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JP4021672B2 - 車両用フロア構造 - Google Patents

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JP4021672B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用フロア構造の改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用フロアは、車室に臨むように車体フレームの中央部分に設けられたフロアパネルである。フロアパネルとしては、フロントフロアパネルやリヤフロアパネルがある。フロアパネルは、一般に1、2枚の鋼板のプレス成形品からなるので、必要な剛性を確保するためにフロアフレームで補強する構造が採用されている。さらに近年においては、フロアパネルの剛性を高める研究が進められている。このような車両用フロア構造の技術としては、例えば特開平10−338170号公報「車体フロアのハニカムプレート組付方法」(以下、「従来の技術」と言う)が知られている。
【0003】
上記従来の技術は、同公報の図1及び図3によれば、フロアパネル2(符号は公報に記載されたものを引用した。以下同じ。)に形成した複数の凹部9の底面にそれぞれ固定用メルシート15を敷いて、それらの上方からハニカムプレート7を嵌め、このハニカムプレート7の上面に一体に設けた平板状の基板12を凹部9の縁に固定するというものである。フロアパネル2の剛性をハニカムプレート7によって高めることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記従来の技術は、フロアパネル2の一部分の剛性を高めることはできるものの、フロアパネル2の全体の剛性を高めるものではない。このため、フロアパネル2をフロントクロスメンバ5,5やリヤクロスメンバ6,6のような補強部材によって補強する構造を採用せざるを得ない。車体への取付部品(排気系等)のレイアウトの設計の自由度を高めるためには、補強部材を少なくすることが好ましい。
【0005】
そこで本発明の目的は、(1)フロアパネルを補強するためのフロアフレームを設けることなく、フロアパネル全体の剛性を高めることができるとともに、(2)フロアパネルへ衝突力が作用したときに、衝突エネルギーを効率良く吸収できる技術を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項は、平板に複数の芯材を間隔をおいて配置し、この上にもう1枚の平板を重ねて一体に形成した、中空パネルからなるフロア本体の前部を、車体前部から後方へ延びる左右のフロントサイドフレームの後端に接合し、フロア本体のうち前部の縁の部分における複数の芯材を、左右のフロントサイドフレームの後端から直接に又は間接に後方へ放射状に延びるように配置した車両用フロア構造である。
【0011】
平板に複数の芯材を間隔をおいて配置しこの上にもう1枚の平板を重ねて一体に形成した中空パネルを、フロア本体に採用したので、フロア全体の曲げ、ねじり、剪断の全ての剛性及び強度を高めることができる。しかも、フロア本体のうち、縁の部分における複数の芯材を車体フレームに接合したので、フロア本体全体の剛性を、より高めることができる。従って、フロア本体を補強するための別部材からなるフロアフレームを設けることなく、フロア本体全体の剛性を高めることができる。フロアフレームを排除することで、車体への取付部品(排気系等)のレイアウトの自由度をより高めることができる。
【0012】
さらには、フロア本体のうち前部の縁の部分における複数の芯材を、左右のフロントサイドフレームの後端から直接に又は間接に後方へ放射状に延びるように配置したので、車体前方からの衝突力をフロア本体の全体に効率良く分散させることができる。従って、フロア本体の全体で衝突エネルギーを十分に吸収することができる。フロア本体による衝突エネルギーの吸収性能を高めることができる。
【0013】
