以下、本発明の半導体用フィルムおよび半導体装置の製造方法について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の半導体用フィルムおよび本発明の半導体装置の製造方法の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体用フィルムおよび半導体装置の製造方法(主にダイシング工程)を説明するための図(縦断面図)、図2は、図1に示す半導体用フィルムを製造する方法を説明するための図、図3は、本発明の第1実施形態に係る半導体用フィルムおよび半導体装置の製造方法(主にピックアップ工程)を説明するための図(縦断面図)、図4は、図3に示すピックアップ工程を説明するための上面図、図5は、図4中A−A線断面図、図6(a)は、本発明に係るピックアップ工程を説明するための図、図6(b)は、従来のピックアップ工程を説明するための図、図7(a)は、図6(a)に示すピックアップ工程後の支持フィルムを示す上面図、図7(b)は、図6(b)に示すピックアップ工程後の支持フィルムを示す上面図、図8は、本発明の第1実施形態に係る半導体用フィルムおよび半導体装置の製造方法(主にモールド工程)を説明するための図(縦断面図)、図11は、ピックアップ工程において接着層と粘着層との間に生じる隙間を説明するための図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図1、2、4、5、7、8中の上側を「上」、下側を「下」という。
[半導体用フィルム]
図1に示す半導体用フィルム10は、支持フィルム4と、第1粘着層1と、第2粘着層2と、接着層3とを有している。より詳しくは、半導体用フィルム10は、支持フィルム4上に、第2粘着層2と、第1粘着層1と、接着層3とをこの順で積層してなるものである。
この半導体用フィルム10は、後に詳述するが、接着層3の上面に半導体ウエハー7を貼着させ、この状態で半導体ウエハー7および接着層3を切断(ダイシング)してそれぞれ個片化し、得られた個片(後述する半導体素子71と接着層31とを積層してなる個片83)を支持フィルム4からピックアップする際に用いるものである。このような半導体用フィルム10は、半導体ウエハー7をダイシングにより個片化する際に半導体ウエハー7を支持する機能を有する。また、半導体用フィルム10は、個片化された半導体ウエハー7(後述する半導体素子71)および接着層3(後述する接着層31)をピックアップする際に、第1粘着層1と接着層3との間が選択的に剥離するものである。このような半導体用フィルム10は、ピックアップした半導体素子71に、絶縁基板5上に接着するための接着剤(後述する接着層31)を提供する機能を有する。
また、後に詳述するが、この半導体用フィルム10は、その剛性および厚さが最適化されている。これにより、ピックアップ時において、支持フィルム4を突き上げピンで突き上げた際に、支持フィルム4の厚さ方向での変形量を局所的に大きくすることができる。そのため、支持フィルム4を突き上げピンで突き上げることにより、半導体用フィルム10の剥離すべき界面に隙間が生じやすくなり、ピックアップ性を向上させることができる。これにより、接着層3等の粘着性を高めても、良好にピックアップを行うことができる。また、接着層3等の粘着性を高めることができるので、ダイシング時において、いわゆるチップ飛びを防止し、ダイシング性を向上させることができる。
また、支持フィルム4の弾性が比較的低くなるので、ダイシング時において、ダイシングに伴って生じる振動を支持フィルム4で吸収することができる。その結果、ダイシング時における半導体ウエハー7の損傷を防止することもできる。
また、支持フィルム4の外周部41および第2粘着層2の外周部21は、それぞれ第1粘着層1の外周縁11を越えて外側に存在している。
このうち、外周部21には、後述する半導体装置100の製造時におけるダイシング時に、ウエハーリング9が貼り付けられる。これにより、半導体ウエハー7が確実に支持されることとなる。
以下、半導体用フィルム10の各部の構成について順次詳述する。
(第1粘着層)
第1粘着層1は、一般的な粘着剤で構成されている。具体的には、第1粘着層1は、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等を含む第1樹脂組成物で構成されている。
アクリル系粘着剤としては、例えば(メタ)アクリル酸およびそれらのエステルで構成される樹脂、(メタ)アクリル酸およびそれらのエステルと、それらと共重合可能な不飽和単量体(例えば酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル等)との共重合体等が挙げられる。また、これらの樹脂を2種類以上混合してもよい。
また、これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシルおよび(メタ)アクリル酸ブチルからなる群から選ばれる1種以上と、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルおよび酢酸ビニルの中から選ばれる1種以上との共重合体が好ましい。これにより、第1粘着層1が粘着する相手(被着体)との密着性や粘着性の制御が容易になる。
また、第1樹脂組成物には、粘着性(接着性)を制御するためにウレタンアクリレート、アクリレートモノマー、多価イソシアネート化合物(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート)等のイソシアネート化合物等のモノマーおよびオリゴマーを添加してもよい。
さらに、第1樹脂組成物には、第1粘着層1を紫外線等により硬化させる場合、光重合開始剤としてメトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等のアセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾインイソブチルエーテル系化合物、ベンゾイン安息香酸メチル系化合物、ベンゾイン安息香酸系化合物、ベンゾインメチルエーテル系化合物、ベンジルフィニルサルファイド系化合物、ベンジル系化合物、ジベンジル系化合物、ジアセチル系化合物等を添加してもよい。
また、第1樹脂組成物には、接着強度およびシェア強度を高める目的で、ロジン樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族芳香族系石油樹脂等の粘着付与剤等を添加してもよい。
このような第1粘着層1の平均厚さは、特に限定されないが、1〜100μm程度であるのが好ましく、特に3〜50μm程度であるのがより好ましい。かかる厚さが前記下限値未満であると、第1粘着層1の十分な粘着力を確保するのが難しくなる場合がある。一方、かかる厚さが前記上限値を超えると、後述するピックアップ工程時において、突き上げピンの突き上げ条件(突き上げ量、先端形状等)によっては、突き上げピンによる支持フィルム4の変形に追従して第1粘着層1が変形することが難しくなり、その結果、ピックアップ性が低下する場合がある。また、かかる厚さが前記上限値を超えても、あまり特性に影響が無く、利点も得られない。また、かかる厚さが前記範囲内であると、特に、ダイシング時に剥離せず、ピックアップ時には引っ張り荷重に伴って比較的容易に剥離可能になることから、ダイシング性、ピックアップ性に優れた第1粘着層1が得られる。
(第2粘着層)
第2粘着層2は、前述した第1粘着層1よりも粘着性が高いものである。これにより、接着層3に対する第1粘着層1の密着力よりも、第1粘着層1および支持フィルム4に対する第2粘着層2の密着力が大きくなる。そのため、後述する半導体装置100の製造におけるピックアップ工程において、剥離を生じさせるべき所望の界面(すなわち第1粘着層1と接着層3との界面)で剥離を生じさせることができる。
また、第2粘着層2の粘着性を高めることにより、後述する半導体装置100の製造の第2の工程においては、半導体ウエハー7をダイシングして個片化する際に、第2粘着層2とウエハーリング9との間が確実に固定されることとなる。その結果、半導体ウエハー7の位置ずれが確実に防止され、半導体素子71の寸法精度を高めることができる。
この第2粘着層2には、前述した第1粘着層1と同様のものを用いることができる。具体的には、第2粘着層2は、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等を含む第2樹脂組成物で構成されている。
アクリル系粘着剤としては、例えば(メタ)アクリル酸およびそれらのエステルで構成される樹脂、(メタ)アクリル酸およびそれらのエステルと、それらと共重合可能な不飽和単量体(例えば酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル等)との共重合体等が用いられる。また、これらの共重合体を2種類以上混合してもよい。
また、これらの中でも(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシルおよび(メタ)アクリル酸ブチルからなる群から選ばれる1種以上と、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルおよび酢酸ビニルの中から選ばれる1種以上との共重合体が好ましい。これにより、第2粘着層2が粘着する相手(被着体)との密着性や粘着性の制御が容易になる。
また、第2樹脂組成物には、粘着性(接着性)を制御するためにウレタンアクリレート、アクリレートモノマー、多価イソシアネート化合物(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート)等のイソシアネート化合物等のモノマーおよびオリゴマーを添加してもよい。
さらに、第2樹脂組成物には、第1樹脂組成物と同様の光重合開始剤を添加してもよい。
