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JP3668050B2 - ヒータ一体型酸素センサおよびその製造方法 - Google Patents

ヒータ一体型酸素センサおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の内燃機関における空気と燃料の比率を制御するためのヒータ一体型酸素センサとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
現在、自動車等の内燃機関においては、排出ガス中の酸素濃度を検出して、その検出値に基づいて内燃機関に供給する空気および燃料供給量を制御することにより、内燃機関からの有害物質、例えばCO、HC、NOxを低減させる方法が採用されている。
【0003】
この検出素子として、主として酸素イオン導電性を有するジルコニアを主成分とする固体電解質からなり、一端が封止された円筒管の外面および内面にそれぞれ一対の電極層が形成された固体電解質型の酸素センサが用いられている。この酸素センサの代表的なものとしては、図(a)に示すように、ZrO固体電解質からなり、先端が封止された円筒管31の内面には、白金からなり空気などの基準ガスと接触する基準電極32が、また円筒管31の外面には排気ガスなどの被測定ガスと接触される測定電極33が形成されている。
【0004】
このような酸素センサにおいて、一般に、空気と燃料の比率が1付近の制御に用いられている、いわゆる理論空燃比センサ(λセンサ)としては、測定電極33の表面に、保護層となるセラミック多孔質層34が設けられており、所定温度で円筒管31両側に発生する酸素濃度差を検出し、エンジン吸気系の空燃比の制御が行われている。
【0005】
一方、広範囲の空燃比を制御するために用いられている、いわゆる広域空燃比センサ(A/Fセンサ)は、測定電極33の表面に微細な細孔を有するガス拡散律速層となるセラミック多孔質層34を設け、固体電解質からなる円筒管31に一対の電極32、33を通じて印加電圧を加え、その際得られる限界電流値を測定してリーンからリッチ領域の空燃比を制御するものである。
【0006】
上記理論空燃比センサおよび広域空燃比センサともセンシング部を約700℃付近の作動温度までに加熱する必要があり、そのために円筒管31の内側には、センシング部を作動温度まで加熱するため棒状ヒータ35が挿入されている。
【0007】
しかしながら、近年排気ガス規制の強化傾向が強まり、エンジン始動直後からのCO、HC、NOxの検出が必要になってきた。このような要求に対して、上述のように、ヒータ35を円筒管31内に挿入してなる間接加熱方式の円筒型酸素センサでは、センシング部が活性化温度に達するまでに要する時間(以下、活性化時間という。)が遅いために排気ガス規制に充分対応できないという問題があった。
【0008】
その問題を回避する方法として、図(b)に示すように、平板型の固体電解質36の表面に測定電極37、基準電極38を形成した酸素センサ39に対して平板型のセラミック絶縁基板40の内部発熱体41を埋設したヒータ42を積層一体化してなる平板型の積層型酸素センサが実開昭61−199666号公報等にて提案されている。
【0009】
また、最近では、図に示すように、ジルコニア固体電解質からなる円筒管43の内面および外面に白金の基準電極44、測定電極45が設けられ、測定電極45の表面にガス透過性の多孔質のスピネルからなる絶縁層46を設け、その絶縁層46中に周囲がアルミナなどの保護層47によって保護された白金からなる発熱体48を埋設した円筒状のヒータ一体型の酸素センサも特開平10−206380号公報に記載されている。
【0010】
これらのヒータと一体化された酸素センサは、従来の間接加熱方式と異なり、直接加熱方式であるために急速昇温が可能であり、センシング部の活性化時間が早いという特徴を有する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の平板型の酸素センサは、形状が平板形状であるために、耐久性、耐熱性が悪く、その結果作動時においてセンサが破壊するという問題があった。
【0012】
また、特開平10−206380号公報に記載されるヒータ一体型酸素センサによれば、スピネルやアルミナなどから構成される絶縁層46および保護層47は、ジルコニア固体電解質43および白金からなる電極44、45および白金からなる発熱体48と熱膨張係数が大きく異なるためセンサ素子内に熱応力が発生し易いために、急激な温度サイクルを加えると絶縁層が剥離しやすいという構造的な欠点を有していた。