請求項は、複数の芯材に、前後に延びて車幅方向に配列した複数の縦芯材を含んでおり、これら複数の縦芯材のうち、左右のフロントサイドフレームの後端にほぼ対応する縦芯材の配列ピッチを、他の縦芯材の配列ピッチよりも小さく設定したことを特徴とする。
フロントサイドフレームの後端にほぼ対応する縦芯材だけの強度を高め、他の縦芯材の強度についてはそのままにした。フロア本体の重量増加を抑制しつつ、各縦芯材の強度をバランス良く設定することで、車体前方からの衝突力が、左右のフロントサイドフレームからフロア本体の前部へ作用したときの、フロア本体の全体の強度を高めることができる。
【0014】
請求項は、複数の芯材を板材の折曲げ成形品とし、これらの折曲げ成形品のうち、左右のフロントサイドフレームの後端にほぼ対応して前後に延びる折曲げ成形品の板厚を他の折曲げ成形品の板厚よりも大きく設定したことを特徴とする。
フロントサイドフレームの後端にほぼ対応する折曲げ成形品だけの板厚を大きくすることで、その折曲げ成形品の強度をより高め、他の縦芯材の強度についてはそのままにした。フロア本体の重量増加を抑制しつつ、各縦芯材の強度をバランス良く設定することで、車体前方からの衝突力が、左右のフロントサイドフレームからフロア本体の前部へ作用したときの、フロア本体の全体の強度を、より高めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は運転者から見た方向に従い、Frは前側、Rrは後側、Lは左側、Rは右側、CLは車体中心(車幅中心)を示す。また、図面は符号の向きに見るものとする。
【0016】
図1は本発明に係る車体フレームの平面図であり、この車体フレーム10は、車体前部から後方へ延びる左右のフロントサイドフレーム11L,11Rと、これらのフロントサイドフレーム11L,11Rの後端に接合した左右のサイドアウトリガー12L,12Rと、これらのサイドアウトリガー12L,12Rの後部に接合し後方へ延びる左右のサイドシル13L,13Rと、これらのサイドシル13L,13Rの後端に左右の連結部材14L,14Rを介して接合し後方へ延びる左右のリヤサイドフレーム15L,15Rと、これらのリヤサイドフレーム15L,15R間に掛け渡したリヤクロスメンバ16と、を主要構成とする。
【0017】
左右のフロントサイドフレーム11L,11Rは、前端間にバンパビーム17を掛け渡した構成である。左右のサイドシル13L,13R間の間隔は、左右のフロントサイドフレーム11L,11R間の間隔や左右のリヤサイドフレーム15L,15R間の間隔よりも大きい。
このような車体フレーム10は、図示せぬ車室に臨むように中央部分にフロア本体20を一体に備える。フロア本体20は、車室の前部に臨むフロントフロアパネルである。以下、車両用フロア構造について説明する。
【0018】
図2は本発明に係るフロア本体の分解図であり、このフロア本体20は、下の平板21に複数の芯材22・・・(・・・は複数を示す。以下同じ。)を間隔をおいて配置し、この上にもう1枚の平板、すなわち上の平板23を重ねて一体に形成した、中空パネルからなる。
【0019】
図3は本発明に係るフロア本体の平面図であり、フロア本体20が、左右のフロントサイドフレーム11L,11Rの後端と、左右のサイドシル13L,13Rと、左右のリヤサイドフレーム15L,15Rの前端とによって囲まれた平面視四角形の部材であることを示す。なお、この図では上の平板23を想像線で示す。
【0020】
複数の芯材22・・・は板材の折曲げ成形品であって、車幅方向に延びて車体前後方向に配列した複数の横芯材30・・・と、車体前後に延びて車幅方向に配列した複数の縦芯材50・・・とを含んでおり、これらの横芯材30・・・及び縦芯材50・・・を平面視格子状に組合せたものである。
【0021】
複数の横芯材30・・・は、フロア本体20のうち前部の縁の部分の第1横芯材31と、第1横芯材31の後方に一定の間隔をおいて配置した第2横芯材32と、車体長手中央の第3横芯材33と、フロア本体20のうち後部の縁の部分の第4横芯材34と、を含む。
第4横芯材34は、側面断面視で上開放コ字状の開放縁にフランジを形成した、いわゆる「ハット形」断面部材である。
【0022】
