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JP2013038211A - Cmp用研磨液及びこれを用いた研磨方法 - Google Patents

Cmp用研磨液及びこれを用いた研磨方法 Download PDF

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JP2013038211A JP2011172867A JP2011172867A JP2013038211A JP 2013038211 A JP2013038211 A JP 2013038211A JP 2011172867 A JP2011172867 A JP 2011172867A JP 2011172867 A JP2011172867 A JP 2011172867A JP 2013038211 A JP2013038211 A JP 2013038211A
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Shigeru Yoshikawa
茂 吉川
Munehiro Ota
宗宏 太田
Takaaki Tanaka
孝明 田中
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Hitachi Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】 酸化ケイ素膜のケミカルメカニカルポリッシンング(CMP)において、高い均一性と高い研磨速度の両立を達成できるCMP用研磨液及びこれを用いた研磨方法を提供する。
【解決手段】 砥粒と、第1の添加剤と、第2の添加剤と、水とを含有するものであり、第1の添加剤として所定の条件を満たす有機化合物が、第2の添加剤として飽和モノカルボン酸が配合されているCMP用研磨液。また、このCMP研磨液を酸化ケイ素膜と研磨パッドとの間に供給しながら、研磨パッドによって酸化ケイ素膜の研磨を行う工程を備える、表面に酸化ケイ素膜を有する基板の研磨方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体基板のケミカルメカニカルポリッシンング(以下、「CMP」という。)に使用する研磨液及びこれを用いた研磨方法に関する。特に、半導体基板の表面に設けられた酸化ケイ素膜を研磨するための研磨液及びこれを用いた研磨方法に関する。
半導体製造の分野では、超LSIデバイスの高性能化に伴い、従来技術の延長線上の微細化技術では、高集積化及び高速化を両立することは限界になってきている。そこで、半導体素子の微細化を進めつつ、垂直方向にも高集積化する技術、すなわち配線を多層化する技術が開発されている。
配線が多層化されたデバイスを製造するプロセスにおいて、最も重要な技術の一つにCMP技術がある。CMP技術は、化学気相蒸着(以下、「CVD」という。)などによって基板上に薄膜を形成した後、その表面を平坦化する技術である。例えば、リソグラフィの焦点深度を確保するには、CMPによる処理が不可欠である。基板表面に凹凸があると、露光工程における焦点合わせが不可能となったり、微細な配線構造を充分に形成できなかったりなどの不都合が生じる。CMP技術は、デバイスの製造過程において、プラズマ酸化膜(BPSG膜、HDP−SiO膜、p−TEOS膜等)の研磨によって素子分離領域を形成する工程、層間絶縁膜を形成する工程、あるいは、酸化ケイ素を含む膜を金属配線に埋め込んだ後にプラグ(例えば、Al・Cuプラグ)を平坦化する工程などにも適用される。
CMPは、通常、研磨パッド上に研磨液を供給することができる装置を用いて行われる。基板表面と研磨パッドとの間に研磨液を供給しながら、基板を研磨パッドに押し付け、基板と研磨パッドを相対的に動かすことによって、基板表面が研磨される。CMP技術においては、高性能の研磨液が要素技術の一つであり、これまでにも種々の研磨液の開発がなされている(例えば、特許文献1を参照)。また、スループットを向上する手法として高い研磨速度を有する研磨液の開発も進んでいる(例えば、特許文献2を参照)。
特開平8−22970号公報 特開2008−288537号公報
ところで、基板上に素子分離領域を形成する工程においては、予め基板表面に溝を設け、この溝を埋めるように絶縁膜(例えば、酸化ケイ素膜)がCVDなどによって形成される。その後、絶縁膜の表面をCMPによって平坦化することによって素子分離領域が形成される。表面に溝などの素子分離構造が設けられた基板上に絶縁膜を形成する場合、絶縁膜の表面にも素子分離構造の凹凸に応じた凹凸が生じる。凹凸を有する表面に対しては、凸部を優先的に除去する一方、凹部をゆっくりと除去することによって平坦化がなされる。
半導体生産のプロセスマージンや歩留りを向上するためには、基板上に形成した絶縁膜の不要な部分をウェハ面内で可能な限り均一に且つ高速に除去することが好ましい。例えば、素子分離領域の狭幅化に対応すべく、シャロー・トレンチ分離(以下、「STI」という。)を採用した場合、絶縁膜として基板上に設けた酸化ケイ素膜の不要な部分を高い均一性で取り除くことが要求される。
しかし、酸化ケイ素膜に対する研磨速度が速いCMP用研磨液を用いると、一般に研磨終了後の被研磨面が粗くなり、平坦性に劣る傾向がある。このため、絶縁膜の研磨処理を二段階に分け、種類の異なる研磨液をそれぞれの工程で使用することによって、生産効率の向上を図る場合がある。第1の工程(荒削り工程)では酸化ケイ素膜に対する研磨速度が高い研磨液を使用して酸化ケイ素膜の大部分を除去する。第2の工程(仕上げ工程)では酸化ケイ素膜をゆっくりと除去し、被研磨面が充分に平坦となるように仕上げる。
第1の工程においては、上記の通り、酸化ケイ素膜に対する高い均一性と高い研磨速度が要求される。特に、上記のように、酸化ケイ素膜に対するCMPを二段階以上に分ける場合、第1の工程では平坦性よりも高い均一性と高い研磨速度が優先される。
しかし、酸化ケイ素膜に対する研磨速度が速いCMP用研磨液、例えば前記特許文献2に記載の研磨液等を用いると、研磨終了後の均一性が悪いことがある。均一性の悪化は第2の工程での酸化ケイ素膜の除去時間を増大させ、スループットの悪化を招くほか、研磨後の平坦性を悪化させるため、リソグラフィの焦点深度を確保できず、デバイスの形成が出来なくなる。
本発明は、上記課題を解決しようとするものであり、酸化ケイ素膜に対する充分に高い均一性と高い研磨速度の両立を達成できるCMP用研磨液及びこれを用いた研磨方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく、CMP用研磨液に配合する添加剤について鋭意検討を重ねた。本発明者らは、種々の有機化合物を添加剤として使用して研磨液を多数調製した。これらの研磨液を用いて酸化ケイ素膜を研磨し、均一性と研磨速度の評価を行った。その結果、特定の化学構造を有する化合物と飽和モノカルボン酸を添加剤として使用することが、高い均一性と高い研磨速度を両立するのに有効であることを見出し、本発明を完成させた。
本発明に係るCMP用研磨液は、砥粒と、第1の添加剤と、第2の添加剤と、水とを含有するものであって、第1の添加剤は下記条件i〜vのすべてを満たす化合物を1種又は2種以上含み、第2の添加剤は炭素数が2〜6個を含む飽和モノカルボン酸を1種又は2種以上含む。
i)少なくとも1つの炭素−炭素二重結合(C=C)を含む環状構造を、分子内に1つ又は2つ以上有する。炭素−炭素二重結合は共鳴構造を形成する炭素同士の結合をも含むものである。
ii)分子内に1つ以上4つ以下の−OH構造を有する。−OH構造は、−COOH基が有する−OH構造をも含むものである。
iii)分子内の−COOH基は1つ以下である。
iv)分子内に下記の第1の構造及び第2の構造の少なくとも一方を有する。
第1の構造:炭素原子Cと、炭素原子Cに隣接する炭素原子Cとを有し、炭素原子Cには−OH基が結合し、炭素原子Cには−OX基、=O基、−NX基、−NX(C)基及び−CH=NOH基から選択される少なくとも1つの置換基が結合している。Xは水素原子又は炭素原子であり、Cは窒素原子に結合した炭素原子である。炭素原子C、C及びCにおいて、不足している残りの結合の結合様式及び結合原子は任意であり、Xが炭素原子の場合、Xにおいて不足している残りの結合の結合様式及び結合原子は任意である。第2の構造:炭素原子Cと、炭素原子Cに隣接する炭素原子Cとを有し、炭素原子Cには−CH=N−OH基が結合し、炭素原子Cには−CH=N−OH基が結合している。炭素原子C及びCにおいて、不足している残りの結合の結合様式及び結合原子は任意である。
