JP4058579B2 - 有機金属錯体を用いたガス吸着材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なカルボン酸金属錯体及びその製造方法に関し、詳しくは、メタンを主成分とするガスの吸蔵材として好適なカルボン酸金属錯体、特にその結晶、及びその製造方法に関する。本発明は、ガス吸蔵材、ガス貯蔵方法及びガス貯蔵装置に関し、詳しくは、メタンを主成分とするガスを貯蔵するために好適なガス吸蔵材、ガス貯蔵方法及びガス貯蔵装置に関する。さらに、本発明は、ガス自動車に関し、詳しくは、メタンを主成分とするガスから駆動力を得るガス自動車に関する。
【0002】
さらに、本発明は、吸着式ガス貯蔵タンク及びLNG貯蔵装置に関する。
【0003】
【従来の技術】
従来、メタンを主成分とするガスの貯蔵にあたっては、吸蔵材として主に活性炭を使用することが提案されている。しかしながら、活性炭を使用する場合は、体積当たりのガスの吸着量が少ない。体積当たりのガスの吸着量を上げるために、活性炭を成型して吸蔵材とした場合においても、その吸着量の向上には限界があった。比表面積が大きく、比較的体積当たりのガス吸着能が高いもの(高比表面積活性炭)もあるが、これらは、その価格が高い。ガスの吸着、脱離状況について考察すると、活性炭の場合は、細孔径が様々であるため、ガスの吸着、脱離を繰り返すと、吸着、脱離性能が一定せず、繰り返し特性が悪いという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、安価であるとともに体積当たりのガス吸着能が高く、繰り返し特性の良好なガスの貯蔵技術を提供するとともに、ガスの貯蔵を簡便に行えるガス貯蔵装置、さらには、こういった特性を備えたガス自動車を得ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような課題を解決するために鋭意研究を遂行し、特定のカルボン酸金属錯体がガス吸蔵材、特にメタンを主成分とするガスの吸蔵材として好適であることを見出し、本発明を完成した。本発明は、以下のカルボン酸金属錯体(結晶)及びその製造方法、ガス吸蔵材、ガス貯蔵方法及びガス貯蔵装置、ガス自動車、吸着式ガス貯蔵タンク及びLNG貯蔵装置に係る。
項1. 化学式(1)
【0006】
【化3】
【0007】
〔式中、Rは水素原子、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級ハロアルキル基、OH、NH2、CN、炭素数1〜4のモノ低級アルキルアミノ基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、ハロゲン原子、置換されていてもよいフェニル基を示す。nは1〜5の整数を示す。〕
で表されるカルボン酸から選択される少なくとも1種の化合物と、銅、ロジウム、クロム、モリブデン、パラジウム及びタングステンから選択される少なくとも1種の金属と、前記金属に2座配位可能な有機配位子を含むカルボン酸金属錯体。
項2. チャンネル構造を有する項1に記載のカルボン酸金属錯体。
項3. 化学式(1)
【0008】
【化4】
【0009】
〔式中、Rおよびnは前記に定義された通りである。〕
で表されるカルボン酸から選択される少なくとも1種の化合物と、銅塩、ロジウム塩、クロム塩、モリブデン塩、パラジウム塩及びタングステン塩から選択される少なくとも1種の金属塩を有機溶媒に溶解して混合し、次いで該金属に2座配位可能な有機配位子と反応させ、カルボン酸金属錯体を析出させることを特徴とするカルボン酸金属錯体の製造法。
項4. 金属塩が酢酸塩、ギ酸塩、硫酸塩、硝酸塩及び炭酸塩から選択される1種以上である項3に記載のカルボン酸金属錯体の製造方法。
項5. 項1又は2に記載のカルボン酸金属錯体からなるガス吸蔵材。
項6. 項1又は2に記載のカルボン酸金属錯体を加圧成型してなるガス吸蔵材。
