JP2019025201A - シートクッション材の製造方法及びその製造用発泡型 - Google Patents
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Abstract
【課題】表層パッドと表層パッドの着座面と反対側に配設され表層パッドより密度の小さい裏層パッドを一体化したシートクッション材を作業工数の増加を抑制して製造することのできる製造方法及びその製造用発泡型を提供する。【解決手段】表層パッド10と、表層パッド10より硬く密度が小さい裏層パッド20とを、一体化したクッションパッドの製造方法である。裏層パッド20を裏側部22の周縁部22aをチューブ状部材50に当接させて上キャビティ面42aに取付ける準備工程と、下キャビティ面41aに上型42を閉じたとき裏層パッド20を上キャビティ面42aに押し付ける後突起部41a1と前突起部41a2が配設されている下型41の下キャビティ面41a面上に発泡ウレタン樹脂原料Mを投入し上型42を閉じ表層パッド10を成形する成形工程と、成形されたクッションパッドを脱型する脱型工程と、を備える。【選択図】図12
Description
本発明は、乗物用シートを構成するシートクッション材の製造方法及びその製造用発泡型に関する。
従来から乗物用シートのクッション材として2層構造のパッド体が知られている。下記特許文献1には、着座面側の表層パッドがポリウレタン樹脂を発泡成形したウレタンフォームであり、表層パッドの着座面の反対側に配置された裏層パッドがAS樹脂(アクリロニトリル、スチレンのコポリマー)を発泡成形した発泡体である2層構造のパッド体が開示されている。通常、このパッド体の製造にあたっては、下型と上型とを有し、下型に対して上型を閉じたとき下型と上型の間にパッド体の形状に対応したキャビティが形成される型を利用する。下型のキャビティ面は、パッド体の表面部側(着座面側)の形状に対応した形状に形成され、上型のキャビティ面は、パッド体の裏面部側(着座面と反対側)の形状に対応した形状に形成されている。そして、上型のキャビティ面に裏層パッドの裏面を機械的嵌合や上型のキャビティ面に埋設した磁石と裏層パッドにインサートした鉄部材との間に働く磁力等によって仮保持させた状態で、下型のキャビティ面に発泡ポリウレタン樹脂原料を注入して下型に対し上型を閉じ発泡成形することでパッド体が製造される。
上記特許文献1に記載される2層構造のパッド体の製造方法においては、発泡ポリウレタン樹脂原料が発泡硬化する過程で上型のキャビティ面に当接する裏層パッドの裏面の周縁部の端部から上型のキャビティ面と裏層パッドの裏面との間に発泡ポリウレタン樹脂原料の一部が侵入して発泡硬化するという問題があった。上型のキャビティ面と裏層パッドの裏面との間に発泡ポリウレタン樹脂原料の一部が侵入して発泡硬化すると乗物ボデーのパッド体取付面と裏層パッドの裏面とが密着しなくなり着座面の高さが設計値からずれてしまう。これを回避するために裏層パッドの裏面に形成された発泡体を除去しようとすると作業工数が増加してしまうという問題があった。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものである。表層パッドと表層パッドの着座面と反対側に配設され表層パッドより密度の小さい裏層パッドを一体化したシートクッション材を作業工数の増加を抑制して製造することのできる製造方法及びその製造用発泡型を提供することを課題とする。
本発明の第1発明は、着座面側に配置される表層部と、該表層部の着座面と反対側に配置され該表層部より硬くかつ密度が小さい裏層部とを、一体化した層状構造を有するシートクッション材の製造方法であって、前記裏層部は前記シートクッション材の着座面と反対側の形状の少なくとも一部を構成する裏側面を有し、前記シートクッション材の着座面と反対側の形状に対応する上キャビティ面を有し前記裏側面の周縁部に沿って一定の横断面を有し長尺で弾性変形が可能な線状部材が配設された上型に前記裏層部を、前記裏側面の前記周縁部を前記線状部材に当接させて取付ける準備工程と、前記シートクッション材の着座面側の形状に対応する下キャビティ面を有する下型であって、該下キャビティ面には前記下型に対して前記裏層部の取付けられた状態の前記上型が閉じられたとき前記裏層部の着座面側に当接して前記裏層部を前記線状部材を変形させながら上キャビティ面に対して押し付ける複数の突起部が設けられている下型の前記下キャビティ面上に前記表層部を形成する発泡樹脂原料を投入して前記裏層部の取付けられた状態の前記上型を閉じ前記表層部を成形して前記裏層部と一体化する成形工程と、該成形工程で成形された前記シートクッション材を脱型する脱型工程と、を備えることを特徴とする。