複数の縦芯材50・・・は、第1横芯材31と第2横芯材32との間の第1の区画41に介在した18本の縦芯材60・・・と、第2横芯材32と第3横芯材33との間の第2の区画42に介在した15本の縦芯材70・・・と、第3横芯材33と第4横芯材34との間の第3の区画43に介在した13本の縦芯材80・・・と、第4横芯材34内の第4の区画44に介在した10本の縦芯材90・・・と、からなる。
【0023】
第1の区画41の縦芯材60・・・は、第2横芯材32を介して第2の区画42の縦芯材70・・・に接合する。第2の区画42の縦芯材70・・・は、第3横芯材33を介して第3の区画43の縦芯材80に接合する。第3の区画43の縦芯材80・・・は、第4横芯材34を介して第4の区画44の縦芯材90・・・に接合する。
【0024】
第1の区画41の18本の縦芯材60・・・は、左右のフロントサイドフレーム11L,11Rの後端並びにその近傍から後方へ、放射状に延びる芯材である。第1の区画41の縦芯材60・・・の詳細については後述する。
【0025】
第2の区画42の15本の縦芯材70・・・は、車幅中央の1本の第2区第1縦芯材71と、第2区第1縦芯材71に対し車幅方向両側に3本ずつ配置した左右の第2区第2縦芯材72・・・と、左右の第2区第2縦芯材72・・・より車幅方向外寄りに3本ずつ配置した左右の第2区第3縦芯材73・・・と、左右の第2区第3縦芯材73・・・より車幅方向外寄りに1本ずつ配置した左右の第2区第4縦芯材74・・・と、からなる。
左右の第2区第3縦芯材73・・・は、左右のフロントサイドフレーム11L,11Rの後端にほぼ対応する位置にある。
【0026】
第3の区画43の13本の縦芯材80・・・は、第2区第1縦芯材71の後端に連なる第3区第1縦芯材81と、第2区第2縦芯材72・・・の後端に連なる第3区第2縦芯材82・・・と、左3本と右3本の第2区第3縦芯材73・・・のうちそれぞれ中央の1本を除く2本ずつの後端に連なる第3区第3縦芯材83・・・と、第2区第4縦芯材74・・・の後端に連なる第3区第4縦芯材84・・・と、からなる。
【0027】
第4の区画44の10本の縦芯材90・・・は、左3本と右3本の第3区第2縦芯材82・・・のうちそれぞれ内寄り2本ずつの後端に連なる第4区第2縦芯材92・・・と、第3区第3縦芯材83・・・の後端に連なる第4区第3縦芯材93・・・と、第3区第4縦芯材84・・・の後端に連なる第4区第4縦芯材94・・・と、からなる。
第4区第3縦芯材93・・・は、第4横芯材34並びに左右の接合部材101L,101Rを介して左右のリヤサイドフレーム15L,15Rの前端に接合する。
【0028】
ところで複数の芯材22・・・は、左右の第2区第4縦芯材74・・・及び左右の第3区第4縦芯材84・・・から車幅方向の外方へ延びる複数(例えば左右4本ずつ)の第5横芯材(すなわち、連結芯材)35・・・を含む。これらの第5横芯材35・・・は、フロア本体20のうち左右の縁の部分における芯材であり、その先端を左右のサイドシル13L,13Rに接合する。
このようにして、フロア本体20のうち左右の縁の部分における複数の芯材、すなわち第5横芯材35・・・を車体フレーム10に接合することができる。
【0029】
図4は本発明に係るフロア本体の左前部の平面図であり、左のフロントサイドフレーム11Lの後端にフロア本体20の左前部を接合した構成を示す。
左のフロントサイドフレーム11Lの後端は、第1横芯材31に直接接合するとともに平面視三角形状のサポート部材103Lを介して接合したものである。サポート部材103Lは、フロントサイドフレーム11Lが車幅方向へ倒れることを防止するための補強部材の役割と、車体前方からの衝突力が、フロントサイドフレーム11Lからフロア本体20の前部へ作用したときに、衝突力を分散させる分散部材の役割とを果たす。
【0030】
本発明は、フロア本体20のうち前部の縁の部分における複数の芯材、すなわち第1の区画41の縦芯材60・・・を、左のフロントサイドフレーム11Lの後端から直接に又は第1横芯材31を介して間接に後方へ放射状に延びるように配置したことを特徴とする。このようにして、フロア本体20のうち前部の縁の部分における複数の芯材、すなわち縦芯材60・・・を車体フレーム10に接合することができる
