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JP4051929B2 - 架橋用フッ素系エラストマー組成物 - Google Patents

架橋用フッ素系エラストマー組成物 Download PDF

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JP4051929B2 JP2001535462A JP2001535462A JP4051929B2 JP 4051929 B2 JP4051929 B2 JP 4051929B2 JP 2001535462 A JP2001535462 A JP 2001535462A JP 2001535462 A JP2001535462 A JP 2001535462A JP 4051929 B2 JP4051929 B2 JP 4051929B2
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Description

本発明は、良好なシール性、機械的強度と高温での耐熱性に優れた架橋ゴム成形品を提供することができる架橋用エラストマー組成物、特に架橋用含フッ素エラストマー組成物に関する。
含フッ素エラストマー、特にテトラフルオロエチレン(TFE)単位を中心とするパーフルオロエラストマーは、優れた耐薬品性、耐溶剤性、耐熱性を示すことから、過酷な環境下でのシール材などとして広く使用されている。
しかし、技術の進歩に伴い要求される特性はさらに厳しくなり、航空宇宙分野や半導体製造装置分野、化学プラント分野では300℃以上の高温環境下におけるシール性が要求されている。
かかる要求に対して、架橋系を工夫して耐熱性を向上させる試みが提案されている。それらの一つの方向として、ニトリル基を架橋点として導入した含フッ素エラストマーを使用し、有機スズ化合物によりトリアジン環を形成させるトリアジン架橋系(たとえば特許文献1参照)、同じくニトリル基を架橋点として導入した含フッ素エラストマーを使用し、ビスアミノフェノールによりオキサゾール環を形成させるオキサゾール架橋系(たとえば、特許文献2参照)、テトラミン化合物によりイミダゾール環を形成させるイミダゾール架橋系(たとえば、特許文献2参照)、ビスアミノチオフェノールによりチアゾール環を形成させるチアゾール架橋系(たとえば、特許文献3参照)が知られている。
これらの架橋系のうち、ニトリル基含有パーフルオロエラストマーをテトラミン化合物で架橋した場合、得られる架橋ゴム成形品の耐熱性は従来よりも向上するものの、300℃を超える高温ではトリアジン架橋系やオキサゾール架橋系に比べて劣化が激しい。
一方、トリアジン架橋系やオキサゾール架橋系は、アミン類や高温のスチームに対して劣化が激しく、用途が限られていた。
特開昭58−152041号公報 特開昭59−109546号公報 特開平8−104789号公報
本発明は、機械的強度および高温での耐熱性が特に改善され、かつ耐薬品性にも優れる架橋ゴム成形品を与える架橋用エラストマー組成物を提供することを目的とする。
また本発明は、新規な架橋剤を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、(A)式(I):
Figure 0004051929
(式中、R1は同じかまたは異なり、いずれもフッ素原子または1価の有機基である)で示される架橋性反応基(I)を少なくとも2個含む化合物、および(B)該架橋性反応基(I)と反応可能な架橋部位を有するエラストマーからなる架橋用エラストマー組成物に関する。
この化合物(A)は架橋剤としての作用は知られておらず、新規な架橋剤である。
化合物(A)としては、式(II):
Figure 0004051929
(式中、R1は前記と同じ、R2は−SO2−、−O−、−CO−、置換されていてもよいアルキレン基、
Figure 0004051929
または単結合手である)で示される化合物が好ましくあげられる。
前記エラストマー(B)としては、架橋部位としてニトリル基、カルボキシル基および/またはアルコキシカルボニル基を有する含フッ素エラストマー、特にパーフルオロエラストマーが好ましく使用できる。
前記化合物(A)のうち、式(III):
Figure 0004051929
(式中、R3は炭素数1〜6の置換されていてもよいアルキル基である)で示される化合物は新規化合物であり、本発明の対象である。
本発明はまた、本発明の架橋用エラストマー組成物を架橋して得られる架橋ゴム成形品にも関する。
本発明によれば、耐薬品性、機械的強度に優れ、さらに耐熱性、特に高温での耐熱性が向上した架橋ゴム成形品を与える新たな架橋用エラストマー組成物、および架橋剤を提供することができる。
本発明の架橋用エラストマー組成物を架橋させた場合の架橋系はイミダゾール架橋系に類似するものである。すなわち、従来のイミダゾール架橋では、たとえば
Figure 0004051929
という架橋構造を形成するが、本発明では
Figure 0004051929
のように、イミダゾール環のN−H結合がN−R1結合となっており、このN−R1結合が耐熱性の向上に大きく寄与しているものと考えられる。したがって本発明において架橋剤として働く化合物(A)が重要な要素となる。以下、化合物(A)について説明する。
化合物(A)は、架橋構造を形成するために式(I)で示される架橋性反応基(I)を少なくとも2個、好ましくは2〜3個、特に好ましくは2個有する。
架橋性反応基(I)における置換基R1は水素以外の1価の有機基またはフッ素原子であり、特にN−H結合よりも高い耐酸化性を有するN−R1結合を形成する置換基が好ましい。ここで「N−H結合よりも高い耐酸化性を有するN−R1結合を形成する置換基」とは、化合物(A)がイミダゾール環を形成したときに、N−H結合を有する化合物より酸化しにくい化合物に存在するN−R1結合を形成する置換基のことをいう。
こうしたR1としては、限定的ではないが、置換されていてもよい脂肪族炭化水素基、置換されていてもよいフェニル基またはベンジル基があげられる。
具体例としては、たとえばR1の少なくとも1つが−CH3、−C25、−C37などの炭素数1〜10、特に1〜6の低級アルキル基;−CF3、−C25、−CH2F、−CH2CF3、−CH225などの炭素数1〜10、特に1〜6のフッ素原子含有低級アルキル基;フェニル基;ベンジル基;−C65、−CH265などのフッ素原子で1〜5個の水素原子が置換されたフェニル基またはベンジル基;−C65-n(CF3n、−CH2C65-n(CF3n(nは1〜5の整数)などの−CF3で1〜5個の水素原子が置換されたフェニル基またはベンジル基などがあげられる。
これらのうち、耐熱性が特に優れており、架橋反応性が良好であり、さらに合成が比較的容易である点から、フェニル基、−CH3が好ましい。