項7. 項5又は6に記載のガス吸蔵材に、加圧条件下で、メタンを主成分とするガスを吸着して貯蔵するガス貯蔵方法。
項8. 貯蔵対象のガスが出入り可能な出入口(5a)、(5b)と容器内のガスを加圧状態で保持可能な保持機構(6)とを備え、且つ常温に温度維持可能な圧力容器(4)を備えたガス貯蔵装置であって、前記圧力容器(4)内に項5又は6に記載のガス吸蔵材(8)を備え、メタンを主成分とするガスを貯蔵対象とするガス貯蔵装置。
項9. 項8に記載のガス貯蔵装置(1)を備え、ガス貯蔵装置(1)から供給されるメタンを主成分とするガスから駆動力を得る内燃機関(3)を備えたガス自動車。
項10. 項5又は6に記載のガス吸蔵材を含むことを特徴とする吸着式ガス貯蔵タンク。
項11. LNGタンクと吸着式充填タンクを安全弁を介して連設し、LNGタンクの圧力が所定値以上に高くなった場合に、一定量の蒸発ガス(BOG)が吸着式充填タンクに充填されるようにしてなるLNG貯蔵装置。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において、二座配位子としては、ピラジン、4,4’−ビピリジル、トランス−1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン、4,4’−アゾピリジン、4,4’−ビピリジルエタン、4,4’−ビスピリジルフェニレン、N−(4−ピリジル)イソニコチンアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種が使用できる。
【0011】
本発明のカルボン酸金属錯体結晶の空隙(細孔)の大きさは約5〜14Åであるため、分子の大きさが約14Å以下、特に6〜14Å程度の化合物はカルボン酸金属錯体結晶が析出する際に結晶内に取り込まれることができる。本発明のカルボン酸金属錯体結晶は、テンプレートとして作用する化合物として、例えば、6員環、特にベンゼン環を有する化合物、具体的にはトルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族化合物を含有することができる。
【0012】
化学式(1)の錯体において、置換基を有していてもよいフェニル基の置換基としては、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級ハロアルキル基、OH、NH2、CN、炭素数1〜4のモノ低級アルキルアミノ基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、ハロゲン原子、フェニル基が挙げられ、該置換基は、1〜5個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個、特に1個である。
【0013】
nは1〜5の整数、好ましくは1〜3の整数、より好ましくは1又は2、特に1である。
【0014】
炭素数1〜4の低級アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル及びsec−ブチルからなる群から選ばれる。
【0015】
炭素数1〜4の低級ハロアルキル基としては、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、クロロエチルなどが挙げられる。
【0016】
炭素数1〜4の低級アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ及びsec−ブトキシからなる群から選ばれる。
【0017】
ハロゲン原子としては、F、Cl、Br、Iが挙げられる。
【0018】
炭素数1〜4のモノ低級アルキルアミノ基は、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、イソブチルアミノ及びsec−ブチルアミノからなる群から選ばれる。
