ジャーナリスト・島沢優子さん連載「子育てアップデート~子どもを伸ばす親の条件」。子どもを伸ばす親、と書いてはあるが、子どものそばにいる大人すべてに当てはまることは多い。指導者と言われる人はいわずもがなだ。
イビチャ・オシム氏は日本のみならず、様々な国のサッカーチームを強豪に押し上げた。そんな名将の心のうちはどんなものだったのか。そして家族はどのように見ていたのか。来日したアシマ夫人に話を聞いた。
自由を生かしたほうがいいスポーツもある
昨年5月1日に亡くなったイビチャ・オシム元サッカー日本代表監督のモニュメントが蘇我スポーツ公園(千葉市)内に設置され、6月24日に除幕式が行われた。父のあとにジェフユナイテッド市原(現ジェフユナイテッド千葉)監督を務めた長男アマルさんとともに出席した夫人の、ウイットに富む「アシマの言葉」をお届けする。
拙書『オシムの遺産 彼らに授けたもうひとつの言葉』にも書いたが、オシムさんは日本の教育や育成環境を非常に深く理解していた。これは、日々オシムさんを支えた当時ジェフ市原でGM(ジェネラルマネージャー)を務めた祖母井秀隆さんによるところが大きい。そして、間接的ではあるがアシマさんも貢献している。
――アシマさんは当時、小学生だった祖母井さんの息子さんの授業参観に行ったり、息子さんが習っていた剣道の練習も見学したと聞きます。そこで、アシマさんを見つけた祖母井さんの息子さんが手を振ったら、指導者が「ちゃんと集中しなさい」と注意されてしまった。日本の教育や子どもたちのありようについて、オシムさんに見たことを伝えたり、話し合うこともあったのですか?
アシマさん(以下、アシマ) (指導者は)そんなに悪い感じはしませんでしたが、そのことは憶えています。剣道という競技自体が珍しかったです。そのことは夫にも話しましたね。彼は「(日本の教育現場には)選択の余地がないというか、自由がないというか、守らなきゃいけない規則がたくさんある。特に規律を守らせることは、日本の教育の特徴だというふうに話をしていました。
――もっと自由にやらせてあげれば良いのではと、アシマさんも思いますか?
アシマ スポーツの種類にもよるかもしれません。自由をもっと生かして自分の選択や幅を広げたほうが良くなるスポーツと、規律を守らなきゃいけない種類のスポーツと。二つあると思います。
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島沢 優子
ジャーナリスト。筑波大卒。著書に『不登校から人生を拓く 4000組の親子に寄り添った相談員・池添素の「信じ抜く力」』 (講談社+α新書)『叱らない時代の指導術 主体性を伸ばすスポーツ現場の実践』(NHK出版新書)『オシムの遺産 彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『部活があぶない』(講談社現代新書)など。子育てやスポーツ指導に関する講演やセミナーも多い。