JP5615551B2 - 耐熱性正極合材及びそれを用いた全固体リチウム二次電池 - Google Patents
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Description
リチウムイオン二次電池の安全性を確保する方法として、有機系電解液に代えて無機固体電解質を用いた全固体二次電池が研究されている。
有機系電解液を用いた二次電池の場合、有機系電解液は正極中に浸透し、正極活物質の電子伝導及び電解液のイオン伝導が十分起こり、電子伝導、電子授受及びイオン伝導を十分確保できる。一方、全固体二次電池では、正極として用いる正極合材(正極活物質と固体電解質等の混合体)において、固体電解質と正極活物質の接触面が少なく、電子伝導、電子授受及びイオン伝導を十分確保することが困難であった。
接触面積を増やす方法としては、正極合材からなる高密度成形体の作製が挙げられる。正極合材のような粉体の場合は、スラリーを用いた鋳込み成形や、スラリーを塗布した後、ロールプレス等で圧密化することにより高密度成形体を作製することができる。しかし、これらの方法で成形体を得るためには、スラリー中の溶媒を乾燥又は焼成により除去する必要があり(特許文献1)、スラリーに含まれる正極合材は溶媒除去温度における熱的安定性を必要とした。現行のリチウム二次電池に広く使われている正極活物質としては、LiCoO2が挙げられるが、LiCoO2は熱的安定性に乏しい化合物であった。
1.下記式(1)で表される化合物及び結晶化度が50%以上である硫化物系固体電解質からなる耐熱性正極合材。
LiNixM1−xO2 (1)
(式中、xは0.1<x<0.9を満たす数であり、MはFe,Co,Mn及びAlからなる群から選ばれる元素である。)
2.下記式(2)で表される化合物及び結晶化度が50%以上である硫化物系固体電解質からなる耐熱性正極合材。
LiNixM1−x−yLyO2 (2)
(式中、xは0.1<x<0.9を満たす数であり、yは0.01<y<0.9を満たす数であって、x及びyは0<1−x−yを満たす数である。
M及びLは、それぞれFe,Co,Mn及びAlからなる群から選ばれる元素であって、互いに異なる元素である。)
3.前記硫化物系固体電解質が、少なくともリチウム(Li),リン(P)及び硫黄(S)を含む1又は2に記載の耐熱性正極合材。
4.前記硫化物系固体電解質がリチウム(Li)、リン(P)及び硫黄(S)を含む硫化物系ガラス固体電解質を、180℃以上210℃以下の温度で3〜240時間熱処理、又は210℃より高く330℃以下の温度で0.1〜240時間熱処理した硫化物系結晶化ガラス固体電解質である1〜3のいずれかに記載の耐熱性正極合材。
5.前記硫化物系固体電解質が、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)において、2θ=17.8±0.3deg,18.2±0.3deg,19.8±0.3deg,21.8±0.3deg,23.8±0.3deg,25.9±0.3deg,29.5±0.3deg,30.0±0.3degに回折ピークを有する1〜4のいずれかに記載の耐熱性正極合材。
6.1〜5のいずれかに記載の耐熱性正極合材及び溶媒からなる混合液。
7.1〜5のいずれかに記載の耐熱性正極合材から得られる正極。
8.7に記載の正極を含んでなる全固体リチウム電池。
9.8に記載の全固体リチウム電池をさらに加熱処理してなる全固体リチウム電池。
10.8又は9に記載の全固体リチウム電池を備えてなる装置。
11.前記式(1)又は(2)で表される化合物の平均一次粒子径が0.01〜30μmであり、前記硫化物系固体電解質の平均一次粒子径が0.01〜30μmである1〜5のいずれかに記載の耐熱性正極合材。
12.前記式(1)又は(2)で表される化合物の平均一次粒子径Xと前記硫化物系電解質の平均一次粒子径Yは式(3)を満たす1〜5のいずれかに記載の耐熱性正極合材。
X≧Y (3)
LiNixM1−xO2 (1)
(式中、xは0.1<x<0.9を満たす数であり、MはFe,Co,Mn及びAlからなる群から選ばれる元素である。)
LiNixM1−x−yLyO2 (2)
(式中、xは0.1<x<0.9を満たす数であり、yは0.01<y<0.9を満たす数であって、x及びyは0<1−x−yを満たす数である。
M及びLは、それぞれFe,Co,Mn及びAlからなる群から選ばれる元素であって、互いに異なる元素である。)
尚、結晶化度は、NMRスペクトル装置を用いることにより測定できる。具体的には、硫化物系固体電解質の固体31P−NMRスペクトルを測定し、得られた固体31PNMRスペクトルについて、70〜120ppmに観測される共鳴線を、非線形最小二乗法を用いてガウス曲線に分離し、各曲線の面積比求めることにより結晶化度を測定できる。
