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JP7095795B1 - 硫化物系固体電解質粉末の製造方法 - Google Patents

硫化物系固体電解質粉末の製造方法 Download PDF

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JP7095795B1 JP2021161523A JP2021161523A JP7095795B1 JP 7095795 B1 JP7095795 B1 JP 7095795B1 JP 2021161523 A JP2021161523 A JP 2021161523A JP 2021161523 A JP2021161523 A JP 2021161523A JP 7095795 B1 JP7095795 B1 JP 7095795B1
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Abstract

【課題】加熱乾燥する際の加熱空間の露点が高い場合でも、リチウムイオン伝導率の低下を抑制できる硫化物系固体電解質粉末の製造方法の提供。【解決手段】リチウムイオン二次電池に用いられる硫化物系固体電解質粉末の製造方法であって、Li、P及びSを含む、結晶相及びアモルファス相の少なくとも一方を含む硫化物系固体電解質を得ること、前記硫化物系固体電解質を露点-40~-60℃の雰囲気下で粉砕して粉末にすること、及び前記粉末を加熱乾燥すること、を順に含み、前記粉砕は非水系有機溶媒を用いて行い、前記粉砕で用いる前記非水系有機溶媒中に含まれる水分濃度をx(ppm)とし、前記加熱乾燥における加熱空間の水分濃度をy(g/m3)としたときに、y<0.00085x+0.056、かつ30<x≦170の関係を満たす、硫化物系固体電解質粉末の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明はリチウムイオン二次電池に用いられる硫化物系固体電解質粉末の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、携帯電話やノート型パソコン等の携帯型電子機器に広く用いられている。
従来、リチウムイオン二次電池においては液体の電解質が使用されてきたが、液漏れや発火等が懸念され、安全設計のためにケースを大型化する必要があった。また、電池寿命の短さ、動作温度範囲の狭さについても改善が望まれていた。
これに対し、安全性の向上や高速充放電、ケースの小型化等が期待できる点から、固体電解質をリチウムイオン二次電池の電解質として用いる全固体型リチウムイオン二次電池が注目されている。
固体電解質は、硫化物系固体電解質と酸化物系固体電解質とに大別される。硫化物系固体電解質を構成する硫化物イオンは、酸化物系固体電解質を構成する酸化物イオンに比べて分極率が大きく、高いリチウムイオン伝導性を示す。硫化物系固体電解質として、Li10GeP12等のLGPS型の結晶や、LiPSCl等のアルジロダイト型の結晶、Li11結晶化ガラス等のLPS結晶化ガラス等が知られている。
硫化物系固体電解質をリチウムイオン二次電池に適用してセルを組む際に、粉砕して硫化物系固体電解質粉末とすることが多い。具体的には、粉砕した硫化物系固体電解質粉末を分散媒に分散させてスラリー化し、シート塗工することでシート状に成形した後、焼結により硫化物系固体電解質層が形成される。
硫化物系固体電解質を粉砕して粉末とするに際し、正極や負極の活物質との接触性の観点から、硫化物系固体電解質粉末の微粒化が求められている。これに対し、特許文献1では、非水系溶媒中で硫化物系固体電解質の粗粒子を多段粉砕することで、平均粒径が0.1~10μmである硫化物系固体電解質微粒子が得られることが開示されている。
特開2008-004459号公報
硫化物系固体電解質が水分と反応して劣化しやすい性質を鑑みると、非水系有機溶媒中で硫化物系固体電解質を粉砕する際の非水系有機溶媒中の水分濃度は低い方が良い。同様に、その後の加熱乾燥工程における水分濃度も低い方が良く、例えば露点を-70℃程度とするか、それ以下の温度とすることが望まれる。
しかしながら、硫化物系固体電解質粉末を量産する場合には、容器スケールが大きくなることから、特に加熱乾燥する際の気密性を高く維持することが困難である。その結果、加熱乾燥する際の加熱空間の露点を低く維持できない場合があり、例えば-60℃程度かそれ以上の温度となる。
加熱空間の露点が高くなると、硫化物系固体電解質を粉砕する際の非水系有機溶媒中の水分濃度を低くしても、加熱乾燥される際に硫化物系固体電解質が水分と反応して劣化し、硫化物系固体電解質粉末のリチウムイオン伝導率が低下する。
そこで本発明は、加熱乾燥する際の加熱空間の露点が高い場合でも、リチウムイオン伝導率の低下を抑制できる硫化物系固体電解質粉末の製造方法の提供を目的とする。
