JP2012068125A - X線導波路 - Google Patents
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Abstract
【課題】 X線の吸収損失の低い導波モードを発現することが可能で、またX線の伝搬損失を変化させることが可能なX線導波路を提供する。
【解決手段】 物質の屈折率実部が1以下となる波長帯域のX線を導波させるためのコアと、前記コアに前記X線を閉じ込めるためのクラッドと、を有するX線導波路であって、前記コアが、屈折率実部が異なる複数の物質からなる複数の基本構造が周期的に配されて形成されている周期性構造体を含み、前記コアと前記クラッド間に、前記コアを構成する複数の物質のうちの最も電子密度の高い物質よりも電子密度の低い物質からなる低電子密度層が設けられており、かつ前記クラッドと低電子密度層との界面における前記X線の全反射臨界角が、前記コアの周期性構造体の基本構造の周期性に起因するブラッグ角よりも大きいX線導波路。
【選択図】 図1
【解決手段】 物質の屈折率実部が1以下となる波長帯域のX線を導波させるためのコアと、前記コアに前記X線を閉じ込めるためのクラッドと、を有するX線導波路であって、前記コアが、屈折率実部が異なる複数の物質からなる複数の基本構造が周期的に配されて形成されている周期性構造体を含み、前記コアと前記クラッド間に、前記コアを構成する複数の物質のうちの最も電子密度の高い物質よりも電子密度の低い物質からなる低電子密度層が設けられており、かつ前記クラッドと低電子密度層との界面における前記X線の全反射臨界角が、前記コアの周期性構造体の基本構造の周期性に起因するブラッグ角よりも大きいX線導波路。
【選択図】 図1
Description
本発明は、コアとクラッドからなるX線導波路に関し、特にコアが周期性構造体からなるX線導波路に関するものである。
数10nm以下の短い波長の電磁波を扱う際、異物質間における電磁波に対する屈折率差が10−4以下と非常に小さいため、全反射臨界角も非常に小さくなる。そのために、X線を含めた前記電磁波をコントロールするために、大型の空間光学系が用いられてきており、今でもなお主流となっている。空間光学系を形成している主な部品として、異なる屈折率の材料を交互に積層した多層膜反射鏡があり、ビーム整形、スポットサイズ変換、波長選択などの様々な役割を担っている。
主流であるこのような空間光学系に対し、従来のポリキャピラリのようなX線導波管は、その中にX線を閉じ込めて伝搬させるものである。近年では光学系の小型化、高性能化を目指し、薄膜や多層膜中に電磁波を閉じ込めて伝搬させる、X線導波路の研究が行われている。具体的には、二層の1次元の周期構造により導波層を挟み込んだ形の薄膜導波路(非特許文献2参照)の研究が行われている。また、全反射によりX線を閉じ込める形態の複数の薄膜X線導波路が隣接して配置されたX線導波路(非特許文献1参照)などの研究が行われている。
Physical Review B,Volume 62,Number 24,p.16939(2000−II)
Physical Review B,Volume 67,Number 23,p.233303(2003)
しかしながら、上記の報告例には改善すべき課題があった。非特許文献1では、複数の導波路が積層した形態からなり、積層された一つ一つの導波路内に全反射によりX線を閉じ込めている。そのために、各導波路のクラッド材料として屈折率実部が小さい半面屈折率虚部の大きいNiを用いているので、各クラッドでのX線伝搬損失が大きくなる。さらに、隣接導波路間での導波モード結合が起こり導波路全体として数多くの連成モードが形成されるため、単一の導波モードを励起することが困難であるという問題が存在する。
また、非特許文献2では、クラッドとして設けられた多層膜のブラッグ反射によりコアにX線を閉じ込めるX線導波路が提案されている。多層膜が、NiとCにより構成されており、吸収の大きい金属材料を多数の層に用いているため多層膜中でのX線の吸収損失が大きくなる。さらに、この例のように多層膜のブラッグ反射によりコアへX線を閉じ込めるためには、非常に多くの層数を持つ多層膜をクラッドに用いなくてはならないという課題が存在する。
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、X線の伝搬損失の低い導波モードを発現することが可能で、またX線の伝搬損失を変化させることが可能なX線導波路を提供するものである。
上記の課題を解決するX線導波路は、物質の屈折率実部が1以下となる波長帯域のX線を導波させるためのコアと、前記コアに前記X線を閉じ込めるためのクラッドと、を有するX線導波路であって、前記コアが、屈折率実部が異なる複数の物質からなる複数の基本構造が周期的に配されて形成されている周期性構造体を含み、前記コアと前記クラッド間に、前記コアを構成する複数の物質のうちの最も電子密度の高い物質よりも電子密度の低い物質からなる低電子密度層が設けられており、かつ前記クラッドと前記低電子密度層との界面における前記X線の全反射臨界角が、前記コアの周期性構造体の基本構造の周期性に起因するブラッグ角よりも大きいことを特徴とする。
