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JP2007030307A - 透明性シート - Google Patents

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JP2007030307A JP2005215867A JP2005215867A JP2007030307A JP 2007030307 A JP2007030307 A JP 2007030307A JP 2005215867 A JP2005215867 A JP 2005215867A JP 2005215867 A JP2005215867 A JP 2005215867A JP 2007030307 A JP2007030307 A JP 2007030307A
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Abstract

【課題】アクリル系樹脂基材にハードコート層を形成した透明性を有するシートであって、耐擦傷性及び耐衝撃性に優れており、また反りの発生も抑制した透明性シートを提供する。
【解決手段】本発明により、アクリル系樹脂からなる基材と、同基材の第1面及び第2面の両面に形成したハードコート層とを備えた透明性シートであって、前記基材の第1面及び第2面に形成したハードコート層が硬度差を有してなることを特徴とする透明性シートが提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、アクリル系樹脂からなる基材の表裏両面にハードコート層が形成されて構成された透明性シートに関し、特に、優れた耐擦傷性と耐衝撃性とを兼ね備えた透明性シートに関する。
アクリル樹脂は、アクリル酸、メタクリル酸、及びこれらの誘導体などの重合体を含む高分子化合物であり、透明性に優れ、例えば無機ガラスよりも高い透明度を有する。また、アクリル樹脂は、耐油性、耐候性、加工性にも優れているため、現在では様々な分野で使用されており、例えば、水槽等の透明ケース、看板、自動車のテールランプ、携帯電話の液晶パネル、液晶ディスプレイ(L.C.D)用導光板等の用途に供されている。
しかしながら、アクリル樹脂からなる樹脂基材は、例えばガラス板に比べて硬度が低いために、基材表面に擦り傷や引っ掻き傷等が付き易く、耐擦傷性や耐摩耗性に劣るという欠点があった。そこで、従来では、アクリル樹脂基材の耐擦傷性等を向上させるために、基材の表面(第1面)及び裏面(第2面)の片方又は両方にハードコート層を形成することが一般的に行われている。
このようなアクリル樹脂基材の第1面及び第2面上にハードコート層を形成することに関する発明としては、例えば特許文献1(特開2004−224839号公報)、特許文献2(特開2002−249711号公報)、特許文献3(特許第3090676号明細書)、特許文献4(特開平8−99327号公報)等が知られている。
例えば、前記特許文献1には、メチル(メタ)アクリレートと、シリカ微粒子と、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を構成成分とする高分子量顔料分散剤とを含むハードコート塗料(ハードコート剤)が開示されている。この特許文献1に記載されているハードコート剤を用いて、アクリル板等の樹脂成形体にハードコート層を形成することにより、透明性及び耐擦傷性に優れた成形体(例えば、樹脂シート等)を得ることができるとしている。なお、ここで言う「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート、又はメタクリレートを意味している。
また、前記特許文献2には、合成樹脂成形品にハードコート層を形成するためのハードコート用組成物(即ち、ハードコート剤)として、(A)オルガノアルコキシシランの加水分解物および/またはその縮合物と、(B)コロイド状金属酸化物と、(C)水と、(D)親水性有機溶剤とを含有するハードコート剤が開示されている。従来では、無機系ハードコート剤を用いて合成樹脂成形品にハードコート層を形成した場合、形成されたハードコート層は、クラックが発生しやすく、また樹脂成形品との接合性に劣るという問題があった。しかし、この特許文献2のハードコート剤を用いてハードコート層を形成することにより、樹脂成形品の耐摩耗性が向上するだけでなく、接合性、耐湿性、及び耐候性にも優れた樹脂成形品が得られるとしている。
