WO2026005056A1 - 活性エネルギー線硬化型組成物 - Google Patents
活性エネルギー線硬化型組成物Info
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Abstract
コーティングに防錆性能を付与できる活性エネルギー線硬化型組成物を提供する。この目的のため、活性エネルギー線硬化型組成物は、(成分A)2個以上のエチレン性不飽和基を備える1種又は2種以上の化合物、(成分B)少なくとも1個の芳香族環及び1個のエチレン性不飽和基を備える1種又は2種以上の化合物、及び(成分C)エチレン性不飽和基を備える及び/又は備えない1種又は2種以上の金属塩、を含めるようにする。
Description
本明細書は、活性エネルギー線硬化型組成物に関する。
(関連出願の相互参照)
本願は、2024年6月28日に出願された日本国出願である特願2024-105696に基づく優先権の利益を主張する出願であり、ここに、本明細書の一部を構成するものとしてその日本国出願に記載された全ての内容を援用するものである。
本願は、2024年6月28日に出願された日本国出願である特願2024-105696に基づく優先権の利益を主張する出願であり、ここに、本明細書の一部を構成するものとしてその日本国出願に記載された全ての内容を援用するものである。
紫外線などの活性エネルギー線で硬化する、活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物が知られている(特許文献1~5)。かかるコーティング剤組成物は、短時間で硬化反応が完了する。また、無溶剤型の場合には、溶剤乾燥が不要である。このため、コーティング製品の高い生産性に貢献する点において着目されている。また、コーティング膜が高硬度であることなどから、プラスチック製品のハードコーティングや防錆コーティングにおいて有用であるとされている。
防錆用のコーティング剤組成物としては、酸捕捉剤としてカルボジイミド化合物やベンゾトリアゾール系防錆剤を含んでいる(特に、特許文献4、5)。
近年、こうしたエネルギー線硬化型コーティング剤組成物によるコーティングには、防水性能のほか、金属に対する特殊な防錆性能が要求されるようになってきている。例えば、車載用途などにおいて、高温高湿条件でしかも強酸性の腐食性物質が存在する環境下における防錆性能が挙げられる。なかでも、二次電池の電解液に含まれるLiPF6などのリチウム塩の不純物でもあり加水分解物でもあるフッ化水素は、極めて腐食性が高い。本発明者らによれば、フッ化水素の存在下では、従来の防錆コーティング剤組成物では、発錆の抑制が困難であることがわかった。
本明細書は、コーティングに高度な防錆性能を付与できる活性エネルギー線硬化型組成物を提供する。
本発明者らは、フッ化水素などの高腐食性物質の存在下でも、防錆性能を発揮させるためのコーティングの特性について鋭意検討した。その結果、コーティングにおける耐水性と耐酸性とを両立させることができる組成を見出した。また、この組成によれば、フッ化水素のような高腐食性物質が存在する高腐食環境下でも、優れた防錆性能を発揮できるという知見を得た。本明細書によれば、以下の手段が提供される。
[1]活性エネルギー線硬化型組成物であって、
(成分A)2個以上のエチレン性不飽和基を備える1種又は2種以上の化合物、
(成分B)少なくとも1個の芳香族環及び1個のエチレン性不飽和基を備える1種又は2種以上の化合物、及び
(成分C)エチレン性不飽和基を備える及び/又は備えない1種又は2種以上の金属塩、
を含み、
前記成分Aは、(メタ)アクリロイル基を3個以上備える(メタ)アクリレート(ただし、ウレタン(メタ)アクリレートを除く。)を含み、前記(メタ)アクリレートを、前記活性エネルギー線硬化型組成物における硬化性成分の総質量の65質量%以上80質量%以下含有し、
前記成分Bを前記活性エネルギー線硬化型組成物における硬化性成分の総質量の15質量%以上30質量%以下含有し、
前記成分Cを前記活性エネルギー線硬化型組成物の総質量の7.5質量%以上15質量%以下含有する、活性エネルギー線硬化型組成物。
[2]前記(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を3個備える(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリロイル基を5個以上6個以下備える前記化合物とを含む、[1]に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[3](メタ)アクリロイル基を3個備える前記(メタ)アクリレート、及び、(メタ)アクリロイル基を5個以上6個以下備える前記(メタ)アクリレートは、それぞれ、グリセリントリアクリレート、及び、ジペンタエリスリトールのペンタアクリレート及びヘキサアクリレートを含む[2]に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[4]前記成分Bは、1個の芳香族環と1個の(メタ)アクリロイル基とを備える(メタ)アクリレートを含む、[1]~[3]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[5]1個の芳香族環と(メタ)アクリロイル基とを備える前記(メタ)アクリレートは、ベンジル(メタ)アクリレートである、[4]に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[6]前記成分Cは、(メタ)アクリロイル基を含有するアルカリ土類金属の塩を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[7](メタ)アクリロイル基を含有する前記アルカリ土類金属の塩は、メタクリル酸カルシウムである、[6]に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[8]前記活性エネルギー線硬化型組成物は、以下に示す方法:
前記活性エネルギー線硬化型組成物の50mm×50mm×2mmの硬化物を、50℃で1時間乾燥し、23±2℃、50±5%R.H.で24時間静置したのち、60℃の水に24時間浸漬し、浸漬前後の硬化物質量を測定する方法で、測定したとき、
以下の式で算出される温水吸水率が1.6質量%未満である、[1]~[7]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
温水吸水率(%)=
(浸漬後の硬化物質量-浸漬前の硬化物質量)/浸漬前の硬化物質量×100
[9]前記活性エネルギー線硬化型組成物は、以下に示す方法:
SS400鋼板テストピース上に、電解液(Sigma Aldrich製、「Lithium hexafluorophosphate(LiPF6) solution」)を1cm2あたり0.01g塗布した後、電解液の上から、前記活性エネルギー線硬化型組成物をバーコーターで塗布し、LED光源を用いて365nmの紫外線を照射(紫外線強度を250mW/cm2、積算光量を1000mJ/cm2)して硬化させて得た膜厚10μmの硬化物を、60℃、90%RHの条件下で72時間放置し、電解液を塗布した箇所の発錆を確認する方法、
で確認したとき、発錆面積が電解液を塗布した面積全体の10%未満である、[1]~[8]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[10]活性エネルギー線硬化型組成物であって、
(成分A)2個以上のエチレン性不飽和基を備える1種又は2種以上の化合物、
(成分B)少なくとも1個の芳香族環及び1個のエチレン性不飽和基を備える1種又は2種以上の化合物、及び
(成分C)エチレン性不飽和基を備える及び/又は備えない1種又は2種以上の金属塩、
を含み、
以下の式(1)で表される、架橋密度(mol/kg)が7.3以上である、活性エネルギー線硬化型組成物。
ただし、式(1)中、wiは、前記活性エネルギー線硬化型組成物中における成分i(ただし、成分iは、硬化性成分を表し、1≦i≦nであり、nは、2以上の整数である。)の質量分率、Mciは、成分iの架橋点間分子量(kg/mol)を表す。
[11]前記成分Aは、前記エチレン性不飽和基を3個以上備える前記化合物を含む、[10]に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[12]前記活性エネルギー線硬化型組成物は、前記活性エネルギー線硬化型組成物における硬化性成分の総質量の65質量%以上80質量%以下の前記成分Aを含有する、[10]又は[11]に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[13]前記活性エネルギー線硬化型組成物は、前記活性エネルギー線硬化型組成物における硬化性成分の総質量の15質量%以上30質量%以下の前記成分Bを含有する、[10]~[12]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[14]前記活性エネルギー線硬化型組成物は、前記活性エネルギー線硬化型組成物の総質量の7.5質量%以上15質量%以下の前記成分Cを含む、[10]~[13]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[15]前記活性エネルギー線硬化型組成物は、
さらに、(成分D)光重合開始剤を含み、
前記活性エネルギー線硬化型組成物の総質量の7.5質量%以上15質量%以下の前記成分Dを含む、[10]~[14]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[16]前記活性エネルギー線硬化型組成物は、以下に示す方法:
前記活性エネルギー線硬化型組成物の50mm×50mm×2mmの硬化物を、50℃で1時間乾燥し、23±2℃、50±5%R.H.で24時間静置したのち、60℃の水に24時間浸漬し、浸漬前後の硬化物質量を測定し、
以下の式で算出される温水吸水率が1.6質量%未満である、[10]~[15]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
温水吸水率(%)=
(浸漬後の硬化物質量-浸漬前の硬化物質量)/浸漬前の硬化物質量×100
[17]前記活性エネルギー線硬化型組成物は、以下に示す方法:
SS400鋼板テストピース上に、電解液(Sigma Aldrich製、「Lithium hexafluorophosphate(LiPF6) solution」)を1cm2あたり0.01g塗布した後、電解液の上から、前記活性エネルギー線硬化型組成物をバーコーターで塗布し、LED光源を用いて365nmの紫外線を照射(紫外線強度を250mW/cm2、積算光量を1000mJ/cm2)して硬化させて得た膜厚10μmの硬化物を、60℃、90%RHの条件下で72時間放置し、電解液を塗布した箇所の発錆を確認する方法、
で確認したとき、発錆面積が電解液を塗布した面積全体の10%未満である、[10]~[16]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[18]金属材料からなる表面を有するコーティング対象に対するコーティング剤組成物である、[1]~[17]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[19]コーティング対象の防錆方法であって、
金属材料からなる表面を有する前記コーティング対象の前記表面に[1]~[18]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を供給し、
前記コーティング対象の前記表面上の前記活性エネルギー線硬化型組成物に活性エネルギー線を照射する、方法。