本発明によれば、X線の吸収損失の低い導波モードを発現することが可能で、またX線の伝搬損失を変化させることが可能なX線導波路を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明のX線導波路の一実施形態を示す概略図である。本発明に係るX線導波路は、物質の屈折率実部が1以下となる波長帯域のX線を導波させるためのコア101と、前記コアに前記X線を閉じ込めるためのクラッド102と、を有する。前記コア101が、屈折率実部が異なる複数の物質からなる複数の基本構造が周期的に配されて形成されている周期性構造体を含む。また、前記コア101と前記クラッド102間に、前記コアを構成する複数の物質のうちの最も電子密度の高い物質よりも電子密度の低い物質からなる低電子密度層103が設けられている。そして、前記クラッドと前記低電子密度層との界面における前記X線の全反射臨界角θCが、前記コアの周期性構造体の基本構造の周期性に起因するブラッグ角θBよりも大きいことを特徴とする。
本発明のX線導波路は、コア101に周期性構造体を用いることにより、その周期構造の周期性に起因する導波モードを利用することができるX線導波路である。クラッド102とコア101の界面に低電子密度層103を配することで、その導波モードのX線電場強度分布や伝搬損失を調整することができる。また、低電子密度層103の厚さを適切に設定することによって、周期性構造体(コア101)の周期性に起因する導波モードの伝搬損失を変化させることができる。
(X線)
本発明において、X線とは、物質の屈折率実部が1以下となる波長帯域の電磁波である。具体的には、本発明におけるX線とは、極端紫外光(Extreme Ultra Violet(EUV)光)を含む100nm以下の波長の電磁波を指す。このような短波長の電磁波の周波数が非常に高く物質の最外殻電子が応答できないため、紫外光の波長以上の波長をもつ電磁波(可視光や赤外線)の周波数帯域と異なる。そして、X線に対しては物質の屈折率の実部が1より小さくなることが知られている。このようなX線に対する物質の屈折率nは一般的に、下記の式(1)
本発明において、X線とは、物質の屈折率実部が1以下となる波長帯域の電磁波である。具体的には、本発明におけるX線とは、極端紫外光(Extreme Ultra Violet(EUV)光)を含む100nm以下の波長の電磁波を指す。このような短波長の電磁波の周波数が非常に高く物質の最外殻電子が応答できないため、紫外光の波長以上の波長をもつ電磁波(可視光や赤外線)の周波数帯域と異なる。そして、X線に対しては物質の屈折率の実部が1より小さくなることが知られている。このようなX線に対する物質の屈折率nは一般的に、下記の式(1)
で表されるように、実数部の1からのずれ量δ、吸収に関係する虚数部の
を用いて表される。原子固有のエネルギー吸収端が寄与する場合を除き、一般に、δは物質の電子密度ρeに比例するため電子密度の大きい物質ほど屈折率実部が小さくなる。また、屈折率実部は、
となる。さらに、電子密度ρeは原子密度ρaと原子番号Zに比例する。このようにX線に対する物質の屈折率は複素数で表されるが、その実部を本明細書中では屈折率実部または屈折率の実部と称し、虚部を屈折率虚部または屈折率の虚部と称する。
屈折率実部が最大となる物質は真空であるが、一般的な環境下では気体でないほぼすべての物質に対して空気の屈折率実部が最大となる。本発明において屈折率実部が異なる2種以上の物質とは、多くの場合電子密度が異なる二種以上の物質であるということもできる。
(コアとクラッドの関係)
本発明のX線導波路は、コアとクラッドの界面における全反射によりX線をコアに閉じ込めてX線を導波させる。この全反射を実現するために、本発明のX線導波路は、コアの屈折率実部が低電子密度層の屈折率実部より大きいものである。
本発明のX線導波路は、コアとクラッドの界面における全反射によりX線をコアに閉じ込めてX線を導波させる。この全反射を実現するために、本発明のX線導波路は、コアの屈折率実部が低電子密度層の屈折率実部より大きいものである。
本発明において、クラッドと低電子密度層との界面の全反射臨界角は、図1に示す様に、クラッドと低電子密度層との界面からの角度として、θCと表す。
(コア)
本発明のX線導波路は、コアに屈折率実部の異なる複数の物質からなる周期性構造体を用いることを特徴とする。コアが周期構造を有していることにより、導波路中に形成される導波モードが周期構造に起因したものとなる。このような異なる屈折率実部の周期構造は、周期数が無限の場合、伝搬定数とX線の角周波数との間でフォトニックバンドを形成し、周期性に起因する特定のモードのX線しかこの構造中には存在できないことになる。
本発明のX線導波路は、コアに屈折率実部の異なる複数の物質からなる周期性構造体を用いることを特徴とする。コアが周期構造を有していることにより、導波路中に形成される導波モードが周期構造に起因したものとなる。このような異なる屈折率実部の周期構造は、周期数が無限の場合、伝搬定数とX線の角周波数との間でフォトニックバンドを形成し、周期性に起因する特定のモードのX線しかこの構造中には存在できないことになる。
前記周期性構造体は、基本構造が周期的に配列した構造体であり、1次元周期構造乃至3次元周期構造を例示することができる。具体的には、層状構造を基本構造としてそれらが積層した1次元周期構造、シリンダー状構造を基本構造としてそれらが配列した2次元周期構造、ケージ構造を基本構造としてそれらが配列した3次元周期構造である。
本発明のX線導波路内に形成される導波モードは、前記周期性構造体の周期構造の各次元に対応した多重反射に起因する。このような導波モードは周期性により形成されるので、X線の電場分布や電場強度分布の腹と節の位置は、基本構造を構成しているそれぞれの物質領域内の位置に一致する。その際、前記周期性構造体の電子密度の小さい物質にX線の電場強度が集中する導波モードの伝搬損失が他の導波モードに比べて小さくなり、その導波モードを選択的に取り出すことが可能となる。
