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JP2013117444A - X線光学素子及びx線光学システム - Google Patents

X線光学素子及びx線光学システム Download PDF

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JP2013117444A JP2011265067A JP2011265067A JP2013117444A JP 2013117444 A JP2013117444 A JP 2013117444A JP 2011265067 A JP2011265067 A JP 2011265067A JP 2011265067 A JP2011265067 A JP 2011265067A JP 2013117444 A JP2013117444 A JP 2013117444A
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Abstract

【課題】 簡便に、より高い伝搬効率で高度に位相の揃ったX線を出射可能なX線光学素子を提供する。
【解決手段】 X線導波路と前記X線導波路から出射したX線を選択的に透過させる機構を有するX線光学素子であって、前記X線導波路は、X線を導波させるためのコアと、前記コアに前記X線を閉じ込めるためのクラッドを有し、前記コアは、屈折率実部が異なる複数の物質からなる周期構造を有し、前記クラッドと前記コアとの界面における前記X線の全反射臨界角は、前記コアの周期性に起因するブラッグ角よりも大きく、 前記X線を選択的に透過する機構は、所定の出射角度で前記X線導波路を出射したX線を選択的に透過することを特徴とするX線光学素子。
【選択図】 図1

Description

本発明は、X線光学素子に関する。
X線は、医療、非破壊検査、結晶構造解析等の分野で広く利用されている。X線のような数10nm以下の短い波長の電磁波に対する異物質間の屈折率差は非常に小さいために、このような電磁波をコントロールするためには、大型の空間光学系が用いられている。主流であるこのような空間光学系に対し、最近、光学系の小型化、高機能化を目指し、薄膜や多層膜中に電磁波を閉じ込めて伝播させる、X線導波路の研究が行われている。非特許文献1には、ニッケルと炭素の多層膜からなるX線導波路が開示されている。
Physical Review B,Volume 62,p.16939(2000)
非特許文献1に開示されている導波路は、ニッケルよりなるX線導波路のクラッドと、炭素よりなるX線導波路のコアから構成される。この導波路は、炭素/ニッケル界面の全反射によりX線が閉じ込められ、導波する構成の導波路が、積層されたものとして機能する。このために、クラッドに挟まれたコアの組み合わせが一組の導波路(以降、単層導波路と記載する)と比較して大きな光量のX線を導波することが可能となる。
一方で、このような構成の導波路は、積層された導波路構成のそれぞれ(コアとそれを挟み込むクラッドの組)が別個の単層導波路として機能する。そのために、全体として出射されるX線の位相が揃う、集光、発散抑制効果を持つといった、単層導波路の長所を減じることとなる。
これに対し発明者らは、クラッドとコアを備え、コア/クラッド界面の全反射によってコアにX線を閉じ込める構成のX線導波路であって、そのコアとして、屈折率実部が異なる複数の物質が周期的に配置されたX線導波路を提案した。この導波路では、そのコアを導波するX線が多重干渉し、この周期構造に対応して効率的に導波するモード(以降、周期共鳴導波モードと記載する)が選択されるために、高効率に大きな光量の位相の揃ったX線を導波することが可能となる。
本発明は、X線導波路と前記X線導波路から出射したX線を選択的に透過させる機構を有するX線光学素子であって、
前記X線導波路は、X線を導波させるためのコアと、前記コアに前記X線を閉じ込めるためのクラッドを有し、
前記コアは、屈折率実部が異なる複数の物質からなる周期構造を有し、
前記クラッドと前記コアとの界面における前記X線の全反射臨界角は、前記コアの周期性に起因するブラッグ角よりも大きく、
前記X線を選択的に透過する機構は、所定の出射角度で前記X線導波路を出射したX線を選択的に透過することを特徴とするX線光学素子に関する。
本発明によれば、本発明のX線導波路に対して位置が固定されたX線を選択的に透過する機構を有するX線光学素子により、簡便に、より高い伝搬効率で高度に位相の揃ったX線を出射可能なX線光学素子を提供することができる。
本発明のX線光学素子の概念図を示す。 本発明のX線導波路の概念図を示す。 波数ベクトルと有効伝搬角度の説明図である。 実施例1のX線導波路を示す。 X線の透過強度の入射角度依存性の模式図を示す。
本発明のX線光学素子は、X線導波路と、X線導波路から出射したX線を選択的に透過させる機構とを有することを特徴とする。
本発明者らは、クラッドとコアを備え、コアとクラッドとの界面の全反射によってコアにX線を閉じ込める構成のX線導波路であって、そのコアとして、屈折率実部が異なる複数の物質が周期的に配置されたX線導波路を見出した。この導波路では、そのコアを導波するX線が多重干渉し、この周期構造に対応して効率的に導波するモード(以降、『周期共鳴導波モード』と記載する)が選択されるために、高効率に大きな光量の位相の揃ったX線を導波することが可能となる。
従来、X線を収束するために、一般的にガラスキャピラリと呼ばれる素子が使用されている。この素子では、そのキャピラリの内部を、X線を全反射して進行させることで、エックス線を収束させることができる。この素子は、本発明における導波路に対して、一般に管径が大きいために、本発明における導波路とは異なり、コヒーレントなエックス線を得ることができない。この点で本発明におけるX線導波路とは異なる。
