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JP7635891B1 - 溶融亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

溶融亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法 Download PDF

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JP7635891B1 JP2024534742A JP2024534742A JP7635891B1 JP 7635891 B1 JP7635891 B1 JP 7635891B1 JP 2024534742 A JP2024534742 A JP 2024534742A JP 2024534742 A JP2024534742 A JP 2024534742A JP 7635891 B1 JP7635891 B1 JP 7635891B1
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Abstract

高強度を有し、不めっきのない美麗な表面外観を有するとともに、耐遅れ破壊特性に優れた、溶融亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法の提供。
特定の含有量で、C、Si、Mn、P、S、sol.Al、N、Oを含有し、あるいはさらに、特定の任意元素を特定の含有量で有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる成分組成を有する下地鋼板と、該下地鋼板の表面に形成された亜鉛系めっき層と、を備え、さらに、下地鋼板では、特定条件の介在物群が10個/mm以下であり、下地鋼板は、水素濃度Hが0.30質量ppm以下であり、かつ水素濃度Hが0.20質量ppm以下であり、引張強度が780MPa以上である、溶融亜鉛系めっき鋼板。

Description

本発明は、溶融亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法に関する。
近年、自動車、家電、建材等の分野において、素材鋼板に防錆性を付与した表面処理鋼板、なかでも防錆性に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板(合金化溶融亜鉛系めっき鋼板を含む)が広く使用されている。また、自動車の燃費向上および自動車の衝突安全性向上の観点から、車体材料の高強度化によって薄肉化を図り、車体そのものを軽量化かつ高強度化するために、高強度鋼板の車体材料への適用が進んでいる。
一般に、溶融亜鉛系めっき鋼板は、熱延鋼板や冷延鋼板を母材として用い、この母材鋼板をCGLの焼鈍炉で再結晶焼鈍した後、溶融亜鉛系めっきを施すことにより製造される。また、合金化溶融亜鉛系めっき鋼板は、溶融亜鉛系めっき後、さらに合金化処理を施すことにより製造される。
焼鈍では、水素を含む還元雰囲気中に鋼板を保持する必要があるが、このとき、炉内の水素が鋼板中に侵入し、その後、鋼板に冷却処理および溶融めっき処理が施されることで、水素は鋼中拡散性水素として鋼板中に残留する。めっきは水素を透過しないため、鋼中拡散性水素はめっき後に鋼板から放出されることはなく、鋼中拡散性水素量が多い場合には耐遅れ破壊特性が低下するという課題があった。とりわけ、引張強度が780MPa以上である高強度鋼板においては、鋼中拡散性水素が焼鈍後に残存しやすく、耐遅れ破壊特性が顕著に低下するという課題があった。これは、引張強度が780MPa以上の高強度鋼板においては、所定の強度を得るために、マルテンサイトやベイナイト等の硬質組織を形成させる必要があり、そのためには焼鈍工程でオーステナイト相を生成させる必要があるが、オーステナイト相はフェライト相と比べて水素を多量に吸収しやすく、しかも水素の拡散速度が遅いので焼鈍工程で一旦水素が吸収されると冷却過程においては放出されにくいという性質による。このような耐遅れ破壊に対する基準は、近年厳格化される傾向にある。
従来、鋼板中の水素量を低減した鋼板としては、例えば以下のような提案がなされている。
特許文献1には、鋼板を200℃まで昇温した際に放出される水素量が0.35質量ppm以下である耐遅れ破壊特性と穴広げ性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板が開示されている。
特許文献2には、鋼板を210℃まで昇温した際に放出される水素量が0.25質量ppm以下であるめっき性と曲げ性に優れた高強度亜鉛めっき鋼板が開示されている。
特許文献3には、鋼板を210℃まで昇温した際に放出される水素量が0.25質量ppm以下であるめっき性と曲げ性に優れた引張強さが1100MPa以上である高強度亜鉛めっき鋼板が開示されている。
また、鋼板中の水素量を低減した鋼板を製造する技術として、例えば、以下のような提案がなされている。
特許文献4には、熱延鋼板を還元処理した後、H濃度8~20%の雰囲気中において450~550℃で脱水素処理を行い、しかる後、溶融亜鉛めっきを行う技術が示されている。
また、特許文献5には、熱延鋼板を650~950℃の範囲で還元焼鈍した後、溶融亜鉛めっきを行う方法において、焼鈍炉内の焼鈍温度と水素濃度の関係が下記式(1)を満たすように制御することで鋼板中の水素量を低減する技術が示されている。
1≦H≦-0.05×RT+57.5 ・・・(1)
ここで、Hは炉内水素濃度であり、RTは焼鈍温度である。
また、特許文献6には、Si、Mn、Alを含有する鋼板を還元焼鈍した後、溶融亜鉛めっきを行う方法において、還元焼鈍時炉内の水素濃度が10体積%以上で、650℃以上750℃未満の炉内雰囲気ガスのうち、水素分圧と水蒸気分圧の関係が下記式(2)を満たし、同様に750℃以上950℃以下の炉内雰囲気ガスのうち、水素分圧と水蒸気分圧の関係が下記式(3)を満たすように制御することで、良好な表面品質を得る技術が示されている。
log(PH2O/PH2)≦-1.55 ・・・(2)
-0.91≦log(PH2O/PH2)≦-0.635 ・・・(3)
国際公開第2019/189067号 国際公開第2019/189849号 国際公開第2019/189841号 特開昭54-130443号公報 特許第3266008号公報 特許第5811841号公報
しかし、特許文献1、2、3に示される技術では、厳格化された耐遅れ破壊に加え、良好なめっき外観品質を両立することが困難であった。
さらに、特許文献4、5に示される技術は、いずれも熱延鋼板のブリスター(めっき膨れ)を抑制するためのものであり、焼鈍工程でオーステナイト相を有する高強度鋼板の耐遅れ破壊特性を改善するためには、雰囲気中の水素量をさらに低減することで、鋼中水素を低減する必要がある。しかしながら、雰囲気中の水素量をさらに低減すると、高強度鋼板が含有するSiやMnなどの易酸化性元素の選択酸化が促進されることによりめっき性が阻害され、良好な表面品質を得ることはできない。したがって、特許文献4、5に記載の水素を炉内で一律に低減する方法では、良好な表面品質と耐遅れ破壊特性の改善は困難である。
また、特許文献6に示される技術は、焼鈍温度別に水蒸気分圧と水素分圧の比を変化させることで、Si、Mn、Al含有鋼のめっき性を改善し、良好な表面品質を得ようとするものである。しかしながら、炉内の水素濃度を10%以上に制御することが必要であり、鋼中に含有する水素濃度を低減することは考慮されておらず、このため、高強度鋼板の耐遅れ破壊特性の改善は困難である。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、高強度を有し、不めっきのない美麗な表面外観を有するとともに、耐遅れ破壊特性に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板を製造することができる製造方法を提供することにある。
ここで、高強度とは、JIS Z2241(2011)に準拠して引張試験を行い、鋼板の引張強度TSが780MPa以上であることを指す。
不めっきのない美麗な表面外観とは、溶融亜鉛系めっき鋼板のめっき外観を目視観察し、模様や凹凸が認められるものについては、SEM観察を実施し、鋼板の1m×1mの範囲において、不めっき欠陥が3個未満であることを指す。
耐遅れ破壊特性に優れるとは、長軸長さ100mm、短軸長さ20mmの短冊状の試験片を鋼板から採取し、この試験片の長軸・短軸の中心位置に直径15mm、クリアランス14.0%で打抜き穴を形成し、引張試験(引張速度10mm/分)に供し、引張試験の負荷時間は最大100時間とし、100時間負荷後に亀裂が生じなかった最大応力を限界応力とし、限界応力/降伏応力が1.00以上であることを指す。
クリアランスは従来12.5%程度としていたが、近年の耐遅れ破壊特性に関する品質厳格化の傾向から、従来と比較して厳しい条件を採用した。
昇温分析で測定した際の150℃未満で放出される水素量に相当する水素濃度も、昇温分析で測定した際の150℃以上350℃以下で放出される水素量に相当する水素濃度Hも耐遅れ破壊特性に影響する。本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、150℃以上350℃以下で放出される水素濃度Hは、鋼板を製造した後の保持によって大気中には放出されにくく、特にプレス加工などによって加工を受けると拡散性水素に変質し、耐遅れ破壊特性に大きく影響することを新たに明らかにした。さらに、これらの150~350℃で放出される水素量に相当する水素濃度Hは鋼板に含有されるMnS、Al、(Al,Ca)-O、Nb(C,N)、(Nb,Ti)(C,N)、Ti(C,S)やそれを核にMnSが複合析出した介在物群の周囲に比較的弱い力でトラップされているため、これらの介在物群と介在物の形状と個数、さらにこれらの鋼板(下地鋼板)に対して焼鈍および冷却を施した後、溶融亜鉛系めっきを行う溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法において、焼鈍および冷却の雰囲気を最適化することにより、めっき外観と耐遅れ破壊特性に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板を製造できることを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1]質量%で、
C:0.06%以上0.30%以下、
Si:0.01%以上3.00%以下、
Mn:1.5%以上3.5%以下、
P:0.1%以下(0%を含まない)、
S:0.0030%以下(0%を含まない)、
sol.Al:0.1%以下(0%を含まない)、
N:0.0070%以下(0%を含まない)、
O:0.0030%以下(0%を含まない)を含有し、
あるいはさらに、
下記A、B、C、D群から選ばれる一群以上を含有し、
A群
Nb:0.05%以下(0%を含まない)、
Ti:0.08%以下(0%を含まない)、
V:0.2%以下(0%を含まない)、
W:0.15%以下(0%を含まない)、
Zr:0.15%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
B群
Cr:1%以下(0%を含まない)、
Ni:1%以下(0%を含まない)、
Cu:1%以下(0%を含まない)、
Mo:1%以下(0%を含まない)、
Co:1%以下(0%を含まない)、
B:0.005%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
C群
Ca:0.005%以下(0%を含まない)、
Mg:0.005%以下(0%を含まない)、
REM:0.005%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
D群
Sn:0.2%以下(0%を含まない)、
Sb:0.2%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
残部がFeおよび不可避不純物からなる成分組成を有する下地鋼板と、
該下地鋼板の表面に形成された亜鉛系めっき層と、を備え、
さらに、前記下地鋼板に含まれる介在物群が、下記条件(i)および(ii)を満足し、前記介在物群が10個/mm以下であり、
前記下地鋼板は、室温から350℃までで放出される水素量が0.30質量ppm以下であり、かつ150~350℃で放出される水素量が0.20質量ppm以下であり、
鋼板表面の1m×1mの範囲において、不めっき欠陥が3個未満であり、
引張強度が780MPa以上である、溶融亜鉛系めっき鋼板。
(条件)
(i)1又は複数の介在物粒子を有する介在物群の長軸の長さが50μm以上である。
(ii)前記介在物群が2個以上の前記介在物粒子から構成される場合に、一つの介在物粒子の長軸長さが0.3μm以上であり、介在物粒子間の最短距離が40μm以下である。
[2]前記下材鋼板は、前記成分組成として、さらに、質量%で、下記E、F、G、H群のうちから選ばれる一群以上を含有する、[1]に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板。
E群
Ta:0.10%以下(0%を含まない)
F群
Te:0.10%以下(0%を含まない)、
As:0.10%以下(0%を含まない)、
Hf:0.10%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上
G群
Bi:0.20%以下(0%を含まない)、
Pb:0.20%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上
H群
Zn:0.10%以下(0%を含まない)、
Ge:0.10%以下(0%を含まない)、
Sr:0.10%以下(0%を含まない)、
Cs:0.10%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上
[3]前記下地鋼板は、前記室温から350℃までで放出される水素量が0.20質量ppm以下であり、かつ前記150℃~350℃で放出される水素量が0.15質量ppm以下である、[1]又は[2]に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板。
[4]前記下地鋼板のマルテンサイト、ベイナイトおよび残留オーステナイトの合計面積率が30%以上であり、引張強度が780MPa以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の溶融亜鉛系めっき鋼板。
[5]前記下地鋼板のマルテンサイト、ベイナイトおよび残留オーステナイトの合計面積率が50%以上であり、引張強度が980MPa以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の溶融亜鉛系めっき鋼板。
[6]前記下地鋼板のマルテンサイト、ベイナイトおよび残留オーステナイトの合計面積率が70%以上であり、引張強度が1180MPa以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の溶融亜鉛系めっき鋼板。
[7]前記下地鋼板のマルテンサイト、ベイナイトおよび残留オーステナイトの合計面積率が85%以上であり、引張強度が1310MPa以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の溶融亜鉛系めっき鋼板。
[8]前記下地鋼板のマルテンサイト、ベイナイトおよび残留オーステナイトの合計面積率が90%以上であり、引張強度が1470MPa以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の溶融亜鉛系めっき鋼板。
[9]前記亜鉛系めっき層が合金化溶融亜鉛めっき層である、[1]~[8]のいずれかに記載の溶融亜鉛系めっき鋼板。
[10]下地鋼板に対して焼鈍した後、溶融亜鉛系めっきを施す溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法であって、
前記下地鋼板は、質量%で、
C:0.06%以上0.30%以下、
Si:0.01%以上3.00%以下、
Mn:1.5%以上3.5%以下、
P:0.1%以下(0%を含まない)、
S:0.0030%以下(0%を含まない)、
sol.Al:0.1%以下(0%を含まない)、
N:0.0070%以下(0%を含まない)、
O:0.0030%以下(0%を含まない)を含有し、
あるいはさらに、
下記A、B、C、D群から選ばれる一群以上を含有し、
A群
Nb:0.05%以下(0%を含まない)、
Ti:0.08%以下(0%を含まない)、