化合物(A)として、架橋性反応基(I)を2個有する式(II):
Figure 0004051929
で示される化合物が合成が容易な点から好ましい。式中、R1は前記に例示したものである。また、左右の架橋性反応基(I)におけるフェニル基に対するNH2基とNHR1基との位置関係は左右で同じでも逆でもよい。
式(II)の化合物において、R2は−SO2−、−O−、−CO−、置換されていてもよいアルキレン基、
Figure 0004051929
または単結合手である。
2の置換されていてもよいアルキレン基の好ましい具体例としては、限定的ではないが、たとえば炭素数1〜6の非置換アルキレン基または炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基などであり、パーフルオロアルキレン基としては
Figure 0004051929
などがあげられる。なお、これらのR2は、特公平2−59177号公報、特開平8−120146号公報などでビスジアミノフェニル化合物の例示として知られているものである。
2は左右のベンゼン環のいずれの位置に結合していてもよいが、合成が容易で架橋反応が容易に進行することから、NH2基またはNHR1基のいずれかがパラ位になるように結合していることが好ましい。
好ましい化合物(A)としては、式(IV):
Figure 0004051929
(式中、R4は同じかまたは異なり、いずれも炭素数1〜10のアルキル基、フッ素原子を含有する炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、フッ素原子もしくは−CF3で1〜5個の水素原子が置換されたフェニル基またはベンジル基である)で示される化合物である。
具体例としては、限定的ではないが、たとえば2,2−ビス−[3−アミノ−4−(N−メチルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−[3−アミノ−4−(N−エチルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−[3−アミノ−4−(N−プロピルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−[3−アミノ−4−(N−フェニルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−[3−アミノ−4−(N−パーフルオロフェニルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−[3−アミノ−4−(N−ベンジルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどがあげられる。
以上に説明した化合物(A)は新規な架橋剤であり、機械的強度、耐熱性、耐薬品性に優れ、特に耐熱性と耐薬品性にバランスよく優れた架橋物を与えるものである。
さらに、化合物(A)のうち、式(III):
Figure 0004051929
(式中、R3は炭素数1〜6の置換されていてもよいアルキル基である)で示される化合物は新規化合物である。
なお、2,2−ビス−[3−アミノ−4−(N−フェニルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンは、ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンスのポリマー・ケミストリー編、Vol.20、2381〜2393頁(1982)でモノマーとして合成されている。
つぎに(B)成分である架橋性エラストマーについて説明する。
架橋性エラストマー(B)としては架橋性反応基(I)と反応しうる架橋部位を有し、かつ耐熱性に優れるエラストマーであればよく、たとえば含フッ素エラストマーが例示できる。
架橋性反応基(I)と反応しうる架橋部位としてはニトリル基(−CN基)、カルボキシル基(−COOH基)、アルコキシカルボニル基(−COOR基。Rは炭素数1〜3のアルキル基)があげられる。
この含フッ素エラストマーとしては、式(V):
1−[A−(Y)pq−X2 (V)
または式(VI):
1−[A−(Y1pq−[B−(Y2rs−X2 (VI)
(式中、X1およびX2は同じかまたは異なり、いずれもカルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ニトリル基、ヨウ素原子、臭素原子またはスルホン酸基、Y、Y1およびY2は同じかまたは異なり、いずれも側鎖にカルボキシル基、アルコキシカルボニル基またはニトリル基を有する2価の有機基、Aはエラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメント(以下、「エラストマー性セグメントA」という、Bは非エラストマー性含フッ素ポリマー鎖セグメント(以下、「非エラストマー性セグメントB」という)、pは0〜10の整数、qは1〜5の整数、rは0〜10の整数、sは1〜3の整数である、ただしX1、X2、Y、Y1またはY2のいずれか一つはカルボキシル基またはアルコキシカルボニル基であり、Y、Y1およびY2はAまたはBのセグメント中にランダムに入っていてもよい)で示され、架橋部位としてカルボキシル基、ニトリル基および/またはアルコキシカルボニル基を主鎖の末端および/または分岐鎖に有する架橋可能な含フッ素エラストマーが好ましい。
エラストマー性セグメントAとしては、たとえば式(1):
Figure 0004051929
(式中、m/n=95〜50/5〜50(モル比)、Rfは炭素数1〜20のフルオロポリオキシアルキル基または炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基)で示される2元共重合体ゴム、もしくは
式(2):
Figure 0004051929
(式中、l/m/n=95〜35/0〜30/5〜35(モル比)、Rfは炭素数1〜20のフルオロポリオキシアルキル基または炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基)で示される3元共重合体ゴムなどのパーフルオロエラストマーセグメント、または
式(3):
Figure 0004051929
(式中、m/n=85〜60/15〜40(モル比))で示される2元共重合体ゴム、
式(4):
Figure 0004051929
(式中、l/m/n=85〜20/0〜40/15〜40(モル比))で示される3元共重合体ゴム、
式(5):
Figure 0004051929
