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JP2004268031A - 窒素化合物を窒素分子から直接合成する方法 - Google Patents

窒素化合物を窒素分子から直接合成する方法 Download PDF

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JP2004268031A
JP2004268031A JP2004040847A JP2004040847A JP2004268031A JP 2004268031 A JP2004268031 A JP 2004268031A JP 2004040847 A JP2004040847 A JP 2004040847A JP 2004040847 A JP2004040847 A JP 2004040847A JP 2004268031 A JP2004268031 A JP 2004268031A
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Wataru Yamaguchi
渡 山口
Junichi Murakami
純一 村上
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Abstract

【課題】 窒素化合物を窒素分子から直接合成する方法を提供する。
【解決手段】 イオンビームスパッタ法により生成させ、基板上に担持したナノクラスターに窒素分子を吸着させて活性化し、それによって分子状態のまま活性化した窒素分子を用いて窒素化合物を合成することを特徴とする窒素化合物の合成方法、及びタングステンに代表される遷移金属元素、又は遷移金属を含む酸化物あるいは硫化物のナノクラスターに窒素分子を吸着させて活性化する上記合成方法。
【効果】 ナノクラスター担持触媒を利用する新規窒素化合物の合成方法を提供することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、窒素化合物を窒素分子から直接合成する方法に関するものであり、更に詳しくは、従来の触媒にはない特異な触媒機能を有すると考えられている金属元素のナノクラスターを基板にサイズを保ったまま固定し、それに吸着された窒素分子を活性化状態にし、例えば、その窒素分子と酸素、水素等を反応させて窒素化合物を合成する方法に関するものである。本発明は、窒素分子を出発原料としたアンモニア等の合成に代表される化学工業の技術分野において、従来の方法は、高温、高圧の反応条件が必要とされるエネルギー大量消費型の合成プロセスを必要としていたのに対し、省エネルギー、環境負荷の小さい高機能触媒としての応用が期待されるナノクラスター担持触媒を利用する新規窒素化合物の合成方法を提供するものとして有用である。
窒素は、人類を含む生物が生命活動を営む上で必要不可欠な元素の一つである。大気の8割は窒素であって、資源の量という点では無尽蔵であるが、窒素分子は、きわめて不活性な分子であり、そのままでは生体が利用することは不可能である。現在知られている、それを利用可能にする唯一の方法は、窒素をアンモニアに変換し、それを他の物質と化合する、あるいは酸化するなどの処理を施して利用することである。従って、アンモニアの製造が必須であるが、現在、工業的に利用されているハーバーボッシュ法(非特許文献1)では、アンモニアを合成するのに数百℃、数百気圧という厳しい条件が必要であり、きわめてエネルギー消費の大きい、従って、また、環境に負荷の大きい合成法となっている。
菊池英一、他、新しい触媒化学(三共出版)第2版、p.57
本発明で解決しようとする課題は、上記のような多くのエネルギーを消費して窒素分子からアンモニアを合成し、それからスタートして他の窒素化合物を合成するプロセスの代わりに、窒素分子から直接窒素化合物を合成する技術の開発である。これにより、大気中に存在する窒素分子から窒素化合物を環境にやさしい、省エネルギーの条件下で合成することが可能になる。
そこで、本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意研究を進める過程で、イオンビームスパッタ法により作製し、欠陥を導入した基板上にソフトランディングして担持・固定し、その後に酸素を吸着させたナノクラスターへ、更に、窒素分子吸着を行い、そして、ナノクラスターによって活性化された窒素分子とあらかじめナノクラスターに吸着していた酸素原子との反応を評価した結果、所期の目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、窒素分子から直接窒素化合物を合成する方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)イオンビームスパッタ法により生成させ、基板上に担持したナノクラスターに窒素分子を吸着させて活性化し、それによって分子状態のまま活性化した窒素分子を用いて窒素化合物を合成することを特徴とする窒素化合物の合成方法。
