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JP2019194358A - フレキシブルプリント配線板用圧延銅箔 - Google Patents

フレキシブルプリント配線板用圧延銅箔 Download PDF

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JP2019194358A JP2019116762A JP2019116762A JP2019194358A JP 2019194358 A JP2019194358 A JP 2019194358A JP 2019116762 A JP2019116762 A JP 2019116762A JP 2019116762 A JP2019116762 A JP 2019116762A JP 2019194358 A JP2019194358 A JP 2019194358A
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達也 山路
Tatsuya Yamaji
達也 山路
和樹 冠
Kazuki Kan
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Abstract

【課題】屈曲性に加えて耐振動性にも優れた圧延銅箔を提供する。
【解決手段】圧延面の測定面積S0に対する{100}面が圧延面から10°以内にある結晶粒が占める圧延面の面積Sの比S/S0が0.2以上であり、且つ、Sに対する{811}面が圧延面から3°以内にある結晶粒が占める圧延面の面積S1の比S1/Sが0〜0.05の範囲にある圧延銅箔。
【選択図】なし

Description

本発明はフレキシブルプリント配線板用圧延銅箔に関し、特に車載用のフレキシブルプリント配線板に用いられる圧延銅箔に関する。
フレキシブルプリント配線板(FPC)は、導電層である金属と樹脂フィルムに代表される柔軟性絶縁基板とが接合されたものである。一般に導電層には銅箔が用いられ、特に屈曲性が求められる用途には、屈曲性に優れる圧延銅箔が用いられている。
一般的なFPC製造工程は以下のようなものである。まず銅箔を樹脂フィルムと接合する。接合には、銅箔上に塗布したワニスに熱処理を加えることでイミド化する方法や、接着剤付きの樹脂フィルムと銅箔とを重ねてラミネートする方法がある。これらの工程によって接合された樹脂フィルム付き銅箔をCCL(銅張積層板)と呼ぶ。その後、エッチングにより配線を形成し、FPCが完成する。
FPC用の圧延銅箔に要求される屈曲性は、電子機器の軽薄短小化及び高機能化に従って厳しくなっている。圧延した純銅を再結晶させると{100}<001>再結晶集合組織(Cube再結晶集合組織)が発達することがわかっており(例えば、古林英一著「再結晶と材料組織」、内田老鶴圃、2000年)、Cube再結晶集合組織を利用して圧延銅箔の屈曲性の向上を図ろうとする技術が過去に提案されている。特開平11−286760号公報(特許文献1)には、圧延面のX線回折で求めた(200)面の強度(I)の微粉末銅のX線回折で求めた(200)面の強度(I0)に対する比をI/I0>20にすることが提案されている。特許文献1においては、当該圧延銅箔の製造方法として、最終冷間圧延の直前の焼鈍を、この焼鈍で得られる再結晶粒の平均粒径が5〜20μmになる条件下で行い、次の最終冷間圧延での圧延加工度を90%以上とすることが記載されている。