(式中、l/m/n=95〜45/0〜10/5〜45(モル比)、Z1、Z2およびZ3はそれぞれ独立してフッ素原子または水素原子、Rfは炭素数1〜20のフルオロポリオキシアルキル基または炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基)で示される3元共重合体ゴム、もしくは
Figure 0004051929
(l/m/n=1〜80/0〜80/10〜50(モル比)、Rfは前記と同じ)などの非パーフルオロエラストマーセグメントであってもよい。
また、分岐鎖に架橋点を導入するためのY、Y1、Y2としては、たとえばCX2=CX−Rf 1CHRI(式中、XはH、FまたはCH3、Rf 1は1個以上のエーテル型酸素原子を有していてもよい直鎖状または分岐鎖状のフルオロ−もしくはパーフルオロアルキレン基、またはフルオロ−もしくはパーフルオロオキシアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基またはパーフルオロポリオキシアルキレン基、RはHまたはCH3)で示されるヨウ素含有単量体、臭素含有単量体、
Figure 0004051929
[X3はCN、COOHまたはCOOR5(R5は炭素数1〜10のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基)である]
で示されるニトリル基含有単量体、カルボキシル基含有単量体、アルコキシカルボニル基含有単量体などがあげられ、通常、ヨウ素含有単量体、ニトリル基含有単量体、カルボキシル基含有単量体などが好適である。
ヨウ素含有単量体としては、パーフルオロビニルエーテル化合物がその共重合性から好適である。たとえばパーフルオロ(6,6ジヒドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセン)や、パーフルオロ(5−ヨード−3−オキサ−1−ペンテン)などが好適である。
そのほか特公平5−63482号公報に記載されている一般式:
Figure 0004051929
(式中、Y3はトリフルオロメチル基、nは0〜2)で示されるフルオロビニルエーテルなどがあげられる。
また、CF2=CHIなども好適に使用できる。
これらのうち末端基X1またはX2の少なくとも一つがカルボキシル基またはアルコキシカルボニル基である場合はニトリル基またはカルボキシル基を含有する単位であるのが架橋反応性の点で好ましい。
非エラストマー性セグメントBとしては、フッ素原子を含み前記エラストマー性を有していなければ基本的には限定されず、非エラストマー性セグメントBをブロック共重合することによりえようとする特性・機能に合わせて選択すればよい。なかでも、機械的物性を付与するためには結晶融点が150℃以上である結晶性ポリマー鎖セグメントであることが好ましい。
非エラストマー性セグメントBを構成しうる単量体のうち含フッ素単量体としては、たとえばTFE、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、CF2=CF(CF2pX(pは1〜10の整数、XはFまたはCl)、パーフルオロ−2−ブテンなどのパーハロオレフィン類;フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、
Figure 0004051929
(X4およびX5はHまたはF、qは1〜10の整数)、CH2=C(CF32などの部分フッ素化オレフィン類の1種または2種以上があげられる。また、これらと共重合可能な単量体、たとえばエチレン、プロピレン、塩化ビニル、ビニルエーテル類、カルボン酸ビニルエステル類、アクリル類の1種または2種以上も共重合成分として使用できる。
これらのうち、耐薬品性、耐熱性の点から、主成分に用いる単量体としては含フッ素オレフィン単独または含フッ素オレフィン同士の組合せ、エチレンとTFEの組合せ、エチレンとCTFEの組合せが好ましく、特にパーハロオレフィンの単独またはパーハロオレフィン同士の組合せが好ましい。
具体的には、
(1)VdF/TFE(0〜100/100〜0)、特にVdF/TFE(70〜99/30〜1)、PTFEまたはPVdF;
(2)エチレン/TFE/HFP(6〜60/40〜81/1〜30)、3,3,3−トリフルオロプロピレン−1,2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピレン−1/PAVE(40〜60/60〜40);
(3)TFE/CF2=CF−Rf 3(非エラストマー性を示す組成範囲、すなわち、CF2=CF−Rf 3が15モル%以下。Rf 3は1個以上のエーテル型酸素原子を有していてもよい直鎖状または分岐鎖状のフルオロ−もしくはパーフルオロアルキル基、またはフルオロ−もしくはパーフルオロオキシアルキル基である。);
(4)VdF/TFE/CTFE(50〜99/30〜0/20〜1);
(5)VdF/TFE/HFP(60〜99/30〜0/10〜1);
(6)エチレン/TFE(30〜60/70〜40);
(7)ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE);
(8)エチレン/CTFE(30〜60/70〜40)
などがあげられる。なお、カッコ内はモル%を示す。これらのうち、耐薬品性と耐熱性の点から、特にPTFEおよびTFE/CF2=CF−Rf 3(Rf 3は前記と同じ)の非エラストマー性の共重合体が好ましい。
また、非エラストマー性セグメントBを構成しうる単量体として、各種架橋のために前記した硬化部位を与える単位Y2を5モル%以下、好ましくは2モル%以下導入してもよい。
非エラストマー性セグメントBのブロック共重合は、たとえばエラストマー性セグメントAの乳化重合に引き続き、単量体を非エラストマー性セグメントB用に変えることにより行なうことができる。
非エラストマー性セグメントBの数平均分子量は、1,000〜1,200,000、好ましくは3,000〜400,000と広い幅で調整できる。
また、エラストマー性セグメントAの構成単位の90モル%以上、特に95モル%以上をパーハロオレフィン単位とすることによりエラストマー性セグメントAに確実に非エラストマー性セグメントBをブロック共重合でき、しかも非エラストマー性セグメントBの分子量(重合度)を大きくすることができる。
エラストマーの末端基であるX1、X2としては、前記のとおりカルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、臭素原子またはスルホン酸基である。末端基にこれらの官能基を導入する方法としては、後述する酸処理法があげられる。
本発明において好ましくは、前述のとおり、架橋点となりうるX1、X2、Y、Y1、Y2の少なくとも1つがニトリル基、カルボキシル基またはアルコキシカルボニル基である含フッ素エラストマーを使用する。これらのうち前記カルボキシル基を主鎖の末端に有する(すなわち、X1またはX2の少なくとも一方がカルボキシル基である)含フッ素エラストマーは新規なエラストマーである。
