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JP4077941B2 - 難燃性有機断熱材 - Google Patents

難燃性有機断熱材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の断熱や結露防止を目的として天井面及び壁面に吹き付け施工又は成型板を張り付け施工をする有機断熱材フォームの組成物及び施工して得られる難燃性の断熱材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の建築物の断熱や結露防止を目的として天井面及び壁面に施工される断熱材には、現場発泡ウレタンフォーム、ポリウレタンフォームを難燃化したポリイソシアヌレートフォーム、変成フェノールフォーム、フェノールウレタンフォームが吹き付け施工されているか、又は工場で成型されるポリウレタンフォーム、ポリウレタンフォームを難燃化したポリイソシアヌレートフォーム、変成フェノールフォーム、フェノールウレタンフォーム、ポリスチレンフォームを張り付け施工されている。
【0003】
これらの断熱材用原料組成物は、イソシアネートとポリオールを主成分としている。イソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下「MDI」という。)、その多核体のポリメリックMDI、又はこれらのMDI化合物とオクチル酸カリウム等の触媒を添加してイソシアヌレート化したものを使用するのが一般的である。ポリオールとしては、一般的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールあるいはその混合物、ポリエステルポリオール等が使用されている。また、反応を促進させるために、アミン化合物が添加されている。これらの原料を用いて、発泡剤と共に反応させると発泡体を形成することができる。しかし、この組成のままで、JIS A 1321の燃焼試験方法で試験すると、着火すると燃焼し続けて、同規格に合格しない。このため、通常、MDI及びそのイソシアネート部をヌレート環化させる触媒を用いたイソシアヌレートフォームやポリオールに難燃性のフェノール樹脂を結合させた樹脂を使用した変成フェノールフォームに、更にリン酸系の難燃剤を添加して、JIS の試験に合格するようにしている。
【0004】
本発明者等は、従来技術によるポリイソシアヌレートフォーム、変成フェノールフォーム及びポリスチレンフォームの加熱による質量減少率を、熱分析装置(DTA:理学製 TAS-200) を用いて測定した。その結果、例えば難燃3級を合格するようなポリイソシアヌレートフォームでも雰囲気温度が 200℃程度になると、熱分解して急激にガスを発生するようになることを見いだした(図1参照;日本建築学会大会学術講演梗概集(関東) p.237-240(1997)、日本建築仕上学会1997年大会学術講演会予稿集 p.273-276 (1997))。
【0005】
更に、本発明者等は、従来技術によるポリイソシアヌレートフォーム、変成フェノールフォーム及びポリスチレンフォームの一定の加熱雰囲気温度における熱分解ガスの種類と発生量を、熱分解ガスクロマトグラフィー/質量分析法(以下「熱分解GC/MS法」という。)で測定した。その結果、 220℃で発生する有機物は、難燃剤として添加されているトリ(2−クロロプロピル)ホスフェート(以下「TMCPP」という;引火点 200℃) 及び発泡剤の1−フルオロ−1,1−ジクロロエタン(以下「HCFC141b」という;爆発範囲 9.0〜15.4%)等であることが分かった。雰囲気温度を 423℃にした実験では、断熱材重量の約60%がガス化して発生したガスのうち、約70%は引火点が 250℃以下、発火点が 600℃以下の可燃性ガスであることを見いだした(図2参照)。
【0006】
更に、本発明者等は、JIS A 1321の難燃性の試験に合格した従来の断熱材を使用して、図3に示すような壁及び天井面を構成した試験体について溶接の火炎を想定した着火源とする火災実験を行った。また、この実験で使用した材料をまとめて、表1に示した。
【0007】
【表1】
Figure 0004077941
