以下、本開示の実施形態について、詳細に説明する。本開示は多くの異なる形態で実施することが可能であり、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されない。図面は、説明をより明確にするため、実施形態に比べ、各層の幅、厚さ及び形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定しない。本明細書と各図において、既出の図に関してすでに説明したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
以下の説明において、登場する各成分(例えば、ポリプロピレン、α-オレフィン、樹脂材料、添加剤、接着性樹脂、無機酸化物及びガスバリア性樹脂)は、それぞれ1種用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
[包装材料用積層体]
本開示の積層体は、第1の基材とシーラント層とを備える。
第1の基材は、ポリプロピレンを主成分として含有する延伸樹脂層を備える。本開示において「延伸樹脂層」とは、延伸処理が施された樹脂層を意味する。
第1の基材は、一実施形態において、ポリプロピレンを主成分として含有する延伸樹脂層から構成されるポリプロピレン樹脂基材、すなわち延伸処理が施されたポリプロピレン樹脂基材である。
第1の基材は、一実施形態において、ポリプロピレンを主成分として含有する延伸樹脂層と、無機酸化物から構成される蒸着膜とを備えるバリア性基材である。バリア性基材は、後述する層をさらに備えてもよい。
シーラント層は、ポリプロピレンを主成分として含有する樹脂層である。
本開示において、ポリプロピレンの、JIS K7121:2012(プラスチックの転移温度測定方法)に準拠した示差走査熱量測定(DSC)により得られる第1回昇温時における補外融解開始温度(Tim)を「Tim1」とも記載し、第2回昇温時における補外融解開始温度(Tim)を「Tim2」とも記載する。
本開示において、第1の基材における延伸樹脂層に含まれるポリプロピレンのTim1は、一実施形態において、シーラント層に含まれるポリプロピレンのTim1よりも高い。第1の基材における延伸樹脂層に含まれるポリプロピレンのTim1と、シーラント層に含まれるポリプロピレンのTim1との差は、好ましくは2℃以上、より好ましくは5℃以上、さらに好ましくは8℃以上、よりさらに好ましくは12℃以上、特に好ましくは15℃以上、18℃以上又は20℃以上である。このような要件を充たす積層体は、例えば単一素材化(モノマテリアル化)された積層体でありながら、製袋適性及び充填適性などのシール適性に優れる。すなわち、上記積層体は、ヒートシール可能な温度範囲が広く、しかもシール強度に優れる。
本開示において、第1の基材における延伸樹脂層に含まれるポリプロピレンのTim2は、一実施形態において、シーラント層に含まれるポリプロピレンのTim2よりも高い。第1の基材における延伸樹脂層に含まれるポリプロピレンのTim2と、シーラント層に含まれるポリプロピレンのTim2との差は、好ましくは2℃以上、より好ましくは5℃以上、さらに好ましくは8℃以上、特に好ましくは10℃以上である。このような要件を充たす積層体は、例えば単一素材化(モノマテリアル化)された積層体でありながら、製袋適性及び充填適性などのシール適性に優れる。すなわち、上記積層体は、ヒートシール可能な温度範囲が広く、しかもシール強度に優れる。
第1の基材における延伸樹脂層に含まれるポリプロピレンのTim1と、シーラント層に含まれるポリプロピレンのTim1との差の上限は、例えば40℃でもよい。第1の基材における延伸樹脂層に含まれるポリプロピレンのTim2と、シーラント層に含まれるポリプロピレンのTim2との差の上限は、例えば30℃でもよい。
Timは、JIS K7121:2012(プラスチックの転移温度測定方法)に準拠して、示差走査熱量計((株)日立ハイテクサイエンス製、製品名:DSC7000X)を用いて測定される。この際、測定サンプルを20℃で1分間保持した後、10℃/分の加熱速度で20℃から200℃まで昇温させて、200℃で5分間保持した後、10℃/分の冷却速度で200℃から20℃まで降温させて、20℃で5分間保持する。その後、再度10℃/分の加熱速度で20℃から200℃まで昇温させる。1回目及び2回目の昇温時におけるDSC曲線において、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、融解ピークの低温側の曲線にこう配が最大になる点で引いた接線との交点の温度である補外融解開始温度(Tim)を得る。Timが2つ以上ある場合はピーク強度が最も大きい融解ピークのTimを使用する。
一実施形態において、本開示の積層体は、以下の要件を充たすヒートシール温度の範囲が130℃以上190℃以下の範囲において5℃以上存在する、という特徴を有する。すなわち、一実施形態において、上記積層体を温度130℃以上190℃以下の範囲、圧力0.1MPa、時間1秒のヒートシール条件でヒートシールした場合において、シール強度が23N/15mm以上となり、かつ上記積層体のTD方向の収縮率が0%以上1.0%以下となるヒートシール温度の範囲(温度幅)が、130℃以上190℃以下の範囲において5℃以上存在する。このような積層体は、耐熱性に優れ、例えばヒートシールした場合に外観良好な包装容器を作製できる。
上記要件を充たすヒートシール温度の範囲(温度幅)は、一実施形態において、140℃以上185℃以下の範囲において5℃以上存在してもよく、145℃以上180℃以下の範囲において5℃以上存在してもよく、150℃以上180℃以下の範囲において5℃以上存在してもよく、160℃以上175℃以下の範囲において5℃以上存在してもよい。また、上記要件を充たすヒートシール温度の温度幅は、5℃以上30℃以下の範囲内にあってもよく、5℃以上20℃以下の範囲内にあってもよく、5℃以上15℃以下の範囲内にあってもよく、5℃以上10℃以下の範囲内にあってもよい。
上記シール強度は、好ましくは25N/15mm以上、より好ましくは28N/15mm以上である。このような積層体を用いることにより、例えば、シール強度が良好な包装容器を作製できる。なお、レトルト殺菌調理食品の包装材料におけるシール部に必要なシール強度は、食品衛生法の品質規格において23N/15mm以上と規定されている。
積層体の収縮率及びシール強度は、以下の様にして測定される。まず、積層体を2枚準備し、それぞれ100mm×100mmの大きさにカットし、シーラント層側の面を対向させて重ね合わせて、幅10mmの片面加熱平板ヒートシールバーによりTD方向にヒートシールする。ヒートシール条件は、温度130℃以上190℃以下の範囲、圧力0.1MPa、時間1秒である。シールされたサンプルのヒートシール部におけるTD方向の長さを、150mmの定規を用いて測定し、(シール前の長さ(100mm)-シール後の長さ(mm))/シール前の長さ(100mm)×100、にて収縮率(%)を計算する。また、シールされたサンプルをMD方向に幅15mmにカットし、幅15mm、長さ100mmの試験片を作製する。この試験片を用いて、引張試験機にて試験速度300mm/min、T型剥離にて、シール強度を測定する。
例えば、第1の基材として、耐熱性に優れるポリプロピレン延伸樹脂層を用い、シーラント層として、低温シール性に優れるポリプロピレン未延伸樹脂層を用いることで、Tim、収縮率及びシール強度に関する要件を充たす積層体を得ることができる。
本開示の積層体は、包装材料用途に好適である。
本開示の積層体は、一実施形態において、第1の基材とシーラント層との間に、ポリプロピレンを主成分として含有する延伸樹脂層を備える第2の基材(中間基材)をさらに備える。すなわち本開示の積層体は、一実施形態において、第1の基材と、第2の基材と、シーラント層とを厚さ方向にこの順に備える。
第2の基材は、一実施形態において、ポリプロピレンを主成分として含有する延伸樹脂層と、無機酸化物から構成される蒸着膜とを備えるバリア性基材である。第2の基材は、一実施形態において、ポリプロピレンを主成分として含有する延伸樹脂層から構成されるポリプロピレン樹脂基材、すなわち延伸処理が施されたポリプロピレン樹脂基材である。
第1の基材及び第2の基材は、それぞれ独立に、バリア性基材又はポリプロピレン樹脂基材である。一実施形態において、第1の基材及び第2の基材のいずれか一方は、バリア性基材であり、第1の基材及び第2の基材の他方は、ポリプロピレン樹脂基材である。他の実施形態では、第1の基材及び第2の基材のいずれもバリア性基材でもよく、第1の基材及び第2の基材のいずれもポリプロピレン樹脂基材でもよい。
図1~図9は、積層体の一実施形態を示す模式断面図である。
図1に示す積層体1は、第1の基材としてのバリア性基材20と、接着層40と、シーラント層30とを厚さ方向にこの順に備える。バリア性基材20は、延伸樹脂層22と、蒸着膜24とを備える。この例では、延伸樹脂層22は、積層体1の最外層を構成し、蒸着膜24は、接着層40と接する。
図2は、バリア性基材20が、延伸樹脂層22と蒸着膜24との間に、表面コート層又は表面樹脂層23を備えること以外は図1と同様である。
図3は、バリア性基材20が、延伸樹脂層22と、表面コート層又は表面樹脂層23と、蒸着膜24と、バリアコート層25とを厚さ方向にこの順に備えること以外は図1と同様である。この例では、バリアコート層25は、接着層40と接する。
図4に示す積層体1は、第1の基材としてのポリプロピレン樹脂基材10と、接着層40Aと、第2の基材としてのバリア性基材20と、接着層40Bと、シーラント層30とを厚さ方向にこの順に備える。バリア性基材20は、延伸樹脂層22と、蒸着膜24とを備える。この例では、延伸樹脂層22は、接着層40Bと接し、蒸着膜24は、接着層40Aと接する。
図5は、バリア性基材20が、延伸樹脂層22と蒸着膜24との間に、表面コート層又は表面樹脂層23を備えること以外は図4と同様である。
図6は、バリア性基材20が、延伸樹脂層22と、表面コート層又は表面樹脂層23と、蒸着膜24と、バリアコート層25とを厚さ方向にこの順に備えること以外は図4と同様である。この例では、バリアコート層25は、接着層40Aと接する。
図7に示す積層体1は、第1の基材としてのバリア性基材20と、接着層40Aと、第2の基材としてのポリプロピレン樹脂基材10と、接着層40Bと、シーラント層30とを厚さ方向にこの順に備える。バリア性基材20は、延伸樹脂層22と、蒸着膜24とを備える。この例では、延伸樹脂層22は、積層体1の最外層を構成し、蒸着膜24は、接着層40Aと接する。
図8は、バリア性基材20が、延伸樹脂層22と蒸着膜24との間に、表面コート層又は表面樹脂層23を備えること以外は図7と同様である。
図9は、バリア性基材20が、延伸樹脂層22と、表面コート層又は表面樹脂層23と、蒸着膜24と、バリアコート層25とを厚さ方向にこの順に備えること以外は図7と同様である。この例では、バリアコート層25は、接着層40Aと接する。
以下、本開示の積層体の積層構成の具体例を示す。「/」は層と層との境界を表す。「OPPフィルム」は、延伸処理が施されたポリプロピレン樹脂基材を表す。
(1)OPPフィルム/印刷層/接着層/シーラント層
(2)バリア性基材/印刷層/接着層/シーラント層
(3)OPPフィルム/印刷層/接着層/バリア性基材/接着層/シーラント層
