明糸田書
シンチレ一夕プレート、 放射線イメージセンサ及びその製造方法 技術分野
この発明は、 医療用の X線撮影等に用いられるシンチレ一夕プレート、 放射線 イメージセンサ及びその製造方法に関するものである。 背景技術
医療、 工業用の X線撮影では、 X線感光フィルムが用いられてきたが、 利便性 や撮影結果の保存性の面から放射線検出素子を用いた放射線イメージングシステ ムが普及してきている。 このような放射線イメージングシステムにおいては、 放 射線検出素子により 2次元の放射線による画素データを電気信号として取得し、 この信号を処理装置により処理してモニタ上に表示している。
従来、 放射線検出素子を構成するシンチレ一夕パネルとして、 特開昭 6 3— 2 1 5 9 8 7号公報に開示されているシンチレ一夕パネルが知られている。 この シンチレ一夕パネルは、 ファイバオプティカルプレート (F O P ) 上に典型的な シンチレ一夕材料である C s Iからなる柱状構造のシンチレ一夕を形成している c この柱状構造を有するシンチレ一夕においては、 柱状構造を有するシンチレ一夕 の 1本 1本がライ トガイ ドとしての役目をにない、 放射線によって発生した光を 光出射面まで導いている。
ところで、 柱状構造のシンチレ一夕においては、 シンチレ一夕により発生した 光がシンチレ一夕の光出射面に到達するまでに数多くの反射吸収を繰り返す。 シ ンチレ一夕で発生した光の約半分は、 シンチレ一夕の先端部に向かって進行し、 先端部の表面において反射されることにより、 反射された光の一部が光出射面に 向かって進行する。 しかしながら横方向のべクトル成分の大きい光はクロストー ク成分となり、 隣接したシンチレ一夕又は遠方のシンチレ一夕まで到達し、 解像
度の劣化を招いていた。 なお、 特開平 5— 2 4 2 8 4 1号公報には、 シンチレ一 夕上に光吸収膜を有する X線イメージャが開示されている。
この発明は、 高解像度のシンチレ一夕プレート、 放射線イメージセンサ及びそ の製造方法を提供することを目的とする。 発明の開示
この発明の放射線イメージセンサは、 撮像素子の受光面上に形成された柱状 構造のシンチレ一夕と、 この柱状構造のシンチレ一夕の少なくとも一部を被覆す る有機膜とを備える放射線イメージセンサにおいて、 この撮像素子の受光部上以 外の部分に形成されたこの柱状構造のシンチレ一夕の先端部表面に光吸収膜を備 えることを特徴とする。 この発明の放射線イメージセンサによれば、 撮像素子の 受光部上以外の部分に形成された柱状構造のシンチレ一夕により発生した光の中 で、 シンチレ一夕の先端部に向かって進んだ光は、 このシンチレ一夕の先端部表 面に設けられている光吸収膜により吸収されることからクロストーク成分を減少 させることができ放射線イメージセンサの解像度を向上させることができる。 この発明の放射線イメージセンサは、 放射線イメージセンサにおいて有機膜の 表面に光反射膜を更に備えることを特徴とする。 この発明の放射線イメージセン ザによれば、 撮像素子の受光部上に形成された柱状構造のシンチレ一夕により発 生した光の中で、 シンチレ一夕の先端部に向かって進んだ光は、 有機膜の表面に 設けられている光反射膜により反射されるため、 撮像素子の受光部に入射する光 を増加させることができる。
この発明の放射線イメージセンサは、 上記放射線イメージセンサの撮像素子の 受光面の受光部間に光吸収膜を更に備えることを特徴とする。 この発明の放射線 イメージセンサによれば、 撮像素子の受光面の受光部間の光吸収膜により、 撮像 素子の受光部上以外の部分に形成された柱状構造のシンチレ一夕により発生した 光のクロストーク成分を吸収するため、 更に放射線イメージセンサの解像度を向