この含フッ素エラストマー(V)および(VI)は、重合生成物そのものではなく、重合反応混合物から単離された状態の含フッ素エラストマーである点にも特徴がある。したがって、架橋剤を加えるか、高エネルギー線を照射すれば架橋可能ないわゆるマス(mass)の状態にある。
このように前記式(V)および(VI)で示される含フッ素エラストマーも、架橋に供される状態では従来存在していなかったのである。
本発明の前記式(V)および(VI)で示される含フッ素エラストマー中のカルボキシル基の含有量は、関係式(1):
(Sco/Scf)×(D/Dp)×(F/Fp)≧0.01
を満たすことが、架橋点を確保し耐熱性を上げ、高温下における圧縮永久歪みなどの機械的特性を低下させない点から好ましい。
つぎに関係式(1)中の文字の説明をする。
式中、Sco、Scf、D、Dp、FおよびFpは、対象とする含フッ素エラストマーおよび後述する標準パーフルオロエラストマーのそれぞれつぎの値をいう。
Sco:対象とするエラストマーをFT−IRで測定したときの1680〜1830cm-1に吸収のピークをもつ会合および非会合のカルボキシル基のカルボニル基に基づく吸収の合計面積吸光度。たとえば、TFE/パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)/CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2X(XはCNまたはCOOH)においては、会合しているカルボニル基に基づく吸収が1800〜1820cm-1に、非会合のものに基づく吸収が1760〜1780cm-1に出現する。
Scf:対象とするエラストマーをFT−IRで測定したときの2220〜2840cm-1に吸収のピークをもつC−F結合の倍音に基づく吸収の面積吸光度。ただし、ニトリル基が存在する場合は2220〜2840cm-1に吸収のピークをもつすべての吸収の面積吸光度の合計から2220〜2300cm-1に吸収のピークをもつニトリル基に基づく吸収の面積吸光度を引いた値。この補正は、ニトリル基が存在する場合は2220〜2300cm-1に吸収のピークが出るため、その吸収の影響を排除するためである。
D:対象とするエラストマーの20℃での比重。
Dp:標準とするパーフルオロエラストマー(TFE/PMVEのモル比で58/42の共重合体。19F−NMRで測定)の20℃での比重(測定値:2.03)。TFE/PMVEのモル比で58/42の共重合体を標準パーフルオロエラストマーとする理由は、入手が容易であるからである。
F:元素分析法で求めた対象とするエラストマーのフッ素含有量(重量%)。
Fp:元素分析法で求めた前記標準パーフルオロエラストマーのフッ素含有量(測定値:71.6重量%)。
つぎにこの関係式(1)のもつ意味について説明する。
Sco/Scf項はパーフルオロエラストマーにおけるカルボニル基(カルボキシル基のカルボニル基。以下この説明では同様)のC−F結合に対する割合である。本発明の含フッ素エラストマーがパーフロオロエラストマーである場合はこの項だけでよい。すなわちSco/Scf≧0.01(ScfpはパーフルオロエラストマーのC−F結合の面積吸光度)でよい。
D/Dp項およびF/Fp項は、含フッ素エラストマー(VI)が非パーフルオロエラストマー、たとえばフッ化ビニリデンなどを有する場合の補正項である。すなわちフッ化ビニリデンなどの非パーフルオロモノマーを共重合するとエラストマー中のC−F結合量が減少し、透過型のIRで測定するとC−F結合の面積吸光度が減少する。
一般に透過型のIRで測定する場合、C−Fの面積吸光度はエラストマーの単位体積あたりのフッ素原子のモル数(フッ素原子の重量をフッ素の原子量19で除した値)に比例する。そうすると体積Vのパーフルオロエラストマーの重量はV×Dp(Dpはパーフルオロエラストマーの比重)であり、このパーフルオロエラストマー中のフッ素の重量はV×Dp×Fp/100(Fpはパーフルオロエラストマーのフッ素含有量(Fp重量%))となり、フッ素のモル数はV×Dp×Fp/1900となる。同じく体積Vの非パーフルオロエラストマー中のフッ素のモル数はV×D×F/1900(DおよびFはそれぞれ非パーフルオロエラストマーの比重およびフッ素含有量)となる。
ここでパーフルオロエラストマーのC−F結合の面積吸光度をScfpとし、非パーフルオロエラストマーのC−F結合の面積吸光度をScfとすると、C−F結合の面積吸光度とモル数は比例するので、Scfp/Scf=VDpFp/VDFとなり、Scfp=(DpFp/DF)×Scfとなる。この式をパーフルオロエラストマーの場合の関係式:Sco/Scfp≧0.01に代入すると前記関係式(1)が得られる。
なお、関係式(1)における測定はつぎの方法、装置を使用する。
(FT−IR測定)
測定機:パーキンエルマー社製のFT−IRスペクトロメータ1760X型
サンプル:厚さ約0.1mmのフィルム
測定条件:分解能 2cm-1、測定間隔 1cm-1、透過法で測定
(元素分析)
測定機:オリオンリサーチ社製のマイクロプロセッサイオナライザ901型
測定方法:サンプル1.4〜1.9mgにNa22(助燃剤)を少量加え、25mlの純水を入れた燃焼フラスコ中で燃焼させる。30分間放置後、10mlを取り出し、チサブ液(酢酸500ml、塩化ナトリウム500g、クエン酸三ナトリウム2水和物5gおよび水酸化ナトリウム320gに純水を加えて10リットルにしたもの)10mlを加えてFイオンメータでFイオン量を測定する。
測定機:(株)東洋精機製作所製のオートマチックデンシメータD−1型
測定条件:20℃
関係式(1)は含フッ素エラストマーがパーフルオロエラストマーであろうと非パーフルオロエラストマーであろうと、カルボキシル基をポリマー1kgあたり1ミリモル以上もつことを意味し、そのうち特に10〜250ミリモルのものが好ましい。また、カルボキシル基含有単量体を共重合したものであるときは、その含有量が特に0.3〜2モル%であるのが好ましい。ただし、他の架橋可能な官能基(たとえばニトリル基など)を含む場合はそれらとの合計量が前記の範囲であるのが好ましい。
またその結合位置としては、得られる架橋物の物性がより向上する点から、主鎖の末端X1、X2が好ましい。
前記含フッ素エラストマーは、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法などの重合法により製造することができる。
重合開始剤としては、好ましくはカルボキシル基またはカルボキシル基を生成し得る基(たとえば酸フルオライド、酸クロライド、CF2OH。これらはいずれも水の存在下にカルボキシル基を生ずる)をエラストマー末端に存在させ得るものが用いられる。具体例としては、たとえば過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸カリウム(KPS)などがあげられる。