(2)タングステンに代表される遷移金属元素、又は遷移金属を含む酸化物あるいは硫化物のナノクラスターに窒素分子を吸着させて活性化する前記(1)に記載の窒素化合物の合成方法。
(3)衝突エネルギーを制御して基板にソフトランディングさせて担持したナノクラスターに窒素分子を吸着させて活性化する前記(1)に記載の窒素化合物の合成方法。
(4)イオン衝撃で欠陥を作製したHOPG(高配向熱分解グラファイト)基板に代表される、欠陥あるいはダングリングボンドを持った基板に担持したナノクラスターを用いる前記(1)に記載の窒素化合物の合成方法。
(5)欠陥を作製したグラファイト基板上に担持した単一サイズタングステンナノクラスターへの吸着によって分子内結合が弱まり、分子状態のまま活性化状態になった窒素分子を原料として用いる前記(1)に記載の窒素化合物の合成方法。
(6)活性化した窒素分子と酸素ないし水素を反応させる前記(1)に記載の窒素化合物の合成方法。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明の窒素化合物の合成方法においては、イオンビームスパッタ法により生成させ、サイズを選別して基板上に担持したナノクラスターに窒素分子を吸着させて活性化し、それによって分子状態のまま活性化した窒素分子を用いて窒素分子から直接窒素化合物を合成する。ナノクラスターとしては、イオンビームをクラスターとして取り出したい金属、金属化合物元素を含むターゲットに照射し、ターゲットから直接たたき出されたナノクラスターの陽イオンを用いる。このイオンは、たたき出されたままでは非常に幅広い運動エネルギー分布を持っているので、まず、このイオンを電場で捕集した後、ヘリウムガスと何度も衝突させ、それにより冷却、すなわちエネルギーの幅を小さくする。
次に、これらのある程度冷却されたクラスターイオンの中から特定のサイズのものを質量選別して選ぶ。サイズを選別したクラスターイオンは更にヘリウムガスとの衝突で冷却する。この結果、クラスターイオンの並進エネルギー広がりをクラスター内の原子間結合エネルギーよりずっと小さくできる。このようにしてエネルギーをそろえたクラスターイオンビームを、基板に正電圧をかけることによって減速してソフトランディングの条件が達成される。
これによって、担持に際して、クラスターは壊れることなくサイズを保ったまま基板上に担持される。基板に担持されたナノクラスターは室温程度の温度では通常基板上で拡散し、クラスター同士が出会えば、会合して大きな粒子に成長する。このことを避けるためにはナノクラスターを基板上に固定することが必要である。その目的のために、本発明では、クラスター担持基板として欠陥あるいはダングリングボンドを表面に有する材料を用いる。そのような表面の欠陥にナノクラスターは結合して固定されるからである。このことは、以下のようにして確かめられる。
ナノクラスターが表面上を拡散することなく個別に固定されているならば、それらの総表面積/総体積比は凝集体のそれに比べて大きくなるはずである。表面積は、例えば、何らかの分子を表面に飽和吸着させ、その吸着量をもって見積もることができる。そこで、欠陥を導入したHOPG基板にW5 を担持する上述のナノクラスター担持材料と、欠陥を導入する操作を省略した参照試料を作製し、ともに室温下で1×10-6torrの水蒸気中に1時間放置することで水分子を飽和吸着させた。吸着した水の量は、X線光電子分光法(XPS)を用いて水分子を構成する酸素原子(O)からの1s光電子強度を測定することにより評価した。
図1は、W5 のW4p3/2
準位と吸着した水分子のO1s準位からの光電子信号を含む光電子スペクトルを示したものであり、上は基板に欠陥を導入して作製したナノクラスター担持材料、下は欠陥を導入せずに作製した参照試料に、それぞれ対応するものである。W4p3/2
強度がほぼ等しいのに対しO1s強度は基板に欠陥を導入して作製したナノクラスター担持材料の方が明らかに強い。このことは、基板に欠陥を導入した試料ではナノクラスターの凝集が抑制されて高い表面積/体積比が保たれており、より多くの水分子の吸着サイトが存在することを示している。この結果により、本来は化学的に不活性な固体表面であっても、基板表面に導入された欠陥がナノクラスターの固定中心としてはたらき、拡散・凝集を抑えてナノクラスターを安定に担持できることが確認された。
