JP5733761B2 - 樹脂組成物およびそれを含有する皮膜形成剤、並びに皮膜 - Google Patents
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Description
(A)樹脂エマルション。
(B)数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、そのセルロースが、セルロースI型結晶構造を有すると共に、セルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化変性されてアルデヒド基,ケトン基およびカルボキシル基のいずれかとなったものであり、上記アルデヒド基およびケトン基の一部ないし全部は還元されており、カルボキシル基の含量が1.2〜2.5mmol/g、セミカルバジド法による測定でのアルデヒド基とケトン基の合計含量が0.3mmol/g以下であり、フェーリング試薬によるアルデヒド基の検出が認められない、セルロース繊維。
D:サンプルの滴定量(ml)
B:空試験の滴定量(ml)
f:0.1Nチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター(−)
w:試料量(g)
天然セルロースと、N−オキシル化合物とを水(分散媒体)に分散させた後、共酸化剤を添加して、反応を開始する。反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10〜11に保ち、pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なす。ここで、共酸化剤とは、直接的にセルロース水酸基を酸化する物質ではなく、酸化触媒として用いられるN−オキシル化合物を酸化する物質のことである。
前記特定のセルロース繊維(B成分)は、上記酸化反応後、更に還元反応を行うことが好ましい。具体的には、酸化反応後の微細酸化セルロースを精製水に分散し、水分散体のpHを約10に調整し、各種還元剤により還元反応を行う。本発明に使用する還元剤としては、一般的なものを使用することが可能であるが、好ましくは、LiBH4、NaBH3CN、NaBH4があげられる。なかでも、NaBH4は、コスト及び利用可能性という観点から特に好ましい。
つぎに、未反応の共酸化剤(次亜塩素酸等)や、各種副生成物等を除く目的で精製を行う。反応物繊維は通常、この段階ではナノファイバー単位までばらばらに分散しているわけではないため、通常の精製法、すなわち水洗とろ過を繰り返すことで高純度(99重量%以上)の反応物繊維と水の分散体とする。
上記精製工程にて得られる水を含浸した反応物繊維(水分散体)を、分散媒体中に分散させ分散処理を行う。処理に伴って粘度が上昇し、微細化処理されたセルロース繊維の分散体を得ることができる。その後、上記セルロース繊維の分散体を乾燥することによって、特定のセルロース繊維(B成分)を得ることできる。なお、上記セルロース繊維の分散体を乾燥することなく、分散体の状態で樹脂組成物に用いても差し支えない。
本発明の皮膜形成剤は、上記調製の樹脂組成物を含むものであり、処理対象物に塗布・噴霧等した後、乾燥させることにより、耐溶剤性,高弾性,帯電防止性等を有する高強度の皮膜を形成することができるものである。このように乾燥皮膜が上記の特性を有していると、皮膜自体が破壊され難くなるため、処理対象物から皮膜が剥がれにくくなる。このため、本発明の皮膜形成剤は、接着剤、塗料、ワックス(床、家具等の磨き剤ないし艶だし剤)として用いられ、そのほか、それらの製造原料としても利用できる。また、皮膜形成剤から得られる皮膜(フィルム)自体を単独で、所望用途に使用することもできる。
まず、針葉樹パルプ2gに、水150mlと、臭化ナトリウム0.25gと、TEMPOを0.025gとを加え、充分撹拌して分散させた後、13重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(共酸化剤)を、上記パルプ1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウム量が5.2mmol/gとなるように加え、反応を開始した。反応の進行に伴いpHが低下するため、pHを10〜11に保持するように0.5N水酸化ナトリウム水溶液を滴下しながら、pHの変化が見られなくなるまで反応させた(反応時間:120分)。反応終了後、0.1N塩酸を添加して中和した後、ろ過と水洗を繰り返して精製し、繊維表面が酸化されたセルロース繊維を得た。次に、上記セルロース繊維に純水を加えて1%に希釈し、高圧ホモジナイザー(H11、三和エンジニアリング社製)を用いて圧力100MPaで1回処理した。得られたセルロース繊維T1は、数平均繊維径89nm、カルボキシル基量1.2mmol/gであり、結晶構造を有していた。
添加する次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、上記パルプ1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウム量が6.5mmol/gとした以外は、製造例1に準じて、セルロース繊維T2を作製した。得られたセルロース繊維T2は、数平均繊維径54nm、カルボキシル基量1.6mmol/gであり、結晶構造を有していた。
