JPH0650682Y2

JPH0650682Y2 - 遊星歯車式副変速装置

Info

Publication number: JPH0650682Y2
Application number: JP1986151714U
Authority: JP
Inventors: 修亀田
Original assignee: Mazda Motor Corp
Current assignee: Mazda Motor Corp
Priority date: 1986-10-02
Filing date: 1986-10-02
Publication date: 1994-12-21
Anticipated expiration: 2001-10-02
Also published as: US4878399A; JPS6357848U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は、遊星歯車機構によって、入力軸と出力軸との
間で副変速切換えを行うようにした遊星歯車式副変速装
置の改良に関するものである。

（従来の技術）従来より、遊星歯車式副変速装置については各種のもの
が知られている。例えば、実開昭60−127232号公報に記
載のものにおいては、遊星歯車機構のサンギヤを入力軸
に、リングギヤをケースにそれぞれ固定し、入力軸と同
一軸線上に配置した出力軸上のピニオン入力ギヤに対
し、入力軸上のピニオン出力ギヤまたは遊星歯車機構の
キャリアの一方を切換手段の切換操作によって選択的に
連結することにより、入力軸と出力軸との連結状態を直
結状態または遊星歯車機構を経た連結状態に切換えるよ
うになされている。

（考案が解決しようとする課題）しかるに、上記従来のものでは、切換手段の切換操作に
より入力軸上のピニオン出力ギヤと出力軸上のピニオン
入力ギヤとを連結して、入出力軸を直結状態にした場
合、出力軸用のピニオン入力ギヤとキャリアとの連結が
解除されてキャリアが空転するが、該キャリアはサンギ
ヤの外方に位置しているために大きな慣性モーメントを
有するため、上記キャリアの空転に必要とされる駆動ト
ルクの損失が大きいという欠点がある。

一方、このようなキャリアの空転をなくすべく、米国特
許第2,787,919号において、入力軸を遊星歯車機構のサ
ンギヤ又はキャリアの一方に選択的に連結する入力軸側
切換手段を設けるとともに、出力軸を遊星歯車機構のサ
ンギヤ又はキャリアの他方に選択的に連結する出力軸側
切換手段を設けて、入出力軸の直結状態のときに入力軸
の駆動トルクをキャリア及びサンギヤを経て出力軸に伝
達することでキャリアの空転を防止するようにした技術
が提案されている。しかしながら、この提案のもので
は、キャリアの空転が防止できる反面、ギヤ噛合騒音が
増大するとともに、入出力軸上の２つの切換手段の存在
により軸方向の占有スペースが増大するという問題があ
る。

そこで、本考案の目的とするところは、上記した遊星歯
車機構におけるギヤ等の連結構造に所定の改良を施すこ
とにより、入出力軸の直結時に要する駆動トルクの損失
を低減するとともに、ギヤ噛合騒音の低減化及び軸方向
の占有スペースの縮小化を図ることにある。

（課題を解決するための手段）上記目的の達成のため、本考案では、副変速装置の入出
力軸直結時には遊星歯車機構のうち慣性モーメントの小
さいサンギヤを空転させるとともに、キャリアとサンギ
ヤとを出力軸に一体的にセンタリングするようにしたも
のである。

すなわち、本考案の解決手段は、図面に示すように、ま
ず、副変速装置における入力軸23と出力軸４とを同一軸
線上に配置する。そして、上記出力軸４に遊星歯車機構
Ａのキャリア32を回転一体に連結する一方、該遊星歯車
機構Ａのリングギヤ35をケース24に一体的に固定し、サ
ンギヤ37は出力軸４上に回転自在に支持する。

また、上記入力軸23上に、該入力軸23と上記サンギヤ37
またはキャリア32との連結解除を切換えるための切換手
段41をスライド可能に設け、該切換手段41のスライド操
作によって入力軸23と出力軸４との間の副変速切換えを
行うように構成する。

