明 細 書
ポリペプチドとレセプターとの相互作用を検出する方法、該検出する方法 を用いてリガンドまたはリガンド変異体をスクリーニングする方法および該検出す る方法を用いる診断方法
技術分野
[0001] 本発明は、タンパク質と膜レセプターとの相互作用を検出する方法、該検出法を用 いてリガンドまたはリガンド変異体をスクリーニングする方法および該検出する方法を 用いる診断方法に関する。
背景技術
[0002] レセプターは生命の発生、成熟、成長、代謝、維持等に関わる根本的な生体分子 であり、膨大な研究者の興味と努力がそれらレセプターの構造、機能、メカニズム、進 ィ匕機構等に注がれてきた。さらに治療薬や農薬等のターゲットとして、レセプターを 用いて多くの化学物質のスクリーニングが実施されてきた。レセプターは、機能や構 造〖こより、膜レセプター、核内レセプター、トランスポーター、コファクター、コアクチべ 一ターなどに分類される。これらレセプターとして報告されるタンパク質の種類は近年 莫大な数となって増加し続けて 、る。核内レセプターと呼ばれるレセプターとしては、 100を超す種類が報告されている。さらに生体膜表面や膜中に存在する膜タンパク 質として報告されて ヽるレセプターの数も膨大である。
[0003] これらレセプタータンパク質と相互作用するポリペプチドのスクリーニングは、有効 な薬物を見出すために重要である。特定のタンパク質間の相互作用を検出する方法 として、免疫沈降法、ウェスタンブロッテイング法等があるが、これらの方法は網羅的 な解析には不向きである。酵母 Two-Hybrid解析は網羅的な解析を行うことができる 力 偽陽性、偽陰性を多く検出してしまい、真陽性、真陰性を即座に判定することが 困難である (非特許文献 1)。また、網羅的解析方法を代表する DNAアレイ技術をタ ンパク質解析のツールとして用いたものとしてプロテインチップが開発されて 、る。プ 口ティンチップの原理は DNAチップと同じで、スライドガラスや膜の上にタンパク質を 高密度に固定化し、それらと相互作用するタンパク質や核酸などを検出するものであ
る (非特許文献 2)。
[0004] しかし、多くの場合、タンパク質の反応性は 3次元の折りたたみ構造の変化によって 変わるため、タンパク質を取り巻く僅かな環境の変化がタンパク質を変性させることも あり、リガンド等のポリペプチドをレセプターとの反応性を保持した状態で担体上に固 定ィ匕することは困難であると考えられた。
[0005] さらに、細胞膜表面に存在する膜レセプターなどは疎水性の高い膜貫通ドメインを 保持しているため可溶ィ匕し難ぐ in vitroで膜レセプターとポリペプチドとの相互作用 を解析することは困難であると考えられ、複数種のポリペプチドを担体上に固定ィ匕し 、この固定ィ匕ポリペプチドと膜レセプターとの相互作用を迅速かつ簡便に検出する方 法は知られていない。
[0006] 特許文献 1 :特開平 10-174591号公報
非特許文献 1 :竹縛忠臣ら編、バイオマニュアル UPシリーズ、タンパク質の分子間相 互作用実験法、羊土社、 1996
非特許文献 2 : Lam KS et. al, Nature 354, 82 (1991)
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] 本発明の課題は、膜レセプターとポリペプチドとの相互作用を迅速かつ簡便に検 出する方法を提供することである。
課題を解決するための手段
[0008] 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、膜レセプターにお ける細胞外ドメインを含むが膜結合に必須の領域を含まないレセプター誘導体を作 成し、これを担体上に固定ィ匕されたポリペプチドに反応させ、両者の相互作用を検出 することにより上記課題が解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
[0009] すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)担体上にポリペプチドを固定ィ匕し、これに膜レセプターにおける細胞外ドメインを 含むが膜結合に必須の領域を含まな ヽレセプター誘導体を反応させ、固定化したポ リペプチドとレセプター誘導体との相互作用を検出することにより、ポリペプチドとレセ プターとの相互作用を検出する方法。
(2)担体が、基板上にポリペプチドと共有結合しうる官能基、ならびにダイヤモンド、 軟ダイヤモンド、炭素系物質および炭化物力 選ばれる少なくとも 1種の表面層を有 する固体支持体である、(1)記載の方法。
(3)ポリペプチドおよび多価アルコールを含むスポッティング溶液を担体上にスポッ ティングすることによりポリペプチドを担体上に固定ィ匕する(1)または(2)記載の方法
(4)担体上に固定ィ匕するポリペプチドが、膜レセプターに対するリガンドまたはリガン ド変異体である(1)一 (3)のいずれかに記載の方法。
(5) (4)記載の検出方法を用いて、膜レセプターに対するリガンドの変異体をスクリー ニングする方法。
(6) (1)一(3)のいずれかに記載の検出方法を用いて、膜レセプターに対するリガン ドをスクリーニングする方法。
(7) (1)—(4)のいずれかに記載の検出方法を用いる診断方法。
図面の簡単な説明
[図 1]図 1は、 ErbB細胞外ドメイン (ECD) -ヒンジ- FLAGの構造を模式的に表す図で める。
[図 2]図 2は、 ErbBl ECD-ヒンジ- FLAGのアミノ酸配列および ErbB4 ECD-ヒンジ -FLAGのアミノ酸配列(上)、ならびに C末端および N末端にェピトープタグを有する ベータセルリンのアミノ酸配列(下)を構造的に表す図である。
[図 3]図 3は実施例 5で、担体上に固定化された組み換えヒトベータセルリン精製品( 左)、 Myc-ベータセルリン HAを含む粗抽出物(中央)および対照ベクターを含む粗 抽出物(右)に、ピオチン化 ErbBl ECD-ヒンジ- FLAGを相互作用させ、さらに Cy3— アビジンを反応させて撮影した蛍光画像である。
[図 4]図 4は、図 3の蛍光画像において、各スポットにおける組み換えベータセルリン 濃度と蛍光強度との関係 (左)、各スポットにおける Myc-ベータセルリン HAを含む 粗抽出物の希釈倍率と蛍光強度との関係 (右)を表す図である。 NCは対照ベクター を表す。
[図 5]図 5は、ピオチン化 ErbB ECD-ヒンジ- FLAGとアビジン- Cy3-ピオチン BSA複合
体との相互作用を表す図である。
発明を実施するための最良の形態
[0011] 1.レセプターおよびレセプター誘導体
本発明で対象とする膜レセプターとしては、ペプチドホルモン、神経伝達物質、増 殖因子、サイト力イン、カテコールアミンなどに対するレセプターが挙げられ、機能的 には 3量体 Gタンパク共役型レセプター、イオンチャンネル共役型レセプター、プロテ インキナーゼ型レセプター、介助レセプター(co-receptor)に分類される。また、形質 膜を 1回貫通するレセプター、形質膜を 4回貫通するレセプターおよび形質膜を 7回 貫通するレセプター、さらに脂質を介して膜に結合する GPIアンカー型レセプターに 分類することもでき、本発明は、形質膜を 1回貫通するレセプターや GPIアンカー型レ セプターとポリペプチドの相互作用の検出に好適である。具体的には EGFレセプター 、 PDGFレセプター、アデノシンレセプター、 FGFレセプター、 TGF jSレセプター、イン シュリンレセプター、 IGF-Iレセプター、アンジォテンシンレセプター、 OBレセプター、 メラノコルチンレセプター、アドレナリンレセプター、トロンビンレセプター、ォキシトシ ンレセプター、イノシトール 3リン酸レセプター、 FSHレセプター、 TSHレセプター、イン ターフェロンレセプター、インターロイキンレセプター、 G- CSFレセプター、ケモカイン レセプター、チロシンキナーゼレセプター、 GDNFレセプター、 TNFレセプター、グリピ カンなどが挙げられる。
[0012] 本発明は、 EGFレセプターに対し好適に用いられる。 EGFレセプターとしては、
ErbBl、 ErbB2、 ErbB3、 ErbB4が挙げられ、特に、 ErbBlおよび ErbB4に対し好適に用 いられる。
[0013] 膜レセプターは、膜結合に必須の領域および細胞外に存在しリガンドと相互作用 する細胞外ドメインを含む。膜結合に必須の領域とは、膜レセプターにおける、該膜 レセプターと細胞膜との結合を担う領域を意味する。そのような領域としては、通常疎 水性のアミノ酸で構成される膜貫通ドメインや、脂質を介して膜に結合する GPIアンカ 一が結合するアミノ酸を含む領域等が含まれるがこれらに限定されるものではない。 本発明にお ヽてレセプター誘導体とは、膜レセプターにおける細胞外ドメインを含む が膜結合に必須の領域を含まな 、膜レセプターの誘導体を意味する。以下レセプタ
一誘導体を、可溶性レセプター誘導体と称する場合もある。本発明におけるレセプタ 一誘導体は、疎水性の膜結合に必須の領域を含まないため、水に可溶性である。そ して、レセプター誘導体においては、リガンドと相互作用する細胞外ドメインが含まれ ているため、リガンドとの反応性が維持されている。可溶性を維持する観点から、本発 明におけるレセプター誘導体は、膜レセプター構成要素のうちリガンドとの親和性に 必須なドメインのみを含み、それ以外のドメインを含まないものが好ましい。レセプタ 一誘導体は、既知の膜レセプターをコードする DNAに基づいて、当技術分野におい て通常用いられる方法により調製できる。すなわち、レセプター誘導体をコードする DNAをベクターに挿入し、該ベクターで宿主細胞を形質転換し、該形質転換体を培 養すること〖こより調製できる。
[0014] 本発明のレセプター誘導体には、膜レセプターにおける細胞外ドメインを含むが膜 結合に必須の領域を含まな 、ポリペプチドに、他のペプチドが融合されたものも含ま れる。融合に付される他のペプチドとしては、例えば FLAG (Hopp, T. P. et. al., BioTechnology6: 1204- 1210,1988)、 6個の His (ヒスチジン)残基からなる 6 X His、 10 X His、ヒト c- mycの断片、 VSV- GPの断片、 pl8HIVの断片、 T7- tag、 HSV- tag、 E- tag 、 SV40T抗原の断片、 lck tag, a - tubulinの断片、 B- tag、 Protein Cの断片、 GST (グ ルタチオン S-トランスフェラーゼ)、 HA (インフルエンザ凝集素)、ィムノグロブリン定 常領域、ィムノグロブリンヒンジ領域、 j8 -ガラクトシダーゼ、 MBP (マルトース結合タン パク質)等が挙げられる。