また、圧延銅箔を焼鈍した状態の銅箔の断面組織において、銅箔の両表面の間を板厚方向に貫通した結晶粒の断面積が全体の断面積に対して占める比率(断面面積率)を大きくすることで銅箔の屈曲性を改善する技術も知られている。特開2009−275290号公報(特許文献2)では、圧延銅箔を焼鈍した状態の銅箔の断面組織において、銅箔の両表面の間を板厚方向に貫通した結晶粒の断面積が全体の断面積に対して占める比率(断面面積率)を高める技術が開示されている。このような圧延銅箔を製造するために、タフピッチ銅又は無酸素銅の鋳塊を熱間圧延して厚さ18mmとし、更に冷間圧延によって厚さ2.0mmにまで薄くして中間焼純した後、引き続き冷間圧延と焼鈍を繰り返して厚さ1.4〜0.14mmとし、最終圧延によって厚さ10〜33μmの最終板厚としてから、130〜200℃で30分最終焼鈍する方法が開示されている。
特開平11−286760号公報 特開2009−275290号公報
古林英一著「再結晶と材料組織」、内田老鶴圃、2000年
車載用途等、頻繁に振動を受ける環境で使用されるFPCにおいては銅箔が疲労して導電層に亀裂が入りやすい。亀裂の発生及び伝搬によってFPCの電気的特性が低下してしまうことから、FPCを搭載した電子・電気機器の長期間にわたる使用に耐えることができるように、振動環境下でも容易に亀裂が入らない耐疲労特性に優れた銅箔が望まれる。従来技術にて提案されている圧延銅箔は、FPCの屈曲寿命を向上させることに対しては効果が見られるものの、振動下での耐疲労特性(以下、「耐振動性」という。)については未だ改善の余地が残されている。
そこで、本発明は屈曲性に加えて耐振動性にも優れた圧延銅箔を提供することを課題の一つとする。また、本発明はそのような圧延銅箔を備えたFPCを提供することを別の課題の一つとする。
金属表面の亀裂発生原因については以下の知見がある。金属に対して繰り返し変形を与えると、金属表面には突き出し及び入り込みが形成される。そして、この突き出し及び入り込みは断面から表面の凹凸として観察される。この凹凸を起点に亀裂が生じる(例えば「材料強度の原子論」、講座・現代の金属学、材料編3、日本金属学会)。そこで、本発明者は振動環境下において銅箔表面に鋭い突き出しや入り込みが形成されないようにすることが耐振動性を高める上で重要であると考え、その解決策を鋭意検討した。
その結果、銅箔表面における突き出し及び入り込みの形成は結晶方位の影響が大きく、特許文献2のように結晶粒を大きくするという手法では耐振動性は向上しないことが分かった。また、特許文献1のように(200)面の回折ピーク強度を高くすると、突き出し及び入り込みの幅が広くなるので耐振動性はある程度向上するが、板面が{100}面近傍であっても振動試験後に鋭い突き出し及び入り込みを形成している場所があり、そこから亀裂が発生することがあった。本発明者はこの亀裂発生の原因について調査したところ、板面が{100}面近傍であっても多少なりとも結晶回転を含んだ結晶粒が存在し、それが{100}面から特定の方向に回転していると、鋭い突き出し及び入り込みが形成されやすいことを見出した。そして、板面を{100}面近傍に制御しながら、更に特定の方向への結晶粒の回転を抑制することで、有意に耐振動特性が向上することを突き止めた。本発明は当該知見に基づいて創作されたものである。
本発明は一側面において、圧延面の測定面積S0に対する{100}面が圧延面から10°以内にある結晶粒が占める圧延面の面積Sの比S/S0が0.2以上であり、且つ、Sに対する{811}面が圧延面から3°以内にある結晶粒が占める圧延面の面積S1の比S1/Sが0〜0.05の範囲にある圧延銅箔である。
本発明に係る圧延銅箔は一実施形態において、前記Sに対する{811}面が圧延面から5°以内にある結晶粒が占める圧延面の面積S2の比S2/Sが0〜0.05の範囲にある。
本発明に係る圧延銅箔は別の一実施形態において、Ag、Sn、Zn、Zr、Cr、Fe、Mg、Si、Ti、Ni及びPよりなる群から選択される元素の一種又は二種以上を合計で1〜500質量ppm含有する。
本発明に係る圧延銅箔は更に別の一実施形態において、表面にNi、Co、Cu、Zn、Sn及びCrよりなる群から選択される元素の一種又は二種以上を含むめっきが施されている。
