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JP4637375B2 - 酸素センサの製造方法 - Google Patents

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JP4637375B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の内燃機関における空気と燃料の比率を制御するための酸素センサに関しガス応答性に優れた酸素センサの製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
現在、自動車等の内燃機関においては、排出ガス中の酸素濃度を検出して、その検出値に基づいて内燃機関に供給する空気および燃料供給量を制御することにより、内燃機関からの有害物質、例えばCO、HC、NOxを低減させる方法が採用されている。
【0003】
この検出素子として、主として酸素イオン伝導性を有するジルコニアを主分とする固体電解質からなり、一端が封止された円筒管の外面および内面にそれぞれ一対の電極層が形成された固体電解質型の酸素センサが用いられている。この酸素センサの代表的なものとしては、図4に示すように、ZrO2固体電解質からなり、先端が封止された円筒管41の内面には、センサ部として白金からなり空気などの基準ガスと接触する基準電極42が、また円筒管41の外面には排気ガスなどの被測定ガスと接触される測定電極43が形成されている。また、測定電極43の表面には、セラミック多孔質層44が形成されている。
【0004】
このような酸素センサにおいて、一般に、空気と燃料の比率が1付近の制御に用いられている、いわゆる理論空燃比センサ(λセンサ)としては、測定電極43の表面に、保護層としてセラミック多孔質層44が設けられており、所定温度で円筒管41両側に発生する酸素濃度差を検出し、エンジン吸気系の空燃比の制御が行われている。
【0005】
一方、広範囲の空燃比を制御するために用いられている、いわゆる広域空燃比センサ(A/Fセンサ)は、測定電極43の表面に微細な細孔を有するガス拡散律速層としてセラミック多孔質層44を設け、固体電解質からなる円筒管41に一対の電極42、43を通じて印加電圧を加え、その際得られる限界電流値を測定して希薄燃焼領域の空燃比を制御するものである。
【0006】
上記理論空燃比センサおよび広域空燃比センサともセンサ部を約700℃付近の作動温度までに加熱する必要があり、そのために、円筒管41の内側には、センサ部を作動温度まで加熱するため棒状ヒータ45が挿入されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年排気ガス規制の強化傾向が強まり、エンジン始動直後からのCO、HC、NOxの検出が必要になってきた。このような要求に対して、上述のように、ヒータ45を円筒管41内に挿入してなる間接加熱方式の円筒型酸素センサでは、センサ部が活性化温度に達するまでに要する時間(以下、活性化時間という。)が遅いために排気ガス規制に充分対応できないという問題があった。
【0008】
その問題を回避する方法として、固体電解質からなる円筒管の内面および外面に基準電極、測定電極が設けられ、測定電極の表面に、ガス透過性の多孔性の絶縁層を設け、さらにその中のガス透過性の低いガス非透過層中に白金発熱抵抗体を設けた円筒型のヒータ一体型酸素センサも特開平10−206380号公報に記載されている。
【0009】
一方、本出願人は、先にセラミック固体電解質からなり一端が封止された円筒管の内面および外面に基準電極および測定電極を形成してなるセンサと、測定電極が露出するように前記円筒管の外面に測定電極形成部に開口を設けたセラミック絶縁層を積層形成し、測定電極がその開口部から露出するようにし、その少なくとも露出している前記測定電極の周囲のセラミック絶縁層内に発熱抵抗体を埋設してなる急速昇温性に優れたヒータ一体型酸素センサを提案した。
【0010】