[20]コーティングを備える被コーティング体の製造方法であって、
コーティング対象の表面に[1]~[18]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を供給し、
前記コーティング対象の前記表面上の前記活性エネルギー線硬化型組成物に活性エネルギー線を照射する、方法。
(成分A)2個以上のエチレン性不飽和基を備える1種又は2種以上の化合物、
(成分B)少なくとも1個の芳香族環及び1個のエチレン性不飽和基を備える1種又は2種以上の化合物、及び
(成分C)エチレン性不飽和基を備える及び/又は備えない1種又は2種以上の金属塩、
を含み、
前記成分Aは、(メタ)アクリロイル基を3個以上備える(メタ)アクリレート(ただし、ウレタン(メタ)アクリレートを除く。)を含み、前記(メタ)アクリレートを、前記活性エネルギー線硬化型組成物における硬化性成分の総質量の65質量%以上80質量%以下含有し、
前記成分Bを前記活性エネルギー線硬化型組成物における硬化性成分の総質量の15質量%以上30質量%以下含有し、
前記成分Cを前記活性エネルギー線硬化型組成物の総質量の7.5質量%以上15質量%以下含有する、活性エネルギー線硬化型組成物。
[2]前記(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を3個備える(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリロイル基を5個以上6個以下備える前記化合物とを含む、[1]に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[3](メタ)アクリロイル基を3個備える前記(メタ)アクリレート、及び、(メタ)アクリロイル基を5個以上6個以下備える前記(メタ)アクリレートは、それぞれ、グリセリントリアクリレート、及び、ジペンタエリスリトールのペンタアクリレート及びヘキサアクリレートを含む[2]に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[4]前記成分Bは、1個の芳香族環と1個の(メタ)アクリロイル基とを備える(メタ)アクリレートを含む、[1]~[3]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[5]1個の芳香族環と(メタ)アクリロイル基とを備える前記(メタ)アクリレートは、ベンジル(メタ)アクリレートである、[4]に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[6]前記成分Cは、(メタ)アクリロイル基を含有するアルカリ土類金属の塩を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[7](メタ)アクリロイル基を含有する前記アルカリ土類金属の塩は、メタクリル酸カルシウムである、[6]に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[8]前記活性エネルギー線硬化型組成物は、以下に示す方法:
前記活性エネルギー線硬化型組成物の50mm×50mm×2mmの硬化物を、50℃で1時間乾燥し、23±2℃、50±5%R.H.で24時間静置したのち、60℃の水に24時間浸漬し、浸漬前後の硬化物質量を測定する方法で、測定したとき、
以下の式で算出される温水吸水率が1.6質量%未満である、[1]~[7]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
温水吸水率(%)=
(浸漬後の硬化物質量-浸漬前の硬化物質量)/浸漬前の硬化物質量×100
[9]前記活性エネルギー線硬化型組成物は、以下に示す方法:
SS400鋼板テストピース上に、電解液(Sigma Aldrich製、「Lithium hexafluorophosphate(LiPF6) solution」)を1cm2あたり0.01g塗布した後、電解液の上から、前記活性エネルギー線硬化型組成物をバーコーターで塗布し、LED光源を用いて365nmの紫外線を照射(紫外線強度を250mW/cm2、積算光量を1000mJ/cm2)して硬化させて得た膜厚10μmの硬化物を、60℃、90%RHの条件下で72時間放置し、電解液を塗布した箇所の発錆を確認する方法、
で確認したとき、発錆面積が電解液を塗布した面積全体の10%未満である、[1]~[8]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[10]活性エネルギー線硬化型組成物であって、
(成分A)2個以上のエチレン性不飽和基を備える1種又は2種以上の化合物、
(成分B)少なくとも1個の芳香族環及び1個のエチレン性不飽和基を備える1種又は2種以上の化合物、及び
(成分C)エチレン性不飽和基を備える及び/又は備えない1種又は2種以上の金属塩、
を含み、
以下の式(1)で表される、架橋密度(mol/kg)が7.3以上である、活性エネルギー線硬化型組成物。
[11]前記成分Aは、前記エチレン性不飽和基を3個以上備える前記化合物を含む、[10]に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[12]前記活性エネルギー線硬化型組成物は、前記活性エネルギー線硬化型組成物における硬化性成分の総質量の65質量%以上80質量%以下の前記成分Aを含有する、[10]又は[11]に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[13]前記活性エネルギー線硬化型組成物は、前記活性エネルギー線硬化型組成物における硬化性成分の総質量の15質量%以上30質量%以下の前記成分Bを含有する、[10]~[12]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[14]前記活性エネルギー線硬化型組成物は、前記活性エネルギー線硬化型組成物の総質量の7.5質量%以上15質量%以下の前記成分Cを含む、[10]~[13]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[15]前記活性エネルギー線硬化型組成物は、
さらに、(成分D)光重合開始剤を含み、
前記活性エネルギー線硬化型組成物の総質量の7.5質量%以上15質量%以下の前記成分Dを含む、[10]~[14]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[16]前記活性エネルギー線硬化型組成物は、以下に示す方法:
前記活性エネルギー線硬化型組成物の50mm×50mm×2mmの硬化物を、50℃で1時間乾燥し、23±2℃、50±5%R.H.で24時間静置したのち、60℃の水に24時間浸漬し、浸漬前後の硬化物質量を測定し、
以下の式で算出される温水吸水率が1.6質量%未満である、[10]~[15]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
温水吸水率(%)=
(浸漬後の硬化物質量-浸漬前の硬化物質量)/浸漬前の硬化物質量×100
[17]前記活性エネルギー線硬化型組成物は、以下に示す方法:
SS400鋼板テストピース上に、電解液(Sigma Aldrich製、「Lithium hexafluorophosphate(LiPF6) solution」)を1cm2あたり0.01g塗布した後、電解液の上から、前記活性エネルギー線硬化型組成物をバーコーターで塗布し、LED光源を用いて365nmの紫外線を照射(紫外線強度を250mW/cm2、積算光量を1000mJ/cm2)して硬化させて得た膜厚10μmの硬化物を、60℃、90%RHの条件下で72時間放置し、電解液を塗布した箇所の発錆を確認する方法、
で確認したとき、発錆面積が電解液を塗布した面積全体の10%未満である、[10]~[16]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[18]金属材料からなる表面を有するコーティング対象に対するコーティング剤組成物である、[1]~[17]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
[19]コーティング対象の防錆方法であって、
金属材料からなる表面を有する前記コーティング対象の前記表面に[1]~[18]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を供給し、
前記コーティング対象の前記表面上の前記活性エネルギー線硬化型組成物に活性エネルギー線を照射する、方法。
[20]コーティングを備える被コーティング体の製造方法であって、
コーティング対象の表面に[1]~[18]のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を供給し、
前記コーティング対象の前記表面上の前記活性エネルギー線硬化型組成物に活性エネルギー線を照射する、方法。
本明細書の開示は、活性エネルギー線硬化型組成物(以下、単に組成物ともいう。)及びその利用に関する。本明細書に開示される組成物には、以下の成分Aから成分Cを、以下の比率で含んでいる、
前記成分Aは、前記エチレン性不飽和基を3個備える前記化合物と前記エチレン性不飽和基を5個以上6個以下備える前記化合物とを含み、前記成分Aを前記活性エネルギー線硬化型組成物における硬化性成分の総質量の65質量%以上80質量%以下含有し、
前記成分Bを前記活性エネルギー線硬化型組成物における硬化性成分の総質量の15質量%以上30質量%以下含有し、
前記成分Cを前記活性エネルギー線硬化型組成物の総質量の7.5質量%以上15質量%以下含有する、
及び/又は
組成物の架橋密度(mol/kg)が7.3以上である。
成分A:エチレン性不飽和基を2個以上備える1種又は2種以上の化合物
成分B:芳香族環を少なくとも1個とエチレン性不飽和基を1個とを備える化合物を含む、エチレン性不飽和基を1個備える1種又は2種以上の化合物
成分C:エチレン性不飽和基を備える及び/又は備えない1種又は2種以上の金属塩
前記成分Aは、前記エチレン性不飽和基を3個備える前記化合物と前記エチレン性不飽和基を5個以上6個以下備える前記化合物とを含み、前記成分Aを前記活性エネルギー線硬化型組成物における硬化性成分の総質量の65質量%以上80質量%以下含有し、
前記成分Bを前記活性エネルギー線硬化型組成物における硬化性成分の総質量の15質量%以上30質量%以下含有し、
前記成分Cを前記活性エネルギー線硬化型組成物の総質量の7.5質量%以上15質量%以下含有する、
及び/又は
組成物の架橋密度(mol/kg)が7.3以上である。
成分A:エチレン性不飽和基を2個以上備える1種又は2種以上の化合物
成分B:芳香族環を少なくとも1個とエチレン性不飽和基を1個とを備える化合物を含む、エチレン性不飽和基を1個備える1種又は2種以上の化合物
成分C:エチレン性不飽和基を備える及び/又は備えない1種又は2種以上の金属塩
本発明者らによれば、種々の検討の結果、成分A~成分Cの組合せ及び含有比率に到達し、これらを含有する組成物によるコーティングが優れた防錆性能を発揮するという知見を得た。すなわち、成分Aと成分Bと成分Cとを用いて、架橋密度(mol/kg)を7.3以上とすることで、耐水性を向上させるとともに耐酸性を向上させることで、これらの成分の相乗効果として優れた防錆性能が発揮できることがわかった。
本明細書の開示を拘束するものではないが、成分Aは、架橋密度(架橋構造)及び耐水性に貢献し、成分Bが耐水性及び成分Cの分散性に貢献し、成分Cが耐酸性に貢献することで、優れた防錆性能が発揮されたものと推測される。