v)条件ivにおける炭素原子C及び炭素原子Cの少なくとも一方は、条件iにおける環状構造の一部をなすものであるか、あるいは、条件iにおける環状構造に結合したものである。
本発明のCMP用研磨液によれば、酸化ケイ素膜に対する充分に高い均一性と高い研磨速度を両立できる。これらの効果が奏される要因は必ずしも明らかではないが、特定の化学構造を有する化合物を添加剤として使用することで、研磨液と酸化ケイ素膜との相互作用が大きくなり、その結果、研磨速度が高くなると推測される。また、飽和モノカルボン酸を添加剤として使用することで、研磨液がウェハ面内に均一に流れ込み、その結果、均一性が高くなると推測される。
上記の通り、本発明の研磨液は、高い均一性と高い研磨速度を両立できるという特長を有するため、凹凸を有する基板上に設けられた酸化ケイ素膜の荒削りに適している。また、本発明の研磨液は、従来の研磨液では高い均一性を得ることが比較的困難な半導体材料であっても高い均一性でかつ高い研磨速度で研磨できるという利点がある。例えば、メモリセルを有する半導体基板のように、上から見たときに凹部又は凸部がT字形状又は格子形状に設けられた部分を有する基板の酸化ケイ素膜を研磨する場合であっても高い均一性と高い研磨速度を両立できる。
第1の添加剤の条件ivにおける第1の構造は、下記式a)〜m)で表される構造から選ばれることが好ましい。
Figure 2013038211

式中、一組の実線及び点線で表された結合は、共鳴構造を形成する結合を示す。炭素原子C、C及びCにおいて、不足している残りの結合の結合様式及び結合原子は任意であり、Xが炭素原子の場合、Xにおいて不足している残りの結合の結合様式及び結合原子は任意である。
式a)〜m)で表される構造を有する化合物を研磨液に含有せしめることで、酸化ケイ素膜に対するより高い研磨速度が達成できる。これは、当該化合物の配合により研磨液と酸化ケイ素膜との相互作用がより大きくなるためと推測される。
条件ivにおける第2の構造は、下記式n)〜p)で表される構造から選ばれることが好ましい。
Figure 2013038211
式中、一組の実線及び点線で表された結合は、共鳴構造を形成する結合を示す。炭素原子C及びCにおいて、不足している残りの結合の結合様式及び結合原子は任意である。
式n)〜p)で表される構造を有する化合物を研磨液に含有せしめることで、酸化ケイ素膜に対するより高い研磨速度が達成できる。これは、当該化合物の配合によって研磨液と酸化ケイ素膜との相互作用がより大きくなるためと推測される。
酸化ケイ素膜に対するより一層高い研磨速度を達成する観点から、上記第1の添加剤は、ウラシル−6−カルボン酸、マンデル酸、サリチルアルドキシム、アスコルビン酸、カテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、4−tert−ブチルカテコール、1,4−ベンゾキノンジオキシム、2−ピリジンメタノール、4−イソプロピルトロポロン、2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロヘプタトリエン−1−オン、5−アミノ−ウラシル−6−カルボン酸及びベンジル酸からなる群より選択される1種又は2種以上の化合物を含むことが好ましい。
さらに、第1の添加剤として4−ピロン系化合物より選択され、1種又は2種以上の化合物を含むことがより好ましい。4−ピロン系化合物を用いた場合、砥粒の凝集を抑制する効果が大きく好ましい。また、該4−ピロン系化合物は、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2013038211
式中、X11、X12及びX13は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基である。
上記式(1)で表される化合物を含む研磨液によれば、酸化ケイ素膜に対する充分に高い研磨速度を達成できるのに加えて、砥粒の凝集を抑制することが可能となる。かかる効果が奏される要因は必ずしも明らかではないが、上述した特定構造を有する4−ピロン系化合物を添加剤として使用することで、研磨液と酸化ケイ素膜との相互作用が大きくなり、その結果、研磨速度が高くなると推測される。また、このような4−ピロン系化合物は、研磨液と酸化ケイ素膜との相互作用を大きくし得る添加剤であるにもかかわらず、砥粒同士の静電的反発力等の反発力を弱める効果がないため、砥粒の凝集を抑制することができると考えられる。
上記4−ピロン系化合物は、5−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−4H−ピラン−4−オン(別名:5−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−4−ピロン)、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン(別名:3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピロン)、3−ヒドロキシ−2−エチル−4H−ピラン−4−オン(別名:3−ヒドロキシ−2−エチル−4−ピロン)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であると好ましい。
第2の添加剤は炭素数が2〜6個の飽和モノカルボン酸を1種又は2種以上含むことが好ましい。飽和モノカルボン酸を更に含むことにより、凹凸形状を有する半導体基板の研磨速度を低下させることなく、平坦な半導体基板の研磨速度を向上させ、高い均一性を達成できる。これは、研磨液がウェハ面内に均一に流れ込み、その結果、均一性が高くなるためと推測される。
より具体的な飽和モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ヒドロアンゲリカ酸、カプロン酸、2−メチルペンタン酸、4−メチルペンタン酸、2,3−ジメチルブタン酸、2−エチルブタン酸、2,2−ジメチルブタン酸及び3,3−ジメチルブタン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。
本発明の研磨液は、pHが8未満であることが好ましい。pHを8未満とすることにより、研磨液と酸化ケイ素膜との濡れ性が向上するなどの効果が奏される。
第1の添加剤の含有量は、当該研磨液100質量部に対して0.001〜5質量部であることが好ましい。かかる構成を採用することにより、研磨速度の向上効果がさらに効率的に得られる。
第2の添加剤としての飽和モノカルボン酸の含有量は、第1の添加剤種によって異なる。具体的には、第1の添加剤が5−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−4−ピロンのみ1種類のとき、第2の添加剤の含有総量は、当該研磨液100質量部に対して0.02〜5質量部である。第1の添加剤が3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピロンを含む1種類以上のとき、第2の添加剤の含有総量は、当該研磨液100質量部に対して0.06〜5質量部である。これにより、平坦な半導体基板への研磨速度の向上及び面内均一性の向上効果がさらに効率的に得られる。
本発明の研磨液は、砥粒の含有量が当該研磨液100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましい。砥粒の平均粒径は50〜500nmであることが好ましい。砥粒はセリウム系化合物を含むことが好ましく、セリウム系化合物が酸化セリウムであることがより好ましい。また、砥粒は結晶粒界を持つ多結晶酸化セリウムを含むことが更に好ましい。砥粒に関するこれらの構成のうち、1つの構成又は2つ以上の構成を採用することにより、酸化ケイ素膜に対する研磨速度がより一層向上する。
本発明の研磨液は、非イオン性界面活性剤を更に含有するものであってもよい。かかる構成を採用することにより、研磨液中の砥粒の分散安定性が向上する。
本発明は、上記研磨液を使用した研磨方法を提供する。すなわち、本発明に係る研磨方法は、表面に酸化ケイ素膜を有する基板を研磨するためのものであって、研磨液を酸化ケイ素膜と研磨パッドとの間に供給しながら、研磨パッドによって酸化ケイ素膜の研磨を行う工程を備える。この研磨方法によれば、酸化ケイ素膜に対する充分に高い研磨速度を達成できる。また、高い研磨速度は研磨対象の基板の表面形状に大きく依存することなく達成されるため、この研磨方法は酸化ケイ素膜の荒削りやメモリセルを有する半導体基板の研磨に適している。
