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JP2004018473A - 多価アルコールの製造方法 - Google Patents

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JP2004018473A
JP2004018473A JP2002177398A JP2002177398A JP2004018473A JP 2004018473 A JP2004018473 A JP 2004018473A JP 2002177398 A JP2002177398 A JP 2002177398A JP 2002177398 A JP2002177398 A JP 2002177398A JP 2004018473 A JP2004018473 A JP 2004018473A
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Japan
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reaction
solvent
hydrolysis
oxidation
polyhydric alcohol
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JP2002177398A
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Jun Takahara
高原 潤
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

【課題】多価アルコールを効率良く製造でき、しかも製造コストも低減しうる多価アルコールの製造方法を提供する。
【解決手段】同一分子内にカルボニル基及び/又はその保護基とエチレン性二重結合とを有するオレフィン類を酸素及びアルコール類と反応させて酸化生成物を生成させる酸化工程と、この酸化生成物を加水分解及び還元反応させて多価アルコールを生成させる加水分解・還元工程と、を有し、該酸化生成物を該酸化工程の途中で又は後で溶媒により抽出し、この抽出液を加水分解・還元工程に供給する多価アルコールの製造方法であって、該溶媒が、前記酸化工程のアルコール類及び前記加水分解・還元工程で製造された多価アルコールのいずれとも相分離する溶媒であり、該抽出液をそのまま、もしくは溶媒の一部のみを分離した後、もしくは溶媒を添加した後、該加水分解・還元工程に供給する。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジオール類などの多価アルコールの製造方法に係り、特に同一分子内にカルボニル基及び/又はその保護基とエチレン性二重結合とを有するオレフィン類を原料とし、酸化工程及び加水分解・還元工程により多価アルコールを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
1,3−プロパンジオールに代表される1,3−ジオール類は、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールと共に、多価アルコールとして、ポリエステル、ポリウレタン等の原料となる有用な工業中間体であり、工業的製法が種々報告されている。例えば、エチレンオキシドをカルボニル化することにより得られる3−ヒドロキシプロパナールを水添することにより1,3−プロパンジオールを得る方法が知られている。また、アクロレインを水和して同じく3−ヒドロキシプロパナールを得、これを水添する製造方法が知られている。
【0003】
<多価アルコールの新規な製造方法(酸化法)>
本発明者らはこれに対して、アクロレイン、もしくはアクロレインアセタール等のα,β−カルボニル化合物を原料として、これをアルコール類と酸素と反応させることにより、酸化反応を受けた化合物を主成分とする生成物群を得、これを加水分解・還元することにより、1,3−プロパンジオールを代表とする1,3−ジオール類を製造する方法をPCT JP 01/11093にて出願している。この製造方法は、他の製造方法に比べ、反応条件が穏和なために副成物が少なく、選択性(歩留まり)がよい。また、同じアクロレインを原料とする水和を経由する従来方法に比べ、水の使用量が極端に少ない。そのため、生成物からの水の除去を蒸留によらなければならない1,3−プロパンジオールの製造としては、その蒸留の際のコストが非常に少ない(以下、この方法を酸化法と呼ぶ)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の酸化法を工業的に実施するためには、α,β−カルボニル化合物から酸化反応を受けた化合物を主成分とする生成物群を得る工程において、反応生成物を溶媒と共に得ることが好ましいが、大量の溶媒を使用すると、酸化生成物群を溶媒から取り出す際のコストが増大する。
【0005】
本発明は、上記酸化法により多価アルコールを効率良く製造でき、しかも製造コストも低減しうる多価アルコールの製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の多価アルコールの製造方法は、同一分子内にカルボニル基及び/又はその保護基とエチレン性二重結合とを有するオレフィン類を酸素及びアルコール類と反応させて酸化生成物を生成させる酸化工程と、この酸化生成物を加水分解及び還元反応させて多価アルコールを生成させる加水分解・還元工程と、を有し、該酸化生成物を該酸化工程の途中で又は後で溶媒により抽出し、この抽出液を加水分解・還元工程に供給する多価アルコールの製造方法であって、該溶媒が、前記酸化工程のアルコール類及び前記加水分解・還元工程で製造された多価アルコールのいずれとも相分離する溶媒であり、該抽出液をそのまま、もしくは溶媒の一部のみを分離した後、もしくは溶媒を添加した後、該加水分解・還元工程に供給することを特徴とするものである。
【0007】
かかる本発明の多価アルコールの製造方法にあっては、同一分子内にカルボニル基及び/又はその保護基とエチレン性二重結合とを有するオレフィン類はまず酸化工程により酸化処理され、例えば、マロンアルデヒドビス(1,3−ジオキサン−2−イル)アセタール、マロンアルデヒドモノ(1,3−ジオキサン−2−イル)アセタール等の酸化生成物が生成する。
【0008】
この酸化工程の途中又は酸化工程後に溶媒により酸化生成物が抽出され、この抽出液が加水分解・還元工程に供給され、1,3−プロパンジオール等の多価アルコールが生成する。
【0009】
本発明では、酸化工程からの抽出液は、そのまま、又は溶媒の一部のみが除去された後、又は溶媒が追加的に加えられた後、加水分解・還元工程に供給されるため、この加水分解・還元工程にはこの抽出液に由来する溶媒が多量に存在する。そして、この加水分解・還元工程で生成した多価アルコールは、この加水分解・還元工程に存在する溶媒に抽出されず相分離される。
【0010】
即ち、本発明では、酸化工程生成物を抽出するための溶媒のすべて又は多くがそのまま加水分解・還元工程に供給され、この加水分解・還元工程で生成した多価アルコールの分離に利用されることになる。
【0011】
なお、この酸化法による多価アルコールの製造において、酸化工程で酸化生成物の抽出を行うようにした場合、溶媒の量を多くした方が反応成績が向上する。本発明では、この溶媒を抽出液から全く又はそれ程分離することなく、又は溶媒を追加的に加えて加水分解・還元工程に供給するので、この溶媒の分離工程及びそのためのコストが全くかからないか、又は簡易・低コストで済むものとなる。
【0012】
本発明では、溶媒としてはアルコール類及び多価アルコールと相溶性を有しないものが用いられる。具体的には、炭化水素、ハロゲン化炭化水素又はその混合物が好適である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、工程順に詳細に説明する。
【0014】
本発明は、同一分子内にカルボニル基とエチレン性二重結合とを有するオレフィン類を反応原料とするか、又は、このオレフィン類のカルボニル基を保護基で保護したオレフィン類を原料とするものである。そして、これらの原料より、酸化反応、加水分解、及び還元反応を経て対応する多価アルコールを製造するものである。
【0015】
本発明は、大別すると2つの反応ルートがある。
【0016】
第1の反応ルートは、同一分子内にカルボニル基及び/又はその保護基と、エチレン性二重結合とを有するオレフィン類を酸化し、アセタール及び/又はケタール化合物を得、これを加水分解及び還元して多価アルコールを製造する方法である。
【0017】
第2の反応ルートは、同一分子内にカルボニル基及びエチレン性二重結合を有するオレフィン類を保護剤と反応させ、カルボニル基を保護した後、これを酸化してアセタノ−ル及び/又はケタール化合物を得、次いで、これを脱保護(保護基の分離)、加水分解及び還元して多価アルコールを製造する方法である。