第1発明によれば、成形工程において裏層部が上キャビティ面に対して突起部によって押し付けられた状態で発泡樹脂原料が発泡成形されるとき、裏側面の周縁部と上キャビティ面の間に線状部材が変形されて介在する。これによって、発泡樹脂原料が発泡硬化する過程で発泡樹脂原料が上キャビティ面と裏層部の裏側面との間に侵入しようとしても線状部材によって侵入を阻まれて、裏層部の裏側面側に不用な発泡体が形成されるのを抑制できる。
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記線状部材は樹脂製のチューブ状部材であることを特徴とする。
第2発明によれば、線状部材が樹脂製のチューブ状部材であるので長尺方向に対して垂直な方向に変形しやすく裏側面の周縁部と上キャビティ面の間をシールして、発泡樹脂原料が裏側面と上キャビティ面の間へ進入するのを抑制できる。
本発明の第3発明は、上記第2発明において、前記チューブ状部材はその横断面の一部が前記上キャビティ面に設けられた横断面が下方に向かって開口する略逆U字状の溝の中に嵌入されて取付けられていることを特徴とする。
第3発明によれば、チューブ状部材はその横断面の一部が溝の中に嵌入されて取付けられているので上キャビティ面に対してしっかり取付けられ離脱するのが抑制される。
本発明の第4発明は、上記第3発明において、前記溝は、横断面において開口側端部が互いに近接するように形成されていることを特徴とする。
第4発明によれば、溝は、横断面がくびれ状に形成されているのでチューブ状部材の嵌入された部分が上キャビティ面から離脱するのがさらに抑制される。
本発明の第5発明は、着座面側に配置される表層部と、該表層部の着座面と反対側に配置され該表層部より硬くかつ密度が小さい裏層部とを、一体化した層状構造を有するシートクッション材の製造用発泡型であって、前記シートクッション材の着座面と反対側の形状の少なくとも一部を構成する裏側面を有する前記裏層部を、前記裏側面を対向させて取付けることができる前記シートクッション材の着座面と反対側の形状に対応する上キャビティ面を有し前記裏側面の周縁部に沿って一定の横断面を有し長尺で弾性変形が可能な線状部材が配設された上型と、前記シートクッション材の着座面側の形状に対応する下キャビティ面を有し、該下キャビティ面には前記下型に対して前記裏層部の取付けられた状態の前記上型が閉じられたとき前記裏層部の着座面側に当接して前記裏層部を前記線状部材を変形させながら上キャビティ面に対して押し付ける複数の突起部が設けられている下型と、を有し、前記下キャビティ面上に前記表層部を形成する発泡樹脂原料を投入して前記裏層部の取付けられた状態の前記上型を閉じ前記表層部を成形して前記裏層部と一体化することを特徴とする。
第5発明によれば、発泡樹脂原料の発泡成形過程において裏層部が上キャビティ面に対して突起部によって押し付けられた状態で発泡樹脂原料が発泡成形されるとき、裏側面の周縁部と上キャビティ面の間に線状部材が変形されて介在する。これによって、発泡樹脂原料が発泡硬化する過程で発泡樹脂原料が上キャビティ面と裏層部の裏側面との間に侵入しようとしても線状部材によって侵入を阻まれて、裏層部の裏側面側に不用な発泡体が形成されるのを抑制できる。
本発明の第6発明は、上記第5発明において、前記線状部材は樹脂製のチューブ状部材であることを特徴とする。
第6発明によれば、線状部材が樹脂製のチューブ状部材であるので長尺方向に対して垂直な方向に変形しやすく裏側面の周縁部と上キャビティ面の間をシールして、発泡樹脂原料が裏側面と上キャビティ面の間へ進入するのを抑制できる。
