図1の溶液製膜設備10は、ドープ11から光学フィルム(以下、単に「フィルム」と称する)22を製造する。ドープ11はポリマーが溶媒に溶解したものである。溶液製膜設備10は、ドープ11から湿潤フィルム12を形成する流延装置15、湿潤フィルム12の各側部をピン(図示せず)で保持して湿潤フィルム12を乾燥するピンテンタ16、ピンの保持跡がある各側部を切除する第1切除装置17、湿潤フィルム12の各側部をクリップ50(図2参照)で把持し、湿潤フィルム12を幅方向に延伸するクリップテンタ20、クリップの把持跡がある各側部を切除する第2切除装置21、湿潤フィルム12をさらに乾燥してフィルム22とする乾燥室25、フィルム22を冷却する冷却室26、及びフィルム22をロール状に巻き取る巻取装置27を、上流側から順に備える。
流延装置15は、流延支持体としてのドラム30と、ドラム30の周面に向けてドープ11を流出する流延ダイ31と、ドラム30の周面に形成された流延膜32を剥ぎ取るために湿潤フィルム12を支持する剥取ローラ35とを、外部空間と仕切るチャンバ36の中に備える。
ドラム30は駆動部(図示無し)を有し、この駆動部によって、断面円形の中央に設けられた軸30aを中心に矢線A1で示す周方向に回転する。回転しているドラム30の周面に向けて、流延ダイ31からドープ11が流出すると、ドラム30の周面に流延膜32が形成する。流延ダイ31からドラム30にかけては、ドープ11からなるビードが形成される。ドラム30の回転方向A1におけるビードの上流には、空気を吸引することによりビードの上流側エリアを減圧するチャンバ(図示無し)が備えてある。
ドラム30は、温調機37により、周面の温度が制御される。ドラム30の内部には、伝熱媒体が流れる流路が形成されており、温調機37は、伝熱媒体の温度を調整し、ドラム30との間で、伝熱媒体を循環させる。例えば、流延膜32を冷却固化(ゲル化)させるいわゆる冷却流延の場合には、温調機37は伝熱媒体を冷却し、冷却された伝熱媒体をドラム30に送り込む。この送り込みを連続的に行うことにより、伝熱媒体は、ドラム30の内部の流路を巡り、温調機37に戻る。
なお、流延支持体は、ドラム30に限定されない。例えば、ドラム30に代えて、バックアップローラ対に掛け渡された無端のバンドを用いてもよい。無端のバンドを流延支持体として用いる場合には、各バックアップローラの内部に伝熱媒体を通過させることにより、バックアップローラを通じてバンドの温度を調整する。流延膜を乾燥して固化させるいわゆる乾燥流延の場合には、ドラム30に代えてバンドを用いることが多い。
剥取ローラ35は、長手方向がドラム30の長手方向と平行になるように配される。湿潤フィルム12が搬送方向Z1に引っ張られ、この湿潤フィルム12を剥取ローラ35が周面で支持することにより、流延膜32は所定の位置でドラム30から剥がされる。
流延装置15の内部には、ドープ11、流延膜32、湿潤フィルム12のそれぞれから蒸発して気体となった溶媒を凝縮させる凝縮器(コンデンサ)が備えられる。この凝縮器で液化した溶媒は、チャンバ36の外部に配された回収装置へ案内され、この回収装置で回収される。なお、凝縮器と回収装置との図示は略す。
湿潤フィルム12は、ローラ40により、流延装置15からピンテンタ16へ案内される。ピンテンタ16は、湿潤フィルム12の側部に複数のピンを貫通して保持するピンプレート(図示無し)を有し、このピンプレートが所定軌道を走行する。ピンプレートの走行により湿潤フィルム12は搬送される。湿潤フィルム12の搬送路の上方には、乾燥空気を流出するダクト(図示無し)が備えられる。ダクトの下面には、湿潤フィルム12の幅方向に長いスリット状の空気流出口が形成されており、この空気流出口から乾燥空気が出ることにより、搬送されている湿潤フィルム12は徐々に乾燥する。このピンテンタ12では、湿潤フィルム12の残留溶媒量が3質量%以上20質量%以下の範囲となるように、乾燥をすすめることが好ましい。なお、本明細書における残留溶媒量とは、湿潤フィルム12の質量をX、この湿潤フィルム12を乾燥した後の質量をYとするときに、{(X−Y)/Y}×100で求めるいわゆる乾量基準の値である。
第1切除装置17は、湿潤フィルム12の各側部をカットする切断刃を備える。湿潤フィルム12が切断刃に連続的に案内されて、ピンプレートによる保持跡が除去されるように各側部が切り離される。
本実施形態では、湿潤フィルム12をピンテンタ16で乾燥してからクリップテンタ20に案内する。しかし、乾燥流延の場合にはピンテンタ16を用いずともよい。すなわち、乾燥流延の場合には、ピンテンタ16と第1切除装置17とを設けずに、流延装置15からの湿潤フィルム12をクリップテンタ20へ案内してもよい。
第1切除装置17で両側部を切除された湿潤フィルム12は、クリップテンタ20に案内される。クリップテンタ20の構成及び作用については、別の図面を用いて後述する。
第2切除装置21は、第1切除装置17と同じ構成を有する。湿潤フィルム12を切断刃に連続的に案内して、クリップによる把持跡が除去されるように各側部を切り離す。
乾燥室25には、湿潤フィルム12を周面で支持するローラ41が複数備えられる。これら複数のローラ41の中には、周方向に回転する駆動ローラがあり、この駆動ローラの回転により湿潤フィルム12が搬送される。乾燥室25には、加熱された乾燥空気が供給されている。この乾燥室25を通過させることにより湿潤フィルム12を乾燥する。冷却室26には、略室温の乾燥空気が供給されている。この冷却室26を通過させることにより、得られたフィルム22を降温させる。温度が低下したフィルム22は、冷却室26から巻取装置27に案内されて巻芯42に巻き取られる。
クリップテンタ20は、図2に示すように、湿潤フィルム12の搬送路を囲むようにしてこの搬送路及び周辺を外部空間と仕切るチャンバ43を備える。チャンバ43は、搬送方向Z1の上流側から順に、予熱エリア45、延伸エリア46、緩和エリア47及び冷却エリア48を有する。ただし、チャンバ43は、各エリア45〜48がそれぞれ独立した空間となるように区画する仕切り部材が内部に設けてあるものではない。各エリア45〜48は、後述のように、クリップ50の走行軌道と、第1〜第4給気室55a〜55d(図3参照)のそれぞれから流出する乾燥空気とにより形成される。
クリップテンタ20は、湿潤フィルム12の側部を把持する複数のクリップ50と、クリップ50の走行軌道を成すレール51,52と、乾燥空気を流出するダクト55と、ダクト55に所定条件の乾燥空気を送り込むエア供給部56とを備える。レール51,52は湿潤フィルム12の搬送路の両側に設置される。
レール51とレール52とは、所定のレール幅で互いに離間している。レール幅は、予熱エリア45では幅W1と一定であり、延伸エリア46では方向Z1に向かうに従って幅W1から幅W2へと次第に広くなり、緩和エリア47では方向Z1に向かうに従って幅W2から幅W3へと次第に狭くなり、冷却エリア48では幅W3と一定である。このように各レール幅を設定することにより、予熱エリア45では、湿潤フィルム12は一定の幅を保持するように、幅を規制された状態で搬送され、延伸エリア46では、搬送されている湿潤フィルム12は幅方向へ拡げるように延伸される。また、緩和エリア47では、湿潤フィルム12は、幅が小さくされながらも幅を規制された状態で搬送され、冷却エリア48では、幅を一定に保持された状態で搬送される。
