JP3868335B2 - 2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体レジストの原料として有用な2−アルキル−2−アダマンチルアクリレート、及び2−アルキル−2−アダマンチルメタクリレート(以下、これら化合物を2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートと略記する)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルキルアダマンチル(メタ)アクリレート等のアルキルアダマンチルエステルを原料として製造されるレジストは、半導体製造プロセスにおけるドライエッチング耐性が高いことが知られており(例えば特開平5−265212号公報)、半導体用レジスト材料としての将来性が注目されている。
【0003】
アルキルアダマンチルエステルの製造方法としては、有機金属化合物からなるアルキル化試薬を用いて2−アダマンタノンをアルキル化し、次いで得られる金属アルキルアダマンチルアルコラートを酸ハロゲン化物を用いてエステル化する方法が知られている(特開平10−182552号公報等)。
【0004】
酸ハロゲン化物として(メタ)アクリル酸クロライドを用いる上記エステル化反応においては、何らかの副反応により塩素化物が副生することが確認されている。この塩素化物は得られるレジスト材料に不純物として混入し、たとえ少量の混入量の場合でもレジスト材料の性能を低下させる問題がある。更に、(メタ)アクリル酸クロライドは反応性が高いため長期保存安定性に欠け、反応原料として使用し難い問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、金属2−アルキル−2−アダマンチルアルコラート化合物(以下、金属化合物と略記する場合がある。)をエステル化する際に、エステル化剤として(メタ)アクリル酸ハロゲン化物等のハロゲン化物を用いること無く、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートを製造する方法を提供することを目的とする。この方法により、得られるエステル中に塩素化物が副生することを本質的に抑制し、その結果レジスト材料等の用途に好適な高純度エステルを高収率で製造することができる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために種々検討しているうちに、エステル化剤として、(メタ)アクリル酸無水物、或いはα,β位に二重結合を有する炭素数2〜8のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物を用いることにより、収率良く、また本質的に塩素化物を副生することなく、レジスト等の用途に好適な2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートを製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
従って、上記目的を達成する本発明は以下に記載するものである。
【0008】
〔1〕下記式(1)で示される金属2−アルキル−2−アダマンチル アルコラート化合物と、
【0009】
【化3】
【0010】
[但し、R1は炭素数1〜6のアルキル基であり、MはLi原子又は−MgX(但し、Xはハロゲン原子である)である。]
(メタ)アクリル酸無水物、又はα,β位に二重結合を有する炭素数2〜8のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物とを反応させることを特徴とする下記式(2)で示される
【0011】
【化4】
【0012】
(但し、R2は水素原子又はメチル基である。)
2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートの製造方法。
【0013】
〔2〕 金属2−アルキル−2−アダマンチルアルコラート化合物、及び2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートのアルキル基がメチル基又はエチル基である〔1〕に記載の2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートの製造方法。
【0014】
〔3〕 α,β位に二重結合を有する炭素数2〜8のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物が、(メタ)アクリル酸ビニル又は(メタ)アクリル酸イソプロぺニルである〔1〕又は〔2〕に記載の2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートの製造方法。
【0015】