【0018】
この第1及び第2の反応ルートにおいては、酸化反応、加水分解、還元反応は共通する工程である。
【0019】
本発明の第2の反応ルートにおける反応式の一例を説明する。なお、式中、
R’及びR”は炭化水素基を表す。
【0020】
先ず、最初の保護反応の反応式を(1−a)に示す。
【化1】
Figure 2004018473
【0021】
上記反応で得たカルボニル基が保護された化合物を酸化するが、その反応式の一例を式(1−b)に示す。
【化2】
Figure 2004018473
【0022】
酸化後の生成物を脱保護によりカルボニル基とする反応式の一例を式(2−a)に示す。
【化3】
Figure 2004018473
【0023】
脱保護後のアセタール及び/又はケタールを加水分解してカルボニル基とする反応式の一例を式(2−b)に示す。
【化4】
Figure 2004018473
【0024】
更に、得られたカルボニル基を還元して水酸基とし、多価アルコール類を得る反応式の一例を式(2−c)に示す。
【化5】
Figure 2004018473
【0025】
上記反応ルートは、第2反応ルートの場合であるが、第1反応ルートの場合は、式(1−a)の保護反応が省略され、カルボニル基を有するオレフィン類を出発原料とし、式(1−b)の酸化反応が行なわれる。この場合、当然に式(2−a)の脱保護反応も不要となる。
【0026】
また、場合により、脱保護反応式(2−a)と加水分解反応式(2−b)の順序は逆でもよい。更に、カルボニル基の保護基が、例えばアセタール、ケタールのように加水分解により脱保護し、カルボニル基に変換される場合には、脱保護と加水分解を同時に行うことができる。また、カルボニル基の保護基が還元反応により脱保護される場合は、脱保護と還元が同時に行なわれることになり、保護基が還元反応により直接水酸基に変換できる場合には、脱保護しなくても目的の多価アルコールを得ることができる。
【0027】
<出発原料>
本発明の出発原料は、同一分子内にカルボニル基とエチレン性二重結合とを有するオレフィン類である。
【0028】
本発明で出発原料として用いるオレフィン類は鎖状、環状のどちらでもよい。このオレフィン類の炭素数は、鎖状オレフィンの場合、通常2以上、好ましくは3以上であり、また、通常25以下、好ましくは10以下である。環状オレフィン類の場合、通常4以上、好ましくは5以上であり、また、通常10以下、好ましくは8以下である。オレフィン類の1分子内の二重結合の数は特に限定されないが、通常8個以下、好ましくは3個以下である。また、二重結合の位置はどこでもよい。カルボニル基としてはアルデヒド基、ケトン基、カルボキシル基等が挙げられ、アルデヒド基が好ましい。また、オレフィン類の1分子内のカルボニル基の個数は特に限定されないが、通常8個以下、好ましくは3個以下である。
【0029】
二重結合とカルボニル基の位置関係は同一分子内に存在しさえすればよく、何ら制限されないが、好ましくはこれら二つの基の間に存在する炭素数が3個以下、さらに好ましくは0個となるように近接している方がよい。
【0030】
これら鎖状または環状オレフィンは、主鎖のいずれの位置に置換基を有していてもよく、縮合環を有していてもよい。置換基としては、炭素数1〜23のアルキル基、炭素数1〜23のアルコキシ基、フェニル基等の炭素数6〜22のアリール基、クロロ基、ブロモ基等のハロゲン基、ニトロ基等が挙げられ、置換基は、1個に限らず、2以上存在していても構わない。
【0031】
上記オレフィン類はそのまま酸化反応に供してよいが、カルボニル基を保護してカルボニル基の保護基とした後、酸化反応に供してもよい。カルボニル基の保護基とは、酸化反応工程において、カルボニル基が反応するのを防ぐために保護されたカルボニル基であり、そして、脱保護、加水分解及び/又は還元されて水酸基に変換しうる基であればよい。
【0032】
このカルボニル基の保護基の例としては、アセタール基、チオアセタール基、ケタール基、チオケタール基、エステル基等が挙げられ、中でも、アセタール基、エステル基が好ましく、その中でもアセタール基が特に好ましい。
【0033】
ただし、酸化反応中にこれらのカルボニル基が、反応に用いるアルコール、酸素と反応しても、以降の工程で水酸基に変換できれば、何ら問題はない。
【0034】
なお、複数のカルボニル基を持つオレフィン類を用いる場合には、必ずしも全てのカルボニル基が保護されていなくてもよい。
【0035】
上記カルボニル基を持つオレフィン類、および保護されたカルボニル基を持つオレフィン類としては、具体的には、アクロレイン、メタアクロレイン、クロチルアルデヒド、2−ヘキセナール、シンナムアルデヒド、2−シクロヘキセンカルボアルデヒドなどの不飽和アルデヒド、アクロレインジメチルアセタール、アクロレインジエチルアセタール、2−ビニル−1,3−ジオキソラン、2−ビニル−1,3−ジオキサンなどのアセタール類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、3−ペンテン−2−オンなどの不飽和ケトン類、ビニルメチルケトンジメチルケタール、2,2−エチルビニル−1,3−ジオキソランなどのケタール類、アクリル酸、メタアクリル酸、シンナム酸、2−シクロヘキセンカルボン酸などの不飽和カルボン酸、無水マレイン酸等の酸無水物、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、2−ヒドロキシエチルアクリル酸エステル、3−ヒドロキシプロピルアクリル酸エステル、4−ヒドロキシブチルアクリル酸エステル、また、クロトノラクトンなどのラクトン類、さらにビニルアセテート、ビニルブチレートなどのビニルエステル類等のエステル類等が挙げられる。これらの中でも、不飽和アルデヒドを用いるのが最も好ましい。
【0036】
<保護反応工程>
保護反応工程は、反応原料である上記同一分子内にカルボニル基とエチレン性二重結合とを有するオレフィン類を保護剤と反応させて、カルボニル基の保護基を合成する工程である。
【0037】
本工程の反応方法としては、カルボニル基を保護する公知の方法を用いることができ、特に限定されない。また、本発明における保護基は、脱保護反応によりカルボニル基に戻らなくても、脱保護、加水分解及び/又は還元反応により水酸基となるものであればよい。
【0038】
本工程で形成される保護基は、脱保護工程で脱保護されるが、脱保護反応が加水分解反応と同じ反応条件を採用できる保護基を選択しておけば、脱保護反応と加水分解反応とを同時に行うことができ、反応器の数が減るため、プロセス上有利である。脱保護反応が加水分解反応と同じ反応条件で行える反応の具体例として、出発原料のカルボニル基がホルミル基であるもの、即ち、出発原料化合物がアルデヒド、保護された形態がアセタールである場合が挙げられる。アルデヒドをアセタールに変換するアセタール化反応は、カルボニル基を保護する反応として一般に用いられている。また、カルボニル基の種類によっては、加熱等の条件により脱炭酸してカルボニル基が失われることもあり、その可能性がある場合は、カルボニル基をアセタール化またはエステル化して保護する。具体例としては出発原料のカルボニル基がカルボキシル基、即ち、出発原料化合物がカルボン酸、保護された形態がエステルである場合が挙げられる。カルボン酸をエステルに変換する反応はエステル化反応として公知である。
【0039】
本発明では、カルボニル基を保護することなく、酸化、加水分解、及び還元反応を経て水酸基に導くことができる場合であっても、酸化により形成された官能基が加水分解を経て還元される際に、カルボニル基を保護した場合よりも多くの水素を消費したり、還元反応の条件が高温、高圧を要する場合は、カルボニル基をその保護基に変換しておく方が好ましい。カルボニル基の保護基は脱保護工程で容易にもとのカルボニル基に戻せるためである。また、同じカルボニル基であっても、カルボキシル基とエステル基のように、カルボキシル基のエステル化、エステルの加水分解の反応により、相互に容易に変換できる場合は保護基に変換する方が好ましい。また、保護基に変換することにより、目的生成物とそれ以外の化合物の蒸留分離を容易にできる場合や、本発明に用いる装置の材質の問題を解決できる場合は、保護基に変換することが好ましい。
このようなオレフィン類としては、アルデヒドおよびカルボン酸、具体的には、アクロレイン、メタアクロレイン、クロチルアルデヒド、2−ヘキセナール、シンナムアルデヒド、2−シクロヘキセンカルボアルデヒドなどの不飽和アルデヒド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、3−ペンテン−2−オンなどの不飽和ケトン類、アクリル酸、メタアクリル酸、シンナム酸、2−シクロヘキセンカルボン酸などの不飽和カルボン酸等が挙げられる。
【0040】
保護剤は、目的生成物により適宜選択し、保護されたカルボニル基を形成する公知の保護剤を用いることができるが、好ましくはアルコール、最も好ましくは目的生成物と同一の多価アルコールである。アルコールの種類は特に限定されないが、アルコールと生成物との平衡が生成物に偏るアルコールを用いると、転化率が上がる点で好ましい。