ただし、予熱エリア45及び冷却エリア48におけるレール幅に関する上記「一定」とは、厳密である必要はない。つまり、所期の光学特性を発現させるために、予熱エリア45と冷却エリア48とのそれぞれにおいて、上流から下流にかけて幅W1、幅W3でそれぞれ略一定と言える程度にレール幅を若干変化させる態様でもよい。また、緩和エリア47におけるレール幅についても、必ずしも上流から下流にかけて次第に狭くする必要はない。例えば、緩和エリア47では、レール幅が上流から下流にかけて幅W2で略一定といえる程度に若干変化する態様でもよい。
複数のクリップ50は、所定の間隔をもってチェーン(図示せず)に取り付けられている。このチェーンは、レール51とレール52とにそれぞれ取り付けられており、レール51,52に沿って移動自在とされている。チェーンは、予熱エリア45よりも上流側に配されるターンホイール57と、冷却エリア48の下流端に配されるスプロケット58とに噛み合っている。スプロケット58が回転することにより、チェーンは連続走行する。チェーンの走行により、クリップ50はレール51,52に沿って移動する。
予熱エリア45よりも上流には、クリップ50による湿潤フィルム12の側部の把持を開始する把持開始手段(図示無し)が設けられ、冷却エリア48の下流側には、クリップ50による湿潤フィルム12の側部の把持を解除する把持解除手段(図示無し)が設けられる。これにより、湿潤フィルム12は、予熱エリア45よりも上流でクリップ50に把持され、クリップ50がレール51,52に沿って移動することでZ1方向へ搬送され、各エリア36〜39を順次通過し、各エリア36〜39において所定の処理が施され、冷却エリア48の下流端で把持を解除される。
後述の遅相軸のずれの補正を実施しない場合には、緩和エリア47での緩和工程を経た湿潤フィルム12には通常ボーイングが発生している。ここで、ボーイングの形状と遅相軸のずれとについて図3を参照して説明する。なお、湿潤フィルム12の長尺方向は搬送方向Z1及び反搬送方向に一致する。搬送方向Z1を上向きとした場合の湿潤フィルム12の右縁に符号12e(R)を付し、左縁に12e(L)を付す。
図3の(a)のボーイングラインBLは、搬送方向Z1に対して凸の形状をもつ。このように、搬送方向Z1に対して凸のボーイングが発生している湿潤フィルム12について遅相軸を測定する。遅相軸は、図3の(b)のような幅方向Z2に採った測定ラインMLに沿って、測定する。所期の遅相軸は、幅方向Z2である。
幅方向Z2における中央部12cの遅相軸は、幅方向Z2にほぼ一致する。したがって、中央部12cの遅相軸が所期の遅相軸である。遅相軸は、中央部12cから右縁12e(R)及び中央部12cから左縁12e(L)にそれぞれ向かうに従い、幅方向Z2から徐々に大きくずれる。ずれを示した範囲が補正対象領域としての側端部12sとなる。
ここで、図3の(c)のように、側端部12sにおける遅相軸と、両側端部12sの間の中央部12cの遅相軸とのずれ量Dを縦軸とし、搬送方向Z2を横軸とする。本明細書においては、搬送方向Z1に対して図3(a)のようにボーイングが凸形状に発現する場合には、図3の(b)のように、ずれ量Dを正(+)の値と定義する。すなわち、ボーイングラインBLが搬送方向Z1に対して凸であり、測定ラインML上の点Pにおける遅相軸が所期の遅相軸とずれる場合には、点Pにおけるずれ量D(P)を本明細書では正の値とする。
ずれ量Dは、例えば、側端部12sにおける遅相軸と、中央部12cの遅相軸とのなす角で表すことができる。そこで、このなす角を、以下、配向角θ(ただし、−90°≦θ≦90°)と称する。図3の(c)及び(d)に示すように、本明細書においては、ずれ量Dが正の場合の配向角θを正(+)の値と定義する。つまり、本明細書における配向角θは、左縁12e(L)側においては、ずれている遅相軸に向けて所期の遅相軸から時計回りに採る角が正であり、右縁12e(R)側においては、反時計回りに採る角が正である。例えば、ずれ量D(P)が図3の(c)のように正である場合には、点Pにおける配向角θ(P)を図3の(d)に示すように正とする。なお、側端部12sの遅相軸が所期の遅相軸である中央部12cの遅相軸に対してずれがない(ずれ量=0)場合の配向角θは0(ゼロ)である。なお、(c),(d)の横軸における符号「c」は湿潤フィルム12の幅方向Z2での中央を示す。
図2のように湿潤フィルム12の幅方向Z2において中央に関して対称な延伸倍率となるように延伸した場合には、図3のような左右対称なずれ量Dのグラフと配向角θのグラフとが得られるのが通常である。
以下の第1の実施形態では、遅相軸のずれが後述の第1加熱装置63(図4,5参照)により補正されることなく緩和エリア47での緩和工程を経た湿潤フィルム12につき、その側端部12sにおける配向角θが図3の(d)のように正である場合、すなわちボーイングが搬送方向に対して凸である場合に、遅相軸のずれを補正する。なお、本明細書で「緩和工程を経た」とは、緩和工程の終了時以降を意味する。したがって、緩和工程終了時以降の湿潤フィルム12や、乾燥室25での乾燥を終えたフィルム22のボーイングが搬送方向に対して凸であるような場合でもよい。なお、本実施形態では、緩和工程を経たフィルムとして、緩和工程終了時の湿潤フィルム12を例に挙げて以下説明する。また、緩和工程終了時における湿潤フィルム12とは、緩和エリア47の下流端における湿潤フィルム12である。
図4に示すように、ダクト55は、湿潤フィルム12の搬送路との間隔が略一定となるように、搬送路の上方に設けられる。なお、搬送路の下方にも、搬送路との間隔が略一定となるように、ダクト55と同様の構成をもつダクトを設けているが、図示は略す。ダクト55の下部には、湿潤フィルム12の幅方向Z2に延びたスリット61が形成されており、スリット61はZ1方向に複数設けられている。これに対し、搬送路の下方のダクト(図示無し)では、各スリットは、上部に形成されている。なお、搬送方向Z1と幅方向Z2とは直交するものとする。また、ダクト55の内部は、複数の仕切り板62により第1〜第4給気室55a〜55dに区画されている。なお、図4では、第1及び第2給気室55a、55bのスリット61はそれぞれ複数であり、第3及び第4給気室55c、55dのスリット61はそれぞれひとつである。しかし、各給気室55a〜55dにおける各スリット61の数はこれに限られない。つまり、第1給気室55aや第2給気室55bに1つのスリット61を設け、第3給気室55cや第4給気室55dに複数のスリット61を設けてもよい。
エア供給部56は、ダクト55の第1〜第4給気室55a〜55dに乾燥空気を供給する。エア供給部56は、第1〜第4給気室55a〜55dにそれぞれ供給する各乾燥空気の温度を独立して制御する温調機(図示無し)を備える。この温調機により、所定温度に調節された乾燥空気が、それぞれ第1〜第4給気室55a〜55dを介して各エリア45〜48へ供給される。
