ジャーナリストの島沢優子さんは、長くスポーツの現場や教育の現場を取材してきた。
その中で多くの素晴らしい「指導者たち」と出会い、多くの著書をプロデュースしたり、記事を執筆したりしている。サッカーのスペインリーグ・ビジャレアルの佐伯夕利子さん、ラグビー日本代表を支えたメンタルコーチの荒木香織さん、ジュニアサッカーのコーチをつとめる池上正さん、堀米優斗選手はじめスケートボード日本代表の早川大輔コーチ……。ではそんな島沢さんは、WBCで侍ジャパンを率いた栗山英樹監督をどのように見たのだろうか。
14年ぶり世界一を果たした栗山監督の存在
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、日本代表は米国代表を3-2で下し14年ぶりの優勝を遂げた。準決勝はそれまで打てなかった村上宗隆がサヨナラヒット。決勝の米国戦は大会初ホームランを打った。最後はダルビッシュ有から大谷翔平へと夢のような投手リレーで逃げ切り、相手監督から「まるで優勝までの台本があったようだ」とまで形容される劇的勝利を挙げた。
大会ひと月前に合宿スタート。大谷翔平らは開幕目前の合流だったにかかわらず、急仕上げとは思えないチームワークと団結力が印象的だった。この史上最強と言われたスター軍団を、どう束ねたのか。栗山英樹監督のリーダーシップを分析してみた。
23日夜のテレビ朝日系列「報道ステーション」に出演。その際、決勝の米国戦で8、9回とそれぞれマウンドに上がったダルビッシュと大谷の起用について「自分はずっと待っていました」。監督が命じた登板ではなかったことを明かした。
ダルビッシュには「いけるなら言ってきてくれ」と伝えており、決勝のスタジアム入り後にコーチを通じて、いけるという返事がきた。大谷については「こうしようよ、っていうと、どっちかというとあまのじゃく系なんで。一切言わない。ずっと待っていました」と経緯を話した。
選手を待てるのは信じているからだ。その「信じる力」を「人間力」と解釈する向きもあるが、私は少し違う見方をしている。待つ力も、信じる力も、スポーツ心理学でいえばリーダーシップの「スキル」だと考えられる。
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島沢 優子
ジャーナリスト。筑波大卒。著書に『不登校から人生を拓く 4000組の親子に寄り添った相談員・池添素の「信じ抜く力」』 (講談社+α新書)『叱らない時代の指導術 主体性を伸ばすスポーツ現場の実践』(NHK出版新書)『オシムの遺産 彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『部活があぶない』(講談社現代新書)など。子育てやスポーツ指導に関する講演やセミナーも多い。