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JP3910069B2 - 水性下塗り材組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、主に建造物等の外装材の下塗り材として使用される水性下塗り材組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
建造物等の外装材の下塗り材としては、基材や旧塗膜との密着性等の点から、従来、塩素化ポリオレフィン系樹脂を主樹脂として用い、これを有機溶媒に溶解させたものが広く用いられてきたが、大気汚染等の環境問題や塗布作業者の健康問題の観点から、脱塩素タイプかつ水性型のものの開発が進められてきている。
【0003】
特開平5−247376号公報には、水性媒体中にエチレン性不飽和カルボン酸と特定鎖長の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ビニル芳香族化合物、ハロゲン化ビニル、飽和カルボン酸ビニルエステル、(メタ)アクリロニトリル、エチレン、ブタジエンからなる群より選ばれた単量体とその他の単量体によって得られる共重合体を、アルカリおよび/または有機溶剤を添加することにより、その特定量を可溶させた水性下塗り材が開示されている。
【0004】
また、特開平11−222567号公報には、カルボニル基含有ラジカル重合性ビニル系モノマー、カルボキシル基含有ラジカル重合性ビニル系モノマー、水酸基含有ラジカル重合性モノマーおよびその他のラジカル重合性モノマーからなるビニル系水性重合体と架橋剤とを含有してなる水性硬化型シーラーが開示されている。
【0005】
しかしながら、塩素化ポリオレフィン系樹脂を用いた有機溶剤型下塗り塗料から得られる下塗り塗膜と比較して、いずれも基材や旧塗膜に対する密着性が不充分であった。また、塗膜形成直後の耐水性(以下「初期耐水性」という。)が不充分になるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、塩素化ポリオレフィン系樹脂を用いることなく、基材および旧塗膜との密着性に優れた水性下塗り材組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アセトアセトキシ基含有不飽和モノマーおよびカルボン酸基含有不飽和モノマーを含んだモノマー混合物を乳化重合して得られるエマルション樹脂と、親水化変性ポリカルボジイミド化合物とを含む水性下塗り材組成物であって、上記親水化変性ポリカルボジイミド化合物は、カルボジイミドユニットとポリオールユニットとがウレタン結合を介して交互に繰り返して連続的に存在しており、かつ、分子両末端が親水性ユニットであって、上記親水性ユニットがウレタン結合を介して上記カルボジイミドユニットに結合している構造を有するものであり、かつ、上記エマルション樹脂のカルボン酸基に対する上記親水化変性ポリカルボジイミド化合物のカルボジイミド基のモル比が1以下であることを特徴とする水性下塗り材組成物である。
【0008】
ここで、例えば、モノマー混合物中のアセトアセトキシ基含有不飽和モノマーは1〜10重量%である。
【0009】
さらに、モノマー混合物の酸価は2〜30であることが好ましく、また、エマルション樹脂のカルボン酸基と親水化変性ポリカルボジイミド化合物のカルボジイミド基とのモル比は0.1〜1.2であることが好ましい。また、カルボジイミドユニットおよびポリオールユニットの繰り返し回数が、1〜10であることが好ましい。
【0010】
ここで、例えば、カルボジイミドユニットが、1分子中にイソシアネート基を少なくとも2個含有するポリカルボジイミド化合物(a)からイソシアネート基を除いたものであり、かつ、ポリオールユニットが、1分子中に水酸基を少なくとも2個含有するポリオール(b)から活性水素を除いたものであり、および、親水性ユニットが活性水素および親水性部分を有するモノアルコキシポリアルキレングリコールのような親水化剤(c)から活性水素を除いたものである。さらに、モノアルコキシポリアルキレングリコールの炭素数は4〜20であることが好ましい。
【0011】
また、エマルション樹脂のガラス転移温度は−10〜50℃であることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の水性下塗り材組成物は、アセトアセトキシ基含有不飽和モノマーおよびカルボン酸基含有不飽和モノマーを含んだモノマー混合物を乳化重合して得られるエマルション樹脂を含んでいる。上記アセトアセトキシ基は基材および旧塗膜と水素結合を形成して密着性を向上させ、カルボン酸基によって硬化反応に寄与すると考えられる。
【0013】