図2は、周期性構造体内でのX線電場強度分布を示す説明図である。図2は、シリカ202中で、一方向に伸びるシリンダー状の空気の孔201が、孔の長さ方向(図中z方向)に垂直な方向(x−y面内方向)で2次元三角格子構造を形成している周期性構造体中でのX線の電場強度分布の例を示す。図2では、実線により構造周期dを表し、シリンダー状の空気の孔201中の白黒の濃淡はX線の電場強度を表し、この材料中に形成される導波モードのうちの一つについての電場強度分布である。X線の伝搬方向は紙面に垂直な方向(z方向)である。黒、白がそれぞれ電場強度の大、小に相当する。空気の孔201の中心部分は黒が強く、中心部分から孔の周囲の方向に黒から白へ傾斜して変化し、孔の周辺部分は白が強く表れている。電場強度の極大、極小となる領域が、x方向及びy方向で周期的に繰り返されており、電場が周期性構造体の孔(周期性構造体の基本構造205)に集中することが確認できる。空気の孔201は、周期性構造体の基本構造205を表す。204は周期方向を表す。
(閉じ込め関係)
このような周期構造に起因する電場強度分布をクラッドによりコアに閉じ込めることにより、周期性に起因する導波モードを形成してX線を導波させることができる。そのために、本発明のX線導波路においては、周期性に起因する導波モード以外にも、コア全体を平均的な屈折率をもつ均一な媒質とした場合の導波モードが存在し、これを一様モードと称する。
このような周期構造に起因する電場強度分布をクラッドによりコアに閉じ込めることにより、周期性に起因する導波モードを形成してX線を導波させることができる。そのために、本発明のX線導波路においては、周期性に起因する導波モード以外にも、コア全体を平均的な屈折率をもつ均一な媒質とした場合の導波モードが存在し、これを一様モードと称する。
一方、この一様モードに対し、本発明のX線導波路中で用いられる周期性に起因する導波モードは、近接するモードに比べて損失が少なく、位相がそろったものとなる。本発明のX線導波路は、クラッドとコアの界面における全反射により、一様モード以外に、上記の周期性に起因する導波モードを形成するために、構造周期203(d)が次の式(2)を満たすように設計されている。
構造周期203(d)は、図2のように、導波方向(伝搬方向、z方向)に垂直な方向(x−y平面)で周期的に配されて形成される周期構造の周期(図2の破線の間隔)として定義し、その大きさはその周期構造によって異なる。また、前記周期構造の方向(図2におけるx−y平面上で破線に垂直な方向)を、本明細書中では周期方向204と定義する。図2のように2次元周期構造の場合には、構造周期203及び周期方向204は複数存在することになる。構造周期203と周期方向204はX線回折によって測定することができる。特に、二つのクラッドによりコアが挟まれた配置となっている場合(図2)、図2の周期方向は、導波方向に垂直かつクラッドとコアの界面に垂直な方向と一致させる。
θC(°)はクラッドと低電子密度層の界面の全反射臨界角、θB−y(°)は周期方向での構造周期dによるブラッグ角、λはX線の波長、
はコアの平均屈折率の実部である。
この条件により、本発明のX線導波路中には、一様モードだけでなく、周期性に起因する導波モードが存在することになる。周期性に起因する導波モードは、周期構造体が無限であると仮定した際に周期構造体の中に形成されるモードがクラッドで閉じ込める導波路構造により変調を受けたモードである。そのために、伝搬方向に垂直な面内における周期性に起因する導波モードの電場強度分布の電場強度が極大である腹の部分と節の部分は、それぞれ周期構造の基本構造に一致したものとなる。
このような周期性に起因する導波モードは、近接する一様モードよりも損失が小さくなるので、モード選択されたX線の導波が可能となる。図3は、X線電場強度分布と伝搬損失の周期数依存性を示す図である。図3(a)は、シリカと界面活性剤の層状構造を基本構造とする1次元周期性構造体をコアし、クラッドを金とした導波路の周期構造に起因する導波モードを示す。そして、周期構造に起因する導波モードのコア内での電場強度分布の有限要素法によるシミュレーション実験した結果である。図中のEはX線の電場を、yは導波路断面の空間座標を表す。この導波モードの伝搬角度は周期性構造体のブラッグ角よりわずかに小さいものとなり、電場がコア中心付近に集中し、クラッドへの染み出しが少なく、位相プロファイルが制御された導波モードが実現される。図3(b)に示すとおり、これら周期性に起因する導波モードの利点は、周期数が増えるほどその効果が顕著になって伝搬損失が低下するという点にある。本発明のX線導波路のコアの周期構造の周期数は20以上、好ましくは50以上が望ましい。
本発明のX線導波路のX線を閉じ込める次元は、膜状のコアをクラッドで挟み込んだ1次元のものであっても、導波方向に垂直な断面が円や方形等の形状のコアをクラッドで取り囲んだ2次元であってもよい。2次元閉じ込め型導波路では、X線が2次元的に導波路内に閉じ込められることから、1次元閉じ込め型より発散性が抑制され、かつ小さなビームサイズのX線ビームを取り出すことができる。また、周期性構造体が2次元構造(基本構造:シリンダー状構造)や3次元構造(基本構造:ケージ構造)である場合には、複数存在する周期方向の周期構造に起因する電場強度分布を、コア内により効率的に形成させることができる。すなわち、導波路断面で2次元的に位相プロファイルが制御されたX線ビームを提供することができる。
(クラッド材料)
クラッドと低電子密度層の界面におけるクラッド側の物質の屈折率実部をncladding、低電子密度層の屈折率実部をnlow−eとする。この場合における、膜の面に平行な方向からの全反射臨界角θC(°)は、ncladding<nlow−eとして、