【0031】
具体的には、第1の区画41の縦芯材60・・・は、サポート部材103Lの後端から第2区第1縦芯材71の前端へ向って延びる第1区第1縦芯材61と、サポート部材103Lの後端から3本の第2区第2縦芯材72・・・の前端へ向って延びる3本の第1区第2縦芯材62・・・と、フロントサイドフレーム11Lの後端から3本の第2区第3縦芯材73・・・の前端へ向って延びる3本の第1区第3縦芯材63・・・と、左のフロントサイドフレーム11Lの後端から第2区第4縦芯材74の前端へ向って延びる第1区第4縦芯材64と、フロントサイドフレーム11Lの後端近傍から第2横芯材32の左端へ向って延びる第1区第5縦芯材65と、からなる。
【0032】
ところで、左のフロントサイドフレーム11Lの後端にほぼ対応する第2区第3縦芯材73・・・の配列ピッチP1を、第2の区画42の他の縦芯材71,72・・・,74の配列ピッチP2よりも小さく設定した(P1<P2)。しかも、第2区第3縦芯材73・・・の板厚t1を、第2の区画42の他の縦芯材71,72・・・,74の板厚t2よりも大きく設定した(t1>t2)。
【0033】
これに対応して、第1の区画41の縦芯材60・・・のうち、左のフロントサイドフレーム11Lの後端にほぼ対応する第1区第3縦芯材63・・・の配列ピッチを、他の縦芯材61,62・・・,64,65の配列ピッチよりも小さく設定した。しかも、第1区第3縦芯材63・・・の板厚t1を、第1の区画41の他の縦芯材61,62・・・,64,65・・・の板厚t2よりも大きく設定した(t1>t2)。
【0034】
なお、右のフロントサイドフレーム11R(図3参照)の後端とフロア本体20の右前部の接合構成、並びに第1の区画41の縦芯材60・・・、第2の区画42の縦芯材70・・・の構成については、上述した左側と同様であり、説明を省略する。
【0035】
図5は図4の5−5線断面図であり、フロントサイドフレーム11Lの後端とフロア本体20の前部の接合構成を側方から見たものである。
フロントサイドフレーム11Lの高さに対してフロア本体20の高さが小さいので、互いの合せ部分のコーナに側面視三角形状のガセット104Lを当てて接合するとともに、ガセット104Lの下端をガセットサポート部材105Lにて支えるようにした。このようにすることで、フロントサイドフレーム11Lの後端とフロア本体20の前部の接合部分の剛性を、ガセット104L並びにガセットサポート部材105Lにて高めることができる。106Lは当て板である。
なお、ガセット104L、ガセットサポート部材105L、当て板106Lの有無については任意である。
【0036】
図6は図4の6−6線断面図であり、第1区第3縦芯材63が断面視略Z形を呈するようにした、板材の折曲げ成形品であることを示す。第1の区画41の他の縦芯材61,62・・・,64,65(図3参照)についても同様である。
【0037】
図7は図4の7−7線断面図であり、第2区第3縦芯材73が断面視略Z形を呈するようにした、板材の折曲げ成形品であることを示す。上記図3に示す他の縦芯材50・・・や横芯材30・・・についても同様である。
【0038】
図8は本発明に係るフロア本体の正面図であり、フロア本体20の前部に設けた左右のサポート部材103L,103Rの構成を示すとともに、複数のガセット104L,104R・・・及び左右のガセットサポート部材105L,105Rの配置関係を示す。
【0039】
図9(a),(b)は本発明に係るフロア本体の断面構成図であり、(a)はフロア本体20を正面から見た断面構造を示し、(b)は(a)のb部拡大構造を示す。
想像線にて示す左右のサイドシル13L,13Rは略コ字状断面を呈し、且つこれの開口側を車体外方へ臨ませ、その開口端にアウトサイドパネル18L,18Rを接合することで略矩形断面の車体メンバとしたものである。19L,19Rは補強部材である。
【0040】
この図は、フロア本体20は左右の縁の部分で、下の平板21、上の平板23、及び第5横芯材35・・・の先端を左右のサイドシル13L,13Rに接合した構成を示す。