このようなアセトアセトキシ基含有不飽和モノマーとしては、例えば、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシアリルエステル等を挙げることができる。これらは2種類以上併用してもよい。好ましいものとしてはアセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートである。上記モノマー混合物中の上記アセトアセトキシ基含有不飽和モノマーの含有量は下限1重量%、上限10重量%であることが好ましく、下限2重量%、上限8重量%であることがさらに好ましい。上記含有量が1重量%未満であると密着性向上の効果が不充分になり、10重量%を超えると乳化重合性が低下したり、得られる塗膜の初期耐水性が低下したりする恐れがある。
【0014】
上記カルボン酸基含有不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等を挙げることができる。これらは2種類以上併用してもよい。上記カルボン酸基含有不飽和モノマーを含んだモノマー混合物の酸価は下限10、上限30であることが好ましく、上限20であることがさらに好ましい。上記酸価が10未満であると水性下塗り材組成物の貯蔵安定性が低下し、30を超えると得られる塗膜の初期耐水性が低下する恐れがある。
【0015】
上記モノマー混合物は、上記アセトアセトキシ基含有不飽和モノマーおよびカルボン酸基含有不飽和モノマー以外のその他の不飽和モノマーを含むことができる。上記その他の不飽和モノマーとしては特に限定されず、例えば、ダイアセトン(メタ)アクリレート、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクロレイン、ホルミルスチロール、(メタ)アクリルアミドピバリンアルデヒド、アセトニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートアセチルアセテート、ビニルアルキルケトン等の、両末端がヘテロ原子と結合しているカルボニル基含有不飽和モノマー、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和モノマー、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル不飽和モノマー、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニルモノマー、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系モノマー等を挙げることができる。これらは2種類以上併用してもよい。
【0016】
上記エマルション樹脂は、上記モノマー混合物を乳化重合することによって得ることができる。上記乳化重合は特に限定されず、例えば、乳化剤存在下における水中で行うことができる。上記乳化剤としては特に限定されず、 オレイン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム等のアニオン性乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー等のノニオン性乳化剤、および、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸アンモニウム、(メタ)アクリロイルポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル等の反応性乳化剤を挙げることができる。これらは2種類以上併用してもよい。
【0017】
上記乳化重合における重合開始剤としては特に限定されず、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、パーオキシエステル類等の過酸化物等の水溶性のものを挙げることができる。また、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、L−アスコルビン酸等の還元剤と上記過酸化物とを併用してもよい。
【0018】
また、分子量調整のために必要に応じてn−ドデシルメルカプタン等の連鎖移動剤を使用してもよい。
【0019】
上記乳化重合によって得られるエマルション樹脂のガラス転移温度(Tg)は下限−10℃、上限50℃であることが好ましく、下限0℃、上限40℃であることがさらに好ましい。−10℃未満であると得られる塗膜の凝集力が低く、基材および旧塗膜に対する密着性が低下し、50℃を超えるとエマルション樹脂の造膜性が低下する恐れがある。なお、上記Tgは上記モノマー混合物中の各不飽和モノマーのホモポリマーのTgと組成比とから計算によって求めることができる。
【0020】
このようにして得られるエマルション樹脂の体積平均粒子径は、例えば、約0.05〜約0.5μmである。体積平均粒子径の測定方法は特に限定されず、光散乱法等当業者によってよく知られている方法を挙げることができる。
【0021】
上記エマルション樹脂はアセトアセトキシ基を有しているので密着性の向上効果があると考えられ、また、カルボン酸基を有しているので、後述の親水化変性ポリカルボジイミド化合物との硬化により高い塗膜性能を有する硬化塗膜を形成することができると考えられる。