(4)バリア性基材/印刷層/接着層/OPPフィルム/接着層/シーラント層
(5)バリア性基材/印刷層/接着層/バリア性基材/接着層/シーラント層
(6)OPPフィルム/印刷層/接着層/OPPフィルム/接着層/シーラント層
本開示の積層体は、一実施形態において、少なくとも、ポリプロピレン樹脂基材、バリア性基材及びシーラント層という3要素を備える。これにより、ガスバリア性(特に酸素バリア性及び水蒸気バリア性)をより向上できる。
第1の基材がバリア性基材である場合は、一実施形態において、蒸着膜がシーラント層側を向き、延伸樹脂層がシーラント層とは反対側を向くように、第1の基材が配置されている。
第2の基材がバリア性基材である場合は、一実施形態において、蒸着膜が第1の基材側を向き、延伸樹脂層がシーラント層側を向くように、第2の基材が配置されているか、あるいは、蒸着膜がシーラント層側を向き、延伸樹脂層が第1の基材側を向くように、第2の基材が配置されている。これらの中でも、蒸着膜の劣化等をより抑制できるという観点から、第2の基材がバリア性基材である場合は、蒸着膜が第1の基材側を向き、延伸樹脂層がシーラント層側を向くように、第2の基材が配置されていることが好ましい。
本開示の積層体は、一実施形態において、第1の基材が、ポリプロピレン樹脂基材であり、第2の基材が、バリア性基材である(図4~図6参照)。この実施形態では、積層体は、ポリプロピレン樹脂基材と、バリア性基材と、シーラント層とを厚さ方向にこの順に備える。このような構成の積層体は、熱処理等を受けた際に蒸着膜が適切に保護され、さらに高いガスバリア性を示す。また、上記実施形態の積層体は、熱処理を受けた場合における熱収縮率がより小さく、よって製袋適性にさらに優れる。
本開示の積層体におけるポリプロピレン系単一素材の割合(以下「モノマテリアル化率」ともいう)は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは88質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。これにより、例えば、積層体を用いてモノマテリアル化した包装容器を作製でき、包装容器のリサイクル適性を向上できる。モノマテリアル化率は高いほど好ましいが、その上限値は、例えば99質量%又は98質量%でもよい。
本開示において上記モノマテリアル化率とは、積層体の総質量に対するポリプロピレン系単一素材の割合を意味する。ただし、層がポリプロピレンを主成分(すなわち50質量%超)として含有する場合は、ポリプロピレンが当該層100質量%を構成するとみなして、上記モノマテリアル化率を算出する。例えば、ポリプロレピン80質量%と、他の樹脂材料20質量%とから構成されるシーラント層の場合は、シーラント層がポリプロピレン100質量%から構成されるとみなして、上記モノマテリアル化率を算出する。
<第1の基材>
第1の基材は、一実施形態において、延伸樹脂層から構成されるポリプロピレン樹脂基材である。第1の基材は、一実施形態において、延伸樹脂層と、無機酸化物から構成される蒸着膜とを備えるバリア性基材である。バリア性基材が備えることができる各層の詳細については、後述する。
(延伸樹脂層)
第1の基材が備える延伸樹脂層は、ポリプロピレンを主成分として、すなわちポリプロピレンを50質量%超の範囲で含有する。第1の基材が延伸樹脂層を備えることにより、例えば、第1の基材を使用して作製される包装容器の耐油性を向上できる。
ポリプロピレンは、プロピレンホモポリマー、プロピレンランダムコポリマー及びプロピレンブロックコポリマーのいずれでもよく、これらから選択される2種以上の混合物でもよい。
プロピレンホモポリマーとは、プロピレンのみの重合体である。プロピレンランダムコポリマーとは、プロピレンとプロピレン以外のα-オレフィン等とのランダム共重合体である。プロピレンブロックコポリマーとは、プロピレンからなる重合体ブロックと、少なくともプロピレン以外のα-オレフィン等からなる重合体ブロックと、を有する共重合体である。少なくともプロピレン以外のα-オレフィン等からなる重合体ブロックは、プロピレンと、プロピレン以外のα-オレフィンとからなる重合体ブロックでもよい。
α-オレフィンとしては、例えば、炭素数2以上20以下のα-オレフィンが挙げられ、具体的には、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン及び6-メチル-1-ヘプテンが挙げられる。
ポリプロピレンの中でも、透明性の観点からは、ランダムコポリマーを使用することが好ましい。包装容器の剛性及び耐熱性を重視する場合は、ホモポリマーを使用することが好ましい。包装容器の耐落下衝撃性を重視する場合は、ブロックコポリマーを使用することが好ましい。第1の基材が備える延伸樹脂層において、耐熱性の観点から、ホモポリマーが好ましい。
第1の基材における延伸樹脂層の主成分であるポリプロピレンのTim1は、好ましくは146℃以上、より好ましくは146.5℃以上、さらに好ましくは147℃以上、特に好ましくは147.5℃以上である。これにより、例えば、耐熱性により優れる包装材料を作製でき、例えばヒートシール時における熱収縮を抑制できる。延伸樹脂層の主成分である上記ポリプロピレンのTim1の上限値は特に限定されないが、例えば170℃でもよく、165℃、160℃又は155℃でもよい。
第1の基材における延伸樹脂層の主成分であるポリプロピレンのTim2は、好ましくは150℃以上、より好ましくは150.5℃以上、さらに好ましくは151℃以上、特に好ましくは151.5℃以上である。これにより、例えば、耐熱性により優れる包装材料を作製でき、例えばヒートシール時における熱収縮を抑制できる。延伸樹脂層の主成分である上記ポリプロピレンのTim2の上限値は特に限定されないが、例えば170℃でもよく、165℃、160℃又は155℃でもよい。
ポリプロピレンのTimは、例えば、ポリプロピレンにおける共重合モノマー由来の構成単位量を少なくするか又は0質量%にする、ポリプロピレンのメソペンタッド分率を高くする、低分子量成分の量を多くする、基材作製時の延伸温度を高温に設定するなどの手法により、高めることができる。ポリプロピレンにおける共重合モノマー由来の構成単位量は、例えば0.1モル%以下でもよく、0.05モル%以下でもよく、0.01モル%以下でもよい。
第1の基材における延伸樹脂層に含まれるポリプロピレンのメソペンタッド分率は、例えば96%以上でもよく、97%以上でもよい。メソペンタッド分率が上記範囲であると結晶性が向上し、高温での熱収縮率を低く抑えることができる。メソペンタッド分率は、例えば99.5%以下でもよく、99%以下でもよい。
メソペンタッド分率(アイソタクチックメソペンタッド分率)は、13C-NMRにより測定できる。メソペンタッド分率は、「Zambelliら、Macromolecules,第6巻,925頁(1973)」に記載の方法に従い算出する。13C-NMR測定は、BRUKER社製「AVANCE500」を用い、試料200mgをo-ジクロロベンゼンと重ベンゼンの8:2(体積比)の混合液に135℃で溶解させ、110℃で実施する。
第1の基材における延伸樹脂層に含まれるポリプロピレンの重量平均分子量(Mw)は、例えば250,000以上500,000以下でもよく、260,000以上450,000以下でもよい。ポリプロピレンにおける多分散度である重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は、例えば5.5以上30以下でもよく、6.5以上25以下でもよい。
第1の基材における延伸樹脂層に含まれるポリプロピレンのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)積算カーブを測定した場合、分子量1万以下の成分の量の下限は、例えば2質量%でもよく、3質量%でもよい。GPC積算カーブでの分子量1万以下の成分の量の上限は、例えば20質量%でもよく、15質量%でもよい。
第1の基材における延伸樹脂層に含まれるポリプロピレンのGPC積算カーブを測定した場合、分子量10万以下の成分の量の下限は、例えば35質量%でもよく、40質量%でもよい。GPC積算カーブでの分子量10万以下の成分の量の上限は、例えば65質量%でもよく、60質量%でもよい。
ポリプロピレンの各分子量及び多分散度は、GPCを用いて単分散ポリスチレン基準により求める。GPC測定での使用カラム及び溶媒等の測定条件は、以下のとおりである。
・溶媒:1,2,4-トリクロロベンゼン
・カラム:TSKgel GMHHR-H(20)HT×3
・流量:1.0ml/min
・検出器:RI
・測定温度:140℃
ポリプロピレンは、例えば、チーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒等を用いて、原料となるプロピレンを重合させて得られる。チーグラー・ナッタ触媒のような、規則性の高い重合が可能な触媒を用いることが好ましい。プロピレンの製造方法としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、トルエン及びキシレン等の不活性溶媒中でプロピレンを重合する方法、液状のプロピレンやエチレン中で重合を実施する方法、気体であるプロピレンやエチレン中に触媒を添加し、気相状態で重合を実施する方法、又はこれらを組み合わせた方法が挙げられる。
例えば、高分子量成分及び低分子量成分を別々に製造した後に混合してポリプロピレンを得てもよく、多段階の反応器を持つ一連のプラントにおいて多段階で重合してポリプロピレンを得てもよい。特に、多段階の反応器を持つプラントを用い、高分子量成分を最初に製造した後に、その存在下で低分子量成分を製造してもよい。分子量の調節は、重合の際に系中に混在させる水素の量で行うことができる。
ポリプロピレンのメルトフローレート(MFR)は、製膜性及び加工適性という観点から、一実施形態において、0.1g/10分以上50g/10分以下でもよく、0.3g/10分以上30g/10分以下でもよい。ポリプロピレンのMFRは、JIS K7210に準拠して、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定する。
ポリプロピレンとしては、環境負荷の低減という観点から、バイオマス由来のポリプロピレンや、メカニカルリサイクル又はケミカルリサイクルされたポリプロピレンを使用してもよい。
第1の基材の延伸樹脂層におけるポリプロピレンの含有割合は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上である。
第1の基材における延伸樹脂層は、ポリプロピレン以外の樹脂材料を含有してもよい。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン、(メタ)アクリル樹脂、ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド、ポリエステル及びアイオノマー樹脂が挙げられる。
第1の基材における延伸樹脂層は、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、架橋剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、滑(スリップ)剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料及び改質用樹脂が挙げられる。