本発明の第7発明は、上記第6発明において、前記チューブ状部材はその横断面の一部が前記上キャビティ面に設けられた横断面が下方に向かって開口する略逆U字状の溝の中に嵌入されて取付けられていることを特徴とする。
第7発明によれば、チューブ状部材はその横断面の一部が溝の中に嵌入されて取付けられているので上キャビティ面に対してしっかり取付けられ離脱するのが抑制される。
本発明の第8発明は、上記第7発明において、前記溝は、横断面において開口側端部が互いに近接するように形成されていることを特徴とする。
第8発明によれば、溝は、横断面がくびれ状に形成されているのでチューブ状部材の嵌入された部分が上キャビティ面から離脱するのがさらに抑制される。
本発明の一実施形態の製造方法及び発泡成形型により製造されるシートクッション材を、図1〜図6にしたがって説明する。各図中、矢印によりシートクッション材が自動車のフロアに取付けられた時の自動車の各方向を示す。以下の説明において、方向に関する記述は、この方向を基準として行うものとする。
図1には、本発明に係る製造方法及び発泡成形型で作製したシートクッション材であるクッションパッド1が示されている。クッションパッド1は3人掛けベンチシートのシートクッション用のものであり、車室の幅と略同じ左右方向長さを有している。クッションパッド1には、その表面を覆うクッションカバー(図示せず)が被せつけられてシートクッションが形成される。そして、同様の構成を有するシートバック(図示せず)がシートクッションの後端部に立設された状態で組み合わされて車室フロアに取付けられることでリアシートが構成される。ここで、クッションパッド1が、特許請求の範囲の「シートクッション材」に相当する。
図1〜図6に示すように、クッションパッド1は、左右一対の左右座席部1Aと、左右座席部1Aの間に配置される中央座席部1Bと、を有している。また、クッションパッド1は、着座面側である表側に配される表層パッド10と、表層パッド10の下側である裏側に配される裏層パッド20と、を有している。ここで、表層パッド10が特許請求の範囲の「表層部」に、裏層パッド20が特許請求の範囲の「裏層部」に相当する。
表層パッド10は、ポリウレタン樹脂を発泡成形したウレタンフォームから形成されており、その密度は例えば0.05±0.02g/cm3程度に設定されている。表層パッド10は、クッションパッド1の着座面側全面を占める形状及び面積を有する表面部11と、クッションパッド1の着座面と反対側の一部を形成する裏面部12と、を有する。表層パッド10は、図4に示すように、左右座席部1Aの着座乗員の臀部を支持する部分である臀部支持部10aが、左右座席部1Aの着座乗員の大腿部を支持する部分である大腿部支持部10bより肉厚に形成されている。これは、座圧の高い臀部支持部10aを座圧の低い大腿部支持部10bより弾性支持して座り心地をよくするためのものである。また、表層パッド10は、図5に示すように、中央座席部1Bの臀部支持部10cは、左右座席部1Aの臀部支持部10aと同程度の肉厚に形成されている。なお、図示はしないが中央座席部1Bの大腿部支持部10dの肉厚は左右座席部1Aの大腿部支持部10bより肉厚に形成されている。表層パッド10の表面部11には、図3に示すように、左右座席部1Aの左右において前後方向に延びる一対の縦溝11aと、一対の縦溝11a間を後端部と前後方向略中央部でつなぐ2本の横溝11bが形成されている。縦溝11aと横溝11bは、横断面が上方に開口した略U字状に形成されている。図6に示すように、縦溝11aの部分においては、臀部支持部10aに対応する部分において後孔部11a1が、大腿部支持部10bに対応する部分において前孔部11a2が、後述する裏層パッド20の表側部21に到達する孔として形成されている。後孔部11a1、前孔部11a2とも、左右方向の幅は、縦溝11aの左右方向の幅とほぼ等しく、前後方向の長さは上端部から下端部に向かって徐々に短くなるように形成されている。なお、縦溝11aの代表として右側の左右座席部1Aの左側(シート内側)に位置する縦溝11aについて説明したが他の縦溝11aについても同様に後孔部11a1と前孔部11a2が設けられている。