【0041】
例えば保護反応がアセタール化反応の場合には、通常炭素数1以上10以下のアルコールが用いられ、なかでも多価アルコールが好ましく、炭素数2〜5のジオール類が特に好ましい。具体的には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールなどが例示される。
【0042】
また、保護反応がエステル化反応の場合では、通常炭素数1以上10以下のアルコールが用いられ、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオールなどが例示される。
【0043】
なお、脱保護反応の際に、保護剤として用いたアルコールが生成するため、目的物とアルコールとを分離する必要がある。したがって、目的物からの分離が容易なアルコール類を選択することが望ましい。即ち、例えば蒸留分離を分離方法として採用する場合は、目的物とアルコール類の沸点差が大きいものが好ましい。目的とする多価アルコール類と同一のアルコール類を使用すれば、この分離の必要性がなくなり、さらに有利なプロセスとなる。例えばオレフィン原料としてアクロレインやアクリル酸を用いる場合は、アルコール類として目的生成物である1,3−プロパンジオールを用いると、脱保護反応後、アルコールを生成物から分離する必要がないため最も好ましい。
【0044】
また、アセタール化、エステル化は平衡反応であり、通常の場合、カルボニル化合物若しくは保護剤のどちらかを過剰に用いることが行われる。保護剤であるアルコールを過剰に用いた場合は、保護反応後、このアルコールが残る。通常は、このアルコールを次工程である酸化反応に供する前に除去しなければならないが、保護工程の次の酸化工程で使用されるアルコールをこの工程でも使用すると、アルコールを除去する必要がなく、プロセスが簡便になり、除去する費用もかからず経済的に有利である。
【0045】
酸化反応に対するカルボニル基の保護基としては、一般に知られているすべてのものを用いることができ、保護された形態は特に限定されない。通常、保護されたカルボニル基とは元のカルボニル基に変換できるもの、アセタール基、チオアセタール基、ケタール基、チオケタール基、エステル基等が用いられ、好ましくはアセタールまたはケタール並びにエステル、具体的には、アクロレインジメチルアセタール、アクロレインジエチルアセタール類、2−ビニル−1,3−ジオキソラン、2−ビニル−1,3−ジオキサンなどのアセタール類、ビニルメチルケトンジメチルケタール、2,2−エチルビニル−1,3−ジオキソランなどのケタール類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、2−ヒドロキシエチルアクリル酸エステル、3−ヒドロキシプロピルアクリル酸エステル、4−ヒドロキシブチルアクリル酸エステル等のエステル類等が用いられる。
【0046】
カルボニル基を保護する例として、以下、脱水縮合反応、具体的にはホルミル基を有するアルデヒドのアセタール化反応、およびカルボキシル基を有するカルボン酸のエステル化反応を説明する。なお、脱水縮合反応によるアセタール化とエステル化は、カルボニル基の種類および好ましい保護剤であるアルコールの種類が異なるだけで、その他は同一の反応条件が採用できる。脱水縮合反応は、触媒の存在下、カルボニル基を持つオレフィン類をアルコールと触媒を用いて反応させて、カルボニル基の保護基を持つオレフィン類を得る。
【0047】
反応系中のオレフィン類の存在量は、反応容積全体に対して、通常1vol%以上、好ましくは5vol%以上であり、また通常99vol%以下、好ましくは50vol%以下の範囲で選ぶことができる。
【0048】
これらのオレフィン原料の中には、熱等により重合したり、ラジカル自動酸化を起こしやすいものが含まれる。そのような場合は、ヒドロキノン、フェノチアジンなどのラジカル捕捉剤、重合禁止剤などを系中に加えるとよい。
【0049】
反応系中のアルコール類の存在量は、反応容積全体に対して、通常1vol%以上、好ましくは5vol%以上であり、また、通常99vol%以下、好ましくは80vol%以下の範囲内である。
【0050】
原料のカルボニル基とアルコール類の反応初期における反応系中のモル比は、特に限定されるものではないが、1/1〜1/100の範囲であればよい。上記の範囲内でも1/1〜1/95が好ましく、1/1.2〜1/90の範囲が特に好ましい。
【0051】
オレフィン類の保護反応は、通常、酸触媒の存在下で実施される。この場合用いる酸触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸、ランタノイドトリフラート等のルイス酸、ヘテロポリ酸等のポリ酸、イオン交換樹脂、ゼオライト、粘土等の固体酸を使用することができる。生成物の分離の簡便さから固体酸が便利である。酸の添加量は、ごく少量でも有効で、特に制限はないが、オレフィンン類に対して好ましくは0.001重量比以上、更に好ましくは0.01重量比以上であり、また、好ましくは100重量比以下、さらには70重量比以下、特には60重量比以下である。
【0052】
反応温度は、反応形式により異なる。水または共沸混合物を留去しながら反応する場合は、これらを留去できうる温度が必要であり、また、系外に生成物を除去しない場合は、より低温の方が平衡到達値が高く有利である。反応温度は通常−100℃以上であって、−50℃以上が好ましく、−20℃以上がさらに好ましい。また、通常は200℃以下であって、180℃以下が好ましく、150℃以下がさらに好ましい。
【0053】
保護反応の反応形式は、一般的な形式によって行うことができる。触媒の各成分が溶液状態で存在する場合は、回分反応器により特定の反応時間、オレフィン類をアルコール類と接触させて反応を進行させることもできるし、連続相反応器により、オレフィン類及びアルコール類を連続的に供給して反応を進行させることもできる。一方、触媒がオレフィン類、アルコール類に不溶な場合、即ち、固体酸を用いる場合、及び、または触媒成分が固定化されている場合においては、前述の液相反応を使用することもできるし、固定床に触媒を充填し、液相状態として対応するオレフィン類、アルコール類を供給するいわゆるトリクルベッド方式を採用することもできる。
【0054】
保護反応のアセタール化及びエステル化はどちらも平衡反応である。したがって、反応後、原料と目的生成物を分離するか、反応中に生じた水、若しくはアセタールまたはエステルを系外に除去することにより反応を促進する方法が採られる。水、又はアセタールやエステルを系外に除去する方法としては、アルコールと2層(2相)を形成する溶媒を添加して生じたアセタールまたはエステルを抽出しながら行う方法、生じた水を加熱により留去する方法、または水と共沸組成をつくる溶媒を添加して、共沸物として留去する方法などが採られる。生成物のいずれも系外に除去しない場合は、転化率を高めるため、原料比を高くしたり、反応温度を下げ平衡到達値を上げる等の方法が採られる。
【0055】
<酸化工程>
次に酸化工程について説明する。
【0056】
酸化工程は、同一分子内にカルボニル基及び/又は保護基とエチレン性二重結合とを有するオレフィン類を、酸素及びアルコール類と反応させて、主としてオレフィン部分がアセタール及び/又はケタールに酸化された化合物を合成する工程である。
【0057】
即ち、鎖状のオレフィン類の場合、末端オレフィンであれば、アセタールまたはメチルケトン類のケタールが主として生成し、内部オレフィンであれば、対応するケタールが主として生成する。
【0058】
なお、本発明において、カルボニル基の保護基とエチレン性二重結合とを有するオレフィン類の製造は、必ずしも酸化工程と同一の場所で行う必要はなく、別の場所にて予め製造された保護基とエチレン性二重結合とを有するオレフィン類を原料として用いても良い。
【0059】
酸化反応は、通常、溶媒中でオレフィン類をアルコール存在下、触媒を用いて酸化するが、反応系中のオレフィン類の存在量は、反応容積全体に対して通常1vol%以上、好ましくは5vol%以上であり、また通常99vol%以下、好ましくは50vol%以下の範囲で選ぶことができる。
【0060】
これらのオレフィン原料の中には、熱等により重合したり、ラジカル自動酸化を起こしやすいものが含まれる。そのような場合は、ヒドロキノン、フェノチアジンなどのラジカル捕捉剤、重合禁止剤などを系中に加えるとよい。
【0061】
酸化反応に存在させるアルコール類としては、反応により主として生成するアセタール及び/又はケタールは、アルデヒド及び/又はケトンと平衡状態にあり、この平衡が生成物であるアセタール、もしくはケタールに偏っているアルコールを用いるのが、さらなる酸化を受けにくくなる点で好ましい。
【0062】