[0015] これらのペプチドを融合させることにより、レセプター誘導体の精製や標識を容易に 実施することができる。また、本発明のレセプター誘導体は、ィムノグロブリンヒンジ領 域が融合されていることが好ましぐこれによりレセプター誘導体を S—S結合により二 量体ィ匕することができる。多くの場合、二量体ィ匕することにより、担体上のポリべプチ ドとの結合性が高まるため、検出感度を向上させることができる。好ましくは膜レセプ ターの細胞外ドメインにィムノグロブリンヒンジ領域を融合し、さらにェピトープタグ、 特に FLAG-tagを融合する。ィムノグロブリンヒンジ領域の存在により、二量体化が促 進され、 FLAG-tagの存在によりレセプター誘導体の精製およびポリペプチドとの相 互作用の検出が容易になる。
[0016] レセプター誘導体の調製に使用されるベクターとしては、当技術分野において一般 的に使用されるものを用いることができる。例えば、形質転換における宿主として大 腸菌を用いる場合には、例えば、大腸菌内で複製させるための「ori」、および形質転 換された大腸菌を選抜するための遺伝子 (例えば、アンピシリンやテトラサイクリン、力 ナマイシン、クロラムフエ-コール等の薬剤耐性遺伝子)をベクター上に有することが 望ましぐこのようなベクターとして具体的には、 M13系ベクター、 pUC系ベクター、 pBR322、 pBluescript、 pCR- Script、 pGEM- T、 pDIRECT、 pT7等を挙げることができる
[0017] 特に、発現ベクターが有用である。発現ベクターとしては、例えば大腸菌での発現 を目的とした場合は、 lacZプロモーター(Ward et. al., Nature 341: 544-546, 1989)、 araBプロモーター(Better et. al., Science 240: 1041-1043, 1988)、または T7プロモ 一ター等を有するベクターを例示することができる。このようなベクターとしては、上記 ベクターの他に pGEX- 5X- 1 (フアルマシア社製)、「QIAexpress system] (キアゲン社 製)、 pEGFP、および pET (この場合、宿主は T7 RNAポリメラーゼを発現する BL21が 好ましい)等が挙げられる。また、発現ベクターには、ポリペプチド分泌のためのシグ ナル配列が含まれて 、てもよ!/、。
[0018] 他のベクターとしては、例えば哺乳動物由来の発現ベクター(例えば pcDNA3(イン ビトロゲン社製)や、 pEGF— BOS(Nucleic Acids. Res. 18 (17) : 5322, 1990、 pEF、 pCDM8)、昆虫細胞由来の発現ベクター(例えば「Bac- to- BAC baculovairus expression system] (ギブコ BRL社製)、 pBacPAK8)、植物由来の発現ベクター(例え ば ρΜΗ1、 pMH2)、動物ウィルス由来の発現ベクター(例えば pHSV、 pMV、 pAdexLcw )、レトロウイルス由来の発現ベクター(例えば pZIPneo)、酵母由来の発現ベクター( 例えば「Pichia ExpressionKit」(インビトロゲン社製)、 pNVll、 SP- Q01)、枯草菌由 来の発現ベクター(例えば pPL608、 pKTH50)等が挙げられる。
[0019] CHO細胞、 COS細胞、 NIH3T3細胞等の動物細胞での発現を目的とした場合には 、細胞内で発現させるために必要なプロモーター、例えば SV40プロモーター( Mulligan et. al, Nature 277: 108, 1979)、 MMLV-LTRプロモーター、 EF1プロモータ 一(Mizushima et. al, Nucleic Acids Res. 18: 5322, 1990)、 CMVプロモーター等を持
つていることが不可欠であり、細胞への形質転換を選抜するための遺伝子 (例えば薬 剤 (ネオマイシン、 G418等)耐性遺伝子)を有すればさらに好ましい。このような特性 を有するベクターとしては、例えば pMAM、 pDR2、 pBK- RSV、 pBK- CMV、 pOPRSV、 pOP13等が挙げられる。
[0020] また、複製開始点としては、ポリオ一マウィルス、アデノウイルス、ゥシパピローマウイ ルス(BPV)等の由来のものを用いることもできる。さらに、宿主細胞系で遺伝子コピー 数増幅のために、発現ベクターは選択マーカーとして、アミノグリコシドトランスフェラ ーゼ (APH)遺伝子、チミジンキナーゼ (TK)遺伝子、大腸菌キサンチングァニンホス ホリボシルトランスフェラーゼ (Ecogpt)遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素(dhfr)遺伝子等 を含むことができる。
[0021] ベクターが導入される宿主としては特に制限はなぐ例えば大腸菌や種々の真核 細胞等を用いることが可能である。真核細胞を使用する場合、例えば動物細胞、植 物細胞、真菌細胞を宿主に用いることができる。動物細胞としては、哺乳類細胞、例 えば CHO、 COSゝ 3T3、ミエローマ、 BHK (baby hamster kidney)、 HeLaゝ Vero、両生 類細胞、例えばアフリカッメガエル卵母細胞(Valle, et. al., Nature 291 : 358-340, 1981)、あるいは昆虫細胞、例えば S19、 Sf21、 Tn5が知られている。 CHO細胞として は、特に、 DHFR遺伝子を欠損した CHO細胞である dhfr- CHO (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77: 4216-4220, 1980)や CHO K- 1 (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 60: 1275, 1968)を好適に使用することができる。動物細胞において、大量発現を目的とする場 合には特に CHO細胞が好ましい。植物細胞としては、例えば-コチアナ 'タパカム( Nicotiana tabacum)由来の細胞が挙げられる。真菌細胞としては、酵母、例えばサッ カロミセス (Saccharomyces)属、例えばサッカロミセス ·セレビシェ (Saccharomyces cerevisiae)、糸状菌、例えばァスペルギルス(Aspergillus)属、例えばァスペルギルス '二ガー (Aspergillus niger)が知られている。原核細胞を使用する場合、細菌細胞と しては、大腸菌(E. coli)、例えば JM109、 DH5 a、 HB101、 XLlBlue、 BL21等が挙げ られ、その他、枯草菌が知られている。
[0022] また、宿主として動物を使用する場合、哺乳類動物、植物、昆虫が挙げられる。哺 乳類動物としては、ャギ、ブタ、ヒッジ、マウス、ゥシを用いることができる(Vicki
Glaser, SPECTRUM Biotechnology Applications, 1993)。また、植物を使用する場合 、例えばタバコを用いることができる。さらに、昆虫としては、例えばカイコを用いること ができる。
[0023] 本発明の形質転換体を作製するためには、上記宿主に上記ベクターを導入する。
そのための方法としては、大腸菌等の宿主細胞へのベクターの導入の場合、例えば 塩化カルシウム法、エレクト口ポレーシヨン法 (Chu, G. et. al., Nucl. Acid Res. 15: 1311-1326, 1987)を用いることができる。また、培養細胞等の宿主細胞へのベクター の導入の場合、例えばリン酸カルシウム法 (Chen, C. and Okayama, H. Mol. Cell. Biol. 7: 2745- 2752,1987)、 DEAEデキストラン法 (Lopata, M. A. et. al, Nucl. Acids Res. 12: 5707-5717, 1984、 Sussman, D. J.and Milman, G. Mol. Cell. Biol. 4:
1642-1643, 1985)、カチォニックリボソーム DOTAP (ベーリンガーマンハイム社製)を 用いた方法、リポフエクチン法 (Derijard, B. Cell 7: 1025-1037, 1994、 Lamb, B. T. et. al., Nature Genetics 5: 22—30, 1993、 Rabindran, S. K. et. al., science 259: 230-234, 1993)等の方法を用いることが可能である。
[0024] さらに、動物に DNAを導入する場合、該 DNAを適当なベクター(例えばアデノウィル スベクター(例えば pAdexlcw)やレトロウイルスベクター(例えば pZIPneo)等が挙げら れるが、これらに制限されない)に組み込み、例えばレトロウイルス法、リボソーム法、 カチォニックリボソーム法、アデノウイルス法等により生体内に導入することが可能で める。
[0025] また、昆虫にベクターを導入する場合、例えば目的のタンパク質をコードする DNA を挿入したバキュロウィルスをカイコに感染させることにより行うことができる(Susumu, Met. al., Nature 315: 592-594, 1985)。また植物に DNAを導入する場合、例えば目 的とするタンパク質をコードする DNAを植物発現用ベクター、例えば pMON 530に揷 入し、このベクターをァグロバタテリゥム'ッメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens )のようなバクテリアに導入する。このバクテリアをタバコ、例えば-コチアナ 'タパカム に感染させることでベクターを導入することができる(Julian K.-C. Ma et.al, Eur. J. Immunol. 24: 131—138, 1994)。
[0026] 本発明に係る可溶性レセプター誘導体は、上記の形質転換体を培養することにより