この導波路は、コア/クラッド界面の全反射によってコアにX線を閉じ込め、導波させる。この際に、周期共鳴導波モード以外にも、周期構造とは関係なくコア/クラッド界面の全反射によってコアにX線を閉じ込めることで導波するモード(単層導波路においても発生するモードであるため、以降、『単層導波モード』と記載する)が存在しうる。単層導波モードは、周期共鳴導波モードと比較してその導波効率は低いことが多い。しかし、効率は低いものの、後者のモードによって導波したX線が前者のモードによって導波されたX線と同時に出射される。この場合、周期共鳴導波モードのみが出射された場合より、比較的にX線の位相が乱れたものとなる。このことは、たとえば、このX線を位相差イメージングに用いる場合に像が不鮮明となるといった問題を生じうる。
本発明のX線光学素子は、X線導波路から出射したX線を選択的に透過させる機構を有しているので、周期共鳴導波モードによって導波されたX線を選択的に透過することができる。これにより、X線を選択的に透過させる機構を有さず、周期共鳴導波モードと単層導波モードによって導波したX線がともに出射される場合と比較して、X線の位相をより揃ったものとすることができる。したがって、本発明の光学素子は、イメージングにおいて、像が鮮明になるといった、この導波路のもつ特長を増幅する。
以下に、本発明のX線光学素子及びX線光学システムについて、図面を用いて詳しく説明する。
本発明に係るX線光学素子の概念図を図1に示す。
図1において、コア1000は屈折率実部が異なる複数の物質1080、1090を含む周期構造を有し、クラッド1010、1020は、同コアにX線を閉じ込める。X線導波路1030は、このコアとクラッドからなる。このX線導波路に入射された単色X線1040は、コア/クラッド界面の全反射によってコア中に閉じ込められることで導波する。その結果、導波路の端部から出射される。このとき出射されるX線の光路は、遠距離場においては、それぞれの導波モードについて、導波路に対して特定の角度をもつ。本発明の光学素子は、このX線導波路に対して位置が固定された、周期共鳴導波モードによって導波したX線1050を選択的に透過する機構1060を持つ。これによって、周期共鳴導波モードによって導波したX線以外のX線1070を除去することで、簡便に、高度に位相の揃ったX線を出射することを可能とする。
ここでは、本実施形態に係るX線導波路について、以下の項目、(1)X線について、(2)X線導波路について、(3)コアについて、(4)クラッドについて、(5)X線を選択的に透過する機構について、(6)効果、(7)X線光学システム、に分けて説明する。
(1)X線について
本発明において、X線とは物質の屈折率実部が1以下となる波長帯域の電磁波である。具体的には、本発明におけるX線とは、1pm以上で、極端紫外光(Extreme Ultra Violet(EUV)光)を含む100nm以下の波長の電磁波を指す。本発明は上記X線に相当する電磁波を制御するためのものである。本明細書中で単に電磁波という場合、上記X線のことと同義で用いることがある。
またこのような短い波長の電磁波の周波数は非常に高く、物質の最外殻電子が応答できないため、紫外光の波長以上の波長をもつ電磁波(可視光や赤外線)の周波数帯域と異なり、X線に対しては物質の屈折率の実部が1より小さくなることが知られている。このようなX線に対する物質の屈折率nは一般的に、下記の式(1)で表されるように、実数部の1からのずれ量δ、吸収に関係する虚数部のβ’を用いて表される。
Figure 2013117444
δは物質の電子密度ρに比例するため、電子密度の大きい物質ほど屈折率の実部が小さくなる。屈折率実部n’は、1−δとなる。さらに、ρは原子密度ρと原子番号Zに比例する。このようにX線に対する物質の屈折率は複素数で表される。本明細書中では、その実部を屈折率実部または屈折率の実部と称し、虚部を屈折率虚部または屈折率の虚部と称する。たとえば、X線は、真空中を伝搬する場合に屈折率実部が最大となり、一般的環境下では気体でないほぼすべての物質に対して空気の屈折率実部が最大となる。本明細書中においては、『物質』と記載した場合には、空気や真空も包含するものとする。したがって、メソ構造体やメソポーラス材料であるメソ構造体は、単一な材料で構成されている場合でも空気や真空からなる屈折率の異なる部分を有するので、複数の物質から構成されているものとする。
(2)X線導波路について
周期共鳴導波モードを発現するX線導波路は、コアとクラッドとの界面における全反射により、X線を周期構造であるコアの中に閉じ込めて導波モードを形成し、X線を伝搬させる。そしてこの導波路では、コアとクラッドの界面での全反射臨界角が、コアの周期構造の周期性に起因するブラッグ角よりも大きいことを特徴とする。図2には、このX線導波路の概念図を示す。このX線導波路は、コア2001が、クラッド2002とクラッド2003に挟まれた形態である。そしてこのコア2001は、高屈折率実部をもつ物質の層2005と低屈折率実部をもつ物質の層2006よりなる基本構造から構成されている。ここで、本発明のX線光学素子で用いられる導波路のコアの周期構造は、一次元から三次元のいずれの周期構造を用いてもよいが、ここでは理解を容易とするために、例えば多層膜のような一次元の周期構造を用いて説明を行う。2007はクラッドとコアの界面における全反射臨界角、2008はブラッグ角、2009は基本構造中の物質界面における全反射臨界角を表す。
図2中において、クラッドとコアの界面における全反射臨界角θc−total、多層膜中の基本構造をなす各層の界面での全反射臨界角θc−multi、多層膜の周期性に起因するブラッグ角θの例を示してある。本明細書中ではこれらの角度は、膜の面に平行な方向を0°として表現されるものとする。図中の矢印X線の進行方向を示す。