クラッドと低電子密度層の界面におけるクラッド側の物質の屈折率実部をncladding、低電子密度層の屈折率実部をnlow−eとする。この場合における、膜の面に平行な方向からの全反射臨界角θC(°)は、ncladding<nlow−eとして、
と表される。本発明のX線導波路のクラッド材料は、導波路のその他の構造パラメータ、物性パラメータが、式(2)を満たすもので構成することができる。例えば、コアに三角格子状に空孔が閉じ込め方向における周期10nmで配列した二次元周期構造であるメソポーラスシリカを用い、低電子密度層にポリマー等の有機物を用いた場合、Au、W、Taなどでクラッドを構成することができる。
このような構成とすることにより、本発明のX線導波路は周期性に起因し、位相制御され、損失が少ない導波モードを形成して、X線を導波させることができる。
(低電子密度層、周期性構造体との関係および厚さ)
本発明のX線導波路は、コアである周期性構造体とクラッド間に低電子密度層を配していることを特徴とする。この低電子密度層は、コアを構成する物質のうち最も電子密度の高い物質よりも電子密度の低い物質からなる材料で構成される。例えば、周期性構造体にメソポーラスシリカを用いた場合には、その最も電子密度の大きい物質であるシリカよりも電子密度の低い界面活性剤やポリマー等の有機物やB4C等の無機物などを低電子密度層の材料として用いる。前記低電子密度層によって、周期性構造体の多重反射に起因する導波モードの導波路の断面での電場強度分布プロファイルが変調され、その伝搬損失を適宜調整することができる。
本発明のX線導波路は、コアである周期性構造体とクラッド間に低電子密度層を配していることを特徴とする。この低電子密度層は、コアを構成する物質のうち最も電子密度の高い物質よりも電子密度の低い物質からなる材料で構成される。例えば、周期性構造体にメソポーラスシリカを用いた場合には、その最も電子密度の大きい物質であるシリカよりも電子密度の低い界面活性剤やポリマー等の有機物やB4C等の無機物などを低電子密度層の材料として用いる。前記低電子密度層によって、周期性構造体の多重反射に起因する導波モードの導波路の断面での電場強度分布プロファイルが変調され、その伝搬損失を適宜調整することができる。
前述のとおり(図3)、低電子密度層がない場合にはX線の電場強度分布がコアの中心に集中し、クラッド部への電場の染み出しによる損失の少ない、すなわち近接するモードに比べて伝搬損失の小さい導波モードが形成される。
図4は、コアにシリカと界面活性剤の多層の周期性構造体(構造周期10nm)を用いたX線導波路の、コアとクラッドの間に低電子密度層としてポリマーを配したX線導波路の、有限要素法によるシミュレーション実験の結果を示す。図4(a)は、低電子密度層がない場合を示す。低電子密度層がある場合(厚さ4nm)は、図4(b)に示すように、低電子密度層がない場合(図4(a))と比べて、導波モードのX線電場強度分布が変化することがわかる。コアの中心に集中していた電場強度分布がクラッドとの界面に集中してクラッドへのX線の染み出しが大きくなり、伝搬損失が他の近接するモードに比べて増大する。すなわち、周期性に起因する導波モードが選択的に透過してこないことを意味する。
一方、低電子密度層を周期性構造体の構造周期と一致する厚さに配した場合には、低電子密度層がない場合と同様にコア中心部に電場強度が集中し、周期性特有の導波モードの伝搬損失が近接する他の導波モードに比べて小さくなる(図4(c))。シミュレーション実験の結果、低電子密度層の厚さがコアの周期性構造体の構造周期の自然数倍である場合に、近接するモードに比べて周期性特有の導波モードの伝搬損失が小さくなることが分かる。低電子密度層の厚さは、具体的には周期性構造体の構造周期の1から5倍が好ましい。
図5(a)は、低電子密度層の厚さを変化させた際の、伝搬角度の異なる各モードでの導波X線の透過率を示す。低電子密度層の厚さが増加することによって、周期性特有の導波モード自体の透過率が小さくなる。しかしながら、最も近い伝搬角度を有する導波モードの透過率との比は、低電子密度層の厚さと共に増大しており(図5(b))、周期構造の多重反射に起因する導波モードがより選択的に導波路から透過してくることがわかる。そのため、低電子密度層の厚さは、周期性特有の導波モードの選択透過性能とその透過強度のトレードオフ関係から、必要とする光学性能に応じて適宜選択することができる。
(周期性構造体の材料)
本発明のX線導波路のコアに用いられる周期性構造体の材料は、特に限定はされることなく、従来の半導体プロセスによって作製される周期性構造体等を用いることができる。例えば、スパッタや蒸着法によって作製される多層膜や、フォトリソグラフィーや電子ビームリソグラフィー、エッチングプロセス、積層や貼り合わせ、などによって作製される周期性構造体等を用いることができる。また、周期性構造体を構成する物質に酸化物を用いることによって、酸化劣化を防ぐことができる。
本発明のX線導波路のコアに用いられる周期性構造体の材料は、特に限定はされることなく、従来の半導体プロセスによって作製される周期性構造体等を用いることができる。例えば、スパッタや蒸着法によって作製される多層膜や、フォトリソグラフィーや電子ビームリソグラフィー、エッチングプロセス、積層や貼り合わせ、などによって作製される周期性構造体等を用いることができる。また、周期性構造体を構成する物質に酸化物を用いることによって、酸化劣化を防ぐことができる。
本発明のX線導波路のコアとしては、特に、その製造工程の簡便性や規則性の高い周期構造の観点から、コアが有機物質と無機物質からなるメソ構造体膜であることが好ましい。また、前記コアがメソポーラス材料からなることが好ましい。