第1の基材における延伸樹脂層は、延伸処理が施された層である。これにより、例えば、積層体の耐熱性、耐落下衝撃性、耐水性及び寸法安定性を向上できる。このような樹脂層を備える積層体は、例えば、ボイル処理又はレトルト処理がなされる包装容器を構成する包装材料として好適である。
延伸処理は、1軸延伸でもよく、2軸延伸でもよい。
縦方向(基材の流れ方向、MD方向)へ延伸を行う場合の延伸倍率は、好ましくは2倍以上15倍以下、より好ましくは5倍以上13倍以下である。横方向(MD方向に対して垂直な方向、TD方向)へ延伸を行う場合の延伸倍率は、好ましくは2倍以上15倍以下、より好ましくは5倍以上13倍以下である。延伸倍率を2倍以上とすることにより、例えば、延伸樹脂層の強度及び耐熱性をより向上でき、また、延伸樹脂層への印刷適性を向上できる。延伸樹脂層の破断限界という観点からは、延伸倍率は15倍以下であることが好ましい。
第1の基材における延伸樹脂層には、一実施形態において、表面処理が施されていてもよい。これにより、例えば、延伸樹脂層と他の層との密着性を向上できる。表面処理の方法としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス及び/又は窒素ガスなどを用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的処理、並びに化学薬品を用いた酸化処理などの化学的処理が挙げられる。
第1の基材における延伸樹脂層の表面に、易接着層を設けてもよい。
第1の基材の延伸樹脂層は、単層構造を有してもよく、多層構造を有してもよい。
第1の基材における延伸樹脂層の厚さは、好ましくは10μm以上100μm以下、より好ましくは10μm以上50μm以下である。厚さが下限値以上であると、例えば、積層体の強度及び耐熱性をより向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、積層体の加工適性をより向上できる。
第1の基材の延伸樹脂層は、一実施形態において、耐熱性に優れるポリプロピレン延伸樹脂層であれば特に限定されないが、例えば、2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡(株)製、P2171)などの市販の延伸ポリプロピレンフィルムを用いてもよい。
(蒸着膜)
第1の基材は、一実施形態において、延伸樹脂層と、無機酸化物から構成される蒸着膜とを備えるバリア性基材である。バリア性基材は、一実施形態において、延伸樹脂層と、該樹脂層の一方の面上に設けられた蒸着膜とを備える。これにより、積層体のガスバリア性、具体的には、酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上できる。積層体を用いて作製した包装容器は、包装容器内に充填された内容物の質量減少を抑えることができる。
無機酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化珪素(シリカ)、酸化マグシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウム及び酸化炭化珪素(炭素含有酸化珪素)が挙げられる。これらの中でも、シリカ、酸化炭化珪素及びアルミナが好ましい。
一実施形態において、蒸着膜形成後のエージング処理が必要ないため、無機酸化物としては、シリカがより好ましい。一実施形態において、積層体を屈曲させてもガスバリア性の低下を抑制できることから、無機酸化物としては、炭素含有酸化珪素がより好ましい。
蒸着膜の厚さは、好ましくは1nm以上150nm以下、より好ましくは5nm以上60nm以下、さらに好ましくは10nm以上40nm以下である。厚さが下限値以上であると、例えば、積層体の酸素バリア性及び水蒸気バリア性をより向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、蒸着膜におけるクラックの発生を抑制でき、また、包装容器のリサイクル適性を向上できる。
蒸着膜の表面には、上記表面処理が施されていることが好ましい。これにより、蒸着膜と隣接する層との密着性を向上できる。
蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法及びイオンプレーティング法などの物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、並びにプラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法及び光化学気相成長法などの化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)が挙げられる。
蒸着膜は、1回の蒸着工程により形成される単層でもよく、複数回の蒸着工程により形成される多層でもよい。蒸着膜が多層である場合、各層は同一の無機酸化物から構成されてもよく、異なる無機酸化物から構成されてもよい。各層は、同一の方法により形成してもよく、異なる方法により形成してもよい。
バリア性基材における蒸着膜は、CVD法により形成された蒸着膜であることが好ましく、CVD法により形成された炭素含有酸化珪素蒸着膜であることがより好ましい。これにより、積層体を屈曲させてもガスバリア性の低下を抑制できる。
炭素含有酸化珪素蒸着膜は、珪素、酸素及び炭素を含む。
炭素含有酸化珪素蒸着膜の一実施形態において、炭素の割合Cは、珪素、酸素及び炭素の3元素の合計100%に対して、好ましくは3%以上50%以下、より好ましくは5%以上40%以下、さらに好ましくは10%以上35%以下である。炭素の割合Cを上記範囲とすることにより、例えば、積層体を屈曲させてもガスバリア性の低下を抑制できる。
本明細書において、各元素の割合は、モル基準である。
炭素含有酸化珪素蒸着膜の一実施形態において、珪素の割合Siは、珪素、酸素及び炭素の3元素の合計100%に対して、好ましくは1%以上45%以下、より好ましくは3%以上38%以下、さらに好ましくは8%以上33%以下である。酸素の割合Oは、珪素、酸素及び炭素の3元素の合計100%に対して、好ましくは10%以上70%以下、より好ましくは20%以上65%以下、さらに好ましくは25%以上60%以下である。珪素の割合Si及び酸素の割合Oを上記範囲とすることにより、例えば、積層体を屈曲させてもガスバリア性の低下をより抑制できる。
炭素含有酸化珪素蒸着膜の一実施形態において、酸素の割合Oは、炭素の割合Cよりも高いことが好ましく、珪素の割合Siは、炭素の割合Cよりも低いことが好ましい。酸素の割合Oは、珪素の割合Siよりも高いことが好ましい、すなわち、各割合は、割合O、割合C、割合Siの順に低くなることが好ましい。これにより、例えば、積層体を屈曲させてもガスバリア性の低下をより抑制できる。
炭素含有酸化珪素蒸着膜における割合C、割合Si及び割合Oは、X線光電子分光法(XPS)により、以下の測定条件のナロースキャン分析によって測定できる。
(測定条件)
使用機器:「ESCA-3400」(Kratos製)
[1]スペクトル採取条件
入射X線:MgKα(単色化X線、hν=1253.6eV)
X線出力:150W(10kV・15mA)
X線走査面積(測定領域):約6mmφ
光電子取込角度:90度
[2]イオンスパッタ条件
イオン種:Ar+
加速電圧:0.2(kV)
エミッション電流:20(mA)
etch範囲:10mmφ
イオンスパッタ時間:30秒で実施し、スペクトルを採取
(表面コート層)
バリア性基材は、一実施形態において、延伸樹脂層と蒸着膜との間に、極性基を有する樹脂材料を含有する表面コート層を備える。極性基を有する樹脂材料を含有する表面コート層を設けることによって、当該表面コート層上に形成される蒸着膜の密着性を向上できると共に、ガスバリア性も向上できる。
この実施形態では、バリア性基材は、延伸樹脂層及び表面コート層を有する樹脂基材と、該表面コート層上に設けられた蒸着膜とを備える。このバリア性基材は、延伸樹脂層と、表面コート層と、蒸着膜とを厚さ方向にこの順に備える。
極性基とは、ヘテロ原子を1個以上含む基を指し、例えば、エステル基、エポキシ基、水酸基、アミノ基、アミド基、ウレタン基、カルボキシ基、カルボニル基、カルボン酸無水物基、スルホ基、チオール基及びハロゲン基が挙げられる。これらの中でも、包装容器のラミネート性の観点からは、カルボキシ基、カルボニル基、エステル基、水酸基、アミノ基、アミド基及びウレタン基が好ましく、カルボキシ基、水酸基、アミド基及びウレタン基がより好ましい。
極性基を有する樹脂材料としては、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエステル、ポリエチレンイミン、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、MXDナイロン及びアモルファスナイロンなどのポリアミド、並びにポリウレタンが挙げられる。これらの中でも、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、ポリアミド及びポリウレタンがより好ましい。
表面コート層は、例えば、水系エマルジョン又は溶剤系エマルジョンを用いて形成できる。水系エマルジョンとしては、例えば、ポリアミド系のエマルジョン、ポリエチレン系のエマルジョン及びポリウレタン系のエマルジョンが挙げられる。溶剤系エマルジョンとしては、例えば、(メタ)アクリル樹脂系のエマルジョン及びポリエステル系のエマルジョンが挙げられる。
表面コート層における極性基を有する樹脂材料の含有割合は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
表面コート層は、極性基を有する樹脂材料以外の樹脂材料を含有してもよい。
表面コート層は、上記添加剤を含有してもよい。
延伸樹脂層及び表面コート層を有する樹脂基材の総厚さに対する表面コート層の厚さの割合は、好ましくは0.08%以上20%以下、より好ましくは0.2%以上15%以下、さらに好ましくは1%以上10%以下、よりさらに好ましくは1%以上5%以下である。上記割合が下限値以上であると、例えば、蒸着膜の密着性をより向上でき、ガスバリア性をより向上でき、また、包装容器のラミネート強度をより向上できる。上記割合が上限値以下であると、例えば、樹脂基材の加工適性及び包装容器のリサイクル適性をより向上できる。
表面コート層の厚さは、好ましくは0.02μm以上10μm以下、より好ましくは0.05μm以上10μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上10μm以下、よりさらに好ましくは0.2μm以上5μm以下である。厚さが下限値以上であると、例えば、蒸着膜の密着性をより向上でき、ガスバリア性をより向上でき、また、包装容器のラミネート強度をより向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、樹脂基材の加工適性及び包装容器のリサイクル適性をより向上できる。
例えば、ポリプロピレン又はポリプロピレンを含有する樹脂組成物を、Tダイ法又はインフレーション法などを利用して製膜して樹脂フィルムを得た後、該樹脂フィルムを延伸し、延伸後の樹脂フィルムに表面コート層形成用塗工液を塗布し乾燥することにより、延伸樹脂層及び表面コート層を有する樹脂基材を作製できる。