さらに、上記キャリア32の出力軸４との連結部32aと上
記サンギヤ37とを出力軸４の径方向に重合させて配置す
るものである。

（作用）上記構成により、本考案においては、副変速装置を遊星
歯車機構Ａによる変速状態（入出力軸の非直結状態）に
する場合には、入力軸23上にスライド可能に設けた切換
手段41を操作することにより、入力軸23とサンギヤ37と
が連結され、入力軸23とキャリア32との連結は解除され
る。この状態では、入力軸23の駆動トルクは、サンギヤ
37および該サンギヤ37に噛合するキャリア32のピニオン
ギヤを介して該キャリア32と一体の出力軸４に伝達され
る。

一方、入出力軸を直結状態にする場合には、同様に切換
手段41の操作により、入力軸23とキャリア32とが連結さ
れ、入力軸23とサンギヤ37との連結は解除され、入力軸
23の駆動トルクはキャリア32を介して出力軸４に直接伝
達される。

この入出力軸の直結時、入力軸23との連結が解除された
サンギヤ37は出力軸４上で空転するが、直結時にキャリ
ア32を空転させる場合に比べ、サンギヤ37の方がキャリ
ア32よりも慣性モーメントが小さいので、直結時のギヤ
空転に要する駆動トルク損失を低減できることになる。

さらに、上記キャリア32は出力軸４に連結され、上記サ
ンギヤ37は出力軸４に回転自在に支持されているととも
に、上記キャリア32の出力軸４との連結部32aと上記サ
ンギヤ37とは出力軸４の径方向に重合して配置されてい
ることから、上記キャリア32とサンギヤ37とが出力軸４
に対して一体的にセンタリングされているので、ギヤ噛
合騒音を低減できるとともに軸方向の占有スペースを縮
小できることになる。

（実施例）以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

図面において、１は例えば自動車に搭載された主変速装
置であって、該主変速装置１の車体後側（図で右側）に
は副変速装置２及びトランスファー装置３が順に配置さ
れている。

上記トランスファー装置３には、上記副変速装置２の出
力軸としてのトランスファー入力軸４と、該トランスフ
ァー入力軸４の車体後側に同一軸線上に配置された第１
出力軸５と、トランスファー入力軸４の側方に平行に配
置された第２出力軸６とが備えられている。上記トラン
スファー入力軸４は、その前端部が前部ケース７にベア
リング８を介して回転自在に支持され、後端部は第１出
力軸５前端面に形成された凹部5a内にベアリング８′を
介して相対回転自在に支持されている。また、上記第１
出力軸５はその前後端部が後部ケース９にそれぞれベア
リング10,11を介して回転自在に支持されている。更
に、上記第２出力軸６は、上記前部ケース７及び後部ケ
ース９をそれぞれ部分的に側方へ延ばして形成されたチ
ェーンケース部12内に配置されていて、該チェーンケー
ス部12に対してベアリング13,14を介して回転自在に支
持されている。また、後部ケース９より後方に突出する
第１出力軸５の後端部にはフランジ継手15が固着され、
該フランジ継手15は図外のプロペラシャフト、差動装置
等を介して左右の後輪に連結される。また、同様にチェ
ーンケース部12より前方に突出する第２出力軸６の前端
部にはフランジ継手16が固着され、該フランジ継手16は
同じく図外のプロペラシャフト、差動装置等を介して左
右の前輪に連結される。

また、上記トランスファー入力軸４の後端部には遊星歯
車機構よりなる車軸間差動装置17が配設されている。該
車軸間差動装置17のリングギヤ17aは上記第１出力軸５
前端に形成されたギヤ5bに回転一体に噛合され、キャリ
ア17bはトランスファー入力軸４に回転一体に結合さ
れ、サンギヤ17cはトランスファー入力軸４（キャリア1
7b）に相対回転自在に支持されている。一方、上記ベア
リング８の直後方のトランスファー入力軸４には軸受ス
リーブ18を介してスプロケット19が回転自在に外嵌合さ
れており、該スプロケット19と上記第２出力軸６に一体
形成された従動スプロケット20との間にはチェーン21が
巻掛けられている。そして、上記トランスファー入力軸
４上におけるスプロケット19と車軸間差動装置17との間
には、該車軸間差動装置17のサンギヤ17cをリングギヤ1
7aまたは上記スプロケット19に選択的に切り換えて連結
する切換スリーブ22aを有する切換機構22が介設されて
おり、この切換機構22の切換スリーブ22aを移動させる
ことにより、前後輪に対する駆動状態を、後輪のみが駆
動される２輪駆動状態と、前後車軸間の差動動作が阻止
された所謂デフロック状態での４輪駆動状態と、動力が
前車軸と後車軸とに夫々の駆動抵抗に応じて分配されて
差動動作が行われる４輪駆動状態とに切り換えるように
構成されている。