【0008】
この実験によって得られた従来技術での有機系断熱材は、次のように燃焼することを見いだした。
1)ポリイソシアヌレートフォームや変成フェノールフォームを壁と天井に吹き付けた場合、燃焼は持続・拡大する。GH3では65秒、HP2では72秒で試験体は全面燃焼した。
2)天井面にポリスチレンフォームを配置した場合、ポリスチレンフォームが燃焼する前に溶融・脱落するため、壁面のポリイソシアヌレートフォームの燃焼拡大はかなり遅くなる。PS0では 170秒で煙層の下面を火炎が走った。
【0009】
3)天井面のポリイソシアヌレートフォームを防火コートで覆った場合、燃焼の持続に伴い防火コートが天井面から剥離・脱落するため、壁面のポリイソシアヌレートフォームの燃焼拡大を初期にある程度遅くする効果しかない。GH3Cでは120 秒で煙層の下面を火炎が走った。
4)天井面に珪酸カルシウム板を配置した場合、火源がなくなると自己消火する。KB1では加熱終了後26秒で自己消火した。
【0010】
以上の現象をまとめると、従来の有機系断熱材は以下に述べる過程を経て、爆発的に燃焼拡大をする。
(1)初めに壁面の断熱材が着火源で加熱され、断熱材が熱分解して発生した可燃性ガスが壁と天井に滞留する。
(2)天井が断熱材で覆われていると(表1のGH3、HP2、PS0、GH3C)、天井付近の雰囲気温度が容易に引火点や発火点以上の高温になる。
【0011】
(3)この天井付近に滞留した可燃性ガスに着火する。
(4)この可燃性ガスによる着火が始まると、天井面に取り付けられた断熱材が燃焼し始め、しかも火炎が煙りの下層を走るようになって、火災が拡大する。
(5)もし、天井に断熱材を覆わない場合(表1のKB1)には、天井温度は 238℃に達しないため、発生した有機ガスが引火することがない。
【0012】
前記(4)で観察された火炎が煙層の下面を走る現象は次のような機構によるものと考えられる。可燃性ガスが燃焼するには燃焼範囲のガス濃度になっていることが必要である。壁や天井面の断熱材の燃焼が持続、拡大し、断熱材から発生するガス量が多くなると、天井付近では可燃性ガスは燃焼範囲よりも高い濃度になる。一方、可燃性ガスを多く含んだ煙層と下部の空気層との境界面では煙層に新鮮空気が巻き込まれるため、煙層の下面付近に可燃性ガスが燃焼可能なガス濃度になる領域ができる。この領域のガス温度が引火点よりも高温になると、壁面からの火炎が着火し煙層の下面を火炎が走るようになる。
【0013】
現在規定されているJIS の方法では、板状の試験体に炎で着火しても、発生したガスは、その上層部に断熱材がないために直ちに冷却されて、系外に排気される。このような試験体と試験装置であるため、発生したガスへの着火による炎の拡大という現象は観察することはできない。このようにJIS の方法は、有機断熱材でしばしば引き起こされる火災を予測する実験には適していないため、JIS A 1321の規格に準じて試験して合格した材料でも、実際に使用すると、着火源の存在で火災を引き起こす可能性がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した従来技術の問題点を解決しようとするものである。即ち、断熱材に着火した初期に、可燃性のガスが発生し、そのガスに着火して火災が拡大するという従来技術による有機断熱材を、可燃性のガスの発生を抑制することにより、より難燃性にして、断熱材に着火した場合の火災の拡大を防止しようとするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、示差熱−熱天秤分析(以下「DTA−TG」という。)法を用いた加熱による質量減少率、熱分解GC/MS法による有機断熱材の加熱生成物の測定、及び図3に示したような実験装置を使用した有機系断熱材の着火炎上機構を実験的に調べた結果、現状の断熱材は、 200℃で既に 230℃未満の引火点を持つ可燃性有機物がガス化して発生し、このガスに引火して火災が拡大することを突き止めた。本発明はこの実験によって発見された事実に基づいてなされたものである。
【0016】
