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JP7745671B2 - 燃料電池用セパレータ搬送装置および燃料電池用セパレータ搬送方法 - Google Patents

燃料電池用セパレータ搬送装置および燃料電池用セパレータ搬送方法

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JP7745671B2
JP7745671B2 JP2024016165A JP2024016165A JP7745671B2 JP 7745671 B2 JP7745671 B2 JP 7745671B2 JP 2024016165 A JP2024016165 A JP 2024016165A JP 2024016165 A JP2024016165 A JP 2024016165A JP 7745671 B2 JP7745671 B2 JP 7745671B2
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Description

本発明は、燃料電池用のセパレータを搬送する燃料電池用セパレータ搬送装置および燃料電池用セパレータ搬送方法に関する。
近年、より多くの人が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギの効率化に貢献する燃料電池に関する技術開発が行われている。この種の燃料電池用セパレータを搬送する技術として、従来、保護シートを挟んで積み重ねられたセパレータを吸着して搬送するようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1記載の装置では、セパレータの吸着時にセパレータの下面に保護シートが付着すされることを想定し、セパレータの吸着と同時に、もしくは吸着してから、保護シートに対しエアを吹き付けて、セパレータの下面から保護シートを取り除く。
特開2019-145417号公報
しかしながら、セパレータの吸着時にセパレータの下面に保護シートが付着するとは限らず、したがって、保護シートが意図せぬ位置で自然落下によりセパレータから脱落するおそれがある。
本発明の一態様は、保護シートを介して積層されるとともに、反応ガスの流路と反応ガスと冷却媒体とが通過する複数の貫通孔とが設けられた燃料電池用のセパレータを搬送する燃料電池用セパレータ搬送装置であって、略水平方向に延在するとともにセパレータの上面に対向する対向面を有する移動体と、移動体に設けられ、セパレータを移動体に吸着する吸着部と、移動体を移動可能に支持する支持部と、を備える。移動体には、流路に連通する第1連通孔と複数の貫通孔の少なくとも1つの貫通孔に連通する第2連通孔と、が設けられる。吸着部は、第1連通孔を介した吸引によりセパレータを移動体に吸着する第1吸着部と、第2連通孔を介した吸引により保護シートを移動体に吸着する第2吸着部と、を有する。
本発明の他の態様は、保護シートを介して積層されるとともに、反応ガスの流路と反応ガスと冷却媒体とが通過する複数の貫通孔とが設けられた燃料電池用のセパレータを搬送する燃料電池用セパレータ搬送方法であって、略水平方向に延在するとともにセパレータの上面に対向する対向面を有する移動体を、対向面がセパレータの上面に当接するように第1位置に移動する工程と、移動体の第1位置への移動後に、流路に連通するように移動体に設けられた第1連通孔を介した吸引により、セパレータを移動体に吸着するとともに、複数の貫通孔の少なくとも1つの貫通孔に連通するように移動体に設けられた第2連通孔を介した吸引により、保護シートを移動体に吸着する工程と、移動体を第1位置から第2位置に移動する工程と、移動体の第2位置への移動後に、第1吸着部による吸着を維持したまま第2吸着部による吸着を解除する工程と、を含む。
本発明によれば、保護シートを所望の位置でセパレータから離脱させることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池用セパレータ搬送装置が適用されるセパレータを有する燃料電池スタックの全体構成を概略的に示す斜視図。 図1のII-II線に沿った断面図。 図1の燃料電池スタックに含まれる電極ユニットの概略構成を示す斜視図。 図1のセパレータの後面図。 セパレータのビード部を垂直に切断した断面図。 図4のA-A線に沿った断面図。 図4のB-B線に沿った断面図。 本発明の実施形態に係る燃料電池用セパレータ搬送装置の全体構成を概略的に示す図。 図7の燃料電池用セパレータ搬送装置に含まれる吸着ハンドの平面図。 図8のIX-IX線に沿った断面図。 吸着ハンドの吸着動作を示す要部断面図。 本発明の実施形態に係る燃料電池用セパレータ搬送装置の動作の一例を示すフローチャート。 吸着ハンドの変形例を示す要部断面図。
以下、図1~図12を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る燃料電池用セパレータ搬送装置は、燃料電池用のセパレータを対象とした搬送装置である。そこで、まず燃料電池の構成、特にセパレータを含む燃料電池スタックの構成について説明する。
図1は、燃料電池スタック100の全体構成を概略的に示す斜視図である。以下では、便宜上、図示のように互いに直交する三軸方向を、前後方向、左右方向および上下方向と定義し、この定義に従い各部の構成を説明する。これらの方向は、車両の前後方向、左右方向および上下方向と同一であるとは限らない。例えば図1の前後方向は、車両の前後方向であってもよく、左右方向であってもよく、上下方向であってもよい。図1の前後方向は、燃料電池スタック100の積層方向であり、燃料電池スタック100の組立時には積層方向を重力方向に一致させる。
図1に示すように、燃料電池スタック100は、複数の発電セル1を前後方向に積層して構成されたセル積層体101と、セル積層体101の前後両端部に配置されたエンドユニット102と、を有し、全体が略直方体形状を呈する。セル積層体101の左右方向の長さは、上下方向の長さよりも長い。図1には、便宜上、単一の発電セル1が示される。
発電セル1は、電解質膜と電極とを含む接合体を有する電極ユニット2(いわゆるUEA;Unitized Electrode Assembly)と、電極ユニット2の前後両側に配置されたセパレータ3,3と、を有する。電極ユニット2を、膜電極構造体と呼ぶことがある。電極ユニット2とセパレータ3とは、前後方向に交互に配置される。電極ユニット2の前側に配置されるセパレータ3を第1セパレータと呼び、後側に配置されるセパレータ3を第2セパレータと呼ぶことがある。図示は省略するが、セル積層体101の周囲は、略直方体形状のケースによって覆われる。