(表面樹脂層)
バリア性基材は、一実施形態において、延伸樹脂層と蒸着膜との間に、180℃以上の融点を有する樹脂材料(以下「高融点樹脂材料」ともいう)を含有する表面樹脂層を備える。高融点樹脂材料を含有する表面樹脂層を設けることによって、当該表面樹脂層上に形成される蒸着膜の密着性を向上できると共に、ガスバリア性も向上できる。
この実施形態では、バリア性基材は、延伸樹脂層及び表面樹脂層を有する樹脂基材と、該表面樹脂層上に設けられた蒸着膜とを備える。このバリア性基材は、延伸樹脂層と、表面樹脂層と、蒸着膜とを厚さ方向にこの順に備える。
高融点樹脂材料の融点は、好ましくは185℃以上、より好ましくは190℃以上、さらに好ましくは205℃以上である。融点が下限値以上であると、例えば、蒸着膜の密着性をより向上でき、ガスバリア性をより向上でき、また、包装容器のラミネート強度をより向上できる。
高融点樹脂材料の融点は、好ましくは265℃以下、より好ましくは260℃以下、さらに好ましくは250℃以下である。これにより、例えば、樹脂基材の製膜性を向上できる。
高融点樹脂材料の融点は、JIS K7121:2012(プラスチックの転移温度測定方法)に準拠して測定できる。具体的には、示差走査熱量測定(DSC)により、10℃/分の加熱速度でDSC曲線を測定し、融点としての融解ピーク温度を求めることができる。
表面樹脂層に含まれる高融点樹脂材料の融点と、延伸樹脂層に含まれるポリプロピレンの融点との差は、好ましくは20℃以上80℃以下、より好ましくは20℃以上60℃以下である。上記差が下限値であると、例えば、蒸着膜の密着性をより向上でき、ガスバリア性をより向上でき、また、包装容器のラミネート強度をより向上できる。上記差が上限値以下であると、例えば、樹脂基材の製膜性をより向上できる。
高融点樹脂材料は、極性基を有することが好ましい。極性基とは、ヘテロ原子を1個以上含む基を指し、例えば、エステル基、エポキシ基、水酸基、アミノ基、アミド基、ウレタン基、カルボキシ基、カルボニル基、カルボン酸無水物基、スルホ基、チオール基及びハロゲン基が挙げられる。これらの中でも、包装容器のガスバリア性及びラミネート強度の観点からは、水酸基、エステル基、アミノ基、アミド基、カルボキシ基及びカルボニル基が好ましく、アミド基がより好ましい。
高融点樹脂材料は、融点が180℃以上であればよく、例えば、ポリオレフィン、ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、セルロース樹脂、及びアイオノマー樹脂が挙げられる。例えば、融点が180℃以上であり、極性基を有する樹脂材料が好ましく、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエステル、並びにナイロン6、ナイロン6,6及びMXDナイロン等のポリアミドがより好ましい。
表面樹脂層における高融点樹脂材料の含有割合は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
表面樹脂層は、高融点樹脂材料以外の樹脂材料を含有してもよい。
表面樹脂層は、上記添加剤を含有してもよい。
表面樹脂層には、上記表面処理が施されていてもよい。
延伸樹脂層及び表面樹脂層を有する樹脂基材の総厚さに対する表面樹脂層の厚さの割合は、好ましくは1%以上10%以下、より好ましくは1%以上5%以下である。上記割合が下限値以上であると、例えば、蒸着膜の密着性をより向上でき、ガスバリア性をより向上でき、また、包装容器のラミネート強度をより向上できる。上記割合が上限値以下であると、例えば、樹脂基材の製膜性及び加工適性、並びに包装容器のリサイクル適性をより向上できる。
表面樹脂層の厚さは、好ましくは0.1μm以上5μm以下、より好ましくは0.1μm以上4μm以下である。厚さが下限値以上であると、例えば、蒸着膜の密着性をより向上でき、ガスバリア性をより向上でき、また、包装容器のラミネート強度をより向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、樹脂基材の製膜性及び加工適性、並びに包装容器のリサイクル適性をより向上できる。
樹脂基材は、一実施形態において、延伸樹脂層と表面樹脂層との間に、接着性樹脂層を備えることができる。これにより、これらの層間の密着性を向上できる。
接着性樹脂層は、例えば、接着性樹脂により形成できる。接着性樹脂としては、例えば、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリオレフィン及びポリオレフィンの酸変性物が挙げられる。これらの中でも、包装容器のリサイクル適性という観点から、ポリオレフィン及びその酸変性物が好ましく、ポリプロピレン及びその酸変性物がより好ましい。
接着性樹脂層の厚さは、例えば、1μm以上15μm以下である。厚さが1μm以上であると、例えば、延伸樹脂層と表面樹脂層との密着性をより向上できる。厚さが15μm以下であると、例えば、樹脂基材の加工適性をより向上できる。
延伸樹脂層と、必要に応じて接着性樹脂層と、表面樹脂層とを有する樹脂基材は、一実施形態において、共押出延伸樹脂フィルムである。共押出延伸樹脂フィルムは、例えば、Tダイ法又はインフレーション法などを利用して製膜して積層フィルムを得た後、該積層フィルムを延伸することにより作製できる。インフレーション法により製膜することにより、積層フィルムの延伸を同時に行ってもよい。
延伸処理は、1軸延伸でもよく、2軸延伸でもよい。
MD方向へ延伸を行う場合の延伸倍率は、好ましくは2倍以上15倍以下、より好ましくは5倍以上13倍以下である。TD方向へ延伸を行う場合の延伸倍率は、好ましくは2倍以上15倍以下、より好ましくは5倍以上13倍以下である。
(バリアコート層)
バリア性基材は、一実施形態において、蒸着膜上に、バリアコート層をさらに備えることができる。すなわち、バリア性基材は、蒸着膜における延伸樹脂層側の面とは反対側の面上に、バリアコート層をさらに備えてもよい。これにより、例えば、積層体の酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上できる。
一実施形態において、バリアコート層は、ガスバリア性樹脂を含有する。ガスバリア性樹脂としては、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ナイロン6、ナイロン6,6及びポリメタキシリレンアジパミドなどのポリアミド、ポリウレタン、並びに(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
バリアコート層におけるガスバリア性樹脂の含有割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。このような構成により、例えば、バリアコート層のガスバリア性を向上できる。
バリアコート層は、上記添加剤を含有してもよい。
ガスバリア性樹脂を含有するバリアコート層の厚さは、好ましくは0.01μm以上10μm以下、より好ましくは0.1μm以上5μm以下である。バリアコート層の厚さを0.01μm以上とすることにより、例えば、ガスバリア性をより向上できる。バリアコート層の厚さを10μm以下とすることにより、例えば、積層体の加工適性及び包装容器のリサイクル適性を向上できる。
バリアコート層は、例えば、ガスバリア性樹脂などの材料を水又は適当な有機溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、塗布し乾燥することにより形成できる。
他の実施形態において、バリアコート層は、金属アルコキシドと、水溶性高分子と、必要に応じてシランカップリング剤とを混合し、必要に応じて水、有機溶剤及びゾルゲル法触媒を添加して得られたガスバリア性組成物を、蒸着膜上に塗布し乾燥することにより形成されるガスバリア性塗布膜である。ガスバリア性塗布膜は、上記金属アルコキシド等がゾルゲル法によって加水分解及び重縮合された加水分解重縮合物を含む。このようなバリアコート層を蒸着膜上に設けることにより、蒸着膜におけるクラックの発生を効果的に抑制できる。
金属アルコキシドは、例えば、式(1)で表される。
R1
nM(OR2)m (1)
式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1以上8以下の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す。
R1及びR2における有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基及びn-オクチル基等の炭素数1以上8以下のアルキル基が挙げられる。
金属原子Mは、例えば、珪素、ジルコニウム、チタン又はアルミニウムである。
金属アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン及びテトラブトキシシラン等のアルコキシシランが挙げられる。
水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール及びエチレン-ビニルアルコール共重合体等の水酸基含有高分子が挙げられる。酸素バリア性、水蒸気バリア性、耐水性及び耐候性などの所望の物性に応じて、ポリビニルアルコール及びエチレン-ビニルアルコール共重合体のいずれか一方を用いてもよく、両者を併用してもよく、また、ポリビニルアルコールを用いて得られるガスバリア性塗布膜及びエチレン-ビニルアルコール共重合体を用いて得られるガスバリア性塗布膜を積層してもよい。水溶性高分子の使用量は、金属アルコキシド100質量部に対して、好ましくは3質量部以上500質量部以下である。
シランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができ、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好ましく、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン及びβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが挙げられる。シランカップリング剤の使用量は、金属アルコキシド100質量部に対して、好ましくは1質量部以上20質量部以下である。
ガスバリア性組成物は、金属アルコキシド1モルに対して、好ましくは0.1モル以上100モル以下、より好ましくは0.5モル以上60モル以下の割合の水を含んでもよい。水の含有量を下限値以上とすることにより、例えば、積層体の酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上できる。水の含有量を上限値以下とすることにより、例えば、加水分解反応を速やかに行うことができる。
ガスバリア性組成物は、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール及びn-ブチルアルコールが挙げられる。
ゾルゲル法触媒としては、酸又はアミン系化合物が好ましい。
酸としては、例えば、硫酸、塩酸及び硝酸等の鉱酸;並びに酢酸及び酒石酸等の有機酸が挙げられる。酸の使用量は、金属アルコキシド及びシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量1モルに対して、好ましくは0.001モル以上0.05モル以下である。
