JP3548891B2 - 絶縁被覆導線の接合方法及び接合体 - Google Patents
絶縁被覆導線の接合方法及び接合体 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、絶縁被覆導線の接合方法及び接合体に係り、特にコイル状に形成された絶縁被覆導線の両端部と、その両端部を包み込む導体端子とを接合し、接合中に絶縁被覆を除去して導電性及び機械的強度、耐食性に優れた接合部を得る絶縁被覆導線の接合方法及び接合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
コイル状に形成された絶縁被覆導体と、その絶縁被覆導体の一部を包込む導体端子とを接続する方法は、特公昭50−18940号及び特公昭56−28355号の各公報に見られるように、熱圧着方式が用いられている。この方式では絶縁導体が絶縁被覆で覆われているため通電出来ず、そこであらかじめ平行な2つの側辺部材と、その側辺部材の一方の端のそれぞれを接続する半環状部材とからなるU字形の導体端子の溝に絶縁被覆導体を挿入し、両側辺部材を上電極と下電極とで挾んで加圧し、電極間に電流を流すことによってU字形の導体端子を発熱させ、その熱で絶縁被覆を炭化させて除去し、絶縁被覆導体の芯線と導体端子を接触させて接続している。この接合方法では、抵抗溶接機を用いており、通電時間は短く、絶縁被覆導体の芯線と導体端子は機械的に接触するのみで、金属的接合とはなっていない。そのため結合強度を確保する手段として、加圧力によるかしめを利用した接続を採用しているが、疲労強度が低く、また長期使用に際し電気的特性が著しく低下する欠点があった。
【0003】
その改良技術として、特開昭61−199575号公報には絶縁被覆導体と導体端子間に接合用導体を配置し、それを溶融して絶縁被覆導体と導体端子を接続する方法が開示されている。接合用導体としてCu−50SnやCu−45Znなどを使用例として示しているが、これらは溶融温度が高く被覆の炭化除去処理の加熱中に酸化し、その結果信頼性の高い接続が得られない欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術において、絶縁被覆導体と導体端子との結合部は金属的接合の観点において十分でなく、そのため機械的な接続強度が低く、振動並びにヒ−トサイクルなどの負荷による端子のゆるみに伴い電気的特性にも信頼性上問題があった。つまり、従来の接合方法は絶縁被覆の除去には有効であるが、信頼性の高い金属的接合を達成するには問題があった。
【0005】
そこで、本発明においては、絶縁被覆導線の絶縁被覆を炭化することと、金属的接合(冶金的反応)を別々に考えることにした。すなわち、U字形状の導体端子を、絶縁被覆導線を挿入し保持する保持部と、導体端子の溝開口部が絶縁被覆導線を挾んで閉じられるような開口端部とからなる構造とし、このU字形状の導体端子の開口端部内面に比較的低融点成分の接合助剤(ろう材)を予め付着させ、そのU字形状の導体端子の保持部に絶縁被覆導線を挿入した状態で導体端子を、加圧し、通電加熱して、絶縁被覆導線の絶縁被覆を炭化して排出すると共に、開口端部内面を接合助剤の成分と導体端子の成分からなる合金層を介して金属的接合することにより、絶縁被覆導線と導体端子とを接合する強固な接合継手を実現できることを見出した。
【0006】
本発明の目的は、絶縁被覆導線を包む込むように収納した導体端子の開口端部内面を、上記のように合金層を介して金属的接合を行なうことにより、高い接合強度及び耐熱性を有する接合継手が得られる絶縁被覆導線の接合方法及び接合体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の絶縁被覆導線の接合方法は、略U字状に形成され、内面に接合助剤が付着された導体端子を準備する第1のステップと、前記導体端子の対向内面間に、該導体端子の開口端部を残して絶縁被覆導線を配置する第2のステップと、前記開口端部と前記絶縁被覆導線が配置された部分とを前記対向内面の外側から加圧するとともに、該絶縁被覆導線の絶縁被覆を炭化しかつ前記接合助剤を溶融する温度に通電加熱する第3のステップと、前記開口端部の前記対向内面にそれぞれ形成される該導電体端子の成分と前記接合助剤の成分との合金層同士が接合される圧力で、前記開口端部と前記絶縁被覆導線が配置された部分とを前記対向内面の外側から加圧する第4ステップとを有し、前記接合助剤は前記絶縁被覆導線の絶縁被覆の炭化温度より低い融点を有することを特徴としている。
【0009】
接合助剤は、絶縁被覆の熱破壊温度より低い融点を有し、導体端子の材料と反応して接合助剤より高い融点の合金層を生成するものがよく、導体端子がCu又はFe系の材料から構成されている場合、接合助剤はSn又はZn、あるいはSn,Zn,Au,Ag,Pb,P,Pd,Cu及びBiのうちの2種類以上からなり450℃以下の融点を有するものを用いるのが好ましい。
【0010】
また、絶縁被覆がJIS C 4003に規定するY種からA,E,B,F,H及びC種のいずれかの絶縁被覆導線を対象としている。
【0011】