また、本明細書に開示されるコーティング対象の防錆方法によれば、例えば、金属材料からなる表面を有するコーティング対象の表面に耐水性及び耐酸性に優れたコーティングを形成して、高度な腐食環境下にあっても優れた防錆性能が発揮される。
また、本明細書に開示されるコーティングを備える被コーティング体の製造方法によれば、コーティング対象の表面にコーティングを形成することで、耐水性及び耐酸性に優れた被コーティング体や高度な腐食環境下にあっても優れた防錆性能を備える被コーティング体を製造できる。
本明細書に開示される組成物、防錆方法及び被コーティング体の製造方法は、例えば、車両等に搭載されるリチウムイオン二次電池の集電体、端子及びパッケージなどに対するコーティング剤、防錆方法、防錆性能を備える二次電池等の製造方法として有用である。
(活性エネルギー線硬化型組成物)
以下、組成物が、含有する成分について説明する。
以下、組成物が、含有する成分について説明する。
(成分A)
成分Aは、2個以上のエチレン性不飽和基を備える1種又は2種以上の化合物である。いわゆる多官能化合物である。成分Aは、同一の又は異なる2以上のエチレン性不飽和基を備える複数の化合物を包含している。成分Aは、1種又は2種以上の化合物を適宜組み合わせて用いることができる。
成分Aは、2個以上のエチレン性不飽和基を備える1種又は2種以上の化合物である。いわゆる多官能化合物である。成分Aは、同一の又は異なる2以上のエチレン性不飽和基を備える複数の化合物を包含している。成分Aは、1種又は2種以上の化合物を適宜組み合わせて用いることができる。
成分Aにおけるエチレン性不飽和基は、特に限定するものではないが、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基及び(メタ)アリル基等が挙げられる。2以上のエチレン性不飽和基は、2個のエチレン性不飽和基、3個のエチレン性不飽和基、4個のエチレン性不飽和基、5個又は6個のエチレン性不飽和基、又は、それ以上のエチレン性不飽和基であってもよい。
2個のエチレン性不飽和基を備える(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート及びノナンジオールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジオールジ(メタ)アクリレート;
グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の3価以上ポリオールのジ(メタ)アクリレート;
これらポリオールアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート;
イソシアヌル酸エチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート等のイソシアヌル酸骨格を有するジ(メタ)アクリレート;並びに
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、及びビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート等のビスフェノールアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。この場合アルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラメチレンオキサイド、並びに、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等を挙げることができる。
グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の3価以上ポリオールのジ(メタ)アクリレート;
これらポリオールアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート;
イソシアヌル酸エチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート等のイソシアヌル酸骨格を有するジ(メタ)アクリレート;並びに
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、及びビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート等のビスフェノールアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。この場合アルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラメチレンオキサイド、並びに、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等を挙げることができる。
また、3個以上のエチレン性不飽和基を有する(メタ)アクリレートとしては、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールのトリ、テトラ、ペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールのポリ(メタ)アクリレート;
これらポリオールのアルキレンオキサイド付加物のトリ、テトラ、ペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート;並びに
イソシアヌル酸エチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート等のイソシアヌル酸骨格を有するトリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。なお、これらのこの場合、アルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラメチレンオキサイド、並びに、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等を挙げることができる。
これらポリオールのアルキレンオキサイド付加物のトリ、テトラ、ペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート;並びに
イソシアヌル酸エチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート等のイソシアヌル酸骨格を有するトリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。なお、これらのこの場合、アルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラメチレンオキサイド、並びに、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等を挙げることができる。
多官能の(メタ)アクリルアミドとしては、N,N-ビス(2-アクリルアミドエチル)アクリルアミド、N-[トリス(3-アクリルアミドプロポキシメチル)メチル]
アクリルアミド、N,N-1,2-エタンジイル「N-[2-(アクリロイルアミノ)エチル]アクリルアミド」が挙げられる。
アクリルアミド、N,N-1,2-エタンジイル「N-[2-(アクリロイルアミノ)エチル]アクリルアミド」が挙げられる。
多官能のビニル化合物としては、1,4-ジビニルベンゼン、1,3-ジビニルベンゼン、2,5-ジビニルテレフタルアルデヒドなどが挙げられる。
多官能の(メタ)アリルモノマーとしては、フマル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、クエン酸トリアリル、ヘキサヒドロフタル酸ジアリル、ジアリルヘキサヒドロフタレート、トリメチロールプロパンジアリルエ-テル、1,3-ジアリルオキシ-2-プロパノール、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル等が挙げられる。
こうした成分Aの化合物のなかでも、3個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を少なくとも用いることが好ましい。高い架橋密度が得られ易いからである。
成分Aの化合物としては、例えば、2以上の、また例えば、3以上、4以上、5以上、6以上などの複数のエーテル基を有することが有効である。例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのトリ、テトラ、ペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート並びにこれらポリオールのアルキレンオキサイド付加物のトリ、テトラ、ペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
成分Aとしては、3個の(メタ)アクリロイル基などのエチレン性不飽和基を備える化合物と、4個、5個又は6個(なかでも、5個又は6個)の(メタ)アクリロイル基などのエチレン性不飽和基を有する化合物と、を組み合わせて用いることが好ましい場合がある。こうすることで、架橋密度を確保しやすいほか、耐水性に優れる架橋構造が得られ易いからである。また、こうした組合せとしては、特に限定するものではないが、例えば、前者としてグリセリントリ(メタ)アクリレートと、後者としてジペンタエリスリトールのテトラ、ペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート(好ましくは、ジペンタエリスリトールの、ペンタ及びヘキサ(メタ)アクリレート)と、の組合せが挙げられる。また、好ましくは、いずれも、アクリレートである。3個のエチレン性不飽和基を備える化合物と、4個~6個のエチレン性不飽和基を有する化合物との質量比率は、特に限定するものではないが、例えば、これらの総質量に対して3個のエチレン性不飽和基を備える化合物が10質量%以上15質量%以下であり、4~6個のエチレン性不飽和基を備える化合物が、85質量%以上90質量%以下である。
上記の成分Aの化合物を、成分Aとして用いることが好ましい場合がある。また、上記した成分A以外の、他の2個以上のエチレン性不飽和基を備える化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート及びポリエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで記載するこれらの他の2個以上のエチレン性不飽和基を備える化合物は、既述した成分Aの化合物の次に選択される化合物である。したがって、ウレタン(メタ)アクリレートなどのこの種のA成分を用いないことが好ましい場合がある。
組成物における成分Aの含有量は、後述する架橋密度や防錆性能を充足する範囲で適宜設定することができる。成分Aの含有量は、特に限定するものではないが、例えば、組成物における硬化性成分の総質量の65質量%以上とすることができる。ここで、硬化性成分とは、組成物においては、成分Dによって重合される成分A、成分B及びエチレン性不飽和基を有する成分Cである。成分Aの含有量が65質量%未満であると、架橋の網目が緩くなりやすく、透湿性(耐水性)が増大する傾向がある。成分Aの含有量は、また例えば、66質量%以上、67質量%以上、68質量%以上、70質量%以上、72質量%以上、75質量%以上である。
成分Aの含有量は、例えば、80質量%以下である。80質量%を超えると、硬化収縮が大きくなり、被着材から浮きやすくなって防錆性能が低下する傾向がある。また例えば、78質量%以下、75質量%以下、73質量%以下、72質量%以下、70質量%以下、68質量%以下、67質量%以下である。
成分Aの含有量の範囲は、特に限定するものではないが、例えば、65質量%以上80質量%以下とするほか、上記した下限値及び上限値を適宜組み合わせて設定することができる。