上させることができる。
この発明の放射線イメージセンサは、 上記放射線イメージセンサ一の撮像素子 の受光部上に形成された柱状構造のシンチレ一夕の先端部表面に光反射膜を更に 備えることを特徴とする。 この発明の放射線イメージセンサによれば、 撮像素子 の受光部上に形成された柱状構造のシンチレ一夕の先端部表面設けられた光反射 膜により、 このシンチレ一夕で発生した光の中でシンチレ一夕の先端部に向かつ て進んだ光を反射させるため、 撮像素子の受光部に入射する光を増加させること ができる。
また、 この発明は、 上記放射線イメージセンサ一のシンチレ一夕プレートが、 基板上に形成された柱状構造のシンチレ一夕と、 柱状構造のシンチレ一夕の少な くとも一部を被覆する有機膜とを備えるシンチレ一夕プレートにおいて、 前記シ ンチレ一夕の中で、 撮像素子の受光部以外の部分に対向する前記シンチレ一夕の 先端部表面に光吸収膜を備えることを特徴とする。 この発明のシンチレ一夕プレ ートによれば、 撮像素子の受光部以外の部分に対向する柱状構造のシンチレ一夕 により発生した光の中でシンチレ一夕の先端部に向かって進んだ光は、 このシン チレ一夕の先端部表面に設けられている光吸収膜により吸収されることからクロ ストーク成分を減少させることができシンチレ一夕プレートの解像度を向上させ ることができる。
また、 この発明のシンチレ一夕プレートは、 上記のシンチレ一夕プレートの 基板のシンチレ一夕が形成されている表面の撮像素子の受光部以外の部分に対向 する位置に光吸収膜を更に備えることを特徴とする。 このシンチレ一夕プレート によれば、 撮像素子の受光部以外の位置に対向する基板上に設けられた光吸収膜 により、 シンチレ一夕で発生した光のクロストーク成分を吸収するため、 更にシ ンチレ一夕プレートの解像度を向上させることができる。
また、 シンチレ一夕プレートは、 請求項 5又は請求項 6記載のシンチレ一夕プ レートの前記基板の前記シンチレ一夕が形成されている表面の前記撮像素子の前
記受光部に対向する位置に光反射膜を更に備えることを特徴とする。 この発明の シンチレ一夕プレートによれば、 撮像素子の受光部に対向する基板上に設けられ た光反射膜によりシンチレ一夕で発生した光を反射させるため撮像素子の受光部 に入射する光を増加させることができる。
また、 この発明は上記放射線イメージセンサにおいてシンチレ一夕の先端部 側に撮像素子を更に備えたことを特徴とする。
また、 この発明の放射線イメージセンサの製造方法は、 撮像素子の受光面上 に柱状構造のシンチレ一夕を形成するシンチレ一夕形成工程と、 撮像素子の受光 部以外の部分に形成されたシンチレ一夕の先端部表面に光吸収膜を形成する光吸 収膜形成工程と、 シンチレ一夕の表面を有機膜で覆う有機膜形成工程とを備える ことを特徴とする。 この発明の放射線イメージセンサの製造方法によれば、 解像 度を向上させた放射線イメージセンサを製造することができる。
また、 この発明の放射線イメージセンサの製造方法では、 有機膜形成工程の 後に光反射膜形成工程を更に備えることを特徴とする。 この発明の放射線ィメー ジセンサの製造方法によれば、 撮像素子の受光部上に形成された柱状構造のシン チレ一夕により発生した光の中で、 シンチレ一夕の先端部に向かって進んだ光を 有機膜の表面に設けられている光反射膜により反射させることにより、 解像度を 向上させた放射線イメージセンサを製造することができる。
また、 この発明の放射線イメージセンサの製造方法は、 シンチレ一夕形成工程 と有機膜形成工程との間に、 柱状構造のシンチレ一夕の中で、 撮像素子の受光部 上に形成された柱状構造のシンチレ一夕の先端部表面に光反射膜を形成する光反 射膜形成工程を更に備えることを特徴とする。 この発明では、 撮像素子の受光部 に入射する光を増加させた放射線イメージセンサを製造することができる。