生産させることができる。培養は公知の方法に従って行うことができる。例えば、動物 細胞の培養であれば、一般的に、培養液としては、 DMEM、 MEM 、 RPMI1640, IMDM等を使用することができる。その際、牛胎児血清 (FCS)等の血清補液を併用す ることもできるし、無血清培養してもよい。培養時の pHは、通常、約 6— 8であるのが好 ましい。培養は、通常、約 30— 40°Cで約 15— 500時間行い、必要に応じて培地の交 換、通気、攪拌を加える。
[0027] 本発明に係る可溶性レセプター誘導体は、宿主細胞内または細胞外 (培地等)から 単離し、実質的に純粋で均一なポリペプチドとして精製することができる。ポリべプチ ドの分離、精製は、通常のポリペプチドの精製で使用されている分離、精製方法を使 用すればよぐ何ら限定されるものではない。例えばクロマトグラフィーカラム、フィル ター、限外濾過、塩析、溶媒沈殿、溶媒抽出、蒸留、免疫沈降、 SDS-ポリアクリルアミ ドゲル電気泳動、等電点電気泳動法、透析、再結晶等を適宜選択、組み合わせれ ばポリペプチドを分離、精製することができる。または、さらにこれらのカラムを複数組 み合わせることにより精製することが可能である。
[0028] クロマトグラフィーとしては、例えば上記のェピトープタグに対する抗体をカラムに固 定したァフィユティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマト グラフィー、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー等が挙げられる (Strategies for Protein Purification ana Characterization: A Laboratoryし ourse Manual. Ed DanielR. Marshak et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1996)。
[0029] また、本発明に係る可溶性レセプター誘導体をダルタチオン S-トランスフェラーゼタ ンパク質との融合タンパク質として、あるいはヒスチジンを複数付加させた組み換えタ ンパク質として宿主細胞 (例えば動物細胞や大腸菌等)内で発現させた場合には、 発現させた組み換えタンパク質はダルタチオンカラムまたはニッケルカラムを用いて 精製することができる。融合タンパク質の精製後、必要に応じて融合タンパク質のうち 、 目的のタンパク質以外の領域を、トロンビンまたはファクター Xa等により切断し、除 去することも可能である。
[0030] 2.ポリペプチドの担体への固定ィ匕
本発明においては、担体にポリペプチドを固定ィ匕し、該ポリペプチドに可溶性レセ
プター誘導体を反応させる。担体に固定ィ匕するポリペプチドとしては、膜レセプターと 相互作用する可能性のあるポリペプチドであればいずれも対象となりうる。天然に存 在するポリペプチドでもよいし、人工的に合成したものでもよい。本発明においてポリ ペプチドには、オリゴペプチド、タンパク質およびタンパク質断片等も包含される。
[0031] 未知のポリペプチドを担体上に固定ィ匕し、可溶性レセプター誘導体との相互作用、 すなわち結合の有無を検出することにより、該可溶性レセプター誘導体が由来する 膜レセプターに対するリガンドをスクリーニングすることができる。膜レセプターにおい ては、細胞外ドメインがリガンドとの相互作用を担うので、細胞外ドメインを含む本発 明の可溶性レセプター誘導体との相互作用を検出することにより、もともとの膜レセプ ターとの相互作用を検出するのと同様の効果が得られる。
[0032] 対象となるポリペプチドまたはポリペプチドを含む試料を溶媒に溶解または分散し て、スポッティング溶液を調製する。このスポッティング溶液を、担体上にスポッティン グした後インキュベートすることにより、ポリペプチドを担体上に固定ィ匕することができ る。
[0033] 溶媒としては、例えば、蒸留水、 SSC (saline-sodium citrate)、 PBS(phosphate
buffered saline),重曹(NaHCO , sodium bicarbonate)など、極性有機溶媒、例えば、
3
ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、トリフルォロ酢酸、トリ ェチルァミン、 1-メチル -2-ピロリドン、ジォキサン、酢酸ェチルなど力 選ばれる 1以 上の溶媒を使用できる。本発明においては、 PBSを使用するのが好ましい。
[0034] スポッティングは、ポリペプチドを含むスポッティング溶液を、 96穴または 384穴等 のプラスチックプレートに分注し、分注した溶液をスポット装置等を用いて担体上に滴 下することによって行う。スポット装置としては通常は、ピンに試料溶液を保持させ、そ のピンを担体表面に接触させ、そして溶液を担体表面に移行させてスポットを形成す るピン方式による装置が用いられる。ピンの先端の形状には、ソリッドピンタイプ (特に 、溝が切られていないもの)、タイルピンタイプ(万年筆のように溝が切られているもの )など様々なタイプがあり、いずれであっても使用することができる。好ましくは、タイル ピンタイプである。また、ピン方式以外にも、インクジェットプリンタの原理を利用したィ ンクジェット方式や、毛細管によるキヤビラリ方式などを利用したスポット装置も用いる
ことができる。
[0035] スポット当たりのスポッティング溶液のスポッティング量は、当業者であれば適宜決 定することができるが、通常、 lpL— 1 μ Lの範囲にあり、好ましくは 100pL— 100nLの 範囲にある。スポットの大きさは、通常、直径が 50— 300 mの範囲にある。そして、ス ポット間の距離は、通常、 0— 1.5mmの範囲にあり、好ましくは 100— 700 mの範囲に ある。スポッティング後、通常、室温一 50°C、好ましくは 30— 42°Cにて、通常、 3時間 以下、好ましくは 0.5— 1.5時間インキュベートとすることが好ましい。
[0036] ポリペプチドを担体に固定ィ匕した後、固定ィ匕されていないポリペプチド等を除去す るため、担体を洗浄する。洗浄液としては、当技術分野で通常用いられているものを 使用することができ、例えば、 2xSSC、 0.2%SDS (ドデシル硫酸ナトリウム)を含む水溶 液を使用することができる。このようにして、数百一数万個のスポットを有する担体を 得ることができる。
[0037] 上記スポッティング溶液には、多価アルコールを含有させるのが好ましい。多価ァ ルコールとは、水酸基を 2個以上有する有機化合物を意味し、具体的には、グリセリ ン、糖類(グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、マルトース、イソマルト ース、セロビオース、ラタトース、スクロース、グリコーゲン、アミロース、セノレロース、ト レハロース、グリコシド、ダルコン酸、ガラクトン酸、ガラタツロン酸、マンノン酸、ダルコ ノラタトン)等が挙げられ、特に、グリセリンが好ましい。多価アルコールを含有させる ことにより、スポティング後の溶液の乾燥を防止することができ、水溶液中での化学反 応を抑止することなくポリペプチドを基板表面へ共有結合させて、検出感度を向上さ せることができる。ポリペプチドを含むスポッティング溶液を用いる態様にぉ 、ては、 ポリペプチドを含む溶液の体積が低 、ためスポットが乾燥しやす 、が、スポッティング 溶液に上記多価アルコールを含有させることによって乾燥を効果的に防止することが できる。スポッティング溶液に含有させる多価アルコールの濃度は、通常 5— 30質量 %、好ましくは 10— 20質量%である。
[0038] 従って、本発明にお 、ては、ポリペプチドを発現する細胞力 ポリペプチドを精製 する前の細胞粗抽出液をそのまま、または上記溶媒に溶解または分散し、これに上 記多価アルコールを添カ卩してスポッティング溶液とすることによって、このような未精
製のポリペプチドを担体上に固定ィ匕できるとともに、可溶性レセプター誘導体との相 互作用を検出できることが明らかになった。すなわち、本発明においては、スポッティ ング溶液中に対象となるポリペプチド以外の不純物が混合して ヽる場合であっても、 可溶性レセプター誘導体との相互作用を検出することができる。従って、本発明によ れば、生体試料、例えば、尿、血液、血清、血漿、だ液、鼻汁、涙液、髄液、リンパ液 、汗等をそのまま、または上記溶媒に溶解または分散し、これに多価アルコールを加 えてスポッティング溶液として、該試料に含まれるタンパク質を担体上に固定化し、可 溶性レセプター誘導体との相互作用を検出することもできる。そうして、このような試 料中にレセプターと相互作用する物質が含まれているかどうかを判定することができ る。
[0039] 本発明の一態様においては、ポリペプチドとして、使用するレセプター誘導体が由 来するレセプターに結合するリガンドの変異体を担体上に固定ィ匕する。リガンド変異 体は、上記の可溶性レセプター誘導体の調製と同様に、既知のリガンドをコードする DNAに基づき、リガンド変異体をコードする DNAをベクターに挿入し、該ベクターを用 Vヽて宿主細胞を形質転換し、得られた形質転換体を培養することにより調製できる。 精製方法等についてもレセプター誘導体と同様に行うことができるが、上記のとおり、 宿主細胞培養液からリガンド変異体を精製する前の細胞粗抽出液を用いてスポッテ イングを行うことちでさる。
[0040] 膜レセプターとそれに対するリガンドの組み合わせは、当業者であれば選択するこ とができる。例えば、 EGFレセプター/ EGF、アデノシンレセプター/アデノシン、 PDGF レセプター/ PDGF、 FGFレセプター/ FGF、 TGF j8レセプター/ TGF j8、インシュリンレ セプター/インシュリン、 IGF-Iレセプター/ IGF-I、アンジォテンシンレセプター/アンジ ォテン、 OBレセプター/ OB、メラノコルチンレセプター/メラノコルチン、アドレナリンレ セプター/アドレナリン、トロンビンレセプター/トロンビン、ォキシトシンレセプター/ォ キシトシン、イノシトール 3リン酸レセプター/イノシトール 3リン酸、 FSHレセプター /FSH、 TSHレセプター/ TSH、インターフェロンレセプター/インターフェロン、インター ロイキンレセプター/インターロイキン、 G- CSFレセプター/ G- CSF、ケモカインレセプ ター/ケモカイン、チロシンキナーゼレセプター/チロシンキナーゼなどが挙げられる。