本発明者が、鋭意検討を重ねた結果、硫化物系固体電解質を粉砕する際の非水系有機溶媒中の水分濃度を低くし過ぎると、次いで露点の高い雰囲気下で加熱乾燥して得られる硫化物系固体電解質粉末のリチウムイオン伝導率が低下することが分かった。これは、粉砕後の粉末と共に存在する非水系有機溶媒中の水分濃度が低いほど、平衡状態を保とうと、加熱空間中の水分が非水系有機溶媒中へ移動することで、硫化物系固体電解質が水分と反応して劣化するためではないかと考えている。
これに対し、粉砕する際の非水系有機溶媒中の水分濃度を一定以上とすることで、加熱乾燥において、加熱空間中の水分の非水系有機溶媒中への移動が抑制され、その結果、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記[1]~[5]に関するものである。
[1] リチウムイオン二次電池に用いられる硫化物系固体電解質粉末の製造方法であって、Li、P及びSを含む、結晶相及びアモルファス相の少なくとも一方を含む硫化物系固体電解質を得ること、前記硫化物系固体電解質を粉砕して粉末にすること、及び前記粉末を露点-60~-40℃の雰囲気下で加熱乾燥すること、を順に含み、前記粉砕は非水系有機溶媒を用いて行い、前記粉砕で用いる前記非水系有機溶媒中に含まれる水分濃度をx(ppm)とし、前記加熱乾燥における加熱空間の水分濃度をy(g/m)としたときに、y<0.00085x+0.056、かつ30<x≦170の関係を満たす、硫化物系固体電解質粉末の製造方法。
[2] 前記非水系有機溶媒中に含まれる水分濃度が50~150ppmである、前記[1]に記載の硫化物系固体電解質粉末の製造方法。
[3] 前記結晶相及びアモルファス相の少なくとも一方は、さらにHaを含み、前記Haは、F、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である、前記[1]又は[2]に記載の硫化物系固体電解質粉末の製造方法。
[4] 前記結晶相の結晶構造はアルジロダイト型を含む、前記[1]~[3]のいずれか1に記載の硫化物系固体電解質粉末の製造方法。
[5] 前記加熱乾燥を100℃以上の温度で行う、前記[1]~[4]のいずれか1に記載の硫化物系固体電解質粉末の製造方法。
本発明によれば、硫化物系固体電解質を粉砕した後に加熱乾燥する際の加熱空間の露点が-60℃以上と高い場合でも、リチウムイオン伝導率の低下が抑制された硫化物系固体電解質粉末が得られる。そのため、リチウムイオン二次電池への適用に際して硫化物系固体電解質を量産する場合であって、特に加熱乾燥する際の気密性を高く維持することが困難である場合でも、高いリチウムイオン伝導率を維持できる。これにより、リチウムイオン二次電池の電池特性の向上が期待できる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施できる。また、数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
また、本明細書におけるppmとは、質量ppmを意味する。
本明細書における非水系有機溶媒とは、硫化物系固体電解質粉末を溶解させるための非水系媒体ではなく、硫化物系固体電解質粉末を分散させるための非水系の液状媒体を意味する。
<硫化物系固体電解質粉末の製造方法>
本実施形態に係る硫化物系固体電解質粉末(以下、単に固体電解質粉末と称することがある。)の製造方法は、下記工程1~工程3を順に含む。得られる硫化物系固体電解質粉末は、リチウムイオン二次電池に用いられる。
(工程1)Li、P及びSを含む、結晶相及びアモルファス相の少なくとも一方を含む硫化物系固体電解質を得る工程、
(工程2)工程1で得られた硫化物系固体電解質を粉砕して粉末にする工程、
(工程3)工程2で得られた粉末を露点-60~-40℃の雰囲気下で加熱乾燥する工程。
工程2の粉砕は非水系有機溶媒を用いて行う。
工程2の粉砕で用いる非水系有機溶媒中に含まれる水分濃度をx(ppm)とし、工程3の加熱乾燥における加熱空間の水分濃度をy(g/m)としたときに、下記関係を満たす。
y<0.00085x+0.056、かつ、30<x≦170
以下に、工程1~工程3について、順に説明する。
(工程1)
Li、P及びSを含む、結晶相及びアモルファス相の少なくとも一方を含む硫化物系固体電解質を得る工程は、従来工程の方法を適用できる。
一実施形態として、原材料を混合してLi、P及びSを含む原材料混合物を得る工程、原材料混合物を反応させる工程、及び、結晶化又はアモルファス化する工程を含むことが好ましい。
原材料混合物を反応させる工程は、加熱反応でもメカノケミカル反応でもよい。なお、原材料混合物を加熱して結晶化してもよく、その場合には、別途結晶化又はアモルファス化する工程を含まずともよい。
また、工程1において、上記のように結晶化やアモルファス化により結晶相やアモルファス相を得る他に、結晶化度を高める工程や結晶を再配列する工程を含んでもよい。
原材料は所望する結晶相又はアモルファス相の組成によっても異なるが、Haを含むアルジロダイト型の結晶相やHaを含むLPS型の結晶化ガラスを得たい場合には、Li、P及びSに加えてHaを含む原材料を選択する。Haとは、F、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。