また、分子量の調整に通常使用される連鎖移動剤を使用してもよいが、末端に導入されるカルボキシル基またはアルコキシカルボニル基を生成し得る基の割合が低下するため、できるだけ使用しない方がよい。ただし、連鎖移動剤が前記基をエラストマー末端に存在させ得るものであれば、この限りではない。連鎖移動剤を使用しない場合、分子量は重合を低圧、たとえば2MPa・G未満、好ましくは1MPa・G以下で行なうことにより調整すればよい。その他の重合条件は、特に制限されないが、カルボキシル基を末端および/または分岐鎖に有する重合生成物を後述する酸処理を経ずに得るためには、重合系のpHを3以下の強酸性とするのが好ましい。
かくして得られた重合生成物は重合条件によっては遊離のカルボキシル基が含まれていないものもあるが、それらもつぎの酸処理を施すことにより、遊離のカルボキシル基に変換することができる。
本発明で用いる含フッ素エラストマーは、重合生成物を酸処理することにより、重合生成物に存在しているカルボン酸の金属塩やアンモニウム塩などの基をカルボキシル基に変換することが好ましい。酸処理法としては、たとえば塩酸、硫酸、硝酸などにより洗浄するか、これらの酸で重合反応後の混合物の系をpH3以下にする方法が適当である。
この酸処理は、重合反応混合物から重合生成物を凝析により単離する際の凝析手段として適用するのが、工程の簡略化の点から好ましい。または、重合混合物を酸処理し、その後凍結乾燥などの手段で重合生成物を単離してもよい。さらに超音波などによる凝析や機械力による凝析などの方法も採用できる。
また、ヨウ素や臭素を含有する含フッ素エラストマーを発煙硝酸により酸化してカルボキシル基を導入することもできる。
架橋剤である化合物(A)の配合量は、好ましくはエラストマー100重量部に対して0.1〜10重量部である。
本発明の組成物において、必要に応じて架橋性エラストマー組成物に配合される通常の添加物、たとえば充填剤、加工助剤、可塑剤、着色剤などを配合することができ、前記のものとは異なる常用の架橋剤や架橋促進剤を1種またはそれ以上配合してもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲において、2種以上のエラストマーを混合して使用してもよい。
本発明の組成物は、上記の各成分を、通常のゴム用加工機械、たとえば、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどを用いて混合することにより調製することができる。この他、密閉式混合機を用いる方法やエマルジョン混合から共凝析する方法によっても調製することができる。
上記組成物から予備成形体を得る方法は通常の方法でよく、金型にて加熱圧縮する方法、加熱された金型に圧入する方法、押出機で押出す方法など公知の方法で行なうことができる。ホースや電線などの押出製品の場合は押出後も形を保持することが可能なので、架橋剤を使用せずに押出した予備成形体をそのまま用いることができる。もちろん架橋剤を使用してスチームなどによる加熱架橋を施した予備成形体を用いることも可能である。またO−リングなどの型物製品で未架橋状態では離型後も形を保持することが困難な場合は、架橋剤を使用してあらかじめ架橋した予備成形体を用いることにより実施可能となる。
架橋温度としては、比較的低い架橋温度(たとえば150〜230℃、好ましくは170〜200℃)で良好な物性をもつ架橋物を与える。
本発明はかくして得られる架橋物にも関する。本発明の架橋物は、従来のイミダゾール架橋では得られない高い耐熱性を与え、さらに優れた機械的強度および耐薬品性を与える。さらに特にシール材として不可欠なシール性を評価する基準である圧縮永久歪みの高温での経時変化が小さくなっている。
本発明の架橋物はつぎの表1、表2および表3に示す分野の各種成形品として有用である。
Figure 0004051929
Figure 0004051929
Figure 0004051929
特に具体的には次のような半導体製造装置に組み込んで用いることができる。
(1)エッチング装置
ドライエッチング装置
プラズマエッチング装置
反応性イオンエッチング装置
反応性イオンビームエッチング装置
スパッタエッチング装置
イオンビームエッチング装置
ウェットエッチング装置
アッシング装置
(2)洗浄装置
乾式エッチング洗浄装置
UV/O3洗浄装置
イオンビーム洗浄装置
レーザービーム洗浄装置
プラズマ洗浄装置
ガスエッチング洗浄装置
抽出洗浄装置
ソックスレー抽出洗浄装置
高温高圧抽出洗浄装置
マイクロウェーブ抽出洗浄装置
超臨界抽出洗浄装置
(3)露光装置
ステッパー
コータ・デベロッパー
(4)研磨装置
CMP装置
(5)成膜装置
CVD装置
スパッタリング装置
(6)拡散・イオン注入装置
酸化拡散装置
イオン注入装置
本発明の架橋ゴム成形品は、特に自動車用エンジンのO2センサー用シール材、航空宇宙用エンジンのシール材、油田掘削用機器のシール材などといった300℃以上の使用環境で用いられるシール材として適している。
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
製造例1(CN基含有エラストマーAの合成)
着火源をもたない内容積3リットルのステンレススチール製オートクレーブに、純水1リットルおよび乳化剤として
Figure 0004051929
10g、pH調整剤としてリン酸水素二ナトリウム・12水塩0.09gを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換し脱気したのち、600rpmで撹拌しながら、50℃に昇温し、テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)の混合ガス(TFE/PMVE=25/75モル比)を、内圧が0.78MPa・Gになるように仕込んだ。ついで、過硫酸アンモニウム(APS)の527mg/mlの濃度の水溶液10mlを窒素圧で圧入して反応を開始した。
重合の進行により内圧が、0.69MPa・Gまで降下した時点で、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CN(CNVE)3gを窒素圧にて圧入した。ついで圧力が0.78MPa・Gになるように、TFEを4.7gおよびPMVE5.3gをそれぞれ自圧にて圧入した。以後、反応の進行にともない同様にTFE、PMVEを圧入し、0.69〜0.78MPa・Gのあいだで、昇圧、降圧を繰り返すと共に、TFEとPMVEの合計量が70g、130g、190gおよび250gとなった時点でそれぞれCNVE3gを窒素圧で圧入した。