特に、有機無機多層膜やメソポーラス材料を好ましく用いることができる。多孔質材料は、IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry)によって、その孔径により分類されている。孔径が2から50nmの多孔質材料は、メソポーラス材料に分類される。これらの材料は、主に酸化物の前駆体である反応液を基板上に塗布等のプロセスによって付与することによって、自己集合的に周期構造が形成される。そのため、従来の半導体プロセスの多数のプロセスを要せず、極めて簡便かつ高いスループットで作製することが可能である。また、数十nmの周期性構造体を形成することは、従来の半導体プロセスでは極めて困難であり、特に2次元以上の周期性構造体を作製することはほぼ不可能であると言ってよい。
有機無機多層膜やメソポーラス材料の無機成分と有機成分(あるいは空孔)によって周期構造を形成している。無機成分には、無機酸化物が用いられることが好ましく、シリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウム等を例示することができる。有機成分には、例えば界面活性剤に代表される両親媒性分子、シロキサンオリゴマーのアルキル鎖部分、あるいはシランカップリング剤のアルキル鎖部分等を挙げることができる。界面活性剤としては、C12H25(OCH2CH2)4OH、C16H35(OCH2CH2)10OH、C18H37(OCH2CH2)10OH等を用いることができる。具体的には、界面活性剤として、東京化成工業のTween 60や、BASF社のPluronic L121、Pluronic P123、Pluronic P65、Pluronic P85等の製品を用いることができる。それらの無機成分および有機成分を適切に選択することにより周期性構造体の周期構造の次元や構造周期(ブラッグ回折から得られる面間隔)を調整することができる。前駆体反応液を基板と接触保持して作製する水熱合成法の場合において、用いられる有機物に対する周期性構造体の構造を表1に例示する。
メソポーラス材料の場合、前駆体反応液の付与により、自己集合によって形成される際には、その細孔内部に有機物を含有している。これらの有機物は、焼成、有機溶媒による抽出、オゾン酸化処理等の従来公知の方法によって除去することができる。本発明においては、必要とする性能を有する限りにおいて、メソポーラス材料の細孔内に有機成分が残存していいても構わない。また、有機成分を除去することにより、X線の吸収成分が少なくなるため、より伝搬損失の小さいX線導波路を提供することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
本実施例のX線導波路は、Si基板上にスパッタでタングステンを成膜したものを下部クラッドとし、その上にゾルゲル法により多層膜である有機無機多層膜のコアを作製し、さらにスパッタで上部クラッドを形成する。スパッタプロセスの前後において、低電子密度層としてポリスチレンを塗布によって配する。
本実施例では、層状構造をもつメソ構造体膜(有機無機多層膜)の無機物がシリカである。この有機無機多層膜を含む本実施例のX線導波路の作製方法は、以下のような工程が例として挙げられる。
(a)クラッド層とポリスチレン層の形成
Si基板上にマグネトロンスパッタリングによってタングステンを20nmの厚さに形成した後、スピンコートによってポリスチレン層を形成する。
Si基板上にマグネトロンスパッタリングによってタングステンを20nmの厚さに形成した後、スピンコートによってポリスチレン層を形成する。
(b)メソ構造体膜の前駆体溶液調製
層状構造を持つシリカメソ構造体膜は、ディップコート法で調製される。メソ構造体の前駆体溶液は、エタノール、0.01M塩酸、テトラエトキシシランを加え20分間混合した溶液に、ブロックポリマーのエタノール溶液を加え、3時間攪拌することにより調製される。
ブロックポリマーは、エチレンオキサイド(20)プロピレンオキサイド(70)エチレンオキサイド(20):(以降、EO(20)PO(70)EO(20)と記載する(カッコ内は、各ブロックの繰り返し数))を用いる。
エタノールにかえてメタノール、プロパノール、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルを使用することも可能である。混合比(モル比)は、テトラエトキシシラン:1.0、塩酸:0.0011、エタノール:5.2、ブロックポリマー:0.026、エタノール:3.5とする。溶液は、膜厚調整の目的で適宜希釈して使用する。
層状構造を持つシリカメソ構造体膜は、ディップコート法で調製される。メソ構造体の前駆体溶液は、エタノール、0.01M塩酸、テトラエトキシシランを加え20分間混合した溶液に、ブロックポリマーのエタノール溶液を加え、3時間攪拌することにより調製される。
ブロックポリマーは、エチレンオキサイド(20)プロピレンオキサイド(70)エチレンオキサイド(20):(以降、EO(20)PO(70)EO(20)と記載する(カッコ内は、各ブロックの繰り返し数))を用いる。
エタノールにかえてメタノール、プロパノール、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルを使用することも可能である。混合比(モル比)は、テトラエトキシシラン:1.0、塩酸:0.0011、エタノール:5.2、ブロックポリマー:0.026、エタノール:3.5とする。溶液は、膜厚調整の目的で適宜希釈して使用する。
(c)メソ構造体膜の成膜