また、好適な溶媒である従来の脂肪族又は芳香族炭化水素等と2層(2相)を形成するアルコール類が望ましい。その理由は、反応中にこのようなアルコール類を加えることにより反応後に相分離でアルコール類を溶媒と分離できることや、反応後、これらの炭化水素溶媒等によって抽出することにより、アルコール層に溶解している触媒であるパラジウム、鉄、銅などから生成物を分離するのが容易になるからである。
【0063】
この2層分離により生成物と触媒を分離する際には、その相分離を効率的に行うために、また、生成物の抽出率を向上させるために、添加物を加えることもできる。また、相分離の前に、相分離や抽出に障害となる副生物、水などを除去した後分離することもできる。さらに、一度分離した各層から、抽出に障害となる副成物、水などを除去したりした後に、または、溶媒、アルコールを除去して各成分の濃度を高めたりした後に、再びニ層を混合して、抽出率を高める方法を採ることもできる。
【0064】
以上の観点から、反応に用いるアルコール類としては、通常炭素数1以上であり、炭素数10以下であるアルコールであり、中でもメタノール及び多価アルコースが好ましく、特に好ましくは炭素数2〜5のジオール類である。具体的には、メタノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールなどが例示される。
【0065】
この酸化工程ではアセタノール及び/又はケタールが得られ、次工程の加水分解工程で、本工程で用いたアルコール類が生成する。アルコール類を目的物と分離する際に、分離が容易なアルコール類を選択することが経済的な点から望ましい。即ち、例えば蒸留分離を分離方法として採用する場合は、目的物とアルコール類の沸点差が大きいものが好ましい。また、目的とする多価アルコール類と同一のアルコール類となるのが好ましく、例えばオレフィン原料としてアクロレイン、もしくはそのアセタールを用いる場合は、アルコール類として目的生成物である1,3−プロパンジオールを用いると、加水分解反応後、アルコールを生成物から分離する必要がないため最も好ましい。
反応系中のアルコール類の存在量は、反応容積全体に対して、通常1vol%以上、好ましくは5vol%以上であり、また、通常99vol%以下、好ましくは80vol%以下の範囲内である。
【0066】
原料のオレフィン類とアルコール類の反応初期における反応系中のモル比は、特に限定されるものではないが、1/1〜1/100の範囲であればよい。上記の範囲内でも1/1〜1/95が好ましく、1/1.2〜1/90の範囲が特に好ましい。
【0067】
酸化工程の触媒としては、特に制限はなく、均一系でも不均一系でもよいが、中でもパラジウムに加えて、銅及び鉄のいずれか、もしくは銅及び鉄の両方を少なくとも含む触媒を用いるのが好ましく、特には、パラジウムと銅と鉄の全てを組み合わせた触媒を用いるのがよい。これらパラジウム、銅、鉄の原料化合物としては、市販のもの等多くが知られているが、それらの中から任意に選ぶことができる。
【0068】
例えば、パラジウム化合物としては、塩化パラジウム、臭化パラジウム等のハロゲン化パラジウム、NaPdCl, LiPdCl等のパラデート、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パラジウム、トリフロロ酢酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトナート等の無機酸又は有機酸のパラジウム塩、酸化パラジウム、水酸化パラジウム等の無機パラジウム、更にはこれらの金属塩から誘導される塩基の配位した化合物、例えば、PdCl(CHCN)、PdCl(PhCN)、PdCl (PPh、Pd(en)Cl、Pd(Phen)Cl等があるが、これらに限定される訳ではない(ここでen:エチレンジアミン、phen:1,10−フェナントロリン、Ph:フェニル基を表す)。これらのパラジウム化合物の中でも、前述した溶媒とアルコール類の層分離の観点から、NaPdCl、 LiPdCl等のパラデート、塩基の配位した化合物、例えば、PdCl (CHCN)、PdCl(PhCN)、PdCl(PPh、Pd(en)Cl、Pd(Phen)Cl等が好ましく、アルコール類によく溶解し、炭化水素に難溶なものが好ましい。
【0069】
鉄化合物としては、例えば、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)等の塩化物、臭化鉄(II)、臭化鉄(III)等の臭化物、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(II)、硝酸鉄(III)等の無機酸塩、酢酸鉄(II)、酢酸鉄(III)、シュウ酸鉄(II)、シュウ酸鉄(III)、ギ酸鉄、アセチルアセトン鉄等の各種の塩又は配位化合物の形態で反応に供することができ、中でも塩化鉄(III)が好ましい。
【0070】
銅化合物としては、例えば、塩化銅(I)、塩化銅(II)等の塩化物、臭化銅(I)、臭化銅(II)等の臭化物、硫酸銅(I)、硫酸銅(II)、硝酸銅(I)、硝酸銅(II)等の無機酸塩、酢酸銅(I)、酢酸銅(II)、シュウ酸銅(I)、シュウ酸銅(II)、ギ酸銅、アセチルアセトン銅等の各種の塩又は配位化合物の形態で反応に供することができ、中でも塩化銅(I)、塩化銅(II)が好ましい。
【0071】
触媒の濃度は、一般的に低濃度であることが経済的な観点では好ましいが、生産性という観点では、反応速度が触媒濃度に対して負の相関が無い領域においては、ある程度高濃度化した方が好ましい。これらの観点においてパラジウムの濃度は、全反応液重量に対して、[Pd]として通常0.001wt%以上、好ましくは0.01wt%以上、また通常10wt%以下、好ましくは5wt%以下の範囲から選ぶことができるが、高濃度下条件では、反応速度の濃度依存性が、低濃度条件下とは異なる挙動を示し、触媒効率が悪くなる傾向にある為、経済的な観点から効率的な濃度が選択されるべきである。
【0072】
反応液中の鉄又は銅の濃度はパラジウムに対する相対濃度で記述することができる。鉄及び銅の存在量をパラジウムに対するモル比で表すと、各々通常0.01以上、好ましくは0.1以上、また、通常100以下、10以下の範囲で選ぶことができる。鉄又は銅のイオン濃度がこれらの範囲よりも低い領域では、反応速度の低下ばかりでなく、主たる効果であるPd析出の抑制効果が小さくなる傾向があり好ましくない。また多く添加すると反応そのものは阻害しないが、反応系への溶解量が低くなる傾向があるため好ましくない。
【0073】
酸化工程においては、反応系中にハロゲンイオン、特にはClイオン又はBrイオンを存在させることが好ましい。ここで「イオン」とは、反応系中において、解離したイオンの形態であってもよいし、解離せずに塩の形態であってもよい。ハロゲンイオンを存在させる方法としては、触媒として用いるパラジウム、銅、鉄から選ばれる少なくとも一種の原料化合物として塩化物や臭化物等のハロゲン塩を用いることが望ましい。また、これとは別に反応系中にハロゲン化合物を添加することもできる。ハロゲン化合物としては、NaCl、LiCl、SnCl等の無機塩を用いることができる。これらのハロゲンイオンの反応系中の存在量はPdに対する相対濃度で記述することができる。即ち、0.1<[Cl及び/又はBr]/[Pd]<100(モル比)の範囲が好ましく、より好ましくは0.3<[Cl及び/又はBr]/[Pd]<50であるが、ハロゲン濃度が高い条件においては、反応器中の水の濃度は低いが、反応器材質の腐食の懸念があるので、ハロゲンイオン濃度は、なるべく低くして触媒系が機能する様に選択しなければならない。また副生成物の一部には、触媒系由来のハロゲンを含む成分が存在する場合がある。その場合は、連続的或いは定期的に消費されたハロゲンを、例えば金属塩の形で補給する方が良い。
【0074】
(溶媒)
本発明では、酸化工程で用いるアルコール類及び目的生成物である1,3−ジオール等の多価アルコールと相分離する溶媒を用いる。この溶媒は酸化反応系に存在させても酸化反応後に添加してもよいが、酸化反応系に存在させるのが好ましい。
【0075】
本発明において、酸化工程で用いるアルコール類と相分離するとは、必ずしも酸化工程の反応中に相分離する必要はなく、酸化反応後の分離時に相分離していればよい。具体的には通常常温、好ましくは40℃、より好ましくは80℃で相分離していればよい。
【0076】
溶媒に望まれる性質は次の通りである。
【0077】
1) 酸化、加水分解・還元反応を通して、その溶媒が変質しない、もしくは酸化工程段階で変化しても後工程で元にもどること;
2) アルコールと2層を形成する際に、酸化工程での生成物が溶媒に分配されること;
3) 加水分解・還元後の不純物を1,3−ジオール等の多価アルコールからよく抽出できること。
【0078】
そして、本工程で用いる溶媒は、加水分解・還元工程終了後まで各反応系に存在する。
【0079】
上記のような性質を単独で有する溶媒でも、また、溶媒を混合することによりこれらの望ましい性質を形成することでも構わない。
【0080】