また、接着強度およびシェア強度を高める目的で、ロジン樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族芳香族系石油樹脂等の粘着付与剤等を添加してもよい。
このような第2粘着層2の平均厚さは、特に限定されないが、1〜100μm程度であるのが好ましく、特に3〜20μm程度であるのがより好ましい。かかる厚さが前記下限値未満であると、第2粘着層2の十分な粘着力を確保するのが困難となる場合がある。一方、かかる厚さが前記上限値を超えると、後述するピックアップ工程時において、突き上げピンの突き上げ条件(突き上げ量、先端形状等)によっては、突き上げピンによる支持フィルム4の変形に追従して第2粘着層2が変形することが難しくなり、その結果、ピックアップ性が低下する場合がある。また、かかる厚さが前記上限値を超えても、特に優れた効果が得られない。また、第2粘着層2は、第1粘着層1によりも柔軟性が高いため、第2粘着層2の平均厚さが前記範囲内であれば、第2粘着層2の形状追従性が確保され、半導体用フィルム10の半導体ウエハー7に対する密着性をより高めることができる。
(接着層)
接着層3は、例えば熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを含む第3樹脂組成物で構成されている。このような樹脂組成物は、フィルム形成能、接着性および硬化後の耐熱性に優れる。
このうち、熱可塑性樹脂としては、例えばポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等のポリイミド系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等のポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でもアクリル系樹脂が好ましい。アクリル系樹脂は、ガラス転移温度が低いため接着層3の初期密着性をより向上することができる。
なお、アクリル系樹脂とは、アクリル酸およびその誘導体の重合体および他の単量体との共重合体を意味し、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル、アクリロニトリル、アクリルアミド等の重合体および他の単量体との共重合体等が挙げられる。
また、アクリル系樹脂の中でもエポキシ基、水酸基、カルボキシル基、ニトリル基等の官能基を持つ化合物(共重合モノマー成分)を有するアクリル系樹脂(特に、アクリル酸エステル共重合体)が好ましい。これにより、半導体素子71等の被着体への密着性をより向上することができる。前記官能基を持つ化合物としては、具体的にはグリシジルエーテル基を持つグリシジルメタクリレート、水酸基を持つヒドロキシメタクリレート、カルボキシル基を持つカルボキシメタクリレート、ニトリル基を持つアクリロニトリル等が挙げられる。
また、前記官能基を持つ化合物の配合量は、特に限定されないが、アクリル系樹脂全体の0.5〜40質量%程度であるのが好ましく、特に5〜30質量%程度であるのがより好ましい。配合量が前記下限値未満であると密着性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると粘着力が強すぎて作業性を向上する効果が低下する場合がある。
また、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgは、特に限定されないが、−25〜120℃であることが好ましく、特に−20〜60℃であることがより好ましく、−10〜50℃であることがさらに好ましい。ガラス転移温度が前記下限値未満であると接着層3の粘着力が強くなり作業性が低下する場合があり、前記上限値を超えると低温接着性を向上する効果が低下する場合がある。
また、熱可塑性樹脂(特にアクリル系樹脂)の重量平均分子量は、特に限定されないが、10万以上が好ましく、特に15万〜100万が好ましい。重量平均分子量が前記範囲内であると、特に接着層3の成膜性を向上することができる。
一方、熱硬化性樹脂としては、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂等のフェノール樹脂、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネートエステル樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物を用いるようにしてもよい。また、これらの中でもエポキシ樹脂またはフェノール樹脂が好ましい。これらの樹脂によれば、接着層3の耐熱性および密着性をより向上することができる。
また、熱硬化性樹脂の含有量は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂100質量部に対して1〜400質量部程度であるのが好ましく、特に3〜300質量部程度であるのがより好ましい。含有量が前記上限値を上回ると、チッピングやクラックが起こる場合や、密着性を向上する効果が低下する場合があり、含有量が前記下限値を下回ると、粘着力が強すぎ、ピックアップ不良が起こる場合や、作業性を向上する効果が低下する場合がある。
また、第3樹脂組成物は、さらに硬化剤(熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂の場合、特に、フェノール系硬化剤)を含有することが好ましい。
硬化剤としては、例えばジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシレリレンジアミン(MXDA)等の脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、m−フェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)等の芳香族ポリアミン、ジシアンジアミド(DICY)、有機酸ジヒドララジド等を含むポリアミン化合物等のアミン系硬化剤、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)等の脂環族酸無水物(液状酸無水物)、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)等の芳香族酸無水物等の酸無水物系硬化剤、フェノール樹脂等のフェノール系硬化剤が挙げられる。これらの中でもフェノール系硬化剤が好ましく、具体的にはビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン(通称テトラメチルビスフェノールF)、4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール(通称ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、およびこれらの内ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタンの3種の混合物(例えば、本州化学工業(株)製、ビスフェノールF−D)等のビスフェノール類、1,2−ベンゼンジオール、1,3−ベンゼンジオール、1,4−ベンゼンジオール等のジヒドロキシベンゼン類、1,2,4−ベンゼントリオール等のトリヒドロキシベンゼン類、1,6−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類の各種異性体、2,2’−ビフェノール、4,4’−ビフェノール等のビフェノール類の各種異性体等の化合物が挙げられる。
また、硬化剤(特にフェノール系硬化剤)の含有量は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂100質量部に対して1〜400質量部であるのが好ましく、特に3〜200質量部であるのがより好ましい。含有量が前記下限値を下回ると、接着層3の耐熱性を向上する効果が低下する場合があり、含有量が前記上限値を上回ると、接着層3の保存性が低下する場合がある。
また、前述した熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂の場合は、エポキシ樹脂と硬化剤の当量比を計算して決めることができ、エポキシ樹脂のエポキシ基数と硬化剤の官能基数(例えばフェノール樹脂であればフェノール性水酸基数)の比が0.5〜1.5であることが好ましく、特に0.7〜1.3であることが好ましい。含有量が前記下限値未満であると流動保存性が低下する場合があり、前記上限値を超えると耐熱性を向上する効果が低下する場合がある。
また、第3樹脂組成物は、特に限定されないが、さらに硬化触媒(硬化促進剤)を含むことが好ましい。これにより、接着層3の硬化性を向上することができる。
硬化触媒としては、例えばイミダゾール類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン等アミン系触媒、トリフェニルホスフィン等リン系触媒等が挙げられる。これらの中でもイミダゾール類が好ましい。これにより、特に速硬化性と保存性を両立することができる。
イミダゾール類としては、例えば1−ベンジル−2メチルイミダゾール、1−ベンジル−2フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。これらの中でも2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールまたは2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールが好ましい。これにより、保存性を特に向上することができる。
また、硬化触媒の含有量は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.01〜30質量部程度であるのが好ましく、特に0.5〜10質量部程度であるのがより好ましい。含有量が前記下限値未満であると硬化性が不十分である場合があり、前記上限値を超えると保存性が低下する場合がある。