本発明に係る圧延銅箔は更に別の一実施形態において、フレキシブルプリント配線板の導体材料として使用される。
本発明に係る圧延銅箔は更に別の一実施形態において、フレキシブルプリント配線板が車載用である。
本発明は別の一側面において、本発明に係る圧延銅箔を備えたフレキシブル銅張積層板である。
本発明は更に別の一側面において、本発明に係るフレキシブル銅張積層板を加工して得られたフレキシブルプリント配線板である。
本発明は更に別の一側面において、再結晶前の圧延銅箔であって、200℃〜400℃×30minの何れかの条件で再結晶させたときに本発明に係る何れかの圧延銅箔の要件を満たす再結晶前の圧延銅箔である。
本発明によれば、屈曲性に加えて耐振動性にも優れた圧延銅箔が提供される。本発明に係る圧延銅箔は例えば車載用FPCの導体層として特に有用である。
FPC試験片に対して振動試験を行う際の試験片の治具への装着状態を示す模式図である。
本発明において使用する銅箔基材は圧延銅箔である。圧延銅箔は、強度が高く、振動が継続的に発生する環境に対応でき、屈曲性が高い点で電解銅箔よりも優れている。本発明において、「銅箔」には銅合金箔も含まれるものとする。銅箔の材料としては、特に制限はなく、用途や要求特性に応じて適宜選択すればよい。銅箔中のCu濃度は高導電性確保の理由により99.8質量%以上であることが好ましく、99.85質量%以上であることがより好ましく、99.9質量%以上であることが更により好ましい。但し、Cu濃度が高すぎてもコスト増加につながるため、99.999質量%以下が好ましく、99.995質量%以下がより好ましい。銅箔中の酸素濃度は亜酸化銅増加につながり、立方体方位の発達を抑制することにつながることから0.01質量%未満であることが好ましく、0.005質量%以下であることが好ましく、例えば0.0001質量%以上0.01質量%未満とすることができる。このような条件を満たす銅箔として、例えば、JIS−H3510若しくはJIS−H3100に規格する無酸素銅(OFC)を用いることができる。
また、銅箔には、Ag、Sn、Zn、Zr、Cr、Fe、Mg、Si、Ti、Ni及びPよりなる群から選択される1種又は2種以上の元素を添加することができる。これによって、S/S0を上昇させる効果が得られる。理論によって本発明が限定されることを意図するものではないが、これは銅箔の純度が高いと動的再結晶が起きるために{100}<001>再結晶集合組織が発達し難くなるのに対して、これらの元素を添加すると動的再結晶が抑えられ、{100}<001>再結晶集合組織が発達しやすいからと考えられる。強度向上効果やS/S0上昇効果を有意に発揮するためには、これらの元素の合計濃度を1質量ppm以上とすることが好ましく、5質量ppm以上とすることがより好ましく、10質量ppm以上とすることが更により好ましく、50質量ppm以上とすることが更により好ましく、100質量ppm以上とすることが更により好ましい。一方で、これらの元素の合計濃度が高くなりすぎると伸び性や加工性が悪化する場合があるため、これらの元素の合計濃度は500質量ppm以下とすることが好ましく、400質量ppm以下とすることがより好ましく、300質量ppm以下とすることが更により好ましい。
例示的には、Sn、Ag、Zr、Ti、Fe、Zn、Ni、Si、Cr、Zr等を添加した銅合金を使用することができる。中でも、Ag、Sn、Zr及びTiの群から選ばれる1種以上の元素を合計で500質量ppm以下の含有量となるように添加することが、S/S0を上昇させるという観点から好ましい。Ag、Sn、Zr及びTiの含有量が合計で500質量ppmを超えると強度は更に向上するものの、伸びが低下して加工性が悪化する場合がある。より好ましくはAg、Sn、Zr及びTiの含有量が合計で300質量ppm以下である。Ag、Sn、Zr及びTiを合計した含有量の下限は特に制限されないが、例えば10質量ppmを下限とすることができる。Ag、Sn、Zr及びTiの含有量が合計で10質量ppm未満であると、効果が小さくなる他、含有量が小さいためその含有量を制御することが困難になる場合がある。好ましくは、Ag、Sn、Zr及びTiを合計した量は30質量ppm以上であり、更に好ましくは40質量ppm以上であり、最も好ましくは50質量ppm以上である。