即ち、本願第1の発明は、建築物の天井面及び壁面に施工する有機材料系の断熱材用原料組成物において、この断熱材用原料組成物を施工して得られる断熱材を 210℃以下の温度で加熱した場合に、その添加物が分解又は蒸発して発生したガス状有機物が、 230℃以上の引火点又は発火点を有するか、あるいはこのガス状有機物と空気とを混合しても爆発範囲が存在しない添加物を含有してなる断熱材用原料組成物である。
【0017】
本願第1の発明の断熱材用原料組成物は、当該組成物を施工して得られる断熱材を 210℃以下の温度、例えば 120〜210 ℃で加熱した場合に、その添加物が分解又は蒸発して発生したガス状有機物が、 230℃以上、例えば 230〜320 ℃の引火点又は発火点を有するか、あるいはこのガス状有機物と空気とを混合しても爆発範囲が存在しない添加物を含有してなることを特徴とする。
【0018】
本願第1の発明において、「分解又は蒸発して発生したガス状有機物が、 230℃以上の引火点又は発火点を有する添加物」としては、例えばリン酸トリキシレニルが挙げられる。「ガス状有機物と空気とを混合しても爆発範囲が存在しない添加物」としては、例えば1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)が挙げられる。
【0019】
イソシアネートとポリオールを主成分とする組成物においては、イソシアネート100重量部に対して3重量部以上配合される添加物を前述した「その添加物が分解又は蒸発して発生したガス状有機物が、 230℃以上の引火点又は発火点を有するか、あるいはこのガス状有機物と空気とを混合しても爆発範囲が存在しない添加物」とすることが好ましい。
【0020】
本願第1の発明の断熱材用原料組成物は、好ましくは、イソシアネート100重量部に対し、ポリオール90〜110量部、好ましくは95〜105重量部、反応促進剤0.5〜3重量部、好ましくは1〜2重量部、発泡剤20〜40重量部、好ましくは25〜35重量部、整泡剤0.5〜3重量部、好ましくは1〜2重量部及び難燃剤5〜30重量部、好ましくは5〜20重量部を含有する。また、必要に応じて、水等を添加してもよい。
【0021】
イソシアネートとしては、例えばピュアMDI、その多核体のポリメリックMDI、又はこれらのMDI化合物とオクチル酸カリウム等の触媒を添加してイソシアヌレート化したものが挙げられる。ポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールあるいはその混合物、ポリエステルポリオールが挙げられる。反応促進剤としては、好ましくはアミン化合物、例えばトリエチレンジアミン、テトラメチルブタンジアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンが挙げられる。発泡剤としては、例えばHFC−245faが挙げられる。整泡剤としては、例えばポリオール変成シリコーンが主体であり、 210℃以下で蒸発しないものが挙げられる。難燃剤としては、例えば非ハロゲンリン酸エステル、非ハロゲン縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル、含リン酸ポリオールが挙げられる。
【0022】
本願第1の発明の断熱材用原料組成物を使用して施工した断熱材では、火災初期の小規模な着火源の加熱によって、断熱材組成物に含まれる 230℃未満の引火点を持つガス状有機物が発生しないので、炎が拡大しないために、自然消火する。
これに対し、従来の組成物を使用した断熱材では、火災初期の小規模な着火源によって、引火点 230℃未満のガス状有機物が発生し、このガス状有機物が燃焼濃度に蓄積される間は、天井面の断熱材によって 230℃以上に保温され、着火源に引火して燃えだし、天井面の断熱材を加熱して、可燃性ガスを発生させて、火災を拡大する。
【0023】
本願第2の発明は、前記本願第1の発明において、添加物が、引火点及び/又は発火点が 230℃以上である、非ハロゲンリン酸エステル、非ハロゲン縮合リン酸エステル及び含ハロゲン縮合リン酸エステルから選ばれる少なくとも一種の難燃剤である断熱材用原料組成物である。
