JP4049875B2 - へッドレスト用表皮及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表皮一体成形によりへッドレストの発泡成形体を被覆するへッドレスト用表皮及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車などのシートバック上部に取付けられるへッドレストを造る方法の一つに、複数の表皮片を縫合して袋状の表皮とし、この表皮を発泡型内に配置してインサートを挿着後、該表皮内に発泡原料を注入し表皮一体成形を図る製法がある。この製法は、後から発泡成形体に表皮を被着する作業が不要になるばかりか、表皮と発泡成形体が一体になっているため、表皮が発泡成形体から浮き上がらず、シワ等を発生させない長所をもつ。
前記表皮片1には、図7のごとく、意匠面に布地を出し高級感を呈すべく、ファブリック表皮1aにウレタン発泡シート1b,ポリウレタンフィルム1cを一体的に重ね合せたシート材が通常用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ただ、表皮片1に前述のようなシート材を用いた場合、発泡原料を表皮1内に注入し表皮一体成形により得られるへッドレストは、表皮片同士をつないでいる縫合部分が硬くなる難点があった。ファブリック表皮1a及びウレタン発泡シート1bは浸透性を有し(図7の矢印)、縫い代12に発泡原料が含浸して硬くなってしまうのである。
斯る不具合を改善するのに、例えば特開平2−55110号公報技術が提案されている。しかし、該開示技術はポリウレタンフィルムに粘着剤を付けて、これを前記縫合部分に貼着する方法を採っているために、ポリウレタンフィルムの粘着テープコストが高く、さらに、粘着テープを縫合部分に貼っていかねばならず、作業工数を結構かけなければならない問題があった。
【0004】
本発明は上記問題点を解決するもので、表皮一体成形により縫合部分が硬くなっていた欠点を簡便に解消することのできるへッドレスト用表皮及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の本発明の要旨は、複数の表皮片(1)を縫合して袋状とし、表皮一体成形によりへッドレストの発泡成形体(5)を被覆するへッドレスト用表皮(A)において、 表皮片(1)の周縁(11)同士が重ね合わされ、その重ね合わせ部(G)には、周縁(11)を含めて縫い代部分(12)をラップする帯状フィルムのみからなるフィルム(2)と、周縁(11)に沿って両表皮片(1)と共に前記フィルム(2)を本縫い又はオーバーロック縫いで一緒に縫合する縫目ライン(3)と、を具備することを特徴とするへッドレスト用表皮にある。
請求項2に記載の本発明の要旨は、複数の表皮片(1)を縫合して袋状とし、表皮一体成形によりへッドレストの発泡成形体(5)を被覆するへッドレスト用表皮(A)の製造方法において、各表皮片(1)の周縁(11)同士を重ね合わせ、次いで、その重ね合わせ部(G)に周縁(11)を含めて帯状フィルムのみからなるフィルム(2)を被せ、その後、周縁(11)に沿って前記重ね合せ部(G)と共に該フィルム(2)を本縫い又はオーバーロック縫いで縫合し袋状とし、該フィルム(2)で縫い代(12)を覆着したことを特徴とするへッドレスト用表皮の製造方法にある。
【0006】
請求項1,2の発明のごとく、フィルムによって縫い代部分が覆着されると、発泡成形時に発泡原料が縫い代部分に浸透しようとしてもフィルムに遮られるので、発泡原料の含浸による硬化をなくす。発泡成形時に発泡原料が縫い代部分に浸透しようとしても、表皮片周縁を含めて縫い代部分を覆うフィルムに遮られるので、従来の縫合部分が硬くなる問題は解消される。単にフィルムで縫い代部分を覆った後、フィルムと一緒に両表皮片を縫合するだけで済むので、その対策は極めて簡単なものとなる。縫目ラインは両表皮片を袋状表皮に仕立てるために必要であり、その前にフィルムで縫い代部分をラップする作業を付加するだけで足りる。