更に、前記特許文献3は、プラスチック基材の表面にシリコン系ハードコート層を形成する方法を開示している。この特許文献3に記載されている方法は、プラスチック基材表面にシリコン系ハードコート層を形成するに際し、プラスチック基材の表面に400nm以下の紫外線光量のうち300nm以下の光量が45%以上を占める光源より紫外線エネルギーを照射し、さらに有機溶剤またはアルカリ水溶液による処理をした後に、ハードコート層を形成することを特徴としている。
なお、この特許文献3において、ハードコート層を形成するプラスチック基材として、例えばポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン等の透明熱可塑性プラスチックや、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の透明熱硬化性プラスチックを用いることができるとしている。
この特許文献3によれば、シリコン系ハードコート層を形成する前に紫外線照射を行うことにより、プラスチック基材の黄変を起こすことなく、プラスチック基材表面を活性化させるため、プラスチック基材とハードコート層との結合を強くすることができるとしている。また、紫外線照射後に、プラスチック基材表面に有機溶剤またはアルカリ水溶液による処理を施すことにより、ハードコート層に優れた耐水性、耐候性を付与できるとしている。従って、特許文献3の方法を用いてプラスチック基材にハードコート層を形成することにより、シリコン系ハードコート層の接合性、耐水性、耐候性を向上できるとしている。
一方、前記特許文献4は、プラスチック基板にハードコート層を形成する方法に関する発明が記載されている。この特許文献4に記載されている方法は、先ず、表面を転写すべき状態に加工処理(例えば、平坦化や凹凸化等)が施された原型基板の表面に、樹脂材料(ハードコート剤)を介してプラスチック基板を積層する。次に、原型基板とプラスチック基板との間に介在する樹脂材料を紫外線照射等により硬化させる。その後、プラスチック基板を前記硬化した樹脂材料とともに原型基板から剥離する。これにより、外側の面が平坦化又は凹凸化されたハードコート層を有するプラスチック基板を得ることができる。
このようにしてハードコート層を形成することにより、従来ではガラス基板では可能であっても、プラスチック基板では不可能とされていた基板表面の平坦化又は凹凸化が実現することができる。従って、例えばSTN(スーパーツイストネマティック)素子等に薄くて軽量なプラスチック基板を適用することが可能となり、微小厚さの液晶セルを高精度に形成することが可能となるとしている。
なお、この特許文献4では、ハードコート剤として、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のポリオールのポリアクリレートと、ウレタンアクリレートオリゴマー等の反応性オリゴマーと、シクロヘキシルアクリレート等の反応性希釈剤と、ベンゾイン等の光重合開始剤とからなる紫外線硬化塗料を用いることが好ましいとしている。
特開2004−224839号公報 特開2002−249711号公報 特許第3090676号明細書 特開平8−99327号公報
しかしながら、アクリル樹脂からなる基材等にハードコート層を形成して樹脂シートを作成した場合は、当該樹脂シートの表面における耐擦傷性は改善できるものの、樹脂シートの耐衝撃性が反対に低下することが一般的に知られている。特に、ハードコート層の硬度を高くして耐擦傷性の向上を図る場合、ハードコート層の硬度が高くなる程、樹脂シートにおける耐衝撃性の低下が顕著になり、樹脂シートに割れや破損が生じやすくなるという不具合があった。
一方、上記不具合を解消するため、アクリル樹脂シートの表面における耐擦傷性を向上させるとともに耐衝撃性の低下を抑制する手段として、例えばアクリル樹脂シートの外面となる片方の面だけにハードコート層を形成することが考えられる。しかし、この場合、ハードコート層の形成時(ハードコート剤の硬化時)にハードコート層の収縮が生じるために、アクリル樹脂基材のハードコート層を形成した側の面に残留応力が発生してしまう。なお、このハードコート層の収縮は、ハードコート層の硬度が高くなる程、収縮量が大きくなる。
更に、アクリル樹脂は、吸水(飽和吸水率2%)により伸びることが知られているが、アクリル樹脂シートの片面のみにハードコート層を形成した場合、樹脂シートの表面と裏面とで吸水性に差が生じてしまう。このため、樹脂シートの表裏面では、吸水に起因して伸縮する伸縮量が異なるという不具合が生じる。即ち、アクリル樹脂シートの片面のみにハードコート層を形成した場合では、ハードコート層の形成時に発生する前記残留応力や、表裏面における吸水性の差に起因する前記伸縮量の違いによって、樹脂シート自体に反りが発生してしまい、歩留まりの低下を引き起こすといった問題があった。