より具体的には、 EGFレセプターファミリーでは、例えば、 ErbBl/ベータセルリン、 ErbB4/ベータセルリン、 ErbB3/ニューレグリン 1、 ErbB4/ニューレグリン 1、
ErbBl/EGF, ErbBl/TGF— α , ErbBl/アンフィレギュリン、 ErbBl/ェピレギュリン、 ErbBl/へパリン結合性 EGF(HBEGF)、 ErbB3/-ユーレグリン 1、 ErbB3/-ユーレグリ ン 2 a、 ErbB3/-ユーレグリン 2 β、 ErbB4/-ユーレグリン 2 a、 ErbB4/-ユーレグリン 2 β、 ErbB4/-ユーレグリン 3、 ErbB4/-ユーレグリン 4、 ErbB4/HBEGF、 ErbB4/ェピレ ギュリンの組み合わせが挙げられる。
[0041] リガンド変異体をコードする DNAは、当業者であれば、当技術分野において通常用 いられる方法、例えば、部位特異的変異誘発法(Hashimoto- Gotoh, T. et.al , Gene 152: 271-275, 1995、 Zoller, M. J. and Smith, M. Methods Enzymol. 100: 468-500, 1983、 Kramer, W. et. al, Nucleic Acids Res. 12: 9441—9456, 1984、 Kramer, W. and Fritz, H. J. Methods. Enzymol. 154: 350-367, 1987、 Kunkel, T. A. et. al. , Proc Natl Acad Sci USA. 82: 488-492, 1985、 Kunkel et. al" Methods Enzymol. 85: 2763-2766, 1988)等を用いて変異を導入することにより調製できる。
[0042] 可溶性レセプター誘導体の場合と同様に、他のペプチドをリガンド変異体に融合し てもよい。リガンドに変異を導入することによりリガンドの翻訳等が阻害され末端まで 転写 *翻訳されない場合がある力 例えば、リガンド変異体の N末端や C末端に FLAG-tagや HA等のェピトープタグを融合させることにより、末端まで転写 '翻訳され て 、ることを確認することができる。
[0043] 様々な変異を導入した複数種のリガンド変異体を担体上にそれぞれ固定ィ匕し、可 溶性レセプター誘導体との相互作用を検出することにより、特定のレセプターに対し て所望の活性を有するリガンド変異体をスクリーニングすることができる。例えば、上 皮増殖因子(EGF)ファミリーに属するベータセルリン(betacellulin)は、 EGFレセプタ 一ファミリーの ErbBlおよび ErbB4の双方と相互作用するリガンドであることが知られて いるが、本発明の方法により、ベータセルリン変異体と ErbBlおよび ErbB4との相互作 用を検出することにより、 ErbBlとは相互作用するが ErbB4とは相互作用しないベータ セルリン変異体、あるいは、 ErbB4とは相互作用するが ErbBlとは相互作用しないべ ータセルリン変異体などをスクリーニングすることができる。
[0044] また、本発明の検出方法を用いて、レセプターに競合的に結合して本来の機能を 阻害または活性ィ匕する薬剤をスクリーニングすることもできる。本発明の薬剤のスクリ 一-ング方法にぉ 、ては、候補ィ匕合物またはリガンド変異体を担体にスポッティング して各試料に含まれるポリペプチドを担体上に固定ィ匕し、膜レセプターとの相互作用 を検出することにより求める候補物質を迅速且つ容易にスクリーニングできる。
[0045] 3.ポリペプチドを固定化するための担体
ポリペプチドを固定ィ匕する担体としては、当技術分野で通常用いられるものを使用 できる。例えば、白金、白金黒、金、パラジウム、ロジウム、銀、水銀、タングステンおよ びそれらの化合物などの貴金属、およびグラフアイト、カーボンファイバーに代表され る炭素などの導電体材料;単結晶シリコン、アモルファスシリコン、炭化ケィ素、酸ィ匕 ケィ素、窒化ケィ素などに代表される半導体材料、 SOI (シリコン'オン'インシユレータ )などに代表されるこれら半導体材料の複合素材;ガラス、石英ガラス、アルミナ、サフ アイァ、セラミタス、フォルステライト、感光性ガラスなどの無機材料;ポリエチレン、ェ チレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエ ステル、含フッ素榭脂、ポリ塩化ビュル、ポリ塩ィ匕ビユリデン、ポリ酢酸ビュル、ポリビ -ルアルコール、ポリビュルァセタール、アクリル榭脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチ レン、ァセタール榭脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フエノール榭脂、ユリア榭脂、ェ ポキシ榭脂、メラミン榭脂、スチレン'アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル'ブタジ エンスチレン共重合体、ポリフエ-レンオキサイドおよびポリスルホンなどの有機材料 等が挙げられる。
[0046] 本発明においては、ポリペプチドを固定ィ匕する担体として、基板上にポリペプチドと 共有結合しうる官能基、ならびにダイヤモンド、軟ダイヤモンド、炭素系物質および炭 化物から選ばれる少なくとも 1種の表面層を有する固体支持体を用いるのが好ましい 。このような固体支持体を用いることにより、ポリペプチドを強固に固定ィ匕することがで き、未精製のポリペプチドの固定化も可能になる。
[0047] 上記固体支持体に用いられる基板の材料としては、例えば、シリコーン、ガラス、繊 維、木材、紙、セラミックス、プラスチック (例えば、ポリエステル榭脂、ポリエチレン榭 脂、ポリプロピレン榭脂、 ABS榭脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene榭脂)、ナイロン、
アクリル榭脂、フッ素榭脂、ポリカーボネート榭脂、ポリウレタン榭脂、メチルペンテン 榭脂、フエノール榭脂、メラミン榭脂、エポキシ榭脂、塩ィ匕ビニル榭脂)、合成ダイヤ モンド、高圧合成ダイヤモンド、天然ダイヤモンド、軟ダイヤモンド (例えば、ダイヤモ ンドライクカーボン)、アモルファスカーボン;金、銀、銅、アルミニウム、タングステン、 モリブデン等の金属;前記金属粉末、セラミック粉末等に、前記榭脂をバインダーとし て混合、結合形成したもの;前記金属粉末やセラミックス粉末等の原料をプレス成形 機で圧粉したものを高温で焼結したものが挙げられる。
[0048] 本発明の固体支持体は、基板上に表面層を有する。この表面層により、ポリべプチ ドと共有結合しうる官能基を導入するための化合物を基板上に強固に固定ィ匕するこ とがでさる。
[0049] 表面層は、ダイヤモンド、軟ダイヤモンド、炭素系物質および炭化物から選ばれる 少なくとも 1種カゝら形成される。ダイヤモンド、軟ダイヤモンド、炭素系物質および炭化 物としては、例えば、合成ダイヤモンド、高圧合成ダイヤモンド、天然ダイヤモンド、軟 ダイヤモンド(例えば、ダイヤモンドライクカーボン)、アモルファスカーボン、炭素系 物質(例えば、グラフアイト、フラーレン、カーボンナノチューブ)のいずれか、それらの 混合物、またはそれらを積層させたもの、炭化ハフニウム、炭化ニオブ、炭化珪素、 炭化タンタル、炭化トリウム、炭化チタン、炭化ウラン、炭化タングステン、炭化ジルコ ユウム、炭化モリブデン、炭化クロム、炭化バナジウム等の炭化物を挙げることができ る。ここで、軟ダイヤモンドとは、いわゆるダイヤモンドライクカーボン(DLC:Diamond Like Carbon)等の、ダイヤモンドとカーボンとの混合体である不完全ダイヤモンド構 造体を総称し、その混合割合は、特に限定されない。本発明においては、軟ダイヤ モンドを用いるのが好まし 、。
[0050] 基板が、ダイヤモンド、軟ダイヤモンド、炭素系物質および炭化物から選ばれる少 なくとも 1種の材料で形成されている場合は、基板上に新たに表面層を形成させる必 要はないが、基板がそれ以外の材料で形成されている場合は、表面処理を施すこと によりダイヤモンド、軟ダイヤモンド、炭素系物質および炭化物から選ばれる少なくと も 1種の材料で形成される表面層を形成させる。
[0051] 表面処理を施した基板の一例としては、スライドガラスに軟ダイヤモンドを製膜した
基板が挙げられる。このような基板は、ダイヤモンドライクカーボンが、水素ガス 0— 99 体積%、残りメタンガス 100— 1体積 %を含んだ混合ガス中で、イオン化蒸着法により作 成したものであることが好ましい。表面処理によって形成される表面層の厚みは、 lnm 一 100 μ mであることが好ましい。
[0052] 基板への表面処理は、公知の方法、例えば、マイクロ波プラズマ CVD (Chemical Vapor Deposit)法、 ECRCVD (Electric し yclotron Resonance し hemicai Vapor Deposit)法、 ICP (Inductive Coupled Plasma)法、直流スパッタリング法、 ECR ( Electric Cyclotron Resonance)スパッタリング法、イオンプレーティング法、アークィォ ンプレーティング法、 EB (Electron Beam)蒸着法、抵抗加熱蒸着法、イオン化蒸着法 、アーク蒸着法、レーザ蒸着法などにより行うことができる。
[0053] また、前記の基板材料の積層体や複合体 (例えば、ダイヤモンドと他の物質との複 合体、(例えば 2相体))を形成することにより、表面層としてもよい。
[0054] 基板の形状およびサイズは特に限定されな ヽが、形状としては、平板状、糸状、球 状、多角形状、粉末状などが挙げられ、サイズは、平板状のものを用いる場合、通常 は、幅 0.1— 100mm、長さ 0.1— 100mm、厚み 0.01— 10mm程度である。また、基板の 表面または裏面に、反射層として Ti、 Au、 Pt、 Nb、 Cr、 TiC、 TiN等の単層またはこれ らの複合膜を製膜してもよい。反射層の厚みは、全体に均一であることが必要なため 、好ましくは 10nm以上、更に好ましくは lOOnm以上である。