添加する次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、上記パルプ1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウム量が12.0mmol/gとした以外は、製造例1に準じて、セルロース繊維T3を作製した。得られたセルロース繊維T3は、数平均繊維径11nm、カルボキシル基量2.0mmol/gであり、結晶構造を有していた。
製造例1と同様の手法で針葉樹パルプを酸化した後、遠心分離機で固液分離し、純水を加えて固形分濃度4%に調整した。その後、24%NaOH水溶液にてスラリーのpHを10に調整した。スラリーの温度を30℃として水素化ホウ素ナトリウムをセルロース繊維に対して0.2mmol/g加え、2時間反応させることで還元処理した。反応後、0.1N塩酸を添加して中和した後、ろ過と水洗を繰り返して精製し、セルロース繊維を得た。次に、上記セルロース繊維に純水を加えて1%に希釈し、高圧ホモジナイザー(H11、三和エンジニアリング社製)を用いて圧力100MPaで1回処理した。得られたセルロース繊維T4は、数平均繊維径58nm、カルボキシル基量1.2mmol/gであり、結晶構造を有していた。
製造例2と同様の手法で針葉樹パルプを酸化した後、製造例4と同様の手法で還元、精製した。次に、上記セルロース繊維に純水を加えて1%に希釈し、高圧ホモジナイザー(H11、三和エンジニアリング社製)を用いて圧力100MPaで1回処理した。得られたセルロース繊維T5は、数平均繊維径23nm、カルボキシル基量1.6mmol/gであり、結晶構造を有していた。
製造例3と同様の手法で針葉樹パルプを酸化した後、製造例4と同様の手法で還元、精製した。次に、上記セルロース繊維に純水を加えて1%に希釈し、高圧ホモジナイザー(H11、三和エンジニアリング社製)を用いて圧力100MPaで1回処理した。得られたセルロース繊維T6は、数平均繊維径4nm、カルボキシル基量2.0mmol/gであり、結晶構造を有していた。
添加する次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、上記パルプ1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウム量が4.1mmol/gとした以外は、製造例1に準じて、セルロース繊維H1を作製した。得られたセルロース繊維H1は、数平均繊維径182nm、カルボキシル基量1.0mmol/gであり、結晶構造を有していた。
原料を針葉樹パルプに替えて再生セルロースを使用し、添加する次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、再生セルロース1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウム量が27.0mmol/gとした以外は、製造例1に準じて、セルロース繊維H2を作製した。得られたセルロース繊維H2は、数平均繊維径は測定不可能(1nm以下)で、カルボキシル基量3.1mmol/gであり、結晶構造を有していなかった。
X線回折装置(リガク社製、RINT−Ultima3)を用いて、セルロース繊維の回折プロファイルを測定し、2シータ=14〜17°付近と、2シータ=22〜23°付近の2つの位置に典型的なピークが見られる場合は結晶構造(I型結晶構造)が「あり」と評価し、ピークが見られない場合は「なし」と評価した。
セルロース繊維の数平均繊維径を、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子社製、JEM−1400)を用いて観察した。すなわち、各セルロース繊維を親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストした後、2%ウラニルアセテートでネガティブ染色したTEM像(倍率:10000倍)から、先に述べた方法に従い、数平均繊維径を算出した。
セルロース繊維0.25gを水に分散させたセルロース水分散体60mlを調製し、0.1Mの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、電気伝導度測定を行った。測定はpHが約11になるまで続けた。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下の式(1)に従いカルボキシル基量を求めた。
セルロース繊維を約0.2g精秤し、これに、リン酸緩衝液によりpH=5に調整したセミカルバジド塩酸塩3g/l水溶液を正確に50ml加え、密栓し、二日間振とうした。ついで、この溶液10mlを正確に100mlビーカーに採取し、5N硫酸を25ml、0.05Nヨウ素酸カリウム水溶液5mlを加え、10分間撹拌した。その後、5%ヨウ化カリウム水溶液10mlを加えて、直ちに自動滴定装置を用いて、0.1Nチオ硫酸ナトリウム溶液にて滴定し、その滴定量等から、下記の式(2)に従い、試料中のカルボニル基量(アルデヒド基とケトン基との合計含量)を求めた。
D:サンプルの滴定量(ml)
B:空試験の滴定量(ml)
