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JP5977257B2 - 適応可能な断熱を提供する積層構造 - Google Patents

適応可能な断熱を提供する積層構造 Download PDF

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Description

本発明は適応可能な断熱を提供する構造に関し、及び具体的には適応可能な断熱を提供する積層構造に関する。当該積層構造は、布帛又は布地の設計において、具体的には個人用保護具、例えば、防護服又は手袋のような他の機能性衣料などの衣料の用途において用いてよい。
防護服又は機能性衣料は典型的には、環境の影響から着用者を保護することが必要とされる、又は所与の環境条件下で望まれる機能特性を提供することが必要とされる、消火活動、警察、軍隊又は工業の作業などの用途において用いられる。この衣料は、熱、炎、又は液体による衝撃から着用者を保護することが必要とされる場合がある。この衣料が着用者に、彼が行うことになっている作業を彼がすることができる、十分な快適さを提供することが、典型的に望まれている。
防護服又は機能性衣料が用いられる一つの用途として、消防士の衣料について言及すると、当該衣料は、一方では、炎及び熱に対するかなりの程度の断熱を提供することが必要とされる。これは、衣料が、外側から内側へこの衣料を通過する熱伝達を効果的に抑制することを必要とする。他方では、消防士の衣料は、その衣料を着用している間、消防士が彼の作業を効果的に行うことができるようにする、十分な可撓性と通気性を提供することが必要とされる。これは、内側から外側へ衣料を通過して、ある程度の水蒸気が移動する(通気性)ことのできる衣料を必要とする。
消防士の衣料により提供されるべき断熱は、幅広い環境温度の下で効果的であることが必要とされる。すなわち、極端な場合について言及すると、消防士の衣料は、環境温度が約1000℃以上になる場合がある火災において、炎の「フラッシュオーバー」にさらされる際に、消防士を保護するのに十分な断熱を提供することが必要とされる。このような場合、その衣料は、少なくとも一時的に、衣料の外殻で約800〜900℃の温度にさらされることになる。重度の火災の場合、消防士が炎に近づかなければならない際に、さらに衣料の外殻は、最大約350℃の温度にさらされる。消防士の皮膚における温度は、約24℃未満の増加までに下げられるべきである。
技術的な、火災に関連しない課題において、従来の消防士衣料は、通常は必要とされない熱性能のレベルを示し、厚くて重い衣料の層に起因して低い快適さ(衣料の低通気性など)を招く。衣料が幅広い断熱を提供することが必要とされる上述の消防士の衣料のような用途において、静的構造、すなわち断熱を提供する構造により、最悪の場合のシナリオにおいて必要とされる全ての要件を、いつまでも満たすことは、典型的には難しい。
いくつかの動的概念が提案されている。このような動的概念の裏側にあるアイデアは、所与の環境条件に従って異なる程度の断熱を提供する構造を作り出すというものである。提供された断熱は、その外側において及び/又はその内側において、該構造が経験する環境温度に適合する可能性がある。
防火の分野において、膨張システムの概念が開発されてきており、様々な用途において、例えば防火扉用の膨張ガスケットにおいて、又はパイプ用の膨張コーティングの形で、用いられている。このような膨張システムは典型的には、熱への暴露下で発泡プロセスにさらされる、固体物を有する膨張物質を伴い、このようにして体積及びその結果断熱性質を増加させる。通常このような発泡プロセスは、膨張物質が所定の活性化温度に供されるときに開始する。発泡プロセスの結果として、膨張物質は多孔質になる、すなわちその密度を減少させてその体積を増加させるが、それでもまだ固体構造を保持する。典型的な膨張物質は、ケイ酸ナトリウム、膨張性の黒鉛若しくは炭素含有材料、及びかなりの量の水和物である。
消防士の衣料又は他の機能性衣料を製造するために膨張材料を用いることが提案されてきた。米国特許出願公開第2009/0111345(A1)号明細書は、通気性を維持しながら、着用者を熱又は炎から保護する、防水水蒸気透過性布帛/衣料のための、適応可能な絶縁(insulation)を提供する構造を開示している。ポリマー樹脂-膨張性黒鉛混合物に基づく膨張物質は、炎バリアと耐液体バリアとの間に位置している。米国特許出願公開第2009/0111345(A1)号明細書は、約200℃の活性化温度、及び300℃で90秒の暴露後の、少なくとも200%の膨張物質の体積増加を明確に記述している。試験は、消防士の衣料の布帛に適用された際に、このアプローチには限界があるということを示している。
膨張メカニズムを使って熱保護を提供する難燃性可撓性の材料を製造するためのさらなるアプローチが、国際公開第2009/025892(A2)号明細書に示されている。この材料において、複数の不連続した保護板は、お互いに間隔をあけた関係をもって、可撓性の支持体布帛の外表面に貼りつけられている。この保護板は、十分な熱への暴露下で著しく膨張する膨張材料を包含する。それによって、活性化下で、連続した断熱性及び難燃性の外殻フィルムが形成される。一実施態様において、保護板は、熱への暴露下で蒸発する水又は水性溶液を包含する熱膨張性マイクロカプセルを包含し、それによって、それらが破裂してそれらの内容物を放出し、酸素を追い出して炎を消すまで、炎源からの熱を吸収し、マイクロカプセルを膨張させる。水-封入マイクロカプセルの活性化温度は、約100℃〜400℃であると報告されている。
膨張システムに代わるものとして、形状記憶合金材料又はバイメタル材料を用いて消防士の衣料用の適応可能な断熱を提供することが提案されている。国際公開第99/05926(A1)号明細書参照のこと。このアプローチによれば、動的な、熱的に適応可能な、絶縁(insulation)システムは、外殻布帛と内側のライナー布帛との間に配置されたスペーサー材料に基づく。このスペーサー材料は、らせん形状、槽形状、若しくはコイル形状に形状記憶処理(trained)された形状記憶合金であってよく、又はバイメタルストリップ若しくはスナップディスクであってよい。約65℃〜75℃(形状記憶合金)、及び50℃(バイメタルストリップ)の活性化温度が報告されている。上記で議論された膨張システムに基づく提案とは対照的に、国際公開第99/05926(A1)号明細書は、原則として、複数の活性化/不活性化サイクルを経ることのできる可逆的システムを提供する。
国際公開第2008/097637(A1)号明細書は、外殻布帛、防湿バリア及びサーマルライナーを含む熱的バリアを有する複合布帛システムを開示している。このサーマルライナーは、活性化されていない状態において、熱可塑性バインダーにより圧縮状態に保たれている、縮れた耐熱性繊維から作られている、少なくとも1つの熱的に膨張する耐炎性布帛を含む。このサーマルライナーが熱又は炎にさらされると、このライナーはその厚さを少なくとも3倍に増加させると報告されている。
本発明は、高い温度に対して適応可能な断熱を可能にする改良された積層構造を提供することを企図している。特定の用途において、本発明は、防護服及び/又は機能性衣料における使用のための、特に消防士の衣料における使用のための布帛を提供することを企図し、前記布帛は当該改良された積層構造を包含する。
本発明は、第一の層;第二の層;該第一の層と該第二の層との間に設けられた少なくとも1つの空洞;活性化されていない構成及び活性化された構成を有するガス発生剤(該ガス発生剤は、空洞内の温度の上昇に応答して、空洞内部のガス圧を上昇させるように、該活性化されていない構成から該活性化された構成へ変化するよう適合されている)を含む、適応可能な断熱を提供する積層構造であって、該第一の層、該第二の層及び該空洞が、該第一の層と該第二の層との間の距離が空洞内部のガス圧の上昇に応答して増加するように配置されている、積層構造を提供する。
本発明は、断熱能力を温度の上昇に応答して増加させる、適応可能な断熱構造を提供する。温度が常温又は動作温度の範囲から、高温の範囲に上昇する際に、当該構造が断熱能力の明白な上昇を示す場合があることが最近実証されてきた。いくつかの実施態様において、より低い温度での第一の(通常、より低い)断熱能力から、より高い温度での第二の(通常、より大きい)断熱能力への、明白な上昇を得ることができる。好ましい実施態様において、断熱能力の明白な上昇は、活性化温度に関係がある場合がある。すなわち該構造は温度が活性化温度かそれ以上に上昇するときに活性化される。
本明細書中で用いられる積層構造は、少なくとも該構造の活性化されていない状態において、長さ方向と幅方向により特定されるように、本質的に横方向に延在し、かつ薄い、平面又はシート状の構成を有する構造を特定する。長さ方向と幅方向に対して直交する方向に、長さ及び幅よりもはるかに小さい厚さを構成が有する場合、その構成は薄いと見なされる。典型的な用途において、本明細書中で特定される積層構造は、曲げに関して可撓性の積層構造、又は硬質積層構造となる。
第一の及び第二の層は、積層構造の厚さ方向にお互いに向き合うように配置された層であってよい。第一の及び第二の層は、必ずしも隣接する層である必要はない。空洞に加えて、積層構造の他の構造要素、例えば絶縁(insulating)材料を、第一の層と第二の層との間に入れてよい。第一の及び第二の層は通常、本質的にお互いに平行に、そして厚さ方向に対して直角に、延在することとなる。第一の層と第二の層との間の距離は、厚さ方向に測定することができる。第一の層及び/又は第二の層が同一平面にないが、浮出し及び/又はくぼみを有する構造を有している場合、層間の距離は、所与の参照平面を参照することを意図されている。実用的な実装において、第一の層及び第二の層は、例えば布帛の層、例えば第一の布帛層と第二の布帛層との間に挟み込まれている空洞を有する第一の布帛層及び第二の布帛層であってよい。第一の層及び第二の層は、それぞれ内層及び外層と呼んでもよい。衣料に用いられる布帛への、本発明の積層構造の適用において、「内層」という用語は、着用者の体に向けられ典型的には着用者の皮膚のできるだけ近くに配置された層を意味する。その一方で「外層」という用語は、着用者の体から離れる方に、環境に向けられている層を意味する。
上昇する温度に供されると、ガス発生剤はガスを空洞内で発生させ始めることとなり、そしてそれ故に空洞内のガス圧が上昇することとなる。空洞内部の上昇するガス圧は、空洞の「膨張」を引き起こす。膨張の結果として、空洞はその厚さを増し、それによって第一の層と第二の層との間の距離が増加する。その結果として、「ガス層」又は「空気層」(空気が第一の層と第二の層との間のスペースの中に入っている)が第一の層と第二の層との間に形成され、このことが、ガス/空気の熱伝導が低いため、及び第一の層と第二の層との間の距離が増加したために、効果的な断熱を提供する。
ガス発生剤は、第一の層と第二の層がお互いに離れあうための「ドライバー」であり、第一の層と第二の層との間の距離を増加させること及び絶縁(insulating)体積を増加させることを目的としている。温度に応じて、ガス発生剤は活性化されていない構成及び活性化された構成を有してよい。ガス発生剤の活性化されていない構成において、適応可能な断熱構造は、その活性化されていない状態にある。適応可能な断熱の積層構造の活性化された状態は、ガス発生剤の構成の変化により得られる。ガス発生剤は、活性化されていない構成において、空洞内に包含されていてよい。ガス発生剤は、液体、固体、若しくはゲル、又はそれらの組み合わせのいずれかであってよい。ガスの発生は、物理的変換(すなわち液体から気体への及び/若しくは固体から気体への相転移並びに/又は吸着気体の放出)によって、若しくは化学的変換(すなわち、少なくとも1つのガス状生成物を放出する化学反応)によって、又はそれらの組み合わせによって起こってよい。ガス発生剤の望ましい活性化閾値、例えば活性化温度を、少なくとも2つの化合物の混合物の形のガス発生剤を提供することによって、好適に調整することができるということが分かってきた。一例として、望ましい沸点を有する液体のガス発生剤を、2以上の「純粋な」液体を混合することにより提供することができる。
本発明によれば、空洞及びガス発生剤は、温度の上昇に供されたときに体積を増加させる、熱的に活性化された可膨張式複合構造を形成する。本発明はこのように、温度の上昇に供されたときの膨張物質の挙動と類似した効果を提供するが、膨張とは全く異なるプロセスを用いる。本明細書中に記載の積層構造において、空洞及びガス発生剤は、空洞の体積の増加が第一の層と第二の層との間の距離の著しい増加を引き起こすように構成される。それによって、本質的に空気及び/又はガスで満たされた絶縁(insulating)体積が第一の層と第二の層との間に形成される。温度の上昇に伴いコンパクトな固体構造から多孔質固体構造へと構成を変化させる既知の膨張物質とは異なり、本発明に係る「疑似-膨張」複合構造は、より低い温度での非膨張状態からより高い温度での膨張状態へ、その構成を変化させる。発泡プロセスが活性化の後に開始し、膨大な複数の個々の空洞が形成されるという結果を伴う既知の膨張物質とは対照的に、本発明は活性化されていない状態においてすでに存在する所定の形状の空洞を提供する。活性化の後、この空洞は、体積を増加させるように及び第一の層と第二の層との間の距離を増加させるように、その形状を変化させる。
本発明者らは、このような「疑似-膨張」複合積層構造が、その活性化温度及び活性化の速度(すなわち、温度が活性化温度に達したときの温度の上昇に伴う断熱能力の増加速度)の観点から、どの既知の膨張物質よりもはるかにうまく調整及び制御することができるということを発見した。さらに、必要に応じて、複数のサイクルにおいてさえも、活性化された状態から活性化されていない状態へシステムをリセットするのを可能にする、可逆的「疑似-膨張」複合積層構造をも製造することができることが示された。
活性化されていない構成におけるガス発生剤は、空洞内に包含されていてよく、第一の層と第二の層との間の距離が、ガス発生剤の活性化されていない構成における第一の距離から、ガス発生剤の活性化された構成における第二の距離に増加するように、所定の活性化温度を超える空洞内の温度に応答して、空洞内でガスを発生するように適合されていてよい。
活性化温度は、ガス発生剤が大量のガスを空洞内で生じはじめ、空洞内のガス圧が増加しはじめ、そして空洞内部のガス圧のこのような上昇が空洞の体積増加(「膨張」)を引き起こす温度であると意図される。
ガス発生剤の活性化された構成における、第一の層と第二の層との間の第二の距離は、ガス発生剤の活性化されていない構成における、第一の層と第二の層との間の第一の距離よりも、1mmかそれ以上大きくてよい。具体的な実施態様において、第二の距離は、第一の距離よりも3mmかそれ以上大きくてよく、又は6mmかそれ以上大きくてもよい。
一実施態様において、積層構造はさらに、少なくとも1つの空洞を囲んでいる少なくとも1つのエンベロープを含んでよい。特に、このエンベロープは、空洞の体積が空洞内部のガス圧の上昇に応答して増加するように構成されてよい。
上記のように、ガス発生剤を中に包含する空洞を囲んでいるエンベロープはそれだけで、発明の貢献であるとみなされる。当該エンベロープは、適応可能な断熱を、衣料を製造するために用いられる布地積層構造を含む幅広い積層構造に提供するために用いてよい。記載されているタイプのエンベロープは、適応可能な断熱機能性を既存の積層構造、例えば衣料に用いられる積層構造に提供するために、又は既存の従来の積層構造、例えば衣料に用いられる積層構造の断熱機能性を向上させるために、用いられてもよい。それ故に、別の形態において、本発明は適応可能な断熱を提供する積層構造に用いられるように適合されたエンベロープを提供し、ここで、このエンベロープは活性化されていない構成及び活性化された構成を有するガス発生剤をその中に包含した少なくとも1つの空洞を囲んでおり、このガス発生剤は空洞内の温度の上昇に応答して空洞内部のガス圧を上昇させるようにするために活性化されていない構成から活性化された構成へ変化するように適合されており、このエンベロープは空洞内部のガス圧の上昇に応答して空洞の体積が増加するように構成されている。
好ましい実施態様において、エンベロープは流体密封の形で空洞を囲むように構成される。
エンベロープは、少なくとも積層構造の活性化されていない状態において、流体の形状のガス発生剤が空洞外へ漏れるのを妨げるような、流体密封であってよい。流体とは、剪断応力を加えると流動する物質である。流体は、物質の相の部分集合である。そして、液相、気相、プラズマ及び塑性の固相を包含してよく、それらの混合物を含んでもよい。流体はまた、未臨界相又は超臨界相を包含してもよい。それ故に、このエンベロープはガス発生剤に対して、少なくともガス発生剤の活性化されていない構成に関して、本質的に不透過性と見なされる。
第一の形態に係るエンベロープの流体密封性は、月又はさらに年単位の、相当に長い時間スケールに関連している。第一の形態に係る流体密封性を試験する方法の例を以下に記載する。