しかしながら、このヒータ一体型酸素センサにおいても、従来の間接加熱方式と異なり、直接加熱方式であるために急速昇温が可能ではあるが、固体電解質と白金電極とをヒータとともに高温で同時焼成して形成すると、電極のガス応答性が悪いという問題があった。これは、光電子分光分析を用いた測定から白金表面は同時焼成の際に、気相中の酸素または水蒸気と反応して、表面から5nm程度の深さまで白金の酸化物や、水酸化物に覆われているためであることがわかった。
【0011】
従って、本発明は、上記のような問題を解消し、ガス応答性の優れた白金電極を有する酸素センサの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題について検討した結果、固体電解質と白金電極とを高温度で同時焼成した酸素センサにおいては、白金電極表面では共焼結の際に、Ptと酸素またはOH−とが化学的に結合し、その結果、白金の活性を低下させていることを突き止め、白金の活性度を高める上で、400℃以上の温度で、酸素分圧が10-10(atm)より低いガス雰囲気中で熱処理することが好適であることを見いだし、白金の活性度の高い酸素センサを得るに至った。
【0016】
即ち、本発明の酸素センサの製造方法は、未焼成のジルコニア固体電解質基体の少なくとも内外面の対向する位置に、測定電極と基準電極とを形成する箇所に平均粒径が0.5〜4μmの白金粉末を含む白金ペーストを塗布した後、1300〜1700℃の温度で同時焼成して酸素センサを作製した後、00〜1100℃の温度で、酸素分圧が10-10(atm)より低いガス雰囲気中で0.5〜1時間熱処理することを特徴とするものである。また、前記白金ペーストが、BET比表面積が30(m2/g)以上のジルコニア粉末を含有することが望ましい。
【0018】
発明によれば、白金電極表面の反応物を分解し、結合エネルギーを高めることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法により得られた酸素センサの一例について図面を参照しながら説明する。図1は、ガスセンサの一例を説明するための図で、(a)は概略斜視図、(b)は(a)のA−A断面図である。但し、図1(a)では説明の便宜上、セラミック保護層13を省略した。
【0021】
図1のガスセンサ1は、酸素イオン伝導性を有するジルコニア等のセラミック固体電解質からなり、先端が封止された円筒管2の内面に、第1の電極として、空気などの基準ガスと接触される基準電極3が被着形成され、また、円筒管2を挟んで基準電極3と対向する位置に第2の電極として、排気ガスなどの被測定ガスと接触する測定電極4が被着形成されている。そして、基準電極3、ジルコニア固体電解質からなる円筒管2および測定電極4によってセンサ部を形成している。
【0022】
そして、先端が封止された円筒管2の外面には、Al23などのセラミック絶縁層6が被着形成されており、そのセラミック絶縁層6には、測定電極4の一部または全部が露出するように開口部7が形成されている。
【0023】
また、上記開口部7の周囲のセラミック絶縁層6中にはセンサ部を加熱するための白金からなる発熱抵抗体8が埋設されている。また、セラミック絶縁層6の表面には、さらに発熱抵抗体8による加熱効率を高めるために、Al23等からなるセラミック保温層9が積層形成されている。
【0024】
円筒管2の内面に形成された基準電極3は、円筒管2の内面および開口側の端面を経由して円筒管2の外表面に設けたセンサ用端子部11aに接続されている。一方、円筒管2の外面に形成された測定電極4は、セラミック絶縁層6およびセラミック保温層9に形成された開口部7の端面を経由してセラミック保温層9の表面に形成されたリード部10に接続され、さらにセラミック保温層9の表面に形成された端子部11bと接続されている。
なお、円筒管2において上記端面に存在するエッジ部は、C面に面取りされ、エッジ部で生じる電気的接続の不良を回避している。
【0025】