〔4〕 式(1)で示される金属2−アルキル−2−アダマンチルアルコラート化合物と、(メタ)アクリル酸無水物又はα,β位に二重結合を有する炭素数2〜8のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物とを反応させる際に、3級アミン化合物を、金属2−アルキル−2−アダマンチルアルコラート化合物に対して0.01〜0.5当量存在させる上記〔1〕乃至〔3〕の何れかに記載の製造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
(金属化合物)
本発明製造方法に用いる一方の出発原料の金属化合物は、下記式(1)で示される金属2−アルキル−2−アダマンチルアルコラート化合物である。
【0018】
【化5】
【0019】
ここで、R1は炭素数1〜6のアルキル基である。半導体用レジスト材料の原料としての有用性が高いという観点からは、R1はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。アルキル基の炭素数が6を越えるものも用いることができるが、入手の容易さ、及び炭素数が6を越えることにより生じる利点が特に無いので、炭素数は上記範囲が好ましい。
【0020】
MはLi原子、又は−MgXを表す。ここでXはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。金属化合物の入手の容易さから、ハロゲン原子としては塩素原子又は臭素原子が好ましい。さらに反応性の観点から、臭素原子が最も好ましい。
【0021】
本発明で好適に使用できる前記式(1)で示される金属化合物のうち、ハロゲン化マグネシウム2−アルキル−2−アダマンチルアルコラートの具体例としては、塩化マグネシウム2−メチル−2−アダマンチルアルコラート化合物、臭化マグネシウム2−メチル−2−アダマンチルアルコラート化合物、塩化マグネシウム2−エチル−2−アダマンチルアルコラート化合物、臭化マグネシウム2−エチル−2−アダマンチルアルコラート化合物等が挙げられる。
【0022】
これらの金属化合物の中でも、製造のしやすさの観点から、臭化マグネシウム2−メチル−2−アダマンチルアルコラート化合物が特に好ましい。
【0023】
上記ハロゲン化マグネシウム2−アルキル−2−アダマンチルアルコラート化合物は、2−アダマンタノンとグリニアール試薬とから簡単に製造できる。グリニアール反応自体は当業者に周知のものである。
【0024】
原料の2−アダマンタノンは、試薬あるいは工業用として市販されているものをそのまま、或いは必要に応じて再結晶、昇華等による精製を行った後、使用する。
【0025】
上記グリニアール試薬を用いて製造する金属化合物は、そのまま、或いは必要に応じて濾過、洗浄等の精製を行って、本発明製造方法の出発原料として用いることができる。
【0026】
前記式(1)で示される金属化合物は、該化合物がリチウム2−アルキル−2−アダマンチルアルコラート化合物である場合には、2−アダマンタノンとアルキルリチウムとを原料として公知の各種方法で製造したもの等が使用できる。
【0027】
このリチウム2−アルキル−2−アダマンチルアルコラート化合物は前述のように何れの方法で調製しても良いが、以下に示す製造方法が特に好ましい。
【0028】
即ち、2−アダマンタノン及びハロゲン化アルキル化合物を含有する溶液または懸濁液(以下、有機原料液ともいう。)と金属リチウムとを混合して直接反応させることにより、リチウム2−アルキル−2−アダマンチルアルコーラート化合物を得るものである。
【0029】
上記の製造方法によれば、グリニヤール試薬を用いる場合よりも高い収率で目的物を得ることができる。しかも別途合成されたアルキルリチウムを使用していないので、高価で化学的に不安定なアルキルリチウムの価格や保存安定性の問題に煩わされる必要がない。
【0030】
ハロゲン化アルキル化合物は下記式(3)
【0031】
【化6】
R1−X (3)
(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基であり、Xはハロゲン原子である。)で示される。
【0032】
ハロゲン化アルキル化合物としては、特に限定されず、アルキルブロマイド、アルキルアイオダイド、アルキルクロライド等が使用できる。原料の入手が容易なことから、炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキルクロライド又はアルキルブロマイドが好ましい。反応性が高い点からは、アルキルブロマイド又はアルキルアイオダイドが好ましい。具体的には、塩化ブチル、塩化ペンチル、塩化ヘキシル、臭化メチル、臭化エチル、臭化ブチル、よう化メチル、よう化エチル等が例示できる。
【0033】
該ハロゲン化アルキルの使用量は、2−アダマンタノンの転化率の高さの点を考慮すると、モル比で2−アダマンタノン:ハロゲン化アルキル化合物=1:1〜1:1.2が望ましい。
【0034】
上記2−アダマンタノン、及びハロゲン化アルキル化合物を溶解若しくは分散させる溶媒若しくは分散媒としては、金属リチウム、アルキルリチウム、およびリチウムアルコキシドに対して安定な有機溶媒が使用できる。このような有機溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、およびこれらの混合溶媒等が挙げられる。