好適な溶媒としては、炭化水素溶媒、さらに好ましくは、飽和炭化水素溶媒、及びハロゲン化炭化水素溶媒が例示される。これらの溶媒は、環状であっても、鎖状であっても構わない。具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどのC以上C10以下の鎖状飽和炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどのC以上C10以下の環状飽和炭化水素、ヘキサメチルベンゼン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン等のC以上C12以下の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、1,8−ジクロロオクタン、1,10−ジクロロデカン、1−クロロデカン、1−クロロドデカン、1−クロロテトラデカン、1−クロロヘキサデカン1−クロロオクタデカン、1,1−ジクロロウンデカン、パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロベンゼン、フロン類等のC以上C20以下のハロゲン化炭化水素が挙げられる。また、これらは他の官能基をもっていても構わない。例えば、エーテル結合をもったジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、1,1ジクロロブチルエチルエーテル、パーフルオロジオクチルエーテルなどが例示される。
【0081】
もちろん、これらの溶媒の数種の混合物でも構わないし、また他の官能基をもつ溶媒にこれらの溶媒を添加したものであっても構わない。
【0082】
炭化水素溶媒は、一般にアルコール類と相分離するものが多く、生成物の多価アルコールとの分離という点では優れる。また、ハロゲン化炭化水素は、アルコール層からの酸化工程の生成物の抽出という点で優れた溶媒が多い。また、難燃性であるため、酸化反応の溶媒として安全に使用できる。炭化水素、特にフッ素で置換された炭化水素は一般に酸素の溶解度が高く、この点で酸化反応に適している。従って、これらの溶媒を組み合わせることにより、より適した混合溶媒を使用することができる。溶媒の選択、混合率は、原料であるα,β−不飽和カルボニル化合物により異なり、それぞれに適した溶媒が選択されるべきである。また、アルコールと相分離しやすくため、金属塩などをアルコールに溶解させてもよい。
【0083】
(溶媒量)
溶媒の添加量に特に制限はないが、アルコール及び原料の合計に対して0.05以上が好ましく、さらに好ましくは0.1以上の重量比であり、100以下の重量比が好ましく、さらに好ましくは25以下の重量比である。
【0084】
<酸化工程で溶媒を使用する利点>
酸化工程で溶媒を用いることによる利点を以下説明する。
【0085】
(1)生成物の抽出率の向上(触媒と反応生成物との分離)
酸化工程ではアルコールと相分離し、かつ触媒を溶解しない溶媒を用いる。酸化工程では通常均一系触媒が採用されるが、反応後、生成物と触媒とを分離するためには、溶媒の存在下反応を行い、反応後、反応生成物を含む溶媒層と触媒を含むアルコール層と相分離する。また、反応後、溶媒を用いて液液抽出して生成物と触媒とを分離することもできる。
【0086】
(2)副反応の抑制
原料のα,β−カルボニル化合物としてアクロレイン誘導体やアクリル酸誘導体を用いた場合は、触媒として塩化物などの塩を用いると、系中が酸性のため、目的反応の他に、原料の2重結合部分にアルコールが付加してエーテル結合した副生物を生じることがあり、アルコール以外に溶媒を添加すると、相対的なアルコール類の濃度を下げるなどの理由から、この副反応を抑制するのに効果的である。
【0087】
(3)除熱
上記酸化工程は、発熱反応であるため、工業的安全生産の為には、その除熱を行うことが望ましい。この除熱を行うには、酸化工程に溶媒を存在させ、溶媒の添加による基質の相対濃度低下、除熱効果が有効である。
【0088】
以上の点から、前述の触媒と生成物の分離のための溶媒は、酸化工程の反応系中に存在させておくことが好ましい。溶媒と相分離後の触媒を溶解したアルコール溶液は、再び酸化反応器に供給される。この溶媒に求められる性質は、アルコールをなるべく溶解せずに、生成物を溶解するものである。
【0089】
前述の生成物の抽出率の向上、副生物の抑制効果、除熱効果、生成物の抽出率の向上、いずれをとっても、溶媒の性質だけではなく、その添加量にも依存し、添加量が多ければ多いほど、その効果が発揮される。ただし、大量の溶媒の使用は、反応器の肥大を招くだけでなく、酸化生成物群の溶媒から取り出しの際のコストアップにつながる。
【0090】
本発明では、酸化工程での酸化生成物は溶媒中に移行(抽出)され、この溶液がそのまま、又は溶媒の一部のみが分離除去され、又は溶媒が追加的に足された後、加水分解・還元工程に供給される。このように、酸化生成物抽出のための溶媒を加水分解・還元工程でも利用するので、多量の溶媒を酸化工程で用いてもコストアップ増大を回避できるだけでなく、目的生成物からの不純物除去についても大きな効果がある。例えば、目的とする多価アルコールが1,3−プロパンジオールである場合、酸化法を用いて製造した1,3−プロパンジオールには微量成分として、種々のカルボニル基(アセタール、ケタールを含む)が含まれることがあり、これらは1,3−プロパンジオールから合成されるポリエステルの着色の原因になることが知られている。特に、これらの不純物の中でも3−ヒドロキシ−1,3−ジオキサンは製品である1,3−プロパンジオールとの蒸留による分離が困難であり、これを除去するためには、完全に加水分解・還元反応を行う必要がある。一般に500ppmのカルボニル残存量以下でなければ着色すると言われており、この程度まで反応を進行させるためには、反応条件が厳しくなり、それだけ工業生産として不利になる。
【0091】
これらカルボニル基をもつ微量不純物をよく溶かし、逆に製品である1,3−プロパンジオールを溶解しにくい溶媒を使用すれば、加水分解・還元反応後、層分離した際に、不純物は溶媒側へ取り込まれ、1,3−プロパンジオールの純度が向上する。溶媒に取り込まれた不純物は、溶媒とともに反応器に戻るが、これらは再び、酸化、加水分解・還元などの反応をへて、1,3−プロパンジオールへ変換されるため、問題はなく、歩留まりも向上する。
【0092】
(酸化反応条件)
主としてアセタール、もしくはケタール化合物を得る第一段目の反応において、反応温度は、0℃以上であれば反応が進行することが確認できるが、本発明の反応の温度依存性は大きいので、より高温が好ましい。しかしながら爆発性混合物の形成条件を回避すること、及び、高温領域で進行しやすくなるラジカル自動酸化による副生物の増大や基質の重合反応は避けるべきことであり、これらの観点から反応温度は選択されるべきであるが、一般的には本反応は、20〜200℃の間の温度領域で行うことが好ましい。更に好ましくは40〜180℃の温度において、経済的にも有利な反応速度を得ることができる。
【0093】
酸化工程では、酸素を使用するが、酸素と有機化合物はある温度、ある圧力領域、組成領域において、爆発性混合物を作る可能性があるのでその危険性を回避することが必要である。酸素の分圧は通常0.001Mpa以上であれば反応は進行するが、酸素分圧が低いと反応速度が遅くなる傾向があり、触媒の失活が懸念されるので、温度、触媒濃度との関係で決定する必要があるが、本工程の酸素分圧は、0.01〜10MPaが好ましい。可能であれば更に酸素分圧が高い0.05〜5MPaであることが好ましいが、それは安全性、経済性の観点からより好ましい圧力が選択される。
【0094】
酸化工程の反応形式は一般的な酸化の方法に従って行うことができる。触媒の各成分が溶液状態で存在する場合は、回分反応器により特定の反応時間、オレフィン類を酸素を含むガスと接触させて酸化反応を進行させることもできるし、連続相反応器により、酸素を含むガス及びオレフィン類を連続的に供給して酸化反応を進行させることができる。一方、第一段目の反応の触媒成分が、固定化されている場合においては、前述の液相反応を使用することもできるし、固定床に触媒を充填し、液相状態として対応するオレフィン類及び酸素を供給するいわゆるトリクルベッド方式を採用することができる。
【0095】
酸素の供給には、酸素を含むガスを攪拌翼によって細かい気泡とする手法、反応器の内側に邪魔板を設け酸素ガスを細かい気泡とする手法、ノズルより高線速で系中に噴霧するといった手法により、反応溶液系への酸素の溶解に有効な手法を採用することができる。
【0096】
なお、これらの反応において、アセタール類又はケタール類が生成する際に生じる水は、アセタール類又はケタール類とアルデヒド類又はケトン類との間の平衡をアルデヒド類又はケトン類に有利にする。これら遊離のカルボニル化合物は酸化反応に対する反応性がアルコール付加体よりも高い為、逐次酸化を受けやすい。従って、系中に生成した水はなるべく系外へ除去することが好ましく、反応系中の水量として50wt%以下に維持するのが好ましく、さらに好ましくは20wt%以下に維持するのが好ましい。その手法としては、水を吸着する無水の金属塩やゼオライト等のモレキュラーシーブ等を共存させる方法、水と共沸する成分を添加して水を蒸留除去する方法、酸素を含むか又は含まないガスにより同伴留去する方法、または水と反応して反応に負の影響を与えない化合物に変換される化合物、例えば、金属アルコキシドなどを添加する方法といった手法がある。