【0013】
また、製造方法に関しても、ジルコニア粉末を用いて成形、焼成して固体電解質の円筒体を作製した後、その外面と内面に白金電極を形成する。その後、電解質表面にプラズマ溶射にてスピネルからなる絶縁層を形成し、さらにその表面にペースト状の白金ヒータを塗布し、再度プラズマ溶射にて絶縁層を形成するものであるために、工程が複雑であり製造コストが高いなどの問題がある。それに加えて、白金電極44、45および絶縁層46ともプラズマ溶射法により形成されているため固体電解質43との接合強度が弱いという問題もあった。
【0014】
従って、本発明は、円筒型酸素センサに対してヒータが一体化されてなるとともに、活性化時間が短く、且つ耐久性、耐熱性に優れたヒータ一体型酸素センサと、それを容易に作製するための製造方法を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の円筒状のヒータが一体化された酸素センサに関する問題について検討を重ねた結果、ジルコニア固体電解質からなり一端が封止された円筒管の内面および外面の対向する位置にそれぞれ基準電極および測定電極とが形成されてなる酸素センサの外表面に、非イオン伝導性の多孔質絶縁層と多孔質ジルコニア層とを順次積層し、前記多孔質絶縁層中、白金からなる発熱体を埋設するとともに、前記測定電極から前記発熱体までの前記多孔質絶縁層の厚さを1〜100μmとする、またはジルコニア固体電解質からなり一端が封止された円筒管の内面および外面の対向する位置にそれぞれ基準電極および測定電極とが形成されてなる酸素センサの外表面に、厚さ1μm以上の非イオン伝導性の多孔質絶縁層と多孔質ジルコニア層とを順次積層し、前記多孔質ジルコニア層中に、白金からなる発熱体を埋設するとともに、前記測定電極から前記発熱体までの前記多孔質絶縁層と前記多孔質ジルコニア層の合計厚さを100μm以下とすることにより、上記の目的が達成できることを見いだした。
【0016】
また、その製造方法としては、ジルコニア固体電解質粉末を用いて成形された一端が封止された円筒管の内面および外面の対向する位置に基準電極と測定電極とをそれぞれ形成してセンサ素体を作製し、また、非イオン伝導性の多孔質絶縁層と多孔質ジルコニア層とを積層するとともに、前記多孔質絶縁層中、あるいは前記多孔質絶縁層と前記多孔質ジルコニア層との間に、白金からなる発熱体を埋設し、焼成後の前記測定電極から前記発熱体までの前記多孔質絶縁層の厚さが1〜100μmとなるヒータ素体、または、焼成後の厚さが1μm以上の非イオン伝導性の多孔質絶縁層と多孔質ジルコニア層とを積層し、前記多孔質ジルコニア層中に、白金からなる発熱体を埋設し、焼成後の前記測定電極から前記発熱体までの前記多孔質絶縁層と前記多孔質ジルコニア層の合計厚さが100μm以下であるヒータ素体を作製した後、前記センサ素体の外表面に、前記ヒータ素体を前記多孔質絶縁層が内側となるように巻き付けて円筒状積層体を作製し、その後、これを同時焼成することによって、工程の簡略化を図り、製造コストを低減することができる。
【0017】
【作用】
本発明のヒータ一体型酸素センサによれば、ジルコニア固体電解質からなる円筒管の表面に形成された測定電極の表面に、非イオン伝導性の多孔質絶縁層を介して多孔質ジルコニア層を形成し、その多孔質絶縁層中または多孔質ジルコニア層中白金からなる発熱体を形成したので、固体電解質、基準電極、測定電極からなるセンサ素子部を効率的に加熱することができ、活性化時間を短縮することができる。
【0018】
また、ジルコニア固体電解質と非イオン伝導性の絶縁層とで熱膨張特性が異なる場合においても多孔質絶縁層の厚みを薄くすることができるとともに、さらに多孔質絶縁層の表面に多孔質ジルコニア層を形成しているために、多孔質絶縁層を2層のジルコニア層によって挟持した構造からなるために熱膨張差に起因する応力がつりあい、絶縁層や発熱体の剥離等を防止することができる。
【0019】
また、本発明では、上記のようなセンサ構造に加えて、酸素センサ部と発熱体を具備するヒータ部とを一括して焼成するため、従来のヒータ一体型酸素センサに比べて製造コストが極めて安価になり、経済性の観点から優れているとともに、共焼結するために固体電解質と電極を具備するセンサ本体に対して絶縁層、発熱体およびジルコニア層を強固に固着することができる。
【0020】