また、 この発明の放射線イメージセンサの製造方法は、 シンチレ一夕形成ェ 程の前に、 撮像素子の前記受光面の受光部間に光吸収膜を形成する光吸収膜形成 工程を更に備えることを特徴とする。 この発明では、 更に解像度を向上させた放
射線イメージセンサを製造することができる。
また、 この発明のシンチレ一夕プレートの製造方法は、 基板上に柱状構造の シンチレ一夕を形成するシンチレ一夕形成工程と、 基板上に形成された柱状構造 のシンチレ一夕の中で、 撮像素子の受光部上以外の部分に対向するシンチレ一夕 の先端部表面に光吸収膜を形成する光吸収膜形成工程と、 シンチレ一夕の表面を 有機膜で覆う有機膜形成工程とを備えることを特徴とする。 この発明では、 解像 度を向上させたシンチレ一夕プレートを製造することができる。
また、 この発明のシンチレ一夕は、 基板上に形成された柱状構造のシンチレ —夕と、 前記柱状構造のシンチレ一夕の少なくとも一部を被覆する有機膜とを備 えるシンチレ一夕プレートにおいて、 基板のシンチレ一夕形成面が、 撮像素子の 受光部に対応する領域に第 1の光学特性を有する領域と、 受光部間に対応する領 域に、 第 1の光学特性とは異なる第 2の光学特性を有する領域を有することを特 徴とする。 この発明では、 平坦な基板上の光特性の異なる領域を、 対応する撮像 素子の受光面、 受光面間に対して正確に作成できるため、 解像度より高くするこ とができる。 また、 この異なる光特性の領域は、 光反射膜及び光吸収膜の少なく とも一方を形成することにより実現できる。 この発明によれば、 更に解像度を向 上させたシンチレ一夕プレートを製造することができる。 また光吸収膜を設ける ことにより、 撮像素子の受光部に入射する光を増加させたシンチレ一夕プレート を実現できる。
また、 この発明のシンチレ一夕製造方法は、 基板の第 1の表面上に撮像素子 の受光面に対応する第 1領域の光学特性と受光面間に対応する第 2領域の光学特 性とを異ならしめる光学特性付与工程と、 基板の第 1の表面上に柱状構造のシン チレ一夕を形成するシンチレ一夕形成工程と、 シンチレ一夕の表面を有機膜で覆 う有機膜形成工程と、 を備えることを特徴とする。 この発明では、 平坦な基板上 の光特性の異なる領域を、 対応する撮像素子の受光面、 受光面間に対して正確に 作成できるため、 解像度より高いシンチレ一夕を製造できる。
また、 この発明の放射線イメージセンサの製造方法は、 上記製造方法において、 更にシンチレ一夕プレートのシンチレ一夕の先端部側に撮像素子を配置する撮像 素子配置工程を備えたことを特徴とする。 図面の簡単な説明
図 1は、 この発明の第 1の実施の形態にかかる放射線イメージセンサの断面図 である。
図 2 A、 2 B、 2 Cは、 この発明の第 1の実施の形態にかかる放射線イメージ センサの製造工程を示す図である。
図 3 A及び図 3 Bは、 この発明の第 1の実施の形態にかかる放射線イメージセ ンサの製造工程を示す図である。
図 4は、 この発明の第 2の実施の形態にかかる放射線ィメ一ジセンサの断面図 である。
図 5 A、 図 5 B及び図 5 Cは、 この発明の第 2の実施の形態にかかる放射線ィ メージセンサの製造工程の前半部分を示す図である。
図 6 A及び図 6 Bは、 この発明の第 2の実施の形態にかかる放射線イメージセ ンサの製造工程の後半部を示す図である。
図 7は、 この発明の第 3の実施の形態にかかる放射線ィメ一ジセンサの断面図 である。
図 8は、 この発明の第 4の実施の形態にかかる放射線イメージセンサの断面図 である。