V:0.2%以下(0%を含まない)、
W:0.15%以下(0%を含まない)、
Zr:0.15%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
B群
Cr:1%以下(0%を含まない)、
Ni:1%以下(0%を含まない)、
Cu:1%以下(0%を含まない)、
Mo:1%以下(0%を含まない)、
Co:1%以下(0%を含まない)、
B:0.005%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
C群
Ca:0.005%以下(0%を含まない)、
Mg:0.005%以下(0%を含まない)、
REM:0.005%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
D群
Sn:0.2%以下(0%を含まない)、
Sb:0.2%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
残部がFeおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、
さらに、前記下地鋼板に含まれる介在物群が、下記条件(i)および(ii)を満足し、前記介在物群が10個/mm以下であり、
前記下地鋼板を露点-55℃以上+30℃以下、水素濃度8.0体積%以上25体積%以下の雰囲気中、650℃以上950℃以下の保持温度で20s以上150s以下の時間保持する第一焼鈍工程と、
該第一焼鈍工程を経た下地鋼板を、露点-50℃以上+30℃以下、水素濃度0.2体積%以上8.0体積%未満の雰囲気中、700℃以上950℃以下の保持温度で30s以上300s以下の時間保持する第二焼鈍工程と、
該第二焼鈍工程を経た下地鋼板を、露点-20℃以下、水素濃度0.2体積%以上25体積%以下の雰囲気中、前記第二焼鈍工程での700℃以上950℃以下の保持温度から150℃以上550℃以下の温度まで平均冷却速度3~300℃/sで冷却する冷却する冷却工程と、
該冷却工程後の下地鋼板に対して、溶融亜鉛系めっき処理を行い、前記下地鋼板の表面に亜鉛系めっき層を形成させる溶融亜鉛系めっき工程と、
を含む、引張強度が780MPa以上である、溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
(条件)
(i)1又は複数の介在物粒子を有する介在物群の長軸の長さが50μm以上である。
(ii)前記介在物群が2個以上の前記介在物粒子から構成される場合に、一つの介在物粒子の長軸長さが0.3μm以上であり、介在物粒子間の最短距離が40μm以下である。
[11]前記下地鋼板は、前記成分組成として、さらに、質量%で、下記E、F、G、H群のうちから選ばれる一群以上を含有する、[10]に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
E群
Ta:0.10%以下(0%を含まない)
F群
Te:0.10%以下(0%を含まない)、
As:0.10%以下(0%を含まない)、
Hf:0.10%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上
G群
Bi:0.20%以下(0%を含まない)、
Pb:0.20%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上
H群
Zn:0.10%以下(0%を含まない)、
Ge:0.10%以下(0%を含まない)、
Sr:0.10%以下(0%を含まない)、
Cs:0.10%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上
[12]前記第一焼鈍工程前の下地鋼板に、Oを1000体積ppm以上含む雰囲気中において400℃以上900℃以下の温度で酸化処理を施す酸化処理工程を含む、[10]又は[11]に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
[13]前記溶融亜鉛系めっき処理を施した後、5s以上600s以下の時間、200℃以上450℃以下で、かつ水素濃度15体積%以下の雰囲気で保持し、その後に冷却する再加熱処理工程を含む、[10]~[12]のいずれかに記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
[14]前記第二焼鈍工程の雰囲気は水素濃度が5.0体積%未満である、[10]~[13]のいずれかに記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
[15]前記冷却工程は、
前記第二焼鈍工程を経た下地鋼板を、露点-20℃以下、水素濃度0.2体積%以上8.0体積%未満の雰囲気中、前記第二焼鈍工程の700℃以上950℃以下の保持温度から650℃以下の鋼板温度までの温度範囲を10s以上かけて平均冷却速度3℃/s以上25℃/s以下で冷却する第一冷却工程と、
該第一冷却工程を経た下地鋼板を、露点-20℃以下、水素濃度8.0体積%以上25体積%以下の雰囲気中、600℃から150℃以上550℃以下の温度まで平均冷却速度10℃/s以上で冷却する第二冷却工程と、
を含む、[10]~[14]のいずれかに記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
[16]前記溶融亜鉛系めっき工程の後、前記下地鋼板および前記亜鉛系めっき層を合金化処理する合金化処理工程を含む、[10]~[15]に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
本発明によれば、高強度を有し、不めっきのない美麗な表面外観を有するとともに、耐遅れ破壊特性に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法が提供される。
以下、本発明の溶融亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法の一実施形態として、溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法、溶融亜鉛系めっき鋼板の順に説明する。
<溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法>
本発明の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法は、特定の後述する成分組成を有する下地鋼板下地鋼板に対して焼鈍した後、溶融亜鉛系めっきを施す溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法であって、
下地鋼板に含まれる介在物群が、下記条件(i)および(ii)を満足し、前記介在物群が10個/mm以下であり、
下地鋼板を露点-55℃以上+30℃以下、水素濃度8.0体積%以上25体積%以下の雰囲気中、650℃以上950℃以下の保持温度で20s以上150s以下の時間保持する第一焼鈍工程と、該第一焼鈍工程を経た下地鋼板を、露点-50℃以上+30℃以下、水素濃度0.2体積%以上8.0体積%未満の雰囲気中、700℃以上950℃以下の保持温度で30s以上300s以下の時間保持する第二焼鈍工程と、
該第二焼鈍工程を経た下地鋼板を、露点-20℃以下、水素濃度0.2体積%以上25体積%以下の雰囲気中、第二焼鈍工程での700℃以上950℃以下の保持温度から150℃以上550℃以下の温度まで平均冷却速度3~300℃/sで冷却する冷却工程と、該冷却工程後の下地鋼板に対して、溶融亜鉛系めっき処理を行い、下地鋼板の表面に亜鉛系めっき層を形成させる溶融亜鉛系めっき工程と、を含む。
(条件)
(i)1又は複数の介在物粒子を有する介在物群の長軸の長さが50μm以上である。
(ii)介在物群が2個以上の前記介在物粒子から構成される場合に、一つの介在物粒子の長軸長さが0.3μm以上であり、介在物粒子間の最短距離が40μm以下である。
・精錬工程
優れた耐遅れ破壊特性を確保するためには、S、N、O等の不純物元素を低減すること、ならびに、溶鋼の精錬工程で大型介在物を低減することが必要である。不純物元素の低減方法や大型介在物の低減方法は特に限定しない。例えば、転炉で酸素吹錬した後に、取鍋に出鋼し、溶鋼に脱硫処理を行うと共に、RH真空脱ガス装置を用いて溶鋼に真空脱ガス処理、環流処理を行って上記不純物元素の低減やAlやCaを含有する酸化物系(以下、Al、Ca酸化物系とも記す。)の大型介在物の浮上分離を行い、その後、一定時間静置処理して一層の大型介在物の浮上分離を行った後、溶鋼をタンディッシュに注入する。
耐遅れ破壊特性を特に劣化させ得るAl、Ca酸化物系の大型介在物を低減する観点からは、RH真空脱ガス内で溶鋼を20分超環流させることが好ましい。また、同様の観点から、RHでの環流処理の後、タンディッシュに溶鋼を注入するまでの間に10分超の時間を保持することが好ましい。このような処理を行うことで、耐遅れ破壊特性を劣化させる大型介在物を低減することが可能である。
以下に、より詳細に説明を行う。Mn調整用の電解Mn等の鉱石や、Si調整用のフェロシリコン等の原料鉱石中には、融点の低い介在物を形成する不純物成分が一定量含まれている。溶鋼へのこれらの鉱石の添加により生じた低融点の介在物は熱間圧延で延ばされ、冷間圧延で破砕されながら点列状に分布することになる。このような延伸した介在物あるいは点列状に分布した大型介在物は、その体積に比して表面積が大きく、鋼板との整合性も悪いので、溶融亜鉛系めっき処理前の焼鈍工程でその周囲領域で水素を吸蔵しやすい。しかも、かかる介在物周りに吸蔵された水素は比較的強くトラップされているので、その多くは150℃かそれ以上の高温で放出され得る水素であって、室温付近では容易に拡散して放出されない。したがって、介在物周りに吸蔵された水素は除去することが容易ではなく、鋼板に残留しやすい。さらに、介在物周りに残留した水素は、プレス加工後には介在物周りでき裂を引き起こす有害な水素となり得る。また、き裂が生じる起点も応力集中しやすい大型介在物周りであるので、水素をトラップした大型介在物の周囲では、プレス加工後のき裂や破断、とりわけ遅れ破壊が顕著に生じる。このような遅れ破壊を軽減するには、焼鈍時に水素を吸蔵しやすく、かつプレス加工時に応力集中を引き起こしやすい所定の分布形態の大型介在物群の分布頻度を低減することが望ましい。ここで、大型介在物群とは、近接した2個以上の介在物によって構成される介在物の一群のことを指す。
かかる水素吸蔵作用が強く、プレス加工後に遅れ破壊を引き起こしやすい介在物群は以下の通りである。介在物群を構成する個々の介在物粒子の長軸長さが0.3μm以上であり、2個以上の介在物粒子から構成される場合に介在物粒子間の最短距離が40μm以下であり、個々の介在物により構成される介在物群の長軸の長さが50μm以上である。
かかる介在物群を形成しうる介在物としては、Al、(Al,Ca)-O、MnS、Nb(C,N)、(Nb,Ti)(C,N)、Ti(C,S)等が挙げられ、特に、最大厚さ(板厚方向の幅)が4μm以上となる粗大なAl、(Al,Ca)-O系の介在物を含む介在物群が存在すると、これらの介在物群は顕著に遅れ破壊を助長する。また、Al、(Al,Ca)-O系の介在物が存在することで、MnSや(Nb,Ti)(C,N)も複合して析出しやすくなり、一層大型の介在物を高い頻度で形成しやすくなる。したがって、大型の酸化物系介在物を含む介在物群を低減することが特に重要であり、上述したRH真空脱ガス装置での長時間環流と溶鋼をタンディッシュに注入するまでの静置時間の確保が重要である。なお、その他のRH処理条件は定法に従えばよく、例えば、RH真空脱ガス装置での槽内ガス圧力は50~1000パスカル程度とすればよく、環流用ガスとしては0.02~0.1Nm/sのアルゴンガスを用いることができる。溶鋼の処理量は80~350トンとし、還流量は800~3500kg/sとすることができる。また、MnS、Ti(C,S)の形成を抑制する観点からは、Sを低減しておくことが望ましく、Nb,Ti系の炭窒化物の形成を抑制する観点からはNを低減しておくことが望ましい。
・スラブ加熱工程
鋼スラブを熱間圧延する方法としては、スラブを加熱後に圧延する方法、連続鋳造後のスラブを再加熱することなく直接圧延する方法、連続鋳造後のスラブに短時間加熱処理を施して圧延する方法などが挙げられる。本発明の製造方法においては、スラブ加熱温度を1220℃超とすることが好ましい。スラブ加熱温度(表面温度)を1220℃超とすることで、硫化物、炭窒化物の固溶促進とMn偏析の軽減が図られ、上記した介在物群の大きさや個数の低減が図られる。
スラブ加熱温度の上限は特に限定されないが、スラブ加熱温度は1400℃以下であることが好ましい。また、スラブ加熱時の平均加熱速度は5~15℃/分とすればよい。
1220℃超のスラブ表面温度での保持時間(均熱時間)が100min以上となるように保持することが好ましい。本発明者らの調査の結果、介在物群が残存する主な原因は、スラブ加熱温度が介在物の溶解温度に達していても、十分な均熱時間を確保できていないと、溶解状態が平衡に達していないことが原因であることが明らかになった。均熱時間を十分確保することで硫化物、炭窒化物の固溶促進が図られ、耐遅れ破壊特性が改善する。上記保持時間(均熱時間)が100min未満であると、Nb、Ti系の炭窒化物の固溶が不十分となり、それらが残存するとともに、それらを核としてMnSが析出することで耐遅れ破壊特性が劣化する。上記保持時間(均熱時間)の上限は特に限定されないが、保持時間(均熱時間)は、好ましくは250min以下であり、より好ましくは200min以下である。保持時間(均熱時間)は、さらに好ましくは175min以下である。
・熱間圧延工程
ここで、圧延率から算出した鋼の伸び歪:ε1(幅方向の変化が無いと仮定した場合の真歪)に対するMnS系介在物の介在物群としての長軸の伸び歪:ε2(破砕した場合はそれによる介在物間距離の増加を含めた長径の増加量)の比率ε2/ε1は、熱間圧延で0.55以上0.60以下であり、冷間圧延では0.65以上0.70以下であることから、いずれの工程でも介在物は圧延方向に伸ばされることが判った。
このことは、熱間圧延での圧下率と比べて、冷間圧延での圧下率を小さくすることで介在物の伸展度低減には有効であるが、圧下率の配分調整による効果は非常に小さく、累積圧下率を小さくすることが介在物の伸展度低減にはより有効であることを意味する。
つまり、最終製品板の板厚に対してスラブの鋳造厚さを薄くすることが好ましい。しかし、実際には、スラブを薄くすると生産性を阻害するので、スラブ鋳造厚は100~250mmの範囲とすることが好ましく、150~200mmとすることがより好ましい。なお、定法に従い、950℃超の温度域での累積圧下率は70~98%とし、冷間圧延も含めた950℃以下の累積圧下率は50~92%とすれば良い。
仕上げ圧延温度:800~950℃として仕上げ圧延を行い、その後、10℃/s以上200℃/s以下の冷却速度で400℃超630℃以下の温度域まで冷却して巻き取ることが好ましい。仕上げ圧延温度(FT)は、変態を促進する観点から、800~950℃の範囲とし、Ar変態点を下回らない範囲で低温とすることが好ましい。本発明においては、巻取温度を560℃以下にすることで、微細なフェライト+パーライト組織、もしくはベイナイトを主体とした組織とすることができ、その後、焼鈍後の鋼板において高い強度を確保できるとともに、コイル内での強度の安定性が向上し、鋼板(コイル)の板厚変動を抑制することができる。また、巻取温度を400℃超とすることで、精錬工程で吸蔵した鋼中の水素を十分放出することができ、冷間圧延時の割れ発生を回避できるとともに、その後の焼鈍での鋼中水素の低減に寄与する。
水素を放出する観点から、巻取られた鋼板の350℃以上での保持時間は3000秒以上とし、5000秒以上とすることがさらに好ましい。350℃以上の保持時間については特に規定はしないが、長時間保持するためには特殊な設備等が必要になることから、180000秒以下であることが好ましい。
ついで、巻取られたコイルをコイラーから取り出す。このとき、必要に応じて、コイルを回転させながら水冷してもよいが、その場合の水冷時間は極力短くするのが好ましい。水冷を実施しないのがより好ましい。400℃超630℃以下の温度域でコイルを巻き取った後、その後の表面酸化や不均ーな変態を抑制する観点からは、コイルのままで水冷する、または巻きほぐして水もしくはガスで冷却してもよい。このような処理は、350℃以上で所定時間保持して鋼中水素を低減したのちに実施するのが好ましい。