また、硬化触媒の平均粒子径は、特に限定されないが、10μm以下であることが好ましく、特に1〜5μmであることがより好ましい。平均粒子径が前記範囲内であると、特に硬化触媒の反応性に優れる。
また、第3樹脂組成物は、特に限定されないが、さらにカップリング剤を含むことが好ましい。これにより、樹脂と被着体および樹脂界面の密着性をより向上させることができる。
前記カップリング剤としてはシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらの中でもシラン系カップリング剤が好ましい。これにより、耐熱性をより向上することができる。
このうち、シラン系カップリング剤としては、例えばビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファンなどが挙げられる。
カップリング剤の含有量は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部程度であるのが好ましく、特に0.5〜10質量部程度であるのがより好ましい。含有量が前記下限値未満であると密着性の効果が不十分である場合があり、前記上限値を超えるとアウトガスやボイドの原因になる場合がある。
接着層3を成膜するにあたっては、このような第3樹脂組成物を、例えばメチルエチルケトン、アセトン、トルエン、ジメチルホルムアルデヒド等の溶剤に溶解して、ワニスの状態にした後、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーター等を用いてキャリアフィルムに塗工し、乾燥することで接着層3を得ることができる。
接着層3の平均厚さは、特に限定されないが、3〜100μm程度であるのが好ましく、特に5〜70μm程度であるのがより好ましい。厚さが前記範囲内であると、特に厚さ精度の制御を容易にできる。
また、第3樹脂組成物は、必要に応じてフィラーを含有していてもよい。フィラーを含むことにより、接着層3の機械的特性および接着力の向上を図ることができる。
このフィラーとしては、例えば銀、酸化チタン、シリカ、マイカ等の粒子が挙げられる。
また、フィラーの平均粒径は、0.01〜25μm程度であることが好ましい。平均粒径が前記下限値未満であるとフィラー添加の効果が少なくなり、前記上限値を超えるとフィルムとしての接着力の低下をもたらす可能性がある。
フィラーの含有量は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.1〜100質量部程度であるのが好ましく、特に5〜90質量部程度であるのがより好ましい。これにより、接着層3の機械的特性を高めつつ、接着力をより高めることができる。
(支持フィルム)
支持フィルム4は、以上のような第1粘着層1、第2粘着層2および接着層3を支持する支持体である。
特に、この支持フィルム4は、その23℃(室温)における剛性が40N以上1,000N以下であり、かつ、厚さが100μm以下である。
これにより、後述するピックアップ時において、支持フィルム4を突き上げピンで突き上げた際に、支持フィルム4の厚さ方向での変形量を局所的に大きくすることができる。そのため、支持フィルム4を突き上げピンで突き上げることにより、半導体用フィルム10の剥離すべき界面に隙間が生じやすくなり、ピックアップ性を向上させることができる。これにより、接着層3等の粘着性を高めても、良好にピックアップを行うことができる。また、接着層3等の粘着性を高めることができるので、ダイシング時において、いわゆるチップ飛びを防止し、ダイシング性を向上させることができる。
また、支持フィルム4の弾性が比較的低くなるので、ダイシング時において、ダイシングに伴って生じる振動を支持フィルム4で吸収することができる。その結果、ダイシング時における半導体ウエハー7の損傷を防止することもできる。
ここで、「剛性」は、対象物(支持フィルム4)の23℃(室温)における引張弾性率(ヤング率)をE[MPa]とし、対象物の試験片の断面積(横断面積)をS[mm2]としたときに、E×Sである。より具体的には、「支持フィルム4の剛性」(E×S)は、支持フィルム4を幅10mm、長さ100mmで切り出して短冊状の試験片を得、この試験片を引張試験装置(オリエンテック社製 RTA−100)を用いて試験温度23℃(室温)、試験速度1,000mm/minで引張弾性率Eを測定し、その測定された引張弾性率Eに試験片の断面積(横断面積)Sを乗じることにより求めることができる。
また、支持フィルム4の23℃(室温)における剛性は、支持フィルム4の厚さや突き上げピンの突き上げ量等に応じて決められるものであり、前述したように40N以上1,000N以下であればよいが、40N以上700N以下であるのがより好ましく、40N以上300N以下であるのがさらに好ましい。これに対し、かかる剛性が前記下限値未満であると、支持フィルム4に必要な機械的強度を確保することが難しく、また、突き上げピンの突き上げ量を高精度に制御しないと、突き上げピンが支持フィルム4を突き破って個片83を損傷させるおそれがある。一方、かかる剛性が前記上限値を超えると、支持フィルム4の厚さや突き上げピンの先端形状、突き上げ量等によっては、突き上げピンで突き上げによる支持フィルム4の厚さ方向での変形量を局所的に大きくすることができない場合がある。
また、支持フィルム4の23℃(室温)における曲げ剛性は、0.25N・mm2以下であるのが好ましい。
ここで、「曲げ剛性」は、対象物(支持フィルム4)の23℃(室温)における引張弾性率をE[MPa]とし、対象物の試験片の断面二次モーメントをI[mm4]としたときに、E×Iである。より具体的には、「支持フィルム4の曲げ剛性」(E×I)は、支持フィルム4を幅10mm、長さ100mmで切り出して短冊状の試験片を得、この試験片を引張試験装置(オリエンテック社製 RTA−100)を用いて試験温度23℃(室温)、試験速度1,000mm/minで引張弾性率Eを測定し、その測定された引張弾性率Eに試験片の断面二次モーメントIを乗じることにより求めることがでる。なお、かかる試験片の断面二次モーメントIは、試験片の幅をw[mm]、試験片の厚さ(すなわち支持フィルム4の厚さ)をh[mm]としたとき、w×h3/12である。
また、支持フィルム4の23℃(室温)における引張弾性率Eは、前述したような剛性を実現し得るものであれば、特に限定されないが、50〜3,000MPaであるのが好ましく、50〜1,000MPaであるのがより好ましい。かかる引張弾性率が前記下限値未満であると、支持フィルム4の厚さや突き上げピンの先端形状、突き上げ量等によっては、突き上げピンが支持フィルム4を突き破り、個片83が損傷するおそれがある。一方、かかる引張弾性率が前記上限値を超えると、支持フィルム4の厚さや突き上げピンの先端形状、突き上げ量等によっては、突き上げピンで突き上げによる支持フィルム4の厚さ方向での変形量を局所的に大きくすることができない場合がある。
このような支持フィルム4の構成材料としては、前述したような剛性を実現し得るものであれば、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、エチレン酢ビ共重合体、アイオノマー、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリスチレン、ビニルポリイソプレン、ポリカーボネート等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば2層以上の積層体として)用いることができる。
また、支持フィルム4のガラス転移温度は、0℃以上100℃以下であるものが好ましく、0℃以上30℃以下であるものがより好ましい。これにより、半導体装置の製造工程(特に、ピックアップ工程)において、支持フィルム4の剛性を前述したような範囲に維持することができる。
ここで、ガラス転移温度は、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツル株式会社製、型番:DMS6100)を用い、測定サンプルサイズ:4mm(幅)×20mm(長さ)×100μm(厚み)、周波数:1Hz、測定温度範囲:30〜300℃、昇温速度:10℃/分で測定したときに、Tanδのピークが発現する温度である。
また、支持フィルム4の平均厚さは、100μm以下であればよいが、5〜100μm程度であるのが好ましく、30〜100μm程度であるのがより好ましい。これにより、支持フィルム4に必要な機械的強度を確保するとともに、突き上げピンにより支持フィルム4を突き上げた際に、突き上げピンの先端部に追従するように局所的に支持フィルム4を変形させることができる。
また、支持フィルム4の降伏点応力は、10MPa以上200MPa以下であるのが好ましく、10MPa以上100MPa以下であるのがさらに好ましい。これにより、後述するようなピックアップ工程において、突き上げピンにより突き上げられた際に、支持フィルム4を塑性変形させて、その突き上げ量に応じた平面視での面積を有する突き上げ痕を形成することができる。また、かかる塑性変形により、ピックアップ時に、半導体用フィルム10の剥離すべき界面において好適に隙間を生じさせ(かかる隙間が生じた後に小さくなるのを防止し)、ピックアップ性を向上させることができる。
これに対し、かかる降伏点応力が前記下限値未満であると、支持フィルム4の厚さ、突き上げピンの突き上げ量等によっては、突き上げピンが支持フィルム4を突き破るおそれがある。一方、かかる引張強さが前記上限値を超えると、支持フィルム4の厚さ、突き上げピンの突き上げ量等によっては、突き上げピンの突き上げによる支持フィルム4の塑性変形が生じなかったり、ピックアップ時に、半導体用フィルム10の剥離すべき界面において好適に隙間を生じさるのが難しくなる。
(半導体用フィルムの特性)