(成分B)
成分Bは、エチレン性不飽和基を1個備える1種又は2種以上の化合物である。いわゆる単官能化合物である。エチレン性不飽和基を1個有することで、成分Aの化合物とともに構成する架橋構造において直鎖部分を構成することができる。成分Bは、後述する、成分Cを含まない概念であり、(メタ)アクリル酸などの酸またその塩を包含しない。
成分Bは、エチレン性不飽和基を1個備える1種又は2種以上の化合物である。いわゆる単官能化合物である。エチレン性不飽和基を1個有することで、成分Aの化合物とともに構成する架橋構造において直鎖部分を構成することができる。成分Bは、後述する、成分Cを含まない概念であり、(メタ)アクリル酸などの酸またその塩を包含しない。
成分Bは、芳香族環を少なくとも1個とエチレン性不飽和基を1個とを備える化合物(以下、芳香族性化合物ともいう。)を含んでいる。芳香族環とは、その環構造が有するπ電子数がヒュッケル則に従い、[4n+2]個であるものを指す。なお、nは整数である。芳香族環は、例えば、炭化水素環式化合物、複素環式化合物である。芳香族環を有することで、後述する成分Cと相互作用し、組成物中にて成分Cを分散性よく含有することができる。この結果、活性エネルギー線の照射により硬化した後のコーティングにおいて、成分Cを分散性よく保持でき、フッ化イオンの捕捉能を発揮しやすくなっている。また、こうした芳香族環を有することで、コーティングの耐水性にも貢献する。
芳香族性化合物が備える、部分構造としての芳香族環は、単一の環からなる単環成分、少なくとも2個の当該単環が2個の原子を共有する縮合環成分、及び、少なくとも2個の当該単環が共有原子を持たないで結合を介して連結した環集合成分から選択される1種又は2種以上である。芳香族性化合物は、同一又は異なるこれらの各成分を2個又はそれ以上備えることもできる。芳香族環は、概して、炭化水素環式化合物及び複素環式化合物に由来する成分である。単環成分としては、ベンゼン環等が挙げられる。単環成分を2個備える部分としては、ジフェニルメタン構造等が挙げられる。縮合環成分としては、ナフタレン構造が挙げられる。環集合成分としては、ビフェニル構造等が挙げられる。
芳香族環は、環上の1個、2個又は3個等の炭素原子に結合する水素原子が、メチル基、エチル基等の炭素数が1~4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~4個のアルキル基を有するアルコキシ基、水酸基、又は炭素数1~4個のアルキレン基のオキサイドの付加物で置換されていてもよい。
芳香族性化合物におけるエチレン性不飽和基は、特に限定するものではないが、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基及び(メタ)アリル基等である。(メタ)アクリロイル基が好ましい場合がある。こうしたエチレン性不飽和基は、芳香族環上の炭素原子に直接結合されていてもよいし、既述の置換基に結合されていてもよいし、他の一部に結合されていてもよい。
芳香族性化合物としては、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート、フェノールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、アルキルフェノールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、p-クミルフェノールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、及びo-フェニルフェノールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート等の芳香族単官能(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのうち、ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレートを用いることが有効な場合がある。
エチレン性不飽和基を1個備えて芳香族環を有しない化合物としては、例えば、1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート、及び1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
1個のエチレン性不飽和基を有する(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、及びステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
モノ、ジ、トリエチレングリコールモノエチル(メタ)アクリレート、モノ、ジ、トリエチレングリコールモノメチル(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート;
トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのモノ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート等のポリオールのモノ(メタ)アクリレート;
並びに
エチルカルビトール(メタ)アクリレート、ブチルカルビトール(メタ)アクリレート、及び2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート等のアルキルカルビトール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
モノ、ジ、トリエチレングリコールモノエチル(メタ)アクリレート、モノ、ジ、トリエチレングリコールモノメチル(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート;
トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのモノ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート等のポリオールのモノ(メタ)アクリレート;
並びに
エチルカルビトール(メタ)アクリレート、ブチルカルビトール(メタ)アクリレート、及び2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート等のアルキルカルビトール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、芳香族環を有しない1個のエチレン性不飽和基を有する(メタ)アクリレートとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンメチロール(メタ)アクリレート、及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂環式基を有する単官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
この種の芳香族環を有しない成分Bとしては、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアクリレート(エトキシエトキシエチルアクリレート)などのポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレートが有効な場合がある。
以上説明した芳香族環を有しない成分Bの化合物を用いることが好ましい場合がある。なかでも、成分Bとしては、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアクリレートなどのポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレートが有効な場合がある。また、芳香族性化合物としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレートを組み合わせて用いることが好ましい場合がある。
上記の成分B以外の他の成分Bの化合物としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、並びに2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、環状エーテル基を有する単官能(メタ)アクリレートの例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンスピロ-2-(1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、3-エチル-3-オキセタニルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、複素環を有する単官能(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリロイルモルホリン、並びにマレイミド基を有する化合物が挙げられ、N-(2-(メタ)アクリロキシエチル)ヘキサヒドロフタルイミド、及びN-(2-(メタ)アクリロキシエチル)テトラヒドロフタルイミド等のイミド基を有する単官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
組成物における成分Bの含有量は、後述する架橋密度や防錆性能を充足する範囲で適宜設定することができる。成分Bの含有量は、特に限定するものではないが、例えば、組成物における硬化性成分の総質量の15質量%以上とすることができる。成分Bの含有量が15質量%未満であると、コーティングにおける耐水性が低下し、成分Cの分散性が低下し、フッ素イオン捕捉能が低下する傾向がある。成分Bの含有量は、また例えば、17質量%以上であり、18質量%以上であり、20質量%以上であり、22質量%以上であり、23質量%以上であり、24質量%以上である。
成分Bの含有量は、例えば、30質量%以下である。30質量%を超えると、架橋の網目が大きくなり防錆性能が低下する傾向がある。成分Bは、また例えば、28質量%以下、27質量%以下、26質量%以下、25質量%以下、24質量%以下、23質量%以下である。
成分Bの含有量の範囲は、特に限定するものではないが、例えば、15質量%以上30質量%以下とするほか、上記した下限値及び上限値を適宜組み合わせて設定することができ、例えば、15質量%以上28質量%以下、15質量%以上25質量%以下などとすることができる。
成分Bにおける芳香族性化合物は、例えば、成分Bの総質量の50質量%以上である。50質量%未満であると、コーティングに十分な耐水性と成分Cの分散性を付与しにくくなる傾向である。芳香族性化合物は、例えば、成分Bの60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、100質量%である。また、成分B中の芳香族性化合物は、組成物における硬化性成分の総質量の7質量%以上27質量%以下、8質量%以上25質量%以下、10質量%以上25質量%以下などとすることができる。
(成分C)
エチレン性不飽和基を含む金属塩及びエチレン性不飽和基を含まない金属塩から選択される1種又は2種以上の金属塩である。金属塩は、フッ化水素に由来するフッ素イオンを捕捉することができる。なお、エチレン性不飽和基を含む場合には、当該基を1個含有する金属塩である。エチレン性不飽和基を含む金属塩は、組成物における硬化性成分でもある。成分Cとして、1種又は2種以上の金属塩を適宜組み合わせて用いることができる。