本発明に係る銅箔として上述した銅合金を用いた場合にも同様に、銅箔中の酸素濃度は0.01質量%未満であることが好ましく、0.005質量%以下であることがより好ましいが、銅合金を使用する場合には、銅箔中の酸素濃度が多少高いことも許容される。具体的には、酸素濃度が0.05質量%以下であれば許容され、典型的には0.01〜0.03質量%とすることができる。このため、銅原料として例えばJIS−H3100に規定するタフピッチ銅を使用することもできる。
銅箔の厚みは特に制限はなく、要求特性に応じて適宜選択すればよい。一般的には1〜300μmであるが、フレキシブルプリント配線板の導体層として使用する場合、銅箔を薄肉化した方がより高い屈曲性や耐振動性を得ることができる。そのような観点から、銅箔の厚みは一般には2〜50μm、典型的には5〜35μm程度である。但し、車載用など、大電流が流れ、通電による発熱が特に嫌われる用途の場合は、導電性及び放熱性を確保しつつ、断線せずに通電する観点から、銅箔は比較的厚くするべきであるので、そのような場合には、35μm以上とすることが好ましい。ただし、過度に厚くすると、導体層のエッチング除去がし難くなる場合があるので、300μm以下とするのが好ましく、150μm以下とするのがより好ましい。
本発明に係る圧延銅箔は一実施形態において、圧延面の測定面積S0に対する{100}面が圧延面から10°以内にある結晶粒が占める圧延面の面積Sの比S/S0が0.2以上であるという結晶配向性を有する。S0は結晶粒径が大きくても精度良く算出できるように1mm2以上とする。このように、{100}面が圧延面から10°以内にある結晶粒の比率を高めることで、屈曲性の向上を図ることができる。S/S0は好ましくは0.3以上であり、より好ましくは0.4以上であり、更により好ましくは0.5以上であり、更により好ましくは0.6以上であり、更により好ましくは0.7以上であり、更により好ましくは0.8以上であり、例えば0.2〜0.9に制御することができる。
{100}面が圧延面から10°以内にある結晶粒の比率が高い方が屈曲性は向上するが、優れた耐振動性をも兼備するためには、10°以内であっても結晶粒が特定の方向に回転しないことが重要である。具体的には、結晶粒が<011>方位と垂直な方向に回転する(<011>を回転軸にして回転する)と耐振動性を劣化させる傾向が強い。そして、回転の角度が大きい(10°に近い)ほど屈曲性を劣化させる。<011>を回転軸に<100>方位からおよそ10°回転すると<811>方位となる。そのため、{100}面が圧延面から10°以内にある結晶粒が占める圧延面の面積Sに対して、{811}面が圧延面から3°以内にある結晶粒の比率をできるだけ低くすることにより、耐振動性を有意に向上させることができる。
従って、本発明に係る圧延銅箔は一実施形態において、前記Sに対する{811}面が圧延面から3°以内にある結晶粒が占める圧延面の面積S1の比S1/Sが0〜0.05の範囲にあるという結晶配向性を有する。S1/Sは好ましくは0.04以下であり、より好ましくは0.03以下であり、更により好ましくは0.02以下であり、更により好ましくは0.01以下であり、更により好ましくは0.005以下であり、例えば0.001〜0.05に制御することができる。