本発明は、かかる従来の課題を解消すべくなされたものであり、その具体的な目的は、アクリル樹脂からなる基材にハードコート層を形成した透明性を有する樹脂シートであって、耐擦傷性及び耐衝撃性に優れており、また反りの発生も抑制した透明性シートを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明により提供される透明性シートは、基本的な構成として、アクリル系樹脂からなる基材と、同基材の第1面及び第2面の両面に形成したハードコート層とを備えた透明性シートであって、前記基材の第1面及び第2面に形成したハードコート層が硬度差を有してなることを最も主要な特徴とするものである。
また、本発明に係る透明性シートにおいて、前記基材の第1面及び第2面に形成したハードコート層は、ポリアクリレートと、反応性オリゴマーと、希釈剤と、光重合触媒とを含むハードコート剤、メチルアクリレート又はメチルメタクリレートと、金属酸化物と、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を構成成分とする高分子量顔料分散剤とを含むハードコート剤、オルガノアルコキシシランの加水分解物及び/又はその縮合物と、金属酸化物とを含むハードコート剤、及び、有機ケイ素化合物及び/又はその加水分解物を含むハードコート剤の中から選択される1つ又は2以上のハードコート剤を用いることにより形成することができる。
更に、本発明の透明性シートにおいて、前記第1面に形成したハードコート層の鉛筆硬度は、2H以上7H以下であることが好ましく、また前記第2面に形成したハードコート層の鉛筆硬度は、前記第1面に形成したハードコート層の鉛筆硬度よりも低く、且つ、前記基材に反りを生じさせないような硬度差を有することが好ましい。
更にまた、前記基材の第1面及び第2面に形成したハードコート層間の硬度差が、鉛筆硬度で1H以上4H以下であることが好ましい。
また、前記第1面及び第2面に形成したハードコート層の膜厚が、1μm以上30μm以下であることが好ましい。
本発明に係る透明性シートは、アクリル系樹脂からなる基材の第1面及び第2面の両面に形成したハードコート層が互いに硬度差を有している。本発明者等は、耐擦傷性と耐衝撃性とを兼ね備えた樹脂シートを得るために、鋭意研究及び検討を重ねた。その結果、以下のような知見を考慮したところ、アクリル系樹脂基材の両面に配設する2つのハードコート層に硬度差を設ければよいことを見出して、本発明の透明性シートを完成させるに至った。
すなわち、アクリル系樹脂基材にハードコート層を形成する場合、基材に形成したハードコート層の硬度が高くなるほど、耐擦傷性を高めることができる。
また、例えば両面にハードコート層を設けた樹脂シートを製品に取り付けて使用した場合において、同樹脂シートに衝撃が加えられるときには、一般的に、樹脂シートの一方の面(第1面)側から衝撃が与えられる。このため、衝撃が加えられた樹脂シートの一方の面(第1面)には圧縮応力が生じ、樹脂シートの他方の面(第2面)には引っ張り応力が生じる。
更に、ハードコート層は圧縮応力に強いものの、引っ張り応力に弱く、特にハードコート層の硬度が高くなるほど、引っ張り応力に対する強度が低くなる。このため、ハードコート層は、圧縮応力が与えられても割れや破損が生じ難いものの、引っ張り応力が与えられると、その硬度が高いほど割れや破損が発生しやすくなる傾向がある。
以上のことより、本発明の透明性シートは、外面となる第1面に形成する第1のハードコート層の硬度を高くし、他方の面となる第2面に形成する第2のハードコート層の硬度を第1面のハードコート層よりも相対的に低くして、第1及び第2のハードコート層間に硬度差を設けるように構成されている。
このような構成を有する本発明の透明性シートは、外面となる第1のハードコート層の硬度が高いため、当該シートの耐擦傷性を向上させることができる。また、透明性シートの外面から衝撃が加えられても、第1のハードコート層には圧縮応力が生じるため、同第1のハードコート層から割れや破損が発生することはない。
一方この場合、第2のハードコート層には引っ張り応力が生じるものの、この第2のハードコート層の硬度は第1のハードコート層よりも低い。このため、例えば従来のような、樹脂基材の第2面にも第1面と同じ高い硬度を有するハードコート層が形成されている場合に比べて、第2のハードコート層から割れや破損が発生するのを抑制することができる。
即ち、本発明の透明性シートは、従来のような基材の両面に同じ硬度のハードコート層を形成した樹脂シートでは達成することが困難であった、耐擦傷性と耐衝撃性とを兼ね備えるという優れた効果を得ることができる。更に、本発明の透明性シートは、シートの両面にハードコート層が形成されているため、反りの発生も抑制した高品質の透明性樹脂シートとなる。