また、セラミック保温層9の表面に形成されたリード部10の表面にはさらにZrO2等からなる保護層12が形成されている。この保護層12によって、リード部10を、例えば素子のアッセンブル時の引っかき、あるいは素子の落下時の異物との衝突等の物理的な破壊から保護することができる。この保護層12は固体電解質と同じZrO2で構成することが固体電解質との熱膨張差による応力の発生を防止する上で好ましい。さらに、図1(b)に示すように、少なくとも検知部の表面も、多孔質のセラミック保護層13によって被覆されている。
【0026】
また、センサ用端子部11には、外部回路との接続のための金属部材14がそれぞれロウ材15によってロウ付け固定されている。これによって、検知部において発生した検知データをリード部10、センサ用端子部11および金属部材14を経由して外部回路に接続される。
【0027】
一方、セラミック絶縁層6内に形成された発熱抵抗体8は、同じくセラミック絶縁層6内に形成されたリード部16と、セラミック絶縁層6およびセラミック保温層9を貫通して形成された貫通導体(図示せず)によって、セラミック保温層9の外表面に形成されたヒータ用端子部18と電気的に接続されている。そして、端子部18上には発熱用外部電源と接続するための金属部材19がロウ材等により固定され、これらを通じて発熱抵抗体8に電流を通ずることにより、発熱抵抗体8が加熱され、測定電極4、円筒管2および基準電極3からなる検知部を所定の温度に急速昇温し、センサ部のガス応答性を高めることができる。
【0028】
熱抵抗体8は、リード部16を経由してヒータ用端子部18と接続されており、これらを通じて発熱抵抗体8に電流を流すことにより発熱抵抗体8が加熱され、円筒管2、基準電極3および測定電極4からなるセンサ部を加熱する仕組みとなっているが、この際、発熱抵抗体8のリード部16は、幅広い1本のラインで形成することも可能であるが、2本以上のラインで形成することによって、リード部16を挟む上下のセラミック絶縁層6同時の結合性を高め、素子の強度を高めることができる。
【0029】
さらに、ガスセンサの全体の大きさとしては、外径が3〜6mm、特に3〜4mmの円筒体によって形成することが、消費電力を低減するとともに、センシング性能を高めることができる。
【0030】
の酸素センサによれば、円筒管2の内面および外面に被着形成される基準電極3、測定電極4は、いずれも白金、あるいは白金と、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよび金の群から選ばれる1種との合金からなるものであるが、本発明によれば、このような白金電極を光電子分光分析法により測定したPt4fナロースペクトルにおいて、Ptの結合エネルギーが7.5eV以下、特に71eV以下であることが特徴とする。これは、Ptの結合エネルギーが白金電極の反応性、およびガス応答性と深い関連性があり、この結合エネルギーが7.5eVより大きな白金電極では、電極表面に酸化物や水酸化物などの反応物の生成が多く、その結果、ガス応答性が悪くなるためである。
【0031】
この結合エネルギーは、後述するように、焼成後の熱処理条件や白金電極中に含まれるジルコニア粉末の粒径などによって制御することができる。
【0032】
白金粉末と固体電解質との接合力を高め、応答性に係わる金属粒子と固体電解質と気体との、いわゆる3相界面の接点を増大するとともに、結合エネルギーを低減する目的で、ジルコニアを含有することが望ましく、1〜50体積%、特に10〜30体積%の割合で上記白金電極中に混合することが望ましい。その際、ジルコニアは、白金電極中に平均粒子径が0.1μm以下の微細な粒子として存在していることが結合エネルギーを低下させる上で望ましい。
【0033】
また、この開口部7に露出している測定電極4の形状は特に限定するものではなく、また、開口部7は、円筒管2における対照な位置となる2箇所に設けると熱衝撃性を改善することができる。開口部7の広がりとしては、円筒管2の断面の中心に対して30〜90度の範囲とすることにより、開口部7の周囲への熱応力の発生を抑制し、また、発熱抵抗体8による加熱効率を高めることができる。この開口部7は40〜80度の範囲が特に優れる。
【0034】
