明 細 書
血圧降下作用を有するジペプチド
技術分野
[0001] 本発明は、血圧降下作用を有するジペプチド、該ジペプチドを含む組成物、該組 成物のビール酵母からの抽出製造法、並びに該ジペプチド又は組成物を含有する 飲食品、機能性食品及び医薬品に関する。
背景技術
[0002] 現在国民の 4人に 1人は高血圧であると言われている。高血圧はサイレントキラーと 言われ、大きな症状は無い。し力し放っておくと、主要死因の上位を占めている脳血 管障害や、心疾患、さらに動脈硬化など、各種疾病を引き起こす。高血圧の治療とし て、現在、さまざまな治療薬が使用されているが、そのレ、くつかについては、副作用 の問題が懸念されている。
[0003] 高血圧の原因物質として知られる、強力な血管収縮物質であるアンジォテンシン II ( Asp-Arg-Val-Try-Ile-His-Pro-Phe)は、不活性型ペプチドであるアンジォテンシン I (Asp- Arg- Val_Try-Ile-His-Pro- Phe-His-Leu)から、それが肺及び腎臓を循環する 間に C末端側の His-Leuがアンジォテンシン変換酵素 (ACE)により切断されることに よって生成されることが知られている。近年では、このアンジォテンシン Iからアンジォ テンシン IIへの変換を伴う腎臓のレニン一アンジォテンシン系(RAS)力 高血圧症の 約 90%を占める本態性高血圧の発症に密接に関連しているとの報告もなされている 。一方でアンジォテンシンド変換酵素 (ACE)は、キュン一カリクレイン系において降圧 ペプチドであるブラジキニンの分解を不活化する反応も触媒する。これらのこと力 、 ACE活性を阻害すれば、血圧上昇が抑制され、高血圧の抑制につながることが予測 される。
[0004] これまでに、 ACE活性を阻害する様々なペプチド化合物が合成されてきてレ、る(特 許文献 1及び 2)。また、乳タンパク質、魚介類及び植物起源のペプチド類からも、ァ ンジォテンシン I変換酵素の基質と拮抗する基質として作用し、その結果血圧上昇レ ベルを低く維持するペプチド類が見出されており、それらの食品としての長期間にわ
たる摂取は高血圧の予防に有効であることが報告されている(非特許文献 1〜3)。最 近では、 ACEを特異的に阻害したり、アンジォテンシン Iと同じように ACEの基質として 作用して相対的に低レ、 ACE活性をもたらしたりすることにより血圧上昇を抑制し、高 血圧を改善 ·予防する成分を、様々な食品起源のタンパク質から創製 ·探索 ·分離す る試みが活発に行われている(特許文献 3〜6、非特許文献 4〜9)。また、機能性食 品素材の一つであるローヤルゼリー(RJ)に含まれるタンパク質は、タンパク質分解酵 素処理によって ACE阻害活性が著しく増強することが見出されており(非特許文献 1 0)、その際に遊離したペプチド類の経口投与によって、高血圧自然発症ラッ HSHR) の血圧を降下させることも合わせて報告されてレ、る(非特許文献 11)。
特許文献 1 :特開昭 57— 53447号公報
特許文献 2:特開平 2— 282395号公報
特許文献 3:特開平 5— 958号公報
特許文献 4:特開平 11 29594号公報
特許文献 5:特開 2002— 29995号公幸艮
特許文献 6 :特開 2002— 291452号公報
非特許文献 1 :関栄治ら著, 「イワシタンパク質由来のペプチドならびに Valy卜 Tyrosi neの降圧作用」, 日本栄養'食糧学会誌, (1999) 52, p.271-277
非特許文献 2 :大鶴勝ら著, 「マイタケ投与が高血圧自然発症ラットの血圧および体 重に及ぼす影響」, 日本食品工業学会誌,(1999) 46, p.806-814
非特許文献 3 :川岸舜朗編, 「生物化学実験法 38 食品中の生体機能調節物質研 究法」,学会出版センター, (1996), p.116-129
非特霄千文献 4: Sato, M. et al., Angiotensin I_し onverting Enzyme Inhibitory Peptides Derived from Wakame (Undaria pinnatifida) and Their Antihypertensive Effect in Sp ontaneously Hypertensive Rats., J. Agric. Food. Chem., (2002) 50, p.6245-6252 非特許文献 5 : Nakamura, Y. et al., Purification and characterization of Angiotensin- converting enzyme inhibitors from sour milk., J. Dairy Sci., (1995) 78, p.777-783 非特許文献 6 :受田浩之ら著, 「イワシタンパク質加水分解物からの ΑΝΏ変換酵素 阻害ペプチドの調製とその分離」, 日本農芸化学会誌, (1991) 65, ρ.1223-1228
特許文献 7 : Matsui, T. et al., Preparation and Characterization of Novel Bioactive Peptides Responsible for Angiotensin I-Converting Enzyme Inhibition from Wheat Germ., J. Peptide ScL, (1999) 5, p.289- 297
非特許文献 8 :受田浩之ら著, 「加熱イワシ筋肉のペプシン加水分解物中に存在す るアンジォテンシン I変換酵素阻害ペプチド」, 日本農芸化学会誌,(1992) Vol.66, N 0.1, pp.25-29
非特許乂献 9: Saiga, A. et al., Angiotensinトし onverting Enzyme Inhibitory Peptides in a Hydrolyzed Cmcken Breast Muscle Extract., J. Agric. Food Chem. (2003) 51, pp.1741-1745
非特許文献 10 :鈴木和道ら著, 「プロテアーゼによるローヤルゼリー分解物のアンジ ォテンシン変換酵素阻害活性」, 日本食品科学工学会誌, (2003) 50, p.286-288 非特許文献 11:鈴木和道ら, 「血圧自然発症ラットに対する蛋白質分解酵素処理口 ーャルゼリーの血圧調節作用」, 日本食品科学工学会誌, (2003) 50, p.47-462 発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] 本発明は、アンジォテンシン I変換酵素の阻害活性を有し、血圧降下作用を示す物 質、該物質の製造方法、並びに該物質を含む飲食品、機能性食品及び医薬品を提 供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0006] 本研究者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行い、乾燥ビール酵母の加 水分解物に由来するペプチド画分を高血圧自然発症ラット (SHR)に投与すると、ラット の血圧が降下することを見出した。そこで本発明者らは、乾燥ビール酵母加水分解 物中から、アンジォテンシン I変換酵素 (ACE)活性を阻害するペプチドの探索を行つ たところ、血圧降下作用を有する 2種のペプチド Ala_Phe及び Gly_Pheが見出された。 本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものであり、すなわち以下の通りである
[0007] [1]ァラエルフエ二ルァラニン(Ala-Phe)であるジペプチド又はその塩。
[0008] [2]ダリシルフェニルァラニン(Gly-Phe)であるジペプチド又はその塩。
[0009] [3]ァラユルフェ二ルァラニン(Ala-Phe)、グリシルフヱ二ルァラニン(Gly_Phe)、及び それらの塩からなる群より選択される少なくとも 1つを含有する、アンジォテンシン変 換酵素阻害用組成物。
[0010] [4]以下の工程 a)〜c)を含む、アンジォテンシン変換酵素阻害用組成物の製造方法
[0011] a)ビール酵母を加水分解する工程、
b)その加水分解物をクロマトグラフィー法によって分画する工程、及び c)ァラニルフエ二ルァラニン (Ala-Phe)及び/又はグリシルフェニルァラニン(Gly- Phe)を含有する画分を分取する工程