第二の形態において、エンベロープは、活性化された時にガス発生剤から発生するガスに関してすら流体密封であってよい。積層構造が活性化されている間、少なくとも一時的に提供されている、このような流体密封性は、ガス発生剤を大幅に失うことなく、積層構造を活性化するのを可能にする。第二の形態に係るエンベロープの流体密封性がよりよくなればなるほど、可逆的ガス発生剤を備える積層構造について得ることのできる活性化/不活性化サイクルの回数がより多くなる。
エンベロープが、少なくとも部分的に、伸縮性又は弾性材料を含むことは、必要とは限らない。驚いたことに、エンベロープが非伸縮性材料で作られている場合でも、ガス発生剤の活性化された構成において空洞内で生成されるガス圧に供されることに対して、エンベロープの体積を十分に大きく増加させることさえできる。エンベロープに非伸縮性材料を用いる利点は、何回もの活性化/不活性化サイクルの後であっても、流体密封の性質を保持するのを可能にする、よりいっそう頑丈な材料を利用することができることである。さらに、非伸縮性材料を用いると、活性化された構成におけるエンベロープのサイズをよりよく制御することができることが分かった。
「非伸縮性」という用語は、エンベロープが作られている材料が、活性化の後に上昇したエンベロープ内部のガス圧に供されたときに、どの方向へも著しくは伸長しないという意味で理解されるべきものである。第一の層と第二の層との間の距離の増加及び/又はエンベロープの体積の増加は、結果的にエンベロープの形状を、「扁平形状」から「凸状形状」へ変化させることができる。このような形状の変化は、活性化されていない構成から活性化された構成へガス発生剤がますます変化する際に作り出されるガス圧下で、エンベロープの所与の表面積に対してその体積を増加させる、空洞の傾向に起因する。このプロセスは、空洞の平均の厚さ又は高さの増加を引き起こし、そしてそれによって第一の層と第二の層との間の距離を増加させる。
特定の実施態様において、エンベロープは、ガス発生剤の活性化された構成において、空洞内のある温度範囲に対して耐熱性の材料で作られてよい。
「耐熱性」という用語は、所定の温度上昇(例えば10℃の上昇)だけ活性化温度よりも高い負荷温度に、所定の時間、材料が耐えることができるということを特定すると理解される。典型的には、この温度は活性化温度よりも10℃高く、この時間は1分以上である。要求される耐熱性性質は、積層構造の適用、例えば衣料中の他の層に対する、衣料中の積層構造の位置によって決まる。積層構造がより熱源の方へ位置づけられるほど、温度抵抗性に対する要求はますます高くなる。一つの実施態様において、温度は少なくとも活性化温度よりも10℃高く1分間である。別の実施態様において、温度は活性化温度よりも50℃高く2分間である。消防士用途に好ましい実施態様において、温度は活性化温度よりもおおよそ150℃高く2分間である。
エンベロープは、単一のピースから構成されていてよく、又は共に接着されているいくつかのピースから構成されていてよい。
一実施態様において、エンベロープはお互いに付着した複数のエンベロープ層の複合構造を有してよい。一つの実施態様において、エンベロープ層は、積層によって共に接着されていてよく、その個別の領域において接着されているか、又はその領域全体にわたって接着されている。2以上の層は、お互いの上に積層されていてよい。このような層状構造を有するエンベロープにおいて、前記層状構造の少なくとも1つの層が流体密封性を提供し、そしてそれ故に流体密封層を形成すれば、十分であろう。
別の実施態様において、エンベロープ層は流体密封の単一の層(単層)で作られてよい。前記層は、溶接又は接着によりエンベロープに形成させ得る。
いくつかの実施態様において、エンベロープは少なくとも2つのエンベロープピースで作られていてよい。この少なくとも2つのエンベロープピースは、間に空洞を囲むように、共に接着させてよい。このような構成において、好ましくは、エンベロープピースのそれぞれは、望まれる通り、流体密封性を提供する。そして、各2つの隣接するエンベロープピースは流体密封の形で共に接着される。流体密封性は、ガス発生剤の活性化されていない構成(上記の流体密封性の第一の形態参照)について提供されるべきであるが、好ましくは、流体密封性はまた、少なくとも所定の時間の間、ガス発生剤の活性化された構成(上記の流体密封性の第二の形態参照)について、維持される。好ましくは、エンベロープの流体密封性は複数の活性化/不活性化サイクルの後でさえも維持される。
いくつかの材料を、流体密封層を形成するために用いてよく、材料には、金属又は合金(アルミニウム;金;鉄;軟鋼;ステンレス鋼;鉄系合金;アルミニウム系合金;真ちゅう)、ポリマー(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)のようなポリオレフィン;ポリ塩化ビニル(PVC);ポリスチロール(PS);ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタラート PET);ポリカーボネート;ポリイミド;ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE);エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE);ポリフッ化ビニリデン(PVDF))、ガラス、セラミック、ナノ材料(例えばオルモサー(ormocers)(登録商標)などの有機的に改質されたセラミック)、無機有機ナノコンポジット)などがあるが、これらに限定されない。この流体密封層は、望ましい流体密封性を得る目的で、任意の前述の材料又はこれらの材料の任意の組み合わせでできている複数の単層から、形成されていてよい。一般に、この流体密封層は、十分な可撓性を有する目的で、薄くなることとなり、厚さは2mmかそれよりも小さい。好ましい実施態様において、この流体密封層は、厚さが1mmよりも小さい。
追加のシーリング層を流体密封層に、少なくともその片面上に、例えばカレンダリングによって、適用させてよい。このシーリング層は、熱可塑性ポリマー(例えばポリウレタン(PU);PP;PE;ポリエステル)を包含してよい。このシーリング層は、流体密封層の流体密封性を向上させることができ、そして2つのエンベロープピースを共に溶接して流体密封エンベロープを作り出すことを可能にすることができる。流体密封層の接着特徴を向上させるために、例えばコロナ放電、プラズマ放電、プライマー、による層表面の前処理を用いることができる。可能性のある溶接方法としては、熱シーリング、超音波溶接及びマイクロ波溶接がある。
さらに可能性のある実施態様において、例えば熱可塑性グルー、シリコーン、コンタクト接着剤、反応性グルーシステムから作られている1又は複数のグルービーズが、接着されるべき流体密封層の少なくとも一方の表面に適用され、そして次に他方の表面が該グルービーズに付着される。
例として、エンベロープは金属/プラスチック複合材料で作られてよい。
一つの実施態様において、アルミニウム/プラスチック複合材料がエンベロープの形成に用いられる。このような複合体は、ポリエチレンテレフタラート(PET)-層、アルミニウム(Al)-層及びポリエチレン(PE)-層を含んでよい。Al-層の合理的な厚さの範囲は、4μm〜25μmである。一つの実施態様において、このような複合体は、Al-層の厚さが少なくとも12μmである場合、十分に流体密封であることが示されている。本発明のさらなる実施態様において、Al-層は1枚以上のAlシートを含むことができる。1枚より多くのAl-シートがある場合、これらのシートはお互いに付着し、1枚の単一Al-層を形成する。数枚のAl-シートの付着は、連続する接着性ポリマーシートを用いてAlシートを共に接着することで実施されうる。別の実施態様において、Alシートは蒸着プロセスを用いて形成することができる。このPE-層は、シーリング層として用いてよく、それによって、隣接するエンベロープ層を、エンベロープを作成する目的で、固有の領域において、流体密封的に共に接着することができる。PE-層の厚さは、20μm〜60μmが可能である。好ましい厚さは、約40μmである。PET-層は、エンベロープの外表面の望ましい特徴を提供する被覆層として用いてよい。一例において、12μm厚のPET-層を用いてよい。前に記載の複合層構造は、Kobusch-Sengewald GmbH社、Germanyより入手してよい。
エンベロープを形成するための他の可能性のある複合層としては、以下のものがあるが、それらに限定されない。
-PET/アルミニウム/ポリプロピレン(シーリング層)(商標:Flexalcon(登録商標)でAlcan Packaging GmbH社、Germanyより市販)で形成される層状複合構造
-PET/接着剤/アルミニウム/接着剤/コポリマー/ポリエチレン(商標:Tubalflex(登録商標)でAlcan Packaging GmbH社、Germanyより市販)で形成される層状構造
一実施態様において、活性化されていない構成におけるガス発生剤は、液体の形状をしていてよい。この場合、この適応可能な断熱の積層構造の活性化温度は、ガス発生剤の沸点に対応してよい。
別の実施態様において、ガス発生剤として固体又はゲルを用いてよい。このような固体は、好ましくは大きい表面積を提供する粉末の形状である。ゲルは、化学的及び/又は物理的接着メカニズム(例えば共有結合などの化学的メカニズム又はファンデルワールス結合、立体的結合効果などの物理的メカニズム)に従い、官能基がその中に組み込まれている化合物である。ゲルの例としては、ヒドロゲルがある。ゲルは、限られたごく少量の固体を有してよい。固体又はゲルは、エンベロープの流体密封性の要件に起因して、液体よりも取扱いが容易である。
液体又は固体のガス発生剤の活性化は、物理的変換、つまり気相への相転移を伴ってよい。このガス発生剤は、液体の形状であってよく、その結果、活性化によってガス発生剤の蒸発が起こる。気相へ昇華することのできる固体のガス発生剤を用いることも可能である。
温度の上昇の速度を落とすために、熱エネルギーを潜熱に変換することは意図されていない。むしろ、全ての熱エネルギーを、第一の層と第二の層との間の距離の増加に変換することが意図される。相転移が、潜熱を提供する必要がない場合、空洞中のガス生成は速い。そしてそれ故に、第一の層と第二の層との間の距離の速い増加を、活性化温度で達成することができる。これは特に、低い活性化温度で有利である。なぜなら、約50℃といういくぶん低い活性化温度まで下がっても、速い活性化速度を得ることができるということが見出されたためである。衣料においては、それ故に、本発明の積層構造は、最高温度、例えば炎中に通常さらされる衣料の外側に、近接して位置づける必要がない。むしろ、この積層構造を衣料のより内側、すなわち着用者の皮膚の方へ位置づけることが可能である。このような配置は、用いられる材料の耐熱性に関する要件を少なくする。
一実施態様において、ガス発生剤の蒸発のエンタルピー又は昇華のエンタルピーは、大きくなくてよい。蒸発のエンタルピーは、150J/gか又はさらに低くてよい。別の実施態様において、物理的脱着又は化学反応の場合、ガス発生剤の活性化エネルギーは低くてよい。
流体のガス発生剤の場合、このガス発生剤の沸点は200℃よりも低くてよい。具体的な実施態様においては、30℃〜100℃、好ましくは30〜70℃、さらにより好ましくは40〜60℃及び最も好ましくは45℃〜55℃の沸点が用いられてきている。特定の実施態様において、約49℃の沸点を有する流体が用いられてきている。このような流体の例は、1,1,1,2,2,4,5,5,5-ノナフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-3-ペンタノン CF3CF2C(O)CF(CF3)2を含む流体(「3M ノベック(NOVEC)(登録商標)1230 消火薬剤(Fire Protection Fluid)」として市販)である。当該流体の蒸発のエンタルピーは、約88J/gである。
いくつかの実施態様において、1又は複数の以下の特徴を有する流体ガス発生剤を用いてよい。すなわち、室温よりも低い液体の凝固点;200℃よりも高い不燃又は発火温度;無害性;無毒性又は少なくとも低毒性;低オゾン層破壊係数;低地球温暖化係数;高い化学的及び/又は温度安定性。流体の熱分解が起こる場合、当該熱分解は可逆的であることが好まれる。
ガス発生剤は、以下の化合物又はそれらの混合物を含む群より選択してよいが、これらに限定されない。すなわち、ハイドロクロロフルオロカーボン;ハイドロフルオロポリエーテル;ハイドロフルオロエーテル;ハイドロフルオロカーボン;ハイドロフルオロケトン;ペルフルオロ類似体(perfluoro-analogies)など。典型的には、当該液体は、熱交換器、冷却、空調、消火活動、電子産業における洗浄/冷却液などの用途に用いられる。
考えられる流体の例としては、以下のものがある。すなわち、ガルデン(Galden)(登録商標)HT55、ガルデン(Galden)(登録商標)SV55、ガルデン(Galden)(登録商標)ZV60(すべてSolvay Solexisより市販);ノベック(NOVEC)(登録商標)1230 消火薬剤(Fire Protection Fluid)、ノベック(NOVEC)(登録商標)649 Engineered Fluid、ノベック(NOVEC)(登録商標)HFE 7100、ノベック(NOVEC)(登録商標)HFE 7200、ノベック(NOVEC)(登録商標)HFE 7500(すべて3Mより市販);バートレル(Vertrel)(登録商標)XF 2,3-ジヒドロデカフルオロ(dihydrodecadfluro)-ペンタン(DuPontより市販);アサヒクリン(Asahiklin)(登録商標)AE、アサヒクリン(Asahiklin)(登録商標)AK(Asahi Glass 社より市販)、Daikin HFC(Daikinより市販)。
さらなる実施態様において、ガス発生剤は、活性化されていない構成において、液体、ゲル又は固体の形状であってよく、そして適応可能な断熱の積層構造の活性化温度は、ガス発生剤からの少なくとも1つのガス状化合物の放出を引き起こす化学反応の活性化エネルギーに対応する温度となるだろう。
ガス発生剤が固体又はゲルのとき、活性化は、気相へ放出される化合物を生成する化学的プロセスにより、より容易に達成することができる。ガス状の反応生成物を生成するいくつかの化学反応が既知である。例としては、以下のものがある。すなわち、ゲル中に組み込まれたガス状化合物の放出;ソーダ反応(soda-reaction);塩化アンモニウムからのアンモニア及び塩酸の放出。ガス状化合物を放出する好ましい化学反応は、活性化温度での非常に急激な反応速度の増加、及び速い反応速度、を伴う反応速度論を有する。
ガス発生剤の取り扱いを容易にするために、具体的にはエンベロープの製造の際に空洞内へのガス発生剤の配置を容易にするために、注入補助物(dosing aid)を用い得る。一つの実施態様において、エンベロープは注入補助物を包含してよく、ここでこの注入補助物は、空洞に広がり、ガス発生剤が適用される部位を有しており、前記部位は空洞内に包含されている。ガス発生剤は、例えば、その粘性、散逸性、粘着性のために及び/又はそれが有害であるために、多くの場合において、取扱いが難しい物質である可能性がある。このような場合において、注入補助物の使用は、ガス発生剤単独よりも取扱いがはるかに容易であるため、助けとなるだろう。ガス発生剤が活性化されるとき、それは空洞内の圧力を上昇させることとなる。もしガス発生剤がより後の段階で非活性化されれば、ガス発生剤は注入補助物に再び集まる。しかしながら、これは不可欠とは限らない。ガス発生剤は、その活性化されていない構成にいったん再転化されると、注入補助物とは離れて空洞内に包含されることとなると考えられる。
注入補助物は、活性化されていない構成のガス発生剤を吸収することのできる材料で作られていてよい。代わりに、注入補助物は、活性化されていない構成のガス発生剤を吸着することのできる材料で作られていてよい。典型的には、ガス発生剤を吸収する注入補助物は、ガス発生剤が注入補助物の構造内に安全に包含されているため、製造中のガス発生剤のよりよい取扱い性を可能にするだろう。しかしながら、ガス発生剤の脱着が妨げられる又は少なくとも遅らせられるということが起こる場合がある。このような場合、ガス発生剤が表面にのみ付着する注入補助物が有益である場合がある。
一実施態様において、注入補助物は、ガス発生剤の活性化されていない構成において、空洞を囲んでいるエンベロープによって注入補助物が安全に囲まれることができるように、空洞よりも小さくてよい。
さらなる実施態様において、注入補助物はエンベロープの材料と共に溶接される。このような場合において、注入補助物は、エンベロープの材料と共に溶接されている際に流体密封シールの形成を支持することができる材料で作られていてよい。注入補助物の当該構成は、それによって、注入補助物が、流体密封シールを形成するために共に接着される必要のある層の間に挟みこまれることができる、及びその層と共に溶接されることができるようになるため、有益である。例として、注入補助物は、溶接可能な注入補助物層を形成するシートとして設けられてよい。