その結果、本発明のヒータ―体型酸素センサによれば、活性化時間が短く、且つ耐久性、耐熱性に優れたヒータ一体型酸素センサおよびその製造方法を提供することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の酸素センサの第1の例を図1の概略斜視図(a)およびX1 −X1 断面図(b)をもとに説明する。
図1の酸素センサ1は、酸素イオン導電性を有するジルコニア固体電解質からなり、先端が封止された断面がU字状の円筒管2の内面に、第1の電極として、空気などの基準ガスと接触される基準電極3が被着形成され、また、円筒管2の基準電極3と対向する外面には、第2の電極として、排気ガスなどの被測定ガスと接触する測定電極4が被着形成されている。
【0022】
また、本発明によれば、先端が封止された円筒管2の外面に形成された測定電極4の表面またはその周囲には非イオン伝導性の多孔質絶縁層5および多孔質ジルコニア層6が順次設けられており、多孔質絶縁層5の内部には、白金からなる発熱体7が埋設されている。
【0023】
また、基準電極3、測定電極4および発熱体7は、いずれも円筒管2の表面や絶縁層5やジルコニア層6の表面や内部に設けられたリード電極(図示せず)と電気的に接続されており、所定の電圧や電流が印加される。
【0024】
(固体電解質)
本発明において円筒管2を構成するジルコニア固体電解質は、具体的には、Y2 3 およびYb2 3 、Sc2 3 、Sm2 3 、Nd2 3 、Dy2 3 等の希土類酸化物の群から選ばれる少なくとも1種を酸化物換算で1〜30モル%、好ましくは3〜15モル%含有する部分安定化ZrO2 あるいは安定化ZrO2 が用いられている。また、ZrO2 中のZrを1〜20原子%をCeで置換したZrO2 を用いることにより、電子伝導性が大きくなり、応答性がさらに改善されるといった効果がある。
【0025】
さらに、焼結性を改善する目的で、上記ZrO2 に対して、Al2 3 やSiO2 を添加含有させることができるが、多量に含有させると、高温におけるクリープ特性が悪くなることから、Al2 3 およびSiO2 の添加量は総量で5重量%以下、特に2重量%以下であることが望ましい。
【0026】
(電極材質)
円筒管2の内面および外面に被着形成される基準電極3、測定電極4は、いずれも白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよび金の群から選ばれる1種、または2種以上の合金が用いられる。また、センサ動作時の電極中の金属の粒成長を防止する目的と、応答性に係わる金属粒子と固体電解質と気体との、いわゆる3相界面の接点を増大する目的で、上述のジルコニア固体電解質成分を1〜50体積%、特に10〜30体積%の割合で上記電極中に混合してもよい。
【0027】
(多孔質絶縁層)
一方、測定電極4の表面に形成される多孔質絶縁層5としては、それ自体が非イオン伝導性を有することが必要である。これは、固体電解質からなる円筒管2と白金からなる発熱体7とを電気的に完全に分離し絶縁化するためである。
【0028】
また、かかる構造において、測定電極4表面から発熱体7までの絶縁層5の厚さL1 が1〜100μm、特に5〜50μm、さらには10〜40μmであることが重要である。これは、上記厚さがL1 が1μmよりも薄いと、発熱体7と測定電極4両者の電気的な絶縁が不充分となりセンサが正常な出力電圧を示さなくなり、また、厚みL1 が100μmを超えると、発熱体7によるセンサ部の加熱効率が低下し、活性化時間が長くなるとともに、固体電解質からなる円筒管2と絶縁層5間に生じる熱応力に起因して絶縁層が剥離し易くなったり、ヒータの抵抗の増加率が大きくなるである。
【0029】
また、この多孔質絶縁層5としては、アルミナ、スピネル、フォルステライト、ガラス等のセラミック材料が好適に用いられる。また、多孔質絶縁層5としてガラスを用いる場合には、耐熱性の観点から、BaO、PbO、SrO、CaO、CdOのうちの少なくとも1種を5重量%以上含有するガラス、特に、結晶化ガラスであることが望ましい。
【0030】
また、多孔質絶縁層5は、被測定ガスが測定電極4に到達されるために、所定の気孔を有することが必要であり、また、気孔率が大きすぎると排ガス中のP(リン)やPb(鉛)により電極が被毒を受ける恐れがある。かかる観点から多孔質絶縁層5の気孔率は7〜35%であることが望ましい。
【0031】
(ジルコニア層)