エチレン性不飽和基を含む金属塩及びエチレン性不飽和基を含まない金属塩から選択される1種又は2種以上の金属塩である。金属塩は、フッ化水素に由来するフッ素イオンを捕捉することができる。なお、エチレン性不飽和基を含む場合には、当該基を1個含有する金属塩である。エチレン性不飽和基を含む金属塩は、組成物における硬化性成分でもある。成分Cとして、1種又は2種以上の金属塩を適宜組み合わせて用いることができる。
エチレン性飽和基を含む金属塩としては、特に限定するものではないが、例えば、エチレン性不飽和基を含む金属塩としては、(メタ)アクリル酸のほか、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸の金属塩などが挙げられる。また、アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、及び(メタ)アリルスルホン酸等のスルホン酸基を有するエチレン性不飽和化合物の金属塩が挙げられる。さらに、リン酸と(メタ)アクリル酸とのエステル化物等のリン酸基含有(メタ)アクリレート等のリン酸基を有するエチレン性不飽和化合物の金属塩が挙げられる。
また、エチレン性不飽和基を含まない金属塩としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸などのカルボン酸の金属塩が挙げられる。さらに、エチレン性不飽和基を含まない無機酸の金属塩としては、金属塩化物、硫酸塩が挙げられる。
また、金属塩を構成する金属は特に限定するものではないが、例えば、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属の塩、亜鉛塩などが挙げられる。これらの塩についてもエチレン性不飽和基を含む塩としては、カルシウム(メタ)アクリレート(カルシウム(メタ)アクリル酸)、マグネシウム(メタ)アクリレート(マグネシウム(メタ)アクリル酸)、亜鉛(メタ)アクリレート(亜鉛(メタ)アクリル酸)、マレイン酸カルシウム等の既述のカルボキシ基とエチレン性不飽和基とを有する化合物、スルホン酸基とエチレン性不飽和基を有する化合物、既述のリン酸基とエチレン性不飽和基とを有する化合物等が挙げられる。また、エチレン性不飽和基を含まない塩としては、上記した各種のカルボン酸や無機酸のこれらのアルカリ土類金属や亜鉛の塩等が挙げられる。
組成物における成分Cとしては、(メタ)アクリロイル基などのエチレン性不飽和基を含有するカルシウム塩が好ましい場合がある。光重合開始剤によって、効果的にフッ素イオンと結合できる場合がある。
組成物における成分Cの含有量は、後述する架橋密度や防錆性能を充足する範囲で適宜設定することができる。成分Cの含有量は、特に限定するものではないが、例えば、組成物の総質量の7.5質量%以上とすることができる。成分Cの含有量が7.5質量%未満であると、フッ化イオンの捕捉が不十分となり防錆性能が低下する傾向がある。成分Cの含有量は、また例えば、7.7質量%以上、7.8質量%以上、8.0質量%以上、8.2質量%以上、8.4質量%以上、8.6質量%以上、8.8質量%以上である。
成分Cの含有量は、例えば、15質量%以下である。15質量%を超えると、成分Cは、組成物中に溶解せずに分散するため、多すぎると活性エネルギー線を遮蔽して硬化を妨げるおそれがある。成分Cは、また例えば、14質量%以下、13質量%以下、12質量%以下、11質量%以下、10質量%以下である。
成分Cの含有量の範囲は、組成物の総質量の7.5質量%以上15質量%以下とすることができるほか、上記した下限及び上限を適宜組み合わせて設定することができる。
(成分D)
成分Dは、1種又は2種以上の光重合開始剤である。成分Dは、活性エネルギー線として紫外線及び可視光線を用いた場合に配合する成分である。なお、活性エネルギー線として電子線を使用する場合には、必ずしも配合する必要はないが、硬化性を改善させるため必要に応じて少量配合することもできる。
成分Dは、1種又は2種以上の光重合開始剤である。成分Dは、活性エネルギー線として紫外線及び可視光線を用いた場合に配合する成分である。なお、活性エネルギー線として電子線を使用する場合には、必ずしも配合する必要はないが、硬化性を改善させるため必要に応じて少量配合することもできる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、オリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-1-(メチルビニル)フェニル]プロパノン、2-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチループロピオニル)ベンジル]フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)]フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)ブタン-1-オン、3,6-ビス(2-メチル-2-モルフォリノプロピオニル)-9-n-オクチルカルバゾール、フェニルグリオキシ酸メチル、エチルアントラキノン及びフェナントレンキノン等の芳香族ケトン化合物;
ベンゾフェノン、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、4-(メチルフェニルチオ)フェニルフェニルメタン、メチル-2-ベンゾフェノン、1-[4-(4-ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]-2-メチル-2-(4-メチルフェニルスルフォニル)プロパン-1-オン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン及び4-メトキシ-4′-ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート及びビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物;
チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロピルチオキサントン、3-[3,4-ジメチル-9-オキソ-9H-チオキサントン-2-イル-オキシ]-2-ヒドロキシプロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド及びフルオロチオキサントン等のチオキサントン系化合物等が挙げられる。
ベンゾフェノン、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、4-(メチルフェニルチオ)フェニルフェニルメタン、メチル-2-ベンゾフェノン、1-[4-(4-ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]-2-メチル-2-(4-メチルフェニルスルフォニル)プロパン-1-オン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン及び4-メトキシ-4′-ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート及びビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物;
チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロピルチオキサントン、3-[3,4-ジメチル-9-オキソ-9H-チオキサントン-2-イル-オキシ]-2-ヒドロキシプロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド及びフルオロチオキサントン等のチオキサントン系化合物等が挙げられる。
これら化合物の中でも、薄膜のコーティングであっても表面硬化性が良好で好ましいことから、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)]フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン等の芳香族ケトン化合物を用いることが好ましい場合がある。また、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物等が好ましい場合がある。これらは、それぞれ単独であるいは組み合わせて用いることができる。
組成物における成分Dの含有量は、後述する架橋密度や防錆性能を充足する範囲で適宜設定することができる。成分Dの含有量は、特に限定するものではないが、例えば、組成物の総質量の7.5質量%以上とすることができる。成分Dの含有量が7.5質量%未満であると、硬化反応が不十分になりやすく十分な水分の遮断などが難しくなる傾向がある。成分Dの含有量は、また例えば、7.7質量%以上、7.8質量%以上、8.0質量%以上、8.2質量%以上、8.4質量%以上、8.6質量%以上、8.8質量%以上である。
成分Dの含有量は、例えば、15質量%以下である。15質量%を超えると、未反応の成分Dが増えて、残渣による硬化物の可塑化などにより、防錆性能が低下しやすくなる傾向がある。成分Dは、また例えば、14質量%以下、13質量%以下、12質量%以下、11質量%以下、10質量%以下、9質量%以下である。
成分Dの含有量の範囲は、組成物の総質量の7.5質量%以上15質量%以下とすることができるほか、上記した下限及び上限を適宜組み合わせて設定することができる。
組成物は、このほか、必要に応じて、有機溶剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料・染料、レベリング剤、シランカップリング剤などを含んでいてもよい。有機溶剤、酸化防止材、紫外線吸収剤、顔料・染料、レベリング剤、シランカップリング剤は、特開2019-108426号公報、特開2019-196461号公報、特開2022-172885号等に開示されるように、当業者に周知であり、当業者であれば、適宜その種類を選択し、また、その含有量を適宜設定して用いることができる。なお、組成物は、無溶剤型の組成物として使用することもできるが、有機溶剤を配合して溶剤型の組成物として使用することもできる。有機溶剤を含むことにより、組成物の粘度を調整することで塗工性を改善し、膜厚を目的に応じて調整することができる。
なお、組成物を溶剤型とする場合には、芳香族環を有する溶媒を用いることができる。こうすることで、組成物における成分Cの分散性を向上させることができる。このような溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、キシレン、トルエン、ベンゼン、クレゾール、等が挙げられる。組成物を溶剤型とする場合、こうした芳香族環を有する溶媒は、成分Bの一部又は全部を代替できる場合がある。
(架橋密度)
組成物は、以下の式(1)で表される、架橋密度(mol/kg)が7.3以上であることが好ましい場合がある。架橋密度は、成分A、同B及び同Cの総量と成分Aにおけるエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物のエチレン性不飽和基の個数及びモル質量によって調整することができる。なお、架橋密度は、組成物における成分A、同B、同Cの種類及び仕込み時の組成に基づいて算出することができる。
組成物は、以下の式(1)で表される、架橋密度(mol/kg)が7.3以上であることが好ましい場合がある。架橋密度は、成分A、同B及び同Cの総量と成分Aにおけるエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物のエチレン性不飽和基の個数及びモル質量によって調整することができる。なお、架橋密度は、組成物における成分A、同B、同Cの種類及び仕込み時の組成に基づいて算出することができる。
以下の式(1)で表される、架橋密度(mol/kg)が7.3以上である。