一方、固体電解質からなる円筒管2の内面に形成される基準電極3は、測定電極4の前記開口部7より露出する部分に対向する内面部分に形成されていればよく、測定電極4の露出部面積よりも大きい面積、例えば、円筒管2の内面全面に成されていてもよい。
【0035】
筒管2を形成するのに用いられるセラミック固体電解質は、ZrO2を含有するセラミックスからなり、具体的には、Y23およびYb23、Sc23、Sm23、Nd23、Dy23等の希土類酸化物を酸化物換算で1〜30モル%、好ましくは3〜15モル%含有する部分安定化ZrO2あるいは安定化ZrO2が用いられている。また、ZrO2中のZrを1〜20原子%をCeで置換したZrO2を用いることにより、電子伝導性が大きくなり、応答性がさらに改善されるといった効果がある。
【0036】
さらに、焼結性を改善する目的で、上記ZrO2に対して、Al23やSiO2を添加含有させることができるが、多量に含有させると、高温におけるクリープ特性が悪くなることから、Al23およびSiO2の添加量は総量で5重量%以下、特に3重量%以下であることが望ましい。
【0037】
また、固体電解質中のNaの含有量としては、固体電解質からセラミック絶縁層への拡散進入を防止する観点からは200ppm以下、特に100ppmが望ましい。
【0038】
一方、発熱抵抗体8を埋設するセラミック絶縁層6としては、アルミナおよび/またはマグネシアを含有する酸化物、特に、アルミナ材料、スピネル材料、あるいはアルミナとスピネルとの複合化合物材料が好適に用いられる。この際、セラミック絶縁層6の焼結性を改善する目的で、少量Si成分を添加することが望ましいが、その含有率としては酸化物換算で0.1重量%以上でその効果が見られるが、Siの含有量が、5重量%を越えるとセラミック絶縁層6中のNaの拡散と偏析が促進され、白金等からなる発熱抵抗体の寿命が低下しやすいため、Si含有量は0.1〜5重量%の範囲が望ましい。Si含有量としては、0.5〜3重量%が望ましい。特に、0.5〜2重量%がNaの拡散を防止する観点から望ましい。
【0039】
また、このセラミック絶縁層6は、相対密度が80%以上、開気孔率が5%以下の緻密質なセラミックスによって構成されていることが望ましい。これは、セラミック絶縁層6が緻密質であることにより絶縁層の強度が高くなる結果、酸素センサ自体の機械的な強度を高めることができるためである。さらに、セラミック絶縁層6中のNaの含有量は、50ppm、特に30ppm以下とすることがヒータの寿命を延ばすために望ましい。
【0040】
また、上記セラミック絶縁層6の内部に埋設される発熱抵抗体8としては、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウムの群から選ばれる1種の金属、または2種以上の合金からなることが望ましく、特に、セラミック絶縁層6との同時焼結性の点で、そのセラミック絶縁層6の焼成温度よりも融点の高い金属または合金を選択することが望ましい。なお、この発熱抵抗体8の厚さは、発熱抵抗体を形成する抵抗材料や加熱温度、電流値等によって適宜変わるが、抵抗体を白金によって形成し、導体ペーストの印刷塗布、焼成によって形成した場合には、最大厚みで5〜25μm、特に10〜20μmが最適である。
【0041】
また、発熱抵抗体8中には上記の金属の他に焼結防止と絶縁層との接着力を高める観点からアルミナ、スピネル、アルミナ/シリカの化合物、フォルステライトあるいは上述の電解質となり得るジルコニア等を体積比率で10〜80%、特に30〜50%の範囲で混合することが望ましい。
【0042】
発熱抵抗体8を埋設したセラミック絶縁層6の表面に形成されるセラミック保温層9は、ジルコニアセラミックスからなることが望ましい。このジルコニアからなるセラミック保温層9は、固体電解質とセラミック絶縁層6間の熱膨張差や焼成収縮差等に起因する応力を緩和させ、熱応力をできる限り小さくすることができる。この際、円筒管2と発熱抵抗体8の間とセラミック保温層9と発熱抵抗体8の間の距離はそれぞれ2μm以上であることが望ましい。
【0043】