フロア本体20における左右の縁の接合部分は、サイドシル13L,13Rと上下の平板21,23と図表裏に配置した第5横芯材35・・・と第2区第4縦芯材74とによって閉塞された、いわゆるボックス構造である。ボックス構造にすることで、サイドシル13L,13Rに対するフロア本体20の接合強度を大幅に高めることができる。
【0041】
次に、上記構成のフロア本体の作用を図10及び図11に基づき説明する。
図10は本発明に係るフロア本体の作用図(その1)である。
車体前方からの衝突力Ff,Ffは、左右のフロントサイドフレーム11L,11Rからフロア本体20の前部へ作用する。フロア本体20の前部に設けた縦芯材60・・・(符号61〜65で示す複数の芯材)は、後方へ放射状に延びるように配列したものであり、フロア本体20の全体に衝突力Ff,Ffを効率良く分散させることができる。衝突力Ff,Ffはフロントサイドフレーム11L,11Rの後端から後方へ放射状に延びる縦芯材60・・・によって分散されつつ、縦芯材70・・・(符号71〜74で示す縦芯材)を介して他の芯材の全体に伝わる。
【0042】
このようにして、フロア本体20の前部へ作用した衝突力Ff,Ffを、フロア本体20の全体に効率良く分散させることで、フロア本体20の全体で衝突エネルギーを十分に吸収することができる。フロア本体20による衝突エネルギーの吸収性能が高まる。
しかも、フロア本体20の前部に設けた縦芯材60・・・を、左右のフロントサイドフレーム11L,11Rの後端から直接に又は間接に後方へ放射状に延びるように配置したので、左右のフロントサイドフレーム11L,11Rの後端に対するフロア本体20の前部の取付け部分の剛性を十分に確保することができる。
【0043】
さらには、縦芯材60・・・を、左右のフロントサイドフレーム11L,11Rの後端から後方へ、それぞれ放射状に延してある。このため、車幅中心CLから左又は右へ偏心した位置に衝突力Ffが作用した、いわゆるオフセット衝突があった場合には、次のような作用をなす。
【0044】
左へのオフセット衝突があった場合には、衝突力Ffを左のフロントサイドフレーム11Lの後端から縦芯材60・・・を通してフロア本体20の左半部に分散して伝えるとともに、右半部にも分散して伝えることができる。右へのオフセット衝突があった場合にも同様である。従って、オフセット衝突時であっても、フロア本体20の全体で衝突エネルギーを十分に吸収することができる。
【0045】
ところで、左右のフロントサイドフレーム11L,11Rからフロア本体20の前部へ作用する衝突力Ff,Ffは集中荷重である。この集中荷重は、後方へ放射状に延びる縦芯材60・・・によって分散される。しかし、フロントサイドフレーム11L,11Rの後端にほぼ対応する、第1区第3縦芯材63・・・や第2区第3縦芯材73・・・に作用する荷重は、他の縦芯材61,62・・・,64,65・・・,71,72・・・,74に作用する荷重よりも比較的大きくならざるを得ない。
【0046】
これに対して本発明は、上記図4にて説明したように、フロントサイドフレーム11L,11Rの後端にほぼ対応する第1区第3縦芯材63・・・の板厚t1を、他の縦芯材61,62・・・,64,65・・・の板厚t2よりも大きく設定した(t1>t2)。
第1区第3縦芯材63・・・の後端にほぼ対応する第2区第3縦芯材73・・・の板厚t1も、他の縦芯材71,72・・・,74の板厚t2よりも大きく設定した(t1>t2)。しかも、第2区第3縦芯材73・・・の配列ピッチP1を、他の縦芯材71,72・・・,74の配列ピッチP2よりも小さく設定した(P1<P2)。
【0047】
このように、フロントサイドフレーム11L,11Rの後端にほぼ対応する、第1区第3縦芯材63・・・や第2区第3縦芯材73・・・だけの強度を高め、他の芯材の強度についてはそのままにした。フロア本体20の重量増加を抑制しつつ、各芯材の強度をバランス良く設定することができる。従って、フロア本体20の重量増加を抑制しつつ、車体前方からの衝突力Ff,Ffが、左右のフロントサイドフレーム11L,11Rからフロア本体20の前部へ作用したときの、フロア本体20全体の強度を高めることができる。フロア本体20の前部へ作用した衝突力Ff,Ffを、フロア本体20の全体に、より効率良く分散させることができる。