第2給気室55bからの乾燥空気の供給により、延伸エリア46では、湿潤フィルム12が、所定の温度となるように加熱される。延伸エリア46における湿潤フィルム12の温度は、製造する光学フィルムのレタデーション等の光学特性に基づいて決定する。
また、第1給気室55aからの乾燥空気の供給により、延伸エリア46へ入る前の湿潤フィルム12を予め加熱する。この予熱エリア45による加熱により、延伸エリア46での延伸が迅速に開始されるようになるとともに、延伸エリア46での延伸の際に、幅方向Z2でより均一な張力が付与されるようになる。
緩和エリア47では、両側部の把持による幅の規制に加え、第3給気室55cからの乾燥空気による加熱により、内部に残留した応力(残留応力)が適切に緩和される。この緩和工程では、湿潤フィルム12中の分子配向を所期の状態にする。なお、この緩和工程については、さらに詳しく後述する。
冷却エリア48では、緩和工程で所期の分子配向となった湿潤フィルム12を、乾燥空気により冷却する。この冷却により、分子が所期の配向状態で固定する。なお、図4では、煩雑さを避けるために、クリップ50やターンホイール57、スプロケット58の図示を略す。
第1の実施形態では、図4に示すように、緩和エリア47に第1加熱装置63を設けてある。第1加熱装置63は、第3給気室55cと湿潤フィルム12の搬送路との間に配され、下部がヒータ64とされてある。第1加熱装置63は、それぞれヒータ64からの発熱量を制御するコントローラ71を有する。なお、図4では、説明の便宜上、各ヒータ64及びそれらの配列ピッチを、湿潤フィルム12に対して大きく描いてある。
第1加熱装置63は、湿潤フィルム12の搬送路に関して第3給気室55cとは反対側、すなわち、湿潤フィルム12の下方に配してもよい。この場合には、ヒータ64が上向きとなるように第1加熱装置63を設ける。ただし、ヒータ64を湿潤フィルム12の下方に配した場合に、湿潤フィルム12がなんらかの理由により万一破断してしまうと、破断した湿潤フィルム12がヒータ64に接触してしまうことが想定される。そこで、ヒータ64は、湿潤フィルム12の搬送路の上方に配しておくことがより好ましい。
第1加熱装置63は、図5に示すように、緩和エリア47に複数設けてあり、湿潤フィルム12の各側端部12sの上方に配してある。第1加熱装置63は、複数のヒータ64を備え、複数のヒータ64は、湿潤フィルム12の幅方向に複数並ぶ。なお、図5では、湿潤フィルム12の搬送路の下方に配されるダクト、クリップ50、ターンホイール57、スプロケット58の図示を略している。
コントローラ71は、これらのヒータ64を独立して制御し、各ヒータ64のオン・オフの切替を含めた各ヒータ64からの発熱量を制御する。コントローラ71には、各ヒータ64のオン・オフの情報に関する信号とオンにするヒータ64の発すべき熱量の情報に関する信号とが予め入力されてあり、これらの信号に基づいて各ヒータ64を制御する。
以上の制御により、以降の緩和工程に供される湿潤フィルム12については、遅相軸が所期の遅相軸とずれている補正対象の側端部12sが、第1給気室55cからの乾燥空気の吹付けだけよりもより高温の所定温度となるように加熱される。この加熱により、側端部12sは、緩和エリア47で、中央部12cよりも大きく搬送方向Z1及び反搬送方向に収縮する。中央部12cよりも側端部12sの収縮量を所定量大きくすることにより、緩和工程終了時には、側端部12sの遅相軸と所期の遅相軸とのずれが補正された湿潤フィルム12となる。この補正により、湿潤フィルム12の遅相軸は幅方向Z2で均一となる。
緩和エリア47での緩和工程を経た湿潤フィルム12の側端部12sの遅相軸と所期の遅相軸とのずれは、幅を規制した状態で側端部12sを加熱するからこそ効果的に補正されるものである。したがって、幅を規制せずに実施する緩和工程、例えば、複数のローラの周面に支持されながら搬送されている湿潤フィルム12に対し加熱をして残留応力を除去するような緩和工程において側端部12sを加熱しても、遅相軸のずれは十分には補正されない。
第1加熱装置63を用いた側端部12sにおける遅相軸のずれの補正方法につき、図6を参照しながら説明する。中央に関して対称に延伸した場合には、図3の(d)に示すように配向角θは左右でほぼ対称である。そこで、図6では、湿潤フィルム12の左縁12e(L)から中央までの範囲のみを示す。すなわち、図6では、横軸の左端が湿潤フィルム12の左縁12e(L)であり、横軸の「c」で示す右端が湿潤フィルム12の中央である。曲線L1は、緩和工程終了時におけるボーイングが搬送方向Z1に対して凸形状である場合の配向角θのグラフである。このまま遅相軸のずれを補正せずに乾燥室25に案内して得られるフィルムのボーイングの形状はほぼL1に一致する。
曲線L1において配向角θが正である位置が、所期の遅相軸(θ=0°)とずれた遅相軸を示す位置であるので、補正対象としての側端部12sとなる。このように、所定の設定条件で幅方向Z2に延伸された湿潤フィルム12について、緩和工程終了時での配向角θのプロファイルに基づき、補正対象としての側端部12sを特定する。補正対象となった側端部12sが通過するヒータ64(図4参照)をオンにし、その発熱量を制御する。ヒータ64の発熱により側端部12sを所定の温度となるように、緩和工程の際に加熱することにより、遅相軸のずれがなくなるように補正することができる。
曲線L1に示すように、搬送方向Z1に対してボーイングが凸形状に発現した場合の側端部12sの配向角θは正(+)である。したがって、左縁12e(L)に近づくに従い、曲線L1は正(+)側により大きく傾いた曲線形状となる。ヒータ64の加熱により達すべき側端部12sの温度は、緩和工程終了時における配向角θの大きさに応じて決定する。まず、緩和工程終了時における配向角θとこの配向角θをもつ側端部12sを加熱したときの温度との関係を求める。そして、補正すべき位置の配向角θが0°になるような側端部12sの温度を求める。例えば、左側縁12e(L)から距離Pの位置にある点Pの緩和工程終了時における配向角θ(P)を0°に補正するときには、θ(P)が0°となるように収縮する点Pでの温度を予め求めておき、この点Pが通過したヒータ64をオンにしてその発熱量を調整する。これにより、第1加熱装置63に以降案内されてくる湿潤フィルム12においては、左側縁12e(L)から距離Pの位置にある点Pが、オンとされたヒータ64を通過する。ヒータ64の発熱量の調整により、点Pを、予め求めておいた所定の温度となるように昇温させる。これにより、緩和工程終了時におけるθ(P)は、0°となる。このように側端部12sが通過するヒータ64により加熱して得られるフィルム22の配向角θのグラフは、曲線L2となる。