[5]ァラエルフエ二ルァラニン(Ala-Phe)及び/又はグリシルフェニルァラニン(Gly_P he)を含有する画分が、分子量 150〜2,000のペプチドを含む画分である、上記 [4]に 記載の方法。
[0012] [6]上記 [4]又は [5]に記載の方法により製造された、アンジォテンシン I変換酵素阻害 用組成物。
[0013] [7]上記 [1]又は [2]に記載のジペプチド又はその塩を含有する、飲食品用素材。
[0014] [8]上記 [1]又は [2]に記載のジペプチド又はその塩を含有する、飲食品。
[0015] [9]上記 [1]又は [2]に記載のジペプチド又はその塩を添加増量した飲食品。
[0016] [10]上記 [3]又は [6]に記載の組成物を含有する、飲食品用素材。
[0017] [11]上記 [10]に記載の飲食品用素材を添加した飲食品。
[0018] [12]飲料である、上記 [8]、 [9]又は [11]に記載の飲食品。
[0019] [13]血圧を降下させるための、上記 [8]、 [9]、 [11]又は [12]記載の飲食品。
[0020] [14]上記 [1]及び [2]に記載のジペプチド又はその塩を含有する、医薬組成物。
[0021] [15]上記 [3]又は [6]に記載の組成物を含有する、医薬組成物。
[0022] [16]血圧降下剤である、上記 [14]又は [15]に記載の医薬組成物。
[0023] [17]以下の工程 a)〜c)を含む、ァラユルフェ二ルァラニン (Ala-Phe)及び Z又はダリ シルフェニルァラニン(Gly-Phe)を含有する組成物の製造方法。
[0024] a)ビール酵母を加水分解する工程、
b)その加水分解物を、疎水性吸着剤を充填したカラムに通液する工程、及び
c) 50〜100%の濃度のエタノール水溶液を用いて、その疎水性吸着剤から吸着物 質を溶出させる工程
発明の効果
[0025] 本発明に係るペプチド Ala_Phe、 Gly-Phe及びそれらの塩、並びにそれらを含む組 成物は、アンジォテンシン I変換酵素 (ACE)阻害活性を有する。本発明のペプチド、 その塩、及びそれらを含む組成物は、血圧上昇を抑制する効果を発揮する。本発明 のペプチド、その塩、又はそれらを含む組成物を含有する飲食品用素材、飲食品及 び医薬組成物は、例えば経口投与によって、血圧上昇を抑制することができる。
[0026] 本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願 2004-166223号の明細書 および/または図面に記載される内容を包含する。
図面の簡単な説明
[0027] [図 1]図 1は、乾燥ビール酵母加水分解物の調製手順を示す概略図である。
[図 2]図 2は、乾燥ビール酵母加水分解物の ACE阻害活性の測定手順を示す概略 図である。
[図 3]図 3は、各実験群への飼料給与スキームを示す図である。
[図 4]図 4は、各実験群における血圧の推移を表す図である。
[図 5]図 5は、各実験群における血圧変化量を表す図である。
[図 6]図 6は、血清中のアンジォテンシン I変換酵素活性の測定手順を示す概略図で ある。
[図 7]図 7は、腎臓力 のアンジォテンシン I変換酵素活性測定用サンプノレの調製手 順を示す概略図である。
[図 8]図 8は、 50%EtOH溶出画分力 ACE阻害物質を同定するために用いた実験手 順を示す概略図である。
[図 9]図 9は、 S印 hadex_G-25カラムクロマトグラフィーによる酵母アルカラーゼ加水分 解物の溶出パターンと、溶出画分の ACE阻害活性を示す図である。
[図 10]図 10は、画分 18の逆相分取 HPLCクロマトグラムを示す図である。ピーク画分 A〜Cが示されている。
[図 11]図 11は、画分 18の逆相分取 HPLCクロマトグラムを示す図である。ピーク画分
D〜Fが示されている。
[図 12]図 12は、画分 Bと画分 Eの混合物をゲル濾過 HPLCに掛けて得られた HPLCク 口マトグラムを示す図である。
[図 13]図 13は、画分 Gのマススペクトラムとフヱニルァラニンの化学構造式を示す。
[図 14]図 14は、画分 Hのマススペクトラムとァラユルフェ二ルァラニンの化学構造式を 示す。
[図 15]図 15は、画分 Iのマススペクトラムとダリシルフヱ二ルァラニンの化学構造式を 示す。
[図 16]図 16は、 AF又は GFの単回経口投与に伴う収縮期血圧の変動を示す図であ る。
[図 17]図 17は、 AF又は GFの単回経口投与に伴う最大収縮期血圧変化量の推移を 示す図である。
発明を実施するための最良の形態
[0028] 以下、本発明を詳細に説明する。
[0029] 1)アンジォテンシン I変換酵素(ACE)阻害活性を有する、ペプチド Ala-Phe、 Gly-Phe 及びそれらの塩、並びにそれらを含むアンジォテンシン I変換酵素阻害用組成物 本発明に係るペプチドである、ァラユルフェ二ルァラニン (Ala-Phe)、ダリシルフェニ ルァラニン(Gly-Phe)及びそれらの塩は、それぞれ、アンジォテンシン変換酵素(AC E)阻害活性を有する。
[0030] 本発明において、ァラユルフェ二ルァラニン (Ala_Phe)とは、 N末端のァラニン残基 と C末端のフエ二ルァラニン残基とを含むジペプチドを意味する。本発明におけるァ ラエルフエ二ルァラニンの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
[0031] 本発明では、ダリシルフヱ二ルァラニン(Gly-Phe)は、 N末端のグリシン残基と C末端 のフエ二ルァラニン残基とを含むジペプチドを意味する。本発明におけるグリシノレフ ェニルァラニンの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
[0032] 本発明のペプチド Ala_Phe、 Gly-Phe又はそれらの塩は、当業者に公知のペプチド 合成法、例えば、限定するものではないが、化学的若しくは酵素的切断法、化学合 成法 (液相法、固相法、カラム法及びバッチ法等)、クロマトグラフィー法による精製抽
出法等を利用して製造することができる。ペプチド合成法の詳細は、例えば" The Pep tides: Analysis, Synthesis, Biology, Vol. 1〜5, E. ross, J. Meienhofer編; Vol.6〜9 , S. Udenfriend, J. Meienhofer, Academic Press, New York (1979〜1987)、「ペプチド 合成の基礎と実験」(泉屋信夫ら著,丸善 (株)(1985) )等に記載されている。
[0033] また本発明のペプチド Ala- Phe、 Gly- Phe及びそれらの塩力 なる群力 選択される 少なくとも 1つを含有する組成物も、アンジォテンシン変換酵素阻害活性を有する。 従って本発明のこのような組成物は、アンジォテンシン I変換酵素 (ACE)阻害用組成 物として用いることができる。本発明のペプチド Ala_Phe、 Gly-Phe及びそれらの塩か らなる群から選択される少なくとも 1つを含有する組成物は、ビール酵母加水分解物 力 得られるペプチド画分(以下、 AF/GFビール酵母由来画分と呼ぶ)として調製す ることちでさる。
[0034] 本発明に係る AF/GFビール酵母由来画分は、当業者に公知の任意の手法を用い て、以下の工程 a)〜 :
a)ビール酵母を加水分解する工程、
b)その加水分解物をクロマトグラフィー法によって分画する工程、及び c)ァラニルフエ二ルァラニン (Ala-Phe)及び/又はグリシルフェニルァラニン(Gly- Phe)を含有する画分を分取する工程を含む方法によって製造することができる。ビー ル酵母由来画分に含まれるペプチドの分子量は、 150〜2000の範囲にあることが望 ましいが、これに限定されるものではない。
[0035] AF/GFビール酵母由来画分の製造に使用するビール酵母は、ビールの醸造に用 いられる任意の酵母であってよレ、が、サッカロミセス'セレピシェ(Saccharomyces cere visiae)、サッカロミセス'ハストリアヌス (Saccharomyces pastorianus)、サッ刀口ミセス' バヤナス(Saccharomyces bayanus)等を用いることが好ましレ、。本発明に係るビール 酵母は、乾燥状態 (例えば粉末状又は顆粒状)であってもよいし、培養物であっても よい。本明細書で用いる「培養物」とは、培養中の細胞(菌体)と培地とを含む培養液 、及び培養液から分離された培養細胞を包含する。
