本発明の実施形態に係る半導体増幅素子及び半導体増幅装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、一実施形態に係る半導体増幅装置1Aの構成を示す側断面図である。図1に示されるように、本実施形態の半導体増幅装置1Aは、実装基板2と、実装基板2上に搭載された半導体増幅素子3とを備える。実装基板2は、誘電体からなる絶縁性の平板状の基体2aと、基体2aの一方の板面2b上に設けられた金属膜である配線パターン2dと、基体2aの他方の板面2cの全面にわたって設けられた金属膜2eとを有する。配線パターン2dは、半導体増幅素子3と対向しており、基準電位(GND)パターン2d1と、信号配線パターン2d2と、信号配線パターン2d3と、を含む。GNDパターン2d1は、基体2aを厚さ方向に貫通する複数のビア2fを介して金属膜2eと導通している。金属膜2eは、基準電位(GND)に規定される。信号配線パターン2d2は、伝送線路であって、半導体増幅素子3へ入力される高周波の入力信号を伝送する。信号配線パターン2d3は、伝送線路であって、半導体増幅素子3から出力される高周波の出力信号を伝送する。
半導体増幅素子3は、ドハティ型の増幅動作を行うMMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)増幅器であって、実装基板2にフリップチップ実装されている。半導体増幅素子3は、半導体基板10と、配線層20と、複数のバンプ電極30とを備える。半導体基板10は、主面10a及び裏面10bを有する平板状の部材である。主面10aの略中央部には、複数のトランジスタを含む信号増幅部11が形成されている。配線層20は、主面10a上の全面にわたって設けられている。配線層20の表面20aは、基体2aの一方の板面2bと対向する。配線層20は、信号入力端21、信号出力端22、信号入力配線23、信号出力配線24、及び基準電位(GND)パターン25を有する。信号入力端21、信号出力端22、信号入力配線23、信号出力配線24、及びGNDパターン25は、絶縁膜26の内部若しくは表面に設けられた金属膜である。
信号入力端21は、実装基板2の信号配線パターン2d2と電気的に接続され、信号配線パターン2d2を介して高周波(RF)信号を入力する。例えば、信号入力端21は、配線層20の最上層に設けられ、配線層20の表面20aにおいて絶縁膜26から露出している。そして、信号入力端21は、一のバンプ電極30を介して実装基板2の信号配線パターン2d2と導電接合されている。信号出力端22は、実装基板2の信号配線パターン2d3と電気的に接続される。例えば、信号出力端22は、配線層20の最上層に設けられ、配線層20の表面20aにおいて絶縁膜26から露出している。そして、信号出力端22は、一のバンプ電極30を介して実装基板2の信号配線パターン2d3と導電接合され、増幅後のRF信号を信号配線パターン2d3へ出力する。GNDパターン25は、配線層20の最上層に設けられ、配線層20の表面20aにおいて絶縁膜26から露出している。GNDパターン25は、複数のバンプ電極30を介して実装基板2のGNDパターン2d1と導電接合されている。
図2は、配線層20の表面20aを示す平面図である。図2に示されるように、半導体増幅素子3は四角形状といった平面形状を有する。表面20aもまた四角形状を呈しており、一対の辺20b,20cと、一対の辺20d,20eとを有する。辺20b,20cは、或る方向D1に沿って延びており、方向D1と交差(例えば直交)する方向D2において互いに対向する。辺20d,20eは、辺20bと辺20cとの間において方向D2に沿って延びており、方向D1において互いに対向する。
信号入力端21は、方向D2において辺20b寄りに配置され、方向D1において辺20dと辺20eとの中間に位置する。信号出力端22は、方向D2において辺20c寄りに配置され、方向D1において辺20dと辺20eとの中間に位置する。GNDパターン25は、信号入力端21及び信号出力端22を除く表面20aの全面に設けられている。GNDパターン25は、辺20b〜20eにそれぞれ沿う4つの直線状の縁25b〜25eを有する。GNDパターン25の辺20bに沿う縁25bの中央には切り欠き部25fが形成されており、切り欠き部25fの内側には信号入力端21が設けられる。GNDパターン25の辺20cに沿う縁25cの中央には切り欠き部25gが形成されており、切り欠き部25gの内側には信号出力端22が設けられる。GNDパターン25と信号入力端21,信号出力端22との間には間隙が設けられる。