第1粘着層1、第2粘着層2および接着層3は、それぞれ異なる密着力(粘着力)を有しているが、以下では、それらについて詳述する。
前述したように、第1粘着層1および支持フィルム4に対する第2粘着層2の密着力は、接着層3に対する第1粘着層1の密着力よりも大きい。これにより、個片83をピックアップした際に、第1粘着層1と第2粘着層2との界面が不本意にも剥離してしまうのを防止することができる。すなわち、第1粘着層1と接着層3との界面で選択的に剥離を生じさせることができる。
すなわち、第1粘着層1および第2粘着層2の2層で構成された粘着層を用いているため、それぞれの密着力を異ならせることで、上記のように、ダイシング時における半導体ウエハー7の確実な固定と個片83の容易なピックアップとを両立させることが可能になる。換言すれば、ダイシング性とピックアップ性の両立を図ることができる。
また、第1粘着層1の第2粘着層2に対する密着力は、特に限定されないが、100〜1,000cN/25mm程度であるのが好ましく、特に300〜1,000cN/25mm程度であるのがより好ましい。密着力が前記範囲内であると、特にダイシング性やピックアップ性に優れる。
なお、上記密着力(粘着力)の単位である「cN/25mm」は、第1粘着層1の表面に第2粘着層2を貼り付けたサンプルを25mm幅の短冊状にし、その後、23℃(室温)において、この積層フィルムにおいて第2粘着層2部分を剥離角180°でかつ引っ張り速度1,000mm/minで引き剥がしたときの荷重(単位cN)を表すものである。すなわち、ここでは、第1粘着層1の第2粘着層2に対する密着力は、180°ピール強度として説明する。
また、第1粘着層1の接着層3に対する密着力は、接着層3の半導体ウエハー7に対する密着力よりも小さいことが好ましい。これにより、個片83をピックアップした際に、半導体ウエハー7と接着層3との界面が不本意にも剥離してしまうのを防止することができる。すなわち、第1粘着層1と接着層3との界面で選択的に剥離を生じさせることができる。
また、接着層3の半導体ウエハー7に対する密着力は、特に限定されないが、50〜500cN/25mm程度であるのが好ましく、特に80〜250cN/25mm程度であるのがより好ましい。密着力が前記範囲内であると、特にダイシング時に振動や衝撃で半導体素子71が飛んで脱落する、いわゆる「チップ飛び」の発生を十分に防止することができる。
なお、上記密着力(粘着力)の単位である「cN/25mm」は、半導体ウエハー7の表面に25mm幅の短冊状の接着層3を貼り付け、その後、23℃(室温)において、その接着層3を剥離角180°でかつ引っ張り速度1,000mm/minで引き剥がしたときの荷重(単位cN)を表すものである。すなわち、ここでは、接着層3の半導体ウエハー7に対する密着力は、180°ピール強度として説明する。
また、第1粘着層1の接着層3に対する密着力は、第2粘着層2のウエハーリング9に対する密着力よりも小さいことが好ましい。これにより、後述する第3の工程において、個片83をピックアップした際に、第2粘着層2とウエハーリング9との間は剥離することなく、接着層3と第1粘着層1との間が選択的に剥離する。そして、ダイシングの際には、ウエハーリング9により積層体8を確実に支持し続けることができる。
なお、第1粘着層1の接着層3に対する密着力や第2粘着層2のウエハーリング9に対する密着力は、それぞれ、前述したアクリル系樹脂等の種類(組成)、モノマー等の種類、含有量、硬度等を変化させることで調整することができる。
また、ダイシング前における第1粘着層1の接着層3に対する密着力は、特に限定されないが、密着界面の平均で10〜80cN/25mm程度であるのが好ましく、特に30〜60cN/25mm程度であるのがより好ましい。密着力が前記範囲内であると、後述するように積層体8を引き伸ばしたり(エキスパンド)、積層体8をダイシングした際に、半導体素子71が第1粘着層1から脱落する等の不具合が防止されるとともに、優れたピックアップ性が確保される。
なお、上記密着力(粘着力)の単位である「cN/25mm」は、第1粘着層1の表面に接着層3を貼り付けたサンプルを25mm幅の短冊状にし、その後、23℃(室温)において、この積層フィルムにおいて接着層部分を剥離角180°でかつ引っ張り速度1,000mm/minで引き剥がしたときの荷重(単位cN)を表すものである。すなわち、ここでは、第1粘着層1の接着層3に対する密着力は、180°ピール強度として説明する。
上記のような特性を有する第1粘着層1の組成としては、例えば、アクリル系樹脂100質量部に対して、アクリレートモノマー1〜50質量部と、イソシアネート化合物0.1〜10質量部とを配合したものが挙げられる。
一方、第2粘着層2のウエハーリング9に対する密着力は、特に限定されないが、密着界面の平均で100〜2,000cN/25mm程度であるのが好ましく、特に400〜1,200cN/25mm程度であるのがより好ましい。密着力が前記範囲内であると、後述するように積層体8を引き伸ばしたり(エキスパンド)、積層体8をダイシングした際に、第1粘着層1と第2粘着層2との界面の剥離が防止され、結果として半導体素子71の脱落等が確実に防止される。また、ウエハーリング9により積層体8を確実に支持することができる。
なお、上記密着力(粘着力)の単位である「cN/25mm」は、ウエハーリング9の上面に25mm幅の短冊状の第2粘着層2を23℃(室温)で貼り付け、その後、23℃(室温)において、この第2粘着層2を、剥離角180°でかつ引っ張り速度1,000mm/minで引き剥がしたときの荷重(単位cN)を表すものである。すなわち、ここでは、第2粘着層2のウエハーリング9に対する密着力は、180°ピール強度として説明する。
上記のような特性を有する第2粘着層2の組成としては、例えば、アクリル系樹脂100質量部に対して、ウレタンアクリレート1〜50質量部と、イソシアネート化合物0.5〜10質量部と、光重合開始剤としてアセトフェノン系化合物を1〜5質量部とを配合し、紫外線光を照射したものが挙げられる。
また、第1粘着層1の接着層3に対する密着力をA1とし、第2粘着層2の第1粘着層1に対する密着力をA2としたとき、A2/A1は、特に限定されないが、5〜200程度であるのが好ましく、10〜50程度であるのがより好ましい。これにより、第1粘着層1、第2粘着層2および接着層3は、ダイシング性およびピックアップ性において特に優れたものとなる。
(半導体用フィルムの製造方法)
以上説明したような半導体用フィルム10は、例えば以下のような方法で製造される。
まず、図2(a)に示す基材4aを用意し、この基材4aの一方の面上に第1粘着層1を成膜する。これにより、基材4aと第1粘着層1との積層体61を得る。第1粘着層1の成膜は、前述した第1樹脂組成物を含む樹脂ワニスを各種塗布法等により塗布し、その後塗布膜を乾燥させる方法や、第1樹脂組成物からなるフィルムをラミネートする方法等により行うことができる。また、紫外線等の放射線を照射することにより、塗布膜を硬化させるようにしてもよい。
上記塗布法としては、例えば、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、カーテンコート法等が挙げられる。
また、積層体61と同様にして、図2(a)に示すように、用意した基材4bの一方の面上に接着層3を成膜し、これにより、基材4bと接着層3との積層体62を得る。
さらに、各積層体61、62と同様にして、図2(a)に示すように、用意した支持フィルム4の一方の面上に第2粘着層2を成膜し、これにより、支持フィルム4と第2粘着層2との積層体63を得る。
次いで、図2(b)に示すように、第1粘着層1と接着層3とが接するように積層体61と積層体62とを積層し、積層体64を得る。この積層は、例えばロールラミネート法等により行うことができる。
次いで、図2(c)に示すように、積層体64から基材4aを剥離する。そして、図2(d)に示すように、前記基材4aを剥離した積層体64に対して、基材4bを残して、前記接着層3および前記第1粘着層1の有効領域の外側部分をリング状に除去する。ここで、有効領域とは、その外周が、半導体ウエハー7の外径よりも大きく、かつ、ウエハーリング9の内径よりも小さい領域を指す。
次いで、図2(e)に示すように、第1粘着層1の露出面に第2粘着層2が接するように、基材4aを剥離し有効領域の外側部分をリング状に除去した積層体64と積層体63を積層する。その後、基材4bを剥離することにより、図2(f)に示す半導体用フィルム10が得られる。
[半導体装置の製造方法]
次に、上述したような半導体用フィルム10を用いて半導体装置100を製造する方法について説明する。
半導体装置100の製造方法は、半導体ウエハー7と半導体用フィルム10とを積層(貼着)し、積層体8を得る第1の工程と、半導体用フィルム10の外周部21をウエハーリング9に貼り付けた状態で、半導体ウエハー7側から積層体8に切り込み81を設ける(ダイシングする)ことにより、半導体ウエハー7および接着層3を個片化し、半導体素子71および接着層31からなる複数の個片83を得る第2の工程(ダイシング工程)と、個片83の少なくとも1つをピックアップする第3の工程(ピックアップ工程)と、ピックアップされた個片83を絶縁基板5上に載置し、半導体装置100を得る第4の工程とを有する。以下、各工程について順次詳述する。
[1]
[1−1]まず、半導体ウエハー7および半導体用フィルム10を用意する。
半導体ウエハー7は、あらかじめ、その表面に複数個分の回路が形成されたものである。かかる半導体ウエハー7としては、シリコンウエハーの他、ガリウムヒ素、窒化ガリウムのような化合物半導体ウエハー等が挙げられる。
このような半導体ウエハー7の平均厚さは、特に限定されず、好ましくは0.01〜1mm程度、より好ましくは0.03〜0.5mm程度とされる。前述したような半導体用フィルム10を用いた半導体装置の製造方法によれば、このような厚さの半導体ウエハー7に対しても欠けや割れ等の不具合を生じさせることなく、簡単かつ確実に切断して個片化することができる。