[0036] ビール酵母に適用する加水分解法には、典型的には酵素的又は化学的な加水分 解法がある。酵素的な加水分解法としては、例えば、アルカリ性プロテアーゼ、中性
プロテアーゼ、及び酸性プロテア一ゼ等を含むプロテアーゼによって処理する方法 が挙げられる。本発明で用いるプロテアーゼとしては、アルカリ性プロテアーゼ(アル カラーゼ(Alcalase 2.4L FG ;novozymes社製)等)が好ましレ、が、これに限定されるも のではない。化学的な加水分解法としては、例えば、強酸又は強アルカリによって処 理する方法が挙げられる。加水分解の条件としては、公知の加水分解法で用いられ る任意の条件を用いればよい。酵素法における酵素の添加量は、通常、タンパク質 1 g当たり 0.001%以上、好ましくは 0.1〜10%が適当である。反応 pH及び反応温度は、 使用する酵素の至適 pH、至適温度付近に設定することが好ましい。反応時間は、酵 素の種類、添加量、反応温度、反応 pHに合わせて当業者が適宜設定することができ るが、通常は、 30分〜 40時間の範囲である。加水分解反応の停止は、反応混合液の 加熱や pH変化等による酵素の失活、限外濾過等による酵素の濾別等を含む公知の 方法に従って行うことができる。
AF/GFビール酵母由来画分を分画するための手法として、有機物の分析に用いる 様々な技術を用いることができる。そのような分画技術としては、例えば、限外濾過や 精密濾過等の膜濾過、ゲル浸透クロマトグラフィーやゲル濾過クロマトグラフィー(例 えば、高速液体クロマトグラフィー)等のサイズ排除クロマトグラフィー、分配クロマトグ ラフィー、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー等が挙げられる。具体 的には例えば、ビール酵母加水分解物をクロマトグラフィーにかけて分画し、 Ala-Phe 及び Z又は Gly-Pheを含む画分を同定し、それを分取することが好ましい。ビール酵 母加水分解物を順次異なるクロマトグラフィーにかけて、より精製された画分を得ても よい。この場合、ビール酵母加水分解物を、まず、疎水性を有する物質が吸着される 吸着剤(例えば Amberlite™XAD-2™樹脂を充填したクロマトグラフィーに通し、有機 溶媒(例えばエタノール(50〜100%EtOH)やメタノール等)で吸着画分を溶出させる ことにより疎水性を有する物質を含む画分を分取し、その画分を HPLC等のクロマトグ ラフィ一法によってさらに分画し、各画分の ACE阻害活性を測定し、高レ、 ACE阻害活 性を有する画分を分取し、得られた画分をさらに HPLC等で分画してもよい。疎水性 を有する物質を吸着する吸着剤としては、 Amberlite(R)XAD-2™樹脂(Rohm & Haas社 製;ポリスチレンージビュルベンゼン共重合体、平均細孔径 90A、比表面積 300m2/g
、細孔容積率 42%、真の密度 1.02g/ml)、 Amberlite1 MXAD-41 M樹脂等が挙げられる 。ビール酵母加水分解物は、クロマトグラフィーにかける前に、遠心分離や濾過等で 固形成分を除去することが好ましレ、。
[0038] AF/GFビール酵母由来画分の具体的な製造方法の例は、実施例 1及び 4に記載 した。
[0039] このようにして製造される AF/GFビール酵母由来画分は、八1& 1½ (分子量236.12) 、 Gly-Phe (分子量 222.10)及び/又はその塩を含有する。単一ピークのみを含む画 分にまで分画して、アミノ酸分析又は質量分析を行えば、その画分に含まれる Ala-P he、 Gly-Phe又はそれらの塩をさらに明確に確認することができる。アミノ酸分析や質 量分析は当業者に公知の方法に従って行えばよい。例えばアミノ酸分析は、アミノ酸 分析計 (ATO MLC-703型)を用いて、製造業者の説明書に従って実施することがで きる。また質量分析は、液体クロマトグラフ/タンデム型質量分析装置 (LC/MS/MS ; Lし Q Advantage ion trap mass spectrometer (Thermo Finmgan))等を用い飞ィ丁つこと ができる。
[0040] 以上のような AF/GFビール酵母由来画分は、そのままの溶液状態で、アンジォテン シン変換酵素阻害用組成物として用いることができる。あるいは、 AF/GFビール酵母 由来画分に、例えば濃縮及び/又はエタノール除去等のさらなる処理を施したもの を、アンジォテンシン変換酵素阻害用組成物として用いてもよい。濃縮には、任意の 手法を用いればよいが、加熱濃縮法、減圧加熱濃縮法やエタノール沈殿による濃縮 方法、及び活性炭やイオン交換樹脂による濃縮法などが挙げられる。 AF/GFビール 酵母由来画分を乾燥させて、アンジォテンシン変換酵素阻害用組成物として用いる こともできる。そのような乾燥のための手法としては、風乾法、凍結乾燥法、スプレー ドライ法、減圧乾燥法、及び加熱乾燥法等の任意の手法が挙げられる。本発明のァ ンジォテンシ M変換酵素(ACE)阻害用組成物は、 Ala-Phe、 Gly_Phe及び/又はそ れらの塩に加えて、場合により、薬剤に慣用的に添加される任意の賦形剤(水、安定 化剤、緩衝剤、保存剤、及び抗酸化剤等)をさらに含んでいてもよい。
[0041] なお本発明は、上記の AF/GFビール酵母由来画分又はその画分からさらに分画し た単一ピーク画分などの、ァラニルフエ二ルァラニン (Ala-Phe)及び/又はグリシルフ
ェニルァラニン (Gly-Phe)を含有する組成物の製造方法にも関する。本発明のそのよ うな組成物の製造方法は、本明細書でも既に上述しているが、少なくとも以下の工程 a)〜c):
a)ビール酵母を加水分解する工程、
b)その加水分解物を、疎水性吸着剤を充填したカラムに通液する工程、及び c)濃度が 0〜100% (好ましくは 50〜100%)のエタノール水溶液を用いて、その疎 水性吸着剤から吸着物質を溶出させる工程、
を含む。
[0042] この製造方法において、工程 a)でビール酵母に適用する加水分解法は上述の通り である。また、工程 b)で用いる疎水性吸着剤としては、限定するものではないが、 Amb erlite XAD_2、 Amberlite XAD_4、 Amberlite XAD_7、及び Amberlite XAD-10などの Amberlite XAD樹脂シリーズの吸着剤(Rohm & Haas, USA)が挙げられる。工程 b)で 用いる疎水性吸着剤としては、とりわけ Amberlite XAD-2が好適である。
[0043] さらに、この製造方法の工程 c)では、 0〜100% (但し 0%を除く)、好ましくは 50〜100 %の範囲に含まれる任意の濃度のエタノール水溶液を、適宜使用することができる。 この工程 c)における溶出法としては、例えばステップワイズ溶出、グラディエント溶出 などの様々なカラム溶出手順を用いることができる。
[0044] 上記の工程 c)で溶出させた吸着物質には、ァラユルフェ二ルァラニン (Ala-Phe)及 びダリシルフヱ二ルァラニン(Gly_Phe)の両方が含まれ得る。その場合、工程 c)で溶 出させた吸着物質をさらにクロマトグラフィー等の公知の分画方法によって分離する ことにより、ァラユルフェ二ルァラニン(Ala_Phe)又はグリシルフヱ二ルァラニン(Gly-P he)を単独で含む画分を単離してもょレ、。
[0045] 2) Ala_Phe、 Glv_Phe、及びそれらの塩、並びにそれらを含むアンジォテンシン I変换 酵素阳.害用組成物の、アンジォテンシン I変換酵素阳.害活性
Ala_Phe、 Gly_Phe、及びそれらの塩、並びにそれらを含む組成物のアンジォテンシ ン I変換酵素 (ACE)阻害活性は、非特許文献 3に記載の方法で測定することができる 。以下測定法の例示を行う。
[0046] 本発明における ACE阻害活性測定法は、酢酸ェチル抽出法に従って in vitroでの