信号入力端21上には一のバンプ電極30が設けられている。信号出力端22上には別のバンプ電極30が設けられている。GNDパターン25上には複数のバンプ電極30が設けられている。これらのバンプ電極30は、配線層20の表面20a上において正方格子状に配列されている。
図3の(a)は、信号増幅部11の構成の一例として信号増幅部11Aを示す平面図である。図3の(b)は、信号増幅部11の構成の別の例として信号増幅部11Bを示す平面図である。信号増幅部11A,11Bは、複数の第1のトランジスタ12と、複数の第2のトランジスタ13とを有する。例として、図3の(a)及び(b)では、2つのトランジスタ12と、2つのトランジスタ13とが示されている。これらのトランジスタ12,13は、共通のパッケージ内に収容される。一例では、これらのトランジスタ12,13は、共通の半導体基板10に形成されている。更に、半導体基板10におけるこれらのトランジスタ12,13の活性領域が一体に形成されてもよい。
前述したように、半導体増幅素子3はドハティ型の増幅動作を行う。トランジスタ12はキャリア増幅器(Carrier Amplifier:CA)であり、入力信号に対して線形に動作する。トランジスタ12にはA級又はAB級動作のためのバイアスが外部から印加される。トランジスタ13はピーク増幅器(Peak Amplifier:PA)であり、キャリア増幅器の飽和の後に動作する。トランジスタ13にはB級(またはC級)動作のためのバイアスが外部から印加される。
本実施形態では、複数のトランジスタ12と複数のトランジスタ13とが方向D1に沿って並んでおり、互いに隣り合うトランジスタ12の間には、少なくとも1つのトランジスタ13が配置されている。例えば、図3の(a)及び(b)に示される例では、複数のトランジスタ12と複数のトランジスタ13とが方向D1において交互に配置されている。また、図3の(a)に示される例では、方向D2における複数の第1のトランジスタ12の位置と、同方向における複数のトランジスタ13の位置とが互いに揃っている。一方、図3の(b)に示される例では、方向D2における複数の第1のトランジスタ12の位置と、同方向における複数のトランジスタ13の位置とが互いにずれている。より詳細には、複数のトランジスタ12と複数のトランジスタ13とが、方向D2において互いに重ならない位置に配置されている。
各トランジスタ12は、一対のソース電極12aと、一対のソース電極12aの間に挟まれたドレイン電極12bと、ソース電極12aとドレイン電極12bとの間に挟まれた一対のゲート電極12cとを有する。各電極12a〜12cは、方向D2を長手方向とし、方向D1を短手方向とする細長形状を有しており、方向D1に沿って並んでいる。各トランジスタ13は、一対のソース電極13aと、一対のソース電極13aの間に挟まれたドレイン電極13bと、ソース電極13aとドレイン電極13bとの間に挟まれた一対のゲート電極13cとを有する。各電極13a〜13cは、方向D2を長手方向とし、方向D1を短手方向とする細長形状を有しており、方向D1に沿って並んでいる。そして、互いに隣接するトランジスタ12,13のソース電極12a,13aは互いに一体化されている。
ここで、配線層20の詳細な構成について説明する。図4は、配線層20の内部構成を示す平面図であって、絶縁膜26を省き、配線層20に含まれる各金属配線の形状を示している。図5〜図8は、図4に示される各金属配線を層毎に分解して示す平面図である。図5は第1層M1すなわち半導体基板10に最も近い層を表しており、図6は第1層M1上の第2層M2を表しており、図7は第2層M2上の第3層M3を表しており、図8は第3層M3上の第4層M4を表している。なお、図1及び図2に示された信号入力端21、信号出力端22、及びGNDパターン25は、第4層M4の更に上層(再表層)に配置される。これらの層間には、図示しない絶縁膜26が介在している。
図4に示されるように、配線層20は、複数(例えば5つ)のソース配線41と、複数(例えば4つ)の電流出力端子としてのドレイン配線42と、複数(例えば4つ)の制御端子としてのゲート配線43とを含む。ソース配線41、ドレイン配線42、及びゲート配線43は、図5に示される第1層M1に設けられている。各ソース配線41は、互いに一体化されたソース電極12a,13a(図3を参照)上に設けられ、ソース電極12a,13aと接触する。複数のドレイン配線42のうち一部のドレイン配線42aは、キャリア増幅部であるトランジスタ12のドレイン電極12b(図3を参照)上に設けられ、ドレイン電極12bと接触する。残りのドレイン配線42bは、ピーク増幅部であるトランジスタ13のドレイン電極13b(図3を参照)上に設けられ、ドレイン電極13bと接触する。これらのドレイン配線42a,42bは、信号増幅部11に対して方向D2の一端側(信号出力端22側)に延出している。