[1−2]次に、図1(a)に示すように、上述したような半導体用フィルム10の接着層3と、半導体ウエハー7とを密着させつつ、半導体用フィルム10と半導体ウエハー7とを積層する(第1の工程)。なお、図1に示す半導体用フィルム10では、接着層3の平面視における大きさおよび形状が、半導体ウエハー7よりも大きく、かつ、ウエハーリング9の内径よりも小さい形状に設定されている。このため、半導体ウエハー7の下面全体が接着層3の上面全体と密着し、これにより半導体ウエハー7が半導体用フィルム10で支持されることとなる。なお、接着層3の平面視における大きさおよび形状が、半導体ウエハー7と同じに設定されていてもよい。
上記積層の結果、図1(b)に示すように、半導体用フィルム10と半導体ウエハー7とが積層されてなる積層体8が得られる。
[2]
[2−1]次に、ウエハーリング9を用意する。続いて、第2粘着層2の外周部21の上面とウエハーリング9の下面とが密着するように、積層体8とウエハーリング9とを積層する。これにより、積層体8の外周部がウエハーリング9により支持される。
ウエハーリング9は、一般にステンレス鋼、アルミニウム等の各種金属材料等で構成されるため、剛性が高く、積層体8の変形を確実に防止することができる。
半導体用フィルム10が上述したように粘着性の異なる2層の粘着層(第1粘着層1および第2粘着層2)を有していることにより、これらの粘着性の違いを利用して、ダイシング性とピックアップ性の両立を図ることができる。
[2−2]次に、ダイサーテーブル302と支持フィルム4とが接触するように、ダイサーテーブル302上に積層体8を載置する。
続いて、図1(c)に示すように、ダイシングブレード82を用いて積層体8に複数の切り込み81を形成する(ダイシング)。ダイシングブレード82は、円盤状のダイヤモンドブレード等で構成されており、これを回転させつつ積層体8の半導体ウエハー7側の面に押し当てることで切り込み81が形成される。そして、半導体ウエハー7に形成された回路パターン同士の間隙に沿って、ダイシングブレード82を相対的に移動させることにより、半導体ウエハー7が複数の半導体素子71に個片化される(第2の工程)。また、接着層3も同様に、複数の接着層31に個片化される。このようなダイシングの際には、半導体ウエハー7に振動や衝撃が加わるが、半導体ウエハー7の下面が半導体用フィルム10で支持されているため、上記の振動や衝撃が緩和されることとなる。その結果、半導体ウエハー7における割れや欠け等の不具合の発生を確実に防止することができる。
切り込み81の先端(最深部)は、支持フィルム4に達している。これにより、半導体ウエハー7および接着層3の双方を確実に個片化して、半導体素子71および接着層31を得ることができる。なお、切り込み81の深さは、半導体ウエハー7と接着層3とを貫通し得る深さであればよく、例えば、切り込み81の深さを高精度に制御可能である場合には、切り込み81の最深部は、第1粘着層もしくは第2粘着層2の途中、あるいは、第1粘着層1と第2粘着層2の界面のもしくは第2粘着層2と支持フィルム4との界面に位置していてもよい。
[3]
[3−1]次に、複数の切り込み81が形成された積層体8を、図示しないエキスパンド装置により、放射状に引き伸ばす(エキスパンド)。これにより、図1(d)に示すように、積層体8に形成された切り込み81の幅が広がり、それに伴って個片化された半導体素子71同士の間隔も拡大する。その結果、半導体素子71同士が干渉し合うおそれがなくなり、個々の半導体素子71をピックアップし易くなる。なお、エキスパンド装置は、このようなエキスパンド状態を後述する工程においても維持し得るよう構成されている。
[3−2]次に、図3に示すダイボンダー250により、個片化された半導体素子71のうちの1つを吸着して上方に引き上げる。その結果、図3(e)に示すように、接着層31と第1粘着層1との界面が選択的に剥離し、半導体素子71と接着層31とが積層されてなる個片83がピックアップされる(第3の工程)。
また、前述したように個片83をピックアップする際、積層体8の下方から、対象となる個片83を上方へ突き上げる。
ここで、ダイボンダー250について説明する。
図3に示すダイボンダー250は、ダイシング工程を経て得られた個片83をピックアップする機能と、ピックアップした個片83を絶縁基板5上に移送する機能とをそれぞれ有する。
このようなダイボンダー250は、個片83を吸着するコレット(チップ吸着部)260と、絶縁基板5を下方から加熱するヒーター270と、コレット260を支持する装置本体280と、積層体8(特に支持フィルム4)を吸着固定しつつ個片83を突き上げる突き上げ装置(支持フィルム吸着部)400とを有する。
突き上げ装置400は、支持フィルム4の個片83とは反対側の面を吸着固定する吸着台410と、ピックアップの対象となる個片83を突き上げる複数(本実施形態では5本)の突き上げピン(ニードル)420と、複数の突き上げピン420を保持するホルダ430とを有する。
吸着台410は、その上面が積層体8の支持フィルム4の接着層3とは反対側の面に吸着する。また、吸着台410は、支持フィルム4のうち、ピックアップの対象となる個片83に対応する部分およびその近傍部分に対して吸着する。
このような吸着台410は、その上面に、略環状をなす溝411が形成され、その溝411の底面には、その周方向に並んで複数の吸引孔412が形成されている。また、溝411の内側には、溝411の周方向に並んで複数の吸引孔413が設けられている。さらに、複数の吸引孔413の内側には、溝411の周方向に並んで複数の吸引孔414が形成されている。また、複数の吸引孔414の内側には、吸引孔415が形成されている。
また、吸着台410は、各吸引孔412、413、414、415と連通する柱状の中空部410aを有し、その中空部410aには、中空部410a内を負圧にするための吸引装置(図示せず)が接続されている。これにより、溝411内、各吸引孔412、413、414、415内を負圧にし、吸着台410の上面に積層体8を吸着固定することができる。
このような吸着台410内(中空部410a内)には、複数の突き上げピン420を保持するホルダ430が挿通されている。
複数の突き上げピン420は、複数の吸引孔413のうち周方向に互いに等間隔となる4つの吸引孔に挿通される4つの突き上げピン420a、420b、420c、420dと、吸引孔415に挿通される1本の突き上げピン420eとで構成されている。
本実施形態では、これらの突き上げピン420は、互いに同じ寸法(径、長さ、形状等)で構成されている。
なお、突き上げピン420は、互いに異なる寸法で構成されていてもよい。また、突き上げピン420の数は、個片83の大きさ、突き上げピンの配置等に応じて決定されるものであり、上述したものに限定されず、1〜4本であってもよいし、6本以上であってもよいが、1〜50本程度であるのが好ましく、また、個片83の面積10mm2当たりに1〜7本程度であるのが好ましい。
そして、これらの突き上げピン420は、互いに平行で、かつ、先端が揃う(吸着台410の上面と先端との距離が互いに等しくなる)ように、ホルダ430に保持されている。
ホルダ430は、吸着台410内を上下方向に移動可能となっている。これにより、各突き上げピン420を、吸着台410の上面から突出させたり、吸着台410の上面よりも下側へ退避させたりすることができる。
また、図示しないが、ピックアップ工程において、前述したように積層体8の外周部がウエハーリング9により支持されており、そのウエハーリング9は、図示しないテーブルに固定されている。このテーブルは、鉛直方向上方から見たときに、ピックアップの対象となる個片83が吸着台410上に位置するように、移動可能となっている。すなわち、吸着台410は、鉛直方向上方から見たときに、ピックアップの対象となる個片83に対応する位置に応じて相対的に移動するようになっている。これにより、複数の個片83を1つずつ選択的に突き上げピン420により突き上げ、ピックアップすることができる。
コレット260は、ピックアップの対象となる個片83(鉛直方向上方から見たときに吸着台410上に位置する個片83)を吸着し得るように構成されている。
このようなコレット260は、装置本体280に支持されている。
装置本体280は、コレット260を鉛直方向の上下に移動し得るとともに、コレット260を吸着台410の上方から絶縁基板5上まで移動し得るように構成されている。これにより、吸着台410の上方に位置する個片83をコレット260に吸着し、その吸着した状態で個片83を絶縁基板5上に移送することができる。
このようなダイボンダー250においては、支持フィルム4を吸着台410に吸着固定しつつ、複数の突き上げピン420により支持フィルム4を介して個片83を上方へ突き上げる。これと同期して、コレット260を下降させて、当該個片83をコレット260に吸着させ、その吸着した状態でコレット260を鉛直方向上方へ移動させ、対象となる個片83について、接着層3と第1粘着層との間の界面で剥離を生じさせ、ピックアップする。
このとき、前述したように支持フィルム4を複数の突き上げピン420で突き上げた際に、図6(a)に示すように、支持フィルム4のうち各突き上げピン420と接触点(接触する部分の中心)を中心として局所的に厚さ方向に変形する。しかも、前述したように、支持フィルム4は、その剛性が40N以上1,000N以下であり、かつ、厚さが100μm以下であるので、その局所的な変形の変形量を大きくすることができる。そのため、支持フィルム4を複数の突き上げピン420で突き上げることにより、半導体用フィルム10の剥離すべき界面(接着層3と第1粘着層1との界面)に隙間Sが生じやすくなり(すなわち、接着層3と第1粘着層1との接触面積が小さくなり)、ピックアップ性を向上させることができる。これにより、接着層3等の粘着性を高めても、良好にピックアップを行うことができる。また、接着層3等の粘着性を高めることができるので、ダイシング時において、いわゆるチップ飛びを防止し、ダイシング性を向上させることができる。