【0022】
また、本発明の水性下塗り材組成物は、親水化変性ポリカルボジイミド化合物を含んでいる。上記親水化変性ポリカルボジイミド化合物は、カルボジイミドユニットとポリオールユニットとがウレタン結合を介して交互に繰り返して連続的に存在しており、かつ、分子両末端が親水性ユニットであって、上記親水性ユニットがウレタン結合を介して上記カルボジイミドユニットに結合している構造を有するものである。
【0023】
上記カルボジイミドユニットとは、1分子中にイソシアネート基を少なくとも2個含有するポリカルボジイミド化合物(a)からイソシアネート基を除いたものであり、−(−N=C=N−R1−)n−で表される単位をいう。ここで、R1は飽和であっても不飽和であっても、また、窒素原子および/または酸素原子を含んでいてもよい炭化水素基、nは重合度であり、2〜20の自然数である。
【0024】
上記ポリカルボジイミド化合物(a)は、例えば、カルボジイミド化触媒存在下において、有機ジイソシアネートを、脱二酸化炭素を伴う縮合反応させることによって得ることができる。上記カルボジイミド化触媒としては特に限定されず、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド等のホスホレンオキシド系のものを挙げることができる。また、有機ジイソシアネートとしては特に限定されず、芳香族系、脂肪族系および脂環族系のものを挙げることができるが、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環族系のものが好ましい。
【0025】
上記ポリオールユニットとは、1分子中に水酸基を少なくとも2個含有するポリオール(b)から活性水素を除いたものである。このようなものとしては、例えば、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール等を挙げることができる。
【0026】
上記親水化変性ポリカルボジイミド化合物は、上記カルボジイミドユニットおよび上記ポリオールユニットは、−NHCO−で表されるウレタン結合を介して交互に繰り返し連続して存在している。上記繰り返し回数としては、特に限定されないが、反応効率の観点から、1〜10であることが好ましい。
【0027】
上記親水化変性ポリカルボジイミド化合物は、その分子両末端が親水性ユニットであって、上記親水性ユニットが上記ウレタン結合を介して上記カルボジイミドユニットに結合している。上記親水性ユニットは、活性水素および親水性部分を有する親水化剤(c)から活性水素を除いたものである。ここで、親水化剤(c)は、得られる塗膜の耐水性の観点から、モノアルコキシポリアルキレングリコールであることが好ましく、そのアルコキシ基の炭素数は4〜20であることがより好ましく、8〜12であることがさらに好ましい。
【0028】
上記親水化変性ポリカルボジイミド化合物の製造方法としては、例えば、上記ポリカルボジイミド化合物(a)と上記ポリオール(b)とを、上記ポリカルボジイミド化合物(a)のイソシアネート基のモル量が上記ポリオール(b)の水酸基のモル量を上回る比率で反応させて得られた反応生成物に、上記親水化剤(c)を反応させる方法を挙げることができる。
【0029】
本発明の水性下塗り材組成物は上記エマルション樹脂のカルボン酸基と上記親水化変性ポリカルボジイミド化合物のカルボジイミド基とのモル比は下限0.1、上限1.2である。1.2を超えると塗料の貯蔵安定性が低下し、0.1未満であると硬化反応が充分に進行しないため、得られる塗膜の密着性および初期耐水性が不充分になる恐れがある。なお、下限0.2、上限1.0であることが好ましい。
【0030】
本発明の水性下塗り材組成物は、上記成分の他必要に応じて、さらに、有機溶媒、着色成分、可塑剤、充填材、粘性調整剤、消泡剤、分散剤、紫外線防止剤、光安定剤、防腐剤等を添加ことができる。
【0031】
本発明の水性下塗り材組成物は、上記成分をディスパーやボールミル等、当業者によってよく知られた機器を用いて撹拌混合することによって得ることができる。
【0032】
本発明の水性下塗り材組成物は、基材に対して、塗布して放置することによって下塗り塗膜を得ることができる。上記基材としては、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム等およびその表面処理物の金属系、セメント類、石灰類、石膏類等のセメント系、ポリ塩化ビニル類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、アクリル類等のプラスチック系等のものをあげることができ、また、これらの被塗装表面が下地調整されたり、旧塗膜を有したりしていてもよい。また、上記塗布は、例えば、塗布量300g/m2にて、ハケ、スプレー、ローラー等によって行うことができる。このようにして得られた塗膜は基材に対して優れた密着性を有している。