[0055] 本発明の固体支持体には、ポリペプチドを静電的に引き寄せるために静電層が設 けられていてもよい。静電層としては、ポリペプチドを静電的に引き寄せ、ポリべプチ ドの固定ィ匕量を向上させるものであれば、特に制限はないが、例えば、アミノ基含有 化合物など正荷電を有する化合物を用いて形成することができる。
[0056] 前記アミノ基含有ィ匕合物としては、非置換のアミノ基 (-NH )、または炭素数 1
2 一 6の アルキル基等で一置換されたァミノ基 (-NHR;Rは置換基)を有する化合物、例えば エチレンジァミン、へキサメチレンジァミン、 n-プロピルァミン、モノメチルァミン、ジメ チルァミン、モノェチルァミン、ジェチルァミン、ァリルァミン、アミノアゾベンゼン、アミ ノアルコール (例えば、エタノールァミン)、アタリノール、ァミノ安息香酸、アミノアント ラキノン、アミノ酸(グリシン、ァラニン、ノ リン、ロイシン、セリン、トレオ-ン、システィン
、メチォニン、フエ二ルァラニン、トリプトファン、チロシン、プロリン、シスチン、グルタミ ン酸、ァスパラギン酸、グルタミン、ァスパラギン、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、ァ 二リン、またはこれらの重合体 (例えば、ポリアリルァミン、ポリリシン)や共重合体; 4,4 ,,4"-トリアミノトリフエニルメタン、トリアムテレン、スペルミジン、スペルミン、プトレシン などのポリアミン(多価ァミン)が挙げられる。
[0057] 静電層を表面層と共有結合させずに形成する場合には、例えば、表面処理する際 に前記アミノ基含有化合物を製膜装置内に導入することによって、アミノ基を含有す る炭素系皮膜を製膜する。また、静電層を表面層と共有結合させずに形成する場合 には、静電層と表面層との親和性、即ち密着性を高める点で、基板上に、前記の非 置換または一置換されたアミノ基を有する化合物および炭素化合物を蒸着させた後 、ポリペプチドと共有結合しうる官能基を導入することが好ましい。ここで用いる炭素 化合物としては、気体として供給することができれば特に制限はないが、例えば常温 で気体であるメタン、ェタン、プロパンが好ましい。蒸着の方法としては、イオン化蒸 着法が好ましぐイオン化蒸着法の条件としては、作動圧が 0.1— 50Pa、そして加速電 圧が 200— 1000Vの範囲であることが好ましい。
[0058] 静電層を表面層と共有結合させて形成する場合には、例えば、表面層を有する基 板に、塩素ガス中で紫外線照射して表面を塩素化し、次いで前記アミノ基含有ィ匕合 物のうち、例えば、ポリアリルァミン、ポリリシン、 4,4,, 4"-トリアミノトリフエ-ルメタン、ト リアムテレン等の多価アミンを反応させて、基板と結合して ヽな ヽ側の末端にアミノ基 を導入することにより、静電層を形成することができる。
[0059] また、静電層が施された基板にポリペプチドと共有結合しうる官能基を導入する反 応(例えば、ジカルボン酸または多価カルボン酸を用いるカルボキシル基の導入)を 溶液中で行う場合には、基板を、前記の非置換または一置換されたアミノ基を有する 化合物を含有する溶液中に浸漬した後、ポリペプチドと共有結合しうる官能基を導入 することが好ましい。前記溶液の溶媒としては、例えば水、 N-メチルピロリドン、ェタノ ールが挙げられる。
[0060] 静電層が施された基板に、ジカルボン酸または多価カルボン酸を用いてカルボキ シル基を導入する場合には、予め N—ヒドロキシスクシンイミドおよび Zまたはカルポジ
イミド類で活性化させたり、あるいは、反応を N—ヒドロキシスクシンイミドおよび Zまた はカルポジイミド類の存在下に行うことが好ましい。
[0061] 基板を、非置換または一置換されたアミノ基を有する化合物を含有する溶液中に 浸漬することにより、静電層を形成する場合に、アミノ基含有化合物としてポリアリル アミンを用いると、基板との密着性に優れ、ポリペプチドの固定ィ匕量がより向上する。 静電層の厚みは、 lnm— 500 μ mであることが好ましい。
[0062] 本発明の固体支持体は、ポリペプチドと共有結合しうる官能基を有する。該官能基 は、基板表面に化学修飾を施すことにより形成することができる。
[0063] 前記官能基としては、例えばカルボキシル基、活性エステル基、ハロホルミル基、 水酸基、硫酸基、シァノ基、ニトロ基、チオール基、ァミノ基が挙げられる。
[0064] 官能基としてカルボキシル基を導入するために用いられる化合物としては、例えば 、式: X-Ri-COOH (式中、 Xはハロゲン原子、 R1は炭素数 1一 12の 2価の炭化水素基 を表す)で示されるハロカルボン酸、例えばクロ口酢酸、フルォロ酢酸、ブロモ酢酸、 ョード酢酸、 2-クロ口プロピオン酸、 3-クロ口プロピオン酸、 3-クロ口アクリル酸、 4-クロ 口安息香酸;式: HOOC-R2-COOH (式中、 R2は単結合または炭素数 1一 12の 2価の 炭化水素基を表す)で示されるジカルボン酸、例えばシユウ酸、マロン酸、コハク酸、 マレイン酸、フマル酸、フタル酸;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、トリメリット酸、ブタ ンテトラカルボン酸などの多価カルボン酸;式: R3-CO-R4-COOH (式中、 R3は水素原 子または炭素数 1一 12の 2価の炭化水素基、 R4は炭素数 1一 12の 2価の炭化水素基を 表す)で示されるケト酸またはアルデヒド酸;式: X-OC-R5-COOH (式中、 Xはハロゲ ン原子、 R5は単結合または炭素数 1一 12の 2価の炭化水素基を表す)で示されるジカ ルボン酸のモノハライド、例えばコハク酸モノクロリド、マロン酸モノクロリド;無水フタ ル酸、無水コハク酸、無水シユウ酸、無水マレイン酸、無水ブタンテトラカルボン酸な どの酸無水物が挙げられる。
[0065] 前記のようにして導入されたカルボキシル基は、シアナミドゃカルポジイミド (例えば 、 1-[3- (ジメチルァミノ)プロピル] -3-ェチルカルポジイミド)などの脱水縮合剤と N-ヒ ドロキシスクシンイミドなどの化合物で活性エステルイ匕することができる。
[0066] 官能基としてハロホルミル基を導入するために用いられる化合物としては、例えば、
式: X- OC- R6- CO- X (式中、 Xはハロゲン原子、 R6は単結合または炭素数 1一 12の 2 価の炭化水素基を表す)で示されるジカルボン酸のジノヽライド、例えばコハク酸クロリ ド、マロン酸クロリドが挙げられる。
[0067] 官能基として水酸基を導入するために用いられる化合物としては、例えば、式:
HO- R7-COOH (式中、 R7は炭素数 1一 12の 2価の炭化水素基を表す)で示されるヒド 口キシ酸またはフエノール酸が挙げられる。
官能基としてアミノ基を導入するために用いられる化合物としては、例えばアミノ酸 が挙げられる。
[0068] 本発明においては、基板上に表面処理層、好ましくは軟ダイヤモンド層を有し、さら にポリペプチドと共有結合しうる官能基、特にアミド結合を介して結合された末端に力 ルポキシル基を有する炭化水素基を有する固体支持体を担体として用いることが好 ましい。さらに、該官能基は、 N-ヒドロキシスクシンイミド等により活性ィ匕されていること が好ましい。このような固体支持体は、ポリペプチドを強固に固定ィ匕する点、精製ポリ ペプチドだけでなく粗細胞抽出物などの未精製試料に含まれるポリペプチドをも強 固に結合することができる点において特に優れている。その結果、可溶性レセプター 誘導体とポリペプチドとの相互作用を高感度で検出することが可能になる。
[0069] 4.ポリペプチドと可溶性レセプター誘導体の相互作用の検出
次に、ポリペプチドを固定ィ匕した担体に、可溶性レセプター誘導体を反応させ、固 定ィ匕したポリペプチドと可溶性レセプター誘導体との相互作用を検出する方法につ いて説明する。
[0070] 上記で作成したポリペプチドが固定ィ匕された担体は、可溶性レセプター誘導体と反 応させる前にブロッキングを行うのが好ましい。ブロッキングは、当技術分野において 通常用いられるブロッキング剤、例えば 2%BSA含有 0.1M Tris塩酸緩衝液、に浸して 1 時間ほど振とうすることによって実施できる。このときの浸漬温度は、室温である。そ の後、 0.1%の Tween20含有 PBS等で洗浄し、遠心乾燥させる。このようにブロッキング 処理をした後、可溶性レセプター誘導体を含有する溶液を添加する。そして、通常室 温で、 0.5— 3時間インキュベートし、可溶性レセプター誘導体の細胞外ドメインと担体 上のポリペプチドとを反応させる。その後未反応の可溶性レセプター誘導体を除去
するため、担体を洗浄する。洗浄液としては、当技術分野で通常用いられているもの を使用することができ、例えば、 2 X SSC、 0.2%SDS (ドデシル硫酸ナトリウム)含有水溶 液、 0.1% Tween20含有 PBS等を使用することができる。洗浄後、担体上のポリべプチ ドに結合することにより担体上に残った可溶性レセプター誘導体を検出する。その結 果、可溶性レセプター誘導体が結合したスポットに固定ィ匕されて 、たポリペプチドは 、該可溶性レセプター誘導体の細胞外ドメインと結合すること、すなわち該誘導体が 由来するレセプターと相互作用することがわかる。
[0071] 可溶性レセプター誘導体と担体上のポリペプチドとの相互作用は、当技術分野に おいて通常用いられる方法によって検出できる。例えば、可溶性レセプター誘導体 に当技術分野で通常用いられる標識を付し、この標識に由来するシグナルに基づい て検出することができる。このような標識としては、放射性同位元素、酵素 (例えば、ァ ルカリホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、ペルォキシダーゼ、 j8—ガラクトシダーゼ 、グルコース- 6-リン酸デヒドロゲナーゼおよびルシフェラーゼ)、蛍光色素(例えばフ ルォレセイン系列、ローダミン系列、ェォシン系列、 NBD系列など、具体的には、 Cy5 、 Cy3、 IC5、 IC3、フルォレセイン、テトラメチルローダミン、テキサスレッド、アタリジン オレンジなど)、ならびに化学発光分子等が挙げられる。