本発明において、上記の窒素化合物合成の原料となる、活性化窒素分子作製のためのナノクラスターを構成する元素としては、好適には、例えば、タングステンなどの遷移金属元素、2 種以上の遷移金属元素の組み合わせ(合金クラスター)、更には遷移金属元素と硫黄、酸素などカルコゲン元素の組み合わせ(金属化合物クラスター)などが例示されるが、これらに制限されるものではない。本発明において、上記の窒素化合物合成の原料となる、活性化窒素分子作製のためのナノクラスターのサイズとしては、好適には、原子数個から数十個を含む大きさのものが例示される。
本発明において、上記の窒素化合物合成の原料となる、活性化窒素分子作製のためのナノクラスターを担持・固定する基板としては、好適には、例えば、アルゴンイオンで衝撃して欠陥を作製したHOPG基板、清浄シリコン基板、アルミナ、チタニア、シリカ、酸化マグネシウムのような酸化物基板が例示される。しかし、担持材料としてはこれらのものに限定されるものではなく、ナノクラスターが固定され、サイズを保持できるものであれば適宜使用することができる。
次に、本発明において、窒素分子と酸素分子、水素分子等の分子を反応させる方法としては、好適には、この担持クラスターに窒素と化合する元素を含む分子、例えば、酸素分子、水素分子等をあらかじめ吸着させることによって供給しておき、次いで、この酸素、水素等を吸着したナノクラスターに窒素ガスを吸着させる方法が例示される。ナノクラスター上で窒素分子は活性化されて反応しやすい状態になり、既にナノクラスター上に吸着していた酸素、水素等の分子と反応して窒素化合物が窒素分子から直接合成される。しかし、窒素分子と他の分子との反応方法はこれらに制限されない。窒素化合物の合成条件等は、これらの反応分子の種類に応じて適宜決定される設計的事項である。窒素と化合する元素を含む分子としては、上述のように、酸素、水素等が例示されるが、これらに制限されるものではなく、適宜の分子を用いることができる。
本発明により、例えば、窒素分子から直接一酸化二窒素を合成することができる。一酸化二窒素(亜酸化窒素、化学式N2 O)は、例えば、歯科治療などにおける吸入麻酔薬、エンジンの効率を上げる加速剤、シリコンデバイスの酸窒化シリコン絶縁膜形成、クリームなどの泡たて剤等に用いられている常温で気体の物質である。現在、その製法は、硝酸アンモニウム(NH4
NO3 )塩の160℃程度の熱分解による生成によっているが、硝酸アンモニウムは、硝酸とアンモニアの反応により作られ、更に、硝酸は白金触媒等を用いたアンモニアの接触酸化による一酸化窒素(NO)の生成、更に、一酸化窒素の酸化によるN2
Oと(NO)2 の生成と、その空気存在下における水への溶解によっている(非特許文献1及び玉虫文一、他、理化学辞典(岩波書店)第3版、p.84)。そして、これらのプロセスの出発物質となっているアンモニアは500℃、300気圧を必要とする「ハーバーボッシュ法」によって空気中の窒素分子から製造されている。すなわち、一酸化二窒素分子は、大気窒素分子を出発原料として、数種類の化学プロセスを経て得られている。本発明により、例えば、窒素分子から1ステップで省エネルギー条件下で一酸化二窒素分子を合成することができる。
本発明は、ナノクラスターを欠陥のある基板にソフトランディングすることによって担持し、その担持ナノクラスターに吸着することによって活性化状態になった窒素分子を用いて窒素化合物を作製する方法に係るものであり、本発明によれば、(1)窒素分子から直接窒素化合物を合成する方法を提供することができる、(2)タングステンナノクラスター担持材料を用いることで、例えば、一酸化二窒素を窒素分子からエネルギーをあまり消費せず1ステップで生成できる、(3)省エネルギー条件下で安価に一酸化二窒素分子を作製できる、(4)活性化窒素分子と水素を反応させることによって1ステップでアンモニア分子を合成できる、という格別の効果が奏される。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、以下の実施例は、本発明の好適な例を示すものであり、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