アルジロダイト型の結晶構造を取るためには、Haとして、Cl及びBrの少なくとも一方を含むことがより好ましく、Clを含むことがさらに好ましく、Cl単体又はCl及びBrの混合体がよりさらに好ましい。
Liを含有する化合物としては、例えば、硫化リチウム(LiS)、酸化リチウム(LiO)、炭酸リチウム(LiCO)、水酸化リチウム(LiOH)、硫酸リチウム(LiSO)等のリチウム化合物やリチウム金属単体等が挙げられる。
Pを含有する化合物としては、例えば、三硫化二リン(P)、五硫化二リン(P)等の硫化リン、リン酸リチウム(LiPO、Li、LiPO)、リン酸ナトリウム(NaPO、Na、NaPO)等のリン化合物やリン単体等が挙げられる。
Sを含有する化合物としては、上記硫化リチウム(LiS)や上記硫化リン(P、P)や硫化水素(HS)等が挙げられ、硫黄単体も使用できる。
Haを含有する化合物のうち、Cl(塩素)を含有する化合物としては、例えば、塩化リチウム(LiCl)、三塩化リン(PCl)、五塩化リン(PCl)、四塩化二リン(PCl)、塩化ホスホリル(POCl)、二塩化硫黄(SCl)、二塩化二硫黄(SCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、三塩化ホウ素(BCl)等が挙げられる。
Haを含有する化合物のうち、Br(臭素)を含有する化合物としては、例えば、臭化リチウム(LiBr)、三臭化リン(PBr)、塩化ホスホリル(POBr)、二臭化二硫黄(SBr)、臭化ナトリウム(NaBr)、三臭化ホウ素(BBr)等が挙げられる。
上記の中でも、アルジロダイト型の結晶を得たい場合には、硫化リチウムと、硫化リンと、塩化リチウム及び臭化リチウムの少なくとも一方と、の組み合わせが好ましい。また、アルジロダイト型結晶以外の場合においてもLi-P-S-Ha組成を含む場合、硫化リチウムと、硫化リンと、塩化リチウム及び臭化リチウムの少なくとも一方と、の組み合わせが好ましい。
これら原材料は大気中で非常に不安定で、水と反応して分解し、硫化水素ガスの発生や酸化のおそれがある。そのため、不活性雰囲気中で混合することが好ましい。
原材料の混合は、例えば、遊星ボールミルの様なメディアを用いた混合、ピンミルや粉体撹拌機、気流混合の様なメディアレス混合等を採用できる。原材料は加熱前の混合により、非晶質化してもよい。
Li、P及びS、場合によってはさらにHaを含む原材料混合物を加熱溶融し、冷却する加熱反応で結晶化又はアモルファス化できる。また、原材料混合物を加熱することで結晶化するなど、メカノケミカル反応で結晶化又はアモルファス化してもよい。
原材料を加熱溶融し、冷却により結晶化又はアモルファス化する場合には、冷却時の冷却速度や圧力等、冷却の条件を変えることによって結晶の状態を調整できる。
加熱溶融の条件は従来公知の条件を適用できる。例えば、加熱温度は600~900℃が好ましい。加熱溶融の時間は0.1~10時間が好ましい。加熱溶融時の圧力は常圧~微加圧が好ましい。加熱溶融時の露点は-20℃以下が好ましく、下限は特に制限されないが、通常-80℃程度である。また酸素濃度は1000ppm以下が好ましい。
加熱溶融した原材料混合物を、例えば常圧下で1℃/秒以上の冷却速度で急冷することにより結晶化を行ってもよい。また、その後にさらに熱処理を行うことで、安定化処理を行ってもよい。また、急冷によりアモルファス状態のものを得て、そのまま用いてもよい。また、アモルファス状態のものを再度加熱することにより、結晶化させたものを用いてもよい。
原材料混合物を加熱することで結晶化又はアモルファス化する場合には、加熱の条件は従来工程の条件を適用できる。例えば、加熱の雰囲気は、不活性ガス雰囲気下、硫化水素ガス雰囲気下、硫黄ガス雰囲気下、真空封管の下、等が挙げられる。加熱温度は200℃以上600℃未満が好ましい。加熱時間は1~100時間が好ましい。
(工程2)
工程2では、工程1で得られた硫化物系固体電解質を粉砕して粉末にする。粉砕は、非水系有機溶媒を用いた湿式粉砕を行う。
硫化物系固体電解質を量産化する場合、多量の非水系有機溶媒が必要となることから、脱水するのが困難となり、また、溶媒のタンクが大きくなることで気密性が低くなりやすい。具体的には、硫化物系固体電解質の量産時には数tonスケールの非水系有機溶媒が必要となり、このように非常に多量の非水系有機溶媒を高いレベルで脱水することは難しく、また、脱水した後の容器の気密性の確保も困難である。そのため使用する非水系有機溶媒に含まれる水分濃度xは、30ppm超とする。
工程2に続く工程3の加熱乾燥を行う加熱空間の露点が-60℃以上と高いため、粉砕後の粉末と共に存在する非水系有機溶媒中の水分濃度が低いほど、加熱空間中の水分濃度の平衡状態を保とうと、加熱空間中の水分が非水系有機溶媒中へ移動しやすくなる。かかる水分の非水系有機溶媒中への移動に伴って硫化物系固体電解質が水分と反応して劣化するのを抑制する観点から、非水系有機溶媒中に含まれる水分濃度xは50ppm以上が好ましく、60ppm以上がより好ましく、70ppm以上がさらに好ましい。