また、第2段階で加圧する圧力は1〜5 kg/mm2が好ましく、圧力が1 kg/mm2以下では接合強度が十分でなく、5 kg/mm2以上では接合部が過度に変形するので好ましくない。
【0012】
さらに、絶縁被覆導線の接合方法は、内面に接合助剤が付着された長穴の貫通穴を有する導体端子を準備する第1のステップと、前記貫通穴内に絶縁被覆導線を配置する第2のステップと、前記導体端子の前記絶縁被覆導線が配置された部分を含む全体を外側から加圧するとともに、該絶縁被覆導線の絶縁被覆を炭化しかつ前記接合助剤を溶融する温度に通電加熱する第3のステップと、前記絶縁被覆導線が配置されていない部分の前記貫通穴の対向内面にそれぞれ形成される該導電体端子の成分と前記接合助剤の成分との合金層同士が接合される圧力で、前記導体端子の前記絶縁被覆導線が配置された部分を含む全体を外側から加圧する第4ステップとを有し、前記接合助剤は前記絶縁被覆導線の絶縁被覆の炭化温度より低い融点を有するものとすることができる。この場合、導体端子は、2つの辺部材を重ね合わせて貫通穴が形成されていてもよい。
【0013】
【作用】
本発明の絶縁被覆導線の接合方法を実施する接合装置として、加圧と通電加熱を行うことができる抵抗溶接機を用いるのが都合が良い。加熱と加圧が同時に出来、しかも、短時間で接合が出来ることによる。実際の接合作業では、大気中で接合出来るのが、量産、低コスト接合に好都合であり、この場合接合時間は短ければ短いほど酸素との反応が少ないため良好な継手が得られる。また、抵抗溶接機は接合部の信頼性をより高めるために、二段加熱、加圧方式を採用することが好ましい。
【0014】
即ち、最初の一段目の加圧、通電では、絶縁被覆導線の絶縁被覆を炭化させることで、またこのとき接合助剤はその間絶縁被覆材より溶融温度が低いため溶融し、導体端子との反応が進み接合助剤と導体端子の母材との界面に合金層が形成される。その後二段目の加圧、通電で、炭化した絶縁被覆を接合面外へ排出させると同時に、端子界面に形成された合金層同士を介して加圧により端子を接触させて接合するものである。
【0015】
このような種々の条件を満足する接合助剤は450℃以下の溶融温度で、しかも導体端子の母材と合金層を形成しやすい金属元素である必要がある。ここで端子はCu及びCu合金とすると、Cuと反応性の良好な元素はSn,Zn,Au,Ag,P,Pdなどであるが、融点を調整するためにはPb、Biなども含有されていても良い。むしろ低融点化された成分の接合助剤の方が短時間の加熱の場合には合金層が形成され易く好都合である。
【0016】
例えば、接合助剤としてPb−50%Snを用いた場合、その溶融温度は約200℃である。コイルはポリエステル絶縁被覆(PEWと呼ぶ)の場合、炭化温度は約550℃であることから、まず一段目の加熱、加圧で少なくとも550℃以上に加熱される。その間Pb−50Snは溶融し導体端子のCu母材と反応し、導体端子との界面にCu−Snの合金層が、また母材間の中央部には未反応のPb,Snが形成されている。次に二段目の加熱、加圧によってPEWの炭化物が排出され、被覆が除去された絶縁被覆導線の芯線同士及び導体端子とが電気的に接続される。一方、導体端子の開口部の接合は未反応なPb,Snが接合面外へ押しやられ、接合部にはCu−Sn合金層だけが残存する。合金層の厚さはほぼ2μmであった。
【0017】
この成分をEPMAにより分析するとCu−20〜30%Snであり、Cu−Sn二元状態図から分かるように融点が700℃以上となり、それに伴って接合強度も10kgf/mm2以上と向上する。このように低融点のはんだを用いるが、接合後の継手は高強度、高耐熱特性を有する。他の成分の接合助剤を適用しても同様な結果が得られる。形成される合金層としてはAu−Snの場合、Cu−Au−Snが、Sn−Agの場合はCu−Sn−Agが、Sn− Znの場合Cu−Sn−Znが,Znの場合はCu−Znが夫々得られる。
【0018】
Fe系の端子母材を接合する場合は、Cuの代わりにFeが合金層に含有される。このようにして形成された合金層は150℃以上にも耐え、たとえ絶縁被覆材が損傷しても接合部は十分耐えることが出来る。なお、このような優れた特性を得るために、接合面に1〜5kgf/mm2の加圧を与えることが必要である。
【0019】
本発明が適用可能な絶縁被覆材は、加熱により溶融又は、炭化するものであれば全て該当する。すなわち、エナメル銅線(EW),ホルマ−ル銅線(PVF),ポリエステル銅線(PEW),及びアミド イミド銅線 (AIW)など低耐熱性から高耐熱性まで適用できる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の絶縁被覆導線の接合方法の一実施例を示す。図1は、コイル状に形成された絶縁被覆導線9の両端部をU字状導体端子5のU溝内に挿入して、それら絶縁被覆導線9と導体端子5(以後、端子5という)とを抵抗溶接法で接合する基本的な工程を示す図である。図2は抵抗溶接条件である加圧力及び溶接電流を示すチャートである。
【0021】