裏層パッド20は、ポリプロピレンやポリエチレン等のオレフィン系樹脂のビーズ発泡成形体であり、その密度は0.03g/cm3程度である。裏層パッド20は、表層パッド10より密度が小さく、弾性率が高いものとして形成されている。裏層パッド20の体積は、クッションパッド1全体体積の1/3程度とされている。
図2、図4及び図5に示すように、裏層パッド20は、表層パッド10の裏面部12の一部に当接する表側部21と、クッションパッド1の裏側の一部を形成する裏側部22と、を有する。裏層パッド20は、図4に示すように、左右座席部1Aの着座乗員の臀部を支持する部分である臀部支持部20aが、左右座席部1Aの着座乗員の大腿部を支持する部分である大腿部支持部20bより肉薄に形成されている。これは、表層パッド10の臀部支持部10aと大腿部支持部10bの肉厚に対応してクッションパッド1の所定の肉厚を確保するためのものである。裏層パッド20には、左右座席部1Aの後部の左右方向(幅方向)外側寄りに上下方向に貫通する左右一対の左右貫通孔20cが設けられている。また、裏層パッド20には、中央座席部1Bの後部から左右座席部1Aの後部の左右方向(幅方向)内側側寄りにかけて1つの中央貫通孔20dが設けられている。これによって、裏層パッド20に対して表層パッド10を一体発泡成形した際、裏層パッド20の左右貫通孔20c及び中央貫通孔20dには表層パッド10の一部が侵入して成形硬化し表層パッド10の裏面部12の一部が露出して裏層パッド20の裏側部22とともにクッションパッド1の裏側を形成する。裏層パッド20の表側部21は、表層パッド10の裏面部12に対し表層パッド10の一体発泡成形時に接合される。上面視で裏層パッド20の裏側部22において、左右貫通孔20c及び中央貫通孔20dの外周縁部を含み前後左右の外周縁部に対応する部分が周縁部22aとして形成されている。周縁部22aは、端縁部から10〜30mmの幅の部分である。ここで、裏側部22が、特許請求の範囲の「裏側面」に相当する。
図2、図4及び図5に示すように、裏層パッド20の前後左右の周縁部22aの内側には鉄ワイヤ製のフレーム23がインサートされている。フレーム23は、上面視で前方が開口した略U字状の主フレーム23aと、主フレーム23aの開口部側間に配置される前フレーム23bと、主フレーム23aと前フレーム23bとを連結するための2つの板状の連結フレーム23cと、を有する。さらに、フレーム23は、クッションパッド1を車両フロアに係止するための1つの後係止フレーム24aと、4つの前係止フレーム24bと、を有する。主フレーム23aの開口部側端部と、前フレーム23bの左右端部とは連結フレーム23cに対して溶接されることで連結されている。また、後係止フレーム24aは、主フレーム23aに対して溶接で固定され、前係止フレーム24bは連結フレーム23cに対して溶接で固定されている。裏層パッド20をビーズ発泡成形する際に、型内の所定位置に枠状に形成された主フレーム23a、前フレーム23b、連結フレーム23cを配置して一体発泡成形することによって一体化されている。フレーム23は、骨格としての機能だけでなく、クッションパッド1の成形に際して裏層パッド20を上型の上キャビティ面に取付けるとき、上キャビティ面に埋設された磁石によって引き付けられて保持される機能も果たす。
図7〜図12に基づいて、クッションパッド1の製造方法について説明する。なお、図7〜図12における方向の表示は、クッションパッド1の方向に合わせたものとする。裏層パッド20は、予めフレーム23をインサートした状態でオレフィン系樹脂のビーズ発泡成形により成形される。ビーズ発泡成形とは、オレフィン系樹脂のペレットに発泡剤を含浸したものである原料ビーズを予備発泡させた予備発泡ビーズを金型キャビティ内に入れて蒸気加熱することにより予備発泡ビーズがさらに膨らみ金型キャビティに沿った形状になる成形法である。図7に示すように、クッションパッド1を成形するウレタン発泡成形型40は、下型41と、下型41に対して開閉可能な上型42と、から構成される。下型41及び上型42ともウレタン発泡樹脂を成形するための型温調機能と、型閉めした時のロック機構(不図示)を備えている。下型41には、クッションパッド1の表面側形状である表層パッド10の表面部11に対応する形状の下キャビティ面41aが形成されている。上型42には、クッションパッド1の裏面側形状に対応する形状の上キャビティ面42aが形成されている。下型41に対して上型42が閉じられた状態で、下型41と上型42の間には、下キャビティ面41aと上キャビティ面42aで囲まれるキャビティ43が形成される。ここで、ウレタン発泡成形型40が、特許請求の範囲の「製造用発泡型」に相当する。