【0048】
図11は本発明に係るフロア本体の作用図(その2)である。
左のサイドシル13L又は右のサイドシル13R(図10参照)の側面に衝突力Fsが作用した、いわゆる側面衝突があった場合には、次のような作用をなす。
【0049】
例えば、車体左側方からの衝突力Fsは、左のサイドシル13Lからフロア本体20の側部へ作用する。フロア本体20のうち左の縁の部分における複数の芯材、すなわち第5横芯材35・・・は、車体前後方向に一定の配列ピッチで配列するとともに、車幅方向の外方へ延び、その先端を左のサイドシル13Lに接合してある。サイドシル13Lからの衝突力Fsは第5横芯材35・・・で分散されつつ、第2区第4縦芯材74や第3区第4縦芯材84を介して他の芯材の全体に伝わる。このため、フロア本体20の全体に衝突力Fsを効率良く分散させることができる。右への側面衝突があった場合にも同様である。
【0050】
従って、側面衝突時であっても、フロア本体20の全体で衝突エネルギーを十分に吸収することができる。フロア本体20による衝突エネルギーの吸収性能が高まる。
しかも、フロア本体20における左右の縁の接合部分は、上記図9にて説明したようにボックス構造であり、サイドシル13L,13Rに対するフロア本体20の接合強度が極めて大きい。従って、衝突力Fsをフロア本体20の全体により効率良く分散させることができる。
【0051】
以上の説明をまとめると、本発明は上記図2及び図3に示すように、平板21に複数の芯材22・・・を間隔をおいて配置し、この上にもう1枚の平板23を重ねて一体に形成した中空パネルによって、フロア本体20を構成し、このフロア本体20のうち縁の部分における複数の芯材を車体フレーム10に接合、すなわち横芯材30・・・の各先端や縦芯材60・・・の各先端を車体フレーム10に直接に又は間接に接合したことを特徴とし、次の(1)〜(4)の作用、効果を有する。
【0052】
(1)上記中空パネルをフロア本体(フロアパネル)20に採用したので、フロア全体の曲げ、ねじり、剪断の全ての剛性及び強度を高めることができる。しかも、フロア本体20のうち、縁の部分における複数の芯材を車体フレーム10に接合したので、フロア本体20全体の剛性は、より高まる。従って、フロア本体20を補強するための別部材からなるフロアフレームを設けることなく、フロア本体20全体の剛性を高めることができる。フロアフレームを排除することで、車体への取付部品(排気系等)のレイアウトの自由度をより高めることができる。
【0053】
(2)衝突力Ff,Fs(図10,図11参照)が車体フレーム10からフロア本体20へ作用したときに、上下の平板21,23間に互いに間隔をおいて配置した複数の芯材22・・・によって、衝突力Ff,Fsをフロア本体20の全体に効率良く分散させることで、フロア本体20の全体で衝突エネルギーを十分に吸収することができる。フロア本体20による衝突エネルギーの吸収性能が高まる。
しかも、衝突力Ff,Fsを複数の芯材22・・・によって分散させるので、フロア本体20の一部だけに過大な応力が集中することはない。
また、複数の芯材22・・・を配置することにより、上下の平板21,23の座屈強度が大幅に向上し、フロア本体20や車室(キャビン)の耐力が向上するとともに、フロントサイドフレーム11L,11Rの変形量が増すのでエネルギー吸収効率が向上する。
【0054】
(3)上記中空パネルをフロア本体20に採用し、フロア本体20に複数の芯材22・・・を配置したことにより、フロア本体20の面剛性が満遍なく向上し、且つ、局部的に振幅大となる部位が存在しなくなる。従って、フロア本体20の振動を、より低減することができる。
【0055】
(4)サイドシル13L,13Rでフロア本体20の枠を兼ねることができるので、別の枠部材を設ける必要はない。このため、フロア本体20を簡略にできるので、車体フレーム10全体の構成を簡単にすることができるとともに、車体フレーム10を軽量にすることができる。
【0056】
図12は本発明に係るフロア本体の変形例図であり、フロア本体20の左前部を上記図4に対応させて示した。変形例における第1の区画41の縦芯材60・・・は、上記図2〜図4に示す縦芯材60・・・と同様に、左のフロントサイドフレーム11Lの後端から直接に又は第1横芯材31を介して間接に後方へ放射状に延びるように配置したものである。