また、本発明の透明性シートにおけるハードコート層は、上述したようなハードコート剤を用いて形成することができる。これにより、アクリル系樹脂基材にハードコート層を安定して形成できるとともに、耐擦傷性や耐衝撃性だけでなく、透明性、アクリル系樹脂基材とハードコート層との接合性、耐水性、耐候性等にも非常に優れた樹脂シートを得ることができる。
更に、本発明の透明性シートにおいて、前記第1面に形成したハードコート層の鉛筆硬度は、2H以上7H以下にすることができる。このような鉛筆硬度を有するハードコート層が基材の第1面に形成されていることにより、耐擦傷性に非常に優れた透明性シートとなる。また、第2面に形成したハードコート層の鉛筆硬度は、第1面に形成したハードコート層の鉛筆硬度よりも低く、且つ、第1面に形成したハードコート層に対して基材に反りを生じさせないような硬度差、例えば鉛筆硬度で1H以上4H以下の硬度差を有している。これにより、耐衝撃性が非常に優れており、また反りが全く生じていない高品質の透明性シートを得ることができる。
更にまた、本発明の透明性シートは、1μm以上30μm以下の膜厚を有するハードコート層を基材の第1面及び第2面に形成することができる。これにより、所望の硬度を有するハードコート層が、クラック等を生じさせることなく安定して形成された透明性シートを得ることができる。
以下、本発明に係る透明性シートについて、図面を参照しながら詳細に説明する。ここで、図1は、本実施形態における透明性シートの構成を模式的に示す模式図である。
本実施形態における透明性シート1は、図1に示したように、アクリル系樹脂からなる基材2と、アクリル系樹脂基材2の第1面に形成された第1のハードコート層3と、アクリル系樹脂基材2の第2面に形成された第2のハードコート層4とを備えている。また、第1のハードコート層3と第2のハードコート層4とには、所定の硬度差が付けられている。なお、本実施形態において、アクリル系樹脂基材2の第1面とは、透明性シートを使用する際に衝撃を受ける側の面を指し、第2面とは、その反対側の面を指している。以下、透明性シート1の各構成要素について、より具体的に説明する。
前記アクリル系樹脂基材2としては、現在に一般的に使用されている透明性を有するアクリル系の基材を用いることができる。具体的には、以下のような合成樹脂からなる基材を用いることができる。即ち、前記アクリル系樹脂基材2の材質としては、ポリメチルメタクリレート、ポリシクロヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート−シクロヘキシルメタクリレート共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、メチルメタクリレート・スチレン共重合体、ポリ(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルメタクリレート)、メチルメタクリレート・トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート−イソボルニルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート−フェニルメタクリレート共重合体などの透明熱可塑性プラスチックや、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等と単官能基又は多官能(メタ)アクリレートとの共重合体などのプラスチックが挙げられる。
更に、前記アクリル系樹脂基材2は、上記のような重合体を主成分として、更にゴム含有重合体(アクリルゴム)を含ませて構成することができる。このゴム含有重合体は、アクリル酸アルキルエステルと、他の共重合性ビニル系単量体と、共重合性の架橋性モノマーとの混合物を重合させて弾性共重合体を作製し、この得られた弾性共重合体に、メタクリル酸エステルと、これと共重合可能なビニル系モノマー又はその混合物とを少なくとも1段以上で重合させることにより得ることができる。
この場合、前記共重合性の架橋性モノマーとしては、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、フタル酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン、マレイン酸ジアリル、トリメチロールトリアクリレート、アリルシンナメート等が挙げられ、これらを単独または2種以上の組み合わせで用いることができる。