また、鋼板表面に生成した1次スケールおよび2次スケールを除去するためにデスケーリングを行うことが望ましい。デスケーリングは、衝突圧:50MPa以上の高圧で施すことが好ましい。これにより、赤スケールの残存と2次スケールの生成厚を低減することができ、熱間圧延での巻取りにおいて、スケール中の酸素が鋼板内に取り込まれることによる鋼板の表面酸化を軽減できる。その結果、最終製品での表層の酸化層の厚さを低減でき、耐食性が向上する。
なお、熱延コイルを冷間圧延する前に十分酸洗してスケールの残存を軽減することが好ましい。また、冷間圧延における荷重低減の観点から、必要に応じて熱延板焼鈍を施してもよい。
・冷間圧延工程
冷間圧延では、圧下率(累積圧下率)を20~75%として、冷間圧延後の鋼板の板厚を0.5~3.2mmにすればよく、それ以外の条件については定法に従えばよい。圧下率の下限について好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上である。圧下率の上限について好ましくは72%以下、より好ましくは70%以下である。冷間圧延後の鋼板の板厚は、好ましくは0.6mm以上であり、より好ましくは0.8mm以上であり、さらに好ましくは1.0mm以上である。冷間圧延後の鋼板の板厚は、好ましくは2.8mm以下であり、より好ましくは2.3mm以下であり、さらに好ましくは2.0mm以下である。
・酸化処理、焼鈍、冷却、溶融亜鉛系めっきおよび再加熱処理
後述する酸化処理、焼鈍および焼鈍後の冷却において規定される温度は、いずれも「鋼板温度」であり、より具体的には鋼板の表面温度である。また、後述する非酸化性雰囲気とは、鉄が酸化しない雰囲気であることを指し、SiやMn等の易酸化性の添加元素の選択酸化が生じることは許容され得る雰囲気である。また、還元雰囲気とは、酸化鉄が鉄に還元され得る雰囲気を指す。
また、本発明が適用される溶融亜鉛系めっき鋼板の種類としては、亜鉛を主成分とするめっき層を有するめっき鋼板であれば特に限定されず、溶融亜鉛めっきを施した鋼板(溶融亜鉛めっき鋼板(GI))のみならず、溶融亜鉛系めっき後に合金化処理を施した鋼板(合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA))を含む。また、溶融亜鉛系めっき鋼板の種類としては、溶融亜鉛めっき鋼板(GI)および合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)以外に、溶融亜鉛-アルミニウム合金めっき鋼板、溶融亜鉛-アルミニウム-シリコン合金めっき鋼板、溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板などが含まれ、またそれぞれの詳細なめっき組成も制限はない。
なお、以下の説明において、鋼板(下地鋼板、母材鋼板とも記す。)の成分組成の各元素の含有量、めっき浴の成分組成の元素の含有量およびめっき層の合金化度の単位として記載した「%」はいずれも「質量%」であり、また、焼鈍および冷却時の雰囲気の水素濃度の単位として記載した「%」はいずれも「体積%」である。また、鋼板が「高強度」であるとは、JIS Z2241(2011)に準拠して測定した鋼板の引張強さTSが780MPa以上であることを意味する。
本発明の製造方法は、所定の鋼組成および介在物の分布形態を有する下地鋼板を非酸化性雰囲気で焼鈍した後、下地鋼板に対して溶融亜鉛系めっきを行う溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法であり、焼鈍は第一焼鈍工程と第二焼鈍工程とを有する。焼鈍は、非酸化性雰囲気下で行うことができる。第一焼鈍工程では、高水素濃度且つ所定の露点の還元雰囲気中で鋼板を焼鈍することにより、鋼板表層に存在する自然酸化鉄を還元する。続く第二焼鈍工程では、低水素濃度且つ所定の露点の非酸化雰囲気中で鋼板を焼鈍し、鋼中に固溶した水素を鋼板から放出させる。
焼鈍された鋼板は所定の温度まで冷却された後、溶融亜鉛系めっき浴に浸漬され、溶融亜鉛系めっきが施される。本発明の製造方法は、溶融亜鉛系めっき後に合金化処理を行い、合金化溶融亜鉛系めっき鋼板を製造する場合を含む。このようにして得られた、溶融亜鉛系めっき鋼板(合金化溶融亜鉛系めっき鋼板を含む)は、昇温分析で測定した際の室温から350℃までで放出される水素量(水素濃度Hとも記す。)が0.30質量ppm以下に制御され、150~350℃で放出する水素量(水素濃度Hとも記す。)の合計が0.20質量ppm以下に制御され、美麗な表面外観と良好な耐遅れ破壊特性を有する。
さらに、焼鈍を行う前に、所定の酸化雰囲気中で鋼板表層に酸化鉄を生成させる酸化処理を行うことで、さらに美麗な表面外観を得ることができる。また、焼鈍後の鋼板を冷却する際の雰囲気を最適化することや、めっき後の鋼板を所定の水素濃度を有する雰囲気において再加熱することによって、さらに高いレベルに耐遅れ破壊特性を改善することができる。
なお、溶融亜鉛系めっき鋼板の母材となる鋼板(下地鋼板)の組織およびその成分組成については、後に詳述する。
本発明において、酸化処理とそれに続く非酸化性雰囲気における焼鈍は、通常、入側から順に酸化帯(酸化処理のための帯域)、還元帯(焼鈍の第一焼鈍工程のための帯域)、均熱帯(焼鈍の第二焼鈍工程のための帯域)、冷却帯を有する連続焼鈍炉で行われる。
ここで、酸化処理は、必須工程では無く、必要に応じて適宜行うことができる。
以下、本発明の製造方法について、酸化処理、焼鈍(第一焼鈍工程、第二焼鈍工程)、焼鈍後の冷却(第一冷却工程、第二冷却工程)、溶融亜鉛系めっき、再加熱処理の順に説明する。
・酸化処理工程
酸化処理では、Oを1000体積ppm以上含む雰囲気中で鋼板温度を400℃以上900℃以下に制御することで、鋼板(下地鋼板)表層に酸化鉄を形成する。酸化処理の雰囲気は、O以外にN、CO、CO、HO、NOxのうちの1種または2種以上を含んでもよい。Nは不活性ガス、COは酸化と還元の調整用のガス、COは不活性ガス、HOは酸化と還元の調整用のガスとして含有させることができる。また、CO、CO、HOおよびNOxは燃料ガス、焼鈍する鋼板成分由来のガスや大気中の不純物ガス、もしくは燃料の燃焼ガスとして含有させることができる。
本発明では、この酸化処理で鋼板を酸化させ、続く焼鈍(第一焼鈍工程)で還元して鋼板表層に還元鉄層を形成することで、SiやMnが鋼板表層へ拡散して酸化するのを防ぎ、これによりめっき性をさらに向上させることができる。第二焼鈍工程で低水素雰囲気とする本発明においては、Oを1000体積ppm以上含む雰囲気中での当該酸化処理は、優れた表面品質と優れた耐遅れ破壊特性を高位に改善して両立する。さらに、その改善効果は、Siを0.1%以上、Mnを1.5%以上含有する鋼において特に顕著である。
酸化処理を行う雰囲気中のO濃度を1000体積ppm以上とすることで、鋼板の酸化が促進される。O濃度が1000体積ppm未満では、鋼板の酸化が不十分となり、SiやMnの酸化物が形成されてめっき性が低下する場合がある。
濃度の上限値は特に限定されないが、過酸化による搬送ロールへのピックアップ等の不具合を回避するため、50000体積ppm以下とすることが好ましく、10000体積ppm以下とすることがより好ましい。
酸化処理の雰囲気は、その他に使用するガスによってN、CO、CO、HO、NOx等を含むことがあり、それらの比率は特に限定されない。また、酸化処理によって、さらに美麗な表面外観を得ることができるものの、酸化処理が無くても耐遅れ破壊特性に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板を得ることが可能であるため、この工程は必須要件では無い。
酸化処理では、鋼板温度を400℃以上とすることで、鋼板の酸化が促進される。鋼板温度が400℃未満では酸化量が不十分となり、SiやMnの酸化物が形成されてめっき性改善効果が低下する場合がある。
一方、鋼板温度が900℃を超えると、鋼板の酸化量が過剰となり、続く還元焼鈍(第一焼鈍工程)で還元が完了せず、残存した酸化鉄がめっき性を阻害する場合がある。このため、酸化処理は400℃以上900℃以下で実施することが好ましい。ここで、酸化処理を400℃以上900℃以下で実施するとは、酸化処理温度が少なくとも400~900℃の範囲内にあり、且つ900℃を超えないことを意味する。すなわち、本発明では、Oを1000体積ppm以上含む雰囲気中において400℃以上900℃以下の温度での酸化処理が行われれば、400℃未満での酸化処理も行われてもよい(例えば、300℃→700℃の昇温過程で酸化処理が行われる場合など)。
この酸化処理は処理時間1~30sの範囲で実施することが好ましい。すなわち、十分な酸化量を確保してめっき性を改善する観点から、処理時間は1s以上とすることが好ましく、2s以上とすることがより好ましく、3s以上とすることがさらに好ましい。一方、過剰な酸化を防止してピックアップを抑制する観点からは、処理時間は30s以下とすることが好ましく、20s以下とすることがより好ましく、15s以下とすることがさらに好ましい。
また、この酸化処理工程は、鋼板(母材鋼板)を焼鈍する温度に加熱する工程を含むことができる。例えば、鋼板を加熱する工程の途中に、雰囲気を制御可能な均熱チャンバーを設け、所定の雰囲気で一定の温度で保持することで鋼板表面を酸化することが可能である。また、直火バーナーを備えた直火方式の加熱炉で、鋼板を昇温しながら炉内雰囲気を制御し鋼板表面を酸化することも可能である。昇温と酸化処理を同時に行うことで、炉をコンパクトにできるとともに生産速度を向上できるという産業上の利点が得られる。鋼板を昇温しながら、表面を酸化する場合、鋼板温度が400℃に達した後、50℃以上の昇温範囲(昇温する温度幅)にわたって酸化雰囲気とすることで十分な酸化量を得ることができる。なお、鋼板を昇温しながら、表面を酸化する場合、酸化する温度範囲における昇温速度は、適度な酸化量を確保する観点から3~25℃/sとすることが好ましい。
ここで、酸化処理を行う直火バーナーは、製鉄所の副生ガスであるコークス炉ガス(COG)等の燃料と空気を混ぜて燃焼させたバーナー火炎を直接鋼板表面に当てて鋼板を加熱するバーナーを用いることができる。このような直火バーナーによる加熱は、輻射方式の加熱手段よりも鋼板の昇温速度が速いため、加熱炉の炉長を短くし、鋼板の搬送速度を速くできるという利点がある。さらに、直火バーナーは空気比を0.95以上とし、燃料に対する空気の割合を多くすると、未燃の酸素が火炎中に残存し、その酸素で鋼板の酸化を促進することが可能となる。そのため、空気比を調整すれば、雰囲気の酸素濃度を制御することが可能である。直火バーナーの燃料としては、COGの他に、液化天然ガス(LNG)、アンモニアガス、水素ガス等を用いることができる。
・焼鈍
・第一焼鈍工程
焼鈍の第一工程(第一焼鈍工程)では、鋼板を露点-55℃以上+30℃以下、水素濃度8.0%以上25%以下の酸化鉄が還元される雰囲気中、650℃以上950℃以下の保持温度で20s以上150s以下の時間保持する。
鋼板表層に存在する自然酸化鉄を、第一焼鈍工程において還元雰囲気中で還元し、めっき性を確保する。続く低水素濃度雰囲気による第二焼鈍工程では還元はほとんど進行しないため、この第一焼鈍工程で酸化鉄の還元を完了することが好ましい。この第一焼鈍工程は、良好なめっき外観を得るために必須となる工程である。
また、酸化処理を行った場合、意図的に形成された酸化鉄を、この還元焼鈍の第一焼鈍工程において還元雰囲気中で還元し、鋼板表層に還元鉄層を形成することで、SiやMnが鋼板表層に拡散して酸化するのを防ぎ、外観をさらに美麗にすることができる。酸化処理を行った場合でも同様に、続く低水素濃度雰囲気による第二焼鈍工程では還元はほとんど進行しないため、この第一焼鈍工程で酸化鉄の還元をすることが好ましい。
第一焼鈍工程での鋼板の焼鈍温度が650℃未満では還元が不十分となり、酸化鉄がロールピックアップとなって鋼板の欠陥の原因になるとともに、続く第二焼鈍工程では酸化鉄は実質的に還元されないため、不めっきの原因となる。
一方、鋼板の焼鈍温度が950℃を超えると、炉体寿命を大幅に低下させる。このため鋼板の焼鈍温度は650℃以上950℃以下とする。下地鋼板(母材鋼板)が冷延鋼板の場合、再結晶させて所定の強度と延性を確保する観点からは、焼鈍温度は750℃以上とすることが好ましい。
また、引張強度が780MPa以上の高強度鋼板を得るためには、マルテンサイト、ベイナイトおよび残留γ(残留オーステナイト)の合計面積率を所定量確保する必要があり、焼鈍温度は780℃以上とすることが好ましい。
第一焼鈍工程における焼鈍温度の高温化は、SiやMnの選択酸化の促進、鋼中水素量の増大を招く。本発明においては、第一焼鈍工程と第二焼鈍工程での雰囲気や保持時間を制御することにより、選択酸化の促進、鋼中水素量の増大などの影響を低減することができるため、優れた表面品質と優れた耐遅れ破壊特性を具備できる。
第一焼鈍工程の雰囲気の露点は、-55℃未満とするには露点を低下させるための特殊な設備が必要となり、コストが増加するが、+30℃以下で鋼板表層の酸化鉄を還元することができ、所定の焼鈍時間の範囲においてはSiやMnの選択酸化も抑制できる。露点が+30℃を超えると炉内の露点分布が大きくなって露点制御が困難となるとともに、炉体への影響が懸念される。このため露点は-55℃以上+30℃以下とする。
露点は、-50℃以上とすることが好ましく、-45℃以上とすることがより好ましい。
また、露点は、20℃以下とすることが好ましく、15℃以下とすることがより好ましい。
第一焼鈍工程においては、水素濃度が高いほど酸化鉄の還元は早く完了し、SiやMnの選択酸化も抑制されるが、水素濃度が高いほど鋼中に水素が固溶しやすく、耐遅れ破壊特性が低下する。この点、水素濃度が8.0%未満では還元が不十分となる。一方、水素濃度が25%を超えると、還元の効果が飽和するとともに、鋼中に水素が多量に固溶し、続く第二焼鈍工程で鋼中水素量を十分低減することが困難となる。このため、第一焼鈍工程の水素濃度は8.0%以上25%以下とする。また、酸化処理をした場合は、還元を十分に行うために水素濃度は10%以上であることが好ましい。一方、製造コストと鋼中水素低減の観点から、水素濃度は22%以下であることが好ましく、18%以下であることがより好ましい。
第一焼鈍工程における650℃以上950℃以下での保持時間が20s未満では還元が十分に完了しない。一方、保持時間が150sを超えると、引張強度が780MPa以上の高強度鋼を得るために必要なマルテンサイトやベイナイトの面積率が十分に確保できない。また、還元は保持時間150s以下で十分完了するため、保持時間が150sを超えるといたずらに生産性を低下させる。また、SiやMnの選択酸化が進行して表面品質やめっき密着性が劣化する。なお、鋼中水素量は保持時間20s程度で飽和し、保持時間の影響は大きくない。このため、第一焼鈍工程における650℃以上950℃以下での保持時間は20s以上150s以下とする。
保持時間は、30s以上とすることが好ましく、40s以上とすることがより好ましい。
また、保持時間は、130s以下とすることが好ましく、90s以下とすることがより好ましい。
・第二焼鈍工程
焼鈍の第二焼鈍工程では、第一焼鈍工程を経た鋼板(下地鋼板)を、露点-50℃以上+30℃以下、水素濃度0.2%以上8.0%未満の雰囲気中で700℃以上950℃以下の保持温度に30s以上300s以下の時間保持する。この第二焼鈍工程では、第一焼鈍工程で還元が完了した鋼板を低水素雰囲気に維持することで、鋼板から水素を放出させる。
第二焼鈍工程での鋼板の焼鈍温度(保持温度、均熱温度)が700℃未満では脱水素が促進されない。一方、焼鈍温度が950℃を超えると炉体への影響が大きい。このため、鋼板の焼鈍温度は700℃以上950℃以下とする。鋼中水素量を低減する観点から第二焼鈍工程の焼鈍温度は860℃以下とすることが好ましく、830℃以下とすることがさらに好ましい。また、引張強度が780MPa以上の高強度鋼板を得るためには、マルテンサイト、ベイナイトおよび残留γの合計面積率を所定量確保する必要があり、第二焼鈍工程での焼鈍温度は780℃以上とすることが好ましい。
第二焼鈍工程では、露点が低いほど炉体への影響は小さいが、露点-50℃未満とするには露点を制御するための特殊な設備が必要となり、コストが増加する。一方、露点が+30℃を超えると、第一焼鈍工程で形成した還元Feが再酸化しめっき性を阻害する場合があり、また露点制御も困難で、炉体への影響が懸念される。このため、露点は-50℃以上+30℃以下とする。また、制御性の観点から、露点は+20℃以下が好ましく、+15℃以下がより好ましい。
露点は、-45℃以上とすることが好ましく、-40℃以上とすることがより好ましい。
