JP4728129B2 - 耐食性および靭性に優れた船舶用鋼材 - Google Patents
耐食性および靭性に優れた船舶用鋼材 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4728129B2 JP4728129B2 JP2006016855A JP2006016855A JP4728129B2 JP 4728129 B2 JP4728129 B2 JP 4728129B2 JP 2006016855 A JP2006016855 A JP 2006016855A JP 2006016855 A JP2006016855 A JP 2006016855A JP 4728129 B2 JP4728129 B2 JP 4728129B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- corrosion resistance
- corrosion
- test piece
- test
- toughness
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Description
[P]×7+[Bi]<0.50% ・・・ (1)
0.050≦[P]/[Bi]≦5.0 ・・・ (2)
Biは、上記のように硫黄分と水素イオンとのカソード反応が主に関与している腐食環境下において、ビスマス酸塩を生成し、ビスマス酸塩がカソードサイトに作用して酸化するなどして耐食性向上に寄与する元素である。このような作用を有効に発揮させるためには、Biを0.0005%以上添加する。ただし、Biを過剰に添加すると、Biが粒界に偏析して靭性の劣化を招くほか、溶接性が低下するため、その上限を0.40%とする。Biの添加量は、0.0008%以上0.38%以下であることが好ましく、0.010%以上0.35%以下であることがより好ましい。
Pは、上記のように硫黄分と水素イオンとのカソード反応が主に関与している腐食環境下において、リン酸塩を生成し、リン酸塩がカソードサイトに吸着するなどして耐食性向上に寄与する元素である。このような作用を有効に発揮させるため、Pを0.003%以上添加する。ただし、Pを過剰に添加すると、靭性や溶接性を劣化させるため、上限を0.050%とする。Pの添加量は0.045%以下であることが好ましく、0.040%以下であることがより好ましい。
上記のようにBiおよびPは、いずれも、耐食性向上に寄与する元素であるが、過剰に添加すると、靭性や溶接性に悪影響を及ぼすこと、Pによる悪影響の度合いは、Biの7倍以上であることが、本発明者の実験によって明らかになった。この知見に基づき、更に検討を重ねた結果、BiおよびPによる悪影響を防止するためには、上式(1)の範囲を満足することが有効であることが判明した(後記する実施例を参照)。上式(1)は0.45%未満であることが好ましく、0.40%以下であることがより好ましい。
本発明による耐食性向上作用は、主に、Pの溶解によって生成されるリン酸塩の吸着作用と、Biの溶解によって生成されるビスマス酸塩の酸化作用との相乗作用によって発揮されると考えられるが、このような作用は、PおよびBiの含有量を、それぞれ、単独で制御するだけでなく、これらの含有量の比率を適切に制御することによって有効に発揮されることが、本発明者の実験によって明らかになった。後記する実施例に示すように、上式(2)の範囲を外れると、腐食均一性や耐すきま腐食性が低下する。[P]/[Bi]の比率は、0.055以上4.5以下であることが好ましく、0.06以上4.0以下であることがより好ましい。
Cは、材料の強度確保のために必要な元素である。船舶の構造部材に要求される最低レベルの強度(使用する鋼材の肉厚にもよるが、概ね400MPa程度)を確保するため、Cを0.01%以上添加する。しかし、0.30%を超えて過剰に添加すると、靱性が劣化する。Cの含有量は、0.02%以上0.28%以下であることが好ましく、0.04%以上0.26%以下であることがより好ましい。
Siは、脱酸と強度確保のために添加される。Siが0.01%未満では、船舶の構造部材造に要求される最低レベルの強度を確保することができない。しかし、Siが2.0%を超えて過剰になると、溶接性が劣化する。Siの含有量は、0.02%以上1.5%であることが好ましく、0.05%以上1.0%以下であることがより好ましい。
Mnは、Siと同様、脱酸と強度確保のために添加される。Mnが0.01%未満では、構造部材に要求される最低レベルの強度を確保することができない。しかし、Mnが2.0%を超えて過剰になると、靱性が劣化する。Mnの含有量は、0.05%以上1.80%であることが好ましく、0.10%以上1.60%以下であることがより好ましい。
Alは、SiおよびMnと同様、脱酸および強度確保のために添加される。Alが0.005%未満では、脱酸作用を有効に発揮することができない。しかし、Alを0.10%を超えて添加すると、溶接性が低下する。Alの含有量は、0.008%以上0.090%であることが好ましく、0.010%以上0.080%以下であることがより好ましい。
これらの元素は、いずれも、耐食性向上に有効である。
CaおよびMgは、溶解することによってpHの上昇作用を示し、鉄の溶解が生じている局部アノードの加水分解反応によるpHの低下を抑制して腐食反応を抑え、耐食性を向上させる。このような作用は、Ca、Mgを0.0005%以上添加することによって有効に発揮される。ただし、Ca、Mgを0.020%を超えて過剰に添加すると、加工性および溶接性が低下する。Ca、Mgの含有量は、それぞれ、0.0010%以上0.015%以下であることがより好ましい。CaおよびMgは、単独で添加しても良く、両方添加しても良い。
これらの元素は、上記(i)の元素(Cu等)による錆緻密化作用を促進し、耐食性を更に向上させる。このような作用を有効に発揮させるため、上記元素は、いずれも、0.001%以上添加することが好ましい。ただし、これらの元素を過剰に添加すると、加工性および溶接性が低下するため、いずれの元素も、0.30%以下とすることが好ましい。上記元素の含有量は、それぞれ、0.005%以上0.25%以下であることがより好ましい。これらの元素は、単独で添加しても良く、2種以上を併用しても良い。