図1(a)は、接合される部材の配置状態を示す図で、図中、抵抗溶接機の相対する上電極1と下電極4との間に、略U字形状の端子5が横たわった状態で挟まれ、さらに端子5のU溝の底にあたる部分には、絶縁被覆導線10の両端部が端を同一方向に向けて挿入されている。本実施例で用いられたU字形状の端子5は、下電極4に当接する下辺部材7が真っ直ぐであり、一方、上電極1に当接する上辺部材6はU溝開口側で開口を閉じる方向に2段に成形されており、上辺部材6と下辺部材7とをつなぐ底に当たる部分は半円形状の半環状部材8である。上辺部材6は、さらに絶縁被覆導線10を包む把持部分6bと、絶縁被覆導線10から張り出した張出し部分6aから成る。そして端子5のU溝内面には接合助剤9を予め付着させておく。この接合助剤の付着方法は一般的なやり方で良く、端子にクラッドさせておくか、粉末をペ−スト状にして塗布するか、溶射による吹き付け、箔をくるませるか、めっきによるか等種々の方法が適用可能である。
【0022】
上電極1の先端は端子5の上辺部の形状に合わせて2段に形成され、端子5の把持部分6bに当接して絶縁被覆導体10を接合する部分2と、端子5の張出し部に当接して端子5の開口端部を接合する部分3とから構成され、下電極4の先端は端子5の下辺の形状に合わせて平坦としている。絶縁被覆導線10はCuの芯材12とそれを被覆する絶縁被覆11とから成っている。このように部材を配置した状態では、図2に示すように加圧力P及び通電電流Iは零である。
【0023】
図2(b)は、第一段の通電加熱/加圧の工程における端子5と絶縁被覆導線10の状態を示すもので、端子5が電極1,4により加圧されると共に、電流が上電極1、端子5及び下電極4を通じて流れ、端子5は抵抗熱を発生する。その抵抗熱により絶縁被覆11が炭化される。加熱温度は絶縁被覆11の炭化より少し高めとし、その時、接合助剤8も溶融し、端子5と接合助剤8の界面に端子中の成分と接合助剤の成分とが反応して合金層13が形成される。通常この合金層の厚さは7μm以下である。
【0024】
図1(c) は第二段の通電加熱/加圧の工程を示すもので、図2に示すように加圧力P及び電流Iは第一段の通電加熱/加圧の工程におけるよりそれぞれ高くする。この時、炭化された絶縁被覆11は溶融した接合助剤9の排出と共に端子5の接合面外へ排出され、Cuの芯材12同士、および芯材12と導体端子5とが電気的に接続される。一方、加熱により端子5内面の合金層の反応が更に進み、加圧力の付与により、接合助剤8で端子5と未反応の成分のものが排出され、端子5の開口端部の合金層同士が金属的に接合される。この時の加圧力は1〜5 kg/mm2がよい。1 kg/mm2以下では接合強度が十分でなく、5 kg/mm2以上では接合部が過度に変形するので好ましくない。
【0025】
〈実施例 1〉
U字形状の端子5としてCu製のものを用い、絶縁被覆導線10としてアミドイミド銅線(AIW)を用い、また端子5の内面に形成する接合助剤8としてSn−3.5%Ag(溶融温度:約230℃)をめっきして付着させて、図1で説明した接合方法により絶縁被覆導線10と端子5とを接合した。なお、抵抗溶接機の電極はMoで構成し、また端子接合面にかかる加圧力は2kgf/mm2とした。
【0026】
〈実施例 2〉
端子5にCu製のものを用い、絶縁被覆導線10としてポリエステル銅線(PEW)用い、接合助剤9にはSn(溶融温度:約240℃)めっきを10μm形成させ、図1で説明した接合方法によりMo電極を介して通電加熱/加圧して、絶縁被覆導線10と端子5とを接合した。その時の端子接合面にかかる加圧力は3kgf/mm2とした。
【0027】
〈比較例 1〉
実施例2の組合せで、端子接合面にかかる加圧力は、特別には付与しないで、同様に抵抗溶接機を用いて絶縁被覆導線10と端子5とを接合した。
【0028】
〈比較例 2〉
図3に示すように端子5はその辺部の長さが短く、そのU溝に挿入した絶縁被覆導線から張り出す部分がなく、Cu製のものとし、絶縁被覆導線10としてアミドイミド銅線(AIW)を用い、接合助剤9にはSn−3.5%Ag(溶融温度:約230℃)をめっきして付着させ、通電加熱/加圧による抵抗溶接機を用いて絶縁被覆導線10と端子5とを接合した。なお、電極材はMoを用い、加圧力は1kgf/mm2とした。
【0029】
以上の実施例1,2及び比較例1,2で得た接合体について引張試験を実施した。引張試験は、できるだけ真の接合強度が見られるように、端子5より突き出した導線10の先端部分を切断して実施した。導線の先端部を切断したのは、先端部がそのまま残っていると、引張試験の際先端部が端子にひっ掛かって、くびれの効果がでるので、その効果を除去するためである。
【0030】
その引張試験結果は、比較例1及び2で得た接合体においては、導線10は導線10と端子5との接合箇所からぬけた。又、150℃の高温引張試験においては、その高温引張強度は室温強度より低い値を示した。
【0031】
それに対し、実施例1,2のごとく加圧力を付与して端子の開口部分の接合面を合金層を介して接合した接合体は、実施例のいずれの場合にも導線自身から破断した。また、150℃の高温引張試験においても導線から破断した。すなわち、接合箇所は母材以上の強度を有して健全であり、高い接合強度と高い耐熱性を示した。
【0032】
また、接合部の接合状態を顕微鏡組織で観察したところ比較例の接合体では、端子と導線との接合界面に接合不良を示す黒い線が観察され、金属的接合は見られなかった。
【0033】