【0035】
これら有機溶媒の使用量は特に限定されないが、釜収率、溶解度、反応速度の観点から、2−アダマンタノンの濃度が0.01〜10mol/l、特に0.1〜5mol/lとなる様にすることが好ましい。
【0036】
2−アダマンタノンとハロゲン化アルキル化合物とを含有する溶液または懸濁液(有機原料液)と、金属リチウムとを混合して反応させる方法としては、有機原料液を金属リチウムの懸濁液に徐々に添加して混合する方法が好ましい。この方法によれば、発熱量を容易に制御でき、また初めに金属リチウムの表面を活性化させることになるので反応を迅速に進行させることができる。
【0037】
この際、使用する金属リチウムは、顆粒状、薄片状、微粒子状等の表面積の大きいものが好ましく、このような形状のものを用いることにより反応速度が大きくなる。
【0038】
また、金属リチウムに上記有機原料液を添加する速度は、用いるハロゲン化アルキル化合物の種類によって異なり、一概に規定することはできないが、反応温度が、ハロゲン化アルキル化合物の沸点又は用いた有機溶媒の沸点のいずれか低い方の温度を上回らないように有機原料液の添加速度を調節することが望ましい。
【0039】
特に、ハロゲン化アルキル化合物がよう化アルキルの場合は、反応温度を0℃以下に保って有機原料液を添加することが望ましい。これにより副反応を抑制できる。
【0040】
ハロゲン化アルキル化合物が臭化物の場合は、上記条件を満足し、且つ反応温度が20℃以上の温度(即ち、20℃〜臭化アルキル化合物の沸点又は用いた有機溶媒の沸点いずれか低い方の温度)となるように調節しながら有機原料液を添加することが望ましい。これにより金属リチウムの失活を防止できる。なお、有機原料液の滴下に際しては溶媒の攪拌を行うことが好ましい。
【0041】
金属リチウムの総添加量は特に限定されない。しかし、収率および金属リチウムの過剰使用防止の観点から、2−アダマンタノン1モルに対して金属リチウムを1.6〜2.4グラム原子、特に1.8〜2.2グラム原子を添加することが好ましい。
【0042】
なお、後述するエステル化反応を引続き行う場合には、上記反応終了後の反応液中に金属リチウムが殆ど残らないようにすることが好ましい。このため金属リチウムの添加量は2−アダマンタノン1モルに対して2グラム原子以下、特に1.8〜2.0グラム原子とすることが好ましい。
【0043】
上記アルキル化反応の反応時間は、金属リチウムの添加速度や、反応熱の除去効率などによって異なるが、通常0.5時間〜48時間が好ましい。また、金属リチウムの失活を防ぐため、アルゴン等の不活性雰囲気下で反応を行うことが望ましい。
【0044】
上記反応により、リチウム2−アルキル−2−アダマンチルアルコラート化合物を得ることができる。
【0045】
本発明においては、このリチウム2−アルキル−2−アダマンチルアルコラートを必要により単離し、精製して用いることができる。
【0046】
(エステル化剤)
本発明において使用する他方の出発原料であるエステル化剤は、下記式(4)で示される(メタ)アクリル酸無水物、又は下記式(5)で示されるα,β位に二重結合を有する炭素数2〜8のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物である。
【0047】
【化7】
【0048】
ここで、式(4)、(5)中、R2は水素原子またはメチル基を表す。R3、R4およびR5は水素原子またはアルキル基又は置換基を有しても良いアリール基を表し、R3とR4又はR4とR5が互いに繋がって環状となっても良い。R3、R4、R5の炭素数の合計は0〜6である。
【0049】
式(4)で表される(メタ)アクリル酸無水物としては、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物が好ましい。また、これらの混合酸無水物も使用できる。
【0050】
式(5)で表されるα,β位に二重結合を有する炭素数2〜8のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物としては、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸イソプロペニル、(メタ)アクリル酸1−シクロヘキセニル、(メタ)アクリル酸2,6−ジメチル−1−シクロヘキセニル、(メタ)アクリル酸1−フェニルエテニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸4−ニトロフェニル等を例示できる。特に、入手のしやすさの点から、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸イソプロペニル、(メタ)アクリル酸フェニルが好ましい。
【0051】