図 9は、 この発明の第 5の実施の形態にかかる放射線イメージセンサの断面図 である。
図 1 0は、 上記第 1の実施の形態の変形例を示す図である。
図 1 1は、 上記第 2の実施の形態の変形例を示す図である。
図 1 2は、 上記第 3の実施の形態の変形例を示す図である。
図 13は、 上記第 4の実施の形態の変形例を示す図である。
図 14は、 上記第 5の実施の形態の変形例を示す図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 図 1、 図 2A、 図 2 B、 図 2 C、 図 3 A及び図 3 Bを参照して、 この発 明の第 1の実施の形態の説明を行う。 図 1は実施の形態にかかる放射線イメージ センサ 2の断面図である。 図 1に示すように、 放射線イメージセンサ 2は、 薄膜 トランジスタ (TFT) +フォトダイオードアレイ (撮像素子) 10の受光面に 形成された柱状構造のシンチレ一夕 12の中で、 受光部 1 O b以外の部分に形成 されているシンチレ一夕 1 2の先端部表面に A 1 (ブラック A 1 ) 膜 (光吸収 膜) 14を設け、 またシンチレ一夕 12の全体を耐湿性の向上を目的とする第 1 のポリパラキシリレン膜 (有機膜) 16により覆い、 更にこの第 1のポリパラキ シリレン膜 16上に耐湿性の向上を目的とする A 1膜 18を設けると共に、 A1 膜 18上に、 この A 1膜 18の剥がれを防止するための第 2のポリパラキシリレ ン膜 20を設けた構造を有するものである。
次に、 図 2A、 図 2 B、 図 2 C、 図 3A、 図 3 Bを参照して、 この放射線ィ メージセンサ 2の製造工程について説明する。 図 2 Aに示すように、 放射線ィメ —ジセンサ 2を構成するフォトダイォ一ドアレイ 10は、 基板 10 a上に受光部 10 bが 200〃mのピッチでアレイ状に形成されている。 まず、 このフォトダ ィオードアレイ 10の基板 10 aの受光面上に、 基板 10 aの温度を 100°Cと して T 1をドープした C s Iの柱状結晶を蒸着法によって成長させ、 柱径 10〃 m、 厚さ 600〃mの柱状構造のシンチレ一夕 12を形成する。
次に、 水素ガス下において、 シンチレ一夕 12の表面に 100 nmの厚さで A1膜 14を蒸着し、 受光部 10 b上に形成されたシンチレ一夕 12の先端部表 面に 150〃m径に絞ったエキシマレーザを照射することにより、 受光部 10 b 上に形成されたシンチレ一夕 12の先端部表面の A 1膜のみを除去する。 これに
より受光部 10 b上以外の部分に形成されたシンチレ一夕 12の表面の A1膜 1 4のみが光吸収膜として残される (図 2 B参照)。
次に、 シンチレ一夕 1 2が形成されたフォトダイオードアレイ 1 0を CVD 装置の蒸着室に入れ、 ポリパラキシリレンの原料を昇華した蒸気中に露出させて おくことにより、 シンチレ一夕 12の表面を 10〃mの厚さの第 1のポリパラキ シリレン膜 16で覆う (図 2 C参照) 。
次に、 シンチレ一夕 12を第 1のポリパラキシリレン膜 1 6で覆ったフォト ダイォ一ドアレイ 10を CVD装置の蒸着室から取り出し、 第 1のポリパラキシ リレン膜 1 6の表面に A 1膜 1 8を 300 nmの厚さで蒸着する (図 3 A) 参 照) 。 ここで A 1膜 1 8は、 シンチレ一夕 1 2の耐湿性の向上を目的とするもの であるためシンチレ一夕 12を覆う範囲で形成される。 また、 この A1膜 18は 光反射膜としても機能している。