アンジォテンシン I変換酵素 (ACE)阻害率を算出し、それを指標として ACE阻害活性 を表すものである(非特許文献 3、図 2を参照)。具体的には、まず、 ACE阻害活性を 調べる被験サンプノレを、 lOmg/ml濃度になるように蒸留水を用いて調製する。また、ト リペプチド Hip-His- Leu、及び NaClを、反応溶液中の終濃度がそれぞれ 5mM、 400m Mになるようにホウ酸バッファー(pH8.3)に溶解したものを、アンジォテンシン変換酵 素の基質溶液として調製する。次いで、被験サンプル溶液 15 μ ΐに、調製した基質溶 液を 125 μ ΐ加え、 37°Cで 5分間インキュベートする。続いて、アンジォテンシン変換酵 素(ACE)溶液(60mU/mlになるようにホウ酸バッファー (pH8.3)で調製したもの) 50 μ 1 を加え、 37°Cで 30分間インキュベートする。次に、 IN HC1 125 μ 1を加えて反応を停 止させ、酢酸ェチル 0.75mlを加えて十分混合し、遠心分離(3,000rpm、 15°C、 10分) を行う。上層の酢酸ェチル層を採取し、減圧乾固したものを、蒸留水 1.0mlに溶解さ せる。最後に、その 228nmにおける吸光度を測定する。
[0047] 対照サンプルとしては、被験サンプル 50 μ 1に IN HC1 125 μ 1を加えて 37°Cで 5分間 インキュベートし、次いで基質溶液 125 μ 1と ACE溶液 50 /i lを加えて 37°Cで 30分間ィ ンキュペートした後、上記と同様に酢酸ェチル 0.75mlを加え、さらにそれ以後の一連 の操作を行って、サンプルブランクを調製する。また、被験サンプル溶液の代わりに ホウ酸バッファー 50 /i lを加えて基質溶液 125 μ ΐとともに 37°Cで 5分間インキュベート し、次いで IN HC1 125 μ 1をカロえ、続いて ACE溶液 50 μ 1を加えて 37°Cで 30分間イン キュペートした後、上記と同様に酢酸ェチル 0.75mlを加え、さらにそれ以後の一連の 操作を行って、ブランクを調製する。さらに、被験サンプル溶液の代わりに蒸留水を 加えること以外は上記と同様の一連の操作を行って、コントロールを調製する。サン プルブランク、ブランク、及びコントロールの吸光度測定を、上記と同様にして行う。
[0048] このようにして得られる吸光度の測定値に基づき、 ACEの阻害率(%)を以下の式に より算出する。
[0049] 阻害率(%) = {(Ec-Eb) - Es}/(Ec - Eb) X 100
Ec : コントローノレの吸光度
Eb : ブランクの吸光度
Es:被験サンプルの吸光度 サンプノレブランクの吸光度
本発明においては、この阻害率(%)で ACE阻害活性を表す。阻害率(%)が高い ほど ACE阻害活性も高 阻害率が低いほど ACE阻害活性も低レ、。
[0050] 3) Ala_Phe、 Glv_Phe、若しくはそれらの塩、又は本発明のアンジォテンシン変換酵 素 (ACE)阳.害用組成物を含有する飲食品及び飲食品用素材
本発明の、 Ala-Phe、 Gly_Phe、若しくはそれらの塩、又はそれらを含むアンジォテ ンシン I変換酵素 (ACE)阻害用組成物は、飲食品用素材として用いることができる。 この飲食品用素材は、適量を添加することにより、例えば血圧降下作用等の機能性 を飲食品に付与することができる。この飲食品用素材は、限定するものではないが、 液体状、粉末状、顆粒状、又は固形状等であってよい。本発明の飲食品用素材とし ては、例えば酵母エキス等が包含される。好ましくは、この飲食品用素材は、 Ala-Phe 、 Gly-Phe,若しくはそれらの塩、又はそれらを含むアンジォテンシン変換酵素 (ACE )阻害用組成物を高含量で含む。
[0051] 本発明は、 Ala-Phe, Gly_Phe、若しくはそれらの塩、又はそれらを含むアンジォテ ンシン I変換酵素 (ACE)阻害用組成物を添加した飲食品にも関する。本明細書にお いて「飲食品」とは、限定するものではないが、飲料、食品及び機能性食品を包含す る。
[0052] Ala-Phe, Gly_Phe、若しくはそれらの塩、又はそれらを含む ACE阻害用組成物の飲 食品への配合量は特に限定されず、例えば、 Ala-Phe, Gly-Phe及びそれらの塩の総 量力 0.001〜100重量%となる配合量を例示することができる。但し実際の配合量は 、飲食品の種類や求める味や食感を考慮して、当業者が適宜定めることができる。
[0053] 本発明のさらに好ましい態様は、 Ala- Phe、 Gly_Phe、若しくはそれらの塩、又はそ れらを含む ACE阻害用組成物を添加してその量を増大させた(添加増量した)飲食 品である。このような本発明に係る飲食品は、 Ala-Phe, Gly- Phe、若しくはそれらの塩 、又はそれらを含む ACE阻害用組成物のいずれ力 4つを、又はそれらを組み合わせ て、有効量にて含有することが特に好ましい。
[0054] Ala-Phe, Gly_Phe、若しくはそれらの塩、又はそれらを含むアンジォテンシンド変換 酵素 (ACE)阻害用組成物は、当業者が利用可能である任意の適切な方法によって 、飲食品に含有させればよレ、。例えば、 Ala-Phe, Gly_Phe、若しくはそれらの塩、又
はそれらを含む ACE組成物は、液状、固体若しくは顆粒状にカ卩ェしてから食品に含 有させてもよい。あるいは飲食品中に直接混合又は溶解してもよいし、飲食品中に坦 め込んでもよレ、。 Ala-Phe、 Gly_Phe、若しくはそれらの塩、又はそれらを含む ACE阻 害用組成物は、食品に塗布、被覆、浸透又は吹き付けてもよい。 Ala- Phe、 Gly_Phe、 若しくはそれらの塩、又はそれらを含む ACE阻害用組成物は、飲食品中に均一に分 布していてもよいし、不均一に分布していてもよレ、。あるいは Ala- Phe、 Gly_Phe、若し くはそれらの塩、又はそれらを含む ACE阻害用組成物は、食品中の特定部位に偏在 していてもよレ、。 Ala_Phe、 Gly_Phe、若しくはそれらの塩、又はそれらを含む ACE阻 害用組成物を、凍結乾燥させた状態で飲料に溶解する場合には、例えば水に溶解 させ、攪拌により均一に混合させた後、飲料、水等に添加することが好ましい。また、 Ala_Phe、 Gly_Phe、若しくはそれらの塩、又はそれらを含む ACE阻害用組成物を固 形食品に混合する場合は、例えば食品材料に添加し、攪拌により均一に混合した後 、加工することが好ましい。また、 Ala_Phe、 Gly_Phe、若しくはそれらの塩、又はそれ らを含む ACE阻害用組成物を含有させた飲食品をさらに加工することもできる。その ような加工製品も、本発明の範囲に包含される。あるいはまた、 Ala_Phe、 Gly_Phe、 若しくはそれらの塩、又はそれらを含む ACE阻害用組成物それ自体を、固形成形し たり、カプセルや糖衣錠等の形状に製剤したりしたものも、本発明の飲食品に包含さ れる。
本発明の飲食品の製造においては、飲食品に慣用的に使用される各種添加物を 使用してもよい。添加物としては、限定するものではないが、発色剤(亜硝酸ナトリウ ム等)、着色料 (クチナシ色素、赤 102等)、香料 (オレンジ香料等)、甘味料 (ステビ ァ、アステルパーム等)、保存料 (酢酸ナトリウム、ソルビン酸等)、乳化剤(コンドロイ チン硫酸ナトリウム、プロピレングリコール脂肪酸エステル等)、酸化防止剤(EDTA ニナトリウム、ビタミン C等)、 pH調整剤(タエン酸等)、化学調味料 (イノシン酸ナトリウ ム等)、増粘剤 (キサンタンガム等)、膨張剤 (炭酸カルシウム等)、消泡剤 (リン酸カル シゥム)等、結着剤 (ポリリン酸ナトリウム等)、栄養強化剤 (カルシウム強化剤、ビタミン A等)等が挙げられる。さらに、ォタネニンジンエキス、ェゾゥコギエキス、ユーカリェキ ス、杜仲茶エキス等の機能性素材を添加してもよレ、。
[0056] 本発明の飲料の種類は、特に限定されない。本発明の飲料は、例えば、お茶系飲 料(玄米茶や緑茶等の不発酵茶、紅茶等の発酵茶、ウーロン茶やジャスミン茶等の 半発酵茶、杜仲茶、柿の葉茶、熊笹茶、ギヤバロン茶、コーン茶、ハブ茶、菊花茶等 を含む飲料)、果物 ·野菜系飲料 (オレンジ、りんご、ぶどう、もも、いちご、バナナ、レ モンなどの果汁や、トマト、ニンジン、キャベツ、セロリなどの野菜汁を含む飲料)、ァ ルコール性飲料 (ビール、発泡酒、ウィスキー、ワイン、リキュール類等を含む飲料)、 炭酸飲料、乳酸菌飲料、乳飲料 (コーヒー牛乳、フルーツ牛乳、機能性牛乳等)、清 涼飲料、低カロリー飲料等の飲料を具体的に例示することができる。各種飲料の製 造法等については、既存の参考書、例えば「最新'ソフトドリンクス」 (2003) (株式会社 光琳)等を参考にすることができる。