耐振動性を向上させる観点からは、{811}面が圧延面から3°以内にある結晶粒の比率のみならず、{811}面が圧延面から5°以内にある結晶粒の比率までも低下させるほうが更に望ましい。従って、本発明に係る圧延銅箔は一実施形態において、前記Sに対する{811}面が圧延面から5°以内にある結晶粒が占める圧延面の面積S2の比S2/Sが0〜0.05の範囲にあるという結晶配向性を有する。S2/Sは好ましくは0.04以下であり、より好ましくは0.03以下であり、更により好ましくは0.02以下であり、更により好ましくは0.01以下であり、更により好ましくは0.005以下であり、例えば0.001〜0.05に制御することができる。
尚、厳密には{811}面が圧延面から3°以内又は5°以内の結晶粒の中には{100}面が圧延面から10°以内に入っていない結晶粒も存在し得るが、これを考慮しても{811}面が圧延面から3°以内又は5°以内の結晶粒は少ない方が好ましいので、本発明ではS1/SやS2/Sという面積比で規定することとしている。
本発明において、{100}面が圧延面から10°以内にある結晶粒が占める圧延面の面積S、{811}面が圧延面から3°以内にある結晶粒が占める圧延面の面積S1、及び{811}面が圧延面から5°以内にある結晶粒が占める圧延面の面積S2はそれぞれ、圧延面を電解研磨して洗浄した後、OIMソフトウェアを用いたEBSD法(電子線後方散乱解析法)により結晶方位解析して算出可能である。
本発明に係る銅箔は、例えば、以下のようにして製造することができる。まず、電気銅、無酸素銅、タフピッチ銅等の銅原料を溶解し、必要に応じて合金元素を添加した後、この溶湯を鋳造し、厚みが100〜300mm程度のインゴットを製造する。溶解工程での酸素濃度の調整は、溶湯のカーボンシール、大気解放等の当業者公知の技術により行うことができる。その後、熱間圧延を行った後、冷間圧延と焼鈍を繰り返し、最終冷間圧延上がりの銅箔基材を得る。最終冷間圧延の圧下率は高い方が次の再結晶焼鈍によって{100}面が発達しやすい。よって、最終冷間圧延の圧下度は93%以上、より好ましくは95%以上である。厚みが大きな銅箔を製造する場合、最終冷間圧延における圧下率を大きく確保できなくなる傾向にある(板厚が厚い状態での焼鈍等が困難であるため)。そのため、最終冷間圧延後の板厚が35μm以上の銅箔では、実際の製造しやすさを考慮すると、最終冷間圧延の圧下率は98%以下とすることが好ましい。
但し、最終冷間圧延時の圧下率を高くしてもS1及びS2を下げることはできない。S1、S2の値を下げるにはせん断変形を低下させる必要がある。一般的にせん断変形は圧延中の銅箔表面の摩擦によるもの及び表面と内部の行路差によるものがある。
最終冷間圧延の加工度を高くするには、比較的厚さの大きい銅板から圧延することが必要になる。この際、板厚が大きい段階で径の小さなロールを使用すると内部と表面の行路差が大きくなるため、行路差を小さくするにはロールの径を大きくすることが有効である。一方、板厚が小さいときに径の大きなロールを使用するとロールと銅板表面の接触面積が大きくなり、表面摩擦を大きくするためせん断が起きやすくなる。そこで、S1及びS2を小さくするために、板厚に応じてロール径を段階的に変更して、せん断変形を抑制することが好ましい。具体的にはロール通過前の板厚が1mm以上では100mmΦ超、ロール通過前の板厚が0.1mm以上1mm未満では60mmΦ超100mmΦ以下、ロール通過前の板厚が0.1mm未満では30mmΦ以上60mmΦ以下のロールを使用することが好ましく、ロール通過前の板厚が1mm以上では105mmΦ以上130mmΦ以下、ロール通過前の板厚が0.1mm以上1mm未満では80mmΦ以上100mmΦ以下、ロール通過前の板厚が0.1mm未満では30mmΦ以上50mmΦ以下のロールを使用することがより好ましい。また、ロール通過前の板厚が1mm以上のときに使用するロール径、ロール通過前の板厚が0.1mm以上1mm未満のときに使用するロール径、及びロール通過前の板厚が0.1mm未満のときに使用するロール径はそれぞれ10mm以上の差があることが好ましく、20mm以上の差があることがより好ましい。