なお、このようなピックアップの際に、接着層31と第1粘着層1との界面が選択的に剥離する理由は、前述したように、第2粘着層2の粘着性が第1粘着層1の粘着性が高いため、支持フィルム4と第2粘着層2との界面の密着力、および、第2粘着層2の第1粘着層1との界面の密着力は、第1粘着層1と接着層3との密着力より大きいからである。すなわち、半導体素子71を上方にピックアップした場合、これらの3箇所のうち、最も密着力の小さい第1粘着層1と接着層3との界面が選択的に剥離することとなる。
このような複数の突き上げピン420による突き上げ後の支持フィルム4は、前述したような局所的な変形の変形量が大きいため、支持フィルム4のうち各突き上げピン420の接触点(突き上げられた部分43の中心)を中心として部分的に塑性変形する。すなわち、図7(a)に示すように、複数の突き上げピン420による突き上げ後の支持フィルム4には、各突き上げピン420の接触点を中心として塑性変形した円形の突き上げ痕43aが形成される。この突き上げ痕43aの面積は、比較的大きいものとなる。
ここで、前述したような良好なピックアップ性を実現するためには、1つの個片83の平面視での面積(半導体素子71の平面視での面積)をAとし、支持フィルム4の当該個片83に対応する領域内に形成された複数の突き上げ痕43aの平面視での面積(合計面積)をBとしたとき、B/Aは、0.5〜15%であるのが好ましく、1〜12%であるのがより好ましく、2〜10%であるのがさらに好ましい。なお、1つの個片83の平面視での長さをLとし、1つの個片83の平面視での幅をWとしたとき、1つの個片83の平面視での面積Aは、W×Lである。
かかる面積の割合B/Aが前記範囲内である支持フィルム4は、前述したようなピックアップの際に、支持フィルム4のうち各突き上げピン420に接触した部分およびその近傍が厚さ方向に大きく変形したものであること(厚さ方向での変形量が大きいこと)がわかる。
また、前述したようなピックアップに際し、突き上げピン420の本数が多い場合、突き上げピン420の本数が少ない場合に比し、1本当たりの突き上げピン420による前述したような支持フィルム4の厚さ方向での変形量が小さくても、良好なピックアップ性を実現することができる。
具体的に説明すると、例えば、支持フィルム4が1つの突き上げピン420の突き上げにより部分的に厚さ方向に変形したとき、平面視にて突き上げピン420の周囲に前述したような隙間Sが形成される。当該隙間Sは、突き上げピン420を中心とした、接着層3下面の円錐形状と第1粘着層1上面の円錐形状との間に形成されるため、当該隙間Sにおける接着層3と第1粘着層1との間の距離は、突き上げピン420を中心とした一定距離の円周上を最大値として、該円周上から遠ざかるほど小さくなる(図11参照)。したがって、突き上げピン420の数が少ない場合は、1本の突き上げピン420当たりに形成される隙間Sの平面視での面積を大きくする必要がある。すなわち、突き上げピン420の数が少ない場合は、1つの突き上げ痕43aの面積を大きくする必要がある。
一方、突き上げピン420の数が多い場合、突き上げピン420同士の間の距離が小さく、1本の突き上げピン420当たりに形成される隙間Sの平面視での面積を小さくすることができる。そのため、突き上げピン420の本数が多い場合、突き上げピン420の本数が少ない場合に比し、1本の突き上げピン420当たりの前述したような支持フィルム4の厚さ方向での変形量が小さくて済む。すなわち、突き上げピン420の数が多い場合は、1つの突き上げ痕43aの面積を小さくすることができる。
このようなことから、突き上げピン420の本数によらず、個片83の面積Aに対する複数の突き上げ痕43aの合計の面積Bの占める割合B/Aを前述したような範囲にすることにより、隙間Sを好適に形成し、前述したような優れたピックアップ性を実現することができる。
これに対し、例えば剛性が1,000Nよりも大きい支持フィルム104を用いた半導体用フィルム110を半導体ウエハー7に貼着した積層体108では、図6(b)に示すように、支持フィルム104を複数の突き上げピン420で突き上げた際に、支持フィルム104の剛性が比較的高いため、支持フィルム104のうち各突き上げピン420に突き上げられる部分がほとんど厚さ方向に変形しないか、あるいは、変形したとしてもその変形量が極めて小さい。そのため、支持フィルム104が局所的に変形せずに吸着台410からその吸着力に抗して浮き上がってしまう。このようなことから、支持フィルム104を複数の突き上げピン420で突き上げても、半導体用フィルム110の剥離すべき界面(接着層3と第1粘着層1との界面)に隙間S’が生じにくく、隙間S’が形成されたとしても、その平面視での面積が小さく(すなわち、接着層3と第1粘着層1との接触面積が大きいままであり)、ピックアップ性の向上が望めない。
このような複数の突き上げピン420による突き上げ後の支持フィルム104は、その局所的な変形の変形量(厚さ方向での変形量)が小さいため、支持フィルム104のうち各突き上げピン420に突き上げられた部分1043がほとんど塑性変形しない。すなわち、図7(b)に示すように、複数の突き上げピン420による突き上げ後の支持フィルム104には、比較的小さい面積の突き上げ痕1043aが形成されるだけとなる。
なお、前述したような面積の割合B/Aは、ダイボンダー(ASM社製 AD898)を用いてピックアップした後の支持フィルムについて測定されるものである。具体的には、かかる割合B/Aは、温度23℃(室温)、各突き上げピン420の突き上げ速度(上昇速度)を46.8mm/sec、各突き上げピン420の突き上げ量(吸着台410の上面(吸着面)からの突出量)を0.3mm、各突き上げピン420の軸径を0.7mm、各突き上げピン420の先端のテーパ角を15°、各突き上げピンの先端面の直径0.2mm、各突き上げピン420の先端面の曲率半径を0.125mm、吸着台410の吸着力(真空度)を−80kPaとする条件のもとで、ピックアップを行った後の支持フィルムについて測定されるものである。
また、実際のピックアップ工程において、複数の突き上げピン420の突き上げ速度(上昇速度)は、1〜100mm/secであるのが好ましく、5〜50mm/secであるのがより好ましい。かかる突き上げ速度を前記範囲内とすることにより、半導体素子71の損傷を防止しつつ、効率的に個片83のピックアップを行うことができる。これに対し、かかる突き上げ速度が前記下限値未満であると、1つの個片83をピックアップするのに要する時間が長くなったり、突き上げピン420の突き上げ量を十分なものとすることができず、突き上げピン420によるピックアップ性の向上が望めなかったりする場合がある。一方、かかる突き上げ速度が前記上限値を超えると、支持フィルム4の厚さ、弾性率、突き上げピン420の突き上げ量、先端形状等によっては、突き上げピン420が支持フィルム4を突き破って半導体素子71を損傷するおそれがある。
また、各突き上げピン420の突き上げ量(吸着台410の上面からの突出長さ)は、0.1mm以上2mm以下であるのが好ましく、0.1mm以上1mm以下であるのがより好ましい。かかる突き上げ量を前記範囲内とすることにより、半導体素子71の損傷を防止しつつ、効率的に個片83のピックアップを行うことができる。これに対し、かかる突き上げ量が前記下限値未満であると、前述したような突き上げピン420の突き上げによる支持フィルム4の部分的な厚さ方向での変形量が小さく、ピックアップ性の向上を望めない場合がある。一方、かかる突き上げ量が前記上限値を超えると、支持フィルム4の厚さ、弾性率、突き上げピン420の突き上げ速度、先端形状等によっては、突き上げピン420が支持フィルム4を突き破って半導体素子71を損傷するおそれがある。
また、本実施形態では、各突き上げピン420の先端形状は、先端部が先細りとなるテーパ状をなし、そのテーパ角は、特に限定されないが、10〜30°程度である。なお、各突き上げピン420の先端部の形状は、前述したものに限定されない。
また、各突き上げピン420の先端には、所定の曲率半径で先端側に凸湾曲した先端面が形成されている。その曲率半径は、特に限定されないが、0.05〜0.5mm程度である。
また、各突き上げピン420の軸径(テーパ状の先端部の基端側の直径)は、特に限定されず、例えば、1mm以上5mm以下程度である。
また、吸着台410の吸着力(真空度)は、特に限定されないが、−90kPa以上−60kPa以下程度である。かかる吸着力(真空度)が前記上限値を超えると、突き上げピン420の突き上げによって支持フィルム4が吸着台410から浮き上がってしまい、前述したような支持フィルム4の変形および隙間Sの形成を生じさせることができない場合がある。一方、かかる吸着力(真空度)が前記下限値未満であると、装置が大掛かりなものとなるし、特段の利点もない。
[4]
[4−1]一方、半導体素子71(チップ)を搭載(マウント)するための絶縁基板5を用意する。
この絶縁基板5としては、半導体素子71を搭載し、半導体素子71と外部とを電気的に接続するための配線や端子等を備えた絶縁性を有する基板が挙げられる。
具体的には、ポリエステル銅張フィルム基板、ポリイミド銅張フィルム基板、アラミド銅張フィルム基板等の可撓性基板や、ガラス布・エポキシ銅張積層板等のガラス基材銅張積層板、ガラス不織布・エポキシ銅張積層板等のコンポジット銅張積層板、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板等の耐熱・熱可塑性基板といった硬質性基板の他、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板等のセラミックス基板、ビスマレイミド−トリアジン(BT)基板などが挙げられる。
なお、絶縁基板5に代えて、リードフレーム等を用いるようにしてもよい。