[0057] 本発明の食品の種類は、特に限定されない。本発明の食品は、生鮮食品であって もよいし、加工食品であってもよい。例えば、クッキー、パン、ケーキ、煎餅などの焼き 菓子、羊羹などの和菓子、プリン、ゼリー、アイスクリーム類などの冷菓、チューインガ ム、キャンディ等の菓子類、クラッカー、チップス等のスナック類、ノスタ、うどん、そば 等の麵類、力まぼこ、ハム、魚肉ソーセージ等の魚肉練り製品、みそ、しょう油、ドレツ シング、マヨネーズ、甘味料等の調味料類、豆腐、こんにやぐその他佃煮、餃子、コ 口ッケ、サラダ、スープ、シチュー等の各種総菜、パン、カット野菜、魚の切り身、加工 肉等を具体的に例示することができる。
[0058] 上記の Ala-Phe、 Gly- Phe、若しくはそれらの塩、又はそれらを含むアンジォテンシ ン I変換酵素 (ACE)阻害用組成物を含有する飲食品は、好ましくは機能性食品であ る。本発明の「機能性食品」は、一定の機能をもつ食品を意味し、例えば、特定保健 用食品及び栄養機能食品を含む保健機能食品、特定用途食品(病者用食品、妊産 婦-授乳婦用粉乳、乳児用調整粉乳、高齢者用食品等)に加えて、栄養補助食品、 健康補助食品、サプリメント及び美容食品(例えばダイエット食品)等のいわゆる健康 食品全般を包含する。本発明の機能性食品はまた、コーデックス(FAO/WHO合同 食品規格委員会)の食品規格に基づく健康強調表示 (Health claim)が適用される健 康食品を包含する。
[0059] 本発明の機能性食品は、錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤、カプセル剤等の固形製剤、
液剤、懸濁剤、シロップ剤等の液体製剤、あるいはジエル剤等の製剤の形状であつ てもよいし、通常の飲食品の形状 (例えば、飲料、粉状茶葉、菓子等)であってもよい
[0060] 機能性食品への Ala-Phe、 Gly- Phe、若しくはそれらの塩、又はそれらを含むアンジ ォテンシン I変換酵素 (ACE)阻害用組成物の配合量、配合方法、並びに機能性食品 に配合しうる添加物については、上記の飲食品の記載と同じである。
[0061] 本発明の機能性食品は、限定するものではなレ、が、特に血圧を降下させるための ものであることが好ましぐ具体的には、血圧降下が望まれる人を対象とするものであ ること力 S好ましい。本発明において「血圧降下が望まれる人」とは、一般的には血圧 が高めな人を意味し、客観的には同年代の同性の人々の平均値と比べて血圧が有 意に高いけれどもまだ高血圧とは診断されていない人を指すが、血圧が日常的に高 めであって血圧を降下させる必要性を感じると主観的に認識している人も包含される ものとする。「血圧降下が望まれる人を対象とする」とは、血圧降下が望まれる人の摂 取に適した飲食品である旨が記載又は表示されており、それを摂取した人の血圧上 昇レベルを抑制したり、血圧を降下させたりする効果が期待されることを意味する。血 圧降下が望まれる人の摂取に適した飲食品である旨の記載又は表示は、例えば特 定保健用食品及び栄養機能食品等の保健機能食品について法令上の規定に基づ いて認められた機能表示 (栄養成分機能表示又は保健用途の表示)に従ったもので あってよい。
[0062] 4) Ala-Phe. Glv_Phe、若しくはそれらの塩、又はそれらを含むアンジォテンシン変換 酵素 (ACE)阳.害用組成物を含有する医薬組成物
本発明は、 Ala-Phe、 Gly- Phe、若しくはそれらの塩、又はそれらを含むアンジォテ ンシン I変換酵素 (ACE)阻害用組成物を有効成分として含有する医薬組成物にも関 する。
[0063] 本発明の医薬組成物には、医薬製剤上許容される担体又は添加物を配合してもよ レ、。このような担体及び添加物の例として、水、医薬的に許容される有機溶剤、コラ 一ゲン、ポリビュルアルコール、ポリビュルピロリドン、カルボキシビ二ルポリマー、ァ ルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ぺクチ
ン、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、グリセリン、プロピレング リコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステア リン酸、ヒト血清ァノレブミン、マンニトール、ソルビトール、ラタトース、医薬添加物とし て許容される界面活性剤などの他、リボゾームなどの人工細胞構造物などが挙げら れる。使用される添加物は、製剤の剤形に応じて適宜又は組み合わせて選択される 。本発明の医薬組成物は、さらに他の薬理成分を含有していてもよい。
[0064] 本発明の医薬組成物は、経口的又は非経口的に投与することができるが、特に経 口的に投与することが好ましい。経口的に投与される本発明の医薬組成物は、錠剤 、顆粒剤、散剤、丸剤、カプセル剤などの固形製剤、ジエル剤、あるいは液剤、懸濁 剤、シロップ剤などの液体製剤等の剤形であってよレ、。液体製剤として用いる場合に は、本発明の医薬組成物を使用する際に再溶解させることを意図した乾燥物として 供給してもよい。
[0065] 上記剤形のうち経口用固形製剤は、薬学上一般に使用される結合剤、賦形剤、滑 沢剤、崩壊剤、湿潤剤などの添加剤を含有してもよい。また、経口用液体製剤は、薬 学上一般に使用される安定剤、緩衝剤、矯味剤、保存剤、芳香剤、着色剤などの添 加剤を含有してもよい。
[0066] 本発明の医薬組成物は、血圧降下作用を有することから、血圧降下剤として用いる ことができる。本発明の血圧降下剤は、血圧の上昇レベルを有意に抑制するか、ある いは血圧を有意に降下させることができる。本発明の血圧降下剤は、例えば、最大 収縮期血圧を、単回投与から 8時間後までに、投与前の血圧の 90〜60%のレベルま で、降下させることができる。
[0067] また、本発明の医薬組成物の投与量は、投与対象の年齢及び体重、投与経路、投 与回数により異なり、当業者の裁量によって広範囲に変更することができる。例えば、 経口的に投与する場合には、本発明の Ala-Phe、 Gly_Phe、若しくはそれらの塩、又 はそれらを含むアンジォテンシン I変換酵素 (ACE)阻害用組成物の乾燥重量で、 1 日にっき体重 lkg当たり lmg〜lgであることが好ましレ、。本発明の医薬組成物は、単 回投与でもよいが、 6〜8時間の間隔で反復的に投与してもよい。
[0068] 本発明の医薬組成物を投与する対象は、ヒト、家畜、愛玩動物、実験 (試験)動物
等を含む哺乳動物である。特に、血圧(収縮期血圧)が健常な個体の平均値よりも日 常的に有意に高い哺乳動物、血圧 (収縮期血圧)が健常な個体の平均値よりも高く なりやすい傾向のある哺乳動物、あるいは、高血圧の素因(遺伝的又は環境的素因) を有する哺乳動物が、本発明の医薬組成物を投与する対象として好ましい。本発明 の医薬組成物は、副作用の心配が少ないことから、継続的に利用する上で非常に有 用に用いることができる。
[0069] 5) Ala-Phe. Glv_Phe及びそれらの塩、並びにそれらを含むアンジォテンシンド 換酵
本発明の、 Ala-Phe、 Gly-Phe及びそれらの塩、並びにアンジォテンシン I変換酵素( ACE)阻害用組成物は、血圧降下作用を有する。この血圧降下作用は、当業者に公 知の方法によって確認することができる力 本発明においては例えば次のようにして 確言忍すること力 Sできる。
[0070] まず、 12時間絶食させた高血圧自然発症ラット (SHR) (雄、 日本 SLCから購入可能) に、 16mg/ml H 0として調製した本発明の Ala_Phe、 Gly-Phe若しくはそれらの塩又は
2
それらを含むアンジォテンシン変換酵素 (ACE)阻害用組成物を、一匹当たり lml経 口投与する。経口投与直前(0時間)、並びに経口投与の 2、 4、 6及び 8時間後に、(株 )ソフトロン社製の非観血式自動血圧装置 BP-98Aを用いて Tail cuff法により血圧測 定を行う。血圧測定は、ラットを 37°Cで約 10〜15分間予備保温し、そのすぐ後に行う 。血圧測定は連続して複数回(2〜3回)行うことが好ましい。
[0071] 血圧は、測定した最大収縮期血圧値について複数回の測定値の平均として表す。