また、硫化物系固体電解質の粉砕時に、硫化物系固体電解質が水と反応してリチウムイオン伝導率が低下することを防ぐ観点から、水分濃度xは170ppm以下であり、150ppm以下が好ましく、120ppm以下がより好ましく、100ppm以下がさらに好ましい。
また、硫化物系固体電解質粉末は静電気を帯びやすい性質を有することから、ハンドリングの面で量産性が低下する。これに対し、非水系有機溶媒中の水分濃度xを30ppm超とすることで、硫化物系固体電解質粉末の静電気発生を抑制し、ハンドリング性を向上する。かかる観点からも、非水系有機溶媒中に含まれる水分濃度xの下限を上記範囲にすることが好ましい。
非水系有機溶媒の水分濃度の調整は従来公知の方法を適用できる。例えば、水分の吸脱着量が既知の水分吸脱着剤を有機溶媒中に浸して一晩撹拌する方法、水分濃度が当該非水系有機溶媒とは10ppm以上異なる非水系有機溶媒を別途用意して混合して用いる方法、非水系有機溶媒を蒸留して調整する方法等が挙げられる。中でも、水分濃度が当該非水系有機溶媒とは10ppm以上異なる非水系有機溶媒を別途用意して混合して用いる方法により水分濃度を調整することが好ましい。
非水系有機溶媒の種類は特に限定されないが、炭化水素系溶媒、ヒドロキシ基を含有した有機溶媒、エーテル基を含有した有機溶媒、カルボニル基を含有した有機溶媒、エステル基を含有した有機溶媒、アミノ基を含有した有機溶媒、ホルミル基を含有した有機溶媒、カルボキシ基を含有した有機溶媒、アミド基を含有した有機溶媒、ベンゼン環を含有した有機溶媒、メルカプト基を含有した有機溶媒、チオエーテル基を含有した有機溶媒、チオエステル基を含有した有機溶媒、ジスルフィド基を含有した有機溶媒、ハロゲン化アルキル等が挙げられる。
炭化水素系溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエンが挙げられ、飽和水分濃度が低い観点から、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタンが好ましい。また、水分濃度を調整する観点から、これら炭化水素系溶媒を、トルエンやジブチルエーテル等と混ぜた混合溶媒とすることも好ましい。
非水系有機溶媒中の水分濃度は、カールフィッシャーを用いた電量滴定法で測定でき、例えば、日東精工アナリテック社製の水分測定装置CA-310等を使用できる。
粉砕は、得られる粉末の粒子径D50は、リチウムイオン二次電池に適用した際に、正極又は負極の活物質との接触性の観点から、1.5μm以下となるように行うことが好ましく、粉砕後の粉末の粒子径D50は1.3μm以下がより好ましく、1.1μm以下がさらに好ましい。また、ハンドリング性の観点から、粉砕後の粉末の粒子径D50は0.6μm以上が好ましく、0.7μm以上がより好ましく、0.8μm以上がさらに好ましい。
得られる粉末の粒子径D50は、例えば、用いる非水系有機溶媒の種類を変えたり混合溶媒とすることにより調整できる。
(工程3)
工程3では、工程2で得られた粉末を露点-60~-40℃の雰囲気下で加熱乾燥する。
工程2の粉砕で用いる非水系有機溶媒中に含まれる水分濃度x(ppm)に対し、工程3の加熱乾燥における加熱空間の水分濃度y(g/m)が、下記関係を満たす。ただし、30<x≦170である。
y<0.00085x+0.056
上記関係を満たすことで、工程3の加熱空間の露点が-60~-40℃と比較的高い場合であっても、工程2で得られた粉末と共に存在する非水系有機溶媒中への水分の移動が抑制され、硫化物系固体電解質粉末の水との反応も抑制できる。
また、加熱空間の水分濃度y(g/m)は露点と対応するので置き換えてもよい。すなわち、露点-60℃とは水分濃度yが0.019g/mの場合であり、露点-40℃とは水分濃度yが0.176g/mの場合である。したがって、加熱空間の露点が-60~-40℃とは、水分濃度yが0.019~0.176g/mと同じ意味である。
加熱空間の水分濃度yは、加熱空間中の水分の非水系有機溶媒中への移動をより抑制させるため、下記関係を満たすことが好ましい。ただし、この際は、x>50である。
y<0.00157x-0.0595
加熱空間の水分濃度yは、0.019(露点-60℃に相当)以上であるが、量産時の露点管理のしやすさおよび硫化物系固体電解質のハンドリング性の観点から、0.0351(露点-55℃に相当)以上が好ましい。また、水分濃度yは、リチウムイオン伝導率の低下を抑制する観点から、0.176(露点-40℃に相当)以下であり、0.106(露点-45℃に相当)以下が好ましい。
加熱空間の水分濃度や露点の調整は従来公知の方法を適用できる。例えば、静電容量式の露点計を用いて加熱部の排気ポートの露点を測定することで、測定された露点を加熱部の露点と見做せる。また、加熱設備が複雑な構造の場合、温度と露点に対して、例えばリチウムイオン伝導率などの特性が既知である固体電解質を内部標準として用い、加熱部の局所的な露点も推定できる。