本発明によれば、酸化ケイ素膜に対する充分に高い均一性と高い研磨速度を両立できるCMP用研磨液が提供される。また、本発明によれば、上記研磨液を用いた研磨方法が提供される。
酸化ケイ素膜が研磨されて半導体基板にシャロー・トレンチ分離構造が形成される過程を示す模式断面図である。
<CMP用研磨液>
本実施形態に係るCMP用研磨液は、砥粒(研磨粒子)と、第1の添加剤と、第2の添加剤と、水とを含有し、第1の添加剤として特定の化学構造を有する化合物を、第2の添加剤として、飽和モノカルボン酸を使用することを特徴とする。以下、研磨液の調製に使用する各成分について説明する。
(第1の添加剤)
第1の添加剤は、下記条件i〜vのすべてを満たす化合物を1種又は2種以上含む。本実施形態に係るCMP用研磨液によれば、条件i〜vを満たす化合物を添加剤として使用することにより、従来の研磨液と比較して、酸化ケイ素膜に対する充分に高い研磨速度を達成できる。
条件iは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む環状構造を、分子内に1つ又は2つ以上有するというものである。ここでいう「炭素−炭素二重結合」は、通常の二重結合だけではなく、共鳴構造を形成する炭素同士の結合をも包含する。すなわち、分子内の電子が非局在化した共鳴構造を有し、化学式で表す際にC=C構造として表現される化合物も条件iを満たす化合物である。その具体例としては、ベンゼン環やピリジン環を有する化合物が挙げられる。環の種類は特に制限はなく、単環、縮合環、架橋化合物であってもよい。また、環状構造は、炭素環でも、複素環でもよい。以下、上記炭素−炭素二重結合を単にC=Cと表記する場合がある。
条件iiは、分子内に1つ以上4つ以下の−OH構造を有するというものである。ここでいう「−OH構造」は、−OH基(ヒドロキシル基)だけではなく、−OH基以外の置換基に含まれる−OH構造をも包含し、例えば、−COOH基(カルボキシル基)に含まれる−OH構造も包含する。−OH構造が1〜4個という条件を満たす限り、当該構造が分子内のどこに存在していてもよい。
条件iiiは、分子内の−COOH基(カルボキシル基)が1つ以下であるというものである。すなわち、分子内にカルボキシル基が存在しないか、あるいは、カルボキシル基を1つ有する化合物が当該条件を満たす。
条件ivは、隣接する2つの炭素原子が特定の置換基を有するというものである。すなわち、一方の炭素原子には置換基として−OH基又は−CH=N−OH基が結合している。当該一方の炭素原子にOH基が結合している場合、他方の炭素原子には−OX基、=O基、−NX基、−NX(C)基又は−CH=N−OH基が結合している(Xは水素原子又は炭素原子であり、Cは窒素原子に結合した炭素原子である)。他方、当該一方の炭素原子に−CH=N−OH基が結合している場合、他方の炭素原子には−OH基又は−CH=N−OH基が結合している。
上記条件ivは、換言すれば、分子内に下記の第1の構造及び第2の構造の少なくとも一方の骨格を有するというものである。
第1の構造:炭素原子Cと、炭素原子Cに隣接する炭素原子Cとを有し、炭素原子Cには−OH基が結合し、炭素原子Cには−OX基、=O基、−NX基、−NX(C)基及び−CH=N−OH基から選択される少なくとも1つの置換基が結合した構造(Xは水素原子又は炭素原子であり、Cは窒素原子に結合した炭素原子である。炭素原子C、C及びCにおいて、不足している残りの結合の結合様式及び結合原子は任意であり、Xが炭素原子の場合、Xにおいて不足している残りの結合の結合様式及び結合原子は任意である。また、−NX基中のNの結合様式及び結合原子は任意である)。
第2の構造:炭素原子Cと、炭素原子Cに隣接する炭素原子Cとを有し、炭素原子Cには−CH=N−OH基が結合し、炭素原子Cには−CH=N−OH基が結合した構造(炭素原子C及びCにおいて、不足している残りの結合の結合様式及び結合原子は任意である)。
上記第1の構造及び第2の構造における任意の結合様式として、単結合や二重結合が挙げられる。任意の結合原子としては、例えば、水素原子、酸素原子、窒素原子等が挙げられる。第1の構造及び第2の構造において、炭素原子Cと炭素原子Cとの結合は、単結合、二重結合、三重結合のいずれでもよく、共鳴構造を形成する結合であってもよい。更に、上記第1の構造及び第2の構造は、分子中に複数含まれていても良い。
上記第1の構造は、具体的には、上記式a)〜m)で表される構造から選ばれることが好ましい。
上記第2の構造は、具体的には、上記式n)〜p)で表される構造から選ばれることが好ましい。
条件vは、上記条件ivにおける炭素原子C及び炭素原子Cの少なくとも一方は、条件iにおける環状構造の一部をなすものであるか、あるいは、条件iにおける環状構造に結合しているというものである。この条件は、特定の置換基が結合した炭素原子C及び炭素原子Cと、少なくとも1つのC=C結合を有する環状構造とが所定の位置関係にあることを意味する。例えば、複数の環を含む複雑な化合物が、上記条件ivを満たす炭素原子C,Cを有するが、条件iに係る環状構造との位置関係が条件vを満たしていない場合、当該化合物を添加剤として使用しても充分に高い研磨速度を達成できない。
上記のような条件を満たすCMP用研磨液の第1の添加剤として好適な化合物の具体例としては、例えば、ウラシル−6−カルボン酸、5−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−4H−ピラン−4−オン、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン、3−ヒドロキシ−2−エチル−4H−ピラン−4−オン、マンデル酸、サリチルアルドキシム、アスコルビン酸、カテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、4−tert−ブチルカテコール、1,4−ベンゾキノンジオキシム、2−ピリジンメタノール、4−イソプロピルトロポロン、2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロヘプタトリエン−1−オン、5−アミノ−ウラシル−6−カルボン酸及びベンジル酸等が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第1の添加剤として使用する化合物は、水溶性であることが好ましい。水への溶解度が高い化合物を使用することで、所望の量の第1の添加剤を研磨液中に溶解させることができ、本発明の効果をより一層高水準に達成し得る。当該化合物は、常温(25℃)の水100gに対する溶解度が0.001g以上であることが好ましく、0.005g以上であることがより好ましく、0.01g以上であることが更に好ましく、0.05g以上であることが特に好ましい。なお、溶解度の上限は特に制限はない。
上記化合物のうち、水溶性に優れるという点からすると、5−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−4H−ピラン−4−オン、アスコルビン酸、サリチルアルドキシム、カテコール及び2−ピリジンメタノール、2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロヘプタトリエン−1−オン等が第1の添加剤として好適である。なお、水100gに対する溶解度が0.001g未満の化合物であっても、水とともに有機溶媒を併用する等の方法により可溶化することができる。有機溶媒は、第1の添加剤として使用する化合物の種類に応じて適宜選択すればよい。
第1の添加剤として使用する化合物は、研磨液中において砥粒の分散性を良好に維持できるものが好ましい。砥粒の分散安定性が良好であると、長期間にわたって高い研磨速度を安定的に維持できる。かかる観点からすると、上記化合物のうち、ウラシル−6−カルボン酸、サリチルアルドキシム、1,4−ベンゾキノンジオキシム、2−ピリジンメタノール、4−イソプロピルトロポロン、2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロヘプタトリエン−1−オン、5−アミノ−ウラシル−6−カルボン酸等が第1の添加剤として好適である。