また、第二焼鈍工程では、水素濃度が低いほど第一焼鈍工程で鋼板中に固溶した水素が多く放出されるが、炉内の水素濃度を均一に0.2%未満に制御するのは困難であり、水素濃度が低い部分で鋼板が再酸化する懸念があるため、水素濃度は0.2%以上とする。一方、水素濃度が8.0%以上では、特に昇温分析で測定した際の150℃以上350℃以下で放出する水素量を十分に低減できないので、水素濃度は8.0%未満とする。また、上記の観点から水素濃度は1.0%以上であることが好ましく、2.0%以上であることがより好ましい。同じく水素濃度は5.0%未満がより好ましい。
第二焼鈍工程における700℃以上950℃以下での保持時間が30s未満の場合、水素放出が十分に完了しない。一方、水素放出は保持時間300s以下で十分完了するため、保持時間が300sを超えると却って生産性を低下させる。また、SiやMnの選択酸化が進行して表面品質やめっき密着性が劣化する。このため、第二焼鈍工程における700℃以上950℃以下での保持時間は30s以上300s以下とする。
特に昇温分析で測定した際の150℃以上350℃以下で放出する水素を十分放出させるという観点からは、第二焼鈍工程における700℃以上950℃以下での保持時間は40s以上とすることが好ましい。
保持時間は、250s以下とすることが好ましく、200s以下とすることがより好ましい。
本発明では、鋼板表面に自然に存在する酸化鉄または酸化処理で生成させた酸化鉄を焼鈍の第一焼鈍工程で還元するために高濃度の水素が必要であり、その分、鋼中に水素が多く固溶するため、還元と脱水素のバランスが重要であり、そのために、焼鈍において第一焼鈍工程と第二焼鈍工程の条件を上述したように最適化する必要がある。
第一焼鈍工程と第二焼鈍工程で水素濃度を変化させる方法は特に規定しないが、炉を分割し、シールロールを介して接続された炉を使用し、それぞれの炉に投入するガスの水素濃度、露点を制御することにより、第一焼鈍工程と第二焼鈍工程の雰囲気を個別に容易に制御することが可能である。本発明においては、分離された2つ以上の異なる雰囲気を制御可能な連続焼鈍炉を用いて鋼板を焼鈍することが好ましい。
・冷却工程
焼鈍(第二焼鈍工程)が完了した下地鋼板を、第二焼鈍工程の700℃以上950℃以下の保持温度(第二焼鈍工程の最終保持温度)から150℃以上550℃以下の温度まで冷却する。その後、必要に応じて加熱した後、溶融亜鉛系めっき浴に浸漬して溶融亜鉛系めっきを行う。ここで、第二焼鈍工程における最終保持温度は、上記第二焼鈍工程の焼鈍温度、水素濃度、露点、保持時間の要件を満たす範囲で焼鈍を行った鋼板が前記要件の少なくとも一つを外れる時の温度を指す。
この冷却工程では、露点-20℃以下、水素濃度0.2%以上25%以下の雰囲気中、第二焼鈍工程の700℃以上950℃以下の保持温度(第二焼鈍工程の最終保持温度)から150℃以上550℃の温度までの平均冷却速度を3℃/s以上300℃/s以下とする。
ここで、上記の平均冷却速度は、冷却開始温度(第二焼鈍工程の最終保持温度)(℃)と冷却終了温度(150℃以上550℃以下)との差を、冷却時間(s)で割ることにより得ることができる。
なお、冷却工程では、第二焼鈍工程の700℃以上950℃以下の保持温度(第二焼鈍工程の最終保持温度)から550℃までは、露点-20℃以下、水素濃度0.2%以上25%以下の雰囲気とし、当該温度区間の平均冷却速度は3℃/s以上30℃/s以下とすることが好ましい。また、550℃以下150℃以上の温度範囲においても、露点-20℃以下、水素濃度0.2%以上25%以下の雰囲気とし、平均冷却速度は5℃/s以上とすることが好ましい。また、このときの平均冷却速度は300℃/s以下とすることが好ましい。また、冷却後に加熱を施す場合の加熱速度は5℃/s以上とすることが好ましい。
この冷却工程は、以下のように2つの分割された雰囲気の異なる冷却帯によって冷却することもでき、以下では、第一冷却工程および第二冷却工程として説明する。
ここで、上記の平均冷却速度は、冷却開始温度(第二焼鈍工程の最終保持温度)(℃)と550℃まで、および550℃と冷却終了温度(150℃以上550℃以下)との差を、それぞれの冷却時間(s)で割ることにより、それぞれ得ることができる。
また、冷却工程における露点は、冷却開始から冷却終了まで露点が-20℃以下であることを指す。
また、冷却工程における水素濃度は、冷却開始から冷却終了まで水素濃度が0.2%以上25%以下であることを指す。
冷却工程における露点は、下限は特に限定されないが、-55℃未満とするには露点を低下させるための特殊な設備が必要となり、コストが増加するため、冷却工程における露点は、-55℃以上とすることが好ましい。
・第一冷却工程
上記冷却工程は第一冷却工程を含み、該第一冷却工程では、上記の焼鈍(第二焼鈍工程)が完了した下地鋼板を、露点-20℃以下、水素濃度0.2体積%以上8.0体積%未満の雰囲気中、第二焼鈍工程の700℃以上950℃以下の保持温度(第二焼鈍工程の最終保持温度)から650℃以下の鋼板温度までの温度範囲を10s以上かけて平均冷却速度3℃/s以上25℃/s以下で冷却する。
第二焼鈍工程の最終保持温度から650℃以下の鋼板温度までの温度域を平均冷却速度3℃/s以上で冷却することにより、所望の鋼板強度が得られる。
上記の鋼板温度は、600℃以上とすることが好ましい。上記の鋼板温度が600℃未満では、水素低減効果が飽和するとともに、冷却速度を大きくすることが難しくなり、所望のミクロ組織と強度を確保することが困難になる場合がある。
平均冷却速度が3℃/s未満では、鋼板強度が低下しやすい。そのため、平均冷却速度は3℃/s以上とする。平均冷却速度は5℃/s以上であることが好ましい。
一方、650℃以下の鋼板温度までのまでの温度域を平均冷却速度が25℃/sを超えると、第一冷却工程における水素濃度0.2%以上8.0%未満の雰囲気中の保持時間が短くなり、第一焼鈍工程で放出しきれなかった比較的安定な準拡散性水素を放出することができなくなる。そのため、平均冷却速度は25℃/s以下とする。平均冷却速度は23℃/s以下であることが好ましく、20℃/s以下であることがより好ましい。
また、雰囲気中の水素が8.0%以上となると特に昇温分析で測定した際の150℃以上350℃以下で放出する水素が鋼板に残存しやすい。ここで、第二焼鈍工程における最終保持温度は、前記第二焼鈍工程の焼鈍温度、水素濃度、露点、保持時間の要件を満たす範囲で焼鈍を行った鋼板が前記要件の少なくとも一つを外れる時の温度を指す。
また、上記の平均冷却速度(℃/s)は、冷却開始温度(第二焼鈍工程の最終保持温度)(℃)と冷却終了温度(650℃以下の鋼板温度)との差を、冷却時間(s)で割ることにより得られる。冷却終了温度(650℃以下の鋼板温度)は、水素濃度が8.0%未満から8.0%以上に遷移する温度を指す。
冷却帯の雰囲気について説明する。水素は冷却能が高いため、雰囲気中の水素濃度が高いほど冷却速度を高めることができるが、水素濃度が高すぎると冷却中に鋼板中に水素が浸入するおそれがあり、且つ特に昇温分析で測定した際の150℃以上350℃以下で放出する水素の放出が不十分となる。比較的高い温度から冷却する場合、冷却効率が高いため、650℃以上の領域では、3℃/s以上の冷却速度を得るための水素量は低温側での冷却より少ない。これに加え、鋼板強度に最も影響が大きい650℃未満の冷却速度よりも、650℃以上の領域においては、必要な強度をえるための冷却速度が小さくなる。また、水素濃度を8.0%未満とする冷却区間を第二焼鈍温度の保持温度以下の温度域に設けることで、上述した150℃以上350℃以下で放出する水素を一層低減することができる。そのため、第一冷却工程において、第二焼鈍工程の最終保持温度から650℃以下の鋼板温度までの温度範囲内に、水素濃度を0.2%以上8.0%未満とする区間を設ける。
水素濃度が0.2%未満では十分な冷却速度を確保できないおそれがあるため、鋼板強度が低下しやすい。
一方、水素濃度が8.0%以上では、冷却速度が速くなるが、冷却中に鋼板に侵入することがあり、第一焼鈍工程で放出しきれなかった昇温分析で測定した際の150℃以上350℃以下で放出する水素を放出することが十分にできなくなる。従って、水素濃度は0.2%以上8.0%未満とする。水素濃度は0.5%以上であることが好ましく、1.0%以上であることがより好ましい。また、水素濃度は4.0%以下であることが好ましく、3.0%以下であることがより好ましい。
また、水素濃度0.2%以上8.0%未満の雰囲気とする区間において、露点を-20℃以下とすることで、低温で鋼板が再酸化してめっき性が低下することを抑制することができる。すなわち、露点が-20℃を超えると、低温で鋼板が再酸化してめっき性が低下しやすい。露点-20℃以下、水素濃度0.2%以上8.0%未満の雰囲気とする区間において、鋼板は10s以上滞留させることが好ましい。鋼板を10s以上滞留させることにより、鋼中水素の放出を促進でき、上記の150℃以上350℃以下で放出する水素を一層低減できる。
下限は特に限定されないが、-55℃未満とするには露点を低下させるための特殊な設備が必要となり、コストが増加するため、第一冷却工程における露点は、-55℃以上とすることが好ましい。
なお、露点-20℃以下、水素濃度0.2%以上8.0%未満の雰囲気とする区間は、連続冷却を行う区間であっても、冷却を停止して雰囲気中で概ね一定温度で保持する区間であってもよい。上記の露点-20℃以下、水素濃度0.2%以上8.0%未満の雰囲気とする区間は、少なくとも第二焼鈍温度の保持温度から650℃以下の温度範囲に設ければよい。例えば、第二焼鈍温度の保持温度から650℃までの範囲としてもよく、第二焼鈍温度の保持温度から620℃までの範囲としてもよい。後述のように、第二冷却工程の冷却開始温度を600℃とするため、上記の露点-20℃以下、水素濃度0.2%以上8.0%未満の雰囲気とする区間は、600℃超とすることが好ましい。
・第二冷却工程
第一冷却工程が完了した鋼板(下地鋼板)を、露点-20℃以下、水素濃度8.0%以上25%以下の雰囲気中で、冷却開始温度(600℃)から150℃以上550℃以下の鋼板温度まで平均冷却速度10℃/s以上で冷却する。その後、必要に応じて加熱した後、溶融亜鉛系めっき浴に浸漬して溶融亜鉛系めっきを行う。
600℃から150℃以上550℃以下の鋼板温度までの温度域を平均冷却速度10℃/s以上で冷却することにより、所望の鋼板強度が得られ、また、雰囲気中の水素が冷却中に鋼板に侵入することを抑制することができる。600℃以下の領域においては、鋼板強度に及ぼす冷却速度の影響が大きいため、平均冷却速度が10℃/s未満では、鋼板強度が低下しやすく、また、雰囲気中の水素が鋼板に侵入して耐遅れ破壊特性が低下しやすくなる。よって、平均冷却速度は10℃/s以上とする。平均冷却速度は13℃/s以上であることが好ましい。
また、上記の平均冷却速度(℃/s)は、600℃と150℃以上550℃以下の鋼板温度との差を、冷却時間(s)で割ることにより得られる。
なお、600℃超650℃未満の温度範囲は、水素濃度を切り替える遷移区間として、露点-20℃以下、水素濃度0.2%以上25%以下として、3℃/s以上25℃/s以下の冷却速度で鋼板を冷却してよい。
第二冷却工程は、第一冷却工程と比較すると冷却時の温度が低いため、第一冷却工程よりも高い濃度の水素が雰囲気に存在しても、水素が鋼板中に侵入しにくく、比較的安定な準拡散性水素にもなりにくい一方、低温域の第二冷却工程のほうが、第一冷却工程と比較して、冷却速度が低下した場合の強度低下への影響が大きい。従って、冷却帯の雰囲気の水素濃度は8.0%以上25%以下とする。水素濃度が8.0%未満では十分な冷却速度を確保できないおそれがあるため、鋼板強度が低下しやすい。一方、水素濃度が25%を超えると、冷却効果が飽和するとともに、冷却中に鋼板中に水素が浸入しやすく、昇温分析で測定した際の150℃以上350℃以下で放出する水素も増加し、耐遅れ破壊特性が低下しやすい。
水素濃度は、10%以上であることが好ましく、12%以上であることがより好ましい。
また、水素濃度は、20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。
また、露点を-20℃以下とすることで、低温で鋼板が再酸化してめっき性が低下することを抑制することができる。すなわち、露点が-20℃を超えると、低温で鋼板が再酸化してめっき性が低下しやすい。
下限は特に限定されないが、-55℃未満とするには露点を低下させるための特殊な設備が必要となり、コストが増加するため、第二冷却工程における露点は、-55℃以上とすることが好ましい。
なお、第二冷却工程後、下地鋼板を150℃以上550℃以下まで冷却した後、めっき浴に浸漬するまでの間に、150℃以上550℃以下の温度範囲で露点0℃以下、水素濃度15%以下として鋼板を5s以上保持させることも可能である。第二冷却工程後、鋼板を150℃以上550℃以下で保持することにより、ベイナイトやマルテンサイトを一部生成させることが可能であり、このような処理により、最終製品における残留γの生成量と残留γ中のC濃度を増加させることが可能である。その結果、延性、延びフランジ成型性、曲げ性を向上させることが可能である。また、ベイニティックフェライトや塊状マルテンサイトを生成させてYRを低下させて延性を向上させることも可能である。このような効果を得る観点から保持時間は5s以上とすることが好ましく、10s以上とすることがより好ましく、20s以上とすることがさらに好ましい。なお、150℃以上550℃以下での保持中には鋼中に未変態オーステナイトが多く残存しているので、鋼中水素の放出量は多くはないが、雰囲気中の水素濃度を15%以下とすることで鋼中水素を僅かに低減することも可能である。鋼中水素を低減する観点からは保持時間は20s以上とすることが好ましい。一方、鋼板強度の低下量を小さく抑える観点から、保持時間は120s以下であることが好ましく100s以下がより好ましい。
・溶融亜鉛系めっき工程
溶融亜鉛系めっき処理の条件は特に限定されず、一般的な条件で行えばよい。すなわち、好ましくは上述したような条件で、冷却工程において150℃以上550℃以下の温度まで冷却した後、必要に応じてめっき浴温度程度まで加熱した下地鋼板を溶融亜鉛系めっき浴中に浸漬してめっきする。GAやGIの場合には、めっき浴はZnとAlおよび不可避的不純物からなり、その成分は特に規定しないが、浴中Al濃度は0.05%以上0.250%以下であることが好ましい。浴中Al濃度が0.05%未満ではボトムドロスの発生が増加し、ドロスが鋼板に付着して欠陥になりやすい。一方、0.190%を超えるとトップドロスが増加し、やはりドロスが鋼板に付着して欠陥になりやすく、また、Alの添加によるコストアップにつながる。また、溶融亜鉛系めっき浴温度は440~500℃であることが好ましい。
・合金化処理工程
また、溶融亜鉛系めっき工程における上記の溶融亜鉛系めっき処理の後、次いで合金化処理を行うこともでき、合金化処理を行う場合の合金化処理の条件も特に限定されない。合金化処理の条件としては、上記の溶融亜鉛系めっき処理を施した後、亜鉛系めっき層を有する鋼板(溶融亜鉛系めっき鋼板)を430℃以上の合金化温度に加熱して合金化処理を施すことが好ましい。上記の合金化温度は、600℃以下とすることが好ましい。合金化温度が430℃未満では、Fe-Zn合金化速度が遅くなり、合金化が困難となる場合がある。一方、合金化温度が600℃を超えると、Fe-Zn合金化が過剰となり、めっき外観およびめっき密着性が劣化する場合があることに加えて、未変態オーステナイトがパーライトへ変態し、所望の引張強度を得られなくなる場合がある。なお、合金化温度は、より好ましくは450℃以上である。また、合金化温度は、より好ましくは570℃以下である。
・再加熱処理工程
ついで、溶融亜鉛系めっき工程における処理、あるいはさらに合金化処理工程における処理を施した鋼板を、必要に応じて室温~450℃に冷却し、さらに必要に応じて調質圧延と加熱処理を行った後、雰囲気:水素濃度を15体積%以下として、200℃以上450℃以下の温度範囲で、再加熱時間:5s以上600s以下保持し、その後、冷却してよい。該冷却は、室温まで行ってよい。
再加熱の保持中に鋼中の昇温分析で測定した際の150℃以上350℃以下で放出する水素の放出を促進する観点からは、雰囲気の水素濃度を低くすることが有利である。そのため、水素濃度は15%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。なお、水素濃度の下限は特に限定されない。ただし、水素は大気中にも不可避的に含まれるものである。そのため、水素濃度は、例えば、0.00001体積%以上であり得る。再加熱の保持中の雰囲気の水素(H)以外の残部ガスは、特に限定されない。一例としては、残部ガスは、N、O、HO、CO2、Arおよび不可避的不純物、並びにこれらの組み合わせである。なお、これらの比率も、特に限定されない。なお、この再加熱は大気中で行っても良い。