データは、分散分析 (ANOVA)、 Duncanの多重比較検定法、 Student's t_test等によ つて統計的に処理し、実験群間での有意差及び有意性を検討することが好ましい。
[0072] 本発明における血圧降下作用は、このようにして測定及び算出された血圧の値で 評価することができる。本発明では、投与後の最大収縮期血圧 (収縮期血圧)が投与 直前の最大収縮期血圧と比較して 95〜60。/0のレベルまで、好ましくは 90。/0〜60。/0の レベルまで低下している場合に、血圧降下作用があるものとする。
[0073] 本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本 明細書にとり入れるものとする。
実施例
[0074] 以下、本発明を実施例を用いてさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実 施例にその技術的範囲が限定されるものではない。
[0075] [実施例 1]乾燥ビール酵母加水分解物由来画分の調製
本実施例で用レ、た乾燥ビール酵母加水分解物由来画分の調製手順の概略を図 1 に示す。
[0076] まず、キリンビール株式会社製の乾燥ビール酵母粉末 (サッカロミセス'セレビシェ( Saccharomyces cerevisiae);商品名キリン乾燥ビール酵母 A) 50gに、 0.05N NaOH 5 00ml、及びアルカラーゼ(Alcalase 2.4L FG ;novozymes社製) 10mlを添加し、 50°Cで 1 2時間攪拌しながら加水分解を行った。その後、 4°C下、 10,000 X gで 20分の遠心分 離を行い、その上清を Toyo No.2濾紙を用いて濾過した。濾液を XAD-2カラム(Rohm & Haas社製)に通し、非吸着画分を含む透過液を得た。一方、 XAD-2カラムへの吸 着画分を、順次、 50%EtOH、 100%EtOHを用いて溶出した。得られたそれぞれの画 分を減圧下で濃縮し、さらに凍結乾燥した。このようにして得られた各画分の凍結乾 燥物 (粉末状)を、以下の実施例において使用した。
[0077] [実施例 2]乾燥ビール酵母加水分解物由来画分の in vitroにおけるアンジォテンシ ン I変換酵素 (ACE)阻害活性
アンジォテンシン I変換酵素 (ACE)阻害活性は、非特許文献 3に記載の「酢酸ェチ ル抽出法」に従ってアンジォテンシン I変換酵素 (ACE)阻害率を算出し、それを指標 として表した。酢酸ェチル抽出法は、 ACEを用いて Hip (馬尿酸) -His-Leuからジぺプ チド His-Leuを切断し、それによつて遊離した Hipを酢酸ェチルで抽出することを利用 した方法である。図 2に、本実施例で用いた ACE阻害活性の測定手順の概略を示し た。
[0078] ACE阻害活性の指標とする、算出された阻害率(%)を表 1に示す。
1]
乾燥ピール酵母加水分解物に由来する画分の ACE阻害率 (%)
被験サンプル 阻害率 (%)
XAD-2カラム非吸着面分 5 6
XAD-2カラムからの 50%EtOH溶出画分 8 1
XAD-2カラムからの 100%P,t,0H溶出面分 9 5
[0079] 表 1に示される通り、 50%EtOH溶出画分と 100%EtOH溶出画分はいずれも高い阻害 率を示したことから、それらが高レ、ACE阻害活性を有することが分かった。
[0080] XAD-2カラム非吸着画分の ACE阻害活性は低レ、ことから、乾燥ビール酵母加水分 解物中に含まれる ACE阻害物質は疎水性を有することが推察された。
[0081] [実施例 3]乾燥ビール酵母加水分解物由来画分及び乾燥ビール酵母の in vivoにお ける血圧上昇抑制作用
(1)実験動物への乾燥ビール酵母加水分解物由来画分の給与
日本 SLCから購入した、高血圧自然発症ラット(SHR) (雄、 10週令、初体重平均 300 g)を用いた。
[0082] 飼育は、個別のワイヤーゲージに入れ、室温 22°C ± 2°C、湿度は 40〜60%、明暗 周期は 12時間(7時〜 19時)の条件下で行った。飼育期間は 22日間とした。飼料は午 後 10時から翌日の午前 11時まで与え、水は自由摂取とした。
[0083] ラットに与える飼料は、基本飼料(ここでは「Con (-)」と称する)、基本飼料に NaClを 1 %添加した飼料(ここでは「Con(+)」と称する)、 Con(+)に 50%EtOH溶出画分(「Alka」 ) 0.4%を添カ卩した飼料 (ここでは「(+)+Alka」と称する)、及び Con(+)に上記乾燥ビール 酵母粉末( rkouboj )を 3%添加した飼料(ここでは「(+)+Koubo」と称する)を用いた。 飼料組成を表 2に示した。
[表 2]
飼料組成
成分 Con (-) Con (+) C÷) +Alka (+) +Koubo カゼィン 20 20 20 20 ひ-コーンスタ'—チ: スクロー 6 . 5 64. 1 61. 5 ス =2 : 1
セノンロース ウダ一 5 5 5 5 コーン油 5 5 5
ミネラル¾合 MX) 3. 5 3. 5 3. 5 3. 5 ビタミン混合 (MN-ys- VX) 1 1 1 1
NaCl ― T I 1
Alka 一 - 0. 4 一
酵母粉末 一 一 - 3
ロ' p卜 100 100 100 100
[0084] 実験群は、 Con (-)を実験食として給与する対照群(Con (-)群)、 Con(+)を実験食とし て給与する群(Con (+)群)、及び、実験前半に (+)+Alkaを実験食として給与((+)+Alka 群)し、実験後半には (+)+Alkaの代わりに (+)+Kouboを実験食として給与((+)+Koubo 群)する群とし、各群のラットを 5匹とした。
[0085] 各実験群のラットへの飼料の給与は図 3に示すようにして行った。本実施例では、 各実験群への飼料 (Con(- ))の給与を開始した日付を、 0日目とした。最初の 2日間は 全ての実験群に Con (-)を与え、その後 4日間は各実験群に実験食(それぞれ、 Con (- )、 Con(+)、(+)+Alka)を与えた。さらにその後 4日間は、 Con(+)群及び (+)+Alka群には Con(+)、 Con (-)群にはそのまま Con (-)を与えた。その後は実験終了まで再び各実験 群の実験食を与えたが、但し (+)+Alka群には (+)+Alkaの代わりに (+)+Kouboを給与し、 (+)+Koubo群と称した。
[0086] 各実験群のラットについては、飼料摂取量と体重を毎日 9時〜 11時に測定した。 2
日目の体重、 6日間の累積飼料摂取量、及び体重増加量を表 3に示す。各値は、各 実験群のラット 5匹の平均値土標準誤差 (SEM)を表す。
[表 3]
6 B間のラットの飼料摂取量及び体重增加
—実験! ~
Con (-) Con (+) (+) +Alka
2日目の体直 (g〕 301. 06+4 235. SS±7 300742 ±5~
6 H聞の累積飼料摂取量 (g) 112. 84±丄. 3 120. 26土 2. 40 1 . 44±2. 8
6日間の休重増加量 (g) 5. 24±1. 12 10. 98±2. 72 6. 76土 1. 75
[0087] また、 6日目の体重と、それ以降 22日目までの 16日間の累積飼料摂取量と体重増 加量、及び解剖時の肝重量を表 4に示す。各値は、各実験群に含まれるラット 5匹に ついての平均値土標準誤差 (SEM)を表す。
[表 4]
6日目以降のラッ 卜の飼料摂取量及ぴ体重増加
雄群
Con (-) Con (-i-) (+) +Koubo
6日目の体重 (g) 311. 94± 5 3 307. 3土 5. 9
16日間の累積飼枓摂取量 (g) 278.は 7- 3 319. 1士 L6. 0 27B. 7土 G, 5
16 間の体重増加量 (g) 22. 32± 1. 7 29. 34±4. 3 22. 9 ±2. 6 解剖時の肝重量 (体重に対する%〕 3, 96上 0. 06 3, 86±0. 1 3. 73±0. 06
[0088] 表 3に示すように、 6日目までは、累積飼料摂取量、体重増加量のいずれにおいて も各群間で有意差はみられなかった。 6日目以降 22日目までの 16日間では、表 4に 示すように、(+)Koubo群は、 Con(+)群に比べて、累積飼料摂取量と体重増加量のい ずれにおいても有意に低レ、か、又は低い傾向を示した。解剖時の肝重量 (体重比) については、 Con (-)群、 Con(+)群、(+)Koubo群間で有意な差はみられなかった。