なお、「砥粒の分散安定性が良好である」とは、砥粒濃度の調整等を行って研磨液をそのまま使用できる状態にした後、研磨液中において砥粒が分散している時間が長いことを意味する。この時間は、好ましくは1時間以上であり、より好ましくは3時間以上であり、更に好ましくは10時間以上であり、特に好ましくは24時間以上である。ただし、時間の経過により砥粒が沈降したとしても、砥粒の再分散処理を行うことで当該研磨液を使用してCMPを実施できる。上記分散性の評価としては、超音波分散機を用いて上記研磨液の分散処理を1分間行い、砥粒の平均粒径の測定を行う。その後、所定の時間研磨液を室温で放置し、再度砥粒の平均粒径の測定を行う。放置前後の粒径の変化量が±5%以下である場合、分散安定性が良好であると判断することができる。なお、砥粒の平均粒径の測定方法については後述する。
第1の添加剤として、上記特定の化合物のうち4−ピロン系化合物を使用することが砥粒の分散安定性の観点からより好ましい。4−ピロン系化合物は、少なくともカルボニル基の炭素原子に隣接している炭素原子にヒドロキシ基が結合した構造を有するものである。ここで、4−ピロン系化合物とは、オキシ基及びカルボニル基が含まれるとともに、オキシ基に対してカルボニル基が4位に位置している6員環(γ−ピロン環)構造を有する複素環式化合物である。本実施形態の4−ピロン系化合物は、このγ−ピロン環におけるカルボニル基に隣接している炭素原子にヒドロキシ基が結合しており、それ以外の炭素原子には、水素原子以外の置換基が置換していてもよい。
このような4−ピロン系化合物は、上記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
式中、X11、X12及びX13は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基である。1価の置換基としては、アルデヒド基、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、臭素、塩素、ヨウ素、フッ素、ニトロ基、ヒドラジン基、C1〜8アルキル基(OH、COOH、Br、Cl、I、又はNOで置換されていてもよい)、ヒドロキシアルキル基、C6〜12アリール基、及びC1〜8アルケニル基等が挙げられる。また、X11、X12及びX13として1価の置換基を有する場合、置換基は、オキシ基に隣接する炭素原子に結合していることが好ましく、すなわち、X11及びX12が置換基であることが好ましい。さらに、X11、X12及びX13のうち、少なくとも2つは水素原子であることが好ましい。
このような4−ピロン系化合物としては、5−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−4H−ピラン−4−オン(別名:5−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−4−ピロン)、3−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン(別名:3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピロン)、3−ヒドロキシ−2−エチル−4H−ピラン−4−オン(別名:3−ヒドロキシ−2−エチル−4−ピロン)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。ただし、4−ピロン系化合物としては、上述したような化合物のうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。4−ピロン系化合物を2種以上組み合わせて含有しても、高い研磨速度を有することができる。
4−ピロン系化合物は、水溶性であることが好ましい。水への溶解度が高い化合物を使用することで、所望の量の第1の添加剤を良好に研磨液中に溶解させることができ、研磨速度の向上、及び砥粒の凝集の抑制の効果をより一層高水準に達成し得る。4−ピロン系化合物は、常温(25℃)の水100gに対する溶解度が0.001g以上であることが好ましく、0.005g以上であることがより好ましく、0.01g以上であることが更に好ましく、0.05g以上であることが特に好ましい。なお、溶解度の上限は特に制限はない。
(第2の添加剤)
また、第2の添加剤として飽和モノカルボン酸を更に含む。これにより、高い研磨速度に加え、高い均一性を得ることができる。
上記の観点から、上記飽和モノカルボン酸としては、炭素数2〜6であるものが好適である。例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ヒドロアンゲリカ酸、カプロン酸、2−メチルペンタン酸、4−メチルペンタン酸、2,3−ジメチルブタン酸、2−エチルブタン酸、2,2−ジメチルブタン酸、3,3−ジメチルブタン酸等が好ましい。なお、飽和モノカルボン酸としては、これらの化合物のうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。このうち、水溶性が良好でスラリに使用しやすく、安価、臭気の観点で使用しやすいという点から、炭素数2又は3の飽和モノカルボン酸が好ましく、具体的には酢酸、プロピオン酸が好ましい。
(砥粒)
砥粒としては、例えば、セリウム系化合物、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、ムライト、窒化ケイ素、α−サイアロン、窒化アルミニウム、窒化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素等を含む粒子を挙げることができる。これらの粒子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、上記添加剤の添加効果を良好に発揮でき、酸化ケイ素膜に対する高い均一性と高い研磨速度が得られる点で、セリウム系化合物を含む粒子を使用することが好ましい。
セリウム系化合物を含む粒子を砥粒として用いた研磨液は、被研磨面に生じる研磨傷が比較的少ないという特長を有する。従来、酸化ケイ素膜に対する高い研磨速度を達成しやすい点から、砥粒としてシリカ粒子を含む研磨液が広く用いられていた。しかし、シリカ粒子を用いた研磨液は、一般に被研磨面に研磨傷が生じやすいという課題がある。配線幅が45nm世代以降の微細パターンを有するデバイスにおいては、従来問題にならなかったような微細な傷であっても、デバイスの信頼性に影響するおそれがある。
なお、セリウム系化合物を含む粒子を使用した研磨液は、従来、シリカ粒子を使用したものと比較し、酸化ケイ素膜の研磨速度がやや低い傾向があった。しかし、本実施形態においては、上述の第1の添加剤及び第2の添加剤とセリウム系化合物を含む粒子とを併用することで、酸化ケイ素膜に対する高い研磨速度と高い均一性が両立される。このことは、セリウム系化合物と上記第1及び第2の添加剤との組み合わせが、特に研磨に有効であることを示唆している。
セリウム系化合物としては、例えば、酸化セリウム、水酸化セリウム、硝酸アンモニウムセリウム、酢酸セリウム、硫酸セリウム水和物、臭素酸セリウム、臭化セリウム、塩化セリウム、シュウ酸セリウム、硝酸セリウム及び炭酸セリウム等が挙げられる。これらの中でも酸化セリウム粒子を砥粒として用いることが好ましい。酸化セリウム粒子を使用することで、高い研磨速度と高い均一性を両立できるとともに、研磨傷が少ない優れた被研磨面が得られる。
砥粒として使用する酸化セリウムは、結晶粒界に囲まれた複数の結晶子を持つ多結晶酸化セリウムを含むことが好ましい。かかる構成の多結晶酸化セリウム粒子は、単結晶粒子が凝集した単なる凝集体とは異なっており、研磨中の応力により細かくなると同時に、活性面(細かくなる前は外部にさらされていない面)が次々と現れるため、酸化ケイ素膜に対する高い研磨速度を高度に維持できると考えられる。このような多結晶酸化セリウム粒子については、国際公開WO99/31195号パンフレットに詳しく説明されている。
酸化セリウム粒子の製造方法としては特に制限はないが、例えば、液相合成、焼成又は過酸化水素等により酸化する方法等が挙げられる。上記結晶粒界を持つ多結晶酸化セリウムを得る場合には、炭酸セリウム等のセリウム源を焼成する方法が好ましい。上記焼成時の温度は、350〜900℃が好ましい。製造された酸化セリウム粒子が凝集している場合は、機械的に粉砕することが好ましい。粉砕方法としては特に制限はないが、例えば、ジェットミル等による乾式粉砕や遊星ビーズミル等による湿式粉砕方法が好ましい。ジェットミルは、例えば、「化学工学論文集」(社団法人化学工学会)、第6巻第5号、(1980)、527〜532頁に説明されているものを使用することができる。