その後、 A 1膜 1 8の表面に、 この A1膜 1 8の剥がれを防止するための第 2のポリパラキシリレン膜 20を形成する (図 3B参照) 。 即ち、 第 1のポリパ ラキシリレン膜 16の成膜の場合と同様に、 シンチレ一夕 12が形成されたフォ トダイオードアレイ 1 0を CVD装置の蒸着室に入れ、 〇 0法にょり八1膜1 8の表面及び A 1膜 1 8が形成されていない第 1のポリパラキシリレン膜 16上 に第 2のポリパラキシリレン膜 20を 10 mの厚さで成膜する。 この工程を終 了することにより放射線イメージセンサ 2の製造が終了する。
この第 1の実施の形態にかかる放射線イメージセンサ 2によれば、 フォトダ ィォードアレイ 10の受光部 10 b以外の部分に形成された柱状構造のシンチレ 一夕 12の先端部表面に A1膜 (光吸収膜) 14が設けられているため、 受光部 10 b以外の部分に形成された柱状構造のシンチレ一夕 12において発生した光 の中で A1膜 14に向かって進んだ光はこの A 1膜 14で吸収されることから、 このシンチレ一夕 12で発生した光のクロストーク成分を減少させることができ、 放射線イメージサンサ 2の解像度を向上させることができる。 また、 シンチレ一
夕 1 2の表面を第 1のポリパラキシリレン膜 1 6、 八1膜1 8及び第 2のポリパ ラキシリレン膜 2 0で覆っているためシンチレ一夕 1 2の耐湿性も維持すること ができる。
なお、 上述の第 1の実施の形態において、 光吸収膜として A 1膜を用いている が、 これに限らずカーボンブラック等の粉体をコ一ティングすることにより光吸 収膜を形成しても良い。 また C r膜等を用いても良い。
また、 上述の第 1の実施の形態の放射線イメージセンサ 2において、 受光部 1 0 b上に形成されたシンチレ一夕 1 2の先端部表面に光反射膜、 例えば B a S 0 2や T i 0 2の粉体をコーティングすることにより形成した光反射膜を設ける と共に、 フォトダイオードアレイ 1 0の受光部 1 0 b間の受光面上に光吸収膜、 例えばコ一ティングしたポリイミ ド等に熱、 紫外線、 電子線等を照射して着色す ることにより形成した光吸収膜を設けるようにしても良い。 この場合には、 フォ トダイオードアレイ 1 0の受光部 1 0 b間の受光面上に光吸収膜を形成した後に、 シンチレ一夕 1 2を形成し、 受光部 1 0 b上に形成されたシンチレ一夕 1 2の先 端部表面に光反射膜を設ける。 また、 第 1の実施の形態の放射線イメージセンサ 2において、 受光部 1 0 b上のシンチレ一夕 1 2の先端部表面に形成する光反射 膜、 フォトダイォ一ドアレイ 1 0の受光部 1 0 b間の受光面上に形成する光吸収 膜のいずれか一方のみを形成するようにしても良い。
また、 上述の第 1の実施の形態においては、 シンチレ一夕 1 2を形成する基 板として薄膜トランジスタ +フォトダイオードアレイ 1 0を用いているが、 これ に限らず C C D、 M O S型固体イメージセンサ等を用いるようにしてもよい。 次に、 図 4、 図 5 A、 図 5 B、 図 5 C、 図 6 A、 図 6 Bを参照して、 この発 明の第 2の実施の形態の説明を行う。 図 4は第 2の実施の形態にかかるシンチレ 一夕プレート 4にフォトダイオードアレイ 6を貼り合わせた構造を有する放射線 イメージセンサ 8の断面図である。 図 4に示すように、 シンチレ一夕プレート 4 は、 アモルファスカーボン製の基板 3 0上に設けられているシンチレ一夕の中で、