鋼中水素のうち昇温分析で測定した際の150℃以上350℃以下で放出する水素の低減効果を十分に得るためには、再加熱温度は200℃以上であることが好ましい。
一方、再加熱温度が450℃超になると、めっき層が再溶融し外観の劣化を招くおそれがある。よって、再加熱温度は200℃以上450℃以下が好ましい。また、再加熱温度は、より好ましくは250℃以上である。再加熱温度は、より好ましくは400℃以下である。ここで、再加熱温度は、再加熱時の最高到達温度である。また、再加熱の保持では、200℃以上450℃以下の範囲内であれば、温度が一定であっても、変動してもよい。
再加熱時間が5s未満では、鋼中の昇温分析で測定した際の150℃以上350℃以下で放出する水素の低減効果が十分に得られない場合がある。そのため、再加熱時間は5s以上が好ましい。再加熱時間は、より好ましくは10s以上、更に好ましくは30s以上である。一方、生産性の観点から、再加熱時間は600s以下であることが好ましい。再加熱時間は、溶融亜鉛系めっき処理後、あるいはさらに合金化処理後の冷却停止温度以上でかつ、200℃以上450℃以下の温度域での保持時間である。
なお、上記の調質圧延は、再加熱処理の前および/または後に実施してもよい。調質圧延を施す場合は、再加熱の前後のどちらか、もしくはその両方でも構わないが、0.05%以上1.0%以下の伸長率とするのが好ましい。
なお、上記の再加熱処理工程の前もしくは後に、室温~200℃未満の温度で水素濃度:15%以下の雰囲気として鋼板を保持する工程を加えてもよい。室温~200℃未満の温度で水素濃度:15%以下の雰囲気として鋼板を保持する場合、鋼板温度を10~25℃として4日以上、25℃超80℃以下として1日以上、80℃超200℃未満として30min以上保持することにより、鋼中の昇温分析で測定した際の25℃以上140℃以下で放出する水素が0.2ppm以下に低減される。
なお、上記した以外の条件については特に限定されず、常法に従えばよい。
<溶融亜鉛系めっき鋼板>
次に、高強度溶融亜鉛系めっき鋼板について説明する。
本発明の溶融亜鉛系めっき鋼板は、質量%で、C:0.06%以上0.30%以下、Si:0.01%以上3.00%以下、Mn:1.5%以上3.5%以下、P:0.1%以下(0%を含まない)、S:0.0030%以下(0%を含まない)、sol.Al:0.1%以下(0%を含まない)、N:0.0070%以下(0%を含まない)、O:0.0030%以下(0%を含まない)を含有し、あるいはさらに、下記A、B、C、D群から選ばれる一群以上を含有し、
A群
Nb:0.05%以下(0%を含まない)、
Ti:0.08%以下(0%を含まない)、
V:0.2%以下(0%を含まない)、
W:0.15%以下(0%を含まない)、
Zr:0.15%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
B群
Cr:1%以下(0%を含まない)、
Ni:1%以下(0%を含まない)、
Cu:1%以下(0%を含まない)、
Mo:1%以下(0%を含まない)、
Co:1%以下(0%を含まない)、
B:0.005%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
C群
Ca:0.005%以下(0%を含まない)、
Mg:0.005%以下(0%を含まない)、
REM:0.005%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
D群
Sn:0.2%以下(0%を含まない)、
Sb:0.2%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
E群
Ta:0.10%以下(0%を含まない)
F群
Te:0.10%以下(0%を含まない)、
As:0.10%以下(0%を含まない)、
Hf:0.10%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上
G群
Bi:0.20%以下(0%を含まない)、
Pb:0.20%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
H群
Zn:0.10%以下(0%を含まない)、
Ge:0.10%以下(0%を含まない)、
Sr:0.10%以下(0%を含まない)、
Cs:0.10%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
残部がFeおよび不可避不純物からなる成分組成を有する下地鋼板と、
該下地鋼板の表面に形成された亜鉛系めっき層と、を備え、
さらに、下地鋼板に含まれる介在物群が、下記条件(i)および(ii)を満足し、介在物群が10個/mm以下であり、下地鋼板は、室温から350℃までで放出される水素量(水素濃度H)が0.30質量ppm以下であり、かつ150~350℃で放出される水素量(水素濃度H)が0.20質量ppm以下であり、鋼板表面の1m×1mの範囲において、不めっき欠陥が3個未満であり、引張強度が780MPa以上である。
(条件)
(i)1又は複数の介在物粒子を有する介在物群の長軸の長さが50μm以上である。
(ii)介在物群が2個以上の前記介在物粒子から構成される場合に、一つの介在物粒子の長軸長さが0.3μm以上であり、介在物粒子間の最短距離が40μm以下である。
溶融亜鉛系めっき処理による下地鋼板の亜鉛系めっき層の片面当たりのめっき付着量も特に制限はないが、20~120g/mであってよい。
亜鉛系めっき層の片面当たりのめっき付着量が20g/m未満では、耐食性が低下しやすいだけでなく、めっき付着量の制御も容易ではなく、一方、片面当たりのめっき付着量が120g/mを超えるとめっき密着性が低下しやすい。めっき付着量を調整する方法も特に制限はないが、一般的にはガスワイピングが使用され、ガスワイピングのガス圧、ワイピングノズル/鋼板間距離等により調整される。
溶融亜鉛系めっき処理後に合金化処理を行う場合、合金化処理後の亜鉛めっき層の合金化度は特に制限はないが、7~15%の合金化度であることが好ましい。合金化度が7%未満ではη相が残存してプレス成形性が低下しやすく、一方、15%を超えるとめっき密着性が低下しやすい。
下地鋼板(母材鋼板)は、冷延鋼板または熱延鋼板のいずれでもよい。また、耐遅れ破壊特性は、高強度鋼板において問題となる特性であるので、鋼板は引張強さTSが780MPa以上であり、好ましくは980MPa以上であり、さらに好ましくは1180MPa以上であり、さらに好ましくは1310MPa以上であり、さらにより好ましくは1470MPa以上である高強度鋼板であることが好ましい。
本発明では、下地鋼板(母材鋼板)に含まれる介在物群が、下記条件(i)および(ii)を満足し、介在物群が10個/mm以下である。
(i)1又は複数の介在物粒子を有する介在物群の長軸の長さが50μm以上である。
(ii)介在物群が2個以上の前記介在物粒子から構成される場合に、一つの介在物粒子の長軸長さが0.3μm以上であり、介在物粒子間の最短距離が40μm以下である。
鋼中には、MnS、Al、(Al,Ca)-O、Nb(C,N)、(Nb,Ti)(C,N)、Ti(C,S)やそれを核にMnSが複合析出した介在物群が存在し、これらの介在物群の周囲に比較的弱い力でトラップされた水素が準拡散性水素として検出されるため、これらの介在物群が少ないほど耐遅れ破壊特性を改善することができる。耐遅れ破壊特性を高いレベルで改善するためには、介在物群が10個/mm以下であることが必要である。介在物群は5個/mm以下であることが好ましい。介在物群は0個/mmであることがより好ましい。
また、本発明で規定する1又は複数の介在物粒子を有する介在物群の長軸の長さは50μm以上である。長軸の長さが50μm以上である介在物群は、耐遅れ破壊特性に悪影響を与える。
介在物群が2個以上の介在物粒子から構成される場合は、介在物群を構成する介在物粒子の長軸の長さは、0.3μm以上である。上記長軸の長さが0.3μm以上であるものに着目するのは、0.3μm未満の介在物粒子は、それらが集合したとしても耐遅れ破壊特性への悪影響が小さいためである。これは、介在物群の存在頻度が少なく、それ未満の大きさでは亀裂が連結して伸展しにくいためである。
また、長軸の長さは、圧延方向における介在物粒子の長さを意味する。介在物群が2個以上の介在物粒子から構成される場合、介在物粒子間の最短距離が40μm以下である。
ここで、介在物粒子間の最短距離とは、対象とする2つの介在物粒子の距離のうち、最短の距離のことを指し、最短粒子間距離(shortest interparticle distance)とも言える。
条件(i)を満たす1又は複数の介在物粒子を有する介在物群について、このように介在物群を定義することで、耐遅れ破壊特性に影響を与える介在物群が適切に表現され、この定義に基づく介在物群の鋼板単位面積(mm)当たりの個数を調整することで、耐遅れ破壊特性を改善できる。
条件(ii)で規定する最短距離は、介在物粒子の長手方向端部を中心点とした圧延方向に対して±10゜の扇形状の領域にある介在物粒子を対象とする(一部が上記領域に含まれる場合には対象とする。)。なお、粒子間の最短距離は各粒子の外周上の点同士の最短距離である。介在物群を構成する介在物粒子の形状、存在状態については、特に限定されないが、本発明においては、圧延方向に伸展した介在物粒子であったり、圧延方向に点列状に分布した介在物であったりする。「圧延方向に点列状に分布した介在物粒子」とは、圧延方向に点列状に分布した2個以上の介在物粒子から構成されるものを指す。「圧延方向に点列状に分布」とは、例えば、圧延方向に延びる介在物が、冷間圧延の際に分割されて点列状に分布したものと同様の分布状態である。なお、これは分布状態の説明であり、冷間圧延で分割されて点列状に分布したものに限定する意味ではない。
さらに、本発明では、昇温分析で測定した際に、室温から350℃までで放出される拡散性水素の合計水素量(水素濃度H)が0.30質量ppm以下で、150℃以上350℃以下で放出する水素量である(準拡散性水素の合計)水素濃度Hが0.20質量ppm以下であることが必要である。室温から350℃までで放出される合計水素量(水素濃度H)も、150℃以上350℃以下で放出する水素量である水素濃度Hも、鋼板の遅れ破壊に影響する。合計水素量(水素濃度H)のうち、昇温分析で測定した際に150℃未満で放出する拡散性水素は、高強度溶融亜鉛系めっき鋼板を製造した後に、2週間程度放置することで大気中に放出され耐遅れ破壊特性に対して比較的影響が小さい。一方、150℃以上350℃以下で放出する水素量(水素濃度(準拡散性水素濃度)H)は製造直後の段階で測定した値が室温放置によって減少することは少なく、耐遅れ破壊特性に大きく影響する。したがって、この昇温分析で測定した際の150℃以上350℃以下で放出する水素量(水素濃度H)の値は少なければ少ないほどよく、好ましくは0.15質量ppm以下であり、より好ましくは0.10質量ppm以下であり、さらにより好ましくは0.05質量ppm以下である。
なお、本発明でいう「室温」とは、25℃を指す。
また、本発明の溶融亜鉛系めっき鋼板は、鋼板表面の1m×1mの範囲において、不めっき欠陥が3個未満であり、不めっきのない美麗な表面外観を有する。不めっき欠陥は、溶融亜鉛系めっき鋼板のめっき外観を目視観察することで評価することができ、詳細な方法は後述の実施例で記載する通りである。
また、鋼板の板厚は特に限定されないが、0.5mm以上であることが好ましい。また、鋼板の板厚は3.2mm以下であることが好ましい。
・成分組成
以下、下地鋼板(母材鋼板)の好ましい成分組成について説明する。
本発明で対象とする下地鋼板(母材鋼板)は、成分組成として、C:0.06%以上0.30%以下、Si:0.01%以上3.00%以下、Mn:1.5%以上3.5%以下、P:0.1%以下(0%を含まない)、S:0.0030%以下(0%を含まない)、sol.Al:0.1%以下(0%を含まない)、N:0.0070%以下(0%を含まない)、O:0.0030%以下(0%を含まない)を含有し、あるいはさらに、下記A、B、C、D、E、F、G、H群から選ばれる一群以上を含有する。
A群
Nb:0.05%以下(0%を含まない)、Ti:0.08%以下(0%を含まない)、V:0.2%以下(0%を含まない)、W:0.15%以下(0%を含まない)、Zr:0.15%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上
B群
Cr:1%以下(0%を含まない)、Ni:1%以下(0%を含まない)、Cu:1%以下(0%を含まない)、Mo:1%以下(0%を含まない)、B:0.005%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上
C群
Ca:0.005%以下(0%を含まない)、Mg:0.005%以下(0%を含まない)、REM:0.005%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上
D群
Sn:0.2%以下(0%を含まない)、Sb:0.2%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上
E群
Ta:0.10%以下(0%を含まない)
F群
Te:0.10%以下(0%を含まない)、As:0.10%以下(0%を含まない)、Hf:0.10%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上
G群
Bi:0.20%以下(0%を含まない)、Pb:0.20%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上
H群
Zn:0.10%以下(0%を含まない)、Ge:0.10%以下(0%を含まない)、Sr:0.10%以下(0%を含まない)、Cs:0.10%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上
上記各元素を含有させる理由は、以下の通りである。
・C:0.06%以上0.30%以下
Cは、鋼組織としてマルテンサイト、ベイナイト、残留γなどを形成することで、鋼の強度を高める効果、加工性を向上させる効果がある。高強度化を図りつつ、良好な加工性を得るために、C含有量は0.06%以上とする。高強度化を図りつつ、良好な加工性を得るために、C含有量は0.09%以上とすることがより好ましい。一方、良好な溶接性を得るため、C含有量は0.30%以下とする。良好な溶接性を得る観点から、C含有量は0.25%以下とすることが好ましい。
・Si:0.01%以上3.00%以下
Siは、加工性を大きく損なうことなく、固溶により鋼の強度を高める効果(固溶強化能)が大きいため、鋼板の高強度化を達成するのに有効な元素である。このため、Si含有量は、0.01%以上とする。
一方、Si含有量が3.00%を超えると、熱間圧延性および冷間圧延性が大きく低下し、生産性に悪影響を及ぼす。また、鋼板の延性の低下を招くおそれがある。このため、Si含有量は3.00%以下とする。また、このような観点から、Si含有量は2.50%以下であることが好ましく、2.00%以下であることがより好ましい。
・Mn:1.5%以上3.5%以下
Mnは、鋼を固溶強化して高強度化するとともに、焼入性を高め、残留γ、ベイナイトおよびマルテンサイトの生成を促進する効果を有する元素である。このような効果は、Mnを1.5%以上含有することで発現する。このため、Mn含有量は1.5%以上とする。Mn含有量は1.8%以上とすることが好ましい。
一方、Mn含有量が3.5%を超えると、MnS等の介在物の生成量の増加を通じて、耐遅れ破壊特性が劣化する。このため、Mn含有量は3.5%以下とする。Mn含有量は3.3%以下とすることが好ましい。
・P:0.1%以下(0%を含まない)
P含有量を抑えることで、溶接性の低下を防ぐことができ、さらにPが粒界に偏析することを防止し、延性、曲げ性および靭性が劣化することを防ぐことができる。また、Pを多量に含有すると、フェライト変態を促進することで結晶粒径も大きくなってしまう。このため、P含有量は0.1%以下とする。P含有量の下限は特に限定されないが、生産技術上の制約からP含有量は0.001%以上とすることが好ましい。
・S:0.0030%以下(0%を含まない)