複数のゲート配線43のうち一部のゲート配線43aは、方向D2に沿って延出する一対のゲート電極12cを含む。上述したように、ゲート電極12cは、キャリア増幅部であるトランジスタ12のゲート電極である。ゲート電極12cは、ソース配線41とドレイン配線42aとの間を方向D2に沿って延びている。複数のゲート配線43のうち残りのゲート配線43bは、方向D2に沿って延出する一対のゲート電極13cを含む。上述したように、ゲート電極13cは、キャリア増幅部であるトランジスタ13のゲート電極である。ゲート電極13cは、ソース配線41とドレイン配線42bとの間を方向D2に沿って延びている。
信号入力配線23は、信号入力端21から延びる第1入力線路231と、第1入力線路231から分岐された第2入力線路232及び第3入力線路233とを含む。第2入力線路232及び第3入力線路233へは、RF信号は均等なパワーで分岐される。第2入力線路232は、各トランジスタ12の制御端子(ゲート配線43a)に接続されている。第3入力線路233は、複数のトランジスタ13の制御端子(ゲート配線43b)に接続されている。
第2入力線路232は、トランジスタ12に対する入力インピーダンス整合のため、配線層20の辺20d側にU字状に張り出しており、その長さを確保している。トランジスタ12側の第2入力線路232の一端には、複数のゲート配線43aに向けて分岐する部分232bが設けられている。その部分232bに、複数のゲート配線43aと層間接続されるための複数の接続部232aが接続している。また、第2入力線路232には、入力バイアスを印加するための入力バイアス配線234が繋がっている。入力バイアス配線234は、複数のゲート配線43aに向けて分岐した後の第2入力線路232の部分232bに接続されている。
第3入力線路233は、トランジスタ13に対する入力インピーダンス整合のため、配線層20の辺20b側にU字状に張り出し、その長さを確保している。なお、トランジスタ12,13の寸法形状は互いに同一であるため、入力インピーダンスもほぼ同等である。従って、第3入力線路233における入力インピーダンス整合のための回路部分は第2入力線路232とほぼ同様である。
但し、第3入力線路233は、第2入力線路232よりも長い。例えば、第2入力線路232と第3入力線路233との線路長差は入力信号の周期の1/4である。第3入力線路233は、第2入力線路232に対して線路長差を稼ぐための余長部分233cを含む。余長部分233cは、第3入力線路233において辺20e側に張り出したU字状の部分を構成する。余長部分233cの線幅は、第3入力線路233の他の部分の線幅よりもわずかに広い。
トランジスタ13側の第3入力線路233の一端には、複数のゲート配線43bに向けて分岐する部分233bが設けられている。その部分233bに、複数のゲート配線43bと層間接続されるための複数の接続部233aが接続している。また、第3入力線路233には、入力バイアスを印加するための入力バイアス配線235が繋がっている。入力バイアス配線235は、複数のゲート配線43bに向けて分岐した後の第3入力線路233の部分233bに接続されている。なお、トランジスタ13をピーク増幅器として動作させるため、入力バイアス配線235に印加される入力バイアスの大きさは、入力バイアス配線234に印加される入力バイアスの大きさと異なる。
本実施形態では、第2入力線路232及び第3入力線路233のうち一方の線路の少なくとも一部が他方の線路とは異なる配線層に設けられることにより、第2入力線路232と第3入力線路233とが立体的に交差している。例えば、図8に示されるように、第3入力線路233の部分233b及び入力バイアス配線235が第4層M4に設けられ、図6に示されるように、第3入力線路233の残部が第2層M2に設けられる。第4層M4に設けられた第3入力線路233の部分233bと、第2層M2に設けられた第3入力線路233の残部とは、層間配線によって相互に接続される。また、図6に示されるように、第2入力線路232の全部及び入力バイアス配線234は第2層M2に設けられる。そして、第3入力線路233のうち第4層M4に設けられた部分233bと、第2層M2に設けられた第2入力線路232の部分232bとが、立体的に交差する。これにより、交互に配設されたゲート配線43a,43bそれぞれに第2入力線路232及び第3入力線路233それぞれを接続することができる。