加熱乾燥を行う温度は、硫化物系固体電解質粉末から非水系有機溶媒を除去する観点から100℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、180℃以上がさらに好ましく、200℃以上が特に好ましい。また、品質を保持できる範囲であれば特に上限温度はないが、量産設備の観点からは、通常300℃以下である。
加熱乾燥を行う時間は、硫化物系固体電解質粉末から非水系有機溶媒を除去する観点から0.1時間以上が好ましく、0.5時間以上がより好ましく、1.0時間以上がさらに好ましい。また、生産性の観点から、加熱乾燥を行う時間は12時間以下が好ましく、8時間以下がより好ましく、6時間以下がさらに好ましい。
加熱乾燥を行う圧力は特に限定されないが、減圧することで加熱空間中の水分濃度を調整してもよい。また、減圧下で加熱乾燥を行う際には、加熱乾燥を行う温度が上記の範囲よりも低くても、非水系有機溶媒を除去できる。例えば、圧力を1.0×10-4Paとした場合には、加熱乾燥を行う温度は70℃以上であれば、硫化物系固体電解質粉末から非水系有機溶媒を除去する観点から好ましい。なお、圧力は1.0×10-4Paに限定されず、例えば1.0×10-5~1.0×10-2Paが好ましい。また、加熱温度も70℃以上に限定されず、例えば60~100℃が好ましい。
本実施形態に係る硫化物系固体電解質粉末の製造方法では、上記工程1~工程3の他に、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに他の工程を含んでもよい。
工程1~工程3以外の他の工程を含む場合において、他の工程で熱処理を施す場合には、工程3と同様、露点-60~-40℃の雰囲気下で行い、また、その加熱空間の水分濃度(g/m)が、工程2の粉砕で用いる非水系有機溶媒中に含まれる水分濃度x(ppm)に対して(0.00085x+0.056)未満の値(ただし、xは30超170以下)とすることが好ましく、(0.00157x-0.0595)未満の値(ただし、xは50超)とすることがより好ましい。
<硫化物系固体電解質>
本実施形態に係る製造方法により得られる硫化物系固体電解質粉末の粉砕前の硫化物系固体電解質は、結晶相及びアモルファス相の少なくとも一方を含む。この硫化物系固体電解質を粉砕、加熱乾燥して得られる本実施形態に係る硫化物系固体電解質粉末も、同様に、結晶相及びアモルファス相の少なくとも一方を含む。また、本実施形態における硫化物系固体電解質について以下に述べる好ましい態様は、本実施形態における硫化物系固体電解質粉末の好ましい態様となる。
結晶相又はアモルファス相は、Li、P及びSを含むものであれば特に限定されず、公知のものを適用できる。硫化物系固体電解質は、結晶相とアモルファス相の少なくとも一方を含めばよく、両方を含んでいてもよい。
中でも、結晶相及びアモルファス相の少なくとも一方は、Li、P及びSに加えてHaを含有することが、高いリチウムイオン伝導率を得る観点から好ましい。Haは、F、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。
結晶相の結晶構造としては、例えば、Li10GeP12、Li9.54Si1.741.4411.7Cl0.3等のLGPS型、LiPSCl、LiPSCl0.5Br0.5等のアルジロダイト型が挙げられる。また、アモルファス相としては、Li11等のLPS結晶化ガラス、Li、P及びSに加えてHaを含有した組成からなる結晶化ガラス等が挙げられる。結晶相やアモルファス相の相構造は、1種のみでも、2種以上でもよい。
結晶相を含む場合、その結晶構造は、アルジロダイト型を含むことが結晶構造の対称性の観点から好ましい。対称性が高い結晶は、リチウムイオン伝導のパスが三次元に広がり、粉体を成型した際に好ましい。また、粉砕して粉体を得る観点においてもリチウムイオン伝導率を保持し易く好ましい。
アルジロダイト型の結晶構造を取るためには、結晶相はLi、P及びSに加えてHaを含む。Haは、Cl及びBrの少なくとも一方を含むことがより好ましく、Clを含むことがさらに好ましく、Cl単体又はCl及びBrの混合体がよりさらに好ましい。
アルジロダイト型の結晶は、Li、P、S及びHaを含み、X線粉末回折(XRD)パターンにおいて、2θ=15.7±0.5°及び30.2±0.5°の位置にピークを有するものであると定義できる。XRDパターンは上記に加え、さらに2θ=18.0±0.5°の位置にもピークを有することが好ましく、さらに2θ=25.7±0.5°の位置にもピークを有することがより好ましい。
アルジロダイト型の結晶は、LiPSHaで表した際に、5<a<7、4<b<6かつ0<c<2の関係を満たすことが、結晶がアルジロダイト型となりやすいことから好ましい。かかる元素比は、5.1<a<6.3、4<b<5.3かつ0.7<c<1.9の関係を満たすことがより好ましく、5.2<a<6.2、4.1<b<5.2かつ0.8<c<1.8の関係を満たすことがさらに好ましい。