図2は、セル積層体101の左右方向中央部における要部断面図(図1のII-II線に沿った断面図)である。図2に示すように、セパレータ3は、断面が波板状の前後一対の金属製の薄板である前プレート3Fと後プレート3Rとを有する。前プレート3Fは、上下左右方向に延在し、前方に向かう前面3Faと後方に向かう後面3Fbとを有する。後プレート3Rは、上下左右方向に延在し、前方に向かう前面3Raと後方に向かう後面3Rbとを有する。互いに対向する前プレート3Fの後面3Fbと後プレート3Rの前面3Raとは、外周同士が溶接などにより接合される。これにより前プレート3Fと後プレート3Rとが一体に結合され、セパレータ3が構成される。セパレータ3には耐腐食性に優れた導電性の材料が用いられ、例えばステンレス、チタン、チタン合金等を用いることができる。
前プレート3Fと後プレート3Rとによって囲まれたセパレータ3の内部、つまり前プレート3Fの後面3Fbと後プレート3Rの前面3Raとの間には、冷却媒体が流れる冷却流路PAwが形成される。冷却媒体の流れにより発電セル1の発電面が冷却される。冷却媒体としては例えば水を用いることができる。電極ユニット2に対向するセパレータ3の表面(前面3Faおよび後面3Rb)は、電極ユニット2との間にガス流路を形成するようにプレス成形などによって凹凸状に構成される。より詳しくは、セパレータ3は電極ユニット2に向けて突出する前後一対のリブ部3Aと、前後一対のリブ部3Aに連なって凹状に構成された前後一対の凹部32とを有する。
前後一対のリブ部3Aは、電極ユニット2の前面2aおよび後面2bに当接する。セル積層体101には、燃料電池スタック100の組立時に前後方向に圧縮荷重Fが付与され、燃料電池スタック100の組立完了後は、この圧縮荷重Fが保持される。このため、電極ユニット2には、リブ部3Aを介して前後方向に、圧縮荷重Fによる所定の面圧が作用する。
電極ユニット2の前面2aとこの前面2aに対向するセパレータ3の後プレート3Rとの間には、凹部32により、燃料ガスが流れるアノード流路PAaが形成される。電極ユニット2の後面2bとこの後面2bに対向するセパレータ3の前プレート3Fとの間には、凹部32により、酸化剤ガスが流れるカソード流路PAcが形成される。燃料ガスとしては例えば水素ガスを、酸化剤ガスとしては例えば空気を用いることができる。燃料ガスと酸化剤ガスとを区別せずに、これらを反応ガスと呼ぶこともある。
図3は、電極ユニット2の概略構成を示す斜視図である。図3に示すように、電極ユニット2は、略矩形状の接合体20と、接合体20を支持するフレーム21と、を有する。接合体20は、膜電極接合体(いわゆるMEA;Membrane Electrode Assembly)である。図2のA部の詳細図に示すように、接合体20は、電解質膜23と、電解質膜23の前面231に設けられたアノード電極24と、電解質膜23の後面232に設けられたカソード電極25とを有する。
電解質膜23は、例えば固体高分子電解質膜であり、水分を含んだパーフルオロスルホン酸ポリマーの薄膜を用いることができる。フッ素系電解質膜に限らず、炭化水素系電解質膜を用いることもできる。
アノード電極24は、電解質膜23の前面231に形成され、電極反応の反応場となる電極触媒層241と、電極触媒層241の前面に設けられ、燃料ガスを拡散して供給するガス拡散層242とを有する。電極触媒層241とガス拡散層242との間に中間層(下地層)を設けることもできる。
カソード電極25は、電解質膜23の後面232に形成され、電極反応の反応場となる電極触媒層251と、電極触媒層251の後面に設けられ、酸化剤ガスを拡散して供給するガス拡散層252とを有する。電極触媒層251とガス拡散層252との間に中間層(下地層)を設けることもできる。
アノード電極24では、アノード流路PAaを介して供給された燃料ガス(水素)が、触媒の作用によってイオン化され、電解質膜23を通過してカソード電極側へ移動する。このとき生じた電子は、外部回路を通過し、電気エネルギとして取り出される。カソード電極25では、カソード流路PAcを介して供給された酸化剤ガス(酸素)と、アノード電極24から導かれた水素イオンおよびアノード電極24から移動した電子とが反応し、水が生成される。生成された水は、電解質膜23に適度な湿度を与え、余剰な水はガスの流れに沿って電極ユニット2の外部へ排出される。
図3に示すように、フレーム21は、略矩形状を呈する薄板であり、絶縁性を有する樹脂やゴム等により構成される。フレーム21の中央部には、略矩形状の開口部21aが設けられる。接合体20は、開口部21aの全体を覆うように設けられ、接合体20の周縁部がフレーム21により支持される。
フレーム21の開口部21aの左側には、フレーム21を前後方向に貫通する3つの貫通孔211~213が上下方向に並んで開口される。開口部21aの右側には、フレーム21を前後方向に貫通する3つの貫通孔214~216が上下方向に並んで開口される。貫通孔211~216は、便宜上、いずれも略矩形状として示すが、貫通孔211~216の形状はこれに限らない。
図1に示すように、電極ユニット2の前後のセパレータ3には、フレーム21の貫通孔211~216に対応する位置に、セパレータ3を前後方向に貫通する貫通孔301~306がそれぞれ開口される。貫通孔301~306は、フレーム21の貫通孔211~216にそれぞれ連通する。これら互いに連通する貫通孔211~216,301~306の集合により、セル積層体101を貫通して前後方向に延在する流路PA1~PA6(便宜上、矢印で示す)が形成される。流路PA1~PA6は、マニホールドと呼ばれることもある。流路PA1~PA6は、燃料電池スタック100の外部のマニホールドに接続される。
セル積層体101の前後のエンドユニット102は、前後方向に重ねて配置された複数のプレート4~6を有する。より詳しくは、エンドユニット102は、前後方向内側に配置されたターミナルプレート4と、ターミナルプレート4の前後方向外側に配置された絶縁プレート5と、絶縁プレート5の前後方向外側に配置されたエンドプレート6と、を有する。
ターミナルプレート4は、金属製の略矩形状の板状部材であり、セル積層体101で電気化学反応により生成された電力を取り出すための端子部を有する。絶縁プレート5は、非導電性を有する樹脂製またはゴム製の略矩形状の板状部材であり、ターミナルプレート4とエンドプレート6とを電気的に絶縁する。エンドプレート6は、金属製または高強度に構成された樹脂製の板状部材である。
図1では、便器上、エンドユニット102とセル積層体101とを前後方向から視て同一(上下方向の長さが同一かつ左右方向の長さが同一)の大きさで示す。しかしながら、実際にはエンドユニット102の方がセル積層体101よりも大きく、エンドユニット102(例えばエンドプレート6)の縁部はセル積層体101の縁部よりも上下方向および左右方向に突出している。これらエンドユニット102の突出部に、セル積層体101の周囲に設けられたケース(不図示)の前端部および後端部がボルトなどにより固定される。
前側のエンドユニット102には、貫通孔211~216,301~306に対応する位置に、エンドユニット102を前後方向に貫通する複数の貫通孔102a~102fが開口される。貫通孔102a~102fは、便宜上、いずれも略矩形状として示すが、貫通孔102a~102fの形状はこれに限らない。