それに対し、本発明の実施例1及び2では、導線と端子の接合部にも金属的接合が観察され、更に端子の両辺分部の接合部には良好な金属的接合が見られた。実施例1の合金層は、EPMA分析の結果からCu−Sn−Agが形成されていた。また、実施例2の合金層には、Cu−Snが形成されていた。これらの合金層は2〜4μm存在し、端子同士が合金層を介して金属的接合されている様子が観察された。
【0034】
なお、この界面は最初の接合助剤の溶融温度、230℃,240℃より高い溶融温度に変化していることも確認され、耐熱性も向上することが分かった。
【0035】
前述した引張試験で本発明の各実施例で得られた接合体が安定した強度を持つのは、接合助剤と導体端子の母材とが反応して合金層を形成し、その合金層同士で導体端子の開口部が閉じて金属接合(又は、冶金的接合とも呼ぶ)が十分達成されていることが大きな要因である。また、この状態は電気的にも非常に電気抵抗の低い安定した数値を示すことも分かった。
【0036】
その他の接合助剤としてAu−Sn,Zn単体もしくはZn−Sn,Sn−Pb,Sn−Pなどのものを選択して使用しても良好な接合が行なわれ、長時間に渡る使用に際しても安定なものとなる。
【0037】
上記各実施例では端子の接合面全面に助剤を付着させたが、本質的には端子同士が接合する部分だけで良い。端子としては実施例1,2で用いた変形U字形状の端子の他に、図4に示す断面がレーストラック形状のもの、図5に示す断面が長方形環状のもの、図6に示すように断面が凹状で両端にフランジ部を有する
フランジ付凹状片を一対にして構成した端子、図7に示すように短冊をレーストラック形状に巻いて両端部重ね合わせた端子、又は図8に示す様フランジ付凹状片と平板とを組み合わせた端子を用いても良い接合体が得られる。接合するべき導線として絶縁被覆付きのもの以外にも、予め被覆を剥離した導線と端子と組み合わせて用いても同様に耐熱性を有する接合体が得られる。また通電抵抗加熱の代りに超音波振動を付与することによっても、同様な被覆剥離及び端子部の合金層接合は達成することができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、導線絶縁被覆導線の接合方法を、U字形状の溝面の少なくとも開口端部に低融点の接合助剤を付着させたU字形状の導体端子のその溝内に絶縁被覆導線の端部を挿入し、第1段階の加圧/通電で絶縁被覆導線の絶縁被覆を炭化すると共に、接合助剤を溶融させて導体端子の開口端部の溝面に接合助剤より高い融点の合金層を形成し、第2段階の加圧/通電で炭化した絶縁被覆を導体端子と絶縁被覆導線の芯線間から排出すると共に、導体端子の溝の開口端を合金層を介して接合する方法としたので、導体端子が閉じて絶縁被覆導線の芯線を締め付け、合金層による金属接合により接合強度及び耐熱性に優れた、且つ電気的にも低い抵抗値を示す接合継手が得られ、この接合継手は長期間にわたり導電体として安定して使用することができる。
【0039】
また、溝形状をU字形状の代わりに横長穴形状とした導体端子を用い、横長穴の端部に接合助剤を付着させて、上記同様の接合を行うことにより、接合強度及び耐熱性に優れ電気的接続の良好な、且つ耐久性のある接合継手を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における各段階での絶縁被覆導線とU字形状の導体端子の結合状態を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施例における各段階での加圧力と通電電流を模式的に示す図である。
【図3】比較例の接合継手を示す断面図である。
【図4】横長穴を形成する導体端子の接合状態を示す断面図である。
【図5】横長穴を形成する導体端子の接合状態を示す断面図である。
【図6】本発明の応用例である導体端子の形状を示す断面図である。
【図7】本発明の応用例である導体端子の形状を示す断面図である。
【図8】本発明の応用例である導体端子の形状を示す断面図である。
【符号の説明】
1 上電極
2 上電極の先端部(絶縁被覆導線を加圧)
3 上電極の先端部(導体端子の開口部を加圧)
4 下電極
5 導体端子
6a,6b 導体端子の上側の側辺部材
7 導体端子の下側の側辺部材
8 導体端子の半環状部材
9 接合助剤コイル
10 絶縁被覆導線
11 絶縁被覆
12 Cu芯材
13 合金層
【産業上の利用分野】
本発明は、絶縁被覆導線の接合方法及び接合体に係り、特にコイル状に形成された絶縁被覆導線の両端部と、その両端部を包み込む導体端子とを接合し、接合中に絶縁被覆を除去して導電性及び機械的強度、耐食性に優れた接合部を得る絶縁被覆導線の接合方法及び接合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