[0072] 特定の物質および該物質に対して親和性を有する物質を用いて、相互作用を検出 することもできる。例えば、可溶性レセプター誘導体をピオチンィ匕し、このピオチンィ匕 可溶性レセプター誘導体を担体上のポリペプチドと反応させた後、上記のような標識 を付したアビジンを添カ卩し、アビジンとピオチンの結合に基づいて、担体上のポリべ プチドに結合した可溶性レセプター誘導体を検出することができる。このような態様で 使用できる特定の物質 Zこれに対し親和性を有する物質の組み合わせとしては、例 えば、アビジンおよびストレプトアビジン等のピオチン結合タンパク質 Zピオチン、マ ルトース結合タンパク質 Zマルトース、 Gタンパク質 Zグァニンヌクレオチド、ポリヒス チジンペプチド Zニッケルもしくはコバルト等の金属イオン、ダルタチオン- s-トランス フェラーゼ Zダルタチオン、 DNA結合タンパク質 ZDNA、抗体 Z抗原分子 (ェピトー プ)、カルモジュリン Zカルモジュリン結合ペプチド、 ATP結合タンパク質 ZATP、エス トラジオールレセプタータンパク質 zエストラジオールなどの各種レセプタータンパク
質 Zそのリガンド、ならびにケトン基 Zヒドラジド基、ジオール基 Zヒドラジド基、アジド 基 Zアルキル基、ソラレン Z核酸塩基 (ピリミジン環またはプリン環などの核酸塩基ま たはそのアナログ)などが挙げられる。これらの中で、アビジンおよびストレプトァビジ ンなどのピオチン結合タンパク質 zピオチンの組み合わせが最も好ましい。
[0073] あるいは、相互作用させた後の担体を、そのままレーザ脱離 Zイオン化 飛行時間 型質量分析で分析することもできる。イオン化法の様式としては、マトリックス補助レー ザ脱着 (MALDI)法が好まし 、。
[0074] 本発明はまた、ポリペプチドと可溶性レセプター誘導体の相互作用を検出すること により特定の疾患を診断する方法に関する。本発明の診断方法においては、ポリべ プチドと可溶性レセプター誘導体の相互作用を検出し、患者由来の試料に含まれる 特定の膜レセプターに対するリガンドの量を測定し、その測定値に基づいて該膜レ セプターおよびそのリガンドが関連すると考えられる疾患を診断することができる。例 えば、患者の様々な部位に由来する生体試料を担体にスポッティングして各試料に 含まれるポリペプチドを担体上に固定ィ匕し、膜レセプターとの相互作用を検出するこ とにより、患者のどの部位で対照となる膜レセプターに対するリガンドが多く発現して V、る力を分析することができ、これにより簡便かつ有効な診断を実施することができる 。本発明の方法においては、基板上にポリペプチドと共有結合しうる官能基、ならび にダイヤモンド、軟ダイヤモンド、炭素系物質および炭化物力も選ばれる少なくとも 1 種の表面層を有する固体支持体を用いることが好ましぐまた、生体試料に多価アル コールを添加してスポッティングすることが好ましい。これにより、生体試料を精製する ことなくポリペプチドを固定ィ匕できるとともに膜レセプターとの相互作用を検出すること ちでさる。
[0075] 膜レセプターまたはリガンドとそれに関連する疾患との組み合わせとしては、例えば 、癌細胞で高発現がみられる ErbBl受容体およびそれに結合して細胞の増殖を促進 し病巣の増大を引き起こすリガンドと癌疾患との組み合わせが挙げられる。 ErbBlに 結合するリガンドは 1種類に限定されないため、試料中の特定の因子を検出しても真 の原因因子を見逃してしまう可能性がある。しかし、可溶性レセプターを用いて試料 中の因子を検出することにより、患者の試料中における病巣を増大させる因子を検出
し、評価 ·診断を行うことが可能になる。また、このような因子は癌細胞が増殖するた めに必要なリガンドとなっていると考えられるので、このような因子と競合的に結合し 癌の増殖を抑制する低分子ペプチドのスクリーニングにも利用可能である。さらに、 応用可能な例として自己免疫疾患が挙げられる。この疾患は血液中に自己の細胞 表面物質を認識してしまう抗体(自己抗体)ができ、これが自己の細胞を攻撃すること により慢性的な炎症を起こすことが知られている。この場合、自己抗体は細胞表面に 対するリガンドとみなすことができ、この方法を利用し、患者血液中の自己抗体をスポ ットして、可溶性レセプターを反応させることにより自己抗体が認識する物質の情報を 得て、診断を下すことが可能である。また自己抗体が認識する低分子をスクリーニン グして、自己抗体を中和するペプチドまたは化合物を得ることもできる。
[0076] 以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に 限定されるものではない。
実施例
[0077] (実施例 1) ErbB細胞外ドメイン-ヒンジ- FLAG発現ベクターの調製
1-1. ErbB 1細胞外ドメイン(ErbB 1 ECD) - FLAG
PC012-EGFR保持菌体を白金耳でとり 50 μ g/mlアンピシリンを含む LB寒天培地 (LB-Amp50 Agar)にストリークしコロニーアイソレイシヨンを行った。次に 50 μ g/mlアン ピシリンを含む LB培地 (LB-Amp50) 5mlに植菌し、 37°Cでー晚、 280/分で振盪培養し た。培養した大腸菌を室温で 3000rpm、 10分間遠心し集菌して QIAprep Spin Miniprep Kit(QIAGEN)でプラスミドを抽出した。このプラスミド溶液を 1 l (144ng相当 )を 0.2mlチューブに採り、 2.5mM dNTP(TaKaRa)を 6 1、 10 X PFUバッファを 5 μ 1、 10 μ Μフォワードプライマー #530 (配列番号 1)と 10 μ Μリバースプライマー #531 (配列 番号 2)をそれぞれ 1 μ 1ずつ、滅菌 Ultra Pure Water(UPW)を 35.5 μ 1カ卩ぇ最後に Pfo Turbo DNA polymerase(STRATAGENE)を 0.5 μ 1加えてサーマルサイクラ一にセットし 、 95°Cで 2分、 95°Cで 30秒、 60°Cで 30秒、 72°Cで 2分、 30サイクル、 72°Cで 10分の条 件で反応を行い、 ErbBl細胞外ドメイン (ECD)遺伝子を増幅した。 ErbBlの N末端側 に Xholサイトを作り、 ErbBlの膜貫通ドメインの上流に Agelサイトを作った。反応液を エタチンメイト(NIPPON GENE)を使ってエタノール沈澱させ沈澱を 18 μ 1の滅菌 UPW
に溶解し、そこに 10 X PCRバッファ (SIGMA)を 2.5 μ 1、 10mM dNTP(SIGMA)を 4 μ 1、 Taq DNA polymerase(SIGMA)を 0.5 μ 1カ卩えて 72°Cで 1時間反応させ、先に増幅した ErbBl ECD遺伝子の 3'末端にアデニンをティリングさせた。この反応液をァガロース 電気泳動して、 2kbpのバンドを切り出してそこから、 CONCERT™ Rapid Gel
Extraction System(LIFE TECHNOLOGIES)で DNAを抽出した。そしてこれをエタノー ル沈殿し、沈殿を 10 1の滅菌 UPWに溶解した。ァガロース電気泳動で ErbBl細胞外 ドメイン(ErbBl ECD)のバンドを確認し、 ErbBl細胞外ドメインと pCR2.1(TA cloning vector, Invitrogen)のモル比を 100:1で混合し T4 DNAリガーゼ(NIPPON GENE)を 1 1加え、 16°C水槽でー晚反応させた。このライゲーシヨン反応液の全量を無菌的に コンビテントセル XL-1 Blueに加え、 30分間氷上に置き、 42°Cで 1分間ヒートショックし て、即氷上に置き充分冷却して力 SOC培地を 400 μ 1カ卩えて 37°Cで 1時間培養して 形質転換を行った。培養液を 50 μ 1の 20mg/ml X- Galと 10 μ 1の lOOmMイソプロピル チォガラタトシド (IPTG)とともに LB-Amp50 Agarに塗り広げ 37°Cで一晩培養して青白 選択を行った。出てきたコロニーの内、白コロニーを採り 100 1の LB-Amp50に植菌し て 7時間、 280/分で振盪培養した。これを 3分間遠心して上清を吸引し、ペレットを 50 μ 1の 1% Triton X-100で溶菌した。そしてこの液を 1 1、 10 Mフォワードプライマー # 547 (配列番号 27)、 10 Mリバースプライマー # 548 (配列番号 8)をそれぞれ 1 μ 1 、 2.5mM dNTPを 2 1、 10 X PCRバッファを 2.5 μ 1、滅菌 UPWを 17.25 μ 1、 Taq DNAポ リメラーゼを 0.25 /z lを混合しサーマルサイクラ一にセットし、 95°Cで 10分、 94°Cで 1分 、 50°Cで 1分、 72°Cで 1分、 30サイクル、 72°Cで 10分の条件で反応させた。反応液をァ ガロース電気泳動し、 700bpのバンドがみえるもの 3クローンを 5mlの LB-Amp50に植 菌して、 37°Cでー晚振盪培養した。そして、 QIAprep Spin Miniprep Kitでプラスミドを 抽出して、 XhoI、 Agelの消化および EcoRIによりクロー-ングベクターへの ErbBl ECD挿入を確認した。更に DNAシーケンサで ErbBl ECDの全塩基配列を確認した( 用いたプライマーは #361 (配列番号 7)、 #547 (配列番号 27)、 #548 (配列番号 8) 、 M13 (- 21) primer (配列番号 14) (Applied Biosystems) )。配列を確認したプラスミド は XhoI、 Agelで切断し反応液をァガロース電気泳動して ErbBl ECD(2kbp)のバンド を切り出した。切り出したゲルから CONCERT™ Rapid Gel Extraction Systemで DNA
を抽出し、更にエタチンメイトでエタノール沈澱し、沈澱を 10 1の滅菌 UPWに溶解し た。同時に、 pEGFP-Nl(pB0315)を Xholと Agelで切断し、 70°Cで 15分おいて制限酵 素を失活させた。そして、 ErbBl ECD遺伝子と pB0315のモル比が 100:1となるように 混合し T4 DNAリガーゼ (NEB)を 1 μ 1加えて、 16°Cでー晚反応させた。反応液を全量 XL- 1 Blueに導入して形質転換し 50 g/mlカナマイシン含有 LB寒天培地 (LB- Kn50 Agar)に植菌して 37°Cでー晚培養した。出現コロニーを 5個取り 50 g/mlカナマイシ ン含有 LB培地 (LB-Kn50) 5mlにそれぞれ植菌しー晚振盪培養した。 QIAprep Spin Miniprep Kitでプラスミドをそれぞれ抽出し Xholおよび Agelで切断し pB0315に ErbBl ECDが挿入されたことを確認した。確認後、 1つのクローンを Agel、 Notlで切断し PB0315から EGFPの配列を排除した。ァガロース電気泳動を行 、6kbpの断片を切り 出した。この切り出したゲルから CONCERT™ Rapid Gel Extraction Systemで DNAを 抽出し 10 μ 1の滅菌 UPWに溶解させた。