なお、このようなゴム含有重合体は、アクリル系樹脂基材2において、前記弾性共重合体の割合が5〜18重量%となるように含ませることが好ましい。これにより、アクリル系樹脂基材2自体に弾性を持たせることができるため、透明性シート1における衝撃に対する強度をより高めることができる。
また、このようなアクリル系樹脂基材2の形状や寸法等は特に限定されるものではなく、透明性シート1の使用形態に合わせて任意に変更することができるが、例えばアクリル系樹脂基材2の厚さは、0.1mm以上3mm以下、好ましくは0.2mm以上0.9mm以下にすることが好ましい。これにより、本実施形態の透明性シート1を、例えば以下に例示するような携帯電話等の液晶パネル等の用途に好適に供することができる。
一方、このアクリル系樹脂基材2の第1面及び第2面に形成する第1及び第2のハードコート層3,4は、互いに硬度差を有するように形成されている。これら第1及び第2のハードコート層3,4の材質や形成方法について特に限定されるものではないが、例えば以下のようなハードコート剤を用いることによって好適に形成することができる。
例えば、ハードコート層3,4の形成に用いるハードコート剤として、ポリアクリレートと、反応性オリゴマーと、希釈剤と、光重合触媒とを含むハードコート剤、メチルアクリレート又はメチルメタクリレートと、金属酸化物と、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を構成成分とする高分子量顔料分散剤とを含むハードコート剤、オルガノアルコキシシランの加水分解物及び/又はその縮合物と、金属酸化物とを含むハードコート剤、及び、有機ケイ素化合物及び/又はその加水分解物を含むハードコート剤等を用いることができる。これらのハードコート剤は、単独で用いて又は2種類以上を併用してハードコート層の形成を行うことができる。
前記各ハードコート剤について更に具体的に説明すると、ポリアクリレートと、反応性オリゴマーと、希釈剤と、光重合触媒とを含むハードコート剤を使用する場合、前記ポリアクリレートとしては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールトリアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート等のポリオールのポリアクリレートを用いることができる。また、前記反応性オリゴマーとしては、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、エステルアクリレートオリゴマー等の反応性オリゴマーを用いることができる。更に、前記希釈剤としては、シクロヘキシルアクリレート、フルフリルアクリレート、2エチルヘキシルアクリレート等の反応性希釈剤を、また前記光重合触媒としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2.2−ジメトキシ−2フェニルアセトフェノン、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、p−イソプロピルフェニル−2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン等の光重合開始剤を用いることができる。
また、メチルアクリレート又はメチルメタクリレートと、金属酸化物と、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を構成成分とする高分子量顔料分散剤とを含むハードコート剤を使用する場合は、例えばメチル(メタ)アクリレートの含有量を50重量%以上とし、その他にバインダー成分として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3―ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、 ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどを含有させることができる。
また、前記金属酸化物としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア等の金属酸化物を用いることができる。このような金属酸化物を(メタ)アクリレート等に含有させることにより、ハードコート層の硬度を容易に高めることができる。特に、金属酸化物としてシリカを用いることにより、透明性がより優れたハードコート層を形成することができる。更に、前記分散剤は、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を構成成分とする。このような分散剤用いることにより、分散媒である(メタ)アクリレートに親和性を示し、上記シリカ微粒子を凝集することなく分散させることができる。このような分散剤における前記脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシパルミチン酸、ヒドロキシナノデカン酸、ヒドロキシアラキジン酸を用いることが好ましく、なかでもヒドロキシステアリン酸を用いることが特に好ましい。