の酸素センサにおいては、図1(b)の要部拡大断面図に示すように、開口部7内にて露出している測定電極4の表面に、多孔質のセラミック保護層13が形成されるが、このセラミック保護層13は、以下の2つの目的で形成される。
【0044】
第1に、排気ガスによって測定電極4が被毒して出力電圧が低下するのを防止することを目的として設けるものであり、露出した測定電極4の表面にジルコニア、アルミナ、マグネシアあるいはスピネル等のポーラスな保護層として形成される。このような保護層を設けた酸素センサは、一般的には理論空燃比センサ(λセンサ)素子として用いることができる。この場合に、セラミック保護層13としては開気孔率が10〜40%の多孔質体からなることが望ましい。
【0045】
第2に、露出した測定電極4の表面に微細な細孔を有するジルコニア、アルミナ、スピネル、マグネシアまたはγ−アルミナの群から選ばれる少なくとも1種のガス拡散律速層として機能させる。このようなガス拡散律速層となるセラミック保護層13としては、開気孔率が5〜30%の多孔質体が望ましい。
【0046】
また、このガス拡散律速層となるセラミック保護層13の表面には、さらに排気ガスの被毒を防止する観点から、前述したアルミナあるいはスピネルからなる前記セラミック保護層を設けることもできる。この様なヒーター体化酸素センサは、後で述べる広域空燃比センサ(A/Fセンサ)として応用することが可能である。
【0047】
次に、本発明のヒータ一体型酸素センサの作製方法について詳述する。
本発明の酸素センサの製造方法について、図1のヒータ一体型酸素センサの製造方法を例にして図2をもとに説明する。
(1)まず図2(a)に示すような両端が開放された中空の円筒管20を作製する。この円筒管20は、ジルコニア等の酸素イオン伝導性を有するセラミック固体電解質粉末に対して、成形用有機バインダーを添加して押出成形や、静水圧成形(ラバープレス)あるいはプレス形成などの周知の方法により作製される。
【0048】
(2)そして、上記固体電解質からなる円筒管20の内面および外面に、基準電極および測定電極となるパターン21、22を例えば、白金を含有する導電性ペーストを用いてスラリーデッィプ法、スクリーン印刷、パット印刷、ロール転写等で形成する。この時、円筒管20内面への基準電極パターン22の印刷は、導体ペーストを充填して排出して、内面全面に塗布形成することが効率がよい。
【0049】
この時に用いる白金ペーストとしては、平均粒径が0.5〜4μm、純度が99%以上、特に99.5%以上の白金粉末、あるいは白金と、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよび金の群から選ばれる1種との合金粉末を金属成分とし、さらにジルコニア粉末を含むことが望ましいが、ジルコニア粉末は、比表面積が30(m2/g)以上、特に60(m2/g)以上の超微粒の粉末であることが望ましい。このように、超微粒のジルコニア粉末を配合することによって、結合エネルギーを低減することができる結果、ガス応答性を高めることができる。
【0050】
その後、ジルコニア材料を石油系溶媒に分散したスラリーを円筒管20の先端側の端部より約3mmの深さまで注入し乾燥する。石油系溶媒を用いる理由は、ジルコニア粉末が分散し易く、内径の小さな円筒管20に注入しやすいことに加えて、スラリーの乾燥が早いことである。この際、石油系溶媒の量としては、ジルコニア材料100重量%に対して、石油系溶媒を5〜25重量%含有するスラリーが好ましい。この際、アクリル系のバインダーをスラリーに1〜5重量%添加すると、この先端封止材と円筒管20内壁との接着力が増加する。この後、円筒管先端を円弧などの所定の形状に加工する。このようにしてセンサ素体Aを作製する。
【0051】