次に、この銅箔基材を再結晶焼鈍することで上述したS/S0及びS1/S、好ましくは更にS2/Sを満たす本発明に係る圧延銅箔が得られる。好ましい焼鈍条件としては、15〜120分間200〜400℃に加熱する条件が挙げられる。焼鈍は窒素又はAr等の不活性ガス雰囲気中で行うことが酸化防止の理由により好ましい。また、真空中で焼鈍することも可能である。200℃以上で30分間以上焼鈍することにより有意にSを上げることが可能となる。焼鈍温度は高すぎても不都合であり、400℃以下とすることによりS1、S2を下げる効果を得ることができる。焼鈍時間は長い方が{100}面の発達に有利であり、0.5時間以上焼鈍することが好ましい。但し、過度に焼鈍する必要はなく、生産効率も低下するので、2時間以下とするのが好ましく、1時間以下とするのがより好ましい。
見方を変えれば、本発明によれば、再結晶前の状態(最終冷間圧延上がりの状態)であり、200〜400℃で30分間加熱処理することによって、S/S0及びS1/S、望ましくは更にS2/Sが上述した好ましい範囲を満たす本発明に係る再結晶後の圧延銅箔となることができるという特性をもつ銅箔が提供される。
本発明に係る圧延銅箔の表面には、ポリイミドなどの樹脂接着させるために、表面にNi、Co、Cu、Zn、Sn及びCrよりなる群から選択される元素の一種又は二種以上を含むめっきが施されていてもよい。当該めっきは一般に粗化処理と呼ばれており、Cuめっき、Cu−Ni合金めっき、Cu−Co合金めっき、Ni−Co−Cu合金めっき、Ni−Sn合金めっき、Ni−Co−Cu−Zn合金めっき等が例示的に挙げられる。
本発明に係る圧延銅箔を、ポリエステルやポリイミド等を材料とする柔軟性絶縁基板の片面又は両面に積層し、接着することで、フレキシブル銅張積層板(FCCL)を製造することができる。接着方法としては、エポキシ等の熱硬化性樹脂からなる接着剤を用いて、銅箔とポリイミド樹脂フィルムを貼り合わせて、加熱処理を行う方法や、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸を含むワニスを、銅箔上に塗布して加熱硬化させ、銅箔上にポリイミド被膜を形成する方法がある。両面に銅箔を積層する場合は、片面銅張積層板を形成後、銅箔層を熱プレスにより圧着する方法や、2枚の銅箔層間にポリイミドフィルムを挟み、熱プレスにより圧着する方法がある。これらの加熱処理は一般に200〜450℃で1〜150分の条件で実施される。銅箔と樹脂の積層を、熱処理工程を経ずに接着剤によって行う方法もある。
このように、FCCLの製造工程では絶縁基板と銅箔の接着のために加熱処理を行うことが多いので、上述した最終冷間圧延後の再結晶焼鈍工程を当該加熱処理で兼ねることも可能であり、FCCLの製造工程での加熱処理が銅箔の再結晶焼鈍工程として適していない場合はFCCLを作製する前に再結晶焼鈍を行うと良い。一度再結晶した後は、再結晶焼鈍後に加熱処理を行っても結晶組織は変化しない。
本発明に係るFCCLを材料として公知の手順に従って配線を形成し、フレキシブルプリント配線板(FPC)を製造することが可能である。例えばエッチングレジストをFCCLの銅箔面に導体パターンとしての必要部分だけに塗布し、エッチング液を銅箔面に噴射することで不要銅箔を除去して導体パターンを形成し、次いでエッチングレジストを剥離・除去して導体パターンを露出する方法が挙げられる。導体パターン形成後は、保護用のカバーレイフィルムを貼ることが一般的である。このようなFPCは、電子・電気機器においてハードディスク内の可動部、携帯電話のヒンジ部やスライド摺動部、プリンターのヘッド部、光ピックアップ部、ノートPCの可動部等に使用されるFPCが該当する。とりわけ、本発明に係るFPCは、過酷な繰り返し変形を受け、耐振動性を必要とする車載用、ウェアラブルデバイス用及び自動機制御用のFPCとして好適である。