更に、オルガノアルコキシシランの加水分解物及び/又はその縮合物と、金属酸化物とを含むハードコート剤を用いる場合は、前記オルガノアルコキシシランとして、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、2−ノルボルネントリエトキシシラン等のアルキル基含有オルガノアルコキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、上記フェニル基含有アルコキシシランのフェニルがメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ハロゲン基などの置換基を有しているオルガノアルコキシシラン等のフェニル基含有オルガノアルコキシシランなどを単独で又は2種類以上を併用して用いることができる。
また、前記金属酸化物は、例えば水又はアルコールなどの親水性溶剤に分散したコロイド溶液の状態で用いることができる。このようなコロイド状金属酸化物の具体例としては、コロイド状シリカ、コロイド状アンチモン、コロイド状アルミナ、コロイド状ジルコニア、酸化鉄・酸化チタン・シリカ複合ゾル等が挙げられる。この中でもコロイド状シリカを用いることが好ましい。
更にまた、有機ケイ素化合物及び/又はその加水分解物を含むハードコート剤を用いる場合は、前記有機ケイ素化合物として、例えばメチルシリケート、エチルシリケート、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−メタクリオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどジアルコキシシランまたはジアシルオキシシラン類及び/又はその加水分解物を用いることができる。
本実施形態の透明性シートにおいては、上記に示したようなハードコート剤をアクリル系樹脂基材2の第1面及び第2面に塗布して硬化させることにより、それぞれの面上にハードコート層を形成することができる。この場合、ハードコート剤をアクリル系樹脂基材2に塗布する方法や硬化させる方法は、特に限定されるものではなく、従来より公知の塗布方法や硬化方法を用いることができる。例えば、ハードコート剤を基材2に塗布する際には、バーコーター、ダイコーター、ブレードコーター、スピンコーター、ロールコーター、グラビアコーター、フローコーター、スプレー、スクリーン印刷等を利用することができる。
そして、アクリル系樹脂基材2にハードコート剤を塗布した後は、熱処理を行うことによりハードコート剤を硬化させたり、また電離放射線(紫外線若しくは電子線)を照射することによりハードコート剤を硬化させることができる。これにより、アクリル系樹脂基材2の第1面及び第2面上に第1のハードコート層3と、第2のハードコート層4とをそれぞれ形成することができる。
なお、本実施形態では、上記のようにハードコート剤をアクリル系樹脂基材に塗布して硬化させる方法以外に、例えば前記特許文献4に記載されている方法を利用して、ハードコート層の形成を行うことも可能である。即ち、所定の加工処理が行われたガラス基板の表面に、ハードコート剤を介してアクリル系樹脂基材を積層し、ハードコート剤を硬化させる。その後、硬化したハードコート剤(ハードコート層)とともにアクリル系樹脂基材をガラス基板から剥離する。このような工程をアクリル系樹脂基材の両面で行うことにより、アクリル系樹脂基材2の第1面及び第2面にそれぞれハードコート層3,4を形成することができる。
このとき、形成する第1及び第2のハードコート層3,4の膜厚は、1μm以上30μm以下にすることが好ましい。ハードコート層の厚さを1μm以上とすることにより、ハードコート層を所望の硬度で安定して形成することができ、また酸素バリア性等にも優れたハードコート層を得ることができる。一方、ハードコート層の厚さを30μmよりも厚くすると、ハードコート層の硬化が不完全となり易く、更にクラックも入り易くなるといった不具合が生じる恐れがある。
また、本実施形態の透明性シート1は、前記のように、第1及び第2のハードコート層3,4の硬度に所定の硬度差を持たせて構成されている。例えば、第1のハードコート層3は、鉛筆硬度で2H以上7H以下となるように形成されている。これにより、透明性シート1の外面となる第1のハードコート層3は高硬度となるため、透明性シート1における耐擦傷性を向上させることができる。