本実施例においては、CORDIS型イオン源(R.ケラー(R.Keller)、他、ヴァキューム(Vacuum)、第34巻、第31〜35ページ、1984年)を用い、+20kV程度に加速された総電流値20mA程度の4本のキセノンイオンビームをタングステンターゲットに照射し、ターゲットから直接たたき出されたタングステンクラスター陽イオンを用いた。このイオンは、たたき出されたままでは非常に幅広い運動エネルギー分布を持っているので、まず、このイオンを電場で捕集した後、四重極電場の中をドリフトさせながら10-3Torr程度の圧力のヘリウムガスと何度も衝突させ、それにより冷却、すなわちエネルギーの幅を小さくした。次に、これらのある程度冷却されたクラスターイオンの中からタングステン5量体(W5 )を選ぶために四重極マスフィルターによって質量選別した。
サイズを選別したクラスターイオンを更に冷却するために、再び長さ60cmの四重極電場の中で10-3Torr程度の圧力のヘリウムガスと衝突させた。この結果、クラスターイオンの並進エネルギー広がりは、0.3eV程度にすることができた。このように冷却されたW5 クラスターイオンビームを3mmの径のアパチャーを通して、あらかじめアルゴンイオンビーム衝撃で欠陥を作製しておいたHOPG基板に照射して担持した。この際、基板に+3V程度の電圧を印加することによってクラスターイオンを減速して基板にソフトランディングさせた。次に、このクラスターに酸素分子をあらかじめ吸着させることによって供給しておいた。このようにして作製した基板を140Kまで冷却して、更に窒素ガスをパルスバルブから供給することによって飽和吸着量吸着させた。
このようにして基板に担持させたタングステンクラスターに吸着させた窒素分子のN1s電子束縛エネルギーの値をX線光電子分光法(XPS)で調べた。これにより、窒素分子のタングステンクラスター上での窒素化合物精製に関する情報を得た。実験はいずれも10-10 Torr台の超高真空中で行った。その結果、室温でこれらの担持クラスターに酸素原子を吸着させた上で、更に140Kで窒素分子を吸着させると、窒素分子とは異なる分子のXPSスペクトルが出現することが分かった(図2)。この分子のXPSスペクトルは従来の研究でよく知られている、一酸化二窒素分子のXPSスペクトル(J.C.ファグル(J.C.Fuggle)及びD.メンツェル(D.Menzel)、サーフェス・サイエンス(Surface Science)、第79巻、第1〜25ページ、1979年)によく一致し、このことから、担持クラスター上で、窒素分子から一酸化二窒素分子が直接生成することが明らかとなった。生成した一酸化二窒素分子は基板を昇温すると室温に達するまでに完全にクラスター表面から脱離するため、再び窒素分子を吸着させて一酸化二窒素分子を生成させることが可能であることが分かった。
以上詳述したように、本発明は、ナノクラスターを欠陥のある基板にソフトランディングすることによって担持し、その担持ナノクラスターに吸着することによって活性化状態になった窒素分子を用いて窒素化合物を作製する方法に係るものであり、本発明により、窒素分子から直接窒素化合物を合成する方法を提供することができる。タングステンナノクラスター担持材料を用いることで、例えば、一酸化二窒素を窒素分子からエネルギーをあまり消費せず1ステップで生成できる。省エネルギー条件下で安価に一酸化二窒素分子を作製できる。活性化窒素分子と水素を反応させることによって1ステップでアンモニア分子を合成できる。
タングステン5量体のW4p3/2 準位と水分子のO1s準位からの光電子スペクトルを示す。 タングステンナノクラスター(W5 )上で反応したN2 とOから生成したN2 OのXPSスペクトルを示す。

Claims (6)

  1. イオンビームスパッタ法により生成させ、基板上に担持したナノクラスターに窒素分子を吸着させて活性化し、それによって分子状態のまま活性化した窒素分子を用いて窒素化合物を合成することを特徴とする窒素化合物の合成方法。
  2. タングステンに代表される遷移金属元素、又は遷移金属を含む酸化物あるいは硫化物のナノクラスターに窒素分子を吸着させて活性化する請求項1に記載の窒素化合物の合成方法。
  3. 衝突エネルギーを制御して基板にソフトランディングさせて担持したナノクラスターに窒素分子を吸着させて活性化する請求項1に記載の窒素化合物の合成方法。
  4. イオン衝撃で欠陥を作製したHOPG(高配向熱分解グラファイト)基板に代表される、欠陥あるいはダングリングボンドを持った基板に担持したナノクラスターを用いる請求項1に記載の窒素化合物の合成方法。
  5. 欠陥を作製したグラファイト基板上に担持した単一サイズタングステンナノクラスターへの吸着によって分子内結合が弱まり、分子状態のまま活性化状態になった窒素分子を原料として用いる請求項1に記載の窒素化合物の合成方法。
  6. 活性化した窒素分子と酸素ないし水素を反応させる請求項1に記載の窒素化合物の合成方法。

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