また、多孔質ジルコニア層6としては、ジルコニアに対してY2 3 およびYb2 3 、Sc2 3 、Sm2 3 、Nd2 3 、Dy2 3 等の希土類酸化物の群から選ばれる少なくとも1種の酸化物を酸化物換算で1〜30モル%、特に強度を高める上で3〜15モル%の割合で含有する部分安定化ZrO2 あるいは安定化ZrO2 が好適に用いられる。また、ZrO2 中のZrを1〜20原子%のCeで置換したZrO2 も好適に用いることが可能であるが、特に、円筒管2を構成する固体電解質と同じ熱膨張特性を有することが望ましいことから、円筒管2のジルコニア固体電解質と同一の組成のものが最も好ましい。
【0032】
さらに、この多孔質ジルコニア層6も多孔質絶縁層5と同様に、被測定ガスが測定電極4に到達できるように、気孔率が7〜35%の多孔質体からなることが望ましく、その全体厚さは50〜500μmで、ガス透過性とヒータの保温性の観点から100〜200μmであることが望ましい。
【0033】
(発熱体)
図1に示した酸素センサによれば、多孔質絶縁層5中に発熱体7が埋設されているが、この発熱体7としては、同時焼成の問題から大気中で安定な白金(Pt)からなることが必要である。これによって、発熱体7および多孔質絶縁層5を同時焼成によって形成することが可能である。
【0035】
(他の構造)図1の酸素センサによれば、発熱体7は、多孔質絶縁層5中に埋設されたものであるが、発熱体7の埋設場所はこれに限られることなく、例えば、の第3の例に基づく要部拡大断面図に示すように、発熱体7を多孔質ジルコニア層6中に埋設してもよい。これは、前述した通り、発熱体7と測定電極4両者の電気的な絶縁が不充分となりセンサが正常な出力電圧を示さなくなるためである。また、測定電極4表面から発熱体7までの多孔質絶縁層5および多孔質ジルコニア層6との合計厚さL2は100μm以下であることが重要である。これは、厚みL2が100μmを超えると、発熱体7によるセンサ部の加熱効率が低下し、活性化時間が長くなるためである。
【0036】
なお、本発明の酸素センサによれば、測定電極4の表面に形成された多孔質絶縁層5および多孔質ジルコニア層6の気孔の細孔径などを制御することにより理論空燃比センサ(λセンサ)、あるいは広域空燃比センサ、(A/Fセンサ)として用いることができる。後者の広域空燃比センサにおいては、多孔質ジルコニア層6表面に、さらにプラズマ溶射法等を用いてスピネル、ジルコニア、マグネシア、アルミナ等のガス拡散律速層(図示せず)を設けるとさらに精度の高い空燃比の制御が可能である。この際、多孔質ジルコニア層および多孔質絶縁層の開気孔率を15〜30%の範囲に制御することにより理論空燃比センサが、また開気孔率を7〜12%の範囲に制御することにより広域空燃比センサが作製できる。
【0037】
(製造方法)次に、本発明の酸素センサの製造方法について、図1の酸素センサを例にして図をもとに説明する。
(センサ素体の作製)まず図(a)に示すような円筒型酸素センサ素体10を作製する。このセンサ素体10は、酸素イオン伝導性を有するジルコニア固体電解質粉末に対して、適宜、成形用有機バインダーを添加して押出成形や、静水圧成形(ラバープレス)あるいはプレス形成などの周知の方法により一端が封止された直径1〜10mmの円筒状成形体11を作製する。
【0038】
この時、用いられる固体電解質粉末としては、ジルコニア粉末に対して、安定化剤としてY2 3 およびYb2 3 、Sc2 3 、Sm2 3 、Nd2 3 、Dy2 3 等の希土類酸化物の群から選ばれる少なくとも1種を酸化物換算で1〜30モル%、好ましくは3〜15モル%の割合で添加した混合粉末、あるいはジルコニアと上記安定化剤との共沈原料粉末が用いられる。また、ZrO2 中のZrを1〜20原子%をCeで置換したZrO2 粉末、または共沈原料を用いることもできる。
【0039】
さらに、焼結性を改善する目的で、上記固体電解質粉末に、Al2 3 やSiO2 を5重量%以下、特に2重量%以下の割合で添加することも可能である。
【0040】
そして、上記固体電解質からなる円筒状成形体11の内面および外面に、基準電極および測定電極となるパターン12、13を例えば、白金を含有する導電性ペーストを用いてスラリーデッィプ法、あるいはスクリーン印刷、パット印刷、ロール転写で形成する。この時、円筒管内面への印刷は、導体ペーストを充填して排出してして、内面全面に塗布形成してもよい。
【0041】
(ヒータ素体)次に、図(b)に示すようなヒータ素体14を形成する。ヒータ素体14は、まず、上記と同様なジルコニア粉末を用いてドクターブレ―ド法、押し出し成形法、プレス法などにより所定厚さの多孔質ジルコニア層用グリーンシート15を作製する。