(3)次に、図2(b)に示すようなヒータ素体Bを形成する。まず、上述のジルコニア粉末を含有するスラリーを用いて50〜500μm、特に100〜300μmの厚さのセラミック絶縁層を形成するためのセラミックグリーンシートを作製する。その後、このグリーンシート表面に、アルミナ、スピネル、フォルステライト、ジルコニア、ガラス等のセラミック粉末を用いて、適宜成形用有機バインダーを添加してスラリーを調製し、このスラリーを用いてスクリーン印刷法、パット印刷法、ロール転写法等により印刷した後、その表面に白金などの金属粉末を含む導電性ペーストをスクリーン印刷法、パット印刷法、ロール転写法等により印刷して、本発明のリードパターンを含む発熱抵抗体パターン24を塗布する。そして、再度、絶縁性スラリーを塗布する。その後、開口部25をパンチングなどによって形成することにより、セラミック保温層9となるジルコニア層23と発熱抵抗体24を埋設したセラミック絶縁層26との未焼成の積層体からなるヒータ素体Bが得られる。
【0052】
(4)次に、図2(c)に示すように、上記円筒状のセンサ素体Aの表面に、ヒータ素体Bを巻き付けて円筒状積層体を作製する。この際、ヒータ素体Bをセンサ素体Aに巻き付けるには、ヒータ素体Bとセンサ素体Aとの間にアクリル樹脂や有機溶媒などの接着剤を介在させて接着させたり、あるいはローラ等で圧力を加えながら機械的に接着することができる。この時、巻き付けされたヒータ素体Bの合わせ目は、焼成時の収縮を考慮し、シート端部同志を重ねるか、あるいは所定の間隔をおいて接着してもよい。また、円筒管の先端とヒータ素体Bの巻き付け位置は、焼成後0.5〜2mmになるように調整する。
【0053】
(5)そして、上記の円筒状積層体を、それぞれの構成要素が同時に焼成可能な温度で焼成することにより、センサ素体Aとヒータ素体Bとを一体化することができる。焼成は、例えば、アルゴンガス等の不活性雰囲気中あるいは大気中1300〜1700℃で1〜10時間程度焼成することが適当である。
【0054】
また、本発明によれば、上記の焼成によって白金電極の表面に酸化物や水酸化物が生成されるのを防止するために、上記焼成の際に還元性ガスに酸素センサを暴露することも出来るが、ジルコニア固体電解質が還元されたり、固体電解質中の正方晶が単斜晶に変態し、強度が低下するなどの問題が発生する場合がある。
【0055】
そこで、本発明によれば、焼成後の酸素センサに対して、白金電極に通電を行い、自己発熱させて、00℃以上の温度で酸素分圧が10-10(atm)より低いガス雰囲気、例えばH2/N2やCO/CO2雰囲気に、0.5時間から1時間程度暴露することにより、焼成中に形成された白金電極表面の反応生成物を除去することができる。
【0056】
なお、上記の製造方法では、基準電極パターン22および測定電極パターン21を円筒管20形成時に塗布したが、これらの電極の形成は、電極を有しない円筒管20の表面にヒータ素体Bを巻き付けて円筒状積層体を作製した後、円筒状積層体に対して、電極ペーストをスクリーン印刷、パット印刷、ロール転写法あるいは浸漬法によって円筒管20の内面およびヒータ素体Bにおける開口部25内の円筒管20表面に塗布するか、またはスパッタ法やメッキ法にて形成することもできる。
【0057】
さらに、図1のセラミック保護層13を形成するには、焼成後に、アルミナ、スピネル、ジルコニア等の粉末をゾルゲル法、スラリーディップ法、印刷法などによって印刷塗布し、焼き付け処理したり、上記セラミックスをスパッタ法あるいはプラズマ溶射法により被覆して形成するか、または、円筒状積層体を作製する際に予めセラミック保護層13を形成するスラリーを塗布した後に、同時に焼成し形成することも可能である。
【0058】
上記の製造方法によれば、1回の焼成工程でセンサ、ヒータ、セラミック部材の一体物を作製することができ、別途接合工程を必要としないことから、製造歩留りや製造コストの低減を図ることができるために非常に好ましい。
【0059】
本発明のヒータ一体型酸素センサは、図1の構造のものに限定されるものでなく、種々の酸素センサに適用することができる。そこで、図3には、いわゆるA/Fセンサの例についてその(a)概略斜視図と、(b)縦断面図を示した。
【0060】