すなわち、aについて、5<a<7が好ましく、5.1<a<6.3がより好ましく、5.2<a<6.2がさらに好ましい。bについて、4<b<6が好ましく、4<b<5.3がより好ましく、4.1<b<5.2がさらに好ましい。cについて、0<c<2が好ましく、0.7<c<1.9がより好ましく、0.8<c<1.8がさらに好ましい。なお、本明細書において、「元素比」は、元素の含有量(at%)の比を意味する。
アルジロダイト型の結晶の場合、好ましい結晶構造は、例えばF-43m等の立方晶であるが、対称性が落ちた、六方晶、正方晶、直方晶、単斜晶等や、更に対称性が落ちた三斜晶等が存在してもよい。
アルジロダイト型の結晶を構成するHaがCl及びBrを含む場合、アルジロダイト型の結晶におけるClの含有量をx(at%)、Brの含有量をy(at%)とした場合に、(x/y)で表される比は0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましい。また、(x/y)で表される比は10以下が好ましく、3以下がより好ましく、1.6以下がさらに好ましい。
(x/y)で表される比が上記範囲を満たすことで、リチウムイオンとハロゲン化物イオンとの相互作用が弱まり、硫化物系固体電解質のリチウムイオン伝導率が良好となりやすい。これは、塩化物イオンよりもイオン半径の大きな臭化物イオンを混合することで、カチオンとアニオンとの間の相互作用を弱める混合アニオン効果の影響だと考えられる。また、(x/y)で表される比が上記範囲を満たすことでリチウムイオン二次電池のサイクル特性が向上しやすい。
また、HaがCl及びBrを含む場合、アルジロダイト型の結晶を構成する元素の含有量(at%)の比をLi-P-S-Clc1-Brc2で表した際に、c1は0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましい。c1は1.5以下が好ましく、1.4以下がより好ましく、1.3以下がより好ましい。c2は0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましい。c2は1.9以下が好ましく、1.6以下がより好ましく、1.4以下がより好ましい。
c1及びc2がそれぞれ上記範囲を満たすことで、結晶中のハロゲン化物イオンの存在割合を最適なものとし、結晶中のアニオンとリチウムイオンとの相互作用を低くしながら、安定なアルジロダイト型の結晶が得られる。これにより、固体電解質のリチウムイオン伝導率が良好となりやすい。また、c1及びc2が上記範囲を満たすことでリチウムイオン二次電池のサイクル特性が向上しやすい。
ここでa、b及び(c1+c2)は、上述のa、b及びcと同様の関係を満たすことが好ましい。
結晶相を構成する結晶の結晶子サイズは、硫化物系固体電解質粉末を用いて硫化物系固体電解質層として電池化した際に良好なリチウムイオン伝導性を得る観点から、小さい方が好ましい。具体的には、結晶子サイズは1000nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましく、250nm以下がさらに好ましい。結晶子サイズの下限は特に限定されないが、通常5nm以上である。
結晶子サイズは、XRDパターンのピークの半値幅とシェラーの式を用いることにより算出できる。
本実施形態の硫化物系固体電解質における結晶相は、その結晶構造中に対アニオンが固定されている。また、硫化物系固体電解質におけるアモルファス相も、組成を調整することで構造中にアニオン構造を形成できる。
対アニオン又はアニオン構造は、結晶構造等の構造によって異なるが、PS 3-、P 4-、P 4-、O2-、S2-、Se2-、F、Cl、Br、I等が挙げられる。
中でも、四面体構造であるPS 3-を含むことが、結晶の耐熱性の向上や、熱力学的な安定効果の観点から好ましい。
なお、アルジロダイト型の結晶がLiPSClである場合、LiPSClを構成する対アニオンはPS 3-四面体である。その他に、対アニオンがPS 3-四面体である結晶相として、LGPS型の結晶、LPS型の結晶化ガラス等が挙げられる。
結晶相に含まれる対アニオンの構造は、XRDパターンから行った構造解析より確認できる。また、アモルファス相に含まれるアニオン構造は、Raman分光法や核磁気共鳴(NMR)法により確認できる。
本実施形態における硫化物系固体電解質には、Li、P及びSを含む結晶相やアモルファス相以外に、上記のような対アニオンやアニオン構造を取るサイトに置換される酸化物アニオン等のアニオンや、LiPS、Li、LiS、LiHa(HaはF、Cl、Br、及びIから選ばれる少なくとも1種のハロゲン元素)等が含まれていてもよい。
硫化物系固体電解質においてLi、P及びSを含む結晶相及びアモルファス相を構成する元素の含有量の合計は、高いリチウムイオン伝導率を実現する観点から60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。また、含有量の合計の上限は特に限定されず、100質量%でもよい。また、結晶相やアモルファス相が2種以上存在する場合には、それらの合計が上記範囲であることが好ましい。