【0042】
そして、非イオン伝導性を有する多孔質絶縁層を形成し得るアルミナ、スピネル、フォルステライト、ガラス等のセラミック粉末に、適宜成形用有機バインダーを添加してスラリーを調製し、このスラリーを上記グリーンシート15に塗布し、その後、白金粉末を含む導電性ペーストを発熱体パターンにスクリーン印刷法、パット印刷法、ロール転写法等により印刷した後、その上にさらにスラリーを塗布し、乾燥することにより、発熱体16が埋設された多孔質絶縁層17とジルコニア層用グリーンシート15との積層体からなるヒータ素体14を作製できる。
【0043】
また、他の方法としては、多孔質ジルコニア層用グリーンシート、多孔質絶縁層用グリーンシートを作製し、そのいずれか一方に白金の発熱体を印刷塗布した後、積層しても同様な積層体からなるヒータ素体14を作製することができる。
なお、最終的に多孔質絶縁層および多孔質ジルコニア層の気孔率を所定の範囲に制御するためには、上記セラミック粉末組成物に対して、例えば、ポア形成剤として市販のポリエチレン粉末を添加して、焼成後の気孔率を制御することができる。
【0044】
上記の各グリーンシート15の厚みとしては60〜600μm、特に100〜300μmが好ましい。シートの厚みが60μmより薄いとシートの取り扱いが困難であり、600μmを超えるとシートの円筒状成形体表面への巻き付けが難しくなるためである。
【0045】
(巻き付け)次に、図(c)に示すように、上記円筒状のセンサ素体10の表面に、ヒータ素体14を巻き付けて円筒状積層体18を作製する。この際、ヒータ素体14をセンサ素体10に巻き付けるには、ヒータ素体14とセンサ素体10との間にアクリル樹脂や有機溶媒などの接着剤を介在させて接着させたり、あるいはローラ等で圧力を加えながら機械的に接着することができる。この時、巻き付けされたヒータ素体14の合わせ目は、焼成時の収縮を考慮し、シート端部同志を重ねるか、あるいは所定の間隔をおいて接着してもよい。
【0046】
なお、ヒータ素体14を巻き付ける場合、多孔質絶縁層用グリーンシートと多孔質ジルコニア層用グリーンシートとの積層体を巻き付ける方法以外に、多孔質絶縁層用グリーンシートを巻き付けた後に、多孔質ジルコニア層用グリーンシートを巻き付けることも可能である。
【0047】
(同時焼成)
そして、上記の円筒状積層体18をセンサ素体10を構成する固体電解質およびヒータ素体14における多孔質絶縁層用グリーンシートおよび多孔質ジルコニア層用グリーンシートが同時に焼成可能な温度で焼成することにより、ヒータ素体14とセンサ素体10とが一体化された酸素センサが作製される。焼成条件よしては、アルゴンガス等の不活性雰囲気中あるいは大気中1300〜1700℃で1〜10時間程度焼成することが望ましい。
【0049】
(他の製造方法)なお、図に示されるような発熱体7が多孔質ジルコニア層6内に埋設した酸素センサを作製する場合には、前記ヒータ素体14を作製する時に、多孔質ジルコニア層用グリーンシートの表面に、白金ペーストを塗布した後、多孔質ジルコニア層用のグリーンシートを積層するかまたはスラリーを塗布した後、さらに多孔質絶縁層用のグリーンシートを積層するか、またはスラリーを塗布することによりヒータ素体を作製した後、上記と同様な方法で巻き付け、同時焼成することにより作製することができる。
【0050】
また、場合によっては、上記のようして焼成した酸素センサの多孔質ジルコニア層の表面に、アルミナ、スピネル、ジルコニア等の粉末をゾルゲル法、スラリーディップ法、印刷法などによって印刷塗布し、焼き付け処理したり、上記セラミックスをスパッタ法あるいはプラズマ溶射法により被覆してガス拡散律速層を形成して、広域空燃比酸素センサを作製することも可能である。
【0051】
なお、本発明の酸素センサは、固体電解質からなる円筒管の形状において、封止された一端は、先端が球状でも良いし、円柱状であってもよく、またセンサ強度や作製の容易性から円筒管は先端に向かってテーパ状に細くなるような構造のものであってもよい。
【0052】
また、ジルコニア固体電解質の内面および外面に形成される基準電極および測定電極は、固体電解質を挟んで対向する位置であれば、特にどこに形成してもよい。さらに、発熱体としては、あるいは電極とヒータの位置がどのような関係になっていても上記の関係を満足すれば本発明の素子に含まれることは言うまでもない。
【0053】
【実施例】
本発明を実施例を用いて、説明する。
(実施例1)