フォトダイオードアレイ (撮像素子) 6の受光部 6 b以外の部分に対向するシン チレ一夕 3 2の先端部表面に A1膜 (光吸収膜) 34を設け、 シンチレ一夕 32 を耐湿性の向上を目的とする第 1のポリパラキシリレン膜 (有機膜) 36により 覆い、 更に、 この第 1のポリパラキシリレン膜 36上に耐湿性の向上を目的とす る S i 02膜 3 8を設けると共に、 S i〇 2膜 38上に、 この S i 02膜 38 の剥がれを防止するための第 2のポリパラキシリレン膜 40を設けた構造を有す るものである。
次に、 図 5 A、 図 5 B、 図 5 C、 図 6A、 図 6 Bを参照して、 シンチレ一夕 パネル 4の製造工程について説明する。 まず、 図 5 Aに示すように、 基板 30の 一方の表面に、 T 1をドープした C s Iの柱状結晶を蒸着法によって成長させ、 柱径 1 0 /m、 厚さ 600〃mの柱状構造のシンチレ一タ 32を形成する。 次に、 水素ガス下において、 シンチレ一夕 3 2の先端部表面に 1 00 nmの 厚さで A1膜を蒸着し、 フォトダイオードアレイ 6の受光部 6 bに対向する位置 のシンチレ一夕 32の上面に 1 50〃m径に絞ったエキシマレ一ザを照射するこ とにより、 受光部 6 b上に形成されたシンチレ一夕 32の表面の A1膜を除去す る。 これにより受光部 6 b以外の部分に形成されたシンチレ一夕 3 2の表面の A 1膜のみが光吸収膜として残される (図 5 B参照)。
次に、 シンチレ一夕 32が形成された基板 30を CVD装置の蒸着室に入れ、 ポリパラキシリレンの原料を昇華した蒸気中に露出させておくことにより、 シン チレ一夕 3 2の表面を 1 0〃mの厚さの第 1のポリパラキシリレン膜 36で覆う (図 5 C参照) 。
次に、 第 1のポリパラキシリレン膜 3 6で覆った基板 30を CVD装置の蒸 着室から取り出し、 第 1のポリパラキシリレン膜 36の表面に S i 02膜 3 8を 3 00 nmの厚さで蒸着する (図 6 A参照) 。 ここで S i 02膜 3 8は、 シン チレ一夕 32の耐湿性の向上を目的とするものであるためシンチレ一夕 32を覆 う範囲で形成される。
その後、 3 :1 0 2膜3 8の表面に、 この S i 0 2膜 3 8の剥がれを防止するた めの第 2のポリパラキシリレン膜 4 0を形成する (図 6 B参照) 。 即ち、 第 1の ポリパラキシリレン膜 3 6の成膜の場合と同様に、 シンチレ一夕 3 2が形成され た基板 3 0を C V D装置の蒸着室に入れ、 スパヅ夕リングにより S i 0 2膜 3 8の表面及び S i 0 211 3 8が形成されていない第 1のポリパラキシリレン膜 3 6上に第 2のポリパラキシリレン膜 4 0を 1 0 mの厚さで成膜する。 この工程 が終了することによりシンチレ一夕パネル 4の製造が終了する。
このシンチレ一夕パネル 4は、 フォトダイォ一ドアレイ 6を貼り付け放射線 イメージセンサ 8として用いられる (図 4参照) 。 即ち、 フォトダイオードァレ ィ 6は、 基板 6 a上に受光部 6 bが 2 0 0 z mのピッチでアレイ状に形成された ものであり、 シンチレ一夕 3 2側にフォトダイォ一ドアレイ 6の受光面を向け、 シンチレ一夕 3 2に受光部 6 bが対向するように位置合わせを行いフォトダイォ —ドアレイ 6を貼り付け放射線イメージセンサ 8を製造する。