一実施態様において、エンベロープは、空洞を第一のサブ空洞と第二のサブ空洞に隔てる中間層を包含してよい。当該中間層は、流体密封の材料で作られていてよく、エンベロープの材料と共に溶接される際に流体密封シールの形成を支持するように構成されてよい。ガス発生剤は、中間層の片面又は両面に適用してよい。
さらなる実施態様において、エンベロープ構造を設けてよく、当該エンベロープ構造は共に接着された少なくとも2つのエンベロープによって形成されている。当該エンベロープ構造は、ガス発生剤が活性化される際に、第一の層と第二の層との間の距離の増加を可能にする。これは特に、エンベロープがその側部端で共に接着されている構成に有効である。積層構造の断熱容量の増加は、このようなエンベロープ構造を提供することにより、非常に効果的に向上させることができる。活性化の後に断熱容量の望ましい増加を達成するために、代わりに、積層構造の表面積をより少なくカバーするエンベロープを用いることができる。それによって、積層構造の通気性を効果的に増すことができる。
積層構造は、複数の空洞を含んでいてよく、空洞のそれぞれは個別のエンベロープにより包まれていてよい。好ましくは、エンベロープのそれぞれは流体密封である。当該配置において、エンベロープはお互いに隣り合わせに、かつお互いに距離をとって、配置されることとなる。
このような配置は、特にエンベロープそれ自体が水蒸気透過性でない場合に、積層構造の通気性を提供する。むしろ、通気性はエンベロープ間のスペースにより維持される。当該スペースは、少なくとも積層構造の活性化されていない状態において形成される。活性化された状態において、エンベロープ間のスペースは、好ましくはあまり収縮しない。なぜなら、エンベロープは膨張するのみで、実質的にそれらの表面積を増加させないためである。それ故に、積層構造の活性化された状態においてもまた、通気性が維持される。
エンベロープは、パッド又はチップの形状であってよく、このパッド又はチップは、活性化されていない状態においては扁平であり、活性化された状態において、膨張ピローの形状へ、形状を変化させる。
本明細書中で用いられる通気性は、積層構造、又はこのような積層構造を包含する布帛若しくは衣料の、積層構造の一方の面から他方の面へ水蒸気を運ぶことができるという特徴を特定するものと理解される。一つの実施態様において、積層構造はまた、少なくとも1つの水密かつ水蒸気透過性(通気性)の機能性層を含んでいるという点で、水密であってよい。一つの実施態様において、第一の層及び/又は第二の層は、前記機能性層を含む。別の実施態様において、前記機能性層は積層構造の追加の層を形成する。機能性層は、適切な膜、例えば延伸ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から作られている細孔性膜を用いて実現することができる。
本明細書中で用いられる「水蒸気透過性層」という用語は、層又は前記積層構造若しくは層状複合体を通り抜ける水蒸気透過を確保する任意の層を包含すると意図される。この層は、本明細書中に記載の布地層又は機能性層であり得る。機能性層は、30(m2Pa)/Wよりも小さい水蒸気透過抵抗性(Ret)として測定される水蒸気透過性を有してよい。
水蒸気透過抵抗性又は抵抗性-蒸発-透過(resistance-evaporation-transmission)(Ret)は、一定の分圧勾配下で、所与の領域を通り抜ける蒸発潜熱流束を決定する、シート状構造又は複合体の固有の材料性質である。本発明に係る積層構造、布帛複合体、布地層又は機能性層は、水蒸気透過抵抗性Retが150(m2Pa)/Wよりも低い場合、水蒸気透過性であると見なされる。この機能性層は、好ましくは、30(m2Pa)/Wより低いRetを有する。水蒸気透過性はISO EN 11092(1993)に従い測定される。
本明細書中で用いられる「機能性層」という用語は、空気浸透及び/又はさまざまな他のガスの浸透、例えばガス化学的負荷、に対するバリアを提供するフィルム、膜又はコーティングを定義する。それ故に、この機能性層は空気不透過性及び/又はガス不透過性である。この機能性層は、具体的な実施態様においては空気不透過性であるが、他の用途においては空気透過性であり得る。
さらなる実施態様において、この機能性層はまた、液体の水の浸透、及び理想的にはさまざまな液体の化学的負荷、に対するバリアを提供する。この層は、少なくとも0.13barの圧力で、液体の水の浸透を妨げる場合に、液体不透過性と見なされる。この水の浸透圧力は、機能性層のサンプルについて、ISO 811(1981)に関して記載された条件と同じ条件に基づいて測定してよい。
機能性層は、一つの実施態様において、1又は複数の層を含んでよく、ここでこの機能性層は水蒸気透過性かつ空気-不透過性であって、空気不透過性でありながら水蒸気透過性(通気性)という特徴を提供する。好ましくはこの膜はまた、液体不透過性であり、少なくとも水不透過性である。
本明細書中で用いるのに適切な水不透過性かつ水蒸気透過性の可撓性の膜が、多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)材料を開示する米国特許第3,953,566号明細書に開示されている。延伸多孔質PTFEは、フィブリルにより相互結合されたノードを特徴とする微細構造を有する。必要に応じて、米国特許第6,261,678号明細書に記載されているように、延伸PTFEを疎水性及び/又は疎油性コーティング材料でコーティングすることによって水不透過性を向上させてもよい。
この水不透過性かつ水蒸気透過性の膜はまた、高分子量細孔性ポリエチレン若しくはポリプロピレン、細孔性ポリウレタン若しくはポリエステルなどの細孔性材料、又はポリエーテルポリウレタンなどの親水性モノリシックポリマーである可能性がある。
特定の実施態様において、積層構造及び/又はエンベロープは、可逆的に変化するように構成されていてよい。当該実施態様において、ガス発生剤は、分解又は蒸発し、そして個別の温度変化に応答して再結合又は再凝縮するように構成されている。活性化サイクルにおいて、温度の上昇に応答して、第一の層と第二の層との間の距離が、(ガス発生剤の活性化されていない構成における)第一の距離から、(ガス発生剤の活性化された構成における)第二の距離へ増加することとなる。不活性化サイクルにおいて、温度の低下に応答して、第一の層と第二の層との間の距離が、(ガス発生剤の活性化された構成における)第二の距離から、(ガス発生剤の活性化されていない構成における)第一の距離へ減少することとなる。このような一連の活性化サイクルプラス不活性化サイクルは、何度も繰り返してよい。
エンベロープは、活性化の後破裂しないと意図されている。そのため活性化プロセスは原則として可逆的であり、何度も繰り返されてよい。これは、原則として可逆的であるガス発生プロセスを必要とし、そして、放出されたガス状生成物が空洞内部にとどまる(すなわち、このエンベロープは、少なくとも一時的に、放出されたガスについてガス気密でなければならない)ガス発生プロセスを必要とする。可逆的ガス発生プロセスの典型的な例としては、(純粋化合物の形又は混合物の形の)ガス発生剤の物理的相転移、又は昇華プロセス(例えばヨウ素(jodine)の昇華)がある。可逆的ガス発生プロセスの別の例としては、例えば塩化アンモニウムの、可逆的分解がある。
好ましくは、積層構造及び/又はエンベロープは可撓性であり、「自己回復能力」を有する。それによって、不活性化サイクルにおいて、エンベロープはその元の形状、すなわちガス発生剤の活性化が開始する前のその形状に、自動的に戻る。このプロセスを支持するためのさらなる機械的作用は必要ない。エンベロープの「自己回復能力」は、エンベロープの流体密封性によって支持される。すなわち、不活性化サイクルにおいて、ガス発生剤は一般に、気相から液相へ変換される際に、その密度を増加させることとなる。それ故に、ガス発生剤は活性化されていない構成において、活性化された構成における体積よりもはるかに小さい体積を占めることとなる。不活性化サイクルの間にエンベロープ内に流れ込む空気がない条件では、ガス発生剤の変換は、エンベロープが最小体積の空洞を囲む(扁平な)形状へ、エンベロープの収縮を引き起こすこととなる。このようなプロセスによってまた、第一の層と第二の層との間の距離が、ガス発生剤の活性化されていない構成における元の距離に戻ることとなる。
積層構造の構成は、上記の概略のように、個別のエンベロープにより囲まれる巨視的空洞の供給を可能にし、熱に供されると活性化することができる。当該エンベロープは、「ピロー」又は「ポケット」の形状をとっていてよい。このエンベロープは、ガス発生剤の活性化されていない構成において、1mm以上の横寸法を有していてよい。具体的な実施態様においては、エンベロープは5mm以上の、好ましくは15mm以上の横寸法を有していてよい。典型的には、エンベロープは1mmよりも小さい厚さ寸法を有していてよい。この文脈で用いられる横寸法は、幅/長さ平面、すなわち厚さ方向に直交する平面におけるエンベロープの最も小さい寸法を意味し、これは一般に、ガス発生剤の活性化されていない構成において、エンベロープの群を抜いて最も小さい寸法である。それ故に、横寸法は基本的に、ガス発生剤の活性化された構成においてエンベロープが到達することができる、厚さの最大増加を規定する。複数の当該扁平エンベロープは、積層構造の高い通気性と、それ故に着用者にとってより高い快適さのレベルを可能にする、(上記の)扁平積層構造を形成するために用いてよい。
体積増加を用いて表すと、空洞は、ガス発生剤の活性化された構成において、ガス発生剤の活性化されていない構成における体積に対して10〜1000の体積増加を有してよい。好ましくはこの体積増加は40より大きくてよい。
なおさらなる実施態様において、空洞を囲んでいるエンベロープは外側のエンベロープ及び内側のエンベロープを含んでよく、この外側のエンベロープは外側の空洞を囲み、この内側のエンベロープは外側の空洞内に位置付けられてこの空洞を囲んでいる。
上記の積層構造を、布帛複合構造に組み入れてよい。「布帛」という用語は、糸、繊維、又はフィラメントを織り合わせることにより製造された平面布地構造を意味する。この布地構造は、織物、不織物、フリース又はそれらの組み合わせであってよい。「不織」布地層は、繊維及び/又はフィラメント、フェルト、編物、繊維バットなどのネットワークを含む。「織」布地層は、平織、千鳥綾織、バスケット織、朱子織、綾織などの任意の布帛の織り方を用いている織布帛である。平織及び綾織は、この業界で用いられている最も一般的な織り方だと考えられている。
当該布帛複合構造は、典型的にはお互いに配置された複数の布帛層を含むこととなる。この複数の布帛層は、外側及び内側を有する外側の防熱殻構造を包含してよい。この複数の布帛層はまた、適応可能な断熱を提供する、上記の積層構造を包含してよい。
特定の実施態様において、適応可能な断熱を提供する積層構造は、外側の防熱殻構造の内側上に配置されてよい。
一つの実施態様として、外側の防熱殻構造は、初期の防炎を提供する物品(例えば衣料など)の外層を意味する。この外側の防熱殻構造は、耐炎性で熱的に安定した布地を含んでよく、例えば、ポリイミド(メタ-アラミド、パラ-アラミド)又はそれらのブレンドなどの耐炎性布地を含む、織布地、編物又は不織布地がある。耐炎性又は熱的に安定した布地の具体例には、ポリベンズイミダゾール(PBI)繊維;ポリベンゾオキサゾール(PBO)繊維;ポリジイミダゾピリジニレンジヒドロキシフェニレン(PIPD);モダクリル繊維;E.I. DuPont de Nemours, Incによりノーメックス(Nomex)(登録商標)の商品名で販売されているポリ(メタフェニレンイソフタルアミド);E.I. DuPont de Nemours, Inc.によりケブラー(Kevlar)(登録商標)の商品名で販売されているポリ(パラフェニレンテレフタルアミド);メラミン;難燃性(FR)綿;FRレーヨン、PAN(ポリアクリロニトリル(acrylnitryl))がある。前述の繊維を2つ以上含む布帛もまた利用してよい(例えばノーメックス(Nomex)(登録商標)/ケブラー(Kevlar)(登録商標))。一つの実施態様において、織ノーメックス(Nomex)(登録商標)Delta T(200g/m2の布地重量)で作られた外殻層が用いられる。
耐炎性材料は、国際標準EN ISO 15025(2003)で規定される。DIN EN ISO 14116(2008)は、材料の耐炎性を評価するための試験方法を規定する。DIN EN ISO 14116(2008)に従って、様々なレベルの耐炎性が規定されている。例として、消防士の衣料用に用いられるべき耐炎性材料は、DIN EN ISO 14116(2008)のレベル3について規定された試験手順に合格することが求められる。他の用途については、レベル1及び2について規定される、より厳しくない選択基準で十分である場合がある。
布帛はまた、バリア構造を含んでよい。一つの実施態様において、このバリア構造は、外側の防熱殻構造の内側上に配置されることとなる。
具体的な用途において、バリア構造は少なくとも1つの機能性層を含む。前記機能性層は、水蒸気透過性かつ防水性であってよく、少なくとも1つの水蒸気透過性かつ防水性の膜を含む。
バリア構造は、液体バリアとしての役割を果たす構成要素であるが、水蒸気はこのバリアを通過することができる。例えば消防士の出動用具一式などの衣料において、当該バリア構造は水が衣料の内部に入らないようにし、そしてそれによって消防士が運ぶ重量を最小限にする。加えて、このバリア構造は水蒸気(汗)を逃がすことができる-これは、高温環境で作業をする際に重要な機能である。典型的には、このバリア構造は、不織布帛又は織布帛などの、少なくとも1つの布地層に積層された膜を含む。少なくとも1つの布地層(積層という用語の下でも知られる)に積層させるために用いられる膜材料には、延伸ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン及びそれらの組み合わせがある。当該積層の市販されている例としては、クロステック(CROSSTECH)(登録商標)モイスチャーバリアラミネーツ(moisture barrier laminates)又はネオプレン(Neoprene)(登録商標)メンブレン(membrane)の名前で市販の、不織若しくは織メタ-アラミド布帛上の積層がある。
一つの実施態様において、欧州特許第0 689 500(B1)号明細書に記載されているように作られている延伸PTFE(ePTFE)の膜を含むバリア構造が用いられる。このバリア層は、布地重量が90g/m2の、不織アラミド布地(15%パラ-アラミド及び85%メタ-アラミド)で作られている布地層に接着していてよい。このようなバリア構造は、ゴアテックス(GORE-TEX)(登録商標)ファイアーブロッカー(Fireblocker) Nという名で市販されている。別の実施態様において、クロステック(CROSSTECH)(登録商標)/ノーメックス(Nomex)(登録商標)モイスチャーバリア(moisture barrier)という名で市販のバリア構造が用いられる。当該湿気バリアは、布地重量が105g/m2のポリアミド布地(ノーメックス(Nomex)(登録商標)IIIA)に付着したポリウレタン層を有するePTFEフィルムを含む。例えば米国特許第4 493 870号明細書、米国特許第4 187 390号明細書、又は米国特許第4 194 041号明細書に記載されている他のバリアを用いてもよい。
湿気バリア以外のバリアが考えられる。これには例えば、気体、液体及び/若しくはエアロゾルの形状の化合物、若しくは気体、液体及び/若しくはエアロゾルの形状の生物材料を含む物質、のような、気体並びに/又は液体の透過を妨げる少なくとも1つの機能性層を提供するバリアがある。具体的な実施態様において、当該他のバリア層はまた、通気性であってよい。
バリア構造は、外側の防熱殻構造と、適応可能な断熱を提供する積層構造との間に位置してよい。
この布帛は、環境の影響から着用者を保護することが必要とされる、又は所与の環境条件下で、望まれる機能特性を提供することが必要とされる、消火活動、警察、軍隊又は工業の作業などの用途に典型的に用いられる、防護服又は機能性衣料に用いてよい。この衣料は、熱、炎、又は液体による衝撃から着用者を保護することが必要とされる場合がある。典型的には、この衣料が、着用者に、彼が行うことになっている作業を彼がすることができるような十分な快適さを提供することが望まれている。
具体的には、布帛を防火服/防熱服における使用に適合させることが意図される。
本発明の例となる実施態様は、実施態様を示す添付の図面を参照しながら、以下に、より詳細に記述される。