【0019】
本発明の好ましいカルボン酸としては、安息香酸、トルイル酸、サリチル酸、ビフェニルカルボン酸である。
カルボン酸金属錯体の製造
化学式(1)の芳香族カルボン酸と金属塩より生成する金属錯体の有機溶液と二座配位可能な有機配位子を含有する溶液を混合することにより、目的のガス吸着材であるカルボン酸金属錯体を製造することができる。得られた混合液を例えば数時間〜数日攪拌し、遠心分離により沈殿物を集め、メタノールにより洗浄後、100℃で5時間真空乾燥することにより、カルボン酸金属錯体の結晶を製造することができる。
【0020】
カルボン酸の濃度は、0.05〜0.6mol/l、好ましくは0.1〜0.5mol/lである。
【0021】
金属塩としては、ロジウム塩、銅塩、モリブデン塩、クロム塩、パラジウム塩及びタングステン塩から選択される金属塩を使用することができる。また、これらの金属塩としては、酢酸塩、ギ酸塩等の有機酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩等の無機酸塩を使用することができる。金属塩の濃度は、前記芳香族カルボン酸の1/2〜1/8モルであり、0.006〜0.3mol/l好ましくは0.02〜0.25mol/lである。
【0022】
二座配位可能な配位子の濃度としては、前記芳香族カルボン酸と金属塩より生成する金属錯体に対して1〜2モル、好ましくは1.3〜1.7モルである。
【0023】
溶媒としては、芳香族カルボン酸と金属塩より生成する金属錯体及び二座配位可能な有機配位子を溶解しやすく、目的物であるカルボン酸金属錯体を溶解しにくい有機溶媒を使用することができる。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ヘキサン、アセトン、ジエチレングリコールジメチルエーテル又はこれらの混合溶媒を使用することできる。
【0024】
前記合成の反応温度は、0〜200℃程度であり、また、目的物を得るための前記生成物と二座配位可能な配位子との反応は、−20〜50℃で進行する。
ガス吸蔵材
カルボン酸金属錯体(特に、チャンネル構造を有する結晶)はガス(例えば、メタンを主成分とするガス)を吸着することができるので、ガス吸蔵材として使用することができる。カルボン酸金属錯体の結晶における細孔径は、構造上一定しているため、特定のガス(例えば、メタン)以外のガス成分を吸着したまま脱着しにくくなり、繰り返し性能が劣化するといった問題も発生しにくい。
【0025】
一次元のチャンネル構造を有するカルボン酸金属錯体の結晶は、そのチャンネルにメタンを主成分とするガスを吸着することができる。この事実は、今般、本発明者らが新たに見出した事項であり、本発明によれば、カルボン酸金属錯体の結晶が有する特性をガスの貯蔵に有効に利用することができる。
【0026】
一次元のチャンネル構造を有するカルボン酸金属錯体の結晶は、チャンネルの大きさにより、吸着するガスに対する選択性が異なるので、カルボン酸金属錯体(特に、そのカルボン酸)の種類を選択することにより、ガスの特性に合致した吸蔵材とすることができる。
【0027】
カルボン酸金属錯体の結晶を成型(特に、圧縮成型)することにより、比較的嵩密度の高いガス吸蔵材とすることができる。ガス吸蔵材の嵩密度を高くすることにより、体積当たりのガスの吸着量を大きく増大することができ、ガス貯蔵性能の点からも好ましい。カルボン酸金属錯体の結晶を成型することにより、その成型密度を高くするとともに、その吸着能を高くすることができ、単位体積当たりのガス吸蔵能を、例えば、活性炭より格段に高いものとすることができる。
ガス貯蔵方法
本発明のガス吸蔵材を、加圧条件下で、貯蔵の対象となるガス(例えば、メタンを主成分とするガス)を接触させることにより、吸着し、貯蔵することができる。この貯蔵は、ガスがガス吸蔵材を構成するカルボン酸金属錯体の結晶の一次元チャンネル内に吸着される構成となり、常温以上(例えば、5℃以上)でも可能である。ガスを吸着したガス吸蔵材のガス圧(貯蔵容器内の圧力)を減圧することにより又は吸蔵材を加熱することにより、吸着したガスを脱着(放出)させることができる。