重合反応の開始から19時間後、TFEおよびPMVEの合計仕込み量が、300gになった時点で、オートクレーブを冷却し、未反応モノマーを放出して固形分濃度21.2重量%の水性分散体1330gを得た。
この水性分散体のうち1196gを水3588gで希釈し、3.5重量%塩酸水溶液2800g中に、撹拌しながらゆっくりと添加した。添加後5分間撹拌した後、凝析物をろ別し、得られたポリマーをさらに2kgのHCFC−141b中にあけ、5分間撹拌し、再びろ別した。この後このHCFC−141bによる洗浄、ろ別の操作をさらに4回繰り返したのち、60℃で72時間真空乾燥させ、240gのポリマー(ニトリル基含有エラストマーA)を得た。
19F−NMR分析の結果、この重合体のモノマー単位組成は、TFE/PMVE/CNVE=56.6/42.3/1.1モル%であった。赤外分光分析により測定したところ、図1に示すチャートが得られた。
図1のチャートにおいて、カルボキシル基の特性吸収が1774.9cm-1、1808.6cm-1付近に、OH基の特性吸収が、3557.5cm-1および3095.2cm-1付近に認められる。
なお、参考までに、生成物を塩化マグネシウムとエタノールを用いて凝析して得られたエラストマーをIR分析したところ、カルボキシル基に基づく吸収は存在せず、1729cm-1にカルボン酸のマグネシウム塩の吸収が認められた。
さらにまた、凝析を凍結凝析法(pH3.5〜7.0)により行ない、得られたエラストマーを同じくIR分析したところ、カルボキシル基に基づく吸収は存在せず、1651cm-1にカルボン酸のアンモニウム塩(−COONH4)の吸収が認められた。
また、(Sco/Scf)×(D/Dp)×(F/Fp)は0.040であった。
製造例2(COOH基含有エラストマーの合成)
着火源をもたない内容積3リットルのステンレススチール製オートクレーブに、純水1リットルおよび乳化剤として
Figure 0004051929
10g、pH調整剤としてリン酸水素二ナトリウム・12水塩0.09gを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換し脱気したのち、600rpmで撹拌しながら、50℃に昇温し、テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)の混合ガス(TFE/PMVE=25/75モル比)を、内圧が0.78MPa・Gになるように仕込んだ。ついで、過硫酸アンモニウム(APS)の527mg/mlの濃度の水溶液10mlを窒素圧で圧入して反応を開始した。
重合の進行により内圧が、0.69MPa・Gまで降下した時点で、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2COOH(CBVE)1.89gを窒素圧にて圧入した。ついで圧力が0.78MPa・Gになるように、TFEを4.7gおよびPMVE5.3gをそれぞれ自圧にて圧入した。以後、反応の進行にともない同様にTFE、PMVEを圧入し、0.69〜0.78MPa・Gのあいだで、昇圧、降圧を繰り返した。重合反応の開始から4.2時間後、TFEおよびPMVEの合計仕込み量が80gになった時点で、オートクレーブを冷却し、未反応モノマーを放出して固形分濃度7.5重量%の水性分散体1089gをえた。
この水性分散体のうち1000gを水3000gで希釈し、3.5重量%塩酸水溶液2800g中に、撹拌しながらゆっくりと添加した。添加後5分間撹拌した後、凝析物をろ別し、得られたポリマーをさらに800gのHCFC−141b中にあけ、5分間撹拌し、再びろ別した。この後このHCFC−141bによる洗浄、ろ別の操作をさらに4回繰り返したのち、120℃で72時間真空乾燥させ、70gのポリマーを得た。
19F−NMR分析の結果、この重合体のモノマー単位組成は、TFE/PMVE/CBVE=59.6/39.9/0.5モル%であった。赤外分光分析により測定したところ、カルボキシル基の特性吸収が1774.4cm-1付近に、OH基の特性吸収が3557.0cm-1および3087.7cm-1付近に認められる。
また、(Sco/Scf)×(D/Dp)×(F/Fp)は0.21であった。
製造例3(CN基含有エラストマーBの合成)
着火源をもたない内容積45リットルのステンレススチール製オートクレーブに、純水27リットルおよび乳化剤として
Figure 0004051929
270g、pH調整剤としてリン酸水素二ナトリウム・12水塩2.4gを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換し脱気したのち、200rpmで撹拌しながら、50℃に昇温し、テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)の混合ガス(TFE/PMVE=25/75モル比)を、内圧が0.78MPa・Gになるように仕込んだ。ついで、過硫酸アンモニウム(APS)の0.3g/mlの濃度の水溶液473mlを窒素圧で圧入して反応を開始した。
重合の進行により内圧が、0.69MPa・Gまで降下した時点で、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CN(CNVE)15.3gを窒素圧にて圧入した。ついで圧力が0.78MPa・Gになるように、TFEを54gおよびPMVE60gをそれぞれ自圧にて圧入した。以後、反応の進行にともない同様にTFE、PMVEを圧入し、0.69〜0.78MPa・Gのあいだで、昇圧、降圧を繰り返すと共に、TFEとPMVEの合計量が550g、980g、以下430g増えるごとにCNVE15.3gを窒素圧で圧入した。
重合反応の開始から9.4時間後、TFEおよびPMVEの合計仕込み量が7000gになった時点で、オートクレーブを冷却し、未反応モノマーを放出して固形分濃度20.6重量%の水性分散体34.8kgを得た。
この水性分散体を製造例1と同様に塩酸を用いて凝析、乾燥することでポリマー(ニトリル基含有エラストマーB)を得た。
19F−NMR分析の結果、この重合体のモノマー単位組成は、TFE/PMVE/CNVE=61.7/37.5/0.8モル%であった。
製造例4(2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−メチルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(AFTA−Me)の合成)
以下の反応はすべて窒素雰囲気下で行ない、用いた試薬および溶媒はすべて脱水したものである。
p−トルエンスルホニルクロライド4.963g(26.03ミリモル)と2,2−ビス(3−ニトロ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン[アミノ(ビスフェノール)AF]4.623g(10.85ミリモル)を50mlのジクロロメタンに溶解し、0℃に冷却し、トリエチルアミン6.05mlを滴下した。滴下終了後、0℃で攪拌を続け、1時間後に室温に戻し、3時間攪拌した。