洗浄した基板に、ディップコート装置を用いて0.5から2mms−1の引き上げ速度でディップコートを行う。このときの温度は、25℃、相対湿度は、40%である。製膜後、膜は、25℃、相対湿度50%の恒温恒湿槽で24時間保持される。
洗浄した基板に、ディップコート装置を用いて0.5から2mms−1の引き上げ速度でディップコートを行う。このときの温度は、25℃、相対湿度は、40%である。製膜後、膜は、25℃、相対湿度50%の恒温恒湿槽で24時間保持される。
(d)メソ構造体膜の評価
調製されたメソ構造体膜をブラッグ−ブレンターノ配置のエックス線回折分析を行う。その結果、このメソ構造体膜は、シリカとブロックポリマーの層状構造からなり、基板面の法線方向に高い秩序性をもち、その面間隔は、10nmであることが確認される。その膜厚はおよそ500nmである。
調製されたメソ構造体膜をブラッグ−ブレンターノ配置のエックス線回折分析を行う。その結果、このメソ構造体膜は、シリカとブロックポリマーの層状構造からなり、基板面の法線方向に高い秩序性をもち、その面間隔は、10nmであることが確認される。その膜厚はおよそ500nmである。
(e)ポリスチレン層とクラッド層の形成
ポリスチレンをスピンコートによって塗布した後、マグネトロンスパッタリングによってタングステンを4nm形成する。
ポリスチレンをスピンコートによって塗布した後、マグネトロンスパッタリングによってタングステンを4nm形成する。
得られたX線導波路は、コアがクラッドにより挟まれた形となっており、コアとクラッドの界面での全反射によりX線をコアに閉じ込めるものである。この構成によれば、コアである多層膜の周期と、それをなす物質の屈折率実部の関係が式(2)を満たしている。8keVのX線に対して、X線はクラッドとコアとの界面における全反射によりコア中に閉じ込められ、閉じ込められたX線が多層膜のもつ1次元の周期性の影響を受けた導波モードを形成することができる。クラッドと低電子密度層の界面における全反射臨界角は0.53°である。コアの周期性構造体の基本構造の周期性に起因するブラッグ角は0.44°である。
図4(a)は周期性に起因した最低次の導波モードの電場強度分布である。電場強度の極大値の数はメソ構造体膜の周期数に一致し、その値は、コアの中心付近ほど強くなっていることがわかる。また、この導波モードは損失が小さいので効率の良い導波路を実現できることになる。
この導波路構成において、クラッド形成プロセス前後において、スピンコート等によって低電子密度層としてポリスチレン層を形成すると、その厚さに応じて周期性に起因した導波モードの伝搬損失(透過率)が変化する(図4(b)と(c))。低電子密度層の厚さが10nmの自然数倍の時には、周期性起因の導波モードが選択的に透過することが導波路からの透過X線の遠視野回折パターンによって確認することができる。
本実施例のX線導波路は、Si基板上に、タングステンからなるクラッドがコアを挟み込む形となっており、そのクラッドとコアの間にクラッド形成プロセス前後に、低電子密度層としてポリイミドを塗布によって配するものである。クラッドはスパッタ法により成膜され、コアはメソポーラス材料である。
このメソポーラス材料は、X線の導波方向に垂直な方向(xy面内方向)で有機物よりなる孔が2次元周期構造を形成している。孔以外の部分の材料はシリカである、メソポーラスシリカである。このメソポーラスシリカを含む本実施例のX線導波路の作製方法を、以下の(a)から(e)に示す。
(a)クラッド層とポリイミド層の形成
Si基板上にマグネトロンスパッタリングによってタングステンを20nm形成した後、スピンコートによってポリイミド層を形成する。
Si基板上にマグネトロンスパッタリングによってタングステンを20nm形成した後、スピンコートによってポリイミド層を形成する。
(b)メソ構造体膜の前駆体溶液調製
2Dヘキサゴナル構造を持つメソポーラスシリカ膜は、ディップコート法で調製される。メソ構造体の前駆体溶液は、エタノール、0.01M塩酸、テトラエトキシシランを加え20分間混合した溶液にブロックポリマーのエタノール溶液を加え、3時間攪拌することで調製される。
ブロックポリマーは、エチレンオキサイド(20)プロピレンオキサイド(70)エチレンオキサイド(20):(以降、EO(20)PO(70)EO(20)と記載する(カッコ内は、各ブロックの繰り返し数))を用いる。
エタノールにかえてメタノール、プロパノール、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルを使用することも可能である。混合比(モル比)は、テトラエトキシシラン:1.0、塩酸:0.0011、エタノール:5.2、ブロックポリマー:0.0096、エタノール:3.5とする。溶液は、膜厚調整の目的で適宜希釈して使用する。
2Dヘキサゴナル構造を持つメソポーラスシリカ膜は、ディップコート法で調製される。メソ構造体の前駆体溶液は、エタノール、0.01M塩酸、テトラエトキシシランを加え20分間混合した溶液にブロックポリマーのエタノール溶液を加え、3時間攪拌することで調製される。
ブロックポリマーは、エチレンオキサイド(20)プロピレンオキサイド(70)エチレンオキサイド(20):(以降、EO(20)PO(70)EO(20)と記載する(カッコ内は、各ブロックの繰り返し数))を用いる。
エタノールにかえてメタノール、プロパノール、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルを使用することも可能である。混合比(モル比)は、テトラエトキシシラン:1.0、塩酸:0.0011、エタノール:5.2、ブロックポリマー:0.0096、エタノール:3.5とする。溶液は、膜厚調整の目的で適宜希釈して使用する。