貫通孔102aには、エジェクタ、インジェクタなどを介して、高圧の燃料ガスが貯留された燃料ガスタンクが接続され、実線の流路PA1に沿って、貫通孔102aを介して燃料電池スタック100に燃料ガスが供給される。この燃料ガスは、貫通孔211,301を介して電極ユニット2とセパレータ3の後プレート3Rとの間のアノード流路PAaに導かれる。アノード流路PAaを通過後の燃料ガス(燃料排ガス)は、貫通孔216,306を介して、実線の流路PA6に沿って貫通孔102fから排出される。
貫通孔102dには、酸化剤ガス供給用のコンプレッサが接続され、コンプレッサで圧縮された酸化剤ガスが、点線の流路PA4に沿って、貫通孔102dを介して燃料電池スタック100に供給される。この酸化剤ガスは、貫通孔214,304を介して電極ユニット2とセパレータ3の前プレート3Fとの間のカソード流路PAcに導かれる。カソード流路PAcを通過後の酸化剤ガス(酸化剤排ガス)は、貫通孔213,303を介して、点線の流路PA3に沿って貫通孔102cから排出される。
貫通孔102eには、冷却媒体供給用のポンプが接続され、一点鎖線の流路PA5に沿って、貫通孔102eを介して燃料電池スタック100に冷却媒体が供給される。この冷却媒体は、貫通孔215,305を介してセパレータ3の前プレート3Fと後プレート3Rとの間の冷却流路PAwに導かれる。冷却流路PAwを通過後の冷却媒体は、貫通孔212,302を介して、一点鎖線の流路PA2に沿って貫通孔102bから排出される。排出された冷却媒体は、ラジエータでの熱交換により冷却され、貫通孔102eを介して再び燃料電池スタック100に供給される。以上が燃料電池スタック100の概略構成である。
セパレータ3の構成をより詳細に説明する。図4は、セパレータ3の後面図(後方から見た図)である。すなわち、図4は、電極ユニット2の前面2aのアノード電極24に対向するセパレータ3の後面3Rb(図2)を示す図である。図中の点Pは、セパレータ3の左右方向の中間点かつ上下方向の中間点であり、中心点と呼ぶ。図4の左右方向および上下方向は、それぞれセパレータ3の長手方向および短手方向に相当する。
図4において、電極ユニット2の接合体20に対向する領域、すなわち発電面に対向する領域AR1を、セパレータ3のアクティブ領域と呼び、アクティブ領域以外を非アクティブ領域と呼ぶ。アクティブ領域AR1はセパレータ3の左右方向中央部に位置するため、アクティブ領域AR1をセパレータ3の中央領域と呼ぶこともある。
非アクティブ領域のうち、貫通孔301~306が設けられる左右方向端部の領域を、セパレータ3の端部領域AR2と呼ぶ。非アクティブ領域のうち、端部領域AR2の左右方向内側の領域を、セパレータ3の接続領域AR3と呼ぶ。接続領域AR3は、アクティブ領域AR1と左右の端部領域AR2との間に位置する。
図2,4に示すように、セパレータ3のアクティブ領域AR1には、一部の図示は省略するが、そのほぼ全域にわたって上下方向等間隔に、後方に向けて複数の凸部31が突設される。複数の凸部31はそれぞれ左右方向に延在し、上下方向に隣り合う凸部31,31の間に凹部32が設けられる。複数の凹部32と接合体20の前面2aとの間に、アノード流路PAaが形成される。
図4に示すように、セパレータ3(後プレート3R)の後面3Rbには、フレーム21に向けて後方に突出したシール用の複数のビード部、すなわちメタルビードシールが設けられる。複数のビード部は、外側ビード部331と、内側ビード部332と、端部ビード部333とを含む。
外側ビード部331は、貫通孔301~306の全体を包囲するように後プレート3Rの周縁に沿って延在し、全体が略矩形状を呈する。端部ビード部333は、貫通孔301~306の個数分だけ設けられる。複数の端部ビード部333は、それぞれ略矩形状を呈し、複数の貫通孔301~306を個別に包囲する。内側ビード部332は、外側ビード部331の内側に設けられる。より詳しくは、内側ビード部332は、貫通孔301,303,304,306の周囲の端部ビード部333の左右方向外側を経由し、かつ、貫通孔302,305の周囲の端部ビード部333の左右方向内側を経由して、ジグザグ状に延在する。貫通孔302,305の周囲の端部ビード部333は、外側ビード部331と内側ビード部332との間に位置する。
セパレータ3の接続領域AR3には、前後方向に突出した略円柱状の複数のエンボス部341,342が設けられる。凸部31と凹部32およびメタルビードシールなどは、後プレート3Rがプレス加工されることによって形成される。図示は省略するが、セパレータ3(前プレート3F)の前面3Faにも同様に、凸部31と凹部32およびメタルビードシール(外側ビード部331,内側ビード部332,端部ビード部333)などが、前プレート3Fがプレス加工されることによって形成される。
図5は、ビード部331~333を垂直に切断した、セパレータ3の要部断面図である。図5に示すように、ビード部331~333は、断面略矩形状、より詳しくは断面略台形状を呈する。後プレート3Rの複数のビード部331~333と、前プレート3Fの複数のビード部331~333とは、正面視で、つまり上下左右方向において、互いに同一位置に設けられる。したがって、前プレート3Fのビード部331~333と後プレート3Rのビード部331~333との間に、略矩形状の空間SP0が設けられる。
前プレート3Fのビード部331~333の前面および後プレート3Rのビード部331~333の前面には、シール材40が固着される。シール材40には、ゴムや樹脂材等の弾力性を有する構成材が用いられる。前側のシール材40は、電極ユニット2のフレーム21(図2)の後面2bに押圧され、後側のシール材40は、フレーム21の前面2aに押圧される。これによりビード部331~333とフレーム21との間の隙間が塞がれ、電極ユニット2とセパレータ3との間に、密封状態のアノード流路PAaおよびカソード流路PAcを形成することができる。なお、シール材40を省略し、ビード部331~333の先端部をフレーム21に直接当接させるようにしてもよい。
アノード流路PAaとカソード流路PAcとは、セパレータ3の正面視で内側ビード部332の内側に設けられる。内側ビード部332の内側には、複数の貫通孔301,303,304,306が配置される。但し、アノード流路PAaと貫通孔301,303,304,306との連通およびカソード流路PAcと貫通孔301,303,304,306との連通は、端部ビード部333により遮断される。アノード流路PAaと貫通孔301,306とは、端部ビード部333を横断するように設けられた複数(図4ではそれぞれ3本)のトンネル部41,42を介して連通する。カソード流路PAcと貫通孔303,304とは、端部ビード部333を横断するように設けられた複数(図4ではそれぞれ3本)のトンネル部43,44を介して連通する。