このように、緩和エリア47では、緩和工程終了時での側端部12sの遅相軸と所期の遅相軸とのずれ量Dに応じて、第1加熱装置63に以降案内された湿潤フィルム12の側端部12sをより高い温度となるように中央部12cよりも多くの熱エネルギーを与えて加熱し、遅相軸のずれを補正する。このように、緩和エリア47での緩和工程を終えた湿潤フィルム12におけるずれ量Dを求め、このずれ量Dに応じて、緩和エリア47での緩和工程に以降供される湿潤フィルム12のずれを補正する。なお、湿潤フィルム12の搬送速度毎に、ヒータ64の発熱量とこの発熱により達する側端部12sの温度との関係を予め求めておくとよい。搬送速度に応じて、側端部12sへ伝わる熱エネルギー量が変わるからである。
ヒータ64の発熱量が大きすぎると、側端部12sの温度は、所期の値よりも高くなる。このように側端部12sの温度を所期の値よりも高くしすぎると、緩和工程終了時における配向角θ(P)はL2のラインを超えて負の値になってしまう。このように、側端部12sの温度を高くしすぎると、緩和工程終了時における配向角θのグラフは、曲線L3のように逆符号である負(−)の領域に傾きをもつことになる、そして、側端部12sの温度を高くしすぎるほど、曲線L3の傾きは急になる。このように、ヒータ64により側端部12sの温度を上げすぎて曲線L3のように点Pでの配向角θ(P)が逆符号である負に転じた場合には、点Pが通過するヒータ64の発熱量を下げて側端部12sを降温させるとよい。
緩和工程終了時の湿潤フィルム12について、曲線L1の形状で確認される遅相軸のずれ量Dは、延伸エリア46における設定条件により変わる。具体的には、補正対象となる側端部12sの範囲や、側端部12sの曲線の傾きが、延伸エリア46での設定条件を変えると変化する。そこで、緩和工程終了時における配向角θとこの配向角θをもつ側端部12sを加熱した場合の温度との関係は、延伸エリア46での設定条件毎に求める。延伸エリア46での設定条件とは、延伸エリア46における湿潤フィルム12の温度と、延伸倍率と、前述の湿潤フィルム12の搬送速度とである。延伸倍率とは、延伸エリア46での延伸工程開始時における湿潤フィルム12の幅と、延伸工程終了時における湿潤フィルム12の幅とから求めるものであり、例えばW2/W1で求める値である。
延伸エリア46の設定条件は、目的とするレタデーション値の光学特性に基づき決定するが、延伸エリア47で側端部12sの遅相軸のずれの補正をも完全に行うとすると、レタデーション値等の制御に影響を及ぼしてしまう。仮に、延伸エリア46でレタデーション値等の光学特性に加えて遅相軸のずれの補正をも行えたとしても、その設定条件は非常に複雑な組み合わせとなってしまう。これに対して、本発明では、延伸エリア46の設定条件は、目的とするレタデーション値等の光学特性に基づき決定し、側端部12sの遅相軸のずれは緩和エリア47で補正するので、延伸エリア46の設定条件は比較的シンプルになり、また、レタデーション値等の制御が容易である。さらに、本発明では、ずれ量Dは緩和工程を経た湿潤フィルム12について検出し、この検出値に基づいてずれを補正するので、ずれがより確実に補正される。
さらに、延伸工程で遅相軸のずれを補正しても、遅相軸のずれ量Dを1.5°程度までにしか補正することができない。これは、緩和工程でも遅相軸が変化しやすいからである。しかし、本発明では、緩和エリア47における緩和工程で、補正対象である側端部12sを加熱し、しかもこの補正は、湿潤フィルム12の幅を規制した状態で実施し、補正するずれ量Dは、既に緩和工程を終えた湿潤フィルム12において検出する。これにより、本発明では、1°よりも小さい遅相軸のずれであっても精緻に補正することができる。この結果、製品として用いることができる面積を大幅に増やすことができるとともに、第2切除装置21(図1参照)で切除する側部の量を大幅に減らすことができる。したがって、従来からの製造ラインを使用しても、より大きな幅の光学フィルムを製造することができるようになり、より大画面の表示装置にも対応できるような光学フィルムが得られる。
本実施形態では、所期の遅相軸と側端部12Sの遅相軸とのずれ及びずれ量Dを、配向角θという角度で検出するが、ずれの有無及びずれ量Dは、必ずしも配向角θとして検出しなくてもよい。例えば、所期の遅相軸と側端部の遅相軸とを単に検出して、両遅相軸の方向が一致しない場合をもってずれを検出したものとし、交差した両遅相軸の方向の大小をもってずれ量Dを検出したものとしてよい。
なお、緩和工程を経た湿潤フィルム12の側端部12sの配向角θは、ポリマーの種類と延伸工程の設定条件とによって異なる。ポリマーの種類が互いに同じであっても、延伸工程での設定条件が異なると配向角θは正負の符号が逆転するなど互いに異なる値となる。
例えば、ポリマー成分としてセルローストリアセテート(TAC)を用いても、延伸工程における設定条件を変えることにより、図7の曲線(A)と(B)と(C)とのように、配向角θのグラフは互いに異なるものになる。
例えば、後述のようなオフライン延伸においては、ポリマー成分をTACとし、延伸工程でのフィルムの温度を200℃以上220℃未満の範囲、W2/W1で求める延伸倍率を1.40以上1.55以下の範囲、搬送速度を40m/分以下とすると、曲線(A)及び(B)に示すように、緩和工程を経た側端部12sの配向角θは正(+)となる。また、延伸工程でのフィルムの温度のみを220℃以上230℃以下の範囲に代えると、曲線(C)に示すように、緩和工程を経たフィルムの配向角θは負(−)となる。また、図7に示すように、側端部12sの遅相軸と中央部12cの遅相軸とのずれ量の大きさ|D|や、中央部12cと遅相軸がずれる側端部12sの範囲も互いに異なる。
なお、セルロースジアセテート(DAC)はTACに比べて分子配向の変化の温度依存性が大きい。したがって、ポリマー成分がTACの場合よりも、DACの場合の方が、ヒータ64の発熱量を小さくして遅相軸のずれの補正を行う。
本発明によると、搬送方向Z1に対してボーイングが凸形状と凹形状とのいずれの形状に発現する場合であっても、遅相軸のずれを補正する効果が得られる。
以下の第2の実施形態は、緩和工程を経た湿潤フィルム12の側端部12sにおける配向角θが負である場合、すなわちボーイングが搬送方向Z1に対して凹である場合に、遅相軸のずれを補正する。なお、緩和工程を経た湿潤フィルム12をそのまま乾燥室25で乾燥したフィルムのボーイングが搬送方向に対して凹である場合であってもよい。以下の第2実施形態の説明では、緩和工程終了時における湿潤フィルム12が凹のボーイング形状をもつ場合を例にして説明する。
図8においては、図3と同じく、搬送方向Z1を上向きとした場合の湿潤フィルム12の右縁に符号12e(R)を付し、左縁に12e(L)を付す。また、図8の(c),(d)の横軸における符号「c」は湿潤フィルム12の幅方向Z2での中央を示す。搬送方向Z1に対してボーイングが凹形状に発現する場合のずれ量Dの正負及び配向角θの正負は、前述の定義に従うと以下の通りである。
