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JP7178591B2 - インパクト工具、インパクト工具の制御方法及びプログラム - Google Patents

インパクト工具、インパクト工具の制御方法及びプログラム Download PDF

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Description

本開示は一般にインパクト工具、インパクト工具の制御方法及びプログラムに関し、より詳細には、ベクトル制御されるモータを備えるインパクト工具、このインパクト工具の制御方法、及び、この制御方法を実行するためのプログラムに関する。
特許文献1に記載のインパクト回転工具(インパクト工具)は、モータと、インパクト機構と、出力軸と、制御部と、トリガスイッチと、モータ駆動部と、を備える。インパクト機構は、ハンマを有し、モータ出力によって出力軸に打撃衝撃を加える。これにより、インパクト回転工具は、ねじの締め付けを行う。制御部は、トリガスイッチの操作量に応じた駆動指示をモータ駆動部に供給する。モータ駆動部は、制御部から供給される駆動指示によりモータの印加電圧を調整して、モータ回転数を調整する。
特開2017-132021号公報
特許文献1記載のインパクト回転工具では、作業時のモータの回転数の制御は、トリガスイッチに対するユーザの操作に委ねられている。そのため、ユーザが操作に習熟していないと、習熟している場合と比較して、作業効率が低いことがあった。
本開示は、作業効率を向上させることができるインパクト工具、インパクト工具の制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
本開示の一態様に係るインパクト工具は、モータと、制御部と、出力軸と、伝達機構と、打撃検知部と、を備える。前記制御部は、前記モータをベクトル制御する。前記出力軸は、先端工具と連結される。前記伝達機構は、前記モータの動力を前記出力軸に伝達する。前記伝達機構は、インパクト機構を有する。前記インパクト機構は、前記出力軸に加えられるトルクの大きさに応じて打撃動作を行う。前記インパクト機構は、前記打撃動作において、前記出力軸に打撃力を加える。前記打撃検知部は、前記モータに供給される励磁電流及びトルク電流のうち少なくとも一方に基づいて前記打撃動作の有無を検知する。前記制御部は、前記打撃検知部が前記打撃動作を検知する前には、前記モータの回転数の増加の制限を設け、前記打撃検知部が前記打撃動作を検知すると、前記モータの回転数の増加の前記制限を解除する。
本開示の一態様に係るインパクト工具の制御方法は、モータと、制御部と、出力軸と、伝達機構と、を備える前記インパクト工具を制御する制御方法である。前記制御部は、前記モータをベクトル制御する。前記出力軸は、先端工具と連結される。前記伝達機構は、前記モータの動力を前記出力軸に伝達する。前記伝達機構は、インパクト機構を有する。前記インパクト機構は、前記出力軸に加えられるトルクの大きさに応じて打撃動作を行う。前記インパクト機構は、前記打撃動作において、前記出力軸に打撃力を加える。前記インパクト工具の前記制御方法は、打撃検知処理と、第1の制御と、第2の制御と、を備える。前記打撃検知処理では、前記モータに供給される励磁電流及びトルク電流のうち少なくとも一方に基づいて前記打撃動作の有無を検知する。前記第1の制御では、前記打撃検知処理により前記打撃動作を検知する前には、前記モータの回転数の増加の制限を設ける。前記第2の制御では、前記打撃検知処理により前記打撃動作を検知すると、前記モータの回転数の増加の前記制限を解除する。
本開示の一態様に係るプログラムは、前記インパクト工具の前記制御方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
本開示は、作業効率を向上させることができるという利点がある。
図1は、一実施形態に係るインパクト工具のブロック図である。 図2は、同上のインパクト工具の概略図である。 図3は、同上のインパクト工具の制御部によるベクトル制御の説明図である。 図4は、制御部の動作モードが第2のモードのときの、同上のインパクト工具の動作例を示すグラフである。 図5は、制御部の動作モードが第1のモードのときの、同上のインパクト工具の動作例を示すグラフである。 図6は、同上のインパクト工具の制御方法を示すフローチャートである。
以下、実施形態に係るインパクト工具1について、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
(1)概要
インパクト工具1(図2参照)は、例えば、インパクトドライバ、ハンマドリル、インパクトドリル、インパクトドリルドライバ又はインパクトレンチとして用いられる。本実施形態では、代表例として、インパクト工具1がねじをねじ締めするためのインパクトドライバとして用いられる場合について説明する。図1、図2に示すように、インパクト工具1は、モータ15と、制御部4と、出力軸21と、伝達機構18と、打撃検知部49と、を備える。制御部4は、モータ15をベクトル制御する。出力軸21は、先端工具28と連結される。伝達機構18は、モータ15の動力を出力軸21に伝達する。伝達機構18は、インパクト機構17を有する。インパクト機構17は、出力軸21に加えられるトルクの大きさに応じて打撃動作を行う。インパクト機構17は、打撃動作において、出力軸21に打撃力を加える。打撃検知部49は、モータ15に供給される励磁電流(電流測定値id1)及びトルク電流(電流測定値iq1)のうち少なくとも一方に基づいて打撃動作の有無を検知する。制御部4は、打撃検知部49が打撃動作を検知する前には、モータ15の回転数N1(図4参照)の増加の制限を設け、打撃検知部49が打撃動作を検知すると、モータ15の回転数N1の増加の制限を解除する。
本実施形態のインパクト工具1によれば、インパクト機構17が打撃動作を開始する前には、モータ15の回転数N1の増加の制限が設けられるので、回転数N1が大き過ぎてねじ等の作業対象が壁等の被加工材に対して傾斜する可能性を低減できる。そのため、作業効率を向上させることができる。また、インパクト機構17が打撃動作を開始するとモータ15の回転数N1を増加させることが可能となるので、回転数N1を増加させることができない場合と比較して、作業効率を向上させることができる。
また、打撃動作の開始時に、制御部4の制御に依らず、ユーザがトリガスイッチ29を操作することでモータ15の回転数N1を増加させようとする場合は、ユーザが操作に習熟していないと、モータ15の回転数N1を適切な大きさにすることができない可能性がある。これに対して、本実施形態では、打撃動作の開始後に制御部4がモータ15の回転数N1の増加の制限を解除するので、ユーザの習熟度に依らずに回転数N1を制御できる。
モータ15は、ブラシレスモータである。特に、本実施形態のモータ15は、同期電動機であり、より詳細には、永久磁石同期電動機(PMSM(Permanent Magnet Synchronous Motor))である。モータ15は、永久磁石131を有する回転子13と、コイル141を有する固定子14と、を含んでいる。回転子13は、回転動力を出力する回転軸16を有している。コイル141と永久磁石131との電磁的相互作用により、回転子13は、固定子14に対して回転する。
ベクトル制御は、モータ15のコイル141に供給される電流を、磁束を発生する電流成分(励磁電流)とトルク(回転力)を発生する電流成分(トルク電流)とに分解し、それぞれの電流成分を独立に制御するモータ制御方式の一種である。
電流測定値id1、iq1のうち少なくとも一方は、ベクトル制御と、打撃動作の有無の検知と、の両方に用いられる。そのため、ベクトル制御のための回路の一部と打撃動作の有無の検知のための回路の一部とを共有することができる。これにより、インパクト工具1に備えられる回路の面積及び寸法の低減、並びに、回路に要するコストの低減を図ることができる。また、打撃動作の有無の検知に、インパクト工具1の電源部32の出力電流の測定値等を用いる場合と比較して、検知精度を高められる。
(2)インパクト工具
図2に示すように、インパクト工具1は、電源部32と、モータ15と、モータ回転測定部27と、伝達機構18と、出力軸21と、ソケット23と、先端工具28と、を備えている。また、インパクト工具1は、トリガスイッチ29と、制御部4と、を備えている。制御部4は、インパクト機構17の打撃動作の有無を検知する打撃検知部49を有している。
出力軸21は、モータ15から伝達機構18を介して伝達された駆動力により回転する部分である。ソケット23は、出力軸21に固定されている。ソケット23には、先端工具28が着脱自在に取り付けられる。先端工具28は、出力軸21と一緒に回転する。インパクト工具1は、モータ15の駆動力で出力軸21を回転させることで、先端工具28を回転させる。すなわち、インパクト工具1は、先端工具28をモータ15の駆動力で駆動する工具である。先端工具28(ビットとも言う)は、例えば、ドライバビット又はドリルビット等である。各種の先端工具28のうち用途に応じた先端工具28が、ソケット23に取り付けられて用いられる。なお、出力軸21に直接に先端工具28が装着されてもよい。
なお、本実施形態のインパクト工具1はソケット23を備えることで、先端工具28を用途に応じて交換可能であるが、先端工具28が交換可能であることは必須ではない。例えば、インパクト工具1は、特定の先端工具28のみ用いることができるインパクト工具であってもよい。
本実施形態の先端工具28は、締付部材30(ねじ)を締める又は緩めるためのドライバビットである。より詳細には、先端工具28は、先端部280が+(プラス)形に形成されたプラスドライバビットである。すなわち、出力軸21は、ねじを締める又は緩めるためのドライバビットを保持し、モータ15から動力を得て回転する。以下では、インパクト工具1によりねじを締める場合について説明する。ねじの種類は特に限定されず、例えば、ボルト、ビス又はナットであってよい。制御部4の動作モードが後述の第1のモードのときは、締付部材30として、木ねじを用いることが特に好ましい。第1のモードでは、制御部4は、打撃検知部49が打撃動作を検知する前にはモータ15の回転数N1の増加の制限を設ける。図2に示すように、本実施形態の締付部材30は、木ねじである。締付部材30は、頭部301と、円筒部302と、ねじ部303と、を有している。円筒部302の第1端に、頭部301がつながっている。円筒部302の第2端に、ねじ部303がつながっている。頭部301には、先端工具28に適合するねじ穴(例えば、+形の穴)が形成されている。ねじ部303には、ねじ山が形成されている。
先端工具28は、締付部材30と嵌合する。すなわち、先端工具28は、締付部材30の頭部301のねじ穴に挿入される。この状態で、先端工具28は、モータ15に駆動されて回転し、締付部材30を回転させる。これにより、締付部材30(木ねじ)は、ねじ締め対象の部材(例えば壁材)に穴とねじ溝とを形成しながら、ねじ締め対象の部材に埋め込まれる。すなわち、先端工具28は、締付部材30に締め付ける力(又は緩める力)を加える。
電源部32は、モータ15を駆動する電流を供給する。電源部32は、例えば、電池パックである。電源部32は、例えば、1又は複数の2次電池を含む。
伝達機構18は、遊星歯車機構25と、駆動軸22と、インパクト機構17と、を有している。伝達機構18は、モータ15の回転軸16の回転動力を出力軸21に伝達する。より詳細には、伝達機構18は、モータ15の回転軸16の回転動力を調整して、出力軸21の回転として出力する。
モータ15の回転軸16は、遊星歯車機構25に接続されている。駆動軸22は、遊星歯車機構25と、インパクト機構17と、に接続されている。遊星歯車機構25は、モータ15の回転軸16の回転動力を所定の減速比で減速して、駆動軸22の回転として出力する。
インパクト機構17は、出力軸21と連結されている。インパクト機構17は、遊星歯車機構25及び駆動軸22を介して受け取ったモータ15(回転軸16)の回転動力を出力軸21に伝達する。また、インパクト機構17は、出力軸21に打撃力を加える打撃動作を行う。
インパクト機構17は、ハンマ19と、アンビル20と、ばね24と、を備えている。ハンマ19は、駆動軸22にカム機構を介して取り付けられている。アンビル20はハンマ19に接触しており、ハンマ19と一体に回転する。ばね24は、ハンマ19をアンビル20側に押している。アンビル20は、出力軸21と一体に形成されている。なお、アンビル20は、出力軸21とは別体に形成されて出力軸21に固定されていてもよい。
出力軸21に所定の大きさ以上の負荷(トルク)がかかっていない場合には、インパクト機構17は、モータ15の回転動力により出力軸21を連続的に回転させる。すなわち、この場合には、カム機構により連結された駆動軸22とハンマ19とが一体に回転し、さらにハンマ19とアンビル20とが一体に回転するので、アンビル20と一体に形成された出力軸21が回転する。
一方で、出力軸21に所定の大きさ以上の負荷がかかった場合には、インパクト機構17は、打撃動作を行う。インパクト機構17は、打撃動作において、モータ15の回転動力をパルス状のトルクに変換して打撃力を発生する。すなわち、打撃動作では、ハンマ19は、駆動軸22との間のカム機構による規制を受けながら、ばね24に抗して後退する(つまり、アンビル20から離れる)。ハンマ19の後退によりハンマ19とアンビル20との結合が外れた時点で、ハンマ19は回転しながら前進して(つまり、出力軸21側へ移動して)アンビル20に回転方向の打撃力を加え、出力軸21を回転させる。つまり、インパクト機構17は、アンビル20を介して出力軸21に軸(出力軸21)周りの回転打撃を加える。インパクト機構17の打撃動作では、ハンマ19がアンビル20に回転方向の打撃力を加える動作が繰り返される。ハンマ19が前進と後退とを1回ずつ行う間に、打撃力が1回発生する。
トリガスイッチ29は、モータ15の回転を制御するための操作を受け付ける操作部である。トリガスイッチ29を引く操作により、モータ15のオンオフを切替可能である。また、トリガスイッチ29を引く操作の引込み量で、モータ15の回転速度を調整可能である。その結果として、トリガスイッチ29を引く操作の引込み量で、出力軸21の回転速度を調整可能である。上記引込み量が大きいほど、モータ15及び出力軸21の回転速度が速くなる。制御部4は、トリガスイッチ29を引く操作の引込み量に応じて、モータ15及び出力軸21を回転又は停止させ、また、モータ15及び出力軸21の回転速度を制御する。このインパクト工具1では、先端工具28がソケット23を介して出力軸21に連結される。そして、トリガスイッチ29への操作によってモータ15及び出力軸21の回転速度が制御されることで、先端工具28の回転速度が制御される。
モータ回転測定部27は、モータ15の回転角を測定する。モータ回転測定部27としては、例えば、光電式エンコーダ又は磁気式エンコーダを採用することができる。
インパクト工具1は、インバータ回路部51(図1参照)を備えている。インバータ回路部51は、モータ15に電流を供給する。制御部4は、インバータ回路部51と共に用いられ、フィードバック制御によりモータ15の動作を制御する。
(3)制御部
制御部4は、1以上のプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、制御部4の少なくとも一部の機能が実現される。プログラムは、メモリに記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
図1に示すように、制御部4は、指令値生成部41と、速度制御部42と、電流制御部43と、第1の座標変換器44と、第2の座標変換器45と、磁束制御部46と、推定部47と、脱調検出部48と、打撃検知部49と、を有している。また、インパクト工具1は、複数(図1では2つ)の電流センサ61、62を備えている。
複数の電流センサ61、62はそれぞれ、例えば、ホール素子電流センサ又はシャント抵抗素子を含んでいる。複数の電流センサ61、62は、電源部32(図2参照)からインバータ回路部51を介してモータ15に供給される電流を測定する。ここで、モータ15には、3相電流(U相電流、V相電流及びW相電流)が供給されており、複数の電流センサ61、62は、少なくとも2相の電流を測定する。図1では、電流センサ61がU相電流を測定して電流測定値i1を出力し、電流センサ62がV相電流を測定して電流測定値i1を出力する。
推定部47は、モータ回転測定部27で測定されたモータ15の回転角θ1を時間微分して、モータ15の角速度ω1(回転軸16の角速度)を算出する。
取得部60は、2つの電流センサ61、62と、第2の座標変換器45と、を有している。取得部60は、モータ15に供給されるd軸電流(励磁電流)及びq軸電流(トルク電流)を取得する。すなわち、2つの電流センサ61、62で測定された2相の電流が第2の座標変換器45で変換されることで、d軸電流の電流測定値id1及びq軸電流の電流測定値iq1が算出される。
第2の座標変換器45は、複数の電流センサ61、62で測定された電流測定値i1、i1を、モータ回転測定部27で測定されたモータ15の回転角θ1に基づいて座標変換し、電流測定値id1、iq1を算出する。すなわち、第2の座標変換器45は、3相電流に対応する電流測定値i1、i1を、磁界成分(d軸電流)に対応する電流測定値id1と、トルク成分(q軸電流)に対応する電流測定値iq1とに変換する。
指令値生成部41は、モータ15の角速度の指令値cω1を生成する。指令値生成部41は、例えば、トリガスイッチ29(図2参照)を引く操作の引込み量に応じた指令値cω1を生成する。すなわち、指令値生成部41は、上記引込み量が大きいほど、角速度の指令値cω1を大きくする。
速度制御部42は、指令値生成部41で生成された指令値cω1と推定部47で算出された角速度ω1との差分に基づいて、指令値ciq1を生成する。指令値ciq1は、モータ15のトルク電流(q軸電流)の大きさを指定する指令値である。速度制御部42は、指令値cω1と角速度ω1との差分を小さくするように指令値ciq1を決定する。
磁束制御部46は、推定部47で算出された角速度ω1と、電流制御部43で生成される指令値cvq1(後述する)と、電流測定値iq1と、に基づいて、指令値cid1を生成する。指令値cid1は、モータ15の励磁電流(d軸電流)の大きさを指定する指令値である。すなわち、制御部4は、モータ15のコイル141に供給される励磁電流(d軸電流)を指令値cid1に近づけるようにモータ15の動作を制御する。
本実施形態では、磁束制御部46で生成される指令値cid1は、励磁電流の大きさを0にするための指令値である。ただし、磁束制御部46は、常時励磁電流の大きさを0にするための指令値cid1を生成してもよいし、必要に応じて、励磁電流の大きさを0よりも大きく又は小さくするための指令値cid1を生成してもよい。励磁電流の指令値cid1が0より小さくなると、モータ15にマイナスの励磁電流(弱め磁束電流)が流れる。
電流制御部43は、磁束制御部46で生成された指令値cid1と第2の座標変換器45で算出された電流測定値id1との差分に基づいて、指令値cvd1を生成する。指令値cvd1は、モータ15のd軸電圧の大きさを指定する指令値である。電流制御部43は、指令値cid1と電流測定値id1との差分を小さくするように指令値cvd1を決定する。
また、電流制御部43は、速度制御部42で生成された指令値ciq1と第2の座標変換器45で算出された電流測定値iq1との差分に基づいて、指令値cvq1を生成する。指令値cvq1は、モータ15のq軸電圧の大きさを指定する指令値である。電流制御部43は、指令値ciq1と電流測定値iq1との差分を小さくするように指令値cvq1を生成する。
第1の座標変換器44は、指令値cvd1、cvq1を、モータ回転測定部27で測定されたモータ15の回転角θ1に基づいて座標変換し、指令値cv1、cv1、cv1を算出する。すなわち、第1の座標変換器44は、磁界成分(d軸電圧)に対応する指令値cvd1と、トルク成分(q軸電圧)に対応する指令値cvq1とを、3相電圧に対応する指令値cv1、cv1、cv1に変換する。指令値cv1はU相電圧に、指令値cv1はV相電圧に、指令値cv1はW相電圧に対応する。
制御部4は、インバータ回路部51をPWM(Pulse Width Modulation)制御することにより、モータ15に供給される電力を制御する。これにより、インバータ回路部51は、指令値cv1、cv1、cv1に応じた3相電圧をモータ15に供給する。
モータ15は、インバータ回路部51から供給された電力(3相電圧)により駆動され、回転動力を発生させる。
この結果、制御部4は、モータ15のコイル141に流れる励磁電流が、磁束制御部46で生成された指令値cid1に対応した大きさとなるように励磁電流を制御する。また、制御部4は、モータ15の角速度が、指令値生成部41で生成された指令値cω1に対応した角速度となるようにモータ15の角速度を制御する。
脱調検出部48は、第2の座標変換器45から取得した電流測定値id1、iq1と、電流制御部43から取得した指令値cvd1、cvq1と、に基づいて、モータ15の脱調を検出する。脱調が検出された場合は、脱調検出部48は、インバータ回路部51に停止信号cs1を送信して、インバータ回路部51からモータ15への電力供給を停止させる。
打撃検知部49は、インパクト機構17の打撃動作の有無を検知する。打撃検知部49についての詳細は後述する。
(4)ベクトル制御の詳細
以下、制御部4によるベクトル制御について更に詳細に説明する。図3は、ベクトル制御の解析モデル図である。図3には、U相、V相、W相の電機子巻線固定軸が示されている。ベクトル制御では、モータ15の回転子13に設けられた永久磁石131が作る磁束の回転速度と同じ速度で回転する回転座標系が考慮される。回転座標系において、永久磁石131が作る実際の磁束の方向をd軸の方向とし、制御部4によるモータ15の制御に対応する座標軸であってd軸に対応する座標軸を、γ軸とする。また、d軸から電気角で90度進んだ位相にq軸を取り、γ軸から電気角で90度進んだ位相にδ軸を取る。
dq軸は回転しており、その回転速度をωで表す。γδ軸も回転しており、その回転速度をωで表す。図3のωは、図1のω1と一致する。また、dq軸において、U相の電機子巻線固定軸から見たd軸の角度(位相)をθで表す。同様に、γδ軸において、U相の電機子巻線固定軸から見たγ軸の角度(位相)をθで表す。図3のθは、図1のθ1と一致する。θ及びθにて表される角度は、電気角における角度であり、回転子位置又は磁極位置とも呼ばれる。ω及びωにて表される回転速度は、電気角における角速度である。
θとθとが一致しているとき、d軸及びq軸はそれぞれγ軸及びδ軸と一致する。ベクトル制御において、制御部4は、基本的に、θとθとが一致するように制御を行う。そのため、d軸電流の指令値cid1が0の場合に、モータ15にかかる負荷が増加又は減少すると、制御部4は、これにより生じるθとθとの差分を補償するように制御を行うので、d軸電流の電流測定値id1が正の値又は負の値となる。具体的には、モータ15にかかる負荷が小さくなった直後は、d軸電流の電流測定値id1は正の値となり、モータ15にかかる負荷が大きくなった瞬間は、電流測定値id1は負の値となる。
(5)打撃検知
インパクト機構17は、出力軸21に加えられるトルクの大きさに応じて打撃動作を行う。打撃検知部49は、モータ15のコイル141に供給されるトルク電流及び励磁電流のうち少なくとも一方に基づいて、インパクト機構17の打撃動作の有無を検知する。以下では、図4、図5を参照して、打撃検知部49による打撃動作の有無の検知方法の一例を説明する。図4、図5において、N1は、モータ15(回転子13)の回転数であり、cN1は、モータ15の回転数の指令値である。つまり、指令値cN1は、モータ15の角速度の指令値cω1を回転数に換算した値である。
ここで、制御部4は、互いに切替え可能な動作モードとして、第1のモードと、第2のモードと、を有する。第1のモードでは、制御部4は、打撃検知部49が打撃動作を検知する前にはモータ15の回転数N1の増加の制限を設ける。また、第1のモードでは、制御部4は、打撃検知部49が打撃動作を検知すると、モータ15の回転数N1の増加の制限を解除する。これに対して、第2のモードでは、制御部4は、モータ15の回転数N1の増加の制限を解除した状態を維持する。
そのため、打撃検知部49は、インパクト機構17の打撃動作の有無の検知を、少なくとも制御部4の動作モードが第1のモードのときに行えばよい。本実施形態では、制御部4の動作モードに関わらず打撃検知部49がインパクト機構17の打撃動作の有無の検知を行うとして説明する。図4は、制御部4の動作モードが第2のモードのときのグラフであり、図5は、制御部4の動作モードが第1のモードのときのグラフである。
なお、インパクト工具1は、例えば、ユーザの操作を受け付ける第1のユーザインターフェースを備えている。第1のユーザインターフェースは、例えば、釦、スライドスイッチ又はタッチパネル等である。第1のユーザインターフェースに対するユーザの操作に応じて、制御部4は、動作モードを第1のモードと第2のモードとの間で切り替える。一例として、ユーザは、締付部材30が木ねじである場合に制御部4の動作モードを第1のモードにし、それ以外の場合に第2のモードにする。
また、第1のユーザインターフェースは、第1のモードへの切替えに対応する位置に、木ねじに対応する表示を有していてもよい。上記表示は、例えば、「木ねじ用」若しくは「木ねじモード」等の文字、又は、木ねじを表す図、絵若しくは写真等である。第1のモードに切り替えるための機械的な釦又はタッチパネルの画面に表示された釦に、上記表示が設けられていてもよいし、釦の近傍に上記表示が設けられていてもよい。また、第1のモードのときのスライドスイッチの位置の近傍に、上記表示が設けられていてもよい。
打撃検知部49は、励磁電流及びトルク電流の電流測定値id1、iq1うち少なくとも一方に基づいて打撃動作の有無を検知する。ここでは、打撃検知部49は、電流測定値id1、iq1の両方に基づいて打撃動作の有無を検知する。
より詳細には、電流測定値id1に関しては、打撃検知部49は、次の第1条件が満たされるか否かの判定を行う。第1条件は、電流測定値id1の振幅が所定のd軸閾値よりも大きいことである。電流測定値id1の振幅は、例えば、単位時間あたりの電流測定値id1の最大値と最小値との差分の1/2として定義される。打撃検知部49は、例えば、単位時間ごとに、第1条件が満たされるか否かを判定する。図4、図5に図示されている振幅A1は、ある時点t1から単位時間(例えば、数ミリ秒~数十ミリ秒)が経過するまでの間の各時点の電流測定値id1により定義される、電流測定値id1の振幅の2倍の値である。
このように、打撃検知部49は、電流測定値id1(励磁電流)の振幅に基づいて打撃動作の有無を検知する。
また、電流測定値iq1に関しては、打撃検知部49は、次の第2条件が満たされるか否かの判定を行う。第2条件は、所定時間(例えば、数十ミリ秒)あたりの電流測定値iq1の減少量が所定のq軸閾値よりも大きいことである。打撃検知部49は、例えば、上記所定時間ごとに、第2条件が満たされるか否かを判定する。
このように、打撃検知部49は、所定時間あたりの電流測定値iq1(トルク電流)の減少量に基づいて打撃動作の有無を検知する。
打撃検知部49は、例えば、第1条件及び第2条件のうち一方が満たされてから、他方が満たされるまでに要した時間が所定の時間閾値以下の場合に、インパクト機構17が打撃動作をしているという検知結果を出力する。また、打撃検知部49は、それ以外の場合に、インパクト機構17が打撃動作をしていないという検知結果を出力する。
つまり、モータ15にかかる負荷は時々刻々と増減し、打撃動作が開始することにより、モータ15にかかる負荷の増減量が大きくなるので、θとθeとの差分が大きくなり、励磁電流の電流測定値id1の振幅が大きくなる。また、打撃動作が開始することにより、モータ15にかかる負荷が増減を繰り返しながら減少するので、トルク電流の電流測定値iq1が減少する。打撃検知部49は、このような変化の有無を第1条件及び第2条件により判定することで、打撃動作の有無を検知する。
d軸閾値及びq軸閾値等の閾値は、例えば、制御部4を構成するマイクロコントローラのメモリに予め記録されている。
なお、打撃検知部49は、モータ15の始動時(回転開始時)から所定のマスク期間Tm1が経過した後に、インパクト機構17の打撃動作の有無の検知を開始する。そのため、マスク期間Tm1において打撃検知部49が打撃動作を誤検知することを抑制できる。
図4では、時点t0にモータ15が動作を開始した後、時点t1に、インパクト機構17が打撃動作を開始する。打撃動作の開始に伴い、時点t1以降、電流測定値id1の振幅が増加する。また、時点t1から時点t2まで、電流測定値iq1が減少する。打撃検知部49は、時点t1と時点t2との間の少なくとも一部の期間において、第1条件及び第2条件に基づいて打撃動作を検知することができる。図4では、制御部4の動作モードは第2のモードなので、打撃動作の検知の有無は、制御部4によるモータ15の制御には影響しない。
図5では、図4と同様に、時点t0にモータ15が動作を開始した後、時点t1に、インパクト機構17が打撃動作を開始する。時点t1の後の時点t2に、打撃検知部49は、インパクト機構17が打撃動作をしているという検知結果を出力する。
図5は、制御部4の動作モードが第1のモードのときのグラフである。第1のモードにおいて、制御部4は、打撃検知部49が打撃動作を検知する前には、モータ15の回転数N1の増加の制限を設ける。具体的には、打撃検知部49が打撃動作を検知する前(時点t0から時点t2まで)には、モータ15の回転数N1の指令値cN1は上限値U1以下となる。より詳細には、ユーザがトリガスイッチ29を最大の引込み量まで引き込んだとき、指令値cN1は上限値U1に等しくなる。これにより、制御部4は、打撃検知部49が打撃動作を検知する前には、モータ15の回転数N1を所定の上限値U1以下に制限する。つまり、このとき制御部4は、モータ15の回転数N1の増加の制限を設けている。ここで、「モータ15の回転数N1を所定の上限値U1以下に制限する」とは、少なくとも定常状態において回転数N1が上限値U1以下であればよく、一時的に回転数N1が上限値U1を超えてもよい。例えば、図5に示すように、回転数N1が増加して上限値U1に達した直後に一時的に回転数N1が上限値U1を超えてもよい。
打撃検知部49が打撃動作を検知すると、制御部4は、モータ15の回転数N1がトリガスイッチ29への操作量(引込み量)に応じて上限値U1を超え得る状態にする。これにより、制御部4は、モータ15の回転数N1の増加の制限を解除する。より詳細には、打撃検知部49が打撃動作を検知すると、制御部4は、モータ15の回転数N1の指令値cN1を上限値U1以下に制限する状態から、上限値U1よりも大きい制限値U2以下に制限する状態へと更新する。これにより、制御部4は、モータ15の回転数N1が上限値U1よりも増加することの制限を解除する。制御部4が指令値cN1を制限値U2以下に制限する状態では、ユーザがトリガスイッチ29を最大の引込み量まで引き込んだとき、指令値cN1は制限値U2に等しくなる。
上限値U1及び制限値U2の具体例はそれぞれ、15000[rpm]及び25000[rpm]である。上限値U1及び制限値U2の別の具体例はそれぞれ、21000[rpm]及び24000[rpm]である。
第1のモードでは、最初からモータ15の回転数N1の指令値cN1を制限値U2以下に制限する場合と比較して、トリガスイッチ29の引込み量に関わらず、モータ15の回転数N1が抑えられるので、打撃動作の開始前において締付部材30の姿勢を安定させやすい。締付部材30が木ねじの場合には、締付部材30が埋め込まれる対象の部材(例えば、壁材)に締付部材30の先端側の部位がある程度の深さ以上埋め込まれるまで回転数N1を抑えることができるので、締付部材30の姿勢を安定させやすい。
また、モータ15の回転数N1が抑えられるので、カムアウトが発生する可能性を低減できる。カムアウトとは、モータ15の動作(回転)中に、先端工具28と締付部材30との嵌合が解除される現象である。すなわち、モータ15の動作(回転)中に、先端工具28の先端部280が締付部材30のねじ穴に挿入された状態から、先端部280がねじ穴の外に出ることを指して、カムアウトが起きると言う。
また、第1のモードでは、図4のようにモータ15の回転数N1の指令値cN1を上限値U1以下に制限する状態を維持する場合と比較して、打撃動作の開始後の作業時間を短縮することができる。
(6)回転開始から停止までの動作例
次に、制御部4の動作モードが第1のモードの場合のインパクト工具1の動作例について、図5を参照して説明する。
時点t0に、ユーザがトリガスイッチ29を引込み、モータ15が始動する。モータ15が始動した時点では、モータ15の回転数N1の指令値cN1は上限値U1以下に制限されている。モータ15の始動時からマスク期間Tm1が経過した後、時点t1に、インパクト機構17が打撃動作を開始する。
時点t2に、打撃検知部49は、インパクト機構17が打撃動作をしているという検知結果を出力する。すると、制御部4は、モータ15の回転数N1の指令値cN1を上限値U1以下に制限する状態から、制限値U2以下に制限する状態へと更新する。以降、モータ15が停止するまで、指令値cN1を制限値U2以下に制限する状態が維持される。
ここで、ユーザがトリガスイッチ29を最大の引込み量まで引き込んでいると、時点t2以降、指令値cN1は制限値U2まで増加する。これに伴い、回転数N1が増加する。
時点t3に、締付部材30を締める作業が完了する。すなわち、時点t3に、締付部材30が着座する。そこで、時点t3に、ユーザがトリガスイッチ29を引き込む操作をやめる。これにより、指令値cN1が0[rpm]まで低下するので、回転数N1が0[rpm]となる。すなわち、モータ15が停止する。
(変形例1)
以下、変形例1に係るインパクト工具1について説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
制御部4は、打撃検知部49が打撃動作を検知すると、回転数N1の指令値cN1を上限値U1以下に制限した状態を解除するのに加えて、指令値cN1を増加させてもよい。つまり、制御部4は、指令値cN1を増加させることで、間接的に回転数N1を増加させる。
制御部4は、例えば、打撃検知部49が打撃動作を検知した時点以降には、トリガスイッチ29の引込み量に応じて指令値cN1を仮決定した後に、指令値cN1を増加させる。より具体的には、制御部4の指令値生成部41が、角速度の指令値cω1を増加させることで、実質的に回転数N1の指令値cN1を増加させる。
なお、制御部4は、増加前の回転数N1に基づいて、増加後の回転数N1を決定してもよい。例えば、制御部4は、打撃検知部49が打撃動作を検知すると、打撃検知部49が打撃動作を検知した時点における指令値cN1に1よりも大きい所定の値(例えば、1.2)を乗じた値を、新たな指令値cN1としてもよい。また、制御部4は、打撃検知部49が打撃動作を検知すると、打撃検知部49が打撃動作を検知した時点における指令値cN1に所定の値(例えば、2000[rpm])を足した値を、新たな指令値cN1としてもよい。ただし、制御部4は、指令値cN1が制限値U2以下となるように、適宜上記所定の値を調整する。
また、制御部4は、打撃検知部49が打撃動作を検知すると、ある設定値を新たな指令値cN1としてもよい。上記設定値は、上限値U1よりも大きく制限値U2以下の値である。つまり、制御部4は、打撃検知部49が打撃動作を検知すると、指令値cN1を予め決められた値にし、これにより、回転数N1を予め決められた回転数にしてもよい。
本変形例1により、トリガスイッチ29の引込み量が比較的小さい場合であっても、指令値cN1及び回転数N1を増加させることができる。
(変形例2)
以下、変形例2に係るインパクト工具1について説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
制御部4は、トリガスイッチ29の引込み量に関わらず、モータ15の回転数N1を予め決められた回転数となるように制御する。制御部4は、例えば、トリガスイッチ29が引き込まれてモータ15が始動してから打撃検知部49が打撃動作を検知するまでの間、回転数N1の指令値cN1を上限値U1と等しい値にする。これにより、回転数N1が上限値U1よりも増加することが制限される。また、制御部4は、例えば、打撃検知部49が打撃動作を検知すると、指令値cN1を制限値U2と等しい値にする。そして、ユーザがトリガスイッチ29を引き込む操作をやめると、制御部4は、指令値cN1を0[rpm]にする。
本変形例2により、ユーザの習熟度に依らずにモータ15の回転数N1を制御できる。
(実施形態のその他の変形例)
以下、実施形態のその他の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。また、以下の変形例は、上述の各変形例と適宜組み合わせて実現されてもよい。
インパクト工具1と同様の機能は、インパクト工具1の制御方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
一態様に係るインパクト工具1の制御方法は、打撃検知処理と、第1の制御と、第2の制御と、を備える。打撃検知処理では、モータ15に供給される励磁電流(電流測定値id1)及びトルク電流(電流測定値iq1)のうち少なくとも一方に基づいて打撃動作の有無を検知する。第1の制御では、打撃検知処理により打撃動作を検知する前には、モータ15の回転数N1の増加の制限を設ける。第2の制御では、打撃検知処理により打撃動作を検知すると、モータ15の回転数N1の増加の制限を解除する。
すなわち、図6に示すように、制御部4は、まずは、第1の制御において、モータ15の回転数N1の指令値cN1を上限値U1以下に制限する(ステップST1)ことにより、モータ15の回転数N1の増加の制限を設ける。次に、打撃検知部49は、インパクト機構17の打撃動作の有無を検知する(ステップST2)。打撃検知部49が打撃動作を検知すると(ステップST2:YES)、制御部4は、モータ15の回転数N1の指令値cN1を上限値U1以下に制限した状態から、制限値U2以下に制限した状態へと更新する(ステップST3)。つまり、制御部4は、モータ15の回転数N1の増加に関して、上限値U1による制限を解除する。
一態様に係るプログラムは、上記のインパクト工具1の制御方法を1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
本開示におけるインパクト工具1は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示におけるインパクト工具1としての機能の一部が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
また、インパクト工具1における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることはインパクト工具1に必須の構成ではなく、インパクト工具1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、インパクト工具1の少なくとも一部の機能、例えば、打撃検知部49の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
モータ15は、交流モータであってもよいし、直流モータであってもよい。
先端工具28は、インパクト工具1の構成に含まれていなくてもよい。
先端工具28は、プラスドライバビットに限定されず、例えば、マイナスドライバビットであってもよいし、トルクス(登録商標)ビットであってもよいし、レンチビットであってもよい。
打撃検知部49は、制御部4とは別に設けられていてもよい。つまり、モータ15をベクトル制御する制御部4の機能を実現する構成と、インパクト機構17の打撃動作の有無を検知する打撃検知部49の機能を実現する構成とが、別々に設けられていてもよい。
モータ回転測定部27に代えて、モータ15の回転軸16の角加速度又は周方向の加速度を測定する加速度センサを用いてもよい。
制御部4は、上限値U1及び制限値U2のうち少なくとも一方を変更する機能を有していてもよい。インパクト工具1は、例えば、ユーザの操作を受け付ける第2のユーザインターフェースを備えていてもよい。第2のユーザインターフェースは、例えば、釦、スライドスイッチ又はタッチパネル等である。第2のユーザインターフェースに対するユーザの操作に応じて、制御部4は、上限値U1及び制限値U2のうち少なくとも一方を変更する。あるいは、インパクト工具1は、例えば、信号の入力を受け付ける受信部を備えていてもよい。受信部は、インパクト工具1の外部装置から上記信号を受信し、これに応じて、制御部4は、上限値U1及び制限値U2のうち少なくとも一方を変更する。外部装置と受信部との間の通信方式は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。第2のユーザインターフェースと第1のユーザインターフェースとの間で、少なくとも一部の構成が共用されていてもよい。
打撃検知部49は、電流測定値id1に関する第1条件及び電流測定値iq1に関する第2条件のうち少なくとも一方が満たされることをもって、インパクト機構17が打撃動作をしているという検知結果を出力してもよい。また、打撃検知部49は、第1条件のみに基づいて打撃動作の有無を判定してもよいし、第2条件のみに基づいて打撃動作の有無を判定してもよい。
また、打撃検知部49は、第2条件として、電流測定値iq1の絶対値に関する条件を用いてもよい。例えば、打撃検知部49は、電流測定値iq1(瞬時値)の絶対値が所定の閾値を超えることを、第2条件としてもよい。そして、打撃検知部49は、例えば、第2条件が満たされた後に第1条件が満たされることをもって、インパクト機構17が打撃動作をしているという検知結果を出力してもよい。あるいは、打撃検知部49は、例えば、第1条件及び第2条件のうち一方が満たされてから、他方が満たされるまでに要した時間が所定の時間閾値以下の場合に、インパクト機構17が打撃動作をしているという検知結果を出力してもよい。
また、打撃検知部49は、電流測定値iq1の絶対値が所定の閾値を超え、その後、所定時間あたりの電流測定値iq1の減少量が所定のq軸閾値よりも大きいことを、第2条件としてもよい。そして、打撃検知部49は、例えば、第1条件及び第2条件のうち一方が満たされてから、他方が満たされるまでに要した時間が所定の時間閾値以下の場合に、インパクト機構17が打撃動作をしているという検知結果を出力してもよい。
このように、打撃検知部49は、電流測定値iq1(トルク電流)の絶対値と所定時間あたりの電流測定値iq1(トルク電流)の減少量とのうち少なくとも一方に基づいて打撃動作の有無を検知してもよい。
また、打撃検知部49は、電流測定値id1、iq1のうち少なくとも一方に加えて、モータ15の回転数N1に基づいて、打撃動作の有無を検知してもよい。すなわち、打撃検知部49は、第1条件及び第2条件のうち少なくとも一方に加えて、次の第3条件に基づいて打撃動作の有無を検知してもよい。第3条件は、モータ15の回転数N1がオーバーシュートすることである。言い換えると、第3条件は、モータ15の回転数N1の波形にオーバーシュート波形Nos1(図4参照)が観測されることである。オーバーシュートとは、測定値が指令値を所定量以上超えることである。つまり、図4では、時点t1にインパクト機構17が打撃動作を開始することにより、モータ15にかかる負荷が増減を繰り返しながら減少するので、回転数N1は、一時的に増加して指令値cN1を超える。回転数N1と指令値cN1との差分が所定量以上になると、打撃検知部49は、第3条件が満たされたと判定する。打撃検知部49は、例えば、第1条件、第2条件及び第3条件が所定の時間内に満たされた場合に、インパクト機構17が打撃動作をしているという検知結果を出力する。
打撃検知部49は、トルク電流の電流測定値iq1に代えて、指令値ciq1に基づいて打撃動作の有無を検知してもよい。すなわち、実施形態及び各変形例での打撃動作の有無の検知において、電流測定値iq1を指令値ciq1に置き換えてもよい。
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。
第1の態様に係るインパクト工具(1)は、モータ(15)と、制御部(4)と、出力軸(21)と、伝達機構(18)と、打撃検知部(49)と、を備える。制御部(4)は、モータ(15)をベクトル制御する。出力軸(21)は、先端工具(28)と連結される。伝達機構(18)は、モータ(15)の動力を出力軸(21)に伝達する。伝達機構(18)は、インパクト機構(17)を有する。インパクト機構(17)は、出力軸(21)に加えられるトルクの大きさに応じて打撃動作を行う。インパクト機構(17)は、打撃動作において、出力軸(21)に打撃力を加える。打撃検知部(49)は、モータ(15)に供給される励磁電流(電流測定値id1)及びトルク電流(電流測定値iq1)のうち少なくとも一方に基づいて打撃動作の有無を検知する。制御部(4)は、打撃検知部(49)が打撃動作を検知する前には、モータ(15)の回転数(N1)の増加の制限を設け、打撃検知部(49)が打撃動作を検知すると、モータ(15)の回転数(N1)の増加の制限を解除する。
上記の構成によれば、インパクト機構(17)が打撃動作を開始する前には、モータ(15)の回転数(N1)の増加の制限が設けられるので、回転数(N1)が大き過ぎてねじ等の作業対象が壁等の被加工材に対して傾斜する可能性を低減できる。そのため、作業効率を向上させることができる。また、インパクト機構(17)が打撃動作を開始するとモータ(15)の回転数(N1)を増加させることが可能となるので、回転数(N1)を増加させることができない場合と比較して、作業効率を向上させることができる。
また、第2の態様に係るインパクト工具(1)では、第1の態様において、打撃検知部(49)は、励磁電流(電流測定値id1)の振幅に基づいて打撃動作の有無を検知する。
上記の構成によれば、打撃検知部(49)により打撃動作の有無を検知することができる。
また、第3の態様に係るインパクト工具(1)では、第1又は2の態様において、打撃検知部(49)は、トルク電流(電流測定値iq1)の絶対値と所定時間あたりのトルク電流の減少量とのうち少なくとも一方に基づいて打撃動作の有無を検知する。
上記の構成によれば、打撃検知部(49)により打撃動作の有無を検知することができる。
また、第4の態様に係るインパクト工具(1)は、第1~3の態様のいずれか1つにおいて、ユーザの操作を受け付けるトリガスイッチ(29)を備える。制御部(4)は、打撃検知部(49)が打撃動作を検知する前には、モータ(15)の回転数(N1)を所定の上限値(U1)以下に制限し、打撃検知部(49)が打撃動作を検知すると、モータ(15)の回転数(N1)がトリガスイッチ(29)への操作量に応じて上限値(U1)を超え得る状態にする。
上記の構成によれば、打撃動作の開始後、ユーザの操作に応じてモータ(15)の回転数(N1)を増加させることができる。
また、第5の態様に係るインパクト工具(1)では、第1~4の態様のいずれか1つにおいて、制御部(4)は、打撃検知部(49)が打撃動作を検知すると、モータ(15)の回転数(N1)を増加させる。
上記の構成によれば、打撃動作の開始後、ユーザの操作を要さずにモータ(15)の回転数(N1)を増加させることができる。
また、第6の態様に係るインパクト工具(1)では、第5の態様において、制御部(4)は、打撃検知部(49)が打撃動作を検知すると、モータ(15)の回転数(N1)を予め決められた回転数にする。
上記の構成によれば、打撃動作の開始後、インパクト工具(1)の操作に関するユーザの習熟度に依らずに、モータ(15)の回転数(N1)を適正な大きさにすることができる。
また、第7の態様に係るインパクト工具(1)では、第1~6の態様のいずれか1つにおいて、制御部(4)は、互いに切替え可能な動作モードとして、第1のモードと、第2のモードと、を有する。第1のモードでは、制御部(4)は、打撃検知部(49)が打撃動作を検知する前にはモータ(15)の回転数(N1)の増加の制限を設ける。第2のモードでは、制御部(4)は、モータ(15)の回転数(N1)の増加の制限を解除した状態を維持する。
上記の構成によれば、必要に応じて、モータ(15)の回転数(N1)の増加の制限の有無を切り替えることができる。
第1の態様以外の構成については、インパクト工具(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
また、第8の態様に係るインパクト工具(1)の制御方法は、モータ(15)と、制御部(4)と、出力軸(21)と、伝達機構(18)と、を備えるインパクト工具(1)を制御する制御方法である。制御部(4)は、モータ(15)をベクトル制御する。出力軸(21)は、先端工具(28)と連結される。伝達機構(18)は、モータ(15)の動力を出力軸(21)に伝達する。伝達機構(18)は、インパクト機構(17)を有する。インパクト機構(17)は、出力軸(21)に加えられるトルクの大きさに応じて打撃動作を行う。インパクト機構(17)は、打撃動作において、出力軸(21)に打撃力を加える。インパクト工具(1)の制御方法は、打撃検知処理と、第1の制御と、第2の制御と、を備える。打撃検知処理では、モータ(15)に供給される励磁電流(電流測定値id1)及びトルク電流(電流測定値iq1)のうち少なくとも一方に基づいて打撃動作の有無を検知する。第1の制御では、打撃検知処理により打撃動作を検知する前には、モータ(15)の回転数(N1)の増加の制限を設ける。第2の制御では、打撃検知処理により打撃動作を検知すると、モータ(15)の回転数(N1)の増加の制限を解除する。
上記の構成によれば、作業効率を向上させることができる。
また、第9の態様に係るプログラムは、第8の態様に係るインパクト工具(1)の制御方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
上記の構成によれば、作業効率を向上させることができる。
上記態様に限らず、実施形態に係るインパクト工具(1)の種々の構成(変形例を含む)は、インパクト工具(1)の制御方法及びプログラムにて具現化可能である。
1 インパクト工具
4 制御部
15 モータ
17 インパクト機構
18 伝達機構
21 出力軸
28 先端工具
29 トリガスイッチ
49 打撃検知部
id1 電流測定値(励磁電流)
iq1 電流測定値(トルク電流)
N1 回転数
U1 上限値

Claims (9)

  1. モータと、
    前記モータをベクトル制御する制御部と、
    先端工具と連結される出力軸と、
    前記出力軸に加えられるトルクの大きさに応じて前記出力軸に打撃力を加える打撃動作を行うインパクト機構を有し、前記モータの動力を前記出力軸に伝達する伝達機構と、
    前記モータに供給される励磁電流及びトルク電流のうち少なくとも一方に基づいて前記打撃動作の有無を検知する打撃検知部と、を備え、
    前記制御部は、前記打撃検知部が前記打撃動作を検知する前には、前記モータの回転数の増加の制限を設け、前記打撃検知部が前記打撃動作を検知すると、前記モータの回転数の増加の前記制限を解除する、
    インパクト工具。
  2. 前記打撃検知部は、前記励磁電流の振幅に基づいて前記打撃動作の有無を検知する、
    請求項1に記載のインパクト工具。
  3. 前記打撃検知部は、前記トルク電流の絶対値と所定時間あたりの前記トルク電流の減少量とのうち少なくとも一方に基づいて前記打撃動作の有無を検知する、
    請求項1又は2に記載のインパクト工具。
  4. ユーザの操作を受け付けるトリガスイッチを備え、
    前記制御部は、前記打撃検知部が前記打撃動作を検知する前には、前記モータの回転数を所定の上限値以下に制限し、前記打撃検知部が前記打撃動作を検知すると、前記モータの回転数が前記トリガスイッチへの操作量に応じて前記上限値を超え得る状態にする、
    請求項1~3のいずれか一項に記載のインパクト工具。
  5. 前記制御部は、前記打撃検知部が前記打撃動作を検知すると、前記モータの回転数を増加させる、
    請求項1~4のいずれか一項に記載のインパクト工具。
  6. 前記制御部は、前記打撃検知部が前記打撃動作を検知すると、前記モータの回転数を予め決められた回転数にする、
    請求項5に記載のインパクト工具。
  7. 前記制御部は、互いに切替え可能な動作モードとして、前記打撃検知部が前記打撃動作を検知する前には前記モータの回転数の増加の前記制限を設ける第1のモードと、前記制限を解除した状態を維持する第2のモードと、を有する、
    請求項1~6のいずれか一項に記載のインパクト工具。
  8. モータと、
    前記モータをベクトル制御する制御部と、
    先端工具と連結される出力軸と、
    前記出力軸に加えられるトルクの大きさに応じて前記出力軸に打撃力を加える打撃動作を行うインパクト機構を有し、前記モータの動力を前記出力軸に伝達する伝達機構と、を備えるインパクト工具を制御する制御方法であって、
    前記モータに供給される励磁電流及びトルク電流のうち少なくとも一方に基づいて前記打撃動作の有無を検知する打撃検知処理と、
    前記打撃検知処理により前記打撃動作を検知する前には、前記モータの回転数の増加の制限を設ける第1の制御と、
    前記打撃検知処理により前記打撃動作を検知すると、前記モータの回転数の増加の前記制限を解除する第2の制御と、を備える、
    インパクト工具の制御方法。
  9. 請求項8に記載のインパクト工具の制御方法を、1以上のプロセッサに実行させるための、
    プログラム。
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