このヒータ一体型空燃比センサは、固体電解質からなり一端が封止された円筒管30の外側に、空間31を介して、さらに拡散孔32aを有する固体電解質層32を設け、前記円筒管30の内外面に基準電極33および測定電極34からなる第1の電極対を形成すると同時に、空間31を介して形成した固体電解質層32の内外面に内側電極35、外側電極36からなる第2の電極対を形成したものである。そして、これらの検知部の周囲に発熱抵抗体37を埋設したセラミック絶縁層38を配置した構造からなる。この空燃比センサにおいては、第2の電極35、36間に電流を流し、空間31内の酸素濃度が一定になるように第1の電極33、34で検知しながら空間31内に酸素ガスを流入させたり、あるいは排出させたりして、排気ガス中の空燃比を測定するものである。
【0061】
本発明によれば、この図3の酸素センサにおいても、発熱抵抗体37の断面における平均線幅を0.1〜0.3mm、その平均最大厚みを5〜25μmとすることによってマイグレーションの発生による抵抗増大などの現象を防止することができ、酸素センサの長寿命化を図ることができる。
【0062】
【実施例】
(実施例1)
まず、5モル%Y23含有のジルコニア粉末にポリビニルアルコール溶液を添加して坏土を作製し、押出成形により焼結後外径が約4mm、内径が2mmになるようにな一端が封じた円筒状成形体を作製した。
【0063】
また、5モル%Y23含有のジルコニア粉末にポリビニルアルコール溶液を加えてスラリーを作製し、厚みが約300μmのグリーンシートを作製した。このグリーンシートに前記測定電極の形状と一致する長方形状の種々の大きさを有する第1開口部と反対側に位置するように同じ大きさと同じ形状の第二開口部をパンチングによってそれぞれ開けた。
【0064】
その後、開口部以外の部分にアルミナ粉末を焼成後の厚みが約20μmとなるように塗布した後、開口部の周囲に白金粉末を含む導体ペーストを用いて焼成後の厚みが10μmになるように発熱体パターンをスクリーン印刷し、さらにその上にアルミナ粉末を焼成後の厚みが20μmとなるように塗布して、アルミナ中に白金の発熱体を埋設したヒータ素体を作製した。
【0065】
そして、上記の円筒状成形体の表面に、接着剤としてアクリル系樹脂を用いて上記ヒータ素体を巻き付け円筒状積層体を作製した。
【0066】
一方、BET比表面積が約100(m2/g)の8モル%Y23含有のジルコニア超粉末と、平均粒径が約1μmで純度が99.7%の白金粉末を三本ロールを用いて、圧粉しながら約24時間混合を行いジルコニア粉末を白金結晶粒子内に含有させた白金ペーストを調製した。なお、白金とジルコニア粉末との比率は、体積比で70:30とした。
【0067】
そして、この白金ペーストを円筒状積層体の外面の所定の位置に塗布し、測定電極を形成するととともに、円筒状成形体の内部全面にも同様な白金ペーストを塗布して基準電極を形成した。なお、測定電極および基準電極の厚みは焼成後に約5μmとなるように調整した。
【0068】
その後、この円筒状積層体を大気中にて1300〜1700℃で0.5〜10時間焼成した。また、上記の大気中で焼成した円筒状焼結体を300℃〜1200℃の温度範囲において、0.5〜24時間、H2/O2/N2の混合ガス中に暴露し、測定電極の還元処理を行った。この時の酸素分圧を合わせて表1に示した。
【0069】
この後、それぞれの白金電極について、光電子分光分析法によりX線源としてモノクロAlKα線を用いて白金のPt4fナロースペクトルを測定することによりPtの結合エネルギーを求めた。測定面積は約200μmφであった。
【0070】
また、開口部内の測定電極の表面に、プラズマ溶射によりスピネルからなる気孔率が約30%のセラミック保護層を約100μmの厚みで形成して図1に示すような理論空燃比センサを作製した。
【0071】
作製した酸素センサ素子について、600℃においてCO/CO2/H2/N2,C38からなる混合ガスを用い空燃比を14から15に変化させた時の素子のガス応答時間を求めた。この際、応答時間は、空燃比が15の時の起電力に対して60%まで変化した時の時間をガス応答時間とした。この際、比較のため市販の平板型センサについても同様の測定を行った。その結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