【0007】
【実施形態】
以下、本発明に係るへッドレスト用表皮及びその製造方法の実施形態について詳述する。
(1)実施形態1
図1,図2は本発明のへッドレスト用表皮及びその製造方法の一形態で、図1はへッドレスト用表皮の部分断面図、図2は該表皮にインサートを組込んだ断面図である。枕形へッドレスト用表皮に適用したものである。
【0008】
▲1▼へッドレスト用表皮
本へッドレスト用表皮Aは、袋状にした表皮内にインサート4をセット後、表皮内に発泡原料5aを注入し、発泡成形体5(以下、単に「発泡体」という。)がインサート4を埋設した袋状表皮と一体成形される一体成形タイプの表皮である(図2)。該表皮Aは、所定形状に裁断された複数の表皮片1と、フィルム2と、隣り合う各表皮片1の周縁11を重ね合わせ、表皮片1と共に前記フィルム2を縫合する縫目ライン3と、を具備する(図1)。
【0009】
表皮片1は枕形へッドレスト用表皮Aを構成するシート状体で、この表皮片1を縫合すれば、枕形へッドレスト用表皮の立体形状となる。各表皮片1の周縁11には、縫合のための縫い代12(余裕しろ)が形成される。
表皮片1として、ここでは図1のような三層構造のものを採用する。ファブリック表皮1aにウレタン発泡シート1b(ウレタンスラブともいう。)、ポリウレタンフィルム1cを一体的に重ね合わせたものである。ファブリック表皮1aが意匠面になって装飾効果を高め、ウレタン発泡シート1bが触った時の感触を良くし、また、ウレタンフィルム1cは発泡成形時に発泡原料5aが表皮裏面側からウレタン発泡シート1bを通ってファブリック表皮外へしみ出すのを防止している。
本発明は図1のような三層構造の表皮片1に勿論限ることなく、表皮片として、他にファブリック表皮にソリッドのポリウレタンフィルムを裏打ちしたものや、また、アクリル,ポリアミド等の合成繊維をパイル糸とし、綿,レーヨン等を地経にしたカットパイル織物などを用いることができる。カットパイル織物には、パイル織物のパイル抜け防止の目的で樹脂コーテイングが通常施される。
【0010】
フィルム2は,帯状フィルムからなり、隣り合う各表皮片1の周縁11を重ね合わせた後に、表皮片周縁11を含めて縫い代部分12をラップできる帯幅をもつフィルムとなっている。フィルム2は、粘着剤を付与したポリウレタンフィルムではなく、単なるポリウレタンフィルムで構成される。
フィルム2を図1のような横断面U字状にして、縫い代部分12を被うことになるが、発泡原料注入口uは当然除かれる。フィルム2には、縫目ライン3を形成した時、これより外側に出る余裕しろ21が設けられる。
【0011】
縫目ライン3は、周縁同士が重ね合わされた表皮片1と、表皮片周縁11を含めて縫い代部分12をラップするフィルム2と、を一緒に縫糸31で縫い上げたラインである(図5参照)。両表皮片1と共にこれに被せたフィルム2を表皮片周縁11に沿って縫合して縫目ライン3を形成する。
縫目ライン3の縫目形式は、図1,図2では模式的に表現するが、本実施形態では本縫いで1本針・2本糸を採用する。
尚、図2で符号15は発泡原料注入治具用舌片、符号16はステー孔を示す。
【0012】
▲2▼へッドレスト用表皮の製造方法
上記へッドレスト用表皮Aは以下のごとくの製法によって造られる。
製造に先立ち、該表皮Aが平面展開してできる複数の表皮片1と帯状のフィルム2を準備する。表皮片1が縫合される箇所には一定必要量の縫い代12が予め補われている。
そうして、枕形の立体形状に縫製していくのであるが、まず、隣り合う各表皮片1の周縁11,11同士を重ね合わせる。次いで、この重ね合わせ部Gの縫い代部分12に帯状フィルム2を周縁11を含めて横断面U字状に被せていく。フィルム2の被せた状態を保持するため、適宜クリップ等で止められる。