【0028】
メタンを主成分とするガスとしては、天然ガスが挙げられ、天然ガスには通常メタンが88〜99%程度含まれている。メタン以外の天然ガス成分としては、エタン、プロパン、ブタン等が挙げられる。
ガス貯蔵装置
本発明のガス貯蔵装置においては、圧力容器内に本発明のガス吸蔵材(カルボン酸金属錯体の結晶(特に、チャンネル構造を有する結晶)又は該結晶を圧縮成型したもの)を備えるので、吸蔵材が収納されている圧力容器内に、その出入口からメタンを主成分とするガスを圧入することにより、ガス吸蔵材に吸着させた状態で貯蔵することができる。本発明のガス貯蔵装置においては、例えば、出口側に備えられる弁を開放し、圧力容器内の内圧を低下させることにより、ガスをガス吸蔵材(カルボン酸金属錯体の結晶)から脱着させ、貯蔵装置から放出させることができる。
ガス自動車
図2に、本発明のガス貯蔵装置を備えたガス自動車2の概略構成を示す。ガス自動車2は、燃料タンク1として本発明のガス貯蔵装置を備えるとともに、燃料タンク1から、タンク内に貯蔵される天然ガスを得て、燃焼用酸素含有ガス(例えば空気)と混合して、その燃焼により走行駆動力を得る内燃機関としてのエンジン3を備えている。
【0029】
燃料タンク1は、いわゆる圧力容器4を備えて構成されるとともに、貯蔵対象のガスが出入り可能な出入口として一対の出口5aと入口5bとを備え、容器4内のガスを加圧状態に維持可能な気密保持機構を構成する一対の弁6を、出口5a及び入口5bそれぞれに備えている。燃料である天然ガスは、ガスステーション7において、加圧状態で、燃料タンク1に充填される。燃料タンク1には、本発明のガス吸蔵材8が内装されており、ガス吸蔵材8が天然ガス(メタンを主成分とするガスの一例)を常温、加圧状態で吸着する。
【0030】
燃料タンク1は、通常、常温状態であり、特に冷却されたりすることはなく、気温が上昇する例えば夏場においては、比較的温度が高くなる。本発明のガス吸蔵材(カルボン酸金属錯体の結晶)は、このような条件下において、即ち、比較的高温(25〜60℃程度)の温度域においても、その吸着能が高く、有効な使用が図れる。
【0031】
出口側の弁6を開放することにより、吸着状態にあるガスをガス吸蔵材8から脱着させることができる。脱着したガスをエンジン3側に送って燃焼させることにより、走行駆動力を得ることができる。
吸着式ガス貯蔵タンク
従来のガス貯蔵タンク内に、本発明のガス吸蔵材を入れることにより、タンクの単位体積当たりのガス貯蔵量を増大することができる。
LNG貯蔵装置
従来のLNGタンクに、本発明の吸着材を備えた吸着式充填タンクを接続し、これらのタンクの間に安全弁を設けることにより、LNGタンクの圧力が所定圧力(例えば1〜9kg/cm2)以上になった場合に、安全弁を介して蒸発ガス(BOG)が吸着式充填タンクに流れ込み、LNGタンクの内圧を設定値以内に保つことができる。
【0032】
【発明の効果】
本発明のカルボン酸金属錯体(結晶)はガス吸蔵材として有用である。本発明のカルボン酸金属錯体(特に、カルボン酸銅錯体)は安価であるため、経済的なメリットが大きい。本発明のカルボン酸金属錯体(結晶)の合成過程は比較的簡便である。本発明の製造方法によれば、ガス吸蔵材として優れた特性を有するカルボン酸金属錯体(結晶)を、効率よく(即ち、比較的簡便に且つ安価に)製造することができる。本発明の製造方法によれば、常温でカルボン酸金属(錯体)を製造することができる。
【0033】