【0097】
酸化反応後の反応液は、加圧状態にある場合には、圧力をある程度解放し、低圧化させてもよい。原料成分及び生成物の沸点が反応溶媒と大きく異なり低沸点である場合は、反応液から直接それらの低沸点成分を蒸留分離することができる。また、原料成分及び生成物の沸点が反応溶媒よりも高沸点側にある場合は、反応溶媒と二相を形成する溶媒を添加して、触媒成分を一方の相に含むように液−液の相分離を行い、触媒を殆ど含まない溶媒相から、原料を回収し、生成物を選択的に取り出すことができる。相分離した場合、生成物側に微量の触媒成分が混入した場合には、二回以上の抽出分離を行うことによって、触媒成分の残存量を無視できるレベルまで低減させることもできるし、一段目の相分離後、あるレベルの原料回収、及び生成物回収の為の蒸留操作を行い、残存触媒濃度をある程度高めてから、再度抽出を行うといった手法を採用することも可能であり、より経済的、効率的と考えられる手法が取られるべきである。相分離により分離されたアルコール層中の触媒は、酸化工程の反応器にリサイクルして使用することができる。
【0098】
また、反応器内においては、微量ながら起こる逐次酸化により水が生成する。生成した水は極力系外に除去するのが好ましいが、それでも、系中にCl等のハロゲン成分が存在していると、その反応器腐食に関わる懸念は大きい。従って、塩化水素等の腐食性の酸に対して、耐性の大きな材質を必要な箇所に使用することが必要である。
【0099】
反応圧力が余り高くない領域においては、ガラス、セラミック、フッ素樹脂等の材質を使用することができるし、反応圧力が高い場合においては、一般に耐腐食性反応容器とされるもの、即ち、各種のステンレス合金、特に通称ハステロイと呼ばれているもの、チタンを含む合金、ジルコニウムを含む合金等の容器、あるいはこれらの合金を表面に塗布、圧着した容器を使用することが好ましい。特に反応器は、腐食の可能性の高いところであるが、更に静置槽、分離槽を設ける場合には、この部位が腐食の可能性が高い。更に、生成物を含む油相の蒸留等では、触媒成分が残存している場合においては、ハロゲン成分が濃縮される可能性があり腐食の可能性が高い。これらの主たる容器、それに付属する配管は腐食の可能性の高さに応じて、経済的に許される範囲において耐腐食性の材質を使用することが好ましい。
【0100】
酸化工程の反応で得られる化合物の主成分は、オレフィン部分が酸化され、さらにアルコールと反応したアセタール、もしくは、ケタールである。具体的には、アクロレイン、または、そのアセタールである2−ビニル−1,3−ジオキサン(VDO)を原料とした場合、主生成物としてマロンアルデヒドビス(1,3−ジオキサン−2−イル)アセタール(DAC)、マロンアルデヒドモノ(1,3−ジオキサン−2−イル)アセタール(MAC)が得られる。これら主成分の他に、3−ヒドロキシプロピル 1,3−ジオキサシクロヘキシ−2−イルエタノエート(PDE)、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジオキサン(HDO)等も得られる。主成分であるアセタールはもちろんのこと、これらの化合物も、次工程の加水分解及び還元反応によりすべて、目的化合物の多価アルコールである1,3−プロパンジオールに変換することができる。
【0101】
また、この上記反応では、酸素が関与せず、アルコールが直接オレフィン部分に挿入したエーテルも若干ながら副生物として生成することがある。具体的には、アクロレイン、または、そのアセタールである2−ビニル−1,3−ジオキサン(VDO)を原料とした場合には、2−(6−ヒドロキシ−3−オキサヘキシル)−1,3−ジオキサン(HEDO)等である。また、反応系中に必須の成分として存在するアルコール類は、酸化反応に対して全く不活性ではない。アルコールが酸化を受けた化合物も観測されることがある。
【0102】
しかしながら、これらの多くの副生物は、目的生成物とともに、後の工程で加水分解及び還元を受けることにより、元のアルコール類に変換されたり、沸点の低い化合物へ分解される。一般に酸化反応において、副生物として得られる逐次酸化物は高沸点な場合が多く、蒸留による除去などを行う場合に、多大のエネルギーを消費することがしばしばあるが、本発明においては、これらの副生物は有効成分に変換されたり、分離しやすい化合物に分解させることができるため、工業的にも非常に効率的なプロセスを構築することができる。
【0103】
また一方で、長時間回分反応を繰り返す場合や、連続反応においては、触媒成分を含むアルコール相には、前述のアルコール類の酸化物やオレフィン類逐次酸化物由来の成分が蓄積していく場合もある。プロセスを安定に運転する為には、全体の物質収支を正確に制御することが必要である。従って、これらの不純物の生成速度及び、逐次酸化成分の生成速度見合いで、触媒を含むアルコール相の一部を系外に除去し、新しく触媒原料液を補給することが必要になる。この際、系外に除去された触媒成分は、除去率が大きく、経済的負担が大きい場合には、触媒成分を回収することが必要である。その方法に制限はないが、有機物の除去、洗浄、金属成分の回収といった手法が有効である。
【0104】
また、二相分離した生成物を含む有機相から分離溶剤を回収する場合にも、同様に不純物蓄積の起こる場合があり、この場合にも、分離溶剤の一部を系外に除去し、新しい分離溶剤を補給することが必要である。
【0105】
<脱保護工程>
上記工程で保護反応を行なった保護基を持つオレフィン類を酸化反応して得たアセタール及び/又はケタール化合物については、脱保護(保護基の分離反応)によりカルボニル基とする必要があるが、このとき、酸化工程で得られた溶媒と反応生成物との混合物を溶媒を除去せずにそのまま用いる。脱保護の方法は、保護工程で形成されたカルボニル基の保護基に応じて、公知の方法が用いられる。
【0106】
脱保護により、保護工程で用いた保護剤とカルボニル基とを含む化合物が得られるが、本工程で得られた保護剤は、分離回収し、そのままの形で保護剤として使用できる時には、保護工程へリサイクルすることできる。そのままの形で保護剤として使用できない場合は、しかるべき反応を経て保護剤として再生し、リサイクルすることもできる。
【0107】
脱保護工程は、保護基の種類によっては、加水分解工程より後に行うことも可能である。保護基の存在により加水分解工程が阻害されたり、加水分解工程で保護基が変質して還元工程で水酸基に変換できなくなるおそれのある場合、または、脱保護工程により酸化工程で生じたアセタール及び/又はケタールが後工程で水酸基に変換できなくなるおそれのある場合は、加水分解工程の前に行う。以上のような影響を加水分解工程に及ぼさなければ、脱保護と加水分解のどちらを先に行うことも可能である。
【0108】
また、脱保護しなくても加水分解または還元工程で保護基が水酸基に変換されるのであれば、脱保護工程を省いてもよい。具体的には、保護工程でカルボン酸をエステル化した場合、脱保護してカルボン酸に戻さなくても、エステルは還元されて水酸基に変換される。一般にエステルの還元はカルボン酸の還元よりも容易な場合が多く、このような場合は脱保護工程を省くことが好ましい。さらに、保護工程で生じた保護基がアセタール及び/又はケタールであれば、酸化工程で生じたアセタール及び/又はケタールと共に、加水分解工程でカルボニル基に変換されるので、脱保護工程と加水分解工程を同時に行うことができる。これはプロセス上、反応器等の数が減ることを意味し、建設費が削減され工業的に好ましい。なお、アセタール及び/又はケタールの脱保護については加水分解の部分で、詳しく説明する。
【0109】
<加水分解・還元工程>
本工程は、加水分解反応と還元反応を含む。以下、各反応について説明する。
【0110】
(加水分解反応)
加水分解反応は、前述の酸化工程又は脱保護工程で得られたアセタール及び/又はケタールを、加水分解し、カルボニル基に変換する反応である。
【0111】
加水分解は通常、触媒の存在下で実施され、この触媒としては、酸が有効である。この場合用いる酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸、ランタノイドトリフラート等のルイス酸、ヘテロポリ酸等のポリ酸、イオン交換樹脂、ゼオライト、粘土等の固体酸を使用することができる。生成物の分離の簡便さから固体酸が便利である。酸の添加量は、ごく少量でも有効で、特に制限はないが、前述の酸化工程又は脱保護工程で得られたアセタール及び/又はケタールに対して好ましくは0.001重量比以上、更には0.01重量比以上であり、また、好ましくは100重量比以下、さらには70重量比以下、特には60重量比以下である。
【0112】
