30(モル比)]を、3.0×10-1Paとなるまで導入した。この状態で、DCパルス電源を用いて反応性スパッタリング法を行い、真空槽内に設置した被処理体の上に、ZrO2層を形成させた。
<TiOxNy層>
真空槽内にTiOx(1<x<2)ターゲットをスパッタターゲットとしてカソード上に設置し、真空槽を2.0×10-3Pa以下となるまで排気した。ついで、スパッタガスとしてアルゴンガスと酸素ガスと窒素ガスとの混合ガス[混合比=93:3.5:3.5(モル比)]の割合で導入した。このとき、圧力は4.2×10-1Paとなった。この状態で、AC電源を用いて反応性スパッタリング法を行い、真空槽内に設置した被処理体の上に、TiOxNy層を形成させた。
上記で得られた例1〜15の反射防止膜付きガラス基体ならびに例16のVFLを、それぞれ100mm×100mmの大きさに切断し、小型のベルト炉で熱処理を行った。熱処理の条件は、設定温度650℃、熱処理時間15分間であった。
(反射防止膜付きガラス基体の性状)
(1)TiOxNy層の組成
上記で得られた例4〜14の反射防止膜付きガラス基体のTiOxNy層について、ESCAにより、チタンに対する窒素の量を測定した。また、xとyの値を前記の前提により求めた。表中ではチタンに対する窒素の量をN/Ti(at%)と表記する。
上記で得られた例1〜15の反射防止膜付きガラス基体ならびに例16のVFLについて、以下の各光学特性を求めた。なお、例1〜7の光学特性の結果は、VFLおよび各層の厚さおよび屈折率からシミュレーションにより求めた値である。結果を表4に示す。
反射率としては、可視光反射率Rvを用い、反射防止膜面側から入射した光が反射防止膜面で反射する値とした。即ち、反射防止膜のみの反射率を求めた。JIS R 3106に準じ、光源はD65光源とし、入射角は60°とした。
なお、例16においては、熱処理後のVFLの反射率を求めた。
(ii)透過率(Tv)
透過率としては、視感透過率Tvを用いた。JIS R 3106に準じ、光源はA光源とし、入射角は0°とした。
(iii)色味(反射色)
色味としては、ガラス面側からの値(x,y)とした。光源はD65光源とし、入射角は60°とした。
熱処理後の反射防止膜付きガラス基体について、2探針抵抗計(ハイレスタIP、三菱油化社製)を用いて、反射防止膜の膜抵抗値を測定した。例16においては、上記と同様に、熱処理後のVFLについて測定した。結果を表4に示す。
熱処理後の反射防止膜付きガラス基体について、光学顕微鏡により、反射防止膜のクラックの発生の有無を目視により観察した。結果を表4に示す。
熱処理後の反射防止膜付きガラス基体について、デジタルノギスを用い、膜面を内側とした反りの凹み量を、ガラス基体の対角線の交点において測定した。結果を表4に示す。
熱処理後の反射防止膜付きガラス基体について、テーバー磨耗試験機を用い、膜面を回転磨耗輪で擦り、試験後の膜剥離の状態を観察した。膜剥離がないものについては、試験前後のヘイズ率を測定し、ΔH%(試験前後のヘイズ率の差)を求めた。結果を表4に示す。なお、テーバー試験の条件は、荷重2.45N×500回転とした。ヘイズ値が小さいほど耐磨耗性に優れることを示す。実用上、5%以下が好ましく、3%以下であるのが特に好ましい。
これに対し、高屈折率材料からなる被膜がすべて酸化チタン層の単層である場合(例15)は、熱処理によるクラックの発生があった。
本発明の反射防止膜付き基体は、自動車のウインドシールド用ガラス用の低反射ガラスとして、また、建築用、各種産業用の低反射ガラスとして有用である。
なお、2005年1月31日に出願された日本特許出願2005−023769号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
Claims (10)
- 透明基体と、屈折率が1.90以上の高屈折率材料からなる被膜と屈折率が1.56以下の低屈折率材料からなる被膜とを前記透明基体側からこの順に偶数層積層してなる反射防止膜とを有する反射防止膜付き基体であって、
前記高屈折率材料からなる被膜の少なくとも1層が、
互いに隣接した酸化チタン層と、幾何学的厚さが10〜40nmである酸化ジルコニウム層とを含む積層膜(b)または
互いに隣接した酸窒化チタン層と、幾何学的厚さが10〜40nmである酸化ジルコニウム層とを含む積層膜(c)
である、ことを特徴とする反射防止膜付き基体。 - 透明基体と、屈折率が1.90以上の高屈折率材料からなる被膜と屈折率が1.56以下の低屈折率材料からなる被膜とを前記透明基体側からこの順に偶数層積層してなる反射防止膜とを有する反射防止膜付き基体であって、
前記高屈折率材料からなる被膜の少なくとも1層が、
酸化チタン層と、幾何学的厚さが5〜50nmである酸化ジルコニウム層との積層膜(b1)または
酸窒化チタン層と、幾何学的厚さが5〜50nmである酸化ジルコニウム層との積層膜(c1)
である、ことを特徴とする反射防止膜付き基体。 - 前記高屈折率材料からなる被膜の少なくとも1層が、酸窒化チタン層と酸化ジルコニウム層との積層膜(c1)である、請求項2に記載の反射防止膜付き基体。
- 透明基体と、屈折率が1.90以上の高屈折率材料からなる被膜と屈折率が1.56以下の低屈折率材料からなる被膜とを前記透明基体側からこの順に4層積層してなる反射防止膜とを有する反射防止膜付き基体であって、
前記反射防止膜が、透明基体側から、屈折率が1.90以上の高屈折率材料からなる被膜、酸化ケイ素の単層膜、酸窒化チタン層と幾何学的厚さが5〜50nmである酸化ジルコニウム層との積層膜(c1)、酸化ケイ素の単層膜がこの順に積層された反射防止膜であることを特徴とする反射防止膜付き基体。 - 前記屈折率が1.90以上の高屈折率材料からなる被膜が酸化チタン層の単層膜である請求項4に記載の反射防止膜付き基体。
- 入射角60°で前記反射防止膜側から入射した光の前記反射防止膜面での反射が、可視光反射率として6%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止膜付き基体。
- 前記酸窒化チタン層におけるチタンに対する窒素の量が、0.1〜80at%である、請求項1〜6のいずれかに記載の反射防止膜付き基体。
- 熱処理前における前記酸窒化チタン層におけるチタンに対する窒素の量が、2〜40at%である請求項1〜7のいずれかに記載の反射防止膜付き基体。
- 熱処理後における前記酸窒化チタン層におけるチタンに対する窒素の量が、0.1〜20at%である請求項1〜8のいずれかに記載の反射防止膜付き基体。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の反射防止膜付き基体を加熱炉内に搬入し曲げ成形温度まで加熱する加熱工程と、所望の形状に曲げ成形する工程とを有する反射防止膜付き基体の加工方法。
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