コイル状に形成された絶縁被覆導体と、その絶縁被覆導体の一部を包込む導体端子とを接続する方法は、特公昭50−18940号及び特公昭56−28355号の各公報に見られるように、熱圧着方式が用いられている。この方式では絶縁導体が絶縁被覆で覆われているため通電出来ず、そこであらかじめ平行な2つの側辺部材と、その側辺部材の一方の端のそれぞれを接続する半環状部材とからなるU字形の導体端子の溝に絶縁被覆導体を挿入し、両側辺部材を上電極と下電極とで挾んで加圧し、電極間に電流を流すことによってU字形の導体端子を発熱させ、その熱で絶縁被覆を炭化させて除去し、絶縁被覆導体の芯線と導体端子を接触させて接続している。この接合方法では、抵抗溶接機を用いており、通電時間は短く、絶縁被覆導体の芯線と導体端子は機械的に接触するのみで、金属的接合とはなっていない。そのため結合強度を確保する手段として、加圧力によるかしめを利用した接続を採用しているが、疲労強度が低く、また長期使用に際し電気的特性が著しく低下する欠点があった。
【0003】
その改良技術として、特開昭61−199575号公報には絶縁被覆導体と導体端子間に接合用導体を配置し、それを溶融して絶縁被覆導体と導体端子を接続する方法が開示されている。接合用導体としてCu−50SnやCu−45Znなどを使用例として示しているが、これらは溶融温度が高く被覆の炭化除去処理の加熱中に酸化し、その結果信頼性の高い接続が得られない欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術において、絶縁被覆導体と導体端子との結合部は金属的接合の観点において十分でなく、そのため機械的な接続強度が低く、振動並びにヒ−トサイクルなどの負荷による端子のゆるみに伴い電気的特性にも信頼性上問題があった。つまり、従来の接合方法は絶縁被覆の除去には有効であるが、信頼性の高い金属的接合を達成するには問題があった。
【0005】
そこで、本発明においては、絶縁被覆導線の絶縁被覆を炭化することと、金属的接合(冶金的反応)を別々に考えることにした。すなわち、U字形状の導体端子を、絶縁被覆導線を挿入し保持する保持部と、導体端子の溝開口部が絶縁被覆導線を挾んで閉じられるような開口端部とからなる構造とし、このU字形状の導体端子の開口端部内面に比較的低融点成分の接合助剤(ろう材)を予め付着させ、そのU字形状の導体端子の保持部に絶縁被覆導線を挿入した状態で導体端子を、加圧し、通電加熱して、絶縁被覆導線の絶縁被覆を炭化して排出すると共に、開口端部内面を接合助剤の成分と導体端子の成分からなる合金層を介して金属的接合することにより、絶縁被覆導線と導体端子とを接合する強固な接合継手を実現できることを見出した。
【0006】
本発明の目的は、絶縁被覆導線を包む込むように収納した導体端子の開口端部内面を、上記のように合金層を介して金属的接合を行なうことにより、高い接合強度及び耐熱性を有する接合継手が得られる絶縁被覆導線の接合方法及び接合体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の絶縁被覆導線の接合方法は、略U字状に形成され、内面に接合助剤が付着された導体端子を準備する第1のステップと、前記導体端子の対向内面間に、該導体端子の開口端部を残して絶縁被覆導線を配置する第2のステップと、前記開口端部と前記絶縁被覆導線が配置された部分とを前記対向内面の外側から加圧するとともに、該絶縁被覆導線の絶縁被覆を炭化しかつ前記接合助剤を溶融する温度に通電加熱する第3のステップと、前記開口端部の前記対向内面にそれぞれ形成される該導電体端子の成分と前記接合助剤の成分との合金層同士が接合される圧力で、前記開口端部と前記絶縁被覆導線が配置された部分とを前記対向内面の外側から加圧する第4ステップとを有し、前記接合助剤は前記絶縁被覆導線の絶縁被覆の炭化温度より低い融点を有することを特徴としている。
【0009】
接合助剤は、絶縁被覆の熱破壊温度より低い融点を有し、導体端子の材料と反応して接合助剤より高い融点の合金層を生成するものがよく、導体端子がCu又はFe系の材料から構成されている場合、接合助剤はSn又はZn、あるいはSn,Zn,Au,Ag,Pb,P,Pd,Cu及びBiのうちの2種類以上からなり450℃以下の融点を有するものを用いるのが好ましい。
【0010】
また、絶縁被覆がJIS C 4003に規定するY種からA,E,B,F,H及びC種のいずれかの絶縁被覆導線を対象としている。
【0011】
また、第2段階で加圧する圧力は1〜5 kg/mm2が好ましく、圧力が1 kg/mm2以下では接合強度が十分でなく、5 kg/mm2以上では接合部が過度に変形するので好ましくない。
【0012】
さらに、絶縁被覆導線の接合方法は、内面に接合助剤が付着された長穴の貫通穴を有する導体端子を準備する第1のステップと、前記貫通穴内に絶縁被覆導線を配置する第2のステップと、前記導体端子の前記絶縁被覆導線が配置された部分を含む全体を外側から加圧するとともに、該絶縁被覆導線の絶縁被覆を炭化しかつ前記接合助剤を溶融する温度に通電加熱する第3のステップと、前記絶縁被覆導線が配置されていない部分の前記貫通穴の対向内面にそれぞれ形成される該導電体端子の成分と前記接合助剤の成分との合金層同士が接合される圧力で、前記導体端子の前記絶縁被覆導線が配置された部分を含む全体を外側から加圧する第4ステップとを有し、前記接合助剤は前記絶縁被覆導線の絶縁被覆の炭化温度より低い融点を有するものとすることができる。この場合、導体端子は、2つの辺部材を重ね合わせて貫通穴が形成されていてもよい。
【0013】
【作用】