[0089] (2)血圧測定
本実施例では、ラットの血圧測定を、(株)ソフトロン社製の非観血式自動血圧装置 B P-98Aを用いて Tail cuff法により行った。ラットは、測定前に 37°Cで約 10〜15分間予 備保温し、その後連続して血圧測定を 3回行った。測定値はその 3回の測定の平均 値として表した。得られた血圧測定値に基づく血圧の推移を図 4に、各ラットにおける 2日目の血圧測定値を 0とした場合の血圧変化量に基づく血圧の変動を図 5に示した
[0090] 図 5に示したデータについては、 Con (-)群、 Con(+)群及び (+)+Alka群の 3群間、並 びに Con (-)群、 Con(+)群及び (+)+Koubo群の 3群間に関して、分散分析 (ANOVA)を 行って有意性を検討した。またそれらの有意差は Duncanの多重比較検定法で検討
した。また、 2群間の有意差については、 Student's t-testによる検定も行った。
[0091] この結果、実験食(Con(-)、 Con(+)、 (+) +Alka)に変更してから 3日間飼料を給与した 後の血圧測定では、(+)+Alka群が Con(+)群に比べて有意に低い血圧上昇レベルを 示した(図 5)。その後、 Con(_)、 Con(+)、(+)+Alka食を 4回給与した後で、 Con(+)群と (+ )+Alka群には Con(+)食、 Con (-)群にはそのまま Con (-)食を給与した 4日間の血圧測 定では、実験群間の血圧上昇レベルに有意な差は認められなかった(図 5)。さらに、 続レ、て Con (-)群には Con (-)食、 Con(+)群には Con(+)食、(+)+Alka群には (+)+Koubo食 を給与したところ、 12〜20日目の血圧測定では、(+)+Alka群に (+)+Koubo食を給与し た群(ここでは、(+)+Koubo群と称する)が Con(+)群に比べて有意に低い血圧上昇レ ベルを示した(図 5)。
[0092] 以上の結果から、(+)+Alka食及び (+)+Koubo食が、血圧上昇抑制効果を有すること が示された。後述の (4)及び (5)で示されるように、 Con(+)群と (+)+Koubo群との間で血 清中の ACE活性に有意な差が認められないこと、腎臓における ACE活性については (+)+Koubo群にぉレ、て Con (-)群及び Con(+)群より低レ、値が示されることから、 (+) +Kou bo食による血圧上昇レベルの抑制は、少なくとも部分的には、腎臓における ACE活 性が低く維持されることに起因するものと推察された。
[0093] (3) 血清の調製
飼育最終日(22日目)に、各実験群のラットについて、ネンブタール麻酔下(0.1ml/ 体重 100g)で開腹し、シリンジを用いて心臓より直接採血を行った。採血した血液は、 試験管に入れ、室温で 1時間放置した後、遠心分離(3,000rpm、 15°C、 15min)を行い 、血清を分離した。
[0094] (4)血清中のアンジォテンシン I変換酵素活性の測定
血清中のアンジォテンシン I変換酵素(ACE)活性の測定は、 Liebermanら(Jack Lie berman,M.D. : Elevation of Serum Angiotensin—Convertmg—Enzyme (Aし E) Level in S arcoidosis. The American Journal of Medicine, 59, pp.365 - 3り 7 (1975))、及び Kasaha raら (Kasahara, Y. and Ashihara, Y. : Colorimetry of angiotensin-I converting enzyme activity in serum. Clin. Chem., pp.1922-1925 (1981))の方法に従い、酢酸ェチル 抽出法により行った。酢酸ェチル抽出法は、 ACEを用いて Hip-His-Leuからジぺプチ
ド His-Leuを切断し、それによつて遊離した馬尿酸 (Hip)を酢酸ェチルで抽出すること を利用した方法である。図 6に、本実施例で用いた血清中の ACE活性の測定手順の 概略を示す。
[0095] 血清中の ACE活性を表 5に示す。表 5に示したデータについては、 Con (-)群、 Con( +)群及び (+)+Koubo群の 3群間で分散分析 (ANOVA)を行って、有意性を検討した。そ れらの有意差は Duncanの多重比較検定法で検討した。また、 2群間の有意差につい ては Student's t_testによる検定も行った。その結果、血清中の ACE活性については 、 Con (-)群、 Con(+)群及び (+)Koubo群の 3群間で有意な差が示されな力 た。
[表 5] tftl淸中の ACR活性
実驗群
Con (-) C。n (+) (+) +Koubo
ACE (U/ff 淸 1ml) 10. 9±0. 6 10. 8±0· 6 12. 0± 0. 1
[0096] (5)腎臓における ACE酵素活性の測定
腎臓からの ACE活性測定用サンプルの調製手順の概略を図 7に示した。凍結した 約 0.7gの腎臓組織をテフロン製ホモジナイザーに入れ、 10倍量の緩衝液(50mM Na
2
B Oと 200mM H BOとを混合し、 pH8.3に調整)を加えてホモジナイズした後、 4°C下
4 7 3 3
で遠心分離(10,000卬 m、 20分)を行った。パスツールピペットで採取した上清を、測 定用サンプルとした。
[0097] ACE活性の測定は、上記 (4)に記載した血清の場合と同様に、酢酸ェチル抽出法を 用いて馬尿酸の定量を行い、その測定値に基づいて算出した。
[0098] さらに、腎臓組織に含まれるタンパク質 lmg当たりの ACE活性を算出するため、 Low ryりの方法 (Lowry, OH., Rosenbrough, NJ., Farr, AJ. and Randall RJ. : Protein meas urement with the Folin phenol reagent. J. Biol. Chem., 193, pp.265-275 (1951))に 従って、使用した約 0.7gの腎臓組織に含まれるタンパク量を定量した。
[0099] 得られた測定値から、腎臓組織に含まれるタンパク質 lmg当たりの ACE活性を算出 した。腎臓における ACE活性を表 6に示す。また表 6のデータについては、 Con (-)群 、 Con(+)群及び (+)+Koubo群の 3群間で分散分析 (ANOVA)を行って、有意性を検討
した。それらの有意差は Duncanの多重比較検定法で検討した。また、 2群間の有意 差については Student's t_testによる検定も行った。腎臓での ACE活性については、 Con (-)群及び Con(+)群と比較して、(+)Koubo群で有意に低レ、値が示された(pく 0.01)
[表 6]
腎臓における ACEffi-性
実験群
Con (-) Con (+) (+) +Koubo
ACE (U) 60. 27 ±4. 8 55. 8I ±3. 4 32. 70 ± 11, 99
ACE (U/タンパク質 lg〕 44. 62 ± 8, 14 41. 31 ± 1. 63 14, 58±3. 97*
*: 対照群と比較して有意差あり (p<0. 01) ""
[0100] [実施例 4]アンジォテンシン I変換酵素阻害物質の探索及び構造解析
(1)カラムクロマトグラフィーによる分画
実施例 2で高レ、ACE阻害活性を示した 50%EtOH溶出画分から、アンジォテンシン I 変換酵素阻害物質の同定を試みた。
[0101] まず、実施例 1と同様にして、乾燥ビール酵母をアルカラーゼにより加水分解し、遠 心分離後に濾過して上清を得、それを XAD-2カラムに通し、カラムを水洗後、 50%Et OHを用いてペプチド類の溶出を行った。さらに、 50%EtOH溶出画分をロータリーェ バポレーターで濃縮してエタノールを除去し、次いで凍結乾燥することにより、 50%Et OH溶出画分の凍結乾燥物を調製した。この凍結乾燥物から ACE阻害物質を同定す るために本実施例で用いた手順を図 8に示す。