結晶相やアモルファス相を構成する元素の含有量の合計は、ICP発光分析、原子吸光法、イオンクロマトグラフ法などを用いた組成分析により求められる。結晶相の割合は、内部標準物質を含有させて、XRDや中性子線散乱により測定後、内部標準物質とのピーク強度を比較することにより算出できる。
(リチウムイオン二次電池)
本実施形態における硫化物系固体電解質は、リチウムイオン二次電池に用いられるにあたり、水分との反応が抑制されるため、高いリチウムイオン伝導率を有する。また、静電気発生が抑制され、ハンドリング性にも優れる。
本実施形態における硫化物系固体電解質粉末は、量産時に容器スケールが大きくなることに付随して、特に加熱乾燥する際の気密性を高く維持することが困難で、加熱空間の露点を低く維持できない場合の、リチウムイオン伝導率の低下を抑制するものである。そのため、同条件で作製された硫化物系固体電解質を、工程2において水分濃度xが30ppm以下の非水系有機溶媒を用いて粉砕し、かつ、工程3において露点が-60℃以上の加熱空間で加熱乾燥して得られた硫化物系固体電解質粉末や、上記(0.00085x+0.056)で表される値が、工程3の加熱乾燥における加熱空間の水分濃度y(g/m)以下となる条件で得られた硫化物系固体電解質粉末よりも、リチウムイオン伝導率が大きくなればよく、具体的なリチウムイオン伝導率は、硫化物系固体電解質の組成によって異なる。
別の指標としては、小スケールで硫化物系固体電解質粉末を得る際には可能となる環境、例えば、同条件で得られた硫化物系固体電解質に対して、工程2の粉砕時の非水系有機溶媒の水分濃度xを20ppmとし、かつ、工程3の加熱空間の露点を-80℃として得られる硫化物系固体電解質粉末のリチウムイオン伝導率を基準(100%)とした場合、リチウムイオン伝導率は85%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、93%以上がさらに好ましい。また、上限は特に限定されず、高いほど好ましい。リチウムイオン伝導率は100%以上となってもよいが、通常は100%未満である。
なお、本明細書におけるリチウムイオン伝導率は、硫化物系固体電解質粉末を380kNの圧力で圧粉体とし、交流インピーダンス測定装置を用いて、測定周波数:100Hz~1MHz、測定電圧:100mV、測定温度:25℃の条件で測定した際に得られるナイキスト(Nyquist)プロットから求められる値である。
硫化物系固体電解質粉末は、リチウムイオン二次電池に用いられるにあたり、必要に応じてバインダー等の他の成分とともに固体電解質層を形成する。バインダーや他の成分は、従来公知の物が用いられる。
固体電解質層全体に対して、硫化物系固体電解質粉末の含有量は80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。
固体電解質層の形成方法も従来公知の方法が用いられる。湿式成形の例として、固体電解質層を構成する成分を溶媒に分散あるいは溶解させてスラリーとし、層状、すなわちシート状に塗工し、乾燥させ、任意にプレスすることで固体電解質層を形成できる。必要に応じて、熱をかけて脱バインダー処理を行ってもよい。当該スラリーの塗工量等を調整することで、固体電解質層の厚みを容易に調整できる。
また、湿式成形ではなく、硫化物系固体電解質粉末等を、正極又は負極等の表面上において乾式でプレス成形することで固体電解質層を形成してもよい。その他に、他の基材上に固体電解質層を形成し、これを、正極又は負極等の表面上に転写してもよい。
硫化物系固体電解質粉末は、正極活物質又は負極活物質と混合して、正極層又は負極層として用いてもよい。正極層又は負極層に用いられる正極活物質又は負極活物質、集電体、バインダー、導電助剤等は、従来公知の物が用いられる。
硫化物系固体電解質粉末が用いられるリチウムイオン二次電池は、上記固体電解質層と、正極層と、負極層とを含む。
リチウムイオン二次電池の外装体の材料も、従来公知の物を使用できる。リチウムイオン二次電池の形状も従来公知の物を使用できるが、例えば、コイン型、シート状(フィルム状)、折り畳み状、巻回型有底円筒型、ボタン型等が挙げられ、用途に応じて適宜選択できる。
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
例1~例8は実施例であり、例9~例12は比較例であり、例13は、小スケールで製造する際に実現可能な環境で得られた硫化物系固体電解質粉末であり、参考例である。
(例1)
工程1として、ドライ窒素雰囲気下で、Li5.30.954.2Cl0.8Br0.8の組成比となるように、硫化リチウム粉末(Sigma社製、純度99.98%)、五硫化二リン粉末(Sigma社製、純度99%)、塩化リチウム粉末(Sigma社製、純度99.99%)及び臭化リチウム粉末(Sigma社製、純度99.99%)を秤量し、同雰囲気中、遊星ボールミルを用いて400rpmで4時間混合した。次いで、混合物を石英管に真空封入し、450℃で5時間加熱することで、アルジロダイト型の結晶を含む硫化物系固体電解質を得た。その後、乳鉢で粉砕を行い、目開き44μmのメッシュパスを行い、比表面積が0.3m/gの粉末を得た。