[0078] 一方、リンカ一の FLAG- tagは 100 μ Μ合成オリゴヌクレオチド # 536、 # 537 (配列 番号 15、 16)をそれぞれ 2.5 μ 1ずっと 10mM ATPを 2 μ 1、 10 X T4ポリヌクレオチドキ ナーゼ (ΡΝΚ)バッファ (ΝΕΒ) 10 μ 1、滅菌 UPWを 82 μ 1、 Τ4 ΡΝΚ(ΝΕΒ)を 1 μ 1を 0.2ml チュブに混合し、サーマルサイクラ一にセットして、 37°Cで 1時間リン酸ィ匕反応を行い 、続いて 95°Cで 5分間 DNAの変性反応を行い、 65°Cで 5分間、 37°Cで 30分間と徐々 に温度を下げてァニールさせた。
[0079] そして先に調製した EGFPを除いたベクター断片と FLAG-tagのモル比力 l:100とな るように混合し T4 DNAリガーゼを 1 μ 1加えて、 16°Cでー晚反応させた。反応液は全 て XL-1 Blueの形質転換に使用し、形質転換体は LB_Kn50 Agarに植菌した。ー晚 培養後、コロニーをとつて 5mlの LB-Kn50に植菌し 37°Cでー晚振盪培養した。そして 、 QIAprep Spin Miniprep Kitでプラスミドを抽出し制限酵素で FLAG挿入を確認した。 挿入が確認されたクローンを 2mlの LB-Kn50に植菌して 37°Cで 7時間振盪培養した。 培養液を lml別の 250ml LB-Kn50に移しォービタルシエイカーでー晚振盪培養 ( 150rpm)した。培養液を 500ml高速遠心筒に移し 4°Cで 5000rpm、 7分間遠心した (HITACHI himac CR20) o上清を捨て、菌体ペレットを少量のリンゲル液に懸濁し 50ml高速遠心管に移した。そして 4°Cで 5000rpm、 10分間遠心し上清を捨てた。次に
このペレットを Alkaline Lysis Solutionl (50mM glucose 25mM Tris— Cl(pH8.0) lOmM EDTA(pH8.0) ) 5mlに懸濁し次に lOmg/ml Lysozymeを 500 1カ卩えた。そして、 Alkaline Lysis Solution II (0.2N NaOH 1% SDS)を 10mlカ卩えて数回静かに上下反転 させて撹拌した。室温で 10分間静置した後、氷冷しておいた Alkaline Lysis Solution ΠΙ(3Μ酢酸ナトリウム (pH5.2) )を 7.5mlカ卩えて溶液が均一になるように数回上下に振つ た。氷上で 10分間置いた後、 4°Cで 11000rpm、 30分間遠心した。遠心後上清を 2本 の 30mlガラス遠心管に均等に分注し 2-プロパノールを 6.9mlずつ加えて良く混ぜた。 10分間室温で静置して、 25°Cで 8000rpm、 15分間遠心した。上清を捨て沈澱を 70% エタノールで洗い、沈澱を乾かしてそれぞれの遠心管に 3mlの TE8.5をカ卩ぇ沈澱を溶 かし、 3.3gの塩化セシウムをカ卩えて溶かした。これらを超遠心用チューブ 2本に移し、 更に 20mg/mlェチジゥムブロマイドをそれぞれのチューブに 50 μ 1ずつ添加してしつ 力りと栓をした。ローターにチューブをセットして、 20°Cで 62000rpm、 6時間超遠心を 行った。チューブをローターからはずし 21ゲージの注射針(テルモ)をチューブの肩 に刺し、 18ゲージの注射針 (テノレモ)をセットした lml注射筒(テノレモ)でプラスミドのバ ンドを抜き取った。その際、 495應の光をチューブに当ててバンドを蛍光させた。抜き 取った液は、 1.5mlチューブに移し TE飽和ブタノールを 400 μ 1カ卩えてボルテックスし 3 分間遠心して赤く染まった有機相(上層)をピペットマンで吸引した。この操作を 5回 繰り返して、ェチジゥムブロマイドを除去した。このェチジゥムブロマイドを除去した液 は 15mlガラス遠心管 2本に移しこの溶液の 3倍量の滅菌 UPWを加えて混合した後、 8 倍量のエタノールをカ卩えて良く混ぜ、氷上に 15分間置いた。そして 4°Cで 13000rpm、 15分間遠心し、上清を捨て、沈澱を合計 lmlの TE8.5に溶力した。これらを 4本の 1.5ml チューブに移しそれぞれに 10 1ずつ 3M酢酸ナトリウム (pH5.2)を加えてボルテック スし、更に 520 μ 1ずつエタノールをカ卩えてボルテックスしてドライアイス-エタノールバ スに 30分間浸けて、 10分間遠心した。エタノールで沈澱を洗ってから乾燥させて、合 計 400 μ 1の 10mM Tris- HC1 pH8.5 ImM EDTA(TE8.5)に溶解した。この菌体とプラス ミドはそれぞれ- 80°C、-20°Cで pBO507として保存した。
1-2. ErbB4細胞外ドメイン(ErbB4 ECD) - FLAG
human fetal heart cDNAを 1 1、 10 X pfxバッファを 5 1、 10 Xェンハンサーを 5 μ 1、
50mM Mg SOを 1 1、 10 Mフォワードプライマー # 532 (配列番号 3)、 10 Mリバ
2 4
ースプライマー #533 (配列番号 4)をそれぞれ 1 μ 1ずつ、 2.5mM dNTPを 6 μ 1、滅菌 UPWを 29 μ 1、 PLATINUM pfx DNAポリメラーゼ(GIBCO BRL)を 1 μ 1を 0.2mlチュー ブに混合しサーマルサイクラ一にセットして、 94°Cで 2分、 94°Cで 1分、 55°Cで 1分、 68 °Cで 5分、 35サイクル、 68°Cで 10分の条件で反応させて、 ErbB4遺伝子の全長を増幅 させた。続 、てこの反応液を 1 1、 10 X PFUバッファを 5 1、 10 Mフォワードプライマ 一 # 534 (配列番号 5)、 10 Mリバースプライマー # 535 (配列番号 6)をそれぞれ 1 μ 1ずつ、 2.5mM dNTPを 6 μ 1、滅菌 UPWを 35.5 μ 1、 PFU turbo DNAポリメラーゼを 0.5 1を 0.2mlチューブに加えて混ぜ、サーマルサイクラ一にセットして、 95°Cで 10分、 95 °Cで 30秒、 65°Cで 30秒、 72°Cで 2分 30秒、 35サイクル、 72°Cで 10分の条件で反応さ せて、 ErbB4細胞外ドメイン (ECD)遺伝子を増幅し N末端側に Bglllサイトを、そして ErbB4膜貫通ドメイン上流には Agelサイトを作った。反応液をエタチンメイトを使って 18 μ 1の滅菌 UPWに溶解した。これに、 10 X PCRバッファを 2.5 μ 1、 10mM dATPを 3 μ 1 、 2.5mM dNTPを 1 μ 1、 Taq DNAポリメラーゼは 0.5 μ 1それぞれ加えて、 72°Cで 1時間 反応させて、 DNAの 3'末端にアデニンをティリングさせた。また、上記の ErbBlの操作 と同様にして TAクローニングベクターの pCR2.1とライゲーシヨンさせ、 XL-1 Blueに形 質転換し植菌する時に、 X-GaU IPTGを同時に加えて培養し青白選択を行った。 白 コロニーを ErbB4 ECDの 660bpを増幅するプライマー #549、 #550 (配列番号 9、 10) を用いてダイレクト PCRを行い、 TAクロー-ングベクターへの ErbB4 ECDの挿入を確 認した。更に、制限酵素 Agel、 Bglllの消化および、 EcoRIによる切断で挿入を確認し た。また、プライマー #361 (配列番号 7)、 # 549 (配列番号 9)、 # 550 (配列番号 10) 、 #563 (配列番号 11)、 #564 (配列番号 13)、M13 (-21)プライマー(配列番号 14) を用いて、 DNA塩基配列を確認した。確認後、ベクターを Agel、 Bglllで切断しァガロ ース電気泳動をして ErbB4 ECDのバンドを切り出した。ゲルから CONCERT™ Rapid Gel Extraction Systemで DNAを抽出し 10 μ 1の滅菌 UPWに溶解させた。同時に PB0315も Agel、 Bglllで切断し反応液を 65°Cで 15分置いて、制限酵素を失活させた。 そして ErbB4 ECD遺伝子と FLAG-tagのモル比力 l:100になるように混合し、 T4 DNA リガーゼを 1 μ 1加え、 16°Cでー晚反応させた。そして、反応液の全量を XL-1 Blueの
形質転換に用い形質転換体を LB- Kn50Agarに植菌して、 37°Cで一晩培養した。出 現コロニーを 5mlの LB- Kn50に植菌しー晚培養して QIAprep Spin Miniprep Kitでプラ スミドを抽出し、 Agel、 Bglllで切断してスクリーニングした。以下、ト 1と同様にして、 FLAG-tagを挿入し、そして、プラスミドを塩ィ匕セシウム密度勾配超遠心により大量精 製した。
[0081] 1-3. レセプター ECDの C末端側へのマウス IgGlヒンジ領域の挿入(ErbB ECD-ヒン ジ- FLAGの調製)
まず、 ErbBl ECD- FLAGベクター、 ErbB4 ECD- FLAGベクター 500ngを Agelで切 断した。反応液をエタチンメイトでエタノール沈澱し、沈澱を乾燥させてから 17 1の 滅菌 UPWに溶かした。これに 2 μ 1の Bacterial Alkaline Phosphatase(BAP)バッファ( TaKaRa)を加え、更に BAP(TaKaRa)を 1 μ 1加えて 65°Cで 1時間反応させた。反応後 滅菌 UPWを 80 1カ卩え、更にフエノール/クロ口ホルムイソアミルアルコール (CIAA,ク ロロホルム:イソアミルアルコール =24: 1)を 100 μ 1カ卩ぇボルテックスした。室温で 15分 間遠心し水層(上層、無色透明)をピペットマンで回収し新しいチューブに移した。そ こへ、再びフエノール/ CIAAを加え同様の操作を 2回繰り返した。最後に、 CIAAを 100 μ 1カ卩ぇボルテックスし、 5分間遠心して水槽を回収した。そして、 3Μ NaOAcを 5 μ 1カロ えエタノールを 100 1カ卩えて良く混ぜドライアイスエタノールバスに 10分間置いた後 10分間遠心して上清を除去し 70%エタノールで沈澱を洗 、、それから沈澱を乾かし て 10 1の滅菌 UPWに溶解した。
