JP7172301B2 - 遷移金属複合水酸化物、遷移金属複合水酸化物の製造方法、リチウム遷移金属複合酸化物活物質及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
1.遷移金属複合水酸化物
2.遷移金属複合水酸化物の製造方法
2-1.核生成工程
2-2.第一の粒子成長工程
2-3.第二の粒子成長工程
2-4.各工程における、pHの制御、反応雰囲気の制御、各工程において使用する物質や溶液、反応条件等
3.リチウム遷移金属複合酸化物活物質
4.リチウム遷移金属複合酸化物活物質の製造方法
4-1.熱処理工程
4-2.混合工程
4-3.焼成工程
5.リチウムイオン二次電池
本発明の一実施形態に係る遷移金属複合水酸化物は、リチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体である。上記遷移金属複合水酸化物は、結晶構造が異なる中心部と外周部からなる二層構造であり、上記中心部は、遷移金属水酸化物の結晶層間に水分子が挿入されたアルファ型遷移金属水酸化物からなり、上記外周部は遷移金属複合水酸化物の結晶層間に水分子を含まないベータ型遷移金属水酸化物からなることを特徴とする。以下、本発明の一実施形態に係る遷移金属複合水酸化物の組成、平均粒径、粒度分布、粒子構造、結晶構造について説明する。
本発明の一実施形態に係る遷移金属複合水酸化物は、その組成が、一般式:NixCoyMnzAt(OH)2+a(x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.7、0.1≦y≦0.4、0.1≦z≦0.4、0<t≦0.1、0≦a≦0.5、Aは、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の添加元素)で表されるように調整される。
本発明の一実施形態に係る遷移金属複合水酸化物は、平均粒径D50が1μmを超え、15μm以下、好ましくは平均粒径が3μm以上、8μm以下の範囲に調製する。遷移金属複合水酸化物の平均粒径をこのような範囲とすることにより、当該遷移金属複合水酸化物を原料として得られる正極活物質を目的とする平均粒径である1μmを超え、15μm以下に調整することができる。正極活物質の粒度分布は、原料とする遷移金属複合水酸化物の粒度分布に近しくなるため、上記粒径の正極活物質を正極材料に用いた電池の特性に影響するものである。
本発明の一実施形態に係る遷移金属複合水酸化物は、その粒度分布の広がりを示す指標である〔(D90-D10)/平均粒径〕が、1.0以下、好ましくは0.70以下となるように調製されることが好ましい。
本発明の一実施形態に係る遷移金属複合水酸化物は、複数の一次粒子が凝集して形成された略球状の二次粒子により構成される。二次粒子を構成する一次粒子の形状としては、板状、針状、直方体状、楕円状、稜面体状などのさまざまな形態を採りうる。また、その凝集状態も、ランダムな方向に凝集する場合のほか、中心から外周方向に向けて放射状に粒子の長径方向が揃ったような形態も本発明の一実施形態に係る遷移金属複合水酸化物に適用することが可能である。
上記遷移金属複合水酸化物は、微細な一次粒子からなる中心部と、より大きな一次粒子からなる外周部から構成される。本発明の一実施形態に係る遷移金属複合水酸化物は、中心部と外周部の結晶構造が異なることを特徴とする。
次に本発明の一実施形態に係る遷移金属複合水酸化物の製造方法について、図1を用いて説明する。本発明の一実施形態に係る遷移金属複合水酸化物の製造方法は、図1に示すように、一種以上の遷移金属化合物を含む遷移金属原料水溶液とアンモニウムイオン供給体とを含む核生成用水溶液を、液温25℃基準でのpHが12.5以上、かつアンモニウムイオン濃度が25g/L以下、雰囲気中の酸素濃度が10容量%以上となるように制御して晶析反応槽に供給し核を生成させる核生成工程S10と、生成された上記核を粒子成長させる第一の粒子成長工程S21と第二の粒子成長工程S22とを有する。
本発明の一実施形態に係る遷移金属複合水酸化物の製造方法においては、まず、少なくともニッケルを含有する複数の遷移金属化合物を所定の物質量比で水に溶解させ、遷移金属原料水溶液を作製する。本発明の一実施形態に係る遷移金属複合水酸化物の製造方法では、得られる遷移金属複合水酸化物における上記各遷移金属の物質量比は、混合水溶液における各遷移金属の物質量比と同様となる。
核生成工程S10の終了後、第一の粒子成長工程S21では、核を含有する粒子成長用水溶液を、液温25℃基準におけるpHが10.5~11.5、好ましくは10.8~11.3となるように制御して、粒子成長した第一の粒子成長用水溶液を得る。具体的には、このpH制御は、アルカリ水溶液の供給量を調節することにより行う。
第一の粒子成長工程S21の終了後、第二の粒子成長工程S22では、一旦遷移金属原料水溶液の供給を停止し、上記第一の粒子成長用水溶液を液温25℃基準におけるpHが11.5~12.0となるように制御して、さらに粒子成長した第二の粒子成長用水溶液を得る。このpH制御は、具体的には、アルカリ水溶液の供給量を調節することにより行う。また、雰囲気ガスを酸素濃度0.1%以下の非酸化性雰囲気に切り替える。
(pH制御)
核生成工程S10においては、核生成用水溶液を液温25℃基準におけるpHが、12.5~14.0、好ましくは12.5~13.5の範囲となるように制御する必要がある。pHが14.0を超える場合、生成する核が微細になり過ぎ、反応水溶液がゲル化する問題がある。また、pHが12.5未満では、核形成とともに核の成長反応が生じるので、形成される核の粒度分布の範囲が広くなり不均質なものとなってしまう。すなわち、核生成工程S10において、上述の範囲に反応水溶液のpHを制御することで、核の成長を抑制してほぼ核生成のみを起こすことができ、形成される核も均質かつ粒度分布の範囲が狭いものとすることができる。
本発明の一実施形態に係る遷移金属複合水酸化物の粒子構造は、核生成工程S10及び第一の粒子成長工程S21及び第二の粒子成長工程S22における反応雰囲気によって制御される。
遷移金属化合物としては、目的とする遷移金属を含有する化合物を用いる。使用する化合物は、水溶性の化合物を用いることが好ましく、硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩などがあげられる。例えば、ニッケル、コバルト、マンガンの金属化合物としては硫酸ニッケル、硫酸マンガン、硫酸コバルトが好ましく用いられる。
添加元素(Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の元素)は、水溶性の化合物を用いることが好ましく、例えば、硫酸チタン、ペルオキソチタン酸アンモニウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸バナジウム、バナジン酸アンモニウム、硫酸クロム、クロム酸カリウム、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、シュウ酸ニオブ、モリブデン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸アンモニウムなどを用いることができる。
遷移金属原料水溶液の濃度は、遷移金属化合物の合計物質量で好ましくは1~2.6mol/L、より好ましくは1.5~2.4mol/L、さらに好ましくは1.8~2.2mol/Lとする。遷移金属原料水溶液の濃度が1mol/L未満では、反応槽体積当たりの遷移金属複合水酸化物の生産量が少なくなるために生産性が低下して好ましくない。一方、遷移金属原料水溶液の塩濃度が2.6mol/Lを超えると、遷移金属原料水溶液の液温が低い場合に配管内で凍結して配管を詰まらせるなどの危険があるため、配管の保温もしくは加温する必要があり、コストがかかる。
上記遷移複合水酸化物の製造方法においては、非還元性錯化剤を用いることが好ましい。還元性のある錯化剤を用いると、反応水溶液中でのマンガンの溶解度が大きくなり過ぎ、高いタップ密度の遷移金属複合水酸化物が得られない。非還元性錯化剤は、特に限定されるものではなく、水溶液中でニッケルイオン、コバルトイオン及びマンガンイオンと結合して錯体を形成可能なものであればよい。例えば、アンモニウムイオン供給体、エチレンジアミン四酢酸、ニトリト三酢酸、ウラシル二酢酸及びグリシンなどが挙げられる。
反応水溶液中のアンモニア濃度は、好ましくは3~25g/L、より好ましくは5~20g/L、さらに好ましくは5~15g/Lの範囲内で一定値に保持する。
反応槽内において、反応液の温度は、好ましくは20~60℃、より好ましくは35~60℃に設定する。反応液の温度が20℃未満の場合、遷移金属イオンの溶解度が低いため核発生が起こりやすく制御が難しくなる。一方、60℃を超えると、アンモニアの揮発が促進されるため、所定のアンモニア濃度を保つために、過剰のアンモニウムイオン供給体を添加しなければならならず、コスト高となる。
反応水溶液中のpHを調整するアルカリ水溶液については、特に限定されるものではなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物水溶液を用いることができる。かかるアルカリ金属水酸化物の場合、直接、反応水溶液中に供給してもよいが、反応槽内における反応水溶液のpH制御の容易さから、水溶液として反応槽内の水溶液に添加することが好ましい。
本発明の一実施形態に係る遷移金属複合水酸化物の製造方法では、反応が完了するまで生成物を回収しないバッチ式の装置を用いる。例えば、撹拌機を設置したバッチ晶析反応槽などである。かかる装置を採用すると、一般的なオーバーフローによって生成物を回収する連続晶析装置のように、成長中の粒子がオーバーフロー液と同時に回収されるという問題が生じないため、粒度分布が狭く粒径の揃った粒子を得ることができる。
本発明の一実施形態に係るリチウム遷移金属複合酸化物活物質は、リチウムイオン二次電池に用いられる。また、上記リチウム遷移金属複合酸化物活物質の粒子の中心が空間である中空部と、当該中空部を覆う外殻部からなり、上記リチウム遷移金属複合酸化物は、少なくともニッケルを遷移金属の一つとして含む、α-NaFeO2型結晶構造であることを特徴とする。
本発明の一実施形態に係るリチウム遷移金属複合酸化物活物質は、正極活物質であるが、その組成が、一般式:Li1+sNixCoyMnzAtO2(-0.05≦s≦0.50、x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.7、0.1≦y≦0.4、0.1≦z≦0.4、0<t≦0.1、Aは、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の添加元素)で表されるように調整されることが好ましい。
本発明の一実施形態に係るリチウム遷移金属複合酸化物活物質は、平均粒径が1μmを超え、15μm以下であり、好ましくは3μmを超え、10μm以下が好ましい。平均粒径が5μm以下の場合には、タップ密度が低下して、正極を形成したときに粒子の充填密度が低下して、正極の容積あたりの電池容量が低下する場合がある。一方、平均粒径が15μmを超えると、リチウム遷移金属複合酸化物活物質の比表面積が低下して、電池の電解液との界面が減少することにより、正極の抵抗が上昇して電池の出力特性が低下する場合がある。
本発明の一実施形態に係るリチウム遷移金属複合酸化物活物質は、その粒度分布の広がりを示す指標である〔(D90-D10)/平均粒径〕が、1.0以下、好ましくは0.70以下である、きわめて均質性が高いリチウム遷移金属複合酸化物の二次粒子により構成されることが好ましい。粒度分布が広範囲になっている場合、正極活物質に、平均粒径に対して粒径が非常に小さい微粒子や、平均粒径に対して非常に粒径の大きい粗大粒子が多く存在することになる場合がある。微粒子が多く存在する正極活物質を用いて正極を形成した場合には、微粒子の局所的な反応に起因して発熱する可能性があり、安全性が低下するとともに、微粒子が選択的に劣化するのでサイクル特性が悪化してしまう。一方、粗大粒子が多く存在するリチウム遷移金属複合酸化物活物質を用いて正極を形成した場合には、電解液と正極活物質との反応面積が十分に取れず、反応抵抗の増加による電池出力が低下する。
本発明の一実施形態に係るリチウム遷移金属複合酸化物活物質は、タッピングをしたときの充填密度の指標であるタップ密度が、1.0g/cm3以上であることが好ましく、1.3g/cm3以上であることがより好ましい。
上記リチウム遷移金属複合酸化物活物質は、例えば、2032型コイン電池の正極に用いた場合、150mAh/g以上の高い初期放電容量と、低い正極抵抗及び高いサイクル容量維持率が得られるものとなり、リチウムイオン二次電池用正極活物質として優れた特性を示すものである。
本発明の一実施形態に係るリチウム遷移金属複合酸化物活物質の製造方法は、上記平均粒径、粒度分布、粒子構造及び組成となるように正極活物質を製造できるのであれば、特に限定されないが、以下の方法を採用すれば、当該リチウム遷移金属複合酸化物活物質をより確実に製造できるので好ましい。
熱処理工程S30は、上記遷移金属複合水酸化物の製造方法で得た遷移金属複合水酸化物を105~750℃、好ましくは105~400℃の温度に加熱して熱処理する工程である。この熱処理工程S30を行うことにより、複合水酸化物に含有されている水分を除去している。この熱処理工程S30を行うことによって、粒子中に焼成工程S50まで残留している水分を一定量まで減少させることができる。このため、得られる遷移金属酸化物活物質中の金属の原子数やリチウムの原子数の割合がばらつくことを防ぐことができる。
混合工程S40は、遷移金属複合水酸化物、あるいは上記熱処理工程S30において熱処理された複合水酸化物(以下、「熱処理粒子」ということがある)などと、リチウムを含有する物質、例えば、リチウム化合物とを混合して、リチウム混合物を得る工程である。
焼成工程S50は、上記混合工程S40で得られたリチウム混合物を焼成して、リチウム遷移金属複合酸化物を形成する工程である。焼成工程S50においてリチウム混合物を焼成すると、遷移金属複合水酸化物、あるいは熱処理粒子に、リチウムを含有する物質中のリチウムが拡散するので、リチウム遷移金属複合酸化物が形成される。
リチウム混合物の焼成は、650~1000℃で行われる。焼成温度が650℃未満であると、遷移金属複合酸化物中へのリチウムの拡散が十分でなく、余剰のリチウムと未反応の遷移金属複合酸化物が残ったり、あるいは結晶構造が十分整わなくなったりして、電池に用いられた場合に十分な電池特性が得られない。また、1000℃を超えるとリチウム遷移金属複合酸化物間で激しく焼結が生じるとともに、異常粒成長を生じることから粒子が粗大となり、球状二次粒子の形態を保持できなくなる。いずれの場合でも、電池容量が低下するばかりかでなく、正極抵抗の値も高くなってしまう。
焼成時間のうち、所定温度での保持時間は、少なくとも1時間以上とすることが好ましく、2~10時間とすることがより好ましい。1時間未満では、リチウム遷移金属複合酸化物の生成が十分に行われないことがある。
特に、リチウム化合物として、水酸化リチウムや炭酸リチウムを使用した場合には、焼成工程S50の前に、焼成温度より低く、かつ、350~800℃、好ましくは450~780℃の温度に1~10時間程度、好ましくは3~6時間保持して仮焼することが好ましい。あるいは、焼成温度に達するまでの昇温速度を遅くすることで、実質的に仮焼した場合と同様の効果を得ることができる。すなわち、水酸化リチウムや炭酸リチウムと遷移金属複合酸化物の反応温度において仮焼することが好ましい。この場合、水酸化リチウムや炭酸リチウムの上記反応温度付近で保持すれば、熱処理粒子へのリチウムの拡散が十分に行われ、均一なリチウム遷移金属複合酸化物を得ることができる。
焼成時の雰囲気は、酸化性雰囲気とするが好ましく、酸素濃度を10~100容量%の雰囲気とすることがより好ましく、上記酸素濃度の酸素と不活性ガスの混合雰囲気とすることが特に好ましい。すなわち、大気ないしは酸素気流中で行なうことが好ましい。酸素濃度が10容量%未満であると、酸化が十分でなく、リチウム遷移金属複合酸化物の結晶性が十分でない場合がある。
焼成によって得られたリチウム遷移金属複合酸化物は、凝集もしくは軽度の焼結が生じている場合がある。この場合には、解砕してもよく、これにより、リチウム遷移金属複合酸化物、つまり、本発明の正極活物質を得ることができる。なお、解砕とは、焼成時に二次粒子間の焼結ネッキングなどにより生じた複数の二次粒子からなる凝集体に、機械的エネルギーを投入して、二次粒子自体をほとんど破壊することなく二次粒子を分離させて、凝集体をほぐす操作のことである。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、正極と負極と非水系電解質を備える。また、上記正極及び上記負極のうち少なくとも一方は、上述したリチウム遷移金属複合酸化物活物質を含むことを特徴とする。
本発明の一実施形態により得られた正極活物質であるリチウム遷移金属複合酸化物活物質を用いて、例えば、以下のようにしてリチウムイオン二次電池の正極を作製する。
負極には、金属リチウムやリチウム合金など、あるいは、リチウムイオンを吸蔵及び脱離できる負極活物質に、結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅などの金属箔集電体の表面に塗布し、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを使用する。
正極と負極との間には、セパレータを挟み込んで配置する。セパレータは、正極と負極とを分離し、電解質を保持するものであり、ポリエチレンやポリプロピレンなどの薄い膜で、微少な孔を多数有する膜を用いることができる。
電解質として、非水系電解液あるいは固体電解質を用いることができる。非水系電解液は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものである。
以上のように説明してきた正極、負極、セパレータ及び非水系電解質で構成される本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、円筒形や積層形など、種々の形状にすることができる。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、150mAh/g以上の高い初期放電容量、10Ω以下の低い正極抵抗が得られ、高容量で高出力である。また、従来のリチウムコバルト系酸化物またはリチウム遷移金属系酸化物の正極活物質との比較においても、熱安定性が高く、安全性においても優れているといえる。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、常に高容量を要求される小型携帯電子機器(ノート型パーソナルコンピュータや携帯電話端末など)の電源に好適である。
(核生成工程S10)
まず、有効容積60Lの反応槽内に、水を10L入れて撹拌しながら、槽内温度を40℃に調整した。この時の反応槽内には空気を5L/分で送り込み、酸化性雰囲気(酸素濃度:21容量%)とした。この反応槽内に、20質量%水酸化ナトリウム水溶液と25質量%アンモニア水を適量加えて、液温25℃基準で、槽内の反応液のpHが13.0となるように調整した。また、当該反応前水溶液中のアンモニア濃度を10g/Lに調節してアンモニウム供給体とした。
核生成工程S10終了後、核を含有する粒子成長用水溶液のpHが液温25℃基準で11.0になるまで、64質量%硫酸を加えてpH調整を行った。
第一の粒子成長工程S21終了後、遷移金属原料水溶液の給液を一旦停止し、反応槽内空間部の酸素濃度が0.1容量%以下となるまで窒素ガスを10L/minで流通させた。また、第一の粒子成長用水溶液のpHが液温25℃基準で11.6になるまで、20%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH調整を行った。
得られた遷移金属複合水酸化物を150℃、12時間熱処理したのち、市販の炭酸リチウムを、金属とリチウムのモル比(Li/M比)が1.2となるように加えて、シェーカーミキサー装置(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製TURBULA TypeT2C)を用いて十分に混合し、混合物を得た。この混合物を空気(酸素:21容量%)気流中にて950℃で焼成し、さらに解砕してリチウム遷移金属複合酸化物活物質を得た。
核生成工程S10及び第一の粒子成長工程S21における反応槽内の雰囲気を非酸化性雰囲気(酸素濃度:0.1容量%)とした以外は実施例と同じ方法で遷移金属複合水酸化物及びリチウム遷移金属複合酸化物活物質を得た。
実施例におけるリチウム遷移金属複合酸化物活物質の吸油量は、比較例のそれよりも高い値であった。また、実施例におけるコインセルの正極抵抗は、比較例のそれよりも低い値であり、優れた出力特性を発現しうる。
S30 熱処理工程、S40 混合工程、S50 焼成工程
Claims (7)
- リチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体である遷移金属複合水酸化物であって、
前記遷移金属複合水酸化物は、結晶構造が異なる中心部と外周部からなる二層構造であり、
前記中心部は、遷移金属水酸化物の結晶層間に水分子が挿入されたアルファ型遷移金属水酸化物からなり、
前記外周部は遷移金属複合水酸化物の結晶層間に水分子を含まないベータ型遷移金属水酸化物からなることを特徴とする遷移金属複合水酸化物。 - 前記遷移金属複合水酸化物は、一般式:NixCoyMnzAt(OH)2+a(x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.7、0.1≦y≦0.4、0.1≦z≦0.4、0<t≦0.1、0≦a≦0.5、Aは、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の添加元素)で表されることを特徴とする請求項1に記載の遷移金属複合水酸化物。
- 前記遷移金属複合水酸化物は、平均粒径D50が3μm以上、8μm以下、(D90-D10)/D50が1.0以下、BET比表面積が10m2/g以上、30m2/g以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の遷移金属複合水酸化物。
- リチウムイオン二次電池用正極活物質の前駆体である遷移金属複合水酸化物の製造方法であって、
一種以上の遷移金属化合物を含む遷移金属原料水溶液とアンモニウムイオン供給体とを含む核生成用水溶液を、液温25℃基準でのpHが12.5以上、かつアンモニウムイオン濃度が25g/L以下、雰囲気中の酸素濃度が10容量%以上となるように制御して晶析反応槽に供給し核を生成させる核生成工程と、
生成された前記核を粒子成長させる第一の粒子成長工程と第二の粒子成長工程とを有し、
前記第一の粒子成長工程では、前記核生成工程で生成された前記核を含有する粒子成長用水溶液を、液温25℃基準におけるpHが10.5~11.5、かつアンモニウムイオン濃度が25g/L以下、雰囲気中の酸素濃度が10容量%以上となるように制御しつつ、前記遷移金属原料水溶液と前記アンモニウムイオン供給体とを連続的に供給し、
前記第二の粒子成長工程では、液温25℃基準におけるpHが11.5~12.0、かつアンモニウムイオン濃度が25g/L以下、雰囲気中の酸素濃度が1容量%以下となるように制御しつつ、前記遷移金属原料水溶液と前記アンモニウムイオン供給体とを連続的に供給することを特徴とする遷移金属複合水酸化物の製造方法。 - リチウムイオン二次電池に用いられるリチウム遷移金属複合酸化物活物質であって、
前記リチウム遷移金属複合酸化物活物質の粒子の中心が空間である中空部と、該中空部を覆う外殻部からなり、
前記リチウム遷移金属複合酸化物は、少なくともニッケルを遷移金属の一つとして含む、α-NaFeO2型結晶構造であり、
前記リチウム遷移金属複合酸化物活物質のDBP給油量が40.3ml/100g以上であることを特徴とするリチウム遷移金属複合酸化物活物質。 - 前記リチウム遷移金属複合酸化物は、一般式:Li1+sNixCoyMnzAtO2(-0.05≦s≦0.50、x+y+z+t=1、0.3≦x≦0.7、0.1≦y≦0.4、0.1≦z≦0.4、0<t≦0.1)で表され、AはAl、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の元素を含むことを特徴とする請求項5に記載のリチウム遷移金属複合酸化物活物質。
- 正極と負極と非水系電解質を備えるリチウムイオン二次電池であって、
前記正極及び前記負極のうち少なくとも一方は、請求項5又は6に記載のリチウム遷移金属複合酸化物活物質を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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