本発明のガス吸蔵材は、メタンを主成分とするガスの貯蔵において、体積当たりの吸着量が多く、繰り返し特性が良い。本発明のガス吸蔵材によれば、常温条件下の加圧状態でガス(特に、メタンを主成分とするガス)を貯蔵することができる。本発明のガスの貯蔵方法によれば、メタンを主成分とするガスを、効率よく吸蔵することができる。本発明のガス貯蔵装置は、容積当たりのガス貯蔵能が高い。本発明のガス貯蔵装置によれば、本発明の吸蔵材の常温、加圧下におけるメタン吸着能を利用して、比較的小さい容積中に有効にガスを貯蔵することができる。
【0034】
本発明のガス自動車は、容積当たりのガス貯蔵能が高いガス貯蔵装置を備えているので、構造上使用しやすい。
【0035】
本発明のガス貯蔵タンクは、単位体積当たりのガス貯蔵量が大きい。
【0036】
本発明のLNG貯蔵装置は、LNGタンクの温度が上昇した場合にも、LNGが吸着式充填タンクに貯蔵され、LNGタンクの圧力を許容範囲内に収めることができる。
【0037】
【実施例】
(1)カルボン酸金属錯体の合成
実施例1
<Cu(OOCC6H5)2の合成>
Cu(CH3COO)2・H2O(2.00g)と、安息香酸(2.47g)をナスフラスコに入れ、約50mlのエタノールに溶解し、室温にて数日放置した。析出した固体を吸引濾過後、エタノールで洗浄し、真空下100℃で約2時間加熱乾燥し、緑色の目的物を得た。
<Cu2(OOCC6H5)4(ピラジン)の合成>
Cu(OOCC6H5)2(500mg)とピラジン140mgを100mlのナスフラスコに入れ、約20mlのメタノールに溶解し、室温で数日間放置した。その後吸引濾過により沈殿を集め、メタノールで3回洗浄し、真空下100℃で約2時間加熱乾燥し、目的物であるガス吸着材を緑青色粉末結晶として得た(収率90%)。
【0038】
この結晶の粉末X線、磁化率及び元素分析結果により、図1に示すようなカルボン酸銅の二核構造をピラジンで架橋した一次元鎖を形成し、さらにベンゼン環同士がπ−πスタックすることにより、3次元構造を形成していることを確認した。この分子内空間に、ガスを貯蔵することが可能となる。
実施例2
<Cu(o−OOCC6H4OH)2の合成>
Cu(CH3COO)2・H2O(2.00g)と、サリチル酸(2.80g)をナスフラスコに入れ、約50mlのエタノールに溶解し、室温にて数日放置した。析出した固体を吸引濾過後、エタノールで洗浄し、真空下100℃で約2時間加熱乾燥し、緑色の目的物を得た。
<Cu2(o−OOCC6H4OH)4(ピラジン)の合成>
Cu(o−OOCC6H4OH)2(548mg)とピラジン140mgを100mlのナスフラスコに入れ、約20mlのメタノールに溶解し、室温で数日間放置した。その後吸引濾過により沈殿を集め、メタノールで3回洗浄し、真空下100℃で約2時間加熱乾燥し、目的物であるガス吸着材を緑色粉末結晶として得た(収率70%)。
【0039】
この結晶の粉末X線、磁化率及び元素分析結果により、図1に示すようなカルボン酸銅の二核構造をピラジンで架橋した一次元鎖を形成し、さらにベンゼン環同士がπ−πスタックすることにより、3次元構造を形成していることを確認した。この分子内空間に、ガスを貯蔵することが可能となる。
実施例3
<Cu(p−OOCC6H4CH3)2の合成>
Cu(CH3COO)2・H2O(2.00g)と、p−トルイル酸(2.76g)をナスフラスコに入れ、約50mlのエタノールに溶解し、室温にて数日放置した。析出した固体を吸引濾過後、エタノールで洗浄し、真空下100℃で約2時間加熱乾燥し、緑色の目的物を得た。
<Cu2(p−OOCC6H4CH3)4(ピラジン)の合成>
Cu(p−OOCC6H4CH3)2(542mg)とピラジン140mgを100mlのナスフラスコに入れ、約20mlのメタノールに溶解し、室温で数日間放置した。その後吸引濾過により沈殿を集め、メタノールで3回洗浄し、真空下100℃で約2時間加熱乾燥し、目的物であるガス吸着材を緑色粉末結晶として得た(収率87%)。
【0040】