クラッドとコアの界面におけるクラッド側の物質の屈折率実部をnclad、コア側の物質の屈折率実部をncoreとした場合の、膜の面に平行な方向からの全反射臨界角θc−total(°)は、nclad<ncoreとして、下記の式(2)
Figure 2013117444
で表される。
コアの1次元周期構造の周期をd、コアである周期構造の平均屈折率実部をnavgとした場合、コア中での多重回折の有無に関わらず次の式(3)のようにおおよそのブラッグ角θ(°)が定義される。
Figure 2013117444
λはX線の波長である。
このX線導波路を構成している物質の物性パラメータ、導波路の構造パラメータ、およびX線の波長は、次の式(4)を満たすように設計されているものとする。
Figure 2013117444
このことにより、周期構造体であるコアがもつ周期性に起因するブラッグ角付近の有効伝搬角度をもつ導波モードを、常にクラッドによりコアに閉じ込め、X線の伝搬に寄与させることができる。ここで、本明細書中において有効伝搬角度θ’(°)は、導波モードの伝搬方向の波数ベクトル(伝搬定数)k、真空中の波数ベクトルkを用いて下記の式(5)で表されるものとする。連続条件によりkは各層の界面で一定なので、図3に示すように、有効伝搬角度θ’(°)は、導波モードの基本波の伝搬定数kと真空中の波数ベクトルkとの間で定義される角度で、導波モードの基本波が真空中で進行する角度を表している。これは近似的にコア中での導波モードの基本波の伝搬角度を表すと考えることができるため、今後の説明に用いることとする。
Figure 2013117444
ここでは、コアをなす周期構造体は、屈折率実部の異なる複数の物質の膜が周期的に積層された多層膜様のものを想定する。このとき、隣り合う膜界面においては、屈折率実部の違いによる全反射臨界角が存在する。これをθc−multi(°)とする。
Figure 2013117444
上記の式(6)のように、多層膜中の全反射臨界角が多層膜の周期性に起因するブラッグ角よりも小さい場合には、ブラッグ角付近以上の角度で多層膜中の界面に入射されるX線は全反射を起さず、部分的な反射または屈折を起こすこととなる。多層膜は複数の異なる屈折率実部の周期的に積層された膜により構成されているので、界面も積層方向に複数存在し、多層膜内部のX線はこれら界面において反射、屈折を繰り返すこととなる。多層膜内部でのX線のこのような反射、屈折の繰り返しは多重干渉を引き起こす。その結果、多層膜の周期構造に共鳴できる条件をもつX線、すなわち多層膜内部で存在できる伝搬モードが形成され、その結果、このX線導波路構造のコア中に導波モードが形成されることになる。これを周期共鳴導波モードと称する。
このような周期共鳴導波モードはそれぞれ有効伝搬角度をもち、最も小さな有効伝搬角度をもつ周期共鳴導波モードの有効伝搬角度は多層膜のブラッグ角付近に現れることになる。周期共鳴導波モードは周期構造の周期性に共鳴するモードなので、本明細書中では周期共鳴導波モードと称することとする。これは多層膜を周期数無限の1次元フォトニック結晶として考えた場合の最低次バンドを満たす伝搬モードに相当し、この伝搬モードがクラッドとコアとの界面での全反射により閉じ込められたものとなる。
現実の1次元周期構造では、その周期数は有限であるため、そのフォトニックバンド構造は無限周期の1次元周期構造のフォトニックバンド構造からずれてくるが、周期数が増えるほど導波モードの特性は無限周期のフォトニックバンド上のそれに近づくことになる。ブラッグ反射は周期性によるフォトニックバンドギャップの効果により引き起こされ、そのブラッグ反射を与える角度であるブラッグ角は周期共鳴導波モードの有効伝搬角度よりやや大きい角度となる。
周期構造に対応するフォトニックバンド構造において、フォトニックバンドギャップ端に、周期構造に共鳴する導波モードが存在する。X線のエネルギーが一定として導波モードの有効伝搬角度を考えた場合、これらの導波モードのうち相対的に小さい有効伝搬角度をもつ導波モードが、最低次の周期共鳴導波モードである。周期共鳴導波モードの電場強度の空間的分布プロファイルでは、電場強度の腹の数は基本的に、多層膜の周期数と一致する。高次のブラッグ角に相当する有効伝搬角度をもつ、高次の周期共鳴導波モードの腹の位置は、基本的に周期数の2以上の自然数倍となる。
また有限の周期数をもつ多層膜においては、上記のような周期共鳴導波モードのもつ有効伝搬角度以外の角度で伝搬する導波モードも存在し得る。これらは周期共鳴導波モードではなくコアである多層膜全体を、屈折率実部が平均化された均一媒質として考えた場合に存在する導波モードで、その特性に基本的には多層膜の周期性の影響は少ない。一方、このX線導波路の構成で実現される周期共鳴導波モードでは、周期構造の周期数が増えるほど、より多層膜であるコアの中心へ電場が集中し、クラッドへの染み出しも少なくなり、X線の伝搬損失が小さくなる。また、電場強度分布の包絡曲線はコアの中央に偏った形状となり、よりクラッドへのしみ出しによる損失が小さくなる。さらに、このX線導波路中で用いられる周期共鳴導波モードの位相は、周期性の高い方向、つまりクラッドとコアの界面に垂直かつ導波方向に垂直な方向において、そろったものとなり、空間的なコヒーレンスを有する。ここで、導波モードの位相がそろうということは、導波方向に垂直な面内での電磁場の位相差が0であるということだけではなく、周期構造の空間的な屈折率分布に対応して電磁場の位相差が周期的に−πと+πの間で変化していることをも意味する。この周期共鳴導波モードは、導波方向に垂直な方向において、電場の位相が周期構造の周期と同じ周期で−πと+πの間で変化しているものとなる。
(3)コアについて