この第 2の実施の形態にかかるシンチレ一夕パネル 4によれば、 フォトダイ オードアレイ 6の受光部 6 bに対向する柱状構造のシンチレ一夕 3 2の先端部表 面に A 1膜 (光吸収膜) 3 4が設けられているため、 受光部 6 b上以外の部分に対 向するシンチレ一夕 3 2において発生した光の中で、 A 1膜 3 4に向かって進ん だ光はこの A 1膜 3 4で吸収されることから、 このシンチレ一夕 3 2で発生した 光のクロストーク成分を減少させることができ、 シンチレ一夕パネル 4の解像度 を向上させることができる。 また、 シンチレ一夕 3 2の表面を第 1のポリパラキ シリレン膜 3 6、 S i 0 2膜 3 8及び第 2のポリパラキシリレン膜 4 0で覆って いるためシンチレ一夕 3 2の耐湿性も維持することができる。
なお、 上述の第 2の実施の形態のシンチレ一夕パネル 4では、 シンチレ一夕 3 2の先端に光吸収膜 3 4を設けているが、 フォトダイオードアレイ 6の受光部 6 bに対向する部分の基板 3 0の表面に光反射膜又は光吸収膜を設け、 フォトダ ィオードアレー 6への光入射を制御しても、 解像度を上げることができる。
以下、 この方式を採用し、 A 1製基板を採用した第 3の実施の形態を説明する c 図 7は、 基板 3 0に A 1製基板を採用し、 フォトダイオードアレー 6の受光部 6 bに対応しない基板 3 0上の部分に光吸収膜 3 4 aを設けたシンチレ一夕パネ ルを備えた放射線イメージセンサを示す。 ここで、 A 1製基板 3 2の光吸収膜 3 4 aを設けない部分は、 その A 1基板が光反射性の基板であるため、 光を反射し る。 これにより、 上で述べた第 2の実施の形態のシンチレ一タパネルと同等又は それ以上の解像度を実現することができる。 また、 この第 3の実施の形態を製造 する方法は、 まず A 1製基板 3 2を準備した後、 その表面の一部に光吸収膜、 例 えばブラック A 1膜、 カーボンブラックを形成することにより容易に作成できる c その後、 第 2の実施の形態と同様に、 その光吸収膜 3 4 aを形成した表面に T 1 をドープした C s Iの柱状構造のシンチレ一夕 3 2を形成する。 その後は、 第 2 の実施の態様の製造方法と同様である。
また、 次に、 基板として、 アモルファスカーボン基板を採用した、 第 4の実施 の態様について、 図 8を用いて説明する。
この第 4の実施の態様では、 図 8に示すように、 アモルファスカーボン製基板
3 2上のフォトダイォードアレー 6の受光部 6 bに対応する基板 3 0上の部分に 光反射膜 3 4 b、 例えば、 B a S 0 2や T i 0 2をコ一ティングすることより形 成した光反射膜を設けてある。 これは、 アモルファスカーボン基板 3 2が光吸収 性基板であるため、 光反射膜 3 4 bを設けた部分では、 入射光は反射し、 それ以 外では、 入射光を吸収するため、 上で述べた第 2の実施の形態のシンチレ一タパ ネルと同等又はそれ以上の解像度を実現することができる。
この第 4の実施の態様のシンチレ一夕パネルの製造は、 アモルファス力一ボン 上に光反射膜 3 4 bを作成する以外は、 同じなので、 説明は省略する。
次に、 上記第 4の実施の態様のアモルファスカーボン基板の代わりにガラス基 板を採用した第 5の実施の態様を、 図 9を用いて説明する。
この第 5の実施の態様では、 図 9に示すように、 基板 3 0上のフォトダイォー
ドアレー 6の受光部 6 bに対応する基板 30上の部分に光反射膜、 例えば、 Ba 3〇 2ゃ丁:102をコ一ティングすることより形成した光反射膜 34 c設け、 ま た、 フォトダイォ一ドアレー 6の受光部 6 bに対応しない基板 30上の部分に光 吸収膜、 例えば、 A1膜、 カーボンブラック等の粉体をコーティングすることに より光吸収膜 34 dが設けてある。 これは、 ガラス基板 32が光透過性基板であ るため、 光反射膜 34 cを設けた部分では、 反射し、 光吸収膜 34 dを設けた部 分では、 吸収するため、 上で述べた第 2の実施の形態のシンチレ一夕パネルと同 等又はそれ以上の解像度を実現することができる。