本発明の絶縁被覆導線の接合方法を実施する接合装置として、加圧と通電加熱を行うことができる抵抗溶接機を用いるのが都合が良い。加熱と加圧が同時に出来、しかも、短時間で接合が出来ることによる。実際の接合作業では、大気中で接合出来るのが、量産、低コスト接合に好都合であり、この場合接合時間は短ければ短いほど酸素との反応が少ないため良好な継手が得られる。また、抵抗溶接機は接合部の信頼性をより高めるために、二段加熱、加圧方式を採用することが好ましい。
【0014】
即ち、最初の一段目の加圧、通電では、絶縁被覆導線の絶縁被覆を炭化させることで、またこのとき接合助剤はその間絶縁被覆材より溶融温度が低いため溶融し、導体端子との反応が進み接合助剤と導体端子の母材との界面に合金層が形成される。その後二段目の加圧、通電で、炭化した絶縁被覆を接合面外へ排出させると同時に、端子界面に形成された合金層同士を介して加圧により端子を接触させて接合するものである。
【0015】
このような種々の条件を満足する接合助剤は450℃以下の溶融温度で、しかも導体端子の母材と合金層を形成しやすい金属元素である必要がある。ここで端子はCu及びCu合金とすると、Cuと反応性の良好な元素はSn,Zn,Au,Ag,P,Pdなどであるが、融点を調整するためにはPb、Biなども含有されていても良い。むしろ低融点化された成分の接合助剤の方が短時間の加熱の場合には合金層が形成され易く好都合である。
【0016】
例えば、接合助剤としてPb−50%Snを用いた場合、その溶融温度は約200℃である。コイルはポリエステル絶縁被覆(PEWと呼ぶ)の場合、炭化温度は約550℃であることから、まず一段目の加熱、加圧で少なくとも550℃以上に加熱される。その間Pb−50Snは溶融し導体端子のCu母材と反応し、導体端子との界面にCu−Snの合金層が、また母材間の中央部には未反応のPb,Snが形成されている。次に二段目の加熱、加圧によってPEWの炭化物が排出され、被覆が除去された絶縁被覆導線の芯線同士及び導体端子とが電気的に接続される。一方、導体端子の開口部の接合は未反応なPb,Snが接合面外へ押しやられ、接合部にはCu−Sn合金層だけが残存する。合金層の厚さはほぼ2μmであった。
【0017】
この成分をEPMAにより分析するとCu−20〜30%Snであり、Cu−Sn二元状態図から分かるように融点が700℃以上となり、それに伴って接合強度も10kgf/mm2以上と向上する。このように低融点のはんだを用いるが、接合後の継手は高強度、高耐熱特性を有する。他の成分の接合助剤を適用しても同様な結果が得られる。形成される合金層としてはAu−Snの場合、Cu−Au−Snが、Sn−Agの場合はCu−Sn−Agが、Sn− Znの場合Cu−Sn−Znが,Znの場合はCu−Znが夫々得られる。
【0018】
Fe系の端子母材を接合する場合は、Cuの代わりにFeが合金層に含有される。このようにして形成された合金層は150℃以上にも耐え、たとえ絶縁被覆材が損傷しても接合部は十分耐えることが出来る。なお、このような優れた特性を得るために、接合面に1〜5kgf/mm2の加圧を与えることが必要である。
【0019】
本発明が適用可能な絶縁被覆材は、加熱により溶融又は、炭化するものであれば全て該当する。すなわち、エナメル銅線(EW),ホルマ−ル銅線(PVF),ポリエステル銅線(PEW),及びアミド イミド銅線 (AIW)など低耐熱性から高耐熱性まで適用できる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の絶縁被覆導線の接合方法の一実施例を示す。図1は、コイル状に形成された絶縁被覆導線9の両端部をU字状導体端子5のU溝内に挿入して、それら絶縁被覆導線9と導体端子5(以後、端子5という)とを抵抗溶接法で接合する基本的な工程を示す図である。図2は抵抗溶接条件である加圧力及び溶接電流を示すチャートである。
【0021】
図1(a)は、接合される部材の配置状態を示す図で、図中、抵抗溶接機の相対する上電極1と下電極4との間に、略U字形状の端子5が横たわった状態で挟まれ、さらに端子5のU溝の底にあたる部分には、絶縁被覆導線10の両端部が端を同一方向に向けて挿入されている。本実施例で用いられたU字形状の端子5は、下電極4に当接する下辺部材7が真っ直ぐであり、一方、上電極1に当接する上辺部材6はU溝開口側で開口を閉じる方向に2段に成形されており、上辺部材6と下辺部材7とをつなぐ底に当たる部分は半円形状の半環状部材8である。上辺部材6は、さらに絶縁被覆導線10を包む把持部分6bと、絶縁被覆導線10から張り出した張出し部分6aから成る。そして端子5のU溝内面には接合助剤9を予め付着させておく。この接合助剤の付着方法は一般的なやり方で良く、端子にクラッドさせておくか、粉末をペ−スト状にして塗布するか、溶射による吹き付け、箔をくるませるか、めっきによるか等種々の方法が適用可能である。
【0022】
上電極1の先端は端子5の上辺部の形状に合わせて2段に形成され、端子5の把持部分6bに当接して絶縁被覆導体10を接合する部分2と、端子5の張出し部に当接して端子5の開口端部を接合する部分3とから構成され、下電極4の先端は端子5の下辺の形状に合わせて平坦としている。絶縁被覆導線10はCuの芯材12とそれを被覆する絶縁被覆11とから成っている。このように部材を配置した状態では、図2に示すように加圧力P及び通電電流Iは零である。