本発明において、コアは、屈折率実部が異なる複数の物質からなる周期構造を備えている。本発明において屈折率実部が異なる複数の物質とは多くの場合電子密度が異なる二種以上の物質である。周期構造は、1次元から3次元の周期構造であればよいが、X線の導波方向に垂直な面内での周期性を有するものとする。このような周期構造は、フォトリソグラフィーや電子ビームリソグラフィー、エッチングプロセス、積層や貼り合わせ等の従来の半導体プロセスによっても作製可能である。たとえば、周期構造が一次元の場合には、この周期構造は、周期性多層膜として構成することができる。この場合、多層膜を形成する方法としては、交互蒸着やスパッタ法などがある。
このようなコアを形成する屈折率実部が異なる物質は、無機物、有機物の固体材料のほかに、気体、真空でもよい。また、これらの物質の組み合わせも好ましく用いられる。無機物の例としては、ホウ素、ホウ素化合物、ベリリウム、炭素、窒化物、酸化物、リンがあげられる。具体的な例としては、Be、B、C、BC、BN、SiC、Si、SiN、Al、MgO、TiO、SiO、Pあげられる。コアを形成する材料を無機物質とすることにより、従来のスパッタ法、蒸着、結晶成長などの確立されたプロセスが利用可能であり、熱や外力に強い構造とすることができる。有機物の例としては、ポリマー、低分子化合物をあげることができる。有機物であることにより、X線の吸収による伝搬損失を小さくすることができる。気体、真空であれば、この損失をさらに低減することができ好ましい。
また周期構造を形成する材料として、通常の半導体プロセスとは異なる、自己組織的な形成メカニズムにより作製される材料を用いてよい。この例として、界面活性剤の自己集合により形成される周期性メソ構造体膜があげられる。本発明における周期構造体は、このメソ構造体膜が好ましく用いられる。以下にこの内容について記述する。
(3−1)メソ構造体膜について
多孔質材料は、IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry)によって、その孔径により分類されており、孔径が2−50nmの多孔質材料は、メソポーラスに分類される。近年、このメソポーラス材料についての研究が盛んに行われ、界面活性剤の集合体を鋳型とすることで、径の揃ったメソ孔が規則的に配列した構造を得ることが可能になっている。
本明細書中において、メソ構造体膜は、以下のものを意味する。
(A)メソポーラス膜
(B)メソポーラス膜の孔が主に有機化合物で充填されたもの
(C)ラメラ構造を持つメソ構造体膜
以下に詳細な説明を行う。
(A)メソポーラス膜について
孔径が2−50nmの多孔質材料で、壁部の材料は特に限定されるものではないが、その例としては、製造可能性、鋳型となる分子または空孔とともに屈折率実部が異なる物質により構成された周期構造体を形成する、という観点から、酸化物が挙げられる。この酸化物の例としては、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化ジルコニア、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化アルミニウム、酸化タングステン、酸化ハフニウム、酸化亜鉛を挙げることができる。これらの物質は、たとえば10keVのX線に対し、全て0.999997以下の屈折率実部を持ち、以降に記載する有機物(同、0.999998程度の屈折率実部を持つ)や空気(同、ほぼ1の屈折率実部を持つ)と周期構造体を構成した際に、屈折率実部が異なる物質より構成される周期構造体を形成することができる。上述の酸化物は、その骨格中に有機成分が含まれていてよい。壁部の表面は、必要に応じて修飾されていてよい。たとえば、水の吸着を抑制するために、疎水性の分子を修飾してもよい。
メソポーラス膜の調製法は、特に制限されるものではないが、たとえば、以下の方法で調製することができる。集合体が鋳型として機能する両親媒性物質の溶液に、無機酸化物の前駆体を加え、成膜を行い、無機酸化物の生成反応を進行させる。その後に、鋳型分子を除去することにより、多孔質材料とする。
この両親媒性物質は、特に限定されるものではないが、界面活性剤が適している。界面活性剤分子の例としては、イオン性、非イオン性の界面活性剤を挙げることができる。このイオン性界面活性剤の例としては、トリメチルアルキルアンモニウムイオンのハロゲン化物塩を挙げることができる。このアルキル鎖の鎖長の例としては、炭素数で10から22が挙げられる。非イオン性の界面活性剤の例としては、ポリエチレングリコールを親水基として含むものを挙げることができる。ポリエチレングリコールを親水基として含む界面活性剤の具体例としては、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール‐ポリプロピレングリコール‐ポリエチレングリコールのブロックコポリマーを挙げることができる。ポリエチレングリコールアルキルエーテルのこのアルキル鎖の鎖長の例としては、炭素数で10から22、ポリエチレングリコールの繰返し数の例としては、2から50を挙げることができる。この疎水基、親水基を変化させることにより構造周期を変化させることが可能である。一般的に疎水基、親水基を大きなものとすることにより孔径を拡大することが可能である。また、界面活性剤に加えて、構造周期を調整するための添加物を加えてもよい。この構造周期を調整するための添加物としては、疎水性物質が挙げられる。この疎水性物質の例としては、アルカン類、親水性基を含まない芳香族化合物が挙げられ、その具体的な例としては、オクタンが挙げられる。
無機酸化物の前駆体の例としては、ケイ素や金属元素のアルコキサイド、塩化物が挙げられる。さらに具体的な例としては、Si,Zr,Ti,Nb,Al,Zn,Snのアルコキサイド、塩化物が挙げられる。アルコキサイドの例としては、メトキサイド、エトキサイド、プロポキサイド、または、その一部がアルキル基に置換されたものが挙げられる。