[0082] マウス IgGlヒンジ領域は 100 Μ合成オリゴヌクレオチド #584、 #585 (配列番号 18 、 19)をそれぞれ 2.5 ずつ、 10mM ΑΤΡを 2 1、 10 X T4 ΡΝΚバッファを 10 1、滅菌 UPWを 82 μ 1、 Τ4 ΡΝΚを 1 μ 1を 0.2mlチューブに入れて、サーマルサイクラ一にセット し、 37°Cで 1時間反応させその後、 95°Cで 5分間、 60°Cで 5分間、 37°Cで 30分間おい て調製した。
[0083] そして、 Agelで切断した ErbB ECD- FLAG遺伝子とマウス IgGlヒンジを混合し、 T4 DNAリガーゼでライゲーシヨンさせた。そして、ライゲーシヨン反応液をコンビテントセ ル XL- lBlueに形質転換して、 LB- Kn50 Agarに植菌した。 37°Cでー晚培養して、コロ ニーを取り、塩基配列を DNAシーケンサーで確認した。また、 1-1と同様にプラスミド
の大量精製を行った。
[0084] (実施例 2) ErbB細胞外ドメイン(ErbB ECD) -ヒンジ- FLAGの調製
2-1. ErbB ECD-ヒンジ- FLAG発現 HEK293H細胞の榭立
ヒト胚性腎 293H (HEK293H)細胞を 293 SFM II(GIBCO)で培養した。細胞を回収し 8 X 106個ずつ 2本の 1.5mLチューブに分注した。これを遠心して上清を除去し EP培地 (10mMグルコース、 100 μ M DTT/RPMI1640)を 800 μ Lずつ加えて懸濁した。そして プラスミド DNA: ErbB 1 ECD-ヒンジ- FLAG発現ベクター(pB0547)または ErbB4 ECD-ヒンジ- FLAG発現ベクター(pB0548)を 10 μ gずつ加え 4mmギャップエレクト口 ポレーシヨンキュベット(M β Ρ)に移した。そして Gene pulser Π(ΒΙΟ- RAD)を用い 0.26kV- 950 μ Fでプラスミドを導入した。 T75cm2細胞培養ボトルに 10% FCS- DMEMを 入れ、エレクト口ポレーシヨンした細胞を加えた。そして、 37°C、 5% COで 24時間培養
2
した。それから、培養液を回収し 1200rpm、 5分、 4°Cで遠心し上清を除去し細胞を 2mLずつの lmg/mL G418、 100 μ g/mLカナマイシン I 293 SFMII(lmg/mL
G418-293 SFM II)に懸濁し、生細胞数を計数した(ErbB 1 ECD-ヒンジ- FLAG:8.2 X 105個、 ErbB4 ECD-ヒンジ- FLAG:6.4 X 105個)。そして T75cm2ボトルに 18mLの lmg/mLG418-293 SFM IIを入れ、細胞をカ卩えた。 17— 21日間培養して G418耐性の 細胞を選択した。
[0085] 2-2. ErbB ECD-ヒンジ- FLAG -ヒンジ- FLAGの精製
175cm2細胞培養用フラスコ (BD Falcon™)に 60mLの lmg/mL G418、 100 μ g/mL力 ナマイシン入り 293 SFM- II(GIBCO)を入れ 3.5 X 106個の HEK293H/ ErbB ECD-ヒン ジ- FLAG発現ベクター pB0547または pB0548を撒いて 37°C、 5% COで 6— 8日間培
2
養した。この培養液を 600— 800mL回収し、 5,000rpm、 10min、 4°Cで遠心 (HITACHI himac CR20, rotor NO. 30)し上清を精製に用いた。 TALON 2mL Disporsable Gravity Column(CLONTECH)にリン酸緩衝ィ匕食塩水(PBS)、 pH7.4を 2回通して濯い だ。それから Anti-FLAG (登録商標) M2 Agarose Affinity Gel(SIGMA)lmLをカラムに 充填した。次に PBSをゲルのグリセリンが抜けるまで流し、そして、 0.1Mリン酸バッファ (PH3.5)を ImLずつ 3回流してゲルを洗った。続!、て PBSを ImLずつ 5回カラムに通し力 ラムを平衡ィ匕した。次に培養上清をカラムに通した。その後、 20mLの PBSでカラムを
洗い、 0.1Mリン酸バッファ (pH3.5)でレセプターを溶出した。溶出液は lmLに対して 2Mリン酸バッファ (pH8.0)を 90 μ Lで受けて中和した。
[0086] 2-3. ErbB ECD-ヒンジ- FLAGのビォチン化
ビォチン- (AC5) 2-スルホ - OSu (スルホスクシンィミジル N- [Ν'- (D-ビォチュル) -6- ァミノへキサノィル] -6'-ァミノへキサノエート)(同仁化学)を UPWに溶解して 3.3mMの 溶液を作った。モル比で ErbB ECD-ヒンジ- FLAG:ピオチン =1:12となるように混合し 室温で 4時間反応させた。反応を 0.1Mグリシン 50 Lを加えて止めて、反応液の全量 を UPWで 2.5mLにして、 PBSで平衡化した PD- 10カラム(Amersham pharmacia biotech )にアプライして 3mLの PBSで溶出してバッファ交換した。
(実施例 3)リガンドの調製
[0087] 3-1. 組み換えヒトベータセルリン (rhBTC)
rhBTCの精製は、 Seno et al.(1996) Human Betacellulin, a Member of the EGF Family Dominantly Expressed in Pancreas and Small Intestine, is Fully Active in a Monomeric Form. Growth Factors 13, 181- 191に従って行った。
[0088] 3-2. Myc- BTC- HA粗抽出液
Myc- BTC- HA発現プラスミド (pB0651)を構築し、 E.coli BL21 (DE3) pLysSに導入し 、 50 μ g/mLアンピシリン、 10 μ g/mLクロラムフエ-コール含有 LB培地で OD660が 0.3 になるまで培養した。その後、イソプロピルチオガラクトシド (IPTG)を終濃度 0.4mMと なるように加え、更に 3時間培養した。培養液を遠心して菌体を回収し、 _80°Cで凍結 し、 37°Cで解凍した。菌体ペレットを培養液の 1/50量の 50mMリン酸バッファ(pH7.4) で懸濁し氷上に 1時間おいて溶菌し、更にソ-ケーシヨンした。遠心して上清を回収 し Myc-BTC- HA粗抽出物とした。
[0089] (実施例 4)固体支持体の作成
25mm (幅) x75mm (長さ) xlmm (厚み)のスライドガラスを、ポリアリルアミン水溶液( 0.1g/l)に浸漬することにより、静電層を形成した。その後、静電層のアミノ基に、多価 カルボン酸としてのポリアクリル酸を、 0.1Mの 1-[3- (ジメチルァミノ)プロピル] -3-ェチ ルカルボジイミドの存在下で縮合した。そして、 0.1Mリン酸緩衝液 (pH6) 300mlに 0. lmの 1-[3- (ジメチルァミノ)プロピル Ί -3-ェチルカルボジイミド ·塩酸塩と 20mMの
N-ヒドロキシスクシンイミドを溶解した活性ィ匕液中に 30分間浸漬することによって活性 化した。
[0090] (実施例 5)相互作用の確認
96穴プレートに rhBTCを 0.2mg/mLから 2倍の系列希釈で、 Myc- BTC- HAを含む細 胞粗抽出液または対照として Myc-BTC-HAを発現しな 、ベクター (NC)を含む細胞 粗抽出液を 1.2倍と 2倍から 2倍の系列希釈でサンプルを調製した。各サンプルは 10% グリセリンを含む。活性ィ匕した実施例 4の固体支持体に GT-MASS SYSTEM (日本レ 一ザ一電子)でサンプルをスポットし、飽和食塩水を含ませた濾紙を敷 ヽたシャーレ に入れて 37°Cで 1時間反応させた。次に 15mLの 2% BSA、 0.1M Tris- Cl(pH7.4)/PBS に固体支持体を浸けて室温で 1時間ブロッキングを行った。 0.1% Tween-20含有 PBS(PBST)で 3回固体支持体を洗い遠心した、その後、 1% BSAを含む 100 g/mLビ ォチン化 ErbBl ECD-ヒンジ- FLAGを 30 Lかけてカバーグラスで覆い、室温で 1時 間反応させた。 PBSTで 3回洗い遠心した。そして、 0.1% BSAを含む PBSに 10 g/mL アビジン- Cy3、 1 μ g/mL BSA -ピオチンを混合した液 (反応 30分前に調製)を 30 L かけてカバーグラスで覆い室温で 1時間反応させた。 PBSTで 4回洗い最後に PBSで 1 回濯いで遠心し、 GTMASS SCANNERで Cy3の蛍光を読み取った。蛍光画像を図 3 に示す。この蛍光画像においては、右方向へ同一の試料を連続してスポットしている ので水平に並ぶ 3点については組み換えベータセルリンの濃度がほぼ一定、上方向 に向けて試料を 2倍ずつ希釈したものをスポットしているので組み換えベータセルリン の濃度は上へ行く程低くなつている。蛍光強度を GTMASS ANALYSISを用いて解析 した結果を図 4に示す。以上の結果から、 ErbBと相互作用するポリペプチドの固定ィ匕 量が多いスポットほど、 ErbB細胞外ドメインが多く結合していることがわかる。以上か ら、本発明の方法により、ポリペプチドと膜レセプターとの相互作用を検出できること が示された。
[0091] また、レセプター誘導体と反応させるときに、ピオチン化 ErbBl ECD-ヒンジ- FLAG ( 20 g/mLに固定)に加えて、無標識の ErbBl ECD-ヒンジ- FLAGを競合物質として 加え(10 g/mL— 200 g/mL)混合した。その結果、競合物質が増加するほど蛍光 は減少することが明ら力となった。以上から、担体上におけるベータセルリンと ErbBl
ECD-ヒンジ- FLAGの相互作用を特異的に検出できることが示された。
産業上の利用可能性
本発明により、レセプターとポリペプチドとの相互作用を迅速かつ簡便に検出する ことができ、レセプターに対するリガンドのスクリーニング、レセプターに対して所望の 結合活性を有するリガンド変異体のスクリーニングが可能になる。