図7及び図9に示すように、上キャビティ面42aにおける裏層パッド20の裏側部22がわずかな隙を隔てて対向して近接する部分の裏層パッド20の周縁部22aに対応する部分である型周縁部42a2には、シリコン樹脂製のチューブ状部材50が、連続して配設されている。具体的には、図8に示すように、上キャビティ面42aの型周縁部42a2に設けられた横断面が下方に向けて開口する略逆U字状の溝42a1の中にチューブ状部材50の横断面が変形させられた状態でその一部が挿入されて接着固定されている。詳しくは、溝42a1の横断面は、底壁部42a11と底壁部42a11の両端から下方に延びる一対の側壁部42a12を有し、側壁部42a12は底壁部42a11から開口側に向かうにつれて互いに接近するように延びている。したがって、溝42a1の開口部の幅は底壁部42a11の幅より狭く形成されてチューブ状部材50が溝42a1から離脱しにくくなっている。ここで、チューブ状部材50が、特許請求の範囲の「線状部材」に相当する。
図10に示すように、上型42の上キャビティ面42aに裏層パッド20の裏側部22を対向して近接させて保持させる。上キャビティ面42aの所定位置には、裏層パッド20にインサートされたフレーム23を磁力で引き付けて保持する複数の永久磁石が埋設されている(図示せず)。このとき、チューブ状部材50はその断面形状を図8に示す無負荷状態の形状をほぼ保って、裏層パッド20の裏側部22の周縁部22aに当接した状態で磁力によって上キャビティ面42aに保持される。この工程が、特許請求の範囲の「準備工程」に相当する。図10に示す状態は、裏層パッド20が取付けられた上型42を下型41に対して閉じた状態である。このとき、図12に示すように、縦溝11aの部分においては後孔部11a1と前孔部11a2の形状に対応した後突起部41a1と前突起部41a2とによって裏層パッド20が上キャビティ面42aに対して押し付けられた状態となる。これによって、チューブ状部材50は、裏層パッド20から印加される押圧力によって図8において二点鎖線で示す形状に弾性変形して次の成形工程において発泡ウレタン樹脂原料Mが裏層パッド20の裏側部22と上キャビティ面42aとの間に侵入するのを阻止する。なお、この準備工程において、上型42の上キャビティ面42aに裏層パッド20を取付ける前にチューブ状部材50の表面を含めた上キャビティ面42aと下キャビティ面41aには離型剤が塗布される。ここで、後突起部41a1と前突起部41a2が、それぞれ、特許請求の範囲の「突起部」に相当する。
図12に示すように、後突起部41a1は、左右方向から見て(側面視で)上方に上底部41a11を有し、下方に下キャビティ面41aとほぼ面一の下底部41a12を有する略等脚台形状をしている。そして、左右方向は縦溝11aの溝幅と略等しい肉厚の板形状に形成されている。すなわち、後突起部41a1を着座面に相当する下キャビティ面41aにほぼ平行な面で切った断面の外形線は、下底部41a12から上底部41a11に向かうにつれて面積が小さくなるように形成されている。これによって、下キャビティ面41aと裏層パッド20の表側部21との間に表層パッド10が成形されたとき、裏層パッド20と一体となった表層パッド10が下型41から脱型しやすくなる。前突起部41a2については説明を省略するが、構造は後突起部41a1と同等であり、上底部41a11と下底部41a12に対応して、上底部41a21と下底部41a22を有する。