好ましくは、硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が好ましくは0.15質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下であり、かつN−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であると、溶融急冷法やメカニカルミリング法で得られる固体電解質は、ガラス状電解質(完全非晶質)となる。即ち、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%を越えると、得られる電解質は、最初から結晶化物の恐れがあり、この結晶化物のイオン伝導度は低い。さらに、この結晶化物について熱処理を施しても結晶化物には変化がなく、高イオン伝導度の硫化物系固体電解質を得ることができないおそれがある。
このように不純物が低減された硫化リチウムを用いると、高イオン伝導性電解質が得られる。
例えば、以下の方法で製造された硫化リチウムを精製することにより得ることもできる。
以下の製造法の中では、特にa又はbの方法が好ましい。
a.非プロトン性有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを0〜150℃で反応させて水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を150〜200℃で脱硫化水素化する方法(特開平7−330312号公報)。
b.非プロトン性有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを150〜200℃で反応させ、直接硫化リチウムを生成する方法(特開平7−330312号公報)。
c.水酸化リチウムとガス状硫黄源を130〜445℃の温度で反応させる方法(特開平9−283156号公報)。
具体的には、上記のようにして得られた硫化リチウムを、有機溶媒を用い、100℃以上の温度で洗浄する。
洗浄に用いる有機溶媒は、非プロトン性極性溶媒であることが好ましく、さらに、硫化リチウム製造に使用する非プロトン性有機溶媒と洗浄に用いる非プロトン性極性有機溶媒とが同一であることがより好ましい。
洗浄に好ましく用いられる非プロトン性極性有機溶媒としては、例えば、アミド化合物、ラクタム化合物、尿素化合物、有機硫黄化合物、環式有機リン化合物等の非プロトン性の極性有機化合物が挙げられ、単独溶媒、又は混合溶媒として好適に使用することができる。特に、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)は、良好な溶媒に選択される。
洗浄された硫化リチウムを、洗浄に使用した有機溶媒の沸点以上の温度で、窒素等の不活性ガス気流下、常圧又は減圧下で、5分以上、好ましくは約2〜3時間以上乾燥することにより、本発明で用いられる硫化リチウムを得ることができる。
特に好ましくは、Li2S:P2S5=68:32〜74:26(モル比)程度である。
硫化物系ガラス固体電解質の製造方法としては、溶融急冷法やメカニカルミリング法(MM法)がある。
溶融急冷法による場合、P2S5とLi2Sを所定量乳鉢にて混合しペレット状にしたものを、カーボンコートした石英管中に入れ真空封入する。所定の反応温度で反応させた後、氷中に投入し急冷することにより、硫化物系ガラス固体電解質が得られる。
この際の反応温度は、好ましくは400℃〜1000℃、より好ましくは、800℃〜900℃である。
また、反応時間は、好ましくは0.1時間〜12時間、より好ましくは、1〜12時間である。
上記反応物の急冷温度は、通常10℃以下、好ましくは0℃以下であり、その冷却速度は、通常1〜10000K/sec程度、好ましくは10〜10000K/secである。
上記原料を用いたメカニカルミリング法は、室温で反応を行うことができる。MM法によれば、室温でガラス固体電解質を製造できるため、原料の熱分解が起らず、仕込み組成のガラス固体電解質を得ることができるという利点がある。
また、MM法では、ガラス固体電解質の製造と同時に、ガラス固体電解質を微粉末化できるという利点もある。
MM法は回転ボールミル、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル等種々の形式を用いることができる。
以上、溶融急冷法及びMM法による硫化物系ガラス固体電解質の具体例を説明したが、温度条件や処理時間等の製造条件は、使用設備等に合わせて適宜調整することができる。
硫化物系結晶化ガラス固体電解質を生成させる熱処理温度は、好ましくは180℃〜330℃、より好ましくは、200℃〜320℃、特に好ましくは、210℃〜310℃である。
180℃より低いと結晶化度の高い結晶化ガラスが得られにくい場合があり、330℃より高いと結晶化度の低い結晶化ガラスが生じる恐れがある。