図1aは、一実施態様において、エンベロープを形成するのに用いられている層の簡易概略断面図を示している。 図1bは、エンベロープを形成するのに用いられているさらなる層の簡易概略断面図を示している。
図2a〜2cは、エンベロープの製造方法を示している。 図2a〜2cは、エンベロープの製造方法を示している。 図2a〜2cは、エンベロープの製造方法を示している。 図2dは、複数の単一エンベロープを示している。 図2e〜2gは、複数の互いにつながった単一エンベロープを包含するシート層構造の様々な実施態様を示している。 図2e〜2gは、複数の互いにつながった単一エンベロープを包含するシート層構造の様々な実施態様を示している。 図2e〜2gは、複数の互いにつながった単一エンベロープを包含するシート層構造の様々な実施態様を示している。
図3aは、実施態様に従い、ガス発生剤を包含する空洞を囲んでいるエンベロープの簡易概略断面図を示しており、ここでこのエンベロープ積層層はエンベロープを形成するようにお互いに溶接されている。 図3bは、注入補助物に適用されたガス発生剤を包含するさらなる実施態様に従う、空洞を囲んでいるエンベロープの簡易概略断面図を示している。 図3cは、溶接可能な注入補助物の層に適用されたガス発生剤を包含するさらなる実施態様に従う、空洞を囲んでいるエンベロープの簡易概略断面図を示している。 図3dは、さらなる実施態様に従う、エンベロープの簡易概略断面図を示しており、2つの空洞を囲むこのエンベロープはそれぞれ、ガス発生剤を含む。
図4aは、さらなる実施態様に従う、重ねて共に接着された、2つの同一のエンベロープの概略配置を示している。 図4bは、さらなる実施態様に従う、重ねて共に接着された、異なる形状の2つのエンベロープのさらなる概略配置を示している。 図4cは、さらなる実施態様に従う、2つのエンベロープがそれらの側部端の一方で共に接着された、さらなる概略配置を示している。
図5aは、さらなる実施態様に従う、活性化されていない状態におけるエンベロープの簡易概略断面図を示している。 図5bは、さらなる実施態様に従う、活性化された状態におけるエンベロープの簡易概略断面図を示している。
図6aは、一実施態様に従う、第一の層と第二の層との間に位置する複数のエンベロープを備えて形成されている積層構造の活性化されていない状態における簡易概略断面図を示している。 図6bは、図5aに示されている実施態様の積層構造の活性化された状態における簡易概略断面図を示している。
図7aは、さらなる実施態様に従う、第一の層と第二の層との間に位置する複数のエンベロープを備える積層構造の、活性化されていない状態における簡易概略断面図を示している。 図7bは、さらなる実施態様に従う、第一の層と第二の層との間に位置する複数のエンベロープを備える積層構造の、活性化されていない状態における簡易概略断面図を示している。 図7cは、さらなる実施態様に従う、第一の層と第二の層との間に位置する複数のエンベロープを備える積層構造の、活性化されていない状態における簡易概略断面図を示している。 図7dは、さらなる実施態様に従う、第一の層と第二の層との間に位置する複数のエンベロープを備える積層構造の、活性化されていない状態における簡易概略断面図を示している。 図7eは、さらなる実施態様に従う、第一の層と第二の層との間に位置する、「エンベロープのメッシュ」の形状をした複数のエンベロープを備える積層構造の、活性化されていない状態における簡易概略断面図を示している。 図7fは、さらなる実施態様に従う、第一の層と第二の層との間に位置する複数のエンベロープ並びに第一の層及び第二の層のうち片方の上に積層された追加の機能性膜を備える積層構造の、活性化されていない状態における簡易概略断面図を示している。
図8aは、図7aに示される積層構造を包含する布帛の簡易概略断面図を示している。 図8b〜8gは、本発明に係る、適応可能な断熱を提供する積層構造を包含する布帛の、他の可能な構成を示している。 図8b〜8gは、本発明に係る、適応可能な断熱を提供する積層構造を包含する布帛の、他の可能な構成を示している。 図8b〜8gは、本発明に係る、適応可能な断熱を提供する積層構造を包含する布帛の、他の可能な構成を示している。 図8b〜8gは、本発明に係る、適応可能な断熱を提供する積層構造を包含する布帛の、他の可能な構成を示している。 図8b〜8gは、本発明に係る、適応可能な断熱を提供する積層構造を包含する布帛の、他の可能な構成を示している。 図8b〜8gは、本発明に係る、適応可能な断熱を提供する積層構造を包含する布帛の、他の可能な構成を示している。
図9は、図8aに示される布帛を包含する消防士のジャケットを示している。
図10は、積層構造を活性化されていない状態から活性化された状態へ至らせるときの、第一の層と第二の層との間の距離の増加を測定する装置の模式概略図を示している。
図11は、積層構造を活性化されていない状態から活性化された状態へ至らせるときの、第一の層と第二の層との間の距離の増加を測定するための積層構造供試片の模式概略図を示している。
図12は、複数の活性化/不活性化サイクルを可逆的に受けるように構成されている積層構造についての、機能性試験の結果を示している。
同一であるか、又は対応する機能を有する個別の実施態様の構成要素は、全ての図においてそれぞれ同一の参照数字によって示される。以下の記載において、当該構成要素は、当該構成要素を含む実施態様のうち第一のものに関してのみ記載されている。同一の記載は、同一の構成要素が包含され、同一の参照数字によって示されている個別の後続の実施態様に当てはまると理解されるべきものである。何か反対に述べられていない限りは、一般に、個別の先の実施態様におけるその構成要素の対応する記載が参照される。
図1aは、一実施態様に係る層8の簡易概略断面図を示している。当該層8は、エンベロープを調製するのに用いてよい。層8は、被覆層8a、流体密封層8b及びシーリング層8cを含む積層である。一例において、アルミニウム/プラスチック複合材料で作られている層8は、ポリエチレンテレフタラート(PET)-被覆層8a、アルミニウム(Al)-流体密封層8b及びポリエチレン(PE)-シーリング層8cを含む。十分な流体密封性を提供する目的での、Al-層8bの合理的な厚さの範囲は4μm〜25μmである。示されている例において、Al-層8bは少なくとも12μmの厚さを有する。PE-層8cは、エンベロープを作り出す目的で、隣接する積層層8を流体密封的に共に接着することができるシーリング層として用いられる。PE-層8cの厚さは、20μm〜60μmが可能である。好ましい厚さは約40μmである。PET-層8aは、エンベロープの外表面の望ましい特徴を提供する被覆層として用いてよい。この例において、12μm厚のPET-層8aが用いられる。記載されている積層層8は、Kobusch-Sengewald GmbH社、Germanyによって入手してよい。
エンベロープを形成するための代替の層8が図1bに示されている。この層8はまた、PEで作られている厚さ40μmの被覆層8a、厚さが少なくとも12μmのAl層8b、及び厚さ40μmのPEシーリング層8cを包含している積層である。この実施態様において、被覆層8aはシーリング層8cと同じ材料で作られている。被覆層8aは、追加のシーリング層として用いてよい。
図3aは、ガス発生剤(一般に18と指定されている)を包含する空洞16を囲んでいるエンベロープ(一般に20と指定されている)の簡易概略断面図を示している。図3aにおいて、及び図3b、3c、3d、4a、4b、4cのそれぞれにおいて、エンベロープ20がガス発生剤18の活性化されていない構成において示されており、そしてそれ故にエンベロープ20は、非膨張の、本質的に扁平の形状をしており、また、活性化されていない状態と見なされる。図3a〜3d及び図4a〜4cに示される扁平の構成において、エンベロープ20は厚さ方向に直交する方向、すなわち横方向のエンベロープ20の寸法よりも著しく小さい厚さ方向の寸法を有する。厚さ方向のエンベロープ20の寸法は、図3a〜4cにおいて、dにより指定されている。横方向のエンベロープ20の寸法は、図3a〜4cにおいて、A0により指定されている。ここで、A0はエンベロープ20の溶接部の一方の端から、向かい側の溶接部の端までの長さを指定している。一般に「円形」又は四角形の形状のエンベロープを備える実施態様において、エンベロープの寸法A0は、全ての横方向について実質的に等しくてよい。一般に細長い形状を有するエンベロープの他の実施態様において、幅方向の寸法A0は、長さ方向の寸法A0よりも小さくてよい。
一実施態様において、エンベロープ20は2つのエンベロープ層12、14で作られている。エンベロープ層12、14はそれぞれ、図1a又は1bにおいて示されている層8のような構成を有してよい。特に、はっきりとは示されていないが、エンベロープ層12、14はそれぞれ、図1a又は図1bに描かれている層8に相当する3つの層より構成されてよい。エンベロープ層12は、エンベロープ20の上方の部分を形成しており、当該上方の部分は、空洞16の上方の部分を囲んでいる。エンベロープ層14は、エンベロープ20の下方の部分を形成しており、当該下方の部分は空洞16の下方の部分を囲んでいる。示されている実施態様において、エンベロープ層12及びエンベロープ層14は、同一の構成、例えば図1aに示されている層8の構成を有する。エンベロープ20は、最も内側のシーリング層、中間流体密封層、及び外側の被覆層を有する。
代わりに、エンベロープ20は、図1bに描かれている層8から構成される2つのエンベロープ層12、14より構成されていてよく、又は図1aに描かれている層8から構成される1つのエンベロープ層12及び図1bに描かれている層8から構成される1つのエンベロープ層14より構成されていてよい。材料それ自体が流体密封であり、かつ流体密封エンベロープ20が作られるように流体密封的に共に接着されていることを前提として、代替の材料を、具体的には単層又は多かれ少なかれ複雑な構成の積層層を、上記の概略のように、エンベロープ20を作るために用いてよい。一つの実施態様において、エンベロープ層は流体密封の単一の層(単層)で作られていてよい。前記層は、溶接又は接着によってエンベロープに形成させ得る。
エンベロープ20は、ガス発生剤18が充填されている空洞16を囲む。ガス発生剤18は、室温で適切な平衡蒸気圧を有する液体となるよう選択される。室温は、ガス発生剤18の活性化されていない構成を定義するものと考えられる。図3aに示されるガス発生剤18の活性化されていない構成において、ガス発生剤18は実質的に、その液相状態にあり、18'により指定される。エンベロープ20は、空洞16の、実質的に流体密封の囲いを提供し、そしてそれ故に空洞16は十分な量のガス発生剤18を含有し、そして空洞16の残りの体積は、ガスで、具体的にはガス発生剤18が充填された時点で空洞16内に囲まれていた残りの量の空気又は他のガスで、満たされている。開示の例においては、ガス発生剤18は化学式CF3CF2C(O)CF(CF3)2を有する流体である。当該流体は、典型的には消火のために用いられ、3Mより「ノベック(NOVEC)(登録商標)1230 消火薬剤(Fire extinguishing fluid)」という商品名で市販されている。上記に示したように、他の流体をガス発生剤のために用いてよい。
図3aに示されるエンベロープ20を製造する第一の方法は以下の通りである。
第一のシーリングステップ:
図1a又は1bに係る材料から作られている2つのエンベロープ層12、14を、それらそれぞれのシーリング層がお互いに面するように、お互いに重ね合わせる。四角形のエンベロープ20を形成するために、シーリング層を接触させてシーリング層を共に溶接するように、ホットバー(hot bar)(シーリング幅:2mm)をエンベロープ層12、14に接触させる。この手順は、四角形のエンベロープ20の4つの辺のうち、3つについて行う。このようにして、一辺が開口したエンベロープ20を形成する。
充填ステップ:
エンベロープ20を精密天秤の上に置き、ガス発生剤18をエンベロープ内部に、例えば注射針を使って充填する。充填されることになっているガス発生剤の量は、天秤により制御する。
一例としては、エンベロープ20が以下の仕様である場合は、0.07gの量のガス発生剤18をエンベロープ20内部に充填することとなる。すなわち、エンベロープ20は上記の通り、PET/Al/PEより構成される2つのエンベロープ層12、14から形成する。エンベロープ20の外側のサイズは20mm長及び20mm幅であり(16mm長及び16mm幅という空洞の内側のサイズに対応する)、ガス発生剤18はノベック(NOVEC)(登録商標)1230を選択する。
第二のシーリングステップ:
充填ステップの終了後、エンベロープ20の開口した辺を、第四の2mmシーリングラインによって閉じる。次にエンベロープ20をシーリングラインに沿って精密に切る。
上記の概略のように作成されるエンベロープに対する充填量の正確さは、以下の通り測定することができる。
所定の量のエンベロープ20(例えば10エンベロープ)を第一のシーリングステップに従い作成し、これらのエンベロープ20のそれぞれにしるしをつけ、それぞれ4つのデジタル(digit)天秤(例えばSatorius BP121S)で秤量する。液体の形状のガス発生剤18の所定の量を、時間駆動バルブを包含する重力供給リザーバーから出ているパイプを通し、注射針を通してエンベロープの内部に注入する。所定のバルブ開口時間は、調節可能な電子タイマーにより保証されている。各エンベロープ20を第二のシーリングステップによって直ちに閉じる。充填されたエンベロープ20のそれぞれの重さを測定し、(充填前に測定された)空のエンベロープ20の重量を差し引く。偏差を最大で、サンプルセットの平均値からプラス/マイナス10%にできるようにすべきである。
図3aに係るエンベロープ20を製造する第二の方法は、図2a〜2dに示されており、以下の通りである。
第一のステップ(図2a):
図1aに係る積層材料8から作られている細長いシート、例えば65mm幅及び1.3m長のシートを用いる。代わりに、異なるサイズ及び/又は別の積層材料から作られているシート、例えば図1bに示される積層材料8から作られているシートを用いてもよい。このシートを、積層8の被覆層8a(図1a又は図1b参照)を外側に位置付け、シーリング層8cを内側に位置付けるような形で、その長辺に沿って折る。それによって、上方のエンベロープ層12及び下方のエンベロープ層14が、エンベロープ層12、14のシーリング層がお互いに向かい合っているような形で形成される。このようにして、プレ-エンベロープ101を作り出す。プレ-エンベロープ101は、32.5mmの幅及び1.3mの長さを有する。プレ-エンベロープ101は、その一方の長辺102で閉じており、その向かい側の長辺103に沿って開口している。プレ-エンベロープ101の短辺104及び105は両方とも開口している。
第二のステップ(図2b):
エンベロープ層12、14の2つのシーリング層をお互いに接触させるように、回転超音波溶接ホイール(例えば5mm幅)をプレ-エンベロープ101の開口長辺103に接触させる。このシーリング層を、プレ-エンベロープ101の開口長辺103に平行に延在するシーリングライン106に沿って連続的に共に溶接する。その結果、長辺103は閉じ、プレ-エンベロープ101は2つの開口短辺104、105を備える管状の形となる。シーリング層をお互いに接触させるように、ホットシーリングバー(hot sealing bar)(シーリング幅:2mm)を、プレ-エンベロープ101の、より短い辺の1つである105に接触させる。プレ-エンベロープ101をより短い辺105で閉じるように、このシーリング層を、より短い辺105に平行に延在するシーリングライン107に沿って共に溶接する。その結果プレ-エンベロープ101は一方の端が閉じた管の形状となる。
次に、開口短辺104を閉じた短辺105よりも高く保持し、開口短辺104を通してガス発生剤18を開口管状プレ-エンベロープ101の中に充填する。例として、内側のサイズが23mm幅及び1m長の空洞を形成している、記載のプレ-エンベロープ101(このプレ-エンベロープ101は、上記のようにかつ図1aに示されるように、PET/Al/PEより構成される積層層8で作られている)について、及び上記のようにノベック(NOVEC)(登録商標)1230として既知の液体であるガス発生剤18について、4mlの量のガス発生剤18をプレ-エンベロープ101の中に充填する。
第三のステップ(図2c)
空洞内に充填されたガス発生剤18が、プレ-エンベロープ101の、閉じたより短い辺105に集まるように、プレ-エンベロープ101を、その開口短辺104を上に向けて保持し、直立した位置で保持する。閉じたより短い辺105から開始して、プレ-エンベロープ101を第二の回転超音波溶接ホイール110に密接に接触させる。溶接ホイール110は、一組の溶接ホイール110、111を備える超音波溶接機械の一部である。溶接ホイール110は、複数の周縁のシール輪郭114A、114B、…を備えて形成されている周縁の面112を有する。シール輪郭114A、114B、…のそれぞれは、作られることになっているエンベロープ20A、20B、…(図2d)のシーリングラインの形状に対応する形状を有する。この構成において、溶接ホイール111は平面の周縁表面を有する。