砥粒の平均粒径は、50nm以上が好ましく、70nm以上がより好ましく、80nm以上であることが更に好ましい。平均粒径が50nm以上であると、50nm未満の場合と比較して酸化ケイ素膜に対する研磨速度を高くできる。他方、砥粒の平均粒径は、500nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましく、280nm以下が更に好ましく、250nm以下が特に好ましく、200nm以下がより一層好ましい。平均粒径が500nm以下であると、500nmを超える場合と比較して研磨傷を抑制できる。上記砥粒の平均粒径を制御するためには、従来公知の方法を使用することができ、上記酸化セリウム粒子を例にすると、上記焼成温度、焼成時間、粉砕条件等の制御、濾過、分級等の適用などが挙げられる。
ここでいう砥粒の平均粒径は、砥粒が分散したスラリサンプルを、動的光散乱式粒度分布計で測定した体積分布の中央値を意味する。具体的には、株式会社堀場製作所製のLB−500(商品名)等を用いて測定される値である。砥粒の含有量がスラリサンプル100質量部に対して0.5質量部になるようにスラリサンプルの濃度を調整し、これをLB−500にセットして体積分布の中央値の測定を行う。なお、LB−500によってメジアン径(累積中央値)を測定することによって、砥粒の凝集の程度を評価することもできる。なお、研磨液中の砥粒の粒径を測定する場合は、上記研磨液を濃縮又は水で希釈することによって砥粒の含有量がスラリサンプル100質量部に対して0.5質量部になるようにスラリサンプルの濃度を調整してから、同様の方法で測定することができる。
(水)
研磨液の調製に用いる水は、特に制限されるものではないが、脱イオン水、イオン交換水又は超純水が好ましい。なお、更に必要に応じて、エタノール、酢酸、アセトン等の極性溶媒等を水と併用してもよい。
(他の成分)
本実施形態に係る研磨液は、砥粒の分散安定性及び/又は被研磨面の平坦性を向上させる観点から、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤が挙げられ、非イオン性界面活性剤を含有することが好ましい。
非イオン性界面活性剤として、例えば、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル誘導体、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、アセチレン系ジオールのオキシエチレン付加体等のエーテル型界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセロールボレイト脂肪酸エステル等のエステル型界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のアミノエーテル型界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロールボレイト脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエステル等のエーテルエステル型界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド等のアルカノールアミド型界面活性剤、アセチレン系ジオールのオキシエチレン付加体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリビニルアルコール等が挙げられる。これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
さらに、本実施形態に係る研磨液は、界面活性剤以外に、所望とする特性に合わせてその他の成分を更に含有していてもよい。このような成分としては、後述するようなpH調整剤や、pHの変動を抑えるためのpH緩衝剤、アミノカルボン酸、環状モノカルボン酸等が挙げられる。これらの成分の添加量は、研磨剤による上記効果を過度に低下させない範囲とすることが望ましい。
<研磨液の調製法及び使用法>
研磨液は、(A)通常タイプ、(B)濃縮タイプ及び(C)2液タイプに分類でき、タイプによって調製法及び使用法が相違する。(A)通常タイプは、研磨時に希釈等の前処理をせずにそのまま使用できる研磨液である。(B)濃縮タイプは、保管や輸送の利便性を考慮し、(A)通常タイプと比較して含有成分を濃縮した研磨液である。(C)2液タイプは、保管時や輸送時にあっては、一定の成分を含む液Aと他の成分を含む液Bとに分けた状態としておき、使用に際してこれらの液を混合して使用する研磨液である。
(A)通常タイプは、上記特定の化合物を含む添加剤、砥粒及び必要に応じてその他の成分を、主な分散媒である水に溶解又は分散させることによって得ることができる。例えば、研磨液100質量部に対する砥粒の含有量0.5質量部、添加剤の含有量0.1質量部の研磨液1000gを調製するには、研磨液全量に対して砥粒5g、添加剤1gとなるように配合量を調整すればよい。
研磨液の調製は、例えば、攪拌機、ホモジナイザ、超音波分散機、湿式ボールミル等を使用して行うことができる。なお、砥粒の平均粒径が所望の範囲となるように、研磨液の調製過程において砥粒の微粒子化処理を行ってもよい。砥粒の微粒子化処理は、沈降分級法や高圧ホモジナイザを用いた方法によって実施できる。沈降分級法は、砥粒を含むスラリを遠心分離機で強制的に沈降させる工程と、上澄み液のみを取り出す工程とを有する方法である。高圧ホモジナイザを用いた方法は、分散媒中の砥粒同士を高圧で衝突させる方法である。
上記第1の添加剤の含有量は、研磨液100質量部に対して0.001質量部以上が好ましく、0.003質量部以上がより好ましく、0.005質量部以上が更に好ましい。第1の添加剤の量が0.001質量部以上であると、0.001質量部未満の場合と比較して安定した研磨速度を達成しやすい傾向にある。他方、第1の添加剤の含有量は、5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましく、1質量部以下が更に好ましく、0.5質量部以下が特に好ましい。添加剤の量が5質量部以下であると、5質量部を超える場合と比較して砥粒の凝集を抑制しやすく、高い研磨速度が達成される傾向にある。
また、研磨液における第2の添加剤である飽和モノカルボン酸の含有量は、第1の添加剤種によって異なるが一般に、研磨液100質量部に対して0.06質量部以上が好ましく、0.065質量部以上がより好ましく、0.07質量部以上が更に好ましい。第2の添加剤の量が0.06質量部以上であると、安定した高い研磨速度及び高い均一性を両立するという飽和モノカルボン酸の効果が得られやすい。他方、第2の添加剤の含有量は、5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましく、2質量部以下が更に好ましく、1質量部以下が特に好ましい。第2の添加剤の量が5質量部以下であると、5質量部を超える場合と比較して砥粒の凝集を抑制しやすく、高い研磨速度及び高い均一性が達成される傾向にある。
砥粒の含有量(粒子濃度)は、研磨液100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.15質量部以上がより好ましく、0.2質量部以上が特に好ましい。砥粒の量が0.1質量部以上であると、0.1質量部未満の場合と比較して高い研磨速度が達成される傾向がある。他方、砥粒の含有量は、10質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましく、3.0質量部以下が更に好ましく、2.0質量部以下が特に好ましく、1.0質量部以下がより一層好ましい。添加剤の量が10質量部以下であると、10質量部を超える場合と比較して砥粒の凝集を抑制しやすく、高い研磨速度が達成される傾向がある。
研磨液のpHは、8.0以下が好ましく、7.0以下がより好ましく、6.0以下が更に好ましく、5.0以下が特に好ましい。pHが8.0未満であると、8.0を超える場合と比較して砥粒の凝集などを抑制しやすく、上記添加剤を添加した効果が得られやすい傾向にある。他方、研磨液のpHは、1.5以上が好ましく、2.0以上がより好ましく、2.5以上が更に好ましい。pHが1.5以上であると、1.5未満の場合と比較して酸化ケイ素膜のゼータ電位の絶対値を大きな値とすることができる傾向にある。
また、研磨液のpHを1.5〜8.0の範囲内に調整することで、次の2つの効果が得られると考えられる。