搬送方向Z1に対してボーイングラインBLが図8(a)のように凹形状である場合に、(b)の測定ラインMLに沿って遅相軸を測定すると、ずれ量Dは(c)に示すように負(−)であり、配向角θも(d)に示すように負(−)である。例えば、この場合の側端部12sにおける点Pのずれ量D(P)と配向角θ(P)とは共に負である。このように、ずれ量D(P)及び配向角θ(P)が緩和工程終了時に負である場合のずれの補正は、延伸工程での設定条件を制御することによってもある程度は行うことができるが、以下のクリップテンタ120を用いて行うことが好ましい。
図9においては、図2,図4,図5と同じ装置、部材には、図2,図4,図5と同じ符号を付し、説明を略す。図9のクリップテンタ120は、図1の溶液製膜設備10のクリップテンタ20に代えて用いる。クリップテンタ120は、予熱エリア45に、第1加熱装置63と同じ構成をもつ第2加熱装置67を備える。第2加熱装置67は、第1給気室55aと湿潤フィルム12の搬送路との間に配され、第1加熱装置63と同様に、下部がヒータ68とされてある。なお、図9では、説明の便宜上、各ヒータ64,48及びそれらの配列ピッチを、湿潤フィルム12に対して大きく描いてある。
第2加熱装置67は、湿潤フィルム12の搬送路に関して第1給気室55aとは反対側、すなわち、湿潤フィルム12の下方に配してもよい。この場合には、ヒータ68が上向きとなるように第2加熱装置64を設ける。ただし、第2加熱装置67は、第1加熱装置63の場合と同様に、湿潤フィルム12の搬送路の上方に設ける方が好ましい。
第2加熱装置67も、第1加熱装置63と同じくコントローラ71に接続する。コントローラ71には、複数のヒータ64,68のそれぞれにつき、側端部12sを所定の温度に加熱するように、オン・オフ及び発すべき熱量の情報に関する信号が入力されてある。コントローラ71は、入力されてあるこれらの信号に基づき、各ヒータ64,68からの発熱量をそれぞれ独立して制御する。
コントローラ71により、ヒータ68は、所定の発熱量で、後述のずれ量調整領域である側端部12sの温度を制御する。これにより、予熱工程に以降供される湿潤フィルム12の緩和工程終了時におけるずれ量Dを調整する。ヒータ68による加熱により、側端部12sは、第1給気室55aからの乾燥空気による加熱のみに比べてより高い温度にされる。これにより、延伸エリア46で実施する延伸工程において、側端部12sが第1給気室55aからの乾燥空気による加熱のみの場合に比べて幅方向Z2でより大きく延びるようにする。このように、第2加熱装置67での側端部12sの加熱により、延伸工程における側端部12sの幅方向Z2における延び量を増加させ、この延び量の増加により、第1加熱装置63で補正すべき側端部12sの配向角θを調整する。したがって、第1加熱装置63で補正すべきずれ量Dも調整されることになる。
各ヒータ68は、緩和工程終了時での遅相軸のずれ量Dに応じて、その発熱量を調整する。発熱量の調整により、延伸工程における側端部12sの延び量の増加量が調整され、緩和工程終了時での側端部12sの配向角θが所期のものとなる。配向角θが所期のものとなることは、ずれ量Dが所期のものとなることを意味する。
ずれ量調整領域である側端部12sは、緩和工程で補正対象となる側端部12sに対応する。ずれ量調整領域は、後述のように緩和工程終了時における幅方向での位置と配向角θとの関係を求め、さらに緩和工程終了時における幅方向での位置と延伸工程開始時における幅方向での位置との対応関係を求めることにより特定するとよい。特定したずれ量調整領域に基づいて、複数のヒータ68の中のいずれをオンとすべきかを決定し、決定した情報に関する信号をコントローラ71に入力しておく。ずれ量調整領域が通過するヒータ68がオンとされる。
緩和工程終了時での側端部12sが所期の配向角θとなるように調整された湿潤フィルム12は、第1実施形態と同様にして、第1加熱装置63に案内されて配向角θが0°となるように補正される。このようにして、遅相軸のずれが補正されたフィルム22が得られる。
クリップテンタ120による遅相軸のずれの補正方法につき、図10を参照しながら説明する。中央に関して対称に延伸した場合には、図8の(c)及び(d)に示すように、緩和工程終了時におけるずれ量D及び配向角θが左右でほぼ対称である。そこで、図10では、図6と同じく、湿潤フィルム12の左縁12e(L)から中央までの範囲のみを示す。曲線L4は、緩和工程終了時におけるボーイングが搬送方向Z1に対して凹形状である場合の配向角θのグラフであり、第2加熱装置67によるずれ量Dの調整を実施しない場合である。なお、緩和工程終了時における配向角θが曲線L4の態様であるようなときに、湿潤フィルム12の側端部12sを、第2加熱装置67は非使用とした状態で第1加熱装置63による加熱を行うと、得られるフィルム22における配向角θの曲線の傾きは、曲線L4よりも大きなものとなり、ボーイングがより急な傾きの凹形状となる。
曲線L4において配向角θが負である位置が、ずれ量調整対象の側端部12sとなる。このように、所定の設定条件で幅方向Z2に延伸されたフィルムについて、ずれ量調整対象としての側端部12sを特定する。ずれ量調整対象となった側端部12sが通過するヒータ68(図9参照)をオンにし、その発熱量を制御する。ヒータ68の発熱により湿潤フィルム12を所定の温度となるように加熱することにより、第1加熱装置63で補正すべきずれ量Dが調整される。
曲線L4に示すように、搬送方向Z1に対してボーイングが緩和工程終了時で凹形状に発現した場合の側端部12sの配向角θは負(−)である。したがって、曲線L4は左縁12e(L)に近づくに従い、負(−)側により大きく傾いた曲線形状となる。ヒータ68の加熱により達すべき側端部12sの温度は、配向角θの大きさに応じて決定する。まず、配向角θとこの配向角θをもつ側端部12sを加熱したときの温度との関係を求める。そして、調整すべき位置の配向角θが正(+)となるような側端部12sの温度を求める。例えば、側端部12s上にあり、左側縁12e(L)から距離Pにある点Pの配向角θ(P)を正に調整するときには、θ(P)が正となるように延伸工程で延びる点Pでの温度を予め求めておき、この点Pが通過したヒータ68をオンにしてその発熱量を調整する。ヒータ68の発熱量の調整により、第2加熱装置67に以降案内されてくる湿潤フィルム12のうち、左側縁12e(L)から距離Pにある点Pを、予め求めておいた所定の温度となるように昇温させる。これにより、緩和工程終了時におけるθ(P)は、正の値である調整配向角θa(P)となる。このように側端部12sが通過するヒータ68により加熱された湿潤フィルム12は、緩和工程終了時において曲線L5のグラフに示すような配向角θのプロファイルとなる。したがって、ずれ量Dも同様のプロファイルとなる。以上のようにして、第2加熱装置67により、第1加熱装置63で補正すべき湿潤フィルム12の緩和工程終了時におけるボーイングの形状を、搬送方向Z1に対して凸にする。
このように、予熱エリア45では、緩和工程終了時における側端部12sの遅相軸と所期の遅相軸とのずれ量Dに応じて、予熱エリア45での予熱工程に以降供される湿潤フィルム12の側端部12sをより高い温度となるように中央部12cよりも多くの熱エネルギーを与えて加熱し、遅相軸のずれ量Dを正となるように調整する。なお、湿潤フィルム12の搬送速度毎に、ヒータ68の発熱量とこの発熱により達する側端部12sの温度との関係を予め求めておくとよい。搬送速度に応じて、側端部12sへ伝わる熱エネルギー量が変わるからである。