S含有量は、MnS、TiS、Ti(C,S)等の形成を通じて耐遅れ破壊特性に大きな悪影響を及ぼすので、厳密に制御する必要がある。特に、MnSは、熱間圧延で圧延とともに伸ばされ、また、冷間圧延では破砕されながら伸ばされていく。そして、最終製品では80~400μmの長さに達する介在物群を形成することがある。また、Nb、Tiを添加した鋼でNb(C,N)、(Nb,Ti)(C,N)等がスラブ加熱時に残存していると、その周囲に複合してMnSが生成するので、その結果、20μm以上100μm未満の長さの介在物群の形成を助長し、しかも、Nb(C,N)等と比べてMnSが周囲を覆うことで母相との剥離強度の低下をもたらして遅れ破壊を著しく悪化させるおそれがある。本発明の鋼板(薄鋼板)の場合、例えば、鋳造スラブの厚さは約180~250mm、最終製品板の板厚は0.5~2.6mmとなると、累積圧下量は約99%にもなる。薄鋼板では、圧延方向への鋼板の伸び率が厚鋼板の場合の5~10倍に達するので、MnSの弊害はより一層大きくなる。また、特に打ち抜き加工したせん断端面では、板厚方向の全ての領域が露出しているので、板厚中央部のMn偏析部に巨大な介在物群が形成される。その結果、Mn偏析と相まって耐遅れ破壊特性に特に悪影響を与える。この介在物群による弊害を軽減するために、S含有量は0.0030%以下とする必要がある。S含有量は、好ましくは0.0020%以下であり、より好ましくは0.0010%以下であり、0.0003%以下とすることがさらに好ましい。S含有量の下限は特に限定されないが、生産技術上の制約からS含有量は0.0001%以上とすることが好ましい。
・sol.Al:0.1%以下(0%を含まない)
sol.Al含有量が0.1%を超えるとコストアップになる。したがって、sol.Al含有量は0.1%以下とする。Al含有量の下限は特に限定されないが、同様に不純物レベルのAlを除去することもコストアップに繋がるため、sol.Al含有量は0.001%以上とすることが好ましい。また、Alは熱力学的に非常に酸化しやすいため、SiおよびMnに先だって酸化し、SiおよびMnの鋼板最表層での酸化を抑制し、SiおよびMnの鋼板内部での酸化を促進する効果がある。この効果は、sol.Al含有量が0.01%以上で得られる。よって、sol.Al含有量は0.01%以上とすることが好ましい。
・N:0.0070%以下(0%を含まない)
Nは、鋼中でTiN、(Nb,Ti)(C,N)、AlN等の窒化物、炭窒化物系の介在物を形成する元素であり、これらの生成を通じて耐遅れ破壊特性を劣化させる。これらの介在物単体では遅れ破壊に対する影響度は小さいが、その一部がMnSの析出核となりMnSとともに点列状に分布して巨大な介在物群を形成することで、耐遅れ破壊特性を劣化させる。このような介在物群の生成を抑制するため、N含有量は0.0070%以下とする必要がある。N含有量は、好ましくは0.005%以下であり、より好ましくは0.002%以下である。N含有量の下限は特に限定されないが、生産技術上の制約からN含有量は0.0005%以上とすることが好ましい。
・O:0.0030%以下(0%を含まない)
Oは、鋼中でAl、SiO、CaO、MgO、(Al,Ca)-O、(Si,Mn)-O等の酸化物系介在物を形成する元素であり、これらの生成を通じて耐遅れ破壊特性を劣化させる。このような耐遅れ破壊特性への悪影響を小さくするため、O含有量は0.0030%以下とする。耐遅れ破壊特性改善の観点から、O含有量は0.0020%未満とすることがより好ましい。なお、O含有量の下限は特に限定されるものではないが、現在、工業的に実施可能な下限を考慮し、O含有量は0.0005%以上とすることが好ましい。
・A群[Nb:0.05%以下(0%を含まない)、Ti:0.08%以下(0%を含まない)、V:0.2%以下(0%を含まない)、W:0.15%以下(0%を含まない)、およびZr:0.15%以下(0%を含まない)のうちから選ばれる1種以上の元素]
Nb、Ti、V、W、およびZrは、いずれも下地鋼板(母材鋼板)の強度を高めるのに有効な元素であり、必要に応じて含有させることができる。これらA群のうち、Nbは、微量の含有で微細組織を得ることができ、靭性を損なわずに高強度化を図ることのできる元素である。
・Nb:0.05%以下(0%を含まない)
Nbは、旧γ粒の微細化や、それによるマルテンサイトおよびベイナイトの内部構造の微細化、水素トラップサイトとなる微細析出物の形成、集合組織の形成を通じて、微量添加であっても高強度化とともに耐遅れ破壊特性の改善に顕著に寄与する。このような観点から、Nbは0.002%以上含有させることが好ましい。Nb含有量は、より好ましくは0.004%以上であり、さらに好ましくは0.010%以上である。
一方、Nbを多量に含有させると、熱間圧延工程のスラブ加熱時に未固溶で残存するNbN、Nb(C,N)、(Nb,Ti)(C,N)等のNb系の粗大な析出物が増加し、それにMnSが複合析出することで、耐遅れ破壊特性が劣化する。このため、Nbを含有する場合、Nb含有量は0.05%以下とする。Nb含有量は、好ましくは0.04%以下であり、より好ましくは0.03%以下である。
・Ti:0.08%以下(0%を含まない)
Tiは、旧γ粒の微細化や、それによるマルテンサイトおよびベイナイトの内部構造の微細化、水素トラップサイトとなる微細析出物の形成、集合組織の形成を通じて、微量添加であっても高強度化かつ耐遅れ破壊特性の改善に顕著に寄与する。さらに、鋳造性の改善にも寄与する。このような観点から、Tiは0.002%以上含有させることが好ましい。Ti含有量は、より好ましくは0.004%以上であり、さらに好ましくは0.010%以上である。
一方、Tiを多量に含有すると、熱間圧延工程のスラブ加熱時に未固溶で残存するTi、N、Ti(C,N)、Ti(C,S)、TiS等のTi系の粗大な析出物が増加し、それにMnSが複合析出することで、耐遅れ破壊特性が劣化する。このため、Tiを含有する場合、Ti含有量は0.08%以下とする。Ti含有量は、好ましくは0.05%以下であり、より好ましくは0.02%以下である。
・V:0.2%以下(0%を含まない)
Vは、0.005%以上含有することで強度向上の効果が得られるが、耐遅れ破壊特性の劣化、コストアップを防ぐ観点から、Vを含有する場合、V含有量は0.2%以下とする。
・W:0.15%以下(0%を含まない)
Wは、0.005%以上含有することで強度向上の効果が得られるが、耐遅れ破壊特性の劣化、コストアップを防ぐ観点から、Wを含有する場合、W含有量は0.15%以下とする。
・Zr:0.15%以下(0%を含まない)
Zrは、0.0005%以上含有することで強度向上の効果が得られるが、耐遅れ破壊特性の劣化、コストアップを防ぐ観点から、Zrを含有する場合、Zr含有量は0.15%以下とする。
・B群[Cr:1%以下(0%を含まない)、Ni:1%以下(0%を含まない)、Cu:1%以下(0%を含まない)、Mo:1%以下(0%を含まない)、Co:1%以下(0%を含まない)、およびB:0.005%以下(0%を含まない)から選ばれる1種以上の元素]
Cr、Ni、Cu、Mo、CoおよびBは、いずれも鋼板の焼入れ性を向上させる元素である。
・Cr:1%以下(0%を含まない)
Crは、0.005%以上含有することで焼き入れ性が向上し、強度と延性のバランスを向上させることができるが、コストアップを防ぐ観点から、Crを含有する場合、Cr含有量は1%以下とする。
・Ni:1%以下(0%を含まない)
Niは、0.005%以上含有することで残留γ相の形成を促進することができるが、コストアップを防ぐ観点から、Niを含有する場合、Ni含有量は1%以下とすることが好ましい。
・Cu:1%以下(0%を含まない)
Cuは、0.005%以上含有することで残留γ相の形成を促進することができるが、コストアップを防ぐ観点から、Cuを含有する場合、Cu含有量は1%以下とする。
・Mo:1%以下(0%を含まない)
Moは、0.005%以上含有することで強度調整の効果が得られ、特にMo含有量が0.05%以上でその効果が高まるが、コストアップを防ぐ観点から、Moを含有する場合、Mo含有量は1.0%以下とする。
・Co:1%以下(0%を含まない)
Coは、0.001%以上含有することで、鋼板の極限変形能を向上し、伸びフランジ性の向上効果が得られる。特に、Co含有量が0.005%以上でその効果が高まるが、コストアップを防ぐ観点から、Coを含有する場合、Co含有量は1%以下とする。
・B:0.005%以下(0%を含まない)
Bは鋼の焼入れ性を向上させるのに有効な元素である。焼入れ性を向上するためには、B含有量は0.0003%以上とすることが好ましく、0.0005%以上とすることがより好ましい。しかし、Bを過度に含有すると成形性が低下するため、Bを含有する場合、B含有量は0.005%以下とする。
・C群[Ca:0.005%以下(0%を含まない)、Mg:0.005%以下(0%を含まない)、およびREM:0.005%以下(0%を含まない)から選ばれる1種以上の元素]
Ca、Mg、およびREM(希土類元素)は、いずれも硫化物の形態制御のために用いられる元素である。
・Ca:0.005%以下(0%を含まない)
Caは、0.0005%以上含有することで硫化物の形態を制御し、延性、靭性を向上させることができるが、良好な延性を得る観点から、Caを含有する場合、Ca含有量は0.005%以下とする。
・Mg:0.005%以下(0%を含まない)
Mgは、0.0005%以上含有することで硫化物の形態を制御し、延性、靭性を向上させることができるが、コストアップを防ぐ観点から、Mgを含有する場合、Mg含有量は0.005%以下とする。
・REM:0.005%以下(0%を含まない)
REMは、0.0005%以上含有することで硫化物の形態を制御し、延性、靭性を向上させることができるが、良好な靭性を得る観点から、REMを含有する場合、REM含有量は0.005%以下とする。
本発明でいうREMとは、原子番号21番のスカンジウム(Sc)と原子番号39番のイットリウム(Y)、および原子番号57番のランタン(La)から71番のルテチウム(Lu)までのランタノイドを指す。本発明におけるREM含有量とは、上述のREMから選択された1種または2種以上の元素の総含有量である。REMとしては、特に限定されないが、Laおよび/またはCeであることが好ましい。
・D群[Sn:0.2%以下(0%を含まない)、およびSb:0.2%以下(0%を含まない)から選ばれる1種以上の元素]
SbやSnは脱炭や脱窒、脱硼などを抑制して、鋼板の強度低下抑制に有効な元素であるため、Sb、Snを含有する場合には、それぞれ0%超とする。
・Sn:0.2%以下
Snは、脱窒、脱硼等を抑制して鋼の強度低下抑制に有効な元素であり、このような効果を得るには0.002%以上含有することが好ましい。一方、良好な耐衝撃性を得るために、Snを含有する場合、Sn含有量は0.2%以下とする。
・Sb:0.2%以下
Sbは、鋼板表面の窒化、酸化、あるいは酸化により生じる鋼板表面の数十ミクロン領域の脱炭を抑制する観点から含有させることができる。Sbは、鋼板表面の窒化および酸化を抑制することで、鋼板表面においてマルテンサイトの生成量が減少するのを防止し、鋼板の疲労特性および表面品質を改善する。このような効果を得るために、Sb含有量は0.001%以上とすることが好ましい。一方、良好な靭性を得るために、Sbを含有する場合、Sb含有量は0.2%以下とする。
・E群[Ta:0.10%以下(0%を含まない)]
Taは、A群の元素と同様に、母材鋼板の強度を高めるのに有効な元素であり、必要に応じて含有させることができる。Taは、0.005%以上含有することで強度向上の効果が得られるが、コストアップを防ぐ観点から、Taを含有する場合、Ta含有量は0.10%以下とする。
・F群[Te:0.10%以下(0%を含まない)、As:0.10%以下(0%を含まない)、およびHf:0.10%以下(0%を含まない)から選ばれる1種以上の元素]
Te、As、およびHfは、C群の元素と同様に、いずれも硫化物の形態制御のために用いられる元素である。
・Te:0.10%以下(0%を含まない)
Teは、0.001%以上含有することで硫化物の形態を制御し、延性、靭性を向上させることができるが、コストアップを防ぐ観点から、Teを含有する場合、Te含有量は0.10%以下とする。
・As:0.10%以下(0%を含まない)
Asは、0.001%以上含有することで硫化物の形態を制御し、延性、靭性を向上させることができるが、コストアップを防ぐ観点から、Asを含有する場合、As含有量は0.10%以下とする。
・Hf:0.10%以下(0%を含まない)
Hfは、0.01%以上含有することで硫化物の形態を制御し、延性、靭性を向上させることができるが、コストアップを防ぐ観点から、Hfを含有する場合、Hf含有量は0.10%以下とする。
・G群[Bi:0.20%以下(0%を含まない)、およびPb:0.20%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上の元素]
Bi、およびPbは、いずれも粒界偏析を抑制し、延性、靭性を向上させる元素である。Bi、Pbを含有する場合には、それぞれ0%超とする。
・Bi:0.20%以下(0%を含まない)
Biは、0.001%以上含有することで粒界偏析を抑制し、延性、靭性を向上させることができる。また、Biには、切削性を向上させて切断端面の平滑度を向上させる効果があり、切断面の耐遅れ破壊特性を向上させる作用がある。Biを含有する場合、コストアップを防ぐ観点から、Bi含有量は0.10%以下とする。
・Pb:0.20%以下(0%を含まない)
Pbは、0.001%以上含有することで粒界偏析を抑制し、延性、靭性を向上させることができる。また、Pbには、切削性を向上させて切断端面の平滑度を向上させる効果があり、切断面の耐遅れ破壊特性を向上させる作用がある。Pbを含有する場合、コストアップを防ぐ観点から、Pb含有量は0.10%以下とする。
・H群[Zn:0.10%以下(0%を含まない)、Ge:0.10%以下(0%を含まない)、Sr:0.10%以下(0%を含まない)、Cs:0.10%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上の元素]
Zn、Ge、Sr、およびCsは、いずれも機械的特性や表面品質に大きくは影響せずに、強度を上昇させる元素であり、Zn、Ge、Sr、Csを含有する場合には、それぞれ0%超とする。
・Zn:0.10%以下(0%を含まない)
Znは0.001%以上含有していても、機械的特性や表面品質に大きく影響しない。コストアップを防ぐ観点から、Znを含有する場合、Zn含有量は0.10%以下とする。
・Ge:0.10%以下(0%を含まない)
Geは0.001%以上含有していても、機械的特性や表面品質に大きく影響しない。コストアップを防ぐ観点から、Geを含有する場合、Ge含有量は0.10%以下とする。
・Sr:0.10%以下(0%を含まない)
Srは0.001%以上含有していても、機械的特性や表面品質に大きく影響しない。コストアップを防ぐ観点から、Srを含有する場合、Sr含有量は0.10%以下とする。
・Cs:0.10%以下(0%を含まない)
Csは0.001%以上含有していても、機械的特性や表面品質に大きく影響しない。コストアップを防ぐ観点から、Csを含有する場合、Cs含有量は0.10%以下とする。
鋼板(下地鋼板)鋼板において、上述した成分組成以外の残部はFeおよび不可避的不純物である。
・鋼組織
母材鋼板(下地鋼板)の組織についても、特に制限されるものではないが、780MPa以上の引張強度を確保するためには、以下のような鋼板組織(母材鋼板の表面から1/4厚の位置を中心とした1/8厚~3/8厚の範囲における鋼組織)とすることが好ましい。
すなわち、マルテンサイト、ベイナイトおよび残留オーステナイト(残留γ)の合計面積率を30%以上とすることが好ましく、これにより、引張強度が780MPa以上である母材鋼板が得られる。
また、マルテンサイト、ベイナイトおよび残留γの合計面積率を50%以上とすることにより、引張強度が980MPa以上である母材鋼板が得られ、マルテンサイト、ベイナイトおよび残留γの合計面積率を70%以上とすることにより、引張強度が1180MPa以上である母材鋼板が得られる。
さらに、マルテンサイト、ベイナイトおよび残留γの合計面積率を85%以上とすることにより、引張強度が1310MPa以上である母材鋼板が、マルテンサイト、ベイナイトおよび残留γの合計面積率を90%以上とすることにより、引張強度が1470MPa以上である母材鋼板が得られる。また、マルテンサイト、ベイナイトおよび残留γの合計面積率が50%以上、とりわけ90%以上である鋼では、水素の拡散速度が著しく低下し、水素が鋼中に残存しやすかったが、前述した本発明の製造方法を採用することで、本発明の母材鋼板では、準拡散性水素を低減することが可能となる。
所望の引張強度TSを確保するために、上記のマルテンサイト、ベイナイトおよび残留γの合計面積率を得るという観点からは、特に、C含有量、Si含有量、Mn含有量と、焼鈍温度を適正に制御することが望ましい。例えば、マルテンサイト、ベイナイトおよび残留γの合計面積率を90%以上とするためには、C含有量は0.17%以上、Si含有量は0.1%以上、Mn含有量は2.3%以上とし、焼鈍温度(特には、第二焼鈍工程の焼鈍温度(保持温度))は820℃以上とすることが好ましい。