非ハロゲンリン酸エステルとしては、例えばリン酸トリクレシル、リン酸クレシルフェニル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリキシレニルが挙げられる。非ハロゲン縮合リン酸エステルとしては、例えば芳香族縮合リン酸エステル(例えばリン酸トリフェニル、リン酸トリキシレニルの縮合体)が挙げられる。含ハロゲン縮合リン酸エステルとしては、例えばリン酸トリスジクロロプロピルの縮合体が挙げられる。これらの難燃剤の使用量は、イソシアネート 100重量部に対して、通常5〜30重量部、好ましくは5〜20重量部である。
【0024】
従来技術で使用されている難燃剤、例えばTMCPPは引火点が 200℃以下であり、火災の初期の小さな炎の段階でTMCPPが発生すると、このガス状のTMCPPに引火して、火災が拡大する。本願第2の発明で用いる難燃剤は引火点が高いため、火災初期の断熱材表面の温度では、たとえ発生しても、引火して火災を拡大することはない。
【0025】
本願第3の発明は、前記本願第1の発明において、添加物が、イソシアネートと反応するポリオールの一部がリン酸とエステル結合した含リン酸ポリオールであり、かつその引火点及び/又は発火点が 230℃以上の難燃剤である断熱材用原料組成物である。本願第3の発明で用いる含リン酸ポリオールとしては、ポリオールの結合の一部にリン酸エステル結合を導入したものが挙げられる。
本願第3の発明では、難燃剤をイソシアネートと反応させて高分子鎖の中に固定化して、火災初期の温度では、もはやガス状で発生することがないようにすることによって、難燃剤の着火による火災拡大を防止するものである。
【0026】
本願第4の発明では、前記本願第3又は第4の発明で用いる難燃剤に、更に水和金属化合物を組み合わせて使用する。水和金属化合物としては、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二水石膏(CaSO4・2H2O)が挙げられる。水和金属化合物の使用量は、イソシアネート 100重量部に対して、通常10〜60重量部程度である。
【0027】
従来は、このような水和金属化合物を組み合わせて用いても、難燃剤自体が揮発性で、かつ、引火点が低いために着火して延焼するため、水和金属化合物の効果を発揮することができなかった。本願第4の発明においては、水和金属化合物が加熱によって水を発生することによる難燃効果と、当該発明で使用する難燃剤が不揮発性で、かつ、引火点が高いこととが相まって、より難燃性の有機系断熱材を提供することができる。
【0028】
本願第5の発明は、前記本願第1の発明において、添加物が、引火点、発火点及び爆発範囲が存在しない発泡剤である断熱材用原料組成物である。
現在使用されている発泡剤のHCFC141bは、爆発限界 9.0〜15.4%であり、加熱によって発生した発泡剤が部分的にもこの濃度範囲になると、引火して爆燃を起こす。本発明では、HFC−245faのように、それ自身が燃えない上、引火点もない物質を発泡剤として使用することによって、従来の断熱材で引き起こされた発泡剤による爆燃を回避することができる。
【0029】
本願第6の発明は、前記本願第1の発明において、本願第2の発明で用いる難燃剤、本願第3の発明で用いる難燃剤、水和金属化合物及び本願第5の発明で用いる発泡剤を含有してなる断熱材用原料組成物である。
本願第7の発明は、前記本願第1〜第6の発明のいずれかの断熱材用原料組成物を使用して得られる有機材料系の断熱材であって、建設現場内で施工させる際に発泡施工する、ポリウレタンフォーム断熱材、ポリイソシアヌレートフォーム断熱材もしくは変成フェノールフォーム断熱材、又は工場で発泡成形後板状に切断されたポリウレタンフォーム断熱材、ポリイソシアヌレートフォーム断熱材もしくは変成フェノールフォーム断熱材である。
【0030】
本発明の断熱材は、イソシアネートとポリオール類、イソシアヌレートとポリオール類、イソシアネートとフェノール変成ポリオール等を、引火点が 230℃以上の添加剤を使用した組成物を発泡したものであり、火災の拡大がないという点で、特に優れている。
これに対して、従来の断熱材では、難燃剤や発泡剤が 200℃程度で揮発し、かつ、引火点が 230℃未満であるため、工事現場での着火源によって、火災になる事例が多かった。
【0031】
本願第8の発明は、本願第7の発明の断熱材が施工されていることを特徴とする建築部位である。