共沈法によって作製された平均粒径が0.8μmの5モル%Y2 3 含有のジルコニア粉末にポリビニルアルコール溶液を添加して坏土を作製し、押出成形により外径が5mm、内径が3mmの一端を封じた中空の円筒状成形体を作製した。そして、この円筒状成形体の内外面に白金を分散させた導体ペーストを固体電解質を介して対向する位置に塗布し、基準電極および測定電極を形成し、センサ素体を作製した。
【0054】
また、上記ジルコニア粉末にポア形成剤として、市販の3μmのポリエチレン粉末を加え、さらにポリビニルアルコール溶液を添加してスラリーを作製し、ドクターブレード法によって種々の厚さの多孔質ジルコニア層用グリーンシートを作製した。
【0055】
さらに、平均粒径が0.5μmのスピネル粉末にポリエチレン粉末を加えて多孔質絶縁層形成用のスラリーを調製した。そして、これらを用いて以下の3種の酸素センサを作製し、下記の評価を行った。
【0056】
(図1の酸素センサ)
上記ジルコニア層用グリーンシートの表面に、スピネルの多孔質絶縁層形成用のスラリーを種々の厚さで塗布乾燥後、その表面に白金粉末の導体ペーストをスクリーン印刷により焼成後の厚さが約10μmとなるように発熱体パターンに印刷塗布した。その後、発熱体パターンの表面に、スピネルの多孔質絶縁層形成用のスラリーを種々の厚さで塗布して、シート状積層体からなるヒータ素体を作製した。そして、上記のセンサ素体に対して上記ヒータ素体を巻き付け円筒状積層体を作製した。その後、この円筒状積層体を大気中、1500℃で2時間焼成し、図1の発熱体構造の理論空燃比制御用の酸素センサを作製した。作製した酸素センサに対して、開気孔率をアルキメデス法によって測定した結果、多孔質絶縁層は18%、多孔質ジルコニア層は19%であった。なお、作製した酸素センサにおける各層厚さは表1に示した。
【0058】
(図の酸素センサ)上記ジルコニア層用グリーンシート表面に、ジルコニアのスラリーを塗布し、その表面にスクリーン印刷法により白金の導体ペーストを発熱体パターンに印刷塗布した後、さらにその表面に多孔質絶縁層形成用のスラリーを種々の厚さで塗布してシート状積層体を作製した。この後、上述の方法に従い、センサ素体の表面に巻き付けて円筒状積層体を作製した後、1500℃で2時間行い、理論空燃比制御の酸素センサを作製した。この際、多孔質絶縁層および多孔質ジルコニア層の開気孔率はそれぞれ約18%と19%であった。なお、作製した酸素センサにおける各層厚さは表1に示した。
【0059】
(評価方法)
活性化時間
上記の酸素センサに対して、大気中でセンサが700℃に達するまでの時間、即ち活性化時間を測定しその結果を表1、2に示した。
【0060】
耐久性(抵抗変化)
作製した各酸素センサに対して、素子の耐久性評価のため、素子を大気中にて室温から700℃まで20秒で急速昇温し60秒間その温度を保持した後、室温まで急冷する温度サイクルを1サイクルとし、これを10万回繰り返した時の発熱体の抵抗値の初期値からの増加率を測定し、その結果を表1、2に示した。
【0061】
耐久性(破損)
また、温度サイクルを20万回繰り返した時の素子の破損の有無も調べた。
【0062】
表中の多孔質絶縁層、多孔質ジルコニア層の厚み、測定電極から発熱体までの厚みL2 は、走査型電子顕微鏡写真を用いて、それぞれ10点測定し、その平均値を示したものである。結果を表1、2に示す。
【0063】
(比較品)比較のために、図6(a)に示したような、円筒管内に発熱体を挿入してなる市販の酸素センサについて同様の評価を行った。
【0064】
また、他の比較例として、図1の酸素センサにおいて多孔質ジルコニア層を全く設けないもの(試料No.17)、図2の酸素センサにおいて絶縁層を全く形成しないもの(試料No.18)を作製し、同様に評価した。
【0065】
【表1】
Figure 0003668050
【補正対象書類名】 明細書
【補正対象項目名】 0066
【補正方法】 変更
【補正の内容】
【0066】
表1より、図1の構造の酸素センサにおいて、測定電極から発熱体までの多孔質絶縁層の厚さが1μmより薄い試料No.2およびNo.3では素子が正常な出力電圧を示さなかった。また、測定電極から発熱体までの多孔質絶縁層の厚さが100μmを超える試料No.15およびNo.16では、活性化時間が長くなった。それに対して測定電極から発熱体までの多孔質絶縁層の厚さが1〜100μmの本発明品は、いずれも活性化時間が17秒以下と市販品よりも速い活性化時間を示した。
【補正対象書類名】 明細書
【補正対象項目名】 0067
【補正方法】 変更