図6Aは、貫通孔301の近傍のトンネル部41の構成を示す断面図(図4のA-A線に沿った断面図)である。図6Aに示すように、前プレート3Fには前方に向けて凸状にトンネル部41が設けられ、後プレート3Rには後方に向けて凸状にトンネル部41が設けられる。トンネル部41の前後方向の突出量はビード部333の前後方向の突出量よりも小さい。図示は省略するが、トンネル部41は、断面略矩形状ないし略台形状を呈し、前後のトンネル部41,41の間に、連通流路PA11が形成される。
トンネル部41のうち、ビード部333の左側(貫通孔301側)を外側トンネル部411と呼び、ビード部333の右側(アノード流路PAa側)を内側トンネル部412と呼ぶ。外側トンネル部411の左端は、貫通孔301の周縁に位置し、連通流路PA11の左端が貫通孔301に面して開放される。外側トンネル部411の右端は、ビード部333を貫通してビード部333の内部空間に連通する。
内側トンネル部412の左端は、ビード部333を貫通してビード部333の内部空間に連通する。内側トンネル部412の右端部には、右方にかけて突出量が徐々に減少するようなテーパ部412aが設けられる。トンネル部41の右端では前後方向の突出量が0になり、連通流路PA11が閉塞される。後プレート3Rのテーパ部412aには、燃料ガスの流出口410が開口される。これにより、貫通孔301と、後プレート3Rの後方のアノード流路PAaとが、連通流路PA11および流出口410を介して連通する。このため、貫通孔301を流れる燃料ガスを、図6Aの矢印に示すように、連通流路PA11および流出口410を介してアノード流路PAaに供給することができる。
図示は省略するが、貫通孔306の近傍のトンネル部42は、図6Aのトンネル部41と同様に構成される。すなわち、トンネル部41とトンネル部42とは、図4の中心点Pを通って上下方向に延在する軸線(不図示)に関し、左右対称形状を呈する。したがって、後プレート3Rのトンネル部42の左端部のテーパ部に、燃料ガスの流入口420が開口される。これにより、アノード流路PAaを流れた燃料ガスが、流入口420、およびトンネル部42の内部の連通流路PA11を介して貫通孔306に導かれる。
図6Bは、貫通孔304の近傍のトンネル部41の構成を示す断面図(図4のB-B線に沿った断面図)である。図6Bに示すように、前プレート3Fには前方に向けて凸状にトンネル部44が設けられ、後プレート3Rには後方に向けて凸状にトンネル部44が設けられる。トンネル部44の前後方向の突出量はビード部333の前後方向の突出量よりも小さい。図示は省略するが、トンネル部44は、断面略矩形状ないし略台形状を呈し、前後のトンネル部44,44の間に、連通流路PA12が形成される。
トンネル部44のうち、ビード部333の左側(貫通孔304側)を外側トンネル部441と呼び、ビード部333の左側(カソード流路PCa側)を内側トンネル部442と呼ぶ。外側トンネル部441の右端は、貫通孔304の周縁に位置し、連通流路PA12の右端が貫通孔304に面して開放される。外側トンネル部441の左端は、ビード部333を貫通してビード部333の内部空間に連通する。
内側トンネル部442の右端は、ビード部333を貫通してビード部333の内部空間に連通する。内側トンネル部442の左端部には、左方にかけて突出量が徐々に減少するようなテーパ部442aが設けられる。トンネル部44の左端では前後方向の突出量が0になり、連通流路PA12が閉塞される。前プレート3Fのテーパ部442aには、酸化剤ガスの流出口440が開口される。これにより、貫通孔304と、前プレート3Fの前方のカソード流路PCaとが、連通流路PA12および流出口440を介して連通する。このため、貫通孔304を流れる酸化剤ガスを、図6Bの矢印に示すように、連通流路PA12および流出口440を介してカソード流路PCaに供給することができる。
図示は省略するが、貫通孔303の近傍のトンネル部43は、図6Bのトンネル部44と同様に構成される。すなわち、トンネル部43とトンネル部44とは、図4の中心点Pを通って上下方向に延在する軸線(不図示)に関し、左右対称形状を呈する。したがって、前プレート3Fのトンネル部43の右端部のテーパ部に、燃料ガスの流入口430が開口される。これにより、カソード流路PCaを流れた酸化剤ガスが、流入口430、およびトンネル部43の内部の連通流路PA12を介して貫通孔303に導かれる。
図7は、本実施形態に係る燃料電池用セパレータ搬送装置50の全体構成を概略的に示す図である。図7に示すように、燃料電池用セパレータ搬送装置50は、多関節型のアーム51,52とアーム52の先端部に設けられたハンド53とを有する産業用のロボット55と、ハンド53に支持された吸着ハンド60とを有する。
アーム51とアーム52とは回動軸55aを介して回動可能に連結され、アーム52とハンド53とは回動軸55bを介して回動可能に連結される。なお、ロボット55の構成(アームの個数など)は図示したものに限らない。アーム51,52とハンド53とは、例えば回動軸55a,55bに設けられたサーボモータなどのアクチュエータ54の駆動により回動し、これによりハンド53の位置および姿勢が変化する。アクチュエータ54はECU56により制御される。ECU56は、CPU,ROM,RAMおよびその他の周辺回路を有するコンピュータを含んで構成される電子制御ユニットである。
吸着ハンド60は、平面視略矩形状かつ板厚一定のプレート部材により構成され、全体が略直方体形状を呈する。吸着ハンド60は、略水平姿勢となるようにハンド53に支持される。吸着ハンド60は、例えば全体が金属により構成される。セパレータ3よりも剛性が高い樹脂材により、吸着ハンド60を構成することもできる。吸着ハンド60は上面60aと下面60bとを有する。上面60aは、ハンド53に固定される。下面60bは、略水平方向に延在する凹凸のない平坦面として構成される。
吸着ハンド60には、後述する吸着部61が設けられる。吸着部61には真空発生器65が接続され、真空発生器65の作動により吸着ハンド60の下面60bにセパレータ3を吸着することができる。真空発生器65の作動はECU56により制御される。
吸着ハンド60は、略水平姿勢のままロボット55により第1位置から第2位置に移動され、その後、第2位置から第3位置に移動される。第1位置には、上面が開口されたトレイ200が設置される。トレイ200には、セパレータ3と保護シート201とが水平姿勢で交互に積層される。保護シート201を介してセパレータ3が積層されることで、セパレータ3の表面を保護することができる。
セパレータ3は、その後面(アノード流路PAa側)3Rbが上方を向くように、すなわち後面3Rbが上面となるように配置される。セパレータ3は、その前面(カソード流路PAc側)3Faが上方を向くように、すなわち前面3Faが上面となるように配置されてもよい。保護シート201は、ポリエチレンナフタレートなどの可撓性を有する屈曲可能な薄膜状の樹脂フィルムである。トレイ200内では、保護シート201がセパレータ3の上面(後面3Rb)および下面(前面3Fa)に密着している。保護シート201は、セパレータ3の上面および下面の全域を覆うように全体が略矩形状に形成される(図8参照)。