本明細書に開示される架橋密度は、組成物中の硬化性成分の総質量に対する架橋点の総量(総mol数)の比率を規定している。なお、硬化性成分には、重合性官能基を有する単量体成分のほか、架橋剤も含んでいる。
式(1)の分子及び分母におけるwiは、成分iの質量分率を表す。
また、式(1)の分子におけるMciは、成分iの架橋点間分子量(kg/mol)を表す。
また、式(1)の分子におけるMciは、成分iの架橋点間分子量(kg/mol)を表す。
この結果、式(1)の分子は、成分i(1≦i≦n、nは2以上の整数である。)についての架橋点の総数(質量mol)となり、式(1)の分母は、成分iの総質量(kg)となる。この結果、上記のとおり、式(1)は、硬化性成分の総質量(kg)に対する架橋点の総量(mol)の比率を規定している。
架橋密度は、組成物を硬化して得られるコーティングの架橋構造の網目構造の細かさの指標となり、架橋密度が大きいほど、架橋による網目構造が細かくなると考えられる。
架橋密度が7.3以上であると、コーティングにおける架橋構造の網目が緩くなりやすくなり、水分が透過しやすくなって防錆性能が低下しやすくなる。架橋密度は、また例えば、7.4以上であり、7.5以上であり、7.6以上であり、7.7以上であり、7.8以上であり、7.9以上であり、8.0以上であり、8.1以上であり、8.2以上であり、8.3以上であり、8.4以上であり、8.5以上である。
また、架橋密度は、10.0以下であることが好ましい場合がある。硬化による収縮が大きくなり、コーティングが被着材が浮いたりはがれやすくなったりすることで、防錆性能を低下させるおそれがある。架橋密度は、また例えば、9.9以下であり、9.8以下であり、9.7以下であり、9.6以下であり、9.5以下であり、9.4以下であり、9.3以下であり、9.2以下であり、9.1以下であり、9.0以下であり、8.9以下であり、8.8以下であり、8.7以下であり、8.6以下であり、8.5以下であり、8.4以下である。
架橋密度の範囲は、7.3以上10.0以下とすることができるほか、上記した下限及び上限を適宜組み合わせて設定することができる。例えば、7.4以上9.5以下、7.5以上9.5以下であり、7.6以上9.5以下であり、7.8以上9.2以下であり、7.8以上9.0以下、7.8以上8.5以下などとすることができる。
(温水吸水率)
組成物は、以下に示す方法;
組成物の50mm×50mm×2mmの硬化物を、50℃で1時間乾燥し、23±2℃、50±5%R.H.で24時間静置したのち、60℃の水に24時間浸漬し、浸漬前後の硬化物質量を測定し、以下の式で算出される温水吸水率が1.6質量%未満であることが好ましい場合がある。
温水吸水率(%)=
(浸漬後の硬化物質量-浸漬前の硬化物質量)/浸漬前の硬化物質量×100
組成物は、以下に示す方法;
組成物の50mm×50mm×2mmの硬化物を、50℃で1時間乾燥し、23±2℃、50±5%R.H.で24時間静置したのち、60℃の水に24時間浸漬し、浸漬前後の硬化物質量を測定し、以下の式で算出される温水吸水率が1.6質量%未満であることが好ましい場合がある。
温水吸水率(%)=
(浸漬後の硬化物質量-浸漬前の硬化物質量)/浸漬前の硬化物質量×100
なお、上記方法において、硬化物は、以下の方法で得る。10cm四方のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、7cm四方、厚さ2mmで、中央に5cm四方の穴があるゴムシートを設置し、組成物を流し込み、液面を前述と同じPETフィルムでラミネートした後、その上面と底面を10cm四方のガラス板で挟んで固定した状態で、80W/cm高圧水銀ランプにより紫外線を照射した。ランプ高さは30cmとし、裏表ともに30秒ずつ照射し、さらにガラス板とPETフィルムを除いた状態にして裏表各1分ずつ照射する。
温水吸水率は、組成物を硬化させて得られる硬化物であるコーティングの耐水性の指標である。温水吸水率が高いと、水や多湿条件下における空気中の水分がコーティングに侵入しやすいこと、すなわち、水の透過性(透湿性)が増大すると考えられる。温水吸水率は、例えば、成分Bとしての芳香族性化合物及び架橋密度などによって調整することができる。
温水吸水率が1.6質量%以上であると、水の透過性が増大して防錆性能が低下しやすくなる。温水吸水率は、また例えば、1.5質量%以下、1.4質量%以下、1.3質量%以下、1.2質量%以下、1.1質量%以下、1.0質量%以下である。
温水吸水率は、特に限定するものではないが、例えば、0.0質量%以上であり、0.1質量%以上である。
(カルシウム塩分散性及び防錆性能)
また、組成物は、後述する実施例に記載される測定方法で測定したカルシウム塩分散性において良好な分散性を備えることができる。さらにまた、組成物から得られるコーティングは、後述する実施例に記載される測定方法で測定した防錆評価において、優れた防錆性能(評価A又はB)を備えることができる。すなわち、実施例に開示される手順にて硬化物についての取得した発錆面積率が10%未満である。
また、組成物は、後述する実施例に記載される測定方法で測定したカルシウム塩分散性において良好な分散性を備えることができる。さらにまた、組成物から得られるコーティングは、後述する実施例に記載される測定方法で測定した防錆評価において、優れた防錆性能(評価A又はB)を備えることができる。すなわち、実施例に開示される手順にて硬化物についての取得した発錆面積率が10%未満である。
(組成物の使用態様)
組成物は、例えば、コーティング剤として用いることができる。組成物を供給して硬化して得られるコーティングは、コーティングの架橋密度に貢献する成分A、成分Cの分散性及びコーティングの耐水性に貢献する成分B、及び耐酸性などに貢献する成分Cを、組み合わせて含有することで、優れた防錆性能を発揮することができる。
組成物は、例えば、コーティング剤として用いることができる。組成物を供給して硬化して得られるコーティングは、コーティングの架橋密度に貢献する成分A、成分Cの分散性及びコーティングの耐水性に貢献する成分B、及び耐酸性などに貢献する成分Cを、組み合わせて含有することで、優れた防錆性能を発揮することができる。
したがって、組成物は、防錆を意図するコーティングを形成するコーティング剤組成物として用いることができるほか、耐水を意図するコーティング、酸捕捉を意図するコーティングを形成するコーティング剤組成物としても用いることができる。組成物から、コーティングを製造する方法については、後段で説明する。
組成物を硬化して得られるコーティングの対象(コーティング対象)は、特に限定するものではなく、金属材料等の無機材料、人工高分子材料、天然高分子材料などの有機材料の表面が挙げられる。また、コーティングを備える被コーティング体は、コーティングがなされたコーティング対象を少なくとも一部に備える構造体である。
コーティングが、防錆を意図する場合には、被コーティング体は、ステンレスやアルミニウムなどの金属材料からなる表面をコーティング対象としている。組成物及びコーティングの用途は、特に限定するものではないが、例えば、リチウムイオン二次電池のLiPF6を含有する電解液が接触する可能性のあるコーティング対象を有する構造体が挙げられる。
なお、得られるコーティングの厚みは、特に限定しないで、コーティングの適用先に応じて適宜設定される。例えば、数μm~数十μm程度の膜厚とすることができる。
(コーティング対象の防錆方法)
本明細書に開示されるコーティング対象の防錆方法は、金属材料からなる表面を有するコーティング対象の表面に組成物を供給し、コーティング対象の表面上の組成物に活性エネルギー線を照射する、ことを備えている。この防錆方法によれば、コーティング対象の表面に腐食性の高い酸が多湿条件下で接触した場合であっても、コーティングが優れた耐水性と耐酸性とを有するため、コーティング対象の表面における発錆を効果的に防ぐことができる。
本明細書に開示されるコーティング対象の防錆方法は、金属材料からなる表面を有するコーティング対象の表面に組成物を供給し、コーティング対象の表面上の組成物に活性エネルギー線を照射する、ことを備えている。この防錆方法によれば、コーティング対象の表面に腐食性の高い酸が多湿条件下で接触した場合であっても、コーティングが優れた耐水性と耐酸性とを有するため、コーティング対象の表面における発錆を効果的に防ぐことができる。
なお、組成物を用いてコーティングを得る方法は、この種の組成物からコーティングを得るのに用いられる常法に従えば良い。例えば、組成物を種々の方法でコーティング対象に供給後、活性エネルギー線を照射すればよい。なお、組成物が無溶剤型でなく、有機溶剤を含む場合は、被着体に組成物を供給後に、加熱及び乾燥させ有機溶剤を蒸発させた後、活性エネルギー線を照射する。
コーティング対象への組成物の供給方法は、特に限定するものではなく、コーティングを形成する際に用いられる公知の方法を適宜用いることができる。また、組成物に照射する活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線及び電子線等が挙げられるが、紫外線が好ましい。紫外線照射装置としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV無電極ランプ、LED等が挙げられる。照射エネルギーは、活性エネルギー線の種類や配合組成に応じて適宜設定すべきものであるが、一例として高圧水銀ランプを使用する場合を挙げると、UV-A領域の照射エネルギーで100~5,000mJ/cm2が好ましく、200~1、000mJ/cm2がより好ましい。
(被コーティング体の製造方法)
本明細書に開示される被コーティング体の製造方法は、前記被コーティング体の少なくとも一部であるコーティング対象の表面に組成物を供給し、コーティング対象の表面上の組成物に活性エネルギー線を照射することを含む。この製造方法によれば、耐水性及び耐酸性に優れており、結果として高い防錆性能を発揮するコーティングを備える被コーティング体を得ることができる。この製造方法におけるコーティング対象、被コーティング体、組成物などのほか、コーティングの形成方法は、既述のとおりの各種態様を採ることができる。こうした被コーティング体は、例えば、LiPF6などのリチウム塩を含有する電解液との接触可能性ある部材等に用いることができる。
本明細書に開示される被コーティング体の製造方法は、前記被コーティング体の少なくとも一部であるコーティング対象の表面に組成物を供給し、コーティング対象の表面上の組成物に活性エネルギー線を照射することを含む。この製造方法によれば、耐水性及び耐酸性に優れており、結果として高い防錆性能を発揮するコーティングを備える被コーティング体を得ることができる。この製造方法におけるコーティング対象、被コーティング体、組成物などのほか、コーティングの形成方法は、既述のとおりの各種態様を採ることができる。こうした被コーティング体は、例えば、LiPF6などのリチウム塩を含有する電解液との接触可能性ある部材等に用いることができる。
コーティング対象の防錆方法及び被コーティング体の製造方法について説明したが、組成物を供給して硬化してコーティングを得る方法は、コーティング対象に耐水性及び/又は耐酸性を付与する方法としても実施できる。
以下、本明細書の開示をより具体的に説明するために具体例としての実施例を記載する。以下の実施例は、本明細書の開示を説明するためのものであって、その範囲を限定するものではない。また、以下の実施例では、特に言及しない限り、「部」、「%」は、それぞれ質量部、質量%を示す。
(活性エネルギー線硬化型組成物の製造)
表1に示す化合物を表1に示す割合で、ステンレス製容器で撹拌・混合・溶解し、活性エネルギー線硬化型組成物を製造した。また比較例として表2に示す組成物を同様に製造した。さらに、参考例も同様に製造した。