以下、本発明の実施例を示すが、これらは本発明をより良く理解するために提供するものであり、本発明が限定されることを意図するものではない。
<圧延銅箔の製造>
実施例1、3〜5、9〜23及び比較例1、3〜4は、電気銅及び表1に記載の試験番号に応じた合金元素を真空溶解した後、不活性雰囲気下で鋳造して表1に記載の各組成を持つ銅及び銅合金のインゴットを作製した。実施例2、6〜8及び比較例2は電気銅及び表1に試験番号に応じた合金元素を大気溶解した後、大気雰囲気下で鋳造して表1に記載の各組成を持つ銅及び銅合金のインゴットを作製した。大気溶解したものはタフピッチ銅に相当する数百質量ppmの酸素を含有し、真空溶解したものの酸素含有量は無酸素銅に相当する10質量ppm未満であった。
次いで、各インゴットを熱間圧延した後、冷間圧延と焼鈍を繰り返し、最終冷間圧延を表1に記載の圧下率で行い、厚み35μmに調整した。最終冷間圧延においては、ロール通過前の板厚に応じて圧延に使用するロール径を表1に記載の通り変更した。最後に、再結晶焼鈍を窒素雰囲気下で、表1に記載の各温度で30分間行い、各圧延銅箔を得た。
<FCCLの製造及び結晶方位解析>
得られた各圧延銅箔について、所定の大きさに2枚ずつ切り出し、片面に厚み50μmで粗化処理を行った後、粗化処理面が貼り合わせ面になるようにして、280℃の温度で1時間熱プレスするラミネート条件で厚み50μmのポリイミドフィルムの表裏に積層し、両面FCCLを作製した。各試験例における粗化処理時のめっき組成は表1に記載の通りとした。その後、片面の銅箔をエッチングで全て取り除いて片面FCCLにし、得られた片面FCCLの圧延面を電解研磨により表面洗浄した後、OIMソフトウェア(TSLソリューションズ社)を用いたEBSD法(日本電子社製 型式JXA8500F)による結晶方位解析を行い、先述したS、S1及びS2を測定し、S/S0、S1/S及びS2/Sをそれぞれ求めた。圧延面の測定面積S0は1mm2(1mm×1mm)とした。測定は2回行い、その平均値を測定値とした。
<FPCの製造>
得られた各圧延銅箔を用いて、先と同様の手順で片面FCCLを製造し、次いで、長さ120mmでラインアンドスペース0.3mm×0.3mmの直線回路をエッチングで5本形成し、最後に厚み50μmのポリイミド製カバーレイフィルムを両面に180℃の温度で1時間熱プレスすることにより積層して、長さ110mm×幅12mmのFPCの各試験片を作製した。
<IPC屈曲試験>
上記で得られた各FPC試験片に対し、信越エンジニアリング株式会社製IPC屈曲試験機を用い屈曲性を評価した。屈曲部稜線が配線方向と直交するようにFPCを固定し、屈曲半径:2.5mm、ストローク:20mm、屈曲速度:900rpm、試験温度:25℃の条件で繰り返しスライドさせた。屈曲試験中、電気抵抗の増加で銅箔回路の疲労クラックの進展度合いをモニタリングし、回路の電気抵抗が初期値よりも10%上昇するまでの屈曲回数を測定した。
屈曲性は、以下の基準で評価した。
◎=すべての回路で抵抗の上昇率が100,000回超でも10%以下
○=一つ以上の回路で抵抗の上昇率が50,000回超100,000回以下で10%を超える
△=一つの回路のみが50,000回以下で抵抗の上昇率が10%を超える
×=二つ以上の回路が50,000回以下で抵抗の上昇率が10%を超える
<振動試験>
同様に、上記と同様の手順で得られた各FPC試験片を、図1に示すように、曲率半径(r)1mmをもつ固定治具で、試験片が固定治具から長手方向(直線回路の方向と同じ)に20mmはみ出るように挟んでセットした。次いで、IEC−60068−2−53に沿ってFPCの厚み方向に振動を与えた。振動条件及び温度サイクル条件は以下とした。振動試験中、電気抵抗の増加で銅箔回路の疲労クラックの進展度合いをモニタリングし、回路の電気抵抗が初期値よりも10%上昇するまでの時間を測定した。