上記副変速装置２は上記主変速装置１の出力軸26で構成
される入力軸23を有し、該入力軸23はケース24にベアリ
ング25を介して回転自在に支持されている。また、この
入力軸23にはフランジ部材27が一体形成され、該フラン
ジ部材27外周面にはスプライン28が形成されている。

上記副変速装置２の入力軸23とその出力軸としてのトラ
ンスファー装置３のトランスファー入力軸４とは同一軸
線上に配置され、かつ入力軸23のフランジ部材27内周面
とトランスファー入力軸４前端部外周面との間に介在さ
れたニードルベアリング29を介して相対回転自在に設け
られている。

また、上記トランスファー入力軸４上には、サンギヤ37
と、リングギヤ35と、該サンギヤ37とリングギヤ35とを
噛合連結するピニオン34を担持するキャリア32とからな
る遊星歯車機構Ａが設けられている。上記キャリア32は
そのボス部32aにてトランスファー入力軸４に回転一体
に結合され、該ボス部32aによりキャリア32の出力軸
（トランスファー入力軸４）との連結部を構成してい
る。また、上記リングギヤ35は上記ケース24に一体的に
固定され、さらにサンギヤ37は上記キャリア32のボス部
32a上（トランスファー入力軸４の上）にニードルベア
リング38を介して回転自在に支持されている。そして、
上記サンギヤ37の前端部には他の部分よりも小径の小径
部32bが形成され、該小径部32bの外周には上記入力軸23
のフランジ部材27上のスプライン28と同様のスプライン
部36が形成されている。また、上記キャリア32の前端部
にはリング部材31が一体に取り付けられ、該リング部材
31の内周にはスプライン部30が形成されている。

さらに、上記入力軸23のフランジ部材27のスプライン28
上には、切換手段としてのスリーブ41がその内周に形成
されたスプライン部39によりスライド移動可能に噛合さ
れている。該スリーブ41の後端外周には上記リング部材
31のスプライン部30に噛合可能なスプライン部40が形成
されている。そして、このスリーブ41をフランジ部材27
上で摺動させて、その内周のスプライン部39と遊星歯車
機構Ａのサンギヤ37のスプライン部36との噛合または外
周スプライン部40とキャリア32側のリング部材のスプラ
イン部30との噛合を択一的に選択することにより、入力
軸23とサンギヤ37またはキャリア32との連結解除を切換
えるようになされている。これにより、上記スリーブ41
のスライド操作により、入力軸23と副変速装置２の出力
軸としてのトランスファー入力軸４との間の副変速切換
えを行うように構成されている。

次に、上記実施例の作動について説明すると、入力軸23
（フランジ部材27）上のスリーブ41を図に示すように後
方へスライド位置させたときには、スリーブ41内周面の
スプライン部39と遊星歯車機構Ａにおけるサンギヤ37の
スプライン部36との噛合により入力軸23とサンギヤ37と
が連結されるとともに、キャリア32と入力軸23との連結
が解除されるため、入力軸23の駆動トルクはサンギヤ3
7、ピニオンギヤ34及びキャリア32を介して該キャリア3
2が回転一体に連結されたトランスファー入力軸４（副
変速装置２の出力軸）に伝えられ、このことによって遊
星歯車機構Ａが作動する変速状態になる。

一方、入力軸23上のスリーブ41を前端位置（図で実線矢
印の示す位置）にスライド位置させたときには、スリー
ブ41外周面のスプライン部40がキャリア32側のスプライ
ン部30に噛合して入力軸23とキャリア32とが連結される
とともに、入力軸23とサンギヤ37との連結が解除される
ため、入力軸23の駆動トルクはキャリア32を介して直接
トランスファー入力軸４に伝えられ、よって副変速装置
２の入出力軸としての軸23,4同士の直結状態になる。