アミン系化合物としては、水に実質的に不溶であり、且つ有機溶剤に可溶な第3級アミンが好適であり、例えば、N,N-ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン及びトリペンチルアミンが挙げられる。アミン系化合物の使用量は、金属アルコキシドとシランカップリング剤との合計量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上1.0質量部以下、より好ましくは0.03質量部以上0.3質量部以下である。
ガスバリア性組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアロールコーター等のロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコート及びアプリケータ等の塗布手段が挙げられる。
以下、ガスバリア性塗布膜の形成方法の一実施形態について説明する。
金属アルコキシド、水溶性高分子、ゾルゲル法触媒、水、有機溶剤、及び必要に応じてシランカップリング剤等を混合して、ガスバリア性組成物を調製する。組成物中では、次第に重縮合反応が進行する。蒸着膜上に、常法により、上記組成物を塗布し乾燥する。この乾燥により、金属アルコキシド及び水溶性高分子(組成物がシランカップリング剤を含む場合は、シランカップリング剤も)の重縮合がさらに進行し、複合ポリマーの層が形成される。上記操作を繰り返して、複数の複合ポリマー層を積層してもよい。例えば、塗布された上記組成物を好ましくは20℃以上150℃以下、より好ましくは50℃以上120℃以下、さらに好ましくは70℃以上100℃以下の温度で、1秒以上10分以下加熱する。これにより、ガスバリア性塗布膜を形成できる。
ガスバリア性塗布膜の厚さは、好ましくは0.01μm以上100μm以下、より好ましくは0.1μm以上50μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上5μm以下である。これにより、例えば、ガスバリア性を向上でき、蒸着膜におけるクラックの発生を抑制でき、また、包装容器のリサイクル適性を向上できる。
<第2の基材>
第2の基材は、ポリプロピレンを主成分として含有する延伸樹脂層を備える。
第2の基材が備える延伸樹脂層は、ポリプロピレンを主成分として、すなわちポリプロピレンを50質量%超の範囲で含有する。第2の基材が延伸樹脂層を備えることにより、例えば、第2の基材を使用して作製される包装容器の耐油性を向上できる。
ポリプロピレンは、プロピレンホモポリマー、プロピレンランダムコポリマー及びプロピレンブロックコポリマーのいずれでもよく、これらから選択される2種以上の混合物でもよい。これらの詳細は上述したとおりであり、本欄での詳細な説明は省略する。
ポリプロピレンの中でも、透明性の観点からは、ランダムコポリマーを使用することが好ましい。包装容器の剛性及び耐熱性を重視する場合は、ホモポリマーを使用することが好ましい。包装容器の耐落下衝撃性を重視する場合は、ブロックコポリマーを使用することが好ましい。
ポリプロピレンのメルトフローレート(MFR)は、製膜性及び加工適性という観点から、一実施形態において、0.1g/10分以上50g/10分以下でもよく、0.3g/10分以上30g/10分以下でもよい。ポリプロピレンのMFRは、JIS K7210に準拠して、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定する。
ポリプロピレンとしては、環境負荷の低減という観点から、バイオマス由来のポリプロピレンや、メカニカルリサイクル又はケミカルリサイクルされたポリプロピレンを使用してもよい。
第2の基材の延伸樹脂層におけるポリプロピレンの含有割合は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上である。
第2の基材における延伸樹脂層は、ポリプロピレン以外の樹脂材料を含有してもよい。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン、(メタ)アクリル樹脂、ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド、ポリエステル及びアイオノマー樹脂が挙げられる。
第2の基材における延伸樹脂層は、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、架橋剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、滑(スリップ)剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料及び改質用樹脂が挙げられる。
第2の基材における延伸樹脂層は、延伸処理が施された層である。これにより、例えば、積層体の耐熱性、耐落下衝撃性、耐水性及び寸法安定性を向上できる。このような樹脂層を備える積層体は、例えば、ボイル処理又はレトルト処理がなされる包装容器を構成する包装材料として好適である。
延伸処理は、1軸延伸でもよく、2軸延伸でもよい。
延伸処理の詳細は上述したとおりであり、本欄での詳細な説明は省略する。
第2の基材における延伸樹脂層には、一実施形態において、上述した表面処理が施されていてもよい。これにより、例えば、延伸樹脂層と他の層との密着性を向上できる。
第2の基材における延伸樹脂層の表面に、易接着層を設けてもよい。
第2の基材の延伸樹脂層は、単層構造を有してもよく、多層構造を有してもよい。
第2の基材における延伸樹脂層の厚さは、好ましくは10μm以上100μm以下、より好ましくは10μm以上50μm以下である。厚さが下限値以上であると、例えば、積層体の強度及び耐熱性をより向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、積層体の加工適性をより向上できる。
第2の基材は、一実施形態において、延伸樹脂層と、無機酸化物から構成される蒸着膜とを備えるバリア性基材である。バリア性基材の詳細は第1の基材の欄において上述したとおりであり、本欄での詳細な説明は省略する。第2の基材は、一実施形態において、延伸樹脂層から構成されるポリプロピレン樹脂基材である。
<印刷層>
本開示の積層体は、第1の基材及び第2の基材などの基材の表面に印刷層を有してもよい。印刷層に形成される画像は、特に限定されず、文字、柄、記号及びこれらの組み合わせなどが表される。印刷層形成は、バイオマス由来のインキを用いて行うこともできる。これにより、環境負荷をより低減できる。
印刷層の形成方法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法及びフレキソ印刷法などの従来公知の印刷法が挙げられる。これらの中でも、環境負荷の低減という観点から、フレキソ印刷法が好ましい。
印刷層の厚さは、例えば0.5μm以上3μm以下である。
<シーラント層>
本開示の積層体は、シーラント層を備える。
シーラント層は、ポリプロピレンを主成分として含有する。すなわち、シーラント層は、延伸樹脂層と同種の樹脂材料、すなわち、ポリプロピレンにより構成される。これにより、包装容器のモノマテリアル化を図ることができる。使用済みの包装容器を回収した後、基材とシーラント層とを分離する必要がなく、包装容器のリサイクル適性を向上できる。シーラント層をポリプロピレンにより構成することにより、積層体を用いて作製される包装容器の耐油性も向上できる。
シーラント層におけるポリプロピレンの含有割合は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上である。これにより、例えば、包装容器のリサイクル適性を向上できる。
ポリプロピレンとしては、例えば、プロピレンホモポリマー、プロピレン-α-オレフィンランダム共重合体等のプロピレンランダムコポリマー、及びプロピレン-α-オレフィンブロック共重合体等のプロピレンブロックコポリマーが挙げられる。α-オレフィンの詳細は、上述したとおりである。ヒートシール性という観点から、ポリプロピレンの密度は、例えば0.88g/cm3以上0.92g/cm3以下である。密度は、JIS K7112、特にD法(密度勾配管法、23℃)、に準拠して測定される。環境負荷低減という観点から、バイオマス由来のポリプロピレン及び/又はリサイクルされたポリプロピレンを用いてもよい。
シーラント層は、上記添加剤を含有してもよい。
本開示において、シーラント層の主成分として、以下に記載するTim1及び/又はTim2を有するポリプロピレンを用いることが好ましい。これにより、例えば、低温シール性に優れるシーラント層を形成できる。
シーラント層における主成分であるポリプロピレンのTim1は、好ましくは145℃以下、より好ましくは140℃以下、さらに好ましくは135℃以下、特に好ましくは130℃以下である。これにより、例えば、ヒートシール可能な温度範囲が広く、シール強度に優れる包装材料を構成できる。シーラント層における主成分である上記ポリプロピレンのTim1の下限値は特に限定されないが、例えば50℃でもよく、60℃、70℃、80℃又は90℃でもよい。
シーラント層における主成分であるポリプロピレンのTim2は、好ましくは150℃以下、より好ましくは148℃以下、さらに好ましくは145℃以下、特に好ましくは143℃以下である。これにより、例えば、ヒートシール可能な温度範囲が広く、シール強度に優れる包装材料を構成できる。シーラント層における主成分である上記ポリプロピレンのTim2の下限値は特に限定されないが、例えば60℃でもよく、70℃、80℃、90℃又は100℃でもよい。
シーラント層は、単層構造を有してもよく、多層構造を有してもよい。
シーラント層の厚さは、好ましくは10μm以上200μm以下、より好ましくは20μm以上150μm以下である。厚さが下限値以上であると、例えば、積層体を備える包装容器のラミネート強度をより向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、積層体の加工適性をより向上できる。積層体からパウチ(特にレトルトパウチ)を作製する場合は、シーラント層の厚さは、好ましくは30μm以上100μm以下、より好ましくは40μm以上100μm以下、さらに好ましくは60μm以上100μm以下である。
シーラントフィルムは、例えば、従来公知の方法により製造できる。シーラントフィルムは、上述した各材料を通常の方法で混合し、得られた混合物を通常の方法でフィルムに成形することによって得られる。シーラントフィルムは、押出成形により得られるフィルムであることが好ましい。押出成形は、Tダイ法又はインフレーション法により行われることが好ましい。具体的には、シーラントフィルムを構成する材料を必要に応じて乾燥させた後、該材料の融点以上の温度に加熱された溶融押出機に供給して該材料を溶融させ、例えばTダイ等のダイよりフィルム状に押出し、押出されたフィルム状物を回転している冷却ドラム等で急冷固化することにより、シーラントフィルムを成形できる。
溶融押出機としては、1軸押出機、2軸押出機、ベント押出機、タンデム押出機等を目的に応じて使用できる。溶融押出機から押し出す際の溶融ポリマーの温度は、例えば200℃以上300℃以下でもよく、220℃以上270℃以下でもよい。