図11及び図12に示すように、上型42の上キャビティ面42aに裏層パッド20の裏側部22を対向して近接させて保持させた状態で、図10に示すように、下型41に対して上型42を閉じる前に、下型41の下キャビティ面41a上に発泡ウレタン樹脂原料Mを投入して型を閉じる。すると、発泡ウレタン樹脂原料Mが発泡して体積を増しながらキャビティ43内に充満して所定の発泡硬化のための時間経過後、表層パッド10が形成される。この状態を示すのが図11及び図12であり、この工程が特許請求の範囲の「成形工程」である。この成形工程によって表層パッド10が形成されるとともに、裏層パッド20と一体化されクッションパッド1が製造される。このとき、前述のように、チューブ状部材50は、裏層パッド20から印加される押圧力によって図8において二点鎖線で示す形状に弾性変形して発泡ウレタン樹脂原料Mが裏層パッド20の裏側部22と上キャビティ面42aとの間に侵入するのを阻止する。こののち、下型41に対して上型42を開き成形されたクッションパッド1を脱型する。この工程が、特許請求の範囲の「脱型工程」である。ここで、発泡ウレタン樹脂原料Mが、特許請求の範囲の「発泡樹脂原料」に相当する。
以上のような製造工程及び発泡成形型において、以下のような作用効果が奏される。成形工程において裏層パッド20が上キャビティ面42aに対して後突起部41a1と前突起部41a2によって押し付けられた状態で発泡ウレタン樹脂原料Mが発泡成形されるとき、裏側部22の周縁部22aと上キャビティ面42aの間にチューブ状部材50が変形されて介在する。これによって、発泡ウレタン樹脂原料Mが発泡硬化する過程で発泡ウレタン樹脂原料Mが上キャビティ面42aと裏層パッド20の裏側部22との間に侵入しようとしてもチューブ状部材50によって侵入を阻まれて、裏層パッド20の裏側部22に不用な発泡体が形成されるのを抑制できる。
また、チューブ状部材50は長尺方向に対して垂直な方向に変形しやすく裏側部22の周縁部22aと上キャビティ面42aの間を効率よくシールして、発泡ウレタン樹脂原料Mが裏側部22と上キャビティ面42aの間へ進入するのを抑制できる。さらに、チューブ状部材50はその横断面の一部が溝42a1の中に嵌入されて接着固定されているので上キャビティ面42aに対してしっかり取付けられ離脱するのが抑制される。加えて、溝42a1は、その側壁部42a12が底壁部42a11から開口側に向かうにつれて互いに接近するように延びているので、さらにチューブ状部材50が溝42a1から離脱しにくくなっている。
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
1.上記実施形態においては、線状部材としてシリコン樹脂製のチューブ状部材50を採用した。しかし、これに限らず、裏層パッド20の押圧により容易に変形するものであれば、他の樹脂製のチューブ状部材を用いてもよいし、中実の線状部材である発泡樹脂製の線状部材等を用いてもよい。
2.上記実施形態においては、チューブ状部材50の一部を上キャビティ面42aに形成された溝42a1内に陥入させることにより上型42に取付けた。しかし、これに限らず、チューブ状部材50又はゴム製線状部材51を直接上キャビティ面42aに接着して取付けてもよいし、ビス等により機械的に取付けてもよい。なお、ゴム製線状部材51を上キャビティ面42aに形成された横断面が矩形状の溝42a3内に配設する場合は、図13に示すように、溝42a3の側壁部42a32にビスVで取付けることもできる。
3.上記実施形態においては、本発明を自動車用シートクッションに適用したが、自動車用シートバックに適用してもよいし、飛行機、船、電車等に搭載のシートに適用してもよい。
1 クッションパッド(シートクッション材)
10 表層パッド(表層部)
20 裏層パッド(裏層部)
22 裏側部(裏層面)
22a 周縁部
40 ウレタン発泡成形型
41 下型
41a 下キャビティ面
41a1 後突起部
41a2 前突起部
42 上型
42a 上キャビティ面
42a1 溝
42a2 型周縁部
43 キャビティ
50 チューブ状部材(線状部材)
51 ゴム製線状部材(線状部材)
M 発泡ウレタン樹脂原料(発泡樹脂原料)
10 表層パッド(表層部)
20 裏層パッド(裏層部)
22 裏側部(裏層面)
22a 周縁部
40 ウレタン発泡成形型
41 下型
41a 下キャビティ面
41a1 後突起部
41a2 前突起部
42 上型
42a 上キャビティ面
42a1 溝
42a2 型周縁部
43 キャビティ
50 チューブ状部材(線状部材)
51 ゴム製線状部材(線状部材)