これらの元素は、強度の向上に寄与する。ただし、これらの元素を過剰に添加すると、母材靭性が低下する。これらを勘案して、上記元素の好ましい含有量を上記範囲に定めた。Bの含有量は、0.0003%以上0.0090%以下であることがより好ましい。Vの含有量は、0.02%以上0.45%であることがより好ましい。Nbの含有量は、0.005%以上0.45%以下であることがより好ましい。
本実施例では、以下のようにして作製された試験片Aから試験片Cを用い、船舶が腐食される環境を模擬した腐食試験(海水噴霧試験と恒温恒湿試験との繰り返しによる複合サイクル腐食試験)を行った。詳細な実験方法は以下のとおりである。
まず、表1および表2に示す種々の成分組成(残部:Feおよび不可避不純物)の鋼材(母材)No.1〜35を転炉で溶製し、連造鋳造および熱間圧延によって各種鋼板を作製した。得られた鋼板を切断し、表面を研削することによって、図1に示す試験片A(サイズ約100mm×約100mm×約25mm)を作製した。
図2に示す試験片Bは、以下のようにして作製した。
防食塗膜が施された鋼材に傷が付いて素地鋼材が露出したときの塗装耐食性を調べるため、以下のようにして、図3に示す試験片Cを作製した。
このようにして得られた試験片A、耐すきま腐食性測定用試験片B、および塗装耐食性測定用試験片Cに対し、以下に示す腐食試験を施した。この腐食試験は、船舶が腐食される環境を模擬したものであり、以下に示すように、海水噴霧試験と恒温恒湿試験との繰り返しによる複合サイクル腐食試験を行った。
試験片Aの腐食性(耐全面腐食性および腐食均一性)は、以下のようにして評価した。
耐すきま腐食性は、以下のようにして最大すきま腐食深さD−crev(mm)を測定することによって評価した。
塗装耐食性は、以下のようにして最大膨れ幅を測定することによって評価した。
本実施例では、実施例1のように海水環境を模擬した腐食試験の代わりに、実際に船を運行して腐食試験を実施した(実践暴露試験)。具体的には、以下のようにして作製された試験片Dから試験片Fを原油タンカーに取り付けて運行を行ったときの腐食状況および靭性を評価した。ここで使用した試験片D〜Fのサイズ(厚さを除く)は、実施例1で使用した試験片A〜Cの3倍であり、実施例1と同様にして、耐全面腐食性、腐食均一性、耐すきま腐食性、及び塗装耐食性を測定し、耐食性を評価した。
まず、前述した表1および表2に示す種々の成分組成(残部:Feおよび不可避不純物)の鋼材(母材)No.1〜35を転炉で溶製し、連造鋳造および熱間圧延によって各種鋼板を作製した。得られた鋼板を切断し、表面を研削することによって、図4に示す試験片D(サイズ約300mm×約300mm×約25mm)を作製した。
図5に示す試験片Eは、以下のようにして作製した。
防食塗膜が施された鋼材に傷が付いて素地鋼材が露出したときの塗装耐食性を調べるため、以下のようにして、図6に示す試験片Fを作製した。
このようにして得られた試験片D、耐すきま腐食性測定用試験片E、および塗装耐食性測定用試験片Fに対し、以下に示す腐食試験を施した。この腐食試験は、前述したように船舶が腐食される環境を想定して設定されたものである。
耐全面腐食性は、前述した試験片Aの腐食性測定方法と同様にして板厚の平均減少量D−ave(mm)を算出し、試験片10個の平均減少量D−aveを算出することにより評価した。
耐すきま腐食性は、前述した試験片Bの腐食性測定方法と同様にして各試験片の大試験片側の最大すきま腐食深さD−crev(mm)をそれぞれ測定し、各測定値の最大値を「最大すきま腐食深さD−crev(mm)」と定義した。
塗装耐食性は、前述した試験片Cの腐食性測定方法と同様にして各試験片の塗膜膨れ幅(mm)をそれぞれ測定し、各測定値の最大値を「最大膨れ幅」と定義した。
Claims (5)
- C:0.01〜0.30%(質量%の意味。以下同じ)、Si:0.01〜2.0%、Mn:0.01〜2.0%、Al:0.005〜0.10%、Bi:0.0005〜0.40%、P:0.003〜0.050%を含有し、残部:Feおよび不可避不純物であり、下式(1)および(2)を満足し、原油タンクに用いられるものであることを特徴とする耐食性および靭性に優れた船舶用鋼材。
[P]×7+[Bi]<0.50% ・・・ (1)
0.050≦[P]/[Bi]≦5.0 ・・・ (2)
式中、[ ]は、各元素の含有量(%)を意味する。 - 更に、Cu:0.01〜5.0%、Ni:0.01〜5.0%、Cr:0.01〜5.0%、およびTi:0.005〜0.20%よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含有する請求項1に記載の鋼材。
- 更に、Ca:0.0005〜0.020%及び/又はMg:0.0005〜0.020%を含有する請求項1または2に記載の鋼材。
- 更に、Sn:0.001〜0.30%、As:0.001〜0.30%、およびSb:0.001〜0.30%よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の鋼材。
- 更に、B:0.0001〜0.010%、V:0.01〜0.50%、およびNb:0.003〜0.50%よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の鋼材。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2006016855A JP4728129B2 (ja) | 2006-01-25 | 2006-01-25 | 耐食性および靭性に優れた船舶用鋼材 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2006016855A JP4728129B2 (ja) | 2006-01-25 | 2006-01-25 | 耐食性および靭性に優れた船舶用鋼材 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2007197763A JP2007197763A (ja) | 2007-08-09 |