表1に示す化合物を表1に示す割合で、ステンレス製容器で撹拌・混合・溶解し、活性エネルギー線硬化型組成物を製造した。また比較例として表2に示す組成物を同様に製造した。さらに、参考例も同様に製造した。
尚、表1および2における数字は部数を意味し、略号は下記を意味する。
・M-402:ジペンタエリスリトール ペンタ/ヘキサアクリレートを主成分とするジペンタエリスリトールとアクリル酸の反応生成物、東亞合成(株)製「アロニックスM-402」(一分子当たり官能基数:5.7、分子量:562)
・UN-6200:ウレタンアクリレート(一分子当たり官能基数:2.0、分子量:27000)、根上工業(株)製、「アートレジン UN-6200」
・M-309:トリメチロールプロパントリアクリレート、東亞合成(株)製「アロニックスM-309」(一分子当たり官能基数:3.0、分子量:296)
・M-930:グリセリントリアクリレート、東亞合成(株)製「アロニックスM-930」(一分子当たり官能基数:3.0、分子量:254)
・OT-1005:ウレタンアクリレート、東亞合成(株)製「アロニックスOT-1005」(一分子当たり不飽和エチレン基数:3.0、分子量:312、アクリロイル基濃度:3.201mоl/kg)
・BzMA:ベンジルメタクリレート、共栄社化学(株)製「ライトエステルBz」(一分子当たり官能基数:1.0)
・BzA:ベンジルアクリレート、大阪有機化学(株)製「ビスコート#160」(一分子当たり官能基数:1.0)
・ACMO:アクリロイルモルフォリン、KJケミカルズ(株)製「ACMO」(一分子当たり官能基数:1.0)
・EEEA:エトキシエトキシエチルアクリレート、大阪有機化学(株)製「ビスコート#190」(一分子当たり官能基数:1.0)
・IBXA:イソボルニルアクリレート、大阪有機化学(株)製「IBXA」(一分子当たり官能基数:1.0)
・Ca(Me)2:メタクリル酸カルシウム、東京化成工業(株)製「Calcium Methacrylate」(一分子当たり官能基数:2.0、分子量:210.24)
・Om-907:2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、IGM Resins製「Omnirad 907」
・DETX:ジエチルチオキサントン、IGM Resins製「Omnirad DETX」
・SH-28:ポリエーテル変性シリコーン、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製「DOWSIL SH-28」
・OA-386:1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]-4or5-メチルベンゾトリアゾール、大和化成(株)製「VERZONE OA-386」
・M-402:ジペンタエリスリトール ペンタ/ヘキサアクリレートを主成分とするジペンタエリスリトールとアクリル酸の反応生成物、東亞合成(株)製「アロニックスM-402」(一分子当たり官能基数:5.7、分子量:562)
・UN-6200:ウレタンアクリレート(一分子当たり官能基数:2.0、分子量:27000)、根上工業(株)製、「アートレジン UN-6200」
・M-309:トリメチロールプロパントリアクリレート、東亞合成(株)製「アロニックスM-309」(一分子当たり官能基数:3.0、分子量:296)
・M-930:グリセリントリアクリレート、東亞合成(株)製「アロニックスM-930」(一分子当たり官能基数:3.0、分子量:254)
・OT-1005:ウレタンアクリレート、東亞合成(株)製「アロニックスOT-1005」(一分子当たり不飽和エチレン基数:3.0、分子量:312、アクリロイル基濃度:3.201mоl/kg)
・BzMA:ベンジルメタクリレート、共栄社化学(株)製「ライトエステルBz」(一分子当たり官能基数:1.0)
・BzA:ベンジルアクリレート、大阪有機化学(株)製「ビスコート#160」(一分子当たり官能基数:1.0)
・ACMO:アクリロイルモルフォリン、KJケミカルズ(株)製「ACMO」(一分子当たり官能基数:1.0)
・EEEA:エトキシエトキシエチルアクリレート、大阪有機化学(株)製「ビスコート#190」(一分子当たり官能基数:1.0)
・IBXA:イソボルニルアクリレート、大阪有機化学(株)製「IBXA」(一分子当たり官能基数:1.0)
・Ca(Me)2:メタクリル酸カルシウム、東京化成工業(株)製「Calcium Methacrylate」(一分子当たり官能基数:2.0、分子量:210.24)
・Om-907:2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、IGM Resins製「Omnirad 907」
・DETX:ジエチルチオキサントン、IGM Resins製「Omnirad DETX」
・SH-28:ポリエーテル変性シリコーン、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製「DOWSIL SH-28」
・OA-386:1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]-4or5-メチルベンゾトリアゾール、大和化成(株)製「VERZONE OA-386」
(防錆性能の評価)
以下の手順にて硬化物を作成した。SS400鋼板テストピース上に、電解液(Sigma Aldrich製、「Lithium hexafluorophosphate(LiPF6) solution」)を1cm2あたり0.01g塗布した後、電解液の上から、製造した組成物をバーコーターで塗布し、LED光源を用いて365nmの紫外線を照射し、硬化物を製造した。紫外線強度は250mW/cm2、積算光量は1000mJ/cm2であった。硬化物の膜厚は10μmに設定した。
以下の手順にて硬化物を作成した。SS400鋼板テストピース上に、電解液(Sigma Aldrich製、「Lithium hexafluorophosphate(LiPF6) solution」)を1cm2あたり0.01g塗布した後、電解液の上から、製造した組成物をバーコーターで塗布し、LED光源を用いて365nmの紫外線を照射し、硬化物を製造した。紫外線強度は250mW/cm2、積算光量は1000mJ/cm2であった。硬化物の膜厚は10μmに設定した。
次に、作成した硬化物を60℃、90%RHの条件下で72時間放置し、電解液を塗布した箇所の発錆を目視で確認し、以下の4水準で評価した。
A:発錆が電解液を塗布した面積全体の5%未満
B:発錆が電解液を塗布した面積全体の5%以上10%未満
C:発錆が電解液を塗布した面積全体の10%以上50%未満
D:発錆が電解液を塗布した面積全体の50%以上
A:発錆が電解液を塗布した面積全体の5%未満
B:発錆が電解液を塗布した面積全体の5%以上10%未満
C:発錆が電解液を塗布した面積全体の10%以上50%未満
D:発錆が電解液を塗布した面積全体の50%以上
(温水吸水率の評価)
以下の手順にて硬化物を作成した。10cm四方のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、7cm四方、厚さ2mmで、中央に5cm四方の穴があるゴムシートを設置し、組成物を流し込み、液面を前述と同じPETフィルムでラミネートした後、その上面と底面を10cm四方のガラス板で挟んで固定した状態で、80W/cmの高圧水銀ランプにより紫外線を照射した。ランプ高さは30cmとし、裏表ともに30秒ずつ照射し、さらにガラス板とPETフィルムを除いた状態にして裏表各1分ずつ照射することで硬化物を得た。
以下の手順にて硬化物を作成した。10cm四方のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、7cm四方、厚さ2mmで、中央に5cm四方の穴があるゴムシートを設置し、組成物を流し込み、液面を前述と同じPETフィルムでラミネートした後、その上面と底面を10cm四方のガラス板で挟んで固定した状態で、80W/cmの高圧水銀ランプにより紫外線を照射した。ランプ高さは30cmとし、裏表ともに30秒ずつ照射し、さらにガラス板とPETフィルムを除いた状態にして裏表各1分ずつ照射することで硬化物を得た。
次に、得られた硬化物を50℃で1時間乾燥し、23±0.5℃、50±2.5%R.H.で24時間状態調整したのち、60℃の水に24時間浸漬し、浸漬前及び後の硬化物質量を秤量した。温水吸水率(%)は次の式より計算した。
温水吸水率(%)=
(浸漬前後の質量変化量÷浸漬前の硬化物質量)×100(質量%)
(浸漬前後の質量変化量÷浸漬前の硬化物質量)×100(質量%)
(カルシウム塩分散試験)
撹拌子と前記の通り作成した組成物10gを、容積20mLのスクリュー管瓶に投入し、ホットスターラーにより80℃で30分撹拌した。その後撹拌子を取り除き、23±0.5℃、50±2.5%RHで7日間放置し、組成物中のカルシウムの分散性を評価した。以下の水準で評価した。
○:カルシウム塩が分散し、液面の上澄みや容器の底面に沈殿物がみられない。
×:カルシウム塩が沈殿し、液面の上澄み・容器底面の沈殿物のうち少なくともどちらか一方を視認できる。
―:試験未実施(カルシウム塩を含有しないため)
撹拌子と前記の通り作成した組成物10gを、容積20mLのスクリュー管瓶に投入し、ホットスターラーにより80℃で30分撹拌した。その後撹拌子を取り除き、23±0.5℃、50±2.5%RHで7日間放置し、組成物中のカルシウムの分散性を評価した。以下の水準で評価した。
○:カルシウム塩が分散し、液面の上澄みや容器の底面に沈殿物がみられない。
×:カルシウム塩が沈殿し、液面の上澄み・容器底面の沈殿物のうち少なくともどちらか一方を視認できる。
―:試験未実施(カルシウム塩を含有しないため)
(結果)
実施例1~同4の結果から明らかなように、これらの組成物から得られるコーティングは高い防錆性能(A~B)を示した。また、これら組成物から得られるコーティングは高い架橋密度を有していた。同時に、コーティングは、低い吸水率(1.5%以下)を有していた。
実施例1~同4の結果から明らかなように、これらの組成物から得られるコーティングは高い防錆性能(A~B)を示した。また、これら組成物から得られるコーティングは高い架橋密度を有していた。同時に、コーティングは、低い吸水率(1.5%以下)を有していた。
実施例1~同4と比較例1~同2を比較すると、カルシウム塩である成分Cを含有しない組成物から得られるコーティングの比較例の防錆性能は低く(評価D)、防錆性が顕著に低下した。以上より、カルシウム塩が、発錆の原因である酸のフッ化物イオンと結合し、水に不溶で不活性なフッ化カルシウムとなったことで、防錆出来たと考えられる。
実施例1~同4と比較例3を比較すると、芳香族環を有する硬化性成分である成分Bが含まれない組成物から得られるコーティングは防錆性が低かった(評価D)。これは、実施例1~同4においては芳香族環上のπ電子-カルシウム塩間に作用するπ-カチオン相互作用によって、硬化物中にカルシウム塩が安定して分散したためと考えられる。
ここで、組成物におけるカルシウム塩の分散試験結果を比較すると、実施例1~同4では1週間樹脂中に安定して分散していたのに対して、比較例3では沈降がみられた。この結果は前記の考察結果を支持するものである。
また、実施例1~同4と比較例3を比較すると、芳香族環を有する硬化性成分である成分Bでなく、水との親和性が高いACMOを成分Bとする比較例3から得られるコーティングは吸水率が高かった(3.64%)。このことから、芳香族環を有する成分Bは、吸水抑制にも貢献していると考えられる。