(1)プロトンやヒドロキシアニオンが、添加剤として配合した化合物に作用して、当該化合物の化学形態が変化し、基板表面の酸化ケイ素膜又はストッパ膜である窒化ケイ素膜に対する濡れ性や親和性が向上する。
(2)砥粒が酸化セリウムである場合、砥粒と酸化ケイ素膜との接触効率が向上し、高い研磨速度が達成される。これは、酸化セリウムはゼータ電位の符号が正であるのに対し、酸化ケイ素膜はゼータ電位の符号が負であり、両者の間に静電的引力が働くためである。
研磨液のpHは、添加剤として使用する化合物の種類によって変化し得るため、pHを上記の範囲に調整するために、pH調整剤を添加剤に含有せしめてもよい。pH調整剤としては、特に制限はないが、例えば、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、ホウ酸、酢酸等の酸、水酸化ナトリウム、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の塩基等が挙げられる。なお、生産性向上の点から、pH調整剤を使用することなく、研磨液を調製し、このような研磨液をCMPにそのまま適用してもよい。
(B)濃縮タイプは、使用直前に、含有成分が所望の含有量となるように水で希釈される。希釈後、(A)通常タイプと同程度の液状特性(例えばpHや砥粒の粒径等)及び研磨特性(例えば、酸化ケイ素膜の研磨速度や、酸化ケイ素膜の研磨速度と窒化ケイ素膜の研磨速度との選択比等)を再現できるまで、任意の時間にわたって攪拌や砥粒の分散処理を行ってもよい。(B)濃縮タイプでは、濃縮の度合いに応じて容積が小さくなるため、保管及び輸送にかかるコストを減らすことができる。
濃縮倍率は、1.5倍以上が好ましく、2倍以上がより好ましく、3倍以上が更に好ましく、5倍以上が特に好ましい。濃縮倍率が1.5倍以上であると、1.5倍未満の場合と比較して保管及び輸送に関するメリットを得ることができる。他方、濃縮倍率は、40倍以下が好ましく、20倍以下がより好ましく、15倍以下が特に好ましい。濃縮倍率が40倍以下であると、40倍を超える場合と比較して砥粒の凝集を抑制しやすい。
(B)濃縮タイプの使用に際して注意すべき点は、水による希釈の前後でpHが変化する点である。(A)通常タイプと同じpHの研磨液を(B)濃縮タイプから調製するには、水との混合によるpH上昇を考慮に入れ、濃縮タイプの研磨液のpHを予め低めに設定しておけばよい。例えば、二酸化炭素が溶解した水(pH:約5.6)を使用し、pH4.0の(B)濃縮タイプの研磨液を10倍に希釈した場合、希釈後の研磨液はpHが4.3程度にまで上昇する。
(B)濃縮タイプのpHは、水による希釈後に適したpHの研磨液を得る観点から、1.5〜7.0が好ましい。pHの下限は2.0がより好ましく、2.5が更に好ましい。また、砥粒の凝集を抑制する観点から、pHの上限は、7.0が好ましく、6.7がより好ましく、6.0が更に好ましく、5.5が特に好ましい。
(C)2液タイプは、(B)濃縮タイプと比較して砥粒の凝集等を回避できるという利点がある。液A及び液Bにそれぞれ含有せしめる成分は任意である。例えば、砥粒と必要に応じて配合される界面活性剤等とを含むスラリを液Aとし、他方、添加剤と必要に応じて配合される他の成分とを含む溶液を液Bとすることができる。この場合、液Aにおける砥粒の分散性を高めるため、任意の酸又はアルカリを液Aに配合し、pH調整を行ってもよい。
(C)2液タイプの研磨液は、各成分が混合された状態では、砥粒の凝集等によって研磨特性が比較的短時間で低下する場合に有用である。なお、保管及び輸送にかかるコスト削減の観点から、液A及び液Bを少なくとも一方を濃縮タイプとしてもよい。この場合、研磨液を使用する際に、液Aと液Bと水とを混合すればよい。液A又は液Bの濃縮倍率、pHは任意であり、最終的な混合物が液状特性及び研磨特性の点で(A)通常タイプの研磨液と同程度とできればよい。
<研磨方法>
本実施形態に係る研磨方法は、各成分の含有量及びpH等が調整された研磨液を使用し、表面に酸化ケイ素膜を有する基板をCMP技術によって平坦化するものである。具体的には、表面に酸化ケイ素膜を有する基板における酸化ケイ素膜と所定の研磨用の部材(研磨部材)との間に、上述した実施形態の研磨液を供給し、その状態で研磨部材によって酸化ケイ素膜を研磨する工程を含む。
本実施形態に係る研磨方法は、以下のようなデバイスの製造過程において表面に酸化ケイ素膜を有する基板を研磨するのに適している。デバイスとしては、例えば、ダイオード、トランジスタ、化合物半導体、サーミスタ、バリスタ、サイリスタ等の個別半導体、DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)、SRAM(スタティック・ランダム・アクセス・メモリー)、EPROM(イレイザブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリー)、マスクROM(マスク・リード・オンリー・メモリー)、EEPROM(エレクトリカル・イレイザブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリー)、フラッシュメモリ等の記憶素子、マイクロプロセッサー、DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)、ASIC(特定用途向け集積回路)等の理論回路素子、MMIC(モノリシック・マイクロウェーブ集積回路)に代表される化合物半導体等の集積回路素子、混成集積回路(ハイブリッドIC)、発光ダイオード、電荷結合素子等の光電変換素子等が挙げられる。
本実施形態に係る研磨液は、高い研磨速度と高い均一性を両立できる。このため当該研磨液を用いた研磨方法は、従来のCMP用研磨液を用いた方法では高い研磨速度を達成することが困難であって基板に対しても適用できる。
本実施形態に係る研磨方法は、表面に段差(凹凸)を有する被研磨面の平坦化に特に適している。このような被研磨面を有する基板としては、例えば、ロジック用の半導体デバイスが挙げられる。また、この研磨方法は、上から見たときに凹部又は凸部がT字形状又は格子形状になっている部分を含む表面を研磨するのに適している。例えば、メモリセルを有する半導体デバイス(例えば、DRAM、フラッシュメモリ等)の表面に設けられた酸化ケイ素膜も高い速度で研磨できる。これらは、従来のCMP用研磨液を用いた方法では高い研磨速度を達成することが困難であったものであり、本発明のCMP研磨液を用いた研磨方法が、高い均一性と高い研磨速度を両立できることを示している。
なお、当該研磨方法を適用できる基板は、基板表面全体が酸化ケイ素膜によって形成されたものに限らず、基板表面に酸化ケイ素膜の他に窒化ケイ素膜、多結晶シリコン膜等を更に有したものであってもよい。また、当該研磨方法は、所定の配線を有する配線板上に、酸化ケイ素膜、ガラス、窒化ケイ素等の無機絶縁膜、ポリシリコン、Al、Cu、Ti、TiN、W、Ta、TaN等を主として含有する膜が形成された基板に対しても適用できる。
基板表面に酸化ケイ素膜を形成する方法としては、低圧CVD法、プラズマCVD法等が挙げられる。低圧CVD法による酸化ケイ素膜形成は、Si源としてモノシラン(SiH)、酸素源として酸素(O)を用いる。このSiH−O系酸化反応を400℃以下の低温で行わせることによって酸化ケイ素膜が形成される。場合によっては、CVD後に1000℃又はそれ以下の温度での熱処理が実施される。
プラズマCVD法は、通常の熱平衡下では高温を必要とする化学反応が低温でできる利点を有する。プラズマ発生法には、容量結合型と誘導結合型の2つが挙げられる。反応ガスとしては、Si源としてSiH、酸素源としてNOを用いたSiH−NO系ガスや、テトラエトキシシラン(TEOS)をSi源に用いたTEOS−O系ガス(TEOS−プラズマCVD法)が挙げられる。基板温度は250〜400℃の範囲が好ましく、反応圧力は67〜400Paの範囲が好ましい。
高温リフローによる表面平坦化を図るために、酸化ケイ素膜にリン(P)をドープする場合、SiH−O−PH系反応ガスを用いることが好ましい。このように、研磨対象の酸化ケイ素膜は、リン、ホウ素等の元素がドープされたものであってもよい。
窒化ケイ素膜も酸化ケイ素膜と同様、低圧CVD法、プラズマCVD法等により形成することができる。低圧CVD法では、Si源としてジクロルシラン(SiHCl)、窒素源としてアンモニア(NH)を用いる。このSiHCl−NH系酸化反応を900℃の高温で行わせることによって窒化ケイ素膜が形成される。プラズマCVD法では、Si源としてSiH、窒素源としてNHを用いたSiH−NH系ガスが反応ガスとして挙げられる。この場合、基板温度は300〜400℃が好ましい。