(c)メソ構造体膜の成膜
洗浄した基板に、ディップコート装置を用いて0.5から2mms−1の引き上げ速度でディップコートを行う。このときの温度は、25℃、相対湿度は、40%である。製膜後、膜は、25℃、相対湿度50%の恒温恒湿槽で24時間保持される。
洗浄した基板に、ディップコート装置を用いて0.5から2mms−1の引き上げ速度でディップコートを行う。このときの温度は、25℃、相対湿度は、40%である。製膜後、膜は、25℃、相対湿度50%の恒温恒湿槽で24時間保持される。
(d)メソポーラスシリカ膜の評価
調製されたメソ構造体膜をブラッグ−ブレンターノ配置のエックス線回折分析を行う。その結果、このメソ構造体膜は,基板面の法線方向に高い秩序性をもち、その面間隔つまり閉じ込め方向における周期が、10nmであることが確認される。その膜厚はおよそ480nmである。
調製されたメソ構造体膜をブラッグ−ブレンターノ配置のエックス線回折分析を行う。その結果、このメソ構造体膜は,基板面の法線方向に高い秩序性をもち、その面間隔つまり閉じ込め方向における周期が、10nmであることが確認される。その膜厚はおよそ480nmである。
(e)ポリイミド層とクラッド層の形成
ポリイミドをスピンコートによって塗布した後、マグネトロンスパッタリングによってタングステンを4nm形成する。
ポリイミドをスピンコートによって塗布した後、マグネトロンスパッタリングによってタングステンを4nm形成する。
得られたX線導波路は、周期は10nmという値のために、式(2)を満たしている。17.5keVのX線に対して、X線はクラッドとコアとの界面における全反射によりコア中に閉じ込められ、閉じ込められたX線がメソポーラスシリカのもつ2次元の周期性の影響を受けた導波モードを形成することができる。クラッドと低電子密度層の界面における全反射臨界角は0.25°である。コアの周期性構造体の基本構造の周期性に起因するブラッグ角は0.20°である。
このX線導波路の構成において、クラッド形成プロセス前後において、スピンコート等によって低電子密度層としてポリスチレン層を形成すると、その厚さに応じて周期性に起因した導波モードの伝搬損失(透過率)が変化する。低電子密度層の厚さが10nmの自然数倍の時には、周期性起因の導波モードが選択的に透過することが導波路からの透過X線の遠視野回折パターンによって確認することができる。
本施例のX線導波路は、実施例1のX線導波路のコアである2次元周期構造のメソポーラスシリカを、3次元周期構造の酸化ジルコニウムメソ構造体膜に変えたものである。本実施例のX線導波路の作製方法を、以下の(a)から(e)に示す。
(a)クラッド層とポリスチレン層の形成
Si基板上にマグネトロンスパッタリングによってタングステンを20nm形成した後、スピンコートによってポリスチレン層を形成する。
Si基板上にマグネトロンスパッタリングによってタングステンを20nm形成した後、スピンコートによってポリスチレン層を形成する。
(b)酸化ジルコニウムメソ構造体膜前駆体溶液の調製
3Dキュービック構造を持つ酸化ジルコニウムメソ構造体膜は、ディップコート法で調製される。エタノール溶媒にブロックポリマーを溶解した後、塩化ジルコニウム(IV)を滴下する。さらに水を加え攪拌して調製する。混合比(モル比)は、塩化ジルコニウム(IV):1、ブロックポリマー:0.005、水:20、エタノール:40とする。ブロックポリマーは、EO(106)PO(70)EO(106)を用いる。
3Dキュービック構造を持つ酸化ジルコニウムメソ構造体膜は、ディップコート法で調製される。エタノール溶媒にブロックポリマーを溶解した後、塩化ジルコニウム(IV)を滴下する。さらに水を加え攪拌して調製する。混合比(モル比)は、塩化ジルコニウム(IV):1、ブロックポリマー:0.005、水:20、エタノール:40とする。ブロックポリマーは、EO(106)PO(70)EO(106)を用いる。
(c)メソ構造体膜の製膜
洗浄した基板に、ディップコート装置を用いて0.5から2mms−1の引き上げ速度でディップコートを行う。このときの温度は、25℃、相対湿度は、40%である。製膜後、膜は、25℃、相対湿度50%の恒温恒湿槽で2週間保持される。
洗浄した基板に、ディップコート装置を用いて0.5から2mms−1の引き上げ速度でディップコートを行う。このときの温度は、25℃、相対湿度は、40%である。製膜後、膜は、25℃、相対湿度50%の恒温恒湿槽で2週間保持される。
(d)評価
調製されたメソ構造体膜をブラッグ−ブレンターノ配置のエックス線回折分析を行う。その結果、このメソ構造体膜は,基板面の法線方向に高い秩序性をもち、その面間隔は、11nmであることが確認される。その膜厚は、およそ385nmである。
調製されたメソ構造体膜をブラッグ−ブレンターノ配置のエックス線回折分析を行う。その結果、このメソ構造体膜は,基板面の法線方向に高い秩序性をもち、その面間隔は、11nmであることが確認される。その膜厚は、およそ385nmである。
(e)ポリスチレン層とクラッド層の形成
ポリスチレンをスピンコートによって塗布した後、マグネトロンスパッタリングによってタングステンを4nm形成する。
ポリスチレンをスピンコートによって塗布した後、マグネトロンスパッタリングによってタングステンを4nm形成する。
得られたX線導波路は、周期は11nmという値のために、式(2)を満たしている。10keVのX線に対して、X線はクラッドとコアとの界面における全反射によりコア中に閉じ込められ、閉じ込められたX線が酸化ジルコニウムメソ構造体の持つ3次元の周期性の影響を受けた導波モードを形成することができる。クラッドと低電子密度層の界面における全反射臨界角は0.41°である。コアの周期性構造体の基本構造の周期性に起因するブラッグ角は0.32°である。