ここで、各組織のサイズおよび存在量は特に限定されないが、本発明の一実施形態として、以下のようなサイズ、存在量が例示できる。なお、アスペクト比は長軸と長軸に垂直な方向である短軸の長さの比、厚さは短軸の長さ、円相当径は各組織の個々の面積を円の面積としたときの直径を表す。なお、マルテンサイトには焼戻しマルテンサイトとフレッシュマルテンサイトの両者が存在する。焼戻しマルテンサイトは延びフランジ性を向上させる作用があり、フレッシュマルテンサイトは延性を向上させる作用がある。
・焼戻しマルテンサイト
アスペクト比≦8、円相当径≦30μm
組織内部の炭化物の分布密度:0.10~12個/μm
・フレッシュマルテンサイトおよび残留γ
塊状:アスペクト比≦8、円相当径:3~30μm
粒状:アスペクト比≦8、円相当径:0.40μm以上、3μm未満
プレート状もしくはフィルム状:アスペクト比8超、厚さ:0.10~8μm
・ベイナイト
フィルム状もしくはプレート状:アスペクト比8超、厚さ≦8μm
塊状:アスペクト比≦8、円相当径≦30μm
組織内部の炭化物の分布密度:いずれの形態においても0.10~6個/μm
・炭化物
粒状:アスペクト比≦8、円相当径:0.01μm以上、0.40μm未満
フィルム状:アスペクト比8超、円相当径:0.01μm以上、0.10μm未満
以上、本発明の溶融亜鉛系めっき鋼板およびそのその製造方法の一実施形態として、溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法、溶融亜鉛系めっき鋼板について説明した。
本発明によれば、鋼板に含有されるMnS、Al、(Al,Ca)-O、Nb(C,N)、(Nb,Ti)(C,N)、Ti(C,S)やそれを核にMnSが複合析出した介在物とこれらによって構成される介在物群の形状と個数を制御し、さらにこれらの鋼板を焼鈍・冷却した後、溶融亜鉛系めっきを行う溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法において、焼鈍・冷却雰囲気を最適化することにより、不めっきのない美麗な表面外観を有するとともに、昇温分析で測定した際の室温から350℃までで放出される水素量(水素濃度HL)を0.30質量ppm以下に抑制し、かつ昇温分析で測定した際の150℃以上350℃以下で放出される水素量(水素濃度H)を0.20質量ppm以下に抑制することができ、より高いレベルで耐遅れ破壊特性に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板を製造することができる。また、本発明において、上記焼鈍の前に酸化処理を行い、さらに上記焼鈍をより限定された条件で実施することと、めっき後に特定の雰囲気において再加熱処理を行うことにより、さらに高いレベルでめっき外観性と耐遅れ破壊特性に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板を製造することができる。
表1に示す成分組成を有する鋼を、表2~5の条件で精錬して得た200mm厚のスラブを、同様に表2~6に示す条件で再加熱し熱間圧延した。熱間圧延は、950℃以上の温度域での累積圧下率が95%となるように調整し、最終板厚を2.8mm厚とした。熱間圧延における仕上げ圧延温度を850℃とし、50℃/sの冷却速度で500℃まで冷却した後にコイルとして巻き取った。その後、コイルままの状態で10秒間水冷した後、室温まで放冷した。作製した熱延鋼板を酸洗した後、圧下率50%となるようにして、1.4mm厚まで冷間圧延した。冷間圧延まで含めた950℃以下の累積圧下率は86%である。以上のように製造した冷延鋼板をオールラジアントチューブ(ART)型焼鈍炉を有する連続式溶融亜鉛めっき設備(CGL)において、鋼板を表2~表4、および表6に示す条件で焼鈍した後、溶融亜鉛めっき(めっき組成:Zn-0.2mass%Al)を施し、ガスワイピングで片面当たりのめっき目付量を30~70g/mに調整し、次いで、No.89を除き、合金化処理を行った。
Figure 0007635891000001
また、冷却工程を2工程(第一冷却工程、第二冷却工程)に分割した実施例を表3、および表6に示す。同様に、めっきおよび合金化処理後に再加熱処理を実施した例を表4に示す。
一次冷却終了温度(第一冷却工程での最終保持温度(鋼板温度))は、No.100~128は、650℃とし、表6に示すNo.176~178は600~640℃で変化させた。
上記実施例とは別に、直火バーナーを有する直火型焼鈍炉(DFF型焼鈍炉)を有するCGLにおいて、鋼板を表5に示す条件で酸化処理および焼鈍した後、溶融亜鉛めっき(めっき組成:Zn-0.2mass%Al)を施し、ガスワイピングで片面当たりのめっき目付量を30~70g/mに調整し、次いで、合金化処理を行った。
なお、No.152(表5)は、一定温度で酸化処理を行った実施例であり、酸化処理の保持時間(処理時間)は8sとした。その他の実施例(No.150、151、153~175)は、酸化処理を昇温中に行ったものであり、この酸化処理の昇温速度は5~20℃/sの範囲とした。
このようにして得られた溶融亜鉛系めっき鋼板について、鋼板中の拡散性水素量の測定と、めっき外観および耐遅れ破壊特性の評価を、以下のような測定方法および評価方法で行った。その結果を、製造条件とともに表2~6に示す。
ここで、表5の実施例の酸化処理において、「酸化開始温度」はDFF型焼鈍炉の加熱帯における酸化帯の入側板温、「酸化終了温度」は同じく酸化帯の出側板温、酸素濃度は酸化帯の酸素濃度であり、したがって、酸化開始温度~酸化終了温度の範囲が酸化処理温度である。また、「酸化温度域」とは酸化帯で鋼板が昇温する温度幅(酸化開始温度から酸化終了温度までの温度幅)のことであり、「鋼板最高到達温度」とはDFF型焼鈍炉の加熱帯での最高到達温度である。したがって、「酸化終了温度」よりも「鋼板最高到達温度」が高い場合は、酸化帯の次の帯域(酸化帯ではない帯域)でも非酸化性の雰囲気でさらに加熱され、上記酸化帯の次の帯域での最高到達温度が「鋼板最高到達温度」である。
Figure 0007635891000002
Figure 0007635891000003
Figure 0007635891000004
Figure 0007635891000005
Figure 0007635891000006
Figure 0007635891000007
・鋼板中の水素量の測定(水素分析方法)
溶融亜鉛系めっき鋼板の幅中央部から、長軸長さ30mm、短軸長さ5mmの短冊状の試験片を採取し、その試験片の亜鉛めっき層をリューターで除去し、直ちに、昇温脱離分析装置を用いて分析開始温度25℃、分析終了温度400℃、昇温速度200℃/時間の条件で水素分析し、各温度において試験片表面から放出される水素量である放出水素量(質量ppm/min)を測定した。室温(25℃)から350℃までの放出水素量の合計を水素濃度Hとして、150℃から350℃までの放出水素量の合計を水素濃度Hとして算出した。
ここで、鋼中の水素濃度Hが0.05質量ppm以下のものを優秀“◎+”、0.05質量ppm超0.10質量ppm以下のものを優良“◎”、0.10質量ppm超0.20質量ppm以下のものを良好“〇”、0.20質量ppm超0.30質量ppm以下のものを可“△”とした。経験上、鋼中の水素濃度Hが0.30質量ppmを超えると、耐遅れ破壊特性が低下することが多いことから、0.30質量ppm超のものを不良“×”とした。
また、鋼中の水素濃度Hが0.05質量ppm以下のものを優秀“◎+”、0.05質量ppm超0.10質量ppm以下のものを優良“◎”、0.10質量ppm超0.15質量ppm以下のものを良好“〇”、0.15質量ppm超0.20質量ppm以下のものを可“△”とした。経験上、鋼中の水素濃度Hが0.15質量ppmを超えると、耐遅れ破壊特性が低下することが多いことから、0.15質量ppm超のものを不良“×”とした。
・めっき外観の評価
溶融亜鉛系めっき鋼板のめっき外観を目視観察し、模様や凹凸が認められないものを優良“◎”とした。模様や凹凸が認められるものについては、該当箇所を倍率:50倍でのSEM観察結果から、鋼板上の面積で1.0mm×1.0mm以上にわたり、亜鉛めっきによって被覆されていない箇所を不めっき欠陥、10倍の3D形状測定結果から、鋼板上の面積で0.5mm×0.5mm以上にわたり、周囲の平均高さに対して、最大値で5μm以上の凹凸がある場合を押し疵と判断した。
不めっき欠陥については、より具体的に、SEMにより、加速電圧15kVで倍率50倍の反射電子像を観察し、亜鉛めっきが被覆された領域よりも暗いコントラストで観察される、亜鉛めっきが被覆されていない箇所の面積が1.0mm×1.0mm以上の領域のことを指す。
模様や凹凸が認められるものでも、不めっき欠陥がないものを良好“○+”、鋼板表面の1m×1mの範囲において、不めっき欠陥が3個以上あるものを不良“×”とした。また、不めっき欠陥はないが、ロールへのピックアップによる押し疵やその兆候として通板方向に対してVマーク状に生じるウロコ模様が生じたものや、鋼板表面の1m×1mの範囲において、不めっき欠陥が3個未満であるものについては、良好(○+)ではないものの合格“〇”とした。
・引張試験
溶融亜鉛系めっき鋼板の圧延直角方向から(板幅方向が引張方向になるように)、JIS Z2241 5号試験片を採取し、この試験片についてJIS Z2241(2011)に準拠した引張試験を行い、引張強度(TS)を測定した。
・下地鋼板組織(母材鋼板組織)の観察・測定
下地鋼板組織(母材鋼板組織)中のマルテンサイト、ベイナイトおよび残留オーステナイト(残留γ)の合計面積率を、以下のようにして測定した。
鋼板の圧延方向に平行であり且つ板厚方向に平行である断面(L断面)が観察面となるよう試料を切り出し、この試料の観察面にダイヤモンドペーストによる研磨を施した後、アルミナを用いて仕上げ研磨を施した。次いで、試料の観察面を3vol%ナイタールでエッチングし、組織を現出させた。この試料観察面における板厚の1/4位置を観察位置とし、SEMにより倍率:3000倍で5視野観察した。この観察により、下地鋼板の表面から1/4厚の位置を中心とした1/8厚~3/8厚の範囲における鋼組織を観察していることとした。
得られた組織画像からマルテンサイト、ベイナイトおよび残留γの合計面積を求め、この合計面積を測定面積で除した面積率を5視野分算出し、それらの値を平均したものをマルテンサイト、ベイナイトおよび残留γの合計面積率とした。マルテンサイト、ベイナイト、残留γならびにその他のミクロ組織の判別は、以下のように行った。
・マルテンサイト
マルテンサイトには、焼戻しマルテンサイトとフレッシュマルテンサイトの2種類がある。
・焼戻しマルテンサイト
焼戻しマルテンサイトは、SEM写真で灰色もしくは黒色に近い濃い灰色の領域である。焼戻しマルテンサイトは、旧γ粒界やフェライト等の他の組織との界面を境界とした塊状の形態を呈する。ただし、焼戻しマルテンサイトは、内部にベイナイト等の他の組織を内包して凹形状を呈する場合がある。焼戻しマルテンサイトは内部に炭化物を多く含むが、面方位に依存して炭化物が少量の場合もある。
・フレッシュマルテンサイト
フレッシュマルテンサイトは、SEM写真で灰色もしくは白色の領域である。フレッシュマルテンサイトは塊状、粒状、プレート状、フィルム状であり、炭化物を含まない。
・ベイナイト
ベイナイトは、SEM写真で濃い灰色の領域である。ベイナイトは、フィルム状、プレート状、これらの隣接領域の一部または全部が連結した塊状のいずれかの形態を呈し、内部に炭化物を僅かに含む。ベイナイトは、生成後に焼戻し処理が施されて炭化物が粗大化したものも含む。
・残留オーステナイト(残留γ)
残留γは、上記のフレッシュマルテンサイトと同一の色と形態を呈する領域である。なお、SEMでは残留γとフレッシュマルテンサイトは識別できない。
鋼板の強度を確保するために、上記のマルテンサイト、ベイナイトおよび残留γの合計面積率を制御する必要があるが、残部としては以下に示す組織を含んでよい。ただし、これに限定されるものではない。
・フェライト
フェライトは、SEM写真で黒色の領域である。フェライトは、塊状の形態を呈し、炭化物を殆ど含まない。ベイニティックフェライトは、内部に炭化物を殆ど含まず、フェライトと類似の機械的性質を有するので、フェライトに属する。フェライトは、内部に粒状および塊状のフレッシュマルテンサイトのいずれかもしくは両者、粒状および塊状の残留γのいずれかもしくは両者を内包する場合がある。フェライト中に内包されたフレッシュマルテンサイトおよび残留γはフェライトの面積率には含めず、フレッシュマルテンサイトまたは残留γの面積率として取り扱う。
・炭化物
炭化物は、SEM写真で白色の領域である。炭化物は、粒状やフィルム状の形態を呈する。炭化物は、主にフェライト、マルテンサイト、ベイナイトの内部に微細に生成するが、これらの面積率は小さく無視できるので、炭化物の面積率は各組織の面積率から除外せず、各組織の面積率に含める。
・上記以外の組織
上記以外に、TiN等の窒化物、(Nb,Ti)(C,N)等の炭窒化物、MnS、CaS等の硫化物、Al,SiO等の酸化物も合計面積率で数%程度含む場合がある。これらの面積率は小さく無視できるので、これらの面積率はこれらを含む各組織の面積率に含める。さらにパーライトを含む場合もある。パーライトの場合には、パーライトの面積率を個別に算出する。
・介在物および介在物群の観察および測定
下地鋼板において、以下の条件(i)および(ii)を満たす介在物群の単位面積あたりの個数を、以下の測定方法により求めた。
(条件)
(i)1又は複数の介在物粒子を有する介在物群の長軸の長さが50μm以上である。
(ii)介在物群が2個以上の前記介在物粒子から構成される場合に、一つの介在物粒子の長軸長さが0.3μm以上であり、介在物粒子間の最短距離が40μm以下である。
介在物群の1mmあたりの個数密度は、鋼板のL断面(圧延方向に平行な垂直断面)を研磨後、腐食せずに鋼板の表面からt/5~4t/5の領域(tは鋼板の厚み)、すなわち表面より板厚に対して1/5厚み位置から、板厚中心を挟み、裏側表面側の1/5厚み位置までの領域において1mm領域を連続してSEMで約100視野撮影し、撮影したSEM写真から、このような介在物群の個数を計測することで求めた。鋼板の表面から1/5t~4/5tの領域で測定するのは、鋼板表層には介在物群の存在頻度が少なく、板厚中央付近で特に多いこと、その結果板厚中央付近から初期亀裂が発生するためである。写真は1000倍に引き延ばして測定した。介在物群はフィルム状に薄く生成しているので、圧延面と平行な面で観察する場合や、光学顕微鏡で観察する場合には識別する事が困難であり、同様にその長さを正確に計測することも困難である。
ここで、SEM像は反射電子像とした。また、撮影する倍率は1000倍が好ましい。
ただし、介在物粒子のサイズや介在物粒子間の距離が正確に把握しにくい場合は適宜、個々の介在物粒子を5000倍に拡大して、1000倍の視野範囲と同等の視野範囲を測定して、上記の介在物群を画像判定した。
なお、介在物粒子間の最短距離は、上記の通り、表面間距離であり、本画像から求めることができる表面間距離を意味する。また、最短距離の測定方向は、上記の通り、圧延方向または圧延方向土10度の範囲にある場合に限定する。
また、介在物群が、2個以上の介在物粒子から構成される場合、介在物群の圧延方向における全長(長軸の長さ)は、介在物群の圧延方向両端に位置する介在物粒子同士の圧延方向外端部間の、圧延方向の長さとなる。また、介在物群が1個の介在物粒子で構成される場合、介在物群の圧延方向における全長は、この介在物粒子の圧延方向における長さとなる。
さらに、この介在物群を形成する個々の介在物粒子は、主にMn、Ti、Zr、Ca、REM系の硫化物、Al、Ca、Mg、Si、Na系の酸化物、Ti、Zr、Nb、Al系の窒化物、Ti、Nb、Zr、Mo系の炭化物である。これら介在物群の多くは鋳造工程で生成し、その後、スラブ加熱時に未固溶で存在していたものであり、残りは、その後の熱延・巻取りでそれに複合あるいは近接して再析出したものである。
・耐遅れ破壊特性の評価