反応の進行に伴い結晶が析出してくる。反応液に30mlの希塩酸を加え、結晶を濾過により採取した。水ついで50%メタノール水溶液で洗浄したのち再結晶(ヘキサン/THF)して、淡黄色結晶として2,2−ビス−(3−ニトロ−4−トシロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン6.3g(収率80%)を得た。
この2,2−ビス−(3−ニトロ−4−トシロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン3g(4.08ミリモル)を酢酸ブチル70mlに溶解し、穏やかに加熱還流させた。ついでn−メチルベンジルアミン5.26ml(40.8ミリモル)を滴下し、加熱還流を12時間続けたのち、室温まで冷却した。希塩酸を20ml加え、酢酸エチルで2回抽出したのち、有機層を希塩酸、炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄した。洗浄した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥したのち、溶媒を減圧留去した。得られた液状物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1、ヘキサン/ジクロロメタン=1/1)により分離して、黄色固体状の2,2−ビス−[3−ニトロ−4(N−メチル−N−ベンジルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン2.1g(収率81%)を得た。
この2,2−ビス−[3−ニトロ−4(N−メチル−N−ベンジルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン10g(15.8ミリモル)をメタノール150mlに溶解し、20%水酸化パラジウムカーボン500mgを加え、水素置換したのち室温下、水素雰囲気下で48時間激しく攪拌した。反応液をセライトで濾過して触媒を濾去したのち、メタノールを留去した。
得られた液状物をシリカゲルカラムクロマログラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で分離して粗生成物を得た。これをジエチルエーテル50mlに溶解し、1N−塩酸−ジエチルエーテル溶液を徐々に加え、析出した塩酸塩を濾取し、ジエチルエーテルで洗浄したのち、水100mlに溶解した。これを窒素雰囲気下で14%アンモニア水溶液をpH7になるまで滴下し、析出した沈殿を濾取し、脱気した水で強く洗浄したのち減圧下で35℃にて重量が一定になるまで乾燥して、白色固体状の2,2−ビス−[3−アミノ−4(N−メチルアミノ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン4.5g(収率72%)を得た。
この物質のつぎの物性を調べた。
融点:67.1〜70.2℃(純度94%)
1H−NMR(CDCl3中):δ(ppm)=6.57〜6.98(6H,m,芳香環)、2.80〜3.40(4H,ブロード、NH2)、2.838(6H,s,CH3
19F−NMR(CDCl3中):δ(ppm)=−64.8(s、CF3
IR(KBr):cm-1=3337〜3147(ブロード、ストロング、NH2、NH)、1270〜1140(ブロード、ストロング、CF3
MS m/z =392(m+)、291
HRMS:C171864(m+)
計算値=392.144
測定値=392.145
実施例1
製造例1で得られた末端にカルボキシル基を有するニトリル基含有含フッ素エラストマーと前記ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンスのポリマー・ケミストリー編、Vol.20、2381〜2393頁(1982)に記載の方法で合成した架橋剤である2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−フェニルアミノ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン(AFTA−Ph)と充填材であるカーボンブラック(Cancarb社製 Thermax N−990)とを重量比100/2.83/20で混合し、オープンロールにて混練して架橋可能なフッ素ゴム組成物を調製した。
このフッ素ゴム組成物を180℃で10分間プレスして架橋を行なったのち、さらにオーブン中で204℃で18時間、さらに288℃で18時間の2段階のオーブン架橋を施し、厚さ2mmの架橋物およびO−リング(AS−568A−214)の被験サンプルを作製した。この架橋物の架橋性、常態物性、耐熱性および圧縮永久歪みについて測定した結果を表4に示す。
(架橋性)
各架橋用組成物についてJSR型キュラストメーターII型により、表4に記載の温度にて加硫曲線を求め、最低粘度(νmin)、最大粘度(νmax)、誘導時間(T10)および最適加硫時間(T90)を求める。
(常態物性)
JIS K6301に準じて厚さ2mmの架橋物の常態(25℃)での100%モジュラス、引張強度、伸びおよび硬度(IRHD)を測定する。
(耐熱性)
架橋物を300℃で70時間加熱したのち、JIS K6301に準じて厚さ2mmの架橋物の常態(25℃)での100%モジュラス、引張強度、伸びおよび硬度(IRHD)を測定する。さらに、常態物性からの変化の割合(変化率)を算出する。
(圧縮永久歪み)
JIS K6301に準じてO−リング(AS−568A−214)の300℃70時間および300℃168時間後の圧縮永久歪みを測定する。
実施例2
実施例1において、エラストマーとして製造例2で得られたCOOH基含有含フッ素エラストマーを用い、プレス架橋を200℃で80分間行なったほかは同様にして架橋性組成物および架橋物を製造し、実施例1と同様にして各種の物性を測定した。結果を表4に示す。
実施例3
実施例2において、架橋剤として製造例3で得られた2,2−ビス[3−アミノ−4−(N−メチルアミノ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンを用い、架橋剤の配合量を2.18重量部とし、プレス架橋を200℃で35分間行なったほかは同様にして架橋性組成物および架橋物を製造し、実施例1と同様にして各種の物性を測定した。結果を表4に示す。
比較例1
実施例1において、架橋剤として2,2−ビス(3,4−ジアミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン[AFTA]を用い、その配合量を2重量部としたほかは同様にして架橋性組成物および架橋物を製造し、実施例1と同様にして各種の物性を測定した。結果を表4に示す。