次いで、図3(f)に示すように、ピックアップされた個片83を、前述したダイボンダー250により絶縁基板5上に載置する。
そして、ヒーター270で加熱しつつ個片83を絶縁基板5に圧着することにより、個片83を絶縁基板5に接着する(図3(f)参照)。
[4−2]次に、図8(g)に示すように、絶縁基板5上に載置された個片83を加熱・圧着する。これにより、接着層31を介して半導体素子71と絶縁基板5とが接着(ダイボンディング)される(第4の工程)。
加熱・圧着の条件としては、例えば加熱温度は100〜300℃程度であるのが好ましく、100〜200℃程度であるのがより好ましい。また、圧着時間は1〜10秒程度であるのが好ましく、1〜5秒程度であるのがより好ましい。
また、その後に加熱処理を施してもよい。この場合の加熱条件は、加熱温度が好ましくは100〜300℃程度、より好ましくは150〜250℃程度とされ、加熱時間が好ましくは1〜240分程度、より好ましくは10〜60分程度とされる。
その後、半導体素子71の端子(図示せず)と絶縁基板5上の端子(図示せず)とをワイヤ84により電気的に接続する。なお、この接続には、ワイヤ84に代えて、導電性ペースト、導電性フィルム等を用いるようにしてもよい。
そして、絶縁基板5上に載置された個片83およびワイヤ84を樹脂材料で被覆し、モールド層85を形成する。このモールド層85を構成する樹脂材料としては、エポキシ系樹脂等の各種モールド樹脂が挙げられる。
さらに、絶縁基板5の下面に設けられた端子(図示せず)にボール状電極86を接合することにより、半導体素子71をパッケージ内に収納してなる図8(h)に示すような半導体装置100が得られる。
以上のような方法によれば、第3の工程において、半導体素子71に接着層31が付着した状態、すなわち個片83の状態でピックアップされることから、第4の工程において、この接着層31をそのまま絶縁基板5との接着に利用することができる。このため、別途接着剤等を用意する必要がなく、半導体装置100の製造効率をより高めることができる。
特に、前述したように支持フィルム4の剛性および厚さが最適化されているので、ピックアップ工程において、突き上げピン420の突き上げにより支持フィルム4を部分的に厚さ方向に大きく変形させることができる。そのため、ピックアップ性を向上させることができる。これにより、接着層3等の粘着性を高めても、良好にピックアップを行うことができる。また、接着層3等の粘着性を高めることができるので、ダイシング時において、いわゆるチップ飛びを防止し、ダイシング性を向上させることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の半導体用フィルムおよび本発明の半導体装置の製造方法の第2実施形態について説明する。
図9は、本発明の第2実施形態に係る半導体用フィルムおよび半導体装置の製造方法(主にダイシング工程)を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図9中の上側を「上」、下側を「下」という。
以下、第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、図9において、第1実施形態と同様の構成部分については、先に説明した図1と同様の符号を付している。
本実施形態にかかる半導体用フィルム10’は、粘着層の層構成が異なる以外は、前記第1実施形態と同様である。
すなわち、図9に示す半導体用フィルム10’では、第1粘着層1が省略され、第2粘着層2の1層のみが設けられている。
そして、このような半導体用フィルム10’を製造するにあたっては、第2粘着層2の上面のうち、接着層3と接する領域(半導体ウエハー7を積層する領域)にあらかじめ紫外線を照射しておく。これにより、この領域の粘着性が失活し、結果として第2粘着層2と接着層3との密着力が低下する。その結果、第3の工程において個片83をピックアップする際に、大きな荷重をかけなくても個片83をピックアップすることが可能になることから、ピックアップ性の向上を図ることができる。
一方、第2粘着層2の上面のうち、接着層3と接しない領域には紫外線が照射されないため、この領域では第2粘着層2の本来の粘着力が維持されることとなる。このため、第2粘着層2とウエハーリング9との密着力も維持され、ダイシング性の低下は防止されることとなる。
換言すれば、第1実施形態では、粘着性の異なる2層の粘着層を用いることで、ダイシング性とピックアップ性の両立が図られているが、本実施形態では、第2粘着層2の一部領域のみ粘着性を低下させることで、1層の粘着層であっても、ダイシング性とピックアップ性を両立している。
このような半導体用フィルム10’を、図9(a)に示すように、半導体ウエハー7と積層して、積層体8’を得る。
次いで、図9(b)に示すように、ダイシングブレード82を用いて積層体8’に複数の切り込み81を形成する(ダイシング)。
その後、前述した第1実施形態と同様、第3の工程および第4の工程を行うことにより、半導体装置が得られる。
なお、第2粘着層2に照射する紫外線としては、好ましくは波長100〜400nm程度のもの、より好ましくは波長200〜380nm程度のものが用いられる。また、紫外線の照射時間としては、波長やパワーにもよるが、好ましくは10秒〜1時間程度、より好ましくは30秒〜30分程度とされる。このような紫外線によれば、第2粘着層2中の化学構造を変化させ、効率よく粘着性を失活させるとともに、第2粘着層2の粘着性が必要以上に低下してしまうのを防止することができる。
また、第2粘着層2に照射するのは、紫外線に限られず、電子線、X線等の各種放射線であってもよい。
なお、紫外線の照射は、本実施形態のように、第2粘着層2の上面のうち、接着層3と接する領域に対してあらかじめ照射する場合に限らない。例えば、第2粘着層2の構成材料が紫外線に感応して硬化するような材料である場合には、第2粘着層2と接着層3とを積層した後、第2粘着層2と接着層3と半導体ウエハー7とを積層した後、または、第2粘着層2と接着層3と半導体ウエハー7とを積層し、半導体ウエハー7をダイシングした後のいずれかにおいて紫外線を照射するようにしてもよい。このような場合、紫外線の照射に伴って第2粘着層2が硬化するため、照射領域に位置する第2粘着層2の粘着力が低下する。その結果、このような場合であっても、個片83のピックアップ性の向上を図ることができる。
以上、本発明の半導体用フィルムおよび半導体装置の製造方法を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、パッケージの形態は、BGA(Ball Grid Array)、LGA(Land Grid Array)等のCSP(Chip Size Package)、TCP(Tape Carrier Package)のような表面実装型のパッケージ、DIP(Dual Inline Package)、PGA(Pin Grid Array)のような挿入型のパッケージ等であってもよく、特に限定されない。
また、前記各実施形態では、絶縁基板5上に個片83をマウントする場合について説明したが、この個片83は、別の半導体素子上にマウントするようにしてもよい。すなわち、本発明の半導体装置の製造方法は、複数の半導体素子を積層してなるチップスタック型の半導体装置を製造する場合にも適用することができる。これにより、ピックアップ不良のおそれや半導体素子間に削り屑等が侵入するおそれがなくなり、信頼性の高いチップスタック型の半導体装置を高い製造歩留まりで製造することができる。
また、本発明の半導体装置の製造方法では、必要に応じて、任意の工程を追加することもできる。
以下、本発明の具体的実施例について説明する。
1.半導体装置の製造
(実施例1)
<1>第1粘着層の形成
アクリル酸2−エチルヘキシル30質量%と酢酸ビニル70質量%とを共重合して得られた重量平均分子量300,000の共重合体100質量部と、分子量が700の5官能アクリレートモノマー45質量部と、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン5質量部と、トリレンジイソシアネート(コロネートT−100、日本ポリウレタン工業(株)製)3質量部と、を剥離処理した厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに対して、乾燥後の厚さが30μmになるように塗布し、その後、80℃で5分間乾燥した。そして、得られた塗布膜に対して紫外線500mJ/cm2を照射し、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に第1粘着層を成膜した。
<2>第2粘着層の形成
支持フィルムとして、ポリピロピレン(F327、(株)プライムポリマー製)とスチレン・イソプレン共重合体(7125、(株)クラレ製)とを80:20の比率でドライブレンドにより混合した後、50mmのフルフライト押出機(L/D=25、圧縮比=2.9、有効長=1245mm)、吐出=30kg/時、樹脂温度=210℃(スクリュー先端)でシーティングし、厚み80μmのポリプロピレン系シートを得た。ここで、当該支持フィルムは、幅10mm、長さ100mmで切り出した短冊状の試験片の23℃(室温)における剛性が105N、曲げ剛性が0.056N・mm2であった。また、アクリル酸ブチル70質量%とアクリル酸2−エチルヘキシル30質量%とを共重合して得られた重量平均分子量500,000の共重合体100質量部と、トリレンジイソシアネート(コロネートT−100、日本ポリウレタン工業(株)製)3質量部と、を剥離処理した厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに対して、乾燥後の厚さが10μmになるように塗布し、その後、80℃で5分間乾燥し、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に第2粘着層を成膜した。その後、ポリエチレンテレフタレートフィルム上の第2粘着層に支持フィルムをラミネートした。