ヒータ68の発熱量は、緩和工程終了時における側端部12sのずれ量Dに応じて決定するので、本実施形態では、緩和工程終了時における配向角θ(P)に応じて決定してある。
緩和工程終了時において曲線L5のような正の調整配向角θa(P)とされてある湿潤フィルム12の側端部12sを、緩和工程では第1加熱装置63により加熱する。この加熱により、側端部12sの遅相軸のずれを補正する。第1加熱装置63による補正は、第1実施形態と同じである。したがって、調整配向角θa(P)が正である範囲が、補正対象領域の側端部12sであり、この側端部12sが通過するヒータ64の発熱量は、正である調整配向角θa(P)の大きさに応じて決定する。以上の方法により、得られるフィルム22は、配向角θのグラフが図11の線分L6のとおり幅方向でθ=0°で一定なものとなる。したがって、遅相軸のずれがないフィルム22が得られる。
第2加熱装置67では、調整配向角θa(P)が正となるように側端部12sを加熱すれば足り、θa(P)を正の領域でさほど大きくする必要はない。第1加熱装置63によりずれの補正をする際の側端部12sの温度は、正の調整配向角θa(P)が大きいほど高くなるので、調整配向角θa(P)が正の領域で大きくなりすぎると、緩和エリア47での側端部12sをより高温にしなければならないからである。
第1加熱装置63による補正が可能な補正可能量を、調整配向角θa(P)が超えてしまう場合には、所定のヒータ68の発熱量を下げて、第2加熱装置67により側端部12sが達する温度をより低くする。これにより、調整配向角θa(P)がより小さな値となる。このように、第1加熱装置63により補正するずれ量Dを、第2加熱装置67により調整する。
以上のように、第2の実施形態では、緩和工程終了時におけるボーイングが凹形状であるときに、緩和工程終了時におけるボーイングが凸形状となるように第2加熱装置67で側端部12sを加熱してある。この第2実施形態においても、延伸エリア46の設定条件は目的とするレタデーション値等の光学特性に基づき決定し、側端部12sの遅相軸のずれは緩和エリア47で補正し、ずれ量Dの調整は延伸工程の後である緩和工程終了時以降でのずれ量Dに基づいて行う。これにより、延伸エリア46の設定条件は比較的シンプルになり、また、レタデーション値等の制御が容易である。
さらに、この方法によると、ボーイングの形状が凹形状となるようなフィルムであっても、予熱エリア45における予熱工程でずれ量調整対象である側端部12sを加熱し、さらに緩和工程で補正対象である側端部12sを加熱することにより、第1実施形態の場合と同様に、遅相軸のずれ量が負でその大きさ|D|が1°よりも小さい場合であっても、ずれを精緻に補正することができる。これにより、製品として用いることができる面積を大幅に増やすことができるとともに、第2切除装置21(図1参照)で切除する側部の量を大幅に減らすことができる。したがって、従来からの製造ラインを使用しても、より大きな幅の光学フィルムを製造することができるようになり、より大画面の表示装置にも対応できるような光学フィルムが得られる。
第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、所期の遅相軸と側端部12Sの遅相軸とのずれ及びずれ量Dを、配向角θという角度で検出するが、ずれの有無及びずれ量Dは、必ずしも配向角θとして検出しなくてもよい。例えば、所期の遅相軸と側端部の遅相軸とを単に検出して、両遅相軸の方向が一致しない場合をもってずれを検出したものとし、交差した両遅相軸の方向の大小をもってずれ量Dを検出したものとしてよい。
なお、セルロースジアセテート(DAC)はTACに比べて分子配向の変化の温度依存性が大きい。したがって、ポリマー成分がTACの場合よりも、DACの方が、ヒータ68の発熱量を小さくしてずれ量Dを調整する。
なお、ずれ量調整対象である側端部12sを所定のヒータ68で加熱することにより、緩和工程終了時以降における側端部12sの配向角θを0°にできることがある。この場合には、第1加熱装置63を使用しない。
以上のように、テンタクリップ120は、第1加熱装置63と第2加熱装置67とを備える。したがって、このテンタクリップ120を用いることにより、緩和工程終了時以降の湿潤フィルム12またはフィルムにおけるボーイングの形状が凹凸のいずれであってもずれを補正することができる。すなわち、緩和工程終了時以降の湿潤フィルム12またはフィルムにおけるボーイングの形状が凸の場合には、第2加熱装置67を非使用とし、第1加熱装置63のみの使用で足りる。これに対し、緩和工程終了時以降の湿潤フィルム12またはフィルムにおけるボーイングの形状が凹の場合には、第1加熱装置63と第2加熱装置67とを併用する。
第2加熱装置67を第1加熱装置63と併用することにより、光学フィルム22の全幅にわたり所期の遅相軸を発現するという効果がより確実に得られることがある。例えば、第1加熱装置63による加熱で、緩和工程終了時における点Pの配向角θ(P)が負に転じた場合には、第2加熱装置67により予熱工程で側端部12sをより高い温度となるように加熱することにより、第1加熱装置63により達する側端部12の温度をさらに変化させることなく、ずれが補正されたフィルム22を得ることができる。
製造速度が大きい場合、すなわち搬送速度が大きい場合ほど、第1給気室55a(図3参照)のみの加熱だけでは、湿潤フィルム12の幅方向Z2における温度均一性が低減するので、第2加熱装置67の使用の効果がより顕著に現れる。これに対して、緩和工程での幅方向Z2における温度分布が所期のものとなりにくい場合には、第1加熱装置63の使用の効果がより顕著に現れる。このように、製造速度等の各種条件に応じて、第1加熱装置63と第2加熱装置67とによる各側端部の加熱のバランスを調整することが好ましい。
なお、第2加熱装置67を予熱エリア45よりも上流に配して側端部を加熱しても、上記と同様の効果あるいは同等の効果は得られない。例えば、予熱エリア45よりも上流で側端部12sを加熱すると、予熱エリア45で側端部12sが幅方向S2での中央部よりも大きく搬送方向及び反搬送方向へ収縮してしまい、側端部12sが中央部よりも厚くなってしまう。このような厚みプロファイルの湿潤フィルムを幅方向Z2に延伸すると側端部の延び量が中央部に比べて小さくなり、緩和工程を経た湿潤フィルムにおける遅相軸のずれ量Dが負の領域でより大きくなってしまう。つまり、負であるずれ量Dにつき、その大きさ|D|が大きくなる。
なお、図3,図6〜図8,図10,図11においては、中央部12cの範囲に対して側端部12sの範囲を大きく誇張して図示してある。
なお、クリップテンタ20,120では、クリップ50(図2参照)周辺の温度が湿潤フィルム12の幅方向Z2の中央部に比べて低くなる傾向がある。このような場合に、第1加熱装置63、第2加熱装置67の使用は特に有効である。