プレ-エンベロープ101は、その閉じた短辺105から開始して、一組の溶接ホイール110、111を通して運ばれる。プレ-エンベロープ101の進行方向を示している図2cの矢印Bを参照のこと。このようにして、溶接ホイール110は最初にプレ-エンベロープ101の閉じた短辺105に接触し、そして最終的にプレ-エンベロープ101の開口短辺104に接触する。
溶接ホイール110がプレ-エンベロープ101に接触する際、ガス発生剤18は、シーリング輪郭114A、114Bのうち1つがプレ-エンベロープ101に接触する領域において、回転超音波溶接ホイール110、111によって押しのけられる。なぜなら、このような領域において、このシーリング層はお互いに接触させられて、共に溶接されるためである。このようにして、最終のエンベロープ20A(図2d)のシーリング部位を画定している閉じたシーリング輪郭116Aが、プレ-エンベロープ101に形成される。
回転溶接ホイール110、111の間の間隙を通ってプレ-エンベロープ101が動く時に、複数の連続したシーリング輪郭116A、116B、…がプレ-エンベロープ101に形成される。各シーリング輪郭116A、116B、…は、所定の量のガス発生剤18で充填された個別の空洞16A、16B、…を囲む。
上記の手順に従って、プレ-エンベロープ101に形成された各空洞16A、16B、…をおよそ同じ所定量のガス発生剤18で充填することができるということが分かってきた。例えば一組の超音波溶接ホイール110、111の形状をした、超音波溶接ツールを用いることで、特に良好な再現性のある結果を得て、シーリング輪郭116A、116B、…をプレ-エンベロープ101に作成することができる。
上記に概説されている寸法を有する一例において、それぞれ20mm幅及び23mm長の外側の寸法並びに16mm幅及び18mm長の空洞サイズを有する、40の充填されたシーリング輪郭116A、116B、…を作り出すことができる。
第四のステップ(図2d):
最終的に、シーリング輪郭116A、116B、…が形成されている最終のプレ-エンベロープ101を、例えばシーリング輪郭116A、116B、…の外側の寸法の形状を有する抜型(cutting dye)を備える手動の又は自動の標準のダイカット(dye cut)機を用いて、切り取る。このようにして、図2dに示される個別のエンベロープ20A、20B、…が作成される。
第四のステップ、すなわち最後の切り取りステップを省くこともまた考えられる。その結果、複数の単一エンベロープ20の代わりに、複数のエンベロープ20A、20B、20C、…の配列を包含するサンドイッチ型の積層シート100(図2e参照)、200(図2f参照)が提供される。このようなシート層構造100、200において、エンベロープ20A、20B、20C、…は、図2a〜2cに係るプレ-エンベロープ101から作成される、図2eのシート層構造100について示されているように、単一のラインに沿って並んでいてよい。長方形の又は四角形の形状の平面プレ-エンベロープ201を用いること、及びエンベロープ20A1、20B1、20C1、…、20A2、20B2、20C2、…、20A3、20B3、20C3、…の複数のラインを包含するシート層構造200を作成すること、もまた可能であり、エンベロープの当該ラインは図2fに示されるように隣同士に配置され、お互いに平行に延在している。シート層構造100又はシート層構造200の、エンベロープの外側にある材料は、エンベロープ20A1、20B1、20C1、…、20A2、20B2、20C2、…、20A3、20B3、20B3、…について、接続構造109、209を形成する。
図2gに示されているさらなる実施態様において、隣接するエンベロープの間にエンベロープ層12、14を形成しているシート材料の、使われていない部位212を切り取ることによって、各エンベロープがシート材料12、14により形成される相互接続ウェブ219によってその隣接するエンベロープとなお接続している形で、エンベロープ20A1、20B1、20C1、…、20A2、20B2、20C2、…、20A3、20B3、20C3、…のメッシュ210を作成することができる。
上記第二の方法に従い作成されるエンベロープについての充填量の正確さは、以下の通り測定することができる。
所定の量のエンベロープ20(例えば10エンベロープ)を、上記の第一から第四のシーリング/充填ステップに従って作成し、これらのエンベロープ20のそれぞれにしるしをつけ、それぞれ4つのデジタル(digit)天秤(例えば Satorius BP121S)で秤量する。エンベロープ20のそれぞれをガス発生剤18の活性化温度(temperate)よりも十分高い温度のホットプレートの上に置き、確実にエンベロープ20のそれぞれが破裂して、ガス状のガス発生剤18を完全に放出することとなるようにする。空のエンベロープをそれぞれ4つのデジタル(digit)天秤で秤量する。各エンベロープの重量損失を計算する。エンベロープ材料が湿気を帯びる場合に備えて、このエンベロープは、少なくとも1時間、同じ環境、理想的には23℃で65%の相対湿度の環境で、調整しなければならない。
エンベロープの流体密封性は、以下の方法のうちの1つに従って測定することができる。
エンベロープの流体密封性を測定するための方法1:
各エンベロープ20にそれぞれしるしをつける。各エンベロープ20を4つのデジタル(digit)天秤(例えばSatoriusBP121S)で秤量する。エンベロープ20を所定の環境条件(20℃、65%相対湿度)下で保存する。記載の秤量手順を、1か月の保存後に再度行う。この手順を少なくとも6か月間続ける。6か月後の重量損失は、充填重量の20%より少なく、より良くは10%よりも少なく、理想的には1%よりも少なくあるべきである。加えて、6か月後に、各エンベロープ20の機能性をホットプレート上又は水浴中で確認する。エンベロープ20は、活性化温度よりも高い温度に供された際に、厚さの増加を示さなければならない。
図3bは、さらなる実施態様に係る、空洞16を囲んでいるエンベロープ20を示している。図3bに示されるエンベロープ20は、注入補助物19に適用されたガス発生剤18を包含している。注入補助物19は、ガス発生剤18を吸収することのできる任意の材料、例えば、吸収性の紙材料、織布地材料若しくは不織布地材料、又はスポンジ様材料などで作られていてよい。図3bにおいて、吸い取り紙が注入補助物19として用いられている。注入補助物19を所定の量のガス発生剤18に浸し、次に空洞16内に挿入する。これは、上述の第一の方法に類似の方法で行うことができる。上述の手順に代わるものとして、注入補助物19を第一のステップにおいてガス発生剤18とともに提供してよく、そして次に注入補助物19を、第一の及び第二のエンベロープ層12、14の間に、この第一の及び第二のエンベロープ層を共に接着する前に配置してよい。ガス発生剤18は、いったん活性化されると、注入補助物19から放出されて空洞16を膨張させることとなる。
図3bの実施態様において、注入補助物19が第一の及び第二のエンベロープ層12、14の(例えばシーリングラインに沿った)接着を妨げないように、注入補助物19の横寸法は空洞16のものよりも小さい。
図3cは、さらなる実施態様に係る、空洞16を囲んでいるエンベロープ20を示している。またこの実施態様において、エンベロープ20は、注入補助物19に適用されたガス発生剤18を包含する。この実施態様において、注入補助物19は、エンベロープ層12、14を共に接着するのに用いられる接着プロセスを妨げない材料で作られているか、又はシーリング層として当該接着プロセスを支持する材料で作られていてもよい。このことにより、注入補助物19を、第一の及び第二のエンベロープ層12、14の間のサンドイッチ型の配置で、それらが共に接着されるより前に、適用することができる。注入補助物19は、第一の及び第二のエンベロープ層12、14が共に接着されることになっているシーリング領域を覆っていてもよい。それ故に、注入補助物19はシート状構成を有してよく、また、第一の及び第二のエンベロープ層12、14の間に入れられ、第一の及び第二のエンベロープ層12、14のシーリング領域全体を覆っている注入補助物層19の形で用いられてよい。第一の及び第二のエンベロープ層12、14は、シーリング領域に沿って、例えば溶接によって、間に入れられた注入補助物19と、共に接着される。
ガス発生剤18が第一の及び第二のエンベロープ層12、14の接着を妨げないことを前提として、ガス発生剤18は注入補助物19全体に適用してよい。ガス発生剤が注入補助物のシーリング部位に適用される領域を制限するために、ガス発生剤18を個別のストライプの形で注入補助物19に適用してよい。次にストライプの間の距離は、各エンベロープがガス発生剤の1つのストライプと交わるように選択することができる。空洞16の内側になることとなる、すなわち第一の及び第二のエンベロープ層12、14が共に接着されているシーリング領域によって完全に囲まれることとなる、注入補助物19の部位においてのみ、ガス発生剤18を適用するのが、一般により有利であるだろう。このようにして、エンベロープ20の適切な活性化及び膨張のために、ガス発生剤18の望ましい所定の量を、より正確に調節することができる。例えば、ガス発生剤18は、複数の個別のスポット又は領域(これらの全ては完全に個別の空洞16内に囲まれている)が配列した形で、注入補助物19に適用してよい。
第一の及び第二のエンベロープ層12、14が、注入補助物を間に備えて溶接により共に接着されている一実施態様において、注入補助物19は、ポリプロピレン不織物のような布地構造で作られていてよい。又は延伸ポリエチレン(ePE)若しくは延伸ポリプロピレン(ePP)のような多孔質材料で作られていてよい。これらの材料のそれぞれは、間にその材料の層を入れた状態で、第一のエンベロープ層12を第二のエンベロープ層14に溶接するのを可能にする。
さらなる実施態様において、第一のエンベロープ層12及び/又は第二のエンベロープ層14は、注入補助物19の機能を提供してよい。これは、第一のエンベロープ層12及び/又は第二のエンベロープ層14の最も内側の、第一のエンベロープ層12を第二のエンベロープ層14に溶接する際に接触する層を、適切な材料、例えば前述の材料から形成することにより達成することができる。
図3cに示される実施態様において、注入補助物19は、2つのサブ空洞16a及び16bが形成されるような形で、さらなる層の形状で第一の及び第二のエンベロープ層12、14の間に入れられる。サブ空洞16aは上方のエンベロープ層12と注入補助物層19によって囲まれ、サブ空洞16bは下方のエンベロープ層14と注入補助物層19によって囲まれる。ガス発生剤18は、いったん活性化されると、注入補助物19から放出され、サブ空洞16a及び16bを膨張させることとなる。注入補助物19が、少なくともガス発生剤18が活性化された構成(ガス状の構成)にある間はガス発生剤18について流体密封でないとき、サブ空洞16aと16bとの間のガス発生剤18のいくらかの交換は、依然として可能性である。この実施態様には、エンベロープ20内部のガス発生剤18の対流が制限されているという利点がある。
図3dは、さらなる実施態様に係る別のエンベロープ20を示している。図3dのエンベロープ20は、第一の及び第二のエンベロープ層12、14並びに中間層21を有する。示されている実施態様において、中間層21は図1bの層8に係る構成を有するが、他の実施態様において他の構成を有してもよい。中間層21は、層12と層14との間にサンドイッチ型の配置で入れられている。図3cの実施態様と同様に、この配置は、2つのサブ空洞16a及び16bを形成させ提供する。しかしながら、図3cの実施態様とは異なり、ガス発生剤18は、サブ空洞16aについては第一のガス発生剤18aとして、第二のサブ空洞16bについては第二のガス発生剤18bとして、離れて提供される。さらなる実施態様において(図には示されていない)、第一のガス発生剤18aは、図3bの実施態様と同様に、第一の注入補助物19aにより提供されてよい。第二のガス発生剤18bは、図3bの実施態様とまた同様に、第二の注入補助物19bによって提供されてよい。
さらに、中間層21は、活性化されていない構成のガス発生剤18a、18bについて、及び活性化された構成のガス発生剤18a、18bについて、本質的に流体密封の材料で作られている。中間層21はまた、上記のように、第一の及び第二のエンベロープ層12、14の間に流体密封接着を提供する材料で作られている。図3dの実施態様における材料の適切な組み合わせは、第一のエンベロープ層12:PET/Al/PE(図1a参照);中間層21:PE/Al/PE(図1b参照);第二のエンベロープ層14:PET/Al/PE(図1a参照)である。
注入補助物層19a及び注入補助物層19bが、両面に被覆されている中間層21を用いることもまた可能であり、当該コーティング層19a、19bはそれぞれ第一の及び第二のサブ空洞16a、16bについて注入補助物としての役割を果たしている。
図3dの実施態様において、サブ空洞16a及び16bのサイズ/体積、並びにそれに対応してサブ空洞16a、16bに充填されることになっているガス発生剤18a、18bの量は、望まれる通りに調節することができる。異なるガス発生剤18a及び18bを、サブ空洞16a及び16bにそれぞれ用いることもまた可能である。通常は、サブ空洞16a、16bのうち片方が、もう一方のサブ空洞よりも熱源に近く配置されることとなるため、これは重要である可能性がある。それ故に、図3dのエンベロープ20を、熱源のより近くに配置されているサブ空洞16a又は16b中のガス発生剤18a又は18bが、もう一方のサブ空洞中のガス発生剤よりも高い活性化温度を有するように設計することができる。さらに、2つの「独立した」サブ空洞の供給は、適応可能な断熱(insulation)システムが、サブ空洞の1つが破壊された場合にもなお機能するという意味での冗長性を提供する。
図3dはさらに、エンベロープ20の厚さdが、2つの距離da(第一のサブ空洞16aの厚さ)と、db(第二のサブ空洞16bの厚さ)の合計によって決定されることとなることを示している。da及びdbの両方は、ガス発生剤18a、18bが活性化されていない構成から活性化された構成にそれぞれ変化する場合に、増加することとなる。ガス発生剤18a及び18bの活性化の後の、本発明に係る積層構造の、第一の層と第二の層との間の距離の、D0からD1への(図6a及び6b参照)増加は、エンベロープ20の厚さdの増加と実質的に同一となり、それ故に第一のサブ空洞16aの厚さdaの増加と第二のサブ空洞16bの厚さdbの増加の和により与えられる。
ガス発生剤18の正確な注入(dosing)を容易にすることに加えて、注入補助物19は、図3cに示されるように、それをサンドイッチ型の構成で、第一の及び第二のエンベロープ層12及び14の間の中間シートとして適用することができるという利点を提供する。これにより、エンベロープ20を簡単に製造することが可能になる。エンベロープ層12のシート1枚、注入補助物層19のシート1枚及びエンベロープ層14のシート1枚のみを用いて、複数のエンベロープ20を製造することが可能である。記載の注入補助物層19の使用は、図2fに示されるエンベロープ200の平面シート、又は図2gに示されるエンベロープ210のメッシュの製造に特に有益である。
図4a、4b及び4cは、接着部23aによって共に接着されエンベロープ構造を形成している、2つのエンベロープ20a及び20bの配置を示している。当該配置は使用時に、図3dに示される実施態様によく似た性質を有する。エンベロープ20a、20bのそれぞれは、個別の空洞16a、16bを囲む。第一の空洞16aは、図3bの実施態様に似た様式で第一のガス発生剤18aが備えられた第一の注入補助物19aを包含する。第二の空洞16bは、図3bの実施態様に似た様式で第二のガス発生剤18bが備えられた第二の注入補助物19bを包含する。図3bの実施態様に係る注入補助物19a、19bを使用する代わりに、図3aの実施態様と同様に注入補助物を用いることなく、又は図3cの実施形態と同様に注入補助物層19a、19bを用いて、ガス発生剤18a及び18bを提供してよい。各エンベロープ20a、20bは本質的に流体密封である。第一の及び第二のガス発生剤18a、18bの活性化の選択肢については、図3dの実施態様について上記に概説されているのと同じことが適用される。
図4aの実施態様において、エンベロープ20a、20bの両方のサイズは本質的に同一である。図4bは、エンベロープ20aがエンベロープ20bよりも小さいことを除いては図4aの実施態様と同一の、さらなる実施態様を示している。