燃料電池用セパレータ搬送装置50の動作の概略は以下の通りである。吸着ハンド60は、まず、ロボット55によりトレイ200の上方に移動される。次いで、トレイ300に向けて下降され、吸着ハンド60が第1位置に移動される。そして、トレイ200の最上段に配置されたセパレータ3が、吸着部61を介して吸着ハンド60の下面60bに吸着される。このとき、セパレータ3の下面の保護シート201も同時に吸着される。
その後、吸着ハンド60はロボット55により第2位置に移動され、吸着部61を介した保護シート201の吸着が解除される。これにより、セパレータ3の下面から保護シート201が離脱する。離脱された保護シート201は、第2位置に設けられた回収台202上に落下する。このため、保護シート201の廃棄および回収が容易である。
その後、吸着ハンド60はロボット55により第3位置に移動され、吸着部61を介した吸着ハンド60の吸着が解除される。これにより、吸着ハンド60の下面60bからセパレータ3が離脱する。離脱されたセパレータ3は、第3位置に設けられた載置台203に搭載され、所定の作業に供される。その後、吸着ハンド60はロボット55により第1位置に戻され、同様の作業を繰り返す。これにより第1位置に積層されたセパレータ3を1枚ずつ、保護シート201を取り外した状態で、第3位置に搬送することができる。
吸着ハンド60に設けられる吸着部61の構成について説明する。図8は、吸着ハンド60の平面図であり、図9は、図8のIX-IX線に沿った吸着ハンド60の断面図である。図8,9では、セパレータ3と保護シート201とが吸着ハンド60に吸着された状態を示しており、略水平姿勢のセパレータ3の厚さ方向を上下方向、長手方向(図4の左右方向)をX1-X2方向、短手方向(図4の上下方向)をY1-Y2方向として示す。上下方向は鉛直方向であり、下方は重力方向に相当する。図8,9では、セパレータ3の構成を簡易的に示す。
図8に示すように、吸着ハンド60はセパレータ3および保護シート201と同様、平面視で略矩形状を呈する。保護シート201のX1-X2方向の長さおよびY1-Y2方向の長さは、セパレータ3のX1-X2方向の長さおよびY1-Y2方向の長さよりも長い。したがって、保護シート201はセパレータ3よりも大型に形成され、保護シート201によりセパレータ3の全体が覆われる。
吸着ハンド60のX1-X2方向の長さおよびY1-Y2方向の長さは、保護シート201のX1-X2方向の長さおよびY1-Y2方向の長さよりも長い。したがって、吸着ハンド60は保護シート201よりも大型に形成され、吸着ハンド60によりセパレータ3と保護シート201の全体が覆われる。吸着ハンド60のX1-X2方向の中間点を通り、かつ、Y1-Y2方向の中間点を通る中心点P1は、セパレータ3の中心点Pと一致する。
図8,9に示すように、吸着ハンド60は、セパレータ3のアクティブ領域AR1に対向する部位に吸着部61(第1吸着部61A)を有する。さらに吸着ハンド60は、X1方向側の端部領域AR2に対向する部位と、X2方向側の端部領域AR2に対向する部位とに、それぞれ吸着部61(第2吸着部61B)を有する。吸着部61は、吸着ハンド60を上下方向に貫通する略円形の貫通孔601~603を含む。貫通孔601~603の径は同一である。貫通孔601の径が貫通孔602、603の径より大きくてもよく、小さくてもよい。
貫通孔601は、吸着ハンド60の中心点P1を中心として開口される。貫通孔602,603は、貫通孔601を基準としてX1-X2方向に対称に設けられる。すなわち、貫通孔602は、貫通孔601からX1方向に所定距離だけ離れた位置に開口され、貫通孔603は貫通孔601からX2方向に所定距離だけ離れた位置に開口される。貫通孔602,603の中心はそれぞれセパレータ3の貫通孔302,305の中心に一致する。したがって、貫通孔602と貫通孔302および貫通孔603と貫通孔305は互いに連通する。なお、貫通孔602,603と貫通孔302,305とがそれぞれ連通すれば、貫通孔602,603の中心と貫通孔302,305の中心は一致しなくてもよい。
吸着ハンド60の上面60aには、貫通孔601~603を密封状態で覆うようにそれぞれ配管取付部611~613が設けられる。配管取付部611~613にはそれぞれホース621~623の一端部が接続される。ホース622,623は途中で単一のホース624に合流する。
図9に示すように、真空発生器65は、真空を発生する真空ポンプなどの真空源651と、真空源651に接続された一対の電磁弁652,653とを含む。ホース621の端部は電磁弁652に接続され、ホース624の端部は電磁弁653に接続される。電磁弁652,653は、ECU56(図7)からの指令により、真空源651とホース621,624とを連通または遮断するように切り換えられる。これにより真空源651と貫通孔601~603とが連通し、貫通孔601~603の内部を負圧にすることができる。
図10は、吸着ハンド60の吸着動作を示す要部断面図である。図10に示すように、吸着ハンド60の下面60bには、外側ビード部331の上面と、内側ビード部332の上面と、端部ビード部333の上面とが当接される。ビード部331~333と吸着ハンド60とは、厳密にはシール材40(図5)を介して当接されるが、図10では、便宜上、シール材40の図示を省略する。
吸着ハンド60の中央の貫通孔601は、吸着ハンド60の下面60bとセパレータ3の上面(後面3Rb)と内側ビード部332とによって包囲された空間SP11、すなわちセパレータ3のアクティブ領域AR1に面した空間SP11に連通する。これにより、矢印A1に示すように貫通孔601を介して空気が吸引されると、空間SP11内が負圧となり、空間SP11に面したセパレータ3を吸着ハンド60に吸着することができる。
吸着ハンド60の端部の貫通孔602,603は、セパレータ3の貫通孔302,305を介して、吸着ハンド60の下面60bと保護シート201の上面と端部ビード部333とによって包囲された空間SP12、すなわちセパレータ3の端部領域AR2に面した空間SP12に連通する。これにより、矢印A2に示すように貫通孔602,603を介して空気が吸引されると、空間SP12内が負圧となり、空間SP12に面した保護シート201を、セパレータ3を介し吸着ハンド60に吸着することができる。
図10の状態から、貫通孔602,603を介した空気の吸引を停止すると、保護シート201に対する吸着力が除去される。これにより、保護シート201がセパレータ3の下面から離脱して落下する。さらに貫通孔601を介した空気の吸引を停止すると、セパレータ3に対する吸着力が除去される。これにより、セパレータ3が吸着ハンド60の下面60bから離脱して落下する。