図4,図5,図9の各ヒータ64,68は、非防爆環境で使用するいわゆる電熱ヒータの構成としている。しかし、溶液製膜過程で延伸工程を実施する場合には、予熱エリア45、緩和エリア47に溶媒ガスが存在することがある。このように溶媒ガスが雰囲気中にある等、防爆を考慮する場合には、図12に示すように、所定の温度に加熱された乾燥空気を側端部12sに向けて吹き出すダクト155と、このダクト161に所定温度に加熱した乾燥空気を送るエア供給部156とを有するエア供給式の加熱装置163を、第1加熱装置63や第2加熱装置67に代えて用いるとよい。
幅方向Z2に延びたひとつのダクト155の内部は、仕切り板162により幅方向Z2で複数に仕切られてある。仕切り板162によって形成された第1〜第7給気室155a〜155gに対する乾燥空気の各送り込みのオン・オフを制御する。さらに、エア供給部156は、乾燥空気を送り込むべき第1〜第7給気室155a〜155gに対して、独立して温度と風量とを制御した乾燥空気を送り込む。コントローラ177は、乾燥空気を送り込むべき給気室と、送り込む乾燥空気の温度とにつき、エア供給部156を制御する。
エア供給部156から乾燥空気を送り込むべき給気室は、側端部12sが下方を通過する給気室である。図12には、第3給気室155c及び第4給気室155dから乾燥空気を送り出す態様を示してある。これにより、第3給気室155c及び第4給気室155dの下方を通過する側端部12sは、所定の温度になるように加熱される。
エア供給式の加熱装置として、加熱装置163に代えて、図13に示すような加熱装置263を用いてもよい。この加熱装置263は、複数のダクト255と、各ダクト255に、独立して温度及び風量を制御された乾燥空気をそれぞれ送るエア供給部256と、乾燥空気を送り込むべきダクト255と各乾燥空気の温度及び風量とにつきエア供給部256を制御するコントローラ277とを備える。
溶融製膜で製造されたフィルムに対して、延伸工程を実施する場合には、非防爆環境下であるので、上記のようなヒータ64,68を用いてよい。このような非防爆環境下で使用するヒータ64,68としては、市販されているようないわゆるセラミックヒータが好ましい。クリップテンタ20,120の有無に関わらず、ピンテンタ16(図1参照)で幅方向Z2への延伸を実施してもよく、このような態様でも延伸工程の後に本発明のような緩和工程及び側端部12sの加熱を実施し、さらに延伸工程の前の予熱工程で側端部12sの加熱を実施してもよい。このようなピンテンタ16により延伸工程を実施する場合には、ピンテンタ16の内部の溶媒ガス濃度に応じ、セラミックヒータをもつ第1加熱装置63,第2加熱装置67に代えて、エア供給式の加熱装置を用いることが好ましい。
なお、溶液製膜設備10(図1参照)のクリップテンタ20,120よりも下流側に、遅相軸や遅相軸のずれをオンラインで検出する遅相軸検出装置を配してもよい。この場合には、遅相軸検出装置による検出結果に基づきずれ量を求め、求めたずれ量に応じて求めたヒータ64,68の発熱量の情報に関する信号をコントローラ71に送る制御装置を用いることで、オンラインでのフィードバック制御をすることができる。これにより、溶液製膜設備10の稼働中であっても、遅相軸のずれを補正したり、ずれ量の調整を行うことができる。
上記の第1実施形態及び第2実施形態は、溶液製膜過程で幅方向Z2に延伸する場合であるが、本発明はこの態様に限定されるものではない。例えば、一旦製造されたポリマーフィルムを幅方向Z2に延伸するいわゆるオフライン延伸の場合にも、本発明を適用することができる。一旦製造されたポリマーフィルムとしては、溶融製膜で製造された溶媒が非含有のポリマーフィルムや、溶液製膜で製造され、残留溶媒量が数%未満というように実質的に非含有と通常みなすようなポリマーフィルムがある。この場合には、上記の第1及び第2実施形態における湿潤フィルム12を、溶媒が非含有あるいは実質的に非含有とみなすようなポリマーフィルムに代えて実施する。上記のように、オフライン延伸に供するポリマーフィルムは、溶液製膜方法と溶融製膜方法とのいずれの方法で製造されたものであってよい。また、溶液製膜方法で製造されたポリマーフィルムあるいは溶液製膜の過程における湿潤フィルム12に対して本発明を適用する場合には、本実施形態のように単層構造のものであってもよいし、同時共流延と逐次流延等による複層構造のものであってもよい。
本発明により製造する光学フィルムは、偏光板に用いられ光源からの光を光学的に補償する位相差フィルムとして、特に好ましく用いることができる。中でもVA用位相差フィルムを製造する場合に、本発明は特に有効であり、本発明によって、遅相軸が均一になるのでこの光学フィルムを表示装置に用いた場合には、コントラストがより向上した表示性能が得られる。
(ポリマー)
本発明により製造する光学フィルムにおけるポリマーは、熱可塑性のポリマーである。熱可塑性ポリマーとして、セルロースアシレートを用いる場合に、本発明は特に効果が大きい。
セルロースアシレートの中でも、セルロースの水酸基へのアシル基の置換度が下記式(1)〜(3)を満たすようなTACを用いる場合に、本発明は特に有効である。式(1)〜(3)において、A及びBは、セルロースの水酸基中の水素原子に対するアシル基の置換度を表し、Aはアセチル基の置換度、Bは炭素原子数が3〜22のアシル基の置換度である。なお、セルロースアシレートの総アシル基置換度Zは、A+Bで求める値である。
(1) 2.7≦A+B≦3.0
(2) 0≦A≦3.0
(3) 0≦B≦2.9
また、TACに代えて、または加えて、セルロースの水酸基へのアシル基の置換度が下記式(4)を満たすようなDACを用いる場合にも、本発明は特に有効である。
(4)2.0≦A+B<2.7
レタデーションの波長分散性の観点から、式(4)を満たしながらも、DACのアセチル基の置換度A、及び炭素数3以上22以下のアシル基の置換度の合計Bは、下記式(5)および(6)を満たすことが、好ましい。
(5) 1.0<A<2.7
(6) 0≦B<1.5
ポリマーとしてTACを用いる場合には、光学フィルム22はTACからなる単層構造であることが好ましい。これに対し、ポリマーとしてDACを用いる場合には、光学フィルム22は複層構造であることが好ましい。好ましい複層構造は、DACからなる層の一方の面にTACからなる層が設けられている構造である。より好ましい複層構造は、DACからなる層の一方の面及び他方の面にそれぞれTACからなる層が設けられている構造である。このようなDACからなる層をもつ複層構造の光学フィルムは、溶液製膜方法でつくることが好ましく、同時共流延もしくは逐次流延でつくることが好ましい。