図4a及び4bの実施態様において、エンベロープ20a、20bは、エンベロープ20a、20bの中央部に位置する接着部により、共に接着している。それ故に、図3dの実施態様と同様に、エンベロープ構造の厚さdは、2つの距離da(第一の空洞16aの厚さ)及びdb(第二の空洞16bの厚さ)の合計により決定される。ガス発生剤18a及び18bの活性化の後の、第一の層と第二の層との間の距離Dの増加は、エンベロープ構造の厚さdの増加と実質的に同一となり、それ故に第一の空洞16aの厚さdaの増加と第二の空洞16bの厚さdbの増加の和により与えられる。
エンベロープ20aと20bは、適切な接着剤により、溶接により又は縫合により接着することができる(縫合の場合は、流体密封性を維持するために適正な手段を取るべきである)。
図4cは、共に接着されてエンベロープ構造を形成する2つのエンベロープ20a、20bのさらなる概略の配置を示している。この実施態様において、エンベロープ20a、20bは、エンベロープ20a、20bの側部端の一方に位置する接着部23bにより、共に接着している。図4cに見ることができるように、接着部23bの当該側部配置により、第一のエンベロープ20aの横平面と第二のエンベロープ20bの横平面との間にゼロより大きい角γが形成される。エンベロープ20a、20bの横平面はそれぞれ、エンベロープの厚さ方向に直交する平面として定義される。
図4cに示される側部接着部23bがある場合、エンベロープ構造の厚さdは、第一の空洞16aの厚さdaと第二の空洞16bの厚さdbの和によっては決定されない(ここでda及びdbはそれぞれ、空洞16a、16bの平らな平面に直交して測定される(図4a及び4bの実施態様について示されているように))。むしろ、図4cに示されるように、エンベロープ構造の厚さdは、第二の空洞16bの厚さdbと、第一の空洞16aの「実効厚さ」da'との和によって決定される。第一の空洞の「実効厚さ」da'はおおよそ、da'≒Asinγ(Aは第一のエンベロープ20aの横寸法)により与えられる。
ガス発生剤18a、18bの活性化の後、第一の及び第二のエンベロープ20a、20bが、(エンベロープ20a、20bの両方が本質的に扁平である)活性化されていない状態から、(エンベロープ20a、20bの両方が膨張し、それ故に凸状形状になっている)活性化された状態へ、それらの状態を変化させる時に、角γは大きくなることとなる。それによって、ガス発生剤18a、18bの活性化された構成における、第一の空洞16aの実効厚さda'の増加は、空洞16aの平らな平面に直交して測定される第一の空洞16aの厚さdaの増加よりも大きくなる(図4a及び4b参照)。ガス発生剤18a及び18bの活性化の後の、本発明の積層構造の第一の層と第二の層との間の距離Dの増加は、エンベロープ構造の厚さdの増加と実質的に同一となり、それ故に第一の空洞16aの実効厚さda'の増加と第二の空洞16bの厚さdbの増加の和により与えられる。
活性化されていない状態から活性化された状態へ変化する際に角γを大きくすることによって、図4cのエンベロープ構造はヒンジに似た機能を提供する。これは、具体的には、エンベロープが活性化されていない状態において本質的に扁平な構成を有する場合に、当該距離を増加させる非常に効果的な方法である、なぜなら、当該構成において、エンベロープの横寸法Aが大きく、角γが活性化下で著しく大きくなることとなるためである。2つのエンベロープ20a、20bよりもさらに多くのエンベロープをこのように共に接着し、活性化されていない状態から活性化された状態へ変化する際に、アコーディオンを展開する方法で、顕著なヒンジ型の挙動を提供することができる。
このヒンジ型の挙動が招く結果は、図4cのエンベロープ構造が間に挟み込まれた布帛構造において、第一の層と第二の層との間の距離の大幅な増加を、エンベロープ構造が可能にする、というものである。代わりに、第一の層と第二の層との間の距離の望ましい増加を達成するために、エンベロープ構造を用いることができるが、これは、単一エンベロープが使われたとした場合に、又は図4a及び4bに示されるエンベロープ構造が用いられたとした場合であっても、必要になるであろう布帛の面積よりも少ない面積しか被覆しない。
まさに記載の通り、複数の、2つまたはさらにそれ以上のエンベロープ20a、20b、…を、お互いに重ね合わせて配置することによって、エンベロープ構造全体として非常に大きい厚さの増加を達成することができ、それによって第一の層と第二の層との間の距離の非常に著しい増加が可能になる。その結果として、温度変化を受けて断熱能力が非常に効果的に増加する。これは特に、活性化されていない状態から活性化された状態へ変化する時にヒンジ型効果を提供する図4cの実施態様に適用できる。
また図4cの実施態様において、エンベロープ20aと20bは、適切な接着剤により、溶接により又は縫合により接着することができる(縫合の場合は、流体密封性を維持するために適正な手段を取るべきである)。図2e、2f、2gに示されるタイプのシート層構造100、200、210の形状をしたエンベロープ20a、20bを提供することもさらに可能である。当該シート層構造は、容易に折り畳み、図4cに示されるタイプのエンベロープ構造を提供することができる。
活性化サイクルにおいて、本発明に係る適応可能な断熱を提供する積層構造の機能性は、図5a及び5bにはっきり示されている。図5a及び5bには、実演の目的で単一エンベロープ20のみを用いているが、本発明に係る積層構造は、望まれる通りに、任意の数のエンベロープ20又はエンベロープ構造を包含してよいと理解される。図5aは、図3aに示されるような、液相状態のガス発生剤18(18'として示される)を備える、活性化されていない状態のエンベロープ20を示している。図5bは、活性化された状態、すなわちガス発生剤18がその気相(18''として示される)に蒸発した後のエンベロープ20を示している。図5aと図5bを比較することによって、エンベロープ20の形状が、活性化されていない状態においてほんのわずかの厚さd0(第一の積層された層12と、第二の積層された層14の外表面の間の、エンベロープ20の厚さ方向における距離d0に対応する)を有する、扁平形状から、はるかに大きい厚さd1(図5bにおける距離d1に対応する)を有する凸形の形状へ変化したことが分かる。それに対応して、厚さ方向に直交する方向におけるエンベロープ20の寸法が、活性化されていない状態における寸法A0から活性化された状態における寸法A1へわずかに減少する。第一の及び第二の積層層12、14は、ガス発生剤18の活性化に対する応答の後、どの方向へも著しくは伸長しない、本質的に非伸縮性材料で作られている。しかしながら、ガス発生剤18の活性化下での空洞16内の圧力の増加に応答して、エンベロープ20の形状は、空洞16の最大体積が形成されたような形で変化する。
図6a及び6bは、本発明に係る積層構造10の例となる実施態様を示している。
図6a及び6bの実施態様は、第一の層22と第二の層24との間に位置する複数の(上記図3a〜5bについて詳細に記述されている)エンベロープ20を含む。第一の及び第二の層22、24の両方は、布地層であってよい。可能な構成において、布地層22、24はキルティングを施した複合体の形で、ステッチ27によって結合されてよい。このようにして、ポケット25が第一の及び第二の層22、24によって形成される。この実施態様において、これらのポケット25のそれぞれには、それぞれ1つのエンベロープ20が入っている。各ポケット25に2以上のエンベロープ20が入っている、又はポケット25の一部にエンベロープ20が入っていない、他の実施態様が考えられる。もちろん、単一エンベロープの代わりに、ポケット25にエンベロープ構造が入っていてもよい。エンベロープ20はそれ故に、層22、24により特定される長さ/幅平面における動きについて、それらの個別のポケット25によって固定される。
可能な構成において、第一の層22は耐炎性の性質を有する布地であってよい。一例において、第一の層22は、アラミド繊維の55g/m2スパンレース不織物(バイリーンファイアブロッカー(Vilene Fireblocker)として、Freudenberg社より市販)で作られている。第二の層24は、125g/m2アラミドビスコースFRブレンド50/50織物(Schueler社より市販)で作られている耐火性布地ライナーであってよい。第一の層22及び第二の層24は両方とも、その用途に応じて、不織物又は織物のどちらかであってよい。
図6a及び6bを比較すると、ガス発生剤18の活性化がポケット25内のエンベロープ20の体積増加(「膨張」)を提供することは明白である。エンベロープ20の当該膨張は、第一の層22及び第二の層24がお互いに離れ合うように移動させ、該第一の層22と第二の層24との間の距離Dを、第一の距離D0から第二の距離D1に増加させる。図6a及び6bはさらに、第一の層22及び/又は第二の層24が浮出し及びくぼみを備える構造を有する場合、それぞれ第一の及び第二の層22、24の参照平面について距離D0、D1を測定すると都合がよい場合があるということを示している。示される例において、距離D0、D1は、それぞれ第一の及び第二の層22、24の最も遠い点に接する参照平面を用いて測定する。
図6a及び6bはさらに、間隙が各2つの隣接エンベロープ20の間に空いたままの形で、エンベロープ20がポケット25に入っていることを示している。これらの間隙の距離はXにより示されている。エンベロープ20内のガス発生剤18が、活性化されていない構成から活性化された構成へ変化する際に、この距離Xはほぼ一定のままであるか又はわずかに増加するだけであるということが分かる。さらに、積層構造10の熱的に引き起こされる収縮が有利に少なくされる。
図7aは、さらなる実施態様に係る積層構造10の簡易概略断面図を示している。積層構造10は、活性化されていない状態において、第一の層22と第二の層24との間に位置する複数のエンベロープ20を備える図6aに類似している。図7aの実施態様において、エンベロープ20は接着剤スポット29によって層22に固定されている。当該接着剤スポット29は、取り付けの目的のため、一時的にのみ、エンベロープ20の固定を提供してよい。このような場合には、典型的にはエンベロープ20を適所に固定するための追加の手段、例えばステッチ27が提供され、図6aに示されるキルティングを施した複合構造のタイプのポケットを形成させることとなる。
代わりに、接着剤スポット29は、第一の層22(図7a参照)若しくは第二の層24のどちらかについて、又はそれらの両方(図7b参照)について、エンベロープの耐久性のある固定を提供する接着剤で形成されてよい。このような場合には、追加のステッチ27は全く必要がない。
適切な接着剤スポット29を用いて、個別の位置に、上記のタイプのエンベロープ構造を固定することもまた可能である。例として、図7cは接着剤スポット23aによってお互いに固定された二重のエンベロープ構造を備える実施態様を示しており、ここで各エンベロープ構造は、個別のさらなる接着剤スポット29によって第一の層22に固定されている。代わりに、2以上のエンベロープ20のエンベロープ構造は、それぞれ、接着剤スポット23aによりエンベロープ20をお互いに結合し、複合エンベロープ構造を第一の層22及び第二の層24のいずれにも結合させずに、複合構造を個別のポケット25の中に挿入することによって形成してよい。図7d参照のこと(二重のエンベロープ構造は接着剤スポット23aによりお互いに固定されているが、第一の層22及び第二の層24については固定されていない)。
示されている全ての実施態様において、エンベロープ20は、接着剤スポット29の代わりに、ステッチにより、第一の層22及び/又は第二の層24に結合していてよい(図には示されていない)。
図7eは、活性化されていない状態において、エンベロープのシート層構造210を形成している複数のエンベロープ20を備える、さらなる実施態様に係る積層構造10を示している。シート層構造210は、図2gに示されるメッシュ型であり、第一の層22と第二の層24との間に位置している。エンベロープ20は、エンベロープ20の配列として形成される。第一の層22及び/又は第二の層24に、エンベロープのシート層210を固定するために、ステッチ31を用いることができる。複数のエンベロープの結合は、シート状積層層12、14(及び必要に応じて中間層18、注入補助物19)からエンベロープ20の配列を作成すること(図2g参照)により、及び任意に、第一の及び第二の積層層12、14により形成される材料の残りのウェブによりエンベロープ20がお互いに結合するような形で、個別のエンベロープ20の間の使われていないスペースのみを切り取ること(図2g参照)により、提供されてよい。このようなエンベロープのメッシュ210は通気性である。
図7eにおいて、第一の層22及び第二の層24はお互いに固定されていない。エンベロープのシート層210のみが第一の層22に固定されており、任意に第二の層24に固定されてもよい。当該実施態様における積層構造10は、比較的ゆるく連結した構造を提供する。当該配置は、積層構造10の組み立てを容易にし、可撓性を提供する。第一の及び第二の層22、24の間の結合がより緊密であることが望ましい場合において、第一の及び第二の層22、24をお互いに結び付けるステッチを追加で提供することが可能である。一般に、当該追加のステッチは、いくぶん大きいポケットを形成するように、お互いにより大きい距離を保って提供されることとなる。さらなる実施態様において、エンベロープ20の鎖を形成するように(例えば図2e参照)、複数のエンベロープ20を結合すること、及びお互いに平行にはしる複数の平行なステッチ31により第一の層22と第二の層24を結合することも可能である。第一の及び第二の層22、24はそれ故に、各2つの隣接するステッチ31の間に複数の溝を形成することとなる。当該溝の中に、エンベロープ20の個別の鎖を導入してよい。
図7fは、さらなる実施態様に係る、活性化されていない状態における積層構造10を示している。図7fの積層構造10は図7aに示される実施態様に類似しており、少なくとも第一の層22又は第二の層24に付着した追加の機能性層40を有する。図7fの実施態様において、機能性層40は第二の層24に付着している。追加の機能性層40は上記の水蒸気透過性かつ防水性の膜を包含してよく、それ故に、積層構造10の水蒸気透過性をなお維持しながら、積層構造10の防水性、並びにまた他の液体及びガスに対するバリアも提供してよい。機能性層のより詳細な記述については、上記の記述を参照のこと。
機能性層40を適用するときに積層構造10が活性化するのを避けるために、追加の機能性層40を、低温接着プロセスにおいて接着剤スポット44を用いることにより、第二の層24に適用する。機能性層40を第一の層22及び/又は第二の層24に付着させてよい。
図8aは、図7aに示される積層構造10を包含する布帛複合体50の簡易概略断面図を示している。布帛複合体50はお互いに配置された複数の層を含み、当該布帛複合体50を用いて作られている衣料の外側Aから見て以下の通りである:
(1)外側35及び内側37を有する外側の防熱殻層36;
(2)機能性層40を含むバリア積層38(該バリア積層38は外側の防熱殻層36の内側37上に配置されている);及び
(3)図7aに示される適応可能な断熱を提供する積層構造10(該積層構造10はバリア積層38の内側上に配置されている)。
図8a〜8gの全ての実施態様について、外側Aは、環境に向いている側を意味する。
バリア積層38は、典型的には例えば上記の防水性かつ水蒸気透過性の膜を含む機能性層40を包含する。機能性層40は、少なくとも1つの層42に、接着剤層44によって付着している(2層の積層)。層42は織布地又は不織布地層であってよい。接着剤層44は、バリア積層38の通気性を著しくは損なわないように構成されている。さらなる実施態様において、バリア積層38は2以上の布地層を含んでおり、ここで該機能性層は、少なくとも2つの布地層の間に配置されている(3層の積層)。
図8aは、適応可能な断熱を提供する積層構造10が、布帛複合体50の最も内側の層として位置していることを示している。当該最も内側のライナーは、布帛複合体50が衣料を製造するのに用いられる場合に、着用者の皮膚に面することとなる。熱源に対して遠い側に位置しているために、積層構造10は、衣料の外殻36に存在するよりもはるかに低い温度を経験すると予測される。これには、積層構造10に用いられる材料の温度抵抗性が、外殻36の近くに位置する材料に求められたであろう温度抵抗性と同じくらいに高い必要がない、という点で利益がある。一方ではほんの穏やかな温度上昇で不必要な活性化をするのを避け、他方では、活性化するイベントについて予想されたよりもほんのわずかに激しい温度の上昇がある場合に、活性化に破滅的に失敗するのを避けながら、当該配置において、第一の層22、第二の層24及びガス発生剤18が充填された空洞16を備える、本発明に係る積層構造10を用いることで、比較的精密に制御可能な適応可能な断熱メカニズムを実行することができる、ということが示された。
積層構造10を適用することのできる布帛50の他の構成を、図8b〜8gに示している。