【0023】
図2(b)は、第一段の通電加熱/加圧の工程における端子5と絶縁被覆導線10の状態を示すもので、端子5が電極1,4により加圧されると共に、電流が上電極1、端子5及び下電極4を通じて流れ、端子5は抵抗熱を発生する。その抵抗熱により絶縁被覆11が炭化される。加熱温度は絶縁被覆11の炭化より少し高めとし、その時、接合助剤8も溶融し、端子5と接合助剤8の界面に端子中の成分と接合助剤の成分とが反応して合金層13が形成される。通常この合金層の厚さは7μm以下である。
【0024】
図1(c) は第二段の通電加熱/加圧の工程を示すもので、図2に示すように加圧力P及び電流Iは第一段の通電加熱/加圧の工程におけるよりそれぞれ高くする。この時、炭化された絶縁被覆11は溶融した接合助剤9の排出と共に端子5の接合面外へ排出され、Cuの芯材12同士、および芯材12と導体端子5とが電気的に接続される。一方、加熱により端子5内面の合金層の反応が更に進み、加圧力の付与により、接合助剤8で端子5と未反応の成分のものが排出され、端子5の開口端部の合金層同士が金属的に接合される。この時の加圧力は1〜5 kg/mm2がよい。1 kg/mm2以下では接合強度が十分でなく、5 kg/mm2以上では接合部が過度に変形するので好ましくない。
【0025】
〈実施例 1〉
U字形状の端子5としてCu製のものを用い、絶縁被覆導線10としてアミドイミド銅線(AIW)を用い、また端子5の内面に形成する接合助剤8としてSn−3.5%Ag(溶融温度:約230℃)をめっきして付着させて、図1で説明した接合方法により絶縁被覆導線10と端子5とを接合した。なお、抵抗溶接機の電極はMoで構成し、また端子接合面にかかる加圧力は2kgf/mm2とした。
【0026】
〈実施例 2〉
端子5にCu製のものを用い、絶縁被覆導線10としてポリエステル銅線(PEW)用い、接合助剤9にはSn(溶融温度:約240℃)めっきを10μm形成させ、図1で説明した接合方法によりMo電極を介して通電加熱/加圧して、絶縁被覆導線10と端子5とを接合した。その時の端子接合面にかかる加圧力は3kgf/mm2とした。
【0027】
〈比較例 1〉
実施例2の組合せで、端子接合面にかかる加圧力は、特別には付与しないで、同様に抵抗溶接機を用いて絶縁被覆導線10と端子5とを接合した。
【0028】
〈比較例 2〉
図3に示すように端子5はその辺部の長さが短く、そのU溝に挿入した絶縁被覆導線から張り出す部分がなく、Cu製のものとし、絶縁被覆導線10としてアミドイミド銅線(AIW)を用い、接合助剤9にはSn−3.5%Ag(溶融温度:約230℃)をめっきして付着させ、通電加熱/加圧による抵抗溶接機を用いて絶縁被覆導線10と端子5とを接合した。なお、電極材はMoを用い、加圧力は1kgf/mm2とした。
【0029】
以上の実施例1,2及び比較例1,2で得た接合体について引張試験を実施した。引張試験は、できるだけ真の接合強度が見られるように、端子5より突き出した導線10の先端部分を切断して実施した。導線の先端部を切断したのは、先端部がそのまま残っていると、引張試験の際先端部が端子にひっ掛かって、くびれの効果がでるので、その効果を除去するためである。
【0030】
その引張試験結果は、比較例1及び2で得た接合体においては、導線10は導線10と端子5との接合箇所からぬけた。又、150℃の高温引張試験においては、その高温引張強度は室温強度より低い値を示した。
【0031】
それに対し、実施例1,2のごとく加圧力を付与して端子の開口部分の接合面を合金層を介して接合した接合体は、実施例のいずれの場合にも導線自身から破断した。また、150℃の高温引張試験においても導線から破断した。すなわち、接合箇所は母材以上の強度を有して健全であり、高い接合強度と高い耐熱性を示した。
【0032】
また、接合部の接合状態を顕微鏡組織で観察したところ比較例の接合体では、端子と導線との接合界面に接合不良を示す黒い線が観察され、金属的接合は見られなかった。
【0033】
それに対し、本発明の実施例1及び2では、導線と端子の接合部にも金属的接合が観察され、更に端子の両辺分部の接合部には良好な金属的接合が見られた。実施例1の合金層は、EPMA分析の結果からCu−Sn−Agが形成されていた。また、実施例2の合金層には、Cu−Snが形成されていた。これらの合金層は2〜4μm存在し、端子同士が合金層を介して金属的接合されている様子が観察された。
【0034】
なお、この界面は最初の接合助剤の溶融温度、230℃,240℃より高い溶融温度に変化していることも確認され、耐熱性も向上することが分かった。
【0035】
前述した引張試験で本発明の各実施例で得られた接合体が安定した強度を持つのは、接合助剤と導体端子の母材とが反応して合金層を形成し、その合金層同士で導体端子の開口部が閉じて金属接合(又は、冶金的接合とも呼ぶ)が十分達成されていることが大きな要因である。また、この状態は電気的にも非常に電気抵抗の低い安定した数値を示すことも分かった。
【0036】
その他の接合助剤としてAu−Sn,Zn単体もしくはZn−Sn,Sn−Pb,Sn−Pなどのものを選択して使用しても良好な接合が行なわれ、長時間に渡る使用に際しても安定なものとなる。