製膜法の例としては、ディップコート法、スピンコート法、水熱合成法が挙げられる。
鋳型分子の除去方法の例としては、焼成、抽出、紫外線照射、オゾン処理が挙げられる。
(B)メソポーラス膜の孔が主に有機化合物で充填されたものについて
壁部の材料については、(A)の項に記載したものと同様のものを使用することができる。孔を充填する物質については、有機化合物を主とするものであれば特に制限されるものではない。この「主」の意味としては、体積比で50%以上を意味する。この有機化合物の例としては、界面活性剤や、分子集合体の形成機能を有する部位が、壁部を形成する材料または壁部を形成する材料の前駆体と結合している材料が挙げられる。この界面活性剤の例としては、(A)の項で記載した界面活性剤を挙げることができる。また分子集合体の形成機能を有する部位が壁部を形成する材料、または、壁部を形成する材料の前駆体と結合している材料の例としては、アルキル基を有するアルコキシシラン、アルキル基を有するオリゴシロキサン化合物を挙げることができる。このアルキル鎖の鎖長の例としては、炭素数で10から22が挙げられる。
孔の内部には、必要に応じて、または、使用する材料、工程の結果として水、有機溶媒、塩等が含まれていてよい。この有機溶媒の例としては、アルコール、エーテル、炭化水素が挙げられる。
メソポーラス膜の孔が主に有機化合物で充填されたものの調製法は、特に制限されるものではないが、たとえば、(A)の項に記載したメソポーラス膜の調製法の鋳型の除去以前の工程を挙げることができる。
(C)ラメラ構造を持つメソ構造体膜について
本発明のメソ構造体膜には、(A)、(B)に加えてラメラ構造のメソ構造体膜を含む。このラメラ構造体は、(B)に記載した壁部の材料と、同じく(B)に記載した孔を充填する物質からなるラメラ構造を指す。これらの二種類の材料(物質)は、所望の特性を得るために、必要に応じて化学結合によって結合されていても良い。この結合されている化合物の例としては、トリアルコキシアルキルシランを挙げることができる。
(4)クラッドについて
本発明のX線導波路は、クラッドでの全反射によりX線をコアに閉じ込めてX線を導波させる。X線の領域においては、電子密度の大きい物質ほど屈折率の実部が小さくなる。そのためにこのクラッドに用いられる材料の具体的な例としては、密度の大きな金属が挙げられる。さらに具体的には、Os,Ir,Pt,Au,W,Ta,Hg,Ru,Rh,Pd,Pb,Moの単体、またはこれらの元素を含む材料が挙げられる。このような材料を用いたクラッドは、スパッタリング、蒸着等によって形成することができる。このクラッドの厚さは、材料によって異なるが、コアにX線を十分に閉じ込められる程度に厚く、コスト、製造の観点から薄いことが求められる。厚さの例としては、1nmから300nm、好ましくは、1nmから50nm程度の値が挙げられる。このクラッドについては、X線導波路内で膜厚分布をもって形成することも好ましく行われる。例えば、クラッド表面からの入射を積極的に行わせる目的で、入射領域において膜を薄く形成して導入効率を向上させつつ、その他の領域では、膜を厚く形成してX線の閉じ込め効果を高めることが好ましく行われる。
(5)X線を選択的に透過する機構について
本発明のX線光学素子は、周期共鳴導波モードによってX線を導波するX線導波路を出射したX線のうち、同モードによって透過した成分を選択的に透過させるために、出射角度に制限を設ける機構を有する。
(5−1)様式、位置関係
この出射角度に制限を設ける機構は、所望のX線を選択的に透過させるために、出射角度に制限を設ける機構であれば、どのような様式のものであっても用いることができる。例としては、スリット、ピンホール、コリメータ様の機構を上げることができる。この出射角度に制限を設ける機構は、一方では、所望の角度方向に出射しないX線を遮断する機構でもある。そのため、構成する材料としては、X線を遮断するために用いる材料を用いることができる。この材料の例としては、金属を挙げることができる。
本発明のX線を角度選択的に透過する機構は、X線導波路より出射されるX線のうち、周期共鳴導波モード以外のモードによって導波されたX線を、遠距離場において遮蔽するものである。このために、この機構は、導波路の出射端に対してフラウンホーファー領域に設置されるものである。この領域は、導波路のコアの厚さをD、X線の波長をλとして、出射端よりD/λより離れた領域である。一方で、この機構が出射端より離れすぎていると、X線ビームの断面積の拡大(結果として得られるスポットの密度の低下)、強度の減衰を生じるために好ましくない。また、素子の大型化防止の観点からは、この距離は小さいほうが好ましい。このため、出射端からこの機構までの距離の上限は、30cm以下、好ましくは1cm以下である。すなわち、コアとクラッド界面に垂直な方向におけるコアの厚さをDとした場合、X線導波路の出射端とX線を選択的に透過する機構の距離は、D/λ以上1cm以下であることが好ましい。
(5−2)角度
周期共鳴導波モードによってX線導波路中を導波したX線は、導波路に対して特定の角度で出射される。この角度は、主に導波路を構成する周期構造体の周期、周期構造体を構成する物質の屈折率、周期数によって決定される。おおよそには、この導波路を構成する周期構造体のブラッグ角の近傍であって、それより小さな角度と記載することができる。