熱処理時間は、180℃以上210℃以下の温度の場合は、3〜240時間が好ましく、特に4〜230時間が好ましい。また、210℃より高く330℃以下の温度の場合は、0.1〜240時間が好ましく、特に0.2〜235時間が好ましく、さらに、0.3〜230時間が好ましい。
熱処理時間が0.1時間より短いと、結晶化度の高い結晶化ガラスが得られにくい場合があり、240時間より長いと、結晶化度の低い結晶化ガラスが生じる恐れがある。
このような結晶構造を有する固体電解質が、極めて高いリチウムイオン伝導性を有する。
また、式(1)又は(2)で表される化合物の平均一次粒子径Xと硫化物系電解質の平均一次粒子径Yは式(3)を満たすことが好ましい。
X≧Y (3)
これにより、正極材と電解質との接触面積が最大限に改善され電池性能、即ち、出力特性がよくなる。
尚、平均一次粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置[SEISHIN LASER MICRON SIZER LMS-30(セイシン企業製)]で測定した値を意味する。
本発明の正極合材は、その優れた熱的及び経時的安定性から、電池の製造条件及び設置場所の制限を大幅に緩和できる利点を有する。
上記混合液は、本発明の正極合材が溶媒に溶解しているのではない。本発明の正極合材の比重は、通常、溶媒の比重より大きいことから、上記混合液中で通常、沈殿しているが、正極を形成する際には攪拌等により正極合材を均一に分散させた混合液を用いると好ましい。
これら溶媒のうち、塗布後の乾燥工程を考慮すると、低沸点溶媒であるヘキサン、トルエン、キシレンが好ましいが、混合液の維持を考慮すると、蒸発速度の速い低沸点溶媒を用いることは困難であり、トルエン、キシレン等が好ましい。
上記バインダーは、正極合材との反応性が低ければ特に限定されないが、好ましくは熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂であり、より好ましくはポリシロキサン、ポリアルキレングリコール、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンブタジエンゴム/カルボキシメチルセルロース(SBR/CMC)、ポリエチレンオキシド(PEO)、分岐PEO、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、PEO−PPO共重合体、分岐PEO−PPO共重合体、アルキルボラン含有ポリエーテルである。
尚、バインダーは、シート化容易性、界面抵抗の増加を防ぎ且つ充放電容量の低下を防ぐ観点から特に好ましくはSBR、ポリアルキレングリコールである。
固体電解質層に含まれる硫化物系固体電解質は、正極合材に含まれる硫化物系固体電解質と同一でも異なってもよく、好ましくは同一である。
全固体リチウム電池1は、本発明の正極合材からなる正極10及び負極30からなる一対の電極間に固体電解質層20が挟持されている。正極10及び負極30にはそれぞれ集電体40及び42が設けられている。
さらに、硫化物系固体電解質と溶媒やバインダー(結着材や高分子化合物等)を混合した溶液を塗布、塗工した後、溶媒を除去し成膜化する方法もある。また、固体電解質自体や固体電解質とバインダー(結着材や高分子化合物等)や支持体(固体電解質層の強度を補強させたり、固体電解質自体の短絡を防ぐための材料や化合物等)を混合・組合した電解質を加圧プレスすることで成膜することも可能である。
電池の用途によって好適な厚み及び広さが異なるうえ、正極材及び負極材との組み合わせを考慮する必要があるため、用途等に応じて最適な製膜法を適宜選ぶとよい。
非水系溶媒としては、例えば、乾燥ヘプタン、トルエン、ヘキサン、テトラヒドロフラン(THF)、Nメチルピロリドン、アセトニトリル、及びジメトキシエタン、ジメチルカーボネート等の電解液に用いられる溶媒が挙げられ、好ましくは水分含有量が100ppm以下、より好ましくは50ppm以下の溶媒である。
本発明において、固体電解質層20は硫化物系固体電解質からなるので、負極材に金属リチウム又はグラファイトを用いても、負極と固体電解質層が反応せず、良好な電池性能を示すことができる。
集電体40,42は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。例えば、集電体40には銅箔を使用し、集電体42にはアルミニウム箔を使用してもよい。
また、接合面にイオン伝導性を有する活物質や、イオン伝導性を阻害しない接着物質を介して接合してもよい。
接合においては、固体電解質の結晶構造が変化しない範囲で加熱融着してもよい。
尚、全固体リチウム電池の加熱処理は、負極、固体電解質成形体及び正極のみからなる電池素子部分だけを加熱処理する場合も含む。また、安全装置、ラッピング等の加熱処理は含まない。