溶融亜鉛系めっき鋼板の圧延直角方向に、長軸長さ100mm、短軸長さ20mmの短冊状の試験片を採取し、この試験片の長軸・短軸の中心位置に直径15mm、クリアランス14.0%で打抜き穴を形成した。クリアランスは従来12.5%程度としていたが、近年の耐遅れ破壊特性に関する品質厳格化の傾向から、従来と比較して厳しい条件を採用した。この試験片を引張試験に供し、打抜き穴からの遅れ破壊発生の有無により耐遅れ破壊特性を評価した。経時変化による鋼中の拡散性水素の放出を防ぐために、溶融亜鉛系めっき鋼板から短冊状の試験片を採取してから遅れ破壊の引張試験(引張速度10mm/分)を開始するまでの時間を10分以内とした。引張試験の負荷時間は最大100時間とし、100時間負荷後に亀裂(ここで、亀裂とは引張応力負荷時の破断を意味する)が生じなかった最大応力を限界応力とし、限界応力と降伏応力の比で耐遅れ破壊特性を評価した。耐遅れ破壊特性の評価基準としては、限界応力/降伏応力が1.10以上の場合を優良“◎”、1.10未満1.05以上の場合を良好“〇”、1.05未満1.00以上の場合を良好(○)ではないものの合格“△”とし、1.00未満の場合を不良“×”とした。なお、遅れ破壊試験で評価される耐遅れ破壊特性は、一般的に強度の高い鋼板のほうが低く(不利に)なる。
表1~6によれば、本発明例の溶融亜鉛系めっき鋼板は、高強度であり、不めっきのない美麗な表面外観を有するとともに、優れた耐遅れ破壊特性を有している。

Claims (20)

  1. 質量%で、
    C:0.06%以上0.30%以下、
    Si:0.01%以上3.00%以下、
    Mn:1.5%以上3.5%以下、
    P:0.1%以下(0%を含まない)、
    S:0.0030%以下(0%を含まない)、
    sol.Al:0.1%以下(0%を含まない)、
    N:0.0070%以下(0%を含まない)、
    O:0.0030%以下(0%を含まない)を含有し、
    あるいはさらに、
    下記A、B、C、D、E、F、G、H群から選ばれる一群以上を含有し、
    A群
    Nb:0.05%以下(0%を含まない)、
    Ti:0.08%以下(0%を含まない)、
    V:0.2%以下(0%を含まない)、
    W:0.15%以下(0%を含まない)、
    Zr:0.15%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
    B群
    Cr:1%以下(0%を含まない)、
    Ni:1%以下(0%を含まない)、
    Cu:1%以下(0%を含まない)、
    Mo:1%以下(0%を含まない)、
    Co:1%以下(0%を含まない)、
    B:0.005%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
    C群
    Ca:0.005%以下(0%を含まない)、
    Mg:0.005%以下(0%を含まない)、
    REM:0.005%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
    D群
    Sn:0.2%以下(0%を含まない)、
    Sb:0.2%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
    E群
    Ta:0.10%以下(0%を含まない)、
    F群
    Te:0.10%以下(0%を含まない)、
    As:0.10%以下(0%を含まない)、
    Hf:0.10%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
    G群
    Bi:0.20%以下(0%を含まない)、
    Pb:0.20%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
    H群
    Zn:0.10%以下(0%を含まない)、
    Ge:0.10%以下(0%を含まない)、
    Sr:0.10%以下(0%を含まない)、
    Cs:0.10%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
    残部がFeおよび不可避不純物からなる成分組成を有する下地鋼板と、
    該下地鋼板の表面に形成された亜鉛系めっき層と、を備え、
    さらに、前記下地鋼板に含まれる介在物群が、下記条件(i)および(ii)を満足し、前記介在物群が10個/mm以下であり、
    前記下地鋼板は、室温から350℃までで放出される水素量が0.30質量ppm以下であり、かつ150~350℃で放出される水素量が0.20質量ppm以下であり、
    鋼板表面の1m×1mの範囲において、不めっき欠陥が3個未満であり、
    引張強度が780MPa以上である、溶融亜鉛系めっき鋼板。
    (条件)
    (i)1又は複数の介在物粒子を有する介在物群の長軸の長さが50μm以上である。
    (ii)前記介在物群が2個以上の前記介在物粒子から構成される場合に、一つの介在物粒子の長軸長さが0.3μm以上であり、介在物粒子間の最短距離が40μm以下である。
  2. 前記下地鋼板は、前記室温から350℃までで放出される水素量が0.20質量ppm以下であり、かつ前記150~350℃で放出される水素量が0.15質量ppm以下である、請求項1に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板。
  3. 前記下地鋼板のマルテンサイト、ベイナイトおよび残留オーステナイトの合計面積率が30%以上であり、引張強度が780MPa以上である、請求項1又は2に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板。
  4. 前記下地鋼板のマルテンサイト、ベイナイトおよび残留オーステナイトの合計面積率が50%以上であり、引張強度が980MPa以上である、請求項1又は2に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板。
  5. 前記下地鋼板のマルテンサイト、ベイナイトおよび残留オーステナイトの合計面積率が70%以上であり、引張強度が1180MPa以上である、請求項1又は2に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板。
  6. 前記下地鋼板のマルテンサイト、ベイナイトおよび残留オーステナイトの合計面積率が85%以上であり、引張強度が1310MPa以上である、請求項1又は2に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板。
  7. 前記下地鋼板のマルテンサイト、ベイナイトおよび残留オーステナイトの合計面積率が90%以上であり、引張強度が1470MPa以上である、請求項1又は2に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板。
  8. 前記亜鉛系めっき層が合金化溶融亜鉛めっき層である、請求項1又は2に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板。
  9. 下地鋼板に対して焼鈍した後、溶融亜鉛系めっきを施す溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法であって、
    前記下地鋼板は、質量%で、
    C:0.06%以上0.30%以下、
    Si:0.01%以上3.00%以下、
    Mn:1.5%以上3.5%以下、
    P:0.1%以下(0%を含まない)、
    S:0.0030%以下(0%を含まない)、
    sol.Al:0.1%以下(0%を含まない)、
    N:0.0070%以下(0%を含まない)、
    O:0.0030%以下(0%を含まない)を含有し、
    あるいはさらに、
    下記A、B、C、D、E、F、G、H群から選ばれる一群以上を含有し、
    A群
    Nb:0.05%以下(0%を含まない)、
    Ti:0.08%以下(0%を含まない)、
    V:0.2%以下(0%を含まない)、
    W:0.15%以下(0%を含まない)、
    Zr:0.15%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
    B群
    Cr:1%以下(0%を含まない)、
    Ni:1%以下(0%を含まない)、
    Cu:1%以下(0%を含まない)、
    Mo:1%以下(0%を含まない)、
    Co:1%以下(0%を含まない)、
    B:0.005%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
    C群
    Ca:0.005%以下(0%を含まない)、
    Mg:0.005%以下(0%を含まない)、
    REM:0.005%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
    D群
    Sn:0.2%以下(0%を含まない)、
    Sb:0.2%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
    E群
    Ta:0.10%以下(0%を含まない)、
    F群
    Te:0.10%以下(0%を含まない)、
    As:0.10%以下(0%を含まない)、
    Hf:0.10%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
    G群
    Bi:0.20%以下(0%を含まない)、
    Pb:0.20%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
    H群
    Zn:0.10%以下(0%を含まない)、
    Ge:0.10%以下(0%を含まない)、
    Sr:0.10%以下(0%を含まない)、
    Cs:0.10%以下(0%を含まない)、のうちから選ばれる1種以上、
    残部がFeおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、
    さらに、前記下地鋼板に含まれる介在物群が、下記条件(i)および(ii)を満足し、前記介在物群が10個/mm以下であり、
    前記下地鋼板を露点-55℃以上+30℃以下、水素濃度8.0体積%以上25体積%以下の雰囲気中、650℃以上950℃以下の保持温度で20s以上150s以下の時間保持する第一焼鈍工程と、
    該第一焼鈍工程を経た下地鋼板を、露点-50℃以上+30℃以下、水素濃度0.2体積%以上8.0体積%未満の雰囲気中、700℃以上950℃以下の保持温度で30s以上300s以下の時間保持する第二焼鈍工程と、
    該第二焼鈍工程を経た下地鋼板を、露点-20℃以下、水素濃度0.2体積%以上25体積%以下の雰囲気中、前記第二焼鈍工程での700℃以上950℃以下の保持温度から150℃以上550℃以下の温度まで平均冷却速度3~300℃/sで冷却する冷却工程と、
    該冷却工程後の下地鋼板に対して、溶融亜鉛系めっき処理を行い、前記下地鋼板の表面に亜鉛系めっき層を形成させる溶融亜鉛系めっき工程と、
    を含む、
    前記下地鋼板は、室温から350℃までで放出される水素量が0.30質量ppm以下であり、かつ150~350℃で放出される水素量が0.20質量ppm以下であり、鋼板表面の1m×1mの範囲において、不めっき欠陥が3個未満であり、引張強度が780MPa以上である、溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
    (条件)
    (i)1又は複数の介在物粒子を有する介在物群の長軸の長さが50μm以上である。
    (ii)前記介在物群が2個以上の前記介在物粒子から構成される場合に、一つの介在物粒子の長軸長さが0.3μm以上であり、介在物粒子間の最短距離が40μm以下である。
  10. 前記第一焼鈍工程前の下地鋼板に、Oを1000体積ppm以上含む雰囲気中において400℃以上900℃以下の温度で酸化処理を施す酸化処理工程を含む、請求項9に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  11. 前記溶融亜鉛系めっき処理を施した後、5s以上600s以下の時間、200℃以上450℃以下で、かつ水素濃度15体積%以下の雰囲気で保持し、その後に冷却する再加熱処理工程を含む、請求項9又は10に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  12. 前記第二焼鈍工程の雰囲気は水素濃度が5.0体積%未満である、請求項9又は10に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  13. 前記第二焼鈍工程の雰囲気は水素濃度が5.0体積%未満である、請求項11に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  14. 前記冷却工程は、
    前記第二焼鈍工程を経た下地鋼板を、露点-20℃以下、水素濃度0.2体積%以上8.0体積%未満の雰囲気中、前記第二焼鈍工程の700℃以上950℃以下の保持温度から650℃以下の鋼板温度までの温度範囲を10s以上かけて平均冷却速度3℃/s以上25℃/s以下で冷却する第一冷却工程と、
    該第一冷却工程を経た下地鋼板を、露点-20℃以下、水素濃度8.0体積%以上25体積%以下の雰囲気中、600℃から150℃以上550℃以下の温度まで平均冷却速度10℃/s以上で冷却する第二冷却工程と、
    を含む、請求項9又は10に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  15. 前記冷却工程は、
    前記第二焼鈍工程を経た下地鋼板を、露点-20℃以下、水素濃度0.2体積%以上8.0体積%未満の雰囲気中、前記第二焼鈍工程の700℃以上950℃以下の保持温度から650℃以下の鋼板温度までの温度範囲を10s以上かけて平均冷却速度3℃/s以上25℃/s以下で冷却する第一冷却工程と、
    該第一冷却工程を経た下地鋼板を、露点-20℃以下、水素濃度8.0体積%以上25体積%以下の雰囲気中、600℃から150℃以上550℃以下の温度まで平均冷却速度10℃/s以上で冷却する第二冷却工程と、
    を含む、請求項11に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  16. 前記冷却工程は、
    前記第二焼鈍工程を経た下地鋼板を、露点-20℃以下、水素濃度0.2体積%以上8.0体積%未満の雰囲気中、前記第二焼鈍工程の700℃以上950℃以下の保持温度から650℃以下の鋼板温度までの温度範囲を10s以上かけて平均冷却速度3℃/s以上25℃/s以下で冷却する第一冷却工程と、
    該第一冷却工程を経た下地鋼板を、露点-20℃以下、水素濃度8.0体積%以上25体積%以下の雰囲気中、600℃から150℃以上550℃以下の温度まで平均冷却速度10℃/s以上で冷却する第二冷却工程と、
    を含む、請求項12に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  17. 前記冷却工程は、
    前記第二焼鈍工程を経た下地鋼板を、露点-20℃以下、水素濃度0.2体積%以上8.0体積%未満の雰囲気中、前記第二焼鈍工程の700℃以上950℃以下の保持温度から650℃以下の鋼板温度までの温度範囲を10s以上かけて平均冷却速度3℃/s以上25℃/s以下で冷却する第一冷却工程と、
    該第一冷却工程を経た下地鋼板を、露点-20℃以下、水素濃度8.0体積%以上25体積%以下の雰囲気中、600℃から150℃以上550℃以下の温度まで平均冷却速度10℃/s以上で冷却する第二冷却工程と、
    を含む、請求項13に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  18. 前記溶融亜鉛系めっき工程の後、前記下地鋼板および前記亜鉛系めっき層を合金化処理する合金化処理工程を含む、請求項9又は10に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  19. 前記溶融亜鉛系めっき工程の後、前記下地鋼板および前記亜鉛系めっき層を合金化処理する合金化処理工程を含む、請求項11に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  20. 前記溶融亜鉛系めっき工程の後、前記下地鋼板および前記亜鉛系めっき層を合金化処理する合金化処理工程を含む、請求項12に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
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