この導波路は、コア/クラッド界面の全反射によってコアにX線を閉じ込め、導波させる構造を持つ。そのために、周期共鳴導波モード以外にも、周期構造とは関係なくコア/クラッド界面の全反射によってコアにX線を閉じ込めることで導波するモードが存在しうる。この導波モードは、単層導波路の導波モードと同様のモード(単層導波モード)である。この単層導波モードは、周期共鳴導波モードと比較してその導波効率は低いことが多い。しかし、効率は低いものの、このモードによって導波したX線が周期共鳴導波モードによって導波されたX線と同時に出射されることはありえる。この単層導波モードによって透過してくるX線の導波効率は、モードの次数が低次のモードから高次へと増大するに従って大幅に低下する。そのため、この周期共鳴導波モードによってX線を導波するX線導波路の特徴である位相の揃ったX線を得るためには、単層導波モードによって透過するX線のうち、低次のモードによって透過するX線を遮蔽することがより重要である。(反対に、高次のモードによって透過されるX線であれば、多少周期共鳴導波モードによって伝搬したX線と同時に出射されてもその影響は比較的に小さい。)この単層導波モードによって出射されるX線の出射角度は、次数の増大とともに増大する。この次数が、((周期構造の周期数)−1)と一致するモードが、周期共鳴導波モードである。このため、位相の揃ったX線を得るためには、周期共鳴モードよりも出射角の小さいX線を遮蔽することが効果的である。
技術的、コスト的な観点から、許容されるのであれば、当然、本発明のX線光学素子が透過するX線の角度領域は、周期共鳴導波モードによって透過されるX線のみに対応する角度領域であることが最も効果的である。一方で、出射角度の厳しい制限は、本光学素子から出射するX線の強度を低下させる。そのため、その使用目的に適合した角度範囲が選択されることになる。これらを勘案すると、このX線光学素子によって選択的に透過されるX線の好ましい角度条件は、以下のように記述できる。
周期共鳴導波モードに共鳴する構造の周期数をnとしたときに、70(n−1)/100に最も近い整数の次数を持つ単層導波モードの出射角度以上で、130(n−1)/100に最も近い整数の次数を持つ単層導波モードの出射角度以下であること。さらに好ましくは、90(n−1)/100に最も近い整数の次数を持つ単層導波モードの出射角度以上で、110(n−1)/100に最も近い整数の次数を持つ単層導波モードの出射角度以下であること。
この周期共鳴導波モード周辺の単層導波モードを分離して確認する方法として、以下の方法が挙げられる。導波路に発散角の小さなX線ビームを入射した際の、導波するX線の透過強度の入射角依存性を測定する。図5には、X線導波路から出射されるX線の透過強度の入射角度依存性の模式図(周期共鳴導波モードの周辺角度)を示す。図中の符号を付したピークは、単層導波モードによって導波されたX線であり、そのなかでもn−1の符号で示すピークが、周期共鳴導波モードによって導波されたX線である。そして、周期共鳴導波モード周辺の単層導波モードによって導波されたX線の出射角度は、それぞれのモードがピークを与える入射角でX線を入射した際に強く導波されるX線の出射角度を観測することで決定できる。
また、このX線光学素子によって選択的に透過されるX線の好ましい角度条件は、導波路を構成する周期構造体のブラッグ角を用いると、以下のように設定される。
周期共鳴導波モードに共鳴する構造の周期数をn、ブラッグ角をθとしたときに、0.7×θ×(n−1)/n以上で、1.3×θ×(n−1)/n以下であることが好ましい。また、0.9×θ×(n−1)/n以上で、1.1×θ×(n−1)/n以下であることが更に好ましい。
(5−3)位置が固定されていることについて
本発明のX線光学素子においては、このX線を角度選択的に透過する機構はX線導波路に対して位置が固定された機構である。この理由を以下に記述する。本発明のX線光学素子に用いる導波路において、周期共鳴導波モードによって導波するX線の出射角度領域は非常に狭い。このために、このモード以外のモードによって導波するX線を除去することを考えた場合には以下の方法が考えられる。1.導波路とその除去機構間の距離を長くした大型の光学系を用いて除く。2.小型の光学系を精密に制御して除く。前者の場合には、X線導波路を導入するそもそもの動機である光学系の小型化の方針に反することになる。また、距離を長くすると、X線の密度は、距離の二乗に反比例すること、さらに長波長のX線であれば、その間の空気等の物質による強度の低下が生じる。2の場合には、精密な角度設定に、長い時間と大きな工具が必要となる。また、前者、後者いずれの場合にも、導波路を移動して設置するたびに調整を行う必要がある。
これに対し、本発明のX線光学素子は、導波路を導波してくる周期共鳴導波モードに特有の波長に対してあらかじめ設定しておいた、導波路に対して位置が固定された機構を用いることで、光学系の小型化、設置の簡便さを維持しつつも、高い強度で、高度に位相の揃ったX線を与えることができる。また、このために、本発明のX線光学素子に用いられるX線としては、単色X線が用いられる。
本発明のX線光学素子で用いられる周期共鳴導波モードは、ブラッグ角が波長によって変化するのと同様、導波するX線の波長によって、その出射角度が変化する。これに対応するために、本発明のX線光学素子は、必要に応じてこの位置が固定されているX線を角度選択的に透過する機構を移動する機構を備えていてもよい。
(6)効果について
本発明のX線光学素子は、周期共鳴導波モードによってX線を導波するX線導波路と、同導波モードによって導波したX線を選択的に透過させる機構を有し、その機構が同導波路に対して位置が固定されていることで、周期共鳴導波モードによって導波したX線以外のX線を除去し、簡便に高度に位相の揃ったX線を出射することができる。
(7)X線光学システム
本発明のX線光学システムは、X線源と、X線導波路と、前記X線導波路から出射したX線を選択的に透過させる機構を有する。X線源は、波長λの単色X線を照射する。X線導波路は、上記のX線導波路を用いることができる。X線を選択的に透過する機構は、X線の出射角度を選択的に透過する機構である。また、前記X線導波路の出射端と前記X線を選択的に透過する機構の距離は、D/λ以上1cm以下であることが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明の方法は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