一方、第2のハードコート層4は、第1のハードコート層3の鉛筆硬度よりも低く、且つ、第1のハードコート層3に対してアクリル系樹脂基材2に反りを生じさせないような硬度差を有するように形成されている。これにより、第2のハードコート層4の引っ張り応力に対する強度を高めることができ、透明性シート1における耐衝撃性を向上させることができる。
このとき、アクリル系樹脂基材2に反りを生じさせないようにするためには、第1のハードコート層3と第2のハードコート層4との間に設ける硬度差を、アクリル系樹脂基材2の厚さや吸湿性等に応じて変化するが、例えば鉛筆硬度で1H以上4H以下となるようにすれば良い。このような硬度差であれば、基材2に反りが発生することはない。即ち、第2のハードコート層4は、耐衝撃性の向上と反り発生防止の2つの効果を安定して得るために、鉛筆硬度が1H以上4H以下となるように形成されることが好ましい。例えば、本実施形態の透明性シート1においては、第1のハードコート層3の鉛筆硬度が4Hとなるように、また第2のハードコート層4の鉛筆硬度が3Hとなるように構成することができる。
なお、本実施形態において、第1及び第2のハードコート層3,4の硬度を制御する方法は特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂基材2に塗布するハードコート剤の組成を変化させたり、また、形成するハードコート層の厚さを変えたりすることによって、容易にその硬度を制御することができる。
以上のように、本実施形態における透明性シート1は、高い透明性を有し、反りが生じおらず、また優れた耐擦傷性と優れた耐衝撃性とを兼ね備えた高品質の樹脂シートなる。このような透明性シート1は、例えば、携帯電話の液晶パネルやパネル用カバー、デジタルカメラのモニター用L.C.D.カバー、OHP用パネル等の用途に好適に用いることができる。またその他に、車載用途にも適用することができ、例えばカーナビゲーション用L.C.D.パネル、カーステレオ用銘板、バックモニター用CCDカメラ保護カバー等にも使用することができる。
以下、本発明の透明シートについて、実施例及び比較例を挙げてより具体的に説明する。
<試料の作製>
(実施例)
アクリル系樹脂基材として、弾性共重合体を15重量%程度含有した耐衝撃性アクリル板を準備し、このアクリル板の両面に前記特許文献4に記載されているガラス転写方式を用いてハードコート層を形成した。即ち、耐衝撃性アクリル板の両面に所定のハードコート剤を介してガラス板をそれぞれ設置した後、ガラス板の両外側から紫外線照射を行うことにより、ハードコート剤を硬化させた。
このとき、アクリル板に塗布するハードコート剤としては、ポリアクリレート(ペンタエリスリトールテトラアクリレート)と、反応性オリゴマー(ウレタンアクリレートオリゴマー)と、希釈剤(シクロヘキシルアクリレート)と、光重合触媒(ベンゾイン)とを含むハードコート剤を使用した。なお、アクリル板の第1面に塗布するハードコート剤と、第2面に塗布するハードコート剤とは互いに組成を変化させて、アクリル板の第1面には鉛筆硬度が4Hとなる第1のハードコート層が、また第2面には鉛筆硬度が3Hとなる第2のハードコート層が形成されるようにハードコート剤の組成を調整した。
前記紫外線照射を行ってハードコート剤を硬化させた後、アクリル板の両面に設置したガラス板を引き剥がすことにより、耐衝撃性アクリル板に第1のハードコート層と第2のハードコート層とが形成された透明性シートを作製した。この得られた透明性シートにおけるハードコート層の厚さを測定したところ、第1及び第2のハードコート層の膜厚は、ともに5μmであった。また、透明性シートを目視により観察したところ、透明性シートに反りの発生は確認されなかった。このような透明性シートを、複数枚作製して実施例の試料として用いた。
(比較例1)
比較例1の試料として、耐衝撃性アクリル板の両面に同じ鉛筆硬度を有するハードコート層を形成した透明性シートを複数枚作製した。即ち、前記実施例と同様の耐衝撃性アクリル板を準備し、この耐衝撃性アクリル板の両面に、鉛筆硬度が同じ4Hとなるハードコート層をそれぞれガラス転写方式を用いて形成することにより、透明性シートを作製した。この得られた透明性シートのハードコート層の厚さを測定したところ、第1及び第2のハードコート層の膜厚とも5μmであった。
(比較例2)
比較例2の試料として、前記実施例及び比較例1で準備した耐衝撃性アクリル板をそのまま使用した(ハードコート層の形成無し)。
(比較例3)