【0033】
【実施例】
製造例1 親水化変性ポリカルボジイミド化合物の製造
4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート700部をカルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)14部と共に180℃で16時間反応させ、イソシアネート末端4,4−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド(カルボジイミド基の含有量4当量)を得た。次いで、得られたカルボジイミド226.8部を90℃加熱下でN−メチルピロリドン106.7部に溶解させた。次に、ポリプロピレングリコール(数平均分子量2000)200部を40℃で10分間撹拌後、ジブチル錫ジラウレート0.16部を加え、再度90℃まで昇温し、3時間反応させた。さらに、オキシエチレン単位を8個有するポリ(オキシエチレン)モノ−2−エチルヘキシルエーテル96.4部を加え100℃で5時間反応させた後、イオン交換水678.1部を50℃で加え、樹脂固形分40重量%の親水化変性ポリカルボジイミド化合物の水分散体を得た。
【0034】
製造例2 エマルション樹脂の製造
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に脱イオン水68.5重量部、レベノールWZ(花王社製ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム)1重量部を仕込み、80℃まで昇温して保持した後、10%濃度に溶解した過硫酸アンモニウム水溶液1重量部を添加した。
【0035】
続いて、この溶液中に、スチレン66.0重量部、2−エチルヘキシルアクリレート28.5重量部、アクリル酸3.5重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2.0重量部、アセトアセトキシエチルメタクリレート8.5重量部、n−ドデシルメルカプタン0.85重量部、レベノールWZ8重量部および脱イオン水49.4重量部からなるモノマー混合物および2%濃度に溶解した過硫酸アンモニウム水溶液10重量部を並行して3時間かけて滴下した。反応容器内を80℃に保持したまま5時間撹拌を続けた。その後、室温まで冷却して25%アンモニア水2重量部およびジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート17重量部を添加して充分撹拌し、酸価15、固形分56重量%および体積平均粒子径0.12μmのエマルション樹脂を得た。なお、モノマー混合物の計算ガラス転移温度は0℃であった。
【0036】
実施例1
製造例1で得られたエマルション樹脂100重量部、造膜助剤8重量部、二酸化チタン14重量部、炭酸カルシウム97重量部、無機繊維8重量部、増粘剤1.6重量部および添加剤7.4重量部を混合した後、上記エマルション樹脂中のカルボン酸基に対するカルボジイミド基のモル比が0.5となるようにカルボジライトEO−2(日清紡社製親水化変性ポリカルボジイミド化合物)を加えて充分混合することによって水性下塗り材組成物1を得た。
【0037】
実施例2
カルボジライトEO−2に代えて、製造例1で得られた親水化変性ポリカルボジイミド化合物を加えたこと以外は実施例1と同様にして、水性下塗り材組成物2を得た。
【0038】
実施例3
カルボン酸基に対するカルボジイミド基のモル比が1.0となるように、製造例1で得られた親水化変性ポリカルボジイミド化合物を加えたこと以外は実施例1と同様にして、水性下塗り材組成物3を得た。
【0039】
比較例1
親水化変性ポリカルボジイミド化合物を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、水性下塗り材組成物4を得た。
【0040】
比較例2
カルボン酸基に対するカルボジイミド基のモル比が3.0となるように、製造例1で得られた親水化変性ポリカルボジイミド化合物を加えたこと以外は実施例1と同様にして、水性下塗り材組成物5を得た。
【0041】
<評価試験>
実施例1〜3、ならびに、比較例1および2にて得られた水性下塗り塗料1〜5について、貯蔵安定性試験を行った。また、2液性ウレタン塗料を塗布量150g/m2で塗布して下地調整した70×150mmのスレート板上に、上記水性下塗り材組成物1〜5を、それぞれ塗布量300g/m2にて塗布して試験板を得た。得られた試験板に対して以下の試験を行い評価した。結果は表1に示した。
【0042】
貯蔵安定性試験
上記水性下塗り材組成物1〜5について、40℃恒温室で静置し、塗料の流動性がなくなるまでの時間を評価した。240時間以上のものを合格とした。
【0043】
密着性試験