シーラント層は、ヒートシール性という観点から、好ましくは未延伸の樹脂フィルムである。上記樹脂フィルムは、例えば、キャスト法、Tダイ法又はインフレーション法などを利用することにより作製できる。
シーラント層には、上記表面処理が施されていてもよい。
シーラント層は、一実施形態において、低温シール性に優れるポリプロピレン未延伸樹脂層であれば特に限定されないが、例えば、未延伸ポリプロピレンフィルム(オカモト(株)製、ET-20)などの市販の未延伸ポリプロピレンフィルムを用いてもよい。
例えば、シーラント層に対応する未延伸の樹脂フィルムを必要に応じて接着層を介して第1の基材又は第2の基材上に積層してもよく、ポリプロピレン又はその樹脂組成物を第1の基材又は第2の基材上に溶融押出しすることによりシーラント層を形成してもよい。接着層としては、例えば、以下の接着層が挙げられる。
<接着層>
積層体は、一実施形態において、第1の基材とシーラント層との間に、接着層を備える。積層体は、一実施形態において、第1の基材と第2の基材との間に、第1の接着層を備える。積層体は、一実施形態において、第2の基材とシーラント層との間に、第2の接着層を備える。これにより、第1の基材とシーラント層との間の密着性、第1の基材と第2の基材との密着性、第2の基材とシーラント層との密着性を向上できる。
接着層は、接着剤により構成される。接着剤は、1液硬化型の接着剤、2液硬化型の接着剤、及び非硬化型の接着剤のいずれでもよい。接着剤は、無溶剤型の接着剤でもよく、溶剤型の接着剤でもよい。本開示の積層体は、一実施形態において、少なくとも、ポリプロピレン樹脂基材、バリア性基材及びシーラント層という3要素を備える。これにより、接着剤を用いて積層体を製造する場合に、蒸着膜上に接着剤を直接塗布しなくとも積層体を製造でき、蒸着膜の劣化を抑制できる。
無溶剤型の接着剤、すなわちノンソルベントラミネート接着剤としては、例えば、ポリエーテル系接着剤、ポリエステル系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤及びポリウレタン系接着剤が挙げられる。これらの中でも、ポリウレタン系接着剤が好ましく、2液硬化型のポリウレタン系接着剤がより好ましい。
無溶剤型の接着剤は、一実施形態において、主剤と硬化剤とを有する2液硬化型接着剤である。主剤に含まれる重合体成分の重量平均分子量(Mw)は、塗工適性という観点から、好ましくは800以上10,000以下、より好ましくは1,200以上4,000以下である。主剤に含まれる重合体成分の多分散度(Mw/Mn)は、好ましくは2.8以下、より好ましくは1.2以上2.7以下、さらに好ましくは1.5以上2.6以下、特に好ましくは2.0以上2.5以下である。ここでMnは、主剤に含まれる重合体成分の数平均分子量である。各平均分子量は、JIS K7252-1(2008)に準拠したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定され、ポリスチレン換算の値である。
溶剤型の接着剤としては、例えば、ゴム系接着剤、ビニル系接着剤、オレフィン系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤、フェノール系接着剤及びポリウレタン系接着剤が挙げられる。これらの中でも、ポリウレタン系接着剤が好ましく、2液硬化型のポリウレタン系接着剤がより好ましい。
一実施形態において、無溶剤型の接着剤を用いて接着層を形成することにより、例えば、積層体における残留溶剤量、具体的には残留有機溶剤量をより低減できる。本開示の積層体は、ポリプロピレンを主成分として含有する延伸樹脂層を備える。したがって、溶剤型の接着剤を用いて本開示の積層体を作製する場合、ポリエステル系積層体に比べて、積層体の劣化や熱収縮を防ぐため、その乾燥時の温度を低くする必要がある。この場合、接着剤中の溶剤が充分に揮発除去されずに、積層体中に残留し、残留溶剤による臭気が残ることがある。無溶剤型の接着剤を用いることにより、残留溶剤量をより低減できる。
上記有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、n-ヘキサン及びメチルシクロヘキサン等の炭化水素溶剤;酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチル及び酢酸イソブチル等のエステル溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール及びイソブチルアルコール等のアルコール溶剤;並びにアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン溶剤が挙げられる。
一実施形態において、無溶剤型の接着剤を用いることにより、溶剤型の接着剤を用いた場合に比べて、例えば、接着層を薄くできる。これにより、積層体全体におけるポリプロピレンの含有割合をさらに向上できる。このような積層体は、モノマテリアル化された包装容器の作製に好適である。
接着層の厚さは、例えば、0.1μm以上10μm以下、好ましくは0.2μm以上8μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上6μm以下である。接着層の厚さは、2μm以下でもよい。
本開示の積層体の製造方法は特に限定されず、ドライラミネート法、溶融押出ラミネート法、サンドラミネート法等の従来公知の方法を用いて製造することができる。例えば、本開示の積層体は、一実施形態において、第1の基材とシーラントフィルムとを、あるいは第1の基材と第2の基材とシーラントフィルムとを、無溶剤型の接着剤を用いたノンソルベントラミネート法により貼り合わせて製造してもよく、溶剤型の接着剤を用いたドライラミネート法により貼り合わせて製造してもよい。
以下、2液硬化型のポリウレタン系接着剤について説明する。このポリウレタン系接着剤としては、例えば、ポリエステルポリオール等のポリオール化合物を含む主剤と、イソシアネート化合物を含む硬化剤とを有する接着剤が好ましい。
ポリオール化合物としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール及び(メタ)アクリルポリオールが挙げられる。これらの中でも、ポリエステルポリオールが好ましい。
ポリエステルポリオールは、1分子中に水酸基を2個以上有する。ポリエステルポリオールは、主骨格として、例えば、ポリエステル構造又はポリエステルポリウレタン構造を有する。ポリエステルポリオールは、例えば、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分との脱水縮合反応や、エステル交換又は開環反応により得られる。
多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール及びシクロヘキサンジメタノール等のジオール;グリセリン、トリエチロールプロパン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びソルビトール等の3官能以上のポリオールが挙げられる。
多価カルボン酸成分としては、例えば、脂肪族多価カルボン酸、脂環族多価カルボン酸及び芳香族多価カルボン酸、並びにこれらのエステル誘導体及び酸無水物が挙げられる。脂肪族多価カルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸及びダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。脂環族多価カルボン酸としては、例えば、1,3-シクロペンタンジカルボン酸及び1,4-シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。芳香族多価カルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸及び1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p’-ジカルボン酸が挙げられる。
ポリエステルポリオールは、必要に応じてポリイソシアネートにて予め鎖長させることもできる。ポリイソシアネートとしては、例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、α、α、α’α’-テトラメチル-m-キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート;並びにジイソシアネートのビュレット体、ヌレート体又はトリメチロールプロパンアダクト体が挙げられる。
ポリエステルポリオール等のポリオール化合物の重量平均分子量(Mw)は、塗工適性という観点から、好ましくは800以上10,000以下、より好ましくは1,200以上4,000以下である。ポリエステルポリオール等のポリオール化合物の多分散度(Mw/Mn)は、好ましくは2.8以下、より好ましくは1.2以上2.7以下、さらに好ましくは1.5以上2.6以下、特に好ましくは2.0以上2.5以下である。ここでMnは、ポリオール化合物の数平均分子量である。各平均分子量は、JIS K7252-1(2008)に準拠したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定され、ポリスチレン換算の値である。
イソシアネート化合物は、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する。
イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族イソシアネート及び脂肪族イソシアネートが挙げられる。イソシアネート化合物は、公知のイソシアネートブロック化剤を用いて公知慣用の適宜の方法より付加反応させて得られたブロック化イソシアネート化合物でもよい。
イソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート及びα、α、α’α’-テトラメチル-m-キシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート;これらのジイソシアネートの3量体;並びにこれらのジイソシアネート化合物と、低分子活性水素化合物若しくはそのアルキレンオキシド付加物、又は高分子活性水素化合物とを反応させて得られる、アダクト体、ビュレット体及びアロファネート体が挙げられる。
低分子活性水素化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサメチレングリコール、1,8-オクタメチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、メタキシリレンアルコール、1,3-ビスヒドロキシエチルベンゼン、1,4-ビスヒドロキシエチルベンゼン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びメタキシリレンジアミンが挙げられる。高分子活性水素化合物としては、例えば、ポリエステル、ポリエーテルポリオール及びポリアミドが挙げられる。
[包装容器]
本開示の積層体は、包装材料用途に好適に使用できる。