<3>接着層の形成
アクリル酸エステル共重合体(エチルアクリレート−ブチルアクリレート−アクリロニトリル−アクリル酸−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体のメチルエチルケトン(MEK)溶解品、ナガセケムテックス(株)製、SG−708−6、Tg:6℃、重量平均分子量:500,000)の固形成分で100質量部と、フェノキシ樹脂(JER1256、重量平均分子量:50,000、三菱化学(株)製)9.8質量部、フィラーとして添加される球状シリカ(SC1050、平均粒径:0.3μm、(株)アドマテックス製)90.8質量部と、カップリング剤として添加されるγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403E、信越化学工業(株)製)1.1質量部と、フェノール樹脂(PR−53647、水酸基当量104g/OH基、住友ベークライト(株)製)0.1質量部とを、メチルエチルケトンに溶解して、樹脂固形分20質量%の樹脂ワニスを得た。
次に、得られた樹脂ワニスを、コンマコーターによりポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、品番ピューレックスA43、厚さ38μm)に塗布した後、温度150℃で3分間乾燥して、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に厚さ20μmの接着層を成膜した。
<4>半導体用フィルムの製造
第1粘着層を成膜したフィルムと、接着層を成膜したフィルムとを、第1粘着層と接着層とが接するようにラミネート(積層)し、第1粘着層側のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離して、積層体を得た。
次にロール状の金型を用いて、第1粘着層と接着層を半導体ウエハーの外径よりも大きく、かつウエハーリングの内径よりも小さく打ち抜き、その後不要部分を除去して、第2積層体を得た。
さらに第2粘着層の一方の面側にあるポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した。そして前記第2積層体の第1粘着層と第2粘着層とが接するように、これらを積層した。これにより、ポリプロピレン系シート(支持フィルム)、第2粘着層、第1粘着層、接着層およびポリエチレンテレフタレートフィルムの5層がこの順で積層してなる半導体用フィルムを得た。
<5>半導体装置の製造
次に、厚さ100μm、8インチのシリコンウエハーを用意した。
そして、半導体用フィルムからポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、その剥離面にシリコンウエハーを60℃で積層した。これにより、ポリプロピレン系シート(支持フィルム)、第2粘着層、第1粘着層、接着層およびシリコンウエハーの5層がこの順で積層してなる積層体を得た。
次いで、この積層体をシリコンウエハー側から、ダイシングソー(DFD6360、(株)ディスコ製)を用いて以下の条件でダイシング(切断)した。これにより、シリコンウエハーが個片化され、以下のダイシングサイズの半導体素子を得た。
<ダイシング条件>
・ダイシングサイズ :10mm×10mm角
・ダイシング速度 :50mm/sec
・スピンドル回転数 :40,000rpm
・Z1軸ブレードハイト :0.140mm
・Z2軸ブレードハイト :0.105mm
なお、上記Z1軸及びZ2軸ブレードハイトとは、2段階でダイシングする際におけるワークテーブル上面=支持フィルム下面を基準点(ゼロ点)としたブレードのZ軸方向の位置であり、Z1軸ブレードハイトはファーストカット時のZ軸方向の位置、Z2軸ブレードハイトはセカンドカット時のZ軸方向の位置である。このダイシングにより形成された切り込みは、その先端が第1粘着層内に達していた。
次いで、ダイボンダー(ASM社製 AD898)を用いて、半導体素子の1つを半導体用フィルムの裏面から突き上げピンで突き上げ、突き上げた半導体素子の表面をダイボンダーのコレットで吸着しつつ上方に引き上げた。これにより、半導体素子と接着層の個片をピックアップした。
ここで、上記ダイボンダーは、図4および図5に示すような吸着台および5本の突き上げピンを備える突き上げ装置を有しており、個片の四隅に対応する4つの突き上げピンは、それぞれ、個片の外周縁の辺よりも0.75mm内側の位置を中心として突き上げるように配置され、個片の中央に対応する突き上げピンは、個片の中心を中心として突き上げるように配置されている。また、上記ダイボンダーを用いたピックアップにおいて、各突き上げピンの突き上げ速度(上昇速度)を46.8mm/sec、各突き上げピンの突き上げ量(吸着台410の上面(吸着面)からの突出量)を0.3mm、各突き上げピン420の軸径を0.7mm、各突き上げピン420の先端のテーパ角を15°、各突き上げピンの先端面の直径0.2mm、各突き上げピン420の先端面の曲率半径を0.125mm、吸着台410の吸着力(真空度)を−80kPaとした。
次に、ピックアップした個片を、ソルダーレジスト(太陽インキ製造(株)製、商品名:AUS308)をコーティングしたビスマレイミド−トリアジン樹脂基板(回路段差5〜10μm)に、温度130℃、荷重5Nで、1.0秒間圧着して、ダイボンディングした。
次いで、半導体素子と樹脂基板とをワイヤボンディングにより電気的に接続した。
そして、樹脂基板上の半導体素子およびボンディングワイヤを、封止樹脂EME−G760で封止し、温度175℃で2時間の熱処理に供した。これにより、封止樹脂を硬化させて半導体装置を得た。なお、本実施例では、かかる半導体装置を10個作製した。
(実施例2)
支持フィルムの厚さを100μmとした以外は、前述した実施例1と同様にして半導体装置を製造した。ここで、該支持フィルムは、幅10mm、長さ100mmで切り出した短冊状の試験片の23℃(室温)における剛性が132N、23℃(室温)における曲げ剛性が0.110N・mm2であった。
(実施例3)
支持フィルムをポリプロピレンからなるシート(王子製紙(株)製、商品名40RL−01Z)とし、支持フィルムの厚さを40μmとした以外は、前述した実施例1と同様にして半導体装置を製造した。ここで、該支持フィルムは、幅10mm、長さ100mmで切り出した短冊状の試験片の23℃(室温)における剛性が300N、23℃(室温)における曲げ剛性が0.040N・mm2であった。
(実施例4)
支持フィルムをポリエチレンからなるシート(グンゼ(株)製、商品名DDZ)とし、厚さを90μmとした以外は、前述した実施例1と同様にして半導体装置を製造した。ここで、該支持フィルムは、幅10mm、長さ100mmで切り出した短冊状の試験片の23℃(室温)における剛性が71N、23℃(室温)における曲げ剛性が0.048N・mm2であった。
(比較例)
支持フィルムとして、厚さ75μmのポリイミドフィルムを用いた以外は、前述した実施例1と同様にして半導体装置を製造した。ここで、該支持フィルムは、幅10mm、長さ100mmで切り出した短冊状の試験片の23℃(室温)における剛性が2,400N、23℃(室温)における曲げ剛性が1.13N・mm2であった。
2.評価
各実施例および比較例において、半導体ウエハーを個片化して100個の半導体素子を製造し、これをピックアップする際に、それぞれの半導体素子における不具合の有無を観察し、以下の評価基準に従ってダイシング性およびピックアップ性を評価した。なお、ダイシング性の評価に際しては、上記不具合として、ダイシング後かつピックアップ前の半導体素子の欠けや割れ、および、ダイシング時における半導体素子の剥離(チップ飛び)の有無を観察した。また、ピックアップ性の評価に際しては、ピックアップ後の半導体素子の欠けや割れの有無を観察した。
<ダイシング性の評価基準>
◎:不具合を含む半導体素子の個数が3個未満
○:不具合を含む半導体素子の個数が3個以上6個未満
△:不具合を含む半導体素子の個数が6個以上10個未満
×:不具合を含む半導体素子の個数が10個以上
<ピックアップ性の評価基準>
◎:不具合を含む半導体素子の個数が3個未満
○:不具合を含む半導体素子の個数が3個以上6個未満
△:不具合を含む半導体素子の個数が6個以上10個未満
×:不具合を含む半導体素子の個数が10個以上
これらの評価結果を表1に示す。なお、表1には、各実施例および比較例について、1つの半導体素子(個片)の平面視での面積Aに対する、ピックアップ後の支持フィルムの当該半導体素子に対応する領域内に形成された突き上げ痕の平面視での面積Bの割合B/Aも併せて示す。また、表1において、「PP」はポリピロピレンを示し、「S・IR」はスチレン・イソプレン共重合体を示し、「PP+S・IR」はポリピロピレンとスチレン・イソプレン共重合体とのブレンド体を示し、「PE」はポリエチレンを示し、「PI」はポリイミドを示している。
表1からわかるように、各実施例では、いずれも、ダイシング性およびピックアップ性の双方について、良好な結果が得られた。また、実施例1におけるピックアップ工程後の支持フィルムは、図10(a)に示すように、突き上げピンの突き上げによって、直径(D)約1.2mmの比較的大きな突き上げ痕が形成されていた。したがって、実施例1において、B/Aは、(5×π×(0.6)2)/(10×10)=5.63[%]であった。
一方、比較例では、各実施例に対し、ダイシング性およびピックアップ性の双方を満足する結果を得ることができなかった。また、比較例におけるピックアップ工程後の支持フィルムは、図10(b)に示すように、突き上げピンの突き上げによって、直径(D’)約0.3mmの比較的小さな突き上げ痕が形成されていた。したがって、比較例において、B/Aは、(5×π×(0.15)2)/(10×10)=0.40[%]であった。