本発明の全固体リチウム電池は、直列及び/又は並列に繋いで電池セルとすることでより大きな電力を取り出すことができる。複数の電池セルをさらに直列及び/又は並列に接続して電池モジュール(電池パック、電池ユニット)とすることで、上記自動車が必要とする大電流・大電圧を満たす電池とすることができる。
[実施例]
(1)硫化リチウム(Li2S)の製造
硫化リチウムは、特開平7−330312号公報の第1の態様(2工程法)の方法に従って製造した。具体的には、撹拌翼のついた10リットルオートクレーブにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpm、130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。続いてこの反応液を窒素気流下(200cc/分)昇温し、反応した硫化水素の一部を脱硫化水素化した。昇温するにつれ、上記硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発を始めたが、この水はコンデンサにより凝縮し系外に抜き出した。水を系外に留去すると共に反応液の温度は上昇するが、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。脱硫化水素反応が終了後(約80分)反応を終了し、硫化リチウムを得た。
上記(1)で得られた500mLのスラリー反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリー)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。その温度のままNMPをデカンテーションした。さらにNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌し、その温度のままNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥した。得られた硫化リチウム中の不純物含有量を測定した。
上記にて製造したLi2SとP2S5(アルドリッチ製)を出発原料に用いた。これらを70対30のモル比に調整した250gの混合物を、ジルコニア製ボールを充填したSUS製容器(容量6.7L)に入れ、露点−40℃以下のドライ雰囲気下及び室温下で、200時間振動ミルにより、1kJ/kg・sの機械的エネルギーを加えてメカニカルミリング処理することにより、白黄色粉末の硫化物系固体電解質粉体を得た。
得られた粉末について、粉末X線回折測定を行った(CuKα:λ=1.5418Å)。得られたチャートを図2に示す。このチャートにより、原料結晶のピークは完全に消失し、この硫化物系固体電解質粉体はガラス化していることが確認された。また、得られた硫化物系ガラス固体電解質(非晶質ガラス電解質)の結晶化度は0%であった。
得られた結晶化ガラス電解質の平均一次粒子径は3μmであった。尚、平均一次粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置 SEISHIN LASER MICRON SIZER LMS-30(セイシン企業製)で測定した。後述する正極活物質(例えば、LiNi0.8Co0.2O2)の平均一次粒子径も同様に測定した。
観測核 :31P
観測周波数:121.339MHz
測定温度 :室温
測定法 :MAS法
パルス系列:シングルパルス
90°パルス幅:4μs
マジック角回転の回転数:8600Hz
FID測定後、次のパルス印加までの待ち時間:100〜2000s
(最大のスピン−格子緩和時間の5倍以上になるよう設定)
積算回数 :64回
化学シフトは、外部基準として(NH4)2HPO4(化学シフト1.33ppm)を用い決定した。
試料充填時の空気中の水分による変質を防ぐため、不活性ガスを連続的に流しているドライボックス中で密閉性の試料管に試料を充填した。
「Solid State Communications, Vol.90, No.7, p.439-442, 1994」に基づいてLiNi0.8Co0.2O2を調製した(平均一次粒子径:10μm)。このLiNi0.8Co0.2O2と製造例で調製した結晶化ガラス電解質を重量比1:1で混合し正極合材とした。この正極合材を乳鉢にて5分間粉砕し、錠剤成形機に約0.3gの正極合材を充填し、4〜6MPaの圧力を加えて正極合材成形体とした。さらに、電極としてカーボングラファイト(TIMCAL製、SFG−15)と製造例で調製した結晶化ガラス電解質を重量比1:1で混合をした合材約10mgを、それぞれ成形体の両面に乗せ、再度錠剤成形機にて圧力を加えることにより、電極、正極合材成形体及び電極の3層からなる交流インピーダンス測定用成形体(直径約10mm、厚み約2mm)を作製した。