図8bにおいて、布帛複合体50は、外側35及び内側37を備える外層36を包含する。適応可能な断熱を提供する積層構造10は、外層36の内側37上に位置する。積層構造10は、例えば接着剤ドット44によって、布地層42に接着的に付着している機能性層40を有するバリア積層38、最も内側のライナーを形成している内層24、及びバリア積層38と内層24との間に配置されているエンベロープ20を含む。積層構造10のエンベロープ20は、機能性層40の内側に、適切な不連続の接着剤29、例えばシリコーン、ポリウレタン、によって接着している。内層24は、1又は複数の布地層を含んでよい。この実施態様において、バリア積層38は、適応可能な断熱を提供する積層構造の第一の層の機能を有する。
図8cにおいて、布帛複合体50は適応可能な断熱を提供する積層構造10を包含する。積層構造10は、外側35と内側37を備える外層36、及び例えば接着剤ドット44によって、布地層42に接着的に付着している機能性層40を有するバリア積層38を含む。積層構造10はさらに、外層36の内側37とバリア積層38との間に配置されているエンベロープ20を含む。具体的には、エンベロープ20は接着的に布地層42の外側に接着剤ドット29によって接着している。この実施態様において、バリア積層38は、適応可能な断熱を提供する積層構造10の第二の層の機能を有し、外層36は適応可能な断熱を提供する積層構造10の第一の層の機能を有する。複合体50はさらに内層48を含み、この内層48は1又は複数の布地層を含んでもよい。
図8dにおいて、布帛複合体50は、適応可能な(adaptable)断熱を提供する積層構造10を包含する。積層構造10は、外側35と内側37を備える外層36、及び例えば接着剤ドット44によって、布地層42に接着的に付着している機能性層40を有するバリア積層38を含む。この積層構造はさらに、例えば接着剤ドット29の形状の不連続接着剤によって外層36の内側37に接着している、エンベロープ20を含む。この実施態様において、バリア積層38は適応可能な断熱を提供する積層構造10の第二の層の機能を有しており、外層36は適応可能な断熱を提供する積層構造10の第一の層の機能を有している。複合体50はさらに、内層48を含み、この内層48は1又は複数の布地層を含んでもよい。
個別の層の断熱(insulation)能力は、特定の用途について要求されるように、例えば領域重量、厚さ、層の数により調節することができる。
図8eにおいて、布帛複合体50は、第一の層22及び第二の層24を包含し、図6aに示されるようにその間に複数のエンベロープ20を備える、積層構造10を含む。さらに布帛複合体50は、複合体50の外殻を形成し、積層構造10の外側上に位置しているバリア積層38を包含する。バリア積層38は、外層36、及び例えばポリウレタン接着剤ドット44により外層36の内側に接着的に付着している機能性層40を含む。
図8fの布帛複合体50は、図8eの布帛複合体に類似している。この実施態様において、バリア積層38は、機能性層40が外側の布地層36と布地層42との間に組み込まれるような形で、機能性層40に付着している追加の内側の布地層42を有する。布地層42は、125g/m2アラミドビスコースFRブレンド50/50織物で作られている耐火性ライナー向けであり得る。
図9は、図8a〜8fに示される布帛複合体50を包含する消防士のジャケット52を示している。発明に係る布帛50を含んでもよい他の衣料には、ジャケット、コート、スラックス、オーバーオール、靴、手袋、靴下、ゲートル、かぶりもの、毛布など又はそれらの部品がある。この布帛複合体は、例えばテントなどの他の物品にも同様に用いてよい。
図10は、積層構造10を活性化されていない状態から活性化された状態に至らせる時の、第一の層22と第二の層24の間の距離Dの増加を測定するための装置300の模式概略図を示している。これに関連して、図11は、積層構造10を活性化されていない状態から活性化された状態に至らせる時の、第一の層22と第二の層24の間の距離Dの増加を測定するための図10の装置に用いられるべき、供試片60の形状の積層構造の模式概略図を示している。供試片60は図11の平面図に示されている。その断面図は、図6a及び6bに示される横断面に対応する。図11は活性化されていない状態における積層構造10を示している。
以下に記載の試験で用いられる供試片60は、以下の構成を有する。
供試片60は、以下を備える、キルティングを施された構造を形成している:
(a)アラミド繊維の55g/m2スパンレース不織物(バイリーンファイアブロッカー(Vilene Fireblocker)として、Freudenberg社, Germanyより市販)で作られている第一の層(22)
(b)第一の層(22)の下に配置されており、125g/m2アラミドビスコース織物(「ノーメックス(Nomex)ビスコースFRブレンド50/50織物として、Schueler社, Switzerlandより市販)で作られている、第二の層(24)(図11では見えない)
第一の及び第二の層22、24のサイズは、140mm(長さL)x140mm(幅W)である。第一の及び第二の層22、24は、複数のステッチドシーム(stetched seams)62a〜62d、64a〜64dによって結合されており、それ故にキルティングされた複合体を形成している。ステッチドシームは、単一針のロックステッチにより形成されている。このようにして、9つのポケット25をキルティングされた複合体60によって形成する。ポケット25はそれぞれ、a=40mmの辺長の正方形の形状を有する。これらのポケット25のそれぞれには、上記のように作られているそれぞれ1つのエンベロープ20が入っている。図2d、3aに示されている単一エンベロープ20が、試験測定を実施するのに使われた。当該エンベロープ20は、上から見たときに、楕円の長軸(larger axis)がb1 = 23mm、楕円の短軸(smaller axis)がb2 = 20mm)の、わずかに楕円の形状を有する。9つのエンベロープ20は、単一エンベロープ20が、前記ステッチドシーム62a〜62d、64a〜64dの1つによって、少なくとも1つの隣接するエンベロープ20との間にスペースを置くように、第一の及び第二の層22、24の間に配置されている。ポケット25のそれぞれには、1つのエンベロープ20が入っている。エンベロープ20は、第一の層22又は第二の層24に固定されずに、ポケット25の中に挿入されている。
エンベロープのそれぞれは、図2a〜2dについて上述の方法2に従って、ガス発生剤として0.03gの「3M ノベック(NOVEC)(登録商標)1230 消火薬剤(Fire Protection Fluid)」(化学式:CF3CF2C(O)CF(CF3)2)が充填されている。
当該供試片の厚さ変化を測定する方法は、以下の通りである。
測定装置のセットアップ:
温度変化に応答する供試片60の厚さ変化を測定するための配置を図10に示している。この配置は、ベース302、加熱プレート304、トッププレート306、及びレーザーを基にした距離測定機器314を備える装置300を含む。
加熱プレート304は、加熱装置に接続されている(Erichsen製のドクターブレードコーター(doctor blade coater)509/MC/1からのプレート300mmx500mm + 加熱制御Jumo Matec、制御装置Jumo dtron 16を備え、220V/16Aに接続されている)。
供試片60を加熱プレート304上に平らに置く。
トッププレート306は、直径が89mmの扁平なディスクの形状をしており、「Monolux500」(Cape Boards & Panels, Ltd., Uxbridge, Englandより市販)又は同等の材料で作られている。トッププレート306は、およそ115gの重量を有する。トッププレート306を供試片60上に平らに置く。
レーザーを基にした距離測定機器310は、フレーム312及び距離レーザー機器314(レーザーセンサー:A/D変換器Almemo2590-9V5に接続されていて、3測定/秒の読み取り速度を有するLeuzeODSL-8N 4-400-S 12、このA/D変換器は、レーザーセンサーの0〜10Vの出力を0〜400mmの距離読み取り値に変換し、精度は:平板上で0.2mm)を包含する。フレーム312は、ベース302に取り付けられている。距離レーザー機器314は、距離レーザー機器314がレーザービーム316をトッププレート306の上面に向けて発し、反射ビーム318を受け取るような形で、フレームのトップアームに取り付けられており、継続して取り付けられたままになっている。距離レーザー機器314は、距離レーザー機器314とトッププレート306の上面との間の距離hを検出することができる。好ましくは、レーザービーム316は、トッププレート306の上面に直角に発される。
プレート304の温度勾配は、測定の範囲内で、プレートの全域で2Kよりも低い。
測定手順:
試験を、室温、すなわち23℃及び65%の相対湿度に調節された気候で行う。
(a)トッププレート306を加熱プレート304上に直接セットし(供試片60なし)、ゼロの読み取り値h0を得る。
(b)次に、供試片60を加熱プレート304とトッププレート306との間にセットする。加熱プレート304を、周囲温度よりも高く、ガス発生剤の予測される活性化温度よりも5K低い温度まで(例えばガス発生剤として3M ノベック(NOVEC)(登録商標)1230 消火薬剤(Fire Protection Fluid)を用いる場合は、44℃まで)加熱し、最初の高さの読み取り値h1を得る。供試片60の厚さ(活性化されていない状態における、第一の層22と第二の層24との間の距離に対応する)は、D0 = h0 - h1である。
(c)加熱プレートの温度を5Kのステップで上げ、各新しいステップに調節した後、1分後に距離hを読み取り、厚さ変化h1 - hを計算する。この手順を、供試片60の最大拡張に至るまで繰り返す。少なくとも2つの連続した5Kステップにおける厚さ変化h1 - hが、0.4mm(これは距離測定ツールの精度の2倍である)以内で等しい場合に、最大拡張に達したと見なされる。読み取り値hmaxを得る。
(活性化された状態の第一の層22と第二の層24との間の距離に対応する)供試片60の厚さは、D1 = h0 - hmaxである。
供試片60の厚さの増加(活性化されていない状態に対する活性化された状態の、第一の層22と第二の層24との間の距離の増加に対応する)は、D1 - D0 = h1 - hmaxである。
複数回の活性化/不活性化サイクルを受けることのできる供試片の例においては、以下の試験手順が利用可能である。
厚さ可逆性の測定方法:
上記の厚さ測定装置のセットアップを用いる。
(a)トッププレート306を加熱プレート304(供試片60なし)上に直接セットし、ゼロの読み取り値h0を得る。
(b)次に、供試片60を加熱プレート304とトッププレート306との間にセットする。加熱プレート304を、周囲温度よりも高く、ガス発生剤の予測される活性化温度よりも5K低い温度まで(例えばガス発生剤として3M ノベック(NOVEC)(登録商標)1230 消火薬剤(Fire Protection Fluid)を用いる場合は44℃まで)加熱し、最初の高さ読み取り値h1を得る。供試片60の厚さ(活性化されていない状態における、第一の層22と第二の層24との間の距離に対応する)は、D0 = h0 - h1である。
(c)加熱サイクル:
加熱プレート304のターゲット温度を、エンベロープ20中のガス発生剤の沸点よりも30℃高い温度に設定し、加熱プレート304を、1K/minの加熱速度で加熱する。厚さの増加(第一の層22と第二の層24との間の距離Dの増加に対応する)を、距離レーザー機器314で10秒ごとに測定する。加熱プレート304がターゲット温度に到達したら、この温度を約10分間維持し、厚さの増加の読み取りを続ける。10分後、最終の厚さの増加を測定する(ガス発生剤の活性化された状態における、第一の層22と第二の層24との間の距離に対応する)。
(d)冷却サイクル:
加熱プレート304のターゲット温度を室温に設定し、加熱プレート304を、1時間以内に環境下で冷却する。厚さの減少(第一の層22と第二の層24との間の距離Dの減少に対応する)を、距離レーザー機器314で10秒ごとに測定する。加熱プレート304がターゲット温度に到達したら、この温度を約10分間維持し、厚さの減少の読み取りを続ける。10分後、最終の厚さの減少を測定する(活性化されていない構成における、第一の層22と第二の層24との間の距離に対応する)。
加熱サイクル(c)及び冷却サイクル(d)を3回繰り返す。毎回、最高温度での厚さの増加及び最低温度での厚さの減少を測定する。
1回の加熱サイクルと1回の冷却サイクルについての、厚さ可逆性試験の結果を、温度Tに対する距離Dの線図の形で図12に示している。ヒステリシスループが生じていることを見ることができる。このヒステリシスループの最上部のプラトーから、活性化された構成における第一の層22と第二の層24との間の距離D1を、そして最低のプラトーから、活性化されていない構成における第一の層22と第二の層24との間の距離D0を、推測することができる。
液体ガス発生剤を備える可逆的エンベロープについては、以下の機能性試験を単一エンベロープ20について利用することができる。
(a)2つのバケツを用意する。各バケツを2リットルの液体で満たす。第一のバケツは冷浴として、第二のバケツは熱浴としての役割を果たす。冷浴及び熱浴のための温度は、ガス発生剤の活性化温度及びガス発生剤の凝縮/凝固の開始温度に対して選択されるべきである。一例において、ガス発生剤が液体であり沸騰/凝縮温度の範囲が47〜52℃である場合、熱浴及び冷浴中の液体として水を用いた、25℃の冷浴温度及び80℃の熱浴温度が好ましい。
(b)ガス発生剤18で充填されたエンベロープ20をピンセット(pincer)でつかみ、エンベロープ20が膨張するまで熱浴の中に入れる。
(c)完全に膨張した後、膨張エンベロープ20を熱浴から直ちに除去し、予測される厚さの開口を備えるフレームを用いて、膨張エンベロープの厚さを推定する。当該フレームは、熱伝導率の低い材料で作られているべきである。例として、膨張エンベロープの予測される厚さが5.5mmである場合、5mmの高さと30mmの幅の開口を備えるフレームを用いることで、エンベロープが少なくとも5mmに到達したということを示すことができる。
(d)次にこのエンベロープを、再びつぶれるまで冷浴中に入れる。サイクル(b)〜(d)を、膨張がフレームの間隙にもはや到達しなくなるまで(これはエンベロープの機能性が損なわれたことを意味する)繰り返す。各10回の反復の後、必要であれば、2つのバケツ内部の液体の温度はターゲット温度に制御され調節される。
布帛複合体の例:
例1として、図8aに従い、布帛複合体サンプル50を作成した。これは、
-Fritsche社, Germanyより市販の、200g/m2のノーメックス(Nomex)Delta T織物で作られている防熱層36の形状の外殻;
-W.L. Gore & Associates GmbH社, Germanyより市販の、Fireblocker N laminate(145g/m2)の形状のバリア積層38、及び
-図11に係る布帛複合体サンプル60の形状の積層構造10
を含んでいる。
エンベロープ20をガス発生剤18で充填せずに、例1と同じセットアップを用いて、参照サンプルを作成した。
例1及び参照サンプルについて、以下の試験結果を得た。
Figure 0005977257
「EN367-HTI24-平均(mean)」は、DIN EN 367(1992)で定義されているように、「80W/m2での熱伝達指数」を意味する。この量は、図11に示されているサンプル布帛の第一の側が、炎を伴う80W/m2の熱源に供された時に、第二の側(内側)において24Kの温度の上昇を得るのに必要な時間を表す。
「RHTI24平均(mean)」は、DIN-EN-ISO 6942(2002-9)で定義されているように、「40W/m2での放射熱伝達指数」を意味する。この量は、図11に示されているサンプル布帛の第一の側が、1100℃の温度の放射源を伴う40W/m2の放射熱源に供された時に、第二の側(内側)において24Kの温度の上昇を得るのに必要な時間を表す。
RETは、上記に定義されている通り、水蒸気透過抵抗性を意味する。本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[39]に記載する。
[1]
適応可能な断熱を提供する積層構造(10)であって、
-第一の層(22)、
-第二の層(24)、
-該第一の層(22)と該第二の層(24)との間に備えられた少なくとも1つの空洞(16)、
-活性化されていない構成及び活性化された構成を有するガス発生剤(18)であって、空洞(16)内の温度の上昇に応答して、空洞(16)内部のガス圧を増加させるように、該活性化されていない構成から該活性化された構成へ変化するように適合されているガス発生剤(18)、
を含み、