(振動条件)
・振幅1mm
・周波数:5〜170Hzの範囲で周期的に周波数を変化(5分を1周期とする正弦波振動)
・振動時間:200時間
(温度サイクル条件)
25℃で1時間保持→降温→−30℃で2時間保持→昇温→85℃で2時間保持→降温の6工程を1サイクルとして、1サイクル8時間で繰り返す。
耐振動性は、以下の基準で評価した。
◎=200時間超(200時間ではすべての回路の電気抵抗が初期値よりも10%上昇するには至らなかった。)
○=150時間以上200時間以下(150〜200時間で少なくとも1本の回路の電気抵抗が初期値よりも10%上昇する。)
△=150時間未満(一つの回路のみが150時間未満で電気抵抗が初期値よりも10%上昇する。)
×=150時間未満(二つ以上の回路が150時間未満で電気抵抗が初期値よりも10%上昇する。)
以上の試験結果を表1に示す。比較例1は最終圧延の総加工度が低い製造条件であったためにCube再結晶集合組織が発達せず、S/S0が小さくなったことから、屈曲性及び耐振動性が共に悪かった。比較例2〜4は最終圧延の総加工度が高い製造条件に改善したことから、Cube再結晶集合組織は発達したが、最終冷間圧延時に生じた結晶回転により{811}面が圧延面から3°以内及び5°以内にある結晶粒が多くなってS1/S及びS2/Sが高かった。このため、屈曲性及び耐振動性は比較例1よりも向上したがその効果は限定的であった。
これに対して、実施例1〜23は最終圧延の総加工度が十分に高く、更に最終圧延のロール径を表1に示す製造条件としたことから、Cube再結晶集合組織の発達に加えて、最終冷間圧延時に結晶回転が抑制されてS1/Sが小さくなり、屈曲性及び耐振動性が有意に向上した。特に、S2/Sも小さく制御された実施例1〜16及び21は屈曲性及び耐振動性の向上が顕著であった。これは、本発明に係る圧延銅箔では、銅箔表面に鋭い突き出し及び入り込みが形成されにくい一方で、幅の広い突き出し及び入り込みが全体的に形成されたことによると推察される。

Claims (9)

  1. 圧延面の測定面積S0に対する{100}面が圧延面から10°以内にある結晶粒が占める圧延面の面積Sの比S/S0が0.2以上であり、且つ、Sに対する{811}面が圧延面から3°以内にある結晶粒が占める圧延面の面積S1の比S1/Sが0〜0.05の範囲にある圧延銅箔。
  2. 前記Sに対する{811}面が圧延面から5°以内にある結晶粒が占める圧延面の面積S2の比S2/Sが0〜0.05の範囲にある請求項1に記載の圧延銅箔。
  3. Ag、Sn、Zn、Zr、Cr、Fe、Mg、Si、Ti、Ni及びPよりなる群から選択される元素の一種又は二種以上を合計で1〜500質量ppm含有する請求項1又は2に記載の圧延銅箔。
  4. 表面にNi、Co、Cu、Zn、Sn及びCrよりなる群から選択される元素の一種又は二種以上を含むめっきが施された請求項1〜3の何れか一項に記載の圧延銅箔。
  5. フレキシブルプリント配線板の導体材料として使用される請求項1〜4の何れか一項に記載の圧延銅箔。
  6. フレキシブルプリント配線板が車載用である請求項5に記載の圧延銅箔。
  7. 請求項1〜6の何れか一項に記載の圧延銅箔を備えたフレキシブル銅張積層板。
  8. 請求項7に記載のフレキシブル銅張積層板を加工して得られたフレキシブルプリント配線板。
  9. 再結晶前の圧延銅箔であって、200℃〜400℃×30minの何れかの条件で再結晶させたときに請求項1〜6の何れか一項に記載の圧延銅箔の要件を満たす再結晶前の圧延銅箔。
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