図4から明らかなように、昇温前の測定曲線及び昇温後の測定曲線は、190℃という高温下を経ても大きな抵抗成分の変化はなく、曲線の形状がほとんど一致していた。即ち、本発明の正極合材が熱的安定性に優れることが確認された。
LiNi0.8Co0.2O2の代わりにLiCoO2を用いたほかは実施例1と同様にして交流インピーダンス測定用成形体を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を図5に示す。
図5から明らかなように、昇温前の測定曲線及び昇温後の測定曲線は、190℃という高温下を経ることによって大きな抵抗成分の変化がおこり、曲線の形状が大きく異なる。即ち、高温下を経ることにより、正極合材の性状に変化が起きたことが確認された。
製造例で調製した結晶化ガラス電解質及びLiNi0.8Co0.2O2を重量比2:8で混合し正極合材とした。この正極合材を乳鉢にて5分間粉砕し、粉砕した正極合材をチューブオーブンを用いて150℃30分加熱処理した。
乳鉢で粉砕した正極合材を加熱処理しなかったほかは実施例2と同様にして電池を作製し、実施例2と同様に評価した。その結果、得られた電池の初期充電量は約80mAh/gであった。
実施例2及び実施例3から、本発明の正極合材を用いた電池は、その製造過程に加熱処理を含む場合であっても、充放電特性に大きな変化が起こらないことが確認された。
LiNi0.8Co0.2O2の代わりにLiCoO2を用いたほかは実施例2と同様にして電池を作製し、実施例2と同様に評価した。その結果、得られた電池の初期充電量は約35mAh/gであった。
LiNi0.8Co0.2O2の代わりにLiCoO2を用いたほかは実施例3と同様にして電池を作製し、実施例2と同様に評価した。その結果、得られた電池の初期充電量は約70mAh/gであった。
比較例2及び比較例3において、加熱処理を行うことにより初期充電量の大幅な低下が起こっており、正極合材にLiCoO2を用いた電池は、正極合材にLiNi0.8Co0.2O2を用いた電池に比べて、熱的安定性に劣ることが確認された。
正極合材に用いる硫化物系固体電解質として、結晶化ガラス電解質の変わりに製造例で作製した非晶質ガラス電解質を用いたほかは実施例2と同様にして電池を作製し、実施例2と同様に評価した。その結果、得られた電池の初期充電量は約50mAh/gであった。
正極合材に用いる硫化物系固体電解質として、結晶化ガラス電解質の変わりに製造例で作製した非晶質ガラス電解質を用いたほかは実施例3と同様にして電池を作製し、実施例2と同様に評価した。その結果、得られた電池の初期充電量は約120mAh/gであった。
比較例4及び比較例5において、加熱処理を行うことにより初期充電量の大幅な低下が起こっており、正極合材に非晶質ガラス電解質を用いた電池は、正極合材に結晶化ガラス電解質を用いた電池に比べて、熱的安定性に劣ることが確認された。
製造例で調製した結晶化ガラス電解質及びLiNi0.8Co0.2O2を重量比1:1で混合した正極合材を作製し、1ヶ月間不活性雰囲気内で保存した。その後、正極合材のXRD測定を行った。その結果、正極合材の回折ピークはLiNi0.8Co0.2O2単体のXRDパターンと比較しても変化しておらず、本発明の正極合材が経時的安定性に優れていることが確認された。
尚、X線回折測定(XRD)の測定条件は以下の通りであった。
装置:(株)リガク製Ultima−III
X線:Cu−Kα線(波長1.5406Å、グラファイトモノクロメータにて単色化)
2θ−θ反射法、連続スキャン(1.0°/分)
サンプリング間隔:0.02°
スリット DS、SS:2/3°、RS:0.6mm
製造例で調製した結晶化ガラス電解質及びLiCoO2を重量比1:1で混合した正極合材を作製し、1ヶ月間不活性雰囲気内で保存した。その後、正極合材のXRD測定を行った。その結果、正極合材の回折ピークはLiCoO2単体のXRDパターンと比較して低角側にシフトしており、格子定数が変化していることが確認された。その結果、本発明の正極合材に比べ、結晶化ガラス電解質及びLiCoO2からなる正極合材は経時的に不安定であると確認された。
特開平10−316431号公報に基づいてLiNi0.8Co0.15Al0.05O2を調製した(平均一次粒子径:5μm)。70mgのLiNi0.8Co0.15Al0.05O2と30mgの製造例で調製した結晶化ガラス電解質を乳鉢で混合し正極合材とした。
積層体の正極合材の反対側から負極としてインジウム箔(15mmφ、0.1mm厚)を貼り、電池を作製した。
LiNi0.8Co0.15Al0.05O2の代わりにLiCoO2を用いたほかは実施例5と同様にして電池を作製した。得られた電池について、充放電の電流密度を250μA/cm2、カットオフ上限電圧を3.9V、下限電圧を1.5Vとして評価した。その結果、得られた電池は二次電池としては機能しなかった。