-該第一の層(22)、該第二の層(24)及び該空洞(16)が、該第一の層(22)と該第二の層(24)との間の距離が、空洞(16)内部のガス圧の上昇に応答して増加するように配置されている、積層構造(10)。
[2]
項目1に記載の積層構造(10)であって、
該ガス発生剤の所定の活性化温度を超える該空洞(16)内の温度に応答して、該ガス発生剤(18)が、該空洞(16)内でガスを発生するように適合されている、積層構造(10)。
[3]
項目1又は2に記載の積層構造(10)であって、
該ガス発生剤(18)の該活性化された構成における、該第一の層(22)と該第二の層(24)の間の第二の距離(D1)が、該ガス発生剤(18)の該活性化されていない構成における、該第一の層(22)と該第二の層(24)との間の第一の距離(D0)よりも1mm以上、好ましくは3mm以上大きい、積層構造(10)。
[4]
該空洞(16)を囲んでいるエンベロープ(20)をさらに含む、項目1〜3のいずれか1項に記載の積層構造(10)。
[5]
該エンベロープ(20)が、該空洞(16)の体積が該空洞(16)内部のガス圧の上昇に応答して増加するように構成されている、項目4に記載の積層構造(10)。
[6]
該エンベロープ(20)が流体密封である、項目4又は5に記載の積層構造(10)。
[7]
項目4〜6のいずれか1項に記載の積層構造(10)であって、
該エンベロープ(20)が、該ガス発生剤(18)の該活性化された構成において、該第一の空洞(16)内に生成したガス圧に供されることに対して、非伸縮性の材料で作られている、積層構造(10)。
[8]
項目4〜7のいずれか1項に記載の積層構造(10)であって、
該エンベロープ(20)が、該ガス発生剤(18)の該活性化された構成における、該空洞(16)内のある温度範囲に対して、耐熱性の材料で作られている、積層構造(10)。
[9]
項目4〜8のいずれか1項に記載の積層構造(10)であって、
該エンベロープ(20)が、流体密封の材料の少なくとも1つのエンベロープピース(12、14)で作られており、好ましくは流体密封の材料の少なくとも2つのエンベロープピース(12、14)で作られており、該エンベロープピース(12、14)が液体密封の形で共に接着されている、積層構造(10)。
[10]
該エンベロープ(20)が、金属/ポリマー複合材料で作られている、項目4〜9のいずれか1項に記載の積層構造(10)。
[11]
項目1〜10のいずれか1項に記載の積層構造(10)であって、
該ガス発生剤(18)が、該活性化されていない構成において液体(18a)の形状をしており、該適応可能な断熱の積層構造(10)の該活性化温度が、該ガス発生剤(18)の沸点に対応する、積層構造(10)。
[12]
項目11に記載の積層構造(10)であって、
該ガス発生剤(18)が、該活性化されていない構成において固体の形状をしており、該適応可能な断熱の積層構造(10)の該活性化温度が、該ガス発生剤(18)の昇華又は分解温度に対応する、積層構造(10)。
[13]
項目11又は12に記載の積層構造(10)であって、
該ガス発生剤(18)が、200℃より低い、好ましくは30℃〜100℃の、より好ましくは30〜70℃の、さらにより好ましくは40〜60℃の、及び最も好ましくは45℃〜55℃の蒸発温度を有する、積層構造(10)。
[14]
該液体がCF 3 CF 2 C(O)CF(CF 3 ) 2 を含む、項目13に記載の積層構造(10)。
[15]
項目1〜10のいずれか1項に記載の積層構造(10)であって、
該ガス発生剤(18)が、該活性化されていない構成において、液体、ゲル又は固体の形状であり、該適応可能な断熱の積層構造(10)の該活性化温度が、該ガス発生剤(18)からの少なくとも1つのガス状化合物の放出を引き起こす化学反応の活性化エネルギーに対応する温度である、積層構造(10)。
[16]
項目4〜15のいずれか1項に記載の積層構造(10)であって、
該エンベロープ(20)が注入補助物(19)を包含し、該注入補助物(19)が該空洞(16)内に延在しかつ該ガス発生剤(18)が適用される部位を有し、前記部位が該空洞(16)内に包含されている、積層構造(10)。
[17]
項目16に記載の積層構造(10)であって、
該注入補助物(19)が、該ガス発生剤(18)の該活性化されていない構成において、該ガス発生剤(18)を吸収することのできる材料で作られている、積層構造(10)。
[18]
項目16に記載の積層構造(10)であって、
該注入補助物(19)が、該ガス発生剤(18)の該活性化されていない構成において、該ガス発生剤(18)を吸着することのできる材料で作られている、積層構造(10)。
[19]
項目16〜18のいずれか1項に記載の積層構造(10)であって、
該注入補助物(19)が、該ガス発生剤(18)の該活性化されていない構成において、該空洞(16)より小さい、積層構造(10)。
[20]
項目16〜19のいずれか1項に記載の積層構造(10)であって、
該注入補助物(19)が、該エンベロープ(20)の材料と共に溶接される際に流体密封シールの形成を支持することのできる材料で作られている、積層構造(10)。
[21]
項目20に記載の積層構造(10)であって、
該注入補助物(19)が、溶接可能な注入補助物層を形成するシートとして設けられる、積層構造(10)。
[22]
項目4〜21のいずれか1項に記載の積層構造(10)であって、
該エンベロープ(20)が、該空洞(16)を第一のサブ空洞(16a)と第二のサブ空洞(16b)とに隔てる中間層(21)を包含する、積層構造(10)。
[23]
項目22に記載の積層構造(10)であって、
該中間層(21)が、流体密封の材料で作られており、該エンベロープ(20)の材料と共に溶接される際に流体密封シールの形成を支持するように構成されている、積層構造(10)。
[24]
該ガス発生剤(18)が、該中間層(21)の片面又は両面に適用される、項目22又は23に記載の積層構造(10)。
[25]
項目4〜24のいずれか1項に記載の積層構造(10)であって、
共に接着された少なくとも2つのエンベロープ(20a、20b)によって形成されるエンベロープ構造を包含する、積層構造(10)。
[26]
項目1〜25のいずれか1項に記載の積層構造(10)であって、
複数の空洞(16)を含み、該空洞(16)のそれぞれが個別のエンベロープ(20)によって包まれており、該エンベロープ(20)がお互いに距離(X)をとって配置されている、積層構造(10)。
[27]
項目1〜26のいずれか1項に記載の積層構造(10)であって、
温度の上昇に応答して、該ガス発生剤(18)の該活性化されていない構成における該第一の距離(D0)から該ガス発生剤(18)の該活性化された構成における該第二の距離(D1)まで、及び/又は、温度の低下に応答して、該ガス発生剤(18)の該活性化された構成における該第二の距離(D1)から該ガス発生剤(18)の該活性化されていない構成における該第一の距離(D0)まで、該第一の層(22)と該第二の層(24)との間の該距離(D)を可逆的に変化させるように構成されている、積層構造(10)。
[28]
項目1〜27のいずれか1項に記載の積層構造(10)であって、
該空洞(16)が、該ガス発生剤の該活性化されていない構成において、1mm以上の、好ましくは5mm以上の、最も好ましくは15mm以上の横寸法(A0)と、2mm以下の厚さ寸法を有する、積層構造(10)。
[29]
項目1〜28のいずれか1項に記載の積層構造(10)であって、
該空洞(16)が、該ガス発生剤(18)の該活性化された構成において、該ガス発生剤(18)の該活性化されていない構成における該空洞(16)の体積に対して、10〜2000の相対的な体積増加を有する、積層構造(10)。
[30]
適応可能な断熱を提供する積層構造(10)のためのエンベロープ(20)であって、該エンベロープ(20)が、活性化されていない構成及び活性化された構成を有するガス発生剤(18)がその中に包含された少なくとも1つの空洞(16)を囲んでおり、
該ガス発生剤(18)が、該空洞(16)内の温度の上昇に応答して該空洞(16)内部のガス圧を上昇させるように、該活性化されていない構成から該活性化された構成へ変化するように適合されており、
該エンベロープ(20)が、該空洞(16)の体積が該空洞(16)内部のガス圧の上昇に応答して増加するように構成されている、エンベロープ(20)。
[31]
項目1〜29のいずれか1項において特定された少なくとも1つの構成要件を含む、項目30に記載のエンベロープ(20)。
[32]
複合構造を備える布帛(50)であって、該複合構造が、項目1〜29のいずれか1項に記載の適応可能な断熱を提供する積層構造(10)、又は項目30若しくは31に記載の適応可能な断熱を提供する積層構造(10)のためのエンベロープを含む、布帛(50)。
[33]
項目32に記載の布帛(50)であって、
お互いに配置された複数の布帛層を含み、前記複数の布帛層が外側及び内側を有する外側の防熱殻構造(36)を包含し、適応可能な断熱(16、18、22、24)を提供する該積層構造(10)が該外側の防熱殻構造(36)の該内側上に配置されている、布帛(50)。
[34]
項目32又は33に記載の布帛(50)であって、
バリア構造(38)をさらに含み、該バリア構造(38)が該外側の防熱殻構造(36)の該内側上に配置されている、布帛(50)。
[35]
項目34に記載の布帛(50)であって、
該バリア構造(38)が、少なくとも1つの水蒸気透過性かつ防水性の層(40)を含み、該水蒸気透過性かつ防水性の層(40)が水蒸気透過性かつ防水性の膜(44)を含む、布帛(50)。
[36]
項目34又は35に記載の布帛(50)であって、
該バリア構造(38)が、該外側の防熱殻構造(36)と、適応可能な断熱(16、18、22、24)を提供する該積層構造(10)との間に位置する、布帛(50)。
[37]
項目32〜36のいずれか1項に記載の布帛(50)であって、
最も内側のライナー(24)をさらに含み、適応可能な断熱(16、18、22、24)を提供する該積層構造(10)が、該最も内側のライナー(24)を包含するか、又は該最も内側のライナー(48)に隣接して配置されている、布帛(50)。
[38]
防火服における使用に適合されている、項目32〜37のいずれか1項に記載の布帛(50)。
[39]
項目32〜38のいずれか1項に記載の布帛(50)であって、
該布帛が30m 2 Pa/Wより小さい、好ましくは20m 2 Pa/Wより小さいRetを有する、布帛(50)。

Claims (13)

  1. 適応可能な断熱を提供する積層構造(10)であって、
    -第一の層(22)、
    -第二の層(24)、
    -エンベロープ(20)、
    -ガス発生剤(18)、及び
    -該第一の層(22)と該第二の層(24)との間に備えられ、該エンベロープ(20)により囲まれた少なくとも1つの空洞(16)、を含み、
    エンベロープ(20)が、該ガス発生剤(18)をその中に密封し、流体密封であり、金属/ポリマー複合材料で作られており、該空洞(16)の体積が該空洞(16)内部のガス圧の上昇に応答して増加するように、及び/又は該空洞(16)の体積が該空洞(16)内部のガス圧の低下に応答して減少するように、可逆的に変化するように構成されており
    該ガス発生剤(18)が、活性化されていない構成及び活性化された構成を有空洞(16)内の温度の上昇に応答して、空洞(16)内部のガス圧を増加させるように、該活性化されていない構成から該活性化された構成へ変化するように適合されており
    該第一の層(22)、該第二の層(24)及び該空洞(16)が、該第一の層(22)と該第二の層(24)との間の距離(D)が該空洞(16)内部のガス圧の上昇に応答して増加するように配置されており、
    該積層構造(10)が、温度の上昇に応答して、該ガス発生剤(18)の該活性化されていない構成における第一の距離(D0)から該ガス発生剤(18)の該活性化された構成における第二の距離(D1)まで、及び/又は温度の低下に応答して、該ガス発生剤(18)の該活性化された構成における該第二の距離(D1)から該ガス発生剤(18)の該活性化されていない構成における該第一の距離(D0)まで、該第一の層(22)と該第二の層(24)との間の該距離(D)を可逆的に変化させるように構成されている、積層構造(10)。
  2. 水蒸気透過性である、請求項1に記載の積層構造(10)。
  3. 請求項1又は2に記載の積層構造(10)であって、
    該ガス発生剤(18)の該活性化された構成における、該第一の層(22)と該第二の層(24)の間の該第二の距離(D1)が、該ガス発生剤(18)の該活性化されていない構成における、該第一の層(22)と該第二の層(24)との間の該第一の距離(D0)よりも1mm以上大きい、積層構造(10)。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層構造(10)であって、
    該エンベロープ(20)が、該ガス発生剤(18)の該活性化された構成において、該第一の空洞(16)内に生成したガス圧に供されることに対して、非伸縮性の材料で作られている、及び/又は該エンベロープ(20)が、該ガス発生剤(18)の該活性化された構成における、該空洞(16)内のある温度範囲に対して、耐熱性の材料で作られている、積層構造(10)。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層構造(10)であって、
    該ガス発生剤(18)が、該活性化されていない構成において液体(18a)の形状をしており、該適応可能な断熱の積層構造(10)の該活性化温度が、該ガス発生剤(18)の沸点に対応し、該ガス発生剤(18)が、200℃より低い蒸発温度を有する、積層構造(10)。
  6. 該液体がCF3CF2C(O)CF(CF3)2を含む、請求項5に記載の積層構造(10)。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層構造(10)であって、
    該エンベロープ(20)が注入補助物(19)を包含し、該注入補助物(19)が該空洞(16)内に延在しかつ該ガス発生剤(18)が適用される部位を有し、前記部位が該空洞(16)内に包含されており、
    該注入補助物が、活性化されていない構成のガス発生剤を吸収又は吸着することのできる材料で作られている、積層構造(10)。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層構造(10)であって、
    共に接着された少なくとも2つのエンベロープ(20a、20b)によって形成されるエンベロープ構造を包含する、積層構造(10)。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層構造(10)であって、
    複数の空洞(16)を含み、該空洞(16)のそれぞれが個別のエンベロープ(20)によって包まれており、該エンベロープ(20)がお互いに距離(X)をとって配置されている、積層構造(10)。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の積層構造(10)であって、
    該空洞(16)が、該ガス発生剤の該活性化されていない構成において、1mm以上の横寸法(A0)と、2mm以下の厚さ寸法を有する、積層構造(10)。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層構造(10)であって、
    該空洞(16)が、該ガス発生剤(18)の該活性化された構成において、該ガス発生剤(18)の該活性化されていない構成における該空洞(16)の体積に対して、10〜2000の相対的な体積増加を有する、積層構造(10)。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の適応可能な断熱を提供する積層構造(10)のエンベロープ(20)であって、該エンベロープ(20)が、活性化されていない構成及び活性化された構成を有するガス発生剤(18)がその中に包含された少なくとも1つの空洞(16)を囲んでおり、
    該ガス発生剤(18)が、該空洞(16)内の温度の上昇に応答して該空洞(16)内部のガス圧を上昇させるように、該活性化されていない構成から該活性化された構成へ変化するように適合されており、
    該エンベロープ(20)が、流体密封であり、金属/ポリマー複合材料で作られており、該空洞(16)の体積が該空洞(16)内部のガス圧の上昇に応答して増加するように、及び/又は該空洞(16)の体積が該空洞(16)内部のガス圧の低下に応答して減少するように、可逆的に変化するように構成されている、エンベロープ(20)。
  13. 複合構造を備える布帛(50)であって、該複合構造が、請求項1〜11のいずれか1項に記載の適応可能な断熱を提供する積層構造(10)を含む、布帛(50)。
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