その際、この直結状態では上記スリーブ41との連結が解
除されたサンギヤ37はトランスファー入力軸４上で空転
するが、入出力軸の直結状態でキャリアを空転させる副
変速装置の場合と比較すると、キャリアよりも慣性モー
メントの小さいサンギヤ37が空転する分だけ、その空転
のために必要とされる駆動トルクの損失を少なくするこ
とができる。

また、上記入力軸23上のスリーブ41が図で破線矢印にて
示す中間位置に位置しているときには、スリーブ41の各
スプライン部39,40がそれぞれいずれも相手方のスプラ
イン部30,36に噛合されず、つまり入力軸23がキャリア3
2およびサンギヤ37のどちらにも連結されずに副変速装
置２にニュートラル状態になる。

さらに、上記キャリア32はトランスファー入力軸４に連
結され、上記サンギヤ37はトランスファー入力軸４に回
転自在に支持されているとともに、上記キャリア32のト
ランスファー入力軸４との連結部としてのボス部32aと
上記サンギヤ37とはトランスファー入力軸４の径方向に
重合して配置されていることから、上記キャリア32とサ
ンギヤ37とがトランスファー入力軸４（副変速装置２の
出力軸）に対して一体的にセンタリングされているの
で、ギヤ噛合騒音を低減することができるとともに軸方
向の占有スペースを縮小することができる。

また、遊星歯車機構Ａの中心部に位置するサンギヤ37付
近に切換手段としてのスリーブ41が配設されているの
で、切換手段としてのスリーブをリングギヤの外周部に
設けた場合に比べると、リングギヤ35の外周部に切換手
段を配置するための余分な空間が必要となり、その分、
副変速装置２を幾分コンパクトなものとすることができ
る。

（考案の効果）以上述べたように、本考案の遊星歯車式副変速装置によ
れば、遊星歯車機構におけるリングギヤがケースに固定
され、キャリアが出力軸に連結され、サンギヤが出力軸
上に回転自在に支持されていて、上記出力軸と同一軸線
上にある入力軸とサンギヤまたはキャリアとの間の連結
解除を入力軸上の切換手段により切換操作して副変速切
換えを行うようになされているとともに、上記キャリア
の出力軸との連結部と上記サンギヤとを出力軸の径方向
に重合配置してキャリアとサンギヤとを出力軸に対して
一体的にセンタリングするようにしたので、入出力軸の
直結状態ではキャリアよりも慣性モーメントの小さいサ
ンギヤが出力軸上で空転することになり、入出力軸の直
結時における駆動トルク損失を低減することができると
ともに、ギヤ噛合騒音の低減化及び軸方向の占有スペー
スの縮小化を図ることができるという実用上優れた効果
を有するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例における遊星歯車式副変速装置の
全体構造を示す断面図である。Ａ…遊星歯車機構、２…副変速装置、４…トランスファ
ー入力軸（副変速装置の出力軸）、23…入力軸、24…ケ
ース、32…キャリア、32a…ボス部、35…リングギヤ、3
7…サンギヤ、41…スリーブ（切換手段）。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】入力軸（23）と出力軸（４）とが同一軸線
上に配置されており、上記出力軸（４）には遊星歯車機構（Ａ）のキャリア
（32）が回転一体に連結されており、該遊星歯車機構
（Ａ）のリングギヤ（35）はケース（24）に固定され、
サンギヤ（37）は出力軸（４）上に回転自在に支持され
ており、上記入力軸（23）上には、該入力軸（23）と上記サンギ
ヤ（37）又はキャリア（32）との連結解除を切換える切
換手段（41）がスライド可能に設けられており、該切換
手段（41）のスライド操作によって入力軸（23）と出力
軸（４）との副変速切換えを行うように構成されてお
り、上記キャリア（32）の出力軸（４）との連結部（32a）
と上記サンギヤ（37）とは出力軸（４）の径方向に重合
して配置されていることを特徴とする遊星歯車式副変速
装置。