【0037】
上記各実施例では端子の接合面全面に助剤を付着させたが、本質的には端子同士が接合する部分だけで良い。端子としては実施例1,2で用いた変形U字形状の端子の他に、図4に示す断面がレーストラック形状のもの、図5に示す断面が長方形環状のもの、図6に示すように断面が凹状で両端にフランジ部を有する
フランジ付凹状片を一対にして構成した端子、図7に示すように短冊をレーストラック形状に巻いて両端部重ね合わせた端子、又は図8に示す様フランジ付凹状片と平板とを組み合わせた端子を用いても良い接合体が得られる。接合するべき導線として絶縁被覆付きのもの以外にも、予め被覆を剥離した導線と端子と組み合わせて用いても同様に耐熱性を有する接合体が得られる。また通電抵抗加熱の代りに超音波振動を付与することによっても、同様な被覆剥離及び端子部の合金層接合は達成することができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、導線絶縁被覆導線の接合方法を、U字形状の溝面の少なくとも開口端部に低融点の接合助剤を付着させたU字形状の導体端子のその溝内に絶縁被覆導線の端部を挿入し、第1段階の加圧/通電で絶縁被覆導線の絶縁被覆を炭化すると共に、接合助剤を溶融させて導体端子の開口端部の溝面に接合助剤より高い融点の合金層を形成し、第2段階の加圧/通電で炭化した絶縁被覆を導体端子と絶縁被覆導線の芯線間から排出すると共に、導体端子の溝の開口端を合金層を介して接合する方法としたので、導体端子が閉じて絶縁被覆導線の芯線を締め付け、合金層による金属接合により接合強度及び耐熱性に優れた、且つ電気的にも低い抵抗値を示す接合継手が得られ、この接合継手は長期間にわたり導電体として安定して使用することができる。
【0039】
また、溝形状をU字形状の代わりに横長穴形状とした導体端子を用い、横長穴の端部に接合助剤を付着させて、上記同様の接合を行うことにより、接合強度及び耐熱性に優れ電気的接続の良好な、且つ耐久性のある接合継手を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における各段階での絶縁被覆導線とU字形状の導体端子の結合状態を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施例における各段階での加圧力と通電電流を模式的に示す図である。
【図3】比較例の接合継手を示す断面図である。
【図4】横長穴を形成する導体端子の接合状態を示す断面図である。
【図5】横長穴を形成する導体端子の接合状態を示す断面図である。
【図6】本発明の応用例である導体端子の形状を示す断面図である。
【図7】本発明の応用例である導体端子の形状を示す断面図である。
【図8】本発明の応用例である導体端子の形状を示す断面図である。
【符号の説明】
1 上電極
2 上電極の先端部(絶縁被覆導線を加圧)
3 上電極の先端部(導体端子の開口部を加圧)
4 下電極
5 導体端子
6a,6b 導体端子の上側の側辺部材
7 導体端子の下側の側辺部材
8 導体端子の半環状部材
9 接合助剤コイル
10 絶縁被覆導線
11 絶縁被覆
12 Cu芯材
13 合金層
Claims (4)
- 略U字状に形成され、内面に接合助剤が付着された導体端子を準備する第1のステップと、前記導体端子の対向内面間に、該導体端子の開口端部を残して絶縁被覆導線を配置する第2のステップと、前記開口端部と前記絶縁被覆導線が配置された部分とを前記対向内面の外側から加圧するとともに、該絶縁被覆導線の絶縁被覆を炭化しかつ前記接合助剤を溶融する温度に通電加熱する第3のステップと、前記開口端部の前記対向内面にそれぞれ形成される該導電体端子の成分と前記接合助剤の成分との合金層同士が接合される圧力で、前記開口端部と前記絶縁被覆導線が配置された部分とを前記対向内面の外側から加圧する第4ステップとを有し、前記接合助剤は前記絶縁被覆導線の絶縁被覆の炭化温度より低い融点を有する絶縁被覆導線の接合方法。
- 内面に接合助剤が付着された長穴の貫通穴を有する導体端子を準備する第1のステップと、前記貫通穴内に絶縁被覆導線を配置する第2のステップと、前記導体端子の前記絶縁被覆導線が配置された部分を含む全体を外側から加圧するとともに、該絶縁被覆導線の絶縁被覆を炭化しかつ前記接合助剤を溶融する温度に通電加熱する第3のステップと、前記絶縁被覆導線が配置されていない部分の前記貫通穴の対向内面にそれぞれ形成される該導電体端子の成分と前記接合助剤の成分との合金層同士が接合される圧力で、前記導体端子の前記絶縁被覆導線が配置された部分を含む全体を外側から加圧する第4ステップとを有し、前記接合助剤は前記絶縁被覆導線の絶縁被覆の炭化温度より低い融点を有する絶縁被覆導線の接合方法。
- 前記導体端子は、2つの辺部材を重ね合わせて前記貫通穴が形成されてなることを特徴とする請求項2に記載の絶縁被覆導線の接合方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の絶縁被覆導線の接合方法により製作された絶縁被覆導線の接合体。
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