| JP4728129B2 true JP4728129B2 (ja) | 2011-07-20 |
Family
ID=38452648
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2006016855A Expired - Lifetime JP4728129B2 (ja) | 2006-01-25 | 2006-01-25 | 耐食性および靭性に優れた船舶用鋼材 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP4728129B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2010058762A1 (ja) * | 2008-11-19 | 2010-05-27 | 住友金属工業株式会社 | 鋼板および表面処理鋼板ならびにそれらの製造方法 |
| CN102021498B (zh) * | 2009-09-18 | 2014-03-12 | 鞍钢股份有限公司 | 一种低合金耐硫酸露点腐蚀钢板及其制造方法 |
Family Cites Families (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS53100121A (en) * | 1977-02-14 | 1978-09-01 | Kawasaki Steel Co | Low alloy steel providing electric resistance welding part with good groove corrosion resistance |
-
2006
- 2006-01-25 JP JP2006016855A patent/JP4728129B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2007197763A (ja) | 2007-08-09 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| JP4502075B1 (ja) | 原油タンカー用耐食鋼材 | |
| CN100494452C (zh) | 耐蚀性优异的船舶用钢材 | |
| JP4525687B2 (ja) | 船舶用耐食鋼材 | |
| JP5662894B2 (ja) | 耐食性に優れた原油タンカーのタンク上甲板用またはバラ積み船の船倉用鋼材 | |
| JP2000017381A (ja) | 造船用耐食鋼 | |
| JP5763929B2 (ja) | 耐食性に優れた船舶用鋼材 | |
| JP2006037201A (ja) | 耐食性に優れた船舶用鋼材 | |
| JP5058574B2 (ja) | 電気防食される船舶バラストタンク用防錆鋼板および船舶バラストタンクの防錆方法 | |
| JP5265944B2 (ja) | 耐食性に優れた船舶用鋼材 | |
| JP4445444B2 (ja) | 複合耐食性に優れた船舶用鋼材および溶接構造物 | |
| JP4119941B2 (ja) | 湿潤の大気雰囲気での耐すきま腐食性に優れた船舶用鋼材 | |
| JP2012149296A (ja) | 耐食性に優れた構造部材用鋼材 | |
| JP3923962B2 (ja) | 耐食性に優れた船舶用鋼材 | |
| JP4616181B2 (ja) | 大入熱溶接時のhaz靱性および耐食性に優れた船舶用鋼材 | |
| JP4728129B2 (ja) | 耐食性および靭性に優れた船舶用鋼材 | |
| JP5216199B2 (ja) | 耐すきま腐食性に優れた船舶用溶接継手および溶接構造体 | |
| JP2006118002A (ja) | 石油類タンク用鋼材 | |
| JP5629279B2 (ja) | 耐食性に優れた溶接継手および溶接構造体 | |
| JP4786995B2 (ja) | 溶接性および耐食性に優れた船舶用鋼材 | |
| JP4659626B2 (ja) | 耐食性と母材靭性に優れた船舶用高張力鋼材 | |
| JP4444924B2 (ja) | 耐食性と母材靭性に優れた船舶用高張力鋼材 | |
| JP4923614B2 (ja) | 船舶用耐食鋼材 | |
| JP6736255B2 (ja) | バラストタンク用耐食鋼材 | |
| JP4476926B2 (ja) | 大入熱溶接時のhaz靱性および耐食性に優れた船舶用鋼材 | |
| JP6409962B2 (ja) | 耐食性に優れる原油タンク用鋼材および原油タンク |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080926 |
|
| A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20101018 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110111 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110308 |
|
| A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110412 |
|
| A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
| A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110414 |
|
| R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140422 Year of fee payment: 3 |