【0013】
その後、ミシンを使って、表皮片周縁11に沿って重ね合わせ部Gと共にフィルム2を縫合し袋状とする。各表皮片1も同様の作業を遂行することにより、最終的に枕形の表皮へもっていく。重ね合わせ部Gと共にフィルム2を縫合することで、縫い代部分12はフィルム2に覆着された格好になる。尚、縫合ライン3からはみ出すフィルム2の余裕しろ21は、必要に応じハサミ等を用いて適当にトリミングされる。
この段階の表皮Aは、まだ裏返し状態にあり(図5参照)、最後に原料発泡注入口uを利用してひっくり返すことにより、図2のような所望のへッドレスト用表皮が出来上がる。これにインサート4を挿着し、発泡原料5aを注入して発泡成形を行えば、発泡体5を表皮Aが一体的に覆着するへッドレスト製品となる。
【0014】
(2)実施形態2
▲1▼へッドレスト用表皮
本へッドレスト用表皮Aは図4〜図6のごとくの表皮である。前記縫目ライン3は、その断面を拡大して見ると、図3のように針孔32に縫糸31が通っており、両者に隙間ξがみられる。該隙間が存在するために、表皮内cに発泡原料5aを注入して発泡成形を行うと、前記隙間ξからファブリック表皮外へ発泡原料5aが染み出すケースがある。
従来のへッドレストにおいては、針孔32と縫糸31の隙間ξからしみ出す場合の対策は講じられていなかった。本実施形態では、縫い代部分12のみならずこの対策も施したへッドレスト用表皮Aとなっている。
【0015】
本へッドレスト用表皮Aも、実施形態1と同様、複数の表皮片1と、フィルム2と、隣り合う各表皮片1の周縁11を重ね合わせ、両表皮片1と共に前記フィルム2を縫合する縫目ライン3と、を具備する。
フィルム2は、実施形態1より幅広の帯状フィルム2とする。表皮片周縁11を含めて重ね合わせ部Gをフィルム2でラップするにあたって、図4のごとく一方(図4の左側)を二つ折りにしている。
そして、縫目ライン3をつくる縫目形式としてオーバーロック縫いを用いる。図4,図5では縫目ライン3を模式的に表現するが、本実施形態では縁かがり縫いすそ引1本針・3本糸を採用する。本出願人は、オーバーロック縫いが、針孔32を通っての発泡原料5aの漏れを効果的に防止するのを見出している。
【0016】
図6のごとく縫糸31が一重となる紙面奥の方のフィルム2を二つ折りの方にして縫合する。手前の方は縫糸31a〜31cで二重となり隙間ξができ難く、発泡成形時に針孔32を通って外へ漏出しずらくなっている。これに対し、縫糸31a,31bで一重となる紙面奥の側は、針孔32を通って発泡原料5aの漏出を抑え切れない場合が予測される。これを回避するために、縫糸31が一重となる側に、二つ折りのフィルム2を配している。
すなわち、本実施形態は、周縁同士を重ね合わせた表皮片1のその重ね合わせ部Gに、片方を二つ折りしたフィルム2で覆い、両表皮片1がこのフィルム2と一緒にオーバロック縫いで縫合された縫目ライン3を形成する。そして、フィルム2の二つ折り部分に縫糸31が一重となる側を配し、縫目ライン3を形成してへッドレスト用表皮Aを造る。尚、図5で、符号17は発泡原料注入用の治具袋を示す。
他の構成は実施形態1と同様で、その説明を省略する。実施形態1と同一符号はそれと同一または相当部分を示す。
【0017】
▲2▼へッドレスト用表皮の製造方法
へッドレスト用表皮の製法は、実施形態1で、重ね合わせ部Gに帯状フィルム2を周縁11を含めて横断面U字状に被せていくところで、重ね合わせ部Gの片方の側にはフィルム2の二つ折り部分を配する。勿論、重ね合わせ部Gに帯状フィルム2を横断面U字状に被せた後、片方の重ね合わせ部Gのフィルム2を二つ折りに折り曲げてもよい。その後、フィルム2の二つ折り部分に縫糸31が一重となる側を配して縫目ライン3を形成する。