この結晶の粉末X線、磁化率及び元素分析結果により、図1に示すようなカルボン酸銅の二核構造をピラジンで架橋した一次元鎖を形成し、さらにベンゼン環同士がπ−πスタックすることにより、3次元構造を形成していることを確認した。この分子内空間に、ガスを貯蔵することが可能となる。
実施例4
<Rh(OOCC6H5)2の合成>
Rh(CH3COO)4・H2O(0.5g)と、安息香酸(1.0g)を30mlオートクレーブに入れ、約20mlのジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)に溶解し、200℃で2時間攪拌した後溶媒を留去した。得られた黄緑色の粗結晶をアセトンにて再結晶させ、吸引濾過後、真空下100℃で約2時間加熱乾燥し、目的物を得た。
<Rh2(OOCC6H5)2(ピラジン)の合成>
Rh(OOCC6H5)2(200mg)を50mlのナスフラスコに入れ、約20mlのアセトンに溶解した。この溶液にピラジン34mgを加え、室温で10時間攪拌した。その後吸引濾過により沈殿を集め、メタノールで3回洗浄し、真空下100℃で約2時間加熱乾燥し、目的物であるガス吸着材を黄土色粉末結晶として得た(収率91%)。
【0041】
この結晶の粉末X線、磁化率及び元素分析結果により、図1に示すようなカルボン酸銅の二核構造をピラジンで架橋した一次元鎖を形成し、さらにベンゼン環同士がπ−πスタックすることにより、3次元構造を形成していることを確認した。この分子内空間に、ガスを貯蔵することが可能となる。
試験例1
ガス貯蔵能力の測定
マイクロ天秤を用いた重量法により、上記実施例1〜4で得られた錯体について、メタン吸着能力を測定した。
【0042】
実験条件は、
使用ガス:メタン(純度99.99%)
温度:25℃
時間:平行に達するまで(数秒)
にて行った。結果を図3に示す。
【0043】
この結果より、本錯体は、メタン吸着性能を有することがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カルボン酸金属錯体の結晶の予想される二次元構造を示す概略図
【図2】ガス自動車の該略図
【図3】実施例のガス吸蔵材のガス吸着能(吸着等温線)を示すグラフ
Claims (11)
- 安息香酸、ロジウム、及びピラジンを含むカルボン酸金属錯体。
- チャンネル構造を有する請求項1に記載のカルボン酸金属錯体。
- 安息香酸と、ロジウム塩を有機溶媒に溶解して混合し、次いでピラジンと反応させ、カルボン酸金属錯体を析出させることを特徴とするカルボン酸金属錯体の製造法。
- ロジウム塩が酢酸塩、ギ酸塩、硫酸塩、硝酸塩及び炭酸塩から選択される1種以上である請求項3に記載のカルボン酸金属錯体の製造方法。
- 請求項1又は2に記載のカルボン酸金属錯体からなるガス吸蔵材。
- 請求項1又は2に記載のカルボン酸金属錯体を加圧成型してなるガス吸蔵材。
- 請求項5又は6に記載のガス吸蔵材に、加圧条件下で、メタンを主成分とするガスを吸着して貯蔵するガス貯蔵方法。
- 貯蔵対象のガスが出入り可能な出入口(5a)、(5b)と容器内のガスを加圧状態で保持可能な保持機構(6)とを備え、且つ常温に温度維持可能な圧力容器(4)を備えたガス貯蔵装置であって、前記圧力容器(4)内に請求項5又は6に記載のガス吸蔵材(8)を備え、メタンを主成分とするガスを貯蔵対象とするガス貯蔵装置。
- 請求項8に記載のガス貯蔵装置(1)を備え、ガス貯蔵装置(1)から供給されるメタンを主成分とするガスから駆動力を得る内燃機関(3)を備えたガス自動車。
- 請求項5又は6に記載のガス吸蔵材を含むことを特徴とする吸着式ガス貯蔵タンク。
- LNGタンクと請求項10に記載の吸着式ガス貯蔵タンクを安全弁を介して連設し、LNGタンクの圧力が所定値以上に高くなった場合に、一定量の蒸発ガス(BOG)が吸着式ガス貯蔵タンクに充填されるようにしてなるLNG貯蔵装置。
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