図9において、電磁弁653を例えば三方切換弁として構成し、電磁弁653にコンプレッサなどの空気源66を接続してもよい。この場合、電磁弁653は、ECU56からの指令により、ホース624と空気源66とを連通または遮断するように切り換えられる。これにより保護シート201の上面に空気を吹き付けることができ、保護シート201がセパレータ3の下面に密着している場合であっても、保護シート201をセパレータ3から容易に離脱させることができる。図9では、保護シート201の吸着時に用いられるホース624を介して保護シート201に空気を吹き付けるので、部品点数の増加を抑えることができる。
本実施形態に係る燃料電池用セパレータ搬送装置50の主要な動作を説明する。図11は、燃料電池用セパレータ搬送装置50による動作の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、単一のセパレータ3を第1位置から第2位置および第3位置へ搬送する動作を示すものであり、搬送するセパレータ3の数に相当する分だけ、図11の動作が繰り返される。なお、図11のフローチャートは、本実施形態に係る燃料電池用セパレータ搬送方法を具現化したものである。
まず、ステップS1で、ECU56がアクチュエータ54に制御信号を出力し、図7の(i)に示すように吸着ハンド60を第1位置へ移動する(第1位置移動工程)。すなわち、吸着ハンド60をトレイ200の上方に移動し、さらに、吸着ハンド60をセパレータ3の上面に当接するまで下降する。
次いで、ステップS2で、ECU56が真空発生器65(真空源651、電磁弁652,653)に制御信号を出力し、貫通孔601の下方の空間SP11内および貫通孔602,603の下方の空間SP12内をそれぞれ真空状態にする。これにより、図7の(ii)に示すように、第1吸着部61Aを介して、吸着ハンド60の下面60bにセパレータ3が吸着される。また、第2吸着部61Bを介して、セパレータ3の下面に保護シート201が当接した状態で保護シート201が吸着される(吸着工程)。
次いで、ステップS3で、ECU56がアクチュエータ54に制御信号を出力し、図7の(iii)に示すように、吸着ハンド60を上昇させるとともに、回収台202の上方の第2位置に移動する(第2位置移動工程)。
次いで、ステップS4で、ECU56が電磁弁653に制御信号を出力し、真空源651とホース624との連通を遮断する。これにより空間SP12内が大気圧となり、保護シート201に対する吸着力が除去され、保護シート201の吸着が解除される(シート吸着解除工程)。その結果、図7の(iv)に示すように、保護シート201がセパレータ3から離脱し、回収台202上に落下する。なお、保護シート201の離脱を容易にするために、ECU56が電磁弁653に制御信号を出力して空気源66(図9)とホース624とを連通し、保護シート201に空気を吹き付けるようにしてもよい。
次いで、ステップS5で、ECU56がアクチュエータ54に制御信号を出力し、図7の(v)に示すように、吸着ハンド60を載置台203の上方の第3位置に移動する(第3位置移動工程)。
次いで、ステップS6で、ECU56が電磁弁652に制御信号を出力し、真空源651とホース621との連通を遮断する。これにより空間SP11内が大気圧となり、セパレータ3に対する吸着力が除去され、セパレータ3の吸着が解除される(セパレータ吸着解除工程)。その結果、図7の(vi)に示すように、セパレータ3が吸着ハンド60から離脱し、載置台203上に落下する。以降、ステップS1に戻り、同様の動作が繰り返される。
ところで、吸着ハンド60によりセパレータ3を吸着する場合に、セパレータ3のビード部などに亀裂や凹凸、あるいは異物の付着があると、空間SP11内に十分な負圧を発生させることができず、セパレータ3を十分な吸着力で吸着できないおそれがある。本実施形態では、吸着ハンド60を用いたセパレータ3の搬送時に、このような異常の有無を監視する。これにより、セパレータ単体の品質不良を早期かつ容易に把握することができる。換言すると、本実施形態では、セパレータ3に所定の加工を施すためにセパレータ3を第1位置から第3位置に搬送する際、シール構造を有するセパレータ3のリーク検査を同時に行うことができる。
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)燃料電池用セパレータ搬送装置50は、保護シート201を介して積層されるとともに、反応ガスの流路PAa、PAcと反応ガスと冷却媒体とが通過する複数の貫通孔301~306とが設けられた燃料電池用のセパレータ3を搬送するように構成される(図7)。この燃料電池用セパレータ搬送装置50は、略水平方向に延在するとともにセパレータ3の上面に対向する下面60bを有する吸着ハンド60と、吸着ハンド60に設けられ、セパレータ3を吸着ハンド60に吸着する吸着部61と、吸着ハンド60を移動可能に支持するロボット55と、を備える(図7)。吸着ハンド60には、流路PAa、PAcに連通する貫通孔601(第1連通孔)とセパレータ3の貫通孔302,305に連通する貫通孔602,603(第2連通孔)と、が設けられる(図9)。吸着部61は、貫通孔601を介した吸引によりセパレータ3を吸着ハンド60に吸着する第1吸着部61Aと、貫通孔602,603を介した吸引により保護シート201を吸着ハンド60に吸着する第2吸着部61Bと、を有する(図8~10)。
これにより、セパレータ3と保護シート201とを吸着ハンド60により同時に吸着することができる。このため、保護シート201が意図せぬ位置で自然落下によりセパレータ3から離脱することを防止することができる。第2吸着部61Bの作動を解除することで、保護シート201をセパレータ3から離脱させることができる。このため、保護シート201を所定位置で回収または廃棄することができる。また、簡易な構成の吸着ハンド60を用いるので、吸着ハンド60を安価に構成することができる。さらに、吸着ハンド60の下面60bは平坦面であり、セパレータ3の上面に当接した際に下面60bが弾性変形するように吸着ハンド60を構成する必要がない。このため、吸着ハンド60を金属等により構成することができ、柔軟性のある吸着面を有する吸着パッドに比べ吸着ハンド60の耐久性は高い。その結果、吸着パッドのように高頻度で交換する必要がなく、長時間にわたって連続してセパレータ3の搬送作業を行うことができる。セパレータ3の搬送作業の作業効率を高めるためには、セパレータ3を高速で搬送する必要がある。この点、本実施形態によれば、吸着ハンド60によりセパレータ3を安定的に保持できるため、セパレータ3を高速で搬送することが可能である。
(2)反応ガスの流路PAa、PAcは、セパレータ3の中央のアクティブ領域AR1に設けられ、貫通孔302,305は、アクティブ領域AR1を挟むセパレータ3の一対の端部領域AR2に設けられる(図4)。保護シート201は、セパレータ3の下面の全体を覆うように配置される(図8)。貫通孔601は、アクティブ領域AR1に面して開口され、貫通孔602,603は、一対の端部領域AR2に面して開口される(図8)。これにより、セパレータ3を広範囲で吸着ハンド60に吸着することができる。このため、セパレータ3に反りやうねりがある場合に、吸着ハンド60への吸着時にその反りやうねりを矯正することができ、セパレータ3を精度よく位置決めして搬送することができる。