なお、TACからなる2層の間にDACの層を備える複層構造のポリマーフィルムに対して、クリップテンタ20,120を用いてオフライン延伸をする場合には、延伸エリア46の設定条件としてのポリマーフィルムの温度は、160℃以上190℃以下の範囲が好ましく、165℃以上185℃以下の範囲がより好ましく、170℃以上180℃以下の範囲が更に好ましく、W2/W1で求める延伸倍率は、1.0以上1.5以下の範囲が好ましく、1.1以上1.4以下の範囲がより好ましく、1.15以上1.35以下の範囲が更に好ましい。DACを用いてこのような設定条件で延伸をする場合であって、延伸エリア46での延伸開始時におけるポリマーフィルムのボーイングの形状が、搬送方向Z1に対して凸である場合には、緩和エリア47で中央部12cよりも側端部12sの温度を高くし、その際、中央部12cとの温度差が1℃以上20℃以内となるようにヒータ64で側端部12sを加熱することが好ましく、3℃以上15℃以内となるように加熱することがより好ましく、5℃以上10℃以内となるように加熱することが更に好ましい。
また、TACからなる2層の間にセルロースジアセテート(DAC)の層を備える複層構造のポリマーフィルムに対して、クリップテンタ120を用いてオフライン延伸をする場合において、上記の設定条件で延伸をし、延伸エリア46での延伸開始時におけるポリマーフィルムのボーイングの形状が、搬送方向Z1に対して凹である場合には、予熱エリア45においては中央部よりも側端部12sの温度を高くし、その際、中央部との温度差が1℃以上20℃以内となるようにヒータ68で側端部を加熱することが好ましく、3℃以上15℃以内となるように加熱することがより好ましく、5℃以上10℃以内となるように加熱することが更に好ましい。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基(ヒドロキシル基)を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部を炭素数2以上のアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位及び6位それぞれについて、セルロースの水酸基がエステル化している割合(100%のエステル化の場合を置換度1とする)を意味する。
まず、表1に記載のようにアシル基の種類、置換度が異なる2種類のセルロースアシレートを調製した。サンプル名はそれぞれC2、C4とした。サンプル名がC2のセルロースアシレートはいずれもTAC、サンプル名がC4のセルロースアシレートはDACである。調製の際には、触媒として硫酸を用いた。この触媒のセルロース100質量部に対する添加量は7.8質量部である。アシル置換基の原料となるカルボン酸を添加し40℃でアシル化反応を行った。アシル基の種類、置換度の調整は、カルボン酸の種類、量を調整することで行った。また、アシル化後に40℃で熟成を行った。さらにこのセルロースアシレートの低分子量成分をアセトンで洗浄し除去した。
以下に示す処方のドープを2種調製した。
(ドープC2)
セルロースアシレート:表1に記載のC2 100質量部
添加剤A:表2のA−3 11.3質量部
化合物D:化1に示す化合物D 4質量部
ジクロロメタン 406質量部
メタノール 61質量部
(ドープC4)
セルロースアシレート:表1に記載のC4 100質量部
添加剤A:表2のA−3 19質量部
化合物D:化1に示す化合物D 4質量部
ジクロロメタン 406質量部
メタノール 61質量部
また、以上の2つのドープのいずれにも、セルロースアシレート100質量部に対して微粒子であるマット剤(AEROSIL R972、日本エアロジル(株)製、2次平均粒子サイズ1.0μm以下)0.13質量部となる様にマット剤分散液を混合、攪拌した。
なお、添加剤Aは、ポリエステルであり、このポリエステルは、表2に記載のジカルボン酸とジオールとの組み合わせ及び比率によって得られる。表2においては、「芳香族ジカルボン酸」欄の「TPA」はテレフタル酸、「脂肪族ジカルボン酸」欄の「SA」はコハク酸を表す。
以下に示す条件で実験1〜実験12を実施した。実験1〜5はTACからなる単層構造の光学フィルムを製造するものである。「表3の光学フィルム」には「TAC」と記載する。実験6〜12はDACからなる層の両面にTACからなる層をそれぞれ配した3層構造の光学フィルムを製造するものである。「表3の光学フィルム」には「DAC」と記載する。実験6〜12は、同時共流延により製造した。3層構造のうち露出する2つの表層は、互いに同じドープで形成した。以下の記載においては、3層構造のうちDACからなる層を主層と称する。
[実験1]〜[実験5]
溶液製膜設備10を用いて、ドープC2により、光学フィルムを製造した。なお、クリップテンタ20の内部の雰囲気には溶媒ガスが存在していることから、第1加熱装置63と第2加熱装置67に代えて、図12に示すエア供給式の加熱装置163を用いた。表3においては、予熱エリア45、緩和エリア47で加熱装置163を用いた場合には、加熱装置163により達した側端部12sの温度を、「予熱エリアでの側端部の温度」欄と「エリアでの側端部の温度」とにそれぞれ記載する。これらの欄で「−」とあるのは、エア供給式の加熱装置163による加熱を実施しなかった場合である。なお、表3においては、延伸工程における設定条件につき、湿潤フィルムの温度を「温度」欄に、延伸倍率を「延伸倍率W2/W1」欄に、それぞれ記載する。
実験1〜実験5で得られた各光学フィルムにつき、配向角θを測定して遅相軸のずれの程度を求めるとともに、ボーイングの形状を確認した。表3の「ボーイングの形状」欄には、搬送方向Z1に対する形状を記載しており、幅方向Z2に直線状であると認められた場合には「ほぼフラット」と記載している。
配向角θの測定は、KOBRA21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)を用いて実施した。この測定装置に、製造した各光学フィルムをセットし、波長λnmの光を光学フィルムに対して、その法線方向から入射して配向角θを測定した。測定波長λnmの選択にあたっては、特定の波長を通過する波長選択フィルターを、マニュアルまたはプログラム等で交換する。このようにして特定波長λnmの光を光学フィルムに入射させた。本実施例では、光源に対して、光学フィルムを移動させて、配向角θを測定した。配向角θは、測定ラインML上の任意の複数箇所を選択し、選択した各箇所で測定した。光学フィルムの移動に際しては、測定ラインMLが溶液製膜設備10における幅方向Z2に一致するようにした。測定ラインMLは、光学フィルムの一方の側縁から20mmの位置を一方の端点とし、光学フィルムの他方の側縁から20mmの位置を他方の端点として採った。ただし、配向角θの測定方法はこの方法に限定されず、例えば、溶液製膜設備10における幅方向Z2に対応する方向で連続的に測定してもよい。
上記のようにして測定した各配向角θについて、それぞれ絶対値|θ|をとった。すべての|θ|値の中から最大値|θ|maxを選びだした。この最大値|θ|maxを2倍した値、すなわち|θ|max×2(単位;°)を、遅相軸のずれの程度とした。この遅相軸のずれの程度については、表3の「ずれの程度」欄に示す。
[実験6]〜[実験12]
表層用のドープをドープC2とし、主層のドープをドープC4として同時共流延を実施した。得られた各光学フィルムにつき、遅相軸のずれの程度を求めるとともに、ボーイングの形状を確認した。