[0102] 凍結乾燥物を蒸留水に溶解した後、その可溶画分を Sephadex-G-25カラムクロマト グラフィー(展開溶媒:蒸留水)にかけて、 18の画分に分画した。得られた S印 hadex- G-25カラムクロマトグラフィーによる溶出パターンを図 9に示す。各画分について 280 nmでの吸光度を測定した。吸光度が高かった画分については、実施例 2と同様の方 法で ACE阻害活性も測定した。 280nmで高い吸光度を示した画分 17〜19は、 ACE阻 害活性(阻害率)の値もそれぞれ 61%、 62%、 64%と高かった。溶出画分 17、 18、 19、 20 及び 24の ACE阻害活性を表 7に示す (表 7)。高い ACE阻害活性を示した画分 17〜1 9を、ロータリーエバポレーターにより減圧下で濃縮した後、凍結乾燥した。
[表 7]
酵母アル力ラーゼ加水分解物由来画分の ACE阻害活性 画分番号 阻害率%
画分 1 7 6 1
画分 1 8 6 2
画分 1 9 6 4
画分 2 0 4 7
画分 2 1 2 1
[0103] (2)逆相分取 HPLCによる分画 ·精製
上記 (1)で調製された高レ、 ACE阻害活性を示した画分の凍結乾燥物を、蒸留水に 溶解した後、さらに逆相分取 HPLCにかけた。なお逆相分取 HPLCでは、カラムとして Develosil C30-UG-5 (25mm X 250mm)を、展開溶媒として 1) 5%MeCN、及び 2) 20%M eCNを用レ、、展開溶媒 2)力 分で 100%となるリニアグラジェント(線形勾配)で展開さ せた。流速は 2.0ml/分、検出は 215nmで行った。
[0104] 図 10及び図 11は、上記 (1)で調製された画分 18を逆相分取 HPLC (Develosil C30- UG-5 (25mm X 250mm) )を行なって得られた HPLCクロマトグラムを示してレ、る。主要 なピークは 30、 50、 70分付近 (溶出時間)で見られた。それらの主要なピークを図 10 では A〜C、図 11では D〜Fとして示した。主要なピークについては、実施例 2と同様 にして ACE阻害活性を測定した。ピーク Aを含む画分 (画分 A)、ピーク Bを含む画分( 画分 B)の ACE阻害活性(阻害率)は、 18%、 23%であった。同様に、ピーク E、ピーク Fをそれぞれ含む画分(画分 E、画分 F)の ACE阻害活性(阻害率)は、 18%、 14%で あった。
[0105] 次に、高い ACE阻害活性を示した画分 B及び画分 Eを混合し、それをゲル濾過 HPL Cに供した。ゲル濾過 HPLCでは、カラムとして Develosil 300 Diol-5 (10mm X 250mm) を用い、展開溶媒としては蒸留水を用いた。検出は 215nmで行い、主要なピーク画分 について上記と同様に ACE阻害活性を測定した。得られたゲル濾過 HPLCクロマトグ ラムを図 12に示す。 3つの主要なピーク G〜Iが得られたが、それらのピークを含む画 分 (画分 G〜I)はレ、ずれも ACE阻害活性を示した (表 8)。
[表 8]
画分 阻害率 (%)
画分 G 8 7
画分 H 2 0
画分 I 4 5
[0106] なお、ピーク画分 G〜Iにつレ、ては、再度 Develosil C30-UG-5 (4.6mm X 250mm)に よる逆相分取 HPLC分析を行い、ピークの単一性を確認した。
[0107] (3)アミノ酸分析及び晳量分析 (LC/MS *MS)
上記 (2)で得られた単一ピークを含むピーク画分 G〜Iのそれぞれにつレ、て、アミノ酸 分析を行った。ピーク画分を 0.5ml取り、それに 12N HC1 0.5mlを加え、さらに、 α _メ ルカプト酢酸を一滴入れ、 Νガスで試験管内の空気を置換した。次いでアルミホイル
2
で遮光した状態でリアクションヒーターを使用して、 110°Cで 24時間かけて加水分解を 行った。放冷後、 G-4グラスフィルターを用いて吸引濾過した。濾液を濃縮乾固した 後、 0.2Nのクェン酸ナトリウム緩衝液(pH2.2) 2mlを加えてアミノ酸を溶解させ、フィノレ ター濾過(親水性; 0.2 z m)を行ったものを、アミノ酸分析用サンプノレとした。分析には 、アミノ酸分析計 (ATO MLC- 703型)を用いた。
[0108] アミノ酸分析の結果、画分 Gにはアミノ酸として Pheのみが検出された。一方、画分 H ではァラニン (Ala):フエ二ルァラニン(Phe) = 1:1、画分 Iではグリシン(Gly):フエニル ァラニン(Phe) =2:1〜1: 1のアミノ酸モル比が検出された。このように、画分 G〜Iはい ずれも、フエ二ルァラニンを含んでいた。
[0109] 続いて画分 G〜Iについて、液体クロマトグラフ Zタンデム型質量分析装置 (LC/MS /Ms ; LCQ Advantage ion trap mass spectrometer (Thermo Pinmgan))を用レヽ飞貧 分析を行った。
[0110] その結果、画分 Gは、 m/z 166 [ M+H]+を与えたことから、フエ二ルァラニン(Phe、又 は F)と同定された。図 13に、画分 Gについて得られたマススペクトラムとフエ二ルァラ ニンの化学構造式を示す。画分 Hは、 m/z 237 [ M+H]+を与え、さらに MS/MS分析の 2次イオンとして m/z 166 [M+H]+を与えたことから、ァラニルフエ二ルァラニン (Ala-Phe 、又は AF)と同定された。図 14に、画分 Hについて得られたマススペクトラムとァラニ
ルフヱ二ルァラニンの化学構造式を示す。画分 Iは、 m/z 223 [ M+H]+を与え、さらに 2 次イオンとして m/z 166 [M+H]+を与えたことから、グリシルフヱ二ルァラニン (Gly_Phe 、又は GF)と同定された。図 15に、画分 Iについて得られたマススペクトラムとグリシル フエ二ルァラニンの化学構造式を示す。
[0111] [実施例 5]合成 AF及び GFによる血圧降下作用
BACHEM(Bachem AG, Hauptstrasse 144, CH-4416, Budendorf)に合成を委託し 入手した、合成ァラユルフェ二 t
1+ルァラニン (AF)又はグリシルフヱ二ルァラニン (GF)を、 12時間絶食させた SHRラット(雄、 21週齢、 366g〜396g;日本 SLCから購入)に、 16mg /ml H 0として一匹当たり lmlを経口投与した。経口投与直前(0時間)、並びに経口 投与の 2、 4、 6及び 8時間後に、(株)ソフトロン社製の非観血式自動血圧測定装置 BP -98Aを用いて Tail cuff法により血圧測定を 2回行った。実験群は、 AF投与群(2匹) 、 GF投与群(2匹)、対照群 (AF又は GFの代わりに蒸留水を lml経口投与; 1匹)とし た。
[0112] この結果を表 9に示す。表中の AF投与群及び GF投与群のデータは、各群のラット の血圧測定値の平均値土標準誤差 (SEM)である。
[表 9] 実験群
AF投与群 ( mHg) GF投与群 (mmHg) 対照群 (mm¾〉 ϋ時閭 20 5. 6 191
2時間 lti9上 7. 5 179. 75±6, 0 160 m 173. 75土 4. 9 169. 75±4. 1
S時間 161. 5 ± 8. 3 151. 5± 7, 2 170
3時間 159±4. 9 152. 5± : 8 201. 5
[0113] このデータに基づく収縮期血圧の推移を示すグラフを図 16に示す。また、各ラット における 0時間の血圧を 0としたときの血圧変化値を算出し、その値に基づく血圧の 変化量の推移を図 17にグラフで示す。
[0114] 図 16に示される通り、 AFと GFはいずれも高血圧自然発症 (SHR)ラットにおいて血圧 降下作用を示した。対照群ラットの血圧変動が大きいために、投与の 2、 4、 6時間後 では AF投与群、 GF投与群における血圧降下は明瞭には示されていなレ、が、投与の 8時間後には、 AF投与群と GF投与群は対照群に比べて明らかに低い血圧を示した
[0115] 図 17に示される通り、 AF投与群と GF投与群では、少なくとも投与の 8時間後まで血 圧が降下したまま維持されてレ、た。
産業上の利用可能性
[0116] 本発明に係るペプチド及び組成物は、アンジォテンシン I変換酵素の活性を効果的 に阻害することができる。また本発明に係るペプチド及び組成物は、飲食品、機能性 食品及び医薬品に含有させることにより、血圧降下作用をもつ飲食品、機能性食品 及び医薬品を製造することができる。