他の構成は実施形態1と基本的に同じで、その説明を省く。
【0018】
(3)効果
このように構成したへッドレスト用表皮Aは、発泡成形時に発泡原料5aが縫い代部分12に浸透しようとしても、表皮片周縁11を含めて縫い代部分12を覆うフィルム2に遮られるので、従来の縫合部分が硬くなる問題は解消される。
本実施形態では、単にフィルム2で縫い代部分12を覆った後、フィルム2と一緒に両表皮片1を縫合するだけで済むので、その対策は極めて簡単なものとなる。縫目ライン3は両表皮片1を袋状表皮に仕立てるために必要工程であり、その前にフィルム2で縫い代部分12をラップする作業を付加するだけで足りる。ウレタン粘着テープを貼るという作業工数や高価なウレタン粘着テープを用いることなく、簡便にして発泡原料5aによる含浸硬化を有効に防止できる。
また、実施形態2のごとく、縫目ライン3がオーバーロック縫いで形成されると、発泡成形時、発泡原料5aの発泡圧が作用しても縫目の縫糸31にかかる張力が分散され縫目は開き難くなる。その結果、針孔32と縫糸31との隙間ξから発泡原料5aが表皮外へしみ出す不具合も防止できる。縫目ライン3をオーバロック縫いで形成し、さらに縫糸31が一重となる側に二つ折りのフィルム2を配すると、発泡原料5aが針孔32を通って一層漏出しづらくなり、発泡原料の隙間ξからのしみ出しをより完璧に防止する。
【0019】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。表皮片1,フィルム2,縫目ライン3等の形状,大きさ,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。
【0020】
【発明の効果】
以上のごとく、本発明のへッドレスト用表皮及びその製造方法は、簡単な構成ながら縫合部分が硬くなる従来の難点を解決し、優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1におけるへッドレスト用表皮の部分断面図である。
【図2】へッドレスト用表皮にインサートを組込んだ断面図である。
【図3】縫糸周りの部分拡大断面図である。
【図4】実施形態2におけるへッドレスト用表皮の断面図である。
【図5】裏返し状態にあるへッドレスト用表皮の斜視図である。
【図6】縫目ライン周りの拡大斜視図である。
【図7】従来技術の説明断面図である。
【符号の説明】
1 表皮片
11 周縁
12 縫い代部分(縫い代)
2 フィルム
3 縫目ライン
5 発泡成形体
A へッドレスト用表皮
G 重ね合わせ部
Claims (2)
- 複数の表皮片(1)を縫合して袋状とし、表皮一体成形によりへッドレストの発泡成形体(5)を被覆するへッドレスト用表皮(A)において、
表皮片(1)の周縁(11)同士が重ね合わされ、その重ね合わせ部(G)には、周縁(11)を含めて縫い代部分(12)をラップする帯状フィルムのみからなるフィルム(2)と、周縁(11)に沿って両表皮片(1)と共に前記フィルム(2)を本縫い又はオーバーロック縫いで一緒に縫合する縫目ライン(3)と、を具備することを特徴とするへッドレスト用表皮。 - 複数の表皮片(1)を縫合して袋状とし、表皮一体成形によりへッドレストの発泡成形体(5)を被覆するへッドレスト用表皮(A)の製造方法において、
各表皮片(1)の周縁(11)同士を重ね合わせ、次いで、その重ね合わせ部(G)に周縁(11)を含めて帯状フィルムのみからなるフィルム(2)を被せ、その後、周縁(11)に沿って前記重ね合せ部(G)と共に該フィルム(2)を本縫い又はオーバーロック縫いで縫合し袋状とし、該フィルム(2)で縫い代(12)を覆着したことを特徴とするへッドレスト用表皮の製造方法。
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