図1を参照しながら、本実施形態に係る研磨方法によるCMPによってSTI構造を形成するプロセスについて説明する。本実施形態に係る研磨方法は、酸化ケイ素膜3を高い速度で研磨する第1の工程(荒削り工程)と、残りの酸化ケイ素膜3を比較的低い速度で研磨する第2の工程(仕上げ工程)とを有する。
図1(a)は研磨前の基板を示す断面図である。図1(b)は第1の工程後の基板を示す断面図である。図1(c)は第2の工程後の基板を示す断面図である。これらの図に示すように、STI構造を形成する過程では、シリコン基板1上に成膜した酸化ケイ素膜3の段差Dを解消するため、部分的に突出した不要な箇所をCMPによって優先的に除去する。なお、表面が平坦化した時点で適切に研磨を停止させるため、酸化ケイ素膜3の下には、研磨速度の遅い窒化ケイ素膜2(ストッパ膜)を予め形成しておくことが好ましい。第1及び第2の工程を経ることによって酸化ケイ素膜3の段差Dが解消され、埋め込み部分4を有する素子分離構造が形成される。
酸化ケイ素膜3を研磨するには、酸化ケイ素膜3の上面と研磨パッドとが当接するように、研磨パッド上にウェハを配置し、研磨パッドによって酸化ケイ素膜3の表面を研磨する。より具体的には、研磨定盤の研磨パッドに酸化ケイ素膜3の被研磨面側を押し当て、被研磨面と研磨パッドとの間にCMP用研磨液を供給しながら、両者を相対的に動かすことによって酸化ケイ素膜3を研磨する。
本実施形態に係る研磨液は、第1及び第2の工程のいずれにも適用できるが、高い研磨速度と高い均一性を両立し得る点で第1の工程において使用することが特に好ましい。なお、ここでは、研磨工程を2段階に分けて実施する場合を例示したが、図1(a)に示す状態から図1(c)に示す状態まで一段階で研磨処理することも可能である。
研磨装置としては、例えば、基板を保持するホルダーと、研磨パッドが貼り付けられる研磨定盤と、研磨パッド上に研磨液を供給する手段とを備える装置が好適である。例えば、株式会社荏原製作所製の研磨装置(型番:EPO−111、EPO−222、FREX200、FREX300)、アプライドマテリアル社製の研磨装置(商品名:Mirra3400、Reflexion研磨機)等が挙げられる。研磨パッドとしては、特に制限はなく、例えば、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂等を使用することができる。また、研磨パッドは、研磨液が溜まるような溝加工が施されたものが好ましい。
研磨条件としては、特に制限はないが、基板が飛び出さないようにする見地から、研磨定盤の回転速度は200min−1以下が好ましく、基板にかける圧力(加工荷重)は、被研磨面の傷を抑制するという見地から、100kPa以下が好ましい。研磨している間、ポンプ等によって研磨パッドに研磨液を連続的に供給することが好ましい。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に研磨液で覆われていることが好ましい。
研磨終了後、流水中で基板を充分に洗浄し、更にスピンドライヤ等を用いて基板上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させることが好ましい。このように研磨することによって、表面の凹凸を解消し、基板全面にわたって平滑な面を得ることができる。膜の形成及びこれを研磨する工程を所定の回数繰り返すことによって、所望の層数を有する基板を製造することができる。
このようにして得られた基板は、種々の電子部品及び機械部品として使用することができる。具体例としては、半導体素子、フォトマスク・レンズ・プリズム等の光学ガラス、ITO(酸化インジウムスズ)等の無機導電膜、ガラス及び結晶質材料で構成される光集積回路・光スイッチング素子・光導波路、光ファイバーの端面、シンチレータ等の光学用単結晶、固体レーザ単結晶、青色レーザLED用サファイヤ基板、SiC、GaP、GaAs等の半導体単結晶、磁気ディスク用ガラス基板、磁気ヘッド等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[砥粒の作製]
炭酸セリウム水和物40kgをアルミナ製容器に入れ、830℃で2時間、空気中で焼成して黄白色の粉末を20kg得た。この粉末についてX線回折法で相同定を行い、当該粉末が多結晶体の酸化セリウムを含むことを確認した。焼成によって得られた粉末の粒子径をSEMで観察したところ、20〜100μmであった。次いで、酸化セリウム粉末20kgを、ジェットミルを用いて乾式粉砕した。粉砕後の酸化セリウム粉末をSEMで観察したところ、結晶粒界を有する多結晶酸化セリウム粒子を含むものであった。また、比表面積は9.4m/gであった。比表面積の測定はBET法によって実施した。
[CMP用研磨液の作製1]
容器内に、上記で得られた酸化セリウム粉末15.0kg及び脱イオン水84.98kgを入れて混合し、さらに硝酸を添加してpHを4.5未満に調整し、10分間攪拌した。得られたスラリを別の容器に30分かけて送液した。その間、送液する配管内で、スラリに対して超音波周波数400kHzにて超音波照射を行った。
500mLビーカー4個にそれぞれ500±20gのスラリを採取し、遠心分離を行った。遠心分離は、外周にかかる遠心力が500Gになるような条件で、2分間実施した。遠心分離後に、ビーカーの上澄み液をスラリとして全量回収した。スラリ全質量基準で砥粒含有量が0.5質量%となるようにスラリ濃度を調整した後、動的光散乱式粒度分布計(株式会社堀場製作所製、商品名:LB−500)を用いて砥粒の平均粒径を測定した結果、平均粒径は150nmであった。
(実施例1〜7、比較例1〜3)
実施例1〜7に係る研磨液は、第1の添加剤の条件i〜vをすべて満たす化合物と、第2の添加剤の飽和モノカルボン酸を使用して調製されたものである(表1参照)。他方、比較例1〜3に係る研磨液は、第1の添加剤条件i〜vをすべて満たす化合物と、第2の添加剤を一定濃度未満で使用して調製されたものである(表2参照)。表1及び表2中の第1の添加剤のAは5−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−4−ピロンであり、Bは3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピロンである。
上述のスラリ(砥粒濃度:10.0質量%)を脱イオン水で希釈し、砥粒濃度を5.0質量%に調整した。また、この液に表1、2に示す各化合物を20倍濃縮液となるようにそれぞれの含有量(研磨液全質量基準)となるように添加した後、10分間にわたって攪拌した。なお、研磨評価の際は20倍希釈し、表1、2に示す含有量とした。
なお、上記方法で得られた20倍濃縮の研磨液を、全質量基準で砥粒含有量が0.5質量%となるように純水で希釈して、これを粒径測定用のサンプルとし、動的光散乱式粒度分布計(株式会社堀場製作所製、商品名:LB−500)を用いて砥粒の平均粒径を測定したところ、いずれも150±5nmであった。
[特性評価]
上記方法で調製した12種類の研磨液を使用し、表面に酸化ケイ素膜を有するブランケットウェハを研磨した。ブランケットウェハは直径300mmのシリコン基板上に厚さ1000nmの酸化ケイ素膜を有したものである。
(ブランケットウェハの研磨)
研磨装置(アプライドマテリアル社製、商品名:Reflexion LK)を使用し、上記ブランケットウェハの研磨を行った。ウェハ取り付け用の吸着パッドを有するホルダーに、上記ブランケットウェハをセットした。一方、直径800mmの研磨定盤に多孔質ウレタン樹脂製の研磨パッド(k−groove溝、ロデール社製、型番:IC−1010)を貼り付けた。
上記ブランケットウェハの酸化ケイ素膜形成面を下に向けて上記ホルダーを研磨パッド上に載せた。ウェハ押し付け圧力は、21kPaに設定した。
そして、上記のようにして調製した各研磨液を、研磨定盤に貼り付けた研磨パッド上に250mL/minの流量で滴下しながら、研磨定盤とブランケットウェハとをそれぞれ93min−1、87min−1で回転させて、酸化ケイ素膜を研磨した。その後、PVAブラシ(ポリビニルアルコールブラシ)を使用して研磨後のウェハを純水で良く洗浄した後、乾燥させた。
(研磨速度及び均一性の評価)