比較例2
実施例2において、架橋剤として2,2−ビス(3,4−ジアミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン[AFTA]を用い、その配合量を2重量部としたほかは同様にして架橋性組成物および架橋物を製造し、実施例2と同様にして各種の物性を測定した。結果を表4に示す。
Figure 0004051929
表4に示すように、本発明の架橋剤を用いた場合、耐熱性に優れた架橋物が得られる。
実施例4〜6
実施例1において、CN含有エラストマーとして製造例3で製造したCN含有エラストマーBを用い、充填材としてカーボンブラック(Cancarb社製 Thermax N−990。実施例4)、SiO2(キャボット(Cabot)社製のキャボシルM−7D。実施例5)およびTiO2(富士チタン工業(株)製のTM−1。実施例6)を用い、それらの配合量を表5に示す量としたほかは同様にして架橋性組成物および架橋物を製造し、実施例1と同様にして各種の物性を測定した。結果を表5に示す。
比較例3
実施例4において、架橋剤として2,2−ビス(3,4−ジアミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン[AFTA]を用い、その配合量を2重量部としたほかは同様にして架橋性組成物および架橋物を製造し、実施例4と同様にして各種の物性を測定した。結果を表5に示す。
Figure 0004051929
実施例7および比較例4
実施例4および比較例3でそれぞれ製造した架橋物について、つぎの耐エチレンジアミン性および耐スチーム性を調べた。結果を表6に示す。
(耐エチレンジアミン性)
シート状架橋物からサンプルを作製し、このサンプルをJIS K6301にしたがってエチレンジアミン中に100℃にて168時間浸漬し、体積変化(%)および重量変化(%)を調べる。
(耐スチーム性)
3mm×2mm×20mmの架橋物をサンプルとし、このサンプルの重量および比重を測定後、内容積4mlのステンレススチール製の耐圧容器に水1gと共に入れ、耐圧容器を密封する。耐圧容器内を288℃に加熱し168時間保持した後室温にまで戻し、サンプルの重量および比重を測定し、スチーム処理前後の重量変化(%)および体積変化(%)を求める。
Figure 0004051929
製造例1で得られたCN基含有含フッ素エラストマーAの赤外分光分析のチャートである。

Claims (16)

  1. (A)式(I):
    Figure 0004051929
    (式中、R1は同じかまたは異なり、いずれも置換されていてもよいアルキル基、フェニル基またはベンジル基である)で示される架橋性反応基(I)を少なくとも2個含む化合物、および(B)該架橋性反応基(I)と反応可能な架橋部位を有する含フッ素エラストマーからなる架橋用含フッ素エラストマー組成物。
  2. 前記化合物(A)が、式(II):
    Figure 0004051929
    (式中、R1は前記と同じ、R2は−SO2−、−O−、−CO−、置換されていてもよいアルキレン基、
    Figure 0004051929
    または単結合手である)で示される化合物である請求項1記載の組成物。
  3. 式(II)において、R2が炭素数1〜6の非置換アルキレン基または炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基である請求項2記載の組成物。
  4. 式(II)において、R2
    Figure 0004051929
    である請求項3記載の組成物。
  5. 式(I)または(II)において、R1の少なくとも1つが炭素数1〜10のアルキル基またはフッ素原子を含有する炭素数1〜10のアルキル基である請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
  6. 式(I)または(II)において、R1の少なくとも1つがフェニル基、ベンジル基、フッ素原子もしくは−CF3で1〜5個の水素原子が置換されたフェニル基またはベンジル基である請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
  7. 前記含フッ素エラストマー(B)が、架橋部位としてニトリル基、カルボキシル基および/またはアルコキシカルボニル基を有する請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
  8. 含フッ素エラストマー(B)が、パーフルオロエラストマーである請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
  9. 式(I):
    Figure 0004051929
    (式中、R1は同じかまたは異なり、いずれも置換されていてもよいアルキル基、フェニル基またはベンジル基である)で示される架橋性反応基(I)を少なくとも2個含む化合物(A)からなる架橋剤。
  10. 前記化合物(A)が、式(II):
    Figure 0004051929
    (式中、R1は前記と同じ、R2は−SO2−、−O−、−CO−、置換されていてもよいアルキレン基、
    Figure 0004051929
    または単結合手である)で示される化合物である請求項記載の架橋剤。
  11. 式(II)において、R2が炭素数1〜6の非置換アルキレン基または炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基である請求項10記載の架橋剤。
  12. 式(II)において、R2
    Figure 0004051929
    である請求項11記載の架橋剤。
  13. 式(I)または(II)において、R1の少なくとも1つが炭素数1〜10のアルキル基またはフッ素原子を含有する炭素数1〜10のアルキル基である請求項9〜12のいずれかに記載の架橋剤。
  14. 式(I)または(II)において、R1の少なくとも1つがフェニル基、ベンジル基、フッ素原子もしくは−CF3で1〜5個の水素原子が置換されたフェニル基またはベンジル基である請求項9〜13のいずれかに記載の架橋剤。
  15. 式(III):
    Figure 0004051929
    (式中、R3は炭素数1〜6の置換されていてもよいアルキル基である)で示される化合物。
  16. 請求項1〜のいずれかに記載の架橋用エラストマー組成物を架橋して得られる架橋ゴム成形品。
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