LiNi0.8Co0.15Al0.05O2の代わりにLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(平均一次粒子径:10μm)を用いたほかは実施例5と同様にして電池を作製した。得られた電池について、充放電の電流密度を250μA/cm2、カットオフ上限電圧を3.9V、下限電圧を1.5Vとして評価した。その結果、初期充電容量は135mAh/gであり、放電容量は95mAh/gであった。
LiNi0.8Co0.15Al0.05O2の代わりに実施例1と同じLiNi0.8Co0.2O2を用いたほかは実施例5と同様にして電池を作製した。得られた電池について、充放電の電流密度を250μA/cm2、カットオフ上限電圧を3.6V、下限電圧を1.5Vとして評価した。その結果、初期充電容量は145mAh/gであり、放電容量は105mAh/gであった。
本発明の全固体リチウム二次電池は、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、モーターを電力源とする自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等の電池として用いることができる。
Claims (19)
- 下記式(1)で表される化合物及び結晶化度が50%以上である硫化物系固体電解質からなる耐熱性正極合材。
LiNixM1−xO2 (1)
(式中、xは0.1<x<0.9を満たす数であり、MはFe,Co及びAlからなる群から選ばれる元素である。) - MがCoである請求項1に記載の耐熱性正極合材。
- 下記式(2)で表される化合物及び結晶化度が50%以上である硫化物系固体電解質からなる耐熱性正極合材。
LiNi x M 1−x−y L y O 2 (2)
(式中、xは0.1<x<0.9を満たす数であり、yは0.01<y<0.9を満たす数であって、x及びyは0<1−x−yを満たす数である。
M及びLは、それぞれCo,Mn及びAlからなる群から選ばれる元素であって、互いに異なる元素であり、M及びLの一方がCoである。) - M及びLの他方がMnである請求項3に記載の耐熱性正極合材。
- 前記式(2)で表される化合物がLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2である請求項3記載の耐熱性正極合材。
- M及びLの他方がAlである請求項3に記載の耐熱性正極合材。
- 前記硫化物系固体電解質が、少なくともリチウム(Li),リン(P)及び硫黄(S)を含む請求項1〜6のいずれかに記載の耐熱性正極合材。
- 前記硫化物系固体電解質が、硫化リチウムと五硫化二燐から製造される請求項1〜7のいずれかに記載の耐熱性正極合材。
- 硫化リチウムと五硫化二燐の混合モル比は、50:50〜80:20である請求項8に記載の耐熱性正極合材。
- 硫化リチウムと五硫化二燐の混合モル比は、60:40〜75:25である請求項8に記載の耐熱性正極合材。
- 前記硫化物系固体電解質がリチウム(Li)、リン(P)及び硫黄(S)を含む硫化物系ガラス固体電解質を、180℃以上210℃以下の温度で3〜240時間熱処理、又は210℃より高く330℃以下の温度で0.1〜240時間熱処理した硫化物系結晶化ガラス固体電解質である請求項1〜10のいずれかに記載の耐熱性正極合材。
- 前記硫化物系固体電解質が、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)において、2θ=17.8±0.3deg,18.2±0.3deg,19.8±0.3deg,21.8±0.3deg,23.8±0.3deg,25.9±0.3deg,29.5±0.3deg,30.0±0.3degに回折ピークを有する請求項1〜11のいずれかに記載の耐熱性正極合材。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の耐熱性正極合材及び溶媒からなる混合液。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の耐熱性正極合材から得られる正極。
- 請求項14に記載の正極を含んでなる全固体リチウム電池。
- 請求項15に記載の全固体リチウム電池をさらに加熱処理してなる全固体リチウム電池。
- 請求項15又は16に記載の全固体リチウム電池を備えてなる装置。
- 前記式(1)又は(2)で表される化合物の平均一次粒子径が0.01〜30μmであり、前記硫化物系固体電解質の平均一次粒子径が0.01〜30μmである請求項1〜12のいずれかに記載の耐熱性正極合材。
- 前記式(1)又は(2)で表される化合物の平均一次粒子径Xと前記硫化物系電解質の平均一次粒子径Yは式(3)を満たす請求項1〜12のいずれかに記載の耐熱性正極合材。
X≧Y (3)
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