包装材料は、包装容器を作製するために使用される。包装材料は、本開示の積層体を備える。本開示の積層体を備える包装材料を少なくとも用いることにより、包装容器を作製できる。
本開示の包装容器は、本開示の積層体(以下、単に「積層体」ともいう)を備える。包装容器としては、例えば、包装袋、チューブ容器、及び蓋付き容器が挙げられる。蓋付き容器は、収容部を有する容器本体と、収容部を封止するように容器本体に接合(ヒートシール)された蓋材とを備える。
本開示の包装容器は、一実施形態において、高温処理を受けてもガスバリア性を維持し、また変形が小さいことから、電子レンジ用容器、あるいはボイル又はレトルト容器として好適である。本開示の包装容器は、電子レンジ用ボイル又はレトルト容器としても好適である。本開示の包装容器は、ボイル又はレトルトパウチとして特に好適である。
ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール及び超音波シールが挙げられる。
包装袋としては、例えば、スタンディングパウチ型、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型及びガゼット型などの種々の形態の包装袋が挙げられる。
包装容器は、易開封部を備えてもよい。易開封部としては、例えば、包装容器の引き裂きの起点となるノッチ部や、包装容器を引き裂く際の経路として、レーザー加工やカッターなどにより形成されたハーフカット線が挙げられる。
包装容器は、蒸気抜き機構を備えてもよい。蒸気抜き機構は、包装容器内の蒸気圧力が所定値以上となった際に、包装容器内部と外部とを連通させ、蒸気を逃がすと共に、蒸気抜き機構以外の箇所において蒸気が抜けることを抑制するように構成されている。
蒸気抜き機構は、例えば、側部シール部から包装容器の内側に向かって突出した蒸気抜きシール部と、蒸気抜きシール部によって、内容物収容部から隔離された非シール部とを備える。非シール部は、包装容器の外部に連通している。内容物が充填され、開口部がヒートシールされた包装容器を、電子レンジなどを用いて加熱する。これにより、内部の圧力が高まり、蒸気抜きシール部が剥離する。蒸気は、蒸気抜きシール部剥離箇所及び非シール部を通り、包装容器外部へ抜ける。
一実施形態において、本開示の積層体を、第1の基材が外側、シーラント層が内側に位置するように二つ折にして重ね合わせて、その端部等をヒートシールすることにより、包装袋を作製できる。他の実施形態において、複数の本開示の積層体をシーラント層同士が対向するように重ね合わせて、その端部等をヒートシールすることにより、包装袋を作製できる。包装袋の全部が上記積層体で構成されてもよく、包装袋の一部が上記積層体で構成されてもよい。
一実施形態において、蓋付き容器における蓋材として、本開示の積層体が用いられる。蓋付き容器は、収容部を有する容器本体と、収容部を封止するように容器本体に接合(ヒートシール)された蓋材とを備える。ここで、蓋材、すなわち上記積層体のシーラント層と、容器本体とが、ヒートシールされている。容器本体の形状としては、例えば、カップ型及び有底円筒形状が挙げられる。容器本体は、例えば、ポリスチレン製、ポリプロピレン製、ポリエチレン製又は紙製である。
包装容器中に収容される内容物としては、例えば、液体、固体、粉体及びゲル体が挙げられる。内容物は、飲食品でもよく、化学品、化粧品及び医薬品等の非飲食品でもよい。包装容器中に内容物を収容した後、包装容器の開口部をヒートシールすることにより、包装容器を密封できる。
包装袋の具体例として、以下、小袋及びスタンディングパウチについて説明する。
小袋は、小型の包装袋であって、例えば1g以上200g以下の内容物を収容するために使用される。小袋中に収容される内容物としては、例えば、ソース、醤油、ドレッシング、ケチャップ、シロップ、料理用酒類、他の液体又は粘稠体の調味料;液体スープ、粉末スープ、果汁類;香辛料;液体飲料、ゼリー状飲料、インスタント食品、他の飲食品が挙げられる。
スタンディングパウチは、例えば50g以上2000g以下の内容物を収容するために使用される。スタンディングパウチ中に収容される内容物としては、例えば、シャンプー、リンス、コンディショナー、ハンドソープ、ボディソープ、芳香剤、消臭剤、脱臭剤、防虫剤、洗剤;ドレッシング、食用油、マヨネーズ、他の液体又は粘稠体の調味料;液体飲料、ゼリー状飲料、インスタント食品、他の飲食品;クリームが挙げられる。
図10に、2枚の積層体を貼り合わせて得られる包装袋50を示す。斜線部分は、ヒートシールされた箇所を示す。包装袋50は、易開封部51を備えてもよい。易開封部51としては、例えば、引き裂きの起点となるノッチ部52や、引き裂く際の経路として、レーザー加工やカッターなどにより形成されたハーフカット線53が挙げられる。
図11に、スタンディングパウチの構成の一例を簡略に示す。斜線部分は、ヒートシールされた箇所を示す。スタンディングパウチ60は、一実施形態において、胴部(側面シート)61と、底部(底面シート)62とを備える。側面シート61と底面シート62とは、同一部材により構成されてもよく、別部材により構成されてもよい。底面シート62が側面シート61の形状を保持することにより、パウチに自立性が付与され、スタンディング形式のパウチとすることができる。側面シート61と底面シート62とによって囲まれる領域内に、内容物を収容するための収容空間が形成される。
スタンディングパウチ60は、蒸気抜き機構63を備えてもよい。蒸気抜き機構63は、側部シール部から包装容器の内側に向かって突出した蒸気抜きシール部63aと、蒸気抜きシール部63aによって、内容物収容部から隔離された非シール部63bとを備える。非シール部63bは、包装容器の外部に連通している。
スタンディングパウチにおいて、胴部のみが本開示の積層体により構成されてもよく、底部のみが本開示の積層体により構成されてもよく、胴部及び底部の両方が本開示の積層体により構成されてもよい。
一実施形態において、側面シートは、本開示の積層体が備えるシーラント層が最内層となるように製袋することにより形成できる。一実施形態において、側面シートは、本開示の積層体を2枚準備し、これらをシーラント層同士が向かい合うようにして重ね合わせ、両側の側縁部をヒートシールして製袋することにより形成できる。
他の実施形態において、側面シートは、本開示の積層体を2枚準備し、これらをシーラント層同士が向かい合うようにして重ね合わせ、重ね合わせた積層体の両側の側縁部における積層体間に、シーラント層が外側となるようにV字状に折った積層体2枚をそれぞれ挿入し、ヒートシールすることにより形成できる。このような作製方法によれば、側部ガセット付きの胴部を有するスタンディングパウチが得られる。
一実施形態において、底面シートは、製袋された側面シート下部の間に本開示の積層体を挿入し、ヒートシールすることにより形成できる。より具体的には、底面シートは、製袋された側面シート下部の間に、シーラント層が外側となるようにV字状に折った積層体を挿入し、ヒートシールすることにより形成できる。
一実施形態において、上記積層体を2枚準備し、これらをシーラント層同士が向かい合うようにして重ね合わせ、次いで、もう1枚の上記積層体をシーラント層が外側となるようにV字状に折り、これを向かい合わせとなった積層体の下部に挟み込み、ヒートシールすることにより底部を形成する。次いで、底部に隣接する2辺をヒートシールすることにより、胴部を形成する。このようにして、一実施形態のスタンディングパウチを形成できる。
本開示は、例えば以下の[1]~[18]に関する。
[1]第1の基材とシーラント層とを備える包装材料用積層体であって、第1の基材が、ポリプロピレンを主成分として含有する延伸樹脂層を備え、シーラント層が、ポリプロピレンを主成分として含有する樹脂層であり、延伸樹脂層に含まれるポリプロピレンの、JIS K7121:2012に準拠した示差走査熱量測定(DSC)により得られる第1回昇温時における補外融解開始温度(Tim)が、シーラント層に含まれるポリプロピレンの、DSCにより得られる第1回昇温時におけるTimよりも高く、積層体を圧力0.1MPa、時間1秒のヒートシール条件でヒートシールした場合において、試験速度300mm/min及びT型剥離によるシール強度が23N/15mm以上となり、かつ積層体のTD方向の収縮率が0%以上1.0%以下となるヒートシール温度の範囲が、130℃以上190℃以下の範囲において5℃以上存在する、包装材料用積層体。
[2]第1の基材における延伸樹脂層に含まれるポリプロピレンの、DSCにより得られる第1回昇温時におけるTimと、シーラント層に含まれるポリプロピレンの、DSCにより得られる第1回昇温時におけるTimとの差が、20℃以上である、上記[1]に記載の包装材料用積層体。
[3]第1の基材における延伸樹脂層に含まれるポリプロピレンの、DSCにより得られる第2回昇温時におけるTimと、シーラント層に含まれるポリプロピレンの、DSCにより得られる第2回昇温時におけるTimとの差が、10℃以上である、上記[1]又は[2]に記載の包装材料用積層体。
[4]シーラント層に含まれるポリプロピレンの、DSCにより得られる第1回昇温時におけるTimが、145℃以下である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の包装材料用積層体。
[5]シーラント層に含まれるポリプロピレンの、DSCにより得られる第2回昇温時におけるTimが、150℃以下である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の包装材料用積層体。
[6]第1の基材が、延伸樹脂層と、無機酸化物から構成される蒸着膜とを備えるバリア性基材であるか、又は、延伸樹脂層から構成されるポリプロピレン樹脂基材である、上記[1]~[5]のいずれかに記載の包装材料用積層体。
[7]積層体が、第1の基材とシーラント層との間に、ポリプロピレンを主成分として含有する延伸樹脂層を備える第2の基材をさらに備え、第2の基材が、延伸樹脂層と、無機酸化物から構成される蒸着膜とを備えるバリア性基材であるか、又は、延伸樹脂層から構成されるポリプロピレン樹脂基材である、上記[1]~[6]のいずれかに記載の包装材料用積層体。
[8]バリア性基材が、延伸樹脂層と蒸着膜との間に、表面コート層をさらに備え、表面コート層が、極性基を有する樹脂材料を含有する、上記[6]又は[7]に記載の包装材料用積層体。
[9]バリア性基材が、延伸樹脂層と蒸着膜との間に、表面樹脂層をさらに備え、表面樹脂層が、180℃以上の融点を有する樹脂材料を含有する、上記[6]又は[7]に記載の包装材料用積層体。
[10]バリア性基材における延伸樹脂層と表面樹脂層とが、共押出延伸樹脂フィルムを構成する、上記[9]に記載の包装材料用積層体。
[11]蒸着膜上に、バリアコート層をさらに備える、上記[6]~[10]のいずれかに記載の包装材料用積層体。
[12]第1の基材が、延伸樹脂層から構成されるポリプロピレン樹脂基材であり、第2の基材が、バリア性基材である、上記[7]に記載の包装材料用積層体。
[13]第1の基材と第2の基材との間に、第1の接着層を備え、第2の基材とシーラント層との間に、第2の接着層を備える、上記[7]又は[12]に記載の包装材料用積層体。
[14]ポリプロピレン系単一素材の割合が80質量%以上である、上記[1]~[13]のいずれかに記載の包装材料用積層体。
[15]上記[1]~[14]のいずれかに記載の包装材料用積層体を備える包装容器。