これらのエステル化剤は、公知の方法で合成されたものが制限なく使用できる。例えば酸無水物の合成方法としては、1986年テトラヘドロンレターズ27巻41号4937ページに報告されているような塩化メチレン中、塩化チオニルを用いる方法、米国特許247689号に示されるような酢酸銅の存在下、ジケテンとの反応による方法等が挙げられる。また、α,β位に二重結合を有する炭素数2〜8のアルコールと(メタ)アクリル酸とを用いるエステル化合物の合成方法は、英国化学会誌C,1968年2016ページ、Journal of Polymer Science,A−1,第4巻,1966年,1191ページ、Zh.Prikl.Khim.(Leningrad),24,1951,851(engl.Ausg.S.967,969)、Zh.Obshch.Khim.,24,1954,450(engl.Ausg.S.459)、アメリカ化学会誌第83巻1961年851ページ、Bull.Acad.Sci.USSR Div.Chem.Sci.(Engl.Transl.)1967年,2403ページ等に記載されている。
【0052】
これらのエステル化剤は、そのまま、または溶媒に溶解して、後述するエステル化反応に供することができる。
【0053】
(エステル化反応)
本発明においては、上記式(1)で表される金属化合物と、式(4)または式(5)で表されるエステル化剤とを反応させ、本発明の目的化合物である式(2)で表される2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートを製造する。
【0054】
この反応は上記化合物を互いに混合することにより行う。反応溶媒の使用により作業性が向上し、更に反応温度の制御が容易になる。
【0055】
反応に用いる溶媒としては、金属化合物、及びエステル化剤と反応を起さないものであれば任意の溶媒を利用できる。具体的には、エチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒等を例示できる。
【0056】
前記溶媒中の金属化合物の濃度は、0.01〜10mol/lが好ましく、0.1〜5mol/lが、取扱い上より好ましい。
【0057】
反応に使用するエステル化剤の量は、金属化合物1モルに対し、0.9〜1.3モルが好ましい。
【0058】
金属化合物とエステル化剤との混合方法は、特に制限されず、金属化合物溶液にエステル化剤またはその溶液を添加する方法や溶媒中に金属化合物(或いはその溶液)とエステル化剤(或いはその溶液)とをそれぞれ別々に同時に加える方法であっても良い。これらのうち、エステル化剤またはその溶液に金属化合物溶液を添加する方法が、得られる目的化合物の重合を抑制できるので好ましい。
【0059】
金属化合物溶液をエステル化剤またはその溶液に加える場合、反応温度を制御しながら、比較的時間をかけて、少量ずつ、連続的または間欠的に金属化合物溶液を滴下することが好ましい。従って、製造規模の大小によっても異なるが、通常の滴下時間は、1〜24時間程度になる場合が多い。
【0060】
反応時間は滴下時間の長短によっても異なるが、通常滴下終了後0.5〜6時間とすることが好ましい。
【0061】
エステル化反応温度は、−20〜100℃が好ましく、反応速度と重合防止の兼合いから0〜40℃が特に好ましい。
【0062】
エステル化剤や金属化合物の失活を防ぐ観点から、反応は窒素やアルゴンのような不活性雰囲気下で行うことが望ましい。
【0063】
さらに、エステル化反応の際に反応系に3級アミン化合物を加えることにより、より高い転化率でエステル化合物を得ることができる。1級及び2級アミンを反応系に添加する場合は、エステル化剤である(メタ)アクリル酸無水物、又はアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物と反応してアミドを生成するので、アミンの添加効果は認められない。
【0064】
3級アミン化合物は、特に限定されないが、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルピベリジン、N−メチルモルホリン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,7−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−6−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン等の環状、または非環状の脂肪族3級アミンや、ジメチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の芳香族3級アミンを用いることができる。
【0065】
該3級アミン化合物の添加量は、金属2−アルキル−2−アダマンチルアルコラート化合物に対して当量加える必要は無く、通常0.01当量から0.5当量で十分である。0.01当量より少ないと3級アミン化合物の添加効果が低く、0.5当量以上入れてもそれ以上の転化率の向上は認められない。
【0066】
該3級アミン化合物の添加方法、添加時期は、エステル化剤の添加方法や反応温度等によって影響されず、任意である。例えば、金属2−アルキル−2−アダマンチルアルコラート化合物と3級アミン化合物を混合してからエステル化剤と反応させても良い。また、金属2−アルキル−2−アダマンチルアルコラート化合物とエステル化剤を反応させた後、反応液に3級アミン化合物を加えて更に反応させても良い。
【0067】
反応系には、金属化合物と反応しない重合禁止剤を加えておいても良い。このような重合禁止剤としては、フェノチアジン等のフェノール性水酸基を持たない禁止剤が挙げられる。
【0068】
エステル化反応終了後、反応液から目的物を回収する際には、公知の各種精製手段を用いることができる。具体的には、水洗い、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、蒸留、再結晶等の精製手段が例示できる。
【0069】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0070】
なお、エステル化の際の転化率は以下の方法で算出した。先ず、反応混合物を水に注いでジエチルエーテルで抽出し、得られる抽出液をガスクロマトグラフィーで分析した。得られたガスクロマトグラムの2−アルキル−2−アダマンタノール(金属2−アルキル−2−アダマンチルアルコラート由来)のピ−ク面積と、生成物である2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートのピーク面積の合計で、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートのピーク面積を除して算出した百分率を転化率とした。
【0071】
収率は、単離した2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートの重量を、使用した2−アダマンタノンの重量を用いて算出される2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート理論量で除して百分率で示した。
【0072】
実施例1
窒素雰囲気下、500mlのフラスコに2−アダマンタノン30g(0.2mol)を仕込み、テトラヒドロフラン(THF)90gを加えて溶解させた。ここに、市販のメチルマグネシウムブロマイドのTHF溶液(1.0mol/l)220ml(0.22mol)を反応液温度が40℃を超えないようにゆっくり滴下した。滴下終了後1時間攪拌し、臭化マグネシウム2−メチル−2−アダマンチルアルコラートのTHF溶液を得た。これにメタクリル酸無水物37g(0.24mol)を反応液温度が40℃を超えないようにゆっくり滴下した。滴下終了後、4時間室温で攪拌した(転化率90%)。その後、液温度を10℃以下に保ちながらメタノール10gと10%水酸化ナトリウム水溶液16gを加えて1時間攪拌し、その後有機層を分離した。有機層をさらに10%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を0.3mmHgの減圧下、85℃から90℃で蒸留し、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレートを23.0g得た(収率49%)。ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)で分析したところ、塩素が含まれている不純物は検出されなかった。
【0073】
比較例1
メタクリル酸無水物の代わりにメタクリル酸クロライドを用いて、実施例1に準じて2−メチル−2−アダマンチルメタクリレートを合成した。転化率95%、単離収率は54.9%であった。得られた化合物をガスクロマトグラフ質量分析したところ、2−クロロ−2−メチルアダマンタンと考えられる不純物が0.5%検出され、さらに2種類の構造不明の塩素含有不純物が、それぞれ0.2%と0.1%検出され、構造不明の臭素含有不純物も0.1%検出された。
【0074】
実施例2
窒素雰囲気下、500mlのフラスコにTHF30g、金属リチウム2.78g(0.4mol)を加えた。この懸濁液に、予め2−アダマンタノン30g(0.2mol)、臭化エチル26.2g(0.24mol)を90gに溶解させた溶液を、窒素雰囲気下、反応温度が40℃前後になるようにコントロールしながら滴下した。滴下終了後反応液を45℃に加温し、1時間反応熟成を行った。目視で金属リチウムが消失したのを確認してから、さらに45℃で1時間攪拌し、リチウム2−エチル−2−アダマンチルアルコラートの溶液を得た。この溶液にアクリル酸無水物22.0g(0.21mol)を反応温度を40℃以下に保ちながら2時間かけて滴下した。滴下終了後40℃で4時間攪拌し反応を熟成させた(転化率97%)。
【0075】
反応熟成後、反応液10℃以下に保ちながら、メタノール10gと10%水酸化ナトリウム水溶液16gを加えて1時間攪拌し、その後有機層を分離した。有機層を10%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した後、溶媒を減圧留去した。残渣を0.3mmHgの減圧下80℃から85℃で蒸留し、24.6gの2−エチル−2−アダマンチルアクリレートを得た(収率53%)。これをガスクロマトグラフ質量分析計で分析したところ、塩素の含まれている不純物は検出されなかった。
【0076】
実施例3〜7
メタクリル酸無水物の代わりに表1に示す化合物を用いて、実施例1に準じて2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートを合成した。転化率、収率および得られた化合物のガスクロマトグラフ質量分析計による分析結果を表1に示した。
【0077】
【表1】
【0078】
実施例8
実施例1に準じて、臭化マグネシウム2−メチル−2−アダマンチルアルコラートのTHF溶液を調製した。
【0079】
次いで、予めメタクリル酸無水物37g(0.24mol)とTHF100mlを仕込んだ500mlのフラスコに、温度が40℃を超えないように保ちながら該THF溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後4時間室温で攪拌した(転化率91%)。次いで、反応液を10℃以下に保ちながらメタノール10gと10%水酸化ナトリウム水溶液16gとを反応液に加えて1時間攪拌し、その後有機層を分離した。有機層を10%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した後、溶媒を減圧留去した。残渣を0.3mmHgの減圧下、85℃から90℃で蒸留し、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレートを26.3g得た(収率56%)。このものをガスクロマトグラフ質量分析計で分析したところ、塩素の含まれる不純物は検出されなかった。
【0080】
実施例9
メタクリル酸無水物の代わりにメタクリル酸ビニルを用い、実施例8に準じて2−メチル−2−アダマンチルエステルを合成した。その際の転化率は70.0%、収率は34.0%であった。このものをガスクロマトグラフ質量分析計で分析したところ、塩素の含まれる不純物は検出されなかった。
【0081】
実施例10
実施例1に準じて臭化マグネシウム2−メチル−2−アダマンチルアルコラートとメタクリル酸無水物を反応させた。この時の転化率は実施例1と同じ(90%)であった。この反応液に、室温でトリエチルアミン2g(0.02mol、0.1当量)を加えて2時間攪拌したところ、転化率は98%まで向上した。以降の処理を実施例1に準じて行い、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレートを26.2g得た(収率56%)。これをガスクロマトグラフ質量分析計で分析したところ、塩素の含まれる不純物は検出されなかった。
【0082】
実施例11
実施例1に準じて臭化マグネシウム2−メチル−2−アダマンチルアルコラートのTHF溶液を調製した。ここに室温でジメチルアミノピリジン1.2g(0.01モル、0.05当量)を加え、続いてアクリル酸無水物を温度が40℃を越えないよう保ちながらゆっくり滴下した。滴下終了後、室温で2時間攪拌した。この時の転化率は99%であった。以降の処理を実施例1に準じて行い、2−メチル−2−アダマンチルアクリレートを27.7g(収率63%)得た。これをガスクロマトグラフ質量分析計で分析したところ、塩素の含まれる不純物は検出されなかった。
【0083】
【発明の効果】
本発明においては、金属2−アルキル−2−アダマンチルアルコラート化合物と、(メタ)アクリル酸無水物またはα,β位に二重結合を有する炭素数2〜8のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物とを反応させるので、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートを収率良く製造できる。本製造方法においては、酸クロライドのような塩素を含むエステル化剤を用いていないので、得られる2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートは、副生する塩素化物含有量が少ない。このためこれを用いて製造するレジストは性能が高い。
【0084】
また、3級アミンを反応系に添加する場合は、転化率が向上する。
Claims (3)
- 金属2−アルキル−2−アダマンチルアルコラート化合物及び2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートのアルキル基がメチル基又はエチル基である請求項1に記載の2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートの製造方法。
- α,β位に二重結合を有する炭素数2〜8のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物が、(メタ)アクリル酸ビニル又は(メタ)アクリル酸イソプロぺニルである請求項1又は2に記載の2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートの製造方法。
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