(1−1)導波路の調製
図4は本発明のX線光学素子に用いるX線導波路を示す図である。Si基板4030上にスパッタ法により、Wよりなる厚さ20ナノメートルの下部クラッド4000、1次元の周期構造である多層膜4020、Wからなる厚さ20ナノメートルの上部クラッド4010を形成した。また、この上部クラッドの一部は、X線の導波モード分離測定のために厚さを2ナノメートルとした。この周期構造である多層膜は、炭化ホウ素(BC)からなる厚さ3ナノメートルの膜と、酸化アルミニウム(Al)からなる厚さ12ナノメートルの膜が交互に積層された周期構造からなる。その周期数は100で、周期は15ナノメートルである。
この導波路の上部クラッドの厚さが2ナノメートルの領域に対して、プリズムカップリング(導波路上部への斜入射)により8keVの平行X線ビームを入射し、導波X線強度の入射角度依存性を測定する。これにより、単層導波モード、周期共鳴導波モードによって導波されたX線の出射角度を確認する。この導波路を構成する周期構造体のブラッグ角は、X線回折測定により0.369度と確認される。
(1−2)X線光学素子の形成
半導体プロセスを用いてシリコン基板上に所定の幅を持つスリットを調製する。このスリットを、導波X線をモニタしながら、導波路の出射端から1cmの距離における所定の角度に保持し、導波路と接着、導波路に対して位置を固定することで図1に示すX線光学素子を形成する。このときの選択透過角度(図1中の透過可能なθの範囲)は、(a)0.256度(69次のモードの出射角度に対応)以上0.475度(同129次)以下、(b)0.329度(同89次)以上0.402度(同109次)以下、(c)0.364度以上0.367度以下(周期共鳴導波モードのみを選択)である。
(1−3)効果の測定
形成したX線光学素子に対して、フロントカップリングにより10keVのX線を入射し、導波X線を測定した。表1には、導波路を導波した全X線の相対強度と、その全導波X線に含まれる周期共鳴導波モードの割合(出射角度より換算、以下同様)を示す。
Figure 2013117444
本発明のX線光学素子は、周期共鳴導波モードによって導波したX線を、出射角度選択的に透過する機構を有し、その機構が導波路に対して位置が固定されていることを特徴とする。この測定結果は、この特徴を有する本発明のX線光学素子を用いることで、位相の揃ったX線を、数センチメートル程度のサイズで得ることを可能とすることを示す。
また、その時のX線の選択される出射角度の好ましい条件は、発明を実施する形態(5−2)項に記載の角度条件であることが示される。
実施例2
(2−1)X線光学素子の形成
ステンレス板にピンホールを形成する。このピンホールを、導波X線をモニタしながら、実施例1に記載のX線導波路の出射端から1cmの距離における所定の角度に保持し、導波路と接着、導波路に対して位置が固定することで図1に示すX線光学素子を形成する。このときの選択透過角度(図1中の透過可能なθの範囲)は、0.329度(89次のモードの出射角度に対応)以上0.402度(同109次)以下である。
(2−2)効果の測定
形成したX線光学素子に対して、フロントカップリングにより10keVのX線を入射し、導波X線を測定した。表2には、導波路を導波した全X線の相対強度と、その全導波X線に含まれる周期共鳴導波モードの割合を示す。
Figure 2013117444
本発明のX線光学素子は、周期共鳴導波モードによって導波したX線を、出射角度選択的に透過する機構を有し、その機構が導波路に対して位置が固定されていることを特徴とする。この測定結果は、この特徴を有する本発明のX線光学素子を用いることで、位相の揃ったX線を、数センチメートル程度のサイズで得ることを可能とすることを示す。
実施例3
本実施例では、メソ構造体膜をコアとして用いた導波路を用いたX線光学素子について記載する。
(3−1)導波路の調製
図4の構成を持つX線導波路の調製について記載する。本実施例のX線導波路は、Si基板4030上に、W(タングステン)からなるクラッド4000と4010がコア4020を挟み込むように形成されている。コア4020は酸化ケイ素メソ構造体膜である。このメソ構造体膜は、有機物よりなる孔が2次元的に配列し、膜厚方向に周期構造を形成している。
(3−1−1)クラッドの形成(4000)
Si基板上に、W(タングステン)からなるクラッド4000は、スパッタ法により厚さおよそ20ナノメートルで成膜される。
(3−1−2)酸化ケイ素メソ構造体膜の作製方法
(3−1−2−1)メソ構造体膜の前駆体溶液調製
2Dヘキサゴナル構造を持つ酸化ケイ素メソ構造体膜は、ディップコート法で調製される。メソ構造体の前駆体溶液は、エタノール、0.01M塩酸、テトラエトキシシランを加え20分間混合した溶液にブロックポリマーのエタノール溶液を加え、3時間攪拌することで調製される。ブロックポリマーとしては、エチレンオキサイド(20)プロピレンオキサイド(70)エチレンオキサイド(20)(以降、EO(20)PO(70)EO(20)と記載する(カッコ内は、各ブロックの繰り返し数))を使用することが可能である。エタノールにかえてメタノール、プロパノール、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルを使用することも可能である。混合比(モル比)は、テトラエトキシシラン:1.0、塩酸:0.0011、エタノール:5.2、ブロックポリマー:0.0096、エタノール:3.5とする。溶液は、膜厚調整の目的で適宜希釈して使用する。
(3−1−2−2)メソ構造体膜の製膜