加水分解に用いる水の量は、通常アセタール及び/又はケタールを分解するのに必要な化学量論量以上である。しかし、アセタール及び/又はケタールが加水分解されると、アルデヒド及び/又はケトンが生成し、この反応は平衡反応である。従って、平衡反応を押し切るためには大量も水を必要とする。このような大量の水の添加は、生成物からの水の除去のコストを増大させるという問題があり、その量は経済性の観点から議論されるべきである。具体的には、反応系中の水の存在量は、反応容積全体に対して、通常1vol%以上、好ましくは5vol%以上であり、また、通常99vol%以下、好ましくは80vol%以下の範囲内である。原料、即ち前述の酸化工程又は脱保護工程で得られたアセタール及び/又はケタール(以下、「基質」と称す場合がある。)と水の反応初期における反応系中のモル比は、特に限定されるものではないが、1/1〜1/100の範囲であればよい。上記の範囲内でも1/1〜1/95が好ましく、1/1.2〜1/90の範囲が特に好ましい。また、加水分解により生じるアルコールもしくはカルボニル化合物が水よりも沸点が低い場合は、これらを留去しながら反応させると平衡をずらすことができ、使用する水の量が少なくなる点で有利である。
【0113】
酸化工程で用いた溶媒が、本工程の生成物であるカルボニル化合物が可溶な溶媒であると、反応時に溶媒でカルボニル化合物を抽出し系外に出せるため、平衡がずれて同じような効果が得られる。
【0114】
加水分解の反応温度としては、0℃以上であれば反応が進行することが確認できるが、本発明は反応の温度依存性が大きいので、より高温が好ましい。一般的には加水分解反応は、20〜200℃の間の温度領域で行うことが好ましい。更に好ましくは40〜180℃の温度において、経済的にも有利な反応速度を得ることができる。
【0115】
加水分解反応の反応形式は、一般的な方法によって行うことができる。触媒の各成分が溶液状態で存在する場合は、回分反応器を用いて、特定の反応時間、基質を水と接触させて反応を進行させることもできる。また、連続相反応器を用いて、水及び基質を連続的に供給して反応を進行させることができる。一方、触媒成分が固定化されている場合においては、前述の液相反応を使用することもできるし、固定床に触媒を充填し、液相状態として対応する基質、水を供給するいわゆるトリクルベッド方式を採用することができる。
【0116】
加水分解反応では、酸化工程で使用したアルコールが生成するため、これを回収し、酸化工程の反応器にリサイクルすることもできる。また、保護工程で保護基としてアセタール類、ケタール類を用い、脱保護工程を省略した場合は、保護工程でアルデヒド、ケトンからアセタール類、ケタール類を合成する際に使用されたアルコールも回収される。このアルコールは、保護工程の工程のアセタール、ケタールから合成する反応器にリサイクルすることができる。
【0117】
酸化工程で使用されるアルコールと保護工程でアセタール類、ケタール類の合成に用いたアルコールが同一の場合は、これらのアルコールを分離する必要がなく、必要な割合に応じて、保護工程の反応器、及び、酸化工程の反応器にリサイクルすることができる。
【0118】
上記の2種のアルコールと目的生成物である多価アルコールが全て同一、もしくはどちらかが同じ場合には、アルコール同士の分離が必要ないか分離すべき種類が減り、精製の簡略化につながるため、工業的に有利なプロセスとなる。
【0119】
加水分解反応後の反応液は、加圧状態にある場合には、圧力をある程度解放し、低圧化させてもよい。触媒成分、水及び副成物から目的生成物の分離は、一般の操作方法、例えば、蒸留分離、抽出分離、晶析分離、沈降分離、濾別分離などを用いることができる。
【0120】
また、分離によって生じた副成物、もしくは副成物を含む目的生成物を再び反応器に戻すこともできる。例えば蒸留分離した際の目的化合物より高沸点の副成物は、再び加水分解することにより、分解等を受け、一部はカルボニル化合物やアルコール類になることがあり、生成物全体の転化率、アルコールの回収率を向上させる。
【0121】
(還元反応)
還元反応は、加水分解反応で得られたカルボニル化合物を還元し、多価アルコールに変換する反応である。
【0122】
還元反応に使用する還元剤としては、カルボニル基の還元剤として公知のもの、市販のもの等多くが知られているが、それらの中から任意に選ぶことができる。前述したように加水分解の工程とそれに続く還元の工程を同一反応器内で同時に行うことが望ましいので、酸、及び水に対して、還元能が阻害されない還元剤が望ましい。その経済性、分離の容易さ等から水素を還元剤とする接触還元がさらに望ましい。
【0123】
水素を還元剤として用いる場合には、水素の分圧は0.001MPa以上であれば反応は進行するが、水素分圧が低いと反応速度が遅くなり、触媒が失活するといったことが懸念されるので、温度、触媒濃度との関係で決定しなければならない。通常は、水素分圧は0.01MPa以上、好ましくは0.05MPa以上、さらに好ましくは0.1MPa以上であり、また、通常50MPa以下、好ましくは20MPa以下、更に好ましくは10MPa以下が特に好ましい。
【0124】
接触還元の触媒としては、ラネーニッケル、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウムなどの貴金属、及びそれらをカーボン、シリカ、ゼオライト等の担体に担持したもの等、公知のもの、市販のもの等が多く知られているが、それらの中から任意に選ぶことができる。特にルテニウムを主成分とした触媒が副反応が少なく好ましい。これら触媒の量は、ごく少量でも有効で、特に制限はないが、基質に対して0.0001〜100重量比が好ましく、さらに好ましくは0.001〜70重量比、特に好ましくは、0.01〜50重量比である。
【0125】
還元反応において、反応温度は、0℃以上であれば反応が進行することが確認でき、また室温付近においても工業的に十分な反応速度が得られる。さらにより高温で、高い反応性が得られるが、高温領域で進行しやすくなるアルデヒド、アセタール、ケトン、ケタール、アルコールの水素化分解による副生物の増大は避けるべきことであり、これらの観点から反応温度は選択されるべきである。一般的には還元反応は、10〜200℃の間の温度領域で行うことが好ましい。更に好ましくは25〜180℃の温度において、経済的にも有為な反応速度を得はることができる。
【0126】
還元工程の反応形式は、一般的な方法によって行うことができる。触媒の各成分が溶液状態で存在する場合は、回分反応器により特定の反応時間、基質即ち加水分解工程で得られたカルボニル化合物を水及び水素を含むガスと接触させて反応を進行させることもできるし、連続相反応器により、水、水素を含むガス及び基質を連続的に供給して反応を進行させることができる。一方、本発明の触媒成分が、固定化されている場合においては、前述の液相反応を使用することもできるし、固定床に触媒を充填し、液相状態として対応する基質、水、及び水素を供給するいわゆるトリクルベッド方式を採用することができる。
【0127】
還元反応後の反応液は、加圧状態にある場合には、圧力をある程度解放し、低圧化させてもよい。触媒成分、水及び副成物から目的生成物の分離は、一般の操作方法、例えば、蒸留分離、抽出分離、晶析分離、沈降分離、濾別分離などを用いることができる。ポリエステルの原料として使用される多価アルコールの中には、不純物としてたびたびカルボニル化合物の存在が問題となることがあり、これらを簡便な蒸留等の操作で除去しきれない場合は、前述の操作を組み合わせた最適な精製方法が採られる。また、それらが難しい場合には、さらなる高圧、高温での還元で生成物中のカルボニル化合物の濃度を下げる精製を行う。
【0128】
また、分離によって生じた副成物、もしくは副成物を含む多価アルコールを再び反応器に戻すこともできる。蒸留分離した際の目的多価アルコールより高沸点の副成物は、再び加水分解、水素添加することにより、分解等を受け、一部は目的多価アルコールに、また、より低沸点の副成物になることがあり、生成物全体の沸点平均が下がるため、蒸留に必要とするエネルギーコストが低くてすむ。
【0129】
(加水分解反応と還元工程との関係)
本発明においては、加水分解工程及び還元工程をそれぞれ別の反応器で行う方法や、同一容器内で水を添加して加水分解を行った後、還元剤を導入して還元を行う方法を採用することもできるが、水及び還元剤の存在下、加水分解反応とそれに続く還元反応を同一反応器内で同時進行的に行うことが望ましく、通常は同一反応器内で同時進行的に行う。なぜなら、アセタール及び/又はケタールが加水分解されると、アルデヒド及び/又はケトンが生成するが、この反応は平衡反応であり、平衡反応を押し切るためには大量の水を必要とするためである。
【0130】
このような大量の水の添加は、生成物からの水の除去のコストを増大させるという問題がある。しかし、加水分解とそれに続く還元を同一反応器内で同時進行的に行うことにより、加水分解され生じたアルデヒド及び/又はケトンがすぐに還元されてアルコールになるため、平衡の束縛から逃れて平衡が生成系へ偏るので、添加する水の量を少量にすることが可能となる。この場合、加水分解に用いる水の量は、基質を加水分解するのに必要な化学量論量を添加すればよい。もちろん、過剰に用いても構わない。