実施例1~同4と比較例4~同10を比較すると、架橋密度が低い組成物から得られるコーティングは、防錆性能が低かった(評価C~D)。この結果から、架橋密度が低いと外気からの水分を透過すること(透湿性)を抑制できないため、十分に防錆出来ないと考えられる。なかでも、比較例4~5から、芳香族環を有する成分B及びカルシウム塩である成分Cを含んでいても、成分Aの含有量が低く(60%、40%)、架橋密度が低いと、吸水率が確保されていても、防錆性能が架橋密度に応じて低くなることがわかった。さらに、比較例6~同7からは、芳香族環を有する成分B及びカルシウム塩である成分Cを含んでいても、ウレタンアクリレート(OT-1005)を成分Aに用いるなどすることで、架橋密度が低くなり、防錆性能が低下し吸水率が増大してしまうことがわかった。さらに、比較例8~同9から、成分Aの1つである、1分子あたりの官能基数が5.7個であるM-402に替えて、同2個であるUN-6200(ウレタンアクリレート(オリゴマー))に変更することで、架橋密度も低下し吸水率が顕著に増大してしまうことがわかった。さらに、比較例3及び同10から、成分Bとして、芳香族環を有しないアクロイルモルフォリンやイソボルニルアクリレートなどの非芳香族環含有アクリレートを用いることで、カルシウム塩分散性能が低下してしまうことがわかった、
実施例1~同4と比較例11を比較すると、ベンゾトリアゾール系防錆剤を使用している比較例11では防錆性が低かった(評価D)。この結果から、従来のベンゾトリアゾール系のような防錆剤では発錆を抑制できない過酷な条件下、成分Cを含有することで、十分な防錆性能を発揮できることがわかった。
芳香族環の効果を確認するため、参考例のような、非重合性の芳香族環化合物としてキシレンを含む組成を検討した。比較例3と参考例との結果より、キシレンを添加することでCa塩の分散性が大幅に向上したことが分かる。芳香族環化合物をモノマーに限らず含有することで、Ca塩の分散安定性を高められると推測できる。
以上より、成分Aに基づいて得られる架橋密度、成分A及び成分Bに基いて得られる耐水性、及び成分Cに基づく酸の捕捉性能(耐酸性)によって、組成物から得られるコーティングの防錆性能が向上されることがわかった。
Claims (20)
- 活性エネルギー線硬化型組成物であって、
(成分A)2個以上のエチレン性不飽和基を備える1種又は2種以上の化合物、
(成分B)少なくとも1個の芳香族環及び1個のエチレン性不飽和基を備える1種又は2種以上の化合物、及び
(成分C)エチレン性不飽和基を備える及び/又は備えない1種又は2種以上の金属塩、
を含み、
前記成分Aは、(メタ)アクリロイル基を3個以上備える(メタ)アクリレート(ただし、ウレタン(メタ)アクリレートを除く。)を含み、前記(メタ)アクリレートを、前記活性エネルギー線硬化型組成物における硬化性成分の総質量の65質量%以上80質量%以下含有し、
前記成分Bを前記活性エネルギー線硬化型組成物における硬化性成分の総質量の15質量%以上30質量%以下含有し、
前記成分Cを前記活性エネルギー線硬化型組成物の総質量の7.5質量%以上15質量%以下含有する、活性エネルギー線硬化型組成物。 - 前記(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を3個備える(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリロイル基を5個以上6個以下備える(メタ)アクリレートとを含む、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 前記(メタ)アクリロイル基を3個備える(メタ)アクリレートと、前記(メタ)アクリロイル基を5個以上6個以下備える(メタ)アクリレートは、それぞれ、グリセリントリアクリレート、及び、ジペンタエリスリトールのペンタアクリレート及びヘキサアクリレートを含む、請求項2に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 前記成分Bは、1個の芳香族環と1個の(メタ)アクリロイル基とを備える(メタ)アクリレートを含む、請求項1~3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 前記1個の芳香族環と(メタ)アクリロイル基とを備える(メタ)アクリレートは、ベンジル(メタ)アクリレートである、請求項4に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 前記成分Cは、(メタ)アクリロイル基を含有するアルカリ土類金属の塩を含む、請求項1~5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 前記(メタ)アクリロイル基を含有するアルカリ土類金属の塩は、メタクリル酸カルシウムである、請求項6に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 前記活性エネルギー線硬化型組成物は、以下に示す方法:
前記活性エネルギー線硬化型組成物の50mm×50mm×2mmの硬化物を、50℃で1時間乾燥し、23±2℃、50±5%R.H.で24時間静置したのち、60℃の水に24時間浸漬し、浸漬前後の硬化物質量を測定したとき、
以下の式で算出される温水吸水率が1.6質量%未満である、請求項1~7のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
温水吸水率(%)=
(浸漬後の硬化物質量-浸漬前の硬化物質量)/浸漬前の硬化物質量×100 - 前記活性エネルギー線硬化型組成物は、以下に示す方法:
SS400鋼板テストピース上に、電解液(Sigma Aldrich製、「Lithium hexafluorophosphate(LiPF6) solution」)を1cm2あたり0.01g塗布した後、電解液の上から、前記活性エネルギー線硬化型組成物をバーコーターで塗布し、LED光源を用いて365nmの紫外線を照射(紫外線強度を250mW/cm2、積算光量を1000mJ/cm2)して硬化させて得た膜厚10μmの硬化物を、60℃、90%RHの条件下で72時間放置し、電解液を塗布した箇所の発錆を確認する方法、
で確認したとき、発錆面積が電解液を塗布した面積全体の10%未満である、請求項1~8のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。 - 活性エネルギー線硬化型組成物であって、
(成分A)2個以上のエチレン性不飽和基を備える1種又は2種以上の化合物、
(成分B)少なくとも1個の芳香族環及び1個のエチレン性不飽和基を備える1種又は2種以上の化合物、及び
(成分C)エチレン性不飽和基を備える及び/又は備えない1種又は2種以上の金属塩、
を含み、
以下の式(1)で表される、架橋密度(mol/kg)が7.3以上である、活性エネルギー線硬化型組成物。
ただし、式(1)中、wiは、前記活性エネルギー線硬化型組成物中における成分i(ただし、成分iは、硬化性成分を表し、1≦i≦nであり、nは、2以上の整数である。)の質量分率、Mciは、成分iの架橋点間分子量(kg/mol)を表す。 - 前記成分Aは、前記エチレン性不飽和基を3個以上備える前記化合物を含む、請求項10に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 前記活性エネルギー線硬化型組成物は、前記活性エネルギー線硬化型組成物における硬化性成分の総質量の65質量%以上80質量%以下の前記成分Aを含有する、請求項10又は11に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- ]前記活性エネルギー線硬化型組成物は、前記活性エネルギー線硬化型組成物における硬化性成分の総質量の15質量%以上30質量%以下の前記成分Bを含有する、請求項10~12のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 前記活性エネルギー線硬化型組成物は、前記活性エネルギー線硬化型組成物の総質量の7.5質量%以上15質量%以下の前記成分Cを含む、請求項10~13のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 前記活性エネルギー線硬化型組成物は、
さらに、(成分D)光重合開始剤を含み、
前記活性エネルギー線硬化型組成物の総質量の7.5質量%以上15質量%以下の前記成分Dを含む、請求項10~14のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。 - 前記活性エネルギー線硬化型組成物は、以下に示す方法:
前記活性エネルギー線硬化型組成物の50mm×50mm×2mmの硬化物を、50℃で1時間乾燥し、23±2℃、50±5%R.H.で24時間静置したのち、60℃の水に24時間浸漬し、浸漬前後の硬化物質量を測定し、
以下の式で算出される温水吸水率が1.6質量%未満である、請求項10~15のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
温水吸水率(%)=
(浸漬後の硬化物質量-浸漬前の硬化物質量)/浸漬前の硬化物質量×100 - 前記活性エネルギー線硬化型組成物は、以下に示す方法:
SS400鋼板テストピース上に、電解液(Sigma Aldrich製、「Lithium hexafluorophosphate(LiPF6) solution」)を1cm2あたり0.01g塗布した後、電解液の上から、前記活性エネルギー線硬化型組成物をバーコーターで塗布し、LED光源を用いて365nmの紫外線を照射(紫外線強度を250mW/cm2、積算光量を1000mJ/cm2)して硬化させて得た膜厚10μmの硬化物を、60℃、90%RHの条件下で72時間放置し、電解液を塗布した箇所の発錆を確認する方法、
で確認したとき、発錆面積が電解液を塗布した面積全体の10%未満である、請求項10~16のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。 - 金属材料からなる表面を有するコーティング対象に対するコーティング剤組成物である、請求項1~17のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- コーティング対象の防錆方法であって、
金属材料からなる表面を有する前記コーティング対象の前記表面に請求項1~18のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を供給し、
前記コーティング対象の前記表面上の前記活性エネルギー線硬化型組成物に活性エネルギー線を照射する、方法。 - コーティングを備える被コーティング体の製造方法であって、
コーティング対象の表面に、請求項1~18のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を供給し、
前記コーティング対象の前記表面上の前記活性エネルギー線硬化型組成物に活性エネルギー線を照射する、方法。
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Citations (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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| JPH05320283A (ja) * | 1992-05-15 | 1993-12-03 | Nippon Kayaku Co Ltd | 水中油滴型放射線硬化性樹脂エマルション組成物 |
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2025
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