【補正の内容】
【0067】
また、素子の耐久性に関して、10万サイクル後の素子の抵抗値の増加率は従来の酸素センサ(試料No.1)が6.1%、測定電極から発熱体までの厚さが100μmより厚い試料No.15およびNo.16がそれぞれ5.1%、5.6%と大きかったが、上記厚さが100μm以下の試料はいずれも2.1%以下と小さな値であった。また、ジルコニア層がない試料No.17は、それぞれ約13〜18万回の温度サイクルで破損したが、本発明の素子は全て20万サイクルにおいても破損しなかった。
【0066】
表1より、図1、図2の構造の酸素センサにおいて、測定電極から発熱体までの多孔質絶縁層の厚さが1μmより薄い試料No.2およびNo.3では素子が正常な出力電圧を示さなかった。また、測定電極から発熱体までの多孔質絶縁層の厚さが100μmを超える試料No.15およびNo.16では、活性化時間が長くなった。それに対して測定電極から発熱体までの多孔質絶縁層の厚さが1〜100μmの本発明品は、いずれも活性化時間が17秒以下と市販品よりも速い活性化時間を示した。
【0067】
また、素子の耐久性に関して、10万サイクル後の素子の抵抗値の増加率は従来の酸素センサ(試料No.1)が6.1%、測定電極から発熱体までの厚さが100μmより厚い試料No.15およびNo.16がそれぞれ5.1%、5.6%と大きかったが、上記厚さが100μm以下の試料はいずれも2.1%以下と小さな値であった。また、ジルコニア層がない試料No.17、21は、それぞれ約13〜18万回の温度サイクルで破損したが、本発明の素子は全て20万サイクルにおいても破損しなかった。
【0068】
【表2】
Figure 0003668050
【0069】
表2より、図2の構造の酸素センサにおいて、多孔質絶縁層の厚さが1μmよりも薄い試料No.1819では、素子が正常な出力電圧を示さなかった。また、測定電極から発熱体までの厚さが100μmを超える試料No.25では、活性化時間が長くなった。それに対して、絶縁層の厚さが1μm以上、測定電極から発熱体までの厚さが100μm以下の本発明品は、いずれも活性化時間が18秒以下と市販品よりも速い活性化時間を示した。
【0070】
また、素子の耐久性に関して、絶縁層の厚さが1μmよりも薄い試料No.18およびNo.19では、素子が作動しなかった。また、測定電極から発熱体までの厚さが100μmより厚い試料No.25では、抵抗の増加率が3.6%と高かったが、絶縁層の厚さが1μm以上、測定電極から発熱体までの厚さが100μm以下の本発明品は、いずれも1.8%以下と小さな値であった。
【0071】
これより、図1〜図の本発明の酸素センサは、センサの活性化時間の短い、耐久性に優れたものであることが理解出来る。
【0072】
次に、表1中の試料No.5に対してセンシング特性の評価を行った。センサの基準電極に空気を、測定電極にHC、CO、Hおよび空気を所定の空気過剰率になるように供給し、700℃における出力電圧と空気過剰率との関係を図に示した。図より出力電圧が所定の空気過剰率、いわゆる理論空燃比付近で出力電圧が急激に変化することがわかる。
【0073】
(実施例2)実施例1の方法に従い、図2の発熱体構造を有する広域空燃比センサを作製した。この際、円筒状積層物の焼成は大気中1550℃で2時間行った。得られた絶縁層およびジルコニア層の開気孔率は、それぞれ8%と10%であった。また、絶縁層の厚みは27μmであった。その後、700℃において空燃比センサの基準電極に空気を、測定電極にHC、CO、H2および空気を所定の空燃比になるように供給しながら、電圧を印加しその時の限界電流値を求めた。図にその限界電流値と空燃比との関係を示した。図に示すように、限界電流値は空燃比に対して単一の曲線で示されており、本発明の酸素センサが広域空燃比センサとして応用可能なことがわかった。
【0074】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、応答性および検出精度とも優れたものであり、熱膨張係数の差に起因する熱応力を緩和し、急激な温度サイクルを加えても絶縁層が剥離しにくく耐久性に優れたヒータ―体型酸素センサを提供できる。また、かかる酸素センサは、センサ素体およびヒータ素体とを同時焼成して作製できるために、製造コストが極めて安価になり経済性の観点から優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヒータ一体型酸素センサの一例を説明するための概略斜視図(a)と、その要部拡大断面図(b)である。