本願第8の発明に従って、断熱材が施工された部位は、新設工事、あるいは、施工後数年経過した後の改修工事で、この部位周辺に着火源があっても、火災にならないという利点がある。
【0032】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
(断熱材用原料組成物及びその発泡体の成形)
以下の実施例及び比較例において、イソシアネートは、三井化学(株)製のポリメリックMDIを使用した。ポリオールは、三井化学(株)製のポリエステルポリオール(商品名:ハイプレン)を使用した。反応促進剤のアミン化合物は、東ソー製のトリエチレンジアミンを使用した。発泡剤は、セントラルガラス(株)製のHFC−245faを使用した。整泡剤は、東レシリコーン(株)製のポリオール変成シリコーン(商品名:SH−193)を使用した。難燃剤のリン酸エステルは、大八化学(株)製の芳香族縮合リン酸エステルCR−747、含リン酸ポリオールは、分子量1000前後、リン酸化率5〜10%のものを使用した。水和金属化合物は、昭和電工(株)製の水酸化アルミニウムを使用した。 これらの原料を、表2の実験番号の欄に記載した量を使用して、各種の断熱材用原料組成物を調合した。この組成物を使用して、 300×300 ×30(厚)(mm)の発泡体と、図3に示した寸法の燃焼性確認実験の試験体とを成形した。
【0033】
(発泡体の加熱減量の測定及び燃焼性の実験)
加熱による断熱材の質量減少率は、熱分析装置(DTA:理学製 TAS-200) を用いて測定した。試料質量は6〜10mgとし、昇温速度6℃/分で、温度を25〜500 ℃まで上昇させて測定した。雰囲気ガスには窒素(N2) ガスを用いた。
次に、JIS A 1321の規定による試験は、表面試験測定装置を使用して実施した。
【0034】
更に、有機材料を用いた断熱材の燃焼性確認実験は、図3に示した寸法の試験体を作製して行った。即ち、 900×1800×450mm の木製箱の内側に厚さ5mmの珪酸カルシウム板を張り、壁面及び天井面に表2に示した各種断熱材を配置した。試験体の長手方向の片側面(正面)には観察のために厚さ5mmのアクリル板を取り付け、着火位置の反対側の側壁を下から 250mm開けた構造とした。加熱は炎長さを 120mmに調整したガストーチバーナを壁面隅角下部から 100mm離れた位置に仰角60°で設置し、20秒間着炎した。
【0035】
(実施例1)
表2の実施例1(実験番号1)はイソシアヌレートフォーム用の組成物であり、区分の欄に示した各種の材料を、実験番号1の欄に記載した量を使用して、本発明の断熱材用原料組成物を調合した。この場合には、発泡剤には不燃性のHFC−245faを、また、難燃剤には引火点 240℃のリン酸エステルを使用した。この組成物を使用して、 300×300 ×30(厚)(mm)の発泡体と、図3に示した寸法の燃焼性確認実験の試験体とを成形した。
【0036】
前者の成形体から5mgを取り出し、DTA−TG装置によって、 200℃までの累計減量と 400℃までの累計減量とを測定し、その値を元の成形体の重量に対するパーセント(%)で示した。この結果から、 200℃での加熱による重量減少率は、 5.8%であり、また、 400℃での重量減少率は、32%であった。更に、前者の成形体について、 JISに準じて燃焼性試験を実施したところ、合格と判定された。
【0037】
一方、図3に示した寸法に成形した試験体を使用して、前記の方法で燃焼性確認実験を行った。断熱材に対して規定の位置に設置したガストーチバーナを20秒間着炎した後、バーナをとめ、その後の断熱材の燃焼状態を観察した。その結果、本実施例の試料では、断熱材を燃焼していた炎は、バーナを消した後、自然消火した。
【0038】
(実施例2)
実施例1に対して、実施例2では、難燃剤に含リン酸ポリオールを使用した。DTA−TG装置による加熱減量は 200℃までで 3.5%であり、また、 400℃までで40%であった。また、JIS A 1321による燃焼性試験にも合格した。更に、図3に示した試験体を燃焼確認実験に掛けたが、バーナを消した後、自然消火した。
【0039】
(実施例3)