信号出力配線24は、複数のトランジスタ12の電流出力端子(ドレイン配線42a)から延びる第1出力線路241と、複数のトランジスタ13の電流出力端子(ドレイン配線42b)から延びる第2出力線路242と、第1出力線路241及び第2出力線路242を結合して信号出力端22へ延びる第3出力線路243とを含む。第3出力線路243は、信号出力端22に接続されている。
第1出力線路241は、第3入力線路233と同等の長さを有しており、トランジスタ12に対する出力インピーダンス整合のため、配線層20の辺20c側にU字状に張り出し、その長さを確保している。トランジスタ12側の第1出力線路241の端には、複数のドレイン配線42aと層間接続されるための複数の接続部241aが設けられている。第1出力線路241は、これらの接続部241aを相互に結合する部分241bを含む。また、第1出力線路241には、出力バイアスを印加するための出力バイアス配線244が繋がっている。出力バイアス配線244は、複数の接続部241aを結合する前の第1出力線路241の部分241bに接続されている。
第2出力線路242は、第2入力線路232と同等の長さを有しており、トランジスタ13に対する出力インピーダンス整合のため、配線層20の辺20e側に張り出てその長さを確保している。なお、トランジスタ12,13の寸法形状は互いに同一であるため、出力インピーダンスもほぼ同等である。従って、第2出力線路242における出力インピーダンス整合のための回路部分は第1出力線路241とほぼ同様である。
但し、第1出力線路241は第2出力線路242よりも長い。例えば、第1出力線路241と第2出力線路242との線路長差は入力信号の周期の1/4である。第1出力線路241は、第2出力線路242に対して線路長差を稼ぐための余長部分241cを含む。余長部分241cは、第1出力線路241のうち辺20d側にU字状に張り出した部分を構成する。余長部分241cの線幅は、第1出力線路241の他の部分の線幅よりもわずかに広い。
トランジスタ13側の第2出力線路242の端には、複数のドレイン配線42bと層間接続されるための複数の接続部242aが設けられている。第2出力線路242は、これらの接続部242aを相互に結合する部分242bを含む。また、第2出力線路242には、出力バイアスを印加するための出力バイアス配線245が繋がっている。出力バイアス配線245は、複数の接続部242aを結合する前の第2出力線路242の部分242bに接続されている。なお、トランジスタ13をピーク増幅器として動作させるため、出力バイアス配線245に印加される出力バイアスの大きさは、出力バイアス配線244に印加される出力バイアスの大きさと異なる。
本実施形態では、第1出力線路241及び第2出力線路242のうち一方の線路の少なくとも一部が他方の線路とは異なる配線層に設けられることにより、第1出力線路241と第2出力線路242とが立体的に交差している。例えば、図8に示されるように、第2出力線路242の部分242b及び出力バイアス配線245が第4層M4に設けられ、図6に示されるように、第2出力線路242の残部が第2層M2に設けられる。第4層M4に設けられた第2出力線路242の部分242bと、第2層M2に設けられた第2出力線路242の残部とは、層間配線によって相互に接続される。また、図6に示されるように、第1出力線路241の全部及び出力バイアス配線244は第2層M2に設けられる。そして、第2出力線路242のうち第4層M4に設けられた部分242bと、第2層M2に設けられた第1出力線路241の部分241bとが、立体的に交差する。これにより、交互に配設されたドレイン配線42a,42bそれぞれに第1出力線路241及び第2出力線路242それぞれを接続することができる。
図7に示されるように、配線層20は基準電位(GND)層27を更に有する。GND層27は、第3入力線路233の部分233b及び第2出力線路242の部分242bが設けられる第4層M4と、第3入力線路233の残部及び第2入力線路232、並びに第2出力線路242の残部及び第1出力線路241が設けられる第2層M2との間の第3層M3に設けられる。配線層20の厚さ方向から見て、GND層27は少なくとも第3入力線路233の部分233b及び第2出力線路242の部分242bと重なる。GND層27は、層間配線を介してGNDパターン25と導通する。これにより、GND層27は基準電位に規定される。