M 発泡ウレタン樹脂原料(発泡樹脂原料)
Claims (8)
- 着座面側に配置される表層部と、該表層部の着座面と反対側に配置され該表層部より硬くかつ密度が小さい裏層部とを、一体化した層状構造を有するシートクッション材の製造方法であって、
前記裏層部は前記シートクッション材の着座面と反対側の形状の少なくとも一部を構成する裏側面を有し、
前記シートクッション材の着座面と反対側の形状に対応する上キャビティ面を有し前記裏側面の周縁部に沿って一定の横断面を有し長尺で弾性変形が可能な線状部材が配設された上型に前記裏層部を、前記裏側面の前記周縁部を前記線状部材に当接させて取付ける準備工程と、
前記シートクッション材の着座面側の形状に対応する下キャビティ面を有する下型であって、該下キャビティ面には前記下型に対して前記裏層部の取付けられた状態の前記上型が閉じられたとき前記裏層部の着座面側に当接して前記裏層部を前記線状部材を変形させながら上キャビティ面に対して押し付ける複数の突起部が設けられている下型の前記下キャビティ面上に前記表層部を形成する発泡樹脂原料を投入して前記裏層部の取付けられた状態の前記上型を閉じ前記表層部を成形して前記裏層部と一体化する成形工程と、
該成形工程で成形された前記シートクッション材を脱型する脱型工程と、を備えるシートクッション材の製造方法。 - 請求項1に記載のシートクッション材の製造方法であって、前記線状部材は樹脂製のチューブ状部材であるシートクッション材の製造方法。
- 請求項2に記載のシートクッション材の製造方法であって、前記チューブ状部材はその横断面の一部が前記上キャビティ面に設けられた横断面が下方に向かって開口する略逆U字状の溝の中に嵌入されて取付けられているシートクッション材の製造方法。
- 請求項3に記載のシートクッション材の製造方法であって、前記溝は、横断面において開口側端部が互いに近接するように形成されているシートクッション材の製造方法。
- 着座面側に配置される表層部と、該表層部の着座面と反対側に配置され該表層部より硬くかつ密度が小さい裏層部とを、一体化した層状構造を有するシートクッション材の製造用発泡型であって、
前記シートクッション材の着座面と反対側の形状の少なくとも一部を構成する裏側面を有する前記裏層部を、前記裏側面を対向させて取付けることができる前記シートクッション材の着座面と反対側の形状に対応する上キャビティ面を有し前記裏側面の周縁部に沿って一定の横断面を有し長尺で弾性変形が可能な線状部材が配設された上型と、
前記シートクッション材の着座面側の形状に対応する下キャビティ面を有すし、該下キャビティ面には前記下型に対して前記裏層部の取付けられた状態の前記上型が閉じられたとき前記裏層部の着座面側に当接して前記裏層部を前記線状部材を変形させながら上キャビティ面に対して押し付ける複数の突起部が設けられている下型と、を有し、
前記下キャビティ面上に前記表層部を形成する発泡樹脂原料を投入して前記裏層部の取付けられた状態の前記上型を閉じ前記表層部を成形して前記裏層部と一体化するシートクッション材の製造用発泡型。 - 請求項5に記載のシートクッション材の製造用発泡型であって、前記線状部材は樹脂製のチューブ状部材であるシートクッション材の製造用発泡型。
- 請求項6に記載のシートクッション材の製造用発泡型であって、前記チューブ状部材はその横断面の一部が前記上キャビティ面に設けられた横断面が下方に向かって開口する略逆U字状の溝の中に嵌入されて取付けられているシートクッション材の製造用発泡型。
- 請求項7に記載のシートクッション材の製造用発泡型であって、前記溝は、横断面において開口側端部が互いに近接するように形成されているシートクッション材の製造用発泡型。
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|---|---|---|---|---|
| JP2025013678A (ja) * | 2021-03-19 | 2025-01-24 | 株式会社東洋クオリティワン | シートパッドの製造方法および小パッド |
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