具体的には、変形例は、上記図4に示す第1区第1縦芯材61及び3本の第1区第2縦芯材62・・・の代りに、第1区第1縦芯材161〜165及び1本の第1区第2縦芯材62を配列したことを特徴とする。
【0057】
変形例の第1区第2縦芯材62は、フロントサイドフレーム11Lの後端から、3本の第2区第2縦芯材72・・・のうち左端の1本の前端へ向って延びる芯材である。
第1区第1縦芯材165は、第1区第2縦芯材62と第2区第2縦芯材72との接合部分から、サポート部材103Lのうち車幅中央寄りの後端へ向って延びる芯材である。
【0058】
第1区第1縦芯材164は、第1区第1縦芯材165とサポート部材103Lとの接合部分から、3本の第2区第2縦芯材72・・・のうち中央の1本の前端へ向って延びる芯材である。
第1区第1縦芯材163は、3本の第2区第2縦芯材72・・・のうち中央の1本の前端から、その延長線上に前方の第1横芯材31へ向って延びる芯材である。
【0059】
第1区第1縦芯材162は、第1区第1縦芯材163と第1横芯材31との接合部分から、3本の第2区第2縦芯材72・・・のうち車幅中央寄りの1本の前端へ向って延びる芯材である。
第1区第1縦芯材161は、第1区第1縦芯材163と第1横芯材31との接合部分から、第2区第1縦芯材71の前端へ向って延びる芯材である。
【0060】
このように、変形例の縦芯材60・・・は、比較的短い縦芯材62〜65,161〜165を組合せることで、左のフロントサイドフレーム11Lの後端から後方へ放射状に延び、且つ、第1・第2横芯材31,32間に概ね波形状に配列するように、小さい配列ピッチで配置したものである。
この変形例によれば、上記図4の実施例に比べて、縦芯材60・・・の配列(配列ピッチ等)をより自由に設定することできる。しかも、概ね波形状の配列であるから、左のフロントサイドフレーム11Lの後端からの衝突力を、縦芯材60・・・を通してフロア本体20の全体へ、より効率良く分散させることができる。さらにまた、縦芯材62〜65,161〜165が短くてすむので、これらの縦芯材の強度を確保するのに板厚が小さくてすむ。従って、フロア本体20の軽量化になる。
【0061】
さらには、第2の区画42の縦芯材70・・・の配列ピッチに対応して、第1の区画41の縦芯材60・・・のうち、左のフロントサイドフレーム11Lの後端にほぼ対応する第1区第3縦芯材63・・・の配列ピッチを、他の縦芯材62,64,65,161〜165の配列ピッチよりも小さく設定した。しかも、第1区第3縦芯材63・・・の板厚t1を、他の縦芯材62,64,65,161〜165の板厚t2よりも大きく設定した(t1>t2)。
【0062】
変形例において、右のフロントサイドフレーム11R(図3参照)の後端とフロア本体20の右前部の接合構成、並びに第1の区画41の縦芯材60・・・の構成についても、上述した左側と同様であり、説明を省略する。
【0063】
なお、上記実施の形態において、フロア本体20は、フロントフロアパネルに限定されるものではなく、例えばリヤフロアパネルであってもよい。
また、フロア本体20のうち前部の縁の部分における複数の芯材61〜65は、左右のフロントサイドフレーム11L,11Rの後端から直接に又は間接に後方へ放射状に延びるように配置したものであればよい。
さらにまた、車体フレーム10に対するフロア本体20の接合手法や、フロア本体20の各部材同士の接合手法は任意であり、例えばスポット溶接でもよい。また、フロア本体20の材質は任意であり、例えば上下の平板21,23を鋼板製品とし、芯材22・・・を鋼板の折曲げ成形品や樹脂成形品としてもよい。
また、芯材22・・・の形状、寸法、配列ピッチは任意であり、例えばハニカム状(はちの巣状)であってもよい。
【0067】