このX線導波路構成において、クラッド形成プロセス前後において、スピンコート等によって低電子密度層としてポリスチレン層を形成すると、その厚さに応じて周期性に起因した導波モードの伝搬損失(透過率)が変化する。低電子密度層の厚さが11nmの自然数倍の時には、周期性起因の導波モードが選択的に透過することが導波路からの透過X線の遠視野回折パターンによって確認することができる。
本実施例のX線導波路は、Si基板上にスパッタでタングステンを成膜したものを下部クラッドとし、その上にスパッタによりB4CとAl2O3からなる多層膜を作製し、さらにスパッタで上部クラッドを形成する。多層膜作製前後において、低電子密度層としてAl2O3よりも電子密度の低いB4Cをスパッタによって配する。
本実施例のX線導波路の作製方法は、スパッタ法による以下のような工程が挙げられる。
(a)クラッド層とB4C層の形成
Si基板上にマグネトロンスパッタリングによってタングステンを20nmの厚さに形成した後、さらにマグネトロンスパッタリングによってB4C層を形成する。
Si基板上にマグネトロンスパッタリングによってタングステンを20nmの厚さに形成した後、さらにマグネトロンスパッタリングによってB4C層を形成する。
(b)多層膜の形成
マグネトロンスパッタリングによってAl2O3、B4Cの順に交互に成膜して多層膜を作製する。Al2O3とB4Cの厚さは、それぞれ3.6nmと14.4nmとし、多層膜の最下部、及び最上部の層はAl2O3とする。Al2O3とB4Cは、それぞれ101層と100層を形成する。
マグネトロンスパッタリングによってAl2O3、B4Cの順に交互に成膜して多層膜を作製する。Al2O3とB4Cの厚さは、それぞれ3.6nmと14.4nmとし、多層膜の最下部、及び最上部の層はAl2O3とする。Al2O3とB4Cは、それぞれ101層と100層を形成する。
(c)B4C層とクラッド層の形成
マグネトロンスパッタリングによってB4Cを形成した後、マグネトロンスパッタリングによってタングステンを4nm形成する。
マグネトロンスパッタリングによってB4Cを形成した後、マグネトロンスパッタリングによってタングステンを4nm形成する。
得られたX線導波路は、コアがクラッドにより挟まれた形となっており、コアとクラッドの界面での全反射によりX線をコアに閉じ込めるものである。この構成によれば、コアである多層膜の周期と、それをなす物質の屈折率実部の関係が式(2)を満たしている。8keVのX線に対して、X線はクラッドとコアとの界面における全反射によりコア中に閉じ込められ、閉じ込められたX線が多層膜のもつ1次元の周期性の影響を受けた導波モードを形成することができる。クラッドと低電子密度層の界面における全反射臨界角は0.51°である。コアの周期性構造体の基本構造の周期性に起因するブラッグ角は0.20°である。
このX線導波路の構成において、クラッド形成プロセス前後において、スパッタによって低電子密度層としてB4C層を形成すると、その厚さに応じて周期性に起因した導波モードの伝搬損失(透過率)が変化する。低電子密度層の厚さが18nmの自然数倍の時には、周期性起因の導波モードが選択的に透過することが導波路からの透過X線の遠視野回折パターンによって確認することができる。
本発明にかかるX線導波路は、位相プロファイルが制御されたX線ビームを提供することが可能となり、さらにその選択性や透過率などの光学特性を調整することができ、X線を用いた分析技術等に有用である。
101 コア(周期性構造体)
102 クラッド
103 低電子密度層
201 孔
202 シリカ
203 構造周期d
204 周期方向
205 基本構造
102 クラッド
103 低電子密度層
201 孔
202 シリカ
203 構造周期d
204 周期方向
205 基本構造
Claims (6)
- 物質の屈折率実部が1以下となる波長帯域のX線を導波させるためのコアと、前記コアに前記X線を閉じ込めるためのクラッドと、を有するX線導波路であって、前記コアが、屈折率実部が異なる複数の物質からなる複数の基本構造が周期的に配されて形成されている周期性構造体を含み、前記コアと前記クラッド間に、前記コアを構成する複数の物質のうちの最も電子密度の高い物質よりも電子密度の低い物質からなる低電子密度層が設けられており、かつ前記クラッドと前記低電子密度層との界面における前記X線の全反射臨界角が、前記コアの周期性構造体の基本構造の周期性に起因するブラッグ角よりも大きいことを特徴とするX線導波路。
- 前記低電子密度層の厚さが前記コアの周期性構造体の構造周期の自然数倍であることを特徴とする請求項1に記載のX線導波路。
- 前記コアの周期構造の周期数が20以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のX線導波路。
- 前記コアが有機物と無機物が周期的に配された周期性構造体であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のX線導波路。
- 前記コアがメソポーラス材料を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のX線導波路。
- 前記屈折率実部が異なる複数の物質のうち少なくとも一つの物質が酸化物であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のX線導波路。
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