得られた試験板を室温で16時間静置した後、カッターナイフでスレート板まで達する深さのクロスカットを入れた。続いて、カット部分にガムテープを貼り付けた後、急激に引き剥がし、剥離状態を評価した。いずれも剥離面積が貼付面積の75%未満であり合格であった。
【0044】
初期耐水性
得られた試験板を室温で1時間経過後、水道水中に浸漬し、3時間後に引き上げて、下塗り塗膜の流出、塗膜表面を評価した。異常なきものを合格とした。
【0045】
【表1】
Figure 0003910069
【0046】
表1から明らかなように、本発明の水性下塗り材組成物はアセトアセトキシ基とカルボン酸基とを有するエマルション樹脂と、親水化変性ポリカルボジイミド化合物を含み、かつ、カルボン酸基に対するカルボジイミド基のモル比が1.0以下であるので、基材および旧塗膜との密着性が良好であることがわかった(実施例1〜3)。さらに、特定構造を有する親水化変性ポリカルボジイミド化合物を含むことによって、密着性および初期耐水性の低下がなく、貯蔵安定性も良好になることがわかった(実施例2および3)。しかしながら、親水化変性ポリカルボジイミド化合物を含まないもの(比較例1)やカルボン酸基に対するカルボジイミド基のモル比が1.0を超えるもの(比較例2)は、基材との密着性が低下していることがわかった。
【0047】
【発明の効果】
本発明の水性下塗り材組成物は、アセトアセトキシ基とカルボン酸基とを有するエマルション樹脂と、親水化変性ポリカルボジイミド化合物を含んでいるので、基材および旧塗膜との密着性および初期耐水性が良好である。これは、塗膜が架橋することによって凝集力が高くなること、および、塗膜中に残存するアセトアセトキシ基が基材と強固な水素結合を形成することによると考えられる。
【0048】
さらに、ポリカルボジイミド化合物を含むことによって得られる塗膜の初期耐水性が向上する。これは、塗膜中のカルボン酸基がカルボジイミド基によって消失し、塗膜への水の取り込みが小さくなることによると考えられる。さらに、ポリカルボジイミド化合物を特定構造とすることで、水性下塗り材組成物の貯蔵安定性が向上する。これは、親水化変性ポリカルボジイミド化合物が水中において、カルボジイミド基を中心方向に向けたミセル構造を形成しているため、結果として貯蔵中の反応を抑制していることによると考えられる。

Claims (9)

  1. アセトアセトキシ基含有不飽和モノマーおよびカルボン酸基含有不飽和モノマーを含んだモノマー混合物を乳化重合して得られるエマルション樹脂と、親水化変性ポリカルボジイミド化合物とを含む水性下塗り材組成物であって、前記親水化変性ポリカルボジイミド化合物は、カルボジイミドユニットとポリオールユニットとがウレタン結合を介して交互に繰り返して連続的に存在しており、かつ、分子両末端が親水性ユニットであって、前記親水性ユニットがウレタン結合を介して前記カルボジイミドユニットに結合している構造を有するものであり、かつ、前記エマルション樹脂のカルボン酸基に対する前記親水化変性ポリカルボジイミド化合物のカルボジイミド基のモル比が0.1〜1.2であることを特徴とする水性下塗り材組成物。
  2. 前記モノマー混合物中のアセトアセトキシ基含有不飽和モノマーは1〜10重量%である請求項1に記載の水性下塗り材組成物。
  3. 前記モノマー混合物の酸価は2〜30である請求項1または2に記載の水性下塗り材組成物。
  4. 前記エマルション樹脂のカルボン酸基に対する前記親水化変性ポリカルボジイミド化合物のカルボジイミド基のモル比は0.2〜1.0である請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載の水性下塗り材組成物。
  5. 前記カルボジイミドユニットおよびポリオールユニットの繰り返し回数が、1〜10である請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の水性下塗り材組成物。
  6. 前記カルボジイミドユニットが、1分子中にイソシアネート基を少なくとも2個含有するポリカルボジイミド化合物(a)からイソシアネート基を除いたものであり、かつ、前記ポリオールユニットが、1分子中に水酸基を少なくとも2個含有するポリオール(b)から活性水素を除いたものであり、および、前記親水性ユニットが活性水素および親水性部分を有する親水化剤(c)から活性水素を除いたものである請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載の水性下塗り材組成物。
  7. 前記親水化剤(c)がモノアルコキシポリアルキレングリコールである請求項6に記載の水性下塗り材組成物。
  8. 前記モノアルコキシポリアルキレングリコールのアルコキシ基の炭素数が4〜20である請求項7に記載の水性下塗り材組成物。
  9. 前記エマルション樹脂のガラス転移温度は−10〜50℃である請求項1〜8のうちのいずれか1つに記載の水性下塗り材組成物。
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