GND層27は、トランジスタ13の個数に応じた複数の開口27aと、トランジスタ13の個数に応じた複数の開口27bとを有する。各開口27aは、第4層M4に設けられた第3入力線路233の各接続部233aと、第1層M1に設けられた各ゲート配線43bとを接続する層間配線を通す。各開口27bは、第4層M4に設けられた第2出力線路242の各接続部242aと、第1層M1に設けられた各ドレイン配線42bとを接続する層間配線を通す。なお、ソース配線41は、GND層27に形成された図示しない開口を介してGNDパターン25に接続されている。
以上に説明した、本実施形態の半導体増幅装置1A及び半導体増幅素子3によって得られる効果について説明する。ドハティ型の増幅器においては、キャリア増幅器が入力信号に対して線形に動作し、ピーク増幅器がキャリア増幅器の飽和の後に動作する。ピーク増幅器は高出力領域以外ではオン状態とならないので、中出力領域ないし低出力領域では専らキャリア増幅器のみが動作する。従って、キャリア増幅器の発熱が顕著に増大し、キャリア増幅器が高温にさらされることとなる。更に、近年の伝送速度の増大に伴い、信号周波数が例えばミリ波帯といった極めて高い周波数帯に移行しつつある。このような高い周波数帯で増幅器を動作させると、増幅器の発熱が顕著となる。
この課題に対し、本実施形態の半導体増幅素子3では、キャリア増幅器である複数のトランジスタ12が方向D1に沿って並んでおり、互いに隣り合うトランジスタ12の間に、ピーク増幅器であるトランジスタ13が少なくとも1つ配置されている。この配置により、トランジスタ12,13の実装密度を維持しつつ、トランジスタ12同士の間隔を広げて、トランジスタ12が放熱する際の熱抵抗を低減することができる。なお、上述したように、ピーク増幅器であるトランジスタ13は高出力領域以外ではオン状態とならないので、トランジスタ12の放熱を妨げることは殆どない。故に、本実施形態の半導体増幅素子3によれば、ドハティ型の増幅器におけるキャリア増幅器の温度上昇を緩和することができる。
下の表1〜表3は、本実施形態の半導体増幅素子3による上述した効果を検証した結果を示す表である。表1〜表3において、C1〜C4は方向D1に沿って順に付与されたトランジスタ番号を表す。表1は、比較例として、C1,C2がピーク増幅器であり、C3,C4がキャリア増幅器である場合を示す。表2及び表3は、本実施形態のようにC1,C3がキャリア増幅器であり、C2,C4がピーク増幅器である場合を示す。なお、表2は図3の(a)に示された配置の場合であり、表3は図3の(b)に示された配置の場合である。各表1〜3には、半導体増幅素子3を最大出力で動作させた時(すなわちキャリア増幅器及びピーク増幅器の双方が動作している時)の各トランジスタC1〜C4の温度(単位:℃)と、半導体増幅素子3を中出力で動作させた時(すなわちキャリア増幅器のみが動作している時)の各トランジスタC1〜C4の温度(単位:℃)とが示されている。
上の表1〜表3に示されるように、2つのキャリア増幅器を隣接させた比較例において各キャリア増幅器の中出力時の温度上昇が19.2℃及び18.0℃であるのに対し、本実施形態では、各キャリア増幅器の中出力時の温度上昇が16.9℃(表2)若しくは16.5℃(表3)まで低下している。この結果からも、上述した本実施形態による効果は明らかである。
なお、従来はドハティ増幅器を構成するキャリア増幅器及びピーク増幅器を個別にパッケージングし、回路基板上にこれらを実装することが一般的であった。しかしながら、近年、ドハティ増幅器を例えばミリ波帯若しくは準ミリ波帯の増幅器として応用することが検討されている。このような高い周波数帯においては、各増幅器を個別のパッケージとする構成では増幅器同士の間隔が開きすぎてしまい周波数特性に暴れが生じてしまう。従って、各増幅器を一つのパッケージに収納して互いに近接させ、該パッケージ内に信号入出力配線をも納めることが望まれる。しかし、各増幅器を近接して配置すると、各増幅器(特にキャリア増幅器)からの放熱が問題となる。特に、半導体増幅素子3を実装基板2にフリップチップ実装する場合、バンプ電極30の最小間隔は、一般的に数百μm程度である。他方、ミリ波帯の信号周期の1/4の線路長差は、例えば周波数80GHzにおいて約300μmである。従って、放熱経路としてのバンプ電極30の個数が制限されてしまう。本実施形態の半導体増幅素子3によれば、キャリア増幅器としてのトランジスタ12の間に少なくとも1つのピーク増幅器としてのトランジスタ13を配置することによって、このような問題を解決し、キャリア増幅器の温度上昇を緩和することができる。