これら、 第 3から第 5の実施の形態では、 平板状の基板上に、 光反射膜又は光 吸収膜を形成できるため、 製作が容易でかつ、 膜の作成場所を正確にできるため、 簡単に解像度を上げることができる。
なお、 上述の各実施の形態における、 ポリパラキシリレンには、 ポリパラキ シリレンの他、 ポリモノクロ口パラキシリレン、 ポリジクロロパラキシリレン、 ポリテトラクロ口パラキシリレン、 ポリフルォロパラキシリレン、 ポリジメチル パラキシリレン、 ポリジェチルパラキシリレン等を含む。
また、 上述の各実施の形態においては、 シンチレ一夕として C s l (T 1) が 用いられているが、 これに限らず C s I (Na) 、 Na I (T l) 、 L i I (E u) 、 K I (T 1) 等を用いてもよい。
また、 上述の第 2から第 5の実施の形態においては、 シンチレ一夕を形成す る基板として、 A1製基板、 アモルファスカーボン製の基板、 ガラス製基板をそ れそれ用いているが、 X線透過率の良い基板であればよいことから、 炭素を主成 分とする材料、 例えばグラフアイ ト製の基板、 Be製の基板、 S i C製の基板、 F OP等を用いても良い。
また、 上記第 3から第 4の実施の態様では、 光吸収膜として、 A1膜、 カーボ ンブラック等をコーティングしたものを採用しているがこれに限らず、 Cr膜等 を用いてもよい。
また、 上記各実施の態様で、 透明無機膜として S i 02膜を使用しているが、 材料はこれに限定されず、 A1203、 T i 02、 l n203、 Sn02, MgO, S iN, Mg F2, L i F、 CaF2、 AgC l, または S i N 0等が使用可能 である。
また図 10、 1 1、 12、 13及び 14に示すように、 撮像素子の受光面上の 受光部間に、 光吸収膜 41を形成し、 不要な光を吸収させ、 更なるクロストーク の軽減を図るようにしてもよい。 ここで使用する光吸収膜として、 A1膜、 カー ボンブラック等をコ一ティングしたものが考えられるがこれに限らず、 C r膜等 を用いてもよい。 また、 コーティングしたポリイミ ド等に、 熱、 紫外線、 電子線 等を照射して着色することにより形成したものを用いても良い。
この発明の放射線イメージセンサによれば、 撮像素子の受光部上以外の部分に 形成された柱状構造のシンチレ一夕により発生した光の中で、 シンチレ一夕の先 端部に向かって進んだ光は、 このシンチレ一夕の先端部表面に設けられている光 吸収膜により吸収されることからクロストーク成分を減少させることができ放射 線イメージセンサの解像度を向上させることができる。
また、 この発明のシンチレ一夕プレートによれば、 撮像素子の受光部以外の 部分に対向する柱状構造のシンチレ一夕により発生した光の中でシンチレ一夕の 先端部に向かって進んだ光は、 このシンチレ一夕の先端部表面に設けられている 光吸収膜により吸収されることからクロストーク成分を減少させることができシ ンチレ一夕プレートの解像度を向上させることができる。
また、 この発明の放射線イメージセンサの製造方法によれば、 解像度を向上さ せた放射線イメージセンサを製造することができ、 シンチレ一夕プレートの製造 方法によれば、 解像度を向上させたシンチレ一夕プレートを製造することができ る o 産業上の利用可能性
以上のように、 この発明にかかる、 シンチレ一夕パネル、 放射線イメージセン サ及びそれらの製造方法は、 医療、 工業用の X線撮影等に用いるのに適している,