【0131】
本発明では、前述の酸化工程後の生成物と触媒の分離に、アルコールと相分離する溶媒を用いるため、溶媒に生成物が溶解している状態で得られ、この生成物が溶媒に溶解している状態で、水、水素と接触させて加水分解・還元を行う。この場合、脱保護により生じるアルコールは、酸化工程で使用したアルコールであるので、溶媒と相分離する。また、保護基としてアセタール、及び/又はケタールを採用した場合には、加水分解によりアルコールが生じ、また目的生成物も多価アルコールであるため、同時に溶媒と相分離する。酸化反応後、溶媒に生成物が溶解している状態から、溶媒を留去する、若しくは生成物を蒸留等の方法で取り出した後、脱保護、加水分解、還元することに比べ、還元後、生成物等を相分離する方法は、簡便で、コスト的に有利である。また、この方法であれば未反応のカルボニル化合物と目的物である多価アルコールとの分離が容易で、多価アルコールの純度を高める効果もある。
【0132】
加水分解工程と還元工程とを同時に行う、好ましい態様について説明する。
【0133】
加水分解反応に使用する触媒、還元反応に使用する還元剤、還元に使用する触媒、及び添加する溶媒いずれも、酸、及び水、水素により変質を受けたり、その触媒能が阻害されないものが望ましい。また、その場合は、以上述べてきた加水分解の触媒と、接触還元の触媒を別々の触媒として、またはそれらの物理混合物として加えてもよいが、例えば、ゼオライト等の固体酸を担体として接触還元能を持つ貴金属をそれに担持させたような、お互いが化学的結合を有する二元性を持った一種類の触媒として加えてもよい。また、Pt、Ru、Pd等を含む金属触媒の中には、水素存在下で、酸としても、水素添加触媒としても働くものが知られており、このような触媒を用いることにより、単一の触媒で加水分解及び還元反応を行うことができる。
【0134】
反応形式としては、回分反応器により特定の反応時間、基質を水及び水素を含むガスと接触させて反応を進行させることもできるし、連続相反応器により、水、水素を含むガス及び基質を連続的に供給して反応を進行させることができる。一方、触媒成分が固定化されている場合においては、前述の液相反応を使用することもできるし、固定床に触媒を充填し、液相状態として対応する基質、水、及び水素を供給するいわゆるトリクルベッド方式を採用することができる。
【0135】
保護工程で保護基としてアセタール類、ケタール類を用いた場合、保護工程で加水分解および還元反応を同時進行的に行うと、脱保護反応も行われ、アセタール類、ケタール類をアルデヒド、ケトンから合成する際に使用されたアルコール、酸化工程で使用したアルコール、さらに本発明の目的化合物であるアルコールを生じる。この3種が異なる場合は分離し、それぞれの工程にリサイクルすることができるし、すべて同一、もしくは、どちらかが同じ場合は、アルコール同士の分離が必要ないか、分離すべき種類が減り、精製の簡略化につながり、工業的に有利なプロセスとなる。
【0136】
具体的には例えば原料としてアクロレインを用い、保護工程で保護剤として1,3−プロパンジオールを用い、酸化工程でアルコールとして1,3−プロパンジオールを用いた場合は、脱保護工程、加水分解工程、還元工程を同じ反応器で並行して行うことにより、すべて1,3−プロパンジオールとなり、アルコール類を分離する必要がない。
【0137】
以上、本発明の反応系の基本となる構成要素について述べたが、これらの構成要素は効率的なオレフィン類の酸化反応及び加水分解、還元反応に好適な条件であり、これらに加えて更に、各反応工程について、別の成分を加えて活性及び反応性を上げることも可能である。即ち、酸化反応の促進効果のある添加剤、例えば、銅化合物、アルカリ、アルカリ土類金属及び希土類等の化合物の添加、ラジカルトラップ剤による副反応の抑制、溶液中の溶存酸素濃度を上げる為の溶媒の使用、超臨界流体の使用、機械的な攪拌強度のアップ、活性成分を固定化して、触媒成分の分散性を向上させるといった手法であっても、上述した本発明の触媒成分を含む限りにおいては本発明の枠内にある。
【0138】
本発明においては、オレフィン類として、アクロレイン、及びそのアセタール、中でも2−ビニル−1,3−ジオキサンを基質として用い、1,3−プロパンジオールを生産するプロセスは、生成物がポリエステルの原料として有用なことから、工業的に特に有用なプロセスである。1,3プロパンジオールからのポリエステルの製造は、WO 9823662, WO 9815559等記載の一般的な製造方法を用いることができる。
【0139】
【実施例】
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0140】
(実施例1)
NaPdCl0.1mmol,CuCl0.1mmol,FeCl0.1mmolを1gの1,3−プロパンジオールに完全に溶解させた溶液にオレフィン類として2−ビニル−1,3−ジオキサン9.5mmol、溶媒としてジクロロエタン8g及びシクロヘキサン2gを加えた。
【0141】
これをフッ素樹脂製内筒及び攪拌子付のステンレス製耐圧容器に入れ、中を酸素置換した後、酸素圧力を0.7MPaにした。80℃のウオーターバスに入れ、攪拌した。この際、消費された酸素分の圧を補給し、圧が一定になるようにした。撹拌を開始してから23分後、撹拌しながら氷浴にて急冷した。
【0142】
反応混合物をガスクロマトグラフィーにより分析した。2−ビニル−1,3−ジオキサンの転化率は85.6%であり、マロノアルデヒドビス1,3−プロパンジオールアセタール4.88mmol、マロノアルデヒドモノ−1,3−プロパンジオールアセタール0.289mmol、2−(2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン1.42mmol等を得た。
【0143】
反応後、触媒を溶解した主として1,3−プロパンジオール層と、ジクロロエタン及びシクロヘキサンを主とする層とを相分離により分離し、後者の触媒を含まない層に加水分解・還元用の触媒として5%Ru/C(ルテニウムをカーボンに5重量%担持させたもの)0.5g、水2.5gを加え、耐圧容器に入れた。
【0144】
これを水素置換後、水素圧を0.9MPaにした後、100℃のオイルバスに入れ、水素が消費されなくなり圧の減少が見られなくなるまで撹拌することにより加水分解反応と還元反応を行った。
【0145】
反応後、生じた1,3−プロパンジオールを主とする層と、ジクロロエタン、シクロヘキサンを主とする層とを相分離により分離した。ガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,3−プロパンジオール6.2mmolが生成していた。
【0146】
【発明の効果】
以上の通り、本発明は、酸化工程の酸化生成物を溶媒と全く又はそれほど分離することなく、加水分解・還元工程に供し、その後層分離により製品である多価アルコールを得るようにしたものであり、酸化反応時の選択性向上による歩留まりの向上、希釈除熱に効果による運転のしやすさ、酸化工程後の溶媒留去の蒸留塔建設費を含むコストの削減、加水分解・還元工程後の不純物の除去を不要化できる等、経済的に優れた点を有する。

Claims (5)

  1. 同一分子内にカルボニル基及び/又はその保護基とエチレン性二重結合とを有するオレフィン類を酸素及びアルコール類と反応させて酸化生成物を生成させる酸化工程と、
    この酸化生成物を加水分解及び還元反応させて多価アルコールを生成させる加水分解・還元工程と、
    を有し、該酸化生成物を該酸化工程の途中で又は後で溶媒により抽出し、この抽出液を加水分解・還元工程に供給する多価アルコールの製造方法であって、
    該溶媒が、前記酸化工程のアルコール類及び前記加水分解・還元工程で製造された多価アルコールのいずれとも相分離する溶媒であり、
    該抽出液をそのまま、もしくは溶媒の一部のみを分離した後、もしくは溶媒を添加した後、該加水分解・還元工程に供給することを特徴とする多価アルコールの製造方法。
  2. 請求項1において、前記溶媒が、炭化水素であることを特徴とする多価アルコールの製造方法。
  3. 請求項2において、炭化水素がハロゲン化炭化水素及び/又は飽和炭化水素であることを特徴とする多価アルコールの製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、該酸化工程に前記溶媒を存在させることにより、該酸化生成物の抽出を酸化工程において行うことを特徴とする多価アルコールの製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、多価アルコールが1,3ジオール類であることを特徴とする多価アルコールの製造方法。
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