発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項は、平板に複数の芯材を間隔をおいて配置しこの上にもう1枚の平板を重ねて一体に形成した中空パネルを、フロア本体に採用したので、フロア全体の曲げ、ねじり、剪断の全ての剛性及び強度を高めることができる。しかも、フロア本体のうち、縁の部分における複数の芯材を車体フレームに接合したので、フロア本体全体の剛性を、より高めることができる。従って、フロア本体を補強するための別部材からなるフロアフレームを設けることなく、フロア本体全体の剛性を高めることができる。フロアフレームを排除することで、車体への取付部品(排気系等)のレイアウトの自由度をより高めることができる。
【0068】
さらに請求項は、フロア本体のうち前部の縁の部分における複数の芯材を、左右のフロントサイドフレームの後端から直接に又は間接に後方へ放射状に延びるように配置したので、車体前方からの衝突力をフロア本体の全体に効率良く分散させることができる。従って、フロア本体の全体で衝突エネルギーを十分に吸収することができる。フロア本体による衝突エネルギーの吸収性能を高めることができる。
【0069】
請求項は、複数の縦芯材のうち、左右のフロントサイドフレームの後端にほぼ対応する縦芯材の配列ピッチを、他の縦芯材の配列ピッチよりも小さく設定したことにより、フロントサイドフレームの後端にほぼ対応する縦芯材だけの強度を高め、他の縦芯材の強度についてはそのままにした。フロア本体の重量増加を抑制しつつ、各縦芯材の強度をバランス良く設定することで、車体前方からの衝突力が、左右のフロントサイドフレームからフロア本体の前部へ作用したときの、フロア本体の全体の強度を高めることができる。
【0070】
請求項は、複数の芯材を板材の折曲げ成形品とし、フロントサイドフレームの後端にほぼ対応する折曲げ成形品だけの板厚を大きくすることで、その折曲げ成形品の強度をより高め、他の縦芯材の強度についてはそのままにした。フロア本体の重量増加を抑制しつつ、各縦芯材の強度をバランス良く設定することで、車体前方からの衝突力が、左右のフロントサイドフレームからフロア本体の前部へ作用したときの、フロア本体の全体の強度を、より高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車体フレームの平面図
【図2】本発明に係るフロア本体の分解図
【図3】本発明に係るフロア本体の平面図
【図4】本発明に係るフロア本体の左前部の平面図
【図5】図4の5−5線断面図
【図6】図4の6−6線断面図
【図7】図4の7−7線断面図
【図8】本発明に係るフロア本体の正面図
【図9】本発明に係るフロア本体の断面構成図
【図10】本発明に係るフロア本体の作用図(その1)
【図11】本発明に係るフロア本体の作用図(その2)
【図12】本発明に係るフロア本体の変形例図
【符号の説明】
10…車体フレーム、11L,11R…フロントサイドフレーム、20…フロア本体(中空パネル)、21…平板(下の平板)、22…複数の芯材、23…もう1枚の平板(上の平板)、30…横芯材、50…縦芯材、63…第1区第3縦芯材、73…第2区第3縦芯材、P1,P2…配列ピッチ、t1,t2…板厚。

Claims (3)

  1. 平板に複数の芯材を間隔をおいて配置し、この上にもう1枚の平板を重ねて一体に形成した、中空パネルからなるフロア本体の前部を、車体前部から後方へ延びる左右のフロントサイドフレームの後端に接合し、前記フロア本体のうち前部の縁の部分における複数の芯材を、前記左右のフロントサイドフレームの後端から直接に又は間接に後方へ放射状に延びるように配置した車両用フロア構造。
  2. 前記複数の芯材は、前後に延びて車幅方向に配列した複数の縦芯材を含んでおり、これら複数の縦芯材のうち、前記左右のフロントサイドフレームの後端にほぼ対応する縦芯材の配列ピッチを、他の縦芯材の配列ピッチよりも小さく設定したことを特徴とする請求項記載の車両用フロア構造。
  3. 前記複数の芯材は板材の折曲げ成形品であり、これらの折曲げ成形品のうち、前記左右のフロントサイドフレームの後端にほぼ対応して前後に延びる折曲げ成形品の板厚を他の折曲げ成形品の板厚よりも大きく設定したことを特徴とする請求項又は請求項記載の車両用フロア構造。
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