比較例3の試料として、弾性共重合体を含有していないキャストアクリル板を準備し、このキャストアクリル板の両面に、鉛筆硬度が同じ6Hとなるハードコート層をそれぞれガラス転写方式を用いて形成することにより、透明性シートを作製した。この得られた透明性シートのハードコート層の厚さを測定したところ5μmであった。
<試料の評価>
1.鉛筆硬度の測定
前記実施例及び比較例1〜3の各試料に対して、JIS−D−0202に基づいて鉛筆硬度の測定を行った。
2.耐擦傷性の評価
前記実施例及び比較例1〜3の各試料における耐擦傷性を評価するために、#0000のスチールウールで500gの荷重を負荷しながら、各試料の表面(実施例の試料については第1のハードコート層の面)を10往復させた。その後、各試料のスチールウールを往復させた面に擦り傷が発生しているか否かを目視により観察した。
3.耐衝撃性の評価
前記実施例及び比較例1〜3の各試料について、ASTM D256に基づいて、アイゾット衝撃強さの測定を行った。更に、各試料における耐衝撃性を評価するために、円錐落下法による落球衝撃強度を測定した。この落球衝撃強度は、透明性シートの上方から40gの円錐を落下させ、透明性シートに破損が生じたときの円錐を落下させた高さを比較することにより耐衝撃性の評価を行った。
実施例及び比較例1〜3の各試料について、上記の鉛筆硬度の測定、耐擦傷性の評価、及び耐衝撃性の評価を行った結果と、基材の材質及び厚さとを、以下の表1にまとめて示す。
Figure 2007030307
上記表1に示したように、耐擦傷性を評価した結果、本発明の透明性シートとなる実施例の試料は、スチールウールによる擦り傷が全く発生していなかった。一方、ハードコート層を形成しなかった比較例2の試料には、無数の擦り傷が観察された。即ち、本発明の透明性シートは、耐擦傷性に優れていることが明らかとなった。
また、実施例の試料と比較例1の試料とを比較してみると、実施例の試料は、比較例1の試料の2倍以上の落球衝撃強度(耐衝撃性)を有していることが明らかとなった。更に、実施例の試料と比較例1,3の試料との比較から、弾性共重合体を含有させることにより、更なる耐衝撃性が向上することが確認できる。以上の結果から、本発明の透明性シートは、従来では得ることが難しかった耐擦傷性と耐衝撃性とを兼ね備えた高品質の樹脂シートであることが確認された。
本発明の透明性シートは、透明性、耐擦傷性、耐衝撃性が求められるような用途、例えば携帯電話の液晶パネルやパネル用カバー等の用途に好適に用いることができる。
本発明に係る透明性シートの構成を模式的に示す模式図である。
符号の説明
1 透明性シート
2 アクリル系樹脂基材
3 第1のハードコート層
4 第2のハードコート層

Claims (5)

  1. アクリル系樹脂からなる基材と、同基材の第1面及び第2面の両面に形成したハードコート層とを備えた透明性シートであって、
    前記基材の第1面及び第2面に形成したハードコート層が硬度差を有してなる
    ことを特徴とする透明性シート。
  2. 前記基材の第1面及び第2面に形成したハードコート層は、
    ポリアクリレートと、反応性オリゴマーと、希釈剤と、光重合触媒とを含むハードコート剤、
    メチルアクリレート又はメチルメタクリレートと、金属酸化物と、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を構成成分とする高分子量顔料分散剤とを含むハードコート剤、
    オルガノアルコキシシランの加水分解物及び/又はその縮合物と、金属酸化物とを含むハードコート剤、及び、
    有機ケイ素化合物及び/又はその加水分解物を含むハードコート剤、
    の中から選択される1つ又は2以上のハードコート剤を用いて形成されてなることを特徴とする請求項1記載の透明性シート。
  3. 前記第1面に形成したハードコート層の鉛筆硬度は、2H以上7H以下であり、
    前記第2面に形成したハードコート層の鉛筆硬度は、前記第1面に形成したハードコート層の鉛筆硬度よりも低く、且つ、前記基材に反りを生じさせないような硬度差を有してなる、
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の透明性シート。
  4. 前記基材の第1面及び第2面に形成したハードコート層間の硬度差が、鉛筆硬度で1H以上4H以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明性シート。
  5. 前記第1面及び第2面に形成したハードコート層の膜厚が、1μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透明性シート。
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