Figure 0004637375
【0073】
表1より、Ptの結合エネルギーが71.5(eV)以下の試料は、いずれもガス応答性が125(ms)以下の優れた応答性を示し、特に71(eV)以下では80(ms)以下のさらに優れた応答性を示した。これに対してPtの結合エネルギーが71.5(eV)を越える試料No.2〜4、8、13、14および市販品ではガス応答性が悪かった。また、熱処理条件については、処理温度が400℃よりも低い試料No.2では、結合エネルギーが72.5eVよりも大きくなり、処理温度が1100℃を越える試料No.16では、固体電解質が還元されて素子が破壊した。従って、熱処理条件に関しては、処理温度が800〜1100℃で良好な結果を得た。
【0074】
(実施例2)
実施例1と同様な方法に従い、BET比表面積が約21〜102(m2/g)の8モル%Y23含有のジルコニア超微粉末を5〜38重量%結晶内に含有する白金粉末を作製した。この後、この白金粉末を電極として用い実施例1に従い理論空燃比センサ素子を作製した。この際、焼成は1400℃、大気中2時間行った。
【0075】
この後、実施例1に従い、素子を800℃の温度で0.5時間(酸素分圧が2×10-11atm)と600℃で1時間(酸素分圧4×10-13atm)、それぞれN2/H2混合雰囲気に暴露し、測定電極の還元処理を行った。その後、Ptの結合エネルギーと応答時間を測定した。結果を表2に示す。
【0076】
【表2】
Figure 0004637375
【0077】
表2より、白金粉末中に含有させるジルコニア粉末の大きさとしては、BET値が30(m2/g)以上のものが、さらにガス応答性が向上することがわかる。
【0078】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の酸素センサによれば、ジルコニア固体電解質基体表面に形成される白金電極の結合エネルギーを制御することによって、酸素センサのガス応答性を改善することができる。特に、固体電解質基体と白金電極とが同時焼成して形成した場合のガス応答性の劣化も所定の加熱処理や白金電極中のジルコニア粉末の制御によって結合エネルギーを制御でき、それによって高いガス応答性を実現することができる。しかも、本発明の酸素センサは、発熱抵抗体を内蔵するセラミック絶縁層とを同時焼成して作製できるため、製造コストが極めて安価になり、経済性の観点からも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造方法により得られた酸素センサの一例を説明するための図で、(a)は概略斜視図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図2】本発明の酸素センサを製造する方法の一例を説明するための工程図である。
【図3】本発明の製造方法により得られた酸素センサの他の例を説明するための図で、(a)は概略斜視図、(b)は(a)のX−X断面図である。
【図4】従来のヒータ一体型の円筒型酸素センサの概略図である。
【符号の説明】
1 センサ
2 円筒管(固体電解質基体)
3 基準電極
4 測定電極
6 セラミック絶縁層
7 開口部
8 発熱抵抗体
9 セラミック保温層
13 セラミック保護層
21 セラミック部材

Claims (2)

  1. 未焼成のジルコニア固体電解質基体の少なくとも内外面の対向する位置に、測定電極と基準電極とを形成する箇所に平均粒径が0.5〜4μmの白金粉末を含む白金ペーストを塗布した後、1300〜1700℃の温度で同時焼成して酸素センサを作製した後、00〜1100℃の温度で、酸素分圧が10-10(atm)より低いガス雰囲気中で0.5〜1時間熱処理することを特徴とする酸素センサの製造方法。
  2. 前記白金ペーストが、BET比表面積が30(m2/g)以上のジルコニア粉末を含有することを特徴とする請求項1記載の酸素センサの製造方法。
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