洗浄した基板に、ディップコート装置を用いて0.5mms−1の引き上げ速度でディップコートを行う。製膜後、膜は、25℃、相対湿度40%の恒温恒湿槽で2週間、80℃で24時間保持される。
(3−1−2−3)評価
調製されたメソ構造体膜の、ブラッグ−ブレンターノ配置をもちいたX線回折分析を行う。その結果、このメソ構造体膜は,基板面の法線方向に高い秩序性をもち、その面間隔、つまり閉じ込め方向における周期が、10.2nmであることが確認される。その膜厚は480ナノメートルである。
(3−1−3)クラッド(4010)の形成
緩衝層上にWクラッド4010を形成する。このクラッドは、スパッタ法により厚さおよそ20ナノメートルで成膜される。また、この上部クラッドの一部は、X線の導波モード分離測定のために厚さを2ナノメートルとした。
この導波路の上部クラッドの厚さが2ナノメートルの領域に対して、プリズムカップリング(導波路上部への斜入射)により8keVの平行X線ビームを入射し、導波X線強度の入射角度依存性を測定する。これにより、単層導波モード、周期共鳴導波モードによって導波されたX線の出射角度を確認する。この導波路を構成する周期構造体のブラッグ角は、X線回折測定により0.485度と確認される。
(3−2)X線光学素子の形成
半導体プロセスを用いてシリコン基板上に所定の幅を持つスリットを調製する。このスリットを、導波X線をモニタしながら、導波路の出射端から1cmの距離における所定の角度に保持し、固定具を用いて導波路に対して位置を固定し図1に示すX線光学素子を形成する。このときの選択透過角度(図1中の透過可能なθの範囲)は、(a)0.332度(32次のモードの出射角度に対応)以上0.617度(同60次)以下、(b)0.427度(同41次)以上0.522度(同51次)以下、(c)0.469度以上0.485度以下(周期共鳴導波モードのみを選択)である。
(3−3)効果の測定
形成したX線光学素子に対して、フロントカップリングにより10keVのX線を入射し、導波X線を測定した。表3には、導波路を導波した全X線の相対強度と、その全導波X線に含まれる周期共鳴導波モードの割合を示す。
Figure 2013117444
本発明のX線光学素子は、メソ構造体膜をコアとするX線導波路を周期共鳴導波モードによって導波したX線を、出射角度選択的に透過する機構を有し、その機構が導波路に対して位置が固定されていることを特徴とする。この測定結果は、この特徴を有する本発明のX線光学素子を用いることで、位相の揃ったX線を、数センチメートル程度のサイズで得ることを可能とすることを示す。
また、その時のX線の選択される出射角度の好ましい条件は、発明を実施する形態(5−2)項に記載の角度条件であることが示される。
本発明のX線導波路は、X線を用いた撮像、露光、分析等におけるX線光学系に用いられる部品等に利用することができる。
1000 コア
1010、1020 クラッド
1030 X線導波路
1060 X線を選択的に透過する機構
1080、1090 物質
2001 コア
2002、2003 クラッド
2004 基本構造
2005、2006 物質
4000、4010 クラッド
4020 コア

Claims (8)

  1. X線導波路と、前記X線導波路から出射したX線を選択的に透過させる機構を有するX線光学素子であって、
    前記X線導波路は、X線を導波させるためのコアと、前記コアに前記X線を閉じ込めるためのクラッドを有し、
    前記コアは、屈折率実部が異なる複数の物質からなる周期構造を有し、
    前記クラッドと前記コアとの界面における前記X線の全反射臨界角は、前記コアの周期性に起因するブラッグ角よりも大きく、
    前記X線を選択的に透過する機構は、所定の出射角度で前記X線導波路を出射したX線を選択的に透過することを特徴とするX線光学素子。
  2. 前記コアの周期性に起因するブラッグ角は、前記周期構造をなす複数の物質の間における全反射臨界角よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のX線導波路。
  3. 前記コアが周期性多層膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載のX線導波路。
  4. 前記コアが周期性メソ構造体であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のX線導波路。
  5. 前記コアが周期性を有するメソポーラス膜であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のX線導波路。
  6. 前記X線を選択的に透過させる機構は、前記X線導波路に対する位置が固定されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のX線光学素子。
  7. X線源と、X線導波路と、前記X線導波路から出射したX線を選択的に透過させる機構を有するX線光学システムにおいて、
    前記X線源は、波長λの単色X線を照射し、
    前記X線導波路は、X線を導波させるためのコアと、前記コアに前記X線を閉じ込めるためのクラッドを有し、
    前記コアは、屈折率実部が異なる複数の物質からなる周期構造を有し、
    前記クラッドと前記コアとの界面における前記X線の全反射臨界角は、前記コアの周期性に起因するブラッグ角よりも大きく、
    前記X線を選択的に透過する機構は、X線の出射角度を選択的に透過する機構であることを特徴とするX線光学システム。
  8. 前記コアと前記クラッド界面に垂直な方向におけるコアの厚さをDとした場合、前記X線導波路の出射端と前記X線を選択的に透過する機構の距離は、D/λ以上1cm以下であることを特徴とする請求項7に記載のX線光学システム。
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