[16]ボイル又はレトルトパウチである、上記[15]に記載の包装容器。
[17]上記[1]~[14]のいずれかに記載の包装材料用積層体からなる蓋材。
[18]収容部を有する容器本体と、収容部を封止するように容器本体に接合された上記[17]に記載の蓋材とを備える包装容器。
以下、実施例に基づき本開示の積層体について具体的に説明する。
[実施例1]
<透明バリア性基材の作製>
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂(数平均分子量:25,000、ガラス転移温度:99℃、水酸基価:80mgKOH/g)を、メチルエチルケトンと酢酸エチルとの混合溶剤(混合比1:1)を用いて、固形分濃度が10質量%となるまで希釈し、主剤を調製した。トリレンジイソシアネートを含有する酢酸エチル溶液(固形分75質量%)を硬化剤として、主剤に添加し、表面コート層形成用溶液を得た。硬化剤の使用量は、主剤100質量部に対して、10質量部とした。
一方の面がコロナ処理された、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ(株)製、ME-1)を準備した。該フィルムのコロナ処理面に、上記表面コート層形成用溶液を塗布、乾燥して、厚さ0.5μmの表面コート層を形成し、樹脂基材を得た。
樹脂基材の表面コート層上に、実機である低温プラズマ化学気相成長装置を用いて、Roll to Rollにより、樹脂基材にテンションを与えながら、厚さ12nmの炭素含有酸化珪素(シリカ)蒸着膜を形成した(CVD法)。蒸着膜形成条件は、以下の通りとした。
(形成条件)
・ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:10:10(単位:slm)
・冷却・電極ドラム供給電力:22kW
・ライン速度:100m/min
水385gと、イソプロピルアルコール67gと、0.5N塩酸9.1gとを混合して、pH2.2の溶液を得た。この溶液に、金属アルコキシドとしてテトラエトキシシラン175gと、シランカップリング剤としてグリシドキシプロピルトリメトキシシラン9.2gとを、10℃となるように冷却しながら混合して、溶液Aを得た。水溶性高分子としてケン価度99%以上、重合度2400のポリビニルアルコール14.7gと、水324gと、イソプロピルアルコール17gとを混合して、溶液Bを得た。
溶液Aと溶液Bとを、質量基準(溶液A:溶液B)で6.5:3.5となるように混合して、バリアコート剤を得た。樹脂基材上に形成した蒸着膜上に、バリアコート剤をスピンコート法によりコーティングし、オーブンにて80℃で60秒間の加熱処理を施し、厚さ300nmのバリアコート層を形成した。
以上のようにして、透明バリア性基材を得た。
<積層体の作製>
第1の基材として、一方の面がコロナ処理された、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡(株)製、P2171)を準備した。第1の基材のコロナ処理面に、グラビアロールコート法により、塗布厚さ1μm(乾燥時)の印刷層を形成した。次いで、印刷層上に、2液硬化型ポリウレタン接着剤(ロックペイント(株)製、RU-40/H-4)をグラビアロールコート法により塗布厚さ4μm(乾燥時)でコーティングし、その接着層面に、第2の基材(中間基材)として透明バリア性基材のバリアコート層面が接するように該基材をドライラミネートした。
透明バリア性基材の非バリアコート層面にコロナ処理を行い、2液硬化型ポリウレタン接着剤(ロックペイント(株)製、RU-40/H-4)をグラビアロールコート法により塗布厚さ4μm(乾燥時)でコーティングし、その接着層面に、シーラント層として、一方の面がコロナ処理された、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(オカモト(株)製、ET-20)を、該フィルムのコロナ処理面が接するようにドライラミネートした。
このようにして、厚さ約109μmの積層体を得た。積層体の構成は、2軸延伸ポリプロピレンフィルム(20μm)/印刷層(1μm)/溶剤型接着層(4μm)/透明バリア性基材(約20μm)/溶剤型接着層(4μm)/未延伸ポリプロピレンフィルム(60μm)である。積層体のモノマテリアル化率は、約91質量%であった。
[実施例2]
接着層として、ノンソルベント系2液硬化型ポリウレタン接着剤(ロックペイント(株)製、RN-920/HN-920)を、ロールコート法により塗布厚さ1.5μm(乾燥時)でコーティングしたこと以外は実施例1と同様に行い、厚さ約104μmの積層体を得た。積層体の構成は、2軸延伸ポリプロピレンフィルム(20μm)/印刷層(1μm)/無溶剤型接着層(1.5μm)/透明バリア性基材(約20μm)/無溶剤型接着層(1.5μm)/未延伸ポリプロピレンフィルム(60μm)である。積層体のモノマテリアル化率は、約96質量%であった。
[比較例1]
シーラント層として、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工(株)製、ZK500)を使用したこと以外は実施例1と同様に行い、厚さ約109μmの積層体を得た。積層体の構成は、2軸延伸ポリプロピレンフィルム(20μm)/印刷層(1μm)/溶剤型接着層(4μm)/透明バリア性基材(約20μm)/溶剤型接着層(4μm)/未延伸ポリプロピレンフィルム(60μm)である。積層体のモノマテリアル化率は、約91質量%であった。
[比較例2]
第1の基材として、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡(株)製、P2161)を使用したこと以外は実施例1と同様に行い、厚さ約109μmの積層体を得た。積層体の構成は、2軸延伸ポリプロピレンフィルム(20μm)/印刷層(1μm)/溶剤型接着層(4μm)/透明バリア性基材(約20μm)/溶剤型接着層(4μm)/未延伸ポリプロピレンフィルム(60μm)である。積層体のモノマテリアル化率は、約91質量%であった。
[比較例3]
第1の基材として、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡(株)製、P2161)を、シーラント層として、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工(株)製、ZK500)を使用したこと以外は実施例1と同様に行い、厚さ約109μmの積層体を得た。積層体の構成は、2軸延伸ポリプロピレンフィルム(20μm)/印刷層(1μm)/溶剤型接着層(4μm)/透明バリア性基材(約20μm)/溶剤型接着層(4μm)/未延伸ポリプロピレンフィルム(60μm)である。積層体のモノマテリアル化率は、約91質量%であった。
[比較例4]
第1の基材として厚さ12μmのシリカ蒸着PETフィルム(DNP(株)製、IB-PET-PIR2)を、第2の基材(中間基材)として厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム(興人フィルム&ケミカルズ(株)製、ボニール-W)を、シーラント層として厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工(株)製、ZK500)を使用したこと以外は実施例1と同様に行い、厚さ96μmの積層体を得た。積層体の構成は、シリカ蒸着PETフィルム(約12μm)/印刷層(1μm)/溶剤型接着層(4μm)/2軸延伸ナイロンフィルム(15μm)/溶剤型接着層(4μm)/未延伸ポリプロピレンフィルム(60μm)である。積層体のモノマテリアル化率は、約62質量%であった。
[評価]
<示差走査熱量測定(DSC)>
JIS K7121:2012(プラスチックの転移温度測定方法)に準拠して、示差走査熱量計((株)日立ハイテクサイエンス製、製品名:DSC7000X)を用いて、測定を実施した。測定サンプルは、第1の基材の2軸延伸ポリプロピレンフィルム及びシーラント層の未延伸ポリプロピレンフィルム(表1において、それぞれOPP及びCPPと記載する)である。この際、測定サンプルを20℃で1分間保持した後、10℃/分の加熱速度で20℃から200℃まで昇温させて(1st)、200℃で5分間保持した後、10℃/分の冷却速度で200℃から20℃まで降温させて、20℃で5分間保持した。その後、再度10℃/分の加熱速度で20℃から200℃まで昇温させた(2nd)。これにより、1st及び2ndのDSC曲線を得た。DSC曲線において、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、融解ピークの低温側の曲線にこう配が最大になる点で引いた接線との交点の温度である補外融解開始温度(Tim)を測定した。Timが2つ以上ある場合はピーク強度が最も大きい融解ピークのTimを使用した。窒素ガスの流量は20ml/分とした。結果を表1に示す。
<レトルト試験>
上記で得られた積層体を2枚準備し、これらをシーラント層(未延伸ポリプロピレンフィルム)側の面を対向させて重ね合わせ、次いで、もう1枚の上記積層体をシーラント層側の面が外側となるようにV字状に折り、これを対向させた積層体の下部に挟み込み、ヒートシールすることにより底部を形成した。次いで、底部に隣接する2辺をヒートシールすることにより、胴部を形成した。このようにして、底部に舟底シール部を有する、幅130mm、高さ170mm、折込35mmのスタンディングパウチを作製した。底部におけるシール幅を6mm、側部におけるシール幅を6mmとした。得られたパウチ内に、開口部から水を210g充填し、開口部をヒートシールして密封した。密封後のパウチに、熱水式、レトルト温度121℃、レトルト時間30分間のレトルト処理を行った。
実施例1及び2ともに、デラミネーションやシール後退等の問題は認められなかった。
<シール評価>
上記で得られた積層体を2枚準備し、それぞれ100mm×100mmの大きさにカットした。未延伸ポリプロピレンフィルム側の面を対向させて重ね合わせて、幅10mmの片面加熱平板ヒートシールバーによりTD方向にヒートシールした。ヒートシール条件は、温度130~180℃、圧力0.1MPa、時間1秒とした。シールされたサンプルをMD方向に幅15mmにカットし、幅15mm、長さ100mmの試験片を作製した。この試験片を用いて、引張試験機((株)オリエンテック製、STA-1150)にて試験速度300mm/min、T型剥離にてシール強度を測定した。結果を表2に示す。
<収縮率>
上記で得られた積層体を2枚準備し、それぞれ100mm×100mmの大きさにカットした。未延伸ポリプロピレンフィルム側の面を対向させて重ね合わせて、幅10mmの片面加熱平板ヒートシールバーによりTD方向にヒートシールした。ヒートシール条件は、温度130~190℃、圧力0.1MPa、時間1秒とした。シールされたサンプルのヒートシール部におけるTD方向の長さを、150mmの定規を用いて測定し、(シール前の長さ(100mm)-シール後の長さ(mm))/シール前の長さ(100mm)×100、にて収縮率(%)を計算した。サンプルがヒートシールにより大きく熱変形し収縮率を計算できなかった場合は「不可」とした。また、シールされたサンプルの外観を目視で評価し、外観良好なサンプルをAA、外観がやや良好なサンプルをBB、外観不良なサンプルをCCとした。結果を表3に示す。