実施例2に対して、実施例3では、難燃剤に含リン酸ポリオールと水和金属化合物を使用した。本実施例においては、更に顕著な効果が得られ、バーナによる着火も少なく、かつ、バーナを消火すると、断熱材の火はすぐに消火した。
【0040】
(比較例1〜3)
表2の比較例1(実験番号4)は、実施例1(実験番号1)に対比するための実験例である。比較例1では、発泡剤にテトラフルオロメタン(以下「R−14」という。)(引火点なし、爆発限界なし)を使用し、難燃剤のリン酸エステルは使用しなかった。この場合には、当然のことながら、JIS に規定の難燃性試験に不合格であった。また、燃焼性確認試験では、バーナを消火した後にも燃焼し続けて延焼し、更に爆発的に燃焼した。
【0041】
表2の比較例2は、比較例1に対して、従来の難燃剤であるTMCPPを使用した事例である。この場合には、JIS A 1321に規定の難燃性試験には合格した。しかし、難燃性確認試験では、バーナを消しても、断熱材は燃焼し続けて延焼した。
表2の比較例3は、実施例3に対するものである。難燃剤には、TMCPPと水和金属化合物とを使用した。この場合にも、JIS A 1321に規定の難燃性試験には合格した。しかし、難燃性確認試験では、バーナを消しても、断熱材は燃焼し続けて延焼した。
【0042】
【表2】
Figure 0004077941
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、断熱材に着火した初期に、可燃性ガスが発生し、そのガスに着火して火災が拡大するという従来技術による有機断熱材を、可燃性ガスの発生を抑制することにより、より難燃性にして、断熱材に着火した場合の火災の拡大を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】DTA−TG法による有機発泡体の測定結果を示す図である。
【図2】熱分解GC/MS法による有機断熱材から発生するガスの分析結果を示す図である。
【図3】火災実験の試験体(壁及び天井面に有機発泡体をとりつけてある)を示す図である。
【図4】図3に示す試験体の着火後の天井付近温度と時間の関係(加熱位置直上)を示す図である。

Claims (8)

  1. 建築物の天井面及び壁面に施工する有機材料系の断熱材用発泡体原料組成物において、この断熱材用発泡体原料組成物を施工して得られる断熱材用発泡体を210℃以下の温度で加熱した場合に、難燃剤として添加された添加物が分解又は蒸発して発生したガス状有機物が、230℃以上の引火を有し、かつ発泡剤として添加された添加物が分解又は蒸発して発生したガス状有機物には、引火点がなく空気混合しても爆発範囲ない添加物を含有してなる断熱材用発泡体原料組成物。
  2. 難燃剤が、引火が230℃以上である、非ハロゲンリン酸エステル、非ハロゲン縮合リン酸エステル及び含ハロゲン縮合リン酸エステルから選ばれる少なくとも一種の難燃剤である請求項1記載の断熱材用発泡体原料組成物。
  3. 難燃剤が、イソシアネートと反応するポリオールの一部がリン酸とエステル結合した含リン酸ポリオールであり、かつその引火が230℃以上の難燃剤である請求項1記載の断熱材用発泡体原料組成物。
  4. 更に、水和金属化合物を含有する請求項2又は3記載の断熱材用発泡体原料組成物。
  5. 発泡剤が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンである請求項1記載の断熱材用発泡体原料組成物。
  6. 請求項2記載の難燃剤、請求項3記載の難燃剤及び水和金属化合を含有してなる請求項1記載の断熱材用発泡体原料組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の断熱材用発泡体原料組成物を使用して得られる有機材料系の断熱材であって、建設現場内で施工させる際に発泡施工する、ポリウレタンフォーム断熱材、ポリイソシアヌレートフォーム断熱材もしくは変成フェノールフォーム断熱材、又は工場で発泡成形後板状に切断されたポリウレタンフォーム断熱材、ポリイソシアヌレートフォーム断熱材もしくは変成フェノールフォーム断熱材。
  8. 請求項7記載の断熱材が施工されていることを特徴とする建築部位。
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