【図2】本発明のヒータ一体型酸素センサの他の例を説明するための要部拡大断面図である。
【図】本発明の図1のヒータ一体型酸素センサの製造方法を説明するための工程図である。
【図】本発明の実施例の試料No.5の酸素センサの出力電圧と空気過剰率との関係を示す。
【図】本発明の実施例2の酸素センサにおける限界電流値と空燃比の関係を示す。
【図】従来の円筒型酸素センサの概略断面図(a)と、ヒータ一体型の平板型酸素センサの概略断面図(b)を示す。
【図】従来のヒータ一体型の円筒型酸素センサの要部拡大断面図を示す。
【符号の説明】
1 酸素センサ
2 円筒管
3 基準電極
4 測定電極
5 多孔質絶縁層
6 多孔質ジルコニア層
7 発熱体
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヒータ一体型酸素センサの一例を説明するための概略斜視図(a)と、その要部拡大断面図(b)である。
【図2】本発明のヒータ一体型酸素センサの他の例を説明するための要部拡大断面図である。
【図3】本発明のヒータ一体型酸素センサのさらに他の例を説明するための要部拡大断面図である。
【図4】本発明の図1のヒータ一体型酸素センサの製造方法を説明するための工程図である。
【図5】本発明の実施例の試料No.5の酸素センサの出力電圧と空気過剰率との関係を示す。
【図6】本発明の実施例2の酸素センサにおける限界電流値と空燃比の関係を示す。
【図7】従来の円筒型酸素センサの概略断面図(a)と、ヒータ一体型の平板型酸素センサの概略断面図(b)を示す。
【図8】従来のヒータ一体型の円筒型酸素センサの要部拡大断面図を示す。
【符号の説明】
1 酸素センサ
2 円筒管
3 基準電極
4 測定電極
5 多孔質絶縁層
6 多孔質ジルコニア層
7 発熱体

Claims (6)

  1. ジルコニア固体電解質からなり一端が封止された円筒管の内面および外面の対向する位置にそれぞれ基準電極および測定電極とが形成されてなる酸素センサの外表面に、非イオン伝導性の多孔質絶縁層と多孔質ジルコニア層とを順次積層し、前記多孔質絶縁層中、白金からなる発熱体を埋設するとともに、該発熱体から前記測定電極までの前記多孔質絶縁層の厚さを1〜100μmとしたことを特徴とするヒータ一体型酸素センサ。
  2. 前記非イオン伝導性の多孔質絶縁層が、スピネルを主体とすることを特徴とする請求項1記載のヒータ一体型酸素センサ。
  3. ジルコニア固体電解質からなり一端が封止された円筒管の内面および外面の対向する位置にそれぞれ基準電極および測定電極とが形成されてなる酸素センサの外表面に、厚さ1μm以上の非イオン伝導性の多孔質絶縁層と多孔質ジルコニア層とを順次積層し、前記多孔質ジルコニア層中に、白金からなる発熱体を埋設するとともに、該発熱体から前記測定電極までの前記多孔質絶縁層と前記多孔質ジルコニア層の合計厚さを100μm以下としたことを特徴とするヒータ一体型酸素センサ。
  4. 前記酸素イオン伝導性を有しない多孔質絶縁層が、スピネルを主体とすることを特徴とする請求項3記載のヒータ一体型酸素センサ。
  5. ジルコニア固体電解質粉末を用いて成形された一端が封止された円筒管の内面および外面の対向する位置に基準電極と測定電極とをそれぞれ形成してセンサ素体を作製する工程aと、
    非イオン伝導性の多孔質絶縁層と多孔質ジルコニア層とを積層し、前記多孔質絶縁層中、あるいは前記多孔質絶縁層と前記多孔質ジルコニア層との間に、白金からなる発熱体を埋設してなり、焼成後の前記発熱体から前記測定電極までの前記多孔質絶縁層の厚さが1〜100μmであるヒータ素体、または、焼成後の厚さが1μmの非イオン伝導性の多孔質絶縁層と多孔質ジルコニア層とを積層し、前記多孔質ジルコニア層中に、白金からなる発熱体を埋設してなり、焼成後の前記発熱体から前記測定電極までの前記多孔質絶縁層と前記多孔質ジルコニア層の合計厚さが100μm以下であるヒータ素体を作製する工程bと、
    前記センサ素体の外表面に、前記ヒータ素体を前記多孔質絶縁層が内側となるように巻き付けて円筒状積層体を作製する工程cと、
    前記円筒状積層体を焼成する工程dと、
    を具備することを特徴とするヒータ一体型酸素センサの製造方法。
  6. 前記非イオン伝導性の多孔質絶縁層が、スピネルを主体とすることを特徴とする請求項5記載のヒータ一体型酸素センサの製造方法。
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