(3)貫通孔602,603を介して保護シート201に対し空気を吹き付ける空気源66をさらに備える(図9)。これにより保護シート201がセパレータ3に密着している場合であっても、保護シート201をセパレータ3から容易に取り外すことができる。
(4)セパレータ3は、反応ガスの流路PAa,PAcが設けられるアクティブ領域AR1を包囲するように上面から突設された内側ビード部332と、複数の貫通孔301~306を個別に包囲するように上面から突設された端部ビード部333と、を有する(図4)。第1吸着部61Aは、吸着ハンド60の下面60bとセパレータ3の上面との間における内側ビード部332の内側の空間SP11に負圧を発生するように構成される(図10)。第2吸着部61Bは、吸着ハンド60の下面60bとセパレータ3の上面との間における端部ビード部333の内側の空間SP12に負圧を発生するように構成される(図10)。これにより、内側ビード部332の内側の空間SP11および端部ビード部333の内側の空間SP12に十分な負圧を発生させることができる。したがって、大容量の真空発生器65を用いて吸着する必要がなく、コストの上昇を抑えることができる。
(5)燃料電池用セパレータ搬送装置50は、ロボット55と吸着部61(第1吸着部61A,第2吸着部61B)を制御するECU56制御部をさらに備える(図7)。ECU56は、吸着ハンド60を第1位置に移動するとともに、吸着ハンド60の第1位置への移動後に第1吸着部61Aによる吸着および第2吸着部61Bによる吸着を行い、その後、吸着ハンド60を第1位置から第2位置に移動するとともに、吸着ハンド60の第2位置への移動後に第1吸着部61Aによる吸着を維持したまま第2吸着部61Bによる吸着を解除するようにロボット55と第1吸着部61Aおよび第2吸着部61Bとを制御する(図11)。これにより、第1位置でセパレータ3とともに吸着された保護シート201を、第2位置で離脱させことができる。
(6)ECU56は、さらに吸着ハンド60を第2位置から第3位置に移動するとともに、吸着ハンド60の第3位置への移動後に第1吸着部61Aによる吸着を解除するようにロボット55および第1吸着部61Aを制御する(図11)。これにより保護シート201が離脱された後のセパレータ単体を、第3位置に搬送することができる。
(7)燃料電池用セパレータ搬送方法は、保護シート201を介して積層されるとともに、反応ガスの流路PAa,PAcと反応ガスと冷却媒体とが通過する複数の貫通孔301~306とが設けられた燃料電池用のセパレータ3を搬送するように構成される。この燃料電池用セパレータ搬送方法は、略水平方向に延在するとともにセパレータ3の上面に対向する下面60bを有する吸着ハンド60を、下面60bがセパレータ3の上面に当接するように第1位置に移動する工程(第1位置移動工程)と、吸着ハンド60の第1位置への移動後に、反応ガスの流路PAa,PAcに連通するように吸着ハンド60に設けられた貫通孔601を介した吸引により、セパレータ3を移動体に吸着するとともに、複数の貫通孔302,305に連通するように吸着ハンド60に設けられた貫通孔602,603を介した吸引により、保護シート201を吸着ハンド60に吸着する工程(吸着工程)と、吸着ハンド60を第1位置から第2位置に移動する工程(第2位置移動工程)と、吸着ハンド60の第2位置への移動後に、第1吸着部61Aによる吸着を維持したまま第2吸着部61Bによる吸着を解除する工程(シート吸着解除工程)と、を含む(図11)。これにより、保護シート201が第2位置でセパレータ3の下面から離脱され、保護シート201が意図せぬ位置で自然落下によりセパレータ3から離脱することを防止することができる。
(8)燃料電池用セパレータ搬送方法は、吸着ハンド60を第2位置から第3位置に移動する工程(第3位置移動工程)と、吸着ハンド60の第3位置への移動後に第1吸着部61Aによる吸着を解除する工程(セパレータ吸着解除工程)と、をさらに含む(図11)。これにより、保護シート201が除去された後のセパレータ単体を、第3位置に搬送することができる。
上記実施形態は種々の形態に変形することができる。以下、いくつかの変形例について説明する。上記実施形態では、吸着ハンド60の下面60bとセパレータ3の上面との間の空間SP11を負圧状態にしてセパレータ3を吸着ハンド60に吸着するようにした。したがって、アノード流路PAaが空間SP11に面する場合、空間SP11は、トンネル部41,42(図4)の内側の連通流路PA11(図6A)を介して貫通孔301,306に連通する。このため、貫通孔301,306および連通流路PA11を介して空間SP11内に空気が吸い込まれ、空間SP11内を十分な負圧状態にすることが難しいおそれがある。そこで、空間SP11内を十分な負圧状態にするために、連通流路PA11の端部を塞ぐようにしてもよい。図12は、そのように構成された吸着ハンド60の一例を示す図である。
図12は、セパレータ3のX1方向側のトンネル部41の近傍における吸着ハンド60の構成を示す。図示は省略するが、セパレータ3のX2方向側のトンネル部42の近傍における吸着ハンド60の構成は図12と同様である。図12に示すように、吸着ハンド60にはカーテン67が取り付けられる。具体的には、吸着ハンド60の下面60bに凹部605が設けられるとともに、凹部605に着脱可能に固定部606を設け、凹部605と固定部606との間にカーテン67の上端部を挟み込むことにより、吸着ハンド60にカーテン67が固定される。
カーテン67は、可撓性を有するシート状ないしフィルム状の部材(例えば樹脂材)によって構成される。カーテン67は、貫通孔301に面した複数のトンネル部41(図4)の入口を覆うように上下方向およびY1-Y2方向(図8)に延在する。空間SP11内に負圧が発生する前は、カーテン67は、図12に実線で示すように下方に垂れ下がる。
この状態から吸着ハンド60が下降すると、図12に矢印A1で示すように、カーテン67は風圧により外側(X1方向側)に屈曲し、一点鎖線で示す状態となる。一方、空間SP11内に負圧が発生すると、図12に矢印A2で示すように、カーテン67は負圧により内側(X2方向側)に屈曲し、点線で示す状態となる。これによりトンネル部41の入口がカーテン67で覆われ、連通流路PA11を介した空気の吸い込みが阻止される。このため、貫通孔301と空間SP11との連通が遮断され、空間SP11内を十分な負圧状態とすることができる。その結果、吸着ハンド60によるセパレータ3の吸着力を増大することができる。
上記実施形態では、多関節アームを有するロボット55により、吸着ハンド60を第1位置から第2位置および第3位置に移動可能に支持するようにしたが、支持部の構成は上述したものに限らない。上記実施形態では、吸着ハンド60を略直方体状に構成したが、セパレータ3の上面に対向する下面60b(対向面)を有する移動体としての吸着ハンド60の構成は上述したものに限らない。