本実施形態のように、トランジスタ12とトランジスタ13とは方向D1に沿って交互に配置されてもよい。これにより、トランジスタ12に接続される第2入力線路232及び第1出力線路241の線路長と、トランジスタ13に接続される第3入力線路233及び第2出力線路242とを、互いに対称な形状とすることができる。
本実施形態のように、トランジスタ12とトランジスタ13とは共通の半導体基板10に形成されてもよい。これにより、ドハティ型の半導体増幅素子3を小型化することができる。
本実施形態のように、第2入力線路232と第3入力線路233との線路長差、及び第1出力線路241と第2出力線路242との線路長差が、入力信号の周期の1/4であってもよい。このような線路長差が設けられることによって、ドハティ増幅器としての動作をより好適に行うことができる。また、例えば入力信号の周波数がミリ波帯である場合、入力信号の周期の1/4は300μm程度と短い。故に、第2入力線路232及び第3入力線路233、並びに第1出力線路241及び第2出力線路242を半導体基板10上の配線層20に収めることができる。
本実施形態のように、第2入力線路232及び第3入力線路233のうち一方の線路の少なくとも一部(例えば部分233b)が他方の線路とは異なる層に設けられることにより、第2入力線路232と第3入力線路233とが立体的に交差してもよい。例えばこのような構成によって、キャリア増幅器としてのトランジスタ12に挟まれたピーク増幅器としてのトランジスタ13に対し、トランジスタ12とは異なる経路で入力信号を伝達するとともに、トランジスタ12とは異なる大きさの入力バイアスを提供することができる。
本実施形態のように、第1出力線路241及び第2出力線路242のうち一方の線路の少なくとも一部(例えば部分242b)が他方の線路とは異なる層に設けられることにより、第1出力線路241と第2出力線路242とが立体的に交差してもよい。例えばこのような構成によって、キャリア増幅器としてのトランジスタ12に挟まれたピーク増幅器としてのトランジスタ13に対し、トランジスタ12とは異なる経路で出力信号を取り出すとともに、トランジスタ12とは異なる大きさの出力バイアスを提供することができる。
本実施形態のように、第2入力線路232及び第3入力線路233のうち一方の線路の少なくとも一部(例えば部分233b)が設けられる第4層M4と、他方の線路が設けられる第2層M2との間の第3層M3に、GND層27が設けられてもよい。これにより、第2入力線路232を伝送される信号と、第3入力線路233を伝送される信号との立体交差による相互漏洩(リーク)を抑制して、出力信号に含まれる雑音を低減できる。同様に、第1出力線路241及び第2出力線路242のうち一方の線路の少なくとも一部(例えば部分242b)が設けられる第4層M4と、他方の線路が設けられる第2層M2との間の第3層M3に、GND層27が設けられてもよい。これにより、第1出力線路241を伝送される信号と、第2出力線路242を伝送される信号との立体交差による相互漏洩(リーク)を抑制して、出力信号に含まれる雑音を低減できる。
図3の(a)に示されたように、方向D2における複数のトランジスタ12の位置と、同方向における複数のトランジスタ13の位置とは、互いに揃っていてもよい。これにより、方向D2における信号増幅部11の省スペース化を図ることができる。
図3の(b)に示されたように、方向D2における複数のトランジスタ12の位置と、同方向における複数のトランジスタ13の位置とは、互いにずれていてもよい。これにより、方向D1における信号増幅部11の全幅を抑えつつ、トランジスタ12とトランジスタ13との距離を広げてトランジスタ12の放熱効率をより高めることができる。
本実施形態の半導体増幅装置1Aのように、トランジスタ12,13が形成されている側の半導体増幅素子3の面が実装基板2と対向してもよい。これにより、トランジスタ12,13から生じる熱を実装基板2に逃がしやすくなり、放熱効率より高めることができる。
本発明による半導体増幅素子及び半導体増幅装置は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上述した実施形態では2つのキャリア増幅器と2つのピーク増幅器とが交互に配置された例を示したが、2つのキャリア増幅器の間に2つのピーク増幅器が配置されてもよい。上述した実施形態ではキャリア増幅器の個数とピーク増幅器の個数とが等しい場合を例示したが、キャリア増幅器の個数とピーク増幅器の個数とは互いに異なっていてもよい。また、キャリア増幅器及びピーク増幅器の個数は2個に限られず、3個以上であってもよい。