f:0.1Nチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター(−)
w:試料量(g)
セルロース繊維を0.4g精秤し、日本薬局方に従って調製したフェーリング試薬(酒石酸ナトリウムカリウムと水酸化ナトリウムとの混合溶液5mlと、硫酸銅五水和物水溶液5ml)を加えた後、80℃で1時間加熱した。そして、上澄みが青色、セルロース繊維部分が紺色を呈するものは、アルデヒド基は検出されなかったと判断し、「なし」と評価した。また、上澄みが黄色、セルロース繊維部分が赤色を呈するものは、アルデヒド基は検出されたと判断し、「あり」と評価した。
製造例1にて調製したセルロース繊維T1を4g(固形分量0.04g)と、ウレタンエマルション(スーパーフレックス460、第一工業製薬社製)100g(固形分量40g)を混合し、ホモディスパーを用いて3000rpmで3分間撹拌した。このようにして得られた樹脂組成物の初期粘度を測定した後、一部を耐熱ビンに移して、40℃の恒温槽で静置保存し、7日後および30日後の粘度保持率を測定した(樹脂組成物物性)。
後記の表2〜表4に示す配合量でセルロース繊維およびウレタンエマルションを配合し、参考例1と同様に樹脂組成物を調製し、参考例1と同様に初期粘度、粘度保持率を測定した(樹脂組成物物性)。さらに、参考例1と同様に乾燥皮膜を作製し、着色の有無を確認し、機械的強度測定、耐溶剤性測定、帯電防止性測定に供した(皮膜物性)。
樹脂組成物を調製後、1日室温で静置した後に、B型粘度計を用いて粘度を測定した(回転数60rpm、測定時間3分間、測定温度20℃)。
樹脂組成物を調製後、耐熱ビンに移して40℃の恒温槽で7日および30日静置した後に、B型粘度計を用いて粘度を測定した(回転数60rpm、測定時間3分間、測定温度20℃)。そして、その測定値および初期粘度の値より、以下の式を用いて粘度保持率を算出した。
粘度保持率[%]=7日後および30日後の粘度[mPa・s]/初期粘度[mPa・s]×100
樹脂組成物をプラスチック容器に固形分量で5gキャストし、室温で2日間、80℃で6時間、120℃で30分間乾燥して、皮膜を作製し、目視にて、乾燥による着色があるかどうかを確認した。
樹脂組成物をプラスチック容器に固形分量で5gキャストし、室温で2日間、80℃で6時間、120℃で30分間乾燥し、皮膜を作製した。得られた皮膜を5×60mmに切り、引張試験機(RTC−1225A、ORIENTEC社製)にて、移動速度5mm/min、20℃、40%RHの条件で測定した。このときの歪率と応力曲線の初期の傾きから弾性率(MPa)を求め、試験片が破断した点の応力を破断応力(MPa)とした。
樹脂組成物をプラスチック容器に固形分量で5gキャストし、室温で2日間、80℃で6時間、120℃で30分間乾燥し、皮膜を作製した。得られた皮膜を20×40mmに切り、酢酸エチル/トルエン混合液(重量比1:1)に浸漬し、40℃で24時間静置した。そして、24時間後、試験片を取り出して溶媒を拭き取り、重量、面積を測定した。その測定値より、初期値を0%として重量増加率[%]および面積増加率[%]を算出した。
樹脂組成物をプラスチック容器に固形分量で5gキャストし、室温で2日間、80℃で6時間、120℃で30分間乾燥し、皮膜を作製した。そして、超絶縁抵抗計(R8340、ADVANTEST社製)を用いて、得られた皮膜の印加電圧500V、25℃、40%RHにおける表面抵抗値[Ω]を測定した。
Claims (5)
- 接着剤、塗料またはワックスに用いられる樹脂組成物であって、下記の(A)成分および(B)成分を含有し、(B)成分の固形分の含有量が、(A)成分の固形分100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲であることを特徴とする樹脂組成物。
(A)樹脂エマルション。
(B)数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、そのセルロースが、セルロースI型結晶構造を有すると共に、セルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化変性されてアルデヒド基,ケトン基およびカルボキシル基のいずれかとなったものであり、上記アルデヒド基およびケトン基の一部ないし全部は還元されており、カルボキシル基の含量が1.2〜2.5mmol/g、セミカルバジド法による測定でのアルデヒド基とケトン基の合計含量が0.3mmol/g以下であり、フェーリング試薬によるアルデヒド基の検出が認められない、セルロース繊維。 - 上記(B)成分のセルロース繊維が、N−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いて酸化されたものであり、上記酸化反応により生じたアルデヒド基およびケトン基が、還元剤により還元されている、請求項1記載の樹脂組成物。
- 上記還元剤による還元が、水素化ホウ素ナトリウムによるものである、請求項2記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含有することを特徴とする皮膜形成剤。
- 請求項4記載の皮膜形成剤からなることを特徴とする皮膜。
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