上記実施形態では、吸着ハンド60に、アノード流路PAaに連通する略円形の貫通孔601(第1連通孔)と、冷却媒体が通過する一対の貫通孔302,305に連通する略円形の貫通孔602、603(第2連通孔)と、を設けるようにしたが、第1連通孔をカソード流路PAcに連通するように設けてもよく、第2連通孔を反応ガスが通過する他の貫通孔301,303,304,306に連通するように設けてもよい。第1連通孔の個数は2つ以上でもよい。第2連通孔の個数は1つでもよく、3つ以上でもよい。
上記実施形態では、保護シート201をセパレータ3よりも大型に形成したが、セパレータ3と同一の大きさに形成してもよい。セパレータ3のビード部を保護するのであれば、保護シート201をセパレータ3より小型に形成してもよい。上記実施形態では、真空源651と第2吸着部61Bとを接続するホース622~624を用いて、空気源66から保護シート201にエアを吹き付けるようにしたが、他のホースを用いて空気源66から保護シート201にエアを吹き付けるようにしてもよく、空気吹付部の構成は上述したものに限らない。
上記実施形態では、第1吸着部61Aを介して内側ビード部332(第1シール部)の内側空間SP11に負圧を発生するようにしたが、第1吸着部61Aの構成は上述したものに限らない。上記実施形態では、第2吸着部61Bを介して端部ビード部333(第2シール部)の内側空間SP12に負圧を発生するようにしたが、第2吸着部61Bの構成は上述したものに限らない。上記実施形態では、制御部としてのECU56からの指令によりロボット55と真空発生器65とを制御するようにしたが、ECU56による制御動作は上述したものに限らない。
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
3 セパレータ、50 燃料電池用セパレータ搬送装置、55 ロボット、56 ECU、60 吸着ハンド、61 吸着部、61A 第1吸着部、61B 第2吸着部、65 真空発生器、66 空気源、201 保護シート、301~306 貫通孔、332 内側ビード部、333 端部ビード部、601~603 貫通孔、AR1 アクティブ領域、AR2 端部領域、SP11,SP12 空間

Claims (8)

  1. 保護シートを介して積層されるとともに、反応ガスの流路と前記反応ガスと冷却媒体とが通過する複数の貫通孔とが設けられた燃料電池用のセパレータを搬送する燃料電池用セパレータ搬送装置であって、
    略水平方向に延在するとともに前記セパレータの上面に対向する対向面を有する移動体と、
    前記移動体に設けられ、前記セパレータを前記移動体に吸着する吸着部と、
    前記移動体を移動可能に支持する支持部と、を備え、
    前記移動体には、前記流路に連通する第1連通孔と前記複数の貫通孔の少なくとも1つの貫通孔に連通する第2連通孔と、が設けられ、
    前記吸着部は、前記第1連通孔を介した吸引により前記セパレータを前記移動体に吸着する第1吸着部と、前記第2連通孔を介した吸引により前記保護シートを前記移動体に吸着する第2吸着部と、を有することを特徴とする燃料電池用セパレータ搬送装置。
  2. 請求項1に記載の燃料電池用セパレータ搬送装置において、
    前記流路は前記セパレータの中央領域に設けられ、前記複数の貫通孔は、前記中央領域を挟む前記セパレータの一対の端部領域に設けられ、
    前記保護シートは、前記セパレータの下面の全体を覆うように配置され、
    前記第1連通孔は、前記中央領域に面して開口され、前記第2連通孔は、前記一対の端部領域に面して開口されることを特徴とする燃料電池用セパレータ搬送装置。
  3. 請求項1に記載の燃料電池用セパレータ搬送装置において、
    前記第2連通孔を介して前記保護シートに対し空気を吹き付ける空気吹付部をさらに備えることを特徴とする燃料電池用セパレータ搬送装置。
  4. 請求項1に記載の燃料電池用セパレータ搬送装置において、
    前記セパレータは、前記流路が設けられる領域を包囲するように前記上面から突設された第1シール部と、前記複数の貫通孔を個別に包囲するように前記上面から突設された第2シール部と、を有し、
    前記第1吸着部は、前記対向面と前記上面との間における前記第1シール部の内側空間に負圧を発生するように構成され、
    前記第2吸着部は、前記対向面と前記上面との間における前記第2シール部の内側空間に負圧を発生するように構成されることを特徴とする燃料電池用セパレータ搬送装置。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータ搬送装置において、
    前記支持部、前記第1吸着部および前記第2吸着部を制御する制御部をさらに備え、
    前記制御部は、前記移動体を第1位置に移動するとともに、前記移動体の前記第1位置への移動後に前記第1吸着部による吸着および前記第2吸着部による吸着を行い、その後、前記移動体を前記第1位置から第2位置に移動するとともに、前記移動体の前記第2位置への移動後に前記第1吸着部による吸着を維持したまま前記第2吸着部による吸着を解除するように前記支持部、前記第1吸着部および前記第2吸着部を制御することを特徴とする燃料電池用セパレータ搬送装置。
  6. 請求項5に記載の燃料電池用セパレータ搬送装置において、
    前記制御部は、さらに前記移動体を前記第2位置から第3位置に移動するとともに、前記移動体の前記第3位置への移動後に前記第1吸着部による吸着を解除するように前記支持部および前記第1吸着部を制御することを特徴とする燃料電池用セパレータ搬送装置。
  7. 保護シートを介して積層されるとともに、反応ガスの流路と前記反応ガスと冷却媒体とが通過する複数の貫通孔とが設けられた燃料電池用のセパレータを搬送する燃料電池用セパレータ搬送方法であって、
    略水平方向に延在するとともに前記セパレータの上面に対向する対向面を有する移動体を、前記対向面が前記セパレータの前記上面に当接するように第1位置に移動する工程と、
    前記移動体の前記第1位置への移動後に、前記流路に連通するように前記移動体に設けられた第1連通孔を介した吸引により、前記セパレータを前記移動体に吸着するとともに、前記複数の貫通孔の少なくとも1つの貫通孔に連通するように前記移動体に設けられた第2連通孔を介した吸引により、前記保護シートを前記移動体に吸着する工程と、
    前記移動体を前記第1位置から第2位置に移動する工程と、
    前記移動体の前記第2位置への移動後に、第1吸着部による吸着を維持したまま第2吸着部による吸着を解除する工程と、を含むことを特徴とする燃料電池用セパレータ搬送方法。
  8. 請求項7に記載の燃料電池用セパレータ搬送方法において、
    前記移動体を前記第2位置から第3位置に移動する工程と、
    前記移動体の前記第3位置への移動後に前記第1吸着部による吸着を解除する工程と、をさらに含むことを特徴とする燃料電池用セパレータ搬送方法。
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