光干渉式膜厚装置(大日本スクリーン製造株式会社製、商品名:RE−3000)を用いて、研磨前後の酸化ケイ素膜の膜厚変化を測定し、膜厚変化量の平均から研磨速度を算出した。測定点はウェハ中心を通る直線上とし、ウェハ中心と±5mm間隔の59点及びウェハ中心から±147mmの2点を合わせた61点で行った。また、研磨速度と同一の測定点で次式(一)から均一性を算出した。
均一性=研磨速度の標準偏差÷研磨速度の平均×100(%) ・・・式(一)
表1、2に結果を示す。なお、研磨速度の単位はnm/minである。
Figure 2013038211
Figure 2013038211
表1及び表2の結果から、条件i〜vを満たす化合物を第1の添加剤として、飽和モノカルボン酸を第2の添加剤として使用した実施例1〜7に係る研磨液は、比較例1〜3に係る研磨液と比較し、高い均一性と高い研磨速度を両立し酸化ケイ素膜を研磨できることが示された。
本発明者等は発明を実施する最良の形態を明細書に記述している。上記の説明を同業者が読んだ場合、これらに似た好ましい変形形態が明らかになる場合もある。本発明者等は、本発明の異なる形態の実施、並びに、本発明の根幹を適用した類似形態の発明の実施についても充分意識している。また、本発明にはその原理として、特許範囲の請求中に列挙した内容の全ての変形形態、更に、様々な上記要素の任意の組み合わせが利用できる。その全てのあり得る任意の組み合わせは、本明細書中において特別な限定がない限り、あるいは、文脈によりはっきりと否定されない限り、本発明に含まれる。
本発明によれば、酸化ケイ素膜に対する充分に高い均一性と高い研磨速度を両立できるCMP用研磨液が提供される。また、本発明によれば、上記研磨液を用いた研磨方法が提供される。この研磨方法は、例えば、酸化ケイ素膜の荒削りやメモリセルを有する半導体基板の研磨に適している。
1…シリコン基板、2…ストッパ膜(窒化ケイ素膜)、3…酸化ケイ素膜、4…埋め込み部分、D…酸化ケイ素被膜の膜厚の標高差(段差)。

Claims (16)

  1. 砥粒と、第1の添加剤と、第2の添加剤と、水とを含有するCMP用研磨液であって、前記第1の添加剤は下記条件i〜vのすべてを満たす化合物を1種又は2種以上含み、前記第2の添加剤は飽和モノカルボン酸を1種又は2種以上含む、研磨液。
    i)少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む環状構造を、分子内に1つ又は2つ以上有し、前記炭素−炭素二重結合は共鳴構造を形成する炭素同士の結合をも含むものである;
    ii)分子内に1つ以上4つ以下の−OH構造を有し、前記−OH構造は、−COOH基が有する−OH構造をも含むものである;
    iii)分子内の−COOH基は1つ以下である;
    iv)分子内に下記の第1の構造及び第2の構造の少なくとも一方を有する:
    第1の構造:炭素原子Cと、当該炭素原子Cに隣接する炭素原子Cとを有し、前記炭素原子Cには−OH基が結合し、前記炭素原子Cには−OX基、=O基、−NX基、−NX(C)基及び−CH=N−OH基から選択される少なくとも1つの置換基が結合しており、Xは水素原子又は炭素原子であり、Cは窒素原子に結合した炭素原子であり、前記炭素原子C、C及びCにおいて、不足している残りの結合の結合様式及び結合原子は任意であり、Xが炭素原子の場合、Xにおいて不足している残りの結合の結合様式及び結合原子は任意である;
    第2の構造:炭素原子Cと、当該炭素原子Cに隣接する炭素原子Cとを有し、前記炭素原子Cには−CH=N−OH基が結合し、前記炭素原子Cには−CH=N−OH基が結合しており、前記炭素原子C及びCにおいて、不足している残りの結合の結合様式及び結合原子は任意である;
    v)条件ivにおける前記炭素原子C及び前記炭素原子Cの少なくとも一方は、前記条件iにおける前記環状構造の一部をなすものであるか、あるいは、前記条件iにおける前記環状構造に結合したものである。
  2. 第1の添加剤の条件ivにおける第1の構造は、下記式a)〜m)で表される構造から選ばれる、請求項1に記載の研磨液。
    Figure 2013038211
    式中、一組の実線及び点線で表された結合は、共鳴構造を形成する結合を示し、炭素原子C、C及びCにおいて、不足している残りの結合の結合様式及び結合原子は任意であり、Xが炭素原子の場合、Xにおいて不足している残りの結合の結合様式及び結合原子は任意である。
  3. 第1の添加剤の条件ivにおける前記第2の構造は、下記式n)〜p)で表される構造から選ばれる、請求項1又は2に記載の研磨液。
    Figure 2013038211
    式中、一組の実線及び点線で表された結合は、共鳴構造を形成する結合を示し、炭素原子C及びCにおいて、不足している残りの結合の結合様式及び結合原子は任意である。
  4. 第1の添加剤は、ウラシル−6−カルボン酸、マンデル酸、サリチルアルドキシム、アスコルビン酸、カテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、4−tert−ブチルカテコール、1,4−ベンゾキノンジオキシム、2−ピリジンメタノール、4−イソプロピルトロポロン、2−ヒドロキシ−2,4,6−シクロヘプタトリエン−1−オン、5−アミノ−ウラシル−6−カルボン酸及びベンジル酸からなる群より選択される1種又は2種以上の化合物を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の研磨液。
  5. 第1の添加剤は、4−ピロン系化合物を含み、該4−ピロン系化合物は、下記一般式(1)で表される化合物である、請求項1〜4のいずれかに記載の研磨液。
    Figure 2013038211
    式中、X11、X12及びX13は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基である。
  6. 4−ピロン系化合物が、3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピロン、5−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−4−ピロン、2−エチル−3−ヒドロキシ−4−ピロンから選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項5に記載の研磨液。
  7. 第2の添加剤に含まれる飽和モノカルボン酸の炭素数が2〜6である、請求項1〜6のいずれかに記載の研磨液。
  8. 飽和モノカルボン酸が、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ヒドロアンゲリカ酸、カプロン酸、2−メチルペンタン酸、4−メチルペンタン酸、2,3−ジメチルブタン酸、2−エチルブタン酸、2,2−ジメチルブタン酸及び3,3−ジメチルブタン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項7に記載の研磨液。
  9. 第1の添加剤の含有量は、当該研磨液100質量部に対して0.001〜5質量部である、請求項1〜8のいずれかに記載の研磨液。
  10. 第1の添加剤が5−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−4−ピロンのみ1種類であり、第2の添加剤の含有総量は、当該研磨液100質量部に対して0.02〜5質量部である、請求項1〜3及び5〜9のいずれかに記載の研磨液。
  11. 第1の添加剤が3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピロンを含む1種類以上であり、第2の添加剤の含有総量は、当該研磨液100質量部に対して0.06〜5質量部である、請求項1〜3及び5〜9のいずれかに記載の研磨液。
  12. 砥粒は、セリウム系化合物を含む、請求項1〜11のいずれかに記載の研磨液。
  13. セリウム系化合物は、酸化セリウムである、請求項12に記載の研磨液。
  14. 酸化セリウムは、結晶粒界を持つ多結晶酸化セリウムを含む、請求項13に記載の研磨液。
  15. 表面に酸化ケイ素膜を有する基板を研磨する方法であって、請求項1〜14のいずれかに記載の研磨液を前記酸化ケイ素膜と研磨パッドとの間に供給しながら、前記酸化ケイ素膜と研磨パッドとを相対的に動かすことによって前記酸化ケイ素膜の研磨を行う工程を備える研磨方法。
  16. 基板は、メモリセルを有する半導体基板である請求項15に記載の研磨方法。
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