工程1で得られた硫化物系固体電解質2gに対し、工程2として、非水系有機溶媒として水分濃度50ppmのヘプタン(CAS番号142-82-5):ジブチルエーテル(CAS番号142-96-1)=5:3(質量比)の混合溶媒8gを、45mLサイズのジルコニア製の密閉式ポットに入れた。この密閉式ポットに、さらにジルコニア製のボールを入れて、遊星ボールミル機(井上製作所製LP-M4)にて200rpm×45分の条件で湿式粉砕を行い粉末を得た。
得られた粉末に対し、工程3として、露点-50℃(水分濃度0.0617g/m)、温度180℃の加熱空間で2時間、加熱乾燥を行い、硫化物系固体電解質粉末を得た。
(例2~例13)
例1の工程1と同様の方法で得られた硫化物系固体電解質に対し、工程2における非水系有機溶媒の水分濃度、及び、工程3における加熱空間の露点(水分濃度)の少なくとも一方を表1に記載の値に変更した以外は例1と同様にして、硫化物系固体電解質粉末を得た。
(評価:リチウムイオン伝導率)
硫化物系固体電解質粉末を380MPaの圧力で圧粉体として測定サンプルとし、交流インピーダンス測定装置(Bio-Logic Sciences Instruments社製、ポテンショスタット/ガルバノスタット VSP)を用いてリチウムイオン伝導率を測定した。測定条件は、測定周波数:100Hz~1MHz、測定電圧:100mV、測定温度:25℃とした。
例13のリチウムイオン伝導率の値を1としたときの、硫化物系固体電解質粉末のリチウムイオン伝導率の比を、表1の「評価」「Li伝導率(比)」に示す。なお、リチウムイオン伝導率が0.85以上であれば、リチウムイオン二次電池に用いられる電解質として良好な値と言える。
Figure 0007095795000001
例1~例8の硫化物系固体電解質粉末は、いずれもハンドリング性が良好であった。
また、上記結果から工程2における非水系有機溶媒の水分濃度xが30ppm超であっても、170ppm以下であれば、工程3における加熱空間の水分濃度y(g/m)がy<0.00085x+0.056の関係を満たすことで、リチウムイオン伝導率の低下を抑制できていることが分かる。
例えば、工程3における加熱空間の水分濃度yが同じである例5と例9とを比較すると、例9の方が工程2における非水系有機溶媒の水分濃度xが低いにも関わらず、例5はy<0.00085x+0.056の関係を満たすことによって、すなわち、加熱空間の水分濃度yと非水系有機溶媒の水分濃度xとの兼ね合いによって、リチウムイオン伝導率の低下率が、例5で9%、例9で20%というように、例5の方が低下が非常に抑制されていることが分かる。また、例8と例9を比べても、例9の方が、工程2における非水系有機溶媒の水分濃度xが低く、工程3における加熱空間の水分濃度yも低く、工程2、工程3単独で見ると、いずれも好ましい条件に思えるにも関わらず、リチウムイオン伝導率の低下率が、例8で10%、例9で20%と、例8の方が低下が非常に抑制されている。
また、例2と例7を比べると、水分濃度yは同じであり、水分濃度xは例2の方がかなり低いにも関わらず、リチウムイオン伝導率の低下は例7の方が抑制された結果となった。これも、工程2と工程3の環境が各々良ければ良いというわけではないことを示しており、特筆すべき点である。
さらに、y<0.00157x-0.0595の関係を満たすと、リチウムイオン伝導率の低下は、より抑制される結果となった。

Claims (3)

  1. リチウムイオン二次電池に用いられる硫化物系固体電解質粉末の製造方法であって、
    Li、P及びSを含む、結晶相を含む硫化物系固体電解質を得ること、
    前記硫化物系固体電解質を、非水系有機溶媒を用いて粉砕して粉末にすること、及び
    前記非水系有機溶媒と共に存在する前記粉末を露点-60~-40℃の雰囲気下、100~300℃の温度で加熱乾燥すること、
    を順に含み、
    前記結晶相の結晶構造はアルジロダイト型を含み、
    記粉砕で用いる前記非水系有機溶媒中に含まれる水分濃度をx(ppm)とし、前記加熱乾燥における加熱空間の水分濃度をy(g/m)としたときに、
    y<0.00085x+0.056、かつ
    30<x≦170
    の関係を満たす、硫化物系固体電解質粉末の製造方法。
  2. 前記非水系有機溶媒中に含まれる水分濃度が50~150ppmである、請求項1に記載の硫化物系固体電解質粉末の製造方法。
  3. 前記結晶相は、さらにHaを含み、
    前記Haは、F